ONE OK ROCKが新作で越えた“2つの壁” 世界水準のサウンドはシーンに何をもたらすか?

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【リアルサウンドより】  ONE OK ROCKの新アルバム『35xxxv』が2月11日にリリースされ、10日付のオリコンデイリーチャートで78,971枚のセールスを記録して1位を獲得。前作『人生×僕=』のセールス45,814枚を大きく上回り、同バンドへの支持が拡大していることを裏付けた。 (参考:http://www.oricon.co.jp/rank/ja/d/2015-02-10/)  同作は、ONE OK ROCKが海外志向のサウンドを実現するために、アメリカ・ロサンゼルスを拠点として、全編に渡って現地のスタジオでレコーディングが行われたアルバム。前作に引き続きTHE USEDやPANIC! AT THE DISCOを手掛けているジョン・フェルドマンをはじめ、複数の著名プロデューサーを迎える一方、ミキシングエンジニアにはGreen Day、U2、Pink、My Chemical Romanceを担当してきたクリス・ロード・アルジなどを迎えて制作。世界進出を見据えた骨太なロック作品に仕上がっている。  2014年にはワールドツアー『ONE OK ROCK 2013 “Who are you ??Who are you ??”TOUR』を行うなど、海外展開も積極的に行ってきた同バンドが、支持を拡大してきた理由とはなにか。音楽ジャーナリストの宇野維正氏に、彼らの音楽性と、その活躍について話を聞いた。 「近年、アメリカにおいてロックはメインストリームの音楽ではなくなってきていて、ロックバンドがストレートにロックを鳴らしても、それが大きな支持を得るような時代ではありません。また、日本においてロックは独自の進化を遂げていて、必ずしも本物志向の作品が売れるとはいえない状況です。そうした中でこの作品は、“2つの壁”を同時に越えたと言えるでしょう。まずひとつは、日本のポップミュージックシーンの壁。彼らが日本の音楽シーンからワールドスタンダードなロックを鳴らすようになったことは驚くべきことで、しかも単に古いロックを踏襲したものではなく、現代のアメリカに適応したサウンドを鳴らしています。それが顕著に表れているのがSleeping with SirensのKellin Quinnをゲストボーカルに迎えた『Paper Planes』で、曲単体で一聴しただけでは、誰も彼らの音だと判別がつかないくらいのポップ・ロックに仕上がっています。手探りではありつつも、躊躇なく古いものと新しいものを同時に取り入れている姿勢に感心しました。  もうひとつは、アメリカのポップミュージックシーンの壁。アメリカではすでにメインストリームではなくなったロックを、多くの人に届けるためにはどうしたらいいかというところまで考えて、ONE OK ROCKは今作を制作したのでしょう。実際、彼らのサウンドは海外でも支持を拡げています。前作『人生×僕=』でもサウンド面では世界水準に近づいていましたが、今作を聴いて、そのアティチュードの本気さに改めて気づかされた人も多いのではないでしょうか」  そんなONE OK ROCKの音楽は、日本のリスナーに洋楽ロックの魅力を伝えるきっかけにもなるのではないかと、同氏は続ける。 「日本ではメインストリームのJ-ROCKシーンにいながら、異質な存在だったのがONE OK ROCKです。そして今作では、日本のリスナーに洋楽の魅力を伝えるバンドに成長したのではないか。彼ら自身はそこまで意識はしていないでしょうが、音に説得力があるうえ、この作品を聴いて感動した人は、他の日本のロックバンドよりも洋楽のアーティストに興味を持つでしょう。そういう意味で、今作はリスナーの意識を海外に向けさせる重要なアルバムです」  また、ONE OK ROCKの今後について、同氏は次のように期待を寄せる。 「ONE OK ROCKは2014年にワールドツアーを行ったほか、2015年は4月から北米ツアーが決定しているなど、ライブ活動においては上昇気流の真っ只中にあります。そんな中で今回の作品を出すことにより、世界中でさらに多くのファンを獲得すると思いますし、北米を回ることでバンドとしてもさらに次のステージへ踏み出すと思います。LOUDNESSやBABYMETALのように、メタルという特別なフィールドで活躍した、または現在進行形で活躍しているアーティストはいますが、メインストリームの音楽として、20代の日本人ロックバンドがここまで活躍するとは誰も予想していなかった。だからこそ、今後も想像を超える活躍を期待してしまいますね」  今年は国内でアリーナツアーを行うONE OK ROCK。海外でアリーナ公演を行う日も、そう遠くないのかもしれない。 (文=編集部)
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ONE OK ROCK『35xxxv(初回限定盤)』(A-Sketch)

