Kダブシャインさんの至言「宇多丸は、Kダブをシャインさせない」(前編)

akarildub.jpg  モテない、金ない、華もない......負け組アイドル小明が、各界の大人なゲストに、ぶしつけなお悩みを聞いていただく好評連載。第21回のゲストは、「渋谷のドン」こと、ラッパーのKダブシャインさんです! [今回のお悩み] 「亡き父のこと、思い出してしまい......」 ──ご無沙汰してます! 『それでも生きる子どもたちへ』という映画を宣伝するネット番組でご一緒して以来なので、3年半ぶりになるんでしょうか? K そんなに経つんだ! あの番組、「面白かった」とか評判よくない? ──嘘だー! Kダブさんは面白かったですけど、ネットにアップされているのを見返したら私が駄目すぎて辛かったですよ......。Kダブさんは、宇多丸さんとの『第三会議室』が面白いって定評があるから、ネットの動画でも「この女じゃダメだ、宇多丸を呼べ!」ってコメントが連打されてたし......。 K でも、「小明ちゃんとコッちゃんのコンビいいよね~」みたいな書き込み見たよ、Twitterで。宇多丸はね、俺に冷たいから。 ――前に会った時も言ってましたね、「宇多丸は俺を光らせない」って。 K そう。輝かせてくれない。Kダブ、シャインさせない。 ──(流して)KダブさんはTwitterで毎日大変な数をリツイートしてますよね。TLで情報発信してTwitterをコッタTVにするっていう画期的な使い方を......と言おうとしたら、今日はまだ一個も書いてない! K はいはい、もうそろそろ飽きてきました。最近、絡むの面倒くさいから。 ――人数が多いと、本当にイタイ人とかも来ませんか? K イタイし、ムカつく奴もいるし、まぁ、もうプロレス? ──ガチも仕掛けまくってますねー。あと、2ちゃんねるの書き込みをリツイートしたり、かなり型破りな遊び方もしてましたけど。 K 名づけて「ネットテレポーテーション」。 ――なんて自由な! K それがTwitterの面白い遊び方かなって思ってたんだけど、みんなに「違うよ!」って言われて。 ──うん、たぶん違いますね......。えっと、今日はKダブさんにお会いするから、このアルバム(『生きる』『理由』『マニフェスト』)を持ってきたんですけど、そしたら、いつもちょっと怖い渋谷を強気に歩けましたよ。なんか、こう、渋谷のドンに守られているような気がして......。 K ああ、三枚のお札みたいな(笑)。 ──そんな感じ(笑)。それで、しょっぱなからちょっと重い話になるんですけど、Kダブさんの半生を綴ったアルバム『理由』に入っている「save the children」は、虐待から子どもを救うラップですよね。うちの父は昭和な頑固親父だったから、すぐに手が出るタイプで、けっこう不条理なこともされたんです。一番衝撃的だったのは、階段の上でちょっと口論になって、ふっと間が空いた次の瞬間、父親が私の目を見ながら私を階段から突き落としたんです。やたら受身がうまかったみたいで、ゴロゴロ回転して落ちても無傷だったんですけど。 K 本当? 昼ドラとか2時間サスペンスとか、それでみんな死んでるよ。お父さん、謝った? お母さんは怒らなかったの? ──いや、「自分は何もしてない、あいつが勝手に落ちた」って言われて、母も何が起きたのか分からない感じで。今はネット社会で逃げ道も探しやすくなってるけど、昔は家にパソコンなんてなかったし、子どもにとって、親や学校が自分の世界の全てじゃないですか。あのときは「あっ、私、殺されるんだ」って本気で思いました。 K 真実は分かりにくいもんね......。ドラマだったらそこへ刑事がやってきて、そいつがお母さんと......。 ──ちょっと、変な話にしないでくださいよ! 単純に、私は母の連れ子で、前の父親に顔がよく似てたし、そのうえ反抗期でひきこもり気味だったから、大人になれば、「そりゃイラッとくるよなぁ」って分かるんですけど、当時は「いつ殺されるんだろう?」ってビクビクしてました。「私、あの人が死んでも絶対泣かない」なんて思って。でも、今、多少の複雑な感情はあれど、嫌いなわけじゃないし、確実に好きなんですよ。父も私を好きだったはずだし。Kダブさんも、父親とは一緒に住んでないけど、絆があったでしょ? K 離れているからこそ、逆に愛着があるというか。いないことによって「いてほしい」って余計に思ったりするから、俺は父親がいないことがそんなにマイナスには働かなかったんだよね。母親は口が悪かったから、言葉での虐待みたいなのは無意識にいっぱい受けたけど、幸い暴力的なのは記憶の限りではないし。だからやっぱり、俺が「save the children」で言いたかったのは、そういう問題はどうしても第三者が介入しにくいものだけど、おせっかいでも「まず、自分から巻き込まれにいく」っていうくらいの気合いが必要じゃないかなっていうこと。あの歌は、いかにも「俺が正義の味方で、すごい人間で、俺が駆けつける!」みたいに言ってるけれど、本当に俺が伝えたいことは、あの歌を聴いて口ずさむような人、そういう一人一人が「すぐ、俺に言え」っていうメンタリティで、自分が住んでる地域を見てくれるといいなってこと。普通っちゃ普通なんだろうけどね。 ――根本に愛があっても、それを上手く伝えられない人って多いんですよね。だから、そういう時に第三者が入って、状況を見直すことはすごく大事なのかも。でも、実際私も近所にどんな人が住んでいるのか全然知らないし、泣いている子どもがいても気づけないかも......。 K 日本人って「ことなかれ主義」なところがすごく多いんだけど、そこからいい加減に踏み出さないと、どんどんダメな日本になっていくんじゃないかなって。あとは、自分が子どもっぽいところがあるのね。子どもが遊んでると一緒に遊びたくなったり、動物とキャッキャキャッキャやったりするのが好きだから、3~4歳の子どもが虐待で亡くなったって聞くと、俺の友だちとか仲間がやられたと思っちゃうんだよ。大人としてどうこうっていうより、「やめろよ!」って仲間を守りたいっていう気持ちが強い。これ言うと、「頭おかしいんじゃない?」って言われちゃうけど、俺の中で一番デカイのは、「俺の仲間を、友だちをひどい目に遭わせるな!」っていう感じなんだよ。で、「俺がこらしめてやる!」って。 ──かっこいい! アニメに出てくるヒーローみたい! K 子どもがアザ作ってたら「お前このアザ見ろよ、どうやってやるとつくか知ってるか?」って言ってバーンって。で、子どもが「お父さん叩くのやめてー!」って言ったら、父親に「見ろよ......!」って。 (後編につづく/取材・構成=小明) ●Kダブ・シャイン(けーだぶしゃいん) 1968年、東京都生まれ。93年に友人だったZEEBRAらと共にラップグループ「キングギドラ」を結成し、95年にデビュー。96年からはソロ活動も活発に行っている。近譜は2枚目となるベストアルバム『自主規制』(ワーナーミュージック・ジャパン)。 ●小明(あかり) 1985年栃木県生まれ。02年史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。 ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/> サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中
自主規制 最強のメッセージソング集。 amazon_associate_logo.jpg
小明の「大人よ、教えて!」"逆"人生相談バックナンバー 【第20回】 楳図かずおさんの至言「世界を相手にやっている人は、友達作っちゃうと危ない!」 【第19回】 キングオブコメディさんの至言「いつ辞めてもいいから、続けられるんです」 【第18回】 バカリズムさんの至言「モヤモヤは、そのまま持ち帰って立ち向かいます」 【第17回】 島田秀平さんの至言「小明さんの手相にはアブノーマル線があるんです」 【第16回】 小森純さんの至言「写真のチェックとか、自分では一切しないんです」 【第15回】 堀江貴文さんの至言「もうメジャー路線っていうものは存在しないかもしれない」 【第14回】 稲川淳二さんの至言「自分の子どもを殺そうか、と思った自分が一番怖かった」 【第13回】 蝶野正洋さんの至言「自分の役割の中で、最大限に光らなきゃならない」 【第12回】 有野晋哉さんの至言「アイドルは『育ちがええねんなー』っていうのが大事です」 【第11回】  鳥居みゆきさんの至言「やりたくないこと、やらないだろうな、ってことをやるの」 【第10回】  宇多丸さんの至言「人にはだいたい『ちょうどいい』ところがあるんです」 【第9回】  桜木ピロコさんの至言「あたしいつもだいたいいやらしいことしてるもん!」 【第8回】 伊集院光さんの至言「結局、うんこを食うしかない状況になるんです」 【第7回】 ルー大柴さんの至言「ライフっていうのはマウンテンありバレーありです」 【第6回】 大堀恵さんの至言「私、いつも『アンチ上等』って思ってるんです」 【第5回】 品川祐さんの至言「なったらいいなと思ってることは、だいたい実現する」 【第4回】 福本伸行さんの至言「俺は『面白いものを作ろう』じゃなくて、作れちゃう」 【第3回】 大根仁さんの至言「ネットの書き込みなんて、バカにしていいんじゃない?」 【第2回】 杉作J太郎さんの至言「そんなことより『ファフナー』見ろ、『ファフナー』を」 【第1回】 河原雅彦さんの至言「もう無理やりヤラれちゃえばいいんじゃない?」

既存の思考をブチ破るインタラクティブPV SOUR「映し鏡」クリエイターの川村真司に訊く

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「インタラクティブすぎる」と話題のPVを手掛ける川村さんの考えるPV論とは?
 これをミュージックビデオと呼んでいいのだろうか。昨年の12月初旬のある日、TwitterのTLが大騒ぎとなった。SOURの新曲「映し鏡」のローンチのカウントダウンが始まったからだ。このPVを手がけるのは、NYの広告代理店でクリエイティブディレクターを務める川村真司氏。同じくSOURの「日々の音色」でご存知の方も多いだろう。  PVの内容は一見に如かずなので、見ていただくのが一番だが、簡単に説明しよう。まず「日本語/英語」のどちらかをクリックすると7つのウィンドウが開き、事前にFacebookまたはWebcamまたはTwitterに接続してみることをおすすめされる。アプリへの承認を済ませ「Click to Start」をクリック! するとGoogleのトップページが現れ、検索窓には自分の名前が入力されWeb検索、画像検索の結果が現れた。すると、その画像たちが魂を得たかのように動き出し人間の形になって歩き出す。次にTwitter画面に切り替わりTLに歌詞が流れたかと思うと、Google マップに飛ぶとSOURのボーカルhoshijimaさんの画像がまた人型になって歩き出し......。ええい! もうあとはご自身で見ていただきたい、とにかくすごいのだ。FacebookやTwitterにある個人情報がPVにリンクし次から次へと動き出す、アクセスしたその人だけが体験できる、そんな仕組みの誰も見たことがないPVが誕生した。  今回はNYに住む川村氏にメールインタビューを敢行。「映し鏡」の成り立ちから、制作のプロセス、川村氏が目指す次のPV像について伺った。 ――前作「日々の音色」が文化庁メディア芸術祭でエンタテインメント部門の大賞を受賞されていますが、新作「映し鏡」はまずどんなところから映像の企画を考えていったのでしょう? 曲のイメージから構想された部分などを教えてください。 川村真司氏(以下、川村) ミュージックビデオを作るときはいつもそうするのですが、まずは歌をすごく聞き込みました。SOURの「映し鏡」は、あなたの身の回りにあるモノや人、そのすべてがあなたを映す鏡であり、そこに映った自分の姿を通して自分自身が誰であるのかを知ることができる、といったことを歌っています。この歌詞を聞いたとき、オンライン上での他者とのつながりを通して自分自身を見つける旅ができたら、といったイメージが浮かびました。そのイメージを膨らませて、インターネットのソーシャルネットワーク上に存在する個人のデータを集めて、それを活かしたインタラクティブミュージックビデオを作れないだろうかと考えました。結果として、Facebook、Twitter、Webcamに接続することで、ソーシャルネットワークの状況に応じて見る人ひとりひとりが、自分自身にカスタマイズされた映像を体験することができる作品となりました。
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――川村さんは今NYを拠点に活動されていますが、メンバーとの打ち合わせ、制作において、距離的な支障はなかったのでしょうか? 簡単なチーム編成と制作プロセスを教えてください。 川村 今回のプロジェクトはたくさんの才能ある人々の協力がなければ完成しなかったと思っています。そんなチームの中でメインのディレクターをしていたのは僕と清水幹太(http://www.shiroari.com/)さん、Saqoosha(http://saqoo.sh/)さん、そして大野大樹さんです。まずこのアイデアを思いついたとき、真っ先に清水幹太さんに相談しました。世界を見回しても彼ほどのテクニカルディレクターはほとんどいないので、彼にアイデアを送ってストーリーボードを精査しつつ、技術的に実現可能かをプロトタイプしていきました。そしてSaqooshaさんにも加わっていただいて、以前彼がプロトタイプしていたTwitterアイコンのアイデアを改良して後半部分を作っていってもらいました。大野さんには実写パートの撮影と編集をお願いしています。  僕がNY、清水さんと大野さんが東京、Saqooshaさんが大阪なので、メンバー間での打ち合わせは、ほぼ全てスカイプだけで行っていました。前回の「日々の音色」のときにも感じたことなのですが、もはや世界のどこにいてもインターネットによって距離的な制約をあまり気にせず制作作業ができるようになってきていると感じます。基本は僕がNYでアイデアを考え、スケッチやスペックに基づいた具体的なデザインを送って、それを日本で組み上げていってもらいました。 ――制作中に一番困難だったことは何でしょう? 
