かりゆし58はバンドと人生をどう結びつけてきたか?「必要なのは“欲しいものを取りに行く”姿勢」

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【リアルサウンドより】  かりゆし58がニューアルバム『大金星』を完成させた。“今を生きる”をテーマにした先行シングル「Oh!Today」BEGINの島袋優をプロデューサーに迎えたバラードナンバー「生きてれば良い事あるみたいよ」を含む本作には、リスナーの人生に寄り添うような楽曲を生み出してきた彼らの本質がさらに強く刻まれている。  今回はメンバー全員にインタビュー。『大金星』の制作過程、バンドが目指す将来像などについて語ってもらった。

「どんな曲にも必ず良い部分があるし、“それを見つけて、育てる”」(前川)

――新作『大金星』は、人間に対する温かい視線に満ちた、かりゆし58らしいアルバムだと思います。前川さん以外のメンバーも曲作りに参加した『8』(5thアルバム)を経て、さらに音楽性が深まってますよね。 前川真悟(以下、前川):ありがとうございます。アルバムのコンセプトは2月の段階で決まってたんですよ。“自分の近くにいてくれる人の愛しさだったり、大事にしたいという姿勢をそのまま歌にしたい”っていう話をメンバーにして、そのテーマでそれぞれが曲を書いて。ボツ曲がない状態で制作が進んでいったんです。自分たちが組んだスケジュールから遅れることは一度もなかったし、いいペースでしたね、ホントに。 ――制作が順調に進んだのは、どうしてだと思いますか? 前川:それぞれのスキルアップもあるんですけど、いちばんデカいのは(楽曲制作の)取り組み方を変えたことだと思います。まず、俺、(宮平)直樹、(新屋)行裕が曲を書いて、それを持ち寄るんですね。デモのクオリティはいろいろですけど、その場で“これはパッとしない”って捨ててしまうんじゃなくて、1曲1曲、丁寧に育ててみようと思って。以前は30曲も40曲もデモを作って、それをふるいにかけてたんですよ。でも、どんな曲にも必ず良い部分があるし、“それを見つけて、育てる”というふうに作り方を変えたんです。  たとえば“自分の子供をプロ野球選手にしたい”と思ってる親がいるとするじゃないですか。“生まれたときの体重が1800gだったから、フィジカル的に無理”とか、幼稚園くらいで“足が遅いからダメ”って決め付けてしまったら、バットの持ち方も知らないうちに可能性がなくなってしまう。曲作りも同じで、名曲の匂いがしないからって諦めるんじゃなくて、良い部分に目を向けて、育てるほうがいいんじゃないかって。そうすることで、自然とボツ曲がなくなっていったんです。 ――実際、ひとつもボツ曲がなかったんですか? 新屋行裕(以下、新屋):そうですね。最初は13曲入る予定だったんですけど…」 前川:これも初めてだったんですけど、(先行シングル)『Oh!Today』のカップリングに入ってた「フリーなり」をアルバムに入れようって洋貴が言い出して。 中村洋貴(以下、中村):ライブで盛り上がりそうな曲だから、アルバムにも入れておけば、聴いてもらえるかなっていう。あと、今回は久しぶりに沖縄でレコーディングしたんですよ。リズム録りが中心で、あとはギターとコーラスを少し録ったくらいなんですけど、それがすごく良くて。 ――どうして今回、沖縄で録ることになったんですか? 前川:ずっとやりたいって言ってたんですよ、特に(中村)洋貴が。 中村:(笑)気持ち的な問題もあったんですよね。リラックスして録ってみたいっていう。東京だと、どうしてもガチガチになってしまうんで。 前川:いちばん体力を使うのはドラムですからね。洋貴は単身赴任みたいな感じで東京に来てるんですけど、泊まるところがガガガSPさんと同じだったりすることもあって(笑)。まわりの環境も島(沖縄)とは対極だし、そこはやっぱり違いますよね。 新屋:沖縄のスタジオ、(中村)の家にも近かったしな。 中村:リラックスして、いいテイクが録れました(笑)。レコーディングも早かったし。 宮平直樹(以下、宮平):オンとオフをはっきり分けられるんですよね、沖縄は。レコーディングは7時くらいまっで、その後はごはん食べたり、飲みに行ったりして。 中村:けっこう遊んでたもんな(笑)。 前川:行裕がソファで寝てるところを何度も見ました(笑)。ちょうどワールドカップの時期だったし。 新屋:基本的にはリズム録りだけだから、やることがないんですよ(笑)。毎日スポーツバーに行って、サッカー見て…。 前川:一応、スタジオには来るっていう誠意を見せて(笑)。でも、モノづくりを楽しめる環境はいいですよね。

「“そもそも、音楽にメッセージなんて必要か?”みたいなことを思って」(前川)

――その空気はCDにも確実に反映されていると思います。 前川:あと、もうひとつ“いいな”と思ってることがあって。このアルバムの4番バッター的な存在になってる「愛を信じてる」は直樹の曲で、俺が“一生大事にしたい”と思ってる「生きてれば良い事あるみたいよ」は行裕の曲なんですよ。 ――「愛を信じてる」は大きな広がりを感じさせるラブソングですね。 宮平:僕はあまり歌詞を書かないので、曲調とかメロディが主なんですけどね。この曲を書いたときは、洋楽っぽくて、デッカイ感じの曲にしたいと思ってました。 前川:直樹はいままで(デモの段階では)メロディを鍵盤で弾いたりしてたんですけど、“何でもいいから、歌詞を書いてみたら”って言ったんです。そのなかに“無限”という言葉があって、それがこの曲のメロディにすごく合ってたんですよね。語感もいいなって思ったし、直樹のデモに秘められていたものが、歌詞にも活かされてるんですよ。こういうふうに真っ直ぐ愛を歌うことを避けてた時期もあったんですけど…。 ――どうしてですか? 前川:“そもそも、音楽にメッセージなんて必要か?”みたいなことを思って。俺がお客さんだったら、母親のことを歌った曲を聴いて、気分が上がるかな? とか。でも、最近は“愛とか夢なんて言ってても、しょうがない”みたいな雰囲気があって、それは良くないなって思ったんですよね。愛や夢でお腹がいっぱいにならないのは確かだけど、それを言うことがファッションみたいになってるというか。だったら、思い切り愛や夢を歌って、突き抜けるほうがカッコいいな、と。 ――なるほど。「生きてれば良い事あるみたいよ」はどんなテーマで制作したんですか? 新屋:勝手に“ACの広告でこういう曲が流れてたらいいだろうな”って(笑)。歌詞を書いているうちに“悩んでいる人が聴いたときに、力になれるような歌にしたい”って思ったんですよね。ライブに来てくれる人もたぶん、いろいろと悩みがあるだろうし、“自分が好きなアーティストのライブに行って、こんなことを歌ってくれたら嬉しいだろうな”と。いちばん、お客さんの立場になって書いた曲かもしれないですね。あとはもう、優さん(プロデュースを担当したBEGINの島袋優)のおかげです。 前川:すごく愛情を持って接してくれるんですよね、優さんは。この曲のギターソロは勝さんと行裕が同時に録ってるんですよ。ブースのドアを開けっ放しにして、“どっちかが間違ったら、もう1回ね”っていう。 新屋:すごくいいレコーディングでした。 前川:しかもこの曲、もともとは行裕が歌うはずだったんです。でも、他の曲の作業をしているときも、ずっとこの曲のことが頭に浮かんでしまって。“一生大事にするから、歌わせてください”って告白したら、“いいよー”って(笑)。 ――アルバム全体を通して、演奏も生き生きしてますよね。 前川:最近、ベースを弾くのが楽しいんですよ。たぶん、他のメンバーも演奏するのが楽しくなってきてると思うんですけど。 中村:確かに最近は楽しいですね。全体のグルーヴも良くなってる気がします。 前川:以前はいろんなことが気になってたんですよね。縦のリズムが揃わないとか、歌うとベースが走る(速くなる)とか。いまは足りないところよりも、良いところを見るようにしてるんですよね。 ――楽曲制作の話にも通じてますね、それは。 前川:そうなんですよね。だから、ヘンにビクビクしなくなってるんですよ。たとえば行裕のギターソロのとき、機材トラブルで音が出なくなったとしても、バッキングだけループさせて場を繋いだり。あと、いきなり直樹に“あとひと回し、ギターソロ弾いて”って無茶ぶりしたりとか。 宮平:ハプニングを楽しめるようになってきました(笑)。

