WHITE ASHはロックミュージックをどう再定義した? 新アルバムのモダンな音楽性を分析

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WHITE ASH『THE DARK BLACK GROOVE』(バップ)

【リアルサウンドより】  先日テレビ番組でWHITE ASHのメンバーにインタビューをした際、現場の収録スタッフと面白いやり取りがあった。「アルバムリード曲の『Orpheus』のミュージックビデオはご覧になりました?」「はい」「オンエアではあれのフルバージョンが流れますので」「え? あれがフルバージョンですよね?」「え?」「いや、ホントに」。

WHITE ASH / Orpheus 【Music Video】

 まるでクイーン「We Will Rock You」のようなシンプルかつヘヴィなリズムトラックが印象的なアルバムの1曲目「Orpheus」。その全尺は2分8秒。というか、このアルバム、全11曲中、2分台の曲が6曲。で、残りの5曲もすべて3分台という圧倒的な潔さを信条としている作品なのだ。フェスで踊るためのロックだとか感情移入できる歌詞だとか、ロックが「何かの機能のため」に鳴らされがちな昨今のロックシーンにあって、ただ単にカッコいいだけのロックを鳴らせてみせた『THE DARK BLACK GROOVE』。そのアルバムタイトルからは、ただ明るいだけで(≠DARK)、黒人音楽からの影響など微塵も感じさせない(≠BLACK)、単調なビートに支配された(≠GROOVE)、現在のロックシーンへのカウンター意識を感じずにはいられない。  もっとも、のび太(ボーカル&ギター)を筆頭とするメンバーたちには別にそのような裏の意図はなく、単に自分たちがカッコいいと思うロックを追求していった結果、辿り着いたのが今回の作品なのだという。4人で「せーの」で録っていったこれまでの作品とは違って、コンマ何秒単位の意図的なズレまで神経を研ぎ澄ませてパートごとにレコーディングしていったという今作。実はドラムのトラック一つとっても、打ち込みの音に生の音を何重にも重ねていくという念の入れよう。とことんシンプルでソリッドなサウンドを追求していく過程で、実は複雑で手間のかかる手法をとっているというのが興味深い。  ちなみに、のび太が本作レコーディング時によく聴いていたのは、アークティック・モンキーズ『AM』、カサビアン『48:13』、ダフト・パンク『Random Access Memories』、エド・シーラン『×』、ファレル・ウィリアムズ『Girl』、サム・スミス『In The Lonely Hour』といった作品だという。既に出ている各レビューなどでは、タイトルの「BLACK」や「GROOVE」という言葉に引っぱられてか、「R&Bやヒップホップからの影響」みたいな文言が散見されるが、必ずしも本作は広義のブラックミュージックの影響をダイレクトに受けた作品ではないだろう。WHITE ASHが本作で鳴らしているのは、先ほど並べた作品をはじめとする同時代の優れたロック/ポップミュージック/ダンスミュージックを当たり前のように吸収した極めてモダンな音楽であり、「ロックって、そもそもそういう音楽だったんじゃないの?」という問題提起だ。  たとえば、60年代にボブ・ディランらの影響から日本でもフォークミュージックが盛んになったが、いつしか海の向こうで意味するところの「フォークミュージック」と日本で意味するところの「フォークミュージック」はまったく別のものになっていった。ロックにおいても長年にわたってそれとまったく同じことが日本で起こっているのは、改めて指摘するまでもないだろう。音楽のジャンルのそうしたローカライズを必ずしも否定するわけではないが、誰かがそこで再定義をしてみることには大きな意味がある。メロディではなくあくまでもリフが主体のギター、うねりまくるベース、まるでジョン・ボーナムのようなタメのあるドラムをバックに《just give me the rock’n’roll music》とのび太が歌い上げる『THE DARK BLACK GROOVE』とは、そういう作品だ。

WHITE ASH / Teenage Riot 【Music Video】

■宇野維正 音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter ■リリース情報 『THE DARK BLACK GROOVE』 発売:3月4日(水) 価格:¥2,800+税 ※初回生産分:三方背ケース付き 収録曲 1. Orpheus  2. Just Give Me The Rock ‘N’ Roll Music 3. King With The Bass 4. Teenage Riot 5. Walking In A Cloudy 6. Night Song 7. Quandata 8. Speed It Up 9. Zero 10. Hopes Bright <※学校法人・専門学校 モード学園(東京・大阪・名古屋)テレビCMソング> 11. Gifted ■ライブ情報 『WHITE ASH One Man Tour 2015 "DARK EXHIBITION"』 4月4日(土) 札幌PENNY LANE24 Open 17:00 / Start 18:00 4月10日(金) なんばHatch Open 18:00 / Start 19:00 4月17日(金) 新木場STUDIO COAST Open 17:30 / Start 18:30 ■イベント情報 3月10日(火) ツタロックフェス2015 @TSUTAYA O-EAST、O-WEST、O-nest、O-Crest (4会場同時開催) ※対象商品の購入者対象の完全招待制イベント。 3月11日(水) タワーレコード梅田NU茶屋町店 インストアライブ&サイン会 19:00〜

ザ・なつやすみバンド、“生きるための逃避”を語る 「バンドをやること自体が永遠の夏休み」

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【リアルサウンドより】  なつやすみがまたやってくる。毎年恒例のこのヴァカンスは、日々の忙しさから遊離した夢の時間でありながら、昨年、やり残したことと、今年こそやりたいことに取り組む挑戦の場でもあるだろう。――〝ザ・なつやすみバンド〟。そんな、緩いのか勇ましいのか分からない不思議な名前を掲げたバンドの新作『パラード』は、前作に漂っていた、わくわくしたり、せつなくなったりする純粋な感覚はそのままに、少しだけ、ただし、確実に成長を感じられる、実にセカンド・アルバムらしいセカンド・アルバムとなった。まるで、前の夏以来に会った友人とすぐに意気投合するのだけど、何処か大人びても感じられるような。メンバー4人の内の2人――メイン・ソングライターでヴォーカルの中川理沙と、片想いのメンバー、ceroのサポーターも務め、いわゆる〝東京インディ〟における重要人物として知られるマルチプレイヤーのMC.sirafuに、2回目のなつやすみについて話を訊いた。(磯部涼)

「TNBを「面白い」と言われるところまで持っていけるヴィジョンというか、確信があった」(MC.sirafu)

