大量逮捕の理由は「警察の人事査定の点数稼ぎ」?未成年もどんどん逮捕される韓国の二次元規制

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アチョン法の問題について語る朴景信氏。
 韓国で2000人あまりもが逮捕される異常事態となっている二次元規制法「児童・青少年の性保護に関する法律(アチョン法)」。アチョン法の問題については、当サイトでも既報の通りである。  9月6日、この法律の問題点を追求し、エロいマンガを持っているだけで逮捕された被害者を救援するNGO・オープンネットの理事で高麗大学教授の朴景信氏が来日した。朴氏は、ハーバード卒の秀才にして、韓国ではワイセツ物規制への疑問を訴え自身のブログに「なぜこれが規制されなくてはならない」と問題提起のために画像を掲載したところ、「ワイセツ罪」で逮捕された人物としても知られている。そんな朴氏は、現在の異常事態を報告すると共に、法改正を訴えた。  講演の冒頭で朴氏は、アチョン法の量刑があまりにも重すぎることを指摘。韓国では、強姦罪は3年以上の懲役となっている。対して、アチョン法では「児童ポルノ」を制作・輸入・輸出した場合には無期懲役または5年以上の懲役に加えて、20年の身上登録と10年間の就業制限が課せられる。アチョン法では未成年者の強姦についても規定しているが、こちらは無期懲役または5年以上とされている。つまり、あいまいな「児童ポルノ」規定で、未成年を強姦したのと同等の処罰が科せられるという異常な刑の重さになっているのだ。  アチョン法の異常さは、ほかにも見られる。韓国の刑法では、ワイセツ物の配布を1年以下の懲役または500万ウォン以下の罰金としているのに対し、「児童ポルノ」の場合は7年以下の懲役または5000万ウォン以下の罰金、20年の身上登録と10年間の就業制限が課せられるとしているのだ。 「この刑罰の不均衡のため、韓国のネットでは“強姦が懲役3年なら(成人女性を)強姦したほうがよい”といった書き込みまで見られているのです。“児童青少年として認識することができる表現物が登場して性的羞恥心を感じられるように身体の部位を露出する媒体物”と“認められたら”著しく刑罰が重くなってしまう。これは妥当なのか」  アチョン法のそもそもの主旨は、被害児童・青少年のための救済及び支援の手続きを整備して、児童・青少年犯罪者を体系的に管理することで、児童・青少年を性犯罪から保護するというものである。  ところが、この法律では被害児童・青少年の中に“実在しない児童・青少年”を含めてしまった。そのために、そもそもの主旨から乖離した法律になってしまったのだ。   「アチョン法の問題は、実在と仮想とを同じに処罰すること。これは表現の自由に抵触します。表現を処罰できるのは、その表現が切迫した危険を持つ時だけです。世界各国で、仮想の表現物が実際の児童を虐待することはないという判決が出ています。スイスでは2009年に調査を行って、このような結果がでていますし、スウェーデンでは2012年にマンガに対して児童性犯罪を適用することは違憲だとする判決が出ています」 「そもそも、仮想の児童を処罰しても適用は無理です。アチョン法の2条5号では“児童青少年として認識することができる表現物”という定義を定めていますが、ここでいう認識とはなんでしょうか? キャラクターが視覚的に18歳11ヶ月と認識できた時と、19歳に認識できた時とで処罰が変わるのは妥当でしょうか」    韓国の裁判所も、アチョン法のおかしさに気づいている。既にいくつもの裁判が起きているが2013年5月以降、成人が制服を着た作品や日本のマンガに対して違憲性を指摘しているのだ。 「5月には議政府市の裁判所がアチョン法の違憲性を憲法裁判所に提起しました。また、8月には日本アニメ『ブラック・バイブル』が摘発された事件でも違憲だとして憲法裁判所に提起がなされています」  そもそも2000人あまりもの逮捕者が出た理由として、朴氏は警察の人事考課が理由だと指摘する。 「最近まで、ワイセツ物配布は特進点数に加算されなかったのですが、“児童ポルノ”が加算されるようになっていました。その結果、2011年には年間約100件だった児童性犯罪が2012年には2224件と、22倍にも増加してしまったのです」  今、世界で仮想物の制作や配布を児童性犯罪として明示しているのは、このアチョン法だけ。そこで朴氏は、刑法とインターネット法改定で、児童または未成年者に設定された表現物で性行為や性的露出をするものをワイセツ物として取り締まるといった代案を示す。 「この改正によって、実在児童ポルノを厳重に処罰することもできます。現在、韓国警察は仮想の“児童ポルノ”を4大凶悪犯罪として取り締まりに躍起になっています。その状況を変えることができると思います」  朴氏は、現行の刑法のワイセツ物規制に対しても、そのおかしさを訴え続けている人物だ。その朴氏が、ワイセツ罪で残してもいいから、とりあえずアチョン法をやめようとまで言わねばならぬほど、事態は切迫しているのだ。 「この法律によって、未成年を保護する法律なのに未成年者が逮捕される事態になっています。アチョン法は、そのような人々の未来を奪う法律なのです」  この法律における「就業制限」とは、病院や学校から児童青少年が訪れる可能性があるあらゆる施設での就業が該当する。つまり、アチョン法によって「人生オワタ」になる人が無数に量産されているという。この法律は、あまりの苛烈さに次第に韓国社会でも、改正すべきという声が芽生えつつあるという。なお、集会には出版業界・同人誌関係者を中心に100人あまりが参加した。   【講演会後の朴氏との一問一答】 ――NGOであるオープンネットとはどのような組織か? 朴:アチョン法だけでなくインターネットの自由を守るための運動を行っています。 ――アチョン法に関して、これまでのオープンネットへの相談件数は? 朴:100件以上……それ以上は業務が多忙なので数え切れていません。 ――アチョン法での逮捕者に対して、どのような支援を行っているのか? 朴:まず弁護士の派遣。これが20件ほどあります。被逮捕者に未成年や学生が多いので、取り調べされた時や押収令状が出たときのマニュアルを作成し公開しています。また、裁判に関係する文書作成の支援も行っています。 ――オープンネットの人員は? 朴:有給の専従職員が3名います。 ――財政はどのようにまかなっているのか? 朴:国内外のネットの自由を守ろうと考える企業や個人からの支援です。韓国ではネットで送金する場合に、政府の指定するシステムで認証を受ける必要があります。そのため、それを必要としない送金方法も公開しています。  ――アチョン法施行後の出版社の動きは? 朴:まったくありません。出版社は怯えています。ただ、アチョン法が原因でなくなった雑誌や単行本はありません。 ――マンガ家が自己検閲をしているような可能性は? 朴:自己検閲をしているかどうかは、本人でもわかりにくいのではないでしょうか。ただ、マンガ家の多くは自己検閲の可能性を軸にアチョン法に反対しています。 ――マンガやアニメ業界からの反対運動は? 朴:マンガ家、アニメーターそれぞれに団体があって、反対運動を始めています。マンガ家の団体である「ウリマンガ連帯」ではアチョン法に反対する声明を準備していて10月までに発表する予定です。 ――アニメ業界の動きは? 朴:日本のアニメを制作していた会社の多くが、制作の中止に追い込まれています。そのため、多くのアニメーターが仕事がない状態になっています。 ――このような法律に反対運動はなかったのか? 朴:韓国では議員立法を事前に国民に公開し広く話し合うことがありません。また、この法律は、性犯罪抑止のために競って提出された法律に過ぎなかったのです。ですので、私も施行されるまで知らなかった。それどころか、捜査機関も施行後の集中取り締まりを始めるまで、法律の内容をよく知らなかったのです。 ――最終的な目標は、アチョン法の廃止か? 朴:アチョン法そのものには反対しません。仮想物に関する条項がなくなることを目指しているのです。 (取材・文=昼間 たかし)

