"正義のゾンビ"が犯罪者を貪り喰う! イラク戦争奇談『ゾンビ処刑人』

zonbisyokei01.jpg
イラクで戦死した米兵が"アンデッド"となって活躍する
ホラー・アクション・コメディ『ゾンビ処刑人』。
c)2011.Putrefactory Limited,LLC
 宗教はコドクが嫌いな人間が生み出したグレートな発明品だ。今よりもずっと生きるのが困難だった時代、頭のいい人が"天国"というフィクションの世界を考え出したことで、悲惨な生活を送る人々は死んでからの将来に希望を持つことができた。また、天国とセットになった"地獄"の存在を広めることで、際限なく欲望に突っ走る人間の行動を抑制することに成功した。今ではどの宗教団体もお金儲けに忙しいが、無宗教な若者たちにとって新たな信仰の対象となりつつあるのがゾンビという存在。ゾンビは20世紀後半のスクリーンの中に生まれた新しい神さまなのだ。フツーの神さまは天国で人間の行動を眺めているが、ゾンビは墓場から甦った身近な"ケガレの神さま"である。コドク感や無力感に悩まされそうになったら、とりあえずゾンビ映画を観る。自分だけでなく、みんな空虚に街をさまよい歩くゾンビみたいなものだと、ちょっぴり安心する。ゾンビは不思議な一体感を与えてくれる。隠れキリシタンさながらに、ホラー映画マニアがひそひそと通い詰めるシアターN渋谷で、現在上映中なのが『ゾンビ処刑人』。イラク戦争で命を落とした若い米兵がゾンビとして甦り、愛する母国に巣食う悪人どもを食い殺していく。  『ゾンビ処刑人』の原題は『THE REVENANT』。帰還者、幽霊といった意味になる。戦場に派兵された兵隊が別人になって帰ってきたという設定の映画は、若松孝二監督の『キャタピラー』(10)をはじめ力作が多い。トビー・マグワイア主演の『マイ・ブラザー』(09)もそんな一本だった。正義感が強く、優しい性格だったサムはアフガニスタンで凄惨な体験をし、心がぶっ壊れてしまう。若妻や弟はサムを温かく迎えるが、どうしてもサムはかつてのような平和な生活に戻ることができない。サムは戦場での恐怖体験と自分の手を汚してしまったという自責の念に押し潰されて、生きたままゾンビのような存在になってしまう。『ゾンビ処刑人』のゾンビ化した主人公バートは、トラウマを抱え込んだサムの姿を極端にデフォルメしたものだろう。ただの悪趣味な絵空事では済まない、ブラックな社会風刺が『ゾンビ処刑人』全編に漂う。
zonbisyokei02.jpg
墓場から甦ったバート(デヴィッド・
アンダース)は犯罪者を求めて夜の街を徘徊。
腐った目でも悪党は見逃さない。
 『ゾンビ処刑人』のストーリーはこうだ。イラク戦争に従軍していたバート(デヴィッド・アンダース)が、星条旗に包まれて冷たい遺体となって米国に帰ってきた。お墓に埋められるバートを見て、親友のジョーイ(クリス・ワイルド)、婚約者のジャネットたちは泣き崩れる。なんで愛国心に燃え、心が純粋なヤツほど早く死んじまうのだろうか。ある晩、ジョーイの自宅のドアをノックする者が現われた。そいつは墓から這い出てきたばかりのバートだった。イエス・キリストは死んでから3日後に復活を遂げたとされているが、バートは死んでからずいぶん経っているので、体の半分が腐りかかっていている。ツ~ンと匂うサワー風味だ。イラクで特殊な化学兵器でも浴びたのか、おかしなウィルスにでも感染したのか分かんないけど、とりあえず親友が帰ってきた。イェ~イと喜び合う、おめでたいバートとジョーイ。どうも、元々この2人は脳みそが足りなかったらしい。  空腹感を訴えるバートのためにジョーイは手料理を用意するが、内臓を防腐処理されてしまっているためかバートは自分の内臓ごとゲロゲロしてしまう。仕方なくバートは血液バンクに侵入して、生き血をちょうだいする。くぅ~、たまんないねぇ。イラクでひと仕事してきたバートの体に生き血が染み渡る。といっても、そう何度も血液バンクのお世話になるわけにもいかない。どうしたものかと2人が悩んでいたところを強盗が襲い掛かり、バートを蜂の巣にしてしまう。バーカ、笑わせんなよと、すでに死んでいるバートは驚く強盗を返り討ちに。この瞬間、2人の頭に発明のランプがピカッと光る。そうだ、街中にはびこる悪党どもを成敗して、その代償として生き血をいただいてしまえばいいじゃん。オレたち、チョー頭いい! かくしてバート&ジョーイは"夜回り先生"ならぬ"夜回りガンマン"として世間で噂の存在となっていく。
zonbisyokei03.jpg
バートと親友ジョーイ(クリス・ワイルド)
は"夜回りガンマン"として街の噂に。
犯罪都市LAは彼らにとって格好のえさ場。
 本作で監督デビューを果たしたのは、ケリー・プリオー。監督・脚本・編集・製作を1人で兼ねている。彼は『エルム街の悪夢4/ザ・ドリームマスター最後の反撃』(88)などの作品でSFXアーティストとしてのキャリアを磨いていたが、『ファンタズム』(79)のヒットで知られるドン・コスカレリ監督の『プレスリーvsミイラ男』(02)に参加したことから人生の転機を迎える。この恐ろしく超低予算なホラー映画にケリー・プリオーは撮影とVFX担当で関わったことで、「自分も監督作を作りたい!」と考えるようになった。この『プレスリーvsミイラ男』は"キング・オブ・ロックンロール"エルビス・プレスリーが実はヨボヨボになりながらも生きていて、老人ホームで寝たきりのお年寄りたちを狙う姑息なミイラ男と対決するというもの。プレスリーが老体にムチ打ちながら、アメリカンヒーローとしての自覚から戦いに挑む姿が涙を誘った。この作品には、ケリー・プリオーを奮い立たせ、『ゾンビ処刑人』を作らせてしまうほどの特殊な"何か"が秘められていたらしい。  インスパイアを受けた作品に問題があったのか、はっきり言ってケリー・プリオー監督の処女作『ゾンビ処刑人』は、カメラワークも演出のテンポもかなりのトホホさ。トロイ・ダフィー監督の『処刑人』(99)ほどの派手なガンアクションもなし。だいたい、ジョーイは死体のくせに意識を持っているのがおかしい。ゾンビ映画としては、限りなく邪道。ゾンビなのかバンパイアなのか、はっきりしない。いずれにしろ、バートは恐ろしく中途ハンパな"ケガレの神さま"なのだ。でも、相棒のジョーイはそんなバートがうらやましい。バートは生前よりも、死んでからのほうが生き生きとしている。自分もバートのようになりたいと願い、やがてその夢は叶えられる。バートとジョーイの関係は、低予算ホラー映画を嬉々として作るドン・コスカレリとケリー・プリオーの関係でもあるようだ。  愛車カマロに乗ったバート&ジョーイは、かつてのブッチ&サンダンスやボニー&クライドのように怖いもの知らずで暴れ回る。法律もモラルも存在しない闇夜の街で、2人のショットガンが火を吹くことで灯りをともす。体は腐っているが、心までは腐っちゃないぜ。ゾンビ処刑人となった2人こそ、現代社会の"明るい救世主"なのだった。 (文=長野辰次) zonbisyokei04.jpg 『ゾンビ処刑人』 監督・脚本・編集・製作/ケリー・プリオー 出演/デヴィッド・アンダース、クリス・ワイルド、ルイーズ・グリフィス、エミリアーノ・トーレス、ジェイシー・キング 配給/AMGエンタテインメント 11月19日(土)よりシアターN渋谷ほか全国順次公開中 <http://ameblo.jp/zombieshokeinin>
ゾンビ映画大事典 みんなゾンビ大好き。 amazon_associate_logo.jpg
●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第145回] "時代の寵児"の未ソフト化作品上映!「松江哲明グレイテスト・ヒッツ」 [第144回]原発事故を描いた『カリーナの林檎』と今関あきよし監督の背負った贖罪 [第143回]"窮屈なモラル"を脱ぎ捨てた裸の女たち 園子温監督の犯罪エロス『恋の罪』 [第142回]ノーベル賞作家・川端康成が夢想した新風俗『スリーピングビューティー』 [第141回]横暴な上司は有志社員が制裁します!『モンスター上司』のブラックな笑い [第140回]"クソみたいな社会を変えたい!"高校生テロリストの凄春『アジアの純真』 [第139回] うつ病なんかヘーキ!? 宮崎あおい主演作『ツレがうつになりまして。』 [第138回]"神話"が生まれる瞬間を目撃せよ! 人類への黙示録『猿の惑星:創世記』 [第137回]刑務所で食する至高の味『極道めし』ヒロインの後ろ姿に、むせび泣き! [第136回]"理想の恋人"という偶像を破壊せよ 深夜番長の劇場デビュー作『モテキ』 [第135回]"城定秀夫監督、ブレイク前夜の予感! 闘争本能を呼び覚ます『タナトス』 [第134回]"人間失格"の道を選んだ映画監督の業 林由美香の最新主演作『監督失格』 [第133回]ホラ吹きのホラを見破る特異な職能 ポランスキー監督『ゴーストライター』 [第132回]芦田愛菜、6歳にして危険な魅力!? 子連れで全力疾走『うさぎドロップ』 [第131回]元"暴走族"が書いた旧友への鎮魂歌 青春懺悔録『アメイジング グレイス』 [第130回]V・ギャロ主演のサバイバルグルメ!? 『エッセンシャル・キリング』 [第129回]『キック・アス』より悪趣味で泣ける 中年男の悪ノリ暴走劇『スーパー!』 [第128回]この夏の清涼剤、地方少女のダンス成長記『あぜみちジャンピンッ!』 [第127回]竹ヤリで世界進出"スシタイフーン"『エイリアンVSニンジャ』ほか逆上陸 [第126回]イーモウ監督、久々のアイドル映画 中華的妹萌え『サンザシの樹の下で』 [第125回]ナタリー・ポートマン vs. ヘビメタ野郎 人気女優の隠し球『メタルヘッド』 [第124回]黒澤明の名作『生きる』のラテン版! ヤモメ男が残した遺産『BIUTIFUL』 [第123回]北国で93年間営業を続ける"大黒座"と町の記録『小さな町の小さな映画館』 [第122回]新幹線がすれ違う瞬間、願いが叶う? 小学生の目線で描かれた『奇跡』 [第121回]理想と情熱がもたらした"痛い現実" 青春の蹉跌『マイ・バック・ページ』 [第120回]胸に響く金言"プロとは手を抜くこと" 職人秘話『アトムの足音が聞こえる』 [第119回]危険な出会い、井口昇ミーツ仲村みう 悪夢の遊園地『富江 アンリミテッド』 [第118回]ナタリー・ポートマン"第1章"の終幕 虚実が攻め合う『ブラック・スワン』 [第117回]"セカイ"を旅立った少女の地底探検記 新海誠監督の新作『星を追う子ども』 [第116回] 美少女たちの輝きが脳裏から離れない。青春ムービー『魔法少女を忘れない』 [第115回] 恋愛が与える"陶酔"とリアルな"痛み"サブカル活劇『スコット・ピルグリム』 [第114回]妄想、空想、そして現実からの大脱走 美少女革命『エンジェル ウォーズ』 [第113回]"3.11"後の新しい映画モデルとなるか『劇場版 神聖かまってちゃん』の挑戦 [第112回]マスコミが讃えた"楽園"のその後、ひとりの少女の成長記録『愛しきソナ』 [第111回]閉鎖的な"村社会"をブチ破ったれ! 韓流サバイバル劇『ビー・デビル』 [第110回]"粋"を愛したフランスの伯父さん J・タチ主演『イリュージョニスト』 [第109回]自分にとって家族は敵か、味方か? オスカー2冠受賞『ザ・ファイター』 [第108回]コーエン兄弟『トゥルー・グリット』40年で変化した"米国のヒーロー像" [第107回]ジョニー・デップが愛した"極道記者" 『GONZO』奇人がスターだった時代 [第106回] 巨匠イーストウッド監督の異色作! "あの世"はあるか?『ヒア アフター』 [第105回] キレ味、喉ごしが違うアクション! 黒帯美少女の"涙拳"が炸裂『KG』 [第104回] 高齢化するニートはどこに行くのか? "戸塚校長"のその後『平成ジレンマ』 [第103回]堀北真希&高良健吾主演作『白夜行』闇に生きる"影男"の密やかなる喜び [第102回]園子温の劇薬ムービー『冷たい熱帯魚』"救いのない結末"という名の救い [第101回] NHKが放映しない"裏プロジェクトX" AV界のカリスマ監督『YOYOCHU』 [第100回]エロスとタブーを交配した"至高の美女" 禁断のサイエンスホラー『スプライス』 [第99回]2010年に活躍した女優を勝手に表彰! 満島ひかりに"面倒くさい女"大賞を [第98回]大人だって"ドラえもん"にいて欲しい 残念男の逆転劇『エリックを探して』 [第97回]平凡な高校生デイヴは2度変身する!原点回帰のヒーロー『キック・アス』 [第96回]村上春樹の超絶ベストセラーの映画化『ノルウェイの森』はどこにある? [第95回]実在した"奇妙な高額バイト"の顛末 心理サスペンス『エクスペリメント』 [第94回]"アル中"カメラマンの泣き笑い人生『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』 [第93回]朝ドラと異なる映画『ゲゲゲの女房』ゴールなき"貧乏耐久"2人3脚走 [第92回]バラエティーでの実績は通用するか? テリー伊藤の初監督作『10億円稼ぐ』 [第91回] 不謹慎なる社会派エンタテイメント『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』 [第90回]"世界のナベアツ"大阪府知事に就任! 政治コメディ『さらば愛しの大統領』 [第89回]自分の恋愛もプロデュースする女優、ドリュー・バリモア主演『遠距離恋愛』 [第88回]スタローンが立ち上げた"筋肉共和国"男たちの祭典『エクスペンダブルズ』 [第87回]元"おはガール"安藤聖の再起動ドラマ 就職氷河期を生きる『バカがウラヤマシイ』 [第86回]マイノリティーは"理想郷"を目指す。筒井文学の金字塔『七瀬ふたたび』 [第85回]清純派・佐藤寛子が美しく"変態"! 官能サスペンス『ヌードの夜──』 [第84回]死を意識して、ギラギラ輝く男たち! 三池節、大バクハツ『十三人の刺客』 [第83回] 女を食い物にする男どもは全員処刑! モダン社会の闇を暴く『ミレニアム』 [第82回] "企画AV女優"たちの青春残酷物語 性なる鎮魂劇『名前のない女たち』 [第81回]猫を見れば、人間社会が見えてくる! 世界の人気猫大集合『ネコを探して』 [第80回]原恵一監督の新作は辛口ファンタジー 退屈な"日常生活"を彩る『カラフル』 [第79回]米軍に実在した"超能力部隊"の真実!? ムー民、必見『ヤギと男と男と壁と』 [第78回]戦場から帰還した夫は"芋虫男"だった! ヤクザ監督の反戦映画『キャタピラー』 [第77回] 白ユリの花開くガールズの妖しい世界 H系ホラー『ジェニファーズ・ボディ』 [第76回] 爽やか系青春ゾンビ映画にホロリ......夏休みは『ゾンビランド』に集結せよ [第75回] "生きる"とは"見苦しい"ということ 藤沢周平の時代活劇『必死剣 鳥刺し』 [第74回]初恋の美少女は200歳の吸血鬼だった! 北欧産のホラー映画『ぼくのエリ』 [第73回] "三億円事件"の真相を解き明かす! 桜タブーに挑んだ『ロストクライム』 [第72回/特別編] 上映反対で揺れる問題作『ザ・コーヴ』"渦中の人"リック・オバリー氏の主張 [第71回] 女子にモテモテになる方法、教えます。軟派少年の実話物語『ソフトボーイ』 [第70回] 下町育ちの"北野少年"が見た現代社会 人間同士の食物連鎖『アウトレイジ』 [第69回] "リアルと虚構の狭間"を生きる男、アントニオ猪木初主演作『アカシア』 [第68回] ヒーローも神もいない現代社会の惨劇 井筒監督の問題作『ヒーローショー』 [第67回] アイドルが地獄で微笑む『戦闘少女』ギャグ×血しぶき×殺陣の特盛り丼! [第66回]アナーキーな"社歌"で生産性アップ! 満島ひかり大進撃『川の底からこんにちは』 [第65回]超ヘビー級なシリアス劇『プレシャス』"家族"という名の地獄から脱出せよ [第64回]乱れ咲く"悪の華"ゼブラクイーン! 仲里依紗が過激変身『ゼブラーマン2』 [第63回] オタク王が見出した"夢と現実"の接点 ティム・バートン監督作『アリス──』 [第62回] バッドテイストな感動作『第9地区』 アナタはエビ人間とお友達になれるか? [第61回]スコセッシ監督の犯罪アトラクション『シャッターアイランド』へようこそ! [第60回]宮崎あおいの"映画代表作"が誕生! 毒を呑んでも生き続けよ『ソラニン』 [第59回]"おっぱいアート"は世界を救えるか? 母乳戦士の記録『桃色のジャンヌ・ダルク』 [第58回]現代に甦った"梶原一騎ワールド"韓流ステゴロ映画『息もできない』 [第57回]命知らずの変態レポーター、中東へ! 史上最大のどっきり?『ブルーノ』 [第56回]仲里依紗がアニメから実写へと跳躍! 母娘2代の時空旅行『時をかける少女』 [第55回]ビグロー監督はキャメロンより硬派! 人間爆弾の恐怖『ハート・ロッカー』 [第54回] "空気を読む"若者の悲劇『パレード』楽しいルームシェア生活の行き先は? [第53回]社会の"生け贄"に選ばれた男の逃亡劇 堺雅人主演『ゴールデンスランバー』 [第52回]『男はつらいよ』の別エンディング? "寅さん"の最期を描く『おとうと』 [第51回]ひとり相撲なら無敵のチャンピオン! 童貞暴走劇『ボーイズ・オン・ザ・ラン』 [第50回]ヒース・レジャーが最後に見た夢の世界 理想と欲望が渦巻く『Dr.パルナサスの鏡』 [第49回]トニー・ジャーは本気なんジャー! CGなしの狂乱劇再び『マッハ!弐』 [第48回]全米"オシャレ番長"ズーイー、見参! 草食系に捧ぐ『(500日)のサマー』 [第47回]市川崑監督&水谷豊"幻の名作"『幸福』28年の歳月を経て、初のパッケージ化 [第46回]押井守監督、大いなる方向転換か? 黒木メイサ主演『アサルトガールズ』 [第45回]ドラッグ漬けの芸能関係者必見!"神の子"の復活を追う『マラドーナ』 [第44回] 暴走する"システム"が止まらない! マイケル・ムーア監督『キャピタリズム』 [第43回]"人は二度死ぬ"という独自の死生観『ガマの油』役所広司の監督ぶりは? [第42回]誰もが共感、あるあるコメディー! 2ちゃんねる発『ブラック会社』 [第41回]タラとブラピが組むと、こーなった!! 戦争奇談『イングロリアス・バスターズ』 [第40回]"涅槃の境地"のラストシーンに唖然! 引退を賭けた角川春樹監督『笑う警官』 [第39回]伝説の男・松田優作は今も生きている 20回忌ドキュメント『SOUL RED』 [第38回]海より深い"ドメスティック・ラブ"ポン・ジュノ監督『母なる証明』 [第37回]チャン・ツィイーが放つフェロモン爆撃 悪女注意報発令せり!『ホースメン』 [第36回]『ソウ』の監督が放つ激痛バイオレンス やりすぎベーコン!『狼の死刑宣告』 [第35回]"負け組人生"から抜け出したい!! 藤原竜也主演『カイジ 人生逆転ゲーム』 [第34回]2兆円ペット産業の"開かずの間"に迫る ドキュメンタリー『犬と猫と人間と』 [第33回]"女神降臨"ペ・ドゥナの裸体が神々しい 空っぽな心に響く都市の寓話『空気人形』 [第32回]電気仕掛けのパンティをはくヒロイン R15コメディ『男と女の不都合な真実』 [第31回]萩原健一、松方弘樹の助演陣が過剰すぎ! 小栗旬主演の時代活劇『TAJOMARU』 [第30回]松本人志監督・主演第2作『しんぼる』 閉塞状況の中で踊り続ける男の悲喜劇 [第29回]シビアな現実を商品化してしまう才女、西原理恵子の自叙伝『女の子ものがたり』 [第28回]"おねマス"のマッコイ斉藤プレゼンツ 不謹慎さが爆笑を呼ぶ『上島ジェーン』 [第27回]究極料理を超えた"極地料理"に舌鼓! 納涼&グルメ映画『南極料理人』 [第26回]ハチは"失われた少年時代"のアイコン  ハリウッド版『HACHI』に涙腺崩壊! [第25回]白熱! 女同士のゴツゴツエゴバトル 金子修介監督の歌曲劇『プライド』 [第24回]悪意と善意が反転する"仮想空間"細田守監督『サマーウォーズ』 [第23回]沖縄に"精霊が暮らす楽園"があった! 中江裕司監督『真夏の夜の夢』 [第22回]"最強のライブバンド"の底力発揮! ストーンズ『シャイン・ア・ライト』 [第21回]身長15mの"巨大娘"に抱かれたい! 3Dアニメ『モンスターvsエイリアン』 [第20回]ウディ・アレンのヨハンソンいじりが冴え渡る!『それでも恋するバルセロナ』 [第19回]ケイト姐さんが"DTハンター"に! オスカー受賞の官能作『愛を読むひと』 [第18回]1万枚の段ボールで建てた"夢の砦"男のロマンここにあり『築城せよ!』 [第17回]地獄から甦った男のセミドキュメント ミッキー・ローク『レスラー』 [第16回]人生がちょっぴり楽しくなる特効薬 三木聡"脱力"劇場『インスタント沼』 [第15回]"裁判員制度"が始まる今こそ注目 死刑執行を克明に再現した『休暇』 [第14回]生傷美少女の危険な足技に痺れたい! タイ発『チョコレート・ファイター』 [第13回]風俗嬢を狙う快楽殺人鬼の恐怖! 極限の韓流映画『チェイサー』 [第12回]お姫様のハートを盗んだ男の悲哀 紀里谷監督の歴史奇談『GOEMON』 [第11回]美人女優は"下ネタ"でこそ輝く! ファレリー兄弟『ライラにお手あげ』 [第10回]ジャッキー・チェンの"暗黒面"? 中国で上映禁止『新宿インシデント』 [第9回]胸の谷間に"桃源郷"を見た! 綾瀬はるか『おっぱいバレー』 [第8回]"都市伝説"は映画と結びつく 白石晃士監督『オカルト』『テケテケ』 [第7回]少女たちの壮絶サバイバル!楳図かずおワールド『赤んぼ少女』 [第6回]派遣の"叫び"がこだまする現代版蟹工船『遭難フリーター』 [第5回]三池崇史監督『ヤッターマン』で深田恭子が"倒錯美"の世界へ [第4回]フランス、中国、日本......世界各国のタブーを暴いた劇映画続々 [第3回]水野晴郎の遺作『ギララの逆襲』岡山弁で語った最後の台詞は...... [第2回]『チェンジリング』そしてイーストウッドは"映画の神様"となった [第1回]堤幸彦版『20世紀少年』に漂うフェイクならではの哀愁と美学

