小森純さんの至言「写真のチェックとか、自分では一切しないんです」(前編)

komoriakari01.jpg  モテない、金ない、華もない......負け組アイドル小明が、各界の大人なゲストに、ぶしつけなお悩みを聞いていただく好評連載。第16回のゲストは、『小森純のモトカレ・レシピ』(講談社)を刊行された、タレントでモデルの小森純さんです! [今回のお悩み] 「自分の顔面に自信が持てません......」 ──はじめまして! 『モトカレレシピ』の出版おめでとうございます! 小森 あー、ありがとうございます。 ──私、ずぼらな性格なもんで料理に手間かけたくないんですけど、本当に簡単な料理がたくさんありました。 小森 そうなんですよ、応用できる料理がたくさんあるから、簡単にできちゃうんです。 ──すごく助かりました。『モトカレレシピ』で、本ももう三冊目ですね。 小森 はい。 ──実は以前小森さんが出版された『pure』(角川春樹事務所)に、うちの姉がチラ写りしてて......。 小森 へ? ──うちの姉もむかし読モをやってて、この歴代「Popteen」(同)の流れのところなんですけど......。 小森 これがお姉ちゃん? はいはいはい、お姉ちゃんなんだ。見てた。へー、すげえ。 ──私は当時ひきこもりのオタクで、ギャルの人たちって姉も含めて何をしてるか分からない異次元の人たちだったので、内側が知れて面白かったです。 小森 あー、本当すかー。 ──売れないグラドル上がりでライターになって、今、こうして悩みを相談させてもらう連載をしてるんですけれど、『pure』を読んで、小森さんが初めて「Popteen」に出たとき、「まわりの女の子がみんな可愛くて顔が小さくて、自分がここにいちゃいけないんじゃないかと思った」って話を読んで共感して......。私も初めてのオーディションから今日までずっとそんな感じで、自分に自信が持てないんです。写真を撮られるときとか、挙動不審になっちゃって......。小森さんは、どのへんでそういうの乗り越えたんですか? 小森 どうなんだろー、うーん、でもまあ時間ですよね。時間はかかりましたよね、すごく。 ──やっぱり撮られていくうちに意識が変わって......みたいな? 場数ですかね。初めはメイクさんにメイクしてもらうと、「あれ? メイクさん私だけ手抜いてない?」みたいに思ったり。 小森 あー、思ったことありますね。 ──まわりの子が全員かわいいから、「これじゃ全然足りないよーもっと盛ってよ!」って思いつつ、言い出せない、みたいな。こういうのって、自分の自意識の問題なんですかね。 小森 なんなんだろ、思っちゃいますよね。ウチも思ったことあった。 ──今は「Popteen」だけじゃなくいろんな雑誌に出られてますけど、どういうページでも綺麗じゃないですか。やっぱり自信をつけたからそれが写真にも......。 小森 いや、かわいくないですよ、ウチ。 ──えっ? 小森 まだそう思いますね、ふふふ(笑)。 ──もしかして、小森さんも、あんまり自分に自信があるほうではない? 小森 自信ないです。だから雑誌もウチ、好きじゃなくて。好きじゃないっていうかなんか、普通写真のチェックとかすると思うんですけど、しないんです。 ──なんでですか? 写りの良くない写真使われちゃったらどうしようとか思わないんですか? 小森 見たくないんです、テンション下がるから。だったらもう編集さんとかが選ぶ写真でいいやって感じ。 ──えー! ちゃんとお綺麗に写ってますよ! 小森 年取ってくるにつれてメイクも変わってくるじゃないですか。それで写真の写りも変わってくるのかなって。だから今はあんまり、気にしないです。 ──確かにメイクの技術はすごい。下手したらみんな同じ顔になってしまうから、もう最近の読モは区別つかないです、私。 小森 最近の読モの子たちは、みんな似てるよね。みんなかわいいし、プロ意識がある。 ──昔ってもっと遅刻や無断欠勤は当たり前だったけど、すごまじいアイラインの人がいたり、個性があっちこっち飛んでて面白かったですよね。 小森 まぁ、みんなかわいくなって、いいことだと思いますけどね。分かんないけど。 ──小森さんも初期は変顔の方でしたよね。私も、自分に自信がないからだと思うんですけど、自分のベストしか見せたくなかったり、極端に変顔に走ったりしちゃうんですよね。写真って苦手意識が消えないです。一応グラドル上がりだし、かわいく撮ってもらいたいのに、なんかぎこちなくなっちゃう。 小森 ウチもです。むしろ苦手になりました、昔にくらべて。 ──昔より今のほうが雑誌も、テレビにも出てるのに? 小森 分かんないけど、あんまり写真が好きじゃないんですよ。なんでだろう、忘れたけど、あるときを境に、なんか急に、苦手になりましたね、写真。 ──あるときを境に? 小森 なんかあったんじゃないですか、多分。うっふっふ。 ──ちなみに何が......。 小森 覚えてないけど......(沈黙)。 ──......えっと、じゃ、あんまり出た雑誌で自分をチェックって言うのも? 小森 しないです、ほとんど。 ──テレビもですか? 小森 テレビは見ます、テレビは見た目どうでもいいんで、だから、面白かったかどうか見ちゃいますね。 ──実は私、『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)で初めて動いている小森さんを知ったんですよ。小森さんが有吉さんに、「ブス」とか言われて、「え、芸人さんじゃないのにこんなこと言われるんだ、テレビ怖っ!!」って思って。 小森 逆にうれしいです、あれ、言ってくれるの。 ──傷つかないんですか? 小森 ウチは平気でした、別に、むしろ良かったっていうか、うん。 ──私、たとえ自覚があっても、人から言われたら落ち込むことってけっこう多いです。自分から「いやー貧相な女ですわ(笑)」とか言っちゃって自分を守っても、人から冷静に「本当に貧相だね」って言われたら落ち込むっていう悪循環。めんどくせえ女だな、私。 小森 冷静は傷つくけど、あーゆうテレビの場だったら別に傷つかない。でも基本、そう言われるほうがいいかな。かわいいとか言われるほうが苦手かもしれない。 ──かわいいって言われるほうが、反応に困ったり。 小森 困りますね、自分でそう思わないから、反応に困る。 (後編につづく/取材・文=小明) ●小森純(こもり・じゅん) 1985年、神奈川県生まれ。高校時代に読者モデルデビュー。現在、「PopSister」(角川春樹事務所)、「EDGE STYLE」(双葉社)でのモデル活動に加え、テレビでも人気に。新刊『小森純のモトカレ・レシピ』が講談社より発売中。 ●小明(あかり) 1985年、栃木県生まれ。02年、史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。 ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/> サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中
小森純のモトカレ・レシピ これでオチない男はいない!? amazon_associate_logo.jpg
小明の「大人よ、教えて!」"逆"人生相談バックナンバー 【第15回】 堀江貴文さんの至言「もうメジャー路線っていうものは存在しないかもしれない」(前編) 【第14回】 稲川淳二さんの至言「自分の子どもを殺そうか、と思った自分が一番怖かった」 【第13回】 蝶野正洋さんの至言「自分の役割の中で、最大限に光らなきゃならない」 【第12回】 有野晋哉さんの至言「アイドルは『育ちがええねんなー』っていうのが大事です」 【第11回】  鳥居みゆきさんの至言「やりたくないこと、やらないだろうな、ってことをやるの」 【第10回】  宇多丸さんの至言「人にはだいたい『ちょうどいい』ところがあるんです」 【第9回】  桜木ピロコさんの至言「あたしいつもだいたいいやらしいことしてるもん!」 【第8回】 伊集院光さんの至言「結局、うんこを食うしかない状況になるんです」 【第7回】 ルー大柴さんの至言「ライフっていうのはマウンテンありバレーありです」 【第6回】 大堀恵さんの至言「私、いつも『アンチ上等』って思ってるんです」 【第5回】 品川祐さんの至言「なったらいいなと思ってることは、だいたい実現する」 【第4回】 福本伸行さんの至言「俺は『面白いものを作ろう』じゃなくて、作れちゃう」 【第3回】 大根仁さんの至言「ネットの書き込みなんて、バカにしていいんじゃない?」 【第2回】 杉作J太郎さんの至言「そんなことより『ファフナー』見ろ、『ファフナー』を」 【第1回】 河原雅彦さんの至言「もう無理やりヤラれちゃえばいいんじゃない?」

エスパー伊東が暴走中!? 謎の符牒「マックス・エス・パワー!」とは何か

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 小島よしお、狩野英孝、エスパー伊東が、毎回さまざまな企画に挑戦する冒険バラエティー番組『小島×狩野×エスパー 3P(スリーピース)』(TOKYO MXほか)が待望のDVD化! 「ストリップで裸芸を学べ!!」「霊能者になろう!」「エスパー初めての婚活」など、今年4月~6月に放送された全企画に加え、テレビ放送には堪えがたい禁断の未公開シーンも収録されているという。  番組スタート時に行ったインタビュー(参照記事)では、「番組内での僕のポジションはふわふわしてます(狩野)」「エスパーさんは、キャバ嬢体質だから収録中に寝ちゃう(小島)」などと、少々不安げな様子を見せていた3人だが、3カ月間に渡る共演を終え、変化はあったのだろうか? 再び直撃した。 ――お久しぶりです。ついに『3P』のDVDが発売ということですが、見どころを教えてください。 小島よしお(以下、小島) 『逃走中』(フジテレビ系)のパロディーで、捕まったら浣腸される「浣腸中」っていう企画の回があるんですけど、普段何でもやるエスパーさんが、なぜか浣腸だけNGで。浣腸が嫌過ぎて、カメラが無い所まで逃げちゃうんで、エスパーさんがあんま映ってないんですよ(笑)。そんな本気で嫌がってるエスパーさんが見どころです。 ――なぜエスパーさんは、浣腸NGなんですか? エスパー伊東(以下、エスパー) 小学校の時とか、同級生で漏らした奴がいたら、皆からいじめられてたじゃん。 狩野英孝(以下、狩野) そんな理由ですか(笑)。 ――8月18日には、DVD発売記念イベント『小島×狩野×エスパー 3Pサマーフェス2010~放送禁止!大怪我覚悟の冒険トークショー~』がタワーレコード渋谷店で行われるそうですね。 狩野 当日は、鳥居みゆきさんと浜田ブリトニーさんも緊急参戦します。 小島 いったん鳥居さんとエスパーさんを舞台でほったらかして、どうなるか見たいですね。 エスパー それ前にテレビでやったんだよ。2人で個室に入れられて。全然、会話にならなかった。彼女照れてたのかなあ......。 狩野 照れてはいないでしょ(笑)。 ――さらに、DVDを『Vol.1』から『Vol.4』まで購入すると、『裏3P』という特典映像が見られるとか。どんな内容ですか? 狩野 エスパーさんが、3対3でコンパをしてるところを隠し撮りした映像です。 小島 エスパーさんはお酒が入ったらひどいですからね~。 ――そうなんですか? エスパー ......(なぜか目をつぶったまま沈黙)。 ――え? エスパー ............。 小島 嘘でしょ!? 狩野 (笑)。 エスパー (突然、目を開けて)あ、映像見てないからあんまり詳しく知らない。 ――寝ちゃったかと思いました......。ちなみに合コンの参加メンバーはどなたですか? エスパー 男は、俺と、みつまJAPANと、へらちょんぺ。 ――うわ~、見るのに勇気が入りそうです(笑)。ところで、エスパーさんは芸歴22年ということですが、芸人を長く続ける秘訣があったら教えてください。 狩野 お! 秘訣知りたいです。 エスパー 大ヒットすると失速するのも早いから、中ヒットのギャグを作ること。僕、毎年ギャグ増えてるんだよ。 ――ちなみに今、一押しのギャグはありますか? エスパー (小島から片方の乳首をこすられ)「くすぐっパ~イ!」。 ――(笑)。 エスパー あと、「マックス・エス・パワー!」とか。 ――「マックス・エス・パワー!」は、どんな時に使うギャグですか? エスパー 結婚式営業の時。あと「祝ハイ~!」とか。「祝盃」と「ハイ~」をかけたの。 狩野 そういう感じのギャグを作り続けることが、長年芸人を続けられる秘訣なわけですね。勉強になります。 小島 僕もエスパーさんを見習って、中ヒットギャグを作り続けたいと思います(笑)。  一見、ユルい3人組に見えるが、20年後にはこの奇跡の組み合わせがバラエティー史上"伝説"となっている気がしてならない。そんな3人が贈るDVD『小島×狩野×エスパー 3P(スリーピース) 』は、「普通のバラエティーじゃ物足りない」と感じている人に、特におすすめしたい作品だ。 (取材・文=林タモツ/撮影=尾藤能暢)
『小島×狩野×エスパー 3P(スリーピース) VOL.1』 発売中。Vol.2~Vol.4も順次リリース。 ※Vol1~Vol.4を購入すると、特別映像『裏3P』が見られる特典付き。 8月18日には、小島、狩野、エスパーと女版スリーピースから鳥居みゆき、浜田ブリトニーが出演するタワーレコード渋谷店とタワーレコード新宿店で購入した方限定のイベントがタワーレコード渋谷店で開催される。 詳しくは『3P』番組公式サイト <http://www.3p3p3p.jp> amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 小島よしお、狩野英孝、エスパー伊東で新番組って、ホントに大丈夫!? 「キング・オブ・一発屋」小島よしおのキャラクター戦略 「実はスゴい芸人かも!?」現場が絶賛する"今年消える"候補筆頭・狩野英孝

「とにかく不毛なものが好き」 人気放送作家が手掛ける"世界初"の巨大仏写真集 

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牛久大仏(120m/茨城県)
写真集『巨大仏!!』より
 『ロンドンハーツ』、『アメトーーク』、『あらびき団』、『フットンダ』など、今、大人気のバラエティー番組を手がける放送作家・中野俊成氏が、"世界初"となる巨大仏の写真集を発表した。日本各地に存在するウルトラマン(40m)やゴジラ(50m)よりもデカい、最大120mの巨大仏28体。そして鎌倉大仏(13.35m)以上、ウルトラマン未満の"準"巨大仏12体を、約3年の月日をかけて撮影したという。巨大仏の魅力とは一体なんなのか、そしてバラエティー番組と巨大仏の意外な共通点について、語ってもらった。 ――今回、収められている巨大仏の写真は、すべてプライベートで撮影されたということですが、そもそも撮影のきっかけは? 中野俊成氏(以下、中野) 大船駅前にある大船観音、あれを見たときの衝撃ですね。初詣に行った帰りに渋滞に巻き込まれ、抜け道を探しているときに、突如、大船観音(25m)が目の前にぬっと現れてきたんです。「なんだこれ?」という衝撃で、咄嗟に車を路肩に停めて、夢中で撮影しちゃいました。 ――ふいに大仏が出てきたら、びっくりしますよね(笑)。では、最初は写真集にされるつもりはなかったんですね。 中野 ネットでは公開していましたが、写真集を出すなんて微塵も思ってなかった。昨年の秋に知り合いのカメラマンの園田昭彦さんに勧められて巨大仏の写真展をやったら、数社から巨大仏の本を出版したいというオファーが来たんですよ。でも、どこもエッセイの企画ばかりだった。エッセイなら宮田珠己さんが書かれた『晴れた日は巨大仏を見に』(白水社)という、巨大仏界の経典とも言うべき本があるので、あまり乗り気になれなくて。そんな中、河出書房新社の編集者の武田さんだけが、何をとち狂ったか、「写真集を出したい」と言って下さって(笑)。それだったら面白いと思ってすぐに了承しました。   ――担当編集の方も巨大仏ファンなんですよね。では、中野さんにとって巨大仏の魅力はどんなところなんですか? 中野 巨大仏が"ぬっと現れたときの強烈な違和感"ですね。初めの頃は、この違和感が生じたときに放出されるアドレナリンに浸ることを目的に、大仏を撮りに出かけていました。あとは"怖さ"。僕、富山のど田舎出身なんで、東京に出てきたとき、高層ビルが怖かったんです。見たこともない巨大なものを見るという、怖いもの見たさという面もあるのかもしれない。けれど、撮影しているうちに、巨大仏がいちばん魅力的に映るアングルはどこか、そればかりを考えるようになっていました。僕の場合、巨大仏個体よりも"巨大仏がいる風景"に興味があるんです。
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高崎白衣大観音(41.8m/群馬県)
写真集『巨大仏!!』より
――写真1点、1点かなりこだわって撮影されていますよね。 中野 どういう風に撮ったらこの違和感が伝わるか、ということを常に考えています。例えば、おじいちゃんが孫を遊ばせてる......という日常感のあるところに、ぬっと巨大仏がいると違和感が倍増するんですよね。それは撮っていくうちに分かったんですよ。初めは人がいなくなるまで待っていたんですけど、逆にそこで日常生活を過ごしている人が入っていたほうがギャップがあることに気付いて、誰「かここ通らないかな」と、待つようになりました。  撮影当日の段取りは、大体午前中のうちに現地に着いて、それから夕方までずっと撮影です。逆光になるとどうしようもないので、太陽が動くのを待ちます。その間に、ご飯を食べたり、地元の温泉に入ったり、原稿を書いたりもしています(笑)。 ――結構、長期戦なんですね(笑)。撮影機材は何を持っていかれるんですか?  中野 重くなるので、ズームレンズ一本と一脚だけです。巨大仏の撮影には、意外とフットワークが必要なので、三脚ではなく一脚を持っていきます。違和感を求めて、わざわざ山の中に分け入って撮影したり、歩道橋の柵に登ってありえない体勢で撮影しようとして、通りがかった老夫婦に笑われたこともあります。その時の写真も入ってます(笑)。
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仙台大観音(100m/宮城県)
写真集『巨大仏!!』より
――この巨大仏の撮影が、お仕事や企画を考えるときの役に立ったりと言うのは......。 中野 僕、不毛なものが非常に好きなんです。『アメトーク』なんかは、回によっては、異常に不毛なときがあるんですよね。例えば「リアディゾン大好き芸人」という回があったんですけど、いかにリアディゾンが好きか、ということをみんなで言い合うだけ。あとはリアディゾンが妹だったらとか、どういう日本語を教えたいかとか(笑)。そういう妄想だけで1時間。情報性もないし、リアリティもない。しかも、本人も出てこない(笑)。あの何も生み出さない不毛さが、僕はものすごく好きなんです。 ――『アメトーク』は、見ていて心配するぐらい不毛なときがありますよね(笑)。でも、そういう純粋なバラエティー番組はやっぱり面白いです。 中野 最近の若い人はテレビ以外にネットとか携帯とか面白いことがあるから、テレビ離れしつつある。視聴者が高齢化していて、情報なしの番組では見てくれないんです。大人になればなるほど、何に対しても情報というか、意味を求めませんか? 子どものころは何も考えずにただテレビを見ていたけど、年をとってくると、「この番組に何の意味があるのか」と求め始めちゃう。 ――そうするとこれからのテレビは、年齢層が高い人に向けた情報系番組ばかりになってしまう、ということでしょうか?   中野 これからは、二極化が進んで行くんじゃないかと思うんですよね。ひとつは、リアルタイムの映像をネットや携帯よりもキレイに見せられることを生かして、ニュースなどに力を入れていく方向。もうひとつは、番組のソフト化で1回目の放送はテレビで、2回目はネットや携帯でダウンロードするとか。ダウンロードをするのは若い人が多いと思うので、それが一般的になれば、若い人向けの番組作りにシフトされていくかもしれない。ただ、視聴率がすべての現状では無理ですね。最近では『学べるニュース』(テレビ朝日系)という番組がいちばんヒットしてて、視聴率も高い。とても今の時代を象徴している番組だと思います。そんな中、僕は意味のないもので埋め尽くされたバラエティー番組を今後もずっとやっていきたいですね。 ――不毛バラエティー、期待しています! では最後に、国内の巨大仏は、すべて制覇されたということですが、今後何か目標はありますか? 中野 40m以上の巨大仏はすべて撮影したので、ここまで来たら、国内の準巨大仏もすべて撮影することになるんだろうなぁと思います。ただ悲しいかな。巨大仏をひと通り見て周ったから、18mとかね、どこか刺激が足りない(笑)。  無駄なものは、何でもすべて省こう、省こうとしている昨今。けれど、その中にこそ、最高にどーでもよくて、それなのに、なぜか人を惹きつけるヒントが隠れているのかもしれない。巨大仏は、その象徴ともいうべき存在、なのかもしれない。 (取材・文=上浦未来) daibusu04.jpg 中野俊成(なかの・としなり) 1965年生まれ。富山県出身。放送作家。
過去に手掛けた主な番組『進め!電波少年』
『愛の貧乏脱出大作戦』『ウリナリ』『気分は上々』
『内村プロデュース』『桑田佳祐の音楽寅さん』等。現在は『大改造!劇的ビフォーアフター』『ロンドンハーツ』『アメトーーク』
『みんなの家庭の医学』『あらびき団』『リンカーン』『フットンダ』など、
数多くの人気番組を手掛ける。
巨大仏!! まいりました。 amazon_associate_logo.jpg
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エレクトロポップの新星・Mizcaインタビュー Perfumeは意識してる? してない?

