乃木坂46の楽曲は、松井玲奈・生駒里奈の兼任でどう変わった? 最新シングルを徹底分析

20140612-nogi01.jpg

乃木坂46『夏のFree&Easy(初回仕様限定Type-A(CD+DVD)』(ソニー・ミュージックレコーズ)

【リアルサウンドより】  乃木坂46が、9thシングル『夏のFree&Easy』を7月9日に発売した。同作は8thシングル「気づいたら片想い」に続き西野七瀬が2作連続でセンターを務めており(連続のセンターは生駒里奈以外では初)、SKE48の松井玲奈が、AKB48グループの「大組閣」により交換留学生として加入後初参加となる作品だ。  また今作の選抜メンバーを見てみると、リリース時点で20歳以上のメンバーが17人中12人、高校生以下のメンバーが2人だけになった。グループ発足時は生駒里奈、生田絵梨花、星野みなみといったまだ幼く清純なイメージの3人がフロントに立っていたが、3年経った現在は「乃木坂御三家」と呼ばれる白石麻衣、橋本奈々未、松村沙友理に加え、松井が西野の周りを固め、“綺麗なお姉さんたち”へとパブリックイメージも変化しつつあるともいえる。(参考:乃木坂46西野、連続センターの意図とは? ミスiDレイチェルがその”イメージ戦略”を分析)  さて、そんな現在の乃木坂46が放つ新作とは果たしてどのようなものだろうか。本稿では表題曲とカップリングの楽曲を3つの視点からとらえ、最新シングルについて考察していく。

松井・生駒の兼任が色濃く反映された2曲

「夏のFree&Easy」

 昨年の夏に発売された『ガールズルール』に引き継ぎ、キャッチーなアイドルサマーソングとなった同曲。ただ同じ“夏ソング”と言ってもこの2曲では異なる点がいくつか存在する。「ガールズルール」はフロントを「乃木坂御三家」が務め、田舎の学校を舞台にしたMVと合わせ、女の子の友情をテーマにした楽曲だった。その一方で「夏のFree&Easy」のテーマは“都会の夏”。渋谷を舞台にMVを撮影し、ヘッドフォンやイヤホンをした乃木坂メンバーのそれぞれの夏のワンシーンが切り取られている。 楽曲も7thシングル「バレッタ」、8thシングル「気付いたら片想い」と続いていた昭和アイドル歌謡の路線ではなく、エレキギターを中心に疾走感あふれる、いかにもJ-POPの“夏ソング”に仕上がっている。  これまで、乃木坂46の楽曲はどちらかといえば、“純粋無垢・女の子の花園・甘酸っぱい青春”といった印象の楽曲が多かった。それに対して今回の「夏のFree&Easy」はより大胆でストレート。人見知りが多い乃木坂46のメンバーでも、夏のおかげでいつもより少し積極的になってしまうというような楽曲だ。  また「夏のFree&Easy」は、楽曲全体にSKE48の要素が散りばめられているように感じることもできる。歌詞の前向きな内容や元気な印象を与えるメロディラインなどがまさにそうで、SKE48の最新シングルだとしてもあまり違和感はないのかもしれない。そして、世間的な注目度でいうと、同作は「西野の2作連続のセンター作」というよりも「SKE48松井玲奈が乃木坂46初参加のシングル」という印象の方がおそらく強いだろう。そう仮定すると“SKE48色=松井玲奈色”を出した楽曲になったのは、ある種自然な流れなのだろう。

「何もできずにそばにいる」

 表題曲「夏のFree&Easy」が松井玲奈色を出した曲だとしたら、こちらは生駒の兼任が隠れたテーマになっているように思える。キャプテンの桜井玲香は生駒の総選挙の際に、「『頑張れ!』と言うべきか『無理しないでいいよ』って言ってあげるべきかわからなかった」と語っているが、「何も言わずにそばにいる」というタイトルは、まさにこのことではないだろうか。美しいピアノの旋律や、耳に残る切ないメロディーと絶妙なコーラスが詞の物語を引き立てており、生駒がセンターを務めていた時代の「君の名は希望」や「人はなぜ走るのか?」と同じように、今後長らくファンから愛される曲になっていきそうだ。

“センター・西野七瀬”を表す曲は、「夏のFree&Easy」ではない

「無口なライオン」

 「夏のFree&Easy」Type-Bに収録。乃木坂46は、この3年間ですでに4人が表題曲のセンターを経験しており(生駒、白石、堀未央奈、西野)、それぞれに合った楽曲が提供されてきた。という今までの流れから行くと、「夏のFree&Easy」は西野に合わせて作られた楽曲であるということになるのだが、おそらくそれは間違いだ。すでに述べたとおり、表題曲は今までの乃木坂の曲とは異なるし、そもそも引きこもりがちで太陽を嫌う西野が「Sunshine, Free&Easy」と歌っているのは、どうもしっくりこない。では、西野に合わせた楽曲はどれかというと、この「無口なライオン」である。  同曲の詞は、乃木坂46のセンターを「百獣の王」に例え、「ライオンなのだからライオンらしく生きなければいけない」ということではなく、「君は生まれながらのライオンなんだから自分のやり方で堂々とやればいいんだ」といった趣向で書かれており、これは作詞を務める秋元康から西野へのエールともとれる。番組でも涙することが多く、ネガティブな発言が多い西野に向けて、「涙こぼしても君は王者なんだ」「自己嫌悪なんか意味ないよ」といった歌詞が捧げられている。

乃木坂46の新機軸「クラブミュージック×アイドル」路線

「ここにいる理由」

 『夏のFree&Easy』Type-Cに収録。選抜に入っていない“アンダーメンバー”も、8thシングルからは「アンダーライブ」という形で、ライブを行うようになり、どんどん活躍の幅を広げている。今回のアンダー楽曲はメンバーも今までにないと語るような楽曲。サカナクションを思わせるイントロで始まったかと思うと、サビではドラムンベースを思わせる強靭なビートが曲を引っ張り、全体的にクールな一面を演出している。今回は選抜メンバーに20歳以上が多い分、若いメンバーが揃ったアンダーだが、詞は別れをテーマにしたシリアスな内容。振り付けはコンテンポラリーダンスになっており、あらゆる面において今までのアンダー曲とは違い、彼女たちが次のステップへと進む楽曲になっているといえる。

「その先の出口」

 『夏のFree&Easy』Type-Aに収録。白石麻衣をセンターに据え、お姐さんメンバー9名で構成されたEDMナンバー。ダンスも今までの乃木坂にはないガールズヒップホップにも挑戦している。今まで大人ユニットで歌ってきた「偶然を言い訳にして」や「でこぴん」とはまた違い、ひたすらにポジティブで前向きな詞になっている。