「誰かが喜んでくれたときじゃないと、俺らはお金をもらえない」(前川)

――タイトル曲の「大金星」についても聞かせてください。この曲にはラーメン屋を始めた友達の話が出てきますが、最後の「大洋と太陽のBBQパーラー」にも「今度お前に食わせたいラーメンがあるんだ おれの友達がやってる店なんだ」という歌詞がありますね。 前川:その2曲は両方ともホントの話なんですよ。ラーメン屋のほうは兄弟みたいに仲良くしてる大阪の友達なんですけど、もともとは格闘技をやっていて、網膜剥離になってしまったんですね。その後、グレーゾーンの仕事をしてたんだけど、好きな人が出来て、その人といっしょになるためにラーメン屋で修業して、店を始めて。カウンターだけの小さな店なんですけど、開店した年に食べログでラーメン・オブ・ザ・イヤーに選ばれたんですよ。「大洋と太陽のBBQ」は沖縄の友達の話で、アパレル関係の仕事をしてたんだけど、“大量生産で、ただモノを流しているだけの仕事が嫌になった”って言って。お客さんと1対1で向き合える仕事をして、それを子供に見せたい”ってバーベキュー屋を始めたんです。 ――かりゆし58も最初は“人生をまともなものにするために音楽を始めた”って言ってましたよね。 前川:どうにか辞めないで続けてます(笑)。何が大事なのか、分からなくなったこともありますからね。人生をまともにしようと思って始めた音楽なのに、活動が上手くいきはじめると、家族と過ごせる時間が減ってしまったり…。いまは良いバランスでやれてると思いますけどね。 ――独自のポジションを築いてますからね、かりゆし58は。ここ数年はバンドの数も増えて、競争も激しくなってると思うんですけど、いわゆるバンドシーンとは一線を画しているというか。今後のビジョンについては、どんなふうに考えているんですか? 前川:それは“バンドとして、どう階段を上っていくか?”っていうことですよね。ちょうど昨日、そのことをずっと考えていて、朝まで寝れなかったんですよ(笑)。まず、もともとのモチベーションとして“天下を取ってやる”とかは思ってないんですよね。以前、“武道館を目指そう”という話が出たときも、ぜんぜんピンと来ないというか、どうしていいかわからなくなったし。何なら、行裕なんか人前に出るのも苦手ですからね。 新屋:苦手です(笑)。 前川:バンド自体は絶好調なんですよ、いま。曲作りも順調だし、ライブも楽しいし。この状態を続けていくために必要なのは“欲しいものを取りに行く”という姿勢だと思うんですよね。メンバーだけじゃなくて、バンドに関わってくれる人たちにも、それぞれ必要なものがあると思うんですよね。たとえば“来年、車検がある”とか家のローンのこととか、両親が認知症になったとき、良い施設に入れてあげるための頭金を貯めたいとか。それを書き出して、それをペイするためには、どうしたらいいか?って考えるのがいいんじゃないかって。そうすると“じゃあ、何枚くらいCDが売れればいいのか”とか“これくらいの規模のツアーをやって、物販の売り上げはこれくらいで…”っていうのも分かってくるじゃないですか(笑)。 ――すごいですね、それ。バンドと人生が密接しているというか…。前川さんはテレビのバラエティ番組にも出演してますが、あれはやはり、バンドの知名度を上げるため? 前川:というより、“いろんなことにチャレンジしてみよう”というほうが強いですね、最近は。そう思ってからは、テレビに出てもそんなに緊張しなくなったし。 宮平:めっちゃ見てますよ、真悟がテレビに出るときは(笑)。 前川:(笑)最近は自分でも見るようになりましたね。で、“こういうふうに言えば良かったな”って思ったり。もちろん、タレントさんや芸人さんと張り合うつもりはぜんぜんないんですけど、声をかけてもらえるんだったら、真剣にやってみようと思って。 ――なるほど。 前川:しかも、こういうエンターテインメントでもらえるお金って、すごくキレイじゃないですか。誰かが喜んでくれたときじゃないと、俺らはお金をもらえないわけだから。CDを聴いてくれる人、ライブに来てくれる人に喜んでもらうためにがんばって、お金をもらって…。 ――人生が豊かになって。 前川:そんなに素晴らしいことはないなって思うんですよね、ホントに。 (取材・文=森朋之)
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かりゆし58『大金星(完全限定初回生産盤)』(Pacific Records)

