『ムカデ人間2』世界に繋げよう、ムカデ人間の輪! 谷ナオミを崇拝する怪優さん登場です

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『ムカデ人間2』に主演したローレンス・R・ハーヴェイさん。
“ムカデ人間”以上にインパクトのある風貌。
相当の日本通です。
 関係者の予想を大きく上回るロングランヒットを記録したトム・シックス監督の『ムカデ人間』(09)。3人の男女のお尻とお口を繋ぎ合わせた映像は、ほんっと巨大ムカデに噛まれたようなショッキングさがあった。だが、その考えは甘かった。間髪置かずに完成した『ムカデ人間2』は、前作を遥かに凌駕する猛毒インモラルパワーに溢れているのだ。なにしろ、ストーリーが激ヤバ。映画『ムカデ人間』を愛するあまり、地下駐車場の警備員が次々とお客を拉致し、大工道具でムカデ人間づくりにトライするというもの。繋げる人数も前作の3人から、一気に12人に増員。ゲゲッー。  『ムカデ人間』の日本公開の際には、“ムカデ人間第1号”こと北村昭博にムカデ人間になった心境を語ってもらったが(参照記事)、今回は主人公マーティンを演じたロンドン在住の個性派俳優ローレンス・R・ハーヴェイにスカイプでインタビュー。日本のサブカルチャーにやたらと詳しい、正真正銘の怪優さんなのだ。 ──ローレンンスさん、本日はよろしく。あれ、今何してたところですか?
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『ムカデ人間2』は英国、豪州で上映禁止。
英国ではDVD版も大幅カットとなった。
日本での公開は映倫に3度お伺いを立てて
R18での上映に。
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ローレンス ハロー! ええっと今はね、ちょっとお菓子を食べていたところ。ボクはマンチェスターのウィガン生まれなんだけど、地元の特産品の砂糖菓子が大好きでよく食べているんだ(モグモグ)。もう大丈夫、質問してくれてOKだよ! ──『ムカデ人間2』、強烈無比な作品ですね。主演されたお気持ちから教えてください。 ローレンス 本当にラッキーなことだと思うよ。ボクはこれまで性格俳優としてやってきたんだけど、今回はいきなりステージの真ん中に引っぱり出されたみたいで驚いているんだ(笑)。ボクにとって、これが初めての主演作。ボクを主演に選んでくれたトム・シックス監督に感謝だね。素晴らしい体験ができたし、また完成した作品を観て誇らしく思っているよ。いわゆるアーティスティックな感覚を備えた、ダークなエクスプロイテーション映画に仕上がったんじゃないかな。 ──前作『ムカデ人間』を観て、出演を決めたんですよね? 『ムカデ人間』のどこに惹かれたんでしょうか。 ローレンス えっとねー、実は前作を観たのは、オーディション当日の朝だったんだ。『ムカデ人間』を午前に観て、午後から『ムカデ人間2』のオーディションに参加したんだよ。ギリギリのタイミングだったんだ(苦笑)。前作は、ヨーロッパのアートフィルムの影響を感じさせたし、香港映画っぽい雰囲気もあったよね。ハイアートでありながら、とてもグロテスクな要素が織り交ぜてあり、すっごくインパクトがあった。ハイター博士を演じたドイツの俳優ディーター・ラーザーも、すごく印象的だったしね。パート2の主演をオーディションで決めると知り、「これは大きな責任を負うことになるな」と思ったよ。だから、オーディションでは、前作のキャストたちの名演に負けないように努めたんだ。
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家庭内で虐待されて育ったマーティン
(ローレンス・R・ハーヴェイ)は映画
『ムカデ人間』に異常に惚れ込み、ムカデ
人間に関する資料を収集する。
──『ムカデ人間2』も過去のいろんな映画を連想させますね。主人公が母親から抑圧されている生活は『サイコ』(60)や『キャリー』(76)のよう。部分的にカラーになっているのは『シンドラーのリスト』(93)っぽいし、若い女優を映画の面接と偽って呼び出すのは三池崇史監督の『オーディション』(00)みたい。 ローレンス そうだね、過去の名作映画の影響をいろいろ受けているようだね。日本のスプラッター作品だと、『ギニーピッグ』(85)のスタイルも踏襲しているんじゃないかな。それと60~70年代に流行した実験映画やニック・ゼッド、リチャード・カーンらの影響も明らかに入っていると思うよ。ボク自身もマーティンを演じる上で、醜いモンスターにならないよう、サイレント時代のコメディ映画をたくさん観て、暴力シーンが極力スプラスティックになるよう演じたつもりなんだ。
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『ムカデ人間』に主演したアシュリン・イェニー
(本人)は「タランティーノが会いたがって
いる」とウソの面談を信じて、英国まで来てしま
う……。
──役づくりには、柴田剛監督の『おそいひと』(04)も参考にしたそうですね。日本では単館系でひっそり公開された作品をよくご存じで。 ローレンス 以前、ボクは障害者の方たちと一緒にお芝居をしたことがあり、そのこともあって『おそいひと』(主人公の連続殺人鬼を重度障害者である住田雅清が演じている)のことは知ってたんだ。今回、マーティンをただのサイコ人間として演じるのはつまんないと思い、そこで障害者のイメージをうまく取り込めないかと『おそいひと』の主人公を参考にしたんだ。 ■この映画には、現代社会への風刺が込めてある! ──トム・シックス監督の脚本は設定のみ書かれてセリフが書いてないと聞いています。オーディションはどんな感じでした? ローレンス オーディションで、トム監督と妹であるプロデューサーのイローナ・シックスに初めて会ったんだけど、3人ですごくフレンドリーな雰囲気で盛り上がったんだ。ボクの場合、オーディションってだいたい15分くらいで終わるのに、このときは1時間くらい続いたよ。オーディション中にトム監督はストーリーの全貌を語ってくれたんだ。こーゆー映画を作りたいんだ。あーゆータイプの映画? いやいや、そーゆー映画じゃなくて、こーゆー映画だよ、みたいに映画マニア同士の会話をずっとしていたよ(笑)。それから、マーティンをどういうキャラとして演じるかということも話し合ったよ。マーティンはあんなこともする、こんなこともすると。そういう話を聞いた上で、マーティンが大事にしていたスクラップ帖を母親に見つかってしまう場面、マーティンがムカデ人間をレイプしてしまう場面などを、ボクはその場で演じたんだ。ものすごく役に集中して演じたよ。トム監督はボクがどこまで演技にトライできるのかを面白がり、またボクも俳優としてのやりがいを感じる時間でもあったんだ。ボクがマーティンを演じている間、トム監督もイローナも「ワォ!」「ワォ!」の連続だった(笑)。とても奇妙で不思議な時間だったけど、これまでの俳優人生の中でサイコーのセッションだったな。 ──ストーリーの全貌を知って「こりゃ、前作よりもヤバい映画だな」という考えはよぎらなかった? ローレンス 確かにショッキングな作品であることは認めるよ。でも、ボク自身が驚くことはなかったし、完成した作品を観てショッキングな内容の中にちゃんとしたテーマがあることが分かったよ。「暴力的な映画だ」「映画をマネする人間が現われたら、どうするんだ」とか英国のタブロイド紙は騒ぎ立てるわけだよ。それって、すごくバカげた論議。でも、そういったマスコミや世間の風潮をきちんと風刺するには、肝心な映画が誰にもマネできないくらい究極のものにならなくてはいけなかったんだ。そして、この映画はその究極にまでたどり着いた作品だと思うな。究極の映画に俳優として参加することができて、とても誇りに思っているよ。 ──なるほど、“誰にもマネできない映画”ですか。トム・シックス監督はヨーロッパ各国で監督作が上映禁止になるなど波紋を呼んでいる人物だけど、ローレンスさんから見たトム監督はどんな人? ローレンス おそらく、大勢の人たちがイメージしているような人間とは、実際のトム監督は違うと思うよ。「あれだけ問題になっている映画を撮っている人間だから、本人も問題があるに違いない」と多くの人はそう思い込みたいんじゃないかな。確かに、トム監督はとてもショーマンシップのある人だから、その部分を本気で受け止めてしまった人もいるみたいだね。でも、トム監督はとっても情熱的な人で、すべての物事に熱心に取り組む人。映画だけでなく、人生のすべてにおいて情熱を持って接している。直接本人に会えば、嫌うことができない人だよ。トム監督の撮影現場で過ごすことができたのは、ステキな体験だったしね。監督としてのトムは、すっごくハイアートな世界、それとは真逆の超グロテスクなもの、その二つをうまくミックスできる人。『ムカデ人間』シリーズの後、どんな新作を撮るのかとても楽しみなんだ。これから、さらに注目を集める監督であることは間違いないよ。 ■怪優の目下の夢は、熊本を訪問すること ──ローレンスさん自身についてお聞きします。英国BCCの児童向け番組で“リトルグリーンマン”というキャラクターを演じていたそうですね。これは一体どんなキャラだったの? ローレンス 土曜日の午前中に放映されていた『パラレル9』って子ども向けのバラエティー番組で、アメリカのアニメを紹介したり、ミュージックビデオを紹介したり、コメディドラマを見せたりしていたんだ。その中の1コーナーで、ボクはリトルグリーンマンって異星人役でショートドラマをやっていたんだ。その番組の放送作家の中から、後に犯罪ドラマで有名になった脚本家も育ったり、いろんな才能が飛び出した番組だったんだ。『パラレル9』を見ていた子どもたちも、もう『ムカデ人間』を観ても大丈夫な年齢になっているんじゃないかな。中には『パラレル9』と『ムカデ人間2』の両方を観て、ボクのファンになってくれる子もいるかもしれないね(笑)。
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こちらが1990年代の英国で放映
されていた子ども番組『パラレ
ル9』の人気キャラ・リトル
グリーンマン。かなり痩せて
ましたね。
──ローレンスさんは『蛇と花』(74)の谷ナオミさんの大ファンだそうですね。今の日本のポップカルチャーシーンはAKB48という若い女性アイドルたちが席巻しているんですが、ローレンスさん的にはやっぱり谷ナオミさんが推しメンですか? ローレンス (日本語で)アキハバラ四十八よりも、ボクはキノコホテルのほうがダイスキです。(英語に戻って)ティーンのガチャガチャした音楽は、あまり興味がないんだ。大人の女性のほうが好き。やっぱり、谷ナオミさんが出ているアートフィルムが大好き。それに梶芽衣子さんも好きです。 ──谷ナオミさんは映画界から引退してますけど、熊本でクラブを経営しているそうですよ。行ってみたい? ローレンス イエス! 実は友人が熊本に住んでいて、ボクが日本に行くことができれば、一緒に谷ナオミさんのお店に行こうと約束しているんです。あと、谷ナオミさんはピンク映画を販売しているお店も持っているそうなので、そちらにもぜひ行ってみたい。日本に行きたいデ~ス! ──谷さんのクラブでは、希望者はムチでぶってくれるみたいですよ。 ローレンス オー、それはいいなぁ。ボク自身はいろんな体験をしてみたいと考えているから、谷ナオミさんとならマゾ体験もいいかもね(笑)。 ──では、最後に日本の『ムカデ人間』ファンにメッセージを。 ローレンス OK! じゃあ、最後に日本語で1曲歌うよ。「ゲッゲッゲゲゲのゲ~。朝は寝床でグ~グ~グ~。楽しいな楽しいな。オバケにゃ学校も試験もなんいもない。ゲッゲッゲゲゲのゲ~♪」 (取材・構成=長野辰次) 『ムカデ人間2』 監督・脚本/トム・シックス 出演/アシュリン・イェニー、ローレンス・R・ハーヴェィ、マディ・ブラック、ドミニク・ボレリ  R18 配給/トランスフォーマー 7月14日(土)より新宿武蔵野館にてレイトショー公開ほか全国順次公開 <http://mukade-ningen.com/mukade2> (c)2011 SIX ENTERTAINMENT ●ローレンス・R・ハーヴェイ 1968年英国生まれ。ウェールズのカーディフでパフォーマンス集団「シアター・オブ・ミステイクス」のアンソニー・ハウエルに師事し、パフォーマンスアートを学ぶ。アート&パフォーマンス理論で修士号を取得。80年代後半からパフォーマンスアートを中心に活動をスタート。90年代は児童向け番組『Parallel9』『Knight School』などに出演し、子どもたちの人気者に。『ムカデ人間2』(11)で長編映画デビュー。親日家で、70年代の歌謡曲やピンク映画を愛し、日本語の勉強もしている。キノコホテルのライブを観ることと谷ナオミに会うことが夢。

「ガールズトークって、やっぱり楽しい」水島努監督新作は、まさかのほのぼの系アニメ!?

