ヒロシさんの至言「女の人はね、僕と約束してる日にカゼひくんですよ」

hiroshi_akari01.jpg モテない、金ない、華もない......負け組アイドル小明が、各界の大人なゲストに、ぶしつけなお悩みを聞いていただく好評連載。第33回のゲストは、DVD『ドキュメンタリーオブヒロシ~空白の1500日~』が絶賛発売中のヒロシさんです! [今回のお悩み] 「相談に答えてほしいのですが……」 ──わーヒロシさんだ! 本日はよろしくお願いいたします!  すいません。はい。すいません。 ──……なんで謝るんですか?  いや、謝っとけば間違いないんで……。 ──……。えっと、うちは親子そろってヒロシさんのファンで、ヒロシさんと対談させてもらえるって言ったら母親が凄く喜んで、デコメで「よろしく伝えて(はぁと)」って言ってました(笑)。  お母さんでしょ? よく言われるんですよ、「お母さんがファンです」とか「おばあちゃんがヒロシのネタに反応するんです」とか……。最近、久しぶりに本を出したんですけど、読書カードってのが挟んであるじゃないですか? それを見てたら、全部60オーバーなんですよ。若い人でも40代。若い人で「私がファンなんです」って人、あんまりいないんですよね。タレントさんとかでも、人づてに「この子、ヒロシのファンなんだってよ~」って聞いてたのに、現場で会ったら「あ、どうも」みたいな……なんなんでしょう? ――え? いや、あの、えーと、私、ファンです……よ? 気を取り直して、ヒロシさんの新しいDVD『ドキュメンタリーオブヒロシ~空白の1500日~』(コンテンツリーグ)はすごい内容でしたね~! ただ……発売がたった200枚っていうのは本当なんですか?  愕然としましたね……。作ったのはもっと多いんですけど、実際に店頭に並んだのは200枚だって。ぼく、本とか出すときは、「だいたいどれくらい売ればトントンになるんですか?」って聞いて、そこを目指すんですけど、一番最初の打ち合わせで「1,500枚」って言われて、「じゃ、1,500枚売れば元も取って、みなさんにギャラを払えるレベルか~」と思ってたのに、200枚って……。 ──どんだけ売れてないアイドルでもその数字はあり得ないですよ! だってヒロシさんの『ヒロシです。』(単行本/扶桑社/2004年)は30万部ですよ!?  そう。DVDだと『ヒロシ会』(ユニバーサルミュージック/05年)が4万5,000枚くらいかな。それで、これが200枚(笑)。 ──笑ってないで、怒ったほうがいいですよ!  怒ってもね、しょうがないよね。 ──しかも発売イベントはスタッフが会場を取り忘れて、場所が……土浦でしたっけ?  そう、土浦のイオンモール。よくご存知で。で、「とりあえず場所は押さえたから行ってくれ」って言われて、バタバタでチケット取って行ったんですけど、振り返って考えたら、ぼく、交通費だけで7,000円くらい使ってるんですよ。このDVDは3,000円なんで、そのお金で2枚買っほうがいいですよ。どうせぼくには1円も入ってこないだろうし……。そのイオンモールでも、ぼく、ネタを2回やってね、サイン会もやって、80枚も売ったんですよ? 現物がないのに。 ──えっ、現物ないんですか? 発売イベントなのに?   そうですよ! 「どっかにないんですか?」って聞いたら「静岡の倉庫にしかない」って……おかしいでしょ!? ──DVDないのに、何にサインするんですか?  えっとね、小さいサイン色紙を買って行ったの。さらにそこで買ってくれたお客さんは、送料の分、500円多く払わなきゃいけないんですよ? ほんと申し訳なくてね……。 ──アマゾンで買った方が安いですね……。  ほんとにそうなの……。ぼく、Twitterとかブログをやってるんですけど、コメントを見たら、やっぱり「売ってねぇんだけど?」っていうのばっかりで、「買いました!」っていうのが全然ないんだもの! 最初はそれに「申し訳ありません」って返事してたけど、だんだん「なんでこんなことやってるんだ」って思ってきちゃって……。 ──なぜかヒロシさんがすごい謝ってましたね。  そう。なんで俺が謝んなきゃいけないんだろう……。 ──発売後までネタになる話が満載ですね!  そんなつもりは全然ないのに……。やっぱりこれはドカンと売って、「ヒロシ、やっぱり作ったら売れるんだな!」とか、そういう風に思われたかった……。 ──でも、DVD自体はすごくいいドキュメンタリーでしたよね。お笑いブームの時に密着していたスタッフが、ブームが去っていくとともに密着をやめて、ヒロシさんの立場がどんどん危うくなっていく様子とか、切なすぎてお腹が痛くなりましたもん。こういうドキュメンタリーって、どれくらい台本があるものなんですか?  台本っていうのはほとんどなくて、大まかなことしか決めてないですよ。あとの流れは全部アドリブで。 ──離れていくドキュメントのスタッフに「前にNG出した九州の実家取材の話ですけど、アレ、やっぱりOKなんで!」って食い下がる様子とか、AVの人がだんだんNG事項を減らしていくのってこういう感じなのかな、と感慨深かったです……。でも一番ズーンときたのは、九州の実家取材のために自分でわざわざレンタカーを借りて、その車内でヒロシさんがスタッフにめちゃめちゃ気を使っておどけて、それでもやっぱり無視されたりして……もう、自分の学生時代を見ているようで……!  はははっ! ああー伝わってる、ちゃんと伝わってるんだねぇ……。 ──沈黙を恐れてはしゃぐ感じとか、学生時代に間違ってレベルの高いグループに入っちゃって、がんばって盛り上げるけど、やっぱり会話に入れてもらえない、みたいな思い出が蘇って、胃がキリキリしました。  そうそうそう! コンパとか行ってもしゃべれなくて、しゃべらなきゃと思って下ネタ言ってスベる、みたいな。ワンランク上に行こうとしてね……。でも、小明さんってそんな人ですか? 中学高校のときも一軍だった女の人みたいに見えるけど。 ──ありがとうございます、中学をひきこもりで過ごさせていただきました。  あ~、そうですか~(うれしそうに)。 ──それで高校からがんばり始めて、調子に乗ってグラビアを始めて、売れなくて、こじらせ続けて、現状です。  なるほどね~。そっかそっか~(すごくうれしそうに)。 ──このドキュメンタリーは、ヒロシさんの自叙伝の『沈黙の轍』(単行本/08年/ジュリアン)を読んでから見ると余計に辛いですよね。炭鉱の町で純粋に生きていた健一少年が、どうしてこんなことに……と。  えー! 読んだんですか? ありがとうございます! ──文章がお上手でびっくりしました、すごくちゃんとした短編集ですよね。  おー! おー! おー! だんだん気持ちよくなってきましたよ! でも、そんなこと言って帰りにエレベーター乗った後に舌をぺろっと出すんじゃないでしょうね? 「言ってやった(笑)」みたいに言うんじゃないでしょうね? もう人を信じられないから、俺は。危うく気持ちよくなったけど、もう気持ちよくなりませんから。騙されませんから。 ──なんでそんなに人を信じられないんですか! でも、本当にこういう文才も、世間の人にいまいち届いていない感じで残念ですよね。  そう。だから引き出せないんですよ、事務所が。俺はいろいろ提示するけど、「それはない」とか言われるから、辞めてやろうと思ってんの。ははは。 ──ヤケになっている! この『沈黙の轍』もご自分で書かれて、ご自分で持ち込みに行かれたとか。  そうですよ、全部そうです! 打ち合わせも全部ひとりで行って、編集の人を家まで車で送ったりして……。その『沈黙の轍』の表紙は実家がある炭鉱の町で撮ったんですけど、まずスタッフのみんなで福岡まで飛行機で行って、そこから俺が自分で車を運転してみんなを地元まで連れて行きましたから。 ──うわ! リアル『ドキュメンタリーオブヒロシ』! ちなみにこの本はどれくらい売れたんですか?  これはね、2万5,000部て聞いてたんですけど、おとといくらいに、「実は1万5,000部しかはけてなくて、1万部在庫が残ってる」っていうのを聞いて……。 ──でも、出版不況の中、それだけいったらかなり立派ですよ! 前の『ヒロシです。』とその続編もあわせたら、全部でどれくらい売れたんですかね?  えっとね、あわせて50万部くらいかな。 ──家が建つくらいの額じゃないですか!!  そうですね、普通に考えて、小さい家なら建ちますね。けどね、持って行くから。事務所が。税金も持って行くから。 ──ああ……。なんか、言葉を失います。えっと、ヒロシさんは、昔39万円の家賃の部屋に住んでいたと聞きますが、今もやっぱりそれなりに良いところにお住まいなんですよね?  今は4万3,000円。 ──嘘でしょ!?  いとこの家に住んでます。もう、ぼくね、贅沢いらないんですよ。ほんとは千葉に家を買おうと思ったけど、実際に見てみたらすごい山の中でね~。これはひとりじゃ鬱がひどくなると思って。 ──鬱は悪化しますよね。私、今都心を離れて窓からの景色が畑っていう戸建てに住んでるんですけど、都心で感じる孤独と、人がいないところで感じる孤独は桁違いです。  でた! マジですか!? 思い切ったことやりますね~! ──とりあえず、寝酒が進みます。あは……。  え~? そんなところ行こうと思わないですもん~! ちょっとした旅行になりますもんねぇ(やっぱりうれしそうに)。 ──ええ……。  ぼくもねぇ、そういう場所に家を借りてやっていこうかと思いましたけど、そこまでの勇気がなくて、結局川崎の一軒家を借りたんです。二階建てで屋上があって、ぼくはそこで家庭菜園なんか楽しめると思って借りたんですけどね、そのー、ひとりで一軒家って、すごい苦痛だなって思いましたね。「屋上がいいな~」と思って借りたんですけど、階段で行くからキツイんですよ。だから、結局は二階の一部屋を半分に仕切って、わざわざ狭いスペースを作ってそこだけで生活してました。 ──私も見事に一部屋の隅しか使ってないです。  そうでしょー? ただぼくの場合、ずっと狭い場所に住んでたから、一回は良いところに住みたいと思って、家賃39万の東京タワーが見える部屋を不動産屋に乗せられて借りちゃったんですけど、実際住んだら、「いらねえな……」って。 ──でも、そんな部屋だったら女性も連れ込み放題ですね!  そのときは超忙しくて、39万払ってもほとんど家に帰れてないんですよ。意味ないんです。 ──ホスト時代、冴神剣さんだった頃に住めればもろもろうまくいきそうなのに、都合良くいなかいものですね~。ホスト時代は公園で暮らしてたんですよね?  公園には3週間くらい住みましたね。完全歩合で、ぜんぜん指名がなかったので、基本的に給料がないんですよ。月曜から土曜までホストやって、えー……だいたい月に3万円くらいだったかな、給料。それでお金が足りないから日曜はコンビニでバイトしてましたもん。そんなんじゃ、どんな安いところでも借してもらえないから、2年間くらい家がなかったですね。 ──その当時はもう芸人さんだったんですよね、どんなお仕事をされてたんですか?  当時は別の事務所に所属していて、コンビで売れようと思っていたから、相方がいたんです。で、相方が辞めるって言いだして……。それから滅多に受からないオーディションに受かったんです。内容は教えてもらえなかったんですけど、「とりあえず2~3日分の着替えだけ持ってこい」って言われて、変なワゴン車に乗せられて、埼玉のえらい奥の方に連れて行かれて、「あそこの家を訪ねなさい」って言われて行ったら土建屋の親父が「遅い! 着替えろ!」って怒ってて、そのままとび職の現場に連れて行かれて、そこで住み込みで働いて……。 ──……え? すみません、それ芸人さんの仕事ですよね?  そういう企画だったみたい……。一応テレビの特番なんですけど、2カ月間しっかり土木作業をやって働いて、給料振り込まれてるの見たら、2万5,000円。もう携帯も止められてるし……。 ──テレビの企画にかこつけて、タコ部屋で働かされたような……。でもやっぱりテレビですし、放送後の反響は?  なーんもない。 ──……。  (失笑)。 ──……えっと! 音楽活動の話とかも聞かせてもらっていいですか!? ヒロシさんは学生時代にコピーバンドをやられてたんですよね、何のコピーバンドをされてたんですか?  なんだろ、結局、流行ってるのをやったんで、最初はXがまだメジャーにいく前のCDをコピーしたりとか、BOφWYとか、ZIGGYとか、そういうのをやってました。 ──バンドブーム世代ですし、バンドってモテますよね。  そうなんです。だからそれ目当てでやったんです。 ──でしょ? モテるはずなんです。なので、いまいち、そのヒロシさんのひねくれた根っこが見えなくて。あの、青春時代を謳歌できた人って……。  ひねくれない、でしょ? 学生時代にバンドやってるって、一見、謳歌してるように見えるでしょ? でも実は何も謳歌してないんですよ。バンドブームって言ったって、モテない人が作った童貞バンドなんか何も潤わないよ。みんな童貞なんだもん。やっぱ、人気あるバンドはみんな彼女がいてチヤホヤされるし、バンドでもそこにもう確実な格差があるもん。 ──あわわ、でも今でもかなりまじめに続けられてますし、人気なんじゃないですか?  結局ぼくのファンしか来ないから、何人か残存している、コアな8人くらいが来てくれるくらいです。 ──お笑いとバンドって、モテるツートップですけれども。  そうですよね、うふふ。……あれ? なんで? おかしいですよ。なんでモテないんですか? ──なんででしょう……。あの、試しにご自分からガツガツいかれてみては?  自分からいっても気に入られないから、どうしようもないよね。だって、ネタにもしてるけど、みんなカゼ引くんですよ、約束してる日に。 ──私もカゼひいたことあります(笑)。  カゼひくでしょ? ひいていないのに。 ──前日の夜になると急にひくんですよ、なぜなんでしょうね。  そうでしょ? それですよ。女の人と一生会えないんじゃないかと思うもん。あと、「犬に餌あげなきゃいけない」とか、「友達が泣いてるから慰めなきゃいけない」とかさー、よくわかんないこと言ってさー。 ──そこから生まれたのか分からないですけど、「コンドームが減りません」って言うネタが好きです。  