「生きてるとすごいことがある」【ささきのぞみ】父と2人のキャッチボール

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 元祖フリーアイドルで声優のルンルンこと宍戸留美さんが、自らカメラマンとして可愛い声優さんたちの写真を撮り、さらにアイドルライターの私(小明)がインタビューする不思議な連載の17回目です! 今回は、『僕等がいた』のヒロインや『江古田ちゃん』の猛禽でおなじみ、ささきのぞみさんが来てくれました! ――はじめまして! ささきさんは本当になんていうか......奇跡のようなお名前ですよね。本名が男性声優の佐々木望さんと同じ漢字で、タレントの佐々木希さんとは読みが同じ!  重複(笑)。『僕等がいた』というTVアニメでデビューが決まったときに、当初は「本名のままでいいよ~」と言われて、一部の新聞などでは本名で出てたんです。それが、放送間近になって「変えてくれ!」って(笑)。急遽明日、明後日までに名前を変えなきゃいけなくなって、姓名判断とかの時間もなくて、「じゃ、もう、子供も読めるようにひらがなで!」という流れで......。 ――病院とかでフルネームを呼ばれるときに予期せず注目を浴びそうですね......。ちなみに、お仕事を始める前は受付嬢だったんですよね。更にその前は巫女さんだったとか? かなり珍しい職歴ですが、どういう流れで声優業に?  そうなんです。大学を出てから神社の常勤の巫女を1年ほど。大学が神道の勉強も出来るところで、好きだったのでそのまま神社へ。そこがビジネス街にある神社だったので、「OLも......やってみたいな!」と思って受付嬢に転職して、その合間にワークショップに参加してナレーションや声優の勉強をしていたら、監督から「アニメのオーディション受けてみない?」って誘われて、受けて、合格しまして。 ――すごいシンデレラストーリーですね!  当時はそんなあおり文句が書かれていました(笑)。 ――あはは! ちなみに、神道を勉強されてたってことは、ミッションスクールとかですか? かっこいい!  いえ、大学は文学部だったんですよ。ちなみに高校は美術が専門でした。高校後の進路を決めるときに「大学は国文に行きます」って言ったら、「いやいや、うちから前例ないよ!?」って、みんな芸大とかに行くから......。 ――ほんとですよ! そもそもどうして美術系の高校に?  本を読んだり、文章や絵を書くのが好きで、音楽も、全部やりたかったんです。絵でも歌でも、詩でもお話でもなんでもいいんですけど、なにかクリエィティブなことを学びたい......と。そう言うと仰々しいんですけど(笑)。高校では彫刻に油絵、デッサン、グラフィックとかコラージュも勉強できて、卒業制作は日本画でした。みんなで京都にしかない老舗の絵の具屋さんまで買いに行ったり......当時の友達とは未だに仲がいいですね。 sasakinozomi_ssd02.jpg ――いいですねー! 私の学生時代の友達はほぼ生存確認すら困難ですよー! 「卒業後もずっと友達だよね!」っていう寄せ書き、2週間ともたなかったです!  そこは面白い学校だったんですよ(笑)。女の子ばっかりだと普通はグループに分かれることが多いけど、うちは結構「今日はひとりで食べるわ」ってバラバラになったり、学校来なくなっちゃう子がいたり......そういう、普通の学校に馴染めない子たちが集結して変な調和がとれている学科で(笑)。 ――そんな桃源郷があるんですね......! 今からでも入り直したいです。ということは、ささきさんも中学まではクラスに馴染めない生徒だったんですか?  そうですね。「すごく難しいなぁ」って思ってました。転校を繰り返していたからかな~。 ――転校が多いと思春期はハードモードになりがちですよね。  はい、最初は周りを観ながら、どうやって我が身を振ろうというところから始まって、人の様子をうかがったはいいけど、結局馴染めなかったり、だいぶ馴染めてきたと思ったら卒業だったり、引越しだったりで。しかも体も弱かったので、小さい頃は喘息が出たら学校に行けずに軽く生死をさまよい......今もたまに油断できないですが(笑)。 ――え! 現在形でハードモード! 今は大丈夫ですか?  今は滅多にないですよ。二十云年生きてますと、「ちょっとおかしいかな?」と思ったら休憩をとるようにしたり、コントロール出来るようになりました。昔は「気を遣わせちゃいけない、我慢して黙ってなきゃ!」と思っていたんですが、最近は「ちょっと調子が悪いので先に帰らせていただきたく......」みたいな事前申告が可能になったので大変調子が良いです。うふふ。 ――死にそうな時は言ってください! ささきさんが本好きなのも、体が弱いから?  ええと、それはなんて言うか、無理や無茶をして外に出ていくよりは本を読んでる方がいいって思って......。 ――わかりますよ。どんな本を読まれるんですか?  学生の時は昔のものやマニアックなものまで読みました。友達もそういう、いわゆるサブカルチャー的なものも好きで、たくさん貸し借りしてましたね。今はもう本当に何でも、自己啓発本とかも読みます。面白いですよね。 ――自己啓発系だったら「サイゾー」にもいろいろオススメが......(略)。アニメや漫画が好きだったりすると、そこから声優っていう仕事への興味が生まれたりしますけど、ささきさんの場合はどうやって興味をもたれたんですか?  中学から高校にかけて、受験勉強中にラジオを聞いていたら、ちょうど声優さんがラジオをやっていて、そこで「こういう仕事があるんだ」「私と変わらない歳でやっている人がいるんだ」ってインプットされたのかなぁ。そのとき、自分的にかなりうちに籠もっていた時期だったんですけど、それがかなり今に繋がっているんですよ。宍戸留美さんのお名前も、その頃からずっとお見かけしていて、初めてお仕事でご一緒したときは浮かれて妹に電話をかけて、「うわーっ宍戸留美さんだよー! でも、お姉ちゃんはお仕事だから、黙ってきちんとしてなきゃダメだよね!?」って話して(笑)。そういうことがすごくたくさんあって......。うちに籠もっていた時期に大好きだった憧れの作品の監督に会えたり、大先輩とご一緒できたり、いつのまにか一緒に遊んでいたり......。生きているといろんなことがあって傷つくことも多いけど、絆創膏をあとから貼れることも多いんだなぁって。 ――いい言葉......! そう考えると、私のハートも絆創膏だらけです。あと、生傷!  うふふ。無駄なことは何も無いんだから、心の好きなようにやっていいんだなぁって思ってから、生きやすくなりました。だから、今はすごく生きてることが楽しい。体が弱いことも、なにも恥じることではなくて、吹聴することでもなくて、今を楽しく自然にしていていいんですよね。「やばー! じんましんでちゃった!」みたいなのは軽くあるんですけど、そこはまぁフワッとオブラートに包んで(笑)。 sasakinozomi_ssd03.jpg ――体調面はいたしかたないですよ、充電できるときにたっぷり充電するといいですよー! お休みの時は何をされているんですか?  お買い物やお出かけする以外はお家にいることが多いです。本を読んで、作業して、おやつ食べて寝て......動物のように過ごしてます(笑)。あとは大阪の実家に帰って妹やお母さんお父さんと遊んでますね。特に、お父さんとはキャッチボールしたり、お酒を飲んだり、散歩をしたり......。 ――それ、息子と父親の遊び方ですよ! かなりお父さんっ子なんですね。  仲良しですね~。昔はすごく普通のお父さんだと思ってたんですけど、ある日突然「50歳を過ぎたから、自分出していこうと思って☆」と言われて、今ではかなり自由な人です......宇宙人みたい(笑)。最近はブーメランにハマッていて、ひとりでやってるみたいです。 ――ひとりで? え?  投げてかえってはくるけど、まだ怖くて取れないんです。「お父さん、来たよ!」って言ったら、「危ない! 逃げろ!」って言われて、ふたりで「うわーっ」て逃げました。半年経ってもそのままで、まだ取れないんだって。あと、「吉本に入りたい」って言ってました。 ――いっそ親子で入ったら良いですよ、その時はまた取材させてください! 吉本はさておいても、ささきさんはお仕事の活動の幅が広いですよね、アニメの声優やナレーションの他に、ビビアン・スーさんの楽曲の作詞もされてるんですよね、本当にすごい! 私ビビアンなんてもう15年くらいファンですよ!  もう、私ですいませんって感じですよね......。私もお会いしたときは女神過ぎてびっくりして「あぁあああ!!」ってなりましたよ、お綺麗すぎて! ――そのお仕事はどういう流れで決まったんですか?  以前ご一緒させていただいた監督が私をおもしろがってくださって、一度脚本を書かせていただいたんです。何かの時に、「最近こういうことがあって~」という話をしたら、「それ面白いじゃん、書いてみてよ」って言われたので、ザックリとストーリーだけ書いて、「後はプロの方に書いていただけるんだろうな」って気持ちで持って行ったら「コレ清書してよ」って言われて、「え? あ、はい」って。でもその段階でもまだ他人事のように思っていて、手書きで原稿に書いて持っていったら、「アレ通ったよ」って言われて。 ――そ、そんなことあるんですね......! ちなみにどんな話だったんですか?  猫の話です、すごく猫が好きなもので。それで、ビビアン・スーさんが主題歌を歌ったアニメ作品も猫の話だったので、「猫関係の話の主題歌で、歌い手はまだ内緒なんだけど、試しに書かない?」って気軽に言っていただいて、その段階では誰が作曲するのかも聞いていなくて、曲だけふっとあがってきて、「猫のアニメなんだけどそれ以外の要素も入れたくて、猫という言葉を使わないで猫らしさを出して、あと愛とかそういう壮大なメッセージなんかも、明言しないようにして入れてね」って言われて......