
左・般若。右・tha BOSS。
【リアルサウンドより】
THA BLUE HERBのラッパー・ILL-BOSSTINOが、ソロ名義「tha BOSS」として、同じくソロで活躍するラッパー・般若とコラボレーションし、シングル
『NEW YEAR'S DAY』を12月10日にリリースした。同作は、12月26日に東京・LIQUIDROOMにて行われるツーマンライブ「One Mic」に向けて制作されたもので、90年代後半より日本のヒップホップシーンの前線を走り続けてきたふたりが初めてタッグを組んだ作品だ。
北海道・札幌にレーベル「THA BLUE HERB RECORDINGS」を立ち上げ、自分たちにしかできないヒップホップを深く追求し、そのストイックな姿勢と独自のスタイルでシーンにおける圧倒的な支持を獲得してきたtha BOSS。元・妄走族のメンバーで2003年からソロとして活動を開始、数々のMCバトルではその勝負強さを見せつけ、一方ではシンガーソングライターの長渕剛と親交を持つなど、オリジナリティ溢れる活動を展開し、唯一無二の存在感を示してきた般若。ラッパーとして確かなスキルを培ってきたふたりは、なぜ今のタイミングで共作を行い、世に出したのか。そして、現在の日本のヒップホップシーンについて思うところとはーー。作品の聴きどころから、お互いの表現論について、さらにはこれからのヒップホップに寄せる期待まで、じっくりと語り合った。聞き手は、音楽雑誌を中心に活躍する編集者の上野拓朗氏。(編集部)
tha BOSS「一緒に曲をやるのは時間の問題だった」
――こういう“夢の組み合わせ”みたいなコラボレーションって、タイミングだったり環境だったり、いろんな要素が折り重なって実現すると思うんですけど、今この時期に「NEW YEAR'S DAY」っていうまさにドンピシャな曲をリリースするアイデアは、どこから出てきたものなんですか?
tha BOSS:まあ、リキッド(リキッドルーム)だね。リキッドで12月26日にツーマンをやるってことが決まって、それが10月頃だったのかな……まだ時間もあったから、“じゃあ、1曲作ろうか”という流れで。
般若:お互いの中で、いつかは一緒にやるだろうっていうのが、絶対にあったと思うんで。だからタイミングなのかなって。今回のリリックの題材に関しては、BOSS君からいただいたもので、年末っていうモロにピンポイントだったこともあるし、いいかなと思いました。
tha BOSS:バンドのライブからインスピレーションを受けることもあるけど、どうせなら自分のスタイルと同じ1MC+1DJのライブから、いろいろ学びたいっていうのは常にあって。そうなってくると、俺の世代で1MC+1DJで生き残って、ちゃんとしたクオリティでコンスタントに全国キャパを問わず色んな会場でライブをしている人間っていうと、同世代ではもういないからさ。それを考えたら般若とか、田我流もそうだね。そっちの世代に目を向けたら、凄いヤツらがめちゃめちゃいるから。しかもクオリティが高いし。で、俺はそっちの方にここ何年間は常に視線がいってるというか。そういう人たちと勝負してる方が面白いし、だから一緒に曲をやるのは時間の問題だった。特に般若や田我流とかはライブでブッキングされることもあったから。そういう時に少しずつリンクしていって、距離が縮まっていった。でも、曲を作ろうぜ、よしやろう!っていうのは瞬発力だから。ノリだよ。今回はたまたまそれがうまくハマったなって。
――リリックは、シンプルに今年を振り返るっていう内容ですよね。
般若:自分は超個人的なことをむちゃくちゃ言ってますけど、そこはBOSS君と真逆なところというか。BOSS君の場合は、もっといろんな人にわかるようなリリックで。だから、まとまったかなとは思うんですけどね。(リリックを)書き始めてからは自分の場合は早いんで、最初は10分くらいで書いたんじゃないかな。時系列に書いていって。そこからBOSS君に指摘されたところも考慮して2回ぐらい直してって感じですかね。
tha BOSS:年末に歌う曲っていうのは、去年の暮れに考えてたんだよね。
般若:いいっすね。
tha BOSS:そういう曲ないよなって。クリスマスになると、いつもジョン・レノンの曲(「ハッピー・クリスマス」)がかかって。深いところだと、SIONの「12月」っていう曲もある。そういう曲ってヒップホップにはないなって、去年の12月くらいに何気に思って。で、般若と一緒にやることになった10月くらいだと、年末のことってリアリティがまだあんまりなかったんだよ。でも、毎年、その時は絶対に来る。来年も再来年も来る。“年末”っていうのは必ず来るから、その時にだけかかればいいし、その時にだけライブでできればいいくらいのノリなんだよね。その中で般若に今年起こったことっていうのは、当事者ではなく離れた俺から見ても、結婚したり、子供ができたり……っていうのは、Bボーイでマイク1本で戦ってきたMCにしてみたら、強烈な変化だと思うんだよ。表現そのものが揺さぶられるくらいの変化というか。だから、そこをリリックに入れてほしいと伝えたし、そこを歌うべきだと俺は思った。