「人間の欲望を視覚化?」香港人気キャラの生みの親が追求する"醜さの美学"

Talk-is-not-talk.jpg
「Talk is not talk」(c) Graphicairlines
 『AKIRA』『ドラゴンボール』『ドラえもん』......子どものころ、僕らの心をアツくさせた漫画やアニメが、海の向こうに住むアジアの子どもたちの心にも火をつけていた。今や日本人だけのものではなくなった、ジャパニーズ・ポップカルチャー。その影響を受けて育った、アジアの才能豊かなクリエーターたちを紹介します。 第21回 アート・ユニット Graphicairlines(グラフィックエアラインズ)  膨らんだほっぺと、どこを見つめているのか分からない小さな瞳。ふてぶてしさと諦観を同居させたような、でもどこか憎めないキャラクター「Fat Face(ファット・フェイス)」が香港の街中に現れたのは、数年前。小さな虫のようにFat FaceにまとわりつくMeaty(ミーティ)と一緒に、グラフィティとして路上をにぎわせ、フィギュアになり、グッズになり、さらにはペインティングやインスタレーションとなって、ギャラリーやメディアで紹介されると、香港であっという間に話題となった。そしてFat Face+Meatyは、今ではおなじみのご近所さんのようにローカルの若者に親しまれている。  このキャラクターの生みの親、Graphicairlines(グラフィックエアラインズ)は、Tat(タット)とVi(ヴィ)の2人組のアート・ユニット。香港の人気コミック・アーティスト、Tak(※記事参照)も彼らの大ファンで、地元の雑誌の連載記事で、彼らのスタジオ訪問をしているほど。そのイラストレポートには、日本の漫画がぎっしり詰まった本棚が......「私たち、オタクなので」。
31yd-pHWBhL._SL500_AA300_.jpg
『46億年物語』
 ふたりとも、子どものころから日本のアニメを見て、漫画を読んで、ゲームで遊んで過ごしたという。 「子どものころは完全にゲームオタクだった」  Tatがハマったのは、『スーパマリオブラザーズ』に『ドラゴンクエスト』、『ファイナル・ファンタジー』『夢工場ドキドキパニック』『忍者龍剣伝』『スーパーロボット大戦』。Viは、ツウ好み(?)の名作『46億年物語』。 「生物の進化が体験できるんですよ! 一番のお気に入りでした」  ゲームやアニメは、ふたりにファンタジーの世界をもたらしたという。それらは自分たちと一緒に成長し、彼らの生活にとってなくてはならないものになった。 「日本の作品は、キャラクターデザインが非常に優れていますよね。キャラクターを使って、物語や作家のメッセージを伝えるのがとてもうまい。わたしたちも多くのキャラクターを作っていますが、そういう影響は受けていると思います」
speak is not speak_s.jpg 
Tell is not tell_s.jpg
<画像をクリックすると拡大します>
「Speak is not speak」「Tell is not tell」(c) Graphicairlines
 彼ら自身は、自分たちのキャラクターにどんなメッセージを込めているのだろう。Viによると、Fat Faceの膨らんだほっぺたは「欲望の膨張」の現れだという。 「私たちは、常に、あらゆることを"もっと、もっと"と欲しています。富を増やし、強い権力を望み、より高いビルを建てたいと競い、大量のモノを買って、消費する......そんな人間の貪欲さが、ほっぺたをどんどん膨らませてしまうんです」  そしてFace Faceの周りでうろちょろしているMeatyは、Fat Faceのお肉で、体の中にひそむ欲望や貪欲さが視覚化されたものだ。  お世辞にも「きれい」とは言えないこのキャラだが、これをさまざまなメディアに落とし込み、表現することによって、Tat とViは「醜さの美学」を追求しているという。
live-in_s.jpg alter_boy_s.jpg Beautiful-freaks._sjpg.jpg
<画像をクリックすると拡大します>
「live in 25sq.ft.」「alter_boy」「Beautiful freaks」(c) Graphicairlines
「私たちは完璧な絵画の技術を持っているわけではありません。自分たちのスタイルは未熟で、不完全だということも分かっています。でも私たちは、醜さの中には、ある種の美しさがあると信じているんです。メインストリームの市場には、美しさにおける一定の"基準"があるけど、私たちにとっての"醜さの美学"というのは、メインストリームから外れたところにあるものだと思っています」  これから、ドローイングやペインティングを含め、自分たちの満足のいく作品をもっともっと作っていきたいというTatとVi。  「毎年、新作を作って個展を開きたい。それに、自分たちの作品を香港だけではなく、他の国でも紹介したいと思っています」とVi。そして「アート活動以外に、GLA GLA DI GUOというバンドもやっているので、もっと面白いパフォーマンスや音楽も作っていきたいですね」と口をそろえる。  彼らのこんな「欲望」を聞けば、Fat Faceも頬を膨らますのをやめて、微笑みだすに違いない。 (取材・文=中西多香[ASHU]) gal_portrait.jpg ●Graphicairlines TatとViのふたりによるアート・ユニット。香港をベースに、2002年にタッグを組み、香港のストリート・アート・シーンでデビュー、話題をさらう。出版活動や展覧会を通して作品を発表するかたわら、2006年からはオリジナルのデザイン・グッズなどの制作も開始。グッズは、香港のデザインショップや、彼らのウェブで購入可能。 <http://www.graphicairlines.com/galnew/> ●なかにし・たか アジアのデザイナー、アーティストの日本におけるマネジメント、プロデュースを行なう「ASHU」代表。日本のクリエーターをアジア各国に紹介するプロジェクトにも従事している。著書に『香港特別藝術区』(技術評論社)がある。<http://www.ashu-nk.com > オンラインTシャツオンデマンド「Tee Party」<http://teeparty.jp/ashu/>
46億年物語 懐かしい。 amazon_associate_logo.jpg
■バックナンバー 【vol.20】「故郷・ボルネオ島での原体験が創造力の源」世界で活躍するマレーシアの"ケンヂ" 【vol.19】「人生に起きるすべてのことを細かく観察したい」中国ネット世代のアーティスト 【vol.18】「ヒーローは宮崎駿と奈良美智」シンガポールのマルチスタイル・アーティスト 【vol.17】「ルーツは『天空の城 ラピュタ』」ウォン・カーウァイに見い出された香港の若き才能 【vol.16】怖かわいい魑魅魍魎が暴れ回る! ヤン・ウェイの妖魔的異界 【vol.15】「原点は日本のコミック」東南アジアを席巻する都会派クリエーター 【vol.14】エロ×宗教×故事が混在!? 中国版・寺山修司が造り出すカオスな世界 【vol.13】昼間はOL、夜は寡黙なアーティスト ソン・ニが描く秘密の快楽の世界 【vol.12】まるで初期アニメ ローテクを駆使する南国のアート・ユニット「トロマラマ」 【vol.11】「造形師・竹谷隆之に憧れて......」 1000の触手を持つ、マレーシアのモンスター 【vol.10】"中国のガロ系"!? 80年代以降を代表するコミック・リーダー ヤン・コン 【vol.9】大のラーメンおたく!? シンガポールデザイン界を率いる兄貴、クリス・リー 【vol.8】メイド・イン・ジャパンに憧れて...... 香港の文学系コミック作家・智海 【vol.7】「血眼になってマンガを追いかけた」海賊版文化が育んだ中国の新しい才能 【vol.6】裸人間がわらわら 香港ピクセル・アートティストが放つ"アナログデジタル"な世界 【vol.5】ダメでも笑い飛ばせ! 香港の国民性を体現したグラフィック・ノベリスト 【vol.4】「教科書はガンダムの落書きだらけだった」 香港・原色の魔術師の意外な原点 【vol.3】「懐かしいのに、新しい」 読むほどにクセになる"タイ初の日本漫画家"タムくん 【vol.2】 マイブームはBL!? 香港の腐女子が描きとめる、消えゆく都市の記憶 【vol.1】「 :phunk版ガッチャマンが作りたい」 シンガポール発のデザイン集団が描く夢