コンドームが減らないんですよ……! ドンキホーテでダース買いしたのに、下手したらまだ封もあけてないっていう……。 ──私も4~5年前に海外に行くとき、友達から「海外は危ないから!」って持たされたコンドームが、先日そのままの姿で出てきましたよ。海外も国内もぜんぜん危なくなかったです。ネタってかなり実話が多いんですね……。  だいたいそうですよ、分かりやすくはしてますけど。 ──売れた後も、なおひねくれて続けているのはすごいですね、どこかで満足してしまいそうなのに!  モテないからですよ、単純に。 ──『ヒロシ会』のDVDでは観客の女の人が「ヒロシさんかわいかったですー」って頬赤らめてましたよぅ。  女性ってブームに弱いじゃないですか。現にもういなくなってるじゃないですか。今、だーれもいないじゃないですか。この『ヒロシ会』は一日だけやった単独ライブを収録したものなんですけど、恵比寿エコー劇場で、もう満員で入れないのに「入れろ! 入れろ!」って外でケンカが起きて、救急車で女性がひとり運ばれてるんですよ? ──ギャー! すっごい!  いま来りゃあ普通に入れるのにね? いまぼくがやってるバンドなんか、普通に来て普通にしゃべってるんですから、全然救急車呼ばなくてもいいのに、来ないでしょ? だから、「いまブームだから」っていう理由で来てるんですよ。そのときからそう思ってたから、もう一切信用できないですよね。 ──ヒロシさんの「一生応援します」ってファンレターに書いてた人が一切いなくなったけど、みんな死んだんでしょうか……ってネタ、ゲラゲラ笑いましたけど、実話と思うと悲しいですね。  そうですよ!「一生」「死ぬまで」って言ってたの来ないんだから、死んだんだなって。死んでるんですよ、みんな。 ──なんか……大変な人生ですね。  ほんとですよ。普通の人がぼくと同じ経験してきてたらね、どっかで自殺してますよ。 ──父親が炭鉱で働いてる時点で、ちょっとこう、背負うものがありますもんね。  あるでしょ? 炭鉱ってきいて絵が浮かぶでしょ? なんかその風情が。 ──うちの父親は炭鉱じゃないんですけど、地下鉄作業員の下請けの下請けで……。  ああっ、似たようなもんだよねぇ(うれしそう)。 ──しかもリアルにそこをリストラされてるところとかを見てしまって、子供心に複雑でしたよ。ヒロシさんは、ご家族とは仲いい方ですか?  えっと、ぼく弟がいるんですけど、20数年話してないですね。会ってないです。 ──あはは! 上京から一切連絡とってない感じ!  そうそう。こないだ実家に帰ったら知らない女の子がいて、「誰?」って聞いたら弟の子どもで、もう小学校4年生だって。それでぼくは弟の娘に人見知りして……しばらく無言でいたら「おじちゃん、しゃべんないんですね」ってボソって言われて……。 ──子どもに敬語を使われるってのもまた妙に辛いですよね、いっそバカな子どもだったらよかったのに……。  そうなんですよね、ワーッ! って来てくれればまだ対応できたかもしれないけど、「しゃべんないんですね」って言われたら、もうたまらなくなって家を出ようとしたら、「おじちゃん、また遊びに行くんですか?」って言われて……会話はその二言だけでしたね。はぁ。 ――あ、あはは……。あの、なんていうか、ヒロシさんは、テレビとインタビューではしゃべりが微妙にちがうんですね。  そうなんですよ……! ぼく、テレビ出ると緊張するんですよ、華やかでおしゃべり達者な人たちが並んる中になんて入って行けないじゃないですか? 打ち合わせだったらしゃべれるんです。けど、本番になったら黙って座ってるだけ。たまに振られて「ヒロシです……」って言うだけなんですよ。 ──なんかこう、えーと、残念ですね……。  残念なんですよ……。小学校のとき、クラスで「はい! はい!」って手を挙げるタイプじゃなかったでしょ? ──はい。できるだけ先生と目を合わせないようにしてました。  ね? でも、そこで「はい! はい!」って言わなきゃいけないんですよ、テレビに出たら。前へ前へ行かないと……! ──もう、ヒロシさんがひな壇に座ってるのが奇跡のように思えてきました。確かに、みんなと一緒に立ち上がって「ちょっとちょっとー!」って言ってるヒロシさんは想像がつきません。  そう、言えないんですよ。でも言わなきゃっていう、もやもやっとした感じ。もう、「ああああああああああ!」って言いそうになるもん。画面上では、だまーってるだけに見えるけど、ぼくは発狂しそうになっている。「あああああああああああ!」って言いたくなるのを我慢して、じーっとしてるんです。 ──思ってたよりずっとギリギリな精神状態でテレビに出られてたんですね……。でも、ヒロシさんの著書には、よく後書きの部分にモテない人や報われない人生を歩んでいる人への暖かいメッセージが書かれているじゃないですか。あれ、泣けるんですよ。ヒロシさんのネガティブなネタに、そんな熱い想いが込められていたと気づいて、ハッとします。  そうなんです。そういうのはなかなか伝わりづらいけどね。ぼく、いちばん悔しいのは、中学生とかで自殺しちゃう人いるでしょ? そういうの、いたたまれなくてねぇ。いじめてるやつなんて、絶対たいしたことないのに、そのときは大きな存在じゃないですか? 学校の先生もたいしたことないのに偉そうに言うから、「俺が悪いのかな?」って思うかもしれない。けど、絶対そんなことはないんだよっていうのを伝えていきたいなって。でも、ぼく自身がバカにされてる存在だから、それはなかなか伝わんない。だから、本にちょっとだけそういうのを入れたりとかね。 ──今まで何の気なしに笑ってた自分が恥ずかしいですよ。『ヒロシです。華も嵐も乗り越えて』(東邦出版)に書いてあった、「九九が覚えられなくて教室に残されて、人よりも劣ってる欠陥人間なんだっていう気持ちをずっと引きずってる」っていうの、すごくわかります。私もずっと給食が食べ終わらなくておもらししそうになったり、いくら残って練習しても、ひとりだけ逆上がりができなかったり……。  ねー。でもねー、逆上がりなんかできなくたってね、金儲けはいくらでもできるんですよ。でも、そのときの子どもには、それがすべてじゃないですか。逆上がりができたほうがモテるわけじゃないですか。足が速いほうがモテるわけじゃないですか。でも、いろんな才能があるわけじゃないですか。例えば写真を撮る才能があっても、小学校でそんな授業なんかないし、それだけじゃない、いろんな商売があるってことを知ってもらいたいですよね。だってこうやって愚痴言って金もらう仕事も、作ったわけですから、ぼくが。ずっと愚痴言い続けて。 ──本当ですね。なんだか思いもよらず良い言葉をいただきました。ありがとうございます!  そうでしょ。あと、メッセージとか発信してると、なんか、ちょっとかっこいいじゃない。モテそうじゃない。ちょっと尾崎豊っぽくて、ふふふ! 「こういう一面もあるのね、ヒロシちゃん」って思われたらいいな、と思って(笑)。 ──あっぶな! まんまと手中にハマるところでした! でも、この『ヒロシです。』に書いてある「マイナス要素を抱えながらも、絶対にモテてやろうと思ってます。だから、あなたも諦めないで」っていうくだりは、すごく希望になりますよ。ヒロシさん、絶対モテてくださいね!!  そんなん言いながら、やっぱりモテてはないんですけども、ただ、あのー……実家に帰ってね、同級生とかと会うとね、当時イケメンって言われてた人たちが、どんどん劣化してるんですよ(笑)。ぼくは学生の時に超くやしい思いしてるから、そういう一軍の男子たちがハゲてたりしてると、もう、たまらない幸福感に包まれて……(満面の笑み)! ──また、地元にいる人たちって、ちゃんと働いたり子どもを育てたりで忙しいから、外見的に年をとるのが早い感じがしますよね。  そう! ふはははは! 早いんですよー! そうそう、こないだね、たまたまテレビでぼくの地元までロケに行ったんです。そしたらそこの観光協会かなんかで働いてる作業服の人が、「斉藤くん」って、ぼくの本名を呼んできてね、話聞いたら高校んときにヤリまくってた男で、「チッ」と思って終始覚えてないふりをしてやりましたね、ふははは! たまんなかったなアレは! 他にも「俺だよ、なんとかだよ」って言われて、「あ~あいつか」って分かっても気づかないふりをしますよ。一瞬「誰だっけ?」って間を空けてから、「あ~!」ってね。 ──「当時の自分だって、お前なんて別に眼中になかったから」っていう強がり!  そうそう、それがぼくの復讐です。たまんないです。今すごい幸せです。 ──幸せが、暗い……! ヒロシさんは普通に職につこうと思ったことはないんですか?  こういう仕事する人って、たぶん、普通の生活できない人たちでしょ? ぼくも一回だけサラリーマンになったんですけど、1カ月目で「辞めさせてくれ」って言いに行ったくらいだから、耐えられなかったんです。サラリーマンに。 ──ちなみに、どういう仕事内容だったんですか?  保険を売る仕事です。 ──またずいぶん社交性の求められるものを!  そう、知らないところにいっぱい電話しなきゃいけない。1カ月で心が折れて、出勤しないで家で寝てたんですけど、家に偉い人がきて、「おめえ何やってんだ!」って起こされて、「ああっ」って……。「せめて半年はやりなさい」って言われて、半年やって辞めました。 ──さっきから他人とは思えないエピソードばかりです。性別と時空を超えて、すごく共感をしています。  やっぱりねぇ、そういう人って話があいますよねぇ。だから、ダメなスパイラルがずーっと続くわけですよ。ぼくも、暗くてB型の人とよく話が合うからね。 ──うわ、私、暗くてB型です……!  そうでしょ(笑)? で、そういう人とばっか接してると、「こっちの思考が王道だ」って勘違いするようになるから、よくないんですよ。 ──そうなんですよね。たまに明るい人たちと話すと、「うわ、自分ってゴミ」と実感して落ち込んだりします。  そうそう。でもこっち側にいると、「やっぱおかしいよねー?」「あんなところであんなカラオケ歌うのおかしいよねー?」って。全然おかしくないんだけど、「わかるわかるー!」ってなるわけですよ、だから良くないんですよ。 ――わああ、私だ、私がここにいる! 私はもう本当にますますヒロシさん大好きですよ!  ほんとですか? なんだかうれしいなぁ。 ──そんなところで、ちょっと私の相談に答えてほしいんですけどもー。  無理ですよー。こっちが答えてもらいたいくらいですー。 ──(無視して)私もけっこうネガティブなんですけど、やっぱり、こう、「ネガティブは良くない」って言われがちじゃないですか? ぼやいたり愚痴を言ったり卑屈になったりとか、そういうことをずっとしてると、そのうちそれに飲み込まれて、もう戻れなくなる、と。  言われますよねぇ。 ──でも、なかなか直るものではないし……。  直らないです。でも、こうやって、取材して書くっていう立場にいらっしゃるわけじゃないですか。ぼくも本気でネガティブなんですけど、たぶん、大まかにはポジティブなんですよね。 ──私はポジティブというか、根が図々しいような気がしてます。  そう。一個一個は図々しくないんだけど、なんか大胆なところで多分そうなんです。だって、普通ネガティブな人がグラビアアイドルなんかならないでしょ? どっかで「私はあいつらよりモテるんだ」「イケるはずだ」って考えられたくらいのポジティブさがあったわけでしょう? ぼくもそうなんです。一個一個は全部ネガティブだけど、すごく、大きな流れではポジティブなんですよ。だってモテない人が「お笑いやってモテてやろう」と思ったんですから。自分で言うのもなんだけど、そういう人はまだ良いんじゃないですか? こういう風に仕事として、お金もらうわけじゃないですか。 ──確かにそうですよね……。今はまだネガティブな部分に対して、憤ったり、妬んだり、僻んだり嫉んだりする体力がありますけど、年をとったらどうなってしまうんだろう。  そう、危険なのが、こうやって注目されてるうちは愚痴がお金になるからいいけど、飽きられるでしょ? ──そうなったら、大ピンチですよ!  ピンチとネガティブさだけが残っていくから、やっぱりキツイですよね……! ぼくだってテレビに出なくなってからもネガティブな思考はそのまま残ってるわけだから、キツかったですよ。今は仕事してるから笑って話せるけど、これがなくなったら、ほんとキツイもんな、人と話す機会もないし。これは……ちょっとどうにか解決しなきゃいけないですよね……。 ──積極的に幸せになりにいくのが一番いいと思うんですけど、ヒロシさんは幸せになったら、もうネタが増えないじゃないですか? そうして無意識に幸せから遠ざかろうとしているのでは?  いやいや、幸せになったほうがいいですよ! 絶対! ──たとえば、所帯をもってみたりとか。  いやーそれは危険だなー。浮気されたらどうしよう、とか。 ──え~そこですか? 大丈夫でしょう、それは~。  だって結婚したら離婚するときにお金半分あげなきゃいけないんでしょ? 冗談じゃないよ! 実際、浮気されて離婚して金とられたって人が何人もいるんすよ、ぼくの周りに! でも法律ではそうしなきゃいけないらしくて、最悪じゃないですかー。 ──「浮気はしないと言っていた彼女の家に行ったら、便座があがっていたとです」ってネタもありましたけど、あれも実話だったんですねぇ。  そうそう、毎回あがってるんですもん! 便座あげるときって掃除するときくらいでしょ? 別に綺麗になってないのにあがってるんですよ! もっと言っちゃえば、ゴミ箱から精子のにおいがするんですよ? ぼく、なんにもしてないのになんでにおいがするんだろうって……。 ──だんだん、本当に付き合っていたのかどうかも心配になってきますね……。  そうなんですよ。もう「人間のお付き合いってなんだ?」ってことですよ。もっと言えば、「結婚ってなんだ?」ってことになってくるですよね。「病めるときも~」って神様の前で約束するのに……お前らは簡単に破るじゃないか!! ──女性不信すぎますよ!! でも、ほら、えーと、最近またテレビにも出るようになられて、また波が来てるじゃないですか!  来てますか? そんな感じは一切しないですけど……。 ──ヒロシさんの場合は、「最近見ないよね」「消えたよね」って言われてても、本を出したりラジオをやったり、普通に活動はされてるんですよね。でも地上波に出てないだけで消えたような扱いになっちゃう。私はグラドルでデビューして、最初だけほんの少しだけ出て、すぐ売れなくなったんですけど、今でも希に「あー昔グラビアで見たよね、今いないね」って言われることがあります。でも、ページがカラーグラビアから白黒の文字ページに移動しただけで、微妙に消えてはいないんですよ。でも可愛いグラドルが好きな人たちなんて、誰もこっちまで見てくれない。  うんうん。でもね、「サイゾー」でページを持ってるなんて立派ですよ。俺なんてアレくらいのブレイクを見せて、何も残ってないじゃないですか。 ――そんなことないじゃないですか、なんか、確執みたいなものが残ってると思いますよ。  確執だけ残ってもしょうがないじゃないですか! ほんと、いつまた落とされるかわかりませんし、「サイゾー」なんて良いですよ、しかも連載でしょ? ……サイゾーさん、このページで、ぼくでひとつ、なんかやってくださいよ……。 ──え! ちょっと、普通に私の連載枠を狙わないでください!  いや、あの、ノーギャラとかでも全然いいんで、あ、この、こことかでもぜんぜん大丈夫なので!(編集雑記を指さしながら) ――ちょ、やめてください! きょ、今日はどうもありがとうございました! (取材・構成=小明) ●ヒロシ 1972年、熊本県生まれ。コンビ芸人、ホストなどを経て、2003年ころからピン芸人としてブレイク。「ヒロシです……」で始まる自虐ネタで一世を風靡した。DVD『ドキュメンタリー オブ ヒロシ~空白の1500日~』発売中。 ●あかり 1985年栃木県生まれ。2002年史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。 ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/> サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中 ニューシングル「君が笑う、それが僕のしあわせ」発売中<http://cyzo.shop-pro.jp/> 月刊サイゾーにて「卑屈の国の格言録」連載中。 小明の「大人よ、教えて!」"逆"人生相談バックナンバー 【第32回】 ジャルジャルさんの至言「僕らのネタに深い意味なんかないんです」 【第31回】 オリエンタルラジオさんの至言「"変わってるって思われたい自分"も見透かされてる」 【第30回】 大槻ケンヂさんの至言「ネガティブを売りにすると自家中毒に陥るんです」 【第29回】 辛酸なめ子さんの至言「なんか、つい交尾の話とかしちゃうんです」 【第28回】 みうらじゅんさんの至言「アイドルライターってなんなの?」 【第27回】 山路徹さんの至言「バラエティーが怖いようでは戦場に行けないですよ」 【第26回】 浅草キッド・玉袋筋太郎さんの至言「相手がクンニしてる顔を思い浮かべなさい」 【第25回】 前田健さんの至言「自分は赤毛のアンの生まれ変わりだと思ってる」 【第24回】 叶井俊太郎さんの至言「結婚したければ高2で100人斬りの男を探しなさい!」 【第23回】 須藤元気さんの至言「僕の本なんて、ギャグみたいなものですよ」 【第22回】 オアシズ大久保佳代子さんの至言「本当はOLを辞めたくなかったんだよなぁ......」 【第21回】 Kダブシャインさんの至言「宇多丸は、Kダブをシャインさせない」 【第20回】 楳図かずおさんの至言「世界を相手にやっている人は、友達作っちゃうと危ない!」 【第19回】 キングオブコメディさんの至言「いつ辞めてもいいから、続けられるんです」 【第18回】 バカリズムさんの至言「モヤモヤは、そのまま持ち帰って立ち向かいます」 【第17回】 島田秀平さんの至言「小明さんの手相にはアブノーマル線があるんです」 【第16回】 小森純さんの至言「写真のチェックとか、自分では一切しないんです」 【第15回】 堀江貴文さんの至言「もうメジャー路線っていうものは存在しないかもしれない」 【第14回】 稲川淳二さんの至言「自分の子どもを殺そうか、と思った自分が一番怖かった」 【第13回】 蝶野正洋さんの至言「自分の役割の中で、最大限に光らなきゃならない」 【第12回】 有野晋哉さんの至言「アイドルは『育ちがええねんなー』っていうのが大事です」 【第11回】  鳥居みゆきさんの至言「やりたくないこと、やらないだろうな、ってことをやるの」 【第10回】  宇多丸さんの至言「人にはだいたい『ちょうどいい』ところがあるんです」 【第9回】  桜木ピロコさんの至言「あたしいつもだいたいいやらしいことしてるもん!」 【第8回】 伊集院光さんの至言「結局、うんこを食うしかない状況になるんです」 【第7回】 ルー大柴さんの至言「ライフっていうのはマウンテンありバレーありです」 【第6回】 大堀恵さんの至言「私、いつも『アンチ上等』って思ってるんです」 【第5回】 品川祐さんの至言「なったらいいなと思ってることは、だいたい実現する」 【第4回】 福本伸行さんの至言「俺は『面白いものを作ろう』じゃなくて、作れちゃう」 【第3回】 大根仁さんの至言「ネットの書き込みなんて、バカにしていいんじゃない?」 【第2回】 杉作J太郎さんの至言「そんなことより『ファフナー』見ろ、『ファフナー』を」 【第1回】 河原雅彦さんの至言「もう無理やりヤラれちゃえばいいんじゃない?」

AV誕生から30周年の思い出をAV好き作家・高橋源一郎とAVライター・安田理央がアツく語り合った!!

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対談は2012年3月某日、東京・高田馬場の安田理央氏事務所にてなごやかにとり行われました。
 佐川一政による「パリ人肉事件」が起きた1981年、アダルトビデオは誕生した。それから30年。このスペシャルイヤーを記念し、主要AVメーカー40社超が集結。プロジェクト名は、その名も「AV30」。時代とメーカーの垣根を超えてセレクトされたこのコンピレーション・AVシリーズが、12年1月より毎月5作品、合計30作品リリースされている。  このプロジェクトの監修を努めるライター/アダルトメディア研究家の安田理央氏と、安田氏とは旧知の仲で、AV好きとしても知られる作家の高橋源一郎氏の対談が実現。世代は違えど同じAV時代を生きた2人は、日本のAVシーンをどう見ているのか? 安田理央(以下:安田) 高橋さんがAVを見始めたのって、いつ頃ですか? 高橋源一郎(以下:高橋) 1983年ですね。僕は82年に作家デビューして、翌年に荻窪に引っ越すんだけど、マンションの隣にレンタルビデオ屋があったの。初めて借りたのは、和服を着たお姉さんが脱いでエッチしてるのかしてないのか、よくわからない作品。このとき僕は32歳かな。それから1~2本を経て、『ミス本番・裕美子19歳』(84年/宇宙企画)を見てびっくりしたんです。 安田 伝説の作品ですね。あの当時一世を風靡した宇宙企画の、いわゆる「美少女モノ」の原点になった。まずピアノのBGMが流れてきて、イメージシーンがあって、インタビューして……(笑)。 高橋 それからベッドに座って、男優が現れてキスして……っていう、一連のあの王道の流れはここから始まったんだよね。で、「ミス本番」だから、ほんとにセックスしてるのがわかるわけ。当時の女優さんなんて、ブスばっかりだったじゃない? その中にあって裕美子ちゃんは抜群に可愛かったから、「えっ、いいの!?」って、カルチャーショック。 安田 いま見ても可愛いですね。僕もそのぐらいからAV見てるんですよ。まだ高校生でしたけど、アルバイトしてビデオデッキ買って。 rio_gennichiro05.jpg ■文学は黒木香にかなわない? 高橋 いちAVファンとしては、「ミス本番」シリーズを追っかけてたでしょ。で、ほどなくして黒木香の『SMっぽいの好き』(86年/クリスタル映像)が出て、2度目の衝撃を受けた。すごい淫乱で、びっくりしたよね。 安田 監督の村西とおるさんに聞いたんですけど、当時は「女が淫乱」っていうAVなんてウケないだろう考えて、お蔵入りしかけたらしいんです。でも、その頃村西さんのところに出入りしてた警察官に絶賛されて、出してみたら大当たりしたという。まあ、村西さんだから話を盛ってるかもしれませんが(笑)。 高橋 あれは新しい表現だったよね。AVは本来オナニーのためにあるんだけど、はっきりいってあれじゃヌケないよ(笑)。だって気持ちよくなったらホラ貝を吹くって、爆笑するしかないでしょ。悲劇や死はセックスと結びつくけど、笑いとセックスは結びついたことがない。日本ではね。ほんとまいった。僕は、これ見たとき、「文学はこれにはかなわんな」って思った(笑)。 安田 実は、残念ながらこの2作品は、諸事情で「AV30」には入れられなかったんですよ。80年代の作品で収録されてるのは、一番古い人で84年の竹下ゆかり、あと主立ったところでは小林ひとみ、桂木麻也子、斉藤唯、葉山みどり、立原友香、美穂由紀、豊丸……。 高橋 全員見てる(笑)。特に、豊丸は強烈だったね。ここまでくると、もはや人間を超えてる。黒木香はまだ人間だったけど(笑)、豊丸は「何? セックスロボ?」って感じ。それまでの日本にはなかった洋ピンのノリで、しかもアソコがブラックホールみたいなんだもん。 安田 フィストファックしたり大根入れたりしてましたからね。この豊丸と同時期に葉山レイコが『処女宮 うぶ毛のヴィーナス』(88年/h.m.p)でデビュー。さらに89年に松坂季実子や樹まり子、90年に桜木ルイや星野ひかる、あいだももなんかが登場して、ひとつのAV黄金時代を迎えます。 高橋 「処女宮」シリーズもクオリティ高かったよね。宇宙企画の美少女モノにぶつけてさ。 安田 僕は、この頃ビデオ業界誌の仕事をしてたんですけど、あるときゴールドマン監督の作品にハマって、無理やりインタビューしにいったんですよ。そこからカンパニー松尾さんやバクシーシ山下さん、平野勝之さんといったV&Rプランニングの人たちと付き合うようになったんです。90年前後は、そういう異端の企画モノ作品が花開いた時期でもありますね。 高橋 バクシーシ山下さんの『ボディコン労働者階級』(92年)とかね。V&Rはアウトサイダーだったよね。 rio_gennichiro07.jpg ■期せずしてアートとなった「500人SEX」 安田 90年代半ばになると、ソフト・オン・デマンドなどインディーズ系(セルビデオ)メーカーが台頭して、00年代初頭にいわゆる企画単体ブームが起こります。以降、女優の質、量ともに充実するんですけど、例えばいまなお現役の吉沢明歩(03年~)や麻美ゆま(05年~)みたいな息の長いビッグネームがいる一方で、デビュー作が売れずにすぐ切られてしまう女優もいたり。そのへんはシビアになっていくんですよね。 高橋 社会の縮図だね。 安田 メーカーも苦しいんですよね。やっぱりインターネットの影響が一番大きいんですけど、作品の本数は増えてるのに価格は下がってますから。そうなると、とにかく売れる作品をつくらなきゃいけなくなって、結果、V&R的なもの、つまり企画性重視のドキュメンタリータッチのものなんかが排除されていく。 高橋 余裕がないから、遊べないんだよね。 安田 高橋さんは、昨年上梓された『恋する原発』(講談社)で集団セックスを扱ってますけど、ソフト・オン・デマンドの名作『500人SEX』(06年)みたいなのは、いまはもう撮れないですよ。 高橋 あれは感動的だよね。全員がイッたあと、エンドロールでやたら叙情的な歌が流れるでしょ。もうね、大作映画を見終わった気分なんだけど、泣いたらいいのか笑ったらいいのかわかんない。もはやアート。 安田 しかも制作サイドにはそんな気はさらさらなくて、ただ結果としてアートになっちゃってるという(笑)。 高橋 そうそう。「これはすばらしいものだから鑑賞してください」って思ってつくると「お芸術」になっちゃう。でも、あの作品は「これはなんなの? もうアートとしかいいようがないよね?」っていうものに、結果としてなってしまった(笑)。 安田 高橋さんって、最近のAVも結構見てますよね? 高橋 僕はDMMの会員だからね(笑)。新作のサンプルなんかはほぼチェックしてます。僕が「AVが変わったな」って思ったのは、00年代後半、プレステージの作品を見てから。あそこって、基本的に女優の名前で売ってないでしょ。 安田 いわゆる「素人モノ」といわれるジャンルなんだけど……。 高橋 別に本当の素人なわけではない。単体女優並みに可愛い女の子たちを、匿名性でもって、街で見かける本物のOLさんとか女子大生っぽく見せてるよね。いいとこ突いてる。 安田 「プレステージ以前」と「以降」では大きな違いがあって、以前は、素人はブスで当たり前、むしろブスだから素人っぽくていいっていわれてたんです。だけど、プレステージ以降は、素人モノでもブスは許されなくなった。 高橋 AVの中でブスが生きていけるのは、もはやヘンリー塚本【AV黎明期からアクの強いSM系のドラマ作品ばかりを撮り続けている、孤高の有名AV監督】の世界だけだね。ときどき僕は近所のホテルで缶詰になって作品を書いてるんだけど、そこのホテルの部屋のテレビのアダルトチャンネルは、ヘンリー作品ばっかり流すの。僕すっかり喜んじゃんって(笑)。 安田 ヘンリーさんはいいですね。最近は特に、エロと作品性がいい具合にミックスされてて。つぼみや風間ゆみも出てるから、必ずしもブスばっかりってわけじゃないですけど(笑)。 高橋 男優の花岡じったをうまく使ってるじゃない。キワモノなんだけど、あの世界では妙にリアリティがある。ほんとにどうしようもない、野獣のような昭和の男。ドラマ性が濃厚だから、ヘタするといやらしくなくなっちゃう気もするんだけど、彼の作品の中では、普通のおばさんみたいな人でもやたらエロいよね。 安田 基本的にAVのカラミって、始まったらあとは男優と女優にお任せで撮る場合が多いんですけど、ヘンリーさんはカラミも細かく演出するんですって。