般若:個人的にこの一年は半端じゃなかったっす(笑)。一年に2回ワンマンやったし、結婚、出産、事件とか、とにかくめちゃくちゃでした。でも、この曲の題材はめちゃくちゃキャッチーですよね。
tha BOSS:本当に。忘年会ソングになってほしいよ(笑)。
般若:みんな歌えないけど(笑)。
tha BOSS:カラオケだったらいいんじゃない?
般若:無理だと思います(笑)。
般若「どんなビートに乗っかってもBOSSなんだなって。改めてぶん殴られたような衝撃」
――tha BOSSさんは般若さんと一緒にやってみて、同じMCとして何か改めて感じることはありましたか?
tha BOSS:般若が凄い!っていろんな人間が言うけど、何が凄いかっていうのは、レコーディングして作品が生まれるところに触れてみないと、本当の般若の凄さはわからないと思ってた。いろんなイメージってあるじゃない? 俺もイメージで語られる人間だし、般若はわりとフィジカルなイメージが強かったんだよ、俺の中では。でも、今回曲を作ってみて、リリックの韻の踏み方とか俺的には結構衝撃だった。韻を踏んでるか踏んでないのかわからないけど、よくよく辿ってみれば、めちゃくちゃタイトに踏んでる……みたいな。しかも難しい言葉じゃなくて、口語体なのにすごく自然に韻を踏んでる。そこに最初にビックリした。
般若:自分らは派手に表に出るタイプの人間じゃないと思うんです。BOSS君が17年間やってきた中で、TBHRからのリリースで自分じゃないラッパーと初めて同じブースに入ったって言ってくれた時、「マジっすか?」ってなるわけじゃないですか。それで改めてBOSS君のラップを目の当たりにして、「この人、スゲーな」と。どんなビートに乗っかってもBOSSなんだなって。改めてぶん殴られたような衝撃を自分も味わってましたね。お互い、たぶんラップに関しては、もの凄いマニアックだと思うんですよ。どっちかっていうと自分の場合は他のアーティストを呼んだり、逆に呼ばれたりとかが多かったので、いろんな人を見てきたんですけど、その中でも忘れられない刺激的な瞬間でしたね。お互いに曲が進むにつれて興奮してましたから。いい曲になるなって。やっぱわかるんですよ。これは間違いないっていう予感が確信に変わっていくような。そりゃそうだよな、BOSSと般若がやるからそうだよなって思いながらやってましたけど。
tha BOSS:本当に良かったよ。すごく突き抜けた曲になったから。年末なのに、しみったれてないっていうか。でも、THA BLUE HERB RECORDINGSにラッパーを招いて同じブースに入ったのは本当に初めてで、自分以外のラッパーが俺の曲にバースを入れたのも初めてなんだ。で、今回のシングルはTHA BLUE HERB RECORDINGSから出すんだけど、次は般若の昭和レコードから出そうっていう流れもあって。
般若:俺は次にBOSS君とやる時は、まったく違うことをやろうって思ってます。もの凄い変態なことをやります。
――想像以上のものが仕上がってきそうですね(笑)。
tha BOSS:実際のところ緊張感もあったよ。俺も自分の意見を般若に伝えるのに正直すごく気を使ったし、それはお互いMCだからね。ミュージシャンだと調和を求めるけど、MC同士がやるとなると、本当に調和を求めていいいのかどうかということすらもわからない。ぶつけ合うことはもちろんあるけど、同じビジョンを共有するってことは電話やメールだけじゃ正直わからないから。
般若:そうですね。
tha BOSS:だから、一緒にブースに入ってみないと。そういう意味じゃ、そんな俺のことも受け入れる度量が般若にはあったし、だから完成したというか。
般若:みんなが俺にどういうイメージを持ってるかわからないですけど、自分の歌にある優先順位の中で一位にあるのは、人と作る時に“最高の作品にするために”ってことなんですよね。最高のものにするために、リリックを書き直してくれとか、ここをちょっと変えてくれとか言われても、自分は何回でもやる。それで作品が良くなるんだったら。だから、そういうところに変なエゴはまったくないんですよ。作品が良くなればいい。
tha BOSS「他の仕事やってる人と同じように、
挫折を乗り越えてここまでお互い辿り着いたんだ」
――tha BOSSさん的には、2014年はどんな一年だったんですか?
