
乃木坂46『透明な色(Type-A)』(ソニー・ミュージックレコーズ)
【リアルサウンドより】
年明けにリリースされた1stアルバム『透明な色』がヒットを続ける中、いよいよ乃木坂46の11thシングル選抜メンバーが1月18日深夜に『乃木坂って、どこ?』で発表された。前作10thシングル『何度目の青空か?』の選抜発表が昨年8月3日だったので、5カ月強ぶりの選抜発表となり、10thシングル選抜メンバーの活動期間はそれだけ長かったということになる。実際、シングルとアルバムの2枚分を活動したことになるので、それも納得の期間と言えるだろう。
さて、すでにさまざまなメディアで取り上げられている今回の新選抜について、3つの観点から2015年前半の乃木坂46の可能性を探ってみたいと思う。
1. 「誰を選ぶ」かではなく「誰を落とすか」
今回の新選抜は過去最多の18名編成。乃木坂46はこれまで7thシングル『バレッタ』(研究生から堀未央奈が初めてセンターに選出)、9thシングル『夏のFree&Easy』(SKE48からの交換留学生・松井玲奈が初参加)の際に17名編成を経験しており、それぞれ1名増員になった理由はなんとなく理解できる。しかし今回はそういった付加要素は見受けられず、この後言及する研究生・相楽伊織の初選抜入りについても乃木坂46復帰から半年以上経っているため、ここには当てはまらないだろう。
ではなぜこのタイミングでの選抜枠拡大なのか。それが先に見出しで上げた「『誰を選ぶ』かではなく『誰を落とすか』」に該当するように思う。節目となる前作『何度目の青空か?』でスターティングメンバーである1期生はすべて選抜を経験した。さて、では仕切り直しとなる11thシングルでは誰を選抜に入れるのか……となったとき、「選抜にいてもおかしくないメンバー」が現状多すぎる。実際、これまでの選抜メンバーの変遷を見ても、毎回入れ替わっているのは2〜3名で、それ以外のメンバーはほぼ固定のようなもの。「なんでアイツが選抜に居続けるんだよ!?」と不満を覚えるファンもいるかもしれないが、視点を変えると「グループやメディアにとってすでに必要不可欠」になっているメンバーも多いのだ。
以前とあるメンバーにインタビューした際に「選抜発表のたびに、スタッフさんは『誰を選ぶか』よりも『誰を落とすか』が難しくなっているとこぼしていた」と言っていたが、これが偽らざる事実なのだろう。落とせない / 選抜に置いておきたいメンバーが増えた結果が、今回の増枠という事実につながった可能性が高い。
2. 西野七瀬、3度目のセンター選出の意味
今作ではセンターを務めるメンバーも変わった。前作およびアルバムでは生田絵梨花がセンターに経ち、2014年後半を牽引してきた。そして新作では8thシングル『気づいたら片想い』、9thシングル『夏のFree&Easy』でセンターを経験した西野が3回目のセンター選出。これで西野は1stシングル『ぐるぐるカーテン』から5thシングル『君の名は希望』まで5作連続でセンターを務めた生駒里奈に続いてセンターを多数経験することになる。
10枚のシングルと初のアルバムでひと区切りを付けた後、乃木坂46の第2章の幕開けを飾る新作の“顔”となるべきメンバー。あるいは、今後の乃木坂46の“顔”となるべきメンバーとも言えるだろう。ここに、すでに“乃木坂46の顔”である生駒や白石麻衣といった人気メンバーを選ばず、あえて三たび西野を選んだのにも理由があるはずだ。