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(C)久米田康治・ヤス・講談社/女子落語協会
 『侵略!イカ娘』『よんでますよ、アザゼルさん。』『BLOOD-C』『Another』などなど、話題のアニメを立て続けに発表し続ける水島努監督。その最新作『じょしらく』が、7月よりTBS・MBS系列で放送スタートした。  寄席の楽屋を舞台に、女子落語家たちが些細なネタからどんどんトークを展開していく会話劇を描く本作だが、5月某日、「5月も終わりだというのに、まだ取材来ず。このままオンエア突入確定かー(゜゜;)」と水島監督自らツイート。そのアニメマスコミからのあまりの注目されなさぶりに、アニメクラスタは騒然となった。「ならば!」ということで、さっそく日刊サイゾーがコンタクトを開始。放送開始を目前に控えた6月某日、水島監督にインタビューを敢行した。  『ジャングルはいつもハレのちグゥ』『撲殺天使ドクロちゃん』『ムダヅモ無き改革』のような、カッ飛んだギャグが見られるのだろうか。それとも『侵略!?イカ娘』『ケメコデラックス!』などで見せた、奇妙キテレツなアクションが今回も飛び出すのか? はたまた『BLOOD-C』『Another』のような、血みどろ残虐描写が繰り広げられるのか!? エッジな作品を多く生み出してきた水島監督の新作に期待が募る一方だが、そんな取材陣を待っていたのは「萌えアニメを作っている」という予想外のコメントだった! ■水島努、「萌え」を考える ──今回、取材させていただこうと思ったきっかけは、監督の「まだ取材が来ない」というツイートだったのですが、その後、取材はありましたか? jyoshi006.jpg 「はい、何件か取材していただきました。言ってみるもんですね(笑)」 ──なかなかない展開ですよね(笑)。そんな監督が手掛けられる新作アニメ『じょしらく』ですが、本作は「萌えアニメ」……ですよね。 「そうなんです。これは釣りじゃなくて、本当にそのつもりで作っています。やっぱりお客さんにDVDを買ってもらいたいので、過激なことに走り過ぎずに、かわいい女の子を描くということをベースに作ろうと考えています。それで売れるのかというと、分かりませんけど」 ──以前、取材させていただいた際に、水島監督が「萌えが分からない」とおっしゃっていたことをよく覚えているのですが、そんな監督が「萌えアニメを作る」と公言されていることに驚いています。 「私が“萌えアニメ”を作るってウソ臭く感じました? ただ、いまだに“萌え”はよく分かってないんです(笑)。でも、分からないと言っていても始まらないので、とりあえず難しく考えずに、普通の女の子の会話をきちんと描こうと思っています。個人的に“エロ”と“萌え”は絶対に別物で、“愛おしいな”と思えることが“萌え”かなと考えています。そうなると動物とかも当てはまるので、厳密には違うと思うんですが……。そんなことを考えながら作っている最中です(笑)」 ■水島努的アニメ論とは? ──水島監督作品というと、物語の中で突如出現するトリッキーな動き(『ケメコデラックス!』プリップリン体操や、『侵略!?イカ娘』レディオ体操の振り付けなど)や、過剰すぎるバイオレンス描写(『BLOOD-C』クライマックスや『Another』の殺人シーン、『よんでますよ、アザゼルさん。』など)がしばしばアニメファンの間で話題になりますが、『じょしらく』ではどんな動きで我々を驚かせてくれるのか気になります。 jyoshi005.jpg 「やっぱり絵を動かすことって楽しいんですよね(笑)。ただ『じょしらく』に関しては、そこまでトリッキーな動きはないと思います。もしかしたら、今までの中で一番まったりした作品になるかもしれない」 ──室内での会話劇を描く『じょしらく』ですが、それをどのようにアニメとして描くのでしょうか。 「まず、本編を3つのパートに分けることにしました。AパートとCパートは原作通り室内劇にして、Bパートには外に出るアニメオリジナルの話を入れることにしました。ただ、そこで動きがあるかというと逆で、AパートとCパートは会話が多いので見てる側も疲れちゃうと思うので、Bパートは箸休めみたいなポジションでゆったりと風景を描く感じになっています。そのようにした理由は、単純にキャラクターを外に出したいというのと、私服が見たかったからです」 ──原作は『さよなら絶望先生』などでも知られる久米田康治さんということで、かなり際どいネタも作中には盛り込まれていますが、アニメではどの程度再現されますか? 「そこはかなりバランスを取っていますね。私としてはなるべく忠実に原作を再現したいのですが、今回はテレビで放送する作品なので、やはり制限はあります。自分で責任を取れるんだったら全開でやりたいんですけどね(苦笑)。どこまでやれるのかな、という駆け引きをやっている最中ですね。スポーツでいうと、ぎりぎりルール違反でないラフプレーを探っている感じです。 jyoshi014.jpg  ただ、『じょしらく』では、できれば女性たちが話すほのぼのとしたところを楽しんでほしいと思います。そう言うとフリだろうと疑われると思うのですが、これは本心です(笑)。人によっては過激なものを私に期待されているみたいなんですが、それだけじゃ作品にならないと思うんですよね。まず“普通の女の子”っていう部分をきちんを描かないと、その上にどんなものを盛ったとしても心に響かないと思います。だから、基本を忘れちゃいけないと常に心がけています。小ネタを出していくのは自分も楽しいんですが、そちらにばかりを気を取られないように気をつけています」 ──では、水島監督が作品を作る上で、最も心がけていることはなんですか? 「一度方向性が決まったらブレないことですね。作り始めると、あれもこれもと欲が出ちゃうんですが、ベースはブレちゃいけないなと思います。仮に1話がものすごく評判が悪かったとしても、急に軌道修正せずに作り切らないといけないと思いますね。長丁場の作品ならともかく」 ──ここ最近、ウェブ上では「まとめサイト」に視聴者の評判や感想が編集されて、結果的にそこにまとめられたコメントが作品の評価に影響を与えてしまうことも多々あります。 「そうやって話題にしていただけることはありがたいと思います。インターネット上で私が何を一番気にしているかというと、褒められる、けなされるではなく、作品を気にしてくれているかどうかですから」 jyoshi010.jpg ■『じょしらく』の魅力はガールズトーク! ──視聴者には、どういうふうに『じょしらく』を見てもらいたいですか? 「一生懸命作ってはいるんですけど、だからといってかしこまって見る必要はまったくなくて、うすらぼんやりと見てほしいです。重いテーマもありませんし、そもそもストーリーもあるかどうか怪しい作品なので(笑)。乱暴な言い方ですが、アニメって、それでいいんじゃないかと思っています。とくにサイゾーさんの読者のような、アニメファン以外の方にも見ていただけるとうれしいですね。ガールズトークって、男性陣だけかもしれないけど、楽しいじゃないですか。そのガールズトーク要素をきちんと作っているつもりなので、そこを純粋に楽しんでほしいですね。その上で、もっともっと広がっていければいいなと思います」 jyoshi004.jpg ──広がる、というと。 「一つ一つの作品そのものというよりもアニメ市場が、ですね。アニメはもっと外側に広がる努力をしないといけないと個人的には思っていて、そのためにはいろんなジャンルがあっていいと考えています。『じょしらく』は萌えアニメとはいっても、王道の作品ではないのは間違いないと思います。だからこそ“こういう萌えもあるんだよ”とアニメファン以外の方にも知っていただいて、その結果、どんどんとアニメを気にしてくれる人の幅が広がっていくといいなと思います」 ──ちなみに監督の理想とするアニメとは、どんな作品ですか? 「そこまで真面目に考えてアニメを作ってないからなあ(笑)。理想はとくにありません。明日ご飯が食べられればいいなと日々思いながら、『仕事があるうちが花だよ』と常に自分に言い聞かせつつ、一生懸命こつこつと、難しいことを考えずにアニメを作っています」 (取材・文=有田シュン) ●『じょしらく』 MBS 毎週木曜26:25~放送中 TBS 毎週金曜26:25~放送中 CBC 7/12~ 毎週木曜27:05~放送 BS・TBS 7/14~ 毎週土曜24:30~放送 *放送日時は変更になることがあります。 <http://www.starchild.co.jp/special/joshiraku/

群雄割拠のアイドル業界! 今こそ応援すべきは地方アイドル!?

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山村哲也氏(左)と南波一海氏(右)。
 ここ1年ほど、女性アイドルグループ業界は「アイドル戦国時代」といわれている。これがどういうことかを示す、象徴的な本が登場した。『全国あいどるmap 2012-2013』(エンターブレイン)に登場するのは、北は北海道から南は沖縄まで、全国各地を拠点に活動するアイドルばかり。アイドルと聞いて連想するAKB48やももいろクローバーZ以外にも、これだけの数がいるということに驚かされる。  そこで、この本を企画したプランナーの山村哲也さん、そして取材・執筆を担当した、アイドル取材を数多く行っている音楽ライターの南波一海さんに、出版のいきさつや全国のアイドル事情を語ってもらった。 ――アイドルと聞いて、普通の人が思いつくのはAKB48やハロプロだと思うんですが、『全国あいどるmap 2012-2013』に載っているのは、それ以外のアイドルということですか? 山村哲也(以下、山村) コンセプトとしては、東京以外で活動している女性アイドルグループです。あまりそういうふうに言われたくない人もいるらしいんですが、わかりやすく言うと「地方アイドル」ですね。
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南波一海(以下、南波) ご当地感があると思われたくないアイドルもいるんですよね。だから、この場所に住んでいるアイドル、ぐらいにしてます。 ――おふたりが地方アイドルに注目し始めたきっかけを教えてください。 山村 昨年までレコード会社に勤めていたので、アイドルの情報は得ていました。でも一番のきっかけは、ちょうど1年前にタワーレコードから「T-Palette Records」という、アイドル専門レーベルが立ち上がったことですね。嶺脇育夫社長がアイドル好きなのは知ってたけど、そこでNegiccoをリリースするということと、LinQっていう福岡のグループがいることを知って。秋葉原で行われたインストアイベントが、すごく面白かったんですよ。ただの地方アイドルって思ってたのが、みんなかわいいし、曲もいい。こういうのってどれぐらいいるんだろうって調べ始めたところ、全国各地にいるらしいと。オタク気質に火がついて調べ始めたんですが、調べる上で、個人的に選手名鑑みたいなのが欲しかったんですよね。同じようなことを思ってる人はきっとたくさんいるだろうし、全国のアイドルファンは助かるんじゃないかなって思ったのが、この本を作るきっかけになりました。 ――タワレコ嶺脇社長のアイドルへのハマリっぷりは、『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)でも特集されて話題になりましたよね。 南波  僕はもともと、グラビアアイドルが好きだったんですよ。父親が出版関係だったこともあって、子どもの頃から家に漫画雑誌がいっぱいあったんです。こないだグラビアやってた人がテレビに出るようになったとか、マイナーな雑誌に出てた人がメジャーな雑誌に移ったとか、政治的な部分をチェックすることが好きで、それはいまだにやってます(笑)。大人になってから、そういうことを人前で語る機会も増えてきたんですが、評論をしているうちに、AKB48がグラビアに入ってきたんです。これはグラビアという一面だけでは語れないな、アイドルの音楽もチェックしないと、という思いが大きくなってきた。音楽誌がももいろクローバーZを取り上げるようになって以降、アイドルを音楽サイドから書くことが急に増えました。その頃はアイドル全般については詳しくなかったんですけど、これはちゃんと調べないといけないぞって思ったんです。 ――音楽ライターとして、アイドル音楽も押さえないといけないと? 南波 それもあるし、アイドルについての評論をファンの目にさらされるということが、こんなにも過酷なことなのかと身に染みたという(笑)。下手なこと書いたら集中砲火。そこからはスイッチが入ったように、毎日アイドルのライブに行って、お金がなくなるまでCDを買いました。地方にもアイドルがいっぱいいることがわかったから、現地にも行ったりして。 ――地方アイドルって、いつ頃からいるんでしょう? 有名になった新潟のNegiccoは結成10周年ということですが。 山村 1995年に徳島で生まれたココナッツというグループが最初といわれてますね。今は名前を変えて、ココナッツJr.になってますが。その後、青森のりんご娘というグループも生まれました。 IMG_8810_.jpg 南波  「~ッ娘」みたいなグループはけっこう前からあって。それこそ、モーニング娘。がはやった後、軽いブームになったんですよ。2000年代中頃にはコンピレーションCDも出てたし。でも、今のブームは確実にAKB48の影響で、「会いに行けるアイドルを、うちの地元でも作っちゃおう」という感じ。06年にAKB48がメジャーデビューしたんですが、ここに載ってるのは10~11年ぐらいに結成されたグループが多いです。 ――ここ1~2年は「アイドル戦国時代」ともいわれていますね。この本を読むと、全国にこれだけアイドルがいるということを実感できます。まさに陣取り合戦。 南波  昨年と今年ではまた状況が違っていて、すごいスピードで変わってるんです。アイドルグループはどんどん誕生しているし、今年は昨年よりも地方のアイドルたちがイベントやプロモーションのために、しょっちゅう東京に来てる。昨年の早い段階では、地方に行かないと見られないグループも多かった。 山村 アイドルが出るイベントもどんどん増えていますしね。そのあたりについては、この本の中で「THEアイドル通対談」として、タワーレコードの嶺脇社長と、TOKYO IDOL FES総合プロデューサーの門澤清太さんに語ってもらっています。アイドル側は大変になってるかもしれないですね。みんな深夜バスや車を使って、頑張って東京に来てますよ。 ――地方アイドルの彼女たちは、いつか東京に出たい、AKB48やももクロのように成功したいと思ってるんでしょうか? 山村 純粋にアイドルが好きで、今だけアイドルができてうれしい、って子もいれば、将来の夢を聞くと「保母さんになりたい」って答える子もいるし。それぞれですね。 南波  アイドルになるのは、ひとつのプロセスって感じもします。現代っ子らしいというか。カリスマ性があった昔のアイドル像とは、違うかもしれないですね。大学進学かアイドルか、という選択肢で大学を選ぶ子もいる。昔よりはアイドルが身近になってるんですよ。ただ続けるとしても、いつまでもアイドルとしてはやってられない。となるとPerfumeみたいに、アーティスティックな方向に進めるかどうか。実は、みんなが目標にしてるのは、そこだったりするんですけど。 ――でも、アイドルとアーティストって何が違うんでしょう? 南波  ホントそうなんですよ!(質問に食い気味に) 俺も心の中では「アイドルとアーティストはそんなに違わないよ、そんなの気にしなくていいよ」って思ってるんですけど。 ――Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅは、アーティスト系アイドルというイメージですからね。 南波  すごくシンプルな線引きとしては、握手会をするかしないかじゃないかな(笑)。 ――Perfumeときゃりーぱみゅぱみゅは中田ヤスタカ氏がプロデュースしていますし、やはりアイドルには音楽の良さは不可欠ということでしょうか。 山村 確かに、有名な人が曲を手がけてることも、けっこう多いんですよ。その土地の出身者だったり、かつてバンドをしてたミュージシャンが地元に戻って曲を書いてたり。それも調べてて面白かった理由のひとつなんです。 IMG_8809_.jpg 南波  でも僕は男なんで、アイドル=かわいい・美人・エロいとかっていうのは大事です。「今のアイドルは曲がいい」ってことだけをやたら主張するのって、ウソくさいじゃないですか(笑)。そういうこと言う人いっぱいいるけど、かわいくなかったら絶対ハマらないだろって言いたい! ビジュアルから入るのも正しいんですよ。 山村 この本を見てもらうと、自分が住んでるところにこれだけアイドルがいるんだっていうことに驚くと思います。こないだあそこの広場でやってた子たちだ、みたいに。下手すると同級生の娘さんとか、遠い親戚の子とかいるかもしれないですよ(笑)。それに彼女たちって実家住まいの子たちだから、すごくちゃんとしてる。東京で一人暮らししてるアイドルがちゃんとしてないとは言わないですけど(笑)。昼間は学校に行って、夜も家に帰ってご飯食べるみたいな。みんなピュアですよね。アイドル業界は日々変化しているので、毎年更新するように最新号を出せたらうれしいですね。 (取材・文=大曲智子) ●やまむら・てつや レコード会社、ロック系音楽事務所等の勤務を経て、2011年よりフリープランナーとして独立。イベントコーディネーター、音楽ライターほか、ボカロPとしても人気のあるアーティストである、米津玄師、ナノウのプロモーターでもある。 ●なんば・かずみ ヒップホップユニット□□□(クチロロ)のメンバーとして活動した後、2008年に脱退。音楽ライターに転向する。音楽の幅広い知識を活かして様々な音楽専門誌で執筆中。女性アイドルのほか、ジャニーズ、K-POPなどにも造詣が深い。