「なんぞ!?」って思いました。「すごく抽象的な歌になりますよ?」って言っても、「うん、いいの」って言われて書いたんですけど、その詩を、あの東京事変の亀田誠治さんがOKしてくださって......! 「ビビアン・スーさんが歌で亀田誠治さんが作曲&編曲だよー」って聞いたときには、「えーっ!!!!!!」ですよ。未だに何とも言えない不思議な気持ちです。よくOKして下さったなぁ。レコーディングも同席させていただいたんですけど、大好きな亀田誠治さんとビビアンがいて、もう、緊張して何も言えなくて! ――そこはやっぱり上から目線で、「ダメダメ、そこはもっとウィスパーで詩の世界感を大事にしてみ?」とか言いましょうよ!(他人事)でも、抽象的な注文でできた歌詞だと、外国人のビビアン含めてスタッフにもろもろの意図を説明をするのが難しそうですね。  本当にもう何も言えないっていうか、言葉にならない自分がいましたよ......。実は、歌詞に、輪廻転生の生まれ変わりや地球上の愛情とか、様々な壮大なことをひっそりとテーマで入れていたんです。でも、「わざわざ声高に言わなくていいや」「100万人に1人が気付いてくれたら嬉しいや」と思っていて......。なのに、亀田さんは「この部分はこういうことだね?」って、わたくしなんぞのものを全部わかってくださっていて......感動して泣けました。だからレコーディングも全部お任せして、退却して外で待ってました。生きているとすごいことがあるんだなって。本当に運だけでここまで生きてきたので。 ――そんなまさか! ささきさんの努力と才能ですよ! もっと自分を誇ってー!  いえいえ、本当にたまたま周りの方に恵まれたんです。私は本当にうちに籠もる性格なので......。 ――ささきさんはお人柄も面白いし、勝手に友達の多い社交的な方だと思ってました! 声優さんだと、平野綾ちゃんとも仲がいいんですよね。  友達自体はそんなに多くないんです。ひとり仲が良い子が出来るとその子とばっかり遊んじゃったりして。平野綾ちゃんとも最初はここまで仲良くなれると思ってなくって。デビューして間もない頃に綾ちゃんとご一緒させてもらって、一緒に武道館で歌ったりもしたんですけど、その時はちょこっとお話ししたくらいで......。でも、別の作品でまたご一緒させてもらった時に、ふらっとご飯を食べに行く約束をして、それから意気投合して。今ではすっかり「のぞみさん、私のこと好きだからなぁ(笑)」って言われて、「好きだよ! 全方位で好きだよー!」って。 ――なんとほほえましい......! そんなメール貰いたいです。っていうか、普通はメンズと送り合うもんだと思います。ささきさんは彼氏はいないんですか?  あはははは(乾いた笑い)。さっぱりですよ。こないだおばあちゃまに「お見合いっていいものよぉ」っていう話を2時間くらい長電話でされて、どうしようかなって思ってます。お見合いで結婚しちゃうのも面白いかも? ――まだやってないことへの好奇心が勝つ感じですか?  はい! 常にそうです。目の前に道があったら、ワクワクする先がわからない方に行きたくて、そのたまものがこの愉快な状態なんですけど......。どうやら街中でばったり出会い頭にぶつかってパンとレモンが落っこちて......っていう出会いは難しいっぽいんで、なにか考えないと(笑)。 ――皆さん、チャンスですよ! 今すぐ出会い頭にぶつかる準備を! 今日はどうもありがとうございました!  あはは、ありがとうございました(笑)。 (取材・文=小明/写真=宍戸留美) ●ささき・のぞみ 2月19日神奈川県出身、俳協所属。TVアニメ『ジュエルペット』シリーズのサフィー役、『らき☆すた』パティ役、『僕等がいた』高橋七美役(ヒロイン)、『屍鬼』国広律子役、『江古田ちゃん』猛禽役、『ゴクジョッ』宇都宮飛鳥役、『パパのいうこと聞きなさい』岡江清美役など。ゲーム 2012年2月2日発売『ソウルキャリバー5』ピュラ役(ヒロイン)。iPhoneアプリ『朗読少女』乙葉しおり役。携帯アプリ『はやぶさ』朗読。ナレーション TBS『S☆1』など他多数。 ●ししど・るみ 1973年、福岡県生まれ。1990年にアイドルデビュー、18歳でフリーアイドルになり現在まで様々な分野で活動中! フランス、ドイツ等でもライブを行い音楽活動で高い評価を得ている。 ■妹分蝦名恵(Megumi Ebina)が緒方明監督作品映画 『オカメくん●○ハチモクさん』の主題歌!!「恋のリミット」で2/14に歌手デビュー!! ■USTREAM音楽番組「宍戸留美×津田大介 Oil in Life 」大好評放送中!! http://www.o-i-l.jp/ ■Vol.30 OIL Nightスペシャル 2012年2月26日(日) 17:00 OPEN ゲストに カーネーション、三宅伸治BAND、24/7(twenty-four seven)、の豪華3バンド 津田大介さんも歌います!! お申し込みはkiwaHPまで http://oasis-kiwa.com/schedule-detail/145/oilinlife/ ■宍戸留美プロデュースのスーパーナイト! 2012年3月12日(月) @下北沢・風知空知  Guest:黒田征太郎&下田逸郎   ■5月にNewAlbum発売予定!!!乞うご期待!! 詳細公式HP http://rumi-shishido.com/        ●あかり 1985年、栃木県生まれ。02年、史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/> サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中。ニューシングル「君が笑う、それが僕のしあわせ」発売決定<http://www.cyzo.com/akr/>。
僕等がいた スペシャル・エディション2 よろしく! amazon_associate_logo.jpg
【声優 on FINDER!】バックナンバー 【vol.16】「私の前世はマイクかもしれないんです」【高本めぐみ】小6で描いたマイクロフォンの夢の中 【vol.15】「左手の薬指の爪にしか自信がなくて......」【山咲智美】100点満点少女のメランコリー 【vol.14】「ロングヘアーの男としか交際しない!?」【千葉千恵巳】犬1匹ネコ7匹とのおだやかでラジカルな日常 【vol.13】「今がいちばん精神状態が幼いかも(笑)」【吉田仁美】7歳でデビュー、逆行のライク・ア・チャイルド 【vol.12】「目立つの苦手、でもやっぱり歌って踊りたい」【水野愛日】12年ぶりのシングルリリース 【vol.11】「レトロな物が好きなんです」【井上直美】50年前のカブリオレを駆って 【vol.10】「あのころ、ネットがなくて本当によかった」【小明】中2のままのアイドルライフ 【vol.09】「悩んだら、バーッっときてグワーン!」【中川里江】1回泣いて全部忘れるヒロインサイド 【vol.08】「"声優"の仕事の幅広さにびっくり」【稲村優奈】10年に詰まったスクランブルデイズ 【vol.07】「ビキニを着たこともないんです」【蝦名恵】3カ月目のヴァージン・シュート 【vol.06】「生き急いだ分、戻ってやり直しができると思う」【江里夏】10歳で見たデイドリーム 【vol.05】「何でも出来るって、とりあえず言っちゃう」【矢野明日香】360度のワークフィールド 【vol.04】「考えてると、寝ちゃうんです......」【窪田涼子】東経135度のモラトリアム 【vol.03】「いいものを出せば必ず返ってくる」【チャン・リーメイ】100%のプロレス・マインド 【vol.02】「いつもどこかで、なんとかなるさ」【片岡あづさ】22歳のセカンドフェーズ 【vol.01】「Twitter始めるまで、いつも泣いてた」【宍戸留美】20年目のセルフポートレート

ドレスコードはバンドT! ROCKにキメる『ジャケ弁講座』に潜入

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私の作ったジャケ弁、
『季節のナスとこだわりカマボコの高級梅肉和え ~お茶の葉を添えて~』
ゆるいものならなんでも大好き♪ ロリ顔ライター・朝井麻由美が気になるスポットをご案内します。  私のコンプレックスのひとつに、"かわいいものを生み出せない"というのがある。昔、図工の授業で作った妖精の置き物は「宇宙人にしか見えない」と評され、今年の年賀状に描いた辰のイラストは「鬼の妖怪かと思った」と散々な言われようだった。かわいい辰を描いたつもりだったのに。  そんなコンプレックスゆえ、近頃続々とママデビューしている同級生たちが、Facebookなどで愛らしいキャラ弁の腕前を披露するのを目にするたびに、胸がキュッと締め付けられるったらない。どうせ私が作っても、ピ○チュウは猫の幽霊に、アンパ○マンはただの顔付きまんじゅうになるだろうしね。そこで今回行ってきたのが、「オトトイの学校」で開講された『オバッチ先生のジャケ弁講座 ~ジャケ弁の半分は愛情でできている~』。CDジャケットをお弁当で再現する技を伝授してくれる人気講座で、2012年4月からも新規講座の開講が予定されている。オバッチ先生は、「オバッチのJacket Lunch Box」(http://jakeben.blog111.fc2.com/)というブログで日々ジャケ弁を公開しており、『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)にも出演するなど、その道の達人! 同じお弁当アートといえど、キャラ弁よりもジャケ弁のほうが、かわいく作れなくても許されそう!