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川村 そもそものアイデア自体がかなり新しい試みだったので、ともかく実際にそれが可能かどうかを検証するためのプロトタイプを作っていくのに時間がかかりました。結果作ってみたけど、これはいまいちだ、ということで使わなかったシーンもたくさんあります。またブラウザによって見え方が大きく違うことも悩みでした。結果的にはSafariとChromeという制限された環境でしか見られない作品になりましたが、今回は「日々の音色」のように万人がパッシブに見て共感してくれるというモノではなく、少し狭かったとしてもよりパーソナルでインタラクティブな体験を目指していたのでしょうがないとしました。 ――「日々の音色」の際には予算が限られていた中でWebcomを使うという発想が出てきたとの経緯が語られていましたが、今回は予算的には前よりは潤沢だったのでしょうか?「Kickstarter」【註】を使った経緯などをお聞かせいただけると。 川村 今回も「日々の音色」と同じ状況でした。さらには映像だけの前回と違って、すごく複雑なプログラミングを必要としていたので、これはそもそも予算的にNGな企画なんじゃないかとはじめは思っていました。でもNYで最近スタートしたKickstarterのことを知って、これは素晴らしいサービスだと思い、試してみる意味でもそこで制作資金を募りました。もちろんお金を集めるという目的もあったのですが、何より早い段階からファンの人たちに関わってもらえるのがとても素敵だと思ったんです。制作者としても、支援されていく様がどんどん見えることで、たくさんの人に応援されていることが判ってすごく良いモチベーションをもらえました。
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 「日々の音色」の後、今度は自分も参加したい! と言ってくれる人がたくさんいて、大きなテーマとしてファンの人が参加できる作品を目指していたので Kickstarterの利用はすごくぴったりだったんです。同じような意図で、SOURのオフィシャルTwitterアカウント@SOUR_officialをフォローするだけで、後半のTwitterアイコンで作られた映像のシーンに参加できる仕組みも作りました。これらは共にローンチ前のバズを生むのにも貢献してくれました。 ――不況が続く音楽業界において今や立派な商品と化し、楽曲同等の価値をつけられるようになったPVを、作品、もしくは広告など、どのような位置づけとして考えていらっしゃるのでしょうか? 川村 PVはプロモーションビデオという呼び名の通り、その音楽を広めるためのコンテンツだと思っています。だから僕はいつもどうやってその音楽の世界を視覚化できるか、そしてどうやってその音楽とかけ算してもっとリッチな体験が作れるかということを考えています。音楽業界やアーティストの間で、最近こういった音楽の拡張に価値を見いだしてくれる方々が現れているように感じますが、まだまだもっと増えていってほしいですね。いつでもご協力しますので。 ――「映し鏡」は完全にWeb媒体(ネットワークを経由した)を使ったPVの形で、いわゆる既存の放送局で放映されるPVとは形態がまったく異なります。今後のPVはどういう方向に向かっていくと思われますか?
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川村 今までのように純粋に放送局で放映されるPVも普通に存在し続けると思います。ただ、今はインターネットを含めさまざまなデジタル技術が身近なモノとなってきているので、それらを使って新しい音楽の体験の仕方を提示してくれるような作品が増えてくるのではないかと思います。「映し鏡」でもよく言われるのですが、それはもはや「ビデオ」という枠では括りにくいものになるんじゃないかな。でもそれは「音楽の世界をどう視覚化するか」というPVの本質に立ち返ると極めて正当な進化のような気がします。ただ、何もやみくもに新しいテクノロジーを使えばいいかといったらそういうことじゃなくて、もっと自由に枠を取っ払って、どのメディアでどのように表現すればいいのかからきちんと考えるということだと思います。 ――私は「映し鏡」を初めて見た時、まさに開いた口がふさがりませんでした。反応はいかがでしたか? 川村 まず数字だけの話をすると、サイトをローンチしてから初日の数時間だけで4万人以上のアクセスがあり、その後も順調に数を伸ばしています。滞在時間も平均で3分以上と、普通じゃ考えられないような結果が出ていたり。最初の数日間はTwitterのTL上ですごい量のツイートが流れているのを見て、チームみんなで盛り上がりに圧倒されました。  多くの人からは「どうなってんのか分からないけどすごい!」という反応をもらうことが多いですね。ちょっとやりすぎたかなと思うこともありますが、ソーシャルネットワークと個人データを活かしてどこまでいけるかが自分に課していたチャレンジだったので、分からないけど置いてきぼりをくわずに楽しんでくれてるという状況がうれしいです。前回の「日々の音色」に引き続き今回も日本語詞の歌にも関わらず、海外からもたくさんのアクセスやコメントをもらっていて、いい音楽とアイデアがあれば言葉の壁は越えられるんだなぁとすごく実感しています。
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川村さん著の『RAINBOW IN YOUR 
HAND
』(ユトレヒト)。全く同じ大き
さの7色の四角形が印刷された、36枚
の真っ黒なページをパラパラとめくる
と、小さな虹を作り出すことができる。
© Utrecht
 あとこれは知らなくても別にいいことなんですが、よく「html5作品すげー!」と書かれるけど実はこれFlashとhtmlで作っているんです。今回の複雑な構成を実現するには知見の多いFlashの方が良いという判断でした。 でも次は何かhtml5でも作ってみたいですね。 ――今回の作品で得た新たな問題・課題があったら教えてください。 川村 今回は間口の広さよりも、多少狭くてもよりパーソナルで深いインタラクティブ体験を目指していたのでそれでもやろう! という判断をしたのですが、ブラウザがSafariとChromeにしか対応できなかったのはやはり少し残念でした。このような変わった表現をする場合は仕方がないのですが、「日々の音色」と比べるとやはり少しギークな作りになってますよね。今回のラーニングを元に、また別のやり方で見ている人が参加できるようなアイデアを考えたいです。 ――今後やりたいことを教えてください。具体的なプロジェクトではなく抽象的な話でもかまいません。 川村 今は会社(Wieden + Kennedy New York)で何組かのミュージシャンのためにインタラクティブなプロモーションコンテンツを作っています。「映し鏡」同様かなりぶっ飛んでるので実現するかどうか不安ですが。基本的には新しいことにチャレンジするのが好きなので、最近多かった映像やインタラクティブの表現だけではなく、もっとプロダクトやインスタレーションのようなアイデアも実現していきたいです。 (取材・文=上條桂子) 【註】Kickstarter:クリエーターが少額の出資を広く募るためのオンラインプラットフォーム。 ●かわむら・まさし 1979年東京生まれ。慶応義塾大学佐藤雅彦研究室にて「任意の点P」「ピタゴラスイッチ」といった作品の制作に携わり、卒業後、2002年よりCMプランナーとして博報堂に入社。2005年よりBBH Japanの立ち上げに参加し、2007年よりアムステルダムの180、BBH New York、そして現在はWieden & Kennedy New Yorkのクリエイティブディレクター。Adidas、PlayStation、Nissan、Axe、Googleといったブランドのグローバルキャンペーンを手がけつつ、「Rainbow in your hand」といったブックデザイン、SOUR「日々の音色」ミュージックビデオのディレクションなど活動は多岐に渡る。主な受賞歴に、カンヌ国際広告祭、メディア芸術祭、アヌシー国際アニメーションフェスティバル、NY ADC、One Show、D&AD等。 <http://www.masa-ka.com/> ●SOUR「映し鏡」公式ページ <http://sour-mirror.jp/>
映像作家100人 2010 これが最前線。 amazon_associate_logo.jpg
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ついに"ミニシアター文化"の終焉!? シネセゾン渋谷閉館、業界は再編成へ

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2003年に東京テアトルに入社し、09年から「シネセゾン渋谷」の支配人となった野崎千夏さん。「最前列でも壁際の席でも、非常にスクリーンが見やすい劇場。座席もお尻が痛くならない高級シートです。ミニシアターに親しまれた方たちに、ぜひもう一度来ていただき、思い出を焼き付けて欲しいですね」
 映画興行界の再編成が、地響きを立てながら進んでいる。ミニシアターの激戦区だった都内渋谷地区で、その変動が顕著に現われた格好だ。角川シネプレックスが経営する「恵比寿ガーデンシネマ」が1月29日(土)で実質上閉館。東京テアトルが経営する「シネセゾン渋谷」も2月27日(日)で26年間の歴史に幕を降ろす。2009年10月には「ヒューマントラストシネマ文化村通り」(旧「シネ・アミューズ」)が閉館。エッジの効いた作品を上映することで知られた「シネマライズ渋谷」は10年6月にそれまでの3スクリーンから1スクリーンに縮小し、同年9月には「渋谷シアターTSUTAYA」(旧「Q-AXシネマ」)がわずか2年で閉館となった。国内にいながら世界各国の秀作映画を見ることができると言われた日本の"ミニシアター文化"は危機的状況に追い込まれている。厳しいのは都内のミニシアターだけではない。全国でシネコンを運営する東映系のティ・ジョイはすでに全劇場の全スクリーンのデジタル化を終え、TOHOシネマズも全スクリーンのデジタル化を11年内に完了する。劇場のデジタル化には1,000万~2,000万円を要すると言われ、設備投資できない個人経営の既成館は淘汰されることになる。  リュック・ベッソン監督の『レオン 完全版』(96)、岩井俊二監督の『PiCNiC』(96)、山下敦弘監督の『リンダ リンダ リンダ』(05)など幾つものロングランヒット作を送り出し、渋谷文化の一角を支えてきた「シネセゾン渋谷」だが、どのような経緯で閉館が決まったのか。支配人・野崎千夏さんと同劇場の他にも「テアトル新宿」「銀座テアトルシネマ」「テアトルダイヤ」「キネカ大森」などを運営する東京テアトルの広報担当・高原太郎さんに、ミニシアターの現状と今後の在り方について語ってもらった。
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シネセゾン渋谷の最後を飾る『デュー・デート
出産まであと5日! 史上最悪のアメリカ横断』。
日本でもスマッシュヒットした『ハングオー
バー!』(09)のトッド・フィリップス監督
の最新コメディーだ。最後はホロリとするよ。
(c)2010 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC.