「たぶん、一生モテないと思います……」“ネガティブすぎるイケメンモデル”栗原類の素顔

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イ……イケメン!!
 雑誌「MEN'S NON-NO」(集英社)や「POPEYE」(マガジンハウス)をはじめ、数々の雑誌やショー、広告などに出演。17歳の現役高校生にしてファッション業界の第一線で活躍する、日本人とイギリス人のハーフモデル・栗原類。  誰もがうらやむ端正な顔立ちと、抜群のスタイルは、彼がそこにたたずむだけで一流ブランドの広告ヴィジュアルの世界に入り込んでしまったような、ラグジュアリーな感覚に誘ってくれる。  さぞかし女の子にモテモテだろうと思いきや、先日、バラエティ番組『芸能★BANG+』(日本テレビ系)で「ネガティブすぎるイケメンモデル」として、その特異な性格を披露し一躍話題に。また、このインタビュー中も、ホットコーヒーをマドラーで激しくかき混ぜながら、独特の静かな口調で「僕はおそらく一生モテないと思います……」などと後ろ向きな発言を連発。  普通の高校生とは明らかに異なる彼に、ロングヘアーの下に隠された素顔を覗かせてもらった。 ――キレイな顔立ちですね。みんなから「カッコいいね」とか……。 栗原類(以下、栗原) (質問を遮って)言われません。 ――え、言われるでしょ?
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栗原 言われませんし、言われたいとも思いません。自分自身をカッコいいとか、イケメンだと思ったこともありませんし、人からそう言われても喜ぶべきなのか分からないので、別にイケメンと呼ばれなくてもいいです。なぜなら僕はイケメンではないので……。 ――なんてもったいない性格! 『芸能★BANG+』放送後、すごい反響だったそうですね。 栗原 もうすごかったです。Twitterでも「この子、ツボだわ」とか「え、マジ?」というようなツイートが続いて、放送前日は300人くらいだったフォロワーが、一気に3,000人になって、今でも増えまくっています。2ちゃんねるでも「これはガチだ、俺には分かる」などと、ヘンなスレッドまで立てられてしまいました。まあ、僕は別にいいんですけど……。 ――放送をご覧になって、ご自身の感想は? 栗原 今もそうですが、声が小さかったり、答えが矛盾したりと、“ちゃんとしゃべれない”という反省点もありましたし、皆さんとのカラミを見て“こういうのが面白いんだ”と教わりました。僕は普段、自分のポジティブな面とネガティブな面をノートに書き出して、自分を研究して、私生活で何に注意するべきか、何をしなければ周りに迷惑がかからないかということを考えているのですが、番組に出たことで、自分の知らなかった自分や不注意に話している自分を知りました。 ――「ネガティブすぎる」というイジられ方をするのは、平気ですか? 栗原 別に構いません。僕は、生活で大きなことがあっても、人形のように気にしないタイプなので。 ――17歳とは思えない冷静さですね。 栗原 おそらく本格的に「MEN'S NON-NO」の仕事が増えた2009年頃から、周りの年上の方々に失礼のないようにするために、より消極的で冷静な性格になったんだと思います。 ――現在、高校3年生ですが、学校ではどんなポジションですか? 栗原 基本的に、一匹狼として一人でいることが多いですね。休み時間も常に隅っこのほうで考え事をしたり、本を読んだりしています。最近は、スティーヴン・キングの『ミザリー』や『シャイニング』、ロアルド・ダールの、『ジャイアント・ピーチ』などを読みました。今はとくに、暗い話が好きです。 ――携帯メールはどのくらいしますか? 栗原 知人に連絡すること自体がないです。仕事のメールなどは、パソコンのメールのほうでチェックしています。 ――ちなみに、苦手なタイプの同級生はいますか?
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大変身!
栗原 男性でいうと、わざわざ日焼けしたり、髪を茶色に染めたりする“ギャル男もどき”みたいな人たちが苦手です。 ――その“ギャル男もどき”に絡まれたりしませんか? 栗原 もし絡まれそうになっても、自分は逃げるだけです。ヘンなのに関わったら、いろんな人に迷惑かけちゃうと思うので……。 ――先ほどから、人に迷惑をかけることをとても気にされてますよね。ブログでも、「ブログをさぼってしまい、非常に申し訳ありませんでした」などと頻繁に謝ってますし。 栗原 なるべく一週間に一回はブログを書こうと思ってるんですけど、その日程を越してしまうことがよくあるので、いろいろ反省しています。 ――自分に厳しいですね(笑)。モデルの仕事は楽しいですか? 栗原 はい、とても楽しいです。カメラマンさんやスタッフさんと話ができたり、自分じゃ買えなさそうな服を着られたり。それに、雑誌に自分が載ることがなんとなくうれしいです。最初に仕事をしたのは5歳くらいなんですが、中学3年生頃まではあまり仕事がなかったので、最近は「ああ、仕事ができるっていいなあ」とよく思います。 ――モデルさんは食生活に気を使っているイメージがありますが、普段は何をよく食べていますか? 栗原 主にグミ。あとは果物、野菜、スイーツなどですね。 ――モデル仲間から、遊びに誘われたりすることはないですか? 例えば合コンとか。 栗原 ないです。連絡先すら知りませんし、休日も一人でいることが多いので。それに合コンには誘われても行きません。以前、一人でお店に入った時、僕の後ろで合コンをしていて。何が起きているのかと聞きながらお茶を飲んでいたんです……はい、盗み聞きです、悪い趣味です(ニヤリ)。 ――あ、今日初めて笑いましたね! 栗原 そうですか……で、その合コンの雰囲気が嫌いでしたし、「場の雰囲気を壊す恐れがあるので、僕は行かないほうがいい」と思いました。それ以前に、僕は別に恋人はいらないので……。 ――え、恋人いらないんですか? 栗原 いらないですし、この先も多分ないと思います。恋人はいないほうが、一人でいろいろ考える時間も増えるので楽しいんです。それに、僕は「相手を傷つけないためにどうすればいいか」ということを常に考えてしまうと思います。 ――確か『芸能★BANG+』では、過去に4回告白して4回ともフラれたとおっしゃってましたよね。 栗原 若い頃は好きになりやすかったんだと思います。成長した今は、好きな人もいませんし、別になんとも思わないです。 ruikurihara4.jpg ――今まで彼女がいた経験は? 栗原 ないです。 ――モテたいという欲求もないんですか? 栗原 ありません。モテるといろいろ大変なことにもなりますし、僕は一人で静かに考え事をしていたいと思うケースが多いので、モテたいと思うことはないです。それに自分は一生モテないと思うので……。 ――女性に対してそのような考えであることを、親御さんはご存じですか? 栗原 はい、知ってます。自分はこういう性格ですし、「世の中的にはこれでいいんだ」と普段から話していますから。 ――常にテンションが一定ですが、幸せを感じる瞬間はありますか? 栗原 最近は、ベランダで洗濯物を干しながら音楽を聴くことが楽しいです。みんなからしたらとくに面白いことではないと思いますけど、自分の“孤独な人生”の中では幸せな時間です。 ――“孤独”は感じていらっしゃるんですね。「明るい性格になりたい」と思ったことは? 栗原 ないですね。仕事もプライベートも含めて、今ととくに変わりたいと思いませんし、自分は自分でいたいですし、それをいろんな人にも受け止めていただきたいです。それに明るくなるってことは、まず髪を切って爽やか系になることだと思いますから。髪の長いモデルはそんなにいないので、髪を短くすると仕事がもらいにくくなるんです……。 ――髪型はあまり関係ないと思いますが(笑)。最後に、今後の目標を教えてください。 栗原 まだモデルとしても駆け出しですが、これからはモデルだけでなくトークもやっていきたいと思っています。“モデルの栗原類”として多くの方に認識されたいので、やらせていただける仕事があれば、期待に沿えるよう努力したいと思います。 (取材・文=林タモツ/撮影=後藤秀二) ●くりはら・るい 1994年、東京生まれ。幼少時から現モデル事務所に所属し、中学3年生頃から「MEN'S NON-NO」(集英社)、「POPEYE」(マガジンハウス)などで、本格的にモデル活動を始める。 趣味は掃除、映画鑑賞、ゲーム。 公式ブログ <http://ameblo.jp/921614359632/

「一生モテないと思います……」“ネガティブすぎるイケメンモデル”栗原類の素顔

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イ……イケメン!!
 雑誌「MEN'S NON-NO」(集英社)や「POPEYE」(マガジンハウス)をはじめ、数々の雑誌やショー、広告などに出演。17歳の現役高校生にしてファッション業界の第一線で活躍する、日本人とイギリス人のハーフモデル・栗原類。  誰もがうらやむ端正な顔立ちと、抜群のスタイルは、彼がそこにたたずむだけで一流ブランドの広告ヴィジュアルの世界に入り込んでしまったような、ラグジュアリーな感覚に誘ってくれる。  さぞかし女の子にモテモテだろうと思いきや、先日、バラエティ番組『芸能★BANG+』(日本テレビ系)で「ネガティブすぎるイケメンモデル」として、その特異な性格を披露し一躍話題に。また、このインタビュー中も、ホットコーヒーをマドラーで激しくかき混ぜながら、独特の静かな口調で「僕はおそらく一生モテないと思います……」などと後ろ向きな発言を連発。  普通の高校生とは明らかに異なる彼に、ロングヘアーの下に隠された素顔を覗かせてもらった。 ――キレイな顔立ちですね。みんなから「カッコいいね」とか……。 栗原類(以下、栗原) (質問を遮って)言われません。 ――え、言われるでしょ?
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栗原 言われませんし、言われたいとも思いません。自分自身をカッコいいとか、イケメンだと思ったこともありませんし、人からそう言われても喜ぶべきなのか分からないので、別にイケメンと呼ばれなくてもいいです。なぜなら僕はイケメンではないので……。 ――なんてもったいない性格! 『芸能★BANG+』放送後、すごい反響だったそうですね。 栗原 もうすごかったです。Twitterでも「この子、ツボだわ」とか「え、マジ?」というようなツイートが続いて、放送前日は300人くらいだったフォロワーが、一気に3,000人になって、今でも増えまくっています。2ちゃんねるでも「これはガチだ、俺には分かる」などと、ヘンなスレッドまで立てられてしまいました。まあ、僕は別にいいんですけど……。 ――放送をご覧になって、ご自身の感想は? 栗原 今もそうですが、声が小さかったり、答えが矛盾したりと、“ちゃんとしゃべれない”という反省点もありましたし、皆さんとのカラミを見て“こういうのが面白いんだ”と教わりました。僕は普段、自分のポジティブな面とネガティブな面をノートに書き出して、自分を研究して、私生活で何に注意するべきか、何をしなければ周りに迷惑がかからないかということを考えているのですが、番組に出たことで、自分の知らなかった自分や不注意に話している自分を知りました。 ――「ネガティブすぎる」というイジられ方をするのは、平気ですか? 栗原 別に構いません。僕は、生活で大きなことがあっても、人形のように気にしないタイプなので。 ――17歳とは思えない冷静さですね。 栗原 おそらく本格的に「MEN'S NON-NO」の仕事が増えた2009年頃から、周りの年上の方々に失礼のないようにするために、より消極的で冷静な性格になったんだと思います。 ――現在、高校3年生ですが、学校ではどんなポジションですか? 栗原 基本的に、一匹狼として一人でいることが多いですね。休み時間も常に隅っこのほうで考え事をしたり、本を読んだりしています。最近は、スティーヴン・キングの『ミザリー』や『シャイニング』、ロアルド・ダールの、『ジャイアント・ピーチ』などを読みました。今はとくに、暗い話が好きです。 ――携帯メールはどのくらいしますか? 栗原 知人に連絡すること自体がないです。仕事のメールなどは、パソコンのメールのほうでチェックしています。 ――ちなみに、苦手なタイプの同級生はいますか?
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大変身!
栗原 男性でいうと、わざわざ日焼けしたり、髪を茶色に染めたりする“ギャル男もどき”みたいな人たちが苦手です。 ――その“ギャル男もどき”に絡まれたりしませんか? 栗原 もし絡まれそうになっても、自分は逃げるだけです。ヘンなのに関わったら、いろんな人に迷惑かけちゃうと思うので……。 ――先ほどから、人に迷惑をかけることをとても気にされてますよね。ブログでも、「ブログをさぼってしまい、非常に申し訳ありませんでした」などと頻繁に謝ってますし。 栗原 なるべく一週間に一回はブログを書こうと思ってるんですけど、その日程を越してしまうことがよくあるので、いろいろ反省しています。 ――自分に厳しいですね(笑)。モデルの仕事は楽しいですか? 栗原 はい、とても楽しいです。カメラマンさんやスタッフさんと話ができたり、自分じゃ買えなさそうな服を着られたり。それに、雑誌に自分が載ることがなんとなくうれしいです。最初に仕事をしたのは5歳くらいなんですが、中学3年生頃まではあまり仕事がなかったので、最近は「ああ、仕事ができるっていいなあ」とよく思います。 ――モデルさんは食生活に気を使っているイメージがありますが、普段は何をよく食べていますか? 栗原 主にグミ。あとは果物、野菜、スイーツなどですね。 ――モデル仲間から、遊びに誘われたりすることはないですか? 例えば合コンとか。 栗原 ないです。連絡先すら知りませんし、休日も一人でいることが多いので。それに合コンには誘われても行きません。以前、一人でお店に入った時、僕の後ろで合コンをしていて。何が起きているのかと聞きながらお茶を飲んでいたんです……はい、盗み聞きです、悪い趣味です(ニヤリ)。 ――あ、今日初めて笑いましたね! 栗原 そうですか……で、その合コンの雰囲気が嫌いでしたし、「場の雰囲気を壊す恐れがあるので、僕は行かないほうがいい」と思いました。それ以前に、僕は別に恋人はいらないので……。 ――え、恋人いらないんですか? 栗原 いらないですし、この先も多分ないと思います。恋人はいないほうが、一人でいろいろ考える時間も増えるので楽しいんです。それに、僕は「相手を傷つけないためにどうすればいいか」ということを常に考えてしまうと思います。 ――確か『芸能★BANG+』では、過去に4回告白して4回ともフラれたとおっしゃってましたよね。 栗原 若い頃は好きになりやすかったんだと思います。成長した今は、好きな人もいませんし、別になんとも思わないです。 ruikurihara4.jpg ――今まで彼女がいた経験は? 栗原 ないです。 ――モテたいという欲求もないんですか? 栗原 ありません。モテるといろいろ大変なことにもなりますし、僕は一人で静かに考え事をしていたいと思うケースが多いので、モテたいと思うことはないです。それに自分は一生モテないと思うので……。 ――女性に対してそのような考えであることを、親御さんはご存じですか? 栗原 はい、知ってます。自分はこういう性格ですし、「世の中的にはこれでいいんだ」と普段から話していますから。 ――常にテンションが一定ですが、幸せを感じる瞬間はありますか? 栗原 最近は、ベランダで洗濯物を干しながら音楽を聴くことが楽しいです。みんなからしたらとくに面白いことではないと思いますけど、自分の“孤独な人生”の中では幸せな時間です。 ――“孤独”は感じていらっしゃるんですね。「明るい性格になりたい」と思ったことは? 栗原 ないですね。仕事もプライベートも含めて、今ととくに変わりたいと思いませんし、自分は自分でいたいですし、それをいろんな人にも受け止めていただきたいです。それに明るくなるってことは、まず髪を切って爽やか系になることだと思いますから。髪の長いモデルはそんなにいないので、髪を短くすると仕事がもらいにくくなるんです……。 ――髪型はあまり関係ないと思いますが(笑)。最後に、今後の目標を教えてください。 栗原 まだモデルとしても駆け出しですが、これからはモデルだけでなくトークもやっていきたいと思っています。“モデルの栗原類”として多くの方に認識されたいので、やらせていただける仕事があれば、期待に沿えるよう努力したいと思います。 (取材・文=林タモツ/撮影=後藤秀二) ●くりはら・るい 1994年、東京生まれ。幼少時から現モデル事務所に所属し、中学3年生頃から「MEN'S NON-NO」(集英社)、「POPEYE」(マガジンハウス)などで、本格的にモデル活動を始める。 趣味は掃除、映画鑑賞、ゲーム。 公式ブログ <http://ameblo.jp/921614359632/

「甘くて柔らかくてセリフが飛んで」『くそガキの告白』キンコメ今野浩喜のキストーク……!