――Real Sound初登場ということで、まずはバンドのバイオグラフィーについて聞かせて下さい。08年に結成されたザ・なつやすみバンド(以下、TNB)にとっての重要な転機が、11年、MC.sirafu(以下、sirafu)さんが加入したことだと思うのですが、当時、TNBはまだ正式なリリースをしていないですよね? 中川:そうですね。『なつやすみの誘惑』(10年7月)というCD-Rを1枚、出しただけでした。私は、その前は大学のサークルのカヴァー・バンドで歌っていて、「オリジナルをやりたいな」って軽い気持ちで始めたのがTNBだったんで、アルバムをつくるとか将来の見通しみたいなものはまったくなかったんです。 ――では、sirafuさんはそんなTNBをどのようにして〝発見〟したのでしょうか? sirafu:TNBのことは結構前から名前を知っていたんです。というのも、片想いやceroで一緒にやっているあだち(麗三郎)君が「なつやすみバンド、良いよ」とよく言っていて。だから、気になっていたものの、なかなかライヴを観る機会がなかったんですね。そうしたら、あだち君が四谷区民センターで主催したイベント(09年10月28日、「風のうたが聴こえるかい??vol.10+」)で、彼のライヴのサポート・メンバーとして中川と一緒になって。ただ、その後、またしばらく空いてしまって、ようやくライヴを観ることが出来たのが、新宿LOFTでやまのいゆずるが主催したオールナイト・イベント(「ホホエミロックフェスティバル5」、10年5月21日)。僕はVIDEOTAPEMUSICのサポートだったんですけど、神さまとかディスパニ(THIS IS PANIC)とか変なバンドばかりが出ていた面白いイベントで、TNBのライヴも凄く良くて。それで、酔っぱらっていたのもあって、思わず「僕がサポートやるよ」って言ったんです。 ――いきなり、固有名詞がたくさん出てきて戸惑うひともいるかもしれませんけど、その頃、sirafuさんはたくさんのインディ・アーティストのサポートをやっていましたよね。 sirafu:何と言うか、当時は輪が広がっていく感じが面白かったんですよね。片想いを結成したのは03年ですけど、ひたすら孤立している時代が長くて(笑)。それが、ceroのサポートをやり出した09年頃から、一気に色んな人と繋がり出した。あの頃はそれがその時代の新しいシーンの在り方だって意識がありましたし、とにかく、良いバンドだと思ったら加わって、そこからまた広げていくということを繰り返していましたね。あと、まだ普通に昼間の仕事をしていたので、それとバランスを取ろうとしていたようなところもあったのかもしれない。 ――普通、仕事と音楽活動とのバランスを取るというと、音楽活動は程々になってしまうものですが……。 sirafu:バランスというのは、意識のバランスのことですね。昼間の仕事も好きだったからこそ、音楽にも同じくらいの熱量で打ち込んで、どれだけ続けられるかっていう気持ちだけでもってがむしゃらにやっていました。あの頃は年間180本くらいライブを入れていたんじゃないかな。 中川:180本?! sirafu:ただ、限界までやったせいで、結局、仕事を辞めざるを得なくなっちゃったんですけど(笑)。だから、最初、サポートでTNBに参加したことに関しても、そこまで何か意図があったというよりも、当時の、人と繋がっていく、輪を広げていく過程のひとつっていう感じですね。 ――一方、中川さんはsirafuさんにサポートを申し出られた時、どんな風に思われたんでしょうか? 中川:シラちゃん(sirafu)のことを最初に認識したのは、タワーレコード新宿店であだちさんがやったインストア(2009年7月5日)で、サポートをやっているのを観て、「凄いひとがいる」って思ったんです。その後、ceroのライヴも観たけど、やっぱり、凄いなと。というのも、入れてくるフレーズが絶妙で素晴らしいんですよ。だから、TNBもいつか一緒にやってもらえたら良いなって思ってましたし、「やるよ」って言われた時は嬉しかったですね。 ――そして、5回ほどサポートを務めた後、sirafuさんはTNBに正式に加入することになるわけですが、たくさんのサポートをしていた一方で、加入にまで至ったバンドは他にないですよね。 sirafu:確かに、加入した時、周りは「え、なんで?」みたいなリアクションでしたね。でも、僕にはTNBを「面白い」と言われるところまで持っていけるヴィジョンというか、確信があったので。実際、その後、ファースト・アルバム(『TNB!』、12年6月)を出して評価が変わりましたし。簡単に経緯を説明すると、僕がサポートに入り始めたタイミングで、オリジナル・メンバーだったギターの子が抜けることになってしまったんですね。結果、TNBの中で「バンド、どうしよう」っていう雰囲気になり、そのままだと解散しちゃいそうで、それはもったいないなと。ただ、脱退を肯定的に捉えると、ギターレスになったことによって音楽的に隙間が出来るわけで、そこで、後ろに引っ込んでいた歌の部分を全面に出せば、このバンドはもっと良くなると考えたんです。その点、僕のスティールパンだったら歌を引き立てられるし、それまでのいわゆるギター・ロックと違うストレンジな感じも出せると思って、「入るよ」って自分から言いました。
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「技量よりも、人柄とかプラス・アルファの部分のほうが大事」(sirafu)