野崎「08年4月にテアトル新宿からシネセゾン渋谷に移り、支配人になったのは09年6月なので、まだあまり日は経ってないんです。ミニシアターの興行が難しくなっていることは分かっていましたが、09年は年間を通して観客動員は好調だったので、『大丈夫、まだまだ行ける』と思っていました。でも10年になるとジワジワと厳しさを実感しました。閉館することを本部から聞かされたのは、ほんと最近なんです。支配人の私が落ち込むと、スタッフに影響が出るし、それに忙しいので落ち込むヒマもなかったんですけど、内心は正直ヘコみましたね(苦笑)。12月に上映した『キック・アス』は平日も満席になるほど大盛況でしたが、年末に閉館の噂を聞きつけたお客さまから『閉館するって本当ですか?』という問い合わせをツイッターなどで多数いただき、正式発表が1月6日と決まっていたのでお答えできずに申し訳ない気持ちでした」  閉館の内情を説明してくれたのは、東京テアトルの経営企画室に所属する高原さん。高原さんも以前、シネセゾン渋谷の劇場スタッフとして勤務していたこともあり、思い入れのある劇場である。 高原「シネセゾン渋谷は90年代には年間30万人を動員していましたが、00年代に入ってからは15万~18万人と動員数が減っている状態でした。私たちとしては、"ミニシアター文化"はすでに終わったという認識なんです。シネセゾン渋谷の動員数はミニシアターとしては、かなり良い安定した数字でした。しかし、当社としてはこれからの時代、お客さまのニーズに応えていくには複数スクリーンの上映館が渋谷には必要だと考え、08年12月に3スクリーンを有する『ヒューマントラストシネマ渋谷』(旧『アミューズCQN』)を当社の傘下に加えました。従来の形での1スクリーンでの単館上映は難しくなっているという流れの中で、シネセゾン渋谷とヒューマントラストシネマ渋谷を統合するという形に踏み切ったんです」
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クロージング特別上映作品として2月19日
(土)と22日(火)にレイトショー上映される永作
博美&松山ケンイチ主演作『人のセックスを
笑うな』(07)。19日には井口奈己監督が
ゲストとして登壇予定。
(c)2008『人のセックスを笑うな』製作委員会
 シネセゾン渋谷はセゾングループのミニシアターとして、フェデリコ・フェリーニ監督作『そして船は行く』(83)をオープニング作品として85年11月に開館。その後、テアトルシネマ系列となってからも良質のアート系作品を上映してきた。90年代後半に入ってからは、コメディー映画『オースティン・パワーズ』(97)などエンタテインメント系の作品に軌道修正し、ゲストを呼んでのレイトショーやオールナイト特集上映にも力を入れてきた。しかし、ここに来て興業形態そのものを見直す必要に迫られることに。高原さんはミニシアター興行の変容をこう分析する。 高原「80年代~90年代にいわゆる"ミニシアター文化"と呼ばれたものは、監督の名前や海外の映画祭で賞を獲ったという作品を、ひとつの劇場であまり宣伝費を掛けずに長期間にわたって上映するという形だったと思います。しかし、洋画の買い付け価格が上昇し、シネコンも増え、それに伴って宣伝費も掛かるようになりました。そのため、なるべく短期間で費用を回収しようとスクリーン数を増やし、作品が短命化するようになっていったんです。ひとつの劇場でのロングラン上映という従来の形態が難しくなった。それに加え、お客さまの嗜好が変わってきたこともあるかと思います。若い方はアート系作品よりもストーリー性の強い作品を好まれる方が増えてきています。お客さまの年齢層が上がってきたこともあり、以前のようなレイトショーやオールナイト上映も難しくなっていました」  また、新宿地区に07年2月に「新宿バルト9」(ティ・ジョイとTOHOシネマズの共同運営、9スクリーン)、08年7月に「新宿ピカデリー」(松竹運営、10スクリーン)と大型シネコンが出来て以降、渋谷地区の観客動員が年々10%減り、逆に新宿地区は10%ずつ増えていると東京テアトルでは調査分析している。シネコンが全国に有するスクリーン数は10年12月の時点で2,774。日本の総スクリーン数3,412の8割以上を占めるまでになっている。インディペンデント作品を上映するミニシアターが生き残る道はないのだろうか?
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こちらは、2月6日(日)と9日(水)にレイト
ショー上映される『END OF THE CEN
TURY』(03)。ラモーンズの音楽ドキュ
メンタリー。9日にはファンクラブ日本代表者
としてロックフォトグラファー畔柳ユキさん
の登壇あり。(c)2004 Cugat, Inc.
高原「当社では系列の劇場を使ってチェーン公開することが多くなっていますが、ミニシアター的な興行の可能性が今後もないわけではありません。テアトル新宿で10年に公開した若松孝二監督の『キャタピラー』、銀座テアトルシネマで公開したミヒャエル・ハネケ監督の『白いリボン』は予想を上回るヒットを記録しています。シネセゾン渋谷で公開した『キック・アス』や『ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』のようなこれまで"洋画のコメディーはヒットしない"と言われていた作品もヒットするようになってきています。今のお客さまは、良い意味で、宣伝では騙せない。本当に良い作品を、きちんと選定して上映することが大事だと考えています。また、『四畳半神話体系』(フジテレビ系)といったアニメ作品はシネセゾン渋谷でのオールナイト上映が満席になるほどの反響がありました。アニメや音楽作品は、コアなファンが少なくない。そのためにも複数スクリーンが必要だと考えています。シネコンの100~200席あるスクリーンでは上映できない作品でも、ヒューマントラストシネマ渋谷には200席、183席、60席と3スクリーンあるので、コアなファンに対応できますし、良質の作品を長く上映することも可能なはず。当社としては大手チェーンとは違った独自色を出してくつもりです」  もう一度、野崎支配人にコメントを求めよう。野崎支配人は、学生時代に「銀座テアトル西友」(現「銀座テアトルシネマ」)で大ヒットしていた『ユージュアル・サスペクツ』(95)を鑑賞して、そのとき劇場で感じた熱気を東京テアトルでの入社面接の際に語っている。お客との距離が近いミニシアターの空間を愛する支配人なのだ。 野崎「満席の劇場で見ると、同じ映画でも印象がまるで変わりますよね。『ユージュアル・サスペクツ』は通路に座っての鑑賞だったんですけど、お尻の痛さが気にならないくらいスクリーンに夢中になりました(笑)。特にコメディーは劇場で見ると、面白さが倍増します。『キック・アス』の盛り上がりは本当に素晴らしかった。現在上映中の『デュー・デート 出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断』も脚本がよく練られている良質のコメディーです。観客動員は苦戦していますが、見た方の満足度はかなり高いはず。DVDやケータイの配信で映像を見ることができる時代ですが、劇場で映画を見る楽しさを思い出して欲しいです。『シネセゾン渋谷の閉館、残念です。でも、自分もここ10年ほど行ってなかったなぁ』という声をツイッターでいただいています。そういう方たちにも、ぜひもう一度足を運んでいただきたいですね」  2月5日(土)~27日(日)、シネセゾン渋谷では「クロージング特別上映」と銘打って、シネセゾン渋谷で上映された代表作を中心に、ミニシアター系作品を上映する。閉館が決まってから、野崎支配人が本部の編成担当と相談してセレクトしたもの。閉館を聞きつけて連絡してきたシネセゾン渋谷の元従業員たちのアイデアも盛り込まれているという。 野崎「1週目が音楽もの、2週目がインディペンデント系の洋画、3週目が日本を代表する若手監督たちの青春映画、そして最後の2日間がベスト・オブ・ベストというプログラムです。時間がない中で考えたものですが、26年の歴史を持つ当館に相応しい作品をそろえることができたんじゃないかと満足しています(笑)。『人のセックスを笑うな』は19日に井口奈己監督、『リンダ リンダ リンダ』は23日に山下敦弘監督が登壇してくれることが決まっている他、多彩なゲストにお声を掛けているので、楽しみにしてください。"映画館で映画を見るのは、やっぱり面白いなぁ"と思ってもらえるよう、明るく楽しいクロージングにしたいと思っています」  後日、東京テアトルのおふたりとは別に、他社の配給関係者に映画興行界の今後について聞いてみた。 「業界では、シネコン=アミューズメントパーク化、ミニシアター=美術館化という方向性で生き残りを図っていくことになると言われています。そう考えると、シネコンとミニシアターでは営業形態が大きく異なるので、必ずしもシネコンがミニシアターを制圧するということにはならないはず。もちろん美術館は美術館同士、アミューズメントパークはアミューズメントパーク同士の競争になるので、それぞれの作品選びが重要。業界最大手のTOHOシネマズが3月から入場料を試験的に値下げするように、料金設定も作品ごと、劇場ごとに見直されることになってくるんじゃないですか。シネコンほどの規模もなく、ミニシアターでもない地方の既成館は、厳しい状況になるのは間違いないですね。自治体からデジタル化のための助成金を受けられない映画館は、かなり辛いでしょう」  劇場のデジタル化が進むことで、プロジェクターの規格はどうなるのか、上映素材の保存方法はどうなるのか、劇場の裏方として活躍した映写技師たちの去就は......といったことも懸念される。映画業界が大きく変わろうとしている。 (取材・文=長野辰次) ●シネセゾン渋谷公式サイト <http://www.ttcg.jp/cinesaison_shibuya/> ●シネセゾン渋谷公式ツイッターアカウント <http://twitter.com/cine_saison>
映画館(ミニシアター)のつくり方 もはや死語? amazon_associate_logo.jpg
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「社会的なことはまともに考えてない」チェルフィッチュ・岡田利規の"楽しい"日本の見方

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 2004年に発表した、イラク戦争の最中に渋谷のラブホテルでセックスをする若者を描いた『三月の5日間』で演劇界の芥川賞と言われる岸田戯曲賞を受賞して以来、現代の日本の姿を切り取る作家として注目を集めている劇団カンパニー『チェルフィッチュ』。そんな彼らの最新作『ゾウガメのソニックライフ』が神奈川芸術劇場のオープニングラインナップとして上演される。  この上演を記念して、日刊サイゾーではチェルフィッチュの主宰者であり、演出家・岡田利規にインタビュー。はたして、彼の目に映っている日本とは、いったいどのような姿をしているのだろうか!? ■『分からないこと』をやっている ――新作は『ゾウガメのソニックライフ』というタイトルですが、前回公演『私たちは無傷な別人である』と比較して、ゆるいタイトルですね。 「『無傷〜』は、非常にしっかりと作れた作品だと思います。タイトルも含めて作品自体、全くと言っていいほど"遊び"がないんです。体脂肪率3%くらいの無駄がない作品ですね。前回、そういった作品を上演したので、もうちょっと遊びや余裕がある方向で作品を作りたいと思いました。『腹出てるけどそれでよくない?』みたいなのをやりたかったんです」 ――これまでの作品では、ラブホテルやファミレス、ニュータウン、マンガ喫茶などさまざまな舞台設定で描かれ、それが物語の中で重要な意味を持っていましたが、今作の設定はどのようなものでしょうか? 「カップルがいてちょっとした諍いをしているんですが......、それくらいしか設定がありません」 ――特定の場所というわけではないんでしょうか? 「一応、ふたりのアパートということなんですが、それだけですね」 ――では、作品のテーマはどういったものでしょうか? okadatoshiki02.jpg 「僕の場合、テーマはいつも同じで『我々の人生そのもの』です。現実そのものを見るようにしているんですね。だから今回もテーマは変わりません。ただ、『どうやって生きていけばいいのか』と考えると、僕の場合はそれに対する回答は明確に一つに決まっているわけじゃない。ひとつの作品で回答を出しても『本当にそうなんだろうか』という疑問が起こってくるんです。ただ、今回どんなことをテーマとしているのかは、自分でも『分からない』んですよね」 ――「分からない」とは? 「『分からないこと』をやっているので、ちゃんと言語化できるものではないんですが......。そもそもテーマから入ると物語を書くことができなくなってしまうんです。お話を書く必要がなくなってしまうんですね。ですから、物語があるのかもテーマがあるのかもよく分かりません」 ――「分からないもの」に向かって作りながら、「自分が作りたかったものはこれだ」という瞬間はいつ得られるのでしょうか? 