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 ギャルの持つケータイなどでよく見られる「デコ」。これを、自身のアーティスト活動にまで取り入れているのが、"デコ・クイーン・シンガー"のMizca。彼女、マイクやマイクスタンドなどをデコりまくることで話題を集め、エレクトロ・ポップの新星として要注目なのだ。  彼女を手掛けるプロデューサーは、1999年にアート集団GROOVISIONSのキャラクターChappieのプロデュースを、最近では"エヴァ芸人"として知られる桜 稲垣早希をボーカルに迎えたシングル「はつ恋」を手掛けるなど、幅広く活躍しているミュージシャンpal@pop。  7月21日にリリースされたMizcaの1stアルバム『(ハート)UFUFU(ハート)』も、pal@popらしいキャッチーな曲調にMizcaのキュートな歌声が乗り、非常にポップな仕上がりを見せている。  そんなMizcaに、ニューアルバムのこと、"デコ"のことなどについて話を聞いた。 ──Mizcaさんは「デコ・クイーン・シンガー」という肩書きをお持ちですが、いつ頃から身の周りのものをデコり始めたんですか? 「3年前、ハタチの頃からですね。最初はケータイから始めて、それをきっかけに他のものもデコったら可愛いかなと思って。名刺入れやパソコン、マイク、マイクスタンド......身の回りのいろんなものを今ではデコりまくっています!」 ──結構、時間かかるんじゃないですか? 「今のケータイはデコり始めて4代目なんですけど、2時間くらいかかりました。お店に頼むと3万円位するんじゃないかな。やっぱり女の子なので、キラキラしているものを持ってると楽しいし、やり終わった後に達成感があるんですよね。やめられません」 mizka002.jpg ──今年の1月にデビューされましたが、エレクトロ・ミュージックにはもう慣れました? 「最初はエレクトロっていうジャンルがイマイチ分からなかったし、そこに挑戦することで不安や迷いはありました。でも、ライブを経験したり、持ち曲も増えてきて......今では親しみを感じています。私はまだ曲数も限られてるし、今まではインストアイベントなどが多くて、1人でステージを最初から最後まで作るということをしたことがないんです。でもアルバムリリースをきっかけに、そういうこともできたらいいかなって。"聴くライブ"より"観るライブ"が好きなんです。ダンスで魅せたり、セットや衣装にもこだわりたい。終わったあと、お客さんの中に余韻が残るようなライブを作り上げたいですね」 ──アルバム『(ハート)UFUFU(ハート)』の聴きどころを教えて下さい。 「1曲目の『キラキラ☆』に、早口で歌うパートがあるんですが、そこは苦労しましたね。結構噛みました(笑)。全体的には、シングルとしてリリースしたキャッチーな曲もあり、マニアックな曲調のものもあり、1枚でMizcaっていうキャラクターがいろいろと楽しめるかなと思います」 ──歌詞に関してはどうですか? 「高野さん(高野健一/pal@popの本名)の想像する女の子の気持ちが分かって、面白いです。女の子をこういう風に見てるんだなって。基本的に、女の子による上から目線の歌詞が多いんですけど、それは私にSキャラっていうイメージがあるかららしいんです。実際はそんなことないんですけど(笑)」 ──pal@popさんの書く世界って、女の子がアニメキャラっぽいというか、空想の世界の女の子、という印象があります。そういった、男性から女の子への、妄想のような過剰な愛情をぶつける歌詞って、ぶっちゃけ気持ち悪いとかは思いませんでした?(笑) 「そんなことないです(笑)。私も歌詞を書きますけど、私には書けないテイストのものなので、純粋に楽しんでます。高野さんの歌詞は情景がはっきりしていて、ドラマのワンシーンを見ているようで、面白いなって思います」 ──アルバムには、初回生産分1万枚に、Mizcaさんが生キスをしたトレーディングカードを封入されているそうですね。 「ほんとに大変でした! 12時間もかかって、終わった頃には唇が痛くて腫れちゃってました。クレンジングしても口紅が落ちなくなっちゃうし、きつかったですね。打ち上げの焼肉を楽しみにして、頑張りました!」 ──エレクトロ・ミュージックというと、最近はPerfumeフォロワーのアーティストとしてひとまとめにされがちです。意識はされていますか? 「特に意識はしてないですね。Mizcaとしてのテイストは、キャッチな歌謡曲テイスト。これからもこの路線を守りつつ、なおかつ誰が聴いても"私っぽいもの"を作れればいいなって思います。音楽だけじゃなくて、ビジュアル面でも、ほかのアーティストさんとは差別化していきたいです」 ──どんなアーティストを目指したいですか? 「今はまだはっきりとは見えてないんですけど、Mizcaとしてのジャンルを確立していければなって思います。自分にしかできないことを。まずはワンマンでライブをやりたいですね。Mizcaなりの世界観を表現してみたいです」 (取材・構成=岡島紳士<http://oshinshi.web.fc2.com/>) ●Mizca(みつか) 1986年8月14日、愛知県生まれ。身長154cm。05年に3人ユニットの一員としてデビュー。07年には自身の引きこもり体験を歌うシンガー・光岡昌美としてソロデビュー。そして今年1月にMizcaとして3度目のデビューを果たした。趣味/お菓子作り、ぼーっとすること、家具探し、部屋の模様替え、映画鑑賞、海に行くこと 特技/ネイルアート、詩を書くこと。 オフィシャルサイト<http://www.mizca.jp/> オフィシャルブログ<http://ameblo.jp/mizca-smile/>
UFUFU 数々のアーティストを手掛けてきた人気クリエイターpal@popが世に送り出す、エレクトロポップの新星Mizcaのファーストアルバム。エレクトロミュージック界初の卒業ソング「キラキラ☆」から2ndシングル「ダメよ(ハート)」などを、全12曲を収録。エレクトロポップなのにキャッチな歌謡曲テイストというMizcaが創りだす音楽観が、存分に満喫できる作品。この夏、話題沸騰なること間違いなし!? amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 「平野綾は神!」"アイドル評論家アイドル"鎌田紘子が語る「アイドル論」 「お金ないので仕事ください!」結婚宣言の小阪由佳、予告通りメイド喫茶でアルバイト "デートができるアイドル"AKBN 0が前代未聞のオーディション開催 生々しいその中身とは?

"歩く伝説"山本又一朗プロデューサー 小栗旬初監督作の舞台裏を存分に語る!(後編)

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前編はこちら ■『愛・旅立ち』は長谷川和彦監督の復帰作だった!? ──後半は"又一朗伝説"について少々聞かせてください。『愛・旅立ち』では当時噂になっていた近藤真彦、中森明菜の共演をよくぞ実現させましたね。 又一朗 あの作品に関して、いろいろと感じるところがあります。ジャニーズ事務所は近藤真彦をはじめ人気スターを多数抱え、映画でもヒット作を連発していた。そこに中森明菜という歌手としてだけでなく、俳優としても非凡なものを持った表現者が現れた。自分勝手な感想ですが、残念なことに、『愛・旅立ち』の後、彼女の可能性をさらに伸ばしてあげるものを用意することが我々にはできなかった。あのときの彼女は初めてやる映画に対し、怯えがあった。自分よりもっと大きな存在が作品を背負ってくれ、その脇で出演するなら、というのが彼女の希望でした。そこで当時彼女が所属していた研音のOKをもらって、メリー喜多川さんのところに話を持っていき、俳優として歌手として乗りに乗っていた近藤真彦との共演が実現したんです。 ──中森明菜が幽体離脱するスピリチュアルムービーとして最初から企画されていたんでしょうか? 又一朗 『愛・旅立ち』はある種のスピリチュアルムービーだったんだけど、元々は超能力者を描く全然違う内容の企画を用意してました。『太陽を盗んだ男』の長谷川和彦監督の6年ぶりの監督作になるはずだったんです。ゴジ(長谷川監督の愛称)が脚本も書いてくれて『PSI』という、サイキックの頭文字から取ったタイトルでした。面白い内容だったけど、予算が8~9億円かかるものでした。今ならCGを使えば、もっと安くできたんだろうけどね。でも、『太陽を盗んだ男』のときに予算オーバーしてしまったので、ゴジもオレも業界で札付きだった(苦笑)。同じ失敗をプロデューサー、監督としては繰り返せないでしょう。ゴジも思い込んだら一途な性格だから、予算に収まるように脚本を変えることはやらないわけです。ジャニーズ事務所と研音からも「長谷川監督も悪くないけど、マッチの映画を撮ったことのある舛田利雄監督なら心配がない」という意見が出てね。それで舛田監督が、超自然現象の話は面白いから、それなら当時流行っていた丹波哲郎さんのベストセラー『死後の世界の証明』(広済堂ブックス)的なものを若者向けにやろうということで、ああいう内容になった。途中で企画や監督が代わってしまったけど、みんなが面白がる着地点があったので完成まで辿り着いたんです。まぁ、マッチと明菜に関するホントに可愛らしい明るいエピソードもあるけど、それはボクが墓場まで持っていきます(笑)。
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山本又一朗プロデューサーは小栗旬を15歳の
ときから育ててきた。「旬とはお互いに学び合
う関係ですよ。自分の箱庭の中にアイツを閉じ
込めておこうとは考えていません」と又一朗
氏は語る。
■あまりに過激すぎる又一朗・大阪伝説!! ──『クローズZERO』ですが、あの作品は大阪でやんちゃだった三池崇史監督の青春時代を投影した作品という認識だったのですが、実は山本又一朗プロデューサーの自伝的色彩も強いんじゃないでしょうか? 又一朗 いや、当然ながら髙橋ヒロシさんの原作コミック『クローズ』(秋田書店)ありきの世界ですよ。そこに武藤省吾という新進気鋭の脚本家が加わり、さらに三池監督という名匠を得ることができた。ボクの高校時代の話はねぇ、大阪にまだ知り合いが多いからあまりできないんだなぁ(苦笑)。まぁ、高校時代のボクは、ワルでした。今は温厚な顔をしていますが、その頃のボクの人相はかなりなものでね......(iPhoneに取り込んである高校時代の写真を見せる)。 ──ごっつい男前。浪速の石原裕次郎ですね! 又一朗 ハハハ、大阪であんまり暴れすぎたので、兄が東京へ強制送還したんです(笑)。バイクも乗り回してたし、よく遊び回っていたけど、照れ臭くて女の子とは遊ばなかった。硬派ってわけじゃないけどさ。それが、今ではこんなに女性好きになるとはね(笑)。 ──強制送還された経緯を教えてください。 又一朗 阪急梅田駅で他校の有名な不良とぶつかったんだ。「こらッ、ボケッ!! どこ向いて歩いとんじゃ!」「アホンダラ! おのれから当たっとってッ」とね。相手は鋭く磨き上げたヤスリを学ランの内ポケットに入れて持ち歩いている札付きのヤツでね、傷害事件を2度起こして保護観察処分になっているらしい。後から知って、震え上がりました。地元の高校生たちの間で決闘場として知られていた田んぼがあってね、「勝負するから、10日後そこに来い」と呼び出されました。自分は刺し殺されるに違いないと、夜も眠れなかった。眠ると自分が刺される夢を見て、びっしょり寝汗をかいて目が覚めるという日が続いたんです。周囲は「謝ればいいじゃないか」というけど、でもあの頃ってどうしても謝れないものなんですよ(笑)。それで友達のYくんの家にあった日本刀を1日だけ拝借したんです。日本刀は重いから、振り下ろすときは腰を落とさないと自分の足を斬ってしまうので気をつけろって言われてね。夜中に暗闇の中でこっそり振り回す練習をして......。オレは、何してんだろうと......(苦笑)。いよいよ当日がやってきて、もう、それまで10日間溜め込んでいた恐怖が爆発して日本刀をかざして向かったところ、それまで「おい、こら」と言っていた相手が「や、山本くん、危ないよ!」と(笑)。「得物を持っとんのはそっちが先じゃい」ってね。人間が恐怖でおののく表情を初めて見ました。今、考えればホントについてた。自分も傷つかず、誰も傷つけなくて済んだ。
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山本又一朗プロデューサーの若かりし頃の写真を
ご提供いただいた。肉食系の超イケメンでは
ないか。
──『クローズZERO』の世界、そのまんまじゃないですか。 又一朗 『クローズZERO』はピュアな世界だけど、自分の場合はもっとドロドロして生々しかったね。でも、「あの男を倒さないと、オレの明日はない」という気持ちは『クローズZERO』の世界と通じるものでしょうね。それで、そのまま大阪にいてはロクな人間にならないと案じた兄が、東京の高校へ転校するように手続きをしたわけです。言わば東京に島流しになったんだけど、東京は広い。観たいモノが全てある。天変地異の大展開。日本刀を振り回してた高校生はやがて出版業界に出入りするようになり、そして映画の世界に関わるようになったんです。ハハハ、この続きはまた次回やろうよ!  面白すぎる山本又一朗伝説。出版界での修行時代、世界を股に掛けた武勇伝など、まだまだ聞きたいことは尽きない。現在、企画準備中の新作が完成した暁には、ぜひとも伝説の続きを! (取材・文=長野辰次) ●『シュアリー・サムデイ』 プロデューサー/山本又一朗 監督/小栗旬 脚本/武藤将吾 音楽/菅野よう子 出演/小出恵介、勝地涼、綾野剛、鈴木亮平、ムロツヨシ、小西真奈美、妻夫木聡、遠藤憲一、岡村隆史、須賀貴匡、阿部力、笹野高史、モト冬樹、横田栄司、竹中直人、吉田鋼太郎、大竹しのぶ、原日出子、上戸彩、井上真央 配給/松竹 7月17日(土)より全国公開 <www.surely-someday.jp> ●やまもと・またいちろう 1947年鹿児島県出身。さいとう・たかを、小池一夫らに師事し、劇画原作の修行を積んだ後、映画・テレビ業界へ。映画プロデューサーとして、ジャック・ドゥミ監督を起用した実写版『ベルサイユのばら』(79)、長谷川和彦監督による日本映画史に残る金字塔的作品『太陽を盗んだ男』(79)、幽体離脱した中森明菜のロードムービー『愛・旅立ち』(85)、三島由紀夫の過激な生涯を緒形拳主演で映画化した『Mishima』(85)ほか数多くの話題作を製作。芸能プロダクション「トライストーン・エンタテイメント」の代表取締役でもあり、所属俳優・小栗旬を『あずみ』シリーズ(03、05)、『クローズZERO』シリーズ(07、09)でスター俳優へと育て上げた。