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講座のドレスコードはバンドT(任意。着用しなくても可)。
作るCDジャケットとバンドTを同じアーティストでそろえている人ほど、
ジャケ弁の完成度が高かった。愛ゆえか。
 まずは、ジャケ弁にするCDジャケットを選定。悩んだ末、「色がシンプルなほうが簡単そう」「人が写ってるほうができあがりが面白そう」「思い入れのあるCD」の3つの基準から、初めて買ったCDであるSPEEDの『ALL MY TRUE LOVE』にすることに。
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ジャケ弁作りに必要な道具とCD。私はその昔、女の子4人で、
「私、絵理子ちゃん!」などとSPEEDごっこをした世代。
思い出すと小っ恥ずかしいですが。
 使う食材は、基本的には持参。生で使えないものは、事前に家で調理して持っていくのだが、面倒なのですべてそのまま食べられる食材のみを使うことにした。『ALL MY TRUE LOVE』のジャケットを見るに、必要な色は、白バックにメンバーが並び、その服装は紺、白、緑。顔の部分は、黒髪に赤い唇、肌色、といったところ。そこで、バックの白は白米、紺はナスの漬物、緑はお茶っ葉、黒は海苔、赤は梅肉、肌色はちょうどいい食材が思い付かなかったため、白いカマボコで代用することにした。少々、色白すぎるSPEEDに仕上がるかもしれないが致し方ない......。  ジャケ弁講座の授業が開始し、講師のオバッチ先生から簡単な説明を受けたのち、各々自由に作り始める。まずは、ジャケットサイズの四角いお弁当箱に入れた白米を押し潰し、できる限り平らにする。こうすることで、食材を上からのせやすくするのだそう。そして、ジャケ写をトレースし、トレースした紙と海苔を重ねてカットしていく。ちなみに、海苔はジャケ弁ではほぼ必ず使う材料で、海苔に慣れるのが第一の関門。思った以上に切りづらく、ジャケ弁作り初心者が最初につまずくポイントなのだ。
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使っているのは眉切りハサミ。
今朝、まさに眉をカットしてきたばかりのハサミで海苔を切ったため、
不思議な気持ちになった。
 トレースした紙からはみ出ないように、美しく、そして細かく海苔を切っていたら、「そんな細かく切らなくていいのいいのー!」と各テーブルを巡回していたオバッチ先生が登場。細かく切っても、海苔が徐々にフヤフヤになり、白米の上にのせる際にはヨレて結局汚くなってしまうため、ざっくりとしたシルエットが再現できていればいいのだそう。
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細部まできっちりとトレースしたのに、無駄だったようです......。
 またポイントは、上の写真のように、最初の段階で海苔で全身の形を作っておく点。そうすれば、この海苔がガイドとなり、あとはCDを見ながら対応する箇所に色付きの食材を海苔の上にのせるだけでよく、失敗が少ないとのこと。つい、色のパーツごとに切って組み合わせたくなるが、そうすると全体の大きさのバランスが崩れ、このジャケットの場合だと、大きさが合わず4人全員入らない、という事態になる。  ともかく、先生の「適当でいいよ!」に開き直り、丁寧さゼロでカマボコを顔型にくりぬき、海苔を小さく切って目や眉をつけ、薄く切ったナスの漬物を貼りつけて、口元に梅肉を塗った。やはり、カマボコが白すぎて、メンバー全員、故・鈴木その子みたくなったけど、気にしない。
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海苔で顔の個性を出すには限界が。メンバー中、上原多香子のみ眉毛が
釣り上がっていないため、海苔の角度にこだわってみた。
 ほぼ完成したところで、ふと周りを見ると、チキンライスや卵焼き、茹でたほうれん草など、当たり前のようにおいしそうな調理済み食材を使っている人がほとんど。ほうれん草を茹でるのが面倒だからと、緑色の代用品としてお茶っ葉を持ってきた人など私くらいのものだった。調理ナシで簡単にできることにばかりこだわっていて、お弁当になった際の味は度外視していたことに今頃気付いた。何しろ、使用食材は米、海苔、ナスの漬物、梅肉、カマボコ、お茶っ葉。しまった......このジャケ弁、全然おいしくないかもしれない。そんなことを思って落ち込み始めているうちに作業時間は終了。生徒ひとりひとりの作品をみんなで見て回りつつの講評タイムが始まった。  結果からいうと、他の人々のジャケ弁を見れば見るほど、己の不器用さ加減にしゅんとするのだった。  本物とは色が多少違っていても、しっかり特徴を捉えた力作。
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何より、どう見ても他の人々のジャケ弁のほうが色とりどりでおいしそう......。
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こちらは、海苔で作られたPerfume。特に、かしゆかの再現度はお見事。
近くにCDがなくても、Perfumeだと一目で分かる。
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DSソフトのジャケ弁を作っていた子どもですらこのクオリティー。
 対して、私の作ったジャケ弁、タイトル『季節のナスとこだわりカマボコの高級梅肉和え ~お茶の葉を添えて~』は冒頭の写真。そもそも今はナスの季節じゃないし、カマボコにこだわってもいなければ、梅肉も特に高級ではないし......。  先生からの評は、「アヴァンギャルドなジャケ弁ができあがりましたね!」。  帰宅後、すっかりご飯の冷えたジャケ弁『季節のナスとこだわりカマボコの高級梅肉和え ~お茶の葉を添えて~』を晩御飯代わりに食べたところ、これでもかと激しく主張するナスの漬物の味の合間に、ときどき、お茶っ葉のジワッとくる苦みが口いっぱいに広がった。見た目通り前衛的な味だったのは言うまでもない。  ......もう、ナスの漬物は一生食べたくない。 ●アヴァンギャル度 ★★★★★ 筆者の作ったジャケ弁がアヴァンギャルドだったのはさることながら、大勢でCDを見つめながら海苔を眉用ハサミで切る様子はちょっと異様な光景だった。講師のオバッチ先生は、さぞ料理が得意なのかと思いきや、「私は料理上手なわけでは全然ないんですよ。ただもう、音楽が好きすぎてライブ代でいつも金欠。節約のために楽しくお弁当を作る方法を模索したらこうなりました」と語る。料理下手でも音楽狂なら、ジャケ弁作りで隠れた才能が開花するかもしれない。 (取材・文=朝井麻由美) ●『オバッチ先生のジャケ弁講座 ~フジロック編!ジャケ弁の半分は愛情でできている~』 < http://ototoy.jp/school/event/info/41 > 次回講座は4月8日、5月20日、6月10日の全3回、いずれも14時~16時。「IID世田谷ものづくり学校」にて開催される。3回通しての参加のほうが、よりジャケ弁作りをマスターしやすいが、単発の参加でも可。受講料は8,500円(全3回分/1回のみの場合は3,000円/世田谷区民割引あり)。現在、『オトトイの学校』HPにて申込み受付中。
ROCK! ジャケ弁スタイル ROCK!  amazon_associate_logo.jpg
【散歩師・朝井がゆく!】バックナンバー 【vol.10】かわいいメイドさんの正体はガンマニア!? シューティングメイドカフェ 【vol.9】ドヤ顔からてへぺろまで!? 自分にそっくりな石像が見つかる「五百羅漢」 【vol.8】ドラクエ好き女子ライターが教える、ドラゴンクエスト展のマニアな楽しみ方 【vol.7】麺の気持ちになれるアトラクションまで!? 「カップヌードルミュージアム」が楽し過ぎる! 【vol.6】「舌の上でプチプチと......」知られざる珍味"蝉フルコース"にチャレンジ 【vol.5】お坊さんは隠れた名カウンセラー? お寺で人生相談 【vol.4】"ライター"のプライドを懸けて「売り込みナイト」にガチで挑戦! 【vol.3】なんとも言えない高揚感に体が火照る!? 話題のアニソンバーで熱唱! 【vol.2】ベタなトルコをお気軽エンジョイ! 「東京ジャーミイ&トルコ文化センター」 【vol.1】サブカルイベントゆえのゆるさ!? 『ART MAP in 阿佐ヶ谷』を歩いてみた

これはホラー? それともコメディ? 勘違い女が爆走『ヤング≒アダルト』

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退屈な田舎を出て、都会で働くメイビス(シャーリーズ・セロン)。
「私は他の人とは違う」という根拠のない自信だけで生きている。
(c) 2011 Paramount Pictures and Mercury Productions, LLC.
All Rights Reserved.