「稽古の段階で分かる部分もあるし、何十ステージも重ねた後に分かることもあり、まちまちですね。あるいは批評によって、客席の雰囲気によって分かる部分もあります。けれども、『こうやれば、こうなるだろう』というように、自分の分かっている範囲では作品は作っていません」 ■機能不全が"楽しい" ――岡田さんはメディアの中では「社会派」として語られることもしばしばですが、メディアの考える「岡田利規」像と、自身の「岡田利規」像では乖離を感じることはありますか? 「僕は全然、社会的なことはまともに考えてないんですよ。もちろん、僕なりの僕と社会の関係の取り方があり、それは完全に没交渉というわけではない。『社会のことは関係ないです』っていう言い切ってしまうのはある意味さわやかでクリアですけど、僕自身はそこまですっきりしていない、もっとグレーな感じの関係の取り方してるって思うんですね。僕が社会的に見えるのは単に相対的なことでしかないですよ」 ――その「ぬるっとした関係」は岡田さん自身が求めていることなんでしょうか? 「特に求めているということではありません。ただ、僕が現にそうだから、それを反映させているということですね。僕は、自分が置かれている状況に即してものを作るのが一番いいと思っているんです。いつ産まれたとか、どこでどういう環境で生活しているとか、そういったことです。それを使うのが僕にとって一番いい結果を出せる武器だと思います」 ――日本社会に対して面白さを感じることもあるんですか? 「あっちこっちで機能不全を起こしまくってるていると思うんですね。『おなかに赤ちゃんがいます』と書かれたマタニティマークとか、ちっとも機能してない。あれとか傑作だと思います(笑)」 ――最高......ですか? okadatoshiki03.jpg 「あれが機能しているとすれば、日本の社会が妊婦に対していかに不寛容かを証明するという機能ですよね」 ――確かに皮肉ですね。 「日本人って個人という概念が全然ないじゃないですか。夏目漱石の時代から変わっていないことですけど、大きな問題だと思います。僕らが電車で席を譲ることをできないのは優しくないからではなく、個人じゃないからだと僕は思います。個人じゃない、自分を車内に存在していないものとしているわけだから、席が譲れるわけないですよね。けれども、この社会は人々が個人であることを前提としてデザインされてるでしょ。でもその前提が揃っていない。だから、機能不全起こすんじゃないですかね」 ――そういった「機能不全」を岡田さんは楽しんでいるのですか? 「楽しんでますよ。例えばこの前コンビニ行って、『あっためはなさいますか?』って言葉聞いて、すっごくいい日本語だなと思って(笑)」 ――そう言われると、たしかに今の社会って機能不全だらけですね。そんな日本でも希望が持てますか? 「芸術って、すごく悲惨な状況を描写してもそれがちゃんと作れたら楽しいっていう、奇妙なものですよね。『どうなの、この世の中』っていうテーマの作品を書いても、それがうまく作れたら楽しくなっちゃうんです。だからズルい。これは本当は反則なんですよね。でも僕個人は、そういったわけですごく楽しいですよ!」 (取材・文=萩原雄太[かもめマシーン]/撮影=後藤匡人) ●おかだ・としき 1973年 横浜生まれ。演劇作家、小説家、演劇カンパニー『チェルフィッチュ』主宰。05年9月、横浜文化賞・文化芸術奨励賞を受賞。同年、『三月の5日間』で第49回岸田國士戯曲賞を受賞。2008年4月、『わたしたちに許された特別な時間の終わり』で第2回大江健三郎賞受賞。国内だけでなく、海外でも公演を行っている。 ・『ゾウガメのソニックライフ』 作・演出/岡田利規 出演/山縣太一、松村翔子、武田力、足立智充、佐々木幸子 舞台美術/トラフ建築設計事務所 特設サイト<http://zougame.chelfitsch.net/> KAAT神奈川芸術劇場 2/2(水)〜2/15(火) [チケットかながわ]<http://www.kaat.jp/pf/zougame.html> 水戸芸術館ACM劇場 2/26(土)〜2/27(日) [チケットぴあ]<http://www.arttowermito.or.jp/play/modules/tinyd0/index.php?id=46> 富士見市民文化会館 キラリ☆ふじみ 3/4日(金)〜3/5(土) [チケットぴあ]<http://ticket.pia.jp/pia/event.do?eventCd=1051975> 山口情報芸術センター [YCAM] 3/13(日) [山口文化振興財団]<http://www.ycfcp.or.jp/>
三月の5日間 名著。 amazon_associate_logo.jpg
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勝負と女に賭けた人生 日本初の麻雀プロ・小島武夫の「遺言」

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 昭和50年代の麻雀ブームをけん引し、豪放磊落な博打打ちとして一世を風靡した小島武夫。今年75歳を迎える彼が、初の自叙伝『ろくでなし』(徳間書店・刊)を刊行した。故郷・博多での麻雀との出会いから、名だたる名士たちとの一戦、そして数々の女性との関係に至るまで、その半生が赤裸裸に綴られている。この本の出版を記念し、日刊サイゾーでは小島プロにインタビュー。はたして、その人生に込められた哲学とは!? ■小島武夫の無頼 ――初となる自叙伝の刊行、おめでとうございます。いかにも「昭和の男」といった、破天荒な人生を送られていますね。 「本当はいろいろな人に読んでもらうのは恥ずかしいんだよね。ただ、この歳になれば隠すことは何もないから。若い頃だったら、こんなにあからさまに話はできなかった。ある程度歳を取ると、恥をかいてもいちいち気にすることがなくなるんだよね。だから、気楽な気持ちで書けたかなと思います」 ――自叙伝を拝読し、あらためてその人生の濃さに驚かされます。 「デタラメばっかりやってきたんだけどね。周囲に迷惑をかけても本人はゲラゲラ笑いながら生きてるんです」 ――一番デタラメだったなと思うことは? 「やっぱり飲み屋ですね。普段は銀座・六本木で飲むことが多かったんだけど、座るだけで5万という世界だから、いつもっていうワケにはいかない。ちょっと懐が寂しくなってきたら新宿・渋谷で飲んで、本当に金がないときはまた銀座に戻る。銀座なら支払いが高いから、ツケにして帰れるからね。もちろんあとで支払いに苦しめられるんだけど」 ――逆転の発想ですね。 「でもいくら金がないと言っても、女の子とのホテル代はちゃんと持ってるんだよ(笑)」 ――著書にも「3000万円の収入で、支出が1億円」と書いてありましたね。 「いよいよ本当に金がないっていうピンチに追い込まれると、出版社から麻雀の入門書や戦術書の印税の振込があったり、競艇で大穴を当てたりするんだ。そういう運が強かったから、のほほんとしていられるんだよね」 ■小島武夫の勝負論 ――これまで麻雀を打ってきて、一番印象深い対局はどんな対局でしたか? kojima02.jpg 「どれも印象深いですね。楽しくやるということもなく、ただ、一生懸命自分が持っている力を叩き出します。これで勝つとか負けるとかそう言うことは一切考えず、自分がいいと思う麻雀をするんです。麻雀っていうのは、これまで研究し、培ってきたものをどれだけ表現できるかなんです」 ――つまり、小島プロにとって麻雀は自己表現の手段ということでしょうか? 「そうです。勝ち負けではなく、自分がどういう麻雀を『表現』するかが麻雀だよね。それをファンがどう評価してくれるか。戦うっていうのはそういうことじゃないかな」 ――本にも「セコい手で上がってはいけない」と記されていますね。 「プロ同士の戦いなら『お前には、これは打てないだろう』という自負心を持った戦いをしなきゃならないと思います。もちろん、それで負けることもある。それはそれで自分の修行が足りなかったと思うだけです。職人と同じで、これで終わりというゴールはありません。一生が戦いだし、一生が研究。そう思わないと麻雀プロはできません」 ――本には阿佐田哲也先生との思い出が随所に散りばめられています。やはり、小島プロにとって大きな存在だったのでしょうか? 「随分お世話になったよね。麻雀も打ったし、人間的にも勉強させてもらった。阿佐田先生は僕にとってはとても怖い人なんです」 ――「怖い」とは? 「麻雀をやっていても、阿佐田先生が追いかけてくる時は『いつかまくられるんじゃないか』という恐怖感を与えられるんです。人間的な格の違いもあるよね。別にごつごつしたものがあるわけじゃなくて非常に柔和なんだけど、すごく説得力がある」 ――阿佐田先生はどういう打ち方をされていたんでしょうか? 「懐の深い打ち方だよね。捨て牌と手牌のバランスを見ながら、一打一打、牌を模打することで表現をしているんです。相手も分かっているはずなのに、吸い込まれるように振り込んでしまうというようなね。僕は麻雀っていうのは美学だと思うんです。いくら強くても美学がないとその人の麻雀とは認められません。強い、弱いなんていうのはその場限りの結果に過ぎません」 ――小島プロ自身も、若い頃と今で打ち方は変わってきましたか? 「若い頃は相手に喧嘩を仕掛ける剃刀みたいな打ち方をしていましたね。けど、歳を取ると丸みを帯びてくるんです。角が取れた『上手い』打ち方になるよね。振り込んだ相手も『これなら仕方ない』と思うような手だね」 ■小島武夫と女 ――本にはこれまで数百人の女性を抱いた、と書かれています。その中でも印象に残っている女性は? 「5人くらいいますね。3人は死んだけど、あと2人はどこにいるか分からない。まだ生きてるんだったらもう一度会ってみたいなと思うね。その中でも1人はつい最近亡くなったんだけど、京都の芸者だった人です。まあ、よく教育されていたよね。気遣いがよかったし、セックスもすごくよかった」 ――小島プロにとって、女性とはセックスの相性が最も重要なんでしょうか? 「やっぱり男と女は肌が合うか合わないか、なんですよ。逆に、男から捨てられる女には関わらない方がいい。何らかの欠陥があるから男が逃げたんです。だから男が逃げるような女には絶対に手を出さない。けれども、あんまり男を追っかける女はダメだね。これは淫乱か不感症です」 ――(笑)。 「淫乱は男がいないと身体が持たない。不感症は気持ち良くなるためにあちこちに男をつくる。こういう女は、もうどうしようもない」 ――女性を選ぶ時のポイントは? 「僕は大体、付き合う時は前よりも1ランク上の女を目指すんです。だから全ての面で一番最初の女より下ということはない。女だったら誰でもいいというわけじゃないんだよ」 ――そういった選び方だと、だんだん女性も少なくなりますね。 「けれどもやっぱりいるもんなんだ。それまではじっと我慢して、様子を見て、そして口説くんだよね。優しく接して『本当にあなたが好きだ』とストレートに言わなきゃいけません。斜に構えて『寝ようか』とかいってもついてこないんだよね。ストレートにグイグイ押されると女性も気持ちいいんだよ。それを受け入れてくれるかどうかの見分け方もあるんだけど、それを教えるのは難しいね......」 ――74歳の現在でも「現役」なのでしょうか? 「いや、ここ10年くらいは心の中でだけに収めています。名前が知れちゃっているので、その方向でデタラメができないんだよね」 ――自らの人生を振り返って、麻雀の役に例えるなら何になると思いますか? 「一気通貫じゃないかな。僕は僕なりに一生懸命自分を貫いて生きてきたから、振り向いて後悔することもないし」 ――小島プロが「遺言」として若い世代に残したいメッセージを教えてください。 「『何事にも真面目にやれ』ということですね。どんなにくだらない遊びでも真面目にやらないといけません。人生にはくだらないことは絶対にないんです。今役に立たなくても、それが将来役に立つかもしれないんです」 ――それは、女性関係にも言えることでしょうか? 「もちろん」 (取材・文=萩原雄太[かもめマシーン]/撮影=後藤匡人) ●こじま・たけお 1936年福岡県生まれ。日本プロ麻雀連盟初代会長・最高顧問。実力、人気ともに麻雀界トップクラスのプロ雀士。『魅せる麻雀』を信条としたその雀風は、ファンからの圧倒的な支持を集める。テレビやCS放送などメディアへの出演も精力的に行い、日々、麻雀界全体の盛り上げや若手の育成などに惜しみない努力と情熱を捧げている。
『ろくでなし 伝説のミスター麻雀、酒と女とカネの無頼75年』 囲碁の藤沢秀行、将棋の芹沢博文らと並ぶ、昭和のカリスマ勝負師が生きた、飲む打つ買うに明け暮れた破天荒な半生。貧乏のどん底から這い上がり、無頼を貫いた生きざまから、伝説に残る勝負で掴んだ「勝つための哲学」までを自ら記す。「阿佐田哲也」「桜井章一」らとの初めて明かされる勝負秘話を交え、逆境を生き抜いた「男の哲学」がここに凝縮されている! 徳間書店刊/1470円(税込)/発売中 amazon_associate_logo.jpg
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「 合コンするなら●●省がおすすめ!?」 杉村太蔵がぶっちゃけトークを開催中!