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"歩く伝説"山本又一朗プロデューサー 小栗旬初監督作の舞台裏を存分に語る!(前編)

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映画を作ったからには必ずヒットさせなくてはいけない。
『太陽を盗んだ男』(79)をヒットに導けなかったことは、
山本又一朗プロデューサーのその後の映画人生に大きな影響を与えた。
 熱い。熱すぎる。日本映画界において、火傷しかねないほどの情熱を作品に注ぎ込む男がいる。メジャー映画らしからぬ、型破りの話題作を常に提供する"生きた伝説"、その名は山本又一朗プロデューサー。29歳にして日本映画史に残る大傑作『太陽を盗んだ男』(79)を放ち、コッポラとルーカスを製作総指揮に迎えた『Mishima』(85)はカンヌ映画祭で芸術貢献賞を受賞(ただし日本未公開)。スピリチュアルムービー『愛・旅立ち』(85)では、当時の大人気スター・近藤真彦と中森明菜を共演させるというミラクルキャスティングを実現させている。また、小栗旬が所属する芸能プロダクション「トライストーン・エンタテイメント」の代表でもあり、小栗旬を主演に据えた『クローズZERO』(07)シリーズのヒットは記憶に新しいところ。映画製作のスリリングさは、すでに『TAJOMARU』(09)の際に語ってもらったが、まだまだ"伝説"について聞きたいことが山ほどある。『シュアリー・サムデイ』の裏話と共に、山本又一朗プロデューサーの伝説の一部をお届けしよう。 ──『シュアリー・サムデイ』は人気俳優・小栗旬が27歳で初監督に取り組んだことで話題を集めています。『クローズZERO』から『TAJOMARU』まで、働きに働いた事務所の稼ぎ頭へのご褒美としてGOサインを出したんでしょうか? 山本又一朗氏(以下、又一朗) いやいや、とんでもない! 映画はご褒美なんかで、やれるもんじゃありませんよ。この作品はね、何よりも小栗が「映画を作りたい」と昔からずっと抱いていた情熱が形になったものなんです。旬に初めて会ったのは、まだアイツが15歳のとき。16歳の頃に食事をしながら「将来、どんな役をやりたいんだ?」と聞いたら、「ボク、監督やりたいです」と答えたんですよ。俳優を志す者の夢としては、最初から他の者と違ってた。ま、それから7年間、旬は俳優業に勤しんだわけだけどね。 ──『花より男子』(05/TBS系)で人気に火がつき、映画『クローズZERO』シリーズのヒット、さらに蜷川幸雄演出による舞台『カリギュラ』の成功で若手俳優の筆頭格に躍り出ました。
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小栗旬初監督作『シュアリー・サムデイ』。
高校を退学処分になった巧(小出恵介)たち
バカ仲間は、美女と3億円をめぐってヤクザ
と抗争を繰り広げる。小栗監督が演技力を認め
る若手俳優たちが集結した。
(c)2010「シュアリー・サムデイ」製作委員会
又一朗 24歳という年齢は、ひとつのターゲットだった。順調に伸びている旬を24歳で一人前の俳優に、世間にきちんと名前の知られる存在にしようと考えて照準を当てていたんです。『クローズZERO』は旬の俳優としての実力を知らしめるために周到に準備していたビッグプロジェクトでした。旬は父親が厳格な舞台監督で、また比較的若い頃から礼儀に厳しい俳優の世界に入ったこともあり、グレることはなかったわけだけど、アイツの内面には、何か抑えがたい熱いものがあるのは分かっていました。絶対、『クローズZERO』をやるにふさわしい奴だとね。それに蜷川さんの舞台を2作品、『お気に召すまま』と『カリギュラ』。どの一本をとってもヘビー級の作品群。さらにはテレビの連続ドラマ『花より男子2』(TBS系)、『花ざかりの君たちへ』(フジテレビ系)、『貧乏男子ボンビーメン』(日本テレビ系)の収録。だから07年から08年にかけての旬のスケジュールは大変過酷なものになってしまった。実は旬が16歳のときに映画監督をやりたいと言ったなんてことは、こっちもすっかり忘れてましたよ。俳優として一人前になるという目標に向かって打ち込んでいたので、それどころではなかったですね。ところが、アイツが23歳のときに、ロケなどでよく世話になっている広島のホテルのオーナーが、改装オープンしたんで遊びに来いと誘ってくれて、旬と新幹線に乗ったんです。乗るといきなり旬が「ボク、監督したいと思ってるんですけど......」と。「おぉ、確か昔そんなことを言ってたな」と、16歳の頃の旬の顔が浮かんだんですよ。「こいつ本気で考えていたのか......」とね。ボクは前日、深酒して寝てなかったので車中で寝る気でいたのに、旬が鞄から台本を出してきてね。何ページか抜けていたんだけど(笑)。それが武藤将吾が書いた『シュアリー・サムデイ』だった。睡眠不足なのに、面白くて最後まで一気に読んでしまった(笑)。 ──小栗旬は「いつか必ず、映画製作を」と、『花ざかりの君たちへ』の若手脚本家・武藤将吾と密かに映画の企画を練っていた。 又一朗 武藤さんの脚本はジャンプ力があり、話の流れを平気で断ち切り、どんどん展開を飛ばす独特の面白さがある。当時同じ20歳代である2人の創作した脚本は、とても新鮮に感じられました。でも、だからといって23歳の売り出し中の俳優に即映画を任せるわけにはいきません。まず、小栗旬を俳優として押しも押されぬ存在にすることが先決でした。ある意味、映画監督をやると俳優としては横道に逸れることになる。24歳という節目を迎えて、まず俳優としてやらねばならない企画が目白押しだったんです。それで「旬、この脚本は面白い。いつかきっと映画化しよう。だけど、今じゃない。それよりこの脚本家をオレに紹介してくれ」と。そういう経緯で、小栗旬主演作として準備を進めていた『クローズZERO』の脚本家に武藤さんを選んだんです。『クローズZERO』の前後は、本当に旬も大変だったでしょう。それこそ寝る間もない1年間は、役者としていいことも嫌なこともたくさん味わったはず。演じるために思考する余裕も、台本を覚えるための最低限の時間もない中で、小栗旬は俳優として急速に成長した。またそういう状況を乗り切ったことで、実は監督をやるときに必要な"人間力"のようなものを身につけていったと思いますよ。だけど、あまりに多忙になりすぎて、旬のスケジュールは次々にやってくるオファーで流され気味になっていたんです。そんなある日、旬が「来年、この映画を撮れないから、もう諦めます」と言ってきた。なんで諦めると口にしたのかと、これはオレの推測なんだけど、若い頃の、旬自身まだ10代の気分の残っているうちに撮りたかったんじゃないかな。年齢を重ねてからでは空気感が損なわれてしまうと考えたんだろうね。旬は極めて自己内省力の強いタイプ。他人の言葉だけではなく、自分の口から発した言葉も、その後もずっと考えて検証したりするような性格の持ち主。その頃の旬は「最近のオレって、面白いですか?」なんて周囲に尋ねたりしていましたからね。そんな言葉が聞こえてきて、ひとつのいい区切りだなと感じたんですよ。「よし、映画やろうか」と。それで思い切って旬のスケジュールを監督をやるために空けたんです。 ──初監督作品ながら全国186館での一斉公開。本人はもっとインディペンデント的な作品を考えていたんじゃないですか?
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又一朗 それは感じました。もっと自主映画っぽいものを本人は考えていたようです。ボクとしても初めての監督作品なんだから、なるべくプレッシャーのかからないような形にしたいとは思っていたんです。でもね、旬の熱意に周囲が応じ、キャスティングをはじめ、予想以上に豪華なセットアップになってしまった(苦笑)。それに従って出資会社も次々と増えていったわけです。初監督である旬に100kgとは言わないけど、80kgくらいの重荷は背負わせた形になったかな。 ──キャスティングは小栗監督が自ら? 又一朗 旬は一緒にやりたい俳優リストを用意していました。各事務所からお小言を受けながらも、旬から積極的に当たっていました。そりゃ、事務所を通さずに、俳優本人に直接出演のオファーが行くと、事務所側は立場がありません。そういうことが若干あったのは確かです(苦笑)。旬も出演依頼するつもりはなくても、現場で会った俳優仲間に「今度、こういう映画を考えているんだ」と話してしまうと、ついついみんな前のめりになります(笑)。その後、正式に事務所を通して話を進めたことで、結果的には旬が望んでいた配役ができたんじゃないですか。 ──ベテラン舞台俳優の吉田鋼太郎がヤクザのボス役。要になる配役に小栗監督のこだわりを感じさせます。 又一朗 吉田さんのキャスティングは、旬がいちばん最初に決めたんです。もちろん、吉田さんの俳優としての力量にはなんら疑いはないのです。舞台で見せる実力はボクもよく知っています。しかしプロデューサーの立場から言うと、やはり宣伝しやすい有名俳優を......と考えてしまうわけです。重要な役なので、テレビや映画でもっと顔の知られているポピュラリティのある俳優にしてはどうかと進言しました。でも、やる気も実力もあっても、なかなかいい役が回ってこない。それこそうちの事務所が設立して間もない頃、ちっぽけで政治力もなく20歳前後まで、旬はかなりの悔しさを味わっていますよ。旬のそういう溜め込んでいた気持ちは、今回の配役に出ていると言えるでしょう。完成した映画を観れば「こんないい役者がいるんだ」と観客は驚くはずです。ただし、吉田鋼太郎さんという俳優はおそらく有名になることなどあまり興味がない人に見えます。舞台俳優としての今の環境がとても気に入ってように見える。でもね、今回の『シュアリー・サムデイ』は吉田鋼太郎さんにして本当に良かったと思います。ストーリー上のネックをね、吉田さんは持ち前の演技力でぴょーんと飛び越えてくれていますよ。 ──小栗旬監督と俳優との信頼関係で作られた映画ということでしょうか。 又一朗 旬としては、これまで俳優である自分と監督との間に感じていた溝みたいなものを極力なくしたいという考えがあった。俳優たちの考えを受け入れて、俳優たちができるだけ自由にやれるような現場を目指していた。でも、そのことから問題が生じたんです。俳優の意見を聞いた旬が、撮影の予定を変更することがあって、前日に徹夜同然で準備をしていたスタッフたちから不満が噴出してしまった。旬は俳優たちが演じやすいようにアイデアを取り入れたことでの変更なんだけど、監督至上主義のスタッフにしてみれば「なんで俳優たちは監督の言う通りに動かないんだ」と。仲直りのために飲み会を開いたところ、飲み会の席がまっぷたつに割れてしまった(苦笑)。俳優の中には「これじゃあ、明日から現場に行けないよ」と言い出す者も出てきてね。 ──『クローズZEROII』(09)のときも鈴蘭高校と鳳仙高校のキャストの間でケンカ寸前だったそうですが、その二の舞ですか? 又一朗 あぁ、『クローズZEROII』のときもあったね(笑)。お互いにいい映画にしたいという同じ想いなのに、双方の間に相違が生じてしまったわけです。誰が悪いとかじゃない。真面目に一生懸命になれば、思いもよらぬ摩擦が起きる。それで今度は飲み会に不参加だったオレが、翌日にもう一度、監督を中心に小出恵介や勝地涼らメーンの俳優陣を集めて焼肉を食いに行きました。彼らの話を聞いた上で、「よし、オレには、いかに君らが真剣にこの映画をよくしたいと一生懸命か、よく分かった。もちろん悪い奴はどこにもいない。スタッフだって同じ気持ちだよ。それはオレが保証する。明日からはみんな初日に戻ったつもりで現場に出ろよ。スタッフにはオレから話をしておくから」と話した。「でも、君たち、普段は監督とここまで気楽に接することはないだろ? 元々、俳優仲間の君たちの監督に対する接し方が、かなり気遣いしていたとしても、全てのスタッフにどう映るかは考えろよ」とだけ言いました。その夜、製作部に電話を入れて、「俳優たちも一生懸命だ。初日に戻ったつもりで明日から頼むよ。小栗旬という俳優出身の監督としての特性もある。俳優たちがやりやすい現場を作ろうと監督も一生懸命になっていることを理解してやって、うまく付き合ってくれ」と話したんです。旬も映画監督としていろんな状況を経験できたことは、俳優を続けていく上でも大変なプラスになったでしょう。 (後編につづく/取材・文=長野辰次) ●『シュアリー・サムデイ』 プロデューサー/山本又一朗 監督/小栗旬 脚本/武藤将吾 音楽/菅野よう子 出演/小出恵介、勝地涼、綾野剛、鈴木亮平、ムロツヨシ、小西真奈美、妻夫木聡、遠藤憲一、岡村隆史、須賀貴匡、阿部力、笹野高史、モト冬樹、横田栄司、竹中直人、吉田鋼太郎、大竹しのぶ、原日出子、上戸彩、井上真央 配給/松竹 7月17日(土)より全国公開 <www.surely-someday.jp> ●やまもと・またいちろう 1947年鹿児島県出身。さいとう・たかを、小池一夫らに師事し、劇画原作の修行を積んだ後、映画・テレビ業界へ。映画プロデューサーとして、ジャック・ドゥミ監督を起用した実写版『ベルサイユのばら』(79)、長谷川和彦監督による日本映画史に残る金字塔的作品『太陽を盗んだ男』(79)、幽体離脱した中森明菜のロードムービー『愛・旅立ち』(85)、三島由紀夫の過激な生涯を緒形拳主演で映画化した『Mishima』(85)ほか数多くの話題作を製作。芸能プロダクション「トライストーン・エンタテイメント」の代表取締役でもあり、所属俳優・小栗旬を『あずみ』シリーズ(03、05)、『クローズZERO』シリーズ(07、09)でスター俳優へと育て上げた。
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【関連記事】 "小栗旬の後見人"山本又一朗が明かす『TAJOMARU』の過剰すぎる舞台裏!! 「音楽が一秒で降りて来る瞬間、それは幸福な体験」音楽家・菅野よう子の世界(前編) 「小栗旬の映画に出たい!」主演切望の上戸彩&長澤まさみが波乱を呼ぶ!?