 "ホラーとコメディは紙一重の違い"とはよく言われるが、シャーリーズ・セロン主演作『ヤング≒アダルト』は、まさにその典型例。男は「こーゆー勘違いしたヤツ、いるいる」と腹を抱え、女は「あまりにリアルすぎて、他人事と思えない」と顔を引きつらせる。男女の視点の違いによって、爆笑コメディにもサイコホラーにも転じる。同性が引いてしまうほどに、シャーリーズ・セロンのすっぴん演技が迫力満点だ。田舎暮らしの女子高生の孤高の生き方を描いた『JUNO/ジュノ』(07)で高い評価を得た女流脚本家ディアブロ・コディとジェイソン・ライトマン監督が再タッグを結成。青春時代の栄光にすがりつくアラフォー女の断末魔の叫びが耳に突き刺さる。  ミネアポリスでひとり暮らしをしているメイビス(シャーリーズ・セロン)は37歳のバツイチ。自称作家だが、実際はゴーストライター。唯一の定期収入源であるヤングアダルト小説「花のハイスクール」の連載打ち切りを編集者に告げられ、メイビスの心はブルーだ。おかしい、こんなはずがない。自分が思い描いた未来予想図では、ベストセラー作家になって、セレブな生活三昧を送り、ウハウハなはずなのに。習作のつもりで書き始めたティーン向け小説でつまずくなんて、ありえない。そうだ、これはちょっとしたスランプなのだ。大いなる飛翔を遂げるための、準備段階なのだ。まだまだ若い私だけど、エネルギー全開にリセットするには自分の黄金時代に帰るのが一番! メイビスは"女王さま"として君臨していた高校時代のイノセントパワーを取り戻そうと、久しぶりに田舎に帰省する。高校時代の最愛の彼氏とヨリを戻すことができれば、最強無敵の自分に復活できると思い込み、故郷へと愛車を走らせる。大惨劇の始まりである。
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メイビスは高校時代の元カレ、バディ
(パトリック・ウィルソン)と再会。彼と
結ばれなかったことから人生の歯車が狂い
出したと思い込んでいる。
 タイミングよく、高校時代の元カレであるバディ(パトリック・ウィルソン)からメールが届いた。地元で結婚したバディに初めての子どもが生まれたので、今度その子の誕生パーティーをやるよ、という知らせ。これは私がスランプで落ち込んでいることを遠隔地から察した、バディからのスピリチュアルメッセージに違いない。やはり、2人は運命で結ばれているんだわ。子どもの誕生パーティーを口実に、私との再会を願っているのね。彼も家庭という名の牢獄から解放されたがっているのよ。待ってて、すぐに行くから! メイビスの思い込み度数がどんどん上昇していく。  メイビスはカーステレオに、今どき珍しいカセットテープをセットする。流れてくる曲は、ティーンエイジ・ファンクラブの1991年のヒット曲「ザ・コンセプト」。どうやら、このカセットテープは高校時代にバディがメイビスにプレゼントしたものらしい。メイビスは高校卒業後も毎日のように、この曲を聴いてはうっとりしていた。この曲はメイビスにとって、ときめいていた10代の頃に帰ることができるタイムマシンなのだ。1本のカセットテープを後生大事にしているメイビス。本人は20年間ずっと本命の彼氏のことを想い続けている純愛娘のつもりだが、傍から見ると充分に狂気をはらんだ幕開けである。  ふだんはスッピンにキティちゃんのTシャツを着古している、いかにも売れてないライター然としたメイビス。元カレに会うために、ウィッグを付けて髪のボリュームを増し、エステで肌つやを良くし、決め決めのネイルで自分のハートをアゲアゲにし、胸元の開いたセクシードレスに着替える。戦闘態勢はばっちり。だが、田舎には妙に明るいファミレスかダッサ~い場末のバーしかなく、メイビスは浮きまくり。久しぶりに会ったバディから社交辞令で「いやぁ、昔と全然変わってないね」と言葉を掛けられ、有頂天となるメイビス。周囲から見れば、厚化粧した若づくり女が妻子持ちの元カレにキャインキャインはしゃぎながら尻尾を振っているようにしか映らない。しかし、おのれの主観映像のみで生きているメイビスは、まったく他人の視線には気づいていない。曲がり道くねくねしたけど、やっぱり自分は運命の王子さまと結ばれるシンデレラなのよと、頑なに信じ込んでいる。史上最凶に痛い女・メイビス。自己チューで田舎の人間をバカにしている高慢チキ野郎だが、自分自身にとことん愚直で正直なメイビスの生き方に、観客はほんのちょっぴりシンパシーを感じ始める。
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元カレ、バディの自宅で催されたお誕生会で、
バディの奥さんと接近遭遇。「私のほうが
美人じゃん」とメイビスは心の中で叫ぶ。
 誰しもいつまでも若々しくありたいし、自分が思い描いた夢は大事にしたいし、自分がいちばん輝いていた頃を知っている彼氏・彼女とゴールインできれば、多分サイコーに幸せなんだろう。でも、時代の移り変わりや年齢に合わせて幸せの尺度を調整できないと、とんでもない悲劇を招く。日本でもバブル世代の残党にいがちなタイプですよ。映画のクライマックス、ついにメイビスはバディの自宅で催される誕生パーティーへと足を踏み入れる。ここまで映画を観て、傲慢なビッチのくせに心は10代のままのメイビスに徐々に感情移入し始めていた我々は「やめろ~、行くな~!」と念じるのだが、その内なる声はメイビスには届かない。ブライアン・デパルマ監督の学園ホラーの名作『キャリー』(76)ばりの大惨劇にメイビスは遭遇するはめとなる。  アカデミー賞主演女優賞に選ばれた『モンスター』(03)で実在した連続殺人鬼に扮したシャーリーズ・セロン。あのときも体重を10kg以上増量したブヨブヨ姿に驚愕させられたが、今回もコメディ演技で体を張り、すっぴん顔にヌーブラヌードまで披露する姿勢が素晴らしい。美人女優でオスカーを受賞した栄光に輝きながら、ハズすと目も当てられないことになるこの手のコメディに果敢に挑むなんて、ほんと"女優の鑑"ですよ。  元カレのことが忘れられずに田舎に帰省したメイビスは、逆にボロボロに傷つくことになる。同時にメイビスの心の中を支配していた、ガラス細工の夢の世界も音を立てて崩壊していく。メイビスはずっと青春時代の残像に引きずられ、がんじがらめになっていたのだ。偶像による支配から脱したメイビスは、新しい物語を紡ぐことを余儀なくされる。遅ればせながら自分の青春時代にようやくピリオドを打ったメイビス。彼女の新しい人生がここから始まる。 (文=長野辰次) y_a1s.jpg 『ヤング≒アダルト』 監督/ジェイソン・ライトマン 脚本/ディアブロ・コディ 出演/シャーリーズ・セロン、パトリック・ウィルソン、パットン・オズワルト、エリザベス・リーサー 配給/パラマウント ピクチャーズ ジャパン 2月25日(土)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー <http://www.young-adult.jp>
モンスター 通常版 女優の鑑! amazon_associate_logo.jpg
●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第158回] ピラミッドは古代からのメッセージ!? 歴史ミステリー『ピラミッドの謎』 [第157回] 韓国映画の名匠が明かす"創作の極意"イ・チャンドン監督『ポエトリー』 [第156回] ローカル局で"伝説となった男"の生涯『木村栄文レトロスペクティブ』 [第155回] 米国に半世紀も君臨した"影の大統領" FBI初代長官『J・エドガー』 [第154回]犯罪者たちに学ぶ"人心掌握術"の奨め『アニマル・キングダム』『預言者』 [第153回]"地獄"からの生還者・板尾創路の凄み 古典落語を過激に脚色『月光ノ仮面』 [第152回]早くも2012年ベスト1映画が登場!"代理殺人"を巡る恐怖『哀しき獣』 [第151回]父殺し、自分殺し、そして再生の物語 園子温流ラブストーリー『ヒミズ』 [第150回]米国お笑い横断旅行『宇宙人ポール』人間のちっぽけな悩みはETが解決! [第149回]70年前と変わらない日本人の精神構造『聯合艦隊司令長官 山本五十六』 [第148回]追悼......"永遠の反逆児"原田芳雄さん幻の主演作『原子力戦争』がDVD化 [第147回]"ファスト風土"を舞台にした犯罪喜劇 J・アイゼンバーグ主演『ピザボーイ』 [第146回]"正義のゾンビ"が犯罪者を貪り喰う! イラク戦争奇談『ゾンビ処刑人』 [第145回] "時代の寵児"の未ソフト化作品上映!「松江哲明グレイテスト・ヒッツ」 [第144回]原発事故を描いた『カリーナの林檎』と今関あきよし監督の背負った贖罪 [第143回]"窮屈なモラル"を脱ぎ捨てた裸の女たち 園子温監督の犯罪エロス『恋の罪』 [第142回]ノーベル賞作家・川端康成が夢想した新風俗『スリーピングビューティー』 [第141回]横暴な上司は有志社員が制裁します!『モンスター上司』のブラックな笑い [第140回]"クソみたいな社会を変えたい!"高校生テロリストの凄春『アジアの純真』 [第139回] うつ病なんかヘーキ!? 宮崎あおい主演作『ツレがうつになりまして。』 [第138回]"神話"が生まれる瞬間を目撃せよ! 人類への黙示録『猿の惑星:創世記』 [第137回]刑務所で食する至高の味『極道めし』ヒロインの後ろ姿に、むせび泣き! [第136回]"理想の恋人"という偶像を破壊せよ 深夜番長の劇場デビュー作『モテキ』 [第135回]"城定秀夫監督、ブレイク前夜の予感! 闘争本能を呼び覚ます『タナトス』 [第134回]"人間失格"の道を選んだ映画監督の業 林由美香の最新主演作『監督失格』 [第133回]ホラ吹きのホラを見破る特異な職能 ポランスキー監督『ゴーストライター』 [第132回]芦田愛菜、6歳にして危険な魅力!? 子連れで全力疾走『うさぎドロップ』 [第131回]元"暴走族"が書いた旧友への鎮魂歌 青春懺悔録『アメイジング グレイス』 [第130回]V・ギャロ主演のサバイバルグルメ!? 『エッセンシャル・キリング』 [第129回]『キック・アス』より悪趣味で泣ける 中年男の悪ノリ暴走劇『スーパー!』 [第128回]この夏の清涼剤、地方少女のダンス成長記『あぜみちジャンピンッ!』 [第127回]竹ヤリで世界進出"スシタイフーン"『エイリアンVSニンジャ』ほか逆上陸 [第126回]イーモウ監督、久々のアイドル映画 中華的妹萌え『サンザシの樹の下で』 [第125回]ナタリー・ポートマン vs. ヘビメタ野郎 人気女優の隠し球『メタルヘッド』 [第124回]黒澤明の名作『生きる』のラテン版! ヤモメ男が残した遺産『BIUTIFUL』 [第123回]北国で93年間営業を続ける"大黒座"と町の記録『小さな町の小さな映画館』 [第122回]新幹線がすれ違う瞬間、願いが叶う? 