韓国で2000人あまりもが逮捕される異常事態となっている二次元規制法「児童・青少年の性保護に関する法律(アチョン法)」。アチョン法の問題については、当サイトでも既報の通りである。 9月6日、この法律の問題点を追求し、エロいマンガを持っているだけで逮捕された被害者を救援するNGO・オープンネットの理事で高麗大学教授の朴景信氏が来日した。朴氏は、ハーバード卒の秀才にして、韓国ではワイセツ物規制への疑問を訴え自身のブログに「なぜこれが規制されなくてはならない」と問題提起のために画像を掲載したところ、「ワイセツ罪」で逮捕された人物としても知られている。そんな朴氏は、現在の異常事態を報告すると共に、法改正を訴えた。 講演の冒頭で朴氏は、アチョン法の量刑があまりにも重すぎることを指摘。韓国では、強姦罪は3年以上の懲役となっている。対して、アチョン法では「児童ポルノ」を制作・輸入・輸出した場合には無期懲役または5年以上の懲役に加えて、20年の身上登録と10年間の就業制限が課せられる。アチョン法では未成年者の強姦についても規定しているが、こちらは無期懲役または5年以上とされている。つまり、あいまいな「児童ポルノ」規定で、未成年を強姦したのと同等の処罰が科せられるという異常な刑の重さになっているのだ。 アチョン法の異常さは、ほかにも見られる。韓国の刑法では、ワイセツ物の配布を1年以下の懲役または500万ウォン以下の罰金としているのに対し、「児童ポルノ」の場合は7年以下の懲役または5000万ウォン以下の罰金、20年の身上登録と10年間の就業制限が課せられるとしているのだ。 「この刑罰の不均衡のため、韓国のネットでは“強姦が懲役3年なら(成人女性を)強姦したほうがよい”といった書き込みまで見られているのです。“児童青少年として認識することができる表現物が登場して性的羞恥心を感じられるように身体の部位を露出する媒体物”と“認められたら”著しく刑罰が重くなってしまう。これは妥当なのか」 アチョン法のそもそもの主旨は、被害児童・青少年のための救済及び支援の手続きを整備して、児童・青少年犯罪者を体系的に管理することで、児童・青少年を性犯罪から保護するというものである。 ところが、この法律では被害児童・青少年の中に“実在しない児童・青少年”を含めてしまった。そのために、そもそもの主旨から乖離した法律になってしまったのだ。 「アチョン法の問題は、実在と仮想とを同じに処罰すること。これは表現の自由に抵触します。表現を処罰できるのは、その表現が切迫した危険を持つ時だけです。世界各国で、仮想の表現物が実際の児童を虐待することはないという判決が出ています。スイスでは2009年に調査を行って、このような結果がでていますし、スウェーデンでは2012年にマンガに対して児童性犯罪を適用することは違憲だとする判決が出ています」 「そもそも、仮想の児童を処罰しても適用は無理です。アチョン法の2条5号では“児童青少年として認識することができる表現物”という定義を定めていますが、ここでいう認識とはなんでしょうか? キャラクターが視覚的に18歳11ヶ月と認識できた時と、19歳に認識できた時とで処罰が変わるのは妥当でしょうか」 韓国の裁判所も、アチョン法のおかしさに気づいている。既にいくつもの裁判が起きているが2013年5月以降、成人が制服を着た作品や日本のマンガに対して違憲性を指摘しているのだ。 「5月には議政府市の裁判所がアチョン法の違憲性を憲法裁判所に提起しました。また、8月には日本アニメ『ブラック・バイブル』が摘発された事件でも違憲だとして憲法裁判所に提起がなされています」 そもそも2000人あまりもの逮捕者が出た理由として、朴氏は警察の人事考課が理由だと指摘する。 「最近まで、ワイセツ物配布は特進点数に加算されなかったのですが、“児童ポルノ”が加算されるようになっていました。その結果、2011年には年間約100件だった児童性犯罪が2012年には2224件と、22倍にも増加してしまったのです」 今、世界で仮想物の制作や配布を児童性犯罪として明示しているのは、このアチョン法だけ。そこで朴氏は、刑法とインターネット法改定で、児童または未成年者に設定された表現物で性行為や性的露出をするものをワイセツ物として取り締まるといった代案を示す。 「この改正によって、実在児童ポルノを厳重に処罰することもできます。現在、韓国警察は仮想の“児童ポルノ”を4大凶悪犯罪として取り締まりに躍起になっています。その状況を変えることができると思います」 朴氏は、現行の刑法のワイセツ物規制に対しても、そのおかしさを訴え続けている人物だ。その朴氏が、ワイセツ罪で残してもいいから、とりあえずアチョン法をやめようとまで言わねばならぬほど、事態は切迫しているのだ。 