「僕が行かなきゃ誰が行くんだ?」

 『夏のFree&Easy』通常盤に収録。この曲を歌うメンバーは伊藤万理華、井上小百合、斉藤優里、桜井玲香、中田花奈、西野七瀬、若月佑美の7人。これは6thシングル『ガールズルール』のカップリング曲ながら、MVやメンバーの雰囲気、楽曲の世界観・ダンスなどがファンやメンバーからも好評だった「他の星から」と同じ顔触れ。歌詞の内容は、明言こそしていないものの、地球は球体ではなく平面であるという地球平面説神話をネタにしており、「他の星から」と地続きであることが暗喩されているように思える。この曲でもドラムンベースの要素が見受けられており、【「他の星から」メンバー×コズミックな世界観×クラブミュージック】という構図は乃木坂46のが提示する一つの形として確立していきそうだ。  上記の三つはどれもクラブミュージックをベースにした楽曲だ。アイドルとクラブミュージックという組み合わせは、最近だとモーニング娘。などが、世界的な流れに乗ってダブステップやブロステップを飛び道具的に使うことはよくあった。現在でも世界的にEDMの人気は根強いし、クラブミュージック系の才能ある若手も次々と登場している。ドラムンベースで言えば、新人のRudimentalがイギリスで最も権威のある音楽賞の一つであるBrit Awardsを今年受賞していることなどからもその勢いがわかる。また、アイドルソングを含めた、邦楽における「テンポの高速化」が少し前から語られているが、(参考:「高速化するJPOP」をどう受け止めるか 音楽ジャーナリスト3人が徹底討論)BPMの高いドラムンベースは昨今のJPOPにマッチするジャンルなのではないだろうか。  乃木坂46の楽曲は、現在活躍している若手アイドルたちとは違ったアプローチが目立っている。彼女たちが打ち出している「ドラムンベース×アイドル」ないしは「クラブミュージック×アイドル」路線は、新たなアイドルソングのトレンドとなっていくかもしれない。  近年のアイドルグループは、ファンや運営が物語を重視する傾向にあり、毎度リリースされる新譜やイベント、ライブではそのグループの現在地と未来を読み取ることができる。今回のシングルはただの“夏ソング“ではなく、大組閣に巻き込まれ激震を受けた乃木坂46の今の姿をファンに示してくれたものとして捉えることができるのかもしれない。活動も3年目となった乃木坂46がリリースする、熱量のこもった新作をぜひ手にとってもらいたい。 ■ポップス 平成生まれ、沖縄育ち。音楽業界勤務。Nogizaka Journalにて『乃木坂をよむ!』を寄稿。

地下アイドルとしてブレイクした妻をジェラシーの目で見つめるファン夫の苦悩の日々

オタクに"なるほど"面白い!オタクニュース・ポータル「おたぽる」より

140713_himeno01.JPG
今回は、奥さんがアイドルになってしまった方のお話です。
――地下アイドルの“深海”で隙間産業を営む姫乃たまが、ちょっと“耳の痛~い”業界事情をレポートします。  こんにちは。東京都は下北沢の(売れない)地下アイドル・姫乃たまです。  なんと前回の記事(「推しがAV女優になろうとも……テレビでアイドルとして歌う日を一緒に夢見続けたファンの切なる思い」)を読んでくださった読者の方から、「アイドルだけじゃなくて男性の話も聞いてくれるんですか?」と、ご連絡をいただきました。実際にお話を伺った今回の記事は、題するなら、「僕の嫁さんは地下アイドル」です。  この言葉だけ聞くと、夢溢れるイメージビデオのようですが、現実はそんなにいい事ばかりじゃないようでして……。 「おたぽる」で続きを読む

本当はもっとドロドロだった!『花子とアン』花子の不倫略奪婚

【本と雑誌のニュースサイトリテラより】
hanako_140714.jpg
NHK連続テレビ小説『花子とアン』NHKオンライン
 放送開始から14週連続で視聴率21%を突破するなど、相変わらず絶好調な朝ドラ『花子とアン』。勢いに乗っている一因は、なんといっても吉高由里子演じる花子が妻帯者である村岡英治(鈴木亮平)を好きになってしまうという“不倫の恋”が描かれていたことも大きいだろう。そして、本日放送分(第16週〜)では、花子の実家に英治とふたりで帰郷。明日には結婚式まで行ってしまう。そう、長い朝ドラ史上でも初の“不倫略奪婚”が進行しているのだ。  しかし、朝ドラといえば、主婦層や年配の視聴者も多い枠。さすがに天下のNHKで不倫を肯定的に描くわけにはいかなかったのか、苦肉の策的展開も多く見られた。たとえば、花子が英治に告白してから、彼がじつはすでに結婚していることを知る……というのは“潔白”を強調するために必要な流れだったとしても、英治の妻が病気で死ぬ前に「新しい人と一緒に生きていってほしい」と言い残したというのは、さすがにテレビの前でツッコんだ視聴者も多かったはずだ。  もちろん、現実の世界はそんなに都合よく話は進まない。『花子とアン』の原案となった『アンのゆりかご 村岡花子の生涯』(村岡恵理/新潮社)の記述を追えばわかるが、実際の花子と英治の恋愛は、朝ドラというより昼ドラといってもいいほどにドロドロだったのだ。

__(アンダーバー)が語る、ネットの変化と新作のコンセプト「ニコニコの時の流れだけやけに速い」

20140710-under2.jpg

【リアルサウンドより】  既存のボーカロイド楽曲を大胆にアレンジして歌う「フリーダム」と、オリジナルソングをしっかりと歌い上げる「フツーダム」という2つのスタイルでの歌唱を特徴とする『ニコニコ動画』出身の歌い手__(アンダーバー)。彼が7月9日に3rdアルバム『くぁwせdrftgyふじこlplp;@:「どうも__(アンダーバー)です。」(仮)』(通称:ふじこ)をリリースする。__(アンダーバー)の「歌ってみた」動画は、累計3000万回以上の再生数を誇り、Twitterのフォロワーも31万人以上、幅広い層から支持を集めている人気の歌い手だ。今回リアルサウンドでは新作に関するインタビューを実施。オリジナル曲志向を強めた理由や、彼自身の音楽的ルーツ、さらには近年の『ニコニコ動画』の歴史や変化についても語ってもらった。

「純粋な笑いをみんなと一緒に楽しみたい」

――『くぁwせdrftgyふじこlplp;@:「どうも__(アンダーバー)です。」(仮)』(通称:ふじこ)は、オリジナルとボカロカバーが収録された初の2枚組CDです。それぞれ性格の異なった力作ですが、今回2枚組にした経緯は? __(アンダーバー):1stアルバムの『フツーバム~フツーダムに歌ってみた~』と、ボカロカバーアルバムの『フリーバム~フリーダムに歌ってみた~』をリリースしてきた僕にとって、今作は分岐点になると考えているんです。というのも、僕は自分の世界観を表現したくて、オリジナルをやっていきたいと思っていて。でも今までボカロ中心で活動してきた分、なかなかオリジナルは受け入れられづらいところがあったんですね。だからこれまでのボカロカバーでの活動も踏まえつつ、自分の思いも表現するために、思い切って2枚組にしました。 ――そのオリジナルでは曲ごとに世界観を作り上げ、いろんな作曲家の方とコラボレーションしていますね。 __(アンダーバー):はい。__(アンダーバー)には、「アンダーバー星に住むアンダーバー王が、国の繁栄のために地球を侵略しにきている」という設定がありまして(笑)。このオリジナルはその始まりという位置づけかなと思います。アンダーバー王が、宇宙船で地球に落ちてきたところからスタートして、アンダーバー王が地球の人間のなかにひっそり潜みながら侵略していく。作曲家さんたちとのコラボレーションはその侵略が形になっていることを表しているんですね。でも侵略って言うと少し恐いので、洗脳っていう感じですね。__(アンダーバー)は人間のなかにひっそり潜みながら、人々の心を楽しませて洗脳していくことを大切にしています。 ――「人々を楽しませたい」というコンセプトが生まれたきっかけは? __(アンダーバー):将来も見えないし、自分の信じてきたものは本当にこれでいいんだろうか、とかすごく疑ってしまう時期が僕にはあって。それと同じように辛い思いをしている人たちも見てきて、そんな人たちにどうにかできないかなって思ったんです。誰にも相談できなくて、辛いことがあっても、僕の曲で少しでも気晴らしになれば嬉しいんです。 ――__(アンダーバー)の音楽は、ユーモラスというか、くすっと笑えるような表現をしていくのがひとつの特徴ですよね。 __(アンダーバー):純粋に何にも深いことを考えずに毎日楽しかった時期って小学生くらいだろうなと思うんです。小学生くらいの時って、下らないシモネタ……それこそウンコだとかで大爆笑してたじゃないですか。今となっては何が面白いのかさっぱり分からないんですけど、あの時の気持ちが一番大事なんだなというのが僕の中ではあって。だから、『フリーバム』では昔の下らない、純粋な笑いをみんなと一緒に楽しんでいけたらと思って、ボカロ曲をアレンジしたりしていました。 ――『フリーバム』で表現していた“純粋な笑い”を、今作ではオリジナル楽曲にも出していくと? __(アンダーバー):そうですね。例えば、「まじしゃんず☆さまー」とかも、彼女ができないうんぬん(笑)っていうのを大胆にのっけてみたりとか、すごく下らないんですが、どんどんそんな感じでやっていきたいですね。 ――その「まじしゃんず☆さまー」はヒャダインさんの作曲ですが、今作で関わっている他の作曲家も含めて、どのように曲を作っていったのですか? __(アンダーバー):一曲ごとの、はじまりから終わりまでのメインストーリーを全部まとめて作って、その曲を作者さんごとに分けてお願いした、という感じです。「まじしゃんず☆さまー」に関しては、思い通りのものが来た!っていう感じでしたね。ヒャダインさんはやはりずっと作曲をされてきた方なので、イメージ通りのものを作成していただいてすごく感謝しています。詞もすごくのっけやすかったです。 ――コンセプトをしっかり固めて作った初のオリジナルアルバムを制作して、見えてきたものはありましたか。 __(アンダーバー):今までいつかオリジナルをやっていきたいと思っていた分、自分のなかでは意外とスムーズにできたかなと。一回目にしては良いものができたなと思えたので、今後作っていくアルバムもかなり良いものにできそうかなっていう手応えも感じています。 ――溜まっていた表現衝動を出したという? __(アンダーバー):そうですね。それで聴いていただいて楽しんでくれるのが一番なんですけど、そのなかに隠されたコンセプトというか、「フリーバム」もそうなんですけど、根底は暗~い気持ちから作っていることがほとんどなので(笑)。そういうところも感じてもらえたらと思います。 ――非常に多様な音楽的なルーツが見え隠れする作品でもあります。 __(アンダーバー):物語性や歌もあり、演技もありっていうところで、大きな影響を受けたのはSound Horizonさんですね。それからフリーダムのバックボーンになっているといったら、これは初めて言うかもしれないですけど、「ボボボーボ・ボーボボ」っていうマンガ。本当にくだらないというか、つじつまの合わないもの、そんな展開、勢い、ゴリ押し感から影響を受けています。Sound Horizonさんのような真面目な世界観もありつつ、「ボボボーボ・ボーボボ」のようなアホみたいな世界観で、面白いのにどこか物悲しい、心に刺さるところがある、ということを感じてほしいですね。そんな二面性が「フツーダム」と「フリーダム」なのかなって思います。
20140710-under1.jpg