taizosugimura.jpg  元衆議院議員で、在職中は奔放な発言で何かと注目を集めた杉村太蔵氏。そんな杉村氏が、今年の1月から、毎週月曜夜9時30分~10時30分の1時間、DMMライブトークで『杉村太蔵のしゃべ論』を開始した。そこで今回は放送開始を記念して杉村氏に徹底インタビュー。さっそく番組の意気込みなどをお聞きしました! ――本日はどうぞよろしくお願いします。『杉村太蔵のしゃべ論』、大好評放送中のようですね! 杉村太蔵(以下、杉村) ありがとうございます。今のところ11月まで続くようなので、今年はこの番組をぜひ成功させたいですね。政治家の生の声が聞けるというのは、やはりインターネット社会の強み。しかも、ツイッターやブログとは違って、この番組は生放送なので編集ができない。失言をしないように気をつけます。 ――気をつけてくださいね(笑)。どういう番組にしていくつもりですか? 杉村 政界や財界をはじめ、スポーツ、芸術、時事問題など、面白くてタイムリーなネタをいろいろと話していきたいですね。もちろん、さまざまなゲストもお呼びしたいです。 ――ちなみに今一番呼びたい人は? 杉村 与謝野馨さんですね! まあご多忙中なので無理でしょうけど......(笑)。もちろん政界、財界の人だけでなく、スポーツやアートに関わる人たちも呼びたい。あとは各事務所の秘書さんなども面白そうですね。 taizosugimura01.jpg ――秘書さん、ですか? 杉村 永田町というのは、各事務所や役所に桁違いの美人秘書がいたりするんですよ。そういう秘書さんたちは、議員やマスコミ関係の人と接する機会が多いので、実はものすごい量の情報を持っているんです。しかもそういう人にかぎって普段は、「私何も分からない~」というような顔でニコニコしているから怖い(笑)。もし呼べるなら、秘書さんたちにいろんな裏話とか聞きたいですね。 ――いいですね、ぜひ呼んでほしいです、美人秘書! ちなみにどこの事務所や役所の秘書さんがオススメなのでしょうか!?  杉村 まあまあ(笑)。あ、でも、秘書さんではないのですが、僕が合コンをするなら、農水省の女の子たちがオススメですね。 ――農水省!? なんか地味そうなイメージがありますが......。 杉村 いや、やっぱり農水省の人たちはいい店を知っていますよ。産地直送で、安くて美味しいお店。しかも、いかにも「農民の見方!」というような真面目で控えめの人が多くて、とても好感が持てますね。 ――なるほど! じゃあ逆に女の子が合コンするときには要注意というのは? 杉村 外務省。とにかくプライドが高い人ばっかりでかちんときますよ。あとワインうんちくが多すぎてちょっと......(笑)。あ、ちなみにお子さんがいる方には文部科学省の人がオススメだね。やっぱり文科省のひとたちは、学校や塾や地域のことなど情報通だから。愛する我が子のために、ためになる情報もゲットできたり!? なんてね。 ――いいですね、そういう情報! 視聴者の皆さんはそういうネタをとても楽しみにしていますよ! 杉村 「家政婦は見た」じゃなくて、「杉村が見た」というような情報を提供していこうかと。もちろん、真面目な話もしていきますけどね(笑)。 ――ぜひ杉村さんのプライベートの話なども聞きたいです。ちなみに最近杉村さんは何かハマっていることとかないんですか? 杉村 そうそう、僕は最近ロシアに興味があるんですよ! 次に来るのはロシアだと思って。で、ロシア語を習いはじめたんですが......。 ――何か問題でも? 杉村 知人に紹介してもらったロシア語の先生が、ロシアから日本に留学してきた女性なんですが、金髪のグラマーでめちゃくちゃ美人のロシア人。しかも19歳! 最初の授業で会ったときに、あまりのかわいさに思わず赤面しましたよ。しかも、自宅近所の喫茶店でいつも授業をしているのですが、周りがジロジロ見てきますね(笑)。 ――うわー......。なんかそれ、近々週刊誌にスクープされそうですね。 杉村 いや、だからいつも授業が終わる間際に妻に迎えにきてもらっていますよ。でも最初は、本気でロシアから来たスパイかと思ったくらい。俺を惑わせたって、そんな情報持っていないぞ、と(笑)。まあ、でもその先生にも近々番組に出てもらって、ロシアの話とかを聞ければ面白いかと思っています。 ●DMM.comライブトーク 『杉村太蔵のしゃべ論』 杉村太蔵が、その時タイムリーな時事ニュースをいろいろな方向から意見するトークディスカッション番組。 <http://dbirth.dmm.co.jp/
小泉の勝利 メディアの敗北 いろいろ聞きかせてください。 amazon_associate_logo.jpg
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"メジャーの壁"知らずの筧昌也監督が新作ドラマでは"表現の壁"もスルー!

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映画監督、映像ディレクター、イラストレーター......と様々な顔を持つ筧昌也監督。
新作『豆腐姉妹』では実写ドラマ、アニメ、ドキュメンタリーの融合に挑んでいる。
 缶詰の中からセクシーな美女が続々と現われる、男のリビドー200%刺激作『美女缶』(2003)でゆうばりファンタスティック映画祭オフシアター部門グランプリを受賞した筧昌也監督。死んだ人間が人生のロスタイムを使って、最後にやりたいことを遂げる感涙系ファンタジー『ロス:タイム:ライフ』は08年にフジテレビ系で連続ドラマ化され、さらに新作がケータイ向けコンテンツとして配信された。アジアンスター金城武を主演に迎えた『Sweet Rain 死神の精度』(08)は長編デビュー作ながら、ワーナー系で全国公開。1977年生まれの筧監督は、メジャーorインディペンデントというボーダーを身軽に跳び越えて映画・テレビ・ケータイ......と様々な映像媒体で活躍する個性派クリエイターなのだ。そんな筧監督が、またまた一風変わった新作ドラマをDVDリリースする。WOWOWで昨夏オンエアされた吉高由里子主演作『豆腐姉妹』がそれだ。  『婚前特急』『GANTZ』の公開を控える人気女優・吉高由里子が、5話完結の『豆腐姉妹』では3姉妹をひとりで演じ分けている。不倫中の長女・絹代はフィクションドラマ、キャバクラに勤める次女・もめんはアニメーション、売り出し中の新人女優である三女・由里子はドキュメンタリータッチで描かれている。ドラマ・アニメ・ドキュメンタリーと3つの異なる表現方法が『豆腐姉妹』という作品の中に同居し、3つの表現を駆使することで吉高由里子の多面的な魅力に迫った野心作なのだ。筧監督、相変わらずカマしてくれますなぁ。映像のデジタル化が進み、様々な表現スタイルが可能となった新時代エンターテイメントの旗手・筧監督の素顔をクローズアップしよう。 ――筧監督、よろしくお願いします。あれ、筧監督の名刺って、名前と住所だけのシンプルなものですね。  えぇ、いろいろとやっているもので、最近は名刺に肩書きを入れるのは止めたんです。まぁ、長編映画はまだ『Sweet Rain』だけですけど、自分としては映画監督をメーンに考えてはいます。でも劇場用の作品だとかテレビ向けの作品だとかは、自分ではあまり意識してないですね。ケースバイケースですけど、企画のアイデアを考える際は、どの媒体向けでやるかという意識よりも、面白い作品を作りたいという意識が強いんです。 ――ユニークすぎる『豆腐姉妹』は、どのようにして誕生したんでしょうか?  今回の『豆腐姉妹』は"まるで豆腐のように色の白い姉妹のお話"というユルい設定をずいぶん前に考えたものです。それで2年くらい前に、吉高由里子さん主演でDVD用のオリジナルドラマを作らないかという話が来たんで、実写ドラマとアニメを融合した『ロジャー・ラビット』(88)みたいな作品にしようと思ったんですね。でも、どうせやるなら、より面白いものに挑戦してみたい。ドラマとアニメに、さらにドキュメンタリーも加えたらどうなるんだろうと。ボク自身もどんな作品になるか分からなかったのに、製作のアミューズさんがボクの予想以上に食い付いてきたんです(笑)。せっかくだから、WOWOWの連続ドラマにしようと企画が膨らんで、脚本をしっかり練ることになり、製作の準備に1年半を要しましたね。
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ユニークな作品が多いアイデアマンの筧
監督。「今回の『豆腐姉妹』は肌の白い
美人姉妹という、自分としてはかなりユル
い設定から始まりました。その後、ブレ
ストで話がどんどん膨らんでいくんです」
――2年前から吉高由里子主演作として企画が動いたということですが、彼女が『蛇にピアス』(08)で注目を集め始めた頃でしょうか?  そうですね。『蛇にピアス』が劇場公開されていたけど、まだテレビでの露出が少なくて、広く知られている感じではなかった頃ですね。それで吉高由里子さんに会ったんですけど、彼女はすぐにこちら側をイジリたがるんですよ(苦笑)。現場でもボクのことをやたらとイジってくるんですけど、ボクも現場ではいろいろやることがあるんで途中から相手をするのを止めたら、すごく寂しそうな顔をするんです。面白い子ですね(笑)。 ――有料チャンネルであるWOWOWは、山下敦弘監督やタナダユキ監督らが参加したオムニバスドラマ『蒼井優×4つの嘘』(08)をはじめ、作品のクオリティーが高いことで定評があります。  確かに、WOWOWのドラマはレベルが高い。でも、ボクの場合、あまり他の作品を意識することや「ライバルは××監督です」みたいなことを考えることがほとんどないんです。大きいことを言うようですが、他の監督がライバルというよりも、今の若い人たちは映画の他にテレビもあるし、DVDもあるし、ケータイもあるし......という状況で育っているので、そういう若者たちにどうすれば自分の作品を観てもらえるかということなんです。それでボクは、他の人がやらないような変わった設定、ひと言説明しただけで「面白そう!」と興味を持ってもらえる企画を考えるようにしているんです。
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『豆腐姉妹』のドキュメンタリーパートで"白タ
イツ姿"を披露する吉高由里子。ふわふわとした
つかみ所のなさが、彼女の魅力。
――若手人気女優vs.気鋭のクリエイターの組み合わせである『豆腐姉妹』ですが、ドラマ&アニメ&ドキュメンタリーの融合という今回の趣旨を吉高由里子はすぐに理解できた?  吉高さんに最初に今回の企画を説明したときは、それこそ彼女の頭の上に「?」マークが並んでました(笑)。まぁ、ボクの企画はいつも突飛なものだと思われがちなので、プロデューサーたちにプレゼンするときは、企画書と一緒にキービジュアルもイラストにしてセットで見せるようにしています。今回の場合だと、3姉妹のキャラクターが一列に並んで食事をしているイラストですね。仲のいい3姉妹だけど、実はそれぞれの顔が向いている方向はバラバラだという。 ――家族が横に並んで食事してるシーンというと、森田芳光監督の『家族ゲーム』(83)ですね!  えぇ、ボクの持論なんですが、映画って面白い作品に限って、強烈なビジュアルがキーになっているように思うんです。強烈なビジュアルから、ストーリーが広がっていくんです。でも、困ったことに、ふだん映画を観に行くときも、面白い設定に出くわすと、自分の頭の中で勝手にオリジナルストーリーが始まってしまう。つまんない映画ならそれでもいいけど、面白い映画を観ていても、自分の頭の中でまったく別なストーリーを考えてしまうんです(苦笑)。とりあえず映画館を出たら、すぐにメモ書きするようにしていますね。 ――『豆腐姉妹』の撮影現場はどんな感じだったんでしょうか?  ドラマ部分の撮影に20日間ほど要し、ドキュメンタリー部分はそのうち1~2割程度の時間を割きました。アニメ部分は実写パートの撮影が終わってから、2カ月間くらいかけて完成したアニメにアフレコしていきました。吉高さん、アニメの本格的なアフレコは初めて。また実年齢より上となる長女・絹代みたいな役を演じるのも珍しかったようで、声の出し方から変えていましたね。彼女は憑依型でもないし、地道に役づくりをしていくタイプでもない。カメラが回っていないときは明るくおしゃべりしているけど、カメラが回るとパッと役に入っていく。一種の天才肌でしょうね。ドキュメンタリー部分は部分的にはフェイクですが、でも6~7割は吉高由里子の"素"だと思います。劇中のインタビューで、交通事故に遭って死を意識したと語っていますが、あれは彼女の実体験。彼女はすごく勘がいいので、劇中のインタビューでも質問によって、自分の素をさらしたほうがいいか、『豆腐姉妹』の三女として答えたほうがいいかを自分で瞬時に判断してしゃべっているんです。インタビュー部分の台本は白紙にしていたので、全部彼女がその場で考えてしゃべっている形です。ドキュメンタリー部分では白タイツ姿でダンスも披露しますが、女優らしくないことなら良かったんです。白タイツはボクの趣味というより、プロデューサーの趣味じゃないですか(笑)。
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しっかり者の長女・絹代、新人女優の三女・由里子、キャバ嬢である次女・もめん。
『豆腐姉妹』は、はたしてレンタル店のどのコーナーに置かれるのか?