AKB48じゃんけん大会で松井珠理奈優勝 “7連続パー勝ち”にネットでは「ヤラセ」の声も

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AKB48『恋するフォーチュンクッキー』(キングレコード)

【リアルサウンドより】  AKB48最新シングルの選抜メンバーをじゃんけんで決める『AKB48 34thシングル選抜じゃんけん大会』が、昨夜18日午後7時からフジテレビで生中継され、SKE48チームSとAKB48大島チームKを兼任する松井珠理奈が優勝した。  『じゃんけん大会』は、2010年より日本武道館で開催され、今年で4回目。第1回大会は内田眞由美、第2回大会は篠田麻里子、第3回大会は島崎遥香がセンターの座を勝ち取った。先月行われた予備選では、HKT48の指原莉乃やSKE48の松井玲奈、NMB48の山本彩といった人気メンバーが早くも敗退し、『じゃんけん大会』ならではのシビアさを感じさせる結果に。本戦には、AKB48から66名、SKE48からは予備選を勝ち抜いた8名、NMB48からは予備選を勝ち抜いた7名、HKT48からは予備選を勝ち抜いた3名の計84名が出場した。  大会は、中盤で高橋みなみ、渡辺麻友、柏木由紀、小嶋陽菜、島崎遥香、そして大島優子といった有名メンバーが次々と敗退。選抜メンバーとなるベスト16には、松井珠理奈、鵜野みずき、田野優花、古畑奈和、阿部マリア、北原里英、土保瑞希、平田梨奈、上枝恵美加、藤江れいな、菊池あやか、佐々木優佳里、名取稚菜、湯本亜美、大場美奈、大家志津香が勝ち抜き、松井以外は必ずしも有名とは言いがたいメンバーが揃った。  決勝では、松井珠理奈とNMB48の上枝恵美加が対戦。第1回戦からパーのみで6連続勝ちしていた松井は、生放送終了45秒前、やはりパーで上枝を下し、初の単独センターポジションを獲得。トロフィー授与後には「ずっとパーを出したら勝っていたので、最後もパーで勝てました」と話した。  この結果に対し、ネットでは「珠理奈優勝した!」「2位の上枝恵美加がカワイイ」「知名度低いメンバーにとってはチャンスだね、楽しかった」と、大会を楽しんだ様子の声がある一方、「去年は島崎遥香が全部チョキで優勝していたな」「じゃんけんには自信あるけど、AKBのじゃんけん大会では勝てる気がしない」「昨年に引き続きキナ臭い香りがぷんぷんします」と、八百長を疑う声も目立った。  松井は、じゃんけん大会の第2回優勝者である篠田麻里子から「後継者」として名を挙げられるなど、世代交代が進むAKB48において要となるメンバー。今年、5月から6月にかけて実施された『AKB48 32ndシングル選抜総選挙』では6位に選ばれ、存在感を増していた。そのため、ネットでは「たとえヤ ラセだとしても、勝つべきひとを勝たせたのだから、別に良いのでは?」「出来レースだとわかっていても珠理奈のセンターは嬉しい」と、経緯はどうにせよ、松井の優勝を認める声もあった。  八百長の真偽は不明だが、新生AKB48を印象づける結果となった今回のじゃんけん大会。その是非をめぐってファン同士の議論が過熱するとともに、3枚目のシングルが大きな注目を集めるのは間違いないだろう。 (文=編集部)