"製作委員会"映画の悪しき構造欠陥を行動的評論家・江戸木純が一刀両断!

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人気連載"日本映画縛り首"の単行本化第2弾
『日本映画空振り大三振 くたばれ!
ROOKIES』(洋泉社)。映画関係者、
映画愛好家は必読だね。
 映画雑誌「映画秘宝」(洋泉社)の人気コーナー「バッド・ムービー・アミーゴスの日本映画縛り首」の3年間にわたる連載が今春で終わり、物寂しさを感じている映画マニアは少なくないだろう。それほどまでに、ガース、エド、クマちゃんの3人が毎月3本の厳選したダメダメ日本映画をメッタ斬りにする様は爽快感に満ちていた。今年6月に発売された『日本映画空振り大三振 くたばれ!ROOKIES』は、前作『バッド・ムービー・アミーゴスの日本映画最終戦争!〈邦画バブル死闘編〉2007-2008年版』に続いて、2009年に公開されたサイテー日本映画46本を俎上に上げ、単に作品を酷評するではなく、映画業界の問題点について言及したもの。連載分に加え、3人によるまとめ対談なども加筆されている。3人の処刑人を代表して、エドこと映画評論家の江戸木純氏にご登場願った。インド映画『ムトゥ 踊るマハラジャ』(95)、スウェーデン映画『ロッタちゃん』シリーズを日本でヒットさせたことで知られる配給・宣伝マンでもある江戸木氏に、日本映画界の内情について語ってもらおう。 ──3年間にわたって、サイテー日本映画をぶった斬ってきたわけですが、連載を終えた現在の心境は? 江戸木純(以下、エド) もう、精神はもちろん全身が疲弊しきっています。滝に打たれて過ぎておかしくなった状態ですね(苦笑)。毎月3本の作品を誌面で取り上げてきましたが、実際はそれよりもっと多くのダメ映画を観てきたわけです。ですから取り上げた作品は、極めつけのダメ映画ぞろいです。ガース(映画評論家・柳下毅一郎氏)は趣味と実益を兼ねていた部分もあるようだけど、ボクはできれば避けて通りたかった作品ばかりでしたね。人生、時間が限られているわけですから、観なくていい作品はできれば観たくなかった(笑)。連載中は基本的に映画館でチケット代を払って観ていたんですが、連載が終わった今では完全に拒絶反応が出て日本映画はほとんど観ていません。当然ですが、『踊る大捜査線THE MOVIE3ヤツらを解放せよ!』も観ていません。多分、一生見ない。 ──"少しでも日本映画が良くなれば"という志から始まった連載だったんですよね? エド もちろん、最初はそういう志がありました。思い切った批評をブチかますことで、業界に反応が起きれば......と。でも、途中からそれは無理だと気づき、荒んだ連載になってしまいました(苦笑)。監督の演出や俳優の演技のレベルではなく、日本映画の病巣はもっと根深かった。この3年間で日本映画はサイテーの状態に陥ったんじゃないですか。それは作っている人たちに映画的な才能がないからだけど、それを喜んで観る人たちがいるから、『ROOKIES 卒業』(09)みたいな作品が85億円以上を稼ぐわけです。観客のレベルが極端に下がってきて、それに合わせた作品が作られるようになってきていることは明らか。これは映画業界の問題というより、教育の問題。まっとうな映画を鑑賞する若い層がここ十数年間育っていないので、映画がビジネスとして成り立たなくなっている。学級崩壊どころじゃなくて、国家崩壊の危機です。 ■責任者の顔が見えない"製作委員会" ──連載が続いたこの3年間は、テレビ局主導の製作委員会方式で作られたシネコン映画が全盛を極めた時期にあたるかと思います。
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LAのフィルムマーケットを訪問中の"エド"こと
江戸木純氏。
エド もはや昔から映画と呼ばれてきたものと、テレビ局が作った『ROOKIES 卒業』や『20世紀少年』(08~09)は別物ですよ。本来の映画とは区物したほうがいい。『踊る大捜査線』シリーズ(98、03)は、完全なテレビ映画ですから、映画と呼ばなくていいと思います。我々映画ファンの人生に必要のないものでしょう。テレビ局の作る映画は、人を映画館にまで足を運ばせ入場料を取れば終わり。作品が面白いかどうかは、テレビ局には関係ないんです。そもそも許認可事業であるテレビ局が自分たちで作った商品を自局でばんばん宣伝していることから問題がある。これに関しては、国がちゃんと取り締まるべきですよ。 ──本作の帯にあるように、"映画はテレビ屋のオモチャじゃねーんだよ!"ということですね。 エド でも、これはテレビ局のせいというよりも、映画屋のだらしなさの表れです。映画を作っている人たちの企画力、戦略、才能のなさ、その全てが露呈している。それでテレビ局におんぶにだっこ状態になってしまった。それが一番の問題点です。テレビ局が作るテレビ映画のダメなところは、自局で放映することを前提に作られているということ。本来は、1,800円払って劇場でしか観ることのできないものを作るのが映画屋の誇りだったはずです。テレビ局を絡めずに作った『告白』が今年ヒットしたことは意外でしたが、製作委員会方式で作られる限りは、本来の意味での映画が作られることはかなり難しいでしょうね。日本で大ヒットした作品が海外でまともな賞を獲ることはほとんどありません。作り手の意志が製作委員会に勝利した『おくりびと』(08)のような例外も中にはあるけど、世界的なレベルで見ると、今の日本映画のレベルは信じられないくらい低いです。 ──海外にも"製作委員会方式"は存在するんでしょうか? エド ハリウッドでも、どの国でもプロデューサーがいろんな企業からお金を集めてくることでは同じなんですが、日本の製作委員会のダメな点は、作品のクリエイティブ・コントロールも、失敗した場合も、誰が責任者か分からないこと。海外の場合は成功しても失敗してもプロデューサーが背負いこむ。それに対して日本の製作委員会方式は、首謀者が誰か分からないようにした円形の"連判状"と同じなんです。失敗しても誰も責任を取らず、「じゃあ、次の企画に移りましょう」となる。すごく日本的なシステムですよね。こういうケースは海外ではないはず。結局、映画は作品にしても宣伝にしても、30人近く集まって会議をやっていては、意見はまとまりません。もし、まとまったとしても当たり障りのないつまらないものに落ち着く。映画はやっぱり独裁的に作られたものじゃないと面白くないですよ。製作委員会は作品がいいか悪いかではなく、どうすれば一円でも多く収益を上げるかしか考えない人たちの集まりです。もちろんビジネスですからそれが一概に悪ということではないのですが、娯楽にせよ芸術にせよ、いかに質の高いものを作るための話し合いというのは委員会では基本的にはないのです。 ──連載中に映画会社からクレームが来たことは? エド 直接的に苦情が来たことはないですね。他の雑誌の記事で編集長がある映画会社に呼び出しを喰らったことはありますけど。あとは、ワーナーから1年間くらい試写状が届かないということがあったくらいかな。『スシ王子! 銀幕版』(08)、『L change the WorLd』(08)、『ICHI』(08)などのワーナー作品が「第2回はくさい映画賞」を賑わした頃でした。ワーナー側によると試写状が届かなかったのは事務処理上のミスだということでしたけど(笑)。まぁ、日本映画は試写室ではほとんど観ないので構いませんけど。最近は、事前に原稿を見せることに同意しないと試写を見せない映画までありますよ。 ──日本には批評文化も存在しないと......。 エド 少なくとも評論の影響力がもの凄く弱まっているのは事実です。特に全国公開規模の作品に関してはまったく機能していないのが現実でしょう。新聞や雑誌は、シニア層しか読まなくなりましたしね。テレビでやっている情報番組は自局が映画を製作しているから、映画コーナーは「凄い! 面白い!」しか言えない。「日曜美術館」みたいな感じでNHKあたりが映画批評の番組をやれば、まだ可能性はあるかもしれません。 ■閉塞的な時代こそ、ブルース・リーが必要!