■リリース情報 『35xxxv』 発売:2月11日(水)  DVD付き初回限定盤:¥3,150(税抜) ※「Studio Jam Session Vol.2」収録 (「Mighty Long Fall」、「Decision」) 通常盤: AZCS-1041 ¥2,700(税抜) 【特典】 DVD付き初回限定盤スペシャルパッケージ ・Studio Jam Session Vol.2:「Mighty Long Fall」「Decision」のStudio Jam Sessionの映像を2曲収録 ・シークレットトラック収録 CD購入特典(初回、通常盤共通で期間限定)2015年開催のアリーナツアー先行予約抽選カード封入 収録内容: 01 : 3xxxv5 02 : Take me to the top 03 : Cry out 04 : Suddenly 05 : Mighty Long Fall <映画「るろうに剣心 京都大火編」主題歌> 06 : Heartache <映画「るろうに剣心 伝説の最期編」主題歌> 07 : Memories 08 : Decision <映画「FOOL COOL ROCK! ONE OK ROCK DOCUMENTARY FILM」メインテーマ> 09 : Paper Planes(featuring Kellin from Sleeping with Sirens) 10 : Good Goodbye 11 : One by One 12 : Stuck in the middle 13 : Fight the night ■ツアー情報 『ONE OK ROCK 2015 “35xxxv" JAPAN TOUR』 5月9日(土)、10日(土) 静岡:静岡エコパアリーナ 5月13日(水) 新潟:朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンター 5月16日(土)、17日(日)  宮城:宮城セキスイハイムスーパーアリーナ 5月23日(土)、24日(日) 神奈川:横浜アリーナ 5月30日(土)、31日(日) 広島:広島 グリーンアリーナ 6月4日(木)、6日(土)、7日(日) 大阪:大阪城ホール 6月16日(火)、17日(水) 名古屋:日本ガイシホール 6月20日(土)、21日(日) 愛媛:愛媛県武道館 6月27日(土)、28日(日) 福岡:マリンメッセ福岡 7月4日(土)、5日(日) 北海道:真駒内セキスイハイムアイスアリーナ 7月11日(土)、12日(日) 埼玉:さいたまスーパーアリーナ チケット一般発売:5月9日~5月31日までの公演=4/18(土) 6月4日~7月12日までの公演=4/25(土) チケット料金:¥6,000(税別)

台湾美女の魅力にクラクラ!台湾のコミケ「ファンシーフロンティア25」コスプレ集

オタクに"なるほど"面白い!オタクニュース・ポータル「おたぽる」より

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超絶美形な男の娘レイヤーさん!
 台湾台北市で、1月31日、2月1日に開催された同国最大の同人誌即売会「ファンシーフロンティア25」(通称、FF25)。25回目を迎えた今回、これまでと大きく変わったのがコスプレ広場だ。  前回までの会場は国立台湾大学総合体育館で、今回は会場を花博爭艷館へ移転。同所は、2010年に開催された「台北国際花の博覧会」会場跡地に建設された施設。つまり、周囲は公園という、撮影には絶好の立地となる。そのため、会場周囲はすべてコスプレ広場となっていた。  日本でのコスプレの常識を知っているとまず驚かされるのは、会場のあちこちに着替えをしている人がいるということ。一応、更衣室も設けられているが、会場周囲の屋根のあるところや壁沿いにぐるりと荷物を置いて、着替えをしているコスプレイヤーの姿がある。中には、仲間同士で一人用のテントを設置し、その中で着替えをしている人も。また、化粧が少しずつ完成していく風景も見ることができて、なんだか新鮮。おまけに、着替えを終えた後は荷物を置きっ放しにしている。いくら治安が良さそうとはいえ、ちょっと物騒なのでは? 案内してくれた台湾の友人に聞いてみると、「私はやらないけどねえ~。(台湾では)当たり前の光景ですよ」だそうだ。  さて、会場周辺の公園では、あちこちで撮影が行われているが、撮影についてもかなり自由。なにしろ、花壇に入って撮影している人もいるし、木に登っている人までいる! 「おたぽる」で続きを読む