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ベストアクターの風格。
 「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」では、審査員特別賞をはじめ4冠受賞! キングオブコメディ・今野浩喜が主演を務め、Hカップグラドルの田代さやかがヒロインを演じる青春映画『くそガキの告白』が、6月30日(土)に公開となる。  物語の主人公は、映画監督を夢見る“ブサイクくそガキ野郎”馬場大輔。その大輔が恋をするのは、名も無き崖っぷち女優・木下桃子。このうだつの上がらない2人が織り成す、とびきりピュアで、ウザいほど熱く、どこかヘンテコな展開に、自然と心がズルズルと引き込まれてしまうから不思議だ……。  「ゆうばり~」ではその演技力が評価され、“ベストアクター賞”“ゆうばりファンタランド大賞 人物部門”をダブル受賞した「役者・今野浩喜」に、長いキスシーンの裏側や、愛すべきダメキャラが一部で人気上昇中(?)の鈴木太一監督について話を聞いた。 ――初主演映画『くそガキの告白』がいよいよ公開ですね。 キングオブコメディ・今野浩喜(以下、今野) 最近、いろんな映画を観たんですが、大概の作品は先が読めるんですよ。でも、この映画は何がなんだか分からないから(笑)、先を読むことは不可能だと思うんです。それでも話をパワーでなんとか押し切ってるんで、ワケが分かんない映画でもないっていう。 ――主人公の馬場大輔は、かなりエキセントリックな役柄でしたが、演じるうえで苦労はありましたか? 今野 いや、どんなベクトルでも振り切っていればそれなりにすごく見えるので、意外とラクでした。普通の人を演じるほうが難しいんですよ。 ――大輔が「この顔死ね!」と叫んで飛び降りるシーンは、衝撃的でした。 今野 あそこの台本は、セリフが多いうえに同じようなセリフがものすごくあったので、「もう意味だけ覚えて流れでやろう」と思ってやりましたね。飛び降りる直前にアドリブで「怖え」って言ったんですけど、監督がその言葉を聞いて、ラストのキスシーンを書き換えちゃったんですよ。その後の展開のヒントになったらしくて。 kusogaki_konno03.jpg ――あのキスシーンは、もともと違う感じだったということですか? 今野 もともとは、桃子の気持ち抜きで、僕がただ無理やりキスするだけだったんです。それがああいう感じのキスシーンに急遽変わりました。僕のアドリブのせいでラストを変えさせちゃって、監督には悪いことしたなって思ってますけど(笑)。 ――ほかにもアドリブのシーンは多いんですか? 今野 そうですね。これも台本にはなかったんですが、「これは泣いたほうがいいなあ」と思ったシーンがあって、初めて気持ちを入れて泣くことに挑戦してみたんです。そしたら、カットがかかった後もずっと泣きやまなくて……“泣きやみ待ち”で何十分も現場をストップさせてしまって、エライことになりました。 ――撮影でNGは出しましたか? 今野 唯一のNGがキスシーンですね。ディープキスに入る前の普通のキスの時に、田代さんの唇のあまりの柔らかさに「柔らかい!」と思って、セリフが飛んでしまったんです(笑)。田代さんには「本当に申し訳ない」と謝りました。 ――キスシーンが思いのほか長くてビックリしました。 今野 一番最初にもらった台本では、1回強引にキスするだけだったんです。それが最終的には“夜から朝にかけて長いキス”みたいなことになってて、引きましたね(笑)。 ――うれしいとかじゃなくて、引いちゃったんですか? 今野 あれだけ長いディープキスだと、後々もう面白話では処理できないなと思って(笑)。ただ、田代さんは飴をめっちゃ舐めていらっしゃったんで、口の中がとにかく甘かったですね。 ――マジで舌入れてるってことですか? 本編では、あまり分かりませんでしたが。 今野 入れてますよ。あれ、撮影では13分くらいキスしてたんですよ。本編では相当カットされてますけど。 ――今野さんが個人的に好きなシーンはどこですか? 今野 桃子が、鍋で肉じゃがを温めるシーンですね。田代さんがアドリブで「タララッタッタッタッタ♪」って『3分クッキング』の曲を歌うんですけど、DVDにした時の権利関係のこととかを考えて、わざと音を少しズラしてるんですよ。プロだな~って思って(笑)。 ――田代さんの演技はいかがでしたか? 今野 ま~うまいですよね。大輔が桃子の家に初めて行くシーンで、僕がアドリブでヘンな場所に座ったんです。そしたら瞬時に「そこですか!?」ってツッコんできたんですよ。これはすごいなって思いました。 ――ちなみに、田代さんは“処女ドル”ですが、キスした仲としては、本当に処女だと思いますか? 今野 処女だと思いますよ。彼女って異様に下ネタ言ったりするんですよ。それって逆に処女のなせる業なんじゃないかなって(笑)。やっぱ僕も中学生の頃のほうが、実感がないからこそ下ネタ言ってた気がしますし。 ――相方の高橋さんも、レンタルビデオ屋の店員役で出演されていますが、演技はいかがでしたか? 今野 生涯無二のハマり役じゃないですか?(笑) あの役は、高橋じゃないとできないと思いますね。 ――8月には舞台『鎌塚氏、すくい上げる』(本多劇場、倉持裕作・演出)の出演も控えてますが、役者として演じるのと、コントで演じるのとでは、違うものなのでしょうか。 kusogaki_konno02.jpg 今野 演じるということに関しては、まったく同じだと思います。ただ、責任が全然違うんですよね。役者業は、演出家なり監督から言われたままをやっているので、どういうシーンになろうが自分は“責任ゼロ”だと思ってるんです。だけどコントは、作ってるのが自分なので、責任が大き過ぎるんですよね。 ――『ニコニコキングオブコメディ』(サイゾーテレビ)でも、この映画のお話をたびたびされてますが、“鈴木太一監督のダメさ”のお話ばかりで、作品の素晴らしさについてあまり語ってないのでは? 今野 確かに(笑)。でも伝えたいことは、やっぱり監督のダメさなんですよ。あの人は、監督というより脚本家なんですよね。撮影の時、僕らが監督に演じ方を聞くじゃないですか。でも、そもそもそういう質問が来ると思ってないから、何も返ってこないんですよ(笑)。そういうところがイラッとするので、この映画の面白さを、あの監督のおかげだと思われたくないんです(笑)。 ――現場で演出をしないで、監督は何をされてたんですか? 今野 見てる。見学の人ですよね。 ――そんな監督も、現在は自らサンドウィッチマンとなって、各地でビラ配りのプロモーション活動を頑張ってますよね。 今野 あれね~~、僕らが出るお笑いライブの会場前でも、ちょくちょく配ってるんですよ。僕がいるところで、気持ち悪いおっさんが僕の顔のアップのビラを配ってると思うと、もう恥ずかしくてしょうがないですよ。遠くに行ってくれって思います(笑)。 ――映画の公式サイトには、ビラを配る監督の勇姿が、ドキュメント風の動画でいくつもアップされてますね。 今野 あれって『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』と、まったく同じ宣伝方法なんですよ。いい加減、怒られてもいいのに(笑)。ただ、『サイタマノラッパー』はボランティアスタッフの人数がすごいから成功してるんです。だから僕は、監督に「この映画は、クチコミでしか広がらない映画なんだから、『Yahoo!』のユーザーレビューとか書きなさい」って前から言ってるんですけどね……。 ――そんな鈴木太一監督が初監督を務めた映画『くそガキの告白』について、最後に読者へPRをお願いします! 今野 おそらくテアトル新宿あたりで、監督が割引券とかを配ってると思うので、それを手に入れて、1,000円とかで観ていただければと思います(笑)。とりあえず観れば面白い映画なので、観てください! (取材・文=林タモツ) ●『くそガキの告白』 監督・脚本/鈴木太一 出演/今野浩喜(キングオブコメディ)、田代さやか、辻岡正人、今井りか、仲川遥香(AKB48)、北川ひろし、高橋健一(キングオブコメディ)、石井トミコ 6月30日よりテアトル新宿ほか全国順次公開 <http://kuso-gaki.com> ●こんの・ひろき 1978年、埼玉県生まれ。高校卒業後、プロダクション人力舎スクールJCAに6期生として入学。2000年より同期生の高橋健一とコンビ・キングオブコメディとして活動。05年、第3回お笑いホープ大賞受賞。2010年、「キングオブコント2010」優勝。俳優として舞台『サボテンとバントライン』(09)、『天才バカボン』(10)、『男子はだまってなさいよ!8 アダルト』(11)、『鎌塚氏、すくい上げる』(12)、連続ドラマ『ティーンコート』(日本テレビ)、映画『ちょんまげぷりん』など出演。12年4月よりNHK Eテレ『テレビスポーツ教室』ナレーション担当。サイゾーテレビ『ニコニコキングオブコメディ』出演中。

「甘くて柔らかくてセリフが飛んで」『くそガキの告白』キンコメ今野浩喜のキストーク……!

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ベストアクターの風格。
 「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」では、審査員特別賞をはじめ4冠受賞! キングオブコメディ・今野浩喜が主演を務め、Hカップグラドルの田代さやかがヒロインを演じる青春映画『くそガキの告白』が、6月30日(土)に公開となる。  物語の主人公は、映画監督を夢見る“ブサイクくそガキ野郎”馬場大輔。その大輔が恋をするのは、名も無き崖っぷち女優・木下桃子。このうだつの上がらない2人が織り成す、とびきりピュアで、ウザいほど熱く、どこかヘンテコな展開に、自然と心がズルズルと引き込まれてしまうから不思議だ……。  「ゆうばり~」ではその演技力が評価され、“ベストアクター賞”“ゆうばりファンタランド大賞 人物部門”をダブル受賞した「役者・今野浩喜」に、長いキスシーンの裏側や、愛すべきダメキャラが一部で人気上昇中(?)の鈴木太一監督について話を聞いた。 ――初主演映画『くそガキの告白』がいよいよ公開ですね。 キングオブコメディ・今野浩喜(以下、今野) 最近、いろんな映画を観たんですが、大概の作品は先が読めるんですよ。でも、この映画は何がなんだか分からないから(笑)、先を読むことは不可能だと思うんです。それでも話をパワーでなんとか押し切ってるんで、ワケが分かんない映画でもないっていう。 ――主人公の馬場大輔は、かなりエキセントリックな役柄でしたが、演じるうえで苦労はありましたか? 今野 いや、どんなベクトルでも振り切っていればそれなりにすごく見えるので、意外とラクでした。普通の人を演じるほうが難しいんですよ。 ――大輔が「この顔死ね!」と叫んで飛び降りるシーンは、衝撃的でした。 今野 あそこの台本は、セリフが多いうえに同じようなセリフがものすごくあったので、「もう意味だけ覚えて流れでやろう」と思ってやりましたね。飛び降りる直前にアドリブで「怖え」って言ったんですけど、監督がその言葉を聞いて、ラストのキスシーンを書き換えちゃったんですよ。その後の展開のヒントになったらしくて。 kusogaki_konno03.jpg ――あのキスシーンは、もともと違う感じだったということですか? 今野 もともとは、桃子の気持ち抜きで、僕がただ無理やりキスするだけだったんです。それがああいう感じのキスシーンに急遽変わりました。僕のアドリブのせいでラストを変えさせちゃって、監督には悪いことしたなって思ってますけど(笑)。 ――ほかにもアドリブのシーンは多いんですか? 今野 そうですね。これも台本にはなかったんですが、「これは泣いたほうがいいなあ」と思ったシーンがあって、初めて気持ちを入れて泣くことに挑戦してみたんです。そしたら、カットがかかった後もずっと泣きやまなくて……“泣きやみ待ち”で何十分も現場をストップさせてしまって、エライことになりました。 ――撮影でNGは出しましたか? 今野 唯一のNGがキスシーンですね。ディープキスに入る前の普通のキスの時に、田代さんの唇のあまりの柔らかさに「柔らかい!」と思って、セリフが飛んでしまったんです(笑)。田代さんには「本当に申し訳ない」と謝りました。 ――キスシーンが思いのほか長くてビックリしました。 今野 一番最初にもらった台本では、1回強引にキスするだけだったんです。それが最終的には“夜から朝にかけて長いキス”みたいなことになってて、引きましたね(笑)。 ――うれしいとかじゃなくて、引いちゃったんですか? 今野 あれだけ長いディープキスだと、後々もう面白話では処理できないなと思って(笑)。ただ、田代さんは飴をめっちゃ舐めていらっしゃったんで、口の中がとにかく甘かったですね。 ――マジで舌入れてるってことですか? 本編では、あまり分かりませんでしたが。 今野 入れてますよ。あれ、撮影では13分くらいキスしてたんですよ。本編では相当カットされてますけど。 ――今野さんが個人的に好きなシーンはどこですか? 今野 桃子が、鍋で肉じゃがを温めるシーンですね。田代さんがアドリブで「タララッタッタッタッタ♪」って『3分クッキング』の曲を歌うんですけど、DVDにした時の権利関係のこととかを考えて、わざと音を少しズラしてるんですよ。プロだな~って思って(笑)。 ――田代さんの演技はいかがでしたか? 今野 ま~うまいですよね。大輔が桃子の家に初めて行くシーンで、僕がアドリブでヘンな場所に座ったんです。そしたら瞬時に「そこですか!?」ってツッコんできたんですよ。これはすごいなって思いました。 ――ちなみに、田代さんは“処女ドル”ですが、キスした仲としては、本当に処女だと思いますか? 今野 処女だと思いますよ。彼女って異様に下ネタ言ったりするんですよ。それって逆に処女のなせる業なんじゃないかなって(笑)。やっぱ僕も中学生の頃のほうが、実感がないからこそ下ネタ言ってた気がしますし。 ――相方の高橋さんも、レンタルビデオ屋の店員役で出演されていますが、演技はいかがでしたか? 今野 生涯無二のハマり役じゃないですか?(笑) あの役は、高橋じゃないとできないと思いますね。 ――8月には舞台『鎌塚氏、すくい上げる』(本多劇場、倉持裕作・演出)の出演も控えてますが、役者として演じるのと、コントで演じるのとでは、違うものなのでしょうか。 kusogaki_konno02.jpg 今野 演じるということに関しては、まったく同じだと思います。ただ、責任が全然違うんですよね。役者業は、演出家なり監督から言われたままをやっているので、どういうシーンになろうが自分は“責任ゼロ”だと思ってるんです。だけどコントは、作ってるのが自分なので、責任が大き過ぎるんですよね。 ――『ニコニコキングオブコメディ』(サイゾーテレビ)でも、この映画のお話をたびたびされてますが、“鈴木太一監督のダメさ”のお話ばかりで、作品の素晴らしさについてあまり語ってないのでは? 今野 確かに(笑)。でも伝えたいことは、やっぱり監督のダメさなんですよ。あの人は、監督というより脚本家なんですよね。撮影の時、僕らが監督に演じ方を聞くじゃないですか。でも、そもそもそういう質問が来ると思ってないから、何も返ってこないんですよ(笑)。そういうところがイラッとするので、この映画の面白さを、あの監督のおかげだと思われたくないんです(笑)。 ――現場で演出をしないで、監督は何をされてたんですか? 今野 見てる。見学の人ですよね。 ――そんな監督も、現在は自らサンドウィッチマンとなって、各地でビラ配りのプロモーション活動を頑張ってますよね。 今野 あれね~~、僕らが出るお笑いライブの会場前でも、ちょくちょく配ってるんですよ。僕がいるところで、気持ち悪いおっさんが僕の顔のアップのビラを配ってると思うと、もう恥ずかしくてしょうがないですよ。遠くに行ってくれって思います(笑)。 ――映画の公式サイトには、ビラを配る監督の勇姿が、ドキュメント風の動画でいくつもアップされてますね。 今野 あれって『SRサイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』と、まったく同じ宣伝方法なんですよ。いい加減、怒られてもいいのに(笑)。ただ、『サイタマノラッパー』はボランティアスタッフの人数がすごいから成功してるんです。だから僕は、監督に「この映画は、クチコミでしか広がらない映画なんだから、『Yahoo!』のユーザーレビューとか書きなさい」って前から言ってるんですけどね……。 ――そんな鈴木太一監督が初監督を務めた映画『くそガキの告白』について、最後に読者へPRをお願いします! 今野 おそらくテアトル新宿あたりで、監督が割引券とかを配ってると思うので、それを手に入れて、1,000円とかで観ていただければと思います(笑)。とりあえず観れば面白い映画なので、観てください! (取材・文=林タモツ) ●『くそガキの告白』 監督・脚本/鈴木太一 出演/今野浩喜(キングオブコメディ)、田代さやか、辻岡正人、今井りか、仲川遥香(AKB48)、北川ひろし、高橋健一(キングオブコメディ)、石井トミコ 6月30日よりテアトル新宿ほか全国順次公開 <http://kuso-gaki.com> ●こんの・ひろき 1978年、埼玉県生まれ。高校卒業後、プロダクション人力舎スクールJCAに6期生として入学。2000年より同期生の高橋健一とコンビ・キングオブコメディとして活動。05年、第3回お笑いホープ大賞受賞。2010年、「キングオブコント2010」優勝。俳優として舞台『サボテンとバントライン』(09)、『天才バカボン』(10)、『男子はだまってなさいよ!8 アダルト』(11)、『鎌塚氏、すくい上げる』(12)、連続ドラマ『ティーンコート』(日本テレビ)、映画『ちょんまげぷりん』など出演。12年4月よりNHK Eテレ『テレビスポーツ教室』ナレーション担当。サイゾーテレビ『ニコニコキングオブコメディ』出演中。