夏フェスで大雨が降ってもイベント会社が潰れないワケ

【リアルサウンドより】  9月14日 から16日にかけての3連休は、各地で多くのライブやフェスが予定されていた。しかし、台風18号の影響で荒天となり、公演スケジュールに変更が生じたり、中止を余儀なくされたイベントもあったようだ。  9月14日~15日 に千葉県袖ケ浦海浜公園で行われた『氣志團万博2013』は、2日目の序盤、どしゃ降りとなり会場の地面が泥だらけに。公式サイトでは「台風や局地的な大雨や落雷などの荒天の為、一時中断や中止となる場合もございます」とのアナウンスがあったが、天候トラブルも野外イベントの“醍醐味”として楽しむオーディエンスも多く、最後まで無事に行われた。  一方で、9月15日に東京・晴海客船ターミナル特設ステージでの開催が予定されていた『SUNSHINE IDOLIZED FES' 2013』は、荒天のため急遽中止に。イベントの公式ツイッター・アカウントによると、「会場の立地条件、また参加者の皆さまの安全を考慮して、 公演中止することに決定致しました」とのことで、海沿いという立地もイベント中止の要因となったようだ。また、チケット代に関しては「払戻しの詳細については現在調整中のため、決定次第、オフィシャルホームページ、各プレイガイドより改めてご連絡いたします」とアナウンスされている。  AKB48の渡辺麻友は16日、 さいたま市の大宮ソニックシティでソロ曲「ラッパ練習中」の発売記念ライブを昼夜2回行ったが、台風18号の影響で午後3時からの昼公演の開始時間を1時間遅らせることに。交通期間の乱れに考慮した形で、これにより5000人の観客は、ほとんどライブ開始に遅れることはなかった。  このように天候の影響を大きく受ける野外イベントだが、中止となった場合は観客だけではなく、主催者やアーティストも予定変更を余儀なくされ、場合によっては大きな損失が発生することもあるかもしれない。では、このような事態に備えて、イベントの主催者側はどのような対策をしているのか? 今回、雨天でのイベントを決行した『氣志團万博2013』の公演担当者に話を聞いてみた。 「イベント中止についての対策は、『興行中止保険』が中心になります。今回の『氣志團万博2013』ももちろん、保険には入っていました。今回は雨天でも決行することができましたが、それは保険会社の担当者が気象観測器を会場に持参し、『この雨ならすぐ抜ける』などの判断をしてくれた部分が大きかったです」  興行中止保険は、イベントの中止によって発生した損失を補填する保険。保険会社にとってもイベントの成否は重要な問題なので、現場に常駐することも多いという。 「やはり天候に関しては、スタッフだけでは判断しかねる部分が大きく『このくらいの雨なら危険はない』とは言い切れません。同じように、お客さんの怪我や病気についての判断も、我々にはできないこと。だからこそ、会場には医者や看護士も常駐しています。ある程度規模が大きいフェスなどであれば、中止保険に入って、天候などのトラブルに対する判断はその道のプロに行ってもらっている、というのが普通なのではないでしょうか」  また、別の大規模フェスの公演担当者は、中止保険について次のように話す。 「保険関係の話は経営にもかかわってくる部分なので、あまり詳しくは話せないのですが、ほとんどの大型イベントは複数の中止保険を組み合わせて使っているようです。中止保険にもいろいろと幅があり、ある保険は『事故には対応しているけど、雨には対応していない』ということもある。上手く組み合わせて、いざという時の損失を抑えるのも、イベント屋の大事な仕事です。もっとも、天候に関係なく、チケットが売れなくて中止になってしまうようなイベントでは、保険も空しく赤字になるでしょうが……」  野外イベントとは切っても切り離せない「天候」の問題。今回、台風の影響で中止になってしまったイベントもあるが、その対策はしっかりと行われているようだ。楽しみにしているイベントが中止になるのは残念なことだが、原因が天候なら不可抗力というもの。運営の判断を尊重し、次回の開催を期待するのがよさそうだ。 (文=リアルサウンド編集部)