小学生の目線で描かれた『奇跡』 [第121回]理想と情熱がもたらした"痛い現実" 青春の蹉跌『マイ・バック・ページ』 [第120回]胸に響く金言"プロとは手を抜くこと" 職人秘話『アトムの足音が聞こえる』 [第119回]危険な出会い、井口昇ミーツ仲村みう 悪夢の遊園地『富江 アンリミテッド』 [第118回]ナタリー・ポートマン"第1章"の終幕 虚実が攻め合う『ブラック・スワン』 [第117回]"セカイ"を旅立った少女の地底探検記 新海誠監督の新作『星を追う子ども』 [第116回] 美少女たちの輝きが脳裏から離れない。青春ムービー『魔法少女を忘れない』 [第115回] 恋愛が与える"陶酔"とリアルな"痛み"サブカル活劇『スコット・ピルグリム』 [第114回]妄想、空想、そして現実からの大脱走 美少女革命『エンジェル ウォーズ』 [第113回]"3.11"後の新しい映画モデルとなるか『劇場版 神聖かまってちゃん』の挑戦 [第112回]マスコミが讃えた"楽園"のその後、ひとりの少女の成長記録『愛しきソナ』 [第111回]閉鎖的な"村社会"をブチ破ったれ! 韓流サバイバル劇『ビー・デビル』 [第110回]"粋"を愛したフランスの伯父さん J・タチ主演『イリュージョニスト』 [第109回]自分にとって家族は敵か、味方か? オスカー2冠受賞『ザ・ファイター』 [第108回]コーエン兄弟『トゥルー・グリット』40年で変化した"米国のヒーロー像" [第107回]ジョニー・デップが愛した"極道記者" 『GONZO』奇人がスターだった時代 [第106回] 巨匠イーストウッド監督の異色作! 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他人のゼニカネ話ほどオモロイものはない! 読めば身体が痒くなる『アヴァール戦記』

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『アヴァール戦記』第1巻(新潮社)
マンガ評論家・永山薫のコミックレビュー。連載第8回は中村珍の『アヴァール戦記』です!  中村珍の『アヴァール戦記』第1巻(新潮社)を読んでいたら、なんだか身体が痒くなってきた。  第3話「お風呂の話」のくだりで、中村珍が26日間、お風呂に入っていないことを明言した瞬間、身体のあちこちがムズムズし始めた。  俺は半世紀以上漫画を読み倒してきたわけです。漫画読んで、鳥肌を立てたり、すすり泣いたり、笑い転げたり、感動したり、怒り狂ったり、オナニーしたり、居眠りしたり......とまあ、いろいろなリアクションを体験してきたんですが、痒くなったのは初めてですよ中村珍さん。  さて、本書は中村珍初のエッセイ漫画。タイトルからファンタジー漫画だと思い込んでいる人もいるだろう。まあ、俺も連載を読むまではそうだった。 「おおっ、あの『羣青』(小学館)の中村珍がファンタジーか!」  なぁんて無邪気に驚いていた自分が今となっては懐かしいぜ。  さらにオメデタイことには、初めて「月刊コミック@バンチ」(新潮社)の連載を読んだのが震災後。 「震災で本編どころじゃなくなったんで急遽ルポ漫画にしたんだな。うんうん」  なぁんて思い込んでいた(この震災体験部分は独立して読んでも秀作である)。  その頃未読だった連載第1回において作者本人が、 「ファンタジー漫画は馬とか剣とか城とか出てくりゃかっこいいけど手がかかるんですねー」「その分描くのに時間かかるからアシスタントさん呼ぶでしょう? そーするとまぁ めちゃくちゃ¥かかるわけですよ......」「だから今回みたくエッセイの仕事とかオイシイですよ一人で描けるし」  と、ファンタジー漫画家とエッセイ漫画家とその愛読者を全員敵に回すようなことをのたもーていたことも知らずに勘違いしていたのである。  タイトルの「アヴァール」は5~6世紀に東ヨーロッパを支配した遊牧民族「アヴァール(Avars)」とはまったく関係がない、フランス語でケチ(Avare)という意味。Google翻訳してみたら「守銭奴」と出た。語尾がsだったら最近流行の歴史ファンタジーだったろうに語尾がeでは大違い。テーマはケチ。それもハンパなケチっぷりではない。ケチである「自分」の姿を露悪的に戯画化して晒して原稿料を取るってんだから、転んでもタダでは起きないくらい徹底しておられる(つーか、描くのが楽だからという理由で転んで突っ伏したままの自画像が異様に多いのも笑える)。  基本的にどんなテーマでもエッセイ漫画は面白い。それはオレタチの......といって悪ければ、俺の覗き趣味、ゴシップ嗜好にマッチするからだ。他人の幸不幸を安全な観客席から眺めて、「私生活もカッコイイなあ」とか「深いなあ」とポジティブに感動感心しちまったり、「いやあ家族も大変だなあ」とか「この人、思ってた以上にナルシーだったのね」とか「バッカじゃねーの」とか邪悪で鬼畜なツッコミを入れたりできる。作品を通して、その作者に優越感も劣等感も共感も反発も抱くことができる。早い話、エッセイ漫画って私生活の見世物化という側面が大きくなるほど面白いわけだ。とゆーと、「私生活を切り売りするなんて」と眉をひそめる良識人も多かろうが、俺的には売り物になるようなオモロイ私生活を送っているエッセイ漫画家さんたちには心底嫉妬するぞ。『中国嫁日記』(エンターブレイン)とか、ホントにウラヤマシイ。しかも、メッチャ売れてんだから許せないよね。  とはいえ、「エッセイ漫画」が「リアル」であるという保証はどこにもないというのが大前提。アホな人はその辺がわかってない。いいですか、漫画家や小説家は人をだまして面白がらせてナンボの商売ですよ。エッセイ漫画といえども美化したり、自己戯画化したり、キャラ作ったり、演出したり、読者を挑発したりするのは当然の話。100%のリアルを期待する方が間違っている。  だが、『アヴァール戦記』のキャラとしての中村珍にリアル中村珍成分が相当入っているだろうことは想像に難くない。風呂話もスケジュール管理が下手な漫画家にありがちな「あるある」だし、漫画制作とカネにまつわる話も俺の知る業界事情から類推しても「単なるホント」だ。帯文の「漫画業界大激怒!!!」「『羣青』の中村珍が開けてしまったパンドラの箱に関係者戦慄」「やってはいけない禁じ手満載。赤裸々な日常が明らかに!」なんてのはかなり大袈裟だけど、「あ、やっちゃった」感はある。  例えば、『アヴァール戦記』の原稿料がページ1万3,000円であることも明記してある。ゼニカネとケチの話を描くのなら、まず基本収入である原稿料を晒すのは当然だろう。とはいえ、漫画家の多くは自分の原稿料の多寡を公開しない。気になるのは税務署よりも同業者の視線だろう。嫉妬を買うのも格下に見られるのも、どっちもうれしくない話だ。それにページ単価がわかれば、その漫画家の収入は簡単に把握できる。法人にしていない漫画家の月収は原稿料×月産ページ数だ。単行本を出している場合は、その年の単行本刷り部数×定価×印税10%÷12を足す。アニメ、ゲーム、フィギュアなどの権利ビジネスは、ほとんどの漫画家には関係がない。  『アヴァール戦記』は通常12ページ。15万6,000円のお仕事だ。他にも連載を持っているからトータルの月収は100万円弱というところか? 後で触れるがこれは決して高収入ではない。  第1話で中村珍は担当編集者に、 「絵とかそんな込み入ったヤツ描かなくていいんですよね?」  と言ってのける。編集者も編集者で、 「あーもーあーもーテキトーでいーです!」  なんてアッサリ承認してしまう。当然のように中村珍は実践する。徹底して省力化をはかる。背景の白いヘニョヘニョの絵で、1ページ9分51秒でやっつける。時給換算7万8,000円のお仕事。確かにこれはオイシイ。これを俺みたいに「ひっでえな」と笑い転げる読者もいるが、挑発ネタとして消化できない真面目な読者もいるだろう。確実に怒る読者もいる。そのリスキーがまた笑いを倍加させる。  さらに現場のケチネタも投入する。アシスタントの作画の調子が悪い時には食事は安いカップ麺しか出さない。戦力にならない臨時アシには残り物のタッパーカレーだ。その上、給料払ってんのに食事まで支給するのは変だとグチをこぼす。友達のイラストレーターには不要品を売りつけて、なおかつページを埋めさせる。〆切がヤバくなれば、出来合いの背景トーン、ストックしてあった背景を容赦なく使う。  このあたりが帯文に言う「禁じ手」だ。よく言えば省力化、悪く言えば手抜きである。異論は多々あろうが、たとえクオリティーを落としてでも連載を落とさない。これがプロの漫画家の鉄則だ。いやまあ、まったくエラソーなことは言えない俺ですけど、業界のオヤクソクではそうなっております。たとえ、鉛筆の下書きでも入稿できないよりははるかにマシ。そういう世界なのだ。  そんなわけで、多かれ少なかれ漫画家は省力化を余儀なくされる(まったく省力化の必要がない人もいるが)。背景トーン、ストック原稿、コピー機とスキャナーとPhotoshopを駆使する。背景や小物の使い回しなんてかわいいほうで、キャラクターも拡大縮小コピーしてヘアスタイルを変えて使う超エコロジーな某大家もいたし、かつては不動産チラシの建物の写真をコントラストきつめにコピーして背景に使ってらっしゃった猛者もいた。コピーする時間すらもったいないと旧作の原稿から背景を切り取って使ったため復刻版が出せない漫画家もいる。  漫画家という職業に甘い夢を抱いている漫画家志望者や純真な漫画ファンには申し訳ないが、そーゆーもんなんである。もちろん夢も幻想も必要だ。それ抜きに漫画なんてショーバイは成り立たない。ただし、どんな業界でも現実は甘くない。収入ピラミッドのテッペンから20%のポジションにいる漫画家以外はほぼ自転車操業だ。例えば、サラリーマンで年収1,500万円というと大手企業の部長クラス以上だろうが、漫画家だとワリと普通にいる。ただ、これは年収ではなく年商と考えたほうがいい。大雑把に言って、年商から経費を引いたものが漫画家の年収だ。俺の知り合いの場合、年商1,500万円で年収300万円という漫画家がいる。他のもう少し売れている漫画家のケースで、年商3,000万円弱で経費は1,500万円強。年商が倍でも経費は200万円の差しかない。つまり、経費のほとんどが人件費だ。要するに漫画家は表現者であると同時に、下請けの家内制手工業の親方なのである。使い切れないほど稼げる漫画家ならカネとか権利の話はマネジャーに任せておけばいいが、そうじゃない80%の漫画家はコスト意識なしにはやっていけない。親方の肩にはアシスタントと呼ばれる職人さんたちの生活がかかっている。  その点、中村珍はコスト意識のはっきりした親方だと言えるだろう。ただし、この人のコスト感覚は少なくとも漫画を読む限りにおいては、どこか底が抜けている。アシスタントの食事の件も、調子良く仕事が進めば、銀座から寿司の出前を取るし、安く仕上げるはずの『アヴァール戦記』なのに細密でカッコイイ「ファンタジー漫画」絵のコストを説明するために実際にアシスタントを駆使して描き上げたはいいけど、大赤字を出してしまうし、バケツ一個を買わなかったばかりに震災の漏水事故で呆然となるし、一言足りないばかりに時間とカネを大幅にロスしてしまったりもする。  さすがに震災の120万円もの被害について、自己責任というのはムチャだが、それすらも、中村珍の「ケチ→ギャフン」な宿命のように感じられてならない。先述のように、どこまでがリアルかは別の話としても......。  『羣青』という大きな連載が完結した今後、中村珍の『アヴァール』はより切実なものになるはずだ。秋に出る第2巻では一体どんなことになっているのだろうか? ファンである俺はヤキモキし、鬼畜な俺はワクワクしているよ。 (文=永山薫)