「人間の欲望を視覚化?」香港人気キャラの生みの親が追求する"醜さの美学"

Talk-is-not-talk.jpg
「Talk is not talk」(c) Graphicairlines
 『AKIRA』『ドラゴンボール』『ドラえもん』......子どものころ、僕らの心をアツくさせた漫画やアニメが、海の向こうに住むアジアの子どもたちの心にも火をつけていた。今や日本人だけのものではなくなった、ジャパニーズ・ポップカルチャー。その影響を受けて育った、アジアの才能豊かなクリエーターたちを紹介します。 第21回 アート・ユニット Graphicairlines(グラフィックエアラインズ)  膨らんだほっぺと、どこを見つめているのか分からない小さな瞳。ふてぶてしさと諦観を同居させたような、でもどこか憎めないキャラクター「Fat Face(ファット・フェイス)」が香港の街中に現れたのは、数年前。小さな虫のようにFat FaceにまとわりつくMeaty(ミーティ)と一緒に、グラフィティとして路上をにぎわせ、フィギュアになり、グッズになり、さらにはペインティングやインスタレーションとなって、ギャラリーやメディアで紹介されると、香港であっという間に話題となった。そしてFat Face+Meatyは、今ではおなじみのご近所さんのようにローカルの若者に親しまれている。  このキャラクターの生みの親、Graphicairlines(グラフィックエアラインズ)は、Tat(タット)とVi(ヴィ)の2人組のアート・ユニット。香港の人気コミック・アーティスト、Tak(※記事参照)も彼らの大ファンで、地元の雑誌の連載記事で、彼らのスタジオ訪問をしているほど。そのイラストレポートには、日本の漫画がぎっしり詰まった本棚が......「私たち、オタクなので」。
31yd-pHWBhL._SL500_AA300_.jpg
『46億年物語』
 ふたりとも、子どものころから日本のアニメを見て、漫画を読んで、ゲームで遊んで過ごしたという。 「子どものころは完全にゲームオタクだった」  Tatがハマったのは、『スーパマリオブラザーズ』に『ドラゴンクエスト』、『ファイナル・ファンタジー』『夢工場ドキドキパニック』『忍者龍剣伝』『スーパーロボット大戦』。Viは、ツウ好み(?)の名作『46億年物語』。 「生物の進化が体験できるんですよ! 一番のお気に入りでした」  ゲームやアニメは、ふたりにファンタジーの世界をもたらしたという。それらは自分たちと一緒に成長し、彼らの生活にとってなくてはならないものになった。 「日本の作品は、キャラクターデザインが非常に優れていますよね。キャラクターを使って、物語や作家のメッセージを伝えるのがとてもうまい。わたしたちも多くのキャラクターを作っていますが、そういう影響は受けていると思います」
speak is not speak_s.jpg Tell is not tell_s.jpg
<画像をクリックすると拡大します>
「Speak is not speak」「Tell is not tell」(c) Graphicairlines
 彼ら自身は、自分たちのキャラクターにどんなメッセージを込めているのだろう。Viによると、Fat Faceの膨らんだほっぺたは「欲望の膨張」の現れだという。 「私たちは、常に、あらゆることを"もっと、もっと"と欲しています。富を増やし、強い権力を望み、より高いビルを建てたいと競い、大量のモノを買って、消費する......そんな人間の貪欲さが、ほっぺたをどんどん膨らませてしまうんです」  そしてFace Faceの周りでうろちょろしているMeatyは、Fat Faceのお肉で、体の中にひそむ欲望や貪欲さが視覚化されたものだ。  お世辞にも「きれい」とは言えないこのキャラだが、これをさまざまなメディアに落とし込み、表現することによって、Tat とViは「醜さの美学」を追求しているという。
live-in_s.jpg alter_boy_s.jpg Beautiful-freaks._sjpg.jpg
<画像をクリックすると拡大します>
「live in 25sq.ft.」「alter_boy」「Beautiful freaks」(c) Graphicairlines
「私たちは完璧な絵画の技術を持っているわけではありません。自分たちのスタイルは未熟で、不完全だということも分かっています。でも私たちは、醜さの中には、ある種の美しさがあると信じているんです。メインストリームの市場には、美しさにおける一定の"基準"があるけど、私たちにとっての"醜さの美学"というのは、メインストリームから外れたところにあるものだと思っています」  これから、ドローイングやペインティングを含め、自分たちの満足のいく作品をもっともっと作っていきたいというTatとVi。  「毎年、新作を作って個展を開きたい。それに、自分たちの作品を香港だけではなく、他の国でも紹介したいと思っています」とVi。そして「アート活動以外に、GLA GLA DI GUOというバンドもやっているので、もっと面白いパフォーマンスや音楽も作っていきたいですね」と口をそろえる。  彼らのこんな「欲望」を聞けば、Fat Faceも頬を膨らますのをやめて、微笑みだすに違いない。 (取材・文=中西多香[ASHU]) gal_portrait.jpg ●Graphicairlines TatとViのふたりによるアート・ユニット。香港をベースに、2002年にタッグを組み、香港のストリート・アート・シーンでデビュー、話題をさらう。出版活動や展覧会を通して作品を発表するかたわら、2006年からはオリジナルのデザイン・グッズなどの制作も開始。グッズは、香港のデザインショップや、彼らのウェブで購入可能。 <http://www.graphicairlines.com/galnew/> ●なかにし・たか アジアのデザイナー、アーティストの日本におけるマネジメント、プロデュースを行なう「ASHU」代表。日本のクリエーターをアジア各国に紹介するプロジェクトにも従事している。著書に『香港特別藝術区』(技術評論社)がある。<http://www.ashu-nk.com > オンラインTシャツオンデマンド「Tee Party」<http://teeparty.jp/ashu/>
46億年物語 懐かしい。 amazon_associate_logo.jpg
■バックナンバー 【vol.20】「故郷・ボルネオ島での原体験が創造力の源」世界で活躍するマレーシアの"ケンヂ" 【vol.19】「人生に起きるすべてのことを細かく観察したい」中国ネット世代のアーティスト 【vol.18】「ヒーローは宮崎駿と奈良美智」シンガポールのマルチスタイル・アーティスト 【vol.17】「ルーツは『天空の城 ラピュタ』」ウォン・カーウァイに見い出された香港の若き才能 【vol.16】怖かわいい魑魅魍魎が暴れ回る! ヤン・ウェイの妖魔的異界 【vol.15】「原点は日本のコミック」東南アジアを席巻する都会派クリエーター 【vol.14】エロ×宗教×故事が混在!? 中国版・寺山修司が造り出すカオスな世界 【vol.13】昼間はOL、夜は寡黙なアーティスト ソン・ニが描く秘密の快楽の世界 【vol.12】まるで初期アニメ ローテクを駆使する南国のアート・ユニット「トロマラマ」 【vol.11】「造形師・竹谷隆之に憧れて......」 1000の触手を持つ、マレーシアのモンスター 【vol.10】"中国のガロ系"!? 80年代以降を代表するコミック・リーダー ヤン・コン 【vol.9】大のラーメンおたく!? シンガポールデザイン界を率いる兄貴、クリス・リー 【vol.8】メイド・イン・ジャパンに憧れて...... 香港の文学系コミック作家・智海 【vol.7】「血眼になってマンガを追いかけた」海賊版文化が育んだ中国の新しい才能 【vol.6】裸人間がわらわら 香港ピクセル・アートティストが放つ"アナログデジタル"な世界 【vol.5】ダメでも笑い飛ばせ! 香港の国民性を体現したグラフィック・ノベリスト 【vol.4】「教科書はガンダムの落書きだらけだった」 香港・原色の魔術師の意外な原点 【vol.3】「懐かしいのに、新しい」 読むほどにクセになる"タイ初の日本漫画家"タムくん 【vol.2】 マイブームはBL!? 香港の腐女子が描きとめる、消えゆく都市の記憶 【vol.1】「 :phunk版ガッチャマンが作りたい」 シンガポール発のデザイン集団が描く夢

"球界一の愛妻家"楽天・岩隈に愛人発覚! 糟糠の妻は何を思う?

motki1121.jpg
週刊ポスト」12月2日号 中吊り広告より
第1位 「楽天・岩隈『3年愛人』と愛欲の5泊6日」(「週刊ポスト」12月2日号) 第2位 「正力、務台、渡辺『読売天皇三代記』佐野眞一」(「週刊ポスト」12月2日号) 第3位 「史上最年少三冠ジョッキー池添謙一騎手が私にした『馬乗りDV』」(「フライデー」12月2日号)  池添謙一はエライ! 日曜日の競馬「マイルチャンピオンシップ」見た? 池添の騎乗した5番人気のエイシンアポロンが直線鋭く伸びてG1を快勝した。  エイシンから馬単で流していたから、思わず「All the Way!」と叫んでしまったが、2着がフィフスペトル(11番人気)でガックリ。結局、1着、3着、4着でおカネにはならなかったが、本命にしたエイシンの快走には納得だった。  だが、レース前はかなり迷ったのだ。道悪上手なエイシンで勝てると読んだのだが、鞍上が不安だった。それは金曜日に出た「フライデー」の記事である。  池添に見初められて不倫関係を続けてきたという札幌・すすきのの高級クラブホステスが、衝撃告白したからだ。  「フライデー」によれば、池添が店に来たのは09年の7月ごろ。いきなり「すすきのの風俗情報誌で君を見た」と指名してきて、彼女の誕生日には一晩で70万円も使ってくれたというのだ。出会って3週間くらいで関係ができ、1~2カ月滞在する夏の北海道シリーズのときには、札幌でたびたび逢瀬を重ねた。中山、京都、小倉にまで遊びに行き、「ミニクーパー」までプレゼントされていたというから、池添の入れ込みようが分かる。  ちなみの池添の年収は1億円を軽く超えるから、これぐらいは軽いのだろうな。  だが、次第に池添が嫉妬深くなり、他の客と同伴したりアフターに行く度に怒り出し、暴力を振るうようになってきたというのだ。殴る蹴る、ときには馬に見立てて(?)彼女に馬乗りになり、頭を拳で叩き、途中で本人が「骨が折れた!」と騒ぎ出すほどの激しさだったというから、ただごとでない。病院に行くと、5日間程度の自宅安静と通院を要すると診断された。その診断書の写真も掲載されている。  それでも池添とすぐに別れなかったのは、暴力を振るった後に必ず「俺が悪かった」と泣きながら謝罪するからだった。  「もうすぐ離婚するから」という池添の言葉を信じたが、あるひと言で、その言葉がウソだと分かり別れを決意したそうだ。  この秋オルフェーヴルで菊花賞を制し、史上最年少の三冠ジョッキーになった池添に思わぬアクシデント発生。馬でいえばレース前に骨折したようなスキャンダルで、精神的にも冷静に騎乗できるか心配だった。  だが、騎乗ぶりはパーフェクトだった。もともと追い込み馬に乗せると達者な騎手だったが、今年は一流ジョッキーの仲間入りを果たし、この秋も好調を持続している。  これだけのスキャンダルにも動じない(?)で騎乗できたのだから、これからの池添は買いかもしれないな。  今週の第2位は、清武英利読売巨人軍球団代表(その後解雇)の会見騒動の余波が続く中、ひと味違った切り口を見せてくれた「ポスト」の記事。  目次を見たとき、巻頭の「巨魁・渡辺恒雄への『引退勧告』」に期待したのだが、内容はさしたるものはなかった。佐野の記事は一連の清武騒動特集の一本だが、正力松太郎を軸に読売新聞の実相を明らかにした『巨怪伝』(文藝春秋)を書いた佐野だけに、ナベツネ批判にも頷けるところが多い。  のっけから佐野は読売の体質を「男の嫉妬の世界なんだよ、読売って会社は」と断じる。プロ野球興業に始まり、テレビの開局、原発導入という国家的な事業に関わった正力を「百年に一度出るかどうかの怪物だった」と評する。  その後を継いだ務台光雄は、正力と対立して徹底的に冷遇されたが、それに耐え抜いて社長の座に就いた。  ふたりの確執はすさまじいものがあり、務台は夢の中にまで正力が出てきたといい、正力は、いつか務台に殺されるのではないかと周囲に語っていたという。  務台は544万だった部数を1,000万にまで伸ばすために巨人軍をフルに活用した。毎朝務台の「御前会議」が開かれるのだが、議題はいつも前夜の巨人戦の講評だったという。  先週も書いたが、務台が巨人のテレビを見ていて、ピッチャーの交代までダッグアウトにメモを入れさせて指示していたのは、新聞の拡張には巨人が常に優勝することが絶対必要だと考えていたからだ。  そうしたふたりに比べると、ナベツネははるかに劣ると佐野は言っている。 「ほろ酔い気分で、スポーツ記者を怒鳴りつける渡辺を見ると、悲しくなってくる。大物ぶっているけれど、こういう男を日本語で普通チンピラとか小物って言うんじゃなかったっけ。正力は自分こそ最大の権力者だと思い込んでるから政治家なんてハナから相手にしなかった(笑)。(中略)今回の騒動の本質は人々が報道機関を眺める視線が厳しいからこそ浮かび上がってきたトップの老醜と、読売新聞の衰退なんだ」  「ポスト」の巻頭記事の中で、読売の売上げが「大手信用調査機関」の調べによると、グループ連結ベースで毎年100億円ペースで減り続けているそうだ。  それなのに大手町の本社建て替えに200数十億円を投じ、大阪の「よみうり文化センター」を54階建てのマンションや複合施設にする計画があり、総事業費は300億円は下らないといわれている。  こうした何が何でも1,000万部を死守し、買収と拡大路線をとるナベツネ流のやり方に、内部からも批判が出てきているという。  他紙の人間から聞いた話だが、読売の部数は実数で600万から700万程度で、あとは押し紙でごまかしているといわれる。そのために販売店の不満が募り、いつ爆発してもおかしくないそうである。  正力のような偉大な業績もなく、務台のような強引さもなく、氏家(日本テレビCEO)という親友もいない今、渡辺主筆の現状をあらわす言葉は「老残」がいちばんふさわしいのではないだろうか。  映画『ゴッドファーザー PART3』で、アル・パチーノがひとり寂しく公園のベンチで崩れるように死んでいくシーンが思い出される。渡辺恒雄さん、人間引き際が肝心です。  今週はスポーツ選手受難の週のようだ。「ポスト」にしては珍しくグラビアも使って楽天・岩隈久志(30)の女性スキャンダルを報じている。  これをグランプリに選んだのは、写真がいいからでもある。グラビア巻頭の、若い愛人が岩隈にねだるように口を近づけている写真といい、クルマの中でディープキスを交わしている写真といい、「フライデー」真っ青のカメラワークと迫力である。  この写真は、岩隈がオフの調整のために千葉・幕張のホテルに滞在しながら、病院に通っている時期に撮られたものだ。  この愛人、背も170センチ近くあり、190センチの岩隈と並んでも遜色ない。ふたりは仲良く飲食したり、愛車の中でキスしたり、深夜の都内のゴルフ練習場でタマを打ったり、初心者らしい彼女にゴルフの手ほどきをしたり、量販店で海外旅行用の大型旅行用スーツケースを購入したりと仲むつまじい。  岩隈はいったん夫人と子どものいる仙台に戻るが、すぐに東京へ戻り、成田空港からトレーニング地のアリゾナへ旅立って行った。  球団関係者の談によると、ふたりが知り合ったのは3年ほど前、千葉ロッテマリーンズの試合に遠征したときだという。  岩隈は日本を代表するピッチャーというだけではなく、球界一の愛妻家としても知られているだけに、この愛人報道は衝撃的だ。  しかも今年2月の沖縄・久米島キャンプでも、岩隈の義理の父が二軍の打撃コーチをしているにもかかわらず、彼女を連れて来ていたというから、単なる火遊びではないようである。  岩隈は06年に「第1回ベストファーザー in 東北」にも選ばれていて、夫婦でトークショーに出たときも「(妻のことが)好きなんです」と真顔で話していた。ふたりは創価学会の熱心な信者で、学会の中でも「目指すべき夫婦像」になっているという。  さあ、夫婦の最大の危機について糟糠の妻がどう答えるのか。  「ポスト」がインタビューすると最初は、「私の義理の妹です」と、そう思い込んでいたみたいで動揺は見られなかったが、岩隈と彼女がクルマの座席に座っている写真を見せると、表情が凍りついた。  岩隈が彼女とホテルに連泊していると聞くと、「家族が円満なら、旦那は何をしてもいいという主義なんです」と答え、懸命に夫の行為が大事にならないよう「賢妻の配慮」を見せていたという。  岩隈の方は、代理人の弁護士から回答拒否という書面が届いたそうだが、愛人の携帯電話にかけると、海外ローミングに変わっていたというのだ。彼女は岩隈と一緒にいるのか?  FA宣言間近の岩隈は、夫・父親としてもFA宣言するのか決断を迫られていると結ばれている。  この世に不倫は数知れずあるが、これほど「これから大変だろうな」と思わせる不倫も珍しい。  しかし、彼女の携帯電話の番号まで知っていたとすれば、「ポスト」の情報源はかなりふたりに近い人間に違いない。その意図は、スキャンダルを明るみに出してふたりを別れさせることにあるのか? 今後の展開に注目である。 (文=元木昌彦)
motokikinnei.jpg
撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
ナベツネだもの いろいろ悪名高いです。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 「やむにやまれぬ会見だった」"清武の乱"は渡邉帝国崩壊の序章となるか 「カネ、女、モノで買収――」腐敗しきった愛知県警 暴排より先に求められる警察の健全化 恋人発覚の石川遼 ついにステージパパと決別か!?

