UQiYOが語る、音楽を“体験”する意味「『ひとりの人に届けるパーソナルな音楽』を作る」

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【リアルサウンドより】  新鋭音楽ユニットのUQiYOが、3月18日に2ndアルバム『TWiLiGHT』をリリースする。メンバーはシカゴ育ちのYuqi(ボーカル・ギター・ピアノ&ループプログラミング・ミックス&マスタリング)と、幼少期からピアノを習得し、ジャズに造詣の深いPhantao(ピアノ・キーボード)。2013年5月にリリースした1stアルバム『UQiYO』で浮遊感のあるベッドルームミュージックを生み出し、多くのファンを獲得した彼らは、最新作『TWiLiGHT』でそのきめ細かな音作りはそのままに、より開放的で親しみやすいエレクトロミュージックへと移行。北欧の音楽のようなキュートさと、日本的ともいえるメロディセンスで表舞台へと打って出る。今回リアルサウンドでは、ロングインタビューを2回に渡って掲載。前編ではユニットが生まれたきっかけや音楽的ルーツ、作品の作り方と届け方について大いに語ってもらった。

「金髪の工場長に怒られながらとか仕事してました(笑)」(Phantao)

――今回のアルバム『TWiLiGHT』は、前作と比べてより開けた印象の作品で、ポップミュージックとして秀逸な仕上がりと感じました。まずは初登場ということで、どういうきっかけでこのユニットが生まれたのかを教えてください。 Yuqi:僕は、2007年くらいに前のバンドを解散していて。その後、スピーカー製造を行っている老舗のスピーカーの会社に就職しました。僕は音響一筋で、大学でも音響工学の修士課程を卒業していたので、この会社でエンジニア開発などを担当していました。Phantaoはその会社の同僚で、製造技術を担当している人間だったんです。はじめは社内でお互いに音楽をやっているということを知っていたので、ちょっと意識をしつつ、なんか不気味な笑いを浮かべるやつだなあと思っていました(笑)。 Phantao:気持ち悪いなと思ってたんでしょ(笑)。 Yuqi:就職して何年か経ったとき、会社主催の忘年会で社内にある軽音楽部の一員として、James Bluntの「You’re beautiful」をカバーしたんですよ。僕は風邪を引いてしまって、鼻声で咳が出る中でなんとか一生懸命歌ったんですが、ひどいもんだったんですよね。そしたら終わったあとに彼が歩いてきて、一言「がんばれ」って。 Phantao:上からね。 Yuqi:かなり上から言われてました。その時は少しムカついただけで終わったんですけど、数年後に軽音部内で結成したバンドメンバーの中にPhantaoがいて、そこでじっくりお互いのパフォーマンスを見て、尊敬し合えるようになりました。そんなタイミングで、彼は「ジャズ一本で食っていく。専門学校に入り直す」と言って会社を辞めたんです。 Phantao:すげえバカですよね(笑)。 Yuqi:会社に一回入って、やっぱり音楽で食っていくって、なかなか思えないですよ。その時は「頑張って!」って感じだったんですけど、他の機会で生バンド演奏をやってもらったのを期に、だんだん一緒に音合わせなどをするようになって。 ――スピーカーの会社というと、音にうるさい先輩とかもいそうな熱い環境ですね。 Yuqi:そうですね。もともとその会社っていうのは、体育会系のノリで「おい、気合でこのスピーカーを作るんだ!」くらいの感じだったんですけど、世代が若くなればなるほど、ちょっとインテリっぽい人たちが増えてきた。なので、理論でこれまでやってきた自分にとって、職人的な音の捉え方としての面白い意見もたくさんあって、良い刺激になりました。 Phantao:僕は現場に近い仕事をしていたんで、金髪の工場長にちょっと怒られながらとか仕事してました(笑)。 ――そうした環境で仕事をしていたことは、現在の音作りにどう影響していますか。 Yuqi:僕は、エンジニアをしながら、Hi-Fiスピーカーにも携わっていました。もちろんスピーカーもいっぱい作って聴いていましたし、エンジニアなので毎年秋に開かれている「東京インターナショナルオーディオショウ」で最高級のセットを体感していたりするわけでして。この世界を体感した以上、そういったセットで聴いてもらえるような音楽でありたいと思います。