■リリース情報 『大金星』 発売:2014月10月8日発売 価格:完全限定初回生産盤CD+BOOK+DVD ¥3,800(税抜)    通常盤 ¥2,500(税抜) <CD収録楽曲> 01. 大金星 02. Oh! Today 03. 青の道しるべ 04. 愛を信じている 05. RRC 06. E.D.O Dance 07. アットホーム 08. 生きてれば良い事あるみたいよ 09. いいよ最高 10. フリーなり 11. 南風になれ 12. 今ならここに 13. きっと雨は降らないでしょう 14. 大洋と太陽のBBQパーラー [BOOK] ▽メンバーが"会いたい人"との対談企画 前川真悟(Vo/B) × 島袋優(BEGIN) 新屋行裕(G ) × May'n 中村洋貴(Dr) × 内間政成(スリムクラブ) 宮平直樹(G) × 宮平勝也(ROACH) ・地元沖縄南部紹介 愛する地元糸満など南部の名所、美味しいお店をメンバーが紹介。 ・メンバーが語るアルバムへの思い 一致団結で作り上げた今作への思いを各メンバーが語る超ロングインタビュー。 <DVD収録内容> ・"Oh! Today"ミュージックビデオ ・"愛を信じている"ミュージックビデオ ・ファンクラブLIVEダイジェスト映像 ・撮影風景、BOOK撮影風景、対談風景などのオフショット <特典内容> ●TOWER RECORDS限定特典 特典CD「かりゆしラジオその2」 アルバム「8」購入者特典として大好評だった「かりゆしラジオ」の続編が登場! ・配布店舗 タワーレコード全店 タワーレコードオンライン ●HMV、Loppi、エルパカ限定特典 スペシャルDVD 新曲「大洋と太陽のBBQパーラー」MV風ムービー 監督・演出・出演:かりゆし58 ・配布店舗 ローソン・ミニストップ店内Loppi/HMV全店 HMVオンライン ●TSUTAYA RECORDS限定特典 「かりゆし58プレミアムプレゼント応募ハガキ」 A賞:ツアーバックステージご招待 B賞:沖縄県豊見城市の観光大使「かりゆし58」が選ぶ直筆サイン入り沖縄グッズ ※公演情報などの詳細は後日HPにて発表予定!! ●全チェーン共通特典(上記3チェーン除く) 「大金星かりゆし」ステッカー ■ライブ情報 『☆ハイサイロード~大金星~2014-15』 11月7日(金):東京 赤坂BLITZ 11月12日(水):北海道 札幌ペニーレーン24 11月14日(金):宮城 石巻BLUE RESISTANCE 11月16日(日):宮城 宮古COUNTER ACTION 11月18日(火):秋田SWINDLE 11月20日(木):宮城 仙台darwin 11月22日(土):新潟 NEXS NIIGATA 11月23日(日):長野 CLUB JUNKBOX 11月25日(火):石川 金沢EIGHT HALL 12月9日(火):静岡 浜松窓枠 12月11日(木):岐阜 CLUB-G 12月12日(金):愛知 名古屋ダイアモンドホール 12月15日(月):茨城 水戸ライトハウス 12月17日(水):千葉 柏PALOOZA 12月20日(土):沖縄 桜坂セントラル 12月21日(日):沖縄 桜坂セントラル 1月7日(水):兵庫 神戸チキンジョージ 1月9日(金):大阪 BIG CAT 1月10日(土):京都 KYOTO MUSE 1月12日(月・祝):広島 BLUE LIVE 広島 1月14日(水):島根 松江canova 1月16日(金):岡山 CRAZYMAMA KINGDOM 1月24日(土):徳島 club GRINDHOUSE 1月25日(日):香川 高松DIME 1月27日(火):高知 キャラバンサライ 1月29日(木):愛媛 松山サロンキティ 1月31日(土):大分 DRUM Be-0 2月1日(日):福岡 DRUM LOGOS 2月3日(火):長崎 DRUM Be-7 2月5日(木):鹿児島 CAPARVO HALL 2月7日(土):熊本 B.9 V1 ・アルバム発売記念インストアライブ 10月11日(土):埼玉 イオンレイクタウン 10月12日(日):兵庫 阪急西宮ガーデンズ 10/月13日(祝・月):愛知 イオンモール名古屋ドーム前 10月25日(土):沖縄 サンエー那覇メインプレイス ※詳細は後日HPにてご確認ください。 かりゆし58オフィシャルホームページ

森永製菓が献花台を設置! 企業も本気を見せた『テニプリ』“跡部景吾様”の生誕祭

オタクに"なるほど"面白い!オタクニュース・ポータル「おたぽる」より

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「ジャンプ SQ.」 2014年 11月号(集英社)。
 オタクが家族や友人と同じくらい、場合によってそれよりも盛大に祝うことがある“キャラクターの誕生日”。近年では、キャラが誕生日を迎えるとグッズで作った“祭壇”やキャラのイラストなどが入ったケーキの写真をTwitterで公開する者もおり、またTwitterのトレンドを独占するといったことがたびたび見られる。そのような中、“もはや別格”というレベルで盛大に誕生日を祝われるキャラをご存知だろうか。  そのキャラとは、10月4日に誕生日を迎えた『テニスの王子様』シリーズの「跡部景吾」。通称“跡部様”と呼ばれる彼は、同作の人気キャラクターで、毎年行われる「バレンタインチョコ獲得ランキング」では2005年から1位に君臨し続けており、2014年には過去最多となる6万2837個ものチョコを獲得。また、2011年1月6日の「ジャンプSQ.」に掲載された43話で「跡部王国(キングダム)」という新技ができた時には、その日が「跡部王国建国記念日」とされ、公式グッズが発売されたり、今年3月にはTwitterでの盛り上がりから「NEWS WEB」(NHK)にイラストと声で出演を果たした。そして、誕生日や建国記念日を迎えれば、森永製菓株式会社やシャープ株式会社といった企業のTwitter公式アカウントも祝いの言葉を述べるほどの人気ぶりだ。 「おたぽる」で続きを読む

今年も無理?空振り続く村上春樹ノーベル賞騒動に書店員が切実な思い

【本と雑誌のニュースサイトリテラより】
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10月9日20時(日本時間)に発表されるノーベル文学賞(ノーベル賞公式サイトより)
 村上春樹がノーベル賞文学賞の候補だといわれるようになってから、何年がたつだろう。毎回、「今年こそ選ばれるのでは」と盛り上がり、結局、空振りに終わるという繰り返し。最近はもう無理なんじゃ……という諦めムードも漂い始めたが、他に候補者もおらず、マスコミも出版社もこの前夜祭をやめるわけにはいかない。おそらく今年も何日も前から、出版社は増刷の準備に取りかかり、新聞やテレビは取材準備に走り回っているはずだ。  そんな“春樹ノーベル賞前夜祭”だが、最近、書店員の目でこの騒ぎを綴ったおもしろい文章を見つけた。『書店不屈宣言』(筑摩書房)。40年以上にわたって書店で働き、現在はジュンク堂池袋店で副店長をつとめるベテラン書店員・田口久美子さんが同僚の書店員にインタビューしながら、書店や紙の本への愛情を綴った一冊だ。  同書によると、書店員もノーベル賞とは無関係でいられないらしい。春樹が候補になるたびに、「村上春樹・祝ノーベル賞」コーナーを準備する。看板を作り、村上本の事前注文をする。文庫、単行本をあわせると、結構な点数になるという。同書には、村上春樹が候補になった最初の年、田口さんと文芸書担当の同僚との間でこんな会話があったことが紹介されている。

久石譲、エンタテインメントとクラシックの未来を語る「人に聴いてもらうことは何より大事」

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【リアルサウンドより】  日本を代表する映画音楽の作曲家であり、近年はクラシックの指揮者としても活躍する久石譲。これまで多岐にわたる作品を発表してきた彼が、『WORKS』シリーズとしては約9年ぶりとなる新作『WORKS Ⅳ』を完成させた。映画やドラマなどに提供した楽曲を今一度フルオーケストラ作品へと昇華させるというコンセプトを持つ本作では、宮崎駿監督『風立ちぬ』や高畑勲監督『かぐや姫の物語』、山田洋次監督『小さいおうち』などの音楽がより一層格調高く、ドラマチックに演奏されている。クラシック音楽やミニマル・ミュージックを出発点としつつ、エンタテインメント分野で大きな足跡を残してきた久石は今、どんなビジョンを持って音楽を生み出そうとしているのか。今回リアルサウンドで行ったインタビューでは、収録曲のコンセプトから、現代音楽やクラシックへの問題意識、さらには“ポピュラーミュージックの勘所”といったテーマまで、じっくりと語ってもらった。