――僕が初めてTNBを観たのは、まだ、sirafuさんがサポート・メンバーだった頃だと思いますが、中川さんはソロ・シンガーとしてもやっていけるんじゃないかって思ったんです。もちろん、並行してソロもやっていたわけですけど、歌とピアノだけで確固たる世界観をつくり出せるひとがあえてバンド・サウンドに乗せて歌っているという印象があった。 中川:昔は周りによくそう言われましたね。でも、ソロはそこまでやりたいわけではなくて、あくまでもバンドがやりたいんです。 ――語弊があるかもしれないですけど、TNBのリズム隊(ベース=高木潤、ドラムス=村野瑞希)はいわゆる〝上手い〟プレイヤーとは違うと思うんですよ。 sirafu:ここ数年で開花してきましたね。僕は、自分がやるバンドに関してはあまり技量を重視していないんです。人柄とかプラス・アルファの部分のほうが大事だと思っているので。実際、潤は音のチョイスが変わっていますし、瑞希ちゃんもあまり普通じゃなくて、それが面白いなって。 中川:うん。なんか変なんですよ。 ――そう、僕もファースト・アルバムを聴いた時に、あの二人のドタバタとしたリズムだからこそ、中川さんの歌にある少年っぽさが引き出されるのかもしれないって思ったんです。中川さんとsirafuさんがデュオでやっている<うつくしきひかり>がマジック・リアリズムだとしたら、TNBはジュヴナイルというか。 sirafu:最近、中川とよく話すんですが、TNBの〝なつやすみ感〟って潤と瑞希ちゃんなんですよ。僕たちだけでやると<うつくしきひかり>みたいに、もうちょっと内に向かう感じになる。対して、TNBの絶妙な感じを出してるのがあの2人で。 ――〝ザ・なつやすみバンド〟って名前だけを聞くと、面白おかしい、あるいは、可愛いらしいイメージを持たれがちだと思うんです。結成時に名前を付けた時、〝なつやすみ〟という言葉にはどんな意味を込めたんでしょうか? 中川:現実逃避、ですかね。バンドを組もうっていう話をしていた時、誰かが「夏休みに戻りたいよ」みたいなことを呟いて、「あ、それ良いね」って付けました。バンドをやること自体が永遠の夏休みというか。メンバーも現実から逃げたいと思っているようなタイプの人達が集まったので、ほんの一瞬でもそういう場所がつくれればと思って。それで、〝ザ・なつやすみバンド〟がぴったりくるかなと。 ――sirafuさんはバンドに関わる際、その名前からインスパイアされたりしました? sirafu:いや、最初はあまりいい名前だと思わなくて。ダサいなって(笑)。だけど、3、4年やってきて、最近は凄く良い名前だと思っています。時代にリンクしてきたというか、今、〝逃避感〟みたいなものが必要とされているんじゃないかって漠然と感じていて。本当に現実から逃避しようとするとクスリにハマったりとかになっちゃうけど、そういうことではなくて、Twitterを見ていても、それぞれが自分なりの逃避の仕方っていうものを持ちながら生活しているなと。皆、仕事のストレスを、例えばTNBのライヴで発散してくれていたりする。今の時代、そうでもしないとやっていけないんでしょうね。だから、生きるための逃避というか。今回のアルバムの「S.S.W(スーパー・サマー・ウィークエンダー)」っていう曲ではまさにそのことを歌っています。 ――〝ウィークエンダー〟というのは、sirafuさんが敬愛するDJ、MOODMANのファースト・オフィシャル・MIX CD(『WEEKENDER』、02年12月)のタイトルでもありますよね。彼はその言葉について「平日は様々な仕事をしている人たちが、週末のダンス・フロアで生まれ変わり、混ざり合う姿」といったような解説をしていました。 sirafu:宇川(直宏/MOODMANの盟友であるクリエイター)さんに至ってはDOMMUNEを始める時、「週末だけじゃなくて、平日も遊ぼう」みたいなことを言っていましたけどね(笑)。 ――確かに、DOMMUNEは仕事帰りの電車の中でも遊べるように、平日の夜、DJミックスを生配信しているわけですよね。平日のライヴ・ハウスにも仕事帰りの人がたくさんいますし、sirafuさんはそういう光景をステージから眺めながら感じたことがあって、「S.S.W」をつくったと。 sirafu:そうですね。僕は今、普通の仕事をしていないですし、そういうバランス感覚についてはお客さんを見ていて学ぶことが多いですね。だから、「S.S.W」は別に応援歌ではなくて、現代の逃避の在り方を歌っているっていうか。その点、〝なつやすみ〟って言葉から読み取れる意味も、結成当初や前作に比べて大分変わったのかもしれません。

「潤と瑞希ちゃんは〝伸びしろ〟そのものなんです」(MC.sirafu)

――また、TNBの〝なつやすみ〟と並ぶ重要なテーマに、〝ポップ〟というものがあると思うんですが。 中川:はい。ポップなものをつくろうということは意識しています。 ――でも、中川さん自身は全然、ポップな人じゃないですよね……。 中川:そうなんです……。 ――前に、訊いてもいないのに「私、友達がいないんです」と呟いていました(笑)。 中川:そうしたら、「じゃあ、友達になりましょう」と言ってくれましたよね。ありがとうございます(笑)。 ――イメージとしては、アトモスフェリックな<うつくしきひかり>の方が中川さんの素に近いように思うんですが、ポップなTNBではキャラを演じているような感じなんですか? 中川:いえ、どちらが素とかどちらが演じているということではなくて、その場の雰囲気に応じて変わるんです。<うつくしきひかり>の時はシラちゃんが私と同じように結構暗いし、TNBの時は潤と瑞希ちゃんっていうバカな2人とワイワイするので「楽しいな」ってなるし。それで、歌い方も自然と変わる。 ――つまり、TNBの〝ポップ〟さにはリズム隊の2人の存在が欠かせないということですね。 中川:かなり重要ですね。 sirafu:僕はバンドに関して、〝伸びしろ〟をずっと持っていたくて。それは、技術的な部分だったり、方向性の部分だったり。伸びしろがあるっていうことは、大人にならないというか、「毎日がなつやすみだったらいいのになぁ…」(「S.S.W」の最後に出てくるセリフ/コーラス)という感覚に近いものを感じていて。僕の中では潤と瑞希ちゃんは〝伸びしろ〟そのものなんです。今回は2人で初めて作曲(「ユリイカ」)もしていますし。 ――ファーストの『TNB!』は本当にファーストらしいファーストというか瑞々しいアルバムでしたけど、今回のセカンド『パラード』はまさに伸びしろを生かしたアルバムになっていますよね。 中川:今のバンドの雰囲気をそのままレコーディングしただけなんですけどね。前より鮮やかにしたいというのはありましたが。 sirafu:ちょっとだけ背が伸びた感じだよね。 ――「毎日がなつやすみだったらいいのになぁ…」と言いつつも、永遠にループしているわけではなく、実は夏休みを経る毎に成長していると。 sirafu:ただ、ファーストは下手さも含めて完成しているというか、あの時にしか出せない〝なつやすみ感〟みたいなものがあって、それを評価されたので、セカンドをつくる上では悩みましたけどね。単に上手くなってもしょうがないし。セカンドが出て、「ああ……上手くなっちゃったか」みたいなパターンってあるじゃないですか。その辺に関しては良いバランスで出来たかなとは思います。 ――数ヶ月前、今作でエンジニアを務めた得能直也くんとお酒を飲んでいて、ミックスが終わった段階のものを聴かせてもらったんですね。その時は、まるで、アルバムを通して1曲が展開しているみたいに感じたんです。「えっ、どこまでで1曲なの?」って。酔っぱらっていたのもあるんでしょうが(笑)。『TNB!』がいわゆるバンド・サウンドで、初期のベスト・アルバムみたいなものだとしたら、『パラード』はアレンジが多様だし、まるで、DJミックスのようなつくりだなと。 中川:その感想、面白い。でも、そうかも。 sirafu:実は曲順を全部決めてからスタジオに入ったんですよ。レコーディングも全曲同時進行で、1曲1曲、仕上げて行くという感じではなく、段々と上塗りするようにつくっていったんで、そう聴こえるのかもしれませんね。コンセプチュアルにするつもりはなかったんですけど、何となく曲順を通して、季節感のようなものは想定していて。春から始まって、夏になって、それが暮れていって。だから、通して聴けるアルバムをつくろうということは第一に考えていましたね。 ――なるほど。では、最後に。『パラード』はビクター・エンターテイメント内の<スピードスター・レコーズ>からのリリースですが、メジャー・デビューするということについては、何か思うところはありますか? 中川:うーん、潤は化粧品を買いまくってますけどね。「メジャーだから綺麗にしなきゃ」みたいな感じで(笑)。 ――sirafuさんに関しては、ある意味で、TNBに関わり出した頃のインディペンデントにこだわっていた時期とは違う方向に進んでいるとも言えますよね。 sirafu:この時代、そんなにメジャーってものに期待していいのかみたいなところもありますけど。でも、最近、周りも世代が変わって若いバンドが増えて。そういう中で、前みたいに繋がりを広げるよりは、自分のバンドに本腰を入れようっていう感じになってきたんですよ。あと、バンドを良い状態で続けるためには、それぞれのバンドでやるべきことが全然違って。 ――確かに片想いは他の仕事をしていたり家庭を持っていたりするメンバーも多くて、もはやスケジュールを摺り合わせること自体がコンセプチュアル・アートみたいになっていますよね(笑)。一方、TNBの〝なつやすみ感〟や〝ポップ〟さには、メジャーという舞台が合っているのかもしれない。 sirafu:そうそう。だから、面白い方に作用したらいいなぁって思いますね。 (取材・文=磯部涼)
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ザ・なつやすみバンド『パラード』(ビクターエンタテインメント)