「この法律によって、未成年を保護する法律なのに未成年者が逮捕される事態になっています。アチョン法は、そのような人々の未来を奪う法律なのです」 この法律における「就業制限」とは、病院や学校から児童青少年が訪れる可能性があるあらゆる施設での就業が該当する。つまり、アチョン法によって「人生オワタ」になる人が無数に量産されているという。この法律は、あまりの苛烈さに次第に韓国社会でも、改正すべきという声が芽生えつつあるという。なお、集会には出版業界・同人誌関係者を中心に100人あまりが参加した。 【講演会後の朴氏との一問一答】 ――NGOであるオープンネットとはどのような組織か? 朴:アチョン法だけでなくインターネットの自由を守るための運動を行っています。 ――アチョン法に関して、これまでのオープンネットへの相談件数は? 朴:100件以上……それ以上は業務が多忙なので数え切れていません。 ――アチョン法での逮捕者に対して、どのような支援を行っているのか? 朴:まず弁護士の派遣。これが20件ほどあります。被逮捕者に未成年や学生が多いので、取り調べされた時や押収令状が出たときのマニュアルを作成し公開しています。また、裁判に関係する文書作成の支援も行っています。 ――オープンネットの人員は? 朴:有給の専従職員が3名います。 ――財政はどのようにまかなっているのか? 朴:国内外のネットの自由を守ろうと考える企業や個人からの支援です。韓国ではネットで送金する場合に、政府の指定するシステムで認証を受ける必要があります。そのため、それを必要としない送金方法も公開しています。 ――アチョン法施行後の出版社の動きは? 朴:まったくありません。出版社は怯えています。ただ、アチョン法が原因でなくなった雑誌や単行本はありません。 ――マンガ家が自己検閲をしているような可能性は? 朴:自己検閲をしているかどうかは、本人でもわかりにくいのではないでしょうか。ただ、マンガ家の多くは自己検閲の可能性を軸にアチョン法に反対しています。 ――マンガやアニメ業界からの反対運動は? 朴:マンガ家、アニメーターそれぞれに団体があって、反対運動を始めています。マンガ家の団体である「ウリマンガ連帯」ではアチョン法に反対する声明を準備していて10月までに発表する予定です。 ――アニメ業界の動きは? 朴:日本のアニメを制作していた会社の多くが、制作の中止に追い込まれています。そのため、多くのアニメーターが仕事がない状態になっています。 ――このような法律に反対運動はなかったのか? 朴:韓国では議員立法を事前に国民に公開し広く話し合うことがありません。また、この法律は、性犯罪抑止のために競って提出された法律に過ぎなかったのです。ですので、私も施行されるまで知らなかった。それどころか、捜査機関も施行後の集中取り締まりを始めるまで、法律の内容をよく知らなかったのです。 ――最終的な目標は、アチョン法の廃止か? 朴:アチョン法そのものには反対しません。仮想物に関する条項がなくなることを目指しているのです。 (取材・文=昼間 たかし)アチョン法の問題について語る朴景信氏。
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AKB48じゃんけん大会で松井珠理奈優勝 “7連続パー勝ち”にネットでは「ヤラセ」の声も

AKB48『恋するフォーチュンクッキー』(キングレコード)
夏フェスで大雨が降ってもイベント会社が潰れないワケ
【リアルサウンドより】
9月14日 から16日にかけての3連休は、各地で多くのライブやフェスが予定されていた。しかし、台風18号の影響で荒天となり、公演スケジュールに変更が生じたり、中止を余儀なくされたイベントもあったようだ。
9月14日~15日 に千葉県袖ケ浦海浜公園で行われた『氣志團万博2013』は、2日目の序盤、どしゃ降りとなり会場の地面が泥だらけに。公式サイトでは「台風や局地的な大雨や落雷などの荒天の為、一時中断や中止となる場合もございます」とのアナウンスがあったが、天候トラブルも野外イベントの“醍醐味”として楽しむオーディエンスも多く、最後まで無事に行われた。
一方で、9月15日に東京・晴海客船ターミナル特設ステージでの開催が予定されていた『SUNSHINE IDOLIZED FES' 2013』は、荒天のため急遽中止に。イベントの公式ツイッター・アカウントによると、「会場の立地条件、また参加者の皆さまの安全を考慮して、 公演中止することに決定致しました」とのことで、海沿いという立地もイベント中止の要因となったようだ。また、チケット代に関しては「払戻しの詳細については現在調整中のため、決定次第、オフィシャルホームページ、各プレイガイドより改めてご連絡いたします」とアナウンスされている。