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7月に発売された『世界ブルース・
リー宣言 龍教聖典』(洋泉社)。
──江戸木さんはインド映画『ムトゥ』やスウェーデン映画『ロッタちゃん』シリーズを買い付け・配給・宣伝して渋谷シネマライズや恵比寿ガーデンシネマでロングランヒットさせたことが伝説のように語られていますが、今の日本の映画状況ではもう不可能でしょうか? エド 今の日本では無理でしょう。90年代から00年代前半までは、まだミニシアターの人気があり、若いOL層が足を運んでいた。また目利きが選んだ選りすぐりの秀作ぞろいだったんです。それがミニシアターブームということで各社が乱入し、レベルが下がっていった。全体の7割を占めていた若いOL層は今ではもっぱらエステにお金を使うようになり、ミニシアターから消えています。インディペンデント系の配給会社は成り立たない状態です。ボクが手掛けた『ムトゥ』だって、物珍しさが功を奏したビギナーズラックに近いものです。珍しいものでも観たいと思う余裕が観客側にあったんです。でも、「これからはインド映画がトレンドだ」と勘違いした人が多かった。『ムトゥ』の後に、180度タイプの異なるスウェーデンの児童映画『ロッタちゃん』を手掛けたのも、「みんなと同じことをやってないで、それぞれ違ったことをやろうよ」という意味合いを込めていたんですけど、残念ながらその意図は伝わらなかった(苦笑)。映画ビジネスは、そのギャンブル性の強さを認識していないと大けがをします。基本勝率1割程度と考え、9敗してもやりつづけられる規模の勝負をする余裕と、多少損してもいい映画を見せたいという志、そしてここ一番の勝機を見抜くギャンブル運がないと続けられないんじゃないでしょうか。 ──江戸木さんは配給利益で、ムトゥ御殿を建てたのでは......? エド いやいや、とんでもない。共同事業の母体となった会社が驚くほどいい加減なとことろで、『ムトゥ』と『ロッタちゃん』のヒットでボクが得た利益なんてほんの少しでした。わずかな利益もその後、調子に乗って中国との合作『王様の漢方』(02)、山中貞雄監督の名作時代劇をリメイクした『丹下左膳・百万両の壺』(04)の映画製作で全部消えました(苦笑)。そもそも配給はよほどヒットしないと儲からない仕組みなんです。劇場側と配給側の取り分は基本ほぼ50/50ですが、買付け費用はもちろん宣伝費もすべて配給側が負担することになっています。また、映画が外れた場合は通常のアベレージ分まで配給側が補填しなくちゃいけない場合もある。映画の本数が多いため、映画館が作品を選べる立場なので、どうしても映画館に有利な条件になっているんです。これだけ観客が少なくなっている現状では、中小の配給会社はほとんど続けていけないですよ。海外でおしゃれにパーティーを開いていたワイズポリシーが潰れ、ザナドゥの社長は消息不明のまま、叶井俊太郎のトルネードフィルムも倒産。数年前の邦画バブルの頃は年間800本以上の映画が劇場公開され、その約半分が邦画でしたが、これは異常過ぎたんです。今では現像所にお蔵入りした邦画のフィルムが何百本も眠っているそうですよ。映画のスタッフもちょっと前までみんな忙しそうだったのに、今では製作本数激減で仕事がなくなって町をさまよい歩いています。邦画バブル崩壊後の焼け野原状態ですよ。 ──そんな閉塞的な時代こそ、"ブルース・リー"のようなポジティブなバイタリティーとクリエイティブなエネルギーが必要だと江戸木さんは説いているわけですね。 エド 強引な展開ですねぇ(笑)。でも、確かにそうなんです。『燃えよドラゴン』(73)をはじめとするブルース・リー映画とボクは出会ったことで人生が大きく変わった。映画って上映中だけ楽しめばいいというものじゃなくて、人間の人生を大きく変えてしまうくらいのエネルギーがあるものなんです。そのエネルギーが、今の時代には不足している。ボクの場合はブルース・リー映画だったわけですが、誰にでもその人にとってのブルース・リー的な映画が存在すると思うんです。ブルース・リーの魅力はマーケティングなどで分析できるものではありません。世界中の誰が観ても面白いというブルース・リーの"開かれた魅力"、今までになかったエンタテイメント作品を生み出そうという"飽くなきチャレンジ精神"は忘れてはならないものです。 ──7月17日に発売されたばかりの著書『世界ブルース・リー宣言』(洋泉社)に収録されているブルース・リー映画に対する江戸木さんの評論も過剰なまでのエネルギーに溢れています。 エド 映画評論は評論家自身が前面に出ているものが多いけれど、やはり映画評論は読んだ人がその映画を「観たい!」という熱い気持ちにさせるべきものだと思っています。ボク自身も、"縛り首"の連載を終え、『世界ブルース・リー宣言』の執筆にここ数か月集中していたんですが、安全な場所からあーだこーだ発言しても事態は変わらないということを痛感したので、行動的批評活動に再び取り組むつもりです。やっぱり、何か事を起こすには自分でもリスクを背負わなくちゃいけない。昨年、ロサンゼルスの映画マーケットで、"7,000円で作った感涙のゾンビ映画"と言われる『コリン』というイギリス映画を買い付けました。無名の新人監督が1台のデジカメで撮った作品ですが、低予算で撮ったと思えないほどクオリティーが高い。日本のビデオメーカー数社がボクよりも高値で交渉していたようですけど、「日本でも絶対に劇場公開すべき!」というボクの提案に監督が賛同してくれたんです。映画界をたったひとりで変えていったブルース・リーの熱い志を現代に甦らせるためにも、面白い形で日本での宣伝・公開を考えているところです。『世界ブルース・リー宣言』を書き上げたばかりでボロボロ状態ですが、エネルギーを充填次第やりたいですね。面白い映画を宣伝・配給するのも、けっこーエネルギーが必要なんですよ(笑)。 (取材・文=長野辰次) ●えどき・じゅん 1962年東京都生まれ。東北新社、ギャガで洋画の買い付けや宣伝業務を行ない、『死霊の盆踊り』(65)、『ベルリン忠臣蔵』(85)などのカルト作品を発掘。独立後は映画評論家としての執筆活動の傍ら、"行動的批評"として『ムトゥ 踊るマハラジャ』(95)、『ロッタちゃんと赤いじてんしゃ』(92)、『ロッタちゃんはじめてのおつかい』(93)、『処刑人』(01)など既存の配給会社が扱わない知られざる映画を日本に紹介している。『カブキマン』(01)、『王様の漢方』(02)、『丹下左膳・百万両の壺』(04)などの映画製作も経験済み。主な著書に『地獄のシネバトル』(洋泉社)、共著に『映画突破伝』(洋泉社)、『関根勤×江戸木純シネマ十番勝負』(富士見書房)など。『バッド・ムービー・アミーゴスの日本映画最終戦争!〈邦画バブル死闘編〉2007-2008年版』『日本映画空振り大三振 くたばれ!ROOKIES』(共に洋泉社)に続いて、ブルース・リー映画の評論集『世界ブルース・リー宣言』(洋泉社)が発売されたばかり。
日本映画空振り大三振 ~くたばれ!ROOKIES 『ROOKIES』を好きと言う人とは友達になれない。 amazon_associate_logo.jpg
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「考えてると、寝ちゃうんです……」【窪田涼子】東経135度のモラトリアム

IMG_0052.jpg  元祖フリーアイドルで声優のルンルンこと宍戸留美さんが、自らカメラマンとして可愛い声優さんたちの写真を撮り、さらにアイドルライターの私(小明)がインタビューする不思議な連載の4回目です! 今回は大阪を拠点に活動されている声優・ナレーターの窪田涼子さんにお話を伺いました! 小明 はじめまして! 窪田さんとお会いするにあたって、人となりをいろいろ調べようと思ったんですけど、ブログもTwitterもやってないんですよね。 窪田 そうなんです。ブログとか途中でめんどくさくなっちゃいそうだし、最近こっそりTwitterは始めたんですけど、それもやり方が分からなくて......。 小明 いつでも教えますよ! とり急ぎ動画サイトに上がっていた動画を観てみたんですけど、なぜかメイド服で『五体不満足』(講談社)や、映画『初恋のきた道』を「うんこうんこ」連発しながら朗読していたりして、謎が深まるばかりでした。 窪田 本当に、自分でも自分を見失いがちで......。 小明 ......お仕事はナレーターやお芝居や本の朗読をやっていらっしゃんですよね。 窪田 はい、仕事では固めの真面目なやつもやっているんですけど、こういうこともしてて(ゴスロリとメイドのコスプレをしたトレカを出しつつ)。 小明 すごい! アイドルみたい! こういうのが好きなんですか? 窪田 好きです。ここ1~2年くらいでなんか、歯止めがきかなくなってしまって(笑)。 小明 何かが吹っ切れたんですかね。 窪田 そうだと思います。着てもいいかな? 買っちゃおうかな? いいよね!! みたいな。 小明 なんて前向きな自問自答! いいと思います! お家でも着てるんですか? 窪田 いえ、寝てます。家では寝てます。わりと引きこもりで。 小明 わー、その生活環境は大丈夫なんでしょうか。 窪田 環境悪いなぁー、と思いながら寝てます。 小明 えっと、趣味とかはどんな感じなんですか? 窪田 本を読むか、寝るか......。 小明 他に娯楽みたいなものは......? 友達と遊んだりとか。 窪田 娯楽......本を読むか、寝るか......。友達も、あんまりいなくて......。 小明 おお、今までのこの連載の中で、やっとこちら側の人が! 窪田 そうなんですよ、この連載を見てたらみんなパワフルな感じじゃないですか。こんな人たちの後に私でいいのだろうか? って。幸せオーラが出てましたもん。読んでて。 小明 片岡あづさちゃんとチャン・リーメイさん、2人の共通点に、「これがやりたい」って言うと、周りが実現させてくれるっていうのがありました。でも、言えないですよね。 窪田 言えない。上手く根回しできないかな、とか腹黒いことは考えるけども。そこで「○○がしたーい」って言えたら楽になるんだろうなって思うけど、その一歩が大きいんですよ。 小明 下手に根回ししようとすると、結局自分で自分の首絞めたりして......。 窪田 そう、どんどん墓穴を掘っちゃう。やんなきゃって思うんですけど、空回りしたりとか。 小明 あるある。ありすぎて泣けます。そんな窪田さんがこういう業界に入られたのはどういったなりゆきで? 窪田 大学の頃に先輩が8mmで撮った卒業作品に出たんです。それで、芝居をやっても下手だし、アフレコやっても下手だし、なぜか「こりゃいかん、上手くならねば!」と思ってナレーターの養成所に入ってしまって。今から考えると何でうまくならなきゃって思ったのかがよく分からないんですけども。 小明 不思議な動機ですね。うまく出来なかったのを克服しようっていう......? 窪田 はい、義務感が先立って。養成所に入って2年くらいの時、「なんか、こんなお仕事が出来たらいいな」と思っていたら、紆余曲折あって今の事務所に入れてもらったんです。 小明 ナレーションをやられている方だから、てっきり学生時代に放送部で......とかだと思ってました。 窪田 そう、普通そうなんですよね。放送研究会にいたりとか、全然ないんです。 IMG_0307.jpg 小明 ちなみに学生時代は......? 窪田 本読んで寝てました。 小明 ですよね! 窪田さんは関西を拠点に活動されてて、今日もわざわざこのために来てくださったわけですが、東京に住んでみたりはしないんでしょうか。 窪田 タイミングを逃しちゃって、ぼんやりしてたら、いつの間にか現在に。上京しようと思っても、もう、どこからどうやって、何を取っ掛かりにしたらいいか分からなくて......。 小明 何か、関西に絶対いたい理由があるとか? 窪田 別にないです。時々どうやったら東京に行けるのか考えるんですけど、疲れて眠っちゃう。とりあえず何かしなくてはーと思ってるうちに、疲れて寝ちゃう。 小明 あ、その気持ちはとても分かる。このままじゃいけない! とか思いながら眠っちゃって、目覚めたらまた同じ一日が始まって......。 窪田 そういうのに「わあああああ!」って思うときがあるんですけど、ある瞬間ふっと、「もういっか」と思って、あまり物事がすすまない。 小明 葛藤と諦め! 分かりすぎる負のループ! 窪田 そうやって欲望が溜まっているのか、時々やりすぎちゃう。ただの引きこもりなのに、何かに出るときはコスプレして頑張っちゃったり......ああ、もしかしたら、コスプレでちょっと武装しているのかも。気合入れて形から入ったら強くなれるかもって。 小明 はい、それ、分かります。 窪田 社交的になるにしても、どう攻めたら良いのか分からないから、とりあえずコスプレしたりすれば「なんか変な人がいる!」って話しかけてもらえるかなぁって。 