"時代の寵児"の未ソフト化作品上映!「松江哲明グレイテスト・ヒッツ」

mgt01.jpg
松江哲明監督が日本映画学校の卒業制作として完成させたデビュー作
『あんにょんキムチ』。ユーモアを交え、自身のアイデンティティーを
掘り下げていく。(c)日本映画学校 Tip Top
 サブカル界の新旗手として脚光を浴びるドキュメンタリー作家・松江哲明監督。在日コリアン3世である自身のアイデンティティーを見つめたデビュー作『あんにょんキムチ』(99)はボックス東中野(現ポレポレ東中野)ほか全国でロングラン公開され、セルフドキュメンタリーブームの先駆けとなった。その後も童貞くんならではのピュアな世界観を題材にした『童貞。をプロデュース』(07)、34歳の若さで夭折した人気AV女優・林由美香の埋もれた作品に着目した『あんにょん由美香』(09)といった松江監督ならではというしかないユニークな作品を発表。全編74分ノーカットで撮影した『ライブテープ』(09)は第22回東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門で作品賞を受賞している。身近な題材を掘り下げ、エンターテイメント性の高いドキュメンタリー作品を次々と生み出している松江監督だが、『あんにょんキムチ』『童貞。をプロデュース』ほか代表作の多くは実はソフト化されていない。また、被写体との距離感を大切にする松江監督は、カンパニー松尾や平野勝之らのAV作品から多大な影響を受けており、松江監督自身もAV作品に参加している。最新作『トーキョードリフター』の公開を控え、松江監督が関わったこれまでの未ソフト化作品やAV作品を含めて傑作・珍作を一堂に集めた特集上映が「松江哲明グレイテスト・ヒッツ1999−2011」なのだ。  無邪気なイノセントスマイルで知られる松江監督だが、『ハメ撮りの夜明け 完結編』(04)は松江監督がクリエイターとしての志と性欲の狭間で苦悶する表情が何とも印象的な作品となっている。この作品はカンパニー松尾率いるAVメーカーHMJM(ハマジム)をめぐるCS放送向けのドキュメンタリー番組。演出・構成を手掛ける松江監督はインタビュアーとして、カンパニー松尾がかつて所属した伝説的AVメーカー・V&Rプランニングの代表である安達かおるを訪ねる。そして安達から「AVとは男と女が裸になって触れ合う人間臭い映像表現」という言葉を聞き出す。ならば、"ハメ撮り"はAV監督みずからが真っ裸になって被写体になってしまう最上級のセルフドキュメンタリーではないのか。取材相手のひと言が松江監督を突き動かす。
mgt00.jpg
『ハメ撮りの夜明け 完結編』。松江監督は、
クリエイターとして、また男として大きな決断
を迫られる。(c)ハマジム
 京都在住のエロ女子大生に会いに行くカンパニー松尾の後を追って、松江監督もカメラを片手に付いて行く。そして夜。1日ずっとカンパニー松尾と女子大生の野外での痴態を見守っていた松江監督は、宿泊先のホテルでまだフェロモンを発し続けている女子大生についつい手が伸びてしまう。ふすま1枚を挟んで、隣室にはカンパニー松尾がいるにも関わらず。ちなみに、この頃の松江監督は付き合っていた彼女と「ハメ撮りはしない」と約束していたそうだ。女子大生のフェロモン、ハメ撮りしちゃダメという彼女、隣室で休んでいる師匠・カンパニー松尾......、さまざまなファクターが松江監督の頭をよぎる。ハメ撮りを経験しないでAV作品を本当に撮ったことになるのか? でも、彼女との約束はどうする? クリエイターとして、また男として、そしてカンパニー松尾に師事するものとして、大きな一線を踏み越えるのかどうか。興奮と緊張のあまり、松江監督は汗で全身ズブ濡れ状態。そんな松江監督がみずから決断を下すことで、この作品はエンディングを迎える。  『姉妹でDON!』(06)はハマジム製作のWEB配信用AV作品。カンパニー松尾プロデュース作で、松江監督は演出・編集を担当。AV女優・宮地奈々の新作AVを撮影することになり、生き別れた姉妹が数年ぶりに再会するというチープなドラマが用意されている。実はこの姉役を演じるのは、宮地奈々の実姉。妹がAVをやっていることを知って、AVに興味を持ち、妹には内緒で出演応募してきたのだ。そこで生き別れた姉妹が再会、姉役の女優は本当の姉でしたという"ドッキリ"が仕掛けられた。ところが宮地奈々は非常に鋭い勘の持ち主で、インタビュアーでもある松江監督の「姉妹の仲はどうだった? 仲よかったんだ」という不用意な質問から、薄々と仕掛けが待っていることに気づく。ドッキリは早々に破綻するのだが、逆にここからが抜群に面白い。プロのAV女優である宮地奈々は、実姉との撮影現場での遭遇がただのドッキリで済むのか、それとも実姉とのレズプレイにまで突入するのかで葛藤しているのだ。一方のお姉さんは初めてのAV出演でテンションが上がりっ放し。プロである妹と素人である姉との表情の違いがあまりにも対称的。製作サイドの企画意図や演出を軽〜く呑み込んで、予想外の展開を見せながらカメラは回り続ける。これぞ、ドキュメンタリーの醍醐味だろう。
mgt03.jpg
カンパニー松尾プロデュースによる
『姉妹でDON!』。演出意図を越えた
予想外の展開をカメラは記録する。
(c)ハマジム
 かつてドキュメンタリー監督たるものは、取材対象に対して客観的な立ち場から向き合わなくてはならない、干渉してはいけないと言われてきた。"ハメ撮り"なんて、そんな旧来のドキュメンタリーの決まり事の正反対に位置する行為だ。原一男監督が『ゆきゆきて、神軍』(87)でドキュメンタリー映画の常識を突き破り、森達也監督が『A』(98)、『A2』(01)で破れた穴をさらに広げ、AV作品を経験した松江監督はエンターテイメントにまで押し上げた感がある。  関西ローカルで放映された『谷村美月17歳、京都着。~恋が色づくそのまえに』(07)はディレクターズカット版の上映。この作品は演出・山下敦弘、構成・向井康介、撮影・近藤龍人、編集・松江哲明、いわゆる"ロスジェネ"黄金メンバーが集結したセミドキュメンタリー。人気若手女優・谷村美月が京都へ遊びに行き、幼なじみのお兄ちゃんと再会するが、お兄ちゃんには彼女がいて......。谷村美月の女優としてのポテンシャルと10代の少女の純真な素顔が複雑に絡み合った絶品の味わいとなっている。製作サイドが用意した"仕掛け"はあるのだが、谷村美月が見せる幼なじみへの淡い憧れ、年上の女性へのジェラシーが垣間見える表情はホンモノ。この作品を観ていると、どこまでがフィクションで、どこまでがノンフィクションかという線引きをすることがどうでもよく思えてくる。そのくらい谷村美月がキュートだし、彼女の魅力を最大限に引き出したスタッフの労をねぎらいたい。谷村自身も「この作品は私にとって特別。親戚のお兄ちゃんたち(山下監督たちのこと)と一緒に作った思い出みたいなもの」と語っていた。
mgt02.jpg
劇場初公開となる『ライブテープ、二年後』。
ミュージシャン・前野健太と松江監督との
知られざる関係に迫っている。
(c) Tip Top
 12月10日(土)より公開される松江監督の最新作『トーキョードリフター』は、2011年5月に撮影されたライブドキュメンタリー。『ライブテープ』でタッグを組んだミュージシャン・前野健太が再び被写体となっている。3.11以降の自粛と節電のためにネオンが消えてしまった夜の東京を背景に、前野健太が新宿、下北沢、渋谷......とさまよいながら弾き語りをひと晩続ける姿を記録している。わずか半年前のことなのに、暗い東京が遠い昔のことのように感じられる。ネオンが消えた暗く静かなあの東京では、電車の中ではみんなが席を譲り合い、路上でしゃがみ込んでいる人がいれば声を掛け、公共広告機構のCMが流れるテレビの前で今後のエネルギー問題について真剣に話し合おうと考えていた。でも、街にネオンの灯りが戻ると同時に、ほとんどの人がそのことを忘れてしまった。いや、忘れてはいないが、目の前の日常に押し流されて、考える余白を失ってしまった。74分ノーカットという縛りのあった前作『ライブテープ』に比べると、夜の東京を宛てもなく漂流する『トーキョードリフター』はスキマだらけの作品だ。しかし、そのスキマ/余白は、あの暗い東京であの時の自分は何を考えていたのかを思い起こしてくれる。松江監督が今後どこに向かうのか注目したい。 (文=長野辰次) ●「松江哲明グレイテスト・ヒッツ1999-2011」 11月19日(土)~12月9日(金)連日21時よりオーディトリウム渋谷にて上映 <http://tokyo-drifter.com/GH> 11月   19日(土)『ライブテープ』『ライブテープ、二年後』   20日(日)『あんにょん由美香』   21日(月)『STRANGE DAYS メイキング・オブ・奇妙なサーカス』+トーク・ライブ   22日(火)『ハメ撮りの夜明け 完結編』『セックスと嘘とビデオテープとウソ』   23日(水)『あんにょんキムチ』『カレーライスの女たち』   24日(木)『赤裸々ドキュメント・天宮まなみ』『川本真琴 アイラブユーって聴こえる』   25日(金)『ライブテープ』   26日(土)『童貞。をプロデュース』   27日(日)『前略、大沢遥様』『谷村美月17歳、京都着。~恋が色づくそのまえに』   28日(月)『ライブテープ』   29日(火)『セキ☆ララ』   30日(水)『ハメ撮りの夜明け 完結編』『セックスと嘘とビデオテープとウソ』 12月   1日(木)『あんにょん由美香』   2日(金)『ドキュメント・メタル・シティ』   3日(土)シークレット★上映+トーク・ライブ   4日(日)『あんにょんキムチ』『カレーライスの女たち』   5日(月)『双子でDON!』『姉妹でDON!』   6日(火)『童貞。をプロデュース』   7日(水)『あんにょん由美香』   8日(木)『ライブテープ』   9日(金)サプライズ★上映+トーク・ライブ 『トーキョードリフター』は12月10日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国順次公開 配給/東風 <http://tokyo-drifter.com>
ライブテープ コレクターズ・エディション 12月7日発売。 amazon_associate_logo.jpg
●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第144回]原発事故を描いた『カリーナの林檎』と今関あきよし監督の背負った贖罪 [第143回]"窮屈なモラル"を脱ぎ捨てた裸の女たち 園子温監督の犯罪エロス『恋の罪』 [第142回]ノーベル賞作家・川端康成が夢想した新風俗『スリーピングビューティー』 [第141回]横暴な上司は有志社員が制裁します!『モンスター上司』のブラックな笑い [第140回]"クソみたいな社会を変えたい!"高校生テロリストの凄春『アジアの純真』 [第139回] うつ病なんかヘーキ!? 宮崎あおい主演作『ツレがうつになりまして。』 [第138回]"神話"が生まれる瞬間を目撃せよ! 人類への黙示録『猿の惑星:創世記』 [第137回]刑務所で食する至高の味『極道めし』ヒロインの後ろ姿に、むせび泣き! [第136回]"理想の恋人"という偶像を破壊せよ 深夜番長の劇場デビュー作『モテキ』 [第135回]"城定秀夫監督、ブレイク前夜の予感! 闘争本能を呼び覚ます『タナトス』 [第134回]"人間失格"の道を選んだ映画監督の業 林由美香の最新主演作『監督失格』 [第133回]ホラ吹きのホラを見破る特異な職能 ポランスキー監督『ゴーストライター』 [第132回]芦田愛菜、6歳にして危険な魅力!? 子連れで全力疾走『うさぎドロップ』 [第131回]元"暴走族"が書いた旧友への鎮魂歌 青春懺悔録『アメイジング グレイス』 [第130回]V・ギャロ主演のサバイバルグルメ!? 『エッセンシャル・キリング』 [第129回]『キック・アス』より悪趣味で泣ける 中年男の悪ノリ暴走劇『スーパー!』 [第128回]この夏の清涼剤、地方少女のダンス成長記『あぜみちジャンピンッ!』 [第127回]竹ヤリで世界進出"スシタイフーン"『エイリアンVSニンジャ』ほか逆上陸 [第126回]イーモウ監督、久々のアイドル映画 中華的妹萌え『サンザシの樹の下で』 [第125回]ナタリー・ポートマン vs. ヘビメタ野郎 人気女優の隠し球『メタルヘッド』 [第124回]黒澤明の名作『生きる』のラテン版! ヤモメ男が残した遺産『BIUTIFUL』 [第123回]北国で93年間営業を続ける"大黒座"と町の記録『小さな町の小さな映画館』 [第122回]新幹線がすれ違う瞬間、願いが叶う? 小学生の目線で描かれた『奇跡』 [第121回]理想と情熱がもたらした"痛い現実" 青春の蹉跌『マイ・バック・ページ』 [第120回]胸に響く金言"プロとは手を抜くこと" 職人秘話『アトムの足音が聞こえる』 [第119回]危険な出会い、井口昇ミーツ仲村みう 悪夢の遊園地『富江 アンリミテッド』 [第118回]ナタリー・ポートマン"第1章"の終幕 虚実が攻め合う『ブラック・スワン』 [第117回]"セカイ"を旅立った少女の地底探検記 新海誠監督の新作『星を追う子ども』 [第116回] 美少女たちの輝きが脳裏から離れない。