Music Video "Twilight" | UQiYO ウキヨ

「音と出会う体験がすごく重要になってくる」(Yuqi)

――今の二人を形成している音楽は、それぞれどんなものでしょうか。 Yuqi:僕の場合は、北欧やノルウェー、ロンドンやフランスなどに行った経験があったり、90年代の音響系がバックボーンにあって、そこからは北欧の優しくて温かくてちょっと寂しいようなものへと流れ、今に至ります。具体的にアーティスト名を挙げると、Sigur RosやBon Iver、It's A Musicalとかですかね。特にBon Iverなどの、アメリカ系の土臭さや激しさを持った、それでいて優しい音楽にはズキュンときますね。 Phantao:僕は高校くらいからずっとジャズしか聴いていなかったんですが、大学に入ったくらいから色んなバンドをやるようになって、最初にやったのはBrian Switzerのコピーバンドですね。その後はアシッド・ジャズにハマったりという経緯があって、全くロックを通ってないんですよ。バンドもそもそもロックが全然よくわからない状態で始めましたし、今だによくわかっていない。だけど、確認しながらやっているので、今のスタイルは何とか編み出したものという感じです(笑)。 Yuqi:面白いんですよね。ロックじゃないのに、ロックをやろうとしてる感じが逆に。 ――今回のアルバムについては、あまりロックという意識では聴かなかったんですが、二人はロックバンドであるという意識はあるのでしょうか。 Yuqi:制作物ではそうでもないんですが、ライブをしているときにはロックっぽさは出ると思います。 ――Phantaoさんは現行のジャズも聴くんですか? Phantao:最近のものよりも古いもの中心です。大学時代にラテンジャズにのめりこんだ時代があって、その時は、ブラジルとかカリブ系のジャズピアニストを思いっきり聴きあさっていたんですけどね…。 ――そんな音楽的教養のある二人が今回作った作品は、すごくポップで、開かれた良質な音楽です。どのようなリスナーに聴かれることを想定して作ったのでしょうか。 Yuqi:最終的にこうなっちゃった、みたいな感じが強いですね。というのも、僕らはこの二年間かけていろいろなプロジェクトに関わっており、「どういうアプローチで音楽を作っていくが面白いのか」ということは考えていたんです。その結果、「これで稼いで金持ちになってやるぞ」というものを幸せの着地点にすると、おそらく不幸せになるんじゃないかなと思って。どういうところへ行こうかと考えた時に、音楽業界と深くは関わっていないけど、面白いものを作っているクリエイターが沢山いることは知っていたので、その人たちに知ってもらうために、レコードレーベルではなく、デザインスタジオやコワーキングスペースにデモ音源を送っていました。その中から何人か反応があり、一緒に映像作品を作ったことから様々なクリエイターと関わることになりました。 ――そこからUQiYOの特徴でもある、ボトルシップに入れた楽曲やバレンタインソングなどの「一味違った音楽の届け方」が生まれていくわけですね。 Yuqi:音楽という枠に囚われず、何をやるかから考えて、それをやるために最終的に音に落とし込めればいいという考え方になってきたんでしょうね。例えば、今挙げてもらったバレンタインソングは、二ヶ月間かけて、毎週金曜日に男の子の歌と女の子の歌をアップしていって、バレンタイン当日に二つの歌を組みあわせると、一つの楽曲になるというものです。それをきっかけに注目していただいたこともあり、様々なコラボを続けながら曲を作っていって、最終的にできたアルバムの曲がポップになっていたというような感覚なんですよね。 ――現在のように届け方を工夫している背景とは? Yuqi:例えば、今海外でリスニングスタイルのメインになりつつあるSpotifyというものがありますよね。このツールが登場したことにより、全体の4%くらいしかいないメジャーの人だけが、音楽業界における90%ほどの利益を得ている状況になりえるわけです。もしかしたら日本も近いうちにそうなるかもしれない。そうなってくるのであれば、音と出会う体験がすごく重要になってくる気がするんです。もちろん、Spotifyは便利なツールですが、世界では「便利じゃない方がいいものって世の中いっぱいあるよね」という考え方が徐々に広まってきているし、音楽も大量生産大量消費ではなく、一人一人が自分たちにとって“パーソナルな体験としての音楽”を聴くだけではなく経験として受容するというのが、あり方として自然なんですよね。「ポップミュージック」という言葉は、英語で「ポピュラー」、つまり大衆という意味合いになってくるわけですが、近年の音楽は大衆というより公衆のものになりつつあります。公衆って基本的にはお金払わないことが多いじゃないですか。公衆トイレが分かりやすい例だと思うんですけど、音楽もそういう感覚になっているのかもしれない。 ――音楽が公共=パブリックなものになりつつあると。 Yuqi:そうなると、ユーザーはお金を払う感覚がなくなってくると思いますし、現に罪の意識も持たずに「ダウンロードすればいいんじゃないの?」という若者も多い。僕らはそんな中で、「ひとりの人に届けるパーソナルな音楽」であるべきなのかなって思いました。だって、みんなそれぞれ、個人的なストライクゾーンに入ってきた音や作品は、全く躊躇せずにお金を払う気がしていて。たとえばジブリ映画。彼らの作品は興行収入も良いため、ポップだと思う方も多いですが、実際はすごくパーソナルな映画だと思うんですよ。宮崎駿の個人的な趣味趣向や哲学が盛り込まれまくっているものの、トータルクオリティーで全部持って行く感じも含めて。ただ、彼らの映画って、見る人見る人で感想は全然違うし。それぞれの人がパーソナルな感想を抱いているわけです。
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「みんながハッピーでいられるような形を目指したい」(Yuqi)