小明 そう思うと、かわいいコスプレ写真もなんだか切なく見えてきた......。例えば、そういう時にうまく人と話せたとしても、その人とうっかり素の状態で会っちゃうことってあるじゃないですか。どのテンションで接するべきか、迷いませんか? 窪田 迷います! 目が泳ぎます! 挙動不審になります! どうしたらいいんですか? 小明 どうしよう、すごいシンパシーを感じるがゆえに、どうしたら良いか分からない......。ちなみに恋人はいますか? 窪田 いません(力強く)。ずーっと一人暮らしでふらふらしてます。 小明 じゃあ、ほんとに来ようと思えばいつでも身一つで東京に来られますね。今、おいくつでしたっけ? 窪田 ○○歳です。 小明 え......!? お、おおお、お若いです。 窪田 芝居をやったときも小学生男子の役をやったけど、違和感なかったと言われて。 小明 性別の壁すら......? そういえば、舞台に出られるときはお名前が『窪田涼子』じゃなくて『水柊』になるんですね。事務所さんとの兼ね合いでしょうか。 窪田 いえいえ、昔から使っていたので、劇団の世界観にも合うし、これを使おう、と。 小明 あ、役者名が昔から『水柊』さんだったんですね。 窪田 えっと、忍者名が水柊だったんです。 小明 忍者? ん? 窪田 ええと、自分でもまとまりのない生き方が嫌になってきたな......。あの、大学の時、大阪芸術大学だったんですけど、そこに忍術研究会っていうのがあって......。 小明 何!? それ!!  窪田 自己流でワイワイと忍者服を着たりだとか、チャンバラショーをやったりするサークルで、そこはやっぱり名前をつけなくていけなくて『水柊』と。だから忍者名......。 小明 くのいちだ! 赤い忍者服とかも着てました? 窪田 赤いのは初代の方が。今、忍者でメシを食っている方なんですけど。 小明 なんだか本格的な話になってきたぞ。 窪田 忍者研究会をつくった創始者の方が、伊賀上野とか世界で忍者ショーをやって生計をたてているんですよ。そこの人が、つてで忍術研究会の人に「アルバイトしない?」と声をかけて、赤いのとか紫のを着て城の前でポーズとったりしてました。 小明 かっこいい! 今度くのいちのコスプレも是非! 窪田 コスプレか、最近してないんですよね。 小明 萌え系のボイスと写真集つくって、コミケで売って儲けよう! 窪田 最近コミケも行ってなくて。昔は行ってたんですけど、同人誌も書いてて。 w531rmf2.jpg 小明 えー! 何系を書いてたんですか? 窪田 ガチホモなやつを......。 小明 まさかのBL! 腐女子だったんですね! 窪田 いやぁ、観たことないアニメで書いてくださいって言われて、資料をくださいって言ったら、ガチホモなのが送られてきて、「これですか? 絡み合ってるってこれで良いんですか?」って。中学から大学くらいまで書いてました。 小明 作家歴長い! っていうか美少女中学生BL作家とか反則だ、萌えすぎる! それはどういう流れで書き始めたんですか? 窪田 ずっと何かを書きたくて、中学生の頃に「何か書きたいので書かせてくれるところはありますか?」って新聞に募集を載せたら、「こんなのやってるので書いてください」って、『聖闘士星矢』の同人誌が送られて来たんです。 小明 『聖闘士星矢』! 私、瞬くんとか好きでしたよー! 窪田 瞬は近親相姦とかしてたな......。 小明 ひー! でも読みたい! 今ないんですか? 窪田 ないですっ! いまは奥底にしまっています......。 小明 もう書かないんですか? 窪田 頭の中で考えて楽しむ、とかはあるんですけど......。 小明 そういうの考えたり、妄想の世界に入ったりするの、楽しいですよね......。 窪田 楽しい! 好き! 小明 そういう時、急に現実に戻ったりしません? 楽しい妄想からふと現実に帰ると...... 窪田 今、何も持っていない自分。結婚もしていないし、貯金も20万......。 小明 おお、具体的な数字。 窪田 私も不安になってライフプランニングみたいなところに相談に行ったんですけど、「とりあえず今あるものと無いもの書き出して」って言われて、貯金通帳見たら20万円しかなくて、「まずお金を増やしましょうね」って。「いつでも出せるお金が、あなたの年だと100万円くらい必要です」って言われて......。 小明 100万! いつでも出ないよ、そんな額! 窪田 仕事をリタイアするまでのお金と、リタイアしてからかかるお金っていうのを計算させられて、今の年からリタイアするまでに何千万と必要らしくって、それを今から貯めなきゃいけない。どうしたらいいのかって。手元には何もないし芸もないし......。 小明 ありますよ! 声とか小説とかコスプレとか! お金持ちと結婚するとか! 窪田 そうですか? 周りにいるのはみんな類友で、全然お金持ちと縁がないから......そうか、その手があったか。 小明 でも、窪田さんの場合、風貌と受け答えが優しげだからちょっとイタイのが寄ってくるような気もする。 窪田 イタイのはちょっと......。 小明 「この娘なら僕を否定しないで分かってくれるかも......」みたいな。 窪田 分からない! 絶対分からない! 分かれないっ! 小明 すごい拒絶だ、何か嫌な目に遭ったんですが? 窪田 遭いそうなときは何回か。夜道歩いてたらナンパされたり、コンビニでお酒選んでたら飲みませんかって言われたりとか。 小明 それって普通にナンパじゃ......? でも、外見的に大人しそうだから、ナメられそうですよね。元忍者だと言うのに。 窪田 まさか、そんな特技があるとは誰も思うまい。ふふふ。 小明 忍者なのに、ライフプランニングを。 窪田 ......考えると愕然としますね。 小明 将来的なライフプランニングは、どうなっていたいですか? 窪田 うん。ずっと好きなことができたらいいな! 小明 お! いいですね! 具体的には何を? 窪田 ナレーションしながら、芝居しながら、コスプレしながら......。 小明 うん、今と変わらないね! ありがとうございました! (撮影=宍戸留美/取材・構成=小明) IMG_0287.jpg ●くぼた・りょうこ 1月3日生まれ 富山県出身 TV番組、TVCM、ラジオCM、VPナレーションの他に キャラクターボイス、イベントMC、朗読ライブ等、声に関する活動の幅は広い。 ・舞台 少年王者舘公演『ガラパゴス』の詳細・チケット予約は http://www.oujakan.jp/ ・㈲ビー・グラッド所属 http://www.beglad.jp ●ししど・るみ 1973年福岡生まれ。フランス語歌詞タイトル(フェール ラムール)「faire l' amour」を発表後、昨年、パリでのライブツアーも成功させる。同曲が今年秋公開の映画『死刑台のエレベーター』挿入歌に決定!!先日「宍戸留美デビュー20周年記念スペシャルライブを開催!」 Ustream にて生中継~アクセス数世界1位にランクイン! ライブ情報 8月23日(月)21時~下北沢風知空知。 電話予約03-5433-2191(17時~26時) USBメモリーをお持ちの方、曲をプレゼント!! 9月にはドイツのイベントにご招待されて行きます。 最新情報はブログをご覧ください。 http://ameblo.jp/sundaliru/ ●あかり 1985年、栃木県生まれ。02年、史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。 ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/> サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中
アイドル墜落日記 今回は小明さん、いたく共感したようです。 amazon_associate_logo.jpg
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岩井志麻子が主人公のモデル!? 人情味溢れる泣ける怪談『富士子』

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『幽』怪談文学賞授賞式の様子。
 以前、このサイトでもご紹介した(参照記事)、『幽』怪談文学賞授賞式。前回の神狛しずさん(参照記事)に続き、谷一生さんにもインタビューしてみました。神狛さんは京都女のはんなりとした怖さの怪談でしたが、谷さんは同じ新人賞出身なのにまるで違う世界観の作品となっています。二冊を読み比べてみると、その違いがとっても顕著で面白かったです。最近いろんなタイプの怪談本が出ているので、夏の暑い一時を、読書で紛らわせてみてはいかがでしょうか? 私は現在引越したばかりで、クーラーのない灼熱地獄のような部屋でポタポタ汗を垂らしながらこの原稿を書いています。こんなに汗だくになってんのに、体重が減るどころか増えてるのは怪奇現象なのだろうか。そんなことを考えつつ、毎日昼夜を問わず怪談本を読み続けています。怪談で涼を得る......今流行の、エコですよ、ロハスですよ、地球に優しいですよってことで、受賞者の谷一生さんとのインタビュー開始です。 ――谷さんの怪談に出てくるキャラクターは、どれもとても個性的ですね。審査員を魅了した「富士子」というキャラは、ホラー作家の岩井志麻子さんがモデルということですが、本当でしょうか? 谷一生(以下、谷) そうです。ただし、私はその岩井さんを直接存じ上げませんので、あくまで作品世界から受ける印象という意味でモデルにさせて頂きました。単純にイヤなキャラとしての主人公を設定したわけではありません。不機嫌で武装しながらも、その内面は硬質なダイヤモンドのような純真な心を持った女性を書きたかった。勝手な思い込みですが、モデルにさせて頂いた岩井志麻子さんもそのような方ではないかと思っております。 ――実在のホラー作家から怪談の主人公が誕生したと考えると、すごいですね。谷さんの作品には、中間管理職の悲哀そのものみたいなキャラクターもいれば、物すごく切ない恋愛を語る女性が出てきたりしますね。登場人物を書き分ける時に意識していることってありますか?  それはないですね。登場人物に感情移入する方ですので。作中人物になりきって書いていますから、特に書き分けを意識することはありません。ただし、なりきれないキャラもいます。ずばり若い男性です。自分の若い頃を思い出してなりきろうとしても、昭和の若者にしかなりきれず、今の時代に合いません。昭和40~50年代を舞台にするなら別でしょうが。ですから、どうしても中高年が主人公の作品が多くなってしまいます。これはわたしの今の課題でもあるのですが、作中人物になりきるという手法以外で、キャラを書いていくということも、学ぶ必要があると感じています。 ――個人的に収録作の中で、幻の魚を食べるために四苦八苦する先生の出てくる「あまびえ」のお話が好きなのですが、辛い接待の経験はありますか?  一度、仙台、名古屋、広島、伊豆、福岡、長崎と六日連続で移動する出張がありました。「せっかくのお越しですから地元の美味しいものを」と連れて行って下さるお店がすべて魚料理なんです。たくさんの例外はあるでしょうが、やっぱり日本の場合、特にそれが海辺の町だと"地元の美味しいもの"というのは、その地元で獲れた魚ということになるんでしょうね。特に改まった席では、そうではないでしょうか。強行軍の移動と毎日刺身、さすがにこれは堪えました。最後の長崎では琴海湾の近くで泊まってここも美味しい魚の宝庫なのですが、「今夜のお食事は」と先方の担当者に訊かれ、「オムライスなんかいいですね」と答えてしまいました。すぐに「冗談ですよ」と付け加えましたが。 ――あの美味しそうな魚が調理法によって拷問のように感じる......情景描写がすごかったですよ。さて、谷さんは実話怪談も書いていらっしゃいますが、創作怪談と実話怪談を書くうえでそれぞれ気をつけていることはありますか?  創作怪談も発想のもとになっているのは、ほとんどが実話なんです。ですから、それほど気をつけているということはなかったのですが、逆に実話怪談を書くとき、物語の流れと言いますか、自分で読み直しても実話っぽくないんですよね。創作っぽい。今後はそのあたりを注意しなくては思っています。でも正直申し上げて、創作より実話のほうが"書くテクニック"という点では難しいですね。 ――実話怪談の方が書くのが難しいっていう怪談作家さんは多いですよね。やはり怖さを伝える面で、ごまかしが出来ないからでしょうか。ところで谷さんは、収録作の中で特に思い入れ深い作品はありますか?  「恋骸」です。この歳(54歳)だからこそ、切ない恋愛話をぜひ書きたかった、しかも女性のひとり語りで。ついでに申しあげますと、太宰治風に。実はもう一作挑戦したのですが、これはラストまで届きませんでした。閻魔さまの前で、道ならぬ恋を裁かれる女性が切々と想いを語る物語です。またいつか挑戦したいと思います。 ――富士子は非常に魅力的なキャラですが、今後、富士子の話を書かれる予定はありますか?  書きたいですね。「富士子」に続く「浜沈丁」は繋ぎの一作なんです。敵役の外資系ファンド会社がリゾートを開発中、知らずに石敢當(いしがんとう)を壊してしまう。魔物(マジムン)を払う石敢當を壊してしまうわけですから、もうどんどん邪気が流れ込んでくる。それを富士子と兼子が撃退する。「浜沈丁」では敵役だった外資系のふたりも富士子の味方になります。サイキックバトル4人衆ですね。ここで大切なことは邪気と言っても悪者ではない。何らかの理由があって邪なものになっているわけですから、邪を払うということはその対象を救済すると考えたいのです。やみくもに相手を粉砕するのではなく、最後は泣けるバトルにしたい。で、この4人衆のバトルをオムニバス形式であと四作書いて、いよいよ最後は長編になります。4人衆の力を見込んだ米国の本部から邪気払いの依頼が舞い込むんです。舞台は一転沖縄からニューオリンズです。アメリカで私が二番目に好きな場所なのですが、あの土地を初めて訪れた時、ここには絶対何かいると感じました。やりたい放題の続編をぜひ書いてみたいです。 (取材・文=田辺青蛙) ●谷一生(たに・かずお) 1956年、香川県生まれ。関西大学文学部卒業。「井戸のなか」で第1回『幽』怪談実話コンテスト佳作。「住処(「富士子」に改題)」で第4回『幽』怪談文学賞短編部門大賞受賞。 tanabe_prof.jpgたなべ・せいあ 「小説すばる」(集英社)「幽」(メディアファクトリー)、WEBマガジン『ポプラビーチ』などで妖怪や怪談に関する記事を担当。2008年、『生き屏風』(角川書店 )で第15回日本ホラー小説大賞を受賞。綾波レイのコスプレで授賞式に挑む。著書の『生き屏風』、共著に『てのひら怪談』(ポプラ社)シリーズ。2冊目の書き下ろしホラー小説、『魂追い』(角川書店)も好評発売中。