昨年後半から乃木坂46に対する世間の注目は、急激に高まっている。そんなタイミングで発表される2015年最初のシングルの“顔”に選ばれたということは、間違いなく運営側は「西野を生駒や白石と同じくらい、世間に通用するメンバーにしたい」と思っているのだろう。実際、西野は今年2月に初のソロ写真集出版も控えているし、同月下旬からはWOWOWで出演ドラマも放送される。すでにファンの間ではトップクラスの人気を誇り、握手人気もTOP3の実績があるだけに、次はその勢いを外に向けて放っていく。それも、これまでのような方法とは違った形で。これまでもそのチャンスは何度もあったが、グループへの注目度がかなり高まった今だからこそ勝負を賭けるタイミングなのかもしれない。世の中的には顔と名前が一致するメンバー数がまだAKB48ほどではない乃木坂46だけに、西野がこれからどれだけ飛躍していくのかが楽しみでならない。
となると、次章のプロローグとなる本11thシングルでは何か新しい仕掛けをする必要がある。
3. アンダーメンバーの飛躍とアンダーライブの今後
選抜枠が16枠から2枠増えたことで、少なからずアンダーメンバーにチャンスが巡ってきた。今回は研究生の相楽伊織が初選抜入り、そして伊藤万理華と齋藤飛鳥が7thシングル「バレッタ」以来の選抜復帰となる。まず相楽の選抜入りについては、「乃木坂46第2章」における研究生(2期生)の底上げ、知名度アップの布石になるのではないだろうか。もちろん彼女よりも人気、実力が上の研究生はいる。しかし話題性という意味では相楽がこのタイミングで選ばれたほうがトピックにしやすい。また、ほかの研究生よりも1年遅れてグループに加わったことでいまだに謎の面が多かった彼女だが、今後メディア露出が増えることでその見た目と違ったフワフワしたキャラが浸透していくことだろう。彼女の魅力の1つに「見た目と中身のギャップ」が挙げられるだけに、この絶好のチャンスをぜひ生かしてもらいたい。
そして齋藤と伊藤の、約1年ぶりの選抜復帰。2人は2014年は一度も選抜入りすることなく、同年にスタートしたアンダーライブに立ち上げから参加して着実に実力を高めていった。そんな“種蒔きの1年”を経てつかんだ今回のチャンスを、2人がどうモノにしていくのかにも注目が集まる。すでにアンダーライブには欠かせない、人気・実力を兼ね備えた2人が選抜常連組を脅かす存在であることは間違いない。選抜の中でも3列目という比較的目立たない(あるいはメディア露出の点でも十福神より出番が少ない)立ち位置ながらも、“種蒔きの1年”で培った実力ができるよう心から願っている。
最後に、齋藤と伊藤が抜けたアンダーメンバーがもし11thシングルタイミングでアンダーライブをやった場合、どうなってしまうのかにも注目が集まるところだろう。昨年秋の2ndシーズンではセンターとしてグループを牽引した井上小百合、そして年間を通じてアンダーメンバーをまとめてきた永島聖羅と同じくらい、齋藤と伊藤にもアンダーメンバーを引っ張ってきたという自負があるはず。見方によってはピンチともチャンスとも取れるこのタイミングに、井上や永島、さらにはほかのメンバーがどう動くのか。もしかしたらその鍵を握っているのは研究生なのかもしれない。昨年後半に数名が卒業し、さらに今回のタイミングで相楽が選抜入り。これまでの例からすると、恐らく相楽はここで正規メンバーとなるはずなので、現在の研究生から数名がアンダーメンバーに昇格するだろう。そういった研究生たち(相楽も含む)が、もっと伸び伸びと、自由に動くことで乃木坂46は変わっていく。失敗を恐れずに、もっとグループ内をかき乱してほしい。現状のグループの活性化にはそれが大きなポイントとなるはずだから。
……以上、3つの観点から11thシングルに秘められた乃木坂46の今後の可能性について語ってみた。現時点では11thシングルの詳細は何も発表されていない。過去の例から予想すると、恐らくリリースタイミングは3月から4月の間になることは間違いない。世の中的にも新学期など新たなスタートにピッタリな時期とあって、これから乃木坂46がどんな道を歩んでいくのか。今はただ楽しみでならない。
■西廣智一(にしびろともかず)
Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。