■リリース情報 『パラード』 発売:2015年3月4日 価格:¥2,300(税込) VICL-64297 ■ライブ情報 タワーレコード渋谷店【スペシャル・アコースティック・ギグ&サイン会】 3月28日(土) タワーレコード渋谷店1Fイベントスペース タワーレコード梅田NU茶屋町店【ミニライブ&サイン会】 4月5日(日) タワーレコード梅田NU茶屋町店イベントスペース タワーレコード新宿店【ミニライブ&サイン会】 4月10日(金) タワーレコード新宿店7Fイベントスペース タワーレコード名古屋パルコ店【ミニライブ&サイン会】 4月12日(日) 名古屋パルコ西館1Fイベントスペース ザ・なつやすみバンド 2nd album 「パラード」リリース記念ワンマンライブツアー 春篇 supported by HOPKEN 5月9日(土) 大阪Shangri-La ザ・なつやすみバンド 2nd album 「パラード」リリース記念ワンマンライブツアー 春篇 supported by jellyfish 5月16日(土) 名古屋 得三 ザ・なつやすみバンド 2nd album 「パラード」リリース記念ワンマンライブツアー 春篇 5月24日(日) shibuya duo MUSIC EXCHANGE http://natsuyasumi.hiyamugi.com/

ネットでは「認めない」との声が上がるも…“声優”と“芸能”の壁を破壊した神田沙也加の実力!

オタクに"なるほど"面白い!オタクニュース・ポータル「おたぽる」より

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主演女優賞を受賞した神田沙也加。
 3月7日、第9回声優アワードの授賞式が、文化放送メディアプラスホールで開催された。アニメ業界の各社が参加する声優アワード実行委員会によって運営されるこのアワードは、その年に最も活躍した声優、功績を残した声優を称えるために設けられたもの。主演女優賞を神田沙也加、主演男優賞を小野大輔が受賞。助演女優賞には沢城みゆき、花澤香菜、助演男優賞に小西克幸、森川智之が名を連ねた。  7日、18時から開催された授賞式でトリを飾ったのは、昨年大ヒットしたディズニー映画『アナと雪の女王』にて主人公のアナを演じ、主演女優賞を受賞した神田沙也加。前日に行われた受賞者の発表でも、神田の主演女優賞受賞が注目を集めていた。  晴れ着姿で登場した神田は、プレゼンターのKADOKAWA 角川書店BC代表取締役専務・井上伸一郎氏から受賞トロフィーを受け取った後のコメントで「14歳で芸能界デビューして以来、最もやりたかったのは声優だった」と熱く語り、今後も声優として作品に参加していきたいと意気込みを語っていた。  実は受賞者が発表された6日から、ネット上では神田の主演女優賞受賞に対して、賛否両論が寄せられていた。 「おたぽる」で続きを読む

ずさんな防災で多数の犠牲者…被災地の無責任市長が今度はネトウヨばり歴史捏造発言!

【本と雑誌のニュースサイトリテラより】
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宮城県名取市の公式サイト「市長のコラム」より
 東日本大震災の発生からもうすぐ4年。  被災地では災害公営住宅の建設が遅々として進まない一方で、東京都では“オリンピック利権の象徴”ともいえる旧国立競技場の解体作業が始まった。また、原発事故に見舞われた福島県では今なお、12万人超の被災者が県内外で避難生活を余儀なくされているにもかかわらず、安倍政権は再稼働に前のめりの姿勢を崩そうとはしない。  その姿は、「白河以北一山百文」などという言葉をもち出すまでもなく、いかにこの国で「東北」という地域が軽んじられてきたかを如実に表しているが、この政府・自民党の「東北軽視」の姿勢に苦悶しているのが被災地の自治体だ。  鳴り物入りで設置された「復興庁」は未だその調整機能を発揮できず、日本各地で相変わらず復興予算の不正流用が続く一方で、被災による人口減や流出で財源が枯渇し、機能不全に陥った被災自治体の職員は疲弊しきっているという。が、そんななか、震災発生から4年目を迎え、被災者や地元住民から総スカンを喰らっている自治体の長がいる。  ほかでもない、約800人もの犠牲者を出した“閖上の悲劇”を引き起こした宮城県名取市の佐々木一十郎市長(65歳)である。

やっぱりエロ過ぎた!? 美少女ゲームアプリ『グリモア』がAppleのApp Storeで配信停止の騒ぎに

オタクに"なるほど"面白い!オタクニュース・ポータル「おたぽる」より

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グリモア~私立グリモワール魔法学園~公式サイトより。
 6日、人気の美少女ゲームアプリ『グリモア~私立グリモワール魔法学園~』が、AppleのApp Storeから削除、iOS版では課金も行えない事態となり、注目を集めている。  本作の公式Twitterによると、今回、期間限定で開催されていたイベント「極楽混浴 流しっこガチャ」で提供された一部のイラストに対し、Appleより指摘があったという。 「おたぽる」で続きを読む

倉本聰が安倍首相を「福島を見捨て東京五輪を優先させた」と怒りの告発!

【本と雑誌のニュースサイトリテラより】
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『聞き書き 倉本聰 ドラマ人生』(北海道新聞社)
 原発再稼働、憲法改正、自衛隊法改正などと安倍政権のきな臭い政策ゴリ押しが続いているが、著名人たちがこれらに反対する動きも出てきている。宮崎駿、吉永小百合、黒柳徹子──。もともと護憲派の著名人たちでなく福島出身の西田敏行や保守派と思われてきた海老名香葉子、笑福亭鶴瓶なども憲法改正や原発再稼働に反対、安倍政権の政策を批判しているほどだ。  そんな中、福島原発事故4年を目前にある著名人が安倍政権の原発政策に対して吠えた。 「安倍さんは福島より五輪。冗談じゃない!」  これは「女性自身」(光文社)3月10日号に掲載された脚本家・倉本聰のインタビュー記事のタイトルだ。東京出身で北海道富良野に生活の拠点を置く倉本だが、原発事故、そして事故が既に風化し無関心となりつつある日本の現状に対して我慢ならないらしい。

SKE48のドキュメンタリーが映す「涙」の意味とは? 現役メンバーと卒業メンバーが描いた物語

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グループへの熱い思いを語る松井玲奈。(C)2015「DOCUMENTARY of SKE48」製作委員会