富士子 島の怪談 『幽』怪談文学賞短編部門大賞受賞作。器量も性格も悪い中年女・富士子は、旅行で訪れた沖縄で衝動的に民宿を購入。忙しく毎日を送るうち、彼女は邪悪な何かとつながっていく......。審査員が絶賛したキャラクター「富士子」をはじめ、その民宿を舞台にバトルが繰り広げられた「浜沈丁」、ジェントル・ゴースト・ストーリである「友造の里帰り」、人魚伝説をモチーフに描かれた幻の魚を食す「あまびえ」、深い人間愛を描き、涙なしでは読めない「雪の虹」「恋骸」の全6作品。 amazon_associate_logo.jpg
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何故いまTシャツ? 伊藤ガビンが考えるメディアの未来とは

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「人生はヒマつぶし。くだらないことをずっとしていたい」
と語る伊藤ガビン氏。
 WWWのハイパーテキストが誕生して、早20年。誰もが片手に通信機器を持ち、誰かしらとつながっている。あらゆるメディアが電子化される時代。書籍や雑誌は薄くて小さな端末の中に押し込まれ、フリック&タップで見るのが常識になるのも、もはや時間の問題なのかもしれない。そんな中、メディアの業界でゆるりゆるりと独自のポジションを築き上げている人物がいる。編集者・アーティストの伊藤ガビン氏だ。    先日、伊藤は、編集者の古屋蔵人との共同企画でオンデマンドのTシャツショップ「TEE PARTY」を立ち上げ注目を集めている。編集者の古屋は、雑誌などへの執筆と並行してBEAMS TやTOKYO CULTUART BEAMSのディレクターを務める人物。TEE PARTYのページでは、クリエイターごとに「レーベル」と呼ばれるお店の看板を出し、レーベルごとに好きな数だけ自分たちのデザインしたTシャツをページ(売場)に並べることができる。アクセスしたユーザは、あまたあるTシャツの中から選んでもいいし、レーベルに直接アクセスしてクリエイターの作品を買うこともできる。値段は一律で3500円。現在、レーベル数は100あまり、参加アーティストはゆうに100人を超え、Tシャツの種類は星の数(は言い過ぎかも)の巨大Tシャツサイトになり現在も日々成長中だ。ちなみにクリエイターのセレクトは、基本的に伊藤と古屋が行う。  今回は、伊藤ガビン氏に、TEE PARTYのリリースに合わせて、何故お店を始めたのか、現在のウェブの状況をどう考えているかなどをうかがった。 ──まずは、TEE PARTY設立の経緯から教えてください。 伊藤ガビン(以下、伊藤) よくある話なんですが、Tシャツサイトのリニューアルの話があって、それで話を進めていたら、こうなっちゃったっていう(笑)。依頼されてやる仕事の場合は、まず最初に先方からの要望ってのがあるでしょ。それに対してどうやって答えるか問題解決の方法を考えていくと、大抵頼まれることと違う答えが返ってきちゃう。「BCCKS」もそうだし、TEE PARTYも同じ感じですね。  詳しく話すと、まずはTシャツの通販サイト「黒松」っていうのがあって。そのサイトは、Tシャツの説明文がやたらと長いっていうのを特長にしていたんですよ。それが何なのかというと「雑誌」なんですよね。雑誌を作る時って、課金とか広告のモデルとか考えなくちゃいけないでしょう。僕はそういうのは極力考えたくない(笑)。でも、僕はお店屋さんの子どもなので、通販の仕組みは分かりやすかったんです。そのタイミングで「daily vitamins」の話がきて。そっちにウェブでやりたいコンテンツを入れちゃったんですよね(笑)。今度はひょんなことで、今みたいな仕組みのTシャツ屋の話がきたという。きたというか、結局自分でやることになっちゃったんだけど。 gabin03.jpg ──デザイナーにプラットフォームを提供する新しい試みですが、今サイトを見るかぎり、すべてのクリエイターが同列で語られているようです。一定期間で、クリエイターをシャッフルしたり、リコメンドを表示したりはしないんですか? 伊藤 例えば、音楽が電子的に配信されるようになった時に、廃盤がなくなりますよって言われた。電子書籍もそうですよね。そういう意味でいうと、絶版がない、売り続けるのは技術的には可能。まだやり始めて1カ月も経っていない状態なので、とりあえず数を増やしているけど、今後のことはいろいろ考えている。お客さんだって、トップページから入って、そんなに深くは掘ってくれないじゃないですか。各レーベルが一つのお店として認識されるようになって欲しい。ゆくゆくは僕もいなくなって、TEE PARTYというブランドもなくなって、各店が出てくるようになればいいなと思う。 ──いまトップページは縦に流れる感じになっていますね。一覧が欲しいな、と最初見たとき思ってしまいました(笑)。 伊藤 そうなんす。まあ思惑としては、スクロールしながら下まで見て欲しいから、ああいうデザインにしていて。それは自分のウェブへの接し方にも通じてるんですが、今はウェブってtwitterとtumblrとそこからのリンク先しか見てないんですよ。そこしかリアルじゃない。tumblrに貼ってあるのがたまたま全部Tシャツ、というようなイメージなんです。コメント欄がないのも同様で、いいじゃんtwitterでつぶやけばっていう。でも、走り出してみると一覧で見たいという人もいっぱいいるので、やっぱり作るかなあとも(笑)。 ──コメント欄を見るというよりは、ざっくりしたカテゴリと見出しが欲しい気がします。そうするとそこに編集的な視点が必要になるような。 gabin02.jpg 伊藤 本当はAPIを公開して、それをユーザーが勝手に編集していけるようにしていきたい。でも、BCCKSとかのいろいろな経験からすると、CGM(Consumer Graduated Media)の力を信じたいと思いつつも、コンテンツっていうのはやっぱり8、9割方僕たちがかかわっているものだったりするわけです。一応僕は編集者と名乗っているから、編集的な部分をやりたいしそういう編集のあるサイトが好きなんですよね。それでいうと、TEE PARTYが誰でも参加できるかというと、いまのところは参加できない。将来的にどうするかは分からないけど、CGMにした時のコストや労力と自分たちのやりたいことを天秤にかけた時に、やっぱり自分たちが好きなネタを編集して出した方がいいんじゃないかなと思ってます。 ──では、これからTEE PARTYで編集コンテンツが追加される日も遠くない? 伊藤:予定しています。(ウェブ上には)書いてはいないけど(笑)。とにかく説明したいんですよ、Tシャツを1枚1枚。だってCD屋に言ってもPOPを読んでるので(笑)。ジャケ買いなんかじゃないですよ。POPを書きたいんだけど、原稿が遅筆ゆえ......という人間性なので。 ──ガビンさんの目線で書くということですよね? 伊藤 インタビュー形式になるかな。で、もうひとつ、これも近日中に始まるんだけど、daily vitaminsでTシャツ1点1点を勝手な視点で解説する企画をやろうと思っていて。例えば「タナカカツキのサ道」っていうサウナの連載があるんだけど、それは最後まで読むと最後のひとコマがTシャツになってるんです。最近ですけど、寺田克也が描いた焼き鳥のリアルなレバーの絵とかもTシャツになってる。全然売れないですけどね。(笑) まとめると、ひとつは雑誌の中でいうと雑誌の後ろの1色ページを読んで育ったので、そういう記事はどこへ行けば読めるのか、自前で書く場所を作ろうと。そのときに、広告には頼っていられない、だけどなんとかしなければという時にTEE PARTYのような仕組みになったんです。 ──パッケージとして電子書籍的なものを売っていこうとか、そういう企画を考えていこうとかはありますか?
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現在開催中の3331「グランドオープン記念展
では、オリジナルの"スポーツ"を提案
する展示を行っている(~25日)。
伊藤 それはあります(笑)。daily vitaminsでの連載は連載エンジンとして考えているので。いまの媒体を見ていて、雑誌の連載みたいなものはどこにあるのかというと、真っ先に思い浮かぶのがブログですよね。でも、自分がそういう風に続けて本1冊分書けと言われても、書けないタイプなので......。ブログっていうのは、書きたい人の文章しかないでしょう。編集者が尻を叩いたり、締め切りがやってきて初めて書けるタイプの人っているじゃないですか。そういう、書けない人の方が好きなんでしょうね(笑)。 ──サイトがオープンして1カ月経ちましたが、どうですか? 伊藤藤 予想したくらいな感じではあります。「自分の店」という感覚を持ってやっている人のサイトが売れてますね。面白い面白くないというのはあんまり関係ないかも。そこにも単なるアーティスト性というよりも、編集的というか。この時代のこのタイミングでの編集的センス、そういうのを持っている人が売れているような気がする。具体的に言うと、坂本渉太くんっていう、彼なんかはセンスありますよ。彼は狂ってるよね~(笑)。  んー、まだTEE PARTYの核心に触れてない感じはあるね。でも、久しぶりに編集っぽいことをしている気分ではある。基本的に僕が何をしてきたかっていうと、バランスをとってるだけなんですよ。何故、この時期にオンデマンドTシャツやってるのかというと、電子書籍とかCGMのことを考えてたらこんな形になっちゃったという。  課金の話でいうと、最初のTシャツサイトをやっていた頃カツキさんと話をしていていて、ちょうどmixi全盛だった時に、1日中mixiやってるのに、なぜ人びとは300円の課金は払わないのかという。でも、そういうヤツが3500円払ってTシャツを買うんだろうねって。着れるだけだぞって(笑)。絵に関してはトンチで解決。で、僕は本に愛着とか感じるタイプじゃないので、ボディの質感とか素材はそんなにこだわらない。でも、みんな毎年Tシャツ買うよなとか、そういうところで商売している感じ(笑)。  でもなんか、まあ、雑誌の記事を作ってるっていう気分ではありますけどね。すべて暇つぶしですからね。......こじつけたような気がする。(笑) (取材・文=上條桂子) ●いとう・がびん  1963年生まれ。パソコンホビー誌「ログイン」(アスキー)の編集を経て、90年にボストーク株式会社設立。書籍の編集・執筆のほか、ゲーム開発、美術展のプロデュースなど、コンテンツ開発全般を手掛ける。07年にWEB上で本が作れるサイト「BCCKS」の立ち上げに参加。08年に井須多恵子とデザインユニット「NNNNY」を結成。現在、女子美術大学短期大学部造形学科デザインコース教授、東京芸術大学先端芸術学部非常勤講師も務める。現在、東京・千代田区の3331 Arts Chiyodaにて、「グランドオープン記念展」に参加中。
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