パクリはお互い様なのか……『聖☆おにいさん』のパクリ(?)本から見える出版業界の断末魔

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『聖☆おにいさん イエスとブッダのパネェ秘密』(英和出版)
 これは、やりすぎ……なのか? 中村光の人気マンガ『聖☆おにいさん』(講談社)の関連本が、あまりにパクリ過ぎではないかと、担当編集からツイートされ話題になっている。  問題になっているのは英和出版から発売されたムック『聖★おにいさん イエスとブッダのパネェ秘密』だ。この本、帯では「聖人コンビの軌跡から知られたくない過去まで」「最新9巻や外伝の元ネタもバッチリ収録!」と記している。  いったいどこで売っているのかも謎っぽい本なのだが(筆者は店頭で発見できずAmazonで)、8月には『聖☆おにいさん』の担当編集者がツイッターで、「【大拡散希望】某A和出版から『聖☆おにいいさん』関連本らしきものが出ていますが、まったく関係ありません。事前に連絡もなく、もちろん許諾も強力もしていません。しかし、ロゴも装丁も超絶劣化パクリ……。」と、ツイートしたことで、一気に話題になってしまったのである。しかし、ネットでは、話題になったにも関わらず、その後出版差し止めなど具体的な動きはない。便乗系ムックを多数出版している出版社の社員は語る。 「ちょっと、やりすぎの感はありますけれど、許容の範囲内だと思います。これを公式本だと勘違いするのって、そうとうマヌケな人だと思いますよ」と、話す。  そもそも、旬の作品に便乗した解説本・謎本を出版するのは出版業界のセオリーのひとつとなっている。  いわゆる「謎本」の走りとされるのは1992年に飛鳥新社から出版された『磯野家の謎 「サザエさん」に隠された69の驚き』(編:東京サザエさん学会)である。この本は、当然ながら作者には無許可なのだが、本書で紹介されている謎のひとつでは、なぜ『サザエさん』を扱う本なのにサザエさんの画像が一つも使われていないかを、過去の『サザエさん』のパロディや著作権をめぐる問題などを取り上げながら解説していた。  200万部あまりを売り上げ大ヒットとなったこの本だが、最大の功罪は、元ネタの画像を無断で使ったりしなければ、なんでもアリという実績を残したことにある。  この当時から「謎本」に味を占めて、最大手となったのがデータハウスだ。同社では『『ドラえもん』の秘密』など「○○の秘密」のタイトルで、旬の作品の研究本を常に出版し続けている。そのラインナップを見ると『To LOVEるの秘密』『NARUTO大研究』『「進撃の巨人」の謎』『「フェアリーテイル」の謎』……と、もはやなんでもアリ! かつては、一見して公式ではないことがわかる装丁だったのだが、近年ではロゴが微妙に似ていたり、かなりギリギリのところで攻めてきている。とはいえ、果たしてこのような書籍がどこまで需要があるのかが、もっとも謎だ。  こうした関連本はマンガに関するものばかりではない。歴史系のテレビドラマは、必ず非公式の関連本が登場するジャンルだ。『坂の上の雲』がドラマ化された際には、盛んに関連本が出版されたし、今年の大河ドラマ『八重の桜』(共にNHK)のあわせて新島八重を扱うムックは、いくつもある(表紙に『八重の桜』の文字が入っているが公式ではない)。  そもそも、出版業界というのはパクリが横行する業界だ。というのも、企画を出すときに「類書」がどうなっているかは、必ずといってよいほど問われる。「このジャンルの本は、点数がこれくらいあって、こんなに売れていますよ」というのが、企画を通す上で重要なのだ。ゆえに、ひとつ売れるジャンルがあると、柳の下のドジョウを狙って次々と、似たような本が出版される。ある出版社の社員は、こんなエピソードを語る。 「かつて『実話ナックルズ』を皮切りに実話誌がブームになった時なんて、デザイナーに“表紙のデザインは、これと同じにして下さい”ってお願いしたこともありますよ。エロ本で熟女ものがブームだった時も、同じことをしましたね。パクってるという意識はあまりありませんよ。お互い様じゃないですかね」  売れているもののパクリは当たり前。むしろ、売れている本と似たり寄ったりであれば、売り上げの見通しも立つので企画が通りやすい。その結果「ここまでやって大丈夫か?」と思うような非公式の関連本が量産されるのである。しかも、そうした関連本の質はおしなべて低い。モノによっては、ネットからコピペしてきたのではないか? というようなものも。あるフリーライターは関連本の実情について語る。 「原稿料が1ページあたり2000円なんてこともザラです。しかたないので数十ページをまとめてこなすわけですが、資料代も原稿料込みだったりしますから……ネットから拾った情報を、いかにも自分が書いたようにリライトするのが、ライターの腕ですね」  読み捨て当然の関連本は、低迷する出版業界の最先端なのかもしれない。 (取材・文=緑林学)

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“戦うAKBセンター”から“自由なアイドル女優”へ 前田敦子が輝きを取り戻したワケ

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前田敦子『タイムマシンなんていらない』(キングレコード)

【リアルサウンドより】  9月18日にサードシングル『タイムマシーンなんていらない』をリリースする前田敦子。前作『君は僕だ』から約1年半。その間にAKB48を卒業し、グループアイドルのセンターからアイドル女優へと進み出した。そして今、彼女はアイドル女優として歌の世界へと舞い戻ってきた。  アイドル女優には70年代から“歌”が付き物である。80年代には、『あまちゃん』で再び注目を集めている薬師丸ひろ子や、後にスウェディッシュポップでボーカリストとして再評価を受ける原田知世など、代表的なアイドル女優たちが歌い手として印象深い作品を数多く残している。90年代には、あくまでも女優業をメインに据えたまま活動しながら、松たか子、内田有紀、ともさかりえなどが音楽面でも活躍。00年代に入ると、上戸彩(奇しくも彼女もアイドルグループ『Z-1』を経てアイドル女優を踏み出した一人である)を筆頭に、深田恭子、福田沙紀、黒川芽以などが良作を残した。現在もドラマの主役を張る、綾瀬はるかや北乃きい、新垣結衣らも歌手としてデビューしている。  アイドル女優の作品は、映画やドラマであっても、音楽であっても“今だけの輝き”を閉じ込めることに大きな価値がある。一つの例として、綾瀬はるかを見てみよう。蔦谷好位置が楽曲を提供した名曲「飛行機雲」(2007年リリース)では、彼女らしい肩の力が抜けた柔らかい空気感と、当時『ホタルノヒカリ』で演じた“干物女”的な親しみ易さを、うまく楽曲中に封じ込めることに成功。綾瀬はるかが演じる“その時の綾瀬はるか”の作品として見事な完成度を示した。アイドル女優の楽曲においては、クリエイターが総力を尽くして“今のあるべき彼女の姿”を閉じ込めることで名作が生まれるのだ。  しかしここ数年、昨今のグループアイドルブームもあり、アイドル女優たちの歌手活動の場がグループへと移行してきている。川島海荷の9nine、桜庭みなみのbump.y、吉本実憂のX21……。そこでは、群像の一人としてのアイドル女優の姿を捉えることはできるが、“今のあるべき彼女の姿”を見い出すことは残念ながら難しい。  そんなアイドルシーンの中にドロップされたのが『タイムマシーンなんていらない』である。この曲では間違いなく、女優前田敦子が“今のあるべき前田敦子”を演じている。つまり、AKB48の重圧の中でセンターとして戦っていた前田敦子ではなく、気ままで自由な少女として前田敦子がいる。それは、秋元康氏が今の前田敦子に望むこれからの女優像、つまり未来像へのメッセージでもあるだろう。未来に目が向いているからこそ、『タイムマシーンなんていらない』のだ。  女優として前田敦子が歌う姿には、AKB48時代にはなかった彼女自身の魅力を感じることができる。それは前田敦子の今、そして理想のこれからが、しっかりと封じ込められた作品であるからだ。 ■エドボル 放送作家。『妄想科学デパートAKIBANOISE』(TOKYO FM水曜25:00-)『安田大サーカスクロちゃんのIdol St@tion』(目黒FM隔週木20:00-)、『Tokyo Idol Festival2013』(フジテレビNEXT)など、テレビ・ラジオなどの構成を担当。サイゾー、SPA!などでもアイドル関連のインタビューを中心に執筆中。