(c)WOWOW/アミューズソフトエンタテインメント
――筧監督が感じた女優・吉高由里子の魅力とは?  吉高さん本人に聞いたんですけど、「フラットでいたい」そうです。人を色メガネで見ないようにしているみたいですね。局のエラい人が来ても、現場スタッフとも、変わらず同じように接しているように思います。彼女は撮影現場で製作スタッフと仲良くなって、撮影が終わってからも共演者とではなく、スタッフと飲みに行く方が楽とか言っていました。知らない人間同士がわぁ~と集まって、1~2カ月熱い時間を過ごす撮影現場が好きみたいですね。今回、最初は企画を説明しても「???」だらけだったのに、わかんないけどとりあえずやってみようという柔軟性もある。個性があるようで、個性がないというのかな。でも、それって女優としてメリットですよね。どんな役でも演じられるということですから。 ――なるほど、吉高由里子はどんな調理法にも合う豆腐みたいな女優だと。  ハハハ、うまくまとめましたね。"吉高由里子は豆腐みたいな女優"。味がなさそうで、味がある(笑)。ボクの企画はブレーンストーミング的に、こういう風に話している最中にキャッチコピーが決まったりすることが多いんですよ。 ――最後にもうひとつ。筧監督ってメジャーorインディペンデントというこだわりを感じさせないんですが、その点は自分ではどう考えていますか?  ボクらの世代だと、そういう意識はあまりないように思いますね。ボクらよりひと周り上の世代だとハリウッド映画への憧れがあるように感じますが、ボクらの世代は何でもあり。面白ければ、スピルバーグも観るし、ウォン・カーウェイも観るし、岩井俊二監督や伊丹十三監督も観る。本当、観てるものがグチャグチャ(笑)。面白ければ、メジャーもマイナーも関係ない。実際の製作になると予算による影響が多少あるでしょうけど、基本的に企画を考える段階では、メジャーかマイナーかといったことは考えないですね。もちろん、できれば自分の作品は何千万人もの人に観てほしいという気持ちで作っています。でもいちばん大事なのは、やっぱり"もっと面白いものを"ということですね。 (取材・文=長野辰次) ●かけひ・まさや 1977年東京都出身。日大芸術学部卒業。中学時代には漫画執筆に勤しみ、講談社「ちばてつや賞」に入選。大学時代から自主映画製作を始め、『美女缶』(03)はゆうばりファンタスティック映画祭オフシアター部門グランプリ受賞後、04年に劇場公開。さらに『世にも奇妙な物語 '05春の特別編』(フジテレビ系)の一編、妻夫木聡主演作としてセルフリメイクされた。03年から始めたショートムービー『ロス:タイム:ライフ』は、フジテレビ系で08年に連続ドラマ化。その後もauで配信された谷村美月主演『ロス:タイム:ライフ 猫編』(09)など発表媒体を変えて新作を発表している。伊坂幸太郎の原作を映画化した『Sweet Rain 死神の精度』(08)で長編映画の監督デビューも果たした。
豆腐姉妹 監督/筧昌也 脚本/鈴木智尋、筧昌也 アニメーション監督/青木純 ナレーション/小林幸子 出演/吉高由里子、塚地武雅(ドランクドラゴン)、平田薫、宮崎美穂(AKB48)、ムロツヨシ、きたろう、津田寛治、田中要次  発売元/WOWOW、アミューズソフト 販売元/アミューズソフト 1月28日(金)発売&レンタル開始 http://www.wowow.co.jp/drama/tofu amazon_associate_logo.jpg
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スカトロAV、ホモ映画、『サザザさん』 アブノーマルな道を歩んできた活動弁士・坂本頼光とは?

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古典芸能界の"異端児"として活躍中の坂本頼光さん。
 ネットを中心にカルトな人気を誇るオリジナルアニメ『サザザさん』。のほほんとした展開は一切なく、ブラックでダークなユーモアに貫かれた本作にファンも急増中だ。このアニメの製作を手掛けるのは坂本頼光さん。とはいえ、彼の本職はアニメーターではなく映画に解説や台詞を与える活動弁士なのだ。チャップリン作品や鞍馬天狗などの名作映画を真面目に説明する傍ら、お笑いライブなどでは、『サザザさん』に声をアテる坂本さん。『サザザさん』の他にも、「世界一ウンコを食べている」と言われるカルトAV男優・山本竜二さんへの弟子入りや、ホモ映画への出演など、アブノーマルな道を歩んでしまった「カルト弁士」の彼にお話を伺った。 ■水木しげるファンの少年が活弁に出会う ――まず、坂本さんが活動弁士を志したきっかけを教えてください。 「中学生の時、先生に連れられて全校生徒で映画を見たんです。それが無声映画の弁士付き上映会で、チャップリンの『キッド』でした。もちろん、無声映画も弁士も初めて。こんな変わった世界があるのか、とカルチャーショックに近いものを感じましたね」 ――それがきっかけになって活弁の世界にのめり込んで行ったのでしょうか?
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ときどき竜二さんが経営する居酒屋「竜ちゃん」
に顔を出し、竜二さんのマシンガントークに耳
を傾けているという坂本さん。
「いえ、そのときは面白い仕事もあるもんだなと思った程度です。僕は幼稚園の頃から漫画家になりたくて。水木しげる先生の作品が大好きで、模写ばかりしていました。その後、高校に進学したんですが、話題や趣味の合う友達が出来ず、中退してしまいました。その頃は漫画より映画が好きになっていたので、この際だから映画関係、しかもとりわけ珍しい仕事に就きたいと考えましてね。弁士のことを思い出し、無声映画の興行をやっていた会社を訪ねたんです」 ――どなたかへ弟子入りされたんですか? 「いえ、弟子にはしてもらえませんでした。当時、活動弁士は日本に2、3人ほどしかおらず、食える職業じゃないからやめなさいと言われたんです。でもその会社が一般向けの活弁研究会を主宰していたので、そこに参加して勉強していました。20歳のときに、鶯谷に東京キネマ倶楽部という無声映画専門劇場がオープンすることになり、出演弁士のオーディションを受け合格、プロデビューすることが出来たわけです。ただ、いざ開館しても残念ながらお客さんが来なくて。こっちもまだ根性がないから、ノイローゼみたいになっちゃいましてね。結局数カ月後に出番をしくじってクビです......お恥ずかしい」 ■変態AV男優・山本竜二に弟子入り ――そんな坂本さんが、一体どんな経緯で山本竜二さんに弟子入りすることになったんですか? 「僕が人生で最初に活弁をしたのは18歳の時、研究会の舞台で演目は嵐寛寿郎主演の『鞍馬天狗』だったんですが、同じ頃、落語家の快楽亭ブラック師匠の会を聴きに行ったら、山本竜二さんが客演していたんです。竜二さんは寛寿郎さんの縁戚で、往年の映画界の裏話やらAV現場での体験を漫談風に喋っているのがおかしくて。もっといろんな話を聴きたくて楽屋を訪ね、以後、ファンとして追っかけ出したんです。そのうちブラック師匠も『なついてるようだし、竜ちゃん、面倒みてあげなさいよ』と口添えしてくださり、現在まで何やかやと......本当に、お世話になっております」 ――山本竜二さんからは何を学ばれたんですか? 「その頃、竜二さんはアロマ企画というマニア向けのAV会社で自らの監督・主演作品を撮っていました。僕はその現場で、カメラマンのバイトをやらせてもらいました」 ――山本さんと言えば、数々のスカトロ作品やホモ作品を手掛けていますよね。 「普通のAVだったらアイドル系の女優さんの裸が拝めるのに、アロマ山本組はお婆さんやお爺さんや黒人さんとかなんで、もう眼の前がクラクラしました。スカトロの現場では飛び散ったウンコを片けたりね。今となっては懐かしいトラウマです。実際のところ何の弟子だかよく分からないんですが、人生の師匠だと思っています。芸よりももっと大きなことを学んでいますね」 ――ちなみに、ホモ映画に出演されたというのは本当ですか?