tha BOSS:今年はライブと練習だけだった。だから、辛抱することが多かったっていうか。新しい作品を出した時はやっぱり景気も良くなるし、THA BLUE HERB自体の血流というか代謝が良くなる。お客さんとの交流、金まわり含めて、いろんな意味で活性化する。前のアルバムを出して2年が経って、今年はライブだけで生きてきたわけで、オレらはこういう人間ですっていうことだけで日本中をライブしてたからね。まぁ正直、世の中の景気はあんまり良くないし、そういう意味じゃ今年は我慢の年だったとも言える。ライブの質はどんどん上がっていくんだけど、人が入る時もあればぜんぜん入らない時もある。そんなのいつものことなんだけど、なんとか12月まで来れた。生き残ったなって感じがする。勝ちまくったなっていうよりは、なんとか今年も生き残れたっていうか。
般若:いや、それは勝ってるんですよ。ライブだけでやれてる人なんて、正直今いないですよ。ここはみんなが触れちゃいけないことなのかもしれないけど、凄いリアルですね。人の噂であいつはヤバイ、こいつはキテるとか、そういうのを一回抜きにして、年間通して地に足着けてやれてる人はそんなにいないですよ。BOSS君は自分よりも世代は少し上の人で、BOSS君世代でちゃんとやってる人って、僕から見てBOSS君しかいないんですよ。これは500%間違いないと思うんですけど(笑)。だから、俺はすげぇと思うんです。生き残ってるってことはすげぇことで、やってること自体が凄い。まあ、俺もいつまでできるかわからないけど。
tha BOSS:まあ、俺はたまたまできたけど、同じように俺と同世代でラッパーやってるけど、それができなかったヤツは何をやってたかといえば、やりたくもねぇ仕事をしてたのかもしれない。でも、そんなの街中を見てみれば、みんな大変なんだよね、生きていくっていうのは。
般若:「NEW YEAR'S DAY」は、本当そういうのを全部含めての曲になってるのかなって思いますね。
tha BOSS:確かに。
般若:たまたま我々がラップという表現を通して作っただけであって。
tha BOSS:曲は突き抜けてるんだけど、その根底に流れてるのは、やっぱり挫折なんだよね。般若がこないだ出したアルバム『#バースデー』を一つ取ってみても、楽しかったことと同じ数だけ挫折があったというのは一目瞭然だし、ラッパーやりながらも、他の仕事やってる人と同じように挫折を乗り越えてここまでお互い辿り着いたんだ。
般若:その通りです。
tha BOSS:バックトラックはどこまでも突き抜けてるんだけど、俺のバースの“お疲れさん”も含めて、曲の中にはいろいろな悲しみや涙が実はちゃんとあるんだよね。やっぱみんな大変だし、俺も生き残るのが大変だったから、敢えてここは“お疲れさん”で締めようっていうようなところまで行くわけで。根底に流れているのは挫折なんだよね。傷であったり。
般若:俺、“お疲れさん”って入ってきた時に、なんて優しい曲なんだろうって思ったんですよ。そんなこと言われたことないのに(笑)。
――でも、そういうふうにトラックの曲調とリリックの内容の対比で奥行きを出すというか、そういう醍醐味ってヒップホップならではだと思うんです。
tha BOSS:ヒップホップだね。挫折から始まってるよ、ヒップホップは。
般若:挫折から始まってないヒップホップが多すぎる(笑)。嘘つけこの野郎って(笑)。