セリフ回しとかも、女優が「たまんねえ……」とか言ってて。 高橋&安田 へへへへへへへ(笑)。 高橋 退廃的で、登場人物が不健康な貧乏人ばっかりで、みんなトラウマを抱えててさ。そんな人たちが、ものすごいねっとりとしたセックスをするんだよね。 rio_gennichiro08.jpg ■ヌキに特化された、AVの完成形 安田 ところで、企画もののAVが淘汰されていって、AVから「遊び」がなくなったという話をしましたけど、それは決して悪いことではないんですよね。「AV30」を編集してて思ったんですよ、「いまのAV、エロくていいわぁ」って(笑)。 高橋 たしかにヌキに特化した視点で見てみれば、ものすごくレベルが高くなってるよね。E-BODYとかS1の作品っていうのは、それのある種の完成形。30年かけて練り上げられたスタイルだからね。 安田 平野勝之さんの作品とかもすばらしいんだけど、「ヌク」というAV本来の機能からはちょっと外れちゃう。 高橋 どうしても「表現」が入っちゃうからね。 安田 だから「さあヌクぞ!」っていうときは、S1とかを見ちゃうんじゃないかな。「ユーザーが見たいものを見せる」ためのノウハウが蓄積されてますから。そういう意味では、僕はプレミアムっていう、高級感ある単体女優のメーカーが一番好きなんですよ。 高橋 そういう作品って、ものすごく可愛い子が、ものすごくエロい肉体を、完璧なアングルで見せてくれる。そういう技術がもう、完成されてるよね。 安田 女優も男優も制作者も、みんなスキルが高い。職人的といってもいいですね。特に女優はね、「なんでデビュー作からそんなに上手いの?」っていうくらいのことをみんなやってる。なんでかっていうと、彼女たちの世代って、もう子どもの頃から自然にAVを見てるんですよ。見てるから、男の乳首は舐めるものだと思ってる(笑)。 高橋 この前ね、僕の姪っ子が遊びに来たんだ。超絶可愛い、今年大学に入る18歳なんだけど、「Rioちゃんが~」とか、AV女優の名前をよく知ってるんだよね。僕が「なんで?」って聞くと、女の子同士のお泊まり会とかで見てるんだって。女子会でAV鑑賞だよ。 安田 いまは、恵比寿マスカッツとかの影響で、ほんとにAV女優に憧れてやってくる女の子がいっぱいいるんですよね。成瀬心美も、Rioに憧れてこの業界に入ったと公言してますし。 高橋 だってさ、もはや普通のアイドルより可愛いもんね。 安田 そんなコがいきなり乳首舐めたりするっていう(笑)。新しい世界に入りましたね。 rio_gennichiro10.jpg ■AVは多様性を取り戻せるか? 高橋 安田さんがこれからのAV業界に望むことって、なに? 安田 僕はやっぱり、多様性が欲しいんですよね。S1もプレミアムも好きだけど、はじっこにV&R的なものも成り立ってほしいなって。いろんな作品があって、全部ひっくるめてAV。「AVの世界は広い」っていうのが面白いので。 高橋 それはあらゆるジャンルでそうだよね。多様性が失われた世界は一番恐いから。 安田 90年代初頭のカンパニー松尾さんたちって、AVの枠を広げる作業をしてきたんですよ。いまは逆に、「ヌクためのAVを深く掘っていく」作業がメインストリームになっちゃってますよね。もちろん、そうすることでAVの完成形が出来上がったことはひとつの大きな成果ではあるんですけど。 高橋 売れなきゃしょうがないんだけど、王道だけになっちゃうとね。辺境開拓っていうか、「こいうのもアリか!?」「AVってそんなこともできるの!?」みたいな新たなジャンルも、きちんと出てきてくれないと。 安田 それこそ、黒木香のホラ貝吹きを見たときのような衝撃が、最近はあまりない。 高橋 でもさ、人間から、性欲っていうか、エロスがなくなるはずはないからね。AVもビデオテープからDVDになって、いまはネット配信になりつつあるでしょ。そうやって変身を繰り返して、その過程で一度ガクンと落ちたりするのは、長い歴史の中ではしょうがないよね。文学だってさ、すごくダメなときなもあるんだよ。でも、そしたらまた違うものを見つけて、変わっていくの。そういうもの。 安田 男と女がセックスしてる映像は、どこかで必ず流れてるわけですしね。カタチが変わっていくだけで。 高橋 そう。男と女がセックスしなくなったら、もうどうしょうもないでしょ。それは世界の終わりだからね。 (取材・文=須藤輝/撮影=編集部) ●やすだ・りお 1967年、埼玉県生まれ。風俗、AVなどのアダルト系記事を中心に、一般週刊誌からマニア誌まで、幅広く執筆。現在、AV30年史をメーカー横断的に振り返る「AV30」プロジェクトを進行中。著作に『エロの敵――今、アダルトメディアに起こりつつあること』(翔泳社)など。 ●たかはし・げんいちろう 1951年、広島生まれ。81年、『さようなら、ギャングたち』で、講談社の群像新人長編小説賞優秀賞を受賞。88年、『優雅で感傷的な日本野球』で第1回三島由紀夫賞受賞。その他の著書に『虹の彼方に』『ジョン・レノン対火星人』(共に講談社文芸文庫)、『日本文学盛衰史』『恋する原発』(共に講談社)など多数。05年より明治学院大学国際学部教授を務める。 ●作品解説 アダルトビデオ30周年記念プロジェクト 「AV30」 アダルトビデオ誕生30周年を記念し、主要AVメーカー40社超が集結。12年1月より6月まで毎月5本、計30本のコンピレーションAVが続々とリリースされる。 『メーカー横断ベスト!!! 小室友里8時間』『【AV女優日本代表】 熟女☆JAPAN』などの女優重視 のセレクトから、『AV30年史3 ハード・陵辱の名作編』『アナルSEXの殿堂 【肛門プレイ大全】』など の企画重視のセレクト、さらには、『メーカー横断ベスト!!! カンパニー松尾8時間』といった、監督重視のセレクトまで盛りだくさん。 各巻に封入されているライナーノーツも読みどころ満点。安田理央氏のほか、藤木TDC氏などのAVに詳しいライター陣のみならず、カンパニー松尾編では松尾氏みずからが解説。 全作品8時間、いずれも税込2,980円(税込)で続々発売中!! 公式サイト<http://www.av30.jp/

「演者最低、制作費最低なのに200点!?」宇多丸の人気ラジオ番組がまさかのドラマ化

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 ヒップホップグループ・ライムスターの宇多丸氏がメインパーソナリティーを務めるTBSラジオの人気番組『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』(毎週土曜 21:30~24:30放送中)。2007年の開始以来、音楽、映画、アイドルなど知識が多岐にわたる宇多丸氏らしい内容で、時にはシャープに切り込み、時にはボンクラトークに花を咲かせ、幅広い世代から支持を得てきた。  そんな同番組から派生したDVD『タマフル THE MOVIE ~暗黒街の黒い霧~』(TCエンタテインメント)が3月28日に発売。ラジオ番組の企画モノDVDといえば、傑作トーク集や番組の裏側など本編に付随した内容が通例だが、今回はなんと番組出演者やスタッフが出演する完全撮りおろしのフェイクドキュメンタリー。しかも『SR サイタマノラッパー』(2008)や『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』(2011)で注目を浴び、若手映画監督ナンバーワンの呼び声も高い入江悠監督が手掛けるという。  ラジオ番組の映画化とは一体どういうことなのか。早速、主演の宇多丸氏を直撃した。 ――『タマフル THE MOVIE ~暗黒街の黒い霧~』について、いろいろうかがいたいのですが。 宇多丸 我ながら「コレは何?」っていうようなDVDの取材に来ていただいて、ホント申し訳ない……。 ――いきなり恐縮しないでください(笑)。ラジオの番組DVDがフェイクドキュメンタリー作品とは、不意をつかれました。 宇多丸 普通ならオフショットを収録したりするんでしょうけど、番組DVDの話が出た時に「うちの番組でそれやってもねえ……」って言ってたんです。それでしばらくしたら、入江悠監督にやってもらえることになって、「えー! いいの!?」「でもちょっと待って、僕らが演技するわけ!?」「素人だけど大丈夫?」ってみんな不安と疑問でザワザワしてましたね。 ――フタを開けてみれば、劇場で公開しないのがもったいないほどしっかりとした娯楽作品になりましたね。 宇多丸 役者として最低レベルの僕たちを使って200点出してますから、あらためて入江監督の才能が証明されましたよね。今回、それぞれのキャラクターを理解して作ってくださっているので、“それをやったら一番面白い人”に、ちゃんとそれをやらせてるんですよ。たとえば古川耕(番組構成作家)と近藤夏紀(プロデューサー&ディレクター)のラブシーンなんかも、ラブシーンを演じさせたら一番ギクシャクしそうな荒唐無稽な2人にやらせてる。それでいてラストは、ファンをイヤな気分にさせないところに着地していて、ファンが買う“アイドルビデオ”としてもちゃんと成立してるんです。 120215bt_0032.jpg ――全編“悪フザケ”ではあるんですが、展開が目まぐるしく変化していく中で、いつの間にかグッと引き込まれました。 宇多丸 とくにアクションに振れ出してからは、たとえ番組を知らなくても普通に楽しめますよね。入江監督は、後半に向けて違うところに行くような流れにしたいとおっしゃっていたんです。たとえば、タイトルを挙げるとハードル上がっちゃうけど『第9地区』(2009/ニール・ブロンカンプ監督)なんかがそうですよね。最初はフェイクドキュメンタリー調に始まって、途中からジャンルが変わっていくっていう。 ――宇多丸さんが超つまらないフリートークをするシーンも印象的でした(笑)。 宇多丸 あれは「番組がおかしなことになってる感を漂わせたトークをしてください」って言われて、意外と大変だったんですよ。ほかにも僕が銃の話をしてるのに、古川さんは文房具の話をしていて、2人とも心ここにあらずで噛み合わないシーンもアドリブなんです。 ――宇多丸さんから見て、演者としてとくに光っていたのはどなたですか? 宇多丸 やっぱりMVPは、橋本名誉プロデューサーですよ。一番負担の大きい役でしたし、学生プロレスラー上がりの彼の資質をすべて投入したんじゃないですかね。でも最近、役同様に「これカネになんの?」とかってカネカネ言うようになっちゃって。役柄との見境いが付かなくなる『ブラック・スワン』(2010/ダーレン・アロノフスキー監督)状態が起きていて恐ろしいです(笑)。 ――橋本P以外の方々も、しまおまほさんのスピリチュアルキャラや、荒井マネジャーの横暴キャラなど、濃い役柄を演じられてましたが。 宇多丸 実際、それぞれにああいう要素があるんですよ。しまおさんもあそこまでではないけど、普段からキテレツなこと言うし。この作品でまったくないのは古川さんと夏紀のラブ要素だけ。それぞれの元々ある嫌な部分を増幅して見せられるから、撮り終わったあとに「しまおさんて普段からああいうこと言ってるよね」とか、「橋本Pってああいうとこあるよね。いつもちょっと怖いもんね」とかってみんな本当にイヤな気分になって。ちょっと番組やりづらくなったんですよ。 ――あらら(笑)。DVDには特典として、出演者らの副音声や、入江監督×宇多丸さんの対談映像が収録されているとか。 宇多丸 副音声は、初見の状態で何人かで見ながら録ったんです。だから「ギャーッ」とか「ワーッ」とか、そんなんばっかのやつです(笑)。その分、対談では映画作りについてや、この作品の意図など解説っぽいことを話してます。 ――ちなみに続編の可能性は? 宇多丸 続編っすか(笑)。まあ、フェイクは今回でやり切ってしまった感があるので、やるとしたら違う手でしょうね。ドキュメントとか、ポルノとか、『風雲!たけし城』のパクリとか、さまざまな手がありますから。素材はそろってますので、いろいろな監督に競作してほしいですね。 ――では最後に「日刊サイゾー」読者へ作品の見どころを! 宇多丸 ファン向けの内輪向け企画ではあるんですけど、演者最低、制作費最低という厳しい条件で、入江監督がちゃんと面白い映画にしちゃってます。なのである意味、門外漢の方も日本映画界の試金石として間違いなく必見です。もちろんこの番組のファンの方は絶対に楽しめますし、逆にアンチ宇多丸の方も、あなたの気に入らないハゲの無様な姿が全編に展開してますので、おすすめです! ――確かに宇多丸さん、劇中でボロボロなってますもんね(笑)。 宇多丸 僕に恨みを持ってる人は、僕が出るたびにワロタワロタ言えていいじゃないですか(笑) (取材・文=林タモツ/撮影=尾藤能暢) ●『タマフル THE MOVIE ~暗黒街の黒い霧~』 『ウィークエンドシャッフル』の放送中、事件が起こる!? TBSの大人気ラジオ番組『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』の舞台裏を、実在の人物とフィクションが入り混じるセミドキュメンタリータッチでドラマ化。監督・脚本は日本映画界の新星・入江悠(「SRサイタマノラッパー」シリーズ)。 出演/宇多丸、しまおまほ、古川耕、妹尾匡夫、高橋芳朗、高野政所、コンバットREC、近藤夏紀、橋本吉史ほか スタッフ/監督・脚本:入江悠、製作・企画:TBSラジオ&コミュニケーションズ 定価/3,675円(税込) 3月28日発売 ●宇多丸(ライムスター) ヒップホップ・グループ「ライムスター」のラッパーでラジオDJ。自身のTBSラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」で、映画評論の「ザ・シネマハスラー」は単行本化される人気コーナー。最新映写技術「マッピング」を導入したことでも話題となった、ライムスターの全国ツアー『King Of Stage Vol. 9』は、Blu-ray & DVDとなって3月21日待望リリース。
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「演者最低、制作費最低なのに200点!?」宇多丸の人気ラジオ番組がまさかのドラマ化