【リアルサウンドより】  2015年はAKB48グループにとって、ドキュメンタリー映画の年である。SKE48、NMB48、HKT48の各姉妹グループおよび乃木坂46それぞれを追ったドキュメンタリー映画が、今年いっぱいを使って順次公開される。その第一弾が2月27日から公開されているSKE48のドキュメンタリー『アイドルの涙 DOCUMENTARY of SKE48』だ。AKB48に関しては、すでにドキュメンタリー映画がグループを語る上での重要なコンテンツのひとつになっている。西武ドーム公演の失態や選抜総選挙の様子から浮かび上がる過酷さや理不尽さを映して、ファン以外にまで広い議論を呼んだ2012年の『DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on 少女たちは傷つきながら、夢を見る』に象徴されるように、グループの一定期間の活動を切り取り、そこにドラマを見出して肉薄していく手法は定着したものと言っていい。各姉妹グループもまた全国区のスターを擁してキャリアを重ねてきたことで、それぞれの映画作品を製作・上映するだけの厚みと認知度を獲得してきたということでもあるだろう。  とはいえ先週公開された『アイドルの涙 DOCUMENTARY of SKE48』は、AKB48が続けてきたドキュメンタリー映画とは、多少の手触りの違いがある。それはAKB48の各作品がグループの活動全体のうち、映画公開直前の一年程度の期間にスポットを当てるのに対し、本作はSKE48結成の2008年から現在に至る、グループ全体の活動記録になっている点である。それゆえに、近過去の細かなエピソードに焦点を当てることよりも、SKE48の歴史を今日からたどることに重点が置かれている。6年を超えるグループの歩みを振り返るべくまずクローズアップされるのは、ダンスを売りとするSKE48の特徴を築いてきた最初の一歩、初期チームSのダンスレッスン風景である。
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デビュー前のレッスン風景。(C)2015「DOCUMENTARY of SKE48」製作委員会

 映画前半の主役のひとりでもある振付師・牧野アンナの叱咤のもと、公演までの少ない時間の中で半ば素人だったメンバーたちを練り上げていく光景。それは断片的な映像やエピソードレベルではすでにファンの間に知られたものであれ、映像素材をある程度の分数ノーカットで見せ、当時を回顧する本人たちの言葉で意味づけることによって、強烈なインパクトを残す。まだ今日のようなプロフェッショナル然とした面構えになる以前のメンバーと、牧野が無理を承知でプロとして要求するストイックさとの対峙はドキュメンタリーとしてはきわめてシンプルでありながらも強い訴求力を持っている。そう、映し出される「先生」と「生徒」の姿は、パフォーマンスグループのレッスンを記録した風景としては非常にシンプルで、スタンダードともいえる一コマなのだ。「アイドルの涙」という、殊更に観る者の感情を煽ることを予告するようなタイトルでありつつも、この映画が映す「涙」の多くは、パフォーマーの日々としては自然なものでもあり、露悪を感じさせる局面は少ない。「涙」を幾度も映しながら、本作には激情を促すよりも落ち着きを常に心がけているような意思さえ感じる。
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目を赤くし涙をこらえながらインタビューに答える高柳明音。(C)2015「DOCUMENTARY of SKE48」製作委員会

 ただしもちろん、本作を観てこのような印象を受けるのは、普段こちらがいかに48グループのドキュメンタリーが忍ばせる劇薬に慣れきっているかということの現れでもある。本作が強調する「涙」の内には、48グループ特有の恣意的で大掛かりな波乱の中で生じているものも当然含まれている。メンバーたちを揺さぶり翻弄する仕掛けを、ファンもまたどれほど当たり前に受け入れてしまっているか、ダンスレッスンの「ドキュメンタリー」風景がごくシンプルな訴求力を持っていることで気付かされる。
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透き通る青空から夕日に変わる景色を見つめる松井珠理奈。(C)2015「DOCUMENTARY of SKE48」製作委員会

 もうひとつ、6年超の活動の振り返りというスタイルの中で重要なのは、卒業メンバーの立ち位置である。初期からの活動を振り返る際には、必然的にオリジナルメンバーのインタビューが収録されることになる。この時、現在もSKE48所属のアイドルとして全国的な知名度を獲得しキャリアを歩むメンバーのインタビューとまったく並列に、すでに卒業したメンバーへのインタビューカットも挿入される。たとえば平田璃香子、桑原みずきといった元メンバーは本人の卒業やその後よりもまず、活動初期のグループを語るひとつひとつのピースとして本作に登場してくる。つまりそこでは、現役メンバーか卒業者かということによる扱いの区別が行なわれていないのだ。
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2013年の『変わらないこと。ずっと仲間なこと』公演で「それを青春と呼ぶ日」を歌う当時の卒業メンバー9人。(C)2015「DOCUMENTARY of SKE48」製作委員会

 活動初期の礎をもとに現在もトップを走る松井珠理奈、松井玲奈とそうした卒業生たちとでは、当時を語ることの意味合いは当然違う。また、SKE48というグループが、必ずしも釈然としない「卒業」を少なからず生んできたことはファンには周知のことであり、作り手も明確にそのことを自覚している。それでもなお、彼女たちそれぞれに同等の重みで歴史を語らせるこのバランスは、彼女たちの現在を現在として肯定するものであるように感じられた。
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AKB48への移籍に対する気持ちを話す木﨑ゆりあ。(C)2015「DOCUMENTARY of SKE48」製作委員会

 かつての主要メンバーの中には、出演に応じることのなかった者もいるだろう。また、ある元メンバーについては、卒業に強く焦点を当て、彼女が活動継続を選ばなかったということの方を印象づける扱いをしてもいる。しかし、それらを含めて本作全体が強く滲ませているのは、SKE48として活動を継続している者も、SKE48を離れて芸能活動をする者も、芸能活動から離れ「一般」の人として生きる者も、等しく一人前の道程を歩んでいることの尊さである。ファンが「もっと活躍できたはずの元メンバー」の姿を未練がましく追い求めてしまうのは道理である。しかしまた、そもそも芸能を志すことそれ自体、どれほど未来を嘱望されようともきわめてギャンブル性の高い道なのだ。若い時期の試行錯誤の一環でもあり、人生を賭ける一大ギャンブルでもあるアイドル活動をどこまで続けるか、あるいは別の視野へとシフトするのか、それを決めるのは、責任を持ってその人生を背負い続ける彼女たち自身でしかありえない。  48グループの中でも、波紋を呼ぶ「卒業」が多く生まれてきたSKE48にとって、卒業メンバーを現役メンバーと同等の人生として映そうとしたこのドキュメンタリーは、ひとつの優しさと相対的な視野とを与えてくれるもののように思える。未完成だったグループがある完成度へ向けて凝集していく一瞬はこんなにも尊いし、そんな瞬間をかつて見せてくれた人たちが、そこから繋がった現在の人生を歩んでくれていることは、こんなにも嬉しいことなのだ。 ■香月孝史(Twitter) ライター。『宝塚イズム』などで執筆。著書に『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』(青弓社ライブラリー)がある。
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『アイドルの涙 DOCUMENTARY of SKE48』ポスター。