アヴァール戦記 1 評価はわかれますが。 amazon_associate_logo.jpg
■【コミック怪読流】バックナンバー 【第7回】 分からなくってもダイジョーブ! 脳内麻薬を噴出させる異常な漫画『女子攻兵』 【第6回】リアルより魅力的かもしれない虚構はリアルが旬のうちに味わうべし『AKB49~恋愛禁止条例~』 【第5回】とことんブレない! 幕末でもヤンキー! おまけに下品~加瀬あつし『ばくだん! 幕末男子』~ 【第4回】人気はSNSのお陰? これからが勝負の絶望的活劇漫画~諫山創『進撃の巨人』~ 【第3回】小さく産まれて大きく育った、お風呂漫画~ヤマザキマリ『テルマエ・ロマエ』~ 【第2回】ホラー少女が鈍感力でライバルをなぎ倒す~椎名軽穂『君に届け』~ 【第1回】いっそゾンビな世の中に──花沢健吾『アイアムアヒーロー』

"80後"世代の代弁者 中国売れっ子写真家の「未来系アート」

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「Red Peach Blossom.2」(c)Chen Man
 『AKIRA』『ドラゴンボール』『ドラえもん』......子どものころ、僕らの心をアツくさせた漫画やアニメが、海の向こうに住むアジアの子どもたちの心にも火をつけていた。今や日本人だけのものではなくなった、ジャパニーズ・ポップカルチャー。その影響を受けて育った、アジアの才能豊かなクリエーターたちを紹介します。 第24回 フォトグラファー チェン・マン(陳漫/Chen Man)  中国で、今最もホットな写真家は?  と聞けば、100人中100人がチェン・マン(陳漫)の名前を挙げるだろう。Weibo (ユーザー数3億人超の中国のTwitter+Facebook的SNS)のフォロワー、なんと50万人。コン・リーやフェイ・ウォン、あのベッカムまでもが彼女にポートレートを撮ってほしいと熱望する、スーパーアイドル・カリスマ・フォトグラファーだ。  
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『DRAGON BALL 1』
(集英社)
「子どものころは、いわゆる中国人にとっての昔話の定番『西遊記』よりは、アニメの『天書奇談』や『哪吒鬧海(ナーザの大暴れ:中国の神話小説『封神演義』の一挿話を題材とした中国を代表する長篇アニメーション)』、それに『ドラゴンボール』に夢中になっていましたし、ミッキーマウスやドナルドダックは常に身近な友だちでした。そしてマイケル・ジャクソンの音楽を聞きながら、家族とはテレビの『春節聯歓晩会(年越しに放映される中国版大紅白歌合戦)』を見るという、さまざまなカルチャーがミックスした環境で育ったんです」  彼女は「80後(バーリンホウ)」と呼ばれる世代の代弁者でもある。中国の一人っ子政策の下で1980年代以降に生まれ、蝶よ花よと育てられ、高等教育を受けた、今や中国の産業構造を変えるほどの影響力を持つとされる「80後」は、中国がこの数十年で駆け抜けた超高速近代化の申し子だ。
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「Five Element-Water [Beauty]」(c)Chen Man
「私たちは、空想が実際の物に取って代わられることを目撃した、極めて現実的な世代と言われています。"富める条件のあるものから裕福になれ"という、80年代以降の改革開放政策後の中国の、怒涛のような発展と変化の波を浴びながら育った世代でもあります。インターネットに囲まれ、世界中のさまざまな情報が混沌と渦巻くグローバルな状態で、自分たちのアイデンティティを作り上げてきました」  彼女の作品には、そうした時間や東西の距離を越えた、混沌としたパワーが充満する中国の状態が、過剰なまでに見事に現れている。
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「Vision Golden Fish Goblin」(c)Chen Man
「現代の西洋的な技術革新と中国的な伝統的価値観の共存、というテーマは、私がアート作品を創る原動力でもあり、一貫したコンセプトでもあります」  もともとは絵を描くのが好きだったというチェン・マン。学生時代に写真とフォトショップという「絵画の拡張機能」に出会い、自分のイマジネーションを100%表現できる手法を「発見」したという。一見、どこまでが写真でどこまでがポスト・プロダクションか分からない彼女の作品には、さまざまな「絵解き」が隠されている。一つの要素が物語を語り出すと、カラフルな全体像が別の色を帯びて見え始め、まるで一遍の絵物語を鑑賞しているようだ。  また、チェン・マンは、中国古代からの哲学概念である「天人合一」を常に意識している。これは、自然界を大宇宙とするなら、人(人体)は小宇宙であり、構造は同じものだという考え方で、自然界と人間はお互いに影響し合うものだという。この思想は、現代の中国社会にも脈々と生き続けているが、しかし、急速な経済発展によって、中国の生態環境は憂うべき状態に陥っている。それを改善するためには、人々の意識の改革が求められている、とチェン・マンは言う。
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「Four Seasons-Spring [Beauty]」(c)Chen Man
「難しいことではないんです。私は、内面的な平安や清らかさが、自分を取り巻く外部の環境に影響すると考えています。だから、まずは自分たちを愛し、意識することが大事だと思うんです」  プライベートでは2児の母で、子どもの話になると途端にメロメロになってしまうチェン・マン。彼女がこうした思想を持つに至ったのは、アーティストである以上に、自分が母という存在になったことも大きいのかもしれない。  昨年11月に、上海のMOCA(上海現代美術館)で、チェン・マンの一大回顧展が開催された。オープニング・レセプションでは、31歳にしてチャイナ・ドリームを掴んだ彼女と一緒に写真の収まろうと、中国のセレブやトップモデルが列をなす光景に驚かされた。  そんなスーパースター、チェン・マンの日本での初個展(http://www.diesel.co.jp/art/exhibition.html)が東京で開かれている。
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「Super Woman」(c)Chen Man
「本当にわくわくしています。日本にはまだ行ったことがないのですが、私にとっての日本は『ドラえもん』であり『ドラゴンボール』です。小さいときに日本の漫画に夢中になりましたが、日本の作品は真面目で、すべてをきちんと仕上げる姿勢に影響を受けました」  彼女はまた、環境に対する日本の合理的な思想やアプローチを評価しており、もっと世界に広めるべきだと言う。なぜならそれは、「愛と美のスタイルが見事に調和したものだと思うからです」。  世界中から仕事のオファーが引きも切らないチェン・マン。現在、個人的なアート・プロジェクトも目白押しだという。 「中国と西洋の素晴らしさ共存させ、自分独自の視覚言語としての表現をさらに拡げた新作を考えているところです」  自分の作品から「愛」を感じとってもらえるとうれしい、というチェン・マンの、「未来系アート」を堪能できる機会は、今後も増えていくに違いない。 (取材・文=中西多香[ASHU]) portrait-of-chen-man.jpg ●チェン・マン フォトグラファー。1980年、中国・モンゴル自治区に生まれ、北京で育つ。中国中央美術学院でグラフィック・デザインと写真を専攻する。在学中に開始した中国のファッション誌「VISION」の表紙の連作が中国雑誌史上最もユニークなカバーイメージと評価され、セレブリティから撮影オファーが殺到。「80後(バーリンホウ)」=「一人っ子政策」世代を代表するチェン・マンは、チャイナ・ドリームを象徴する存在でもある。「VOGUE」「ELLE」「Esquire」(いずれも中国版)を始め、世界中のファッション誌でも活躍。作品は、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(ロンドン)や今日美術館(北京)などに収蔵されている。<http://www.chenmaner.com> ●なかにし・たか アジアのデザイナー、アーティストの日本におけるマネジメント、プロデュースを行なう「ASHU」代表。日本のクリエーターをアジア各国に紹介するプロジェクトにも従事している。著書に『香港特別藝術区』(技術評論社)がある。<http://www.ashu-nk.com > オンラインTシャツオンデマンド「Tee Party」<http://teeparty.jp/ashu/>
DRAGON BALL 1 つっかも~ぜ~♪ amazon_associate_logo.jpg