「歌で大事なのは、詞をどこまで言葉として表現できるかということ」

――改めて振り返っていただきたいのですが、音楽を通して自分を表現するということについて、どのように捉えていますか。 __(アンダーバー):正直、最初歌は趣味程度でしかなかったんです。カラオケ行ってワイワイ楽しむだけみたいな。「ひとカラ」に行くことが多かったんですけど、ひとりで行ってどうやったら歌がうまくなれるだろうとか、誰かとカラオケ行ったりするときとかも、誰かにうまいと思ってもらいたい、楽しんでもらいたいっていうのを当時から思って歌っていて、ニコ動に投稿するようになりました。 ――歌がうまく聞こえる要素にはどのようなものがあるのですか? __(アンダーバー):僕は、何十年とずっと歌をうたってきた人には絶対に敵わないと思うんですが、世の中に下手ウマと呼ばれる人たちがいて、下手なんだけど魅力を感じる要素はなんだろうと考えたんです。それで、それは詞をどこまで歌にのっけられることなのかな、という気がして。音程やリズムを取るのはもちろん、詞をどこまで言葉として表現できるかということが大事なのかなと。そっちのほうが歌の本質が伝わるんじゃないかと考えて、そこに力を入れ始めました。それでそのうちに、動画も曲も作れるようになって今に至るので、すべてが延長線上にあるというか。そういうふうに歌っていって、ライブに出るようになると、音楽を作る人たちとも徐々に触れる機会が多くなっていろいろ話していくと、曲やメロディーを一個一個作るのにもさまざまな思いが込められているんだなと思うようになったんです。それで「フリーバム」を作る上での思いとか考えが変わっていって、その結果今のオリジナルがあると思うんです。そういう意味では、ボカロの影響はすごく大きかったです。 ――そのボカロでのカバーが「フリーバム」ですが、今回の作品についても伺っていきたいと思います。今回カバーの選曲はどんな基準で? __(アンダーバー):いまのニコニコ動画って世代が変わってきているなと感じていて。僕は初音ミクが出てくる前からずっと観ていたんですが、時期によって4世代くらいに分かれるんじゃないかと。僕の中での初音ミクは「ミックミクにしてやんよ」とか「メルト」とかそのくらいなんです。けれども今のユーザーにとっては、初音ミクって「千本桜」とか「カゲロウプロジェクト」とかになってくるので、意識の差が出てくるというか。僕は昔の曲の方が思い入れが強いので「ハロープラネット」とか、その世代によって違うものを入れていきたいなと思いまして、古いものから新しいものまで幅広く、初音ミク、ボカロっていうのはこういうものなんだよ、こういう曲があるんだよというのを聴いてほしくて、昔のものから今のものまで幅広く選曲しました。

「ニコニコ動画は昔のようにくだらない場所であってほしい」

――初期の世代と今の世代では、どの点が変わっていますか? __(アンダーバー):曲調が大きいですかね。昔はバラ―ドというかJ-POPっぽい曲がすごく多くてそれがウケたっていうのがあるんですけど、徐々にBPMが早くなっていったんですよね。昔はJ-POPサウンドだったのがバンドサウンドになって、バンドサウンドからテクノサウンドに変わっていったというのは感じます。 ――今回、かなりBPMの早い曲も入っていますよね。 __(アンダーバー):そうですね。そこで思ったのは、ボカロは人間の歌うものじゃないと(笑)。いまさらなんですけど痛感しています。昔のものですら、息継ぎがなかったり、滑舌的に難しいものだったのに、それがさらにありえないレベルのものになっていて(笑)。ましてやボカロというとさまざまなジャンルがあります。でもそれはボカロからバラードからロックまで歌ってきて、自分のスキルアップになったかなと思います。 ――今回の収録曲で特に難しかったのは? __(アンダーバー):7曲目の「ニセモノ注意報」ですね。この楽曲は曲のなかでBPMが早くなっていくんです。滑舌もすごく難しいし息継ぎもないし、そういう意味ではすごく大変でした。歌うだけじゃなくて、曲の歌詞を表現していかなければならなかったので苦戦しました。 ――世代の話でいうと、曲調だけではなく歌詞の変化もあると思うのですが、どんな点で感じますか。 __(アンダーバー):だんだん複雑になっていっていますね。もちろん作曲者によっても違うんですが、昔の方はけっこう直接的表現というかわかりやすい表現が多かったんですが、最近になって「これは日本語なのか?」と思うような表現とか、初めて聞くような難しい言葉を使われる方もいますし、すごく物語性が出てきて、深読みができるものが増えてきてるなと思います。 ――そうしたものをユーザーも求めていると。 __(アンダーバー):ニコニコで投稿していくうちに、新しい世代は新しいものを求めてやってくると感じました。そういうなかで作り手さんも新しいものをどんどん広げていくので、楽曲自体のクオリティも高くなってきて、「これはもはやプロじゃねぇの?」って思うことも多々あります。その移り変わりが早くて、「ニコニコの時の流れだけやけに速いな」と思いますね(笑)。それから昔はいかに面白いこと、変なことをやって投稿して、視聴者がみんなで盛り上げよう!という風潮があったんですが、最近になるにつれて、その風潮がなくなってきているなと感じます。最近は、いかに投稿者が楽しませるかというふうになっている。でも僕は、ニコニコ動画は昔のようにくだらない場所であってほしい、あの良さは失ってほしくないとも思っています。 ――そういう変化も、オリジナルをやるという背景にあるのでしょうか。 __(アンダーバー):いまの子は二次創作よりも一次創作を楽しみにしていってるのかな、っていう気はしますしね。僕のリスナーさんでも、ずっとボカロを聴いてきてる人がいるんですけど、そういう人たちも、僕の音楽を聴いてくれたうえで少しずつ変化してるというか。「__(アンダーバー)さんのオリジナルが見たいな」「__(アンダーバー)さんのつくりだす世界を楽しみたい」っていう人が増えてきているというのは感じています。僕だけでなくリスナーさんにも、流れの変化は一緒に出てきているんだなと思います。