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「はい、20歳の頃の話です。3人兄弟で上の2人がホモで、その事実に末っ子の僕が胸を痛める。しかし最後には自分もそうなって......というストーリーでした。竜二さんの知人が監督だったので、『坂本くん、映画出ぇへんか?』という話になったんです。『ピンク映画はアフレコやさかい、活弁の勉強になるで~』『君ナ、守備範囲が広ないとええ芸人になれへんで〜』と。とどめに『大蔵映画さんの創立者は君、大蔵貢やで。あの人、元は活動弁士やないか! 同業の大先輩が創った会社の映画に出られるんやで〜』と。他にも竜二さんの素晴らしい導き(?)によっていろいろなことを経験しました。僕、竜二さんみたいな、父親くらいの年齢の人に弱いんですよ。しかもまだ若いうちにそういうアクの強い人と出会ったために、自分もアブノーマルにならなきゃとかぶれちゃった、というのはあります。でも、アブノーマルにならなきゃと思っている時点で、アブノーマルじゃないんですよね」 ■怪作シリーズ『サザザさん』の誕生 ――そういうことと並行し、活弁もやっていたんですか? 「干されていたのであまり仕事はありませんでしたが、やっていました。ただ、ライブをやっても、昔の映画だとどうしても自分と同年代の人の集客が厳しい。どうしたらいいんだろうと考えていた頃、知り合いからパソコンをもらったんです。アニメ編集のソフトも入っていたので『自分で絵を描いて、新作の無声映画を作ろう』と思ったんです」 ――漫画家を目指していた経験も活かせますね。 「それで2004年に創ったのが『桃太郎』です。それが東京国際ファンタスティック映画祭で入賞し、ミラノ座で上映されました。桃太郎が小泉純一郎風、おじいさんが大滝秀治風、おばあさんの代わりのおじさん役が田中邦衛風で、桃太郎を鬼が島に行かせたくないおじさんが、桃太郎を毒入りのきびだんごで殺すというお話です」 ――シュールですね......。 「それがわりと面白いという評価を頂いて、自主映画のイベントやお笑いライブから声がかかるようになりました。ただ一作だけでは次がない、新作がいるなと思い『サザザさん』をつくったんです。現在、ライブでかける自作アニメは何本かありますが、そのうち6本はサザザさんです」 ――坂本さんの活動によって若い人への認知も上がっているんじゃないでしょうか? 「あんまり実感はないです。僕のネタを見て知った人は、僕をお笑い芸人だと思っているんじゃないかしら。活弁は本来お笑いではなく、僕だけその部分が濃い、ということなんですね」 ――本来の弁士としての活動で、お客さんを増やしていきたいという気持ちはありますか? 「あります。自作アニメと両刀で来ているから悩みも多いですが、やっぱり弱火でも種火でも良いから長ーくしぶとーく燃え続けて、幅広い層のお客さんに見て頂きたいです」 ――今の坂本さんの野望は何ですか? 「野望というか希望ですが、サザザさんのようなキツめなものではなく、普通のアニメをつくって説明したいですね。サザザさんもシリーズで続けている内に、アナ◯さんが会社の金を横領するとか、◯平がシャブ中とか、タ◯オのお腹に寄生虫が湧くとか、内容がエスカレートしてしまっていましてねえ」 ――ファンの期待に応えるのも難しいですね。 「普通の活弁より、サザザさんでの依頼の方が多くなっちゃいましたからね。ただ、アレがきっかけで普通の声優や、他分野のお仕事も頂いているので......良し悪しですよ」 ――けれども活動弁士をしながらアニメ制作は大変なんじゃないでしょうか? 「一人でやっているので、1作つくるのに3カ月近くかかっています。制作に集中したいので、その間は活弁の仕事を断っているってのが馬鹿な話でね。どっちが本業なんだという感じでしょ?」 (取材・文=萩原雄太[かもめマシーン]/撮影=菊地一馬) ●さかもと・らいこう 1979年、東京都出身。97年にマツダ映画社主催の話術研究会に入り、弁士修行を開始。20年12月、正式デビュー。以降、小劇場や単館系映画館、福祉施設、神社仏閣等で、時代劇作品を中心に活弁ライブを続け、現在に至る。これまでの説明作品は、『鞍馬天狗』『瞼の母』『剣聖荒木又右衛門』『子宝騒動』『カリガリ博士』『チャップリンの冒険』『眠るパリ』『のらくろ伍長』他、約50本。 http://blogs.yahoo.co.jp/qfdsj940 ・イベント「山本竜二 空前絶後の喋り倒し新年会!」 【日時】1月21日(金)OPEN18:30 / START19:30 【場所】阿佐ヶ谷ロフト 【出演】山本竜二、坂本頼光、川上ゆう(AV女優) 【チケット】前売\2,000/当日\2,300(共に飲食代別) 前売りチケットはローソンチケット【L:34756】&下記ウェブ予約&電話予約にて発売中! TEL 03-5929-3445 <http://www.loft-prj.co.jp/lofta/reservation/reservation.php?show_number=567
活弁士、山崎バニラ バニラさんとは同期です。 amazon_associate_logo.jpg
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「"声優"の仕事の幅広さにびっくり」【稲村優奈】10年に詰まったスクランブルデイズ

inamurayuna01.jpg  元祖フリーアイドルで声優のルンルンこと宍戸留美さんが、自らカメラマンとして可愛い声優さんたちの写真を撮り、さらにアイドルライターの私(小明)がインタビューする不思議な連載の8回目です! 今回は主演実写映画『つるし雛』の公開を控える女優・声優の稲村優奈さんです! ――稲村さんは今年でデビュー10周年なんですよね。振り返ってみて、どうですか?  あっという間ですよね。事務所に入って一生懸命レッスンをして、ドラマのエキストラとかちょっとでもテレビに出られたらいいなって頑張っていた時期も......。 ――エキストラって! 芸能界に入る人にしては珍しく目標が低いですね!  ちょっとずつ目の前の目標をクリアしていくようにしていたんです、ゲームみたいな感じで。お仕事した人たちは事務所の壁に「○○役」って写真が貼られるので、「次は私も壁に貼ってもらえるように頑張ろう!」って。 inamurayuna02.jpg ――へー! やっぱりNo.1が一番上で、キャバクラみたいな感じですか?  違います(笑)。その後、壁に自分の写真が貼られたら、「今度は新聞に出ている事務所の広告に載るように頑張ろう!」とか、ちょっとずつ目標を作っていって......本当に、ゲームみたいな感じでいろいろなことを体験できて面白かったです。 ――ちなみにどんなことを体験されましたか?  スクランブル交差点の真ん中で突然気分が悪くなってしゃがみ込む役があったのですが、カメラさんは写り込まないようにビルの2階にいるので、撮影をしていることを知らない一般の方々が心配して「大丈夫ですか? 救急車呼びましょうか?」って声を掛けて下さって......これはマズイ! と思い「あ、大丈夫です(汗)」って笑顔で答えたら、その笑顔がNGになってしまい何回もやり直しに(笑)。う~む。皆さん、ややこしい役ですみませんでした......。 ――本当に救急車呼ばれなくて良かったですね......。  あと、自動車教習所で流れる映像の撮影で、猛スピードのドライブ中に突然の急ブレーキとスピンを体験しました。運転する人はスタントマンなんですけれど、私はその隣に座っている人なので、あれはちょっと心臓が......。あとは、別のお仕事で崖ぎりぎりのところで車が止まるっていうのもありましたね。 ――なかなか貴重な経験をお持ちです! ところで、稲村さんは保育士の資格をお持ちなんですよね。  そうなんです。ずっと芸能のお仕事に興味があったんですが、大学では演劇とは別のことを勉強したくて。でも、「英語? 無理無理! 国語も無理無理!」って感じで(笑)。私は美術と音楽と体育と演劇が好きだったので、母から「あなたは多分、幼稚園か保育園の先生が向いてるんじゃない?」って言われて。子ども大好きだし、保育の勉強はいろいろなところで役に立つし、何よりも自分が楽しく勉強出来そう! と思い、ちゃんと資格をとって卒業する! という目標を立てて、今の事務所と両立しながら学生時代を過ごしました。 inamurayuna03.jpg ――両立だと、かなり忙しかったんじゃないですか?  授業が終わったらダッシュで事務所に行ってレッスンやお仕事をして、朝になったらお弁当屋さんでバイトして、大学に行って、終わったらまた事務所に行って......。 ――昭和の苦学生のような生活! 睡眠時間を削って勉強するわけですね!  いや、当時は夜の11時くらいになると眠くなってたんで、毎日6時間くらいは寝てましたね(笑)。みんなとワーッと騒ぐときは頑張って起きていたんですけれど、時間が遅くなると、「もう限界です......」って(笑)。 ――健全です! 自堕落な生活で寝ずにここに来ている自分が情けないです。  いやいや、あの頃は健全でした......。今は調べ物をしたり、何か作ってたりしたら、「あら? もう午前3時?」ってことが多くて。 ――ブログを見てると、たまに「就活に行ってきます」と書かれてますが、就活というのは......?  大学で、友達が幼稚園や保育園に就職活動に行っているとき、みんなに「いいね、就活がなくて」って言われたんです。でも私は、お仕事を得るために一生"オーディション"があるわけで......。芸能界は不安定な職業だし、どうなるか私自身も不安だから、オーディションを頑張ったり、普段の練習を頑張ったり......そういう意味で当時から「オーディションは就活だ!」と思っていて、「みんなは今頑張ればしばらくはお仕事していけるけど、私は一生就活なんだよー!」って、同級生を励ましていました。 inamurayuna04.jpg ――なるほど! ボーナスとか有給休暇とか、まずもらえない仕事ですもんね......。ちなみに、2003年の『WOLF'S RAIN』のミュウ役で声優デビューされたわけですけれど、初めて声優の仕事が決まったときはどんなお気持ちでしたか?  びっくりしました! まさか声優のジャンルに自分が関わりを持つとは思っていなかったので。でも、小学生の頃から妹と一緒にマンガに声を当てたりしていたから、それがここに繋がった! 面白いなって(笑)。妹と一緒に、「じゃあ、私が今日はヒロインやるから、あなたはこっちの人ね」とか、「声の高さはもっとキャピキャピにしてみたら?」とか言っていたりして(笑)。だから声優のオーディションを頂いたときは、初めに一番信頼できる妹に聞いてもらって、「お姉ちゃん、それはちょっとイメージが違う。もっとこうした方が良いよ」とかアドバイスをもらっていました。そうするとだいぶ高い確率で受かるんです! ――いいなぁ! 私も子どものころ声優さんに憧れて、自宅でひとりアテレコしてました! 姉に見つかって爆笑されて言いふらされて心が折れましたけど......仲の良い姉妹、羨ましいです! 内側から見た声優業界って、どんなところなんですか?  以前は"声優さん=とっても可愛いアニメ声の方"って言うイメージだったんです。一番初めに受けたオーディションで見た声優さんが、こやまきみこさんで......。 ――それはまたガーリーな!  そうなんです。普段からアニメ声だったりラブリーな服装をされている方だったので、「声優さんになったらとにかく可愛くしないといけないし、高い声も出せるように頑張らないと......」って。でも、実際入ってみたらいろんな方がいらっしゃったので、私、間違っていたなーって。それに、"声優=表に出ないお仕事"っていうイメージが強かったんですけれど、ラジオもあるし、雑誌もあるし、歌も出すし、声優さんがパーソナリティをしているテレビのお仕事もあるし、どのタレント業よりも幅広くお仕事をこなしている業界なんだなって、びっくりしました。 inamurayuna05.jpg ――今年は声優業だけじゃなく、映画『つるしびな』で主演したり、良い10周年になりそうですね! どんな役どころなんですか?  父親に反対されながらひとりで子どもを産み、父との間に確執が生まれ疎遠になってしまっているシングルマザーのナース役です。子育て、仕事、いろいろなことを一人で抱え込み苦悩し、泣くシーンも沢山ありました。作品は、家族愛をテーマに描かれています。台本は何回読んでも泣けてしまって......。私、家族愛に関するものとか、人が死んでしまう作品、そういうのに弱くて。『つるしびな』でも母親を小さい時に亡くしている役なので、もし「自分の母が死んでしまったらどうしよう!」って、自分の事に置き換えて考えたら悲しみのスイッチが入っちゃって......。 ――すごいなぁ、大勢のスタッフさんがいる中で涙を流せるのは、本当に女優さんですよね。  でも、恋愛ものとかで、恋人と別れる役になると泣けなくなるんです(笑)。 ――えっ、どうして?  その感情スイッチがまた別なんでしょうね(笑)。いくら悲しいんだろうなって思っても、何故か泣けない。もちろん頑張って泣きますが......。だからこの役が家族愛の話で良かったです。 ――恋人に現実味がないとか? 稲村さんはどういう感じの男性がお好きなんですか?  私がオヤジギャグとか、楽しいことが大好きなので、一緒にノリノリで馬鹿をやってくれる人が良いですね。「この人、私より馬鹿なんじゃない!?」ってくらい前向きな人! 妹と弟が先に結婚したので、「お姉ちゃんはいつ嫁に行くんだ?」って仕事現場でも心配されて、親も最初は「ゆっくりでいいわよ」って言ってたのに、最近は「誰かいないの? 本当に良い人いないの?」って言われるんです。 ――私はもう母親に気を遣われて、そういう話が禁句になってきてます......。  私はお仕事なんかでそういう話が出たときには、豪華な共演者の方々が「優奈ちゃんの結婚式の時には私たちが頑張るから!」って言ってくれて、余興をやってくれる人が何人もいるし、演奏してくれるミュージシャンもいるし、準備は万端です(笑)。