青春ムービー『魔法少女を忘れない』 [第115回] 恋愛が与える"陶酔"とリアルな"痛み"サブカル活劇『スコット・ピルグリム』 [第114回]妄想、空想、そして現実からの大脱走 美少女革命『エンジェル ウォーズ』 [第113回]"3.11"後の新しい映画モデルとなるか『劇場版 神聖かまってちゃん』の挑戦 [第112回]マスコミが讃えた"楽園"のその後、ひとりの少女の成長記録『愛しきソナ』 [第111回]閉鎖的な"村社会"をブチ破ったれ! 韓流サバイバル劇『ビー・デビル』 [第110回]"粋"を愛したフランスの伯父さん J・タチ主演『イリュージョニスト』 [第109回]自分にとって家族は敵か、味方か? オスカー2冠受賞『ザ・ファイター』 [第108回]コーエン兄弟『トゥルー・グリット』40年で変化した"米国のヒーロー像" [第107回]ジョニー・デップが愛した"極道記者" 『GONZO』奇人がスターだった時代 [第106回] 巨匠イーストウッド監督の異色作! "あの世"はあるか?『ヒア アフター』 [第105回] キレ味、喉ごしが違うアクション! 黒帯美少女の"涙拳"が炸裂『KG』 [第104回] 高齢化するニートはどこに行くのか? "戸塚校長"のその後『平成ジレンマ』 [第103回]堀北真希&高良健吾主演作『白夜行』闇に生きる"影男"の密やかなる喜び [第102回]園子温の劇薬ムービー『冷たい熱帯魚』"救いのない結末"という名の救い [第101回] NHKが放映しない"裏プロジェクトX" AV界のカリスマ監督『YOYOCHU』 [第100回]エロスとタブーを交配した"至高の美女" 禁断のサイエンスホラー『スプライス』 [第99回]2010年に活躍した女優を勝手に表彰! 満島ひかりに"面倒くさい女"大賞を [第98回]大人だって"ドラえもん"にいて欲しい 残念男の逆転劇『エリックを探して』 [第97回]平凡な高校生デイヴは2度変身する!原点回帰のヒーロー『キック・アス』 [第96回]村上春樹の超絶ベストセラーの映画化『ノルウェイの森』はどこにある? [第95回]実在した"奇妙な高額バイト"の顛末 心理サスペンス『エクスペリメント』 [第94回]"アル中"カメラマンの泣き笑い人生『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』 [第93回]朝ドラと異なる映画『ゲゲゲの女房』ゴールなき"貧乏耐久"2人3脚走 [第92回]バラエティーでの実績は通用するか? テリー伊藤の初監督作『10億円稼ぐ』 [第91回] 不謹慎なる社会派エンタテイメント『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』 [第90回]"世界のナベアツ"大阪府知事に就任! 政治コメディ『さらば愛しの大統領』 [第89回]自分の恋愛もプロデュースする女優、ドリュー・バリモア主演『遠距離恋愛』 [第88回]スタローンが立ち上げた"筋肉共和国"男たちの祭典『エクスペンダブルズ』 [第87回]元"おはガール"安藤聖の再起動ドラマ 就職氷河期を生きる『バカがウラヤマシイ』 [第86回]マイノリティーは"理想郷"を目指す。筒井文学の金字塔『七瀬ふたたび』 [第85回]清純派・佐藤寛子が美しく"変態"! 官能サスペンス『ヌードの夜──』 [第84回]死を意識して、ギラギラ輝く男たち! 三池節、大バクハツ『十三人の刺客』 [第83回] 女を食い物にする男どもは全員処刑! モダン社会の闇を暴く『ミレニアム』 [第82回] "企画AV女優"たちの青春残酷物語 性なる鎮魂劇『名前のない女たち』 [第81回]猫を見れば、人間社会が見えてくる! 世界の人気猫大集合『ネコを探して』 [第80回]原恵一監督の新作は辛口ファンタジー 退屈な"日常生活"を彩る『カラフル』 [第79回]米軍に実在した"超能力部隊"の真実!? ムー民、必見『ヤギと男と男と壁と』 [第78回]戦場から帰還した夫は"芋虫男"だった! ヤクザ監督の反戦映画『キャタピラー』 [第77回] 白ユリの花開くガールズの妖しい世界 H系ホラー『ジェニファーズ・ボディ』 [第76回] 爽やか系青春ゾンビ映画にホロリ......夏休みは『ゾンビランド』に集結せよ [第75回] "生きる"とは"見苦しい"ということ 藤沢周平の時代活劇『必死剣 鳥刺し』 [第74回]初恋の美少女は200歳の吸血鬼だった! 北欧産のホラー映画『ぼくのエリ』 [第73回] "三億円事件"の真相を解き明かす! 桜タブーに挑んだ『ロストクライム』 [第72回/特別編] 上映反対で揺れる問題作『ザ・コーヴ』"渦中の人"リック・オバリー氏の主張 [第71回] 女子にモテモテになる方法、教えます。軟派少年の実話物語『ソフトボーイ』 [第70回] 下町育ちの"北野少年"が見た現代社会 人間同士の食物連鎖『アウトレイジ』 [第69回] "リアルと虚構の狭間"を生きる男、アントニオ猪木初主演作『アカシア』 [第68回] ヒーローも神もいない現代社会の惨劇 井筒監督の問題作『ヒーローショー』 [第67回] アイドルが地獄で微笑む『戦闘少女』ギャグ×血しぶき×殺陣の特盛り丼! [第66回]アナーキーな"社歌"で生産性アップ! 満島ひかり大進撃『川の底からこんにちは』 [第65回]超ヘビー級なシリアス劇『プレシャス』"家族"という名の地獄から脱出せよ [第64回]乱れ咲く"悪の華"ゼブラクイーン! 仲里依紗が過激変身『ゼブラーマン2』 [第63回] オタク王が見出した"夢と現実"の接点 ティム・バートン監督作『アリス──』 [第62回] バッドテイストな感動作『第9地区』 アナタはエビ人間とお友達になれるか? [第61回]スコセッシ監督の犯罪アトラクション『シャッターアイランド』へようこそ! [第60回]宮崎あおいの"映画代表作"が誕生! 毒を呑んでも生き続けよ『ソラニン』 [第59回]"おっぱいアート"は世界を救えるか? 母乳戦士の記録『桃色のジャンヌ・ダルク』 [第58回]現代に甦った"梶原一騎ワールド"韓流ステゴロ映画『息もできない』 [第57回]命知らずの変態レポーター、中東へ! 史上最大のどっきり?『ブルーノ』 [第56回]仲里依紗がアニメから実写へと跳躍! 母娘2代の時空旅行『時をかける少女』 [第55回]ビグロー監督はキャメロンより硬派! 人間爆弾の恐怖『ハート・ロッカー』 [第54回] "空気を読む"若者の悲劇『パレード』楽しいルームシェア生活の行き先は? [第53回]社会の"生け贄"に選ばれた男の逃亡劇 堺雅人主演『ゴールデンスランバー』 [第52回]『男はつらいよ』の別エンディング? "寅さん"の最期を描く『おとうと』 [第51回]ひとり相撲なら無敵のチャンピオン! 童貞暴走劇『ボーイズ・オン・ザ・ラン』 [第50回]ヒース・レジャーが最後に見た夢の世界 理想と欲望が渦巻く『Dr.パルナサスの鏡』 [第49回]トニー・ジャーは本気なんジャー! CGなしの狂乱劇再び『マッハ!弐』 [第48回]全米"オシャレ番長"ズーイー、見参! 草食系に捧ぐ『(500日)のサマー』 [第47回]市川崑監督&水谷豊"幻の名作"『幸福』28年の歳月を経て、初のパッケージ化 [第46回]押井守監督、大いなる方向転換か? 黒木メイサ主演『アサルトガールズ』 [第45回]ドラッグ漬けの芸能関係者必見!"神の子"の復活を追う『マラドーナ』 [第44回] 暴走する"システム"が止まらない! マイケル・ムーア監督『キャピタリズム』 [第43回]"人は二度死ぬ"という独自の死生観『ガマの油』役所広司の監督ぶりは? [第42回]誰もが共感、あるあるコメディー! 2ちゃんねる発『ブラック会社』 [第41回]タラとブラピが組むと、こーなった!! 戦争奇談『イングロリアス・バスターズ』 [第40回]"涅槃の境地"のラストシーンに唖然! 引退を賭けた角川春樹監督『笑う警官』 [第39回]伝説の男・松田優作は今も生きている 20回忌ドキュメント『SOUL RED』 [第38回]海より深い"ドメスティック・ラブ"ポン・ジュノ監督『母なる証明』 [第37回]チャン・ツィイーが放つフェロモン爆撃 悪女注意報発令せり!『ホースメン』 [第36回]『ソウ』の監督が放つ激痛バイオレンス やりすぎベーコン!『狼の死刑宣告』 [第35回]"負け組人生"から抜け出したい!! 藤原竜也主演『カイジ 人生逆転ゲーム』 [第34回]2兆円ペット産業の"開かずの間"に迫る ドキュメンタリー『犬と猫と人間と』 [第33回]"女神降臨"ペ・ドゥナの裸体が神々しい 空っぽな心に響く都市の寓話『空気人形』 [第32回]電気仕掛けのパンティをはくヒロイン R15コメディ『男と女の不都合な真実』 [第31回]萩原健一、松方弘樹の助演陣が過剰すぎ! 小栗旬主演の時代活劇『TAJOMARU』 [第30回]松本人志監督・主演第2作『しんぼる』 閉塞状況の中で踊り続ける男の悲喜劇 [第29回]シビアな現実を商品化してしまう才女、西原理恵子の自叙伝『女の子ものがたり』 [第28回]"おねマス"のマッコイ斉藤プレゼンツ 不謹慎さが爆笑を呼ぶ『上島ジェーン』 [第27回]究極料理を超えた"極地料理"に舌鼓! 納涼&グルメ映画『南極料理人』 [第26回]ハチは"失われた少年時代"のアイコン  ハリウッド版『HACHI』に涙腺崩壊! [第25回]白熱! 女同士のゴツゴツエゴバトル 金子修介監督の歌曲劇『プライド』 [第24回]悪意と善意が反転する"仮想空間"細田守監督『サマーウォーズ』 [第23回]沖縄に"精霊が暮らす楽園"があった! 中江裕司監督『真夏の夜の夢』 [第22回]"最強のライブバンド"の底力発揮! ストーンズ『シャイン・ア・ライト』 [第21回]身長15mの"巨大娘"に抱かれたい! 3Dアニメ『モンスターvsエイリアン』 [第20回]ウディ・アレンのヨハンソンいじりが冴え渡る!『それでも恋するバルセロナ』 [第19回]ケイト姐さんが"DTハンター"に! オスカー受賞の官能作『愛を読むひと』 [第18回]1万枚の段ボールで建てた"夢の砦"男のロマンここにあり『築城せよ!』 [第17回]地獄から甦った男のセミドキュメント ミッキー・ローク『レスラー』 [第16回]人生がちょっぴり楽しくなる特効薬 三木聡"脱力"劇場『インスタント沼』 [第15回]"裁判員制度"が始まる今こそ注目 死刑執行を克明に再現した『休暇』 [第14回]生傷美少女の危険な足技に痺れたい! タイ発『チョコレート・ファイター』 [第13回]風俗嬢を狙う快楽殺人鬼の恐怖! 極限の韓流映画『チェイサー』 [第12回]お姫様のハートを盗んだ男の悲哀 紀里谷監督の歴史奇談『GOEMON』 [第11回]美人女優は"下ネタ"でこそ輝く! ファレリー兄弟『ライラにお手あげ』 [第10回]ジャッキー・チェンの"暗黒面"? 中国で上映禁止『新宿インシデント』 [第9回]胸の谷間に"桃源郷"を見た! 綾瀬はるか『おっぱいバレー』 [第8回]"都市伝説"は映画と結びつく 白石晃士監督『オカルト』『テケテケ』 [第7回]少女たちの壮絶サバイバル!楳図かずおワールド『赤んぼ少女』 [第6回]派遣の"叫び"がこだまする現代版蟹工船『遭難フリーター』 [第5回]三池崇史監督『ヤッターマン』で深田恭子が"倒錯美"の世界へ [第4回]フランス、中国、日本......世界各国のタブーを暴いた劇映画続々 [第3回]水野晴郎の遺作『ギララの逆襲』岡山弁で語った最後の台詞は...... [第2回]『チェンジリング』そしてイーストウッドは"映画の神様"となった [第1回]堤幸彦版『20世紀少年』に漂うフェイクならではの哀愁と美学

木村拓哉、松嶋菜々子、松本人志……視聴率が分けた天国と地獄(11月上旬の人気記事)

ranking1117.jpg  キムタク主演『南極大陸』(TBS系)の視聴率が低下する一方、高視聴率をキープしている松嶋菜々子主演の『家政婦のミタ』(日本テレビ系)。かつてはお笑い界の"神"とまでいわれた松本人志のコント『MHK』(NHK)がまさかの2.3%と、何かと"視聴率"が話題になった11月上旬。ひと昔前なら、30%越えの番組なんてザラにあったのに、今や夢のまた夢......。ひとつの時代が終わるって、なんだか切ないですね。  視聴率以外にも話題満載の日刊サイゾー人気記事ランキング、始まりまーす!! 第1位 キムタク神話完全崩壊? 制作費20億のTBS『南極大陸』視聴率急降下中 ヤフトピにも載っちゃったね......。 第2位 視聴率2.3%ショック! もう誰も見ていない松本人志のコント『MHK』の大惨敗 こんな松っちゃん、見たくない! 第3位 「毎日声をかけられるから......」『さや侍』で主役を張った"素人のおじさん"野見隆明の今 吉本の用務員さんもやってるそうで。 第4位 「ミッチーは不倫で相棒失格!?」テレビ朝日ドラマ『相棒』で伝説のあのコンビが復活か 傷だらけのミッチー。 第5位 大学職員自殺の"容疑"はやはり新宿署の捏造!? なぜ警察は証拠VTRを提出しないのか 徹底的に追及します! 次点 「バイラルマーケティングは大成功!?」伊集院光が指摘したSK-IIのCM"違和感"の真相 そういうことだったのね。 次々点 「人気凋落で危機感も......」仲間由紀恵 ついに田中哲司と破局させられた? 沖縄に帰るのも手だと思うよ。