「アリーナとかドーム規模でライブをやっていきたい」

――最近は大きな会場でのライブ活動も成功しています。ライブパフォーマンスに対する手応えは? __(アンダーバー):ライブを通して、自分の本当にやりたいことが明確になってきたと思っています。ライブでは、コメントとか字じゃなく生でお客さんが楽しんでるのが伝わってくるので、自分がやりたかったのはこれだ、と思えるようになりました。僕としてはライブに重点をおいてこれからの表現活動をやっていきたいですね。昔の僕もそうだったんですけど、ライブというのは敷居が高くて、足が運びづらい場所だったんですが、そういう人たちに対して、ライブというのは楽しいものだと伝えていきたいし広めていきたい。だから、ライブもエンターテインメントなものにしていきたいです。 ――今作で新たなチャレンジになりましたが、今後の活動はどうなっていくとお考えですか? __(アンダーバー):ボカロ文化は消えてほしくないなって思うので、ボカロもやっていくつもりです。けれども、メインはオリジナルを作って、それをライブでやることだと考えています。 ――9月6日にはTOKYO DOME CITY HALLでワンマンも控えています。 __(アンダーバー):僕のやりたい、表現したいことはそれこそ会場の広いところじゃないと表現しきれないというか。僕は演劇とかミュージカルが好きだったんで舞台セットをがっつり組んで、ダンサーさんも含めて壮大に表現していきたい。いろんな構想があるのでアリーナとかドーム規模でライブをやっていきたいんですよね。まだ気は早いですが、そういう思いは強くあります。 (取材=神谷弘一/構成=高木智史)
140516_under_j.jpg

__(アンダーバー)『くぁwせdrftgyふじこlplp;@:「どうも__(アンダーバー)です。』(仮)(Subcul-rise Record)

■リリース情報 『くぁwせdrftgyふじこlplp;@:「どうも__(アンダーバー)です。』(仮) 発売:7月9日 価格:3,240円(税込) <収録内容> ・DISC1 1.インビジブル 作詞・作曲・編曲:kemu フリーダムアレンジ__(アンダーバー) 2.ヤンキーボーイ・ヤンキーガール 作詞・作曲:トーマ 編曲:kouichi 3.ワールズエンド・ダンスホール 作詞・作曲:wowaka 編曲:三矢禅晃 4.ぼくらの16bit戦争 作詞・作曲:sasakureUK 編曲:kouichi 5.ハロー*プラネット 作詞・作曲:sasakureUK 編曲:kouichi 6.天樂 作詞・作曲:ゆうゆ 編曲:kouichi 7.ニセモノ注意報 作詞:スズム 作曲・編曲:150P 8.妄想税 作詞・作曲:DECO*27 編曲:kouichi 9.glow 作詞・作曲:keeno 編曲:三矢禅晃 10.アンデッドエネミー 作詞:スズム 作曲ギガP、スズム・編曲:スズム 11.とある国王の体操第一 作詞・作曲・編曲:スズム 12.ハッピーサウンド 作詞・作曲:__(アンダーバー)編曲:スズム 13.Alice in Musicland 作詞・作曲・編曲:OSTER project フリーダムアレンジ:__(アンダーバー) DISC2 1.星王襲来 作詞:__(アンダーバー)作曲・編曲:150P 2.まじしゃんず☆さまー 作詞:__(アンダーバー)作曲:前山田健一 編曲:スズム 3.ラブモノガタリ 作詞:__(アンダーバー)作曲・編曲:40mP 4.アンダーバーに会いたい 作詞・作曲:__(アンダーバー)編曲:kouichi 5.タイガーウルフ 作詞:__(アンダーバー)作曲・編曲:Neru 6.ボインボインちゃん 作詞・作曲:__(アンダーバー)編曲:三矢禅晃 7.恋友達 作詞:__(アンダーバー)作曲・編曲:れるりり 8.ユメクリスマス 作詞:__(アンダーバー)作曲・編曲:ギガP 9.mile作詞:__(アンダーバー)作曲・編曲:10日P 10.Happy Under World 作詞・作曲・編曲:OSTER project

“BiSという物語”の終焉 3時間半、全49曲ノンストップライブ!【BiS解散ライブレポ】

オタクに"なるほど"面白い!オタクニュース・ポータル「おたぽる」より

0708BiS_2_1.jpg
3時間全49曲を歌いきったBiS。
 7月8日に、BiSの集大成となる『BiS解散LIVE「BiSなりの武道館」』が、横浜アリーナで行われた。  オープニングの曲は、BiSの代表曲「nerve」。現在のメンバー、プー・ルイ、ヒラノノゾミ、カミヤサキ、テンテンコ、ファーストサマーウイカ、コショージメグミの6人に、ヨコヤマリナ、ナカヤマユキコ、ミチバヤシリオの3人の歴代メンバーも登場。残念ながら、現在は寺嶋由芙として活動しているテラシマユフ、ワキサカユリカ、終身名誉メンバーのJKの姿は見られなかったが、いきなりのサプライズに、会場はまるでこれが最後の曲かのように、大盛り上がり。会場を埋め尽くす研究員(BiSのファン)たちは、一同に両腕と片足を挙げて体を後ろに反らす“エヴィゾリ”の振り付けで、のっけから踊りまくる。 「おたぽる」で続きを読む

ビートたけし「新愛人・離婚決意」報道でもう一人の愛人は…

【本と雑誌のニュースサイトリテラより】
takeshi_1_140713.jpg
オフィス北野ホームページより
「週刊文春」7月17日号に衝撃的スクープが掲載された。「スクープ撮 ビートたけし『100億円の愛人』」と題されたその記事によれば、ビートたけしが今、A子さんという49歳の女性と半同棲中で、周囲には40年来、連れ添ってきた幹子夫人との離婚まで示唆しているという。しかも、「カミさんに全財産渡してもいい」、つまり妻に100億円払っても愛人と一緒になりたいといっているらしいのだ。これが事実なら、いまや文化人・知識人としての風格さえ漂う“世界のキタノ”の「老いらくの恋」である。  だが、この記事を見たとき、何人かの芸能記者の頭には「?」のマークが浮かんだらしい。というのも、新愛人・A子さんのプロフィールが「FRIDAY襲撃事件」の発端となったかつての愛人・Rさんにそっくりだったからだ。 若い読者にはなじみが薄いかもしれないが、たけしには28年前、20歳の女子大生との不倫関係が発覚したことがある。彼女が17歳、女子高生だった頃からの交際で、今の時代ならそれだけで芸能生命が終わりそうなスキャンダルだが、1986年にその女子大生・Rさんがたけしの別宅に通う写真を「FRIDAY」(9月5日号)が撮って掲載。取材のやり方に怒ったたけしが10人の軍団を従え、「FRIDAY」編集部に殴り込みをかけたのである。  Rさんとたけしの関係は以降も続き、90年頃にはたけしの子どもを出産。一時は夫婦同然に親子3人で暮らしている様子も報道された。  だが、その後、たけしには新しい女性との関係が次々に発覚する。