放射脳といわれる人の心の中は? 芥川賞作家が原発事故の自主避難体験を小説に

【本と雑誌のニュースサイトリテラより】
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「すばる」(集英社)2015年1月号
 福島第一原発の事故は、多くの人生を狂わせた。放射能汚染によって避難区域に指定された人たちだけではなく、汚染が深刻であるにもかかわらず区域外であるために、保障も受けられないまま自主避難している人々も数多い。さらには、避難先で孤立したり、避難した人と避難しない人のあいだに軋轢が生まれるなど、問題は深刻さを増している。  だが、こうした避難をめぐる問題は福島県だけではなく、放射能汚染が心配される、あらゆる地域で起こっている。そして、ここでも自主避難を決めた人たちは「無闇に怖がるだけの放射脳だ」「被災地に住んでるわけでもないのに被災者ぶっている」などと中傷されることも多い。  そんななか、自主避難者にスポットを当てた作品が発表された。著者は、『蛇にピアス』(集英社)で芥川賞を最年少受賞した金原ひとみだ。  その作品は、「すばる」(集英社)1月号に掲載された長編小説「持たざる者」。金原自身、震災発生時は妊娠中で、1号機が水素爆発を起こしたすぐ後に娘を連れて東京から岡山県に避難。岡山で出産した後はフランスに移住している。「持たざる者」は、そんな彼女の経験が反映された作品である。

セカオワ、三代目JSBがカラオケチャートも席巻 ドラゲナイ現象&カラオケEDM旋風を読む

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SEKAI NO OWARI『Tree』(トイズファクトリー)

【リアルサウンドより】 参考:2015年2月2日~2015年2月8日のCDアルバム週間ランキング(2015年2月16日付)(ORICON STYLE)  今年の頭に書いた【2015年、セカオワ現象はどこまで広がるか? 2年半ぶりのアルバム『Tree』の射程距離】で手前味噌ながら完璧な予測をした通り、2010年代以降の若手バンドにとって大快挙となる50万枚突破に向けて順調にセールスを積み上げている(現在のところ40万枚突破)SEKAI NO OWARIが今週3位。もっとも、バンドにとっては大快挙であるその50万枚という数字に初週でいとも簡単に到達してしまったのが、今週1位の三代目J Soul Brothersの5枚目のオリジナルアルバム『PLANET SEVEN』ということになります。実はSEKAI NO OWARIと三代目J Soul Brothersは2010年デビューの“同期”。同じ“大快挙”でもバンド系とJ POP系の瞬発力の違いを見せつけられた感もあります。  今回注目したいのは同じオリコンチャートでも、アルバムチャートではなくカラオケチャート。というのも、2月9日付けの最新チャートで約10ヶ月ぶり(!)に大きな動きがあったのです。先週まで39週連続1位(!)を記録していた松たか子の「レット・イット・ゴー~ありのままで~(日本語歌)」を抜いて1位となったのは、なんとあの「ドラゲナイ」ことSEKAI NO OWARI「Dragon Night」。このオリコンのカラオケチャート、各カラオケ配信業者のチャートを集計して算出するため2週間ほど時差があるらしいですが、つまり2015年1月半ばにこの国では正式に「アナ雪現象」が終わって、「ドラゲナイ現象」が始まったというわけです。  これ、別に大げさに言ってるわけじゃないですよ。カラオケチャートというのはある意味でシングルチャートやアルバムチャートよりも正確に時代と大衆の需要を反映しているもの。ちなみに、昔はわりと頻繁に1位が入れ替わっていましたが、近年ではAKB48「ヘビーローテーション」が43週連続1位(!)、ゴールデンボンバー「女々しくて」が48週連続1位(!)、AKB48「恋するフォーチュンクッキー」が34週連続1位(!)と、いい加減「!」をつけるのも飽きてきましたが、同じ曲がほぼ1年近く1位を独占するのが常態となっているのです。このことが示しているのはたった一つの由々しき事実。「一般の人がCDを買ったり、新しい音楽トレンドを追ったりすることがなくなった」(=なので新曲を歌うという習慣がなくなった)ということに尽きるわけですが、なんとSEKAI NO OWARIはその土俵にまで上がってきたというわけです。  年頭に今年の「セカオワ現象」を華麗に予測した自分も、さすがにこの「ドラゲナイ現象」までは予測できませんでした。できるわけないって。そもそもこの曲、リリースされた昨年10月の時点では、レコーディングのためにアメリカに渡って、アヴィーチーなどの作品にも関わっている超売れっ子プロデューサー、ニッキー・ロメロにサウンド・プロデュースを手がけてもらった、その本格的EDMサウンドが話題となっていた曲。ちなみに今週のアルバムチャート1位の三代目J Soul Brothersの昨年のシングル「R.Y.U.S.E.I.」もEDM系のサウンドですが、こちらもカラオケチャートでは「Dragon Night」「レット・イット・ゴー~ありのままで~(日本語歌)」に続いて3位につけていて、虎視眈々と1位を狙っています。昔はカラオケといえば歌い上げる系のバラードが人気を集めていましたが、今やカラオケの場で求められるのはノリ。でもって、そこにずっぽりとハマったのが「Dragon Night」や「R.Y.U.S.E.I.」のEDMサウンドということなのでしょう。フェスで踊り、カラオケボックスで踊り、いつの間にか日本はクラブに行かない人々による“踊ってばかりの国”になったのです。 ■宇野維正 音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter

『ゴルゴ13』や『こち亀』など…なぜ長寿マンガは「サザエさん時空」に陥るのか?

オタクに"なるほど"面白い!オタクニュース・ポータル「おたぽる」より

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『こちら葛飾区亀有公園前派出所』193巻(集英社)
“長生きのコツを調べる”をテーマにしたバラエティ番組『キスマイハンドレッド』(TBS系)の2月8日放送分で、「サザエさん時空」が取り上げられた。「サザエさん時空」とは、長期の連載期間にわたって、主人公をはじめ登場キャラクターの年齢が変わらないことを指す言葉。この名称はマンガ・アニメの『サザエさん』から取られている。 「サザエさん時空」については2つのパターンがあり、ひとつは『ゴルゴ13』(リイド社)や『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(集英社)といった、時事ネタを扱うなど、作品中に時代の変化が見られるもの。一方のパターンとしては、『ドラえもん』や『コボちゃん』(芳文社)など、作品内で時代の変化がほとんどみられないものがある。 「おたぽる」で続きを読む

齢70歳超えの現役AV監督が語る“昭和の性”と「セックスしない若者」への説教

【本と雑誌のニュースサイトリテラより】
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『セックスのすすめ』(双葉社)
 昨年、日本史上最小を記録した出生数。「2014年の人口動態統計」(厚生労働省)によると、昨年1年間に生まれた子どもの数は、前年から7000人減の約103万人だった。そもそも、それ以前に性への関心も薄くなっているといい、「第14回出生動向基本調査」(国立社会保障・人口問題研究所)によると、18歳から34歳までの女性の39%が処女、男性の36%が童貞だというデータも出ている。  国にとっては由々しき事態かもしれないが、こうしたデータが出ると「セックスの歓びを知るべき」「性の感動を知らずに死ぬつもりか」などと説教を垂れる輩が得てして現れるもの。処女だろうが童貞だろうが他人に何の迷惑もかけていないのだから「ほっといてくれ」という話なのだが、そんななかでも、とりわけ鼻息荒く「セックスをしなさい! これからの日本を担っている若い世代に提唱したい」と吠えている男がいる。昭和18年生まれ、これまで2000本もの作品を生み出した70歳超えのAV監督、ヘンリー塚本氏である。

indigo la Endは新しいルートで山を登るーーアルバム『幸せが溢れたら』の画期性とは?