「やむにやまれぬ会見だった」"清武の乱"は渡邉帝国崩壊の序章となるか

motoki1115.jpg
「週刊朝日」11月25日号 中吊り広告より
第1位 「ドン・キホーテ『清武の乱』全真相」(「週刊朝日」11月25日号) 第2位 「関ジャニ∞錦戸亮『自宅ベッドで撮られた衝撃写真』」(「フライデー」11月25日号) 第3位 「昭和の『奇書』復刻 殿山泰司『日本女地図』」(「週刊ポスト」11月25日号)  日曜日(11月13日)の夕方から、一ツ橋・如水会館で「東京アドエージ」(出版界の業界紙を出している会社)にいる畏友・今井照容の出版記念会があった。  『三角寛「サンカ小説」の誕生』(現代書館)という本だが、その日の朝日新聞の書評欄で荒俣宏が褒めていたように、史実を丹念に調べて書かれた「ちょっとうさんくさい」男、三角寛についての大労作である。  そこには出版社の人間が大勢きていたが、何人かと話しているうちに週刊誌の話になった。「文春」の元社長の「今の週刊誌の記事は予定調和的なものばかりで、驚かせてくれない」という言葉に肯いた。ことに東日本大震災以降、多少の論調は違うが、似たり寄ったりの記事ばかりが多くなったと嘆く先輩たちが多い。  今週はその典型的な週のようだ。原発事故は話題にもならず、野田佳彦総理はとらえどころがなく、TPPに絡めて批判してはいるが、攻めあぐねているようだ。橋下徹前大阪府知事攻撃も矢折れ弾尽きたようで、「現代」はやけくそ気味に「ダブルスコアで圧勝らしい」とお手上げ状態。  独自ネタにも生彩がない。ということで第3位に選んだのは、このところ「回顧路線」で「現代」との差別化を図っている「ポスト」の色物記事。ちなみに「現代」は「ボインの社会史」でお茶を濁している。  殿山泰司といえば、「三文役者」と自称しながら73年の生涯で300本に上る映画に出演した名脇役で、エッセイストとしても有名な御仁である。  この『日本女地図』は1969年にカッパブックスから発行され、私もすぐ買って読んだが、大きな話題になった本である。ハゲで風采の上がらないこのオヤジ、なぜかすこぶるもてるのだ。それこそ港港に女ありである。 「女をつくづく味わうと、どれもがそのたびごとに、キラキラと新しい体験を与えてくれるのだ。肉づき、匂い、締まりぐあい、濡れかた、啼きかた、温度、おケケの濃淡、深浅、感度etc、無数の要素が組みあわされて、ひとりひとりのオンナを作りあげるのだ。同じであるなんてことが、あるはずがない」  北海道から九州まで、自分が接してきた女について研究した集大成がこの本だ。  こんな具合である。「北海道」おおらかで、男をだましたりしないから、安心して付き合っていい。「青森」粗マンで、ちょっとウンコの匂いがするんだ。「茨城」水郷のオンナはアソコのしまりがものすごくいいんだ。「東京」きわめて顕著な上ツキである。「静岡」絶品であります。タコ、キンチャクが多いんだ。「滋賀」昼は聖女、夜は娼婦なんだ。「三重」この名器に、ナメクジMANKOと命名したい。「島根」カワラケは出雲ソバよりはるかにうまい。「沖縄」ちょっと息を吹きかけただけで、すぐもう興奮する感受性。  殿山が死ぬとき、鎌倉のババアと赤坂の側近という2人の女が、手を取り合って最後の別れを惜しんだという。うらやましい男であった。  以前、日ハム・斎藤佑樹投手の寝顔が女性誌を飾ったことがあった。付き合っていた年上の女性が、ことが済んだ後であろう、熟睡している斎藤のかわいい寝顔を撮ったのである。  今回も冒頭に、関ジャニ・錦戸のむしゃぶりつきたくなるようなかわゆい寝顔がドーンと出ている。「フライデー」によれば、女優の加藤ローサ似の彼女は、6月ごろ渋谷のクラブへ遊びに行ったとき声をかけられた。そこですぐに錦戸のマンションへ行って関係を持つ。だが、仕事のストレスがたまっていたのか、電話で話すときもキツい言葉で当たられることがあったという。  彼女は「彼は女の子を女の子として扱ってくれないんです。それが寂しかったし、悔しかった」と話す。  何のことはない、付き合った期間も短そうだし、セックス以外には食事をするとか、デートをするとか、恋人同士らしいことはしていないようだし、話はこれっきりである。  どうということはないが、27歳とは思えないあどけなさが残る2枚の寝顔がとってもいい。そのうち、アイドルの寝顔ばかりを集めた写真集が出せるかもしれないぞ。  今週のグランプリは「たった一人の反乱」と大騒ぎになり、野田総理のTPP参加表明よりも話題をさらった読売巨人軍の内紛劇。  今やメディア界だけではなく、政界にも大きな発言力を持つ日本のドン・渡邉恒雄読売新聞主筆に対して内部から批判の刃を向けたのは、清武英利巨人軍球団代表である。  告発に至った経緯を簡単に書く。巨人の来期のヘッドコーチには岡崎郁コーチが内定し、渡邉にも了解をもらっていたのにもかかわらず、その後、渡邉が独断で岡崎に替えて江川卓を招く交渉を進めていたことへの批判である。  清武はこう言っている。 「これはプロ野球界におけるオーナーやGM制度をないがしろにするだけでなく、内示を受けたコーチや彼らの指導を受ける選手を裏切り、ひいてはファンをも裏切る暴挙ではないでしょうか。(中略)不当な鶴の一声で、愛する巨人軍を、プロ野球を私物化するような行為を許すことはできません」  やんややんやである。今や新聞界の老害とまで言われる渡邉に身内から「おかしい」という声が出てきたのは、どんなに取り繕おうと渡邉時代が終焉に向かっていることの象徴である。  渡邉主筆は次の日に会長談話なるものを発表したが、言い訳がましくて読むに耐えない。  この記事の中でスポーツジャーナリストの二宮清純は、これは「本能寺の変」だと思ったと書いている。  渡邉がこれまでも首脳陣や選手を軽んじる発言を繰り返してきたが、そうした恣意的なちゃぶ台をひっくり返したことへの反撃だともいう。  私も清武球団代表は、彼が社会部時代から知っている。ひとことで言えば、真っ直ぐな人である。巨人を愛すること人後に落ちない。彼が巨人に入ってやった最大の功績は育成制度をつくったことである。  それまでは他のチームの主力選手を金で横っ面をひっぱたいて連れてきて、主軸に据えていた。それでは自分のところの若い選手が腐ってしまったり、1軍に上がる機会が失われると、若い選手を育てることに力を注ぎ、見事に成果を出してきた。  新聞の中には、これは社内問題だから、こうしたことを記者会見でバラすのはおかしいという意見もあったが、そうではない。渡邉主筆のとんでも発言は、巨人軍だけに留まらず他球団や選手にまで及んでいることは、挙げればきりがない。  2004年、近鉄とオリックスの合併騒動のとき、古田敦也選手会長の意思を聞いて「無礼なことを言うな。たかが選手の分際で」と言ったのは有名である。  また、福田康夫内閣時、民主党代表だった小沢一郎との大連立を吹き込んだりするなど、永田町でも隠然たる力を持っている。  メディア人であることを忘れ、私利私欲とまではいわないが、新聞界や野球界、政界にまで発言する首領気取りの男に、まさかの身内からの反乱である。  清武球団代表にすぐメールを送った。「ありがとうございます。やむにやまれぬ会見だったのです」という返事が来た。  彼をドン・キホーテにしてはならない。これを読売渡邉帝国の崩壊の序章にしなければ、本当の意味でのメディア浄化はできないと思う。  最後に、今年春に亡くなった渡邉主筆の盟友、氏家齊一郎日本テレビCEOに聞いた話しを書いておこう。  渡邉の前の故・務台光雄読売新聞会長時代の話である。務台は社で野球中継を見ていて、巨人のピッチャーが打たれると、そのピッチャーを交代させろとメッセージを至急、ベンチにいる監督へ渡せと命ずるというのだ。  しばらくテレビを見ていると、監督がダッグアウトから出てきてピッチャーの交代を告げる。そうしたことが何度もあったという。こういう「伝統」は少し形を変えていまだに続いていると思うが、これが巨人軍の私物化でなくて何であろう。  たしかにだいぶ前から江川を監督にしたいと、氏家CEOは言っていた。しかし、桑田真澄の借金も巨人軍が肩代わりしたため、江川の借金までは手が回らない。あの借金がなければと何度も嘆息していたことを思い出す。  今回の「江川助監督」構想は、盟友だった氏家に対する友情からだったのかもしれない。だが、それが墓穴を掘ることになった。皮肉なものだ。 (文=元木昌彦)
motokikinnei.jpg
撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
ナベツネだもの いろいろ悪名高いです。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 「カネ、女、モノで買収――」腐敗しきった愛知県警 暴排より先に求められる警察の健全化 恋人発覚の石川遼 ついにステージパパと決別か!? 池田大作重病説は本当だった!? 元・看護師が明かす厳戒病室

AVの焼き直しがこんなピュアな作品に!?『平成百合族 ある愛の詩』

yuri001.jpg
アイドル映画をこよなく愛する「アイドル映画専門」映画監督が、カントク視点でオススメのアイドル映画を、アノ手コノ手で解説します。 ●今回のお題 『平成百合族 ある愛の詩』 監督:大寺俊吾 女性主演:今野由愛、椎名りく  今回はあえて、映画という文化を「娯楽」と言い切り、「それは真の"作品"ではないだろう」というカテゴリーに入りそうな作品をレビューしてみようと思う。『平成百合族 ある愛の詩』タイトル通り、百合系の物語であります。
hirano_.jpg
平成百合族 ある愛の詩
互いに孤独の由愛とりく。りくは
由愛に寄り添おうとするが、由愛
は昔りくに因縁を付け性的虐待を
行ったことを気にしており......。
(Amazonより引用)
DVD発売中/2,940円(税込)
 先日、『魚介類 山岡マイコ』のインタビュー(※記事参照)の最中にアイドル論になったとき、「最近の女の子はアイドルのグラビアを見る子が多いですよね」って話をしたら、ライターの女性が「女の子は基本、バイなんですよ」って......そりゃそーだ。頭では分かっていたけど、露骨に言葉で言われてなるほどって思った。  女の子同士で、手をつなぎ合う子、抱きつく子、イチャイチャする子。普通にどこでもいる。男の場合は、"そっち"の方々じゃない限り、そんな奴はいない。  まー女の子の場合、それがキレイだからいいんだけどね。そんな作品で最近面白かったのが、この『平成百合族 ある愛の詩』です。  物語は以下のようなもの。  登校拒否の由愛は、教師と援助交際をしていた。由愛がひさしぶりに学校へ行くと、そこには病気で登校拒否のりくがいた。  最初は由愛によるイジメに遭っていたりくだが、ふたりは徐々に惹かれ合っていく。ふたりは愛を育んでいくが、実は、りくが大きな病に侵されていることを由愛は知る......。
yuri004.jpg
 短い物語説明ですが、それで十分~ってくらい、分かりやすいエロ&涙の物語。学生が3人しか出てこない学園もの。  で、なんで冒頭で「こりゃ映画じゃないよ!」なんて言ったかといいますと、実はこの作品、『放課後レズビアン 思春期のビラビラ』というAVの、U15発売可能焼き直し作品なのである。  思春期のビラビラ!! ものすごいタイトルだなー、ビラビラ! 自分のタイトルにも使おうかな『魚介類 山岡ビラビラ』......意味分からん。  AVって私の中では"見たいとこだけ映像"という認識があり、ロマンポルノが777のパチンコ台だとしたら、AVは玉が入るまでの工程を端折ったパチスロかなと。  そんな"見たいとこだけ映像"から、U15発売可能焼き直しってことは......ほとんど中身なくね? とか思ったし、だいたい焼き直すってことは、AVによくある手法で、ひとつ撮ったんでタイトル変えてちょい編集してもう1回売っちゃおうぜ~ウッシッシみたいな感じなので、まーそこまで悪意はないにしても、作品魂よりも、商売魂重視なタイトルであることには変わりないわけです。  そのような作品なのに、あえて、どうして、アイドル映画評で、取り上げたのか。あえて取り上げる魅力があったのか?  あった。あったんです。ずばり、女の子たちの眼です。ピュアなんですよ! なぜか! この作品は添い寝をしているシーンが多いのですが、その時のふたりの眼の優しさに撃たれました。病気が原因で友達ができなかったりくと、りくにイジメ行為をしたことで心を開いた由愛、このふたりの添い寝しているときの優しい眼は、レズシーンにもかかわらず、変にふたりを見守ってあげたくなる感覚に変化していきます。 yuri003.jpg  基本はAVのカメラワークなのですが、ふたりの会話の最中のちょっと素人臭いかわいらしさと、添い寝中も教室内のふたりのシーンも、本当に温かく「最後は死んじゃうのかな......」という先入観もあいまって、1分でも長くふたりを一緒にいさせてあげたいと思ってしまいます。  どうしてそのような空気がこの映像の中から生まれたのか。エロ先行なのに、この温かさは......? この作品、気持ちよく見るには、絶対の条件があります。 【1】『放課後レズビアン 思春期のビラビラ』を見たことない人。 【2】あくまでも、ヌくこと前提ではなく、物語として見れる人。  この2つの要点から生まれた効果は、 【1】モザイクが入るような股間中心な映像をCUTしたことにより、エロさがモロではなく、ピュアに変わった。 【2】AV女優なので、褒められるような芝居ではない演技が、本番でごまかしてないため、ピュアな芝居に変わった。  この思いもよらない科学変化! 「メインデイッシュのハンバーグがなくなったらOUTなはずなのに、添え物のポテトがおいしかった!」とか、「レッドカードでワントップのフォワードが居なくなったから生まれた、残り10人の予想以上の力!!」とか!! そんな予想不可のピュアレズ女の子同性愛作品『平成百合族 ある愛の詩』、この手の棚ぼた作品は、作りたくても作れないんじゃないでしょうかね~。 (文=梶野竜太郎) kajinoryutaroprof.jpg ●かじの・りゅうたろう 映画監督・マルチプランナー。1964年東京生まれ。 短編『ロボ子のやり方』で、東京国際ファンタスティック映画祭の部門グランプリを受賞。08年に長編『ピョコタン・プロファイル』でメジャーデビュー。アイドルをちゃんと女優として扱う映像が特徴的でカルトなファンを多く掴む。11年に『魚介類 山岡マイコ』を公開し、アイドルものとしてもファンタジーとしても好評価を得る。同映画のアニメ版、マンガ版等、マルチコンテンツとして世に出す等、プロデュースも行う。 詳しくは→http://mentaiman.com/ ブログは→http://ameblo.jp/mentaiman1964/
平成百合族 ある愛の詩 美しい......。 amazon_associate_logo.jpg
●アイドル映画監督梶野竜太郎の【アイドル映画評】INDEX 【第25回】すべてが中途半端! だがそれが美学!!『後ろから前から』 【第24回】なんでこの娘が主演なんだ? 田代さやか、徹底追求!『18倫』 【第23回】覗きを越えた見せたがる演出『Oh!透明人間』 【第22回】バレない浮気の疑似体験MOVIE『セブンカラーズ』 【第21回】『巨乳ドラゴン 温泉ゾンビ VS ストリッパー5』思い切りさらけ出す演出と"AV女優"の必然 【第20回】『ラブファイト』──北乃きいを5倍堪能する方法。 【第19回】男装女子から漏れる少女の可愛さ『1999年の夏休み』 【第18回】無気力露出系マニア必見! ペ・ドゥナをとことん味わう『空気人形』 【第17回】ヴァーチャル監督視線体験ムービー『テレビばかり見てると馬鹿になる』 【第16回】メイキングDVD希望! アイドル映画の死角"鎖骨"全開の『笑う大天使(ミカエル)』 【第15回】女子高生の体育の時間を、遠くから眺めていたあの頃......『平凡ポンチ』 【第14回】「君はどうしてダメ男ばかり好きになる!?」堕ちてゆく女の美学『ララピポ』 【第13回】あの堀越のりだからできた変身願望映画の傑作!!『特命女子アナ 並野容子』 【第12回】セルフアフレコの美学『カンフーシェフ』加護亜依フォーエヴァー! 【第11回】鈴木美生ちゃんの真の萌声(もえごえ)が男の脳髄直撃!『机のなかみ』 【第10回】バカエロ映画の極×2『まぼろしパンティ VS へんちんポコイダー』 【第9回】「電車男」でカニバリズムで格闘映画の傑作『カクトウ便 VS 謎の恐怖集団人肉宴会』 【第8回】トップアイドルの制服(もちろんミニ)とM男君の快感『ときめきメモリアル』 【第7回】知的に低脳な『秘密潜入捜査官 ワイルドキャッツ in ストリップ ロワイアル』 【第6回】『インストール』──女の子が部屋でひとり。何をしているのか、見たくないか? 【第5回】『お姉チャンバラ THE MOVIE』──ビキニvsセーラー服の恍惚 【第4回】『デコトラ・ギャル奈美』──古きよき時代のロマンポルノ・リターンズ 【第3回】『リンダ リンダ リンダ』──王道的傑作に潜む"多角的フェチズム" 【第2回】『妄想少女オタク系』──初心者歓迎!? BLの世界へご案内 【第1回】『すんドめ』──オナニー禁止とチラリズムの限界点