――では、さまざまな趣向を凝らした届け方も、パーソナルな体験を生み出すためのきっかけ作りだと。 Yuqi:そうだと思います。例えばボトルを使った届け方に関しては、秋口に注文してくれた方の手元に届くように、柑橘系の香水とQRコード付きの手紙を入れました。香りを柑橘系にしたのは、「夏に作って、秋に届くように海に投げました」という設定で作っていたからです。実物に関しては、ボトルを開けたら少し夏の香りがして、手紙を取ると、中にQRコードが入っていて音楽が聴ける。その体験っていうのが、音楽には大事なのかなと思い、やってみた企画ではあります。ボトルは買ってきたものをエイジング加工したり、コンクリートに擦り付けたりして、百本限定で作ったものは、ありがたいことにすぐ売り切れました。 ――かつては、「音源が全てを支える」という考え方が音楽ビジネスの根本にありましたが、今はそうとは言い切れない状況があります。そんな中、改めてアルバムと向き合って「作品を作る意味」についてどう考えますか。 Yuqi:僕らは、やはりまだポピュラリティーとしての力が弱いので、どれだけ面白いことをやろうとも、それを知ってもらうことが難しい。ただ、これをみんなに伝えるのが僕らの仕事であり、なにより一緒に僕らとやってくれている方にも申し訳がない。なので、そのためには気合を入れて、見つけてもらう数を増やしたい。そういったことが今回のアルバムの位置づけなんです。 Phantao:今回のアルバムは音楽的にも開放されているものなので、そういう意味でいろんな人に聴いてほしいです。 Yuqi:こんな音楽もあるんだよ、こんな映像もあるんだよっていういろんな人への投げかけという意味もありますね。あと、音源って僕らにとって広告の一つでもあると思うんです。僕らのファンクラブには、『ウキヨノヲト』というサービスがあって、加入すれば僕らの音源を過去作から聴き放題ができる。ただ、今作をいきなりタダで配信しちゃうかといえばそうではなく、次のアルバムが出た時に前のアルバムのやつをタダで出すとか、そういう仕組みをちょっと作って、みんながハッピーでいられるような形を目指したいですね。 ――それがまたファンクラブ加入のきっかけになってくると。Spotify をはじめとしたサブスクリプションサービスは大変便利ですが、あれは公衆=パブリック的な意味合いを持つサービスという捉え方でしょうか? Yuqi:まさに、まさに。かといってね、不便にすればいいっていうものではないじゃないですか。なので、携帯端末でアクセスすれば聴けるというものなどにしていくと良い落としどころになるのかもしれません。 Phantao:何でも簡単に聞けちゃうと、そんな聞かなくなりますよね。(後編に続く) (取材・文=神谷弘一、中村拓海)
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UQiYO『TWiLiGHT』