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 ヒップホップグループ・ライムスターの宇多丸氏がメインパーソナリティーを務めるTBSラジオの人気番組『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』(毎週土曜 21:30~24:30放送中)。2007年の開始以来、音楽、映画、アイドルなど知識が多岐にわたる宇多丸氏らしい内容で、時にはシャープに切り込み、時にはボンクラトークに花を咲かせ、幅広い世代から支持を得てきた。  そんな同番組から派生したDVD『タマフル THE MOVIE ~暗黒街の黒い霧~』(TCエンタテインメント)が3月28日に発売。ラジオ番組の企画モノDVDといえば、傑作トーク集や番組の裏側など本編に付随した内容が通例だが、今回はなんと番組出演者やスタッフが出演する完全撮りおろしのフェイクドキュメンタリー。しかも『SR サイタマノラッパー』(2008)や『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まないっ』(2011)で注目を浴び、若手映画監督ナンバーワンの呼び声も高い入江悠監督が手掛けるという。  ラジオ番組の映画化とは一体どういうことなのか。早速、主演の宇多丸氏を直撃した。 ――『タマフル THE MOVIE ~暗黒街の黒い霧~』について、いろいろうかがいたいのですが。 宇多丸 我ながら「コレは何?」っていうようなDVDの取材に来ていただいて、ホント申し訳ない……。 ――いきなり恐縮しないでください(笑)。ラジオの番組DVDがフェイクドキュメンタリー作品とは、不意をつかれました。 宇多丸 普通ならオフショットを収録したりするんでしょうけど、番組DVDの話が出た時に「うちの番組でそれやってもねえ……」って言ってたんです。それでしばらくしたら、入江悠監督にやってもらえることになって、「えー! いいの!?」「でもちょっと待って、僕らが演技するわけ!?」「素人だけど大丈夫?」ってみんな不安と疑問でザワザワしてましたね。 ――フタを開けてみれば、劇場で公開しないのがもったいないほどしっかりとした娯楽作品になりましたね。 宇多丸 役者として最低レベルの僕たちを使って200点出してますから、あらためて入江監督の才能が証明されましたよね。今回、それぞれのキャラクターを理解して作ってくださっているので、“それをやったら一番面白い人”に、ちゃんとそれをやらせてるんですよ。たとえば古川耕(番組構成作家)と近藤夏紀(プロデューサー&ディレクター)のラブシーンなんかも、ラブシーンを演じさせたら一番ギクシャクしそうな荒唐無稽な2人にやらせてる。それでいてラストは、ファンをイヤな気分にさせないところに着地していて、ファンが買う“アイドルビデオ”としてもちゃんと成立してるんです。 120215bt_0032.jpg ――全編“悪フザケ”ではあるんですが、展開が目まぐるしく変化していく中で、いつの間にかグッと引き込まれました。 宇多丸 とくにアクションに振れ出してからは、たとえ番組を知らなくても普通に楽しめますよね。入江監督は、後半に向けて違うところに行くような流れにしたいとおっしゃっていたんです。たとえば、タイトルを挙げるとハードル上がっちゃうけど『第9地区』(2009/ニール・ブロンカンプ監督)なんかがそうですよね。最初はフェイクドキュメンタリー調に始まって、途中からジャンルが変わっていくっていう。 ――宇多丸さんが超つまらないフリートークをするシーンも印象的でした(笑)。 宇多丸 あれは「番組がおかしなことになってる感を漂わせたトークをしてください」って言われて、意外と大変だったんですよ。ほかにも僕が銃の話をしてるのに、古川さんは文房具の話をしていて、2人とも心ここにあらずで噛み合わないシーンもアドリブなんです。 ――宇多丸さんから見て、演者としてとくに光っていたのはどなたですか? 宇多丸 やっぱりMVPは、橋本名誉プロデューサーですよ。一番負担の大きい役でしたし、学生プロレスラー上がりの彼の資質をすべて投入したんじゃないですかね。でも最近、役同様に「これカネになんの?」とかってカネカネ言うようになっちゃって。役柄との見境いが付かなくなる『ブラック・スワン』(2010/ダーレン・アロノフスキー監督)状態が起きていて恐ろしいです(笑)。 ――橋本P以外の方々も、しまおまほさんのスピリチュアルキャラや、荒井マネジャーの横暴キャラなど、濃い役柄を演じられてましたが。 宇多丸 実際、それぞれにああいう要素があるんですよ。しまおさんもあそこまでではないけど、普段からキテレツなこと言うし。この作品でまったくないのは古川さんと夏紀のラブ要素だけ。それぞれの元々ある嫌な部分を増幅して見せられるから、撮り終わったあとに「しまおさんて普段からああいうこと言ってるよね」とか、「橋本Pってああいうとこあるよね。いつもちょっと怖いもんね」とかってみんな本当にイヤな気分になって。ちょっと番組やりづらくなったんですよ。 ――あらら(笑)。DVDには特典として、出演者らの副音声や、入江監督×宇多丸さんの対談映像が収録されているとか。 宇多丸 副音声は、初見の状態で何人かで見ながら録ったんです。だから「ギャーッ」とか「ワーッ」とか、そんなんばっかのやつです(笑)。その分、対談では映画作りについてや、この作品の意図など解説っぽいことを話してます。 ――ちなみに続編の可能性は? 宇多丸 続編っすか(笑)。まあ、フェイクは今回でやり切ってしまった感があるので、やるとしたら違う手でしょうね。ドキュメントとか、ポルノとか、『風雲!たけし城』のパクリとか、さまざまな手がありますから。素材はそろってますので、いろいろな監督に競作してほしいですね。 ――では最後に「日刊サイゾー」読者へ作品の見どころを! 宇多丸 ファン向けの内輪向け企画ではあるんですけど、演者最低、制作費最低という厳しい条件で、入江監督がちゃんと面白い映画にしちゃってます。なのである意味、門外漢の方も日本映画界の試金石として間違いなく必見です。もちろんこの番組のファンの方は絶対に楽しめますし、逆にアンチ宇多丸の方も、あなたの気に入らないハゲの無様な姿が全編に展開してますので、おすすめです! ――確かに宇多丸さん、劇中でボロボロなってますもんね(笑)。 宇多丸 僕に恨みを持ってる人は、僕が出るたびにワロタワロタ言えていいじゃないですか(笑) (取材・文=林タモツ/撮影=尾藤能暢) ●『タマフル THE MOVIE ~暗黒街の黒い霧~』 『ウィークエンドシャッフル』の放送中、事件が起こる!? TBSの大人気ラジオ番組『ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル』の舞台裏を、実在の人物とフィクションが入り混じるセミドキュメンタリータッチでドラマ化。監督・脚本は日本映画界の新星・入江悠(「SRサイタマノラッパー」シリーズ)。 出演/宇多丸、しまおまほ、古川耕、妹尾匡夫、高橋芳朗、高野政所、コンバットREC、近藤夏紀、橋本吉史ほか スタッフ/監督・脚本:入江悠、製作・企画:TBSラジオ&コミュニケーションズ 定価/3,675円(税込) 3月28日発売 ●宇多丸(ライムスター) ヒップホップ・グループ「ライムスター」のラッパーでラジオDJ。自身のTBSラジオ番組「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」で、映画評論の「ザ・シネマハスラー」は単行本化される人気コーナー。最新映写技術「マッピング」を導入したことでも話題となった、ライムスターの全国ツアー『King Of Stage Vol. 9』は、Blu-ray & DVDとなって3月21日待望リリース。
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「日本人はもっと情報公開を求めるべきだった」スペイン人から見た福島とチェルノブイリ

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 福島第一原発事故以降、原子力や放射性廃棄物、被ばくなどをテーマにした本や映画が多数発表されている。いったいなぜこんな大事故が起こってしまったのか、そして私たちはこれからどう原子力や放射性物質と向き合っていくべきなのか――。答えが見えない闇の中、ひとつの手掛かりとして再注目されているのが、1986年4月26日に旧ソビエト連邦(現・ウクライナ)で起こったチェルノブイリ原発事故だ。“史上最悪の原発事故”とされるこの事故では、大気中に50トンもの放射性物質が放出、600近い村や町が避難対象となり、30万人もの人が愛する土地を離れることを余儀なくされたといわれている。原発から3キロのところにあり、4万7,000人もの人口を有した中都市・プリピャチは事故直後に放棄され、事故から26年たったいまでは完全にゴーストタウンと化している。事故による汚染が2万5,000年と続くともいわれるが、いまなお300人ほどが避難区域内に住み続けているとされる。  そんなチェルノブイリに生きた人々の心情を軸に、この事故を描いたグラフィックノベル(漫画)『チェルノブイリ――家族の帰る場所』が昨年スペインで発売された。奇しくも出版のタイミングが福島第一原発事故と重なり話題を集めた本作が、この度日本でも出版されることになった。ここに描かれたストーリーを通して、いま福島で起こっていること、土地を失うということ、土地に留まり続けることの意味が痛切にわかり始めるだろう。スペイン人である彼らは、どうしてこの題材を描こうと思ったのか。そして、福島の事故をどのように見ているのか。来日中の原作者フランシスコ・サンチェスと作画を担当したナターシャ・ブストスに話を聞いた。 ――2006年にスペイン・バルセロナで開催されたチェルノブイリ原発事故20周年を記念する展示会がきっかけでこのテーマを扱うことに決めたそうですが、事故当時、チェルノブイリ事故はスペインではどのように受け止められていましたか?
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フランシスコ・サンチェス
フランシスコ チェルノブイリ原発事故では周辺の20カ国にも影響があり、その範囲は16万平方キロにおよんだといわれていますが、スペインではほんの一部のエリアが影響を受けただけで、直接的な被害はあまりありませんでした。そういったこともあり、個人レベルでも、国全体としてもそれほど強い関心を集めなかったように思います。昨年はチェルノブイリ原発事故25周年ということに加え、福島第一原発の事故があり、原発や原子力に対する国民的関心は以前よりも高まってはきているのですが、残念ながらいまも昔もやはり、“遠い国のこと”として見ている感じですね。 ――本書では、原発事故によって村からの避難を余議なくされた祖父母、事故によって命を落とした父、そして幼いころに母とともにプリピャチの町を追われた兄妹、3世代にわたる家族の物語が描かれています。事実よりも主人公たちの疎外された戸惑いや不安といった感情に焦点を当てたそうですが、一番描写に苦労したのはどんなところですか? フランシスコ 当事者であるなしにかかわらず、人に焦点を当てれば、その気持ちというのは推し図れると思います。同じ体験をしなければその人がどういうことを感じたのかわからないという部分ももちろんありますが、だからこそさまざまな資料を集め、被害者・犠牲者の気持ちに近づこうと努力しました。悲惨な状況に陥ったときの人間の感情というのは、人種や文化を超えて共通するものがある。だからこそ、その感情を表現したいと思ったんです。 ――スペインでは昨年4月に刊行されましたが、国内での反応はいかがでしたか? フランシスコ 出版の1カ月前に起こった福島の原発事故と偶然にもタイミングが重なったということもあり、マスコミからは多く取り上げられましたが、それがすぐ売り上げに直結するという感じではありませんでした。こういった出来事というのは、スペイン人全体からすると自分の生活からかけ離れたものとして認識されているところがあるんです。
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ナターシャ・ブストス
ナターシャ この本(スペイン版)が印刷に入ったときにちょうど福島の事故が起こりました。チェルノブイリ事故から25年というタイミングに合わせて出版するつもりだったのですが、急にマスコミから脚光を浴びることになってしまい、正直、複雑な心境でした。 ――福島第一原発事故は、スペインではどのように報道されていますか? ナターシャ 最初の爆発から1カ月くらいは毎日、新聞の一面で伝えられ、テレビでもトップニュースとして扱われていました。でも、なんとかコントロールできる状態になってきたというニュースをきっかけに、だんだんと取り扱われ方が小さくなっていきました。先日は事故から1年ということで再びクローズアップされましたが、その後は“終わってしまったこと”として、忘れ去られつつある印象を受けます。 フランシスコ 事故直後は原発が制御されているかどうかがスペインの人々の関心事だったようで、これ以上大きな被害にならないだろうと思われた時点で、パタっと関心が失われたような気がしますね。事故発生当初、私たちはこの本を出版する準備をしているときだったので、これはチェルノブイリのようなことが繰り返されるのではないかと危惧していました。当時はメルトダウンとまではいかなくても、冷却水が漏れ出るといったような事故が起こるのではと思っていました。 ――チェルノブイリでは当時、社会主義国で起こった事故だったということもあって、なかなか情報が公表されず、被害が拡大しました。今回の福島の事故でも、先進国であり民主主義国家であるにもかかわらず、なかなか正確な情報が公表されず、逆に海外のメディアの情報を頼りにする人も少なくありませんでした。スペイン、あるいはヨーロッパから見て、このような日本の状況をどう思われますか?