「自殺者が3万人いる理由? 僕と会ってないから!」“新政府総理”坂口恭平が本気でやろうとしていること

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“建てない建築家”、作家、画家、ミュージシャンなど、
さまざまな顔を持つ坂口恭平氏。最近では車輪が付いた
「モバイルハウス」という家を建設し、話題に。
そして現在は、新政府の初代内閣総理大臣でもある。
 坂口恭平は暴論を言っているようで正論を言っているのだろうと思う。彼の新著『独立国家のつくりかた』(講談社現代新書)を読むと、何度となく目から鱗が落ちる感覚を覚えるのはそのためだろう。新政府樹立。「自殺者ゼロ」という目標。ものすごく荒唐無稽な話のように思えるが、あながち「ドン・キホーテ」という感じでもないのである。彼が繰り返し言う「レイヤー」や「空間の拡張」という言葉には、今のどん詰まった日本を生き抜くための重要なヒントが詰まっている。 ──坂口さんが故郷である熊本に移住し、新政府を設立するきっかけとなったのが3.11とその後の原発事故ですけど、今でも当時の恐怖感は残っていますか? IMG_2911.jpg 坂口恭平氏(以下、坂口) うーん、娘や嫁がいなかったら、怖くないんだってことがわかりました。嫁と娘がどうなるかは怖いけど、僕は別にどうでもいいかな、って。でも、3月11日、12日、13日ぐらいの時は僕、足が震えたんですよ。で、震えながら知り合いに電話したら、みんな「仕事だよ」って言うんです。「震えてないの?」「いや、震えてるよ」「逃げらんないの?」「逃げらんない。仕事あるし上司もいるし」って。「じゃあその上司、お前が困って所持金0円になったら50万円くれる奴?」って聞くと、「いや、絶対くれない」って。それヤバくない? って思うんですよ。その人たちは恐怖心によって動けないわけですよ。不安感を動機にして働いているわけ。「なんでその会社辞めないの?」って聞くと、「食ってかなきゃヤバイっしょ」みたいなこと言う。「辞めてもやっていけるなら、ほかの仕事やってるよ。僕Excel苦手だし」って。「なんでExcel苦手な奴がExcelやってんだよ!」って、わけわかんないことになってる。なんのためにそんな競争社会的なものに入ったの? って。そういうの、不思議じゃないすか? ──うん、不思議ですね。 坂口 ヤバイでしょ? そのことに怖さを感じない人だったら、全然いいんですけど。 ──「怖さを感じてるのに抜け出せない」というのが本当のところなんでしょうけど。 坂口 身体の消費量を考えると「自分の体ならどうなってもいい」って感覚は、DNA的には絶対に罪なんですよ。やっぱり、果ててしまう前にちゃんと次にバトンタッチしないと。駅伝の途中で勝手に座ったり、首つり自殺したりすることってないでしょ?  ──もちろん。で、その新政府ですが、大きなテーマとして掲げているのが「自殺者を限りなくゼロに近づけること」なんですよね。 坂口 それが唯一のテーマですから。 ──今、毎年3万人を超える自殺者がいるわけですけど、なんでこんなに自殺者が出てくるんだと思います? 坂口 僕と会ってないから、っていう結論(きっぱり)。 ──すごい答えですね。 坂口 僕もそうだし、僕の周りには、会ったら死ぬことをやめたくなるような、面白い人間がたくさんいるわけですよ。そういう奴らが8人くらい集まって、自殺を考えている9人目が入るでしょ。そしたら、そいつはずーっと泣いてるんですよ。つまり、もう心の内をさらけ出せるような関係になっているんです。今までこんな関係を誰かと築いたことがなくて、「なんで何もしゃべらなくても、所属しているような感じがあって、しかも音楽の話とか一発で合うんですか?」って驚くんですよ。僕は5分話しただけでその人の特徴と、いい使い方と完璧な状態がだいたいわかるので、5分で対処法を考える。だから、僕に10分くれって思います。 ──僕も坂口さんが提唱する生き方とか考えにはすごく共感を覚えるんですけど、その一方で、「もしかしたら、そうそう実践できるようなものではないのかもしれない」とも思ったりもします。
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坂口 でも、僕にしかできない特殊なことだったら、Twitterもみんな読まないし、あんなにリアクションはないと思うんですよね。これはつまりシンパシーを感じてくれているってことじゃないかって。 ──そういう坂口さんの生き方を実践するための具体的なメソッド(方法)について書いたのが、今回の著書『独立国家のつくりかた』だと。 坂口 “独立国家をつくる”って聞くと、今の政府に対するカウンターとして、いわゆる70年の安保的な発想で受け取る人もいるかもしれないですけど、“自分の中に独立国家をつくる」という考えは、小さい頃はみんな持っていたと思うんですけどね。自分の家にこもってファミコンやっているときとか、秘密基地作ってるときとか、僕の中では完全に独立国家の感覚だったんですよ。だって、政府は僕に手を出せないですから。 ――この本のキーワードになっているのは「レイヤー思考」(*)だと思いますが、こういう「レイヤー」で考える感覚って、大人になって身につけたものですか? それとも子どもの頃から? (*物事を「複数の層が折り重なったもの」と捉えて、一つ一つの層に分けてつぶさに見ていくこと) 坂口 ずっとだと思いますね。人間って、どこかの段階で質問することを止めちゃうんですけど、僕は質問を止めなかった。 ──子どもの頃から問いかけを常に続けてきた、と。 坂口 小1の記憶ですけど、小学校行く途中に酒屋があって、裏に日本酒の空き箱がいっぱい置いてあるんですよ。で、空き箱をいろいろいじっていると、配置が全然変わってきて。「あれ、これレゴブロックっぽいね?」って感じで、たかちゃん(友人)とやってたら、母ちゃんがそれを知って「ここは酒屋さんのバックヤードだから入っちゃだめだ」と。だから僕は「違う、これは僕の家なんだけど?」「ここは僕とたかちゃんの重要な居住区で、ここがないとやってけないんだけど?」って。でも母ちゃんは「あなた意味わかるでしょ? ここは酒屋さんだから」って。で、僕は「母ちゃんが言うのは一応納得するよ。でも、僕にとってはここは居住区だから」って返した。そのことは強く記憶に残ってる。 ──小1で大人の論理に屈しないあたり、すでに坂口さんって感じですね。 坂口 そこは僕らにとってはルーム、完全子宮ですから! ──完全子宮…? 坂口 (無視して。話の勢い止まらず)ルームっていうのは、エンドルフィンという脳内物質が分泌している状態(モルヒネの主成分に似てる脳内物質)。僕の場合、基本的にそっちに重点を置いてるんですよ。 ――空間を「物理的に捉える」のではなくて、「自分の感覚をベースに捉える」みたいなことですかね。 坂口 (無視して。話の勢い止まらず)「大人っていうのは、なんてもったいない空間の使い方をしてるんだ、かわいそうだな」と思って、哀れみの目で見てたんですよ。大人になって公園行くと「公園が小さくなった」って言う人いるでしょ? それ、かわいそうですよね。「小さい頃は、その公園の奥に【上野の動物園】があって、裏には【『エルマーのぼうけん』のジャングル】があって、もっと行くと【『オズの魔法使い』のエメラルドの宮殿】があったのに、お前はそれを失くしちゃったんだね」って。
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──うんうん。 坂口 みんなそれを笑うわけですよ。でも、鈴木さん(*)のところに行くと、3畳間より広いんですよ。なぜならば、それを知ってるからなんです! (*坂口恭平が大きな影響を受けたホームレス。映画『MY HOUSE』のモデル) ──自分の感覚を変えれば空間の認識も変わる、と。 坂口 鈴木さんの中には【『オズの魔法使い』のエメラルド宮殿】がある。彼は、東京の中で何もかも失ったとき、「何もない、絶望しかない」と思っていたら、全部が宝に見えた体験をした。つまりそういうふうにして、もう1個違うものが空間に付随されるようになっている。そういうものが鈴木さんの家には全部詰め込まれているから、3畳間なのに25畳ぐらいの体験をするわけですよ。 ──その家はあくまで「寝室」みたいなもので、そこに接している土地や風景まで含めて自分の空間だと認識してしまえば世界が変わる、と。 坂口 それをやってたのが千利休ですから。つまり歴史的にも、常にそういうテーマでみんなやってたはずなんです。それこそ、鴨長明からずっと。そういう空間認識について僕が説明すると、みんな「わかる」って言うんですよ。なのに、なぜか不動産に行くと「何平米がいいです」ってなってしまう。 ──気づいたら単一レイヤー的な思考になっている、と。 坂口 中学くらいで断ち切られてしまうんです。空間と同じく時間もそういう感覚で捉えることができるし、本当は世の中には多層なレイヤーがあるのに、単一のレイヤーで生きるように仕向けられているんです。 ──でも、そういう「何かが拡張していく感覚」って、もともとは誰しも経験してるものではあるんでしょうね。 坂口 僕、昔1回だけバク転できたことがあるんです。その時の「レイヤーのめくり際を見た瞬間」を覚えてるわけですよ。あと、縄跳びで二重跳びできた時の感覚とか。できないものができるようになった瞬間の「できない自分とのサヨナラ」みたいな。自転車乗ってる奴に「自転車乗れなくて泣いてたことを覚えてる?」って聞いたら、「覚えてない」って言う。乗れなかった自分を忘れてるのは、つまり「匿名化したレイヤー」になっちゃってるってことなんですよ。 ──大人になった今でも「二重跳びできた瞬間の感覚」みたいな、新しいレイヤーを獲得する感覚って経験してますか? 坂口 僕の最大の敵が、時間と空間なんですよ。これをどうやって延ばせるか。「縄跳びの二重跳びができた時の感覚は、お前の人生の何かの分岐点の動き方のメッセージだから、そこを忘れずに残しておけ」って、ずーっと言い聞かせているんです。そうすると、いろんな穴がブワーッとできるんすよ。その穴にありえないぐらい入り始めるんで。 ──穴? 何が入るんですか? 坂口 玉入れ合戦のありえない一瞬ってあるでしょ? ズボズボズボズボーッて入っていく瞬間。パチンコでいう確変(確率変動)みたいなもんです。「パチンコにだって確変があるのに、なんでお前、人生で確変がないと思ってんだよ」みたいな。「これがあるとしたら、こっちもあるじゃないか」つっても、なかなかわかってもらえない。でも、僕の経験によると、「空間を広げていく」ってことを意識するだけで全然違ってくるんですよ。 ──坂口さんの話は全部「いまを生きる」ということに直結している気がします。生きることに悩む人に対して、スローガンみたいなことを唱える人はたくさんいるけれど、坂口さんは「レイヤー思考」や「空間や時間を拡張していく」みたいに具体的なツールを提示しているところが説得力あると思いました。 坂口 よくわからない理由で、なんとなくぼんやりとした不安を感じている状態になったら、それはほっとけって。むしろそれはクリエイティビティの契機なんだから。そういう時こそ精神の解像度を上げて、必死に考える。生きるとはなんだ。恥ずかしがるんじゃねえよ、みたいな。僕、ずっと「生きるとはなんだ」しか考えてないですからね。 (取材・文=前田隆弘/撮影=尾藤能暢) ●さかぐち・きょうへい 1978年、熊本生まれ。2001年、早稲田大学理工学部建築学科卒業。建築家・作家・絵描き・踊り手・歌い手。2012年5月、新政府を樹立し、初代内閣総理大臣に就任。写真集『0円ハウス』(リトルモア)、著書に『TOKYO 0円ハウス 0円生活』(河出文庫)、『隅田川のエジソン』(幻冬舎文庫)、『TOKYO一坪遺産』(春秋社)、『ゼロから始める都市型狩猟採集生活』(太田出版)がある。 ブログ「0円ハウス」 <http://www.0yenhouse.com/>

“世界滅亡”を願うニート青年の凶悪な恋愛映画『ベルフラワー』の新鋭監督はこうして失恋を克服した!