■映画情報 タイトル:『アイドルの涙 DOCUMENTARY of SKE48』 企画:秋元 康 監督:石原 真 出演:SKE48     (C)2015「DOCUMENTARY of SKE48」製作委員会   公式サイトURL:www.2015-ske48.jp

『ポケモン』つながり!? 急接近をにおわせる小学館と出版社・オーバーラップの関係

オタクに"なるほど"面白い!オタクニュース・ポータル「おたぽる」より

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株式会社オーバーラップ公式HPより。
『ポケットモンスター』関連の事業でも知られる出版社オーバーラップ。元々メディアファクトリーからの独立組によって2012年に設立された同社は、ポケモン事業と共に、13年から展開するライトノベルを軸としたオタク系出版社としてのイメージが強い。  そんなオーバーラップだが、いつの間にか同社の会社案内に小学館の重役と思しき名前が記載され、「オーバーラップに小学館が資本参加しているのではないか」という噂が飛び交っている。 「おたぽる」で続きを読む

冨永愛にもあてはまる!? あのナンシー関が長渕剛と国生さゆりを見て言った一言

【本と雑誌のニュースサイトリテラより】
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「長渕剛 OFFICIAL WEB SITE」より
 最新号の「週刊文春」(文藝春秋)が長渕剛と冨永愛の熱愛をスクープし、話題を呼んでいる。 「文春」の報道によれば、取材班は連日のように長渕の自宅を訪れる冨永の姿をキャッチ。ふたりが一緒にいるところを突撃すると、長渕は自宅に記者を招き入れ、冨永と“男女の仲”であることを完全否定。長渕の妻である志穂美悦子や、冨永の息子も含めた家族ぐるみの付き合いであることを強調している。しかも長渕は、「愛ちゃんと息子をうちのファミリーで家族として迎えることができるかって話したことあるんですよ」とさえ話し、不倫ではなく、子育てに悩む冨永を叱咤する「師弟関係」だと説明する。  この不倫報道以前から、長渕と冨永の師弟ぶりはメディアを賑わせてきた。冨永は昨年、過去の複雑な家庭環境や壮絶なイジメ体験を告白した『Ai 愛なんて大っ嫌い』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を発売したが、これも“過去と向き合え”という長渕からの助言があって執筆、長渕がプロデュースをして実現したもの。冨永の長渕への信頼はとても厚く、同書のなかでも、冨永は以下のように長渕へ感謝の言葉を綴っている。

チャットモンチーが明かす、デビュー10周年の現在地「やりたいことが進化しているのはすごく幸せ」

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【リアルサウンドより】  チャットモンチーが、3月4日にニューシングル『ときめき/隣の女』をリリースした。メンバーの橋本絵莉子(Gu,Vo)、福岡晃子(Ba,Vo,Cho)に、世武裕子(Piano, Synthesizer)、北野愛子(Dr. / DQS, nelca / ex. your gold, my pink)という2名をサポートに迎えた、全員女性の通称「乙女団」という編成でレコーディングされた本作は、ピアノを軸とする艶かしい演奏はもちろん、どこか毒気を感じさせる歌詞もまた魅力的だ。「いつだって恋がしたいよ/あなた以外と」と歌う「ときめき」は、どんな着想から生まれたのか。また、前作『こころとあたま/いたちごっこ』に続きサポートメンバーと作品を作り上げることによって生まれた、バンドサウンドの新局面とは。デビュー10周年を迎えた二人にじっくりと話を聞いた。

「みんなが日常だと思っているものも、いろんな選択肢の中から選ばれてそこにある」(福岡)

――今作『ときめき/隣の女』は、前作の恒岡章さん(Dr. / Hi-STANDARD、CUBISMO GRAFICO FIVE)、下村亮介さん(Key. & Cho. / the chef cooks me)をサポートメンバーとして迎えた『こころとあたま/いたちごっと』の疾走感のあるロックサウンドともまた違って、生々しい重さ、張り詰めた空気を楽曲から感じました。「ときめき」は恋愛がひとつのテーマとなっている曲ですが、どんな経緯で生まれたのでしょうか。 福岡晃子(以下、福岡):昨年の夏くらいに歌詞から作っていった曲で、まず、恋愛の歌詞をしばらく書いていなかったので久しぶりに書こうと思ったんです。今、チャットモンチーで恋愛の曲を書いたらどうなるかなと思って。一番の歌詞が最初にできていて、昨年の夏に、徳島にえっちゃんと一緒に帰ったときに見せたら、「めっちゃいい」って言ってくれて、5分くらいで曲をつけてくれて。 橋本絵莉子(以下、橋本):歌詞がすごく素直でストレートで、ちゃんと重みもあって、すごく良いなって思って曲がすぐに浮かんだんです。歌詞が一番まであったのでそれにまず曲をつけて。そこまでは徳島で作って、あとは東京で作りました。 ――ここで歌われる恋愛の風景というのは、ある種の倦怠も含んでいて、長く付き合ったカップルが特に感じるところじゃないかと思います。でも、音楽で表現するのは難しい感情かもしれません。 福岡:今、自分が、恋愛というよりは愛をテーマにした曲を書くとして、どういうことを書きたいだろうと考えた時に、まずサビのフレーズが浮かびました。入り口があのサビだと、「どんな曲?」ってなるじゃないですか、きっと。 ――「いつだって恋がしたいよ/あなた以外と」というフレーズは確かに衝撃的です。 福岡:恋愛の曲に取ってもらっても良いという気持ちもあるんです。でも、書いている時の心理としては、みんなが日常だと思っているもの、普通だとしているものも、いろんな選択肢の中から選ばれてそこにあるんですよ、ということを恋愛の曲として書きたいと思っていました。あとは、やっぱり私が好きで書きたいことってどうしてもモテない恋愛の曲というか(笑)。あんまり、モテそうにない素の気持ちを書きたいなと思ったんです。えっちゃんは、この歌詞を見て「女からの警告だ」って言っていましたけど、まさにそういう感じで(笑)。「気をつけろ!」って感じの。 橋本:(笑)。 ――相手への「気をつけろ」というメッセージでもあり、一方で「思うばかり/逃げられないのに」とも歌われているように、自分自身が相手を選んだことの重み、あなた以外の選択肢はなかったという思いの表現でもある。深い曲です、これは。 福岡:自分はあまり年齢を意識したことがなかったんですけど、こういうことを書けるようになったし、えっちゃんにも歌ってもらえるようになったっていう。いろんな準備が整って、それを女だけでやるという感じがすごく良いなと思いました。 ――絵莉子さんはここで描かれている感情についてどう思いますか。愛情は溢れているけど、もちろん不満もあって、でもこれを選び取った、という。 橋本:もしかすると男の人にない感情なのかもしれないですよね、この気持ちって。だから乙女団(橋本絵莉子、福岡晃子に女性サポートの世武裕子(Piano, Synthesizer)、北野愛子(Dr. / DQS, nelca / ex. your gold, my pink)を加えた新編成の名称)でやれたのは本当に嬉しいです。
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「3人の時のチャットでは考えられないアレンジですね」(橋本)