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『チェルノブイリ――家族の帰る場所』本文より
フランシスコ 日本人のみなさんは、もっともっと情報を要求するべきだったと思います。情報を追究して、隠されているかもしれない事実を見つけ出し、それを公にしていく。それはメディアの使命でもあります。その情報がどんな悲惨なものであっても、すべてに透明性を持たせるように要求すべきです。それがたとえ、実は避難区域が原発から20キロや30キロでは済まなかった、あるいは、もっとひどい被害や影響が出ているというような、私たちにとって辛い現実であっても、真摯な報道、情報公開を求めるべきです。 ――スペインでも現在8基の原発が稼働していますが、たとえば国内で同じような事故が起きた場合、スペインの人々も積極的に情報公開を求めていくのでしょうか? またメディア側には、人々の要求に応えるだけの土壌がありますか? ナターシャ スペインにもそういうことをすべきという考え方の人は多いとは思いますが、実際に事故が起こったときにはたぶん、スペインでも情報が隠されたり、あえて公表しないといったことが起こると思います。そういったときの国民のリアクションというのは、日本のみなさんと同じでしょう。原発問題に限らず、ある特定のテーマに対してセンシティブに反応する人がいて、心配する人がいる。何か行動を起こさなくてはならないと人々に呼び掛ける人もいると思います。けれども、大多数の人は、なるだけ自分からはアクションを起こしたくない。日々の生活が無難に過ごせればそれでいいという人が大半でしょうし、そういった場合、自分から進んで「この情報をくれ」と言う人は日本と同じくらいいないのではないかと思います。
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――今回、来日することを躊躇しませんでしたか? ナターシャ まったくしませんでした。この本を作ったことで原発や放射能に対する基本的な知識はありましたし、日本全体を恐れる、ということはありませんでした。 フランシスコ 放射能についていえば、自然放射線をはじめとして地球上のどこにいても影響を受けるわけで、ここにいるから安全だというのは、この地球規模では言えません。そういう意味で、絶対安全という場所はないんです。このことを、みなさんの心に刻んでほしいと思っています。今回の滞在ではスケジュール的に福島に行くことができなかったのがとても残念です。将来、自分たちの目で見て肌で感じて、グラフィックノベルというかたちかどうかはわかりませんが、福島をテーマにした作品をつくりたいと思っています。 ――最後に日本の読者へのメッセージをお願いします。 ナターシャ この本はチェルノブイリの「事故」についての物語ではなく、チェルノブイリに住んでいる「人」、住んでいた「人」のヒューマンストーリーです。この事故が人々にどんな影響を与えたのかを自分なりに考え、結論を出すひとつの扉になってくれればうれしいです。 フランシスコ わたしたちの本が福島第一原発事故とその後の事態を憂いている日本人のみなさんに役立つことを望んでいます。チェルノブイリと福島の事故が関連しているというのは避けようがない事実ですし、この本で語られている人間の営みは双方の事故を経験した人々に共通しているものがあると思います。「人間の経験」として、ここから日本のみなさんが何かを読みとってくださればうれしく思います。 (取材・文=編集部/撮影=後藤匡人)
チェルノブイリ――家族の帰る場所 1,155円(税込)/朝日出版社刊/絶賛発売中 amazon_associate_logo.jpg
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「他者への憎悪は身を滅ぼす」内田樹が語る"呪いの時代"を生きる知恵

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 炎上、祭り、バカ発見器......と、ネットの中では今日も他人を非難することに忙しい。他者への憎悪や嫉妬を撒き散らすこの風潮は、いまやネットの世界から現実の社会へと広がっている。しかし、そんな世相に対して疑問を呈するのが、思想家の内田樹だ。昨年上梓した『呪いの時代』(新潮社)では、他人に対する「呪いの言葉」を徹底的に批判する。いったい、「呪いの言葉」とは何なのか。そして、その言葉を退けるためにはどうすればいいのだろうか。現代社会を生き抜くための知恵を聞いた。 ――まず、本書で示す「呪いの言葉」とはどのような概念でしょうか? 内田樹氏(以下、内田) 単独で「呪いの言葉」というと観念的になってしまうので、同じく本書で提示している「祝福の言葉」と対比したほうがわかりやすいと思います。「呪いの言葉」は、人を記号化したり、カテゴライズしたり、一面だけを切り取ってその人の全体を表してしまう言葉です。「反革命」とか「非国民」とか。本来は多様で複雑な人間の存在を、単純化し、記号化してしまう。例えば、ある作家について語るとき、その人の著書も読まずにインタビュー記事の一行だけをつかまえて、全人格を否定するような人がいますね。「あいつは所詮○○だ」と、ひとりの人間を言い切ってしまう。そういう切り方が現代では「スマート」と思われています。でも、それはスマートなのではなく、「呪い」をかけているだけなんです。  「呪い」は強烈な破壊力を持っており、人の生命力を減衰させて、前向きな気持をなくさせます。そういった言葉を発する人は、他者が傷つくさまや評価が下がるのを見ることに快感を覚え、その感覚の虜になってしまいます。けれど、実は他者以上に自分の生命力も傷つけてしまっている。「呪い」は必ず自分にも跳ね返ってくるのです。 ――一方で、「祝福の言葉」とは、どのようなものなのでしょうか? 内田 「祝福の言葉」は逆に、目の前の人間や物事について、それを「語り尽すことができない」という謙抑的な態度を示すことだと思います。世界の深み、厚みに対する慄(おのの)きや感謝を忘れないのが「祝福の言葉」です。対象を語り得ないという、おのれの言葉の貧しさを認識すること、世界が汲み尽くし得ないほど広く深いという自覚を持つことが祝福ということの本義だと思います。日本には「国誉め」という神事があります。「山がある、川が流れている、谷が深い、緑が濃い」と目の前の美しい風景を具体的に描写する。「写生」です。それは対象に対する敬意の表現であると同じに、命を吹き込んでもいるんです。 ――他者への憎悪や嫉妬といった「呪いの言葉」は昔からありました。この数十年でいったい何が変わってしまったんでしょうか? 内田 「呪い」の内容自体はあまり変っていません。ただ、ここまで蔓延したのはインターネットが大きくかかわっていると思う。匿名で激しい否定的な言葉を無制限に発信でき、拡散できるツールが手に入ったわけですから。匿名ということは、最終的に責任を取る個人がいないということです。僕が中学生だったらたぶん中毒になってしまうでしょう。みんなが大切にしているもの、尊敬しているものに唾を吐きかけるように、「あんなものはくだらない」と言い続けて注目を浴びようとしたでしょうね。 ――まさに中学生までを含めた「一億総批評家」と言われるような状態ですね。 120215bt_0026.jpg 内田 現代は作家より評論家のほうが多いような状況です。小説家に限らず、モノを生みだすというのは人前に自分の傷つきやすい生身を差し出すようなものです。作品というのは、本質的に「ツッコミどころ満載」なんです。だから、若い学者によくいるんですが、他人の論文の批判はきわめて辛辣だけれど、自分の論文はさっぱり書き上げられない人がいる。「眼高手低」という状態ですね。そういう人は自分の作品を見ても、欠点が目について人前に出せない。他人の研究のことはあれだけボロクソに言っておいて、「お前のはこの程度かよ?」と言われるのが怖くて、何も出せなくなる。批判から入ると創造する力は傷つけられる。若い人が切れ味のよい批評の道具を手に入れるのはリスクのあることです。 ――では、内田さんが考える批評とはどのようなものでしょうか? 内田 映画評論家の町山智浩さんは、膨大な映画的記憶があるから、どんな映画を見ても「これはあの映画の引用だ」「あれはこのパターンを踏襲している」ということを見落とさない。でも、あらゆる作品のうちに無意識的に繰り返されているパターンを検出できる人だけが「前代未聞のもの」を発見できる。これは自分の狭い基準であらゆる作品を切って棄てる態度と正反対のものです。本当にオリジナルで、生成的なものを探し出そうとして、見つけたらそれを全力で支援する。それが批評の仕事だと思います。 ――安易に人や物事をカテゴライズしてしまう風潮は、新聞やテレビといった大手メディアにもすっかり浸透しています。内田さんは以前からメディアのあり方に対して疑問を呈していますが、この状況についてどう思われますか? 内田 かつては、『世界』(岩波書店)や『中央公論』(中央公論新社)のような雑誌が、「努力して成長しよう」「市民の義務を果たそう」「家族を大事にしよう」といったキレイごとを並べて世論を形成していました。それに対するカウンターメディアとして「週刊新潮」(新潮社)や「週刊文春」(文藝春秋)といった週刊誌が誕生した。「人間は色とカネ」といった"辛口"や"毒舌"で対抗するというわかりやすい二項対立があった。けれども、今はそもそも岩波的メインストリーム自体が影響力を失ってしまった。だから、対抗的毒舌やシニスムも空回りする。橋下徹大阪市長のようなさらに「にべもない」言葉遣いをする人が出てくると、サラリーマン編集者が技術的に体得した毒舌や辛口批評なんか歯が立たない。人々は成功体験から学習するから、これからは「橋下徹的な言葉遣い」を模倣する人がどんどん増えてくるでしょう。 ――一方で、私たちはそういった「呪いの言葉」の受け手でもあります。現代では、多くの人にとってネットに触れずに生活するということは難しく、望んでいなくても大量の「呪いの言葉」を浴びせかけられている状況ともいえます。そういった情報の洪水の中で「呪いの言葉」をかわし、有益な情報を選び取るためのリテラシーというものは、どう身につければよいでしょうか? 内田 まずは「呪いの言葉」には近づかないことが一番です。言葉に限らず、そういうものが近づくと、僕の身体の中でアラームが鳴るんですよ。だから、Twitterでも、厭な感じがするリプライはすぐにブロックする。もちろんネットユーザーの99%はまともな人です。失礼なリプライなんて、ほんと少数です。僕の8万人のフォロワーのうち、そんなのはせいぜい50人程度です。 ――そういった「アラーム力」は、内田さんが武道によって日頃から感覚を養っているからだと思います。一般人がそういったアラーム力を鍛えるためには、どのようにすればいいでしょうか? 内田 たしかに現代人は危険に対するアラームに対して鈍感になっていますね。ヨガの成瀬雅春先生は「とりあえず街を歩きなさい」とアドバイスしてます。街を歩くと、予想外のことが次々起こりますからね。何を避け、何を求めているのかがわかる。車が来たり、怪しい人にぶつかったりといったリスクを最小限にしながら動くためにはアラームの感度がよくないと。 ――最後の質問になりますが、内田さんは「呪いの言葉」が渦巻く日本に希望を感じることができますか? 内田 もちろん! いつの時代も全く新しいことは必ず起きます。それも思いもよらぬところからとんでもない人が出てきて、誰も予想していなかったようなイノベーションを行う。橋本治も、高橋源一郎も、村上春樹もそうだった。"こんなの「あり」なの?"というふうに虚を衝かれる。そういう真にイノベーティブな人には「呪いの言葉」なんて無効です。僕は、そういう人が現れたら、いち早く見つけてテープを投げたい。全力で応援をしたいですね。 (取材・文=萩原雄太[かもめマシーン]/撮影=尾藤能暢) ●うちだ・たつる 1950(昭和25)年、東京都生まれ。東京大学文学部卒。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退。神戸女学院大学文学部総合文化学科を2011年3月に退官。専門はフランス現代思想、武道論、教育論、映画論など。主著に『ためらいの倫理学』、『レヴィナスと愛の現象学』、『他者と死者』、『街場の教育論』、『映画の構造分析』、『武道的思考』他。『私家版・ユダヤ文化論』で第6回小林秀雄賞、『日本辺境論』で新書大賞2010、著作活動全般に対して第3回伊丹十三賞を受賞。神戸市で武道と哲学のための学塾「凱風館」を主宰している。
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「すべては新喜劇のため」座長・小籔千豊 初の主演映画で"アホらしくなった"ものって?