「宮崎さんとの仕事を、きちんとした形で残していこうという意図はありました」

――久石さんにとって『WORKS』シリーズの位置づけとは? 久石:映画など他の仕事でつくった音楽を「音楽作品」として完成させる、という意図で制作しています。映画の楽曲であれば、台詞が重なったり、尺の問題があったりとさまざまな制約があるので、そうした制約をすべて外し、場合によってはリ・オーケストレーションして音楽作品として聴けるようにする。『WORKS』シリーズはそうした位置づけの作品です。 ――映画音楽は、音楽作品としての完成形を描いた上でつくられているのでしょうか。 久石:ものによっては音楽作品にするときのアイデアが浮かぶこともありますが、映画をつくっているときは、全体を見通すほどの余裕はありません。曲づくりが終わったあとに、客観的な視点を持って音楽作品になるかならないかを“点検”することが多いですね。 ――『WORKS IV』では、冒頭に宮崎駿監督の『風立ちぬ』の音楽を組曲化した作品が収録されています。 久石:この曲の特徴としては、バラライカなどロシア系の民族楽器を使っていることが挙げられます。その民族楽器と、小編成のオーケストラとの協奏曲スタイルをとれば成立するのではないかと思ってつくりました。 ――映画バージョンとはまた違う作品性があり、これは色々な場所で演奏されそうですね。 久石:そうなってほしいですね。一度こうして作品として形にすれば、きちんとした譜面を出すことになりますので、「もし演奏したい人がいればどうぞ」という思いです(笑)。手にしづらい民族楽器を使ってはいますが、バラライカはマンドリンで、バヤンはアコーディオン系で代用できます。アマチュアのオーケストラでも再現できる可能性はありますね。 ――こうして作品化された背景には、ひとつの芸術作品として長く聴き継がれていくものを、というお考えもあるのでは? 久石:そうですね。たとえば宮崎さんとの担当作は数えて10作、30年間に及びます。それを多くの方が聴き、それぞれに評価してくれました。そして『風立ちぬ』が最後の(長編)作品になるということですから、きちんとした形で残していこうという意図はありました。 ―― 一方、高畑勲監督の『かぐや姫の物語』の音楽は、アニメーションと連動した躍動的でドラマチックな展開が印象的でした。再構成するにあたっては、どのような点を特に重視されましたか。 久石:これはかなり苦しみました。何度もトライして、うまくいかないからやめたりもして(笑)。でも、しばらく経つと、挫折したような感覚が嫌になり、再びチャレンジするんです。その繰り返しで、最終的にはコンサートの一ヶ月くらい前に完成しました。 ――特に苦労された点とは? 久石:まず、本作の音楽としては「わらべ唄」という高畑さんご自身が作られた本当にシンプルな歌が基本にあるんです。それが重要なシーンに使われているから、僕の書く音楽にも五音音階を取り入れないとバランスが取れない。つまり、「ドミソラドレ」とか「ドレミソラド」というものですね。さらにこれをひとつ間違えると、すごく陳腐になり、不出来な日本昔話のようになってしまう(笑)。それをなんとか高畑さんのイメージに合うように工夫するのですが、高畑さん自身が音楽に詳しい方なので、細かい要求がたくさん出てくるんです。そのひとつひとつに応えていったことで、いろいろなスタイルの音楽が混在してしまうことになり、まとめるのが難しくなりました。  『風立ちぬ』でロシアの民族楽器を使ったように、「『かぐや姫の物語』は日本を題材とした映画だから、和製楽器の琴とオーケストラでやろう」というアイデアも出ました。ところが、そうすると逆にトリッキーになってしまう。一度聴く分には面白いんだけれど、きれいにはまとまらないんです。それで他の楽器を足すなど試行錯誤しましたが、オーケストラだけのシンプルな構成のほうが統一感がある、というところに行き着いて。そこに至るまでにけっこうな時間がかかりました。  また「天人の音楽」(天人が天から降りてくるときの音楽)は、もともとサンプリングのボイスなどを入れていたので、オーケストラとの整合性がうまくとれずに苦戦しましたね。ただ、それが現代的にかっこよく響いてくれれば成功するだろうという狙いが根底にありましたし、高畑さんも実験精神旺盛な方ですから、とがったアプローチをしても快く受け入れてくれました。「五音音階を使っているのに何故こんなに斬新なの?」と思わせるラインまではすごく時間がかかりましたが、結果として納得いくものができました。 ――今作には山田洋次監督の『小さいおうち』をベースにした楽曲もあり、全体を通して昭和モダン的な雰囲気が伝わってきます。 久石:『風立ちぬ』や『小さいおうち』は戦時中、昭和の時代の話なので、その雰囲気は出てくればいいなと思います。ただ、僕は昭和25年生まれなので、戦争のことはもちろん、こうした作品の時代性や雰囲気はまったく知らない。知っているのは、高度成長期以後の昭和の雰囲気や、当時のポップスや歌謡曲なので、その雰囲気を出そうとは意識しました。
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「モーツァルトだってハイドンだって、発注があってしか書いてない」

――今年3月に、今作のジャケットも手がけたデザイナー・吉岡徳仁さんとの対談番組(Eテレ『SWITCH』)があり、「発注がある仕事」の楽しさ、難しさについてのお話がとても印象的でした。 久石:彼はデザイナーだから、基本的には商業ベースでつくることになります。ただ吉岡さんにも自分のやりたいことがあるし、自分のつくりたいものと発注されるものは違うので、ある種の葛藤は持っています。そこの共通項ありましたね。 ――どういった葛藤ですか? 久石:アーティストというのは、モーツァルトだってハイドンだって、発注があってしか書いていないんです。発注なしで作っていたのは、シューベルトとプーランクくらいじゃないかな。「浮かんだら書く」なんてそんな呑気な話はありません(笑)。  依頼は、作品をつくる手がかりにもなります。「お金がない」と言われたらオーケストラではなく小編成にするし、「アクション映画だ」と言われたらラブロマンスみたいな曲を書くわけにはいかない。このように、どんどん限定されていきますよね。そういった制約は決してネガティブなことではなく、「何を書かなければいけないか」ということがより鮮明に見えてくるだけなので、僕は気にしていません。  大事なのは、映画のために書いているふりをして、実は本当に映画のためだけではないこと。つまり、自分がいま書きたいものと発注をすりあわせていくんです。アーティストが書きたいと思っているものでなければ、人は喜んでくれない。いま自分が良いなと思っている音楽の在り方――それは幅広いジャンルにあるので、その中で、いま発注の来ている仕事と自分の良いと思うものとを照らし合わせるんです。 ――それはご自身が30年以上このお仕事される身につけていったマナーですか。それとも、最初からお持ちの考えなのでしょうか。 久石:どうなんでしょう。その都度、一生懸命やっていることは確かで、基本的にはそういう姿勢です。頭で考えてスムーズにいく仕事はひとつもないので、毎回ああだ、こうだとやっていますよ。 ――先の対談でもう一つ印象的だったのは、久石さんの「音楽をつくるには論理的でなければいけない」という趣旨の発言です。 久石:感性に頼って書く人間はダメですね。2~3年は書けるかもしれないけれど、何十年もそれで走っていくわけにはいきません。自分が感覚だと思っているものの95%くらいは、言葉で解明できるものなんです。最後の5%に行き着いたら、はじめて感覚や感性を使っていい。しかし、いまは多くの人が出だしから感覚や感性が大事だという。それだけでやっているのは、僕に言わせると甘い。ムードでつくるのでなく、極力自分が生みだすものを客観視するために、物事を論理的に見る必要があります。 ――面白いですね。ご自身の中では、自らの音楽を解析していくプロセスは常に踏んでいると。 久石:そうですね。とはいえ、言葉で説明できる段階というのは、まだ作曲にならないんです。無意識のところまでいかないと、作品化するのは難しい。ある程度はつくっているけどピンと来ない、ほぼできているけど納得できない…というものが、一音変えただけでこれだ!という曲もあるし、どこまでやっても上手くいかないから、ゼロからもう一度、という場合もある。「残りの5%」のような解明できないところ、つまり無意識の領域にまでいかないと、作品にするのは難しいです。 ――発表されている曲は、すべてそういうプロセスを経ていると。 久石:そういうことになります。 ――久石さんのキャリアを振り返ると、ミニマル・ミュージックや現代音楽分野での創作活動を経て、ポピュラリティのある映画音楽の世界で広く活躍されてきました。二十世紀の実験音楽へのご関心は、今も継続して持っておられるのでしょうか。 久石:ミニマル・ミュージック以降の、ポストミニマルやポストクラシカルなどのジャンルでいうと、自分はポストクラシカルの位置にいると認識しています。そういう作品はいまも書き続けていくべきだと考えているし、力を注いでいる部分でもあります。現在つくっている音楽も、やはりベーシックはすべてミニマルです。それの発展系ですね。