■バックナンバー 【vol.23】「ヤクルトとカップヌードルに洗礼?」MOJOKOのユーモラスな世界 【vol.22】「狂気とポップカルチャーが融合!? 香港のアーティストが追求する"不完全な美" 【vol.21】「人間の欲望を視覚化?」香港人気キャラの生みの親が追求する"醜さの美学" 【vol.20】「故郷・ボルネオ島での原体験が創造力の源」世界で活躍するマレーシアの"ケンヂ" 【vol.19】「人生に起きるすべてのことを細かく観察したい」中国ネット世代のアーティスト 【vol.18】「ヒーローは宮崎駿と奈良美智」シンガポールのマルチスタイル・アーティスト 【vol.17】「ルーツは『天空の城 ラピュタ』」ウォン・カーウァイに見い出された香港の若き才能 【vol.16】怖かわいい魑魅魍魎が暴れ回る! ヤン・ウェイの妖魔的異界 【vol.15】「原点は日本のコミック」東南アジアを席巻する都会派クリエーター 【vol.14】エロ×宗教×故事が混在!? 中国版・寺山修司が造り出すカオスな世界 【vol.13】昼間はOL、夜は寡黙なアーティスト ソン・ニが描く秘密の快楽の世界 【vol.12】まるで初期アニメ ローテクを駆使する南国のアート・ユニット「トロマラマ」 【vol.11】「造形師・竹谷隆之に憧れて......」 1000の触手を持つ、マレーシアのモンスター 【vol.10】"中国のガロ系"!? 80年代以降を代表するコミック・リーダー ヤン・コン 【vol.9】大のラーメンおたく!? シンガポールデザイン界を率いる兄貴、クリス・リー 【vol.8】メイド・イン・ジャパンに憧れて...... 香港の文学系コミック作家・智海 【vol.7】「血眼になってマンガを追いかけた」海賊版文化が育んだ中国の新しい才能 【vol.6】裸人間がわらわら 香港ピクセル・アートティストが放つ"アナログデジタル"な世界 【vol.5】ダメでも笑い飛ばせ! 香港の国民性を体現したグラフィック・ノベリスト 【vol.4】「教科書はガンダムの落書きだらけだった」 香港・原色の魔術師の意外な原点 【vol.3】「懐かしいのに、新しい」 読むほどにクセになる"タイ初の日本漫画家"タムくん 【vol.2】 マイブームはBL!? 香港の腐女子が描きとめる、消えゆく都市の記憶 【vol.1】「 :phunk版ガッチャマンが作りたい」 シンガポール発のデザイン集団が描く夢

"80後"世代の代弁者 中国売れっ子写真家の「未来系アート」

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「Red Peach Blossom.2」(c)Chen Man
 『AKIRA』『ドラゴンボール』『ドラえもん』......子どものころ、僕らの心をアツくさせた漫画やアニメが、海の向こうに住むアジアの子どもたちの心にも火をつけていた。今や日本人だけのものではなくなった、ジャパニーズ・ポップカルチャー。その影響を受けて育った、アジアの才能豊かなクリエーターたちを紹介します。 第24回 フォトグラファー チェン・マン(陳漫/Chen Man)  中国で、今最もホットな写真家は?  と聞けば、100人中100人がチェン・マン(陳漫)の名前を挙げるだろう。Weibo (ユーザー数3億人超の中国のTwitter+Facebook的SNS)のフォロワー、なんと50万人。コン・リーやフェイ・ウォン、あのベッカムまでもが彼女にポートレートを撮ってほしいと熱望する、スーパーアイドル・カリスマ・フォトグラファーだ。  
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『DRAGON BALL 1』
(集英社)
「子どものころは、いわゆる中国人にとっての昔話の定番『西遊記』よりは、アニメの『天書奇談』や『哪吒鬧海(ナーザの大暴れ:中国の神話小説『封神演義』の一挿話を題材とした中国を代表する長篇アニメーション)』、それに『ドラゴンボール』に夢中になっていましたし、ミッキーマウスやドナルドダックは常に身近な友だちでした。そしてマイケル・ジャクソンの音楽を聞きながら、家族とはテレビの『春節聯歓晩会(年越しに放映される中国版大紅白歌合戦)』を見るという、さまざまなカルチャーがミックスした環境で育ったんです」  彼女は「80後(バーリンホウ)」と呼ばれる世代の代弁者でもある。中国の一人っ子政策の下で1980年代以降に生まれ、蝶よ花よと育てられ、高等教育を受けた、今や中国の産業構造を変えるほどの影響力を持つとされる「80後」は、中国がこの数十年で駆け抜けた超高速近代化の申し子だ。
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「Five Element-Water [Beauty]」(c)Chen Man
「私たちは、空想が実際の物に取って代わられることを目撃した、極めて現実的な世代と言われています。"富める条件のあるものから裕福になれ"という、80年代以降の改革開放政策後の中国の、怒涛のような発展と変化の波を浴びながら育った世代でもあります。インターネットに囲まれ、世界中のさまざまな情報が混沌と渦巻くグローバルな状態で、自分たちのアイデンティティを作り上げてきました」  彼女の作品には、そうした時間や東西の距離を越えた、混沌としたパワーが充満する中国の状態が、過剰なまでに見事に現れている。
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「Vision Golden Fish Goblin」(c)Chen Man
「現代の西洋的な技術革新と中国的な伝統的価値観の共存、というテーマは、私がアート作品を創る原動力でもあり、一貫したコンセプトでもあります」  もともとは絵を描くのが好きだったというチェン・マン。学生時代に写真とフォトショップという「絵画の拡張機能」に出会い、自分のイマジネーションを100%表現できる手法を「発見」したという。一見、どこまでが写真でどこまでがポスト・プロダクションか分からない彼女の作品には、さまざまな「絵解き」が隠されている。一つの要素が物語を語り出すと、カラフルな全体像が別の色を帯びて見え始め、まるで一遍の絵物語を鑑賞しているようだ。  また、チェン・マンは、中国古代からの哲学概念である「天人合一」を常に意識している。これは、自然界を大宇宙とするなら、人(人体)は小宇宙であり、構造は同じものだという考え方で、自然界と人間はお互いに影響し合うものだという。この思想は、現代の中国社会にも脈々と生き続けているが、しかし、急速な経済発展によって、中国の生態環境は憂うべき状態に陥っている。それを改善するためには、人々の意識の改革が求められている、とチェン・マンは言う。
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「Four Seasons-Spring [Beauty]」(c)Chen Man
「難しいことではないんです。私は、内面的な平安や清らかさが、自分を取り巻く外部の環境に影響すると考えています。だから、まずは自分たちを愛し、意識することが大事だと思うんです」  プライベートでは2児の母で、子どもの話になると途端にメロメロになってしまうチェン・マン。彼女がこうした思想を持つに至ったのは、アーティストである以上に、自分が母という存在になったことも大きいのかもしれない。  昨年11月に、上海のMOCA(上海現代美術館)で、チェン・マンの一大回顧展が開催された。オープニング・レセプションでは、31歳にしてチャイナ・ドリームを掴んだ彼女と一緒に写真の収まろうと、中国のセレブやトップモデルが列をなす光景に驚かされた。  そんなスーパースター、チェン・マンの日本での初個展(http://www.diesel.co.jp/art/exhibition.html)が東京で開かれている。
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「Super Woman」(c)Chen Man
「本当にわくわくしています。日本にはまだ行ったことがないのですが、私にとっての日本は『ドラえもん』であり『ドラゴンボール』です。小さいときに日本の漫画に夢中になりましたが、日本の作品は真面目で、すべてをきちんと仕上げる姿勢に影響を受けました」  彼女はまた、環境に対する日本の合理的な思想やアプローチを評価しており、もっと世界に広めるべきだと言う。なぜならそれは、「愛と美のスタイルが見事に調和したものだと思うからです」。  世界中から仕事のオファーが引きも切らないチェン・マン。現在、個人的なアート・プロジェクトも目白押しだという。 「中国と西洋の素晴らしさ共存させ、自分独自の視覚言語としての表現をさらに拡げた新作を考えているところです」  自分の作品から「愛」を感じとってもらえるとうれしい、というチェン・マンの、「未来系アート」を堪能できる機会は、今後も増えていくに違いない。 (取材・文=中西多香[ASHU]) portrait-of-chen-man.jpg ●チェン・マン フォトグラファー。1980年、中国・モンゴル自治区に生まれ、北京で育つ。中国中央美術学院でグラフィック・デザインと写真を専攻する。在学中に開始した中国のファッション誌「VISION」の表紙の連作が中国雑誌史上最もユニークなカバーイメージと評価され、セレブリティから撮影オファーが殺到。「80後(バーリンホウ)」=「一人っ子政策」世代を代表するチェン・マンは、チャイナ・ドリームを象徴する存在でもある。「VOGUE」「ELLE」「Esquire」(いずれも中国版)を始め、世界中のファッション誌でも活躍。作品は、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(ロンドン)や今日美術館(北京)などに収蔵されている。<http://www.chenmaner.com> ●なかにし・たか アジアのデザイナー、アーティストの日本におけるマネジメント、プロデュースを行なう「ASHU」代表。日本のクリエーターをアジア各国に紹介するプロジェクトにも従事している。著書に『香港特別藝術区』(技術評論社)がある。<http://www.ashu-nk.com > オンラインTシャツオンデマンド「Tee Party」<http://teeparty.jp/ashu/>
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「利用者は顧客ではなく広告主への商品?」Facebookの思わぬ落とし穴

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「ニューズウィーク日本版」2月22日号