■リリース情報 『TWiLiGHT』 発売:3月18日(水) 価格:¥2,315 (税抜価格)+税 <収録内容> 1. Dawn of Life 2. Twilight 3. Blessing 4. June 5. Summer Sun 6. THYLUV 7. Saihate 8. Snow White 9. Arakawa 10. Drums of Atacama 11. Dirtball 12. Dessert Flower 13. Ordinary Scene 14. Into the Cove 15. Under Skies of Heaven ■ツアー情報 『2015 Tour TWiLiGHT~夕陽と雨と虹とキラキラと~』 4/25(土)名古屋 夜空に星のあるように 4/26(日)三重 四日市MONACA 4/29(水)福岡 TAGSTA 5/6(水)札幌 provo 5/16(土)山梨 酒蔵櫂 5/17(日)静岡 cafe sofari 5/18(月)京都 さらさ花遊小路 5/19(火)大阪 梅田シャングリラ 5/29(金)宮城 co-ba kesennuma 5/30(土)仙台 arrondissement 5/31(日)群馬 桐生Club Block 6/13(土)東京 SHIBUYA O-nest

秋田書店に続いて…竹書房の読者懸賞水増しは、なぜ起こった? 蔓延するずさんな意識

オタクに"なるほど"面白い!オタクニュース・ポータル「おたぽる」より

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竹書房の4コママンガ誌オフィシャルサイト4コマ堂公式サイトより。
「まんがくらぶ」の懸賞も水増しされていた。
 今月13日、四コママンガ雑誌などを発行する竹書房が、読者懸賞の当選人数を水増しし、消費者庁から景品表示法違反(有利誤認)で再発防止を求める措置命令を出された。対象となった雑誌は、「まんがライフ」「本当にあったゆかいな話」などの7誌だ。同社では超音波美顔器やジェット歯間ブラシなど、複数の懸賞において当選者数を3名と掲載しながら実際の当選者は1名、あるいは0名というものもあった。また、当選者として架空の氏名を掲載していた事例もあったという。  雑誌懸賞が当選者を水増しするなどの不正によって、消費者庁から措置命令を受けたのは2013年の秋田書店に次いで2例目となる。 「おたぽる」で続きを読む

赤とんぼ博士の事件めぐり…『Mr.サンデー』で木村太郎が学歴差別発言、宮根も同調

【本と雑誌のニュースサイトリテラより】
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フジテレビ『Mr.サンデー』番組サイトより
 福井県勝山市で大学院生の菅原みわさん(25)が殺害された事件は大きな波紋を呼んでいる。それは逮捕された前園泰徳容疑者(42)が福井大学院の特命准教授であり、菅原さんがその教え子だったからだ。 “赤とんぼ博士”と呼ばれ地元では有名だったという前園容疑者は、2年前まで千葉県の東邦大学で非常勤講師を務めており、その際に研究チームに参加したのが殺された菅原さんだった。菅原さんは同大の大学院に進んだが、福井大で教鞭を取る前園容疑者についていく形で勝山市に移り前園容疑者をサポートしていたという。  しかしこの事件に関し、トンデモない差別的発言が飛び出した。それが3月15日に放映された『Mr.サンデー』(司会・宮根誠司/フジテレビ系)に出演している木村太郎だ。