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 3月10日、吉本新喜劇の座長を務める小籔千豊の初主演映画『FLY! ~平凡なキセキ~』が公開される。小籔が演じる主役の平野満男は、大阪の町工場に勤める内気な青年。工場の事務員でシングルマザーの高崎ななみ(相武紗季)に密かに思いを寄せる彼は、あるとき地球に不時着したさえない宇宙人・シカタ(温水洋一)に出会い、彼と同居することになる。大阪の街を舞台にした友情と恋がテーマの物語。主演を果たした小籔に話を聞いてみた。 ――今回の映画で主役に抜擢されたときのお気持ちはいかがでしたか? 小籔千豊(以下、小籔) 「ホンマに僕でええんかな?」という戸惑いがありましたね。僕は新喜劇で座長をやってますけど、演技にまったく自信もないですし。それでまた、周りのキャストを見たらえげつないぐらい強烈な人たちですから。光栄なんですけど、荷が重いんじゃないかなと思ってましたね。 ――役作りのために何かやったことはありますか? 小籔 主役の満男に自分を重ね合わせて「相武紗季さんぐらいかわいい人に恋したらどういう気分なんやろうな?」って考えたりはしてましたね。カメラが止まってるときでも、気持ち悪がられへん程度に相武さんとか本仮屋(ユイカ)さんの顔をずっと見ながら「こんなきれいな人が言い寄ってきたらどうなんやろ?」って思ったりはしてました。周りからは「大阪の芸人が東京のきれいな女優さんをじっと見てて、めっちゃ調子乗ってるやん」って思われてたかもしれないんですけど(笑)。僕としては一応、真面目にイメトレとしてふたりを見つめていたんです。
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――相武さん以外にも、温水洋一さん、大杉漣さんなど、豪華な俳優陣と共演されていましたね。 小籔 そうですね。相武さんと演技をさせていただいて、それまではテレビ見てて「かわいい人やなあ」ぐらいにしか思ってなかったんですけど、じかで見たらやっぱりプロの女優さんなので、演技力ヤバいですからね。例えば、阪神が弱いときにピッチャーが打たれたら、うちの父親とかが「こんなんやったら俺が投げたほうが抑えられるわ」とか、酒飲みながら言うわけですよ。テレビ見てる間は好き勝手言えるんですけど、実際そのピッチャーが父親が入ってる草野球チームに来たら、たぶん完全試合になると思うんですよね(笑)。テレビで見てるのとじかで見るのとはすごさが全然違う。もちろん頭ではわかってたことなんですけど、それを超えて皆さん素晴らしい役者さんばっかりだったんで、勉強になりました。それで刺激を受けて、僕はお笑いを頑張ろうと思いましたね。自分の本業をちゃんとしないと、この人らみたいに格好良くなれないな、と。 ――最近は東京のテレビ番組でも小籔さんの姿をお見かけする機会が増えてきましたが、新喜劇の座長としてはやっぱり大阪がご自分のホームグラウンドだという意識があるんでしょうか? 小籔 そうですね、僕は新喜劇の広報担当やと勝手に思ってるんです。東京のテレビに出て、僕が「新喜劇出てます」って言うことで新喜劇を広く知ってもらって、東京の方が大阪に遊びに来た際に「新喜劇って聞いたことあるな、ほな行ってみようか」ってなればいいかなと。大阪のテレビに出るときも考え方は同じで、結局は新喜劇につながればいいなあと思ってますね。 ――この映画はどういう人に見てもらいたいですか? 小籔 モテへん人とか一歩踏み出されへんような人が、僕のことを自分やと思って見ていただいたら面白い映画なのかなと思いますね。普段からルーティンで毎日を過ごしてしまって、変わらないとアカンなと思ってるけど、勇気が出なくて変わられへんっていう人が結構いると思うんですよ。そういう人がこれを見て、自分も一歩踏み出してみようとか思っていただけたらいいですね。僕も、相武さんと本仮屋さんのおふたり人と共演したおかげで、半分病気だったキャバクラ通いをやめることができました。こんなきれいな人たちと仕事場でタダでしゃべれるのに、なんで俺こんな不細工な人たちに金払わなアカンねんと思ってたら、アホらしくなってきて。僕をキャバクラ通いから"FLY"させてくれたのがこの映画です(笑)。 (取材・文=ラリー遠田/撮影=長谷英史) fly.jpg ●『FLY!~平凡なキセキ~』 監督:近藤真広 出演:小籔千豊、相武紗季、温水洋一ほか 3月10日(土)よりシネマート新宿、シネマート六本木、シネマート心斎橋、コロナシネマワールド他にて全国公開 (c)朝日放送/吉本興業 配給:株式会社よしもとクリエイティブ・エージェンシー
兵動・小籔のおしゃべり一本勝負 其の四 おしゃべり大好き。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 ・「同じネタをやるのは3回が限界!?」"ロッチらしさ"プラスαの新作コントって?"じゃないほう"芸人3人が織りなした奇跡の番組『撮れ高次第』とは何だったのか「誰もやってない設定のコントをやる」ラバーガール7度目の単独ライブへ

「すべては新喜劇のため」座長・小籔千豊 初の主演映画で"アホらしくなった"ものって?


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 3月10日、吉本新喜劇の座長を務める小籔千豊の初主演映画『FLY! ~平凡なキセキ~』が公開される。小籔が演じる主役の平野満男は、大阪の町工場に勤める内気な青年。工場の事務員でシングルマザーの高崎ななみ(相武紗季)に密かに思いを寄せる彼は、あるとき地球に不時着したさえない宇宙人・シカタ(温水洋一)に出会い、彼と同居することになる。大阪の街を舞台にした友情と恋がテーマの物語。主演を果たした小籔に話を聞いてみた。 ――今回の映画で主役に抜擢されたときのお気持ちはいかがでしたか? 小籔千豊(以下、小籔) 「ホンマに僕でええんかな?」という戸惑いがありましたね。僕は新喜劇で座長をやってますけど、演技にまったく自信もないですし。それでまた、周りのキャストを見たらえげつないぐらい強烈な人たちですから。光栄なんですけど、荷が重いんじゃないかなと思ってましたね。 ――役作りのために何かやったことはありますか? 小籔 主役の満男に自分を重ね合わせて「相武紗季さんぐらいかわいい人に恋したらどういう気分なんやろうな?」って考えたりはしてましたね。カメラが止まってるときでも、気持ち悪がられへん程度に相武さんとか本仮屋(ユイカ)さんの顔をずっと見ながら「こんなきれいな人が言い寄ってきたらどうなんやろ?」って思ったりはしてました。周りからは「大阪の芸人が東京のきれいな女優さんをじっと見てて、めっちゃ調子乗ってるやん」って思われてたかもしれないんですけど(笑)。僕としては一応、真面目にイメトレとしてふたりを見つめていたんです。
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――相武さん以外にも、温水洋一さん、大杉漣さんなど、豪華な俳優陣と共演されていましたね。 小籔 そうですね。相武さんと演技をさせていただいて、それまではテレビ見てて「かわいい人やなあ」ぐらいにしか思ってなかったんですけど、じかで見たらやっぱりプロの女優さんなので、演技力ヤバいですからね。例えば、阪神が弱いときにピッチャーが打たれたら、うちの父親とかが「こんなんやったら俺が投げたほうが抑えられるわ」とか、酒飲みながら言うわけですよ。テレビ見てる間は好き勝手言えるんですけど、実際そのピッチャーが父親が入ってる草野球チームに来たら、たぶん完全試合になると思うんですよね(笑)。テレビで見てるのとじかで見るのとはすごさが全然違う。もちろん頭ではわかってたことなんですけど、それを超えて皆さん素晴らしい役者さんばっかりだったんで、勉強になりました。それで刺激を受けて、僕はお笑いを頑張ろうと思いましたね。自分の本業をちゃんとしないと、この人らみたいに格好良くなれないな、と。 ――最近は東京のテレビ番組でも小籔さんの姿をお見かけする機会が増えてきましたが、新喜劇の座長としてはやっぱり大阪がご自分のホームグラウンドだという意識があるんでしょうか? 小籔 そうですね、僕は新喜劇の広報担当やと勝手に思ってるんです。東京のテレビに出て、僕が「新喜劇出てます」って言うことで新喜劇を広く知ってもらって、東京の方が大阪に遊びに来た際に「新喜劇って聞いたことあるな、ほな行ってみようか」ってなればいいかなと。大阪のテレビに出るときも考え方は同じで、結局は新喜劇につながればいいなあと思ってますね。 ――この映画はどういう人に見てもらいたいですか? 小籔 モテへん人とか一歩踏み出されへんような人が、僕のことを自分やと思って見ていただいたら面白い映画なのかなと思いますね。普段からルーティンで毎日を過ごしてしまって、変わらないとアカンなと思ってるけど、勇気が出なくて変わられへんっていう人が結構いると思うんですよ。そういう人がこれを見て、自分も一歩踏み出してみようとか思っていただけたらいいですね。僕も、相武さんと本仮屋さんのおふたり人と共演したおかげで、半分病気だったキャバクラ通いをやめることができました。こんなきれいな人たちと仕事場でタダでしゃべれるのに、なんで俺こんな不細工な人たちに金払わなアカンねんと思ってたら、アホらしくなってきて。僕をキャバクラ通いから"FLY"させてくれたのがこの映画です(笑)。 (取材・文=ラリー遠田/撮影=長谷英史) fly.jpg ●『FLY!~平凡なキセキ~』 監督:近藤真広 出演:小籔千豊、相武紗季、温水洋一ほか 3月10日(土)よりシネマート新宿、シネマート六本木、シネマート心斎橋、コロナシネマワールド他にて全国公開 (c)朝日放送/吉本興業 配給:株式会社よしもとクリエイティブ・エージェンシー
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秋葉原事件が題材の『RIVER』で、新境地に挑んだ蓮佛美沙子の素顔

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「女優って意識があまりないんです」と話す蓮佛美沙子。映画づくりに参加することが楽しいのだそうだ。
 16歳で大林宣彦監督の『転校生 さよなら あなた』(07)の主演に選ばれ、透明感あふれる佇まいと確かな演技力で鮮烈な印象を放った蓮佛美沙子。その後も超能力少女に扮したNHKドラマ『七瀬ふたたび』(08)、清水崇監督のサイコホラー『戦慄迷宮3D』(09)で物語の鍵を握るヒロイン、友達想いのちょいヤンを演じた『君に届け』(10)......といろんな役に染まってきた。だが、最新主演作『RIVER』で演じたひかり役はこれまでにない難役だった。廣木隆一監督のオリジナルストーリーによる本作は、2008年6月に起きた「秋葉原無差別殺傷事件」を題材にした作品。突発的な事件によって恋人を失ってしまった女性が、秋葉原という街をさまよい、さまざまな人々に出会っていく姿を描いたものだ。大人の女優へと着実にステップを刻みつつある蓮佛美沙子が、今ここにいる。 ――これまで主演・助演を問わず、さまざまな役を演じてきたけど、今回の役は難儀だったでしょ? 蓮佛 はい。挑戦でもあったし、ある意味で初心に帰らせてもらったように思います。廣木監督からは「本当にまっさらな気持ちでやってくれ。台詞も言いたくなかったら言わなくてもいいし、覚えてこなくていいから」と言われたんです。ドキュメンタリータッチで撮りたいということでした。それで私も、このシーンはこんな風に演じればいいな、この場面の台詞はこのくらい間を置いて......みたいな計算はいっさいしませんでした。その瞬間その瞬間で、自分が感じるままに動いたんです。お芝居をするようになってから無意識のうちに癖みたいなものが付いていたので、そういうのを取っ払うことができたように思いますね。
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主演作『RIVER』では大事な人を失った喪失感、なぜ自分は生きているのかという罪悪感に悩む女性役に挑んだ。「これまでにない達成感を感じました」。
――でも、役者が役づくりできないまま現場に入るのって、逆に不安では? 蓮佛 そうですね。それに今回は実際に起きた事件に基づいたものですし、撮影の初日が2011年3月27日、東日本大震災の直後だったんです。まだ3年しか経っていない事件を題材にして映画をつくることもそうですし、震災の直後に映画を撮っていて良いのかという気持ちがありました。ですから、役づくりというよりも、自分が映画にどう向き合うかということで悩みました。 ――蓮佛さん自身も、事件について調べたりしたんですか? 蓮佛 あのニュースをリアルタイムで見たときに自分が感じた心情を、もう一度思い起こすという作業はしましたね。事件のことを知って、まったく関係ない人たちが犠牲となり、残された遺族の方たちのことを想うと「何てことをしてくれたんだ......!」という感情が込み上がってきました。私自身はまだ近しい人を亡くした体験はないので、本当の意味では残された人たちの気持ちは分からないと思います。演じる人間が「分からない」なんて言葉を口にしちゃダメなんですけど。でも、残された人たちの気持ちについては、すごく考えました。 ■廣木監督は人の心を読み取る超能力者? ――廣木監督というと『ヴァイブレータ』(03)のようなインディペンデント作品から『余命1ヶ月の花嫁』(09)といったメジャー作品まで幅広く撮っていますが、蓮佛さん的にはどんなイメージの監督でした?
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事件以降、自宅に篭るように暮らしていたひかり(蓮佛美沙子)。恋人が通っていた街に、恐る恐る足を踏み入れる。
(c)2011ギャンビット
蓮佛 人の心の奥の奥まで映し出そうとする監督ですね。廣木監督の『雷桜』(10)と『軽蔑』(11)を観たんですが、人の心が動く瞬間だけを切り取って見せようとしているなぁって。現場に入るまでは「怖い監督」だと思っていました。いろんな方から「厳しいよ」と聞いていたので、覚悟して現場に入ったんです。でも、廣木監督は厳しいことは言わないんです。その代わり、見ているんです。ただ見ている。心の目で、穴が開きそうなくらい見られている感がありました。実際に私が「何か違うなぁ」と心の中で感じながら演じていると、絶対にカメラを回さないんです。で、「あっ、分かった」と自分の中でハマった感が湧いてくると、こちらから何も言わなくても「じゃあ、カメラ回そうか」とおっしゃる。もしかしたら廣木監督はエスパーなんじゃないかと思いました(笑)。 ――廣木監督からは、具体的に役に関しての説明はなかった? 蓮佛 はい。撮影前の本読みのときも「見たことあるぞ、その芝居」と言われたぐらいですね。無意識のうちに型にハマっている部分を取り払ってから現場に来いよ、ということだったんだと思います。それで私なりに、まっさらな気持ちで秋葉原に向かいました。その秋葉原で出会う人々にだけ、反応するようにしました。廣木監督はそれができているかどうかだけを見ていたみたいですね。 ――小手先の芝居では騙せないわけですね。 蓮佛 絶対に騙せません。覚悟を持って、現場に入らないとダメですね。ちょっとでも自分の頭の中で計算した芝居をしようとすると、すぐに注意されるんです。「芝居をするな」ってことなんでしょうけど、芝居をする人間にとって、それがいちばん難しいことなんです。 ――役づくりの準備もできず、しかもインディペンデント作品だから撮影期間も限られているわけでしょ? 蓮佛 私もそこがすごく不安だったんです。限られた撮影期間で役になりきれるんだろうかって。でも、今回は長回しが多くて、ひかりが事件後に初めて秋葉原駅を降りて15分ほど歩き続けるシーンを撮影初日にノーカットで撮ったんですね。このシーンの撮影に助けられました。ずっと歩き続けて、カメラマン(中村麻美)に話し掛けられ、最後に(映画には登場しない)彼のことを思い出して涙が流れてしまったんです。自分の想像を超える芝居でした。それって自分とって初めての体験だったので、すごく自信になったんです。あっ、このやり方で間違ってないんだなと思えたんです。 ――ひかりが不安げな表情で秋葉原を歩く姿は、戸惑いながら現場に入った蓮佛さん自身でもあったわけですね。 蓮佛 ほんと、そうですね。私自身が「これでいいのかなぁ。演じ切れるのかなぁ」と、探り探りの芝居でした。でも廣木監督に対する、絶対的な信頼感はあったんです。廣木監督は「秋葉原で起きた事件は絶対に風化させちゃいけない」という信念を持たれていました。それに廣木監督は福島の出身で、震災直後の自分の故郷の様子も今回撮影しているんです。そういう廣木監督の強い想いにも背中を押してもらったように思います。だから私も覚悟を決めて、現場に立つことができたんです。 ■家族や親友ではない人たちとの出会いが与えたもの ――うさん臭いスカウトマン(田口トモロヲ)に声を掛けられ、ひかりはメイドカフェで働き始めますね。メイド体験はどうでした?