「メロディは意外と古くならないけど、言葉は真っ先にダメになる」

――久石さんからご覧になって、ミニマル・ミュージック以降で、新しいことをやっているなと思うポピュラーミュージックはありますか。 久石:ありますよ。しかし残念ながら、ポップスの構造というのは単純なんです。和音も似たり寄ったりだし、リズムにも凄まじい変化があるわけではなく、どうしてもメロディラインが基準になってしまう。メロディに対してコード進行をつけるけど、皆が歌えることが前提になるので、複雑化させることが良いとは言えません。ポップスの面白みやすごさは、メロディと言葉が一体化したときに独特のものが出てくることです。特に言葉は、時代が反映されるから厳しいですね。多くのポップスミュージシャンやシンガーソングライターがコケてしまうのは、言葉なんですよ。すぐに時代に合わなくなってしまうから。  その点、メロディは意外と古くならないんです。良いメロディに時代に合うリズムを取り入れれば、一応形になるはずなのですが、真っ先にダメになるのが言葉です。言葉の表現は、作り手がある年齢に達したとき、若い人たちに「これは自分の歌じゃないな」と思われてしまう。響く範囲がものすごく狭いから、可哀想だなと思いますね(笑)でも、たまにものすごく衝撃的なことが起こることがあります。昨年ATSUSHIさんとのコラボ曲(「懺悔」)なんかは、商業ベースをすべて無視してつくったから、意外といい作品ができました(笑)。 ――ポピュラーミュージックはつまるところ、言葉であると。 久石:基本は、歌ですよね。言葉とメロディが一体になったときに、理屈じゃないところで世界がずんと重く感じられるときがある。それがポップスの持っている圧倒的な力なんだと思います。 ――他方で、現在ご自身がオーケストラ音楽に注力されているのは、クラシック音楽を多くの人に届けようという意図もあるのでしょうか? 久石:あります。ポップスをやっている人間から見たクラシックの最大の問題は、「古典」になってしまうこと。要するに、過去から繋がってきて現代があって、その先に未来がなければいけないのに、まるで過去しか存在しないような排他的な世界になりやすいことです。「ベートーヴェンは神様」みたいな人たちとやっていると、一般の人が入れない世界に入っていってしまう。  二十世紀の後半は現代音楽が盛んでしたが、いまは多くの音楽家が十分に活動できなくなっています。すると、みんな集客力の高い古いクラシックの曲を演奏するしかなくなって、音楽の流れが途切れてしまう。途切れると、未来はありません。だから僕は、クラシックのプログラムにも必ず現代音楽の要素を入れます。未来に繋がる新しい音楽を提供していかないと、クラシックはただの古典芸能になってしまう。それに対する危機感は、強く持っています。 ――二十世紀後半に盛んだった現代音楽が行き詰まったのは、作曲者や演奏家を支援する体制がなくなったからでしょうか。 久石:それもありますが、もうひとつ「脳化社会」というか、ほとんどみんな頭でつくりあげたような作品ばかりになったことも大きいと思います。十何音の不協和音が飛び交うような音楽では、多くの人の理解を得るのは不可能だろう、ということです。机上で書いた空論ばかり。プロでも違いのわからない、勝手に頭のなかで組み立てた音楽だけになってしまうと、観客はいなくなり、希望に燃えてつくっているものが頭打ちになってしまう。  それに対してアルヴォ・ペルトという作曲家などは、不協和音も書いていたけれど、「原点に戻らないと音楽がダメになる」と先陣を切り、多くの音楽家がその方向に向かいました。その大きい動きの中に自分もいるという気がします。いま日本にいる、いわゆる「現代音楽」の作曲家と同じことをするのではなくて、僕がやりたいのは「現代“の”音楽」。エンタテインメントの世界にいるから、人に聴いてもらうことを何より大事に思っているんです。だから、現代にあるべき音楽というのを一生懸命紹介したり、書いたりしていきたいですね。 ――未来につないでいきたいというのは、どういった場に向けてですか。 久石:基本的にはコンサートとCD、できるだけあらゆるメディアを使って表現していく必要があると考えています。場合によっては文章でもいい。そのために、いろんなスタイルで発信していくつもりでいます。