浅井健一が語る、曲作りのスタンス「心に力が入ると駄目、素直が一番いいよ」

20140710-asai.jpg

ソロとして6枚目のアルバムをリリースした浅井健一。

【リアルサウンドより】  浅井健一が、2013年のアルバム『PIL』より1年半ぶりの新作『Nancy』をリリースした。1年をかけてじっくり作ったというこのアルバムは、椎野恭一や福士久美子、林幸治といったプレイヤーを迎えたバンドサウンドの楽曲のほか、浅井自身がプログラミングを手がけて一人で作り込んだ楽曲も収録されており、さらにスケール感を増した作品に仕上がっている。もちろん、浅井ならではのイマジネーション溢れる詩世界も健在だ。今回のアルバム制作に当たり、浅井はなにを考え、どう言葉と音を組み立ててきたのか。レコーディングの裏話や、自身の創作スタンス、そして浅井が考える理想的な心のあり方まで、じっくりと語ってもらった。

「自分が作る歌は、聴いた人がポジティブになるようにしたい」

ーー今回の作品は、いつ頃からレコーディングしましたか? 浅井健一(以下:浅井):去年の1月に「Parmesan Cheese」って曲を1人で作り始めた。『PIL』ってアルバムのツアーで中断したりしたから、その合間に作り上げていったんだけど、去年の秋、10月くらいにメンバー集めて、最終追い込みレコーディングがあって、ほとんどの曲はそこでレコーディングした。結局、1人で作りこんだのは3曲だけ。「Parmesan Cheese」と「君をさがす」と「Sky Diving Baby」なんだけど、それは全部1人でやってる。なので、それ以外の曲は秋に椎野さん(椎野恭一:ds)と林くん(林幸治:b)と福士さん(福士久美子:key,cho)でレコーディングして、それでダビングの作業をやって、音自体は今年の1月ぐらいに完成したかな。マスタリングは3月くらいだったけどね。 ーー1人で仕上げた曲とバンドで録った曲は、それぞれどういう風に位置付けてますか。 浅井:人間が全部やってる音楽と、コンピューターが正確なリズムで鳴らす音楽って、まったく違った感触になるでしょう? それぞれ大好きなんだけど、「この曲はコンピューターと向き合って1人でやろうかな」ていうのは、そのときの自分の気分というか、それだけだね。1曲目の「Sky Diving Baby」は最初にキーボードのフレーズがあったんだけど「これはコンピューターでやったらかっこ良くなるな」っていう自分の勘があった。コーラスとかも、Protoolsでやったらいろんなことにチャレンジできるから、すごく面白いんだわ。 ーー今回はコーラスが多いですね。それがアルバムの色にもなっています。 浅井:最近多いよね。一昔前まで、コーラスなんて全く興味なかったんだけど、最近は大好きになってるかな。 ーー「Sky Diving Baby」は切なくて悲しいけど、聴き終わったときに開放感があります。これはアルバム全体の印象にも近いのですが、この開放感は何でしょう? 浅井:音楽でも映画でも何でも、それを聴いたり観たりした後に清々しい気持ちというか、前向きな方が絶対にいいじゃん。落ち込むだけの映画に、俺は存在理由はないと思うんだ。だからスプラッタームービーとか大嫌い(笑)。昔、『Dancer In The Dark』っていうビョークが出てた映画あったでしょう。俺は観てないんだけど、相当暗くなるらしいじゃん? 強いて言えば、「そんな悲惨なことがあるんだから今が大事なんだな」って思える面があるのかもしれないけど、自分が作る歌は、聴いた人がポジティブになるようにしたい。昔は「かっこよけりゃいい」っていう感じで関係なかったけど、最近はそれを意識するようになったね。 ーー以前はズバッと斬るような感じでしたね? 浅井:ズバッと斬ってそれでおしまいっていうね(笑)。昔はそれでいいと思ってたし、またそれに戻るかもわからんけど、今はそうじゃない気持ちかな。 ーーただ、いわゆる応援歌みたいなものとはまた違いますよね。 浅井:応援歌は嫌いなんだわ、俺。ただ頑張れって言うのは軽薄な気がするし。曲作るときには、自分でもどういうものができるのかわかってない中で一生懸命やって、今回みたいなものができると。そういうことなんだよ。 ーーバンドが入った曲に関して、レコーディング現場の雰囲気はどうでしたか? 浅井:俺と椎野さんと福士さんは長いんで。林くんはなかなか無口なんで、「嫌なのかな?」とたまに心配しちゃったときもあったんだけど、そんな心配は無用で(笑)。彼はすごく真面目で音楽に対して一生懸命で、ただ単純に無口なだけだった。喋りだすと喋るし、飲みにも行ったし、当たり前だけど雰囲気は良かったよ。雰囲気悪かったらレコーディングできんでね。 ーー先程も話に出たコーラスワークは、実際にこのアルバムの魅力のひとつだと思います。 浅井:コーラスは…ものすごい大事だよね。作ってて楽しい。声とメロディだけで、歌詞必要なかったりするから、自分の中の好きなメロディでいけるじゃん? 福士さんのコーラスすごくかっこいいしね。やっぱり声の質。それが音楽にはすごく関わってる。声っていうのは、たぶんその人の心が関係してきてるから、不思議ですよ。 ーー浅井さん自身の声もそうですよね。すごく柔らかい感じがして。 浅井:全てにおいてそうなんだけど、力が入ると駄目だね。心にも力が入ると駄目なんだわ。バッティングセンター行って、「絶対ホームラン打とう」とか思っても全然いい当たりが出なくて、軽く振ったときにパコーンと当たる時あるじゃん? あれもそうだし、この世の中っていうのは、欲を出して立ち向かおうとするといいことない。それは音楽にもいえて、歌入れしていて「なかなかいい感じで録れたな」ていうのがあったとするよね。それで十分いいんだけど、「もっといいのが録れるかもしれない」と思って、そこから10回、20回やっても越えられんもん。「欲のない状態に戻そう」って言ったところで絶対、欲はあるんだわ。「もっといいのを録ってやろう」と思ってるんだから、「欲のない状態に戻そう」っていう気持ち自体がめちゃくちゃ欲にまみれとる(笑)。そこなんだわ、世の中の秘密っていうのは。 ーーそれを意識し始めたのはいつ頃からですか? 浅井:15年くらい前から漠然とはわかってたよ。レコーディングの繰り返しだからね。ブランキーのときから30年以上やってるんだもん。「録らないけど、音を作るので1曲やってください」って言われて適当にやるのが、欲がないから一番良かったりするんだわ。そんなことはバンドのほとんどのみんなはわかってるんじゃないかな。体験してると思う。音楽だけじゃなくて、あらゆるところでそういう現象はあると思うけどな。だからサッカーの試合でもそうだったんじゃないかな(笑)。4年前はみんな大して期待してなかったわけじゃん? 期待されてないもんだから、すごい良いところまで行けたでしょう? 今回は逆だもんね。 ーーこれまでに、自分の中で「力が入っちゃって素直じゃなかった」ということはありますか。 浅井:あんまりないかな。頑張ってひねり出したものはあるかもしれないけど、それも素直に頑張ってひねり出しとるでね(笑)。 ーーひねり出す時はやはり、産みの苦しみがある? 浅井:そりゃ、あるよ。やっぱり詩が一番難しいね。曲の展開の部分だとかで悩むときはもちろんあるし。やっぱり、詩とメロディと、全てがよくないと駄目だもんね。演奏力もないといけないし、曲が世の中に出る時期も関係してくるし。だから音楽業界みんな、難しいというか、面白いことをやってる。 ーー作品が世に出る時期の社会の雰囲気なども、浅井さんの音楽に関係してくると? 浅井:そりゃ、自然に関係するよね。みんな同じ今を生きてるんだから。ニュースもみんな同じように見るし、同じ時間を生きてる。不思議ですね。 ーーなるほど。浅井さんの歌詞は時代を超越しているようなところがあって、そうした部分が少年性と評されたりすることもありますがーー。 浅井:少年性とかはよく言われたりするんだけど、自分でそういうのは全然ないと思ってるんだ。俺、全然大人だし、考え方もそこらへんの大人より大人だし。たぶんみんな勘違いしてると思うんだけど、俺は素直なだけなんだわ。素直に自分の気持ちを書くのが、一番いいよ。