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スカウトマンに声を掛けられ、メイド喫茶で働くことに。ひかりの閉じていた心が少しずつだが開いていく。
蓮佛 衣装合わせのときは「大丈夫かな」と心配でした(笑)。でも、メイドカフェには「一度、行ってみたい」と思っていたんです。実際にメイドカフェとして営業中のお店での撮影でした。お店で働いている女の子たちが制服からメイド服に着替えたりしている様子も見ていたんですが、「へぇ~、お店の裏側って、こんな風になってるんだぁ」と興味深かったですね。お店の女の子たちが「美味しくなぁ~れ~、シャカシャカ♪」なんてやっているのを見て、あそこまでできるのは役者に似ている部分もあるんじゃないかなんて思いました。劇中で「みんな自分じゃない、もう一人の自分を探しているんだ」って台詞がありますけど、確かに誰しも自分じゃない自分になってみたい願望ってあるんでしょうね。それが人によってはバイトだったり、私の場合だとお芝居だったり......。 ――田口トモロヲさんは廣木組の常連俳優。お店の女の子に手を出す、とんでもないスカウトマンですけど、「目的がないのが、いちばん辛い」って台詞は「おっ?」と考えさせますね。 蓮佛 私自身も秋葉原に行ってそのことを感じました。秋葉原駅を降りる人たちって、電器店だったり、メイドカフェだったり、AKB48の劇場だったり、目的が決まってる人たちが多いですよね。秋葉原は目的を持っている人たちが多い街。そんな街で目的がなく、ぼんやりと歩いていると浮いてしまう。目的って何だろうって考えちゃいました。 ――物語の後半には震災直後の福島の被災地の映像も。愛する人との突然の別れを強いられたひかりは、街を歩き回ることで喪失感を克服できたんでしょうか? 蓮佛 克服できたわけではないでしょうね。ひかりは恋人を失って、最初は生きていても死んでもどっちでもいいという精神状態だったと思うんです。そんな彼女が家族や親友とは違う、それほど深い関係でない人たちと出会っていく中で、いろんな話をするわけですよね。ひかりが相手に投げ掛けている言葉は、彼女自身にも向けられていると思うんです。ビルの屋上にいる青年(柄本時生)に「自殺したいの?」と尋ねて、「ううん」「よかったぁ」ってやりとりがあるんですけど、あの言葉は自分自身にも問い掛けていたものでしょうね。心のキズを克服できたかどうかは分からないけど、ほんのちょっぴり心の中に変化が生じたんじゃないかなと思います。大丈夫、これから私はしっかり生きていく、なんて大きな自信はまだないでしょうね。でも、いろんな人たちに逢うことで、ちょっとずつ背中を押してもらって、まったく希望が持てない状態から、少しだけど希望の光を感じることができるようになったのかなって。そうなればいいなと願いながら、演じていました。
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『RIVER』という題名の意味を尋ねると「川の上流が過去で、下流が未来。いろんな人に逢うことで、ひかりは『少し先の景色を見てみよう』という気持ちになれたんじゃないかな」と回答。
■今年は大学4年生。卒論は絵本の創作です ――蓮佛さんは、きちんと自分の言葉で説明してくれるのでインタビューのしがいがあります。撮影がない期間は大学に通っているんですよね。大学生活はどうですか? 蓮佛 今、大学3年生です。週2日に朝から晩まで授業を詰め込んで、他の日に撮影のスケジュールを組んでもらうようにしてるんです。大学2年までは一般教養だったんですが、苦手の英語があったりして大変でした(苦笑)。大学3年からは児童文化学科を専修していて、絵本の創作を学んでいるんです。これが、すごく楽しいんです(笑)。大学4年は卒論で絵本を創作するんです。ストーリーも絵も自分でやらなくちゃいけないけど、創作について学ぶことで、作家や脚本家の人たちはすごいなぁと思うようになりましたね。短い絵本の中でも、起承転結を考えるのが難しいんです。今までは芝居をしていて自分の演じる役の気持ちについては考えていましたけど、大学で学び始めてから「この脚本家は何を伝えたくて、この役にこの台詞を言わせているんだろう?」とか考えるようになりましたね。それが演じる上で役立っているかどうかは別ですけど(笑)。 ――撮影以外の時間をどう過ごすかって、女優にとって大事ですね。 蓮佛 そうですね。でも、この仕事をしていても、自分は女優だという意識があまりないんです。「自分は女優」という意識がないと、いけないんでしょうけど。でも大学に行くと友達が「美沙子がテレビに出てるよ、あはは」と笑われたり、もっと親しい友達だと、そういうことも考えずに一緒にいられますね。悩み事を相談したり、「今、こういうのが流行してるんだ」とかも分かりますし。仕事だけだと、そういうことが分からなくなってきますよね。そういうのも含めて、大学に通うのがすごく楽しいんです。 ――蓮佛さんは女優であることよりも、物づくりが好きなんですね? 蓮佛 そうなんです! 物づくりが好きです! 役を演じるのも、私がひとりの女の子を作っていくという感覚なんです。それで、私がひとりの女の子の役づくりをすることで、1本の映画に参加しているって意識なんです。だから、変な話、映画の完成披露の舞台挨拶に出ると「はて、何を話せばいいんだろう?」と悩んじゃうんです。役を演じ終わった後は、自分の立ち位置が分からなくなるんです。結局、素の自分で話すしかないんですけど、「あっ、どうもどうも」みたいな感じでお茶を濁してしまう(笑)。でも、まだ役について話す分にはいいんですけど、たまにテレビのバラエティー番組に出てしまうと、何を話せばいいのか全然分からなくなって「ひゃあ~」ってなっちゃうんです。 ――そんな素の蓮佛さんも素敵です。せっかくなので蓮佛さんのお薦めの絵本を教えてください。 蓮佛 私が小さいときから親に読み聞かせてもらった絵本なんですが、『まあちゃんのながいかみ』(たかどの ほうこ作)。私が髪を長くしたのもこの絵本の影響なんです(笑)。ショートヘアの少女がロングヘアにしたら、あんなことができるこんなことができると想像するお話。髪を三つ編みにして物干竿代わりにしたり、髪を洗ってソフトクリームみたいにしたり......。とてもカワイイ絵で、今読んでも癒されますね。親に絵本を読み聞かせてもらったことで、本を読むことが大好きになりましたし、脚本を読むのも楽しいです。親には感謝しています。 (取材・文=長野辰次/撮影=岡崎隆夫/スタイリスト=猪塚慶太[super sonic]/メイク=倉田明美) 『RIVER』 原案・脚本・監督/廣木隆一 主題歌/meg「Moon River」 出演/蓮佛美沙子、中村麻美、根岸季衣、尾高杏菜、菜葉菜、柄本時生、Quinka,with a Yawn、田口トモロヲ、小林ユウキチ、小林優斗 3月10日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次ロードショー http://river-movie.com ●れんぶつ・みさこ 1991年2月27日生まれ、鳥取県出身。スーパー・ヒロイン・オーディションMISS PHOENIXグランプリを受賞し、市川崑監督の『犬神家の一族』(07)で映画デビュー。滝田洋二郎監督『バッテリー』(07)、大林宣彦監督『転校生 さよならあなた』(07)でキネマ旬報ベストテン日本映画新人女優賞、高崎映画祭最優秀新人女優賞を受賞。その後、大岡俊彦監督『いけちゃんとぼく』(09)、清水崇監督『戦慄迷宮3D』(09)、土井裕泰監督『ハナミズキ』(10)、熊澤尚人監督『君に届け』(10)、鶴橋康夫監督『源氏物語 千年の謎』(11)など多彩な作品に出演。ドラマ出演作に『七瀬ふたたび』(NHK総合)、『Q10』(日本テレビ系)、『全開ガール』(フジテレビ系)など。大林監督の『この空の花』が公開待機中。http://www.renbutsumisako.com/
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ジャルジャルさんの至言「僕らのネタに深い意味なんかないんです」(後編)

DPP_0022.jpg前編はこちらから ──あはは! でも、さすがに『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)新レギュラーに合格してからは、かなり変わられたんじゃないですか? 福徳 それはやっぱりそうですね。いろんな人が、「あ、『めちゃイケ』の~」ってなりますからね。いつも「『めちゃイケ』の~」って。 ──ずっとやってきたのに印象が一新される寂しさはありますよね。 福徳 あはは。でも、よかったな、とは思います。言うても僕らもうすぐ10年目ですからね、早くはない。 ──『めちゃイケ』では生意気な後輩キャラでやられてますけど、そういうキャラ作りの案は番組側から出されるんですか? 福徳 いや? もう自然になりましたね、たぶん、ほんまにちょっと生意気やったんやと思います(笑)。 ──えっ! てっきりやらされているのかと......。でも、そういう度胸がないと『めちゃイケ』レギュラーにはなれないということかも......。ところで、ちょっと相談なんですが、お二人はインタビューでしょっちゅうウソをつくらしいじゃないですか。私も、悪気は一切なく変なウソをほいほいついてしまって、人間関係がうまく築けない節があるんです。お二人はどういう流れでウソをついてるんですか? 福徳 あはは! 同じ質問をいっぱいされた時に即興でウソをついて、それがだんだん「今回は後藤、どんなウソつくんやろな」ってエスカレートしたというか。 後藤 最初はもともとの話をちょっと大げさにするくらいにしてたんですけど、気いついたらもうゼロからウソついてました。でも、『ヒーローショー』の時とかは、一日中取材日でも『ヒーローショー』に関してはウソつけないじゃないですか、監督が作ったものやし。だから、めっちゃおっきい声でやるとか、声ちょっと変えるとか、そういう遊び方みたいのしてましたね。 ──わぁ、ライター殺し! また、ウソも「学生時代に起業していた」とか、「実はバツ1」とか、微妙にあり得ることを言うんですよね。普通に信じてしまいますよ! 福徳 たまたまウソをつきまくった時、紙面になったのを見て、読んでめっちゃ面白かったんです。 後藤 大学生が初めて取材します、みたいな女の子やって、何言っても信じてくれるんでこっちもちょっとエンジンかかってしまって......そうしたら、それがまんま文章になって(笑)。それでクセになってしまいましたね。でも、こういうのに関してはウソつかないですよ! 福徳 ついてもしゃーない。そん時はクセになってたけど、今はほんまに意味ないことに気づいたんで。なんにも生み出さない。 後藤 後々にまた会った時に「あれどうなったんですか?」とか言われて、「なんだっけ? なんか言ったっけ?」ってなるし。 ──ウソをつくクセは、どのへんでスパッとやめられたんですか? 福徳 番組で取り上げられたし、インタビュアーの方が「ウソつかないでくださいね(笑)」とか言うてきたら、もうウソつけないですよね。それでもしぶとくウソついてる時期ありましたけど、向こうも疑ってるんで、もうおもんなくなってやめました。 後藤 オバハンのコントとかもそうですけど、意味ないことがおもろかったりしますもんね。「なんでウソつくねん?」て、理由ないですもん。 ――なるほど~。ちなみにお二人は、芸人さんを志されてから、自分が『めちゃイケ』のレギュラーになったり、人気監督の映画の主演をやったり......っていう未来は想像できましたか? 福徳 いやー、始めたときはピンピンに尖ってて、もう1年目2年目ですぐ売れて、すぐゴールデンの冠もって......みたいなイメージをしてたんで、それ考えると逆に遅すぎるって感じですね。 後藤 僕はそこまで具体的にイメージしてないですけど、そんとき思ってたことよりは、やっぱ遅いですね。なんも知らんまま、「1年目で東京いって番組もって......」って簡単に思ってましたけど、そらその通りはいかんわ(笑)。 ──今後の野望はありますか? 福徳 野望は、武道館でいつかライブをしたいですね! 後藤 ロンドンも、まあ定期的にやってますんで、ロンドンの空港にハッピで降り立って、ロンドンの人たちに「ワー!」って言われたい(笑)。 ――ありがとうございました! (取材・文=小明) ●ジャルジャル 福徳秀介と後藤淳平からなるお笑いコンビ。2003年結成。今年1月1日にDVD『ジャルジャルのいじゃら』(よしもとアール・アンド・シー)を発売。3/24~3/31まで「第4回沖縄国際映画祭」を開催。一般の方からも審査員・ボランティアを募集してます! 詳しくは <http://www.oimf.jp/●あかり 1985年栃木県生まれ。2002年史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。 ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/> サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中 ニューシングル「君が笑う、それが僕のしあわせ」予約受付中<http://cyzo.shop-pro.jp/
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