tha BOSS:俺らなんか特にそうだから。ルーザーだから。
――こういう味わい深さみたいなのって、なかなか出せる人って少ないと思うんですよね。
般若:まぁまぁいい歳だからじゃないですかね、現実的に(笑)。そういうのを自然に言えるようにもなったんじゃないかなとは思います。
tha BOSS:ネクスト・レベルだよ、これからの日本のヒップホップは。本当にそういう世界に突入していく。現実に世の中はどんどん廃れていくしさ。ラッパーはどんどん表現が成熟していくから、やっぱりそこに視点を向けるし。世の中のことを歌うことだけがすべてではないけど、歌うには十分すぎるくらいの没落具合を見せるはずだから、この国は。でも、ラップの表現の質はどんどん上がっていく。俺が1番ヤバいっていうよくある視点から、もっと上のレベルに曲自体の質が上がっていくはずだよ。
般若:俺の場合は、たまに自分みたいなヤツの曲を聴いて、少しでも笑ってもらえればいいやっていうくらいの感覚でしかやってないです。だから「NEW YEAR'S DAY」を聴いて、バカだなこいつって思ってもらえればいいっていうか。“結婚発表した日に被害届出されたって何?”みたいな(笑)。そういうところで笑ってもらえればいいかなって。
tha BOSS:でも、その歌詞には意外といろんなものが詰まってるんだよね。般若の今回のバースも、最初に聴くのと何回も聴くのとでは印象が違う。俺的には後でどんどん効いてくるというか。
般若:後効きだと思います(笑)。
tha BOSS:俺より単語が少ない分、言葉の表現がシンプルになってるんだけど、凄いと思わせる何かがあるんだよね。“俺より辛い思いしたヤツいんのかよ”っていうようなところまで、ふっとみんなを連れて行く力がある。
般若:「NEW YEAR'S DAY」もBOSS君のリリックに比べると、俺の方が言葉の数が圧倒的に少ないじゃないですか。でも、BOSS君の今回のリリックですべてを表してるのは、“俺独り良けりゃじゃねえ/ちゃんと連れてく”ってところで、この“ちゃんと連れてく”って言葉にすべて含まれてる気がします。置いてけぼりにするようなラップも、まぁそれも時として俺は必要だとも思うんですよ。みんな説明を求めたがるじゃないですか。だけど自分は、「これはどういう意味なの?」「知るか!」って感じのタイプの人間だと思っていて。それ以上でもそれ以下でもねぇ。お前がそう思うならそうだろっていう。それでいいんですよ。もうちょっと感性に対してお互い豊かになっていくべきだと思うから。そういった意味では、俺は最近リスナーの心が少し貧乏になってきたのかなって正直感じるんです。それは俺の実力不足なのかもしれないけど、そう感じる時があります。でも、ライブは理屈じゃない。作品は勝手にみんなが解釈してくれればいいと思うんですよね。
般若「ステージに立ってる時は、お客さんの顔が凄いゆっくり見える」
――般若さんの野音のライブも、まさに理屈じゃないところで何かが突き動かされていくようなエネルギーがありましたよね。般若さんはライブをしている時、オーディエンスとその場を共有している感覚はあるんですか?
般若:そうですね。こっちから発信してきたものが、もうみんなの曲になっちゃったんだなぁとか、そういうふうに思うことはあります。でも、ライブをやっている時はこっちもそんなに余裕もないので……余裕なくないですか?