「ウケなければ正義じゃない、というエンタテインメントの鉄則が好きなんです」

――先ほどもお話に出ましたが、久石さんが刺激を受けるクリエイターを何人か挙げていただけますか。 久石:最近だと、アメリカの32歳のニコ・ミューリー。彼はいいですね、完全にポストクラシカルの人間で、ビョークのプロデュースをしたり、メトロポリタンオペラというアメリカで一番大きな歌劇場でも曲を書いています。技術力もある。こういう新しい世代がガンガン出てきています。セルゲイ・プロコフィエフの孫にあたるガブリエル・プロコフィエフも面白いと思います。 また、最近気になっているのは、スウェーデンの『ブリッジ』というテレビドラマの音楽です。ノルウェーとスウェーデンには橋があり、そのど真ん中に死体が出て、どっちの警察が処理すべきかわからないから特別編成チームができる。しかし、お互いに自分の国の進め方があるから喧嘩しながら捜査していくことになる。そこに猟奇的な連続殺人事件が起きて…という物語で、いまちょっとハマっているんですよ(笑)。そして、エンディングに流れている北欧独特の音楽が非常に良い。シンプルに見せておいて、ふとした切り口がすごいんです。「これは俺たちが20分かけてフルオーケストラでやっても表現できないな」という音楽に出会うことがあります。 ――久石さんは今後、ポピュラーミュージックの分野でもお仕事をされますか。 久石:そうですね。仕事を選んではいますが、決してエンタテインメントなことをやめたわけではないんです。客観的になることは、自分にとっては大事なこと。作品ばかり書いていると自分のことしか考えなくなります。それに、エンタテインメントの鉄則が、僕は好きなんですよ。それは、「ウケなければ正義じゃない」ということ。自分がいいと思うのが正義ではなく、売れたものが正義。ウケなくなったらまずいので、絶えず自分と時代について考えなければならない。それは続けていこうと思っています。 ――日本のエンタテインメント音楽の現状についてはどう思われますか。 久石:そもそもCDが売れていませんからね(苦笑)。音楽という文化的なもので感動する下地を、みんなできちんと考えなければ、先は厳しいなと思う。あとは、情報化の行きすぎが気になりますね。音楽はそれなりの装置やプロセスを経て作品と対峙しないと厳しい。音楽をただの情報として捉えるようになってしまうと、音楽への感動はなくなるのではないかと思うんです。ポップスのアルバムで10曲入れようとすると、コマーシャルの音だけじゃなくて、「今やりたい音」も入れることで、トータルで本人のやりたいことが見える。それを、一曲ごとのダウンロードを主流として考えていたら、単発のコマーシャリズム狙いになってしまいます。すると結果的に自分たちが疲弊していくし、音楽にパワーがなくなっていく。クラシックの話でも同じことを言いましたが、新しいことをやらないと先はないんです。重要なのは、その音楽にオリジナリティがひとつでもあるかないか――CDを買ったら、まずはそれをきっちり聴くという作業をしてほしいですね。 ――作り手も、自分のやりたい領域を確保していく必要があると。 久石:そうです。僕もかつて一生懸命にポップスをやっていましたが、ひとつのベースの音をつくるのにシンセサイザーを組み合わせたりして、5時間かかったりするわけです。でも、いまはプリセットでも簡単に作れてしまう。当然ながら、誰でも作れる音にお金を払う価値はなくなります。日本のJ-POPといわれるものを聴いたら、みんな音が同じだもん。歌もみんなピッチを変えて(笑)、修正ばかりでつまんないですよ。  僕が思うのは、ひとつのものをつくるには手間暇をしっかりかける必要があるということです。「みんな使っている音では嫌だから、自分でつくろう」という気持ちは大切です。たとえばハイハットの音だって、自分でつくれば人に届くんですよ。ポップスの場合は音をわかりやすくするために分厚くできないから、ベースやドラムの音ひとつで世界観をつくる、というレベルまでつくりあげないと、聴く価値には行き着かないと思います。 ――ご自身でも、J-POP的な楽曲にチャレンジしようという気持ちは? 久石:いえ、今のところはありません(笑)。ただ、面白いことだったらもちろんやりたいから、アイデアが出れば挑戦したい。可能性はなくはないですね。 ――精力的に演奏活動をされていますが、じっくりと作曲する時間はどう確保されているのですか? 久石:難しいですね。まずは来年など、ずいぶん先に委嘱されているものをきちんとつくらなければいけないし、それにはやはり手間暇がすごくかかるんです。自分の作品を書くことと、エンタテインメントの仕事と、そのあたりの時間の配分はかなり考えないといえけない。だから、いつも落ち着かないですね。あれもこれもやんないと…と思いながら、深夜にはアメリカのテレビドラマを見ちゃうんですけど。見だすと止まらなくなるから、テレビのない世界に行きたい(笑)。 ――最後に、久石さんが常に休まず、クリエイトし続ける理由とは? 久石:僕は走りながら考えるタイプなんです。立ち止まって考えると、逆になにもできなくなってしまう。だから、つくりながら考え、修正を加えていく、というのが性格的に向いていると思います。ただ、今年は依頼をほとんど断って、よく立ち止まるようにしているんです。来年からはもう一度、しっかりやりたいと思っていますよ。 (取材・文=神谷弘一)
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■リリース情報 『WORKS IV -Dream of W.D.O.-』 発売:10月8日(水) 価格:¥3,240(税込) <CD収録内容> 1.バラライカ、バヤン、ギターと小オーケストラのための「風立ちぬ」第2組曲~旅路(夢中飛行)~菜穂子(出会い) 2.バラライカ、バヤン、ギターと小オーケストラのための「風立ちぬ」第2組曲~カプローニ(設計家の夢) 3.バラライカ、バヤン、ギターと小オーケストラのための「風立ちぬ」第2組曲~隼班~隼 4.バラライカ、バヤン、ギターと小オーケストラのための「風立ちぬ」第2組曲~旅路(結婚) 5.バラライカ、バヤン、ギターと小オーケストラのための「風立ちぬ」第2組曲~避難 6.バラライカ、バヤン、ギターと小オーケストラのための「風立ちぬ」第2組曲~菜穂子(会いたくて)~カストルプ(魔の山) 7.バラライカ、バヤン、ギターと小オーケストラのための「風立ちぬ」第2組曲~菜穂子(めぐりあい) 8.バラライカ、バヤン、ギターと小オーケストラのための「風立ちぬ」第2組曲~旅路(夢の王国) 9.Kiki's Delivery Service for Orchestra (2014) 10.ヴァイオリンとオーケストラのための「私は貝になりたい」 11.交響幻想曲「かぐや姫の物語」~はじまり~月の不思議 12.交響幻想曲「かぐや姫の物語」~生きる喜び~春のめぐり 13.交響幻想曲「かぐや姫の物語」~絶望 14.交響幻想曲「かぐや姫の物語」~飛翔 15.交響幻想曲「かぐや姫の物語」~天人の音楽~別離~月 16.小さいおうち

“錦織フィーバー”の裏で行われていた「テニミュ」とは!? ~男が観てみたテニミュ青春☆観戦記~

オタクに"なるほど"面白い!オタクニュース・ポータル「おたぽる」より

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会場で販売されていた公演パンフレットと生写真。
 夏が足早に過ぎ去った9月上旬、テニスプレイヤー錦織圭選手の全米オープン男子シングルス準優勝という活躍に日本中が沸きに沸いていた。  グランドスラム制覇こそならなかったものの、日本人初となる決勝進出という快挙でもあり、連日メディアによる報道合戦が激しく繰り広げられた。さらに同選手の凱旋帰国も重なり、錦織フィーバーは過熱。久々に松岡修造の都市伝説以外で日本全土を巻き込んだテニス熱の盛り上がりをひしひしと感じていた。それに乗じて、高校の体育の授業以来触ったことすらないラケットを振ってみたくなるという卑しむべきミーハーな衝動を必死に抑えていた頃、1本の電話が鳴った(LINEが入った)。「サービスエースは許さん!」とメッセージを即確認してみる。 「中学生テニスの全国大会決勝戦を観てみませんか?」  中学生? はて……何それ。さらに、全国大会の決勝戦だなんて競技としても相当レベルの高い話。そんな汗と情熱と青春が詰まった神聖な場に筆者ごときが何をしに? 質問を返してみる。 僕「何事ですか、それは?」 おたぽる「テニミュです」  あ、テニミュのことね。確かに汗と情熱と青春が詰まった神聖な場ね。想定していたものとはだいぶ違ったけど、だいたい方向性は同じはずだ、たぶん。  東京では全米オープンと時を同じくして、もう1つテニスの大きな試合が行われていたことをご存知だろうか。そう、“ミュージカル『テニスの王子様』全国大会 青学vs立海”東京凱旋公演である。通称“テニミュ”。「週刊少年ジャンプ」で連載していた人気漫画『テニスの王子様』を舞台化したもので、アメリカ帰りの天才テニスプレイヤーで主人公の越前リョーマを中心に、常人離れした中学生たちによる“もはやテニスではない”バトルとその成長物語を描き、3次元化不可能と言われた原作のストーリーを独創的・意欲的な発想で再現した作品である。原作は錦織選手が愛読していたことも有名で、現在もその続編『新テニスの王子様』が「ジャンプSQ.」(いずれも集英社)で連載中だ。  2003年に初演が行われたテニミュは、原作の連載終了後もその人気の高さから公演回数を重ね、キャスト(※役者のこと)を入れ替えながら、内容としては“2巡目”となる2ndシーズンに突入。そして、2011年からスタートし、全国を“転戦”してきたその2ndシーズンもついに青春学園中等部と立海大附属中学校(以下、青学と立海)の全国大会決勝戦をもって決着、先日の9月28日には大千秋楽を迎えたのである。 「おたぽる」で続きを読む