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『ベルフラワー』に登場するマッスルカー「メデューサ号」。
火炎放射器、2種類の煙幕散布機能など多彩な秘密兵器をマジで装備しているのだ。
 こんな世界なんか滅亡してしまえばいい! 失恋したニート青年は自分をフッた恋人を恨み、世界を憎んだ。怒りがマックスとなった彼は無敵の改造カー「メデューサ号」に乗り込み、火炎放射器で自分の前に立ち塞がるものすべてを焼き払おうとする。6月16日(土)より公開される映画『ベルフラワー』は、かなりイカれた作品だ。核戦争後の終末世界を舞台にした『マッドマックス2』(81)に登場する悪の首領・ヒューマンガスに憧れる若者ウッドローは、仕事もせずに親友のエイデンと共に火炎放射器や改造車づくりに情熱を注ぐアホバカ野郎。そんなウッドローが恋をした。パブで開催された“コオロギの踊り食いコンテスト”で対決したワイルドな女の子ミリーにウッドローはひと目惚れ。ミリーも自由奔放なウッドローの生き方にシンパシーを感じ、2人は激しい恋に身を焦がす。だが、蜜月はあまりに短かった。ミリーの裏切りを知ったウッドローは……。  本作は、これがデビュー作となるエヴァン・グローデル監督が製作・脚本・編集、そして主演も兼ねたもの。いい年して、カルトムービー『マッドマックス2』にハマってる男たちのアホバカぶりと失恋がもたらすリアルな痛みがじんじんと伝わってくる、切ない青春映画なのだ。2011年にサンダンス映画祭で絶賛されるなど、エヴァン監督は世界中のインディペンデントシーンが注目する存在となっている。自身の体験を投影した『ベルフラワー』の日本公開に先立ち、来日したエヴァン監督が製作の裏側を包み隠さず語ってくれた。
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製作費1万7000ドルでデビュー作『ベルフラ
ワー』を撮り上げたエヴァン・グローデル
監督。働きながら、映画仲間と共に完成させた。
──メル・ギブソン主演の人気シリーズ『マッドマックス』(79)三部作の中でも、『マッドマックス2』(81)がエヴァン監督はいちばん好きなんですね? エヴァン イエス! 『マッドマックス2』はマスターピースだよ! もちろん、第1作がいちばん好きだというファンもいるだろうけどね。でも、米国では『マッドマックス2』は『ロードウォリアー』というタイトルで公開されたこともあって、子どもの頃のボクは第1作の存在すら知らなかったんだよ(笑)。 ──『ベルフラワー』の主人公ウッドローが憧れるのが、『マッドマックス2』の敵キャラである“ヒューマンガス”。彼のどこに、そこまで魅了されているんですか? エヴァン ワォ、ヒューマンガス! 彼はサイコーだよ。ヒューマンガスはとってもデカくて、危険な男なんだ。核戦争後の街を略奪して回り、逆らう人間はぶっ殺してしまう。彼には心配事なんか、何ひとつないんだよ。悩みなんか気にせず、「オレはヒューマンガスさまだ」とどっしり構えて、次々と街を占拠していくんだ。 ──荒野を生き抜くために、独自の美学を持っている男ですね。 エヴァン イエス! その通りさ! ──そんなヒューマンガスにエヴァン監督自身が憧れていたと聞いています。一体、どんな少年時代を過ごしていたんでしょうか?
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劇中車だけなく、カメラもエヴァン監督たち
による手づくり。「デジカメとは違った絵
が撮れるんだ。夢の世界のような映像に
なったよね」
エヴァン う~んとねぇ、子どもの頃のボクは、ものすご~いバカだったよ! 小学校の高学年から中学生くらいまで、火遊びしたり爆弾ごっこして遊んでいたよ。友達とつるんで、バカばっかりやってたんだ。その頃の友達はアロンって言ってね。ボクが演じた主人公ウッドローの親友エイデンは、彼がモデルになっているよ。エイデンを演じたタイラー・ドーソンもアロンのことを知ってて、彼のことを意識して役づくりしてくれたんだ。 ──エヴァン監督の実体験が、そのまま映画になったわけですね。『ベルフラワー』は『マッドマックス2』へのオマージュ作であると同時に、観る者の心をヒリヒリさせるリアルな青春ラブストーリーでもあります。主人公のウッドローとヒロインのミリーが“コオロギの踊り食いコンテスト”で出会うシーンが素晴らしい。コオロギを貪り喰うミリーがめっちゃキュートです。 エヴァン サンクス! そう言ってもらえるとうれしいなぁ。あのコオロギは本物だよ。ミリー役を演じたジェシー・ワイズマンのほうが、ボクよりもたくさんのコオロギを食べたんだ(笑)。あのコオロギ踊り食いシーンは脚本にも書いてあったし、ジェシーには前から説明していたんだ。そういうことも含めて、ジェシーは出演OKしてくれた。あのシーンだけでも、ジェシーの熱演をたたえることができるよね。 ■痛すぎるほどのリアルな青春映画を撮れた理由は? ──エヴァン監督の実体験が投影された映画なわけですが、エヴァン監督が失恋した元カノも、あんなに破天荒な女の子だった? エヴァン え~と、それはねぇ……。元カノも『ベルフラワー』をボクが撮ることに非常に協力的だったんだ。どう協力的だったのか? わかった、正直に打ち明けるよ! 実はミリー役を演じてくれたジェシーこそが、ボクの元カノなんだ(笑)。ボクが実体験を元にした映画を撮ることを彼女は励ましてくれて、その上で脚本を読んで、「この役は私がやるわ」と志願してくれたんだよ。 ──えっ~、元カノが本当に元カノ役を演じたんだ! それで、こんなに生々しい青春映画ができたんですね。でも、失恋した体験を当人同士で再現するのは、つらかったのでは? エヴァン 確かに彼女にフラれた直後は、本当にサイアクな気分だったよ。自分は彼女なしで今後どうすればいいのか、さっぱり考えられない状態だったんだ。でも、失恋から5年の歳月がたち、ボクは立ち直ることができたし、立ち直らなくちゃいけなかった。そんなときにジェシーはボクに映画を撮ることを勧め、自分がヒロイン役を演じることを買って出てくれた。これって、とってもクールなことだと思うよ。彼女との共演は、当初考えていたほどヒドくなかった。たまに当時の生々しい感情を思い出さなくてはいけない、難しいシーンもあったけどね。
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ウッドロー(エヴァン・グローデル)は恋人
ミリー(ジェシー・ワイズマン)に傷つけら
れながらも、彼女のことが忘れられない。
──映画を監督することで、ヒューマンガスのようにタフな男に成長したわけですね! エヴァン そこまでカッコよくないよ(苦笑)。でも、失恋した直後は「この世の終わりだ」くらいに落ち込んだけど、今回の体験を通して、人間はどんな目に遭っても、それを糧として立ち直ることができるんだと実感できたよね。いろんな経験をしたからこそ、ボクは映画を撮ることができた。映画こそ人生だと思うな。 ■メデューサ号に乗って、目指すは映画界のヒューマンガス! ──バカ映画だと思ってたけど、イイ話だな~。もう1人の主人公でもある「メデューサ号」の改造ポイントについて教えてください。 エヴァン 自慢の改造ポイントはね~、全部だよ(笑)。一気に完成させることは経済的に無理だったので、映画の撮影と同時進行で、3年がかりで改造していったんだ。だからシーンごとに、ちょっとずつ仕様が変わっているよ。スーパーチャージャーを搭載したのは撮影のほぼ終盤だったね。ポール・エドワードって機械いじりの得意なスタッフがいて、彼と一緒に改造していったんだ。エンジンだけで3度交換したよ。火炎放射器もダッシュボードから操作できるし、煙幕は濃いめと薄めの2種類が出せるよ。ドリフトしやすいよう、タイヤの後輪にスプリット機能も付いているんだ。 ──米国の公道は、改造車が走ってもOKなの? エヴァン アハハ、合法じゃないだろうけど、今のところは警察はうるさく言ってきてないね。映画が完成してからは、このメデューサ号に乗って全米中の映画祭に参加したんだ。去年3か月だけで2万2000キロ以上走ったよ。ボクにとっては、乗用車というよりもペットみたいな感じだね。メデューサ号に乗って過ごしたこの数年間はボクのこれまでの人生でサイコーの時間だよ。『ベルフラワー』のプロモーション中に、今のガールフレンドにも出会えたしね。オリビアっていうんだけど、素晴らしい女性だよ! ──失恋の痛手を引きずる日本の若者たちに、メッセージをお願いします。 エヴァン まず、元カノのことは許しましょう(笑)。こだわりを捨てることが大事です。相手のことばかり責めてないで、自分自身のことも見つめましょう。ボクの場合は失恋を経験したことで映画を撮れたし、映画を作ったことで新しいガールフレンドとも出会えたんだ。ハッピーな人生だよ。失敗を経験することで、人間は成長するもの。失恋を恐れていちゃダメだと思うよ~! (取材・文/長野辰次) bellflower5.jpg 『ベルフラワー』 監督・脚本・製作・編集/エヴァン・グローデル 撮影/ジョエル・ホッジ 音楽/ジョナサン・キーヴィル 出演/エヴァン・グローデル、ジェシー・ワイズマン、タイラー・ドーソン、ヴィンセント・グラショー、メデューサ(72年ビュイック・スカイラーク) 配給/キングレコード+ビーズインターナショナル+日本出版販売 6月16日(土)よりシアターN渋谷ほか全国順次ロードショー <http://bellflower-jp.com> c 2011 Bellflowerthemovie, LLC