原発事故を描いた『カリーナの林檎』と今関あきよし監督の背負った贖罪

karina01.jpg
2004年に製作され、2010年に追加撮影が行われた劇映画『カリーナの林檎』。
少女の目を通して、原発事故による家族離散の哀しみを描いている。
(c)2011カリーナプロジェクト
 映画『カリーナの林檎 チェルノブイリの森』は、現代人が関わるさまざまな罪について問い掛けてくる。"絶対"ということなどありえないのに、政府と電力会社の「絶対に安全です」という甘言を受け入れて原発建設を認めてしまったこと。1986年に起きたチェルブイリ原発事故の教訓を生かせずに、福島第一原発事故を防げなかったこと。そして、起きてしまった進行形の惨事に対して自分には何ができるのかということ。さらに、別の問題がもうひとつある。03年に撮影されたこの映画は、04年に不祥事を起こして映画界から去った今関あきよし監督の作品だということ。過去に過ちを犯した映画監督の作品に対し、「作品は別もの」「すでに罪は償っている」と考えるのか、それとも「過ちを犯すのが人間だ」と考えるのか。7年ごしで日の目を見ることになった『カリーナの林檎』は、実に多くのことを観る側に投げ掛けてくる。  今関監督は富田靖子主演作『アイコ16歳』(83)で商業デビューを飾り、持田真樹や浜崎あゆみが出演した『すももももも』(95)、モーニング娘。の主演作『モーニング刑事。抱いてHOLD ON ME!』(98)などの劇場作品を手掛け、新人アイドルの瑞々しい表情を捉えることで定評があった。チェルノブイリ原発事故禍を題材にした劇映画『カリーナの林檎』は、03年に撮影された自主制作作品だ。今関監督ら日本人スタッフはチェルノブイリ原発に隣接するベラルーシ共和国で取材を重ねた上で、現地キャストを使って春、夏、冬と複数回にわたって現地でロケ撮影を行い、04年に一度完成させている。モー娘などのアイドル映画で得た印税を使って、原発問題に向き合った自主映画を完成させたことが美談として当時は語られていた。日本に先駆けてベラルーシやリトアニアでの上映が決まり、会場やパンフレットなどの準備が整い、後は今関監督みずからフィルムを持って現地入りするのを待つという段階で、監督個人が起こした不祥事が発覚した。監督自身の判断で、公開は中止となる。
karina2.jpg
撮影時8歳だったカリーナ役のナスチャ・
セリョギナちゃん。撮影現場には台本を
持ち込まないという大物女優ぶりを見せた。
 実刑判決を下された今関監督は、函館少年刑務所に1年7カ月服役。出所後はいくつかの職場を転々とし、現在は映画・映像とはまったく関係のない仕事に就いているそうだ。だが、法的なみそぎは終えたものの、重い十字架は背負ったままだった。今関監督の熱意に賛同し、体を張ってチェルノブイリ原発跡までの取材・撮影に帯同してくれたスタッフ、実際にベラルーシで暮らしていたキャスト、ヒロインである少女カリーナを演じるためにロシアからやって来た撮影時8歳だったナスチャ・セリョギナちゃん。そしてベラルーシ国立小児血液学センターの病棟で取材に協力してくれたものの、映画完成の知らせを聞くことなく血液ガンで亡くなった少女......。今関監督が償わなくてはならない罪は、裁判所が与えた刑罰よりもずっと重く、長いものだった。  チェルノブイリ原発事故が招いた悲劇を描いた『カリーナの林檎』を観て驚くのは、現在の"フクシマ"で同じことが起きていることだ。ベラルーシ共和国に住む少女カリーナは、夏休みを豊かな自然に囲まれた農村にある実家で過ごしていた。カリーナの家族は、実家の近くにある隣国の原発事故の影響でバラバラになってしまった。お母さんは原因不明の病気で入院し、お父さんは入院費を稼ぐために遠いモスクワまで出稼ぎに行った。実家は優しいおばあちゃんがひとりで守っているが、この農村のすぐ近くまで居住禁止地域に指定されており、村に残っている人はもう少ない。夏休みが終わり、カリーナは都会で生活する叔母さん夫婦に再び引き取られる。おばあちゃんが地元で獲れた新鮮なリンゴをお土産に持たせてくれたが、叔母さんはリンゴに触れることなく棄ててしまう。
karina3.jpg
大好きなお母さんが入院してしまったのは
原発事故の影響らしい。カリーナは
自分にできることは何かを懸命に考える。
 田舎の生活が気に入っているカリーナは、都会での生活に馴染めない。入院中のお母さんのお見舞いに行くと「泣いちゃダメ。泣くのはうれしいときだけよ」と逆に励まされる。お母さんはこんな物語も教えてくれた。「チェルノブイリのお城には悪い魔法使いがいて、毒を撒き散らかしているのよ」と。やがてお母さんの病状が悪化し、出稼ぎ先から慌てて帰ってきたお父さんの表情も晴れない。実家に残っていたおばあちゃんも体を壊してしまう。カリーナは神さまに懸命に祈るが、なかなか祈りが通じない。そこでカリーナは決意する。神さまには祈りが届かないみたいだから、私がチェルノブイリまで行こう。魔法使いに直接、毒をもう出さないように頼んでみよう。カリーナはお小遣いと体力のすべてを使って、チェルノブイリにある悪い魔法使いのいるお城へと向かう。  「放射能の危険を省みず、チェルノブイリまで撮影に同行してくれたスタッフやキャストの期待を裏切ってしまったことの後悔の念、映画はもう公開できないかもしれないという不安を服役中はずっと感じていた」と今関監督は話す。服役中は京都大学原子炉実験所助教・小出裕章氏の書籍を取り寄せて放射能について学び、またロシア語の通信教育を受けていたそうだ。ベラルーシで劇映画を1本撮っただけで終わりにしたくなかったし、出所したら迷惑を掛けてしまったベラルーシやロシアの人たちに自分の言葉で謝りたかった。また、自分に何か課さなくては、刑務所の中でいたたまれなかったという。ベラルーシまで足を運ぶなど関係者への謝罪をひと通り済ませてから、映画とは無関係の仕事を求人誌で見つけて地道に働き始めた。その一方、映画をお蔵入りさせてしまったことへの罪悪感はずっと感じ続けていた。2011年がチェルノブイリ事故から25年目になることから、蓄えを切り崩してチェルノブイリでの再撮影を行い、チラシやポスターを手配するなど、劇場公開の準備を2010年から進める。そんなとき、3.11による福島第一原発事故が発生。再び公開中止になることも考えたそうだ。
karina4.jpg
大人たちは教会で神さまに祈りを捧げるが、
それ以上は行動しようとしない。カリーナは
不思議に思う。
 今関監督は、『カリーナの林檎』が公開されること=自身の監督復帰、とは考えておらず、また映画が公開されることで監督個人がバッシングを浴びることも覚悟しているという。  「自分が犯した過ちは変えられませんし、映画が公開されることで自分に跳ね返ってくるものがあるのは当たり前だと思います。でも、それも覚悟の上で上映するつもりです。今年がチェルノブイリ事故から25年。この機会を逃すと公開するのが難しくなることから決意しました。ボク個人の問題で映画の公開を堰き止めてしまった。ボク自身がその堰を開けなくちゃいけない。これ以上、スタッフやキャストに迷惑を掛け続けられない。ボク個人への中傷があっても、それはスタッフやキャストには関係のないことですから。今は別の仕事に就き、映画の公開のため3カ月間休職させてもらっている形です。日本での公開がひと段落したらベラルーシでの上映もできればと考えていますが、新作を今後撮るかどうかについては全くの白紙状態なんです」と今関監督は語る。  犯してしまった過ちは、どうすれば償うことができるのだろうか。『カリーナの林檎』は、ただ神さまに祈りを捧げるだけでは現実の問題は解決には向かわない、という至極もっともな正論を投げ掛けてくる。少女カリーナが運んできた赤いリンゴは、果たしてどんな味がするのだろうか。観る人によって、自然の恵みにも禁断の果実にも感じられるはずだ。 (文=長野辰次) karina00.jpg 『カリーナの林檎 チェルブイリの森』 監督・脚本/今関あきよし 脚本/いしかわ彰 撮影・編集/三本木久城 音楽/遠藤浩二 録音/浜口文幸 日本語ナレーション/大林宣彦 出演/ナスチャ・セリョギナ、タチアナ・マルヘリ リュディミラ・シドルケヴィッチ、イゴリ・シゴフ、オルガ・ヴォッツ、セルゲイ・シムコ、アンドレイ・ドゥビク、ターニャ・イェフレェミェンコ、リザ・ミンキナ  配給/カリーナプロジェクト 11月19日(土)よりシネマート六本木ほか全国ロードショー <http://kalina-movie.com> ●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第143回]"窮屈なモラル"を脱ぎ捨てた裸の女たち 園子温監督の犯罪エロス『恋の罪』 [第142回]ノーベル賞作家・川端康成が夢想した新風俗『スリーピングビューティー』 [第141回]横暴な上司は有志社員が制裁します!『モンスター上司』のブラックな笑い [第140回]"クソみたいな社会を変えたい!"高校生テロリストの凄春『アジアの純真』 [第139回] うつ病なんかヘーキ!? 宮崎あおい主演作『ツレがうつになりまして。』 [第138回]"神話"が生まれる瞬間を目撃せよ! 人類への黙示録『猿の惑星:創世記』 [第137回]刑務所で食する至高の味『極道めし』ヒロインの後ろ姿に、むせび泣き! [第136回]"理想の恋人"という偶像を破壊せよ 深夜番長の劇場デビュー作『モテキ』 [第135回]"城定秀夫監督、ブレイク前夜の予感! 闘争本能を呼び覚ます『タナトス』 [第134回]"人間失格"の道を選んだ映画監督の業 林由美香の最新主演作『監督失格』 [第133回]ホラ吹きのホラを見破る特異な職能 ポランスキー監督『ゴーストライター』 [第132回]芦田愛菜、6歳にして危険な魅力!? 子連れで全力疾走『うさぎドロップ』 [第131回]元"暴走族"が書いた旧友への鎮魂歌 青春懺悔録『アメイジング グレイス』 [第130回]V・ギャロ主演のサバイバルグルメ!? 『エッセンシャル・キリング』 [第129回]『キック・アス』より悪趣味で泣ける 中年男の悪ノリ暴走劇『スーパー!』 [第128回]この夏の清涼剤、地方少女のダンス成長記『あぜみちジャンピンッ!』 [第127回]竹ヤリで世界進出"スシタイフーン"『エイリアンVSニンジャ』ほか逆上陸 [第126回]イーモウ監督、久々のアイドル映画 中華的妹萌え『サンザシの樹の下で』 [第125回]ナタリー・ポートマン vs. ヘビメタ野郎 人気女優の隠し球『メタルヘッド』 [第124回]黒澤明の名作『生きる』のラテン版! ヤモメ男が残した遺産『BIUTIFUL』 [第123回]北国で93年間営業を続ける"大黒座"と町の記録『小さな町の小さな映画館』 [第122回]新幹線がすれ違う瞬間、願いが叶う? 小学生の目線で描かれた『奇跡』 [第121回]理想と情熱がもたらした"痛い現実" 青春の蹉跌『マイ・バック・ページ』 [第120回]胸に響く金言"プロとは手を抜くこと" 職人秘話『アトムの足音が聞こえる』 [第119回]危険な出会い、井口昇ミーツ仲村みう 悪夢の遊園地『富江 アンリミテッド』 [第118回]ナタリー・ポートマン"第1章"の終幕 虚実が攻め合う『ブラック・スワン』 [第117回]"セカイ"を旅立った少女の地底探検記 新海誠監督の新作『星を追う子ども』 [第116回] 美少女たちの輝きが脳裏から離れない。青春ムービー『魔法少女を忘れない』 [第115回] 恋愛が与える"陶酔"とリアルな"痛み"サブカル活劇『スコット・ピルグリム』 [第114回]妄想、空想、そして現実からの大脱走 美少女革命『エンジェル ウォーズ』 [第113回]"3.11"後の新しい映画モデルとなるか『劇場版 神聖かまってちゃん』の挑戦 [第112回]マスコミが讃えた"楽園"のその後、ひとりの少女の成長記録『愛しきソナ』 [第111回]閉鎖的な"村社会"をブチ破ったれ! 韓流サバイバル劇『ビー・デビル』 [第110回]"粋"を愛したフランスの伯父さん J・タチ主演『イリュージョニスト』 [第109回]自分にとって家族は敵か、味方か? オスカー2冠受賞『ザ・ファイター』 [第108回]コーエン兄弟『トゥルー・グリット』40年で変化した"米国のヒーロー像" [第107回]ジョニー・デップが愛した"極道記者" 『GONZO』奇人がスターだった時代 [第106回] 巨匠イーストウッド監督の異色作! "あの世"はあるか?『ヒア アフター』 [第105回] キレ味、喉ごしが違うアクション! 黒帯美少女の"涙拳"が炸裂『KG』 [第104回] 高齢化するニートはどこに行くのか? "戸塚校長"のその後『平成ジレンマ』 [第103回]堀北真希&高良健吾主演作『白夜行』闇に生きる"影男"の密やかなる喜び [第102回]園子温の劇薬ムービー『冷たい熱帯魚』"救いのない結末"という名の救い [第101回] NHKが放映しない"裏プロジェクトX" AV界のカリスマ監督『YOYOCHU』 [第100回]エロスとタブーを交配した"至高の美女" 禁断のサイエンスホラー『スプライス』 [第99回]2010年に活躍した女優を勝手に表彰! 満島ひかりに"面倒くさい女"大賞を [第98回]大人だって"ドラえもん"にいて欲しい 残念男の逆転劇『エリックを探して』 [第97回]平凡な高校生デイヴは2度変身する!原点回帰のヒーロー『キック・アス』 [第96回]村上春樹の超絶ベストセラーの映画化『ノルウェイの森』はどこにある? [第95回]実在した"奇妙な高額バイト"の顛末 心理サスペンス『エクスペリメント』 [第94回]"アル中"カメラマンの泣き笑い人生『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』 [第93回]朝ドラと異なる映画『ゲゲゲの女房』ゴールなき"貧乏耐久"2人3脚走 [第92回]バラエティーでの実績は通用するか? テリー伊藤の初監督作『10億円稼ぐ』 [第91回] 不謹慎なる社会派エンタテイメント『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』 [第90回]"世界のナベアツ"大阪府知事に就任! 政治コメディ『さらば愛しの大統領』 [第89回]自分の恋愛もプロデュースする女優、ドリュー・バリモア主演『遠距離恋愛』 [第88回]スタローンが立ち上げた"筋肉共和国"男たちの祭典『エクスペンダブルズ』 [第87回]元"おはガール"安藤聖の再起動ドラマ 就職氷河期を生きる『バカがウラヤマシイ』 [第86回]マイノリティーは"理想郷"を目指す。筒井文学の金字塔『七瀬ふたたび』 [第85回]清純派・佐藤寛子が美しく"変態"! 官能サスペンス『ヌードの夜──』 [第84回]死を意識して、ギラギラ輝く男たち! 三池節、大バクハツ『十三人の刺客』 [第83回] 女を食い物にする男どもは全員処刑! モダン社会の闇を暴く『ミレニアム』 [第82回] "企画AV女優"たちの青春残酷物語 性なる鎮魂劇『名前のない女たち』 [第81回]猫を見れば、人間社会が見えてくる! 世界の人気猫大集合『ネコを探して』 [第80回]原恵一監督の新作は辛口ファンタジー 退屈な"日常生活"を彩る『カラフル』 [第79回]米軍に実在した"超能力部隊"の真実!? ムー民、必見『ヤギと男と男と壁と』 [第78回]戦場から帰還した夫は"芋虫男"だった! ヤクザ監督の反戦映画『キャタピラー』 [第77回] 白ユリの花開くガールズの妖しい世界 H系ホラー『ジェニファーズ・ボディ』 [第76回] 爽やか系青春ゾンビ映画にホロリ......夏休みは『ゾンビランド』に集結せよ [第75回] "生きる"とは"見苦しい"ということ 藤沢周平の時代活劇『必死剣 鳥刺し』 [第74回]初恋の美少女は200歳の吸血鬼だった! 北欧産のホラー映画『ぼくのエリ』 [第73回] "三億円事件"の真相を解き明かす! 桜タブーに挑んだ『ロストクライム』 [第72回/特別編] 上映反対で揺れる問題作『ザ・コーヴ』"渦中の人"リック・オバリー氏の主張 [第71回] 女子にモテモテになる方法、教えます。軟派少年の実話物語『ソフトボーイ』 [第70回] 下町育ちの"北野少年"が見た現代社会 人間同士の食物連鎖『アウトレイジ』 [第69回] "リアルと虚構の狭間"を生きる男、アントニオ猪木初主演作『アカシア』 [第68回] ヒーローも神もいない現代社会の惨劇 井筒監督の問題作『ヒーローショー』 [第67回] アイドルが地獄で微笑む『戦闘少女』ギャグ×血しぶき×殺陣の特盛り丼! [第66回]アナーキーな"社歌"で生産性アップ! 満島ひかり大進撃『川の底からこんにちは』 [第65回]超ヘビー級なシリアス劇『プレシャス』"家族"という名の地獄から脱出せよ [第64回]乱れ咲く"悪の華"ゼブラクイーン! 仲里依紗が過激変身『ゼブラーマン2』 [第63回] オタク王が見出した"夢と現実"の接点 ティム・バートン監督作『アリス──』 [第62回] バッドテイストな感動作『第9地区』 アナタはエビ人間とお友達になれるか? [第61回]スコセッシ監督の犯罪アトラクション『シャッターアイランド』へようこそ! [第60回]宮崎あおいの"映画代表作"が誕生! 毒を呑んでも生き続けよ『ソラニン』 [第59回]"おっぱいアート"は世界を救えるか? 母乳戦士の記録『桃色のジャンヌ・ダルク』 [第58回]現代に甦った"梶原一騎ワールド"韓流ステゴロ映画『息もできない』 [第57回]命知らずの変態レポーター、中東へ! 史上最大のどっきり?『ブルーノ』 [第56回]仲里依紗がアニメから実写へと跳躍! 母娘2代の時空旅行『時をかける少女』 [第55回]ビグロー監督はキャメロンより硬派! 人間爆弾の恐怖『ハート・ロッカー』 [第54回] "空気を読む"若者の悲劇『パレード』楽しいルームシェア生活の行き先は? [第53回]社会の"生け贄"に選ばれた男の逃亡劇 堺雅人主演『ゴールデンスランバー』 [第52回]『男はつらいよ』の別エンディング? "寅さん"の最期を描く『おとうと』 [第51回]ひとり相撲なら無敵のチャンピオン! 童貞暴走劇『ボーイズ・オン・ザ・ラン』 [第50回]ヒース・レジャーが最後に見た夢の世界 理想と欲望が渦巻く『Dr.パルナサスの鏡』 [第49回]トニー・ジャーは本気なんジャー! CGなしの狂乱劇再び『マッハ!弐』 [第48回]全米"オシャレ番長"ズーイー、見参! 草食系に捧ぐ『(500日)のサマー』 [第47回]市川崑監督&水谷豊"幻の名作"『幸福』28年の歳月を経て、初のパッケージ化 [第46回]押井守監督、大いなる方向転換か? 黒木メイサ主演『アサルトガールズ』 [第45回]ドラッグ漬けの芸能関係者必見!"神の子"の復活を追う『マラドーナ』 [第44回] 暴走する"システム"が止まらない! マイケル・ムーア監督『キャピタリズム』 [第43回]"人は二度死ぬ"という独自の死生観『ガマの油』役所広司の監督ぶりは? [第42回]誰もが共感、あるあるコメディー! 2ちゃんねる発『ブラック会社』 [第41回]タラとブラピが組むと、こーなった!! 戦争奇談『イングロリアス・バスターズ』 [第40回]"涅槃の境地"のラストシーンに唖然! 引退を賭けた角川春樹監督『笑う警官』 [第39回]伝説の男・松田優作は今も生きている 20回忌ドキュメント『SOUL RED』 [第38回]海より深い"ドメスティック・ラブ"ポン・ジュノ監督『母なる証明』 [第37回]チャン・ツィイーが放つフェロモン爆撃 悪女注意報発令せり!『ホースメン』 [第36回]『ソウ』の監督が放つ激痛バイオレンス やりすぎベーコン!『狼の死刑宣告』 [第35回]"負け組人生"から抜け出したい!! 藤原竜也主演『カイジ 人生逆転ゲーム』 [第34回]2兆円ペット産業の"開かずの間"に迫る ドキュメンタリー『犬と猫と人間と』 [第33回]"女神降臨"ペ・ドゥナの裸体が神々しい 空っぽな心に響く都市の寓話『空気人形』 [第32回]電気仕掛けのパンティをはくヒロイン R15コメディ『男と女の不都合な真実』 [第31回]萩原健一、松方弘樹の助演陣が過剰すぎ! 小栗旬主演の時代活劇『TAJOMARU』 [第30回]松本人志監督・主演第2作『しんぼる』 閉塞状況の中で踊り続ける男の悲喜劇 [第29回]シビアな現実を商品化してしまう才女、西原理恵子の自叙伝『女の子ものがたり』 [第28回]"おねマス"のマッコイ斉藤プレゼンツ 不謹慎さが爆笑を呼ぶ『上島ジェーン』 [第27回]究極料理を超えた"極地料理"に舌鼓! 納涼&グルメ映画『南極料理人』 [第26回]ハチは"失われた少年時代"のアイコン  ハリウッド版『HACHI』に涙腺崩壊! [第25回]白熱! 女同士のゴツゴツエゴバトル 金子修介監督の歌曲劇『プライド』 [第24回]悪意と善意が反転する"仮想空間"細田守監督『サマーウォーズ』 [第23回]沖縄に"精霊が暮らす楽園"があった! 中江裕司監督『真夏の夜の夢』 [第22回]"最強のライブバンド"の底力発揮! ストーンズ『シャイン・ア・ライト』 [第21回]身長15mの"巨大娘"に抱かれたい! 3Dアニメ『モンスターvsエイリアン』 [第20回]ウディ・アレンのヨハンソンいじりが冴え渡る!『それでも恋するバルセロナ』 [第19回]ケイト姐さんが"DTハンター"に! オスカー受賞の官能作『愛を読むひと』 [第18回]1万枚の段ボールで建てた"夢の砦"男のロマンここにあり『築城せよ!』 [第17回]地獄から甦った男のセミドキュメント ミッキー・ローク『レスラー』 [第16回]人生がちょっぴり楽しくなる特効薬 三木聡"脱力"劇場『インスタント沼』 [第15回]"裁判員制度"が始まる今こそ注目 死刑執行を克明に再現した『休暇』 [第14回]生傷美少女の危険な足技に痺れたい! タイ発『チョコレート・ファイター』 [第13回]風俗嬢を狙う快楽殺人鬼の恐怖! 極限の韓流映画『チェイサー』 [第12回]お姫様のハートを盗んだ男の悲哀 紀里谷監督の歴史奇談『GOEMON』 [第11回]美人女優は"下ネタ"でこそ輝く! ファレリー兄弟『ライラにお手あげ』 [第10回]ジャッキー・チェンの"暗黒面"? 中国で上映禁止『新宿インシデント』 [第9回]胸の谷間に"桃源郷"を見た! 綾瀬はるか『おっぱいバレー』 [第8回]"都市伝説"は映画と結びつく 白石晃士監督『オカルト』『テケテケ』 [第7回]少女たちの壮絶サバイバル!楳図かずおワールド『赤んぼ少女』 [第6回]派遣の"叫び"がこだまする現代版蟹工船『遭難フリーター』 [第5回]三池崇史監督『ヤッターマン』で深田恭子が"倒錯美"の世界へ [第4回]フランス、中国、日本......世界各国のタブーを暴いた劇映画続々 [第3回]水野晴郎の遺作『ギララの逆襲』岡山弁で語った最後の台詞は...... [第2回]『チェンジリング』そしてイーストウッドは"映画の神様"となった [第1回]堤幸彦版『20世紀少年』に漂うフェイクならではの哀愁と美学