tha BOSS:ないね。戻れないし、進めていくしかないからね(笑)。乗り遅れてるヤツなんて構ってない(笑)。作品は別にみんな好きに聴いてもらえればいいよって感じだけど、ライブに関してはこっちがラップしてる最中は“つまらないんだったら、帰れば”って感じで。共感してくれてるヤツらしか相手にしない。ただそれだけ。それくらいの絶対的な肯定を求めるね。
般若:そうやって俺はここ3年、いろんなことを我慢してるんで(笑)。
tha BOSS:でも、申し訳ないけど本当にそうだわ。結果や批判は甘んじて受ける。それはしょうがない。俺だっていろんな曲を聴いて良い悪いは言うし、それこそ昔が良かったとかも言う。ただ、ライブのまさにラップしてるその瞬間に関しては“悪りぃけど”って感じだよね。それ込みの入場料金だからって。
般若:間違いないっす。別にライブ中に微動だにせずスマホ片手に見てるのもいいんですよ。逆にそれでメシ食えんじゃねぇかみたいなヤツもいるわけです(笑)。葬式みたいに突っ立ったまま。まあ、いろいろ変わったのはしょうがないですけど、でももったいないぞってところはあります。スマホで動画を録るのはいいけど、お前が見てるのはスマホだぞっていう。あんなの女を目の前にしてエロ動画見てるのと一緒ですわ。マジでそう思いますよ。そういえば俺、ライブで目の前で化粧直された時、勃起しそうになりましたからね。昔の話ですけど。
tha BOSS:俺も目の前で化粧直されたことあるわ。
般若:最高!
tha BOSS:こいつなんの準備してるんだよって。
般若:最高でした。
tha BOSS:バンドだと、ここからはギターソロとか、ここからはコーラスみたいな感じで、自分を保てる隙間があるかもしれないけど、ラップの場合はずっとラップしてるからさ。目の前で化粧してる女がいる時も。
般若:客席でちょっと揉めてるヤツが見えたり、こっちは全部見えてるからってことです。
tha BOSS:お客さんは見てるつもりでいるけど、実は見られてるのはお客さんなんだよね。みんな丸見えなんだよ。
――演者は一番よく客席が見えるところにいますからね。
般若:なんかうまく説明できないけど、ステージに立ってる時は時間軸がヘンに細分化されてるというか、お客さんの顔は凄いゆっくり見えるけど、自分の中では言葉がスピードに乗って回転していく。それと同時に今見えてるものに対しての意識が働いていたりしてるし、とにかく忙しいんですよね。
――そういう意味で野音はどうでしたか?
般若:野外でちゃんとやるのも初めてだったんで、良いことと悪いこととはありましたね。照明とかも含めて箱の中だったら支配して作れるけど、野外は日が暮れてくるとともに進んでいくようなストーリーがあったりとか。お客さんも俺も時間とともに変わって、“あれ? みんな同一人物だったのかな”っていうテンションになっていく。そこは面白いと思うんですけどね。またやりたいです、あそこは。できるだけコンスタントにやりたいなと個人的には思ってます。俺のソロじゃなくてもウチの昭和レコードとかでもやりたいなと。今年は忙しかったですからね。1月に自分のワンマンをSHIBUYA-AXでやって、9月に野音をやって、10月はZONEのライブがあって、11月はSHINGO君(SHINGO★西成)のなんばグランド花月のワンマンがあって。
tha BOSS「景気が悪いからこそ生き残ってるのは実力あるヤツ」
――tha BOSSさんはさっき「今年は辛抱することが多かった」と話してましたが、般若さんのように何か劇的なことは起きなかったんですか?
tha BOSS:いや、ないね。ずっとライブしてた。それだけだよ。準備してライブして、また練習してライブして。ライブは毎回全てが劇的だったけどね。
――THA BLUE HERBではいろんなバンドと対バンしてきましたよね。ヒップホップというよりは、ハードコアだったりロックだったり、異種格闘技戦と言ってもいいフィールドでライブを行っている印象があるのですが、今回こうやって般若さんと一緒にやってみて、改めてヒップホップのフィールドで戦ってみたいという気持ちはあるんでしょうか?
tha BOSS:そうだね。今回、般若とやったように、他のラッパーと一緒に曲を作ってみたい。そういうベクトルに今は向いている。自然淘汰の時代は終わったからね。ある程度落ちるヤツは落ちたし、残るヤツは残ったっていうか。残ったヤツは結局みんなそれぞれスタイルがあって、表現に対して真面目だし、歳も関係ない。だから、来年からはちょっと変化を加えてみようと思って。
――そういうベクトルに向かったきっかけはあったんですか?