lyrical schoolが更新するアイドルラップ最前線 ニューアルバムで見せた音楽的成長を読む

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lyrical school『SPOT』

【リアルサウンドより】  2010年にヒップホップアイドルユニットとして結成され(当初のグループ名は「tengal6」)、当時まだ舗装されていなかった「アイドルラップ」というジャンルを開拓しながら、グループアイドルシーンに独特のポジションを築いてきたlyrical school。昨年10月リリースのシングル『PRIDE』ではそれまでのパーティーチューンや可愛さ中心のシングル楽曲とは一味違うハードコアな側面を見せ、続く11月2日のワンマンライブでは恵比寿リキッドルームを満杯にするなど、「アイドルラップ」の先駆けかつトップランナーとしての自らの歩みを誇るように、目覚ましい成果を出し続けている。  その流れに乗って今月、3月10日にリリースされたのがおよそ一年半ぶりとなるフルアルバム『SPOT』だ。冒頭、日本語ラップのクラシックからの引用を散りばめたROMANCREWのALI-KICK提供の「I.D.O.L.R.A.P」、昨年リリースのシングル曲「PRIDE」、餓鬼レンジャーのGPが参加した「OMG」と続く流れは、最近のlyrical schoolの力強さを強調するようなタイトな展開になっている。ただし重要なのは、そのハードコアサイドの楽曲は、以前のlyrical schoolのカジュアルな可愛さからの単なる方向転換ではなく、自らの個性に沿って無理なく成長してきた結果獲得した、新たな幅の広さのひとつであるということだ。  その成長ぶりは、初期活動から恵比寿リキッドルームへの歩みを振り返るスキット「-4years-」から繋がる「FRESH!!!」、そして「レインボーディスコ」、「brand new day」へと続く、このアルバム中のいわば第二部にあたる部分で確認できる。lyrical schoolのカラーからすればなじみ深い、パーティーチューンを揃えたアルバム中盤の流れだが、従来の彼女たちのイメージを踏襲する楽曲群だからこそ、初期に比べてメンバー一人一人が自信をつけ、それぞれのフロウも輪郭が際立っていることが明確にわかる。メンバーのキャラクターに似つかわしい、これらパーティーサイドの楽曲のレベルを着実に上げてきたからこそ、アルバム冒頭の硬派な面を打ち出した曲を高らかに世に問うだけの実力が伴うようになった。つまり、自身のキャラクターや身の丈から不自然に逸脱せずに歩んできた結果、必然的にセルフボーストを交えたハードコアな曲を発表する機運も導かれたのだ。だから、冒頭の3曲とアルバム中盤の3曲とは、テイストを異にしながらも切断されたものではなく、むしろ強く結びついたものといえるだろう。  ライブ会場のアンコールの声をフィーチャーしたスキット「-8 p.m.-」を挟んで、アルバム終盤は再び色を変える。「CAR」、「月下美人」、そしてアルバムのリード曲になったtofubeatsによる「ゆめであいたいね」へと続く終盤の3曲が綴るのは、ステージの高揚から一歩降りたメンバーたちの夜のワンシーンを切り取ったようなメロウな情景。シングル表題曲に多く見られるパーティーチューンとは対照的なメロウな楽曲もまたlyrical schoolがかねてから特徴にしてきた一側面だが、ここでもメンバーたちの成熟がうかがえる。勢いで畳み掛けることができないスローなラップに対してはこれまで、こなれた歌い方をするのに苦労しているような局面も少なからず見られた。今作のメロウパートもまた模索の跡は感じられるが、各メンバーがそれぞれ自らのフロウを見つけながら、要求されるスキルが決して低くないこれらの楽曲にきちんと対応している。  今作『SPOT』はこれまでのアルバムに比べても、序盤、中盤、終盤をはっきりと色分けし、それぞれにlyrical schoolが持つ様々な顔を見せている。それらが独立した三つの顔ではなく、アルバム総体として確かな統一感を持っているのは、そのいずれの側面も、グループおよび各メンバーの地に足の着いた成長の結果、自然に引き出されたものだからだろう。だからこそ、lyrical schoolはどんな曲を発表しても、趣向の妙よりも彼女たちの日常とも繋がったキャラクターの方が強くにじむ。アルバム一曲目の「I.D.O.L.R.A.P」は、ともすれば「アイドルがHIPHOPを意識すること」という趣向に埋没しかねない曲である。RHYMESTERのアンセム「B-BOYイズム」を引用した「イビツに歪む私たちイズムのイビツこそがリ・リ・ス・ク!」というフレーズから、細かな単語レベルに至るまで、ALI-KICKのリリックは日本のHIPHOPからの参照をあえて多く織り込んでいる。しかしこの曲は、近年ますます強くなってきたように見えるメンバーたちのHIPHOPへの敬意は活かしながらも、トータルとしてHIPHOPというジャンルへのあからさまな目配せといった感は不思議と薄い。むしろ、昨年の「PRIDE」から繋がったグループの現在地を示す、ごくナチュラルな楽曲に仕上がっている。堅実にレベルアップしてきた彼女たちが、ALI-KICKの課したハードルを見事に超えてきたということだろう。ALI-KICKが捧げた詞の通り、「借り物だったヒップホップ」が「借り物」でなくなった瞬間が垣間見える。その成長は、アルバムのラストを飾る既発曲の再録音、アコースティックアレンジの「わらって.net」および「S.T.A.G.E take2」での自由度の高くなった各メンバーのラップで、最後に今一度確認できる。とりわけこの一年で力強さを幾重にも増したayakaのラップに驚かされる。  LITTLEやイルリメなど、他にもバラエティに富んだ顔ぶれが『SPOT』には参加している。こうした楽曲提供陣のバラエティもまたlyrical schoolの作品の楽しさではあるが、最後にここではグループのスタッフとして欠かせない岩渕竜也に一言触れておきたい。ステージ上でメンバーと細やかに呼吸を合わせるlyrical schoolが誇る唯一無二のDJ岩渕だが、同時にメンバーにあててもっとも古くからリリックを書いてきた人物でもある。スタッフとしてオン/オフのメンバーを見守りながら詞を紡ぐ岩渕の視点は、lyrical schoolが身の丈にぴったり合ったラップを続ける上で非常に重要な役割を果たしている。現在の彼女たちのステージ上での力強さを象徴する「PRIDE」も、ステージを降りて帰路につく車中のメンバーを静かにスナップしたような「CAR」も、その優れた詞は岩渕の手によるものである。ラッパー本人がリリックを書いているかどうかに拘泥せず、ラップという歌唱法の楽しさを浸透させることができるのもアイドルラップの大いなる美点だが、この時リリックを担当する者がこれだけメンバーに寄り添うことができるというのはやはり大きい。lyrical schoolが、アイドルラップの旗手という前例のないポジションを自ら開拓しながらも順調にその存在感を増してきたことには、メンバーとスタッフとのこうした幸せな歯車のかみ合わせも不可欠だったはずだ。昨年、恵比寿リキッドルームでのライブが発表された時、メンバー、スタッフ、ファンの誰もが、集客できるのかどうかに不安を抱えていたに違いない。気がつけばその高みをクリアしてしまったlyrical schoolは今年、7月25日にZeppダイバーシティ東京でのワンマンライブ開催を発表した。昨年リキッドルームのワンマンを発表した時同様、現段階では集客に不安を感じるのが正直なところだろう。目標はさらに飛躍度的に高い場所に移った。しかし、メンバーとスタッフが互いに実力を引き出し合うような連携で支持者を獲得してきた現在のlyrical schoolならば、それさえ杞憂にしてしまうのではないか。そんな希望を抱かせるのが、今の彼女たちなのだ。 ■香月孝史(Twitter) ライター。『宝塚イズム』などで執筆。著書に『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』(青弓社ライブラリー)がある。