絶妙なバランスが究極的な背中の"そり"を生む……「安藤遥の《ライン》」

kijima_110801.jpg
撮影/尾藤能暢
アイドルたちは、ほかのアイドルをどう見ているんだろう......? そんな疑問にお答えする連載「アイドル的アイドル思考法」。自他共に認める業界一の「アイドル通アイドル」木嶋のりこが、アイドルの魅力のすべてを語り尽くします! 「人は、良いものよりも悪いものの方に目がいきやすい」  作品を見ているとき、気になるところがひとつあるだけで作品そのものに集中できなくなってしまうことが多々あります。料理でも、物語でも、人そのものでも......。  すべてのものを作品とした場合、無駄が省かれた作品ほど、分かりやすくシンプルに思いが伝わるものはないと思うのです。
andoharuka.jpg
 DVD『遥の色~Harucolor~』での彼女は、私のその思いをさらに強くしました。  彼女は顔、身体ともに無駄がなく、とにかくラインがきれい。ラインがきれいだからこそ、彼女の魅力のひとつである大きなネコ目から感じる目力も強く、その視線に触れると心を矢で打ち抜かれたような気持ちになるのです。  そして、そんな彼女のする表情や動きからは、感情がダイレクトに伝わってきます。特にメイド姿で手錠をされている時の表情はとてもナチュラルで、見ている大勢の人の心をドキドキさせたのではないでしょうか。  さらに身体のラインでいうと、背中のそりが美しく、グラビアでは欠かせないバックショットや四つん這いのポーズがきれいに決まるのです。  私もグラビアの撮影をする際、背中のそりに意識を集中させたことが多々あります。きっとグラビアアイドルのほとんどが、「もっと背中をそらせて」とカメラマンから言われた経験があるのではないでしょうか。背中やお腹まわりに無駄がある場合、この背中のそりはきれいに決まらないのです。彼女の持つ絶妙な身体のバランスは、グラビアが彼女を選んだと言っても過言ではありません。 kijima_110802.jpg  そして、ラインがきれいだからこそ引き立っているものがもうひとつ。それは上品さです。その無駄のない顔立ちや体つきから、どんな動きや表情をしても上品に仕上がるのです。きっとその上品さが、彼女をかわいいだけでなくきれいにも魅せているのかもしれません。  もうひとつ、私が彼女を見ていて惹かれたのは、胸元にあるほくろ。以前もこのコラムで書かせていただいたことがあるのですが、ほくろの位置は身体を色っぽく魅せる上でとても重要なポイントだと思うのです。  彼女の胸元にあるほくろは水着を着ても隠れない絶妙な位置にあり、胸を寄せたとき、谷間の上に乗るのがとてもセクシーなのです。私も自分の身体の彼女と同じ位置に黒いペンで書きたいと思うほど、まさにベストポジションなほくろ。きっと他の女の子からも羨ましがられることでしょう。  もし、私が彼女に好きな衣装を着せることができるとしたら、着物や浴衣などの和服を着せてみたいです。浴衣がはだけたときにのぞく胸元のほくろ。そして、帯をほどいたときに見える身体のライン......。  きっと彼女ならそんなときの表情も、魅力的であるに違いありません。  グラビアだけでなく、バラエティーやアイドルユニットでも活躍している彼女。きっとこの先も無駄のないきれいなラインで人々を魅了しながら、輝かしい未来から引かれたラインの上を歩んでいくことでしょう。 (文=木嶋のりこ) ●きじま・のりこkijimanoriko_senzai.jpg 1988年、長野県生まれ。05年「制コレ」7テイルズ獲得。女優として『片腕マシンガール』(07)、『ピョコタン・プロファイル』(08=主演)。舞台『月葬(げっそう)』(09)。 ブログ「木嶋のりこのハッピーオムライス」 http://ameblo.jp/noriko-kijima/ 公式HP「木嶋食堂」 http://mentaiman.com/attraction/kijima/index.html
r遥の色 ~Harucolor~ イイネ! amazon_associate_logo.jpg
■バックナンバー 【第10回】まるでそこだけスポットライトが当たっているよう......「森田涼花の《華》」 【第9回】毎朝、その声で起こしてほしい......何度でも再生してしまう「高部あいの《声》」 【第8回】"初めての撮影"という魔法にかかった「川崎裕菜の《素》」 【第7回】涙袋にくすぐられるフェチ心......「逢沢りなの《パーツ》」 【第6回】真夏の大空に咲く大輪のひまわりが見せた涙......「岡本玲の《親近感》」 【第5回】自分の素材を使い分ける天才......「山本ひかるの《センス》」 【第4回】見つめられ、そして私は恋をする......「多田あさみの《視線》」 【第3回】 カラダもココロも......彼女のようになりたい「田中涼子の《バランス》」 【第2回】華やかさと親しみやすさのギャップを生み出す天然の武器「田中れいなの《方言》」 【第1回】すべてが自然体! 一緒にプライベートを過ごしたい「フォンチーの《しぐさ》」