ジャニーズよりも萌える!? まさかのプロレスにハマる女子が増殖中!

【本と雑誌のニュースサイトリテラより】
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プロレス女子が急増中!?……イヤァオ!!(『もえプロ 女子のための"萌える"プロレスガイドブック』パルコ)
 カープ女子という言葉が大きな話題になるなど、プロ野球ファンの女子が増えているとメディアをにぎわせた。しかし、最近はプロレスにハマる女子が急増しているようだ。『有吉ジャポン』(TBS系)や『今夜くらべてみました』(日本テレビ系)などのテレビ番組でも取り上げられ、ちょっとしたブームになりつつある。  格闘技の中でもオヤジくさい印象のあるプロレスは、これまで女性から敬遠されてきた。そんなプロレスに、なぜ今女性たちが魅了されているのか。その理由を『もえプロ 女子のための"萌える"プロレスガイドブック』(文・清野茂樹、絵・能町みね子/パルコ)から探ってみよう。  まずやはり多いのが、単純に選手の魅力にひかれたというケースだ。鍛え上げられた肉体が好きな人は、そのマッチョなルックスから好きになることが多い。最近、プロレスラーがバラエティ番組やミュージックビデオに出演したり、『妄撮男子』(講談社)、『筋肉男子』(主婦の友社)などの写真集で取り上げられるなど、プロレス以外でプロレスラーを目にする機会が増えている。プロレスにまったく興味がなかった女子もそれがきっかけになって、プロレスにハマるというパターンが多いらしい。

ヴィジュアル系はいかにして海外で支持を集めたか? the GazettEらの活動に見る開拓精神

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the GazettE『BEAUTIFUL DEFORMITY』(SMR)

【リアルサウンドより】  LOUD PARK 14に the GazettEの参戦が決定した。ボーカル・RUKIは「the GazettE自体メタルというカテゴリーでは無いしアウェイなのは当たり前だけど、同じラウドロック好きなのは変わらん。偏見だらけのジャンルの壁なんてクソ食らえだぜ。」とTwitterで語っている。  何かと偏見の多いヴィジュアル系バンドによる対外イベントへの参加。特に今回のような特化性の高いジャンルのフェスへの参加は、洋楽ファンに歓迎されているとは言えないのが現状だ。the GazettEを軸に、ヴィジュアル系ロックバンドの対外イベント・異ジャンルによる交わりを見ていきたい。

ヴィジュアル系ロックバンドとしての the GazettE

 今回に限らず、the GazettEは世間からのヴィジュアル系に対する偏見を一手に請け負ってきたかのようにも思える。都合よく“ヴィジュアル系”という枠を使い分けるバンドもいるが、彼らはそこに括られることを否定はしない。今年の氣志團万博を始め、SUMER SONIC(2011・2013年)、イナズマロックフェス(2011年)、a-nation(2012年)への出演など、敢えてアウェイな場に挑んでいる節もある。そこには、時に揶揄されることがあっても、曲げることのない「ヴィジュアル系ロックバンドとしての誇り」が伺える。

the GazettE 『LIVE DVD CODA SPOT』

 ひしめき合うヴィジュアル系シーンの中で、the GazettEの人気は頭一つ飛び抜けている。同シーンの中で東京ドーム公演(2010年)を行った数少ないバンドであり、そして何より海外で高い人気を誇っている。J-MELOをはじめ、各国の人気ランキングでも常に上位、Facebookの「いいね!」は現在25万に迫る勢いで、日本のバンドの中ではダントツの数だ。音楽SNS・Last.fmでも圧倒的なリスナー数を抱えている。アニメ主題歌がきっかけで火がついたわけでもなく、“Visuak-kei”の知名度とともに人気を伸ばしてきた。だが、本格的な海外ツアーは2013年が初であり、精力的に海外活動を行ってきたわけでもない。では何故これほどまでに人気を得たのか? そこにあるのは徹底したコンセプト・ワークである。  「カセット(テープ)のような古き良き物を今に伝える」意を込めて名付けられた「ガゼット」は、“大日本異端芸者”のキャッチコピーに見られる、アングラ感のある独自の雰囲気を持つバンドだった。2006年に英語表記に変更してから、現在のスタイリッシュなスタイルに傾向していく。メロディアスとヘヴィネス、きらびやかさとダークさ…、 楽曲、サウンド、ヴィジュアル、アートワーク、すべてセルフプロデュースによる一貫した世界観はどこを取ってみてもヴィジュアル系イメージのすべてを凝縮しているのだ。非実在的・二次元的でもあるヴィジュアルアイコンの存在は、あたかも仮想的世界を映し出すようなインターネットを通じ、“Mysterious”、“Cool”と称される“Visual-kei”の代表格バンドにもなっている。

the GazettE 『the GazettE WORLD TOUR13 DOCUMENTARY DVD Digest Movie』

 マニアックな音楽性やテクニックを探求していくというよりも、一見したわかりやすさを追求したともいえるスタイルは、コアな音楽ファンには受け入れられづらい部分もあるだろう。だが、細かい理屈や深い分析を用いずとも、はじめてロックに出会い、単純に「カッコイイ」と感じた初期衝動を思い出させてくれるのだ。似たようなバンドが固まって先鋭化していくシーンの中で、あえて矜持を掲げて外に打って出る姿勢は頼もしく思える。己の立ち位置に自信と誇りを持っていなければ出来ないことだろう。

洋楽 vs PIERROT

 「ヴィジュアル系ロックバンドの矜持」という言葉で思い出されるのは、マリリン・マンソン主宰〈BEAUTIFUL MONSTERS TOUR 1999〉だろう。サマソニの前身にもなったこのイベントには、マンソンを筆頭にメガデスやミスフィッツといった大物海外アーティストの中にPIERROTが出演している。このときボーカル・キリトの「洋楽ファンの皆さん、初めまして。僕らがあなたたちの大嫌いな、日本のヴィジュアル系バンドです。洋楽ファンの方たちにとってはこの時間がトイレタイムということで〜」という皮肉めいたMCは今でも語りぐさになっている。賛否両論あるとはいえ、洋楽ファンに歓迎されるわけでもなく、有名音楽評論家にまで名指しで非難された状況を見れば、痛快ともいえる発言だ。