腹減ってるときに曲を書いてると、絶対食べ物が浮かんでくる

ーーアルバム最終曲の「ハラピニオ」は、近未来から過去を振り返るというSF的な設定の曲ですね。 浅井:「ハラピニオ」が一番好きかな。コーラスのところが嬉しくなるでしょ? あそこがいいんだ。それと「Parmesan Cheese」が今回の中で「どうだ!」っていう感じかな。 ーーどちらも食べ物に関係しますね。 浅井:腹減ってるときに書いてるとね、絶対食べ物が浮かんでくるんだよ(笑)。ドミノ・ピザのスパイシーデラックス。「ハラピニオをトリプルで」って頼むとすごい乗ってくるよ。 ーー「ハラピニオ」のSF的な場面設定は、浅井さんの音楽の中でも珍しいですよね。 浅井:『マッド・マックス2』の景色が少し入っているかな…あれは。その雰囲気はちょびっとあるかもね。もっと優しいけど(笑)。そんな詩ができるなんて思ってもいなかったけど、なぜかできたから不思議ですね。 ーーこの曲は未来の地点から歌っていますが、『紙飛行機』のように、未来やその先に向けて歌っているような曲もあります。 浅井:今回はそういう曲が2曲も入りましたね。俺もみんなと同じように未来のことは考える。今の社会情勢を見てて、不安を感じない人はいないと思うんだよ。そういう人はよっぽどおめでたい人というか。その中でも、自分たちの意思で変えることは全くないわけじゃないと思う。  自分のことしか考えない魂と、自分はもちろん、目に入るまわりの人達も普通の生活が出来て、良い状態のときに初めて幸せを感じられる魂と、いろんな魂があるじゃん? 後者の魂が地球上にたくさん増えていったら、明るい未来が来ると思うんだけど、自分さえ良ければいいっていう魂が増えれば、最悪になる。ただ、自然界っていうのは、自分さえ良ければいい、というものなんだよね、本当は。だから、自分さえ良ければいい、っていうことを、あからさまに否定することもないのかなとも思う。「人の為」と書いて「偽」って読むでしょ? だから「人のため」じゃなくて、人が喜んでないと自分も喜べないからその人たちを助けるというのは、結局は自分のためじゃん? それがいいと思うんだ。人間でしかできないことだし、そういう考え方が大事だと思う。

体調を整え過ぎると、歌詞が何も出てこなかったりする

ーー今回のコーラスワークなどもそうですが、作品を作るごとに、新しい音楽的な関心や可能性、引き出しのようなものが出てくるのでは? 浅井:いや、毎回出しきっとるよ。俺、引き出し派じゃないんだわ(笑)。よく「あの人は引き出しがたくさんある」みたいな言い方するじゃん? 俺、はじめから引き出しが一個もないから、いつも思いつきでやってるだけだもん。何で引き出しって言葉があんまり好きじゃないかっていうと、引き出しって場所決まってんじゃん? 勉強っぽいし、そういう堅苦しいのが嫌なんだよね。こっちの引き出しはこれだけ、あっちの引き出しはこれだけ。そうやって限度が決まっちゃってるイメージがあるんだ、自分の中で。それが俺、何か違う気がするんだよね。 ーーでは「引き出し」というより、何か新しいひらめきが降りてきた、という感じでしょうか。 浅井:その「降りてくる」っていうのもあんま好きじゃないんだわ(笑)。「降りてくる」ていうと自分が特別な人のような感じじゃん? だから、たまたまできる。 ーー失礼しました(笑)。その「たまたまできる」のに、体調などは関係しますか。 浅井:体調を整えると、なんか健康的っていうか、一般的な言葉しか出てこないこともある。いっぺん一月以上酒やめてて、体調も良くて、そのときに創作活動入るでしょ。そしたら全然自分の中で盛り上がらない。意外と二日間くらい飲み続けてぶっ倒れそうで「もうそろそろ復活しなくちゃ」て思ったときにできたりするね。いつもそうとは限らんけど、そういうときも年に2回くらいある。「よしやるぞ」って立ち向かった時にできる方が多いけどね。でも意外と体をクリーンにし過ぎると何も出てこなかったりするね。だから普通に生きてればいいんじゃないかな。 ーーなるほど、とにかく意識しすぎるのは良くないと。さて今回の作品は、ポップソングとしても完成度の高い曲が多くて、多くのリスナーに届くのではないかと思います。 浅井:届いてほしいね。そういう思いしかないよ。老若男女、誰にでも伝えたい。おじいさんが聴いて「おぉ、えぇがや」って思ってくれたら嬉しいしさ、小学生が聴いてもいいって思われたい。絶対に聴けるよ。世の中めちゃめちゃいっぱい音楽あるけど、そん中でも光っとると思う。 ーー浅井さんはほかのミュージシャンの音楽に刺激を受けたりしますか。 浅井:たまにラジオとかで、かっこいい音楽流れてきたりするよね。刺激的な音楽は絶対あるから、それに俺も刺激受ける。有名なところだとNirvanaやRadio Headも好きだし、Gilbert O'Sullivan、Chris Isaak、The Shocking Blue、The Black Keys、いっぱいいるよ。でも最近の人はあんまり名前を知らないかな。たくさんいるけど、そこまで到達するのは難しい。普段から曲作りに熱中してるとね、そういう時は心の底からプレイヤーになっちゃってるもんで、リスナーの気分にはなかなか戻れないんだわ。自然とそうなっちゃってるんだ(苦笑)。 ーーでは最後に、今回のアルバムのツアーについても教えてください。 浅井:今回は東名阪が椅子席なんですよ。「ゆっくり見たいな」ていう人は是非。前半はこれまでのすべての曲から選りすぐって、アコースティックな世界を表現しようと思っている。後半は、林くんは残念ながら参加しないんだけど、キーボードとバイオリン、皆川さんと岡村さんと、福士さんと椎野さんを迎えて、アルバムの曲をやります。10年ぶりくらいに、夏フェスは一切出ずに、自分の全ての力をこのツアーに注ぎ込む気持ちでやるから、みなさんに是非観に来てほしいですね。 (取材=神谷弘一/構成=松田広宣)
20140710-asai2.jpg

浅井健一『Nancy(初回限定盤) 』(SPACE SHOWER MUSIC)

■リリース情報 『Nancy』 発売:7月9日 価格:3,400(without tax) <収録曲> 1. Sky Diving Baby 2. Stinger 3. Parmesan Cheese 4. 紙飛行機 5. Johnny Love 6. Papyrus 7. 桜 8. 僕は何だろう 9. 君をさがす 10. ラビット帽 11. ハラピニオ ■イベント情報 『Nancy』発売記念 東京限定Live 『Sky Diving Night』 2014年7月10日(木)東京都 赤坂BLITZ 『浅井健一 2014 AUTUMN TOUR「Splash Nancy」 ACOUSTIC & ELECTRIC NIGHT』 2014年9月25日(木)東京都 新木場STUDIO COAST 2014年10月2日(木)北海道 cube garden 2014年10月8日(水)愛知県 DIAMOND HALL 2014年10月9日(木)大阪府 なんばHatch 2014年10月17日(金)福岡県 DRUM LOGOS オフィシャルHP

「大晦日はゆっくり休んでもらいたい」冬コミが6年ぶりに大晦日開催を回避した理由

オタクに"なるほど"面白い!オタクニュース・ポータル「おたぽる」より

1312_comiketsp.jpg
「コミックマーケット87」は、大晦日を避けての開催となる。写真は「コミックマーケット84」の様子。
 今年冬の「コミックマーケット87」の開催が大晦日を避けた12月28~30日になると、夏コミ(コミックマーケット86)の冊子版カタログの発売に併せて公表された。冬コミが大晦日を外すのは、2008年のコミックマーケット75以来6年ぶりの出来事となる。  今回、コミックマーケットを運営するコミックマーケット準備会が大晦日を外した日程を決めたのは、公表されている通り曜日の関係だ。ある関係者は、次のように語る。 「おたぽる」で続きを読む

『ONE PIECE』は“反日”を乗り超えるための書だった?