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【リアルサウンドより】

バンドアンサンブルが紡ぐ組曲『幸せが溢れたら』

 indigo la Endの最新アルバム『幸せが溢れたら』は、バンドとしてネクストステップに進んだことが明確に感じられる作品である。その魅力を自分なりにまとめると、「メロディアスなギターに頼らないバンド感の強化」と「アルバム全体としてのストーリーの提示」の2点となる。  1点目のバンド感の強化については、アルバムの幕開けを飾る「ワンダーテンダー」に顕著だろう。イントロはギターのコードストローク1小節だけ。続くAメロで川谷絵音の歌声を支えるのは激しく動くベースラインと16分音符を刻むドラムのみで、アルバムの幕開けとしては珍しくリズム隊のグルーヴを前面に押し出したアレンジが施されている(これまでリリースされたすべてのアルバムとミニアルバムにおいて、1曲目のイントロには印象的なギターのフレーズが導入されていた)。また、8曲目の「花をひとつかみ」ではクリアなアルペジオによるBメロや音符を詰め込んだ歌唱がキャッチーなサビに対してAメロでは豪快なスラップベースがフィーチャーされているなど、作品全体を通じてベースの後鳥亮介が正式メンバーとして加入したことによる好影響が見て取れる。  2点目であるアルバムのストーリーという部分に関しては、4曲目「心ふたつ」から5曲目のポエトリーリーディング「まなざしの予感」を挟んで6曲目「実験前」に流れていく展開を作品のハイライトとしてあげたい。エモーショナルなボーカルとストリングスの組み合わせが壮大な「心ふたつ」は、若手のギターバンドの曲というよりは「J-POPの最前線で長年戦ってきた人たちの作品」と言われた方がしっくりくる仕上がり。この曲で表現される未練まみれのぐちゃぐちゃな感情は、続く「まなざしの予感」における男女の切迫したつぶやきにつながる。そして、そんな緊張感のある空気を切り裂いて始まる「実験前」のカオティックな演奏と普段よりも上の音域をいくボーカルからは、これまでのインディゴではあまりお目にかからなかったような不気味さも感じられる。もっとも、歌詞を見ると気持ちがざわついている男の意外なポジティブさが描かれていて少し安心するのだが。  様々な情景が展開されて辿りつく最後の曲「幸せが溢れたら」は3連符のアルペジオとコーラスが荘厳さを醸し出す1曲だが、この曲を聴いているときに「死ぬ前の走馬灯ってこういう感じなんだろうか」なんて思ってしまった。「エロスとタナトス」という考え方もあるが、恋愛に関する表現を突き詰めていくことで生死に関する問題に肉薄してしまう凄みが『幸せが溢れたら』というアルバムには秘められている。

「リア充」まで射程に捉えた失恋の物語

 川谷本人が語っているとおり、今回のアルバムが提示するストーリーを貫くテーマは「ラブソング」「失恋」である。今作の登場人物は、昔の恋人が缶コーヒーを飲んだ時に見せた苦そうな顔に思いを馳せたり(「さよならベル」)、「あなたを忘れない自信がある」なんていうちょっと怖い気持ちを垣間見せたり(「夜汽車は走る」)、さらには相手のことを思い出して泣きながら自転車に乗ったりする(「花をひとつかみ」)。  ロックバンドにとって、「失恋」というモチーフは必ずしも目新しいものではない。たとえば「好きなあの子に話しかけられない、話しかけられない間にいけてる奴にとられてしまった、あんなチャラい奴のどこがいいんだろう、悔しい」という類の「何も始まらないことを嘆いて悶々とする」タイプの失恋を歌うバンドはたくさんあるし、学校の風景が思い浮かぶような思春期の淡いすれ違いを描くバンドもいる。  『幸せが溢れたら』で描かれる生々しい失恋の痛みは、もちろん先に述べたような表現に接してきたリスナーにとっても想像できるものとして受け入れられるはずである。ただ、今作で注目すべきは、ここで描かれる失恋の世界に「恋愛にまっすぐ没頭していたカップル」の姿が見えることではないだろうか(「リア充」的な恋愛の光景と言ってもよい)。ヘビーな別離や未練の描写も、2人で向き合った時間があったからこそ生まれる。思いっきり恋をした瞬間と、思いっきり凹む瞬間。そこに変な自意識が入り込む余地はない。そんなピュアな感情の吐露がウェットなメロディに乗ることで完成する神々しい美しさは、「恋愛したいけど恋愛恋愛言いたくない、でも振り向いてほしい」というような屈折した視点からは決して生まれ得ないものである。