山田涼介がいるから掲載NG!? デジタル版「ジャンプ」にも影響を与えたジャニーズ画像規制

オタクに"なるほど"面白い!オタクニュース・ポータル「おたぽる」より

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週刊少年ジャンプ公式サイトより。
――発行部数約260万部(一般社団法人 日本雑誌協会発表)を誇る最強の少年マンガ誌「週刊少年ジャンプ」(集英社)。そんな「ジャンプ」の最新情報をさまざまな角度からレビュー! 「週刊少年ジャンプ」(以下、「ジャンプ」)2015年16号、表紙と巻頭カラーは今月21日より実写映画が公開となる『暗殺教室』。4週連続対談企画の3回目では、作者の松井優征と実写映画版の羽住英一郎監督が対談を行っている。加えて、今号では表紙のキャラ“殺せんせー”が喋るという一風変わった趣向も。これは、集英社が配信しているアプリ「殺せんせーの抜き打ちテスト」を使うと、スマートフォン上で表紙イラストの口が動くというもの。アニメ版の声優・福山潤の声で“殺せんせー”が喋ってくれて、ファンには嬉しい仕掛けとなっている。 「おたぽる」で続きを読む

川崎中1殺害事件でも…秋元才加やざわちんが明かすフィリピンハーフへの偏見と差別

【本と雑誌のニュースサイトリテラより】
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出自での偏見に悩んだ2人(左/ざわちん(ZAWACHIN)オフィシャルサイト 右/秋元才加オフィシャルブログ「ブキヨウマッスグ。」Powered by Amebaより)
 いまだ注目を集め続ける川崎中1殺害事件。例によって被害者の少年、加害少年の家族のプライバシーが連日書き立てられている。  なかでも気になるのが、加害少年の母親のルーツに関するものだ。週刊誌で強調されているのが、母親はフィリピン人でフィリピンパブのホステスをしていたことや、父親がそのお客さんだったことだ。たとえば「週刊文春」(文藝春秋)2015年3月12日号では、母親がフィリピン人ホステスの友達を大勢連れてきて酒盛りをし、大騒ぎしていたことなども報じていた。  こうした報道の影響か、加害少年の自宅では、家のブロックに「フィリピンにかえりたい」と落書きされるなどの嫌がらせを受けているという。