――乙女団でのレコーディングは、前回の男性メンバーを加えた男陣とくらべてどうでしたか。 福岡:全然違いましたね。でもツネさん(恒岡章)やシモリョーくん(下村亮介)との男陣を経て、私たちも迎える準備、サポートの方と何かを作ることの準備もすごくできていたのもあって、いろいろスムーズでした。それに加えて、女性ならではの決断の早さが。 ――早いですか。 福岡:めちゃくちゃ早いです(笑)! 「そうそうわかるわかる、じゃぁこれでオッケー」みたいな流れで、トントントンといきましたね。性格的にも4人が合っていて、言葉にしなくてもわかるというような感じでした。男性2人との時は、もっと何かできる、もっと良くできるんじゃないかと、本当にギリギリまで探求していく作業で。両方のメンバーと制作してみて、すごく違いがありましたね。 ――そういう現場も含めて独特のグルーヴができていて、サウンド的にもピアノが軸になっていて新鮮です。 橋本:昔の、3人の時のチャットでは考えられないアレンジですね。こんなにもピアノがずっといて、曲に自然に溶け込んでいる曲は今までないし。それは今だからというのがあると思います。2人のチャットをやってから、というのもあるし、全部がちょうど良く集まった感じです。 ――なるほど。演奏面の艶やかな印象とも相まって、歌詞の毒というか、鋭さが引き立っているようにも思います。 福岡:これはたぶん歌だからできることですよね。会話としては出ないワードだし。だから、曲だからできるということを活用しています。人が普通に思っていることを言うと、毒になるんですよね。それを歌にするからなんとか成立しているけど、それが割とやりやすい歳になりました(笑)。昔は怖くてできなかったんです。そう思っていたとしても、アカンかなーとか伝わらんかなーとか自分で制限していて。自分としては本当に思っていることでも、自分だけが思っているんだけじゃないか、みたいな感情があるじゃないですか。だから最近はそういうのも、作品として、その時の形として残していきたいと思うようになって、出していけるようになりました。 橋本:やっぱり音楽だから言えるとか、隠していない本音みたいなものを曲でドンと歌っているから、歌っている本人たち、私たちがスカッとするところはあります。 ――チャットモンチーの初期の頃って、恋愛のキラキラ感や思いの純度がパワーになっていた部分もあったと思うのですが、この曲はまた違う地点に着地していますよね。キャリアを重ねるうちに、複雑で深い感情を表現するようになってきたのでは。 福岡:どうですか? 振り返ると。 橋本:振り返ると……その時々のリアルなことを歌っている時もあるし、一回寝かせているパターンもあります。でもきっと常に、今を追い越してはいなくて。本当に曲とともに時間を過ごしていっている感じがします。 ――ちょっと戻ってみたり、というのも? 橋本:あります、前の曲を掘り下げることはもちろん。 福岡:確かに、今の自分たちを追い越したことはないかもね。無理なことは言ってない。世の中的にもいろんな出来事があって、今それを思った自分に対して、形にしたいと思うこともあれば、すごく思うことがあるのにどうしても歌にできないという時もある。……でも前に二人で話していたのは、ずっと一緒に過ごしていて、上京もほぼ一緒にしたし、実家の家族よりも長く一緒に過ごしていると、アンテナが一緒になってきて、書く歌詞のテーマがたまたま一緒になった時もありました。そういうのもあって、それがいつの気持ちかはお互い絶対に知らないけれど、なんとなく言わんとしていることはわかる、というのはあります。(互いに)何言っているかわかんないと思うことはあんまりないですね。感じることが似てくるんだろうなと思います。

「「こわい」って思われるくらい面白いのを書きたい」(福岡)

――2曲目の「隣の女」は鋭い人間観察から生まれた曲という感じで、これも毒があって新鮮でした。 福岡:これは、単純に人間関係に悩んでいる時に書いた曲で、すごく怒っていました(笑)。もう昨年のことなので忘れたんですが、その時はすごくいろいろ思うことがあって、友達にも「こういうことがあって」と相談したら、その子が「曲にすればいいやん」って言ったんですよ。結局、歌詞って自分が何を言いたかったかってことをまとめられないと作品にできないから、結局自分は何を言いたかったのかと考えていくんです。すると、やっぱり自分の感情も入っていく。だから、誰かに向けてというよりは、結局、そういう自分にも成り得るということで。だから……遠からず自分も、みたいなところですね。 ――自分批評でもあるということですね。 橋本:みんな結局、そういう感じなんじゃないかなって。やっぱり女の人って気になるじゃないですか、女の人のこと。友達は友達でいいけど、ちょっとライバル視してみるとか、絶対あると思うんですよね。だからそういう思いをした人は「あっ」って思っていただけると思います。 福岡:「ときめき」が男性に対する警告だったらこっちは女性に対する警告、というところもある。でも私は「こわい」って思われるくらい面白いのを書きたいというのがあるので、わりと面白い歌詞というイメージで書きました。 ――コミカルなイメージもありますよね。曲を付ける時にはどのようなイメージが? 橋本:いつも作る時にイメージというのはあまりなくて、歌詞だけが頼りで作るので、歌詞にあることを歌う!っていう感じで作りました。 ――この2曲のアレンジは4人で? 福岡:そうですね、ざっくりしたのを2人で作って、そこから4人で一緒にスタジオに入って詰めていくという感じでした。世武ちゃんに関しては、毎回弾くことが違うんで、このキメっていうフレーズ以外は歌詞に寄り添うものをお任せで、弾いてもらいました。それから、とにかく引き出しが多くてすごいんです。だからそこは世武ちゃんに完全にお任せしてやっています。ドラムに関しては、私が2人体制のときに叩いていたのもあって「こういうのが良い」とはお願いするけど、やっぱり、ぜんぜん違って何倍も良いものが返ってくるから、ほとんどのプレイはお任せになります。こういう風にしてほしいみたいなのはほぼなくて、音だけ、ドラムのチューニングとか音づくりを一緒にやっています。 橋本:ギターに関しては2人体制になってから買ったフェンダーのシンラインがものすごく当たりで。すっごい良い音がするから大好きでずっと使っていて、プリプロの時にもシンラインを使って曲作りをしていました。シンラインは弾いている時に、弾いている以上に鳴っている気がするんですよ。でも単純にパワーがすごいというわけではなくて、鳴りがすごい、という感じがするんです。で、テレキャスは弾いたらパンッとすぐに出て行ってくれる、立ち上がりが早いイメージがあって、だから「隣の女」みたいなけっこうテンポの良い時に使っている感じです。シンラインは響いてくれるから、大きい曲にすごく合ってくれます。 ――今回のように世武さん、北野さんが入り、2人が持っている音楽性と混じることでまた見えてくるものもあるのではないでしょうか。自分たちの持っている特徴とかクセ、指向性などで気づくことはありますか。 福岡:ありますね。男陣とやっていると、シンコペする・しないの箇所がぜんぜん違うんですよ。バンド世代はしないシンコペをチャットの曲ではする。ここで食うだろというところを食わずに、ここくるの!?みたいなところだったりして(笑)。それはなぜかなと思った時に、やっぱり歌詞が先にできるから、歌詞に沿って動くんですよね。「シャングリラ」のテンポが多いのも歌詞が先だったからだし。私たちは歌ありきで覚えているのであんまり違和感がなかったけど、指摘されたら確かに、一番でここ食ってないのに二番で食ってる、みたいなのは結構あります。だから乙女団でも世武ちゃんから「音がぶつかっているけどいいの?」と言われて、「いいんちゃう? 気づかんし」「あっそうなんや」みたいな(笑)。 橋本:ベースとギターだから気づかなかっただけで、鍵盤の人が入ると「私、どこ入ればいいの?ぶつかってるけど?」って迷わせるんですよね。だから世武ちゃんとシモリョーくんにはすごく感謝していて(笑)。「こういう和音いいの?」っていう。「でも、そこ弾いちゃうと、音ぶつかってるから変えよか~」みたいな、そういって初めて変えてみたりとか。だから鍵盤ってすごいんやなと思いました。 ――世武さんたちのアドバイスで変えることもあったんですね。 福岡:そうですね。でも気にならないって押し切る時もあるし。気になるポイントがみんな違うから、やっぱり面白いですよね。 ――音がぶつかることが魅力になっている面もあるかもしれないですね。 橋本:それが魅力になっていると、シモちゃんが言っていました。ナチュラルに、おしゃれな感じのコードになってたりとか(笑)。知らず知らずにそうなっているのを発見してくれるから、なんかちょっとうれしい。やっぱり? おしゃれだったかーって(笑)。「親知らず」とか「世界が終わる夜に」はそうだって言われましたね。