ゲスの極み乙女。とは異なるルートで山を登る

 西野カナや加藤ミリヤといった「失恋ソングの女王」から彼女たちをトレースしたような数多の歌手に至るまで、失恋をテーマにしたポップソングというのは一つの大きなマーケットを築いている。恋愛にまつわる情念がディープに(そして妙なこじらせ方をせずストレートに)表現されている『幸せが溢れたら』は、そういった音楽を聴いている層にもアプローチできてしまう可能性を持ち合わせている。今までロックバンドに興味のなかった人たちがこのアルバムに出会って「泣ける!」なんて言い出したら非常に痛快だ。  川谷のもう一つのプロジェクトであるゲスの極み乙女。は、「バンドシーン/フェスシーンで何をすると受容されるか」という問いを設定しながら自らのアウトプットを組み上げ、本人たちの想定を上回るような成果を得た。そのアナロジーで考えると、今回indigo la Endは『幸せが溢れたら』で「普遍的なポップミュージックのフィールドではどういう表現が望まれるか」という問いに対して回答を出したと言えるのではないか。ロックバンドという形式を維持しながらより広い世界を見据えたこの作品が、どんな形で浸透していくのか注視していきたいと思う。 ■レジー 1981年生まれ。一般企業に勤める傍ら、2012年7月に音楽ブログ「レジーのブログ」を開設。アーティスト/作品単体の批評にとどまらない「日本におけるポップミュージックの受容構造」を俯瞰した考察が音楽ファンのみならず音楽ライター・ミュージシャンの間で話題に。2013年春にQUICK JAPANへパスピエ『フィーバー』のディスクレビューを寄稿、以降は外部媒体での発信も行っている。 Twitter レジーのブログ レジーのポータル
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indigo la End『幸せが溢れたら』(ワーナーミュージック・ジャパン)

■リリース情報 『幸せが溢れたら』 発売:2月4日(水) 【初回限定盤】 WPCL-12033 ¥2,130(税抜) 【通常盤】 WPCL-12034 ¥2,800(税抜) ≪初回限定特典≫ 幸せが溢れるプライス2,130(税抜) W購入特典プレゼントキャンペーン応募専用シリアルコード②封入 [収録曲] 01.ワンダーテンダー 02.瞳に映らない 03.夜汽車は走る 04.心ふたつ 05.まなざしの予感 06.実験前 07.ハートの大きさ 08.花をひとつかみ 09.つぎの夜へ 10.さよならベル 11.幸せが溢れたら ※CDショップオリジナル特典は下記オフィシャルHPを参照 ■ライブ情報 ワンマンツアー「幸せが溢れたら」 2月20日(金)新潟 GOLDENPIGS RED STAGE 2月22日(日)札幌 BESSI HALL 2月27日(金)仙台MACANA 3月01日(日)金沢AZ 3月06日(金)岡山 CRAZYMAMA KINGDOM 3月08日(日)福岡DRUM LOGOS 3月11日(水)長崎DRUN Be-7 3月13日(金)名古屋ボトムライン 3月15日(日)大阪 BIG CAT 3月17日(火)中野サンプラザ 3月20日(金・祝)赤坂BLITZ ※追加公演 ■official website http://indigolaend.com

孫文や蒋介石を女体化!? 台湾版コミケ「ファンシーフロンティア25」に行ってきた!

オタクに"なるほど"面白い!オタクニュース・ポータル「おたぽる」より

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コスプレ写真集をPRしてくれたレイヤーさん。
 今回、取材班が向かったのは、1月31日と2月1日の二日間にわたって、台湾は台北市で開催された同国最大の同人誌即売会「ファンシーフロンティア25」(通称、FF25)。このイベント、近年では日本からのサークルと一般、さらに企業参加者も増えているという。海外で開催される同人誌即売会の中では、日本人にとって最も近しいものといえるだろう。  スケジュールの都合から、取材班が会場入りしたのは1月31日の午後。ファンシーフロンティアはチケット購入制だが、すでに午後だというのにチケット販売窓口には長蛇の列が。一日目は一般入場予定だったので、取材班も列に並ぶ。どれほど時間がかかるかと思いきや、20分もかからずに無事にチケット購入は完了。 「おたぽる」で続きを読む

乃木坂・白石麻衣はジャニヲタだった! AKB、SKE…女子アイドルはジャニヲタだらけ!?