シーン先駆者としてのBUCK-TICK

 そして、同イベントにおいて、PIERROTと対照的に好意的に見られたのが、翌日に出演したBUCK-TICKである。hideとマンソンの共演が発端とも言われるこのイベント。そういった意味では“hideの盟友”枠として捉えられた節もある。だが、以降のBUCK-TICKが「ヴィジュアル系はお門違い」という暗黙の了解のあったフェスに早くから出演していることも興味深い(SUMMER SONIC 03&06、RISING SUN ROCK FESTIVAL '07、COUNTDOWN JAPAN 10/11など)。最先端のサウンドと独自の音楽性を貫いてきた経緯から「BUCK-TICKはヴィジュアル系なのか?」という論争がしばし起ってきた背景もあるが、“脱・ヴィジュアル系”という風潮もあった同時代のバンドの中で彼らはメイクを止めていない。むしろ、それを嘲笑うかごとく、『十三階は月光』(2005年)というヴィジュアル系の原点ともいうべき、ゴシックをテーマにしたコンセプトアルバムを作り、シーン先駆者としての真骨頂を見せた。

DIR EN GREYの世界進出

 この流れで触れなくてはならないのは、“Visuak-kei, V-Rock, J-Rock”の名を海外に広めた立役者、DIR EN GREYである。過去にLOUD PARKにも出演している(2006年)。〈Rock am Ring〉〈Rock im Park〉(共に2006年)といった大型海外フェスにて唯一無二の存在感を見せつけ、年間12カ国121本(2007年)という公演数を見れば、実力と人気の高さがわかるだろう。宣伝効果を含めたような大会場での単発公演ではなく、数千人規模での定期的な海外ツアーが出来る数少ないバンドだ。そんな彼らだが、最初から受け入れられたわけではない。知名度を飛躍的に上げることになったKOЯN主宰の〈THE FAMILY VALUES TOUR〉(2006年)では、冷ややかに彼らのステージを眺めるオーディエンスの姿も少なくなかったことが、市販されたDVDでも確認できる。彼らはジャンルへの偏見はもちろん、国境、言葉といった壁さえ、実戦で切り開いてきたのである。

2011年フランス・パリ公演。フランス人オーディエンスの“Hageshisa To, Kono Mune No Naka De Karamitsuita Shakunetsu No Yami”という大合唱に胸が熱くなる。

 丁度この時期にインディーズ最大のイベント〈Independence-D〉が行われている(2005〜2007年)。「世界から日本へ、日本から世界へ」というスローガンの下に、ジャンルレスの洋邦バンドが一同に介した。マキシマム ザ ホルモン、9mm Parabellum BulletやTOTALFATといったバンドに加え、シド、ムック、メリー…といったヴィジュアル系バンドが日本のヘヴィロック代表として参加している。90年代後半より見られたヘヴィロックシーンがヴィジュアル系シーンに波及し、その地位を確立したと同時に、ジャンル・国を超えたイベントが活性化し始めた時期でもあった。  異ジャンルが集うイベントやフェスは様々な波紋を呼ぶ。何かと風当たりの強いヴィジュアル系であるならなおさらだ。この先も「ジャンルの壁」は大きく立ちはだかってくることだろう。だが、異なるものが予想外の化学反応を起こすことだってある。10年前に、これほどヴィジュアル系が海外で人気を高めることを誰が予想していたであろうか。コアな趣向になればなるほど視点が内向きになってしまうことは否めないが、内向的なものが実は一番外向きだったということはよくあることだ。演者だけではなく、応援する側も広い視野と偏見に負けない信念を持ちたいところである。 ■冬将軍 音楽専門学校での新人開発、音楽事務所で制作ディレクター、A&R、マネジメント、レーベル運営などを経る。ブログtwitter

「私、下着はNGです!」細分化されるアイドルたちの露出のボーダーラインとは?

オタクに"なるほど"面白い!オタクニュース・ポータル「おたぽる」より

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なりませんよ、私。
――地下アイドルの“深海”で隙間産業を営む姫乃たまが、ちょっと“耳の痛〜い”業界事情をレポートします。  ネット番組の運営をしている面識のない人が、ある飲み会で「姫乃たまに、下着でうちの番組に出演してくれってメール出したら断られた。あの子、下着でグラビアとかやってるくせにおかしくない?」と話していたと聞いて、げんなり、しょんぼりしています。  あ、姫乃たまとは私のことです。こんにちは。何かと「宣伝に役立てて頂ければ幸いです」の一言で、ノーギャラで済まされそうになる売れない地下アイドル5年生です。この世で一番怖い言葉は「パブなんで」です。 「おたぽる」で続きを読む

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なりませんよ、私。
――地下アイドルの“深海”で隙間産業を営む姫乃たまが、ちょっと“耳の痛〜い”業界事情をレポートします。  ネット番組の運営をしている面識のない人が、ある飲み会で「姫乃たまに、下着でうちの番組に出演してくれってメール出したら断られた。あの子、下着でグラビアとかやってるくせにおかしくない?」と話していたと聞いて、げんなり、しょんぼりしています。  あ、姫乃たまとは私のことです。こんにちは。何かと「宣伝に役立てて頂ければ幸いです」の一言で、ノーギャラで済まされそうになる売れない地下アイドル5年生です。この世で一番怖い言葉は「パブなんで」です。 「おたぽる」で続きを読む

“サブカル女優”二階堂ふみが小説連載を開始! その筆力と文化度を検証

【本と雑誌のニュースサイトリテラより】
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二階堂ふみオフィシャルサイトより
 現在、若手のなかでひときわ熱い注目を浴びている女優、二階堂ふみ。NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』では、豊臣秀吉から寵愛を受ける茶々(淀君)の“小悪魔ぶり”を表現し、映画でも『私の男』『渇き。』と注目作に立て続けに出演。なかでも『私の男』は10代にして大胆な濡れ場を演じて話題を呼んだが、11月公開予定の『日々ロック』では一転、キラキラのトップアイドル役を演じるという。  このように群を抜いた演技力でいまや引く手あまたの二階堂だが、一方で芸能界を代表する“サブカル女子”としても有名。セックス・ピストルズのジョン・ライドンをこよなく愛していたり、親交のあるOKAMOTO'Sのアルバムにコーラスとして参加するなど音楽にも明るく、さらにTwitterでオススメの本を尋ねられて、「室生犀星の『性に目覚める頃』今のところ1番好きです。」と答えたり、好きな作家に泉鏡花を挙げるなど、いちいち文化系のツボを押さえまくる“筋のよさ”に、サブカル男子&おじさんたちは歓喜。他方、現在通っている慶應義塾大学では「テニスの王子様サークル」に所属しているという腐女子的な一面も“幅の厚さ”を感じさせる。  そんな二階堂が新たに挑戦しているのが、小説の執筆だ。「小説新潮」(新潮社)10月号からスタートさせた連載では、なんと「毎回一冊の本を取り上げ、そこから触発されて生まれた物語」を綴っている。いわば“書評小説”ともいえるものだ。