たいそう楽しい式になるんじゃないかと。 ――是非行きたい! 結婚のご予定はあるんですか?  ないです(きっぱり)。 ――......えっと、じゃあ、10周年で、何かやりたいことはありますか?  10年間の間にドラマ、声優、いろんなお仕事をさせていただきました。その中でアニメのキャラクターソングもいっぱい歌わせていただいたのですが、1回も人前で歌えなかったものがたくさんあるので、何かイベントが出来たらいいなって思っています! それが実現したら、是非遊びに来て下さい☆ ――楽しみにしてます! 今日はありがとうございました! (撮影=宍戸留美/取材・構成=小明) ●いなむら・ゆうな 1982年、鹿児島県生まれ。2003年アニメ『ウルフズレイン』ミュウ役で声優デビュー、以降『ギャラクシーエンジェる~ん』、『家庭教師ヒットマンREBORN!』等、様々な作品に出演。ドラマ・舞台・映画・ライヴと幅広く活動中。3月17日より池袋シアターグリーンで公演する『ニコニコミュージカル・ニコニコニーコ』に出演。主演映画『つるしびな』は2011年公開予定。 ブログ『You+優』http://blog.livedoor.jp/inamurayuna/ Twitter http://twitter.com/yuna_inamura ●ししど・るみ 1973年福岡生まれ。90年アイドルデビュー。92年フリーランスアイドルへ。現在はシンガーソングライター、歌手、声優、カメラマン、司会等で活躍中!! ■ワンマンライブ「ホロヨイサングリア vol.5」 下北沢BAR CCO(バル シーシーオー/下北沢440系列のワイン&イタリアンバー) OPEN:19:00~START:20:00~(2ステージ予定) 予約メール→ shop@rumi-shishido.com ■USTREAM音楽番組「宍戸留美×津田大介 Oil in Life」 隔週金曜日放送中!! 次回予定!1/28(金)22:00~ 2/11(金) http://www.ustream.tv/channel/junstv?lang=ja_JP ■下北沢発インターネット音楽市場【Majix】ニューアルバム「CHERBOURG→BRIGHTON」発売中!! http://www.majix.jp/artist_content/187 公式HP http://rumi-shishido.com/ ●あかり 1985年、栃木県生まれ。02年、史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。 ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/> サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中
アイドル墜落日記 小明ちゃんは芸歴9年目です! amazon_associate_logo.jpg
【声優 on FINDER!】バックナンバー 【vol.07】「ビキニを着たこともないんです」【蝦名恵】3カ月目のヴァージン・シュート 【vol.06】「生き急いだ分、戻ってやり直しができると思う」【江里夏】10歳で見たデイドリーム 【vol.05】「何でも出来るって、とりあえず言っちゃう」【矢野明日香】360度のワークフィールド 【vol.04】「考えてると、寝ちゃうんです......」【窪田涼子】東経135度のモラトリアム 【vol.03】「いいものを出せば必ず返ってくる」【チャン・リーメイ】100%のプロレス・マインド 【vol.02】「いつもどこかで、なんとかなるさ」【片岡あづさ】22歳のセカンドフェーズ 【vol.01】「Twitter始めるまで、いつも泣いてた」【宍戸留美】20年目のセルフポートレート

楳図かずおさんの至言「世界を相手にやっている人は、友達作っちゃうと危ない!」(後編)

umez_akari02.jpg ■前編はこちらから ――なるほど~。そう言えば、お二人とも携帯電話を持ってらっしゃらないんですよね。 長尾武奈監督(以下、長) 持ってないですね~。学校を卒業するから、4月からは持とうかな。 楳図かずお氏(以下、楳) たぶん携帯電話持ったって、やり取りする相手がいないと思う(笑)。 ――アハハ! 分からないじゃないですか!  いや、今、なかなか友達ができないというか......。 ――長尾監督のTwitterを見てると、クレイアニメの制作の話の他に、ちょいちょい「 まいんちゃん」とか「けいおん!」っていうワードが出てきて親しみが湧きますよ!  でも、友達ってできたらアイデアをパクられたりしない? それは用心だと思うよ。世界を相手にやっている人は、迂闊に友達作っちゃうと危ない。 ――あ、それはあるかもしれないですね。手塚治虫先生にパクられたというエピソードをお持ちの楳図先生ならではのアドバイス! 私はぜんぜん世界には相手にされてないですけど、売れてる友達に「オススメのマンガとかCDある?」って聞かれて、「コレが面白いよ!」って薦めると、そういう仕事が全部そっちに入っちゃう! 「うわー、私、何にも残らなかった」みたいなことがたまに起こりますよね。漫画の世界もそうですか?  ねえ? やっぱり漫画家は漫画家の友達がいたって、自分の知り尽くした世界に新しいものってないし、やっぱり面白くないんですよ。 ――だから楳図先生は小説も漫画も読まないし、映画もほとんど見ないんですよね?  そうですね。それに、影響を受けるというか、コピーになりたくないっていうのがありますよね。見ちゃったら少なくとも影響はあるはずなので。自分でオリジナルを作ろうと思うと、既に頭にあるものをどうやって排除しようかと工夫するじゃないですか。そんなに苦労するんだったら、最初から何も見ずに一生懸命考えたほうがいいです。 ――恐れ多くも、分かります。私たちの世代って、既にいろんな素晴らしいものがあった上で、既に影響されて入っちゃってることが多いから、何か新しいものを作ろうと覚醒したとき、初めはノリノリなんですけど、だんだん「あれ? これ、見たことあるな?」とか「もう誰かが先にやってた!」ってことがすごく多くて......自分の凡人ぶりが悲しくなります。  そう、そうなっちゃうんだよね。そこが嫌なんで、だから見ずに最初から考えて、たまたま同じようになったら、「同じこと考えている人がいるんだ~」って思えるけど、見ちゃったらねぇ。難しいところでねぇ。  ホラー映画とかを見てても、「似た場面があるな~」ってことは多いですよね。"オマージュ"という言葉の魔術......。 ――オマージュとか、インスパイアとか、尊敬するからあえて取り込みましたっていうのも多いですよね。例え同じシーンでも、クレイで表現されるとすごく新鮮でしたし。  新しく作ろうと思ったらそれは壁になっちゃうけど、オマージュだったら「オマージュです」って先に言ってしまってから始めよう。それに、彼のはキャラクターの形自体が、自分のものでやってますからね。 ――楳図先生や長尾監督みたいに、人と違う、新しいものを作るには、どうすればいいんでしょうか? もう、どう走り出したらいいのかも分かりません......。  新しいもの、人と自分と......っていうより、自分が作ったものの中で、「これは前にやったパターンだな」っていうのがあって、それをやめとこうってだけなんです。まずは、自分がまだやってないというところに目をつけた方がいいですよ。まず自分と戦って、それから外との戦い! ――先生がどんどん新しい言語を勉強したりするのも、自分との戦いなんでしょうか?  そうですね、それはあるかもしれない。そこからまた違うものが読み込める感じがして。田舎にいた頃、こもりきりで肩こりになったりしたから、今度は明るい人って感じで、夏祭りなんかにも出まくって、違うポーズをして......それ本当に、大事! ――現在進行形でたいして忙しくもないのにひきこもって無駄に肩こりしてるので、がんばります! お外に出て、なんでもやってみなきゃ!  新しいことは、コケそうなことでも、どんどんやっていきましょう(笑)。 ――好きでやってることでも、続けていくと気が滅入ることもありますよね。そういった時はどう対処してますか?  一時期、スランプというか、今日はコレをやらないといけないんだけど、どうしても気分が上がらないな、という時。そういう時はフラフラと外に出たりとか。  締切りとかはどうするんですか? 僕なんかは、スケジュールが最初から決まっているものなので、フラフラじゃなくて死に物狂いです。 ――じゃあ、あの吉祥寺の名物になっているお散歩の時間も?  そうですね、歩きながら考えてますね。考えるのと歩くのは一体になっているんです。昔の4コマ漫画に、よく部屋の中をぐるぐる歩き回るってのがあったんですけど、考えてるとああいう状態になってくるんですよね。だから、外に出て外を歩いて考えたほうがいろんなことが気分転換できたり、気分を休めたりできるので、家の中よりは外の方がいいんだけど......最近は、自転車とか車とかで、どこを歩いても危ないですよ。物を作る人にとって、考えるための道は不可欠だと思うんですけれど。 ――先生の場合は服装が目立つから、向こうから避けてくれそうな気も......。私、考え事とか悩み事があると、とにかく家の中で塞ぎこんでしまうんですよ。そうなるとどんどん下の方に下の方に行っちゃって、「もう消えたい......」みたいになっちゃって。それって、やっぱり完全に逆効果なんですね......。  でも、陰気な方に行ったほうが考えやすいんですよ。周りから情報が入りすぎちゃうと、気分は新しくなっても、上手く考えられないから。頭の中を活発にさせようと思ったら、やっぱり強い刺激より、ゆったりした自然の中に自分を持っていった方が、自然にいい考えが出てきますよ。 ――そう言えば、静かな夜道なんかを歩いていると、いつもより色んなものが見えてきますよね。  ......夜道と言えば、昔、高田馬場にいた頃ね、当時は夜でも安全だったので、高田馬場から新宿に向かって歩いてたんですけど、ある時、10m先に女の人がいるんですね。その後を僕が歩いているんですけど、そのままずっと10m間隔で進んでいって、これが結構長いんですよ。で、その女の人が道沿いにある自動販売機にススッと行ってお金をいれて、ガチャッと落ちてきたジュース缶を握った瞬間、僕にそれをガッ!! と!! ――ギャーッ!(楳図先生の絵で想像して下さい)  女の人は、後ろから誰かが歩いてくるとそんなに怖いんでしょうかね? ――そりゃ怖いですけど、災難すぎますよ! もし、長尾監督が夜道をそうやって歩いていて、間違って女性に通報されたとするじゃないですか。で、家宅捜索が入った場合......。  ビデオに撮っておいたホラーのテープが棚にいっぱいで、テーブルの上には、メイドさんやゾンビの血みどろクレイが......。  それはマズイ(笑)。 ――もう逃げられない(笑)! 気をつけてください! お二人とも、今日はありがとうございました! (取材・文=小明) ●楳図かずお(うめず・かずお) 1936年和歌山県生まれ。55年マンガ家デビュー。以降、数々の伝説的作品を発表し、各界に多くのフォロワーを生んでいる。審査員を務めた「第10回 DigiCon6」優秀賞のクレイアニメ『チェーンソーメイド』(ポニーキャニオン)を推薦中。 ●長尾武奈(ながお・たけな) 1986年京都府生まれ。高校時代からクレイアニメの制作を始め、国内外の映画祭で高い評価を得る。代表作『チェーンソーメイド』はYouTubeで300万回以上再生。DVD『チェーンソーメイド』(ポニーキャニオン)発売中。 ●小明(あかり) 1985年栃木県生まれ。02年史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。 ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/> サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中
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小明の「大人よ、教えて!」"逆"人生相談バックナンバー 【第19回】 キングオブコメディさんの至言「いつ辞めてもいいから、続けられるんです」 【第18回】 バカリズムさんの至言「モヤモヤは、そのまま持ち帰って立ち向かいます」 【第17回】 島田秀平さんの至言「小明さんの手相にはアブノーマル線があるんです」 【第16回】 小森純さんの至言「写真のチェックとか、自分では一切しないんです」 【第15回】 堀江貴文さんの至言「もうメジャー路線っていうものは存在しないかもしれない」 【第14回】 稲川淳二さんの至言「自分の子どもを殺そうか、と思った自分が一番怖かった」 【第13回】 蝶野正洋さんの至言「自分の役割の中で、最大限に光らなきゃならない」 【第12回】 有野晋哉さんの至言「アイドルは『育ちがええねんなー』っていうのが大事です」 【第11回】  鳥居みゆきさんの至言「やりたくないこと、やらないだろうな、ってことをやるの」 【第10回】  宇多丸さんの至言「人にはだいたい『ちょうどいい』ところがあるんです」 【第9回】  桜木ピロコさんの至言「あたしいつもだいたいいやらしいことしてるもん!」 【第8回】 伊集院光さんの至言「結局、うんこを食うしかない状況になるんです」 【第7回】 ルー大柴さんの至言「ライフっていうのはマウンテンありバレーありです」 【第6回】 大堀恵さんの至言「私、いつも『アンチ上等』って思ってるんです」 【第5回】 品川祐さんの至言「なったらいいなと思ってることは、だいたい実現する」 【第4回】 福本伸行さんの至言「俺は『面白いものを作ろう』じゃなくて、作れちゃう」 【第3回】 大根仁さんの至言「ネットの書き込みなんて、バカにしていいんじゃない?」 【第2回】 杉作J太郎さんの至言「そんなことより『ファフナー』見ろ、『ファフナー』を」 【第1回】 河原雅彦さんの至言「もう無理やりヤラれちゃえばいいんじゃない?」