「言葉は歳を経て成長する」(橋本)

――そういう視点で以前の曲を聴き直すと楽しそうですね。さて2枚のシングルが揃ったことで、チャットモンチーが新しい世界にいくのかなという期待感を持っているのですが、アルバムの制作は進んでますか。 福岡:はい、進めてます。今度のアルバムは欲しい服をどんどん買っていくんじゃなくて、この人にこれが似合うってのを決めていくみたいな感じで。この曲は男陣が似合って、この曲は乙女団が似合って、という。次のアルバムはけっこう一曲一曲を考えながら、ぴったり作ったよね。 橋本:ムダなく。 ――このシングルがすごく濃い曲なので、アルバムも一曲一曲が濃そうな感じがします。 福岡:ヒッピーもいればボンテージの人もいる、アイドルもいればラッパーもいる、みたいな。すごく濃いと思います。チャットモンチーではやったことのないことをやっているので、かなり新しいです。まだむしろ、シングルがチャットらしい。 橋本:うん、らしい。 福岡:アルバムはもっと好き勝手にやっています。 ――楽しみですね。先ほど伺ったことにも繋がるんですが、チャットモンチーにはキラキラした素晴らしい曲もたくさんあるから、そのバリエーションを増やすというのも選択肢としてあったと思うんです。でもチャットモンチーのすごいところは、どんどん進化する。キャリアを重ねて吸収されてきたものを新しいものとして出していっていますよね。 福岡:やりたいことが進化しているのはすごく幸せなことだと思います。同じこと、できないんですよね。ね? 橋本:できないねぇ。 福岡:いろいろ言われます、「もっとノリ良いやつを」とか(笑)。 橋本:でもやっぱ、詞先というのが大きいよねぇ。チャットは曲から作れないので。曲だけで作るのと歌詞があって作るのとではぜんぜん違う気がする。言葉は歳を経て成長するから、良いんだと思います。 ――最後に2015年は10周年イヤーでもありますが、今年はどのような活動を考えていますか。 福岡:10周年はやっぱり徳島に恩返ししたいと思っています。徳島でフェスもやるんですけど、それが10周年のゴールみたいにもなっていて。武道館を久しぶりにやるのもメインですけど、最終ゴールは、そういう私たちを徳島の人にもう一度見てもらって、徳島でお祭りをして、皆で楽しんでもらうというのが、いちおうチャットモンチー商店の目標です(笑)。 (取材=神谷弘一)
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チャットモンチー『ときめき / 隣の女』(KRE)

■リリース情報 『ときめき / 隣の女』 発売:2015年3月4日 価格:初回生産限定盤 ¥1,800+税    通常盤 ¥1,165+税 <CD収録内容> 1. ときめき 2. 隣の女 3. Last Love Letter (Koji Nakamura Remix) <DVD収録内容>※初回限定盤のみ 『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2014 at 国営ひたち海浜公園 (2014.08.09) 』 1. Opening~ハテナ 2. シャングリラ 『9周年記念ライブ“9愛” at Zepp DiverCity (Tokyo) (2014.11.21)』 3. こころとあたま 4. Yes or No or Love 5. 変身 (GLIDER MIX) group_inou feat.チャットモンチー 6. 満月に吠えろ 7. 乙女団 レコーディングドキュメンタリー ■ツアー情報 全国対バンツアー「チャットモンチーの求愛 ツアー♡2015」 6月4日(木) 広島CLUB QUATTRO <出演者> チャットモンチー、柳沢慎吾 6月5日(金) Zepp Fukuoka <出演者> チャットモンチー、ハナレグミ 6月10日(水) Zepp Namba (OSAKA) <出演者> チャットモンチー、Ken Yokoyama 6月11日(木) Zepp Nagoya <出演者> チャットモンチー、GRAPEVINE 6月20日(土) 仙台Rensa <出演者> チャットモンチー、YOUR SONG IS GOOD 6月26日(金) Zepp Sapporo <出演者> チャットモンチー、スチャダラパー 7月1日(水) Zepp Tokyo <出演者> チャットモンチー、●●●●(※後日発表) 開場 18:00 / 開演 19:00 (※仙台公演のみ 開場17:00 / 開演18:00) チケット情報 オフィシャルHP先行予約 受付期間⇒3月3日(火)18:00~3月15日(日)23:59 受付URL⇒http://pia.jp/v/chatmonchy15hp/ ※お1人様1公演につき4枚まで チケット一般発売:4月25日(土) ※東京公演のみ6月20日(土)一般発売 ■ワンマンライブ「チャットモンチーのすごい10周年 in 日本武道館!!!!」 2015年11月11日(水)日本武道館 http://www.chatmonchy.com/