THE TURTLES JAPAN、1stアルバム全曲ダイジェスト音源公開&最速レビュー(後編)

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【リアルサウンド】  KAMEDA(音楽プロデューサー・亀田誠治)、YAMAMURA(flumpool山村隆太)、SAKAI(flumpool阪井一生)によって結成された、THE TURTLES JAPANが4月8日に1stアルバム『ELECTRONIC HUMANITY』をリリースして3日限りのZepp Tourを開催する。リアルサウンドではいち早くアルバム収録曲のダイジェストとともに各曲のレビューを掲載。書き手は前編「THE TURTLES JAPAN、1stアルバム全曲ダイジェスト音源公開&最速レビュー(前編)」と同じく三宅正一氏。(編集部)

「十二単」

 イントロから際立つギターとシンセのフレーズがサウンドを掌握するゴシックテイストのスリリングな楽曲。攻めのマインドを示すうえで、こういったハードに疾走する楽曲の存在は必要不可欠。その一方で、タイトルにも顕著なように、「風花」同様、和の要素をモチーフにしたリリックは、YAMAMURAの新たなラブソングの筆致を提示している。

「AB LOVE LOVE」

 陽性のデジタルポップサウンドをエネルギッシュに解放する1曲。続く7曲目「JAPANESE SPIRITS pile-up」もそうだが、ニューウェーブにも通じるシンセ使いやビート感が印象的なKAMEDAのアレンジからは、刺激的なロックとポップな新たな境界線を突き止めようとする意志がうかがえる。底抜けに楽しいサウンドだからこそ、〈そうさ「何年何月何日 僕らの出逢いにも意味がある」と言うには世間はまだ暗い〉というフレーズも切実に迫ってくる。

「JAPANESE SPIRITS pile-up」

 シングルカットされても違和感のない求心力を誇る1曲。そして、「It’s Alright!」のテーマ性を最もダイレクトに引き継ぐ“日本と現代”を真っ向から射抜く楽曲でもある。ライブでもオーディエンスから大きな反応があったのを覚えている。こんな時代にあって、〈日出ずる国 此処が僕らの 夢出ずる場所なんだよ〉と言い切るのは相当な勇気と覚悟が必要だったと思うが、THE TURTLES JAPANの信念が「“心の表面張力”を突き破ること」である以上、こういった楽曲を高らかに鳴らすのはバンドの使命でもある。

「ELE!!!」

 タブラやシタール風の神秘的な音をサンプリング的にフィーチャーしつつ、突き抜けたダンスポップを構築したラストナンバー。平易な日本語で綴られたリリックは、どこまでもポジティブにリスナーを鼓舞する。ラストにここまで曇りのないメッセージ性をたたえた楽曲をもってくることができたのは、それまでの楽曲でシリアスな時代の空気もしっかり捉えてきた自負があるからだろう。ラスト1分の展開は、THE TURTLES JAPANは本作で完結するのではなく、“ネクスト”があることを予感させる。  YAMAMURAとSAKAIにとっては、flumpoolでは鳴らせなかった音楽性を追い求め、ソングライターとしての新たな可能性を見出だす。 KAMEDAにとっては、プロデューサーではなくひとりのバンドメンバーだからこそ表現できる作曲やアレンジ、プレイに没頭する。  THE TURTLES JAPANが掲げる"心の表面張力を突き破る”というテーマは、現代日本に向かうだけではなく、各メンバーのミュージシャンシップにも自浄作用をもたらしている。  本作を聴けば、それは明白だ。とても自由で気勢のある音と歌が鳴っている。 (文=三宅正一)
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THE TURTLES JAPAN『ELECTRONIC HUMANITY』(A-Sketch)