tha BOSS:いろんな場所で、いろんなMCたちが生き残って、いいライブをやったとか、誰と誰が曲を作ったとか、ここ2〜3年ですごく変わったよ、日本のヒップホップは。景気が悪いからこそ生き残ってるのは実力あるヤツが多いし、ここまで残ってるヤツは本物だよ。で、みんな真面目だよね。曲作るにしてもライブにしても。ライブをやる時は、それぞれのペースで絶対曲げないでやるしさ。そういう意味では本当にここ2〜3年だね。昔のヒップホップバブルの時代とは違う。いろんな環境からいろんな人たちが現れたというか。だから、俺からベクトルを向けていったんじゃなくて、そういう大きな日本のヒップホップに俺も自然と吸収されていった感じ。
――いろんなバンドと対バンしてきた経験っていうのは、どういう形なのかはわからないですけど、そういうところでまた活かされるんでしょうかね。
tha BOSS:場所がどうであれ相手がどうであれ、経験は活きてくるとは思うよ。ただ、バンドとやるのと、ヒップホップの連中とやるのとでは、セットがぜんぜん違うから。ヒップホップにはヒップホップにしかわからない面白さがある。そこで勝負をするのが面白くて。スラングやネタやトラックの使い方もそうだし、ヒップホップにしかわからないいろんなクイズがあってさ。それをお客さんと一緒になってやり取りするのがすごく楽しい。でも、バンド連中の前ではそんなの通用しないから。ヒップホップではない、もっと大きなミュージックってところで勝負していく。ぜんぜん戦い方が違う。
――般若さんは来年何かありますか?
般若:野音でも公言したように、アルバムは出しますよ。あと、リリックにも書いてあるけど、別口で映画絡みのこともあるんで。あれは俺の中でも凄い経験になったし。『#バースデー』の制作の佳境だったんですけど、向こうからオファーをもらって、これはやらなきゃダメだろと思って、まるまる1カ月間、撮影に行ってきて。すごく大変でしたけど、いろんな人と何かを作れるってことに関しては、すごく感慨深いです。今回のBOSSくんの件も感謝しかないし。だから、来年はまたちょっと違う展開にはなっていくんじゃないかなって思ってます。俺らの世代で生き残ってる人たちは、みんなどっかしらそうだと思うけど、大きな意味では俺は仲間だと思ってるし。小っちゃいじゃないですか、ヒップホップっていう枠で構えちゃうと。町というよりは、ぜんぜんまだ村だしさ。そこを、みんなで町レベルにまで上げていったほうが面白いと思うんですよ。そんな楽しいジャンルでもいいじゃんとは思ってます。ヒップホップという一つの集合体の中だったら、自分は歯車でしかないと思ってるんで。それは昔からですけど。
――12月26日のライブが楽しみですが、この日仕事納めの人も多いんですよね。
tha BOSS:そうだね。だから皆さんお疲れっていう、最後はそういう空気で行けたらいいよね。
般若:自分自身、楽しみにしてるんですけど、当日リリック間違わなきゃいいなって感じです。
tha BOSS:そうだね(笑)。一回しかないからね。
――この日がステージ初披露ですよね。
般若:そうです。どっちが先、どっちが後に出るのかはわからないですけど、頑張ります。
(取材・文=上野拓朗/
POKER FACE)

tha BOSS feat.般若『NEW YEAR'S DAY』(THA BLUE HERB RECORDINGS)
■リリース情報
『NEW YEAR'S DAY』
発売日 : 2014年12月10日(水)
価格 : ¥500(税抜)
THA BLUE HERB RECORDINGS HP
■イベント情報
【LIQUIDROOM 10th ANNIVERSARY】
"One Mic"
出演: THA BLUE HERB / 般若
開催日: 2014年12月26日(金曜日)
会場: リキッドルーム
開場: 18:30
開演: 19:30
前売券: 3,500円(税込、ドリンク代: 500円別途)
当日券: 4,500円(税込、ドリンク代: 500円別途)
お問い合わせ先: 東京恵比寿リキッドルーム (TEL: 03-5464-0800)
http://www.liquidroom.net