【本と雑誌のニュースサイトリテラより】
onepiecehannichi_01_140712.jpeg
『ワンピースに学ぶ反日問題』(ヴィレッジブックス)
 韓国で初の開催となる漫画『ONE PIECE』(以下、ワンピース)の企画展が急遽中止となった。新聞・通信各社が7月10日、いっせいに報じた。企画展はソウルの「戦争記念館」で12日から開催予定だった。報道によれば、「原作に旭日旗に似た絵がある」という抗議により、一部を国費で運営されている記念館側がスペースの貸し出しを取りやめたためだという。  この決定は日韓両国にとって非常に惜しむべき事態である。それはたんに文化交流の機会がなくなったというだけではない。その「ワンピース』という作品のなかに、どうも反日や嫌韓・反中を乗り超えるヒントが隠されているらしいからだ。ウソではない。そう書いている本が存在するのである。奇しくも中止劇の約1ヶ月前に出版されたその本の名はずばり『ワンピースに学ぶ反日問題』(ヴィレッジブックス)。著者はフリーアナウンサーの長谷川豊…と聞いて、ページを閉じようとした方は、ちょっと、ちょっと待っていただきたい。  たしかに、長谷川アナといえば、フジテレビ社員時代のニューヨーク駐在中、滞在関係費用を不正使用したとして懲戒処分をうけ、その後も女子アナの裏話を暴露するなど、お騒がせ男として知られている。  しかし一方で、ブログなどで独特の意見と文体を披露してきた長谷川アナは、自らへの批判者をネトウヨと見なして徹底的に糾弾してきた。本書のなかでもネトウヨに対し「ただの卑怯で下品な人間たち」と、容赦のない攻撃を浴びせている。  もしかしたら、彼はネトウヨとの戦いを通じて、日韓・日中の対立を乗り越える方法を見いだしたのではないのか。しかも、今回問題になった『ワンピ―ス』がそれを教えてくれるというのだ。読まないわけにはいかない。

『HARENOVA Vol.03』ライブレポート 「音楽シーンの今日と明日、表と裏を一晩で見渡せる」

140419_harenova2.jpg

【リアルサウンドより】  会社設立40周年を迎えるソニー・ミュージックアーティスツ(SMA)が、4月から7月にかけて展開するライブオーディションシリーズ『HARENOVA』(ハレノヴァ)。その第3回目『HARENOVA Vol.03』が6月18日、渋谷clubasiaで開催された。SMAは奥田民生氣志團YUKI木村カエラ西野カナ等、100組以上のミュージシャン、俳優、タレント、芸人、文化人などが在籍するマネジメントオフィス。この『HARENOVA』は、合計4回の各回から選ばれたアーティストが8月に行われる渋谷TSUTAYA O-EASTのファイナルステージに出演し、そこで選出されたアーティストが9月に行われるSMA主催の日比谷野外音楽堂にオープニングアクトとして出演できるというものだ。 HARENOVA オフィシャルHP:http://sma40th.com/harenova/  リアルサウンドでは前回に続き、イベントにゲストウォッチャーとしても参加した音楽ジャーナリストの宇野維正氏によるライブレポートを掲載する。「HARENOVA」の趣旨についてはこちら。(編集部) ・出演アーティスト スライディングが普通の歩き方 ORIE 被写体X NeruQooNelu BOYS END SWING GIRL オワリカラ(ゲストアクト) ・ゲストウォッチャー 原田公一(ソニー・ミュージックアーティスツ) 豊島直己(ビクターエンタテインメント) 川崎みるく(ソニー・ミュージックレーベルズ/キューンミュージック制作部) 小倉昭彦(ソニー・ミュージックアーティスツ) 宇野維正(音楽ジャーナリスト)

スライディングが普通の歩き方

0710_harenova_1.JPG

 最初のアクトは、2010年に結成された自称「B級ヒップホップ集団」、スライディングが普通の歩き方。いわゆる生音ヒップホップバンドで、2MCにギター、ベース、ドラム、さらにシンセ、サンプラー、サックス、コーラスの総勢9人の大所帯。トバしまくるMC2人と、黙々とグルーブを生み出していくバンドの面々、さらにはステージ上では炊飯器を抱えて謎の動きをしているメンバーもいたりするのだが、そんなカオスも含めて、雑然とした佇まいがこのバンドの持ち味。サックスをフィーチャーしたファンキーでオーガニックなサウンドは、ヒップホップの範疇におさまらないこのバンドだけのオリジナリティを誇っていた。 ■ゲストウォッチャーコメント 原田公一「ヒップホップをやっているからには、もっとお客さんを巻き込んでいくような、攻撃的な姿勢を見せてほしかった。ステージで照れくさそうにやっているのが気になりましたね」 小倉昭彦「特に1曲目の『Panic Panic』はジェットコースターみたいな曲調でスリリングで面白かったです。ただ、パフォーマンスはもっとガツンとやってほしいな(笑)」

ORIE

0710_harenova_2.JPG

 2番目のアクトは、平均年齢19歳、都内のライブハウスを中心に活動しているORIE。男女による掛け合いボーカル(曲によってはベースのわかつきがリードをとって、ギターのマツカワイクトがコーラスを歌う)という最近のバンドにおいては珍しいスタイルで、その特徴を活かしたキャッチーなメロディと清冽なギターサウンドが特徴。また、独特の言語感覚による繰り返しの多い歌詞も印象に残る。結成から間もないこともあって、バンドの統一感、オーディエンスの盛り上げ方などライブパフォーマンスの見せ方においてはまだ課題が残るものの、化ける可能性は大いにアリ!? ■ゲストウォッチャーコメント 豊島直己「すごく雰囲気のあるバンドで、正直『いい!』と思いました。ただ、まだ演奏面の力量が追いついてないところがあって。特に2本のギターのアンサンブルなどに研究する余地があると思いました」 川崎みるく「わかつきさんのボーカルは女の子なのにミドルがしっかりしていて、マツカワさんのボーカルは男の子なのにハイがキレイな声で。二人の声が重なるところはすごく魅力的なんだけど、オイシイところが近い声でもあるので、曲によってはキーを変えるとか、まだまだ工夫のし甲斐があるんじゃないかな」

被写体X

0710_harenova_3.JPG

 3番目のアクトは、2010年に都内で前身バンド結成、翌2011年に現在のピアノトリオ編成となった被写体X。女性ボーカルをメインとするいわゆる「聴かせる」タイプのピアノトリオではなく、カオティックなピアノの旋律とタイトなリズム隊が織りなす、予測不可能でスリリングな楽曲構成がインパクトを生んでいる。各メンバーのプレイヤビリティも高く、曲の途中でいきなり激しくなるなど、聴かせ所を押さえた緩急自在な演奏も見事。最もポップで素直なメロディが鳴らされていた4曲目の「メリーさん」からは、このバンドの大きな可能性を垣間見ることができた。 ■ゲストウォッチャーコメント 宇野維正「音楽的なスキルの高さとその完成度に驚きました。ただ、意図的にそういう選曲にしたのかもしれませんが、今日はテンポの早い曲ばかりだったので単調さがちょっと気になりました。ゆったり目の曲も是非聴いてみたい」 小倉昭彦「アバンギャルドとポップの間を行き来しているんですけど、アバンギャルドに寄りすぎている曲もあったりして、ちょっと頭でっかちなところを感じました。とてもいいキラキラしたメロディも持っているバンドなので、もっといいバランスがあるんじゃないかな」