見事にハマった『あまちゃん』商法と、限界を迎えた“ベスト盤バラ売り”商法

【リアルサウンドより】

2013年09月02日~09月08日のCDアルバム週間ランキング

1位:Love Collection ~mint~(西野カナ) 2位:Love Collection ~pink~(西野カナ) 3位:ソナポケイズム SUPER BEST(ソナーポケット) 4位:遊音倶楽部 ~1st grade~(絢香) 5位:あまちゃん 歌のアルバム(Various Artists) 6位:Queen of J-POP(℃-ute) 7位:POPMAN’S WORLD~All Time Best 2003-2013~(スキマスイッチ) 8位:Heart Song(クリス・ハート) 9位:KYOSUKE HIMURO 25th Anniversary BEST ALBUM GREATEST ANTHOLOGY(氷室京介) 10位:AM(アークティック・モンキーズ)
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『あまちゃん 歌のアルバム』(ビクターエンタテイメント)

 まずは先週1位(今週は5位)の『あまちゃん 歌のアルバム』について(お気づきのようにこのリレー連載、毎週シングルチャートとアルバムチャートを交互に取り上げているので、前週のチャートにも触れさせてください)。9月に入ってから『あまちゃん』のストーリーは「震災後」に突入(劇中では「地元に帰ろう」も大フィーチャー)。9月第2週からメインの舞台も岩手・北三陸に戻って、「東京編」のいわゆる芸能界の裏側ドラマ的なノリは一気にトーンダウン。そう考えると、8月28日にリリースというタイミングはあまりにもドンピシャだった。  音楽界でも旋風を巻き起こしている『あまちゃん』だが、感心させられるのは各作品のリリース(及び配信)タイミングの的確さ。これまでもドラマの展開に合わせて、ネタバレにならないギリギリのところで、素早く「今、視聴者が最も欲しい音源」を出してきている。ちなみに先週は『あまちゃん 歌のアルバム』と同時発売の『春子の部屋~あまちゃん 80's HITS~ビクター編』が初登場10位、『春子の部屋~あまちゃん 80's HITS~ソニーミュージック編』が初登場12位、6月にリリースされた大友良英『オリジナル・サウンドトラック』も29位に再浮上と、なんとトップ30にアルバム4枚。特に、『ソニーミュージック編』以外の3枚のアルバムをリリースしている、小泉今日子のお膝元ビクターとの連携は見事だ。  一方で、ポニーキャニオンからようやく昨日(9月11日)リリースされたベイビーレイズのシングル『暦の上ではディセンバー』は、なぜか当初のリリース予定日から3週間も発売延期となっていたもの。うがった見方をすれば、同曲も収録されている『あまちゃん 歌のアルバム』のセールスを邪魔しないための処置にも思えてきて……。ちなみにベイビーレイズは能年玲奈と同じ事務所の後輩。そこに、春子とアキの芸能界パワーゲーム場外編を見たのは自分だけではないだろう。
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『Love Collection ~mint~』(ソニーミュージック)