■リリース情報 『ELECTRONIC HUMANITY』 発売:2015年4月8日  品番:AZCS-1044 価格:¥2,300(税抜) 収録曲: M1. It's Alright! M2. 10/10 M3. Jerassic M4. 風花 M5. 十二単 M6. AB LOVE LOVE M7. JAPANESE SPIRITS pile-up M8. ELE!!! ■ライブ情報 THE TURTLES JAPAN Zepp Tour 2015 「ELECTRONIC HUMANITY」 4月15日(水) Zepp NAGOYA (問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100 4月17日(金) Zepp NAMBA (問)キョードーインフォメーション 06-7732-8888 4月21日(火) Zepp DiverCity Tokyo (問)ディスクガレージ 050-5533-0888(SOLD OUT) 【全公演共通】前売料金:5,800円(税込)※ドリンク代別 OPEN/START:18:00/19:00 ■Official HP http://www.theturtles.jp/ ■Official FACEBOOK http://www.facebook.com/THETURTLESJAPAN

舞台稽古に現れない女優の身に一体何が…? 舞台俳優たちの連帯感を左右するある離婚問題の話

オタクに"なるほど"面白い!オタクニュース・ポータル「おたぽる」より

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女優さんの離婚問題に関するお話です。
――“上京ドリーマー”だった元俳優が綴る、“舞台裏”で起こっていたあんな事やこんな事。  みなさん、こんにちは、古賀信義です。  春が近づくこの季節、私は花粉症に悩まされておりまして、鼻も目もグチュグチュです。みなさんは、風邪などひかれていませんか?  前回は舞台にまつわる俳優の恋愛事情についてお話しましたが、今回はある女優さんの悲劇(?)についてお話したいと思います。  これはある舞台での出来事です。稽古が始まる前に、出演者が一同に集まって誰がどの役を演じるか、自己紹介を兼ねて発表し合う日があります。これがいわゆる、「顔合わせ」です。これから約3カ月間一緒に過ごすことになる、その最初の日なので、緊張もしますし、同時にやはり、わくわく感があります。 「おたぽる」で続きを読む

小栗旬に“産後うつ”疑惑が! 不倫、ギャンブルは“男性の産後うつ”のサイン

【本と雑誌のニュースサイトリテラより】
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TBS金曜ドラマ『ウロボロス~この愛こそ、正義。』番組ページより
 現在、TBS金曜ドラマ『ウロボロス~この愛こそ、正義。』に出演中の小栗旬。生田斗真とのイケメンバディものとして注目を集めたものの、視聴率は10%前後を行き来しており振るわず。しかし、そうした仕事面だけでなく、小栗には私生活でも不安視されていることがある。それは、小栗の“産後うつ”疑惑だ。  小栗の産後うつについて報じた「女性自身」(光文社)によれば、小栗は最近、俳優仲間に妻・山田優の“浪費癖”を愚痴っているのだという。帰宅するたびに増えていくブランドものの服やバッグ……汗水流して働いた自分のお金がそうした品々に変わっていくことを小栗は我慢している、ということらしい。だが、俳優として順風満帆な小栗がこれくらいのことで悩むものなのか?と疑問も湧いてくる。そこで「女性自身」は、小栗の産後うつ=パタニティ・ブルー説を唱えているのだ。  パタニティ・ブルーというのは、その名の通りマタニティ・ブルーからつくられた男性の不安定状態を指す言葉。いわば“男性の産後うつ”といえるものだ。ただ、女性の場合は、産後のホルモンバランスの乱れもあり、うつ状態が引き起こされやすいといわれているから理解できるものの、男性の場合は身体の変調は起こらないはず。「なのに、産後うつ?」と思う人もいるだろう。しかし、じつのところ、男性にも産後うつにかかる人は意外と多いらしい。

ワンパンマン未発売なのにアニメ化決定に狂喜乱舞するフランス人の反応がマジ熱い!

オタクに"なるほど"面白い!オタクニュース・ポータル「おたぽる」より

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『ワンパンマン』7巻(amazonより)
 ついに『ワンパンマン』のTVアニメ化が正式に発表となった。日本だけではなく、すでに海外でも喜びの声が上がっている。  以前、アニメ化してほしい漫画作品のランキングがフランスで記事となっていたのを「おたぽる」内でもご紹介したが、その際『ワンパンマン』は堂々の第2位にランクイン。しかもフランス人の反応としては、「1位の『文豪ストレイドッグス』より「ワンパンマン』だろ!」という意見が多かった。というわけで、フランスでも“激推され”の『ワンパンマン』、早速アニメ化のニュースも記事になっていた。adala-newsよりフランス人の喜びの声をお届けしよう。 「おたぽる」で続きを読む