ヒロシさんの至言「女の人はね、僕と約束してる日にカゼひくんですよ」

hiroshi_akari01.jpg モテない、金ない、華もない......負け組アイドル小明が、各界の大人なゲストに、ぶしつけなお悩みを聞いていただく好評連載。第33回のゲストは、DVD『ドキュメンタリーオブヒロシ~空白の1500日~』が絶賛発売中のヒロシさんです! [今回のお悩み] 「相談に答えてほしいのですが……」 ──わーヒロシさんだ! 本日はよろしくお願いいたします!  すいません。はい。すいません。 ──……なんで謝るんですか?  いや、謝っとけば間違いないんで……。 ──……。えっと、うちは親子そろってヒロシさんのファンで、ヒロシさんと対談させてもらえるって言ったら母親が凄く喜んで、デコメで「よろしく伝えて(はぁと)」って言ってました(笑)。  お母さんでしょ? よく言われるんですよ、「お母さんがファンです」とか「おばあちゃんがヒロシのネタに反応するんです」とか……。最近、久しぶりに本を出したんですけど、読書カードってのが挟んであるじゃないですか? それを見てたら、全部60オーバーなんですよ。若い人でも40代。若い人で「私がファンなんです」って人、あんまりいないんですよね。タレントさんとかでも、人づてに「この子、ヒロシのファンなんだってよ~」って聞いてたのに、現場で会ったら「あ、どうも」みたいな……なんなんでしょう? ――え? いや、あの、えーと、私、ファンです……よ? 気を取り直して、ヒロシさんの新しいDVD『ドキュメンタリーオブヒロシ~空白の1500日~』(コンテンツリーグ)はすごい内容でしたね~! ただ……発売がたった200枚っていうのは本当なんですか?  愕然としましたね……。作ったのはもっと多いんですけど、実際に店頭に並んだのは200枚だって。ぼく、本とか出すときは、「だいたいどれくらい売ればトントンになるんですか?」って聞いて、そこを目指すんですけど、一番最初の打ち合わせで「1,500枚」って言われて、「じゃ、1,500枚売れば元も取って、みなさんにギャラを払えるレベルか~」と思ってたのに、200枚って……。 ──どんだけ売れてないアイドルでもその数字はあり得ないですよ! だってヒロシさんの『ヒロシです。』(単行本/扶桑社/2004年)は30万部ですよ!?  そう。DVDだと『ヒロシ会』(ユニバーサルミュージック/05年)が4万5,000枚くらいかな。それで、これが200枚(笑)。 ──笑ってないで、怒ったほうがいいですよ!  怒ってもね、しょうがないよね。 ──しかも発売イベントはスタッフが会場を取り忘れて、場所が……土浦でしたっけ?  そう、土浦のイオンモール。よくご存知で。で、「とりあえず場所は押さえたから行ってくれ」って言われて、バタバタでチケット取って行ったんですけど、振り返って考えたら、ぼく、交通費だけで7,000円くらい使ってるんですよ。このDVDは3,000円なんで、そのお金で2枚買っほうがいいですよ。どうせぼくには1円も入ってこないだろうし……。そのイオンモールでも、ぼく、ネタを2回やってね、サイン会もやって、80枚も売ったんですよ? 現物がないのに。 ──えっ、現物ないんですか? 発売イベントなのに?   そうですよ! 「どっかにないんですか?」って聞いたら「静岡の倉庫にしかない」って……おかしいでしょ!? ──DVDないのに、何にサインするんですか?  えっとね、小さいサイン色紙を買って行ったの。さらにそこで買ってくれたお客さんは、送料の分、500円多く払わなきゃいけないんですよ? ほんと申し訳なくてね……。 ──アマゾンで買った方が安いですね……。  ほんとにそうなの……。ぼく、Twitterとかブログをやってるんですけど、コメントを見たら、やっぱり「売ってねぇんだけど?」っていうのばっかりで、「買いました!」っていうのが全然ないんだもの! 最初はそれに「申し訳ありません」って返事してたけど、だんだん「なんでこんなことやってるんだ」って思ってきちゃって……。 ──なぜかヒロシさんがすごい謝ってましたね。  そう。なんで俺が謝んなきゃいけないんだろう……。 ──発売後までネタになる話が満載ですね!  そんなつもりは全然ないのに……。やっぱりこれはドカンと売って、「ヒロシ、やっぱり作ったら売れるんだな!」とか、そういう風に思われたかった……。 ──でも、DVD自体はすごくいいドキュメンタリーでしたよね。お笑いブームの時に密着していたスタッフが、ブームが去っていくとともに密着をやめて、ヒロシさんの立場がどんどん危うくなっていく様子とか、切なすぎてお腹が痛くなりましたもん。こういうドキュメンタリーって、どれくらい台本があるものなんですか?  台本っていうのはほとんどなくて、大まかなことしか決めてないですよ。あとの流れは全部アドリブで。 ──離れていくドキュメントのスタッフに「前にNG出した九州の実家取材の話ですけど、アレ、やっぱりOKなんで!」って食い下がる様子とか、AVの人がだんだんNG事項を減らしていくのってこういう感じなのかな、と感慨深かったです……。でも一番ズーンときたのは、九州の実家取材のために自分でわざわざレンタカーを借りて、その車内でヒロシさんがスタッフにめちゃめちゃ気を使っておどけて、それでもやっぱり無視されたりして……もう、自分の学生時代を見ているようで……!  はははっ! ああー伝わってる、ちゃんと伝わってるんだねぇ……。 ──沈黙を恐れてはしゃぐ感じとか、学生時代に間違ってレベルの高いグループに入っちゃって、がんばって盛り上げるけど、やっぱり会話に入れてもらえない、みたいな思い出が蘇って、胃がキリキリしました。  そうそうそう! コンパとか行ってもしゃべれなくて、しゃべらなきゃと思って下ネタ言ってスベる、みたいな。ワンランク上に行こうとしてね……。でも、小明さんってそんな人ですか? 中学高校のときも一軍だった女の人みたいに見えるけど。 ──ありがとうございます、中学をひきこもりで過ごさせていただきました。  あ~、そうですか~(うれしそうに)。 ──それで高校からがんばり始めて、調子に乗ってグラビアを始めて、売れなくて、こじらせ続けて、現状です。  なるほどね~。そっかそっか~(すごくうれしそうに)。 ──このドキュメンタリーは、ヒロシさんの自叙伝の『沈黙の轍』(単行本/08年/ジュリアン)を読んでから見ると余計に辛いですよね。炭鉱の町で純粋に生きていた健一少年が、どうしてこんなことに……と。  えー! 読んだんですか? ありがとうございます! ──文章がお上手でびっくりしました、すごくちゃんとした短編集ですよね。  おー! おー! おー! だんだん気持ちよくなってきましたよ! でも、そんなこと言って帰りにエレベーター乗った後に舌をぺろっと出すんじゃないでしょうね? 「言ってやった(笑)」みたいに言うんじゃないでしょうね? もう人を信じられないから、俺は。危うく気持ちよくなったけど、もう気持ちよくなりませんから。騙されませんから。 ──なんでそんなに人を信じられないんですか! でも、本当にこういう文才も、世間の人にいまいち届いていない感じで残念ですよね。  そう。だから引き出せないんですよ、事務所が。俺はいろいろ提示するけど、「それはない」とか言われるから、辞めてやろうと思ってんの。ははは。 ──ヤケになっている! この『沈黙の轍』もご自分で書かれて、ご自分で持ち込みに行かれたとか。  そうですよ、全部そうです! 打ち合わせも全部ひとりで行って、編集の人を家まで車で送ったりして……。その『沈黙の轍』の表紙は実家がある炭鉱の町で撮ったんですけど、まずスタッフのみんなで福岡まで飛行機で行って、そこから俺が自分で車を運転してみんなを地元まで連れて行きましたから。 ──うわ! リアル『ドキュメンタリーオブヒロシ』! ちなみにこの本はどれくらい売れたんですか?  これはね、2万5,000部て聞いてたんですけど、おとといくらいに、「実は1万5,000部しかはけてなくて、1万部在庫が残ってる」っていうのを聞いて……。 ──でも、出版不況の中、それだけいったらかなり立派ですよ! 前の『ヒロシです。』とその続編もあわせたら、全部でどれくらい売れたんですかね?  えっとね、あわせて50万部くらいかな。 ──家が建つくらいの額じゃないですか!!  そうですね、普通に考えて、小さい家なら建ちますね。けどね、持って行くから。事務所が。税金も持って行くから。 ──ああ……。なんか、言葉を失います。えっと、ヒロシさんは、昔39万円の家賃の部屋に住んでいたと聞きますが、今もやっぱりそれなりに良いところにお住まいなんですよね?  今は4万3,000円。 ──嘘でしょ!?  いとこの家に住んでます。もう、ぼくね、贅沢いらないんですよ。ほんとは千葉に家を買おうと思ったけど、実際に見てみたらすごい山の中でね~。これはひとりじゃ鬱がひどくなると思って。 ──鬱は悪化しますよね。私、今都心を離れて窓からの景色が畑っていう戸建てに住んでるんですけど、都心で感じる孤独と、人がいないところで感じる孤独は桁違いです。  でた! マジですか!? 思い切ったことやりますね~! ──とりあえず、寝酒が進みます。あは……。  え~? そんなところ行こうと思わないですもん~! ちょっとした旅行になりますもんねぇ(やっぱりうれしそうに)。 ──ええ……。  ぼくもねぇ、そういう場所に家を借りてやっていこうかと思いましたけど、そこまでの勇気がなくて、結局川崎の一軒家を借りたんです。二階建てで屋上があって、ぼくはそこで家庭菜園なんか楽しめると思って借りたんですけどね、そのー、ひとりで一軒家って、すごい苦痛だなって思いましたね。「屋上がいいな~」と思って借りたんですけど、階段で行くからキツイんですよ。だから、結局は二階の一部屋を半分に仕切って、わざわざ狭いスペースを作ってそこだけで生活してました。 ──私も見事に一部屋の隅しか使ってないです。  そうでしょー? ただぼくの場合、ずっと狭い場所に住んでたから、一回は良いところに住みたいと思って、家賃39万の東京タワーが見える部屋を不動産屋に乗せられて借りちゃったんですけど、実際住んだら、「いらねえな……」って。 ──でも、そんな部屋だったら女性も連れ込み放題ですね!  そのときは超忙しくて、39万払ってもほとんど家に帰れてないんですよ。意味ないんです。 ──ホスト時代、冴神剣さんだった頃に住めればもろもろうまくいきそうなのに、都合良くいなかいものですね~。ホスト時代は公園で暮らしてたんですよね?  公園には3週間くらい住みましたね。完全歩合で、ぜんぜん指名がなかったので、基本的に給料がないんですよ。月曜から土曜までホストやって、えー……だいたい月に3万円くらいだったかな、給料。それでお金が足りないから日曜はコンビニでバイトしてましたもん。そんなんじゃ、どんな安いところでも借してもらえないから、2年間くらい家がなかったですね。 ──その当時はもう芸人さんだったんですよね、どんなお仕事をされてたんですか?  当時は別の事務所に所属していて、コンビで売れようと思っていたから、相方がいたんです。で、相方が辞めるって言いだして……。それから滅多に受からないオーディションに受かったんです。内容は教えてもらえなかったんですけど、「とりあえず2~3日分の着替えだけ持ってこい」って言われて、変なワゴン車に乗せられて、埼玉のえらい奥の方に連れて行かれて、「あそこの家を訪ねなさい」って言われて行ったら土建屋の親父が「遅い! 着替えろ!」って怒ってて、そのままとび職の現場に連れて行かれて、そこで住み込みで働いて……。 ──……え? すみません、それ芸人さんの仕事ですよね?  そういう企画だったみたい……。一応テレビの特番なんですけど、2カ月間しっかり土木作業をやって働いて、給料振り込まれてるの見たら、2万5,000円。もう携帯も止められてるし……。 ──テレビの企画にかこつけて、タコ部屋で働かされたような……。でもやっぱりテレビですし、放送後の反響は?  なーんもない。 ──……。  (失笑)。 ──……えっと! 音楽活動の話とかも聞かせてもらっていいですか!? ヒロシさんは学生時代にコピーバンドをやられてたんですよね、何のコピーバンドをされてたんですか?  なんだろ、結局、流行ってるのをやったんで、最初はXがまだメジャーにいく前のCDをコピーしたりとか、BOφWYとか、ZIGGYとか、そういうのをやってました。 ──バンドブーム世代ですし、バンドってモテますよね。  そうなんです。だからそれ目当てでやったんです。 ──でしょ? モテるはずなんです。なので、いまいち、そのヒロシさんのひねくれた根っこが見えなくて。あの、青春時代を謳歌できた人って……。  ひねくれない、でしょ? 学生時代にバンドやってるって、一見、謳歌してるように見えるでしょ? でも実は何も謳歌してないんですよ。バンドブームって言ったって、モテない人が作った童貞バンドなんか何も潤わないよ。みんな童貞なんだもん。やっぱ、人気あるバンドはみんな彼女がいてチヤホヤされるし、バンドでもそこにもう確実な格差があるもん。 ──あわわ、でも今でもかなりまじめに続けられてますし、人気なんじゃないですか?  結局ぼくのファンしか来ないから、何人か残存している、コアな8人くらいが来てくれるくらいです。 ──お笑いとバンドって、モテるツートップですけれども。  そうですよね、うふふ。……あれ? なんで? おかしいですよ。なんでモテないんですか? ──なんででしょう……。あの、試しにご自分からガツガツいかれてみては?  自分からいっても気に入られないから、どうしようもないよね。だって、ネタにもしてるけど、みんなカゼ引くんですよ、約束してる日に。 ──私もカゼひいたことあります(笑)。  カゼひくでしょ? ひいていないのに。 ──前日の夜になると急にひくんですよ、なぜなんでしょうね。  そうでしょ? それですよ。女の人と一生会えないんじゃないかと思うもん。あと、「犬に餌あげなきゃいけない」とか、「友達が泣いてるから慰めなきゃいけない」とかさー、よくわかんないこと言ってさー。 ──そこから生まれたのか分からないですけど、「コンドームが減りません」って言うネタが好きです。  コンドームが減らないんですよ……! ドンキホーテでダース買いしたのに、下手したらまだ封もあけてないっていう……。 ──私も4~5年前に海外に行くとき、友達から「海外は危ないから!」って持たされたコンドームが、先日そのままの姿で出てきましたよ。海外も国内もぜんぜん危なくなかったです。ネタってかなり実話が多いんですね……。  だいたいそうですよ、分かりやすくはしてますけど。 ──売れた後も、なおひねくれて続けているのはすごいですね、どこかで満足してしまいそうなのに!  モテないからですよ、単純に。 ──『ヒロシ会』のDVDでは観客の女の人が「ヒロシさんかわいかったですー」って頬赤らめてましたよぅ。  女性ってブームに弱いじゃないですか。現にもういなくなってるじゃないですか。今、だーれもいないじゃないですか。この『ヒロシ会』は一日だけやった単独ライブを収録したものなんですけど、恵比寿エコー劇場で、もう満員で入れないのに「入れろ! 入れろ!」って外でケンカが起きて、救急車で女性がひとり運ばれてるんですよ? ──ギャー! すっごい!  いま来りゃあ普通に入れるのにね? いまぼくがやってるバンドなんか、普通に来て普通にしゃべってるんですから、全然救急車呼ばなくてもいいのに、来ないでしょ? だから、「いまブームだから」っていう理由で来てるんですよ。そのときからそう思ってたから、もう一切信用できないですよね。 ──ヒロシさんの「一生応援します」ってファンレターに書いてた人が一切いなくなったけど、みんな死んだんでしょうか……ってネタ、ゲラゲラ笑いましたけど、実話と思うと悲しいですね。  そうですよ!「一生」「死ぬまで」って言ってたの来ないんだから、死んだんだなって。死んでるんですよ、みんな。 ──なんか……大変な人生ですね。  ほんとですよ。普通の人がぼくと同じ経験してきてたらね、どっかで自殺してますよ。 ──父親が炭鉱で働いてる時点で、ちょっとこう、背負うものがありますもんね。  あるでしょ? 炭鉱ってきいて絵が浮かぶでしょ? なんかその風情が。 ──うちの父親は炭鉱じゃないんですけど、地下鉄作業員の下請けの下請けで……。  ああっ、似たようなもんだよねぇ(うれしそう)。 ──しかもリアルにそこをリストラされてるところとかを見てしまって、子供心に複雑でしたよ。ヒロシさんは、ご家族とは仲いい方ですか?  えっと、ぼく弟がいるんですけど、20数年話してないですね。会ってないです。 ──あはは! 上京から一切連絡とってない感じ!  そうそう。こないだ実家に帰ったら知らない女の子がいて、「誰?」って聞いたら弟の子どもで、もう小学校4年生だって。それでぼくは弟の娘に人見知りして……しばらく無言でいたら「おじちゃん、しゃべんないんですね」ってボソって言われて……。 ──子どもに敬語を使われるってのもまた妙に辛いですよね、いっそバカな子どもだったらよかったのに……。  そうなんですよね、ワーッ! って来てくれればまだ対応できたかもしれないけど、「しゃべんないんですね」って言われたら、もうたまらなくなって家を出ようとしたら、「おじちゃん、また遊びに行くんですか?」って言われて……会話はその二言だけでしたね。はぁ。 ――あ、あはは……。あの、なんていうか、ヒロシさんは、テレビとインタビューではしゃべりが微妙にちがうんですね。  そうなんですよ……! ぼく、テレビ出ると緊張するんですよ、華やかでおしゃべり達者な人たちが並んる中になんて入って行けないじゃないですか? 打ち合わせだったらしゃべれるんです。けど、本番になったら黙って座ってるだけ。たまに振られて「ヒロシです……」って言うだけなんですよ。 ──なんかこう、えーと、残念ですね……。  残念なんですよ……。小学校のとき、クラスで「はい! はい!」って手を挙げるタイプじゃなかったでしょ? ──はい。できるだけ先生と目を合わせないようにしてました。  ね? でも、そこで「はい! はい!」って言わなきゃいけないんですよ、テレビに出たら。前へ前へ行かないと……! ──もう、ヒロシさんがひな壇に座ってるのが奇跡のように思えてきました。確かに、みんなと一緒に立ち上がって「ちょっとちょっとー!」って言ってるヒロシさんは想像がつきません。  そう、言えないんですよ。でも言わなきゃっていう、もやもやっとした感じ。もう、「ああああああああああ!」って言いそうになるもん。画面上では、だまーってるだけに見えるけど、ぼくは発狂しそうになっている。「あああああああああああ!」って言いたくなるのを我慢して、じーっとしてるんです。 ──思ってたよりずっとギリギリな精神状態でテレビに出られてたんですね……。でも、ヒロシさんの著書には、よく後書きの部分にモテない人や報われない人生を歩んでいる人への暖かいメッセージが書かれているじゃないですか。あれ、泣けるんですよ。ヒロシさんのネガティブなネタに、そんな熱い想いが込められていたと気づいて、ハッとします。  そうなんです。そういうのはなかなか伝わりづらいけどね。ぼく、いちばん悔しいのは、中学生とかで自殺しちゃう人いるでしょ? そういうの、いたたまれなくてねぇ。いじめてるやつなんて、絶対たいしたことないのに、そのときは大きな存在じゃないですか? 学校の先生もたいしたことないのに偉そうに言うから、「俺が悪いのかな?」って思うかもしれない。けど、絶対そんなことはないんだよっていうのを伝えていきたいなって。でも、ぼく自身がバカにされてる存在だから、それはなかなか伝わんない。だから、本にちょっとだけそういうのを入れたりとかね。 ──今まで何の気なしに笑ってた自分が恥ずかしいですよ。『ヒロシです。華も嵐も乗り越えて』(東邦出版)に書いてあった、「九九が覚えられなくて教室に残されて、人よりも劣ってる欠陥人間なんだっていう気持ちをずっと引きずってる」っていうの、すごくわかります。私もずっと給食が食べ終わらなくておもらししそうになったり、いくら残って練習しても、ひとりだけ逆上がりができなかったり……。  ねー。でもねー、逆上がりなんかできなくたってね、金儲けはいくらでもできるんですよ。でも、そのときの子どもには、それがすべてじゃないですか。逆上がりができたほうがモテるわけじゃないですか。足が速いほうがモテるわけじゃないですか。でも、いろんな才能があるわけじゃないですか。例えば写真を撮る才能があっても、小学校でそんな授業なんかないし、それだけじゃない、いろんな商売があるってことを知ってもらいたいですよね。だってこうやって愚痴言って金もらう仕事も、作ったわけですから、ぼくが。ずっと愚痴言い続けて。 ──本当ですね。なんだか思いもよらず良い言葉をいただきました。ありがとうございます!  そうでしょ。あと、メッセージとか発信してると、なんか、ちょっとかっこいいじゃない。モテそうじゃない。ちょっと尾崎豊っぽくて、ふふふ! 「こういう一面もあるのね、ヒロシちゃん」って思われたらいいな、と思って(笑)。 ──あっぶな! まんまと手中にハマるところでした! でも、この『ヒロシです。』に書いてある「マイナス要素を抱えながらも、絶対にモテてやろうと思ってます。だから、あなたも諦めないで」っていうくだりは、すごく希望になりますよ。ヒロシさん、絶対モテてくださいね!!  そんなん言いながら、やっぱりモテてはないんですけども、ただ、あのー……実家に帰ってね、同級生とかと会うとね、当時イケメンって言われてた人たちが、どんどん劣化してるんですよ(笑)。ぼくは学生の時に超くやしい思いしてるから、そういう一軍の男子たちがハゲてたりしてると、もう、たまらない幸福感に包まれて……(満面の笑み)! ──また、地元にいる人たちって、ちゃんと働いたり子どもを育てたりで忙しいから、外見的に年をとるのが早い感じがしますよね。  そう! ふはははは! 早いんですよー! そうそう、こないだね、たまたまテレビでぼくの地元までロケに行ったんです。そしたらそこの観光協会かなんかで働いてる作業服の人が、「斉藤くん」って、ぼくの本名を呼んできてね、話聞いたら高校んときにヤリまくってた男で、「チッ」と思って終始覚えてないふりをしてやりましたね、ふははは! たまんなかったなアレは! 他にも「俺だよ、なんとかだよ」って言われて、「あ~あいつか」って分かっても気づかないふりをしますよ。一瞬「誰だっけ?」って間を空けてから、「あ~!」ってね。 ──「当時の自分だって、お前なんて別に眼中になかったから」っていう強がり!  そうそう、それがぼくの復讐です。たまんないです。今すごい幸せです。 ──幸せが、暗い……! ヒロシさんは普通に職につこうと思ったことはないんですか?  こういう仕事する人って、たぶん、普通の生活できない人たちでしょ? ぼくも一回だけサラリーマンになったんですけど、1カ月目で「辞めさせてくれ」って言いに行ったくらいだから、耐えられなかったんです。サラリーマンに。 ──ちなみに、どういう仕事内容だったんですか?  保険を売る仕事です。 ──またずいぶん社交性の求められるものを!  そう、知らないところにいっぱい電話しなきゃいけない。1カ月で心が折れて、出勤しないで家で寝てたんですけど、家に偉い人がきて、「おめえ何やってんだ!」って起こされて、「ああっ」って……。「せめて半年はやりなさい」って言われて、半年やって辞めました。 ──さっきから他人とは思えないエピソードばかりです。性別と時空を超えて、すごく共感をしています。  やっぱりねぇ、そういう人って話があいますよねぇ。だから、ダメなスパイラルがずーっと続くわけですよ。ぼくも、暗くてB型の人とよく話が合うからね。 ──うわ、私、暗くてB型です……!  そうでしょ(笑)? で、そういう人とばっか接してると、「こっちの思考が王道だ」って勘違いするようになるから、よくないんですよ。 ──そうなんですよね。たまに明るい人たちと話すと、「うわ、自分ってゴミ」と実感して落ち込んだりします。  そうそう。でもこっち側にいると、「やっぱおかしいよねー?」「あんなところであんなカラオケ歌うのおかしいよねー?」って。全然おかしくないんだけど、「わかるわかるー!」ってなるわけですよ、だから良くないんですよ。 ――わああ、私だ、私がここにいる! 私はもう本当にますますヒロシさん大好きですよ!  ほんとですか? なんだかうれしいなぁ。 ──そんなところで、ちょっと私の相談に答えてほしいんですけどもー。  無理ですよー。こっちが答えてもらいたいくらいですー。 ──(無視して)私もけっこうネガティブなんですけど、やっぱり、こう、「ネガティブは良くない」って言われがちじゃないですか? ぼやいたり愚痴を言ったり卑屈になったりとか、そういうことをずっとしてると、そのうちそれに飲み込まれて、もう戻れなくなる、と。  言われますよねぇ。 ──でも、なかなか直るものではないし……。  直らないです。でも、こうやって、取材して書くっていう立場にいらっしゃるわけじゃないですか。ぼくも本気でネガティブなんですけど、たぶん、大まかにはポジティブなんですよね。 ──私はポジティブというか、根が図々しいような気がしてます。  そう。一個一個は図々しくないんだけど、なんか大胆なところで多分そうなんです。だって、普通ネガティブな人がグラビアアイドルなんかならないでしょ? どっかで「私はあいつらよりモテるんだ」「イケるはずだ」って考えられたくらいのポジティブさがあったわけでしょう? ぼくもそうなんです。一個一個は全部ネガティブだけど、すごく、大きな流れではポジティブなんですよ。だってモテない人が「お笑いやってモテてやろう」と思ったんですから。自分で言うのもなんだけど、そういう人はまだ良いんじゃないですか? こういう風に仕事として、お金もらうわけじゃないですか。 ──確かにそうですよね……。今はまだネガティブな部分に対して、憤ったり、妬んだり、僻んだり嫉んだりする体力がありますけど、年をとったらどうなってしまうんだろう。  そう、危険なのが、こうやって注目されてるうちは愚痴がお金になるからいいけど、飽きられるでしょ? ──そうなったら、大ピンチですよ!  ピンチとネガティブさだけが残っていくから、やっぱりキツイですよね……! ぼくだってテレビに出なくなってからもネガティブな思考はそのまま残ってるわけだから、キツかったですよ。今は仕事してるから笑って話せるけど、これがなくなったら、ほんとキツイもんな、人と話す機会もないし。これは……ちょっとどうにか解決しなきゃいけないですよね……。 ──積極的に幸せになりにいくのが一番いいと思うんですけど、ヒロシさんは幸せになったら、もうネタが増えないじゃないですか? そうして無意識に幸せから遠ざかろうとしているのでは?  いやいや、幸せになったほうがいいですよ! 絶対! ──たとえば、所帯をもってみたりとか。  いやーそれは危険だなー。浮気されたらどうしよう、とか。 ──え~そこですか? 大丈夫でしょう、それは~。  だって結婚したら離婚するときにお金半分あげなきゃいけないんでしょ? 冗談じゃないよ! 実際、浮気されて離婚して金とられたって人が何人もいるんすよ、ぼくの周りに! でも法律ではそうしなきゃいけないらしくて、最悪じゃないですかー。 ──「浮気はしないと言っていた彼女の家に行ったら、便座があがっていたとです」ってネタもありましたけど、あれも実話だったんですねぇ。  そうそう、毎回あがってるんですもん! 便座あげるときって掃除するときくらいでしょ? 別に綺麗になってないのにあがってるんですよ! もっと言っちゃえば、ゴミ箱から精子のにおいがするんですよ? ぼく、なんにもしてないのになんでにおいがするんだろうって……。 ──だんだん、本当に付き合っていたのかどうかも心配になってきますね……。  そうなんですよ。もう「人間のお付き合いってなんだ?」ってことですよ。もっと言えば、「結婚ってなんだ?」ってことになってくるですよね。「病めるときも~」って神様の前で約束するのに……お前らは簡単に破るじゃないか!! ──女性不信すぎますよ!! でも、ほら、えーと、最近またテレビにも出るようになられて、また波が来てるじゃないですか!  来てますか? そんな感じは一切しないですけど……。 ──ヒロシさんの場合は、「最近見ないよね」「消えたよね」って言われてても、本を出したりラジオをやったり、普通に活動はされてるんですよね。でも地上波に出てないだけで消えたような扱いになっちゃう。私はグラドルでデビューして、最初だけほんの少しだけ出て、すぐ売れなくなったんですけど、今でも希に「あー昔グラビアで見たよね、今いないね」って言われることがあります。でも、ページがカラーグラビアから白黒の文字ページに移動しただけで、微妙に消えてはいないんですよ。でも可愛いグラドルが好きな人たちなんて、誰もこっちまで見てくれない。  うんうん。でもね、「サイゾー」でページを持ってるなんて立派ですよ。俺なんてアレくらいのブレイクを見せて、何も残ってないじゃないですか。 ――そんなことないじゃないですか、なんか、確執みたいなものが残ってると思いますよ。  確執だけ残ってもしょうがないじゃないですか! ほんと、いつまた落とされるかわかりませんし、「サイゾー」なんて良いですよ、しかも連載でしょ? ……サイゾーさん、このページで、ぼくでひとつ、なんかやってくださいよ……。 ──え! ちょっと、普通に私の連載枠を狙わないでください!  いや、あの、ノーギャラとかでも全然いいんで、あ、この、こことかでもぜんぜん大丈夫なので!(編集雑記を指さしながら) ――ちょ、やめてください! きょ、今日はどうもありがとうございました! (取材・構成=小明) ●ヒロシ 1972年、熊本県生まれ。コンビ芸人、ホストなどを経て、2003年ころからピン芸人としてブレイク。「ヒロシです……」で始まる自虐ネタで一世を風靡した。DVD『ドキュメンタリー オブ ヒロシ~空白の1500日~』発売中。 ●あかり 1985年栃木県生まれ。2002年史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。 ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/> サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中 ニューシングル「君が笑う、それが僕のしあわせ」発売中<http://cyzo.shop-pro.jp/> 月刊サイゾーにて「卑屈の国の格言録」連載中。 小明の「大人よ、教えて!」"逆"人生相談バックナンバー 【第32回】 ジャルジャルさんの至言「僕らのネタに深い意味なんかないんです」 【第31回】 オリエンタルラジオさんの至言「"変わってるって思われたい自分"も見透かされてる」 【第30回】 大槻ケンヂさんの至言「ネガティブを売りにすると自家中毒に陥るんです」 【第29回】 辛酸なめ子さんの至言「なんか、つい交尾の話とかしちゃうんです」 【第28回】 みうらじゅんさんの至言「アイドルライターってなんなの?」 【第27回】 山路徹さんの至言「バラエティーが怖いようでは戦場に行けないですよ」 【第26回】 浅草キッド・玉袋筋太郎さんの至言「相手がクンニしてる顔を思い浮かべなさい」 【第25回】 前田健さんの至言「自分は赤毛のアンの生まれ変わりだと思ってる」 【第24回】 叶井俊太郎さんの至言「結婚したければ高2で100人斬りの男を探しなさい!」 【第23回】 須藤元気さんの至言「僕の本なんて、ギャグみたいなものですよ」 【第22回】 オアシズ大久保佳代子さんの至言「本当はOLを辞めたくなかったんだよなぁ......」 【第21回】 Kダブシャインさんの至言「宇多丸は、Kダブをシャインさせない」 【第20回】 楳図かずおさんの至言「世界を相手にやっている人は、友達作っちゃうと危ない!」 【第19回】 キングオブコメディさんの至言「いつ辞めてもいいから、続けられるんです」 【第18回】 バカリズムさんの至言「モヤモヤは、そのまま持ち帰って立ち向かいます」 【第17回】 島田秀平さんの至言「小明さんの手相にはアブノーマル線があるんです」 【第16回】 小森純さんの至言「写真のチェックとか、自分では一切しないんです」 【第15回】 堀江貴文さんの至言「もうメジャー路線っていうものは存在しないかもしれない」 【第14回】 稲川淳二さんの至言「自分の子どもを殺そうか、と思った自分が一番怖かった」 【第13回】 蝶野正洋さんの至言「自分の役割の中で、最大限に光らなきゃならない」 【第12回】 有野晋哉さんの至言「アイドルは『育ちがええねんなー』っていうのが大事です」 【第11回】  鳥居みゆきさんの至言「やりたくないこと、やらないだろうな、ってことをやるの」 【第10回】  宇多丸さんの至言「人にはだいたい『ちょうどいい』ところがあるんです」 【第9回】  桜木ピロコさんの至言「あたしいつもだいたいいやらしいことしてるもん!」 【第8回】 伊集院光さんの至言「結局、うんこを食うしかない状況になるんです」 【第7回】 ルー大柴さんの至言「ライフっていうのはマウンテンありバレーありです」 【第6回】 大堀恵さんの至言「私、いつも『アンチ上等』って思ってるんです」 【第5回】 品川祐さんの至言「なったらいいなと思ってることは、だいたい実現する」 【第4回】 福本伸行さんの至言「俺は『面白いものを作ろう』じゃなくて、作れちゃう」 【第3回】 大根仁さんの至言「ネットの書き込みなんて、バカにしていいんじゃない?」 【第2回】 杉作J太郎さんの至言「そんなことより『ファフナー』見ろ、『ファフナー』を」 【第1回】 河原雅彦さんの至言「もう無理やりヤラれちゃえばいいんじゃない?」