【本と雑誌のニュースサイトリテラより】
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清純派? ジャニヲタだった乃木坂・白石(『乃木坂46 白石麻衣1stフォトブックMAI STYLE』主婦の友社)
 1月23日に発売となった『乃木坂46 白石麻衣1stフォトブックMAI STYLE』(主婦の友社)が、週間売り上げ1.9万部で、2月2日付オリコン「本」ランキングの総合BOOK部門4位にランクインした。昨年12月に発売された初のソロ写真集『清純な大人 白石麻衣』(幻冬舎)で「清純派アイドル」の強さを見せつけたこともあってか、『MAI STYLE』は発売前から重版がかかるなど、ファンの間でも注目を集めていた。  本書は「フォトブック」の名にふさわしい、私服スナップやウェディングドレス姿といった写真ページのほか、学生時代の思い出や、アイドルと女性ファッション誌「Ray」専属モデルの両立の難しさなど白石の本音もつづられおり、外見だけでなく内面的な「清純派アイドル」として認知させることに成功したといえるだろう。  しかし、熱心なファンの間では有名だが、白石には「清純派」とは似つかない、過激な過去があるのだ。

サム・スミス、グラミー主要3冠受賞の背景 テイラー・スウィフト抑えて評価されたポイントとは?

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『2015 Grammy Nominees』(RCA)

【リアルサウンドより】  米音楽界最高の権威である『第57回グラミー賞』の授賞式がアメリカ・ロサンゼルスのステイプルズ・センターで現地時間8日夜(日本時間9日)に行われ、イギリスのシンガー、サム・スミスが主要4部門中、最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞、最優秀新人賞の3部門で受賞した。また、アメリカのロック・ミュージシャン、ベックが最優秀アルバム賞に輝いた。  テイラー・スウィフトやファレル・ウィリアムス、ビヨンセといった名だたるミュージシャンがノミネートされた今回のグラミー賞で、サム・スミスが3冠を獲得した背景について、音楽ジャーナリストの柴那典氏は次のようにコメントを寄せる。 「サム・スミスは今回のグラミー賞における大本命で、主要3部門での受賞は納得のいく結果でしょう。グラミー賞はアメリカで行われているものですが、最近では『第54回グラミー賞』でイギリス女性シンガーのアデルが主要3部門を、『第55回グラミー賞』でイギリスのフォークロックバンドのマムフォード&サンズが最優秀アルバム賞を受賞するなど、イギリスのミュージシャンによる活躍が目立っていました。また、ソウルフルな歌声でありながらポップセンスもあり、長らく大人に愛されるような洗練された音楽性は、グラミー賞で高く評価される傾向があります。サム・スミスの音楽は、それらの要素をすべてかね揃えていました。一方で、グラミー賞ではティーン向けと思われるような音楽性はあまり評価されません。テイラー・スウィフトは2014年でもっとも活躍したミュージシャンのひとりですが、今回、3部門にノミネートされたものの惜しくも受賞を逃したのは、近作でその音楽性をティーン向けのポップに振り切ったからかもしれません」  また、ベックが最優秀アルバム賞を受賞したことは、アメリカの音楽シーンに変化を生み出す可能性もあると、同氏は続ける。 「ベックのようにキャリアのあるロック・ミュージシャンが、主要4部門で受賞するのは久しぶりのことです。また、ほかの主要4部門のノミネートを見ると、ファレル・ウィリアムスやビヨンセのような、R&Bを基調にしたブラック・ミュージック系のミュージシャンが多く、その中ではベックは異色な存在と言っていいと思います。彼の6年振りの作品となる『モーニング・フェイズ』は、比較的大人しい仕上がりだったので、ここまで評価されるのは意外でしたが、それでも高いクオリティで作られた素晴らしいアルバムと言えるもの。今回のベックの受賞が、90年代オルタナティブ・ロックの再評価につながる可能性もありそうです」  そのほか、最優秀ダンス・エレクトロニカ・アルバム賞をエイフェックス・ツインが、最優秀オルタナティブ・アルバム賞をセイント・ヴィンセントが受賞するなど、さまざまなミュージシャンが名を連ねた今回のグラミー賞。恒例のコンピレーション『2015 Grammy Nominees』も発売されているため、日本でも受賞曲を耳にする機会が増えそうだ。 (文=編集部)