NeruQooNelu

0710_harenova_4.JPG

 4番目のアクトはNeruQooNelu。昨年結成されたばかりながら、一朝一夕に身に付くわけがない飛び抜けたセンスを誇る、プロフィールに謎の多いバンド。その音楽性はピクシーズ、あるいは女性ボーカルという意味ではそのメンバーのキム・ディールが結成したブリーダーズを思わせるような90年代USオルタナティブロック。しかも、その最上級のヤツ。「それを今の日本で鳴らす意味は?」なんて疑問も頭をよぎるが、聴いているうちにサウンドのあまりの気持ち良さにどうでもよくなってしまう。ウソかホントか「海外進出も計画している」とのことだが音のクオリティ的にはそれにも頷ける、メンバーのキャラクターもそれぞれ別々のベクトルで濃い、とにかく異色のバンドだった。 ■ゲストウォッチャーコメント 豊島直己「グルーブもあって、サイケデリックで、非常に楽しめました。ただ、どこかで聴いたことがあるようなメロディもあったりして、オリジナリティの部分で気になるところはありましたね」 宇野維正「日本のバンドにはなかなかいない自然なサイケデリック感があって、どうしてそれを身につけることができたのか気になりました。音楽マニアにとって『あのバンドいいよね』ってところまでは確実にいけるバンド。ただ、それ以上を目指すには、何かが必要な気がします」

BOYS END SWING GIRL

0710_harenova_5.JPG

 5番目のアクトは、千葉の成田からやってきた全員20歳の4人組バンド、BOYS END SWING GIRL。変化球的なバンドが多かったこの日にあって、最も真っ直ぐなギターバンド。コーラスの入り方やギターのアンサンブルも、同時代のロックをよく研究している跡がうかがえて、オリジナリティには欠けるきらいはあるものの非常に高い完成度を持っていた。ステージの上に立った4人の様になっている姿、そして「僕らは音楽の世界で日本代表になりたい」と自分たちの夢を語る熱いMCも印象的。「即戦力」という言葉が頭をよぎった。 ■ゲストウォッチャーコメント 川崎みるく「とても真面目に、高いところを目指しているバンドだということが伝わりました。アドバイスをするとしたら、自分たちの悪いところをみつけて反省したりするのではなく、いいところを伸ばしていくことだけを考えた方がいいと思います」 原田公一「ボーカルもいいし、バンドのアンサンブルもいいし、オーディエンスへのアピールの仕方も良かったし、とてもいいバンド。ただ、競合するバンドがとても多い場所にいるので、特に歌詞の面では、わかりやすいだけじゃない深みのようなものがほしい」
0710_owarikara.JPG

 この日は、最後にゲストアクトとしてオワリカラが登場。2010年に『ドアたち』でアルバムデビューして以来、その圧倒的なライブパフォーマンスでロックシーンにおいて頭角を現した、日本発の独自のサイケデリックロックを鳴らすバンドだ。「自分はバンドでオーディションを受けたりとかデモテープを送ったりした経験がなくて、こういう場に立っているのが不思議な感じがする。だから、今日はゲストというよりはチャレンジャーのつもりで挑ませてもらっています」と語るフロントマンのタカハシヒョウリ。その言葉の通り、彼らの初期の代表曲「団地」では、彼らにとって初めての試みとなる映像と音をシンクロさせたパフォーマンスを披露。フロアいっぱいのオーディエンスにとって、嬉しいサプライズとなった。  前回のHARENOVA Vol.02に続いて、この日もいわゆる通常のオーディションイベントやショーケースライブとは違って、各バンドの強烈な個性がぶつかりあってステージ上が特別な空気に包まれていたHARENOVA vol.3。オーディエンスも、MC陣(今回は土岐麻子が参加して、その的確かつユーモア溢れるコメントで会場の空気をあたためてくれた)も、そしてゲストウォッチャー陣も、このユニークで刺激に満ちたイベントの楽しみ方をそれぞれが自由に見つけるようになってきた。「想像していた以上に出演バンドがバラエティに富んでいて、本当に楽しめました。4曲、5曲聴けると、バンドの個性がわかりますよね」(豊島直己)。「キュレーターとしての冨永周平さん(HARENOVA制作チーフ)の個性がすごく出ているイベントで、そこがとても興味深かったです。主催者の『このバンドを見せたい!』という気持ちが伝わってくるところが他のイベントと最も違うところですね」(川崎みるく)。「HARENOVAを観るのは2回目ですけど、イベントの性格がよりはっきりしてきましたね。今はメジャーのバンドも『ライブで何ができるのか?』というところでみんな頑張っている時代だから、ライブバンドとしてのポテンシャルを知る上でこういうイベントはとても意味があると思います」(小倉昭彦)。  渋谷clubasiaでの開催は次回の7月16日がラストとなるHARENOVA(8月にはTSUTAYA O-ESTでFINALを開催)。ゲストアクトの住岡梨奈は、堂島孝平率いるバンド編成でのステージを準備をしているとのこと。日本の音楽シーンの今日と明日、表と裏を一晩で見渡すことができるユニークなイベントHARENOVA。あなたも参加してみては? (取材・文=宇野維正/撮影・Ohagi) ■ライブ情報 SMA 40th presents NEXT NEW LIVE SERIES 『HARE NOVA ハレノヴァ Vol.04』 7月16日(水) 東京・渋谷 clubasia (開場18:00 / 開演18:30) 出演(50音順) ShiLock 中村佳穂 BELLRED Marmalade butcher もしもしくじら ・ゲストアクト 住岡梨奈 Gt: 堂島孝平 Dr: 小松シゲル (NONA REEVES) B: 須藤優 (ARDBECK,U&DESIGN) Key: 渡辺シュンスケ (Schroeder-Headz,cafelon) ・MC 木村ウニ (蜜) 冨永周平 (ソニー・ミュージックアーティスツ 「HARE NOVA」) 前売¥2,000 / 当日¥2,500 (税込・ドリンク代別・整理番号付・オールスタンディング) Pコード:229-706 http://pia.jp/t/harenova/ セブンイレブン店頭の端末で直接ご購入いただくと、システム利用料¥210/枚がかかりませんので、そちらもご利用ください。 SMA 40th presents NEXT NEW LIVE SERIES 『HARE NOVA FINAL !!!!!』 8月28日(木) 東京・渋谷 TSUTAYA O-EAST (開場17:30 / 開演18:00) http://shibuya-o.com/category/east ゲストアクト UNISON SQUARE GARDEN http://unison-s-g.com/ 前売¥2,500 / 当日¥3,000 (税込・ドリンク代別・整理番号付・全自由) チケット一般発売日:2014年7月16日(水) 10:00~ Pコード:236-830 http://pia.jp/t/harenova/ セブンイレブン店頭の端末で直接ご購入いただくと、システム利用料¥210/枚がかかりませんので、そちらもご利用ください。 ■原田公一:1977年より南佳孝のマネジメントを担当。その後、UNICORNPUFFYほか多くのアーティストに携わる。現・ソニー・ミュージックアーティスツ取締役。 UNICORN オフィシャルHP:http://www.unicorn.jp/ PUFFY オフィシャルHP:http://www.puffy.jp/ ■豊島直己:株式会社JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント制作本部副本部長。 ■川崎みるく:キューンミュージックで多くのアーティストの制作を手がける。現在はシナリオアート、BLUE ENCOUNTを担当。 シナリオアート オフィシャルHP:http://www.scenarioart.jp/ BLUE ENCOUNT オフィシャルHP:http://blueencount.jp/ ■小倉昭彦:ソニー・ミュージックアーティスツにて西野カナ、片平里菜ほかマネジメントチーフを担当。 西野カナ オフィシャルHP:http://www.nishinokana.com/ 片平里菜 オフィシャルHP:http://www.katahirarina.com/ ■宇野維正:音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter