【リアルサウンドより】
会社設立40周年を迎えるソニー・ミュージックアーティスツ(SMA)が、4月から7月にかけて展開するライブオーディションシリーズ『HARE NOVA』(ハレノヴァ)。その第4回目『HARE NOVA Vol.04』が7月16日、渋谷clubasiaで開催された。SMAは
奥田民生や
氣志團、
YUKI、
木村カエラ、
西野カナ等、100組以上のミュージシャン、俳優、タレント、芸人、文化人などが在籍するマネジメントオフィス。この『HARE NOVA』は、合計4回の各回から選ばれたアーティストが8月に行われる渋谷TSUTAYA O-EASTのファイナルステージに出演し、そこで選出されたアーティストが9月に行われるSMA主催の日比谷野外音楽堂にオープニングアクトとして出演できるというものだ。
HARENOVA オフィシャルHP:
http://sma40th.com/harenova/
リアルサウンドでは前回に続き、イベントにゲストウォッチャーとしても参加した音楽ジャーナリストの宇野維正氏によるライブレポートを掲載する。「HARE NOVA」の趣旨については
こちら。(編集部)
・出演アーティスト
ShiLock
中村佳穂
Marmalade butcher
BELLRED
もしもしくじら
住岡梨奈(ゲストアクト)
・ゲストウォッチャー
中山道彦(ソニー・ミュージックアーティスツ)
堂島孝平(ミュージシャン・音楽プロデューサー)
大森ゆかり(ソニーミュージックアーティスツ)
寺林拓人(ユニバーサルミュージック ZEN MUSIC)
宇野維正(音楽ジャーナリスト)
ShiLock
2014年1月に結成されたばかりの4人組バンド、ShiLock。全員現役の大学生で、メンバーの平均年齢は20歳。ハードロックをベースにしたシンプルで骨太の楽曲、真っ直ぐな歌詞。まさに正統派ロックバンドと呼ぶに相応しい彼らは、この日のステージでも時折オーディエンスを煽りながら堂々としたパフォーマンスを披露してくれた。タンクトップ姿で歌い上げるボーカルのCameron、フライングブイでギターソロをかき鳴らすギターのSada。ベタと言えばこれ以上なくベタだが、そこにはベタであることを突き詰めようという覚悟が伺えた。
■ゲストウォッチャーコメント
中山道彦「日本のバンドシーンって、こういう正統派のバンドが異端だったりするんですよ。だけど、こういうバンドは売れる時はものすごく売れるので、諦めずに続けてほしい。このバンドにしか出せない個性を出せた時に、正統派であることが活きてくると思います」
寺林拓人「ボーカルのCameronくんが非常にイケメンだなぁと(笑)。そのカッコよさをステージ上でどのようなパフォーマンスをすれば映えるのか研究していけば、それが個性や音楽のバリエーションにもつながっていく気がします」
中村佳穂
くるり岸田繁や高野寛から賞賛され、既に一部の音楽好きの間で話題となっている京都の現役女子大生シンガーソングライター、中村佳穂。5月31日に1stミニアルバム『口うつしロマンス』もリリースされたばかり。小柄な身体からは想像もできないほど時に激しくエモい歌声と、独創的なピアノ演奏(とゲスト参加したスティーヴ エトウの見事なパーカッション演奏)、自分のことや目の前の状況を即興的に弾き語っていくその圧倒的なパフォーマンスに、オーディエンスもゲストウォッチャーも一様にどよめいていた。曲の途中で
小沢健二「今夜はブギーバック」の一節が飛び出すなど遊び心も満載。
■ゲストウォッチャー
堂島孝平「前代未聞ですね。素晴らしかったです。ライブを観ているというより、演劇を観ているような気持ちになりました。一瞬でも聴き逃したら、見逃したらいけないというパフォーマンスでした。(東京で)友達を見つける前に、いいマネージャーを見つけてください(笑)」
宇野維正「本当に凄味のあるアーティストで、感性と理性のバランスも素晴らしい。ただ、今ちょっと才気走り過ぎている感があるので、じっくり聴かせる美しい曲とトリッキーな曲のコントラストをよりはっきりつけたら、さらに良くなると思いました」
Marmalade butcher
2010年に始動、2012年からライブ活動をスタートさせた、「モテるインスト」をモットーとする4人組インストゥルメンタル・バンド、Marmalade butcher(通称「マ肉」)。中心人物にえぬはアイドルに楽曲を提供するなど、コンポーザーとしても活動している。オルタナティブロックというよりは、近年の高速Jロックと親和性の高い疾走感のある演奏。この日のステージでは、当日のMC木村ウニ(蜜)が参加して、バンドにとって初めての歌モノカバー(レベッカ&アン・ルイス)も披露。途中、あまりの激しさに弦が切れるなどのトラブルもあったが、最後まで全速力で走り切った。
■ゲストウォッチャー
大森ゆかり「すごいパワフルな演奏でカッコよかったです。ライブの見せ方としては、映像とシンクロさせるとか、ビジュアル面でもう少し統一感を持たせるとか、そういう工夫を加えたらより良くなると思いました」
堂島孝平「『モテるインスト』がモットーで、誰一人モテる感じがしないというのが最高ですね(笑)。ちゃんとフリとボケができている。そういうキャラクターがお客さんにもっと伝わるようになったら、より面白くなるんじゃないかな」
BELLRED
メンバー全員が楽器を演奏し、メンバー全員が交互にリードボーカルをとる4人組のアコースティックポップスバンド。実はこのBELLRED、それぞれ別のバンドのフロントマンやシンガーソングライターとして活動する4人が集まったグループなのだ。「ポップ」ではなくて「ポップス」であるのがポイントで、ステージ上ではディズニー『アラジン』でお馴染みの「ホール・ニュー・ワールド」のカバーまで披露。比較的ロック色の強いHARE NOVAにおいては異色の存在だったが、各メンバーのキャラクターやそのユニークなやり取りなども含め、将来的には化けそうな予感も。
■ゲストウォッチャー
寺林拓人「パフォーマンスとしては素晴らしかったです。ただ、見ていて『楽しそうだな』とは思うんですけど、まだ『楽しいな』と思うところまではいかない。そこにいくのが次のステップだと思います」
堂島孝平「もっと自分たちの持ち味を活かす見せ方があるような気がします。たとえば最初から最後までショウっぽくするとか、そういう思いきった演出をしてみたらおもしろいかもしれませんね」
もしもしくじら
女子3人+男子ドラマーという平均年令19才の4人組バンド、もしもしくじら。前身バンドは2011年に結成とのことだが、現ラインナップとなったのは昨年12月。今年3月から都内ライブハウスを中心に本格的に活動を始めたという、まだ生まれたてホヤホヤのバンド。ボーカルさかきばらあゆみの個性的で無垢な歌声と、オールディーズロックンロール的なタメ感のあるグルーブが持ち味。
チャットモンチーを通り越して
少年ナイフまで想起させるような、ステージ上でのほんわかとした独特の佇まいは大きな武器になりそう。
■ゲストウォッチャー
大森ゆかり「まだ荒削りなところもありますけど、将来すごく大きなステージで演奏している光景が目に浮かびました。女性アーティストというのはみんな自己プロデュース能力が高いので、その面をこれから磨いていってください」
中山道彦「僕のタイプのバンドです(笑)。ただ、女性ボーカルのバンドがたくさんいる中で、どう差別化していくかというのが大事。まだ憧れの方が、表現よりも先に立っているような感じがしました」

最後にゲストアクトとしてステージに立ったのは、デビューからちょうど2周年を迎えるシンガーソングライターの住岡梨奈。この日は、ゲストウォッチャーとしても登壇した堂島孝平がギター&バンマスを務める、ドラムに小松シゲル(NONA REEVES)、ベースに須藤優(ARDBECK, U&DESIGN)、キーボードに渡辺シュンスケ(Schroeder-Headz, cafelon)という豪華メンバーによるスペシャルバンドと共に超ハイクオリティなパフォーマンスを展開。セットの終盤では彼女が注目されるきっかけとなった「テラスハウス」のテーマ曲でもあるテイラー・スウィフト 「We Are Never Ever Getting Back Together」の見事なカバーも披露して、オーディエンスを大いに沸かせてくれた。
今回のvol.4で渋谷clubasiaを会場とするマンスリーステージのHARE NOVAはラスト。4回目の今回も驚くほどバリエーションに富んだバンド/グループ/ソロアーティストがステージに登場して、オーディエンスを5者5様に楽しませてくれた。
「今回は即戦力というよりも、いろんなタイプの素晴らしい素材と出会えた回でしたね。改めて思ったのは、こういう才能たちをどう導いていくのかという点で、プロデューサーは必要だなってことでした。もちろん、中にはそういう存在がまったくいらないような人もいますが、レコード会社やマネージメントにしかできないことというのは、まだまだたくさんあるんじゃないかな」(中山道彦)
「特に今日は出演者のみなさんが若くて、本当にいろんなジャンルで新世代のアーティストが次から次へと出てきているんだなぁと。生の現場を存分に感じることができてとてもワクワクしました」(大森ゆかり)
「若い才能が集まるこういう場を作るということは、とても意味があることだと思いました。きっと出演者にとっても、同世代が多かったこともあって、とても刺激になったんじゃないでしょうか」(寺林拓人)
「今日はみんなのステージを見ていて『負けたくない!』とギラギラしてきました(笑)。みんなこれからもたくさんの発見をしていって、より大きくなっていくと思います。音楽には完成形というのはなくて、いつまでも未完成なものだと思うから」(堂島孝平)
今年4月から始まったHARE NOVAも、残すは8月28日に渋谷TSUTAYA O-EASTでのファイナルステージのみ。ファイナリスト6組も発表された。これまでHARE NOVAに参加してきた人は自分の推しバンドの急成長ぶりを、まだ未参加の人はいきなり選りすぐりのバンドたちだけのステージを目撃するチャンス。オープニングアクトにnicoten、ゲストアクトとして
UNISON SQUARE GARDENが登場。渋谷TSUTAYA O-EASTで待ってます!
(取材・文=宇野維正/撮影・Ohagi)

『HARE NOVA FINAL !!!!!』に出演するUNISON SQUARE GARDEN
■ライブ情報
SMA 40th presents NEXT NEW LIVE SERIES
『HARE NOVA FINAL !!!!!』
8月28日(木) 東京・渋谷TSUTAYA O-EAST(開場17:30/開演18:00)
前売¥2,500/当日¥3,000(税込・ドリンク代別・整理番号付・全自由)
・出演
フィッシュライフ
絶景クジラ
BOYS END SWING GIRL
もしもしくじら
Shout it Out
橋鼠
・オープニングアクト
nicoten
・ゲストアクト
UNISON SQUARE GARDEN
Pコード:236-830
http://pia.jp/t/harenova/
チケット一般発売日:2014年7月16日(水)10:00~
セブンイレブン店頭の端末で直接ご購入いただくと、システム利用料¥210/枚がかかりませんので、そちらもご利用ください。
■中山道彦:株式会社ソニー・ミュージックアーティスツ代表取締役社長
■堂島孝平:1995年に18才でデビュー以来、常に「挑戦」と「発明」を続ける、21世紀ポップミュージックの旗手。最新アルバム「フィクション」発売中!
オフィシャルHP:
http://djkh.jp/
■大森ゆかり: ソニー・ミュージックアーティスツにてフジファブリック、マネージャーを担当。
フジファブリック オフィシャルHP:
http://www.fujifabric.com/
■寺林拓人:ユニバーサルミュージック ZEN MUSICでこれからデビューの新人を準備中。
■宇野維正:音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。
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