AKB48の渡辺麻友は16日、 さいたま市の大宮ソニックシティでソロ曲「ラッパ練習中」の発売記念ライブを昼夜2回行ったが、台風18号の影響で午後3時からの昼公演の開始時間を1時間遅らせることに。交通期間の乱れに考慮した形で、これにより5000人の観客は、ほとんどライブ開始に遅れることはなかった。
このように天候の影響を大きく受ける野外イベントだが、中止となった場合は観客だけではなく、主催者やアーティストも予定変更を余儀なくされ、場合によっては大きな損失が発生することもあるかもしれない。では、このような事態に備えて、イベントの主催者側はどのような対策をしているのか? 今回、雨天でのイベントを決行した『氣志團万博2013』の公演担当者に話を聞いてみた。
「イベント中止についての対策は、『興行中止保険』が中心になります。今回の『氣志團万博2013』ももちろん、保険には入っていました。今回は雨天でも決行することができましたが、それは保険会社の担当者が気象観測器を会場に持参し、『この雨ならすぐ抜ける』などの判断をしてくれた部分が大きかったです」
興行中止保険は、イベントの中止によって発生した損失を補填する保険。保険会社にとってもイベントの成否は重要な問題なので、現場に常駐することも多いという。
「やはり天候に関しては、スタッフだけでは判断しかねる部分が大きく『このくらいの雨なら危険はない』とは言い切れません。同じように、お客さんの怪我や病気についての判断も、我々にはできないこと。だからこそ、会場には医者や看護士も常駐しています。ある程度規模が大きいフェスなどであれば、中止保険に入って、天候などのトラブルに対する判断はその道のプロに行ってもらっている、というのが普通なのではないでしょうか」
また、別の大規模フェスの公演担当者は、中止保険について次のように話す。
「保険関係の話は経営にもかかわってくる部分なので、あまり詳しくは話せないのですが、ほとんどの大型イベントは複数の中止保険を組み合わせて使っているようです。中止保険にもいろいろと幅があり、ある保険は『事故には対応しているけど、雨には対応していない』ということもある。上手く組み合わせて、いざという時の損失を抑えるのも、イベント屋の大事な仕事です。もっとも、天候に関係なく、チケットが売れなくて中止になってしまうようなイベントでは、保険も空しく赤字になるでしょうが……」
野外イベントとは切っても切り離せない「天候」の問題。今回、台風の影響で中止になってしまったイベントもあるが、その対策はしっかりと行われているようだ。楽しみにしているイベントが中止になるのは残念なことだが、原因が天候なら不可抗力というもの。運営の判断を尊重し、次回の開催を期待するのがよさそうだ。
(文=リアルサウンド編集部)
パクリはお互い様なのか……『聖☆おにいさん』のパクリ(?)本から見える出版業界の断末魔
これは、やりすぎ……なのか? 中村光の人気マンガ『聖☆おにいさん』(講談社)の関連本が、あまりにパクリ過ぎではないかと、担当編集からツイートされ話題になっている。 問題になっているのは英和出版から発売されたムック『聖★おにいさん イエスとブッダのパネェ秘密』だ。この本、帯では「聖人コンビの軌跡から知られたくない過去まで」「最新9巻や外伝の元ネタもバッチリ収録!」と記している。 いったいどこで売っているのかも謎っぽい本なのだが(筆者は店頭で発見できずAmazonで)、8月には『聖☆おにいさん』の担当編集者がツイッターで、「【大拡散希望】某A和出版から『聖☆おにいいさん』関連本らしきものが出ていますが、まったく関係ありません。事前に連絡もなく、もちろん許諾も強力もしていません。しかし、ロゴも装丁も超絶劣化パクリ……。」と、ツイートしたことで、一気に話題になってしまったのである。しかし、ネットでは、話題になったにも関わらず、その後出版差し止めなど具体的な動きはない。便乗系ムックを多数出版している出版社の社員は語る。 「ちょっと、やりすぎの感はありますけれど、許容の範囲内だと思います。これを公式本だと勘違いするのって、そうとうマヌケな人だと思いますよ」と、話す。 そもそも、旬の作品に便乗した解説本・謎本を出版するのは出版業界のセオリーのひとつとなっている。 いわゆる「謎本」の走りとされるのは1992年に飛鳥新社から出版された『磯野家の謎 「サザエさん」に隠された69の驚き』(編:東京サザエさん学会)である。この本は、当然ながら作者には無許可なのだが、本書で紹介されている謎のひとつでは、なぜ『サザエさん』を扱う本なのにサザエさんの画像が一つも使われていないかを、過去の『サザエさん』のパロディや著作権をめぐる問題などを取り上げながら解説していた。 200万部あまりを売り上げ大ヒットとなったこの本だが、最大の功罪は、元ネタの画像を無断で使ったりしなければ、なんでもアリという実績を残したことにある。 この当時から「謎本」に味を占めて、最大手となったのがデータハウスだ。同社では『『ドラえもん』の秘密』など「○○の秘密」のタイトルで、旬の作品の研究本を常に出版し続けている。そのラインナップを見ると『To LOVEるの秘密』『NARUTO大研究』『「進撃の巨人」の謎』『「フェアリーテイル」の謎』……と、もはやなんでもアリ! かつては、一見して公式ではないことがわかる装丁だったのだが、近年ではロゴが微妙に似ていたり、かなりギリギリのところで攻めてきている。とはいえ、果たしてこのような書籍がどこまで需要があるのかが、もっとも謎だ。 こうした関連本はマンガに関するものばかりではない。歴史系のテレビドラマは、必ず非公式の関連本が登場するジャンルだ。『坂の上の雲』がドラマ化された際には、盛んに関連本が出版されたし、今年の大河ドラマ『八重の桜』(共にNHK)のあわせて新島八重を扱うムックは、いくつもある(表紙に『八重の桜』の文字が入っているが公式ではない)。 そもそも、出版業界というのはパクリが横行する業界だ。というのも、企画を出すときに「類書」がどうなっているかは、必ずといってよいほど問われる。「このジャンルの本は、点数がこれくらいあって、こんなに売れていますよ」というのが、企画を通す上で重要なのだ。ゆえに、ひとつ売れるジャンルがあると、柳の下のドジョウを狙って次々と、似たような本が出版される。ある出版社の社員は、こんなエピソードを語る。 「かつて『実話ナックルズ』を皮切りに実話誌がブームになった時なんて、デザイナーに“表紙のデザインは、これと同じにして下さい”ってお願いしたこともありますよ。エロ本で熟女ものがブームだった時も、同じことをしましたね。パクってるという意識はあまりありませんよ。お互い様じゃないですかね」 売れているもののパクリは当たり前。むしろ、売れている本と似たり寄ったりであれば、売り上げの見通しも立つので企画が通りやすい。その結果「ここまでやって大丈夫か?」と思うような非公式の関連本が量産されるのである。しかも、そうした関連本の質はおしなべて低い。モノによっては、ネットからコピペしてきたのではないか? というようなものも。あるフリーライターは関連本の実情について語る。 「原稿料が1ページあたり2000円なんてこともザラです。しかたないので数十ページをまとめてこなすわけですが、資料代も原稿料込みだったりしますから……ネットから拾った情報を、いかにも自分が書いたようにリライトするのが、ライターの腕ですね」 読み捨て当然の関連本は、低迷する出版業界の最先端なのかもしれない。 (取材・文=緑林学)『聖☆おにいさん イエスとブッダのパネェ秘密』(英和出版)
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“戦うAKBセンター”から“自由なアイドル女優”へ 前田敦子が輝きを取り戻したワケ

前田敦子『タイムマシンなんていらない』(キングレコード)
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見事にハマった『あまちゃん』商法と、限界を迎えた“ベスト盤バラ売り”商法
【リアルサウンドより】
まずは先週1位(今週は5位)の『あまちゃん 歌のアルバム』について(お気づきのようにこのリレー連載、毎週シングルチャートとアルバムチャートを交互に取り上げているので、前週のチャートにも触れさせてください)。9月に入ってから『あまちゃん』のストーリーは「震災後」に突入(劇中では「地元に帰ろう」も大フィーチャー)。9月第2週からメインの舞台も岩手・北三陸に戻って、「東京編」のいわゆる芸能界の裏側ドラマ的なノリは一気にトーンダウン。そう考えると、8月28日にリリースというタイミングはあまりにもドンピシャだった。
音楽界でも旋風を巻き起こしている『あまちゃん』だが、感心させられるのは各作品のリリース(及び配信)タイミングの的確さ。これまでもドラマの展開に合わせて、ネタバレにならないギリギリのところで、素早く「今、視聴者が最も欲しい音源」を出してきている。ちなみに先週は『あまちゃん 歌のアルバム』と同時発売の『春子の部屋~あまちゃん 80's HITS~ビクター編』が初登場10位、『春子の部屋~あまちゃん 80's HITS~ソニーミュージック編』が初登場12位、6月にリリースされた大友良英『オリジナル・サウンドトラック』も29位に再浮上と、なんとトップ30にアルバム4枚。特に、『ソニーミュージック編』以外の3枚のアルバムをリリースしている、小泉今日子のお膝元ビクターとの連携は見事だ。
一方で、ポニーキャニオンからようやく昨日(9月11日)リリースされたベイビーレイズのシングル『暦の上ではディセンバー』は、なぜか当初のリリース予定日から3週間も発売延期となっていたもの。うがった見方をすれば、同曲も収録されている『あまちゃん 歌のアルバム』のセールスを邪魔しないための処置にも思えてきて……。ちなみにベイビーレイズは能年玲奈と同じ事務所の後輩。そこに、春子とアキの芸能界パワーゲーム場外編を見たのは自分だけではないだろう。
すいません、『あまちゃん』話が長くなりすぎました。今週、アルバムチャートの1、2フィニッシュを飾ったのは西野カナのベストアルバム。しかし、枚数を見るといずれも15万枚弱と、近作の西野カナのオリジナルアルバムの初週セールスも下回る数字で、初のベストアルバムとしてはかなり物足りない数字。
この、ベストアルバムを2枚組にするのではなく2つの作品に分けるというやり方。ハシリとなったのは1998年のB'zの『Pleasure』と『Treasure』(2枚合わせて1.000万枚超え!)だと記憶しているが、あの時は2作品のリリース間隔がちょっと空いていた。同発ベストとして最も印象に残っているのは2001年にMr.Childrenがリリースした『1992−1995』『1996-2000』(いずれの作品もダブルミリオン超え)だから、21世紀に入ってから一般化してきた手法と言えるだろう。
しかし、昨年のYUIや今年のBUMP OF CHICKENの2枚に分かれたベスト盤のセールス不振が象徴しているように、近年、この手法、というか「商売のやり方」に限界がきているように思うのだ。言うまでもなく、もし同じくらいの枚数が売れるのなら、2枚組にするより2枚に分けた方がレコード会社の儲けは大きい。でも、この「同じくらいの枚数が売れるのなら」という前提が、可処分所得の少ない若いリスナーを多く抱えているアーティストの作品では崩れてきているのではないか。
興味深いのは、桑田佳祐、山下達郎、松任谷由実、氷室京介といった、逆に可処分所得が多そうなリスナーを抱えているベテランアーティストによる近年のベスト盤に限って、このベスト盤バラ売り商法をとらずに、旧来のベスト盤のように一つのパッケージでリリースを死守していること。とりあえずリリースした作品はなんでも買ってくれる忠誠心の強いファン、そして、ベストアルバムで始めて作品を手に取ってくれる一見さん、それぞれのリスナーにとってベストアルバムとはどういう意味を持っているのか。長いキャリアの中で出た答えが「何枚組になったとしてもベストアルバムは一つのパッケージで出す」ということだとしたら、それが意味するものは重い。
ただでさえ、若い世代のリスナーはネットでのフリーな音楽環境に慣れ親しんでいる。その層に向けて作品をリリースするなら、せめてベストアルバムのようなファンの忠誠心が問われる「記念品」的なパッケージ作品は、できるだけリスナーの懐に優しいものであってほしい。というか、リスナーとの関係性を長い目で見れば、その方が商売的にも正解になってきているような気がするのだが……。
■宇野維正
音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter
2013年09月02日~09月08日のCDアルバム週間ランキング
1位:Love Collection ~mint~(西野カナ) 2位:Love Collection ~pink~(西野カナ) 3位:ソナポケイズム SUPER BEST(ソナーポケット) 4位:遊音倶楽部 ~1st grade~(絢香) 5位:あまちゃん 歌のアルバム(Various Artists) 6位:Queen of J-POP(℃-ute) 7位:POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~(スキマスイッチ) 8位:Heart Song(クリス・ハート) 9位:KYOSUKE HIMURO 25th Anniversary BEST ALBUM GREATEST ANTHOLOGY(氷室京介) 10位:AM(アークティック・モンキーズ)
『あまちゃん 歌のアルバム』(ビクターエンタテイメント)

『Love Collection ~mint~』(ソニーミュージック)
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