 すいません、『あまちゃん』話が長くなりすぎました。今週、アルバムチャートの1、2フィニッシュを飾ったのは西野カナのベストアルバム。しかし、枚数を見るといずれも15万枚弱と、近作の西野カナのオリジナルアルバムの初週セールスも下回る数字で、初のベストアルバムとしてはかなり物足りない数字。  この、ベストアルバムを2枚組にするのではなく2つの作品に分けるというやり方。ハシリとなったのは1998年のB'zの『Pleasure』と『Treasure』(2枚合わせて1.000万枚超え!)だと記憶しているが、あの時は2作品のリリース間隔がちょっと空いていた。同発ベストとして最も印象に残っているのは2001年にMr.Childrenがリリースした『1992−1995』『1996-2000』(いずれの作品もダブルミリオン超え)だから、21世紀に入ってから一般化してきた手法と言えるだろう。  しかし、昨年のYUIや今年のBUMP OF CHICKENの2枚に分かれたベスト盤のセールス不振が象徴しているように、近年、この手法、というか「商売のやり方」に限界がきているように思うのだ。言うまでもなく、もし同じくらいの枚数が売れるのなら、2枚組にするより2枚に分けた方がレコード会社の儲けは大きい。でも、この「同じくらいの枚数が売れるのなら」という前提が、可処分所得の少ない若いリスナーを多く抱えているアーティストの作品では崩れてきているのではないか。  興味深いのは、桑田佳祐、山下達郎、松任谷由実、氷室京介といった、逆に可処分所得が多そうなリスナーを抱えているベテランアーティストによる近年のベスト盤に限って、このベスト盤バラ売り商法をとらずに、旧来のベスト盤のように一つのパッケージでリリースを死守していること。とりあえずリリースした作品はなんでも買ってくれる忠誠心の強いファン、そして、ベストアルバムで始めて作品を手に取ってくれる一見さん、それぞれのリスナーにとってベストアルバムとはどういう意味を持っているのか。長いキャリアの中で出た答えが「何枚組になったとしてもベストアルバムは一つのパッケージで出す」ということだとしたら、それが意味するものは重い。  ただでさえ、若い世代のリスナーはネットでのフリーな音楽環境に慣れ親しんでいる。その層に向けて作品をリリースするなら、せめてベストアルバムのようなファンの忠誠心が問われる「記念品」的なパッケージ作品は、できるだけリスナーの懐に優しいものであってほしい。というか、リスナーとの関係性を長い目で見れば、その方が商売的にも正解になってきているような気がするのだが……。 ■宇野維正 音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter

自殺未遂騒動のモデル日南響子の彼氏も! ボカロPのアツ過ぎる恋愛事情

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日南響子 写真集 『 mau 』(ワニブックス)

【リアルサウンドより】  先日、車に轢かれるという自殺未遂騒動を起こした元『non-no』モデルの日南響子。その騒動の原因と言われているのが、恋愛関係のもつれだ。彼氏に浮気がバレ、Twitterで非難されたことが引き金になって自ら車道に入って行ったのではと噂されているのだが、肝心の交際相手はスポニチなどの新聞でも「交際相手とみられる男性」としか書かれていない。しかし、実はその彼氏とはニコニコ動画やオタク界では有名なボカロPのNemなのだ。  ここで大人の読者向けに解説すると、ボカロPとは初音ミクなどのVOCALOID(ボカロ)と呼ばれる音声合成ソフトを使って、作詞作曲を手がける人のこと。そんなボカロPたちだが、十代やオタクの間では神とあがめられたり、なりたい職業として挙げられるほどすごい存在になっている。ボカロPの実態に迫ったインタビュー本『ボカロP生活』(PHP研究所)によると、イベントでCDを発表すれば長蛇の列ができるし、ネットでは自分の名前を名乗る偽物がたくさん出てくるほど。そのうえ、日本経済新聞に掲載された「20歳以下のカラオケランキング」では、トップ10のうちなんと7がボカロ。しかも、AKB48などのアイドルソングは1曲も入っていないのだ。さらに、来年の4月からは専門学校にボカロPを養成する「ボカロP音楽プロデューサー科コース」というものまで登場するというから、彼らの人気ぶりはすさまじい。  そんなボカロPに対し、家に引きこもって、初音ミクや鏡音リン・レンに萌えているようなオタクなイメージを抱いている人もいるかもしれない。ボカロPの恋愛事情とは、いったいどうなっているのか? 『ボカロP生活』やTwitterなどの情報によると、実はモテモテで付き合っている人がいるというボカロPも多い。ラジオで彼女がいることを告白したオワタPは、『ボカロP生活』の中でもファンに「キャーッ!大好きで~す!!」などと言われると「俺はもういるからいらねぇよお前ら!」と返事をしていると答えていた。蝶々Pの代表作である「心拍数#0822」が彼女に向けて作られたラブソングだということは多くの人に知られているし、40mPに至っては、歌い手のシャノと結婚しているのだ。それに、『ボカロP生活』の中でも「そうですねーボカロPは女の絵師さんとよく付き合ってますからねー」と語られているし、『THE VOC@LOiD M@STER』などのイベントは「女の子率が高い」ので、出会いには事欠かないよう。やはり、ボカロやニコニコ業界において、ボカロPは芸能人並みにモテモテな存在みたいだ。  でも、いくらボカロやニコニコ業界で有名だからと言って、自宅で作業しているような彼らがどうやったら日南響子みたいなかわいいモデルと知り合い、付き合うことができたのか。付き合う相手も一般人か、もしくは同じ仕事や趣味の世界で知り合っただけなら納得できるが、こればかりは不思議でしょうがないという人も多いはず。  しかし、ボカロPをただのオタクや一般人と侮るなかれ。ボカロPの中にはしょこたんをはじめ、柴咲コウやまゆゆらとコラボしている人もたくさんいる。ボカロ曲のでも1番人気の「千本桜」をミュージカル化する際には、AKBから石田晴香や市川美織がキャスティングされている。さらに、田原俊彦の長女で、「ミスマガジン2011」準グランプリを獲得した綾乃美花や同じくミスマガの秋月三佳、朝倉由舞のデビュー曲を手がけている人も。有名なタレントだけでなく、これから活躍するアイドルの卵と出会うこともできるのだ。   その点、日南響子はもともとミクやリンのコスプレをしたり、自分でもボカロ曲の「歌ってみた」に挑戦するほどのボカロ好き。ブログや自分が担当するラジオ『日南響子のGIRLS LOCKS!』でも以前からNem好きを公言しており、それに応えるかたちで彼とのデュエット企画まで実現させてしまったよう。どちらかというと、日南響子のほうからアプローチして関係が進展したという話もある。たしかに、今では福山雅治までもがラジオでニコニコ動画好きを公言しており、初期の頃からプレミアム会員になるほどの「ニコ厨」だと語っている。たとえ実際にコラボしていなくても、イベントに参加したり、向こうからアプローチしてくる芸能人も、もしかすると増えていくのかもしれない。  これから芸能人とお近づきになるためには、ボカロPになるという方法が近道かもしれない。 (文=木村未来)

くるり岸田、アジカン後藤、KREVA…「ナナロク世代」がフェスを主催する理由

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『ASIAN KUNG-FU GENERATION THE MEMORIES 2003-2013』(ぴあMOOK)

【リアルサウンドより】  「ナナロク世代」という言葉がある。文字通り、1976年前後に生まれた人たちのことだ。  この「ナナロク世代」という言葉、これまで基本的には、Web系企業の起業家や技術者の世代感を表すものとしてよく使われてきた。代表的なところだと、グリー社長・田中良和氏(1977年生まれ)、DeNA取締役CTO川崎修平氏(1976年生まれ)、ミクシィ会長・笠原健治氏(1975年生まれ)、2ch開設者の西村博之氏(1976年生まれ)、はてな社長・近藤淳也氏(1975年生まれ)あたり。  しかし、実は日本の音楽シーンにおいても「ナナロク世代」の大きな特徴がある。この世代のミュージシャンたちは、他の世代にはない独特の存在感を持ってシーンをサヴァイヴしているのだ。わかりやすい共通項は、自らフェスを主催するミュージシャンが多い、ということ。並べてみると一目瞭然だ。 ■くるり・岸田繁(1976年生まれ)  ■ASIAN KUNG-FU GENERATION・後藤正文(1976年生まれ) ■KREVA(1976年生まれ) ■10-FEET・TAKUMA(1975年生まれ) ■氣志團・綾小路翔 (※綾小路翔は「年齢非公開」ですが、お笑い芸人・まちゃまちゃと同級生ということが広く知られていることもあり、76年生まれにカウントしました)  特に今年9月はこれら「ミュージシャン主催型のフェス」が毎週末に開催される状況になっている。9月8日にはKREVAによる『908 Festival』が開催された。9月14・15日には氣志團による『氣志團万博2013 房総爆音梁山泊』、そして9月21日にはくるり主催の『京都音楽博覧会2013』が開催。  10-FEETは7月6日に『京都大作戦2013』を主催、9月21日には同世代の盟友G-FREAK FACTORY が群馬県で開催する地元密着型ロックフェス『GUNMA ROCK FESTIVAL 2013』に出演する。  ASIAN KUNG-FU GENERATIONは9月14日・15日に『ファン感謝祭』『オールスター感謝祭』と銘打ったデビュー10周年記念ライブを横浜スタジアムで開催。そのため彼らがほぼ毎年開催してきた『NANO-MUGEN FES.』は今年はお休みになったが、その代わり、6月に全国を回るサーキット型のライブイベント『NANO-MUGEN CIRCUIT』を行っている。  もちろん自らフェスを主催するのは「ナナロク世代」のミュージシャンだけではない。たとえば、90年代末にパンクロックの祭典『AIR JAM』を主催し、長らく続いた休止から2011年と2012年にそれを復活させたHi-STANDARD。たとえば今年15周年を迎えたテクノフェスティバル『WIRE13』のオーガナイザー石野卓球。彼らは現在40代なかばで、「ナナロク世代」から見れば上の世代にあたる。  それでも、同じく40代後半を迎えた奥田民生(1965年生まれ)、斉藤和義(1966年生まれ)、吉井和哉(1966年生まれ)らのロックミュージシャンらが30代後半だった10年前の活動と、岸田繁や後藤正文ら「ナナロク世代」の今を比べると、そこには如実な違いがあると言っていいだろう。  その背景にあるのは、音楽カルチャーのここ10年の変化だ。今の日本においては雑誌やTV番組よりもむしろフェスのほうが「音楽カルチャーの見取り図」を示すメディアとしての役割を強く担うようになった。そこにプレイヤーとして参加するだけでなく、自らフェスを主催することでキュレーターとしての役割も果たす、いわば「メディア人」としての才能を持ったミュージシャンが多いのが「ナナロク世代」の特徴なのである。  特に、洋楽勢を意欲的に出演させてきた『NANO-MUGEN FES.』、細野晴臣や石川さゆりや小田和正などベテランアーティストが出演してきた『京都音楽博覧会』は、ファンに向けて自らのルーツやより豊かな音楽文化を示す意図が明確だ。『908 Festival』も今のヒップホップシーンの見取り図を示すものだし、『京都大作戦』もラウドロックシーンの活性化に大きく寄与してきた。昨年には小泉今日子、近藤真彦から浜崎あゆみ、ゴールデンボンバーまでが出演し、今年はシャ乱Qやhideからももクロ、マキシマム ザ ホルモンが出演する『氣志團万博』も、ジャンルを超えたスターたちによる化学反応を起こすことを狙ったラインナップだ。  リリー・フランキー氏が指摘するように(「フェスはただの音楽鑑賞会じゃない」リリー・フランキーが考える“理想のフェス”とは?)、今の日本のフェスというのはいまや単なる「音楽鑑賞会」ではなく、音楽カルチャーの充実や広がりを示すメディア的な機能も担うようになってきた。そこにおいて大きな活躍を見せているのが、彼ら「ナナロク世代」のミュージシャンたちなのである。  そして、この趨勢は、これからの時代のミュージシャンの「サヴァイヴ術」も暗に示している。飽和する音楽シーンを生き残っていくために、ミュージシャンには音楽家としての才能だけでなく、メディア人としての才能も必要になってきた、ということなのかもしれない。 ■柴 那典 1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」/Twitter

賛否分かれるAKB48舞台裏チケット販売 運営お得意の“自虐ビジネス”は今後も通用するのか?

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AKB48『恋するフォーチュンクッキー』(キングレコード)

【リアルサウンドより】  AKB48が18日に東京・日本武道館で開催する「AKB48 34thシングル選抜じゃんけん大会」に、予想を上回る約8万人の応募が殺到したことから、AKB48の公式サイトでは11日、“禁断席”として、セットの真裏の席の追加販売を行うことを発表した。禁断席の購入者は、セットの真裏に設置された大型モニターで大会の様子を鑑賞することになり、会場の熱気や歓声は味わえるものの、肉眼でメンバーを観ることはできない。チケットの価格は1000円で、先行予約は12日の午前10時から、13日の午前10時まで行われる。公式サイトによると、この席は別名「わざわざ武道館に足を運んでモニ観なんて、だったら家でテレビを観るよ席」とのことで、チケットの入手が困難な現状に対する、苦肉の策であることを明かした。  この発表を受けて、ネット上では「ちゃんと不利な条件であることを開示しているし、それでも熱気を感じたいと思う人がいるのなら僕はこれはこれで“アリ”だと思う」「『物販の入場料』って考えればいいと思う」「現地パブリックビューイングか。発想としては悪くないのでは」と好意的に受け取る意見がある一方、「ものは言いようですな。『禁断』と名のつくものにロクなもんはないよ」「たんだんと勢い落ちてるから売れるうちに売っとけ的な発売だな」「なんでも売るんだ。どこまでやるつもりだろう?」と、運営の対応に疑問符を投げかける声もあった。  賛否両論となった今回の件を、アイドルの専門家はどう捉えているのだろうか。アイドルに関する記事を多数執筆し、『AKB商法とは何だったのか』(大洋図書)の著者でもあるさやわか氏に話を伺った。 「AKBの運営サイドは、お金儲けだけを優先して今回のような発表をしたかというと、必ずしもそうとは言えません。AKBの運営はもともと、カッチリしているわけではなくて、なるべくお客さんの意見を汲んで便宜を図ろうという、よく言えばフレキシブルなサービスをしてきました。今回の件で言えば、単純に、できるだけ多くのお客さんが入れるようにもしつつ、自分たちの失態と言えるような状況を自虐ネタとして提示したのだと思います。もちろん、そういった折衷案のようなものが、これまでのAKBの歴史の中で何度も問題となってきたのも事実です。たとえば握手会の日程を明確にせずに握手券を配ってしまい、メンバーが忙しく握手会がいつまでも開催されなかったり、握手会に集まる客が多くなりすぎてファンがAKBメンバーに触れ合える時間が異常に少なくなり、それを自虐ネタにして『悪魔の握手会』というイベント名を付けたこともありました」  では、なぜ運営は、一定層の“反発”を折り込んだかのようなサービス提案を続けるのだろう。 「先ほども言ったように、AKBの運営はお客さんとのコミュニケーションの中でよりよい方策を求めてきたという側面もあるので、古参のファンであればあるほど、ある程度ルーズさを容認している部分があります。そして、運営側にもそういった寛容なファンたちに甘える気持ちが若干あるのかと。その気安さがAKBの運営の良いところでもあり、魅力的な部分でもありますから。しかし、新たなファンの中には、AKBが大人気グループとなった今では、ちゃんと完成されたサービスを受けられて当然だと考えるファンも増えているでしょう。特に近年のファンの中には、今回のような対応には驚いてしまうケースもあるかと思います。最近のAKB周りの論争というか、ファン同士に起こる軋轢などを観察していると、運営側のよく言えば気安く、悪く言えばルーズな対応に端を発している場合も多いかな、とも思います」  今回のケースでも、そういった軋轢が生まれる可能性があると? 「一概には言えないけど、運営側からお客さんに序列みたいなのを生んでしまったところは、火種になる可能性があると思います。アイドルのライブというのは本来みんな同じ状況で観られるのが一番なんですが、今回の場合は金銭にからめながらファンに格差を作ってしまっている。そこからファン同士の軋轢が生まれるかもしれません。しかしもともとは、ファンに応えようとしてやっているサービスだし、アイドルファンには運営側の自虐ネタに乗って、そんな席を買ってしまう自分をも自虐的に楽しもうとするタイプの人間もいる。また世間一般もメディア露出しているAKBには興味があってもライブ現場の騒動には興味を持たないことが多い。したがって『AKBのこういうビジネスはよくない』と、社会的に大きな問題となり、糾弾されるということはあまりないのではと思います」  あまりにもファンが増加しすぎて、とうとう舞台裏にまでファンを招待したAKB48。圧倒的な人気を保ちながら、フレキシブルかつ公平な対応を続けていくには、今回のような策を打つも仕方がないのかもしれない。 (取材・文=マツタヒロノリ)