第1位 「SNS フェイスブックの落とし穴」(「ニューズウィーク日本版」2月22日号) 第2位 「『メモ』を巡る夫婦の肖像――田中防衛相異聞」(「週刊新潮」2月23日号) 第3位 「無毛ヌード時代を始めよう」(「週刊現代」3月3日号)  2月18日朝日新聞朝刊のオピニオンページに「スキャンダラスな政治」と題してノンフィクション・ライターの西岡研介がこんなことを話している。 「今、政治スキャンダル報道は読まれていないと感じています。市井の人々の怒りを喚起できていない。それどころか、社会の共感すら得られていない。何で、こうなったんやろって思ってます」  竹下登や野中広務のようなタフで魅力的な政治家がいなくなり、小物政治家ばかりになったことでスキャンダルも薄っぺらになった一方、「小泉純一郎さんや橋下徹さんみたいな、けんか上手で発信力に優れた政治家に僕らは勝てんのです。だって彼らはタレント、スターやから。こと情報発信においては、素人はスターには勝たれへんのです」  小泉や橋下がスターで情報発信力があるから、メディア、特に雑誌メディアが勝てないというのは合点がいかない。要は、小泉のときは仮想敵を作り、「ぶっ潰す」というキャッチフレーズのまやかしをひっくり返すだけの論理をメディア側が持てないで翻弄されてしまった。橋下の場合も「それがどうした」と切り返せる程度のスキャンダルしか掘り起こせていないからではないか。  小泉元首相の構造改革の誤りは、西岡があげているようにNHKスペシャルの『ワーキングプア』や『無縁社会』なども含めて、さまざまなメディアで検証されつつある。  橋下市長の唯我独尊的大風呂敷も、必ず自ら口から出まかせで掘った落とし穴があるはずである。小泉ブームのときのような失敗に懲りて、じっくり腰を据えて橋下という人間を調べ、取材を尽くしてほしい。  そうしたスキャンダルを乗り越えて橋下がこのまま突き進んでいくのなら、危ういところは多々あるが、もしかすると希代の宰相になる器なのかもしれない。  そのはるか手前で、西岡ともあろう敏腕スキャンダル記者が「勝てへん」とあきらめないでほしいと思うのだ。  さて今週は特集に見るものがなく、グランプリ以外は小粒なラインナップになってしまった。  第3位は「週刊現代」の袋とじ。ヘア・ヌードから無毛ヌード時代がきたというのが「現代」の主張(?)らしい。  昔、無毛はパイパンなどといわれて貴重だったが、昨今ではヨーロッパを中心に、当たり前になってきているというのだ。確かに「生理のとき、蒸れなくて楽なんです」「元彼に毛じらみをうつされたんですよ」という悩みから解放されることもあるのだろう。「脱毛エステ」なるものもできているようだ。  「ワンダーアップ上野店」の宮原千晴店長は、「当店ではハイジニーナ脱毛まで希望される女性が多いですね」と言う。ハイジニーナ脱毛とはVライン=デルタ地帯、Iライン=性器周辺、Oライン=肛門周辺のすべてを無毛にすることだ。  このVIOすべてをしてもらうコースはなんと13万9,000円である。  しかしカメラマンからすると、無毛ヌードはヘア・ヌードよりも撮り方が難しいそうだ。 「毛で性器が隠れるので、ヘア・ヌードはそれほど工夫はいりません。しかし、無毛の女性の場合、縦のラインを見せずにいかに無毛であることを表現するかが難しい。ライティングや撮る角度など、写真家の腕が試されるんです」(カメラマン・小倉一真)  われわれの世代が若い頃、古本屋から買ってきたアメリカ直輸入の「PLAYBOY」は宝物だった。ドキドキしながら見たピンナップガールの大事なところは、ほとんどが黒く塗り潰されていたが、そうではないヌードもいくつか拝めた。それは無毛かそれに近い産毛のような薄いヘアで、まだティーンエージャーかと思うほど幼く見える女性だった。  性器はもちろん見えないが、ヘアが写っていなければワイセツではないと判断されたのだろうか。確かにそのヌードを見て、若い頃の自分でも十分には発情しなかった。  世は草食系男子が増えているといわれるのに、猥褻さが薄れて清潔感あふれる女性ばかりでは、ますますこの国の少子化に歯止めがかからなくなってしまうと「憂慮」するのは余計なお世話か。  2位は「新潮」のモノクログラビア3ページ。1ページ目は田中直紀防衛相のカミさんである田中真紀子が近所のスーパーマーケットで買い物する姿を撮っている。  マスクをして買い物するメモをじっと眺めている姿がフツーの主婦らしくていい。ここで鯛の切り身、切り干し大根やらしめて5,000円あまり買ったという。  さて、一方の夫君は防衛大臣になってから袋叩きにあっているが、以下は国会の委員会審議中に秘書官が田中防衛相に手渡したメモの内容である。  「新潮」が望遠で撮って、安保や防衛にかかわる重大情報かと「解読」したらアレレレレ~ッ。 「この薬は1日1回です また良くならない場合は別の薬もあるので相談して下さい とのことです。昼食は何を注文しますか? (1)サンドイッチ (2)おにぎり (3)カレー (4)定食 (5)カツ丼」  自民党議員の間では、官僚の言いなりの田中防衛相を評して、腹話術の人形のようだから「政界のいっこく堂」といわれているそうだ。  いくらなんでも、これでは田中防衛相がかわいそうではないか。彼が防衛問題はおろか経済や金融にはまったく関心もなく知識もないのは、誰でも知っていたことではないのか。それは彼が無知だったからではない。これまでの全人生をひたすら妻・真紀子のポチとして生きてきた結果である。  田中角栄が田中直紀を娘・真紀子の夫にしたのは、従順で娘にかしずく男だと見て取ったからだ。その役割を忠実にこなして生きてきただけの男を、防衛という重要な大臣に指名した野田佳彦総理に全責任がある。  憲法もろくに読んだことのない史上最低の防衛大臣などとメディアはこき下ろすが、彼にしてみれば防衛はおろか大臣の椅子など欲しがったことは、これまで一度もなかったのではないか。71歳にもなって、バカだアホだと言われなくてはいけない田中防衛相の哀れな姿をテレビで見るたびに、落涙しそうになる。  田中防衛相よ、早く辞表を出して議員も辞め、一主夫になったほうがいい。あなたは背広に議員バッチよりエプロン姿のほうが似合うと思うよ。  今週のグランプリに輝いたのはニューズウィーク日本版の「Facebook」批判記事である。  新規の株式公開(上場)を米証券取引委員会に申請した「Facebook」の時価総額は最大1,000億ドル(約7兆6,000億円)に上るとみられている。  「Google」をも上回り急拡大するSNSの怪物サイトについて、個人情報の観点からこれほど鋭く斬り込んだ記事は、私が知る限り日本ではなかった。  私も「Facebook」に1年以上前に登録したが、まだ1度も開いたことがない。それは、このサイトに付きまとうある種のいかがわしさだったが、この記事を読んでその正体がよくわかった。  まずは、以前アップルの創業者スティーブ・ジョブズになりすましたブログで名を馳せた『ニューズウィーク』のテクノロジー担当記者ダニエル・ライオンズが、今度は「Facebook」のマーク・ザッカーバーグに扮して書いた手紙。これがすこぶる面白い。 「実を言えば私どもは、皆さんのプライバシーを守ることには何の関心もありません。あると信じている皆さんは、私どもの想定外の愚か者です。もちろん私どもは最初から、皆さんが相当の愚か者だと想定していました。考えてもみてください。私どもの事業が成り立つのは、ひたすら皆さんの行動を追い掛け回し、その情報を広告主に売っているからです。この事実に、まさかお気付きでないとか? 皆さんは私どもの顧客ではありません。私どもの売る商品です。私どもが皆さんを守ると言うのは、養鶏業者が『ニワトリに快適な暮らしをさせる』と約束するようなもの。所詮は口先だけ、本気ではありません。(中略)そもそもインターネット上のビジネスは、皆さんがサービスを利用するに当たり、現金の代わりに自分の個人情報で支払うという斬新なビジネスモデルによって成り立っています」  「プライバシーはクソです」とも言っている。  「Facebook」は利用者が流したその人間や友達の大量な情報をまとめ、分析し、広告主に売りつけているのだ。  しかも、同社は個人情報に関するルールを次々に変更し、利用者がますます多くの個人情報を暴露しなければいけないように仕向けている。  さらに背筋が寒くなる事実があると書いている。「Facebook」は、会員たちが同サイトにログインしていないときも、どのサイトを訪れていたのか追跡していたことを、渋々認めたという。  2年前に、「Facebook」が会員向けに選別して送り付ける大量の広告を分析すれば、その会員が同性愛者であることを推認できるという調査が発表されている。  上場すればこの傾向がますます強くなると警告する。 「ソーシャル・ネットワーキングの世界を動かす現在のビジネスモデルでは、サービス提供者は利用者の私生活をひたすら詮索するしかない。株式を公開すれば利益の最大化を求める投資家の圧力が増すから、この傾向はさらに強まるだろう」  そして筆者は、どうしても「Facebook」を利用したいのなら、唯一の安全策は常に自分を「検閲」し続けるしかないという。ソーシャルメディアは表現を奨励するのではなく萎縮させる力となるのだ。  こうしたビジネスモデルは「Google」も同じだ。先日、60あまりのサービスの利用者情報をすべてシェアできるように個人情報のルールを変更した。Twitterも同様なビジネスモデルを構築しようとしている。  それでも実名を基本とする「Facebook」が一番プライバシーの敵になるとして、こう激しく批判している。 「フェイスブックはいつもこうだ。長い間、同社はユーザーの個人情報を広告主と共有することはないと主張してきた。だが、実際には、そんなことは最初からやっていたのだ。筆者は25年にわたってテクノロジー分野の取材を続けてきたが、これほど楽々と、恥ずかしげもなく明らかな嘘をつく会社は初めてだ」  こうしたIT企業の常として、情報公開はしないし記者会見で自由な質疑に応じることもない。こうしたことに注意を払わないユーザーに、これでは「Facebook」の思うツボだと注意を促し、こう締めくくる。 「はっきり言おう。利用者はフェイスブックの顧客ではない。広告主に売る商品だ。フェイスブックを使うなとは言うまい。だが使うときには、自分が誰に、何を売り渡そうとしているのかをよく考えてほしい」  日本でも「Facebook」の利用者が1,000万人になったそうだ。だが、日本人は自分の個人情報がどう侵害、利用されているのか無関心な国民である。  先頃、野田政権が、国民に1人ずつ番号を付けて納税記録や社会保障などの個人情報を管理する「共通番号制度(マイナンバー)」を導入するための法案を閣議決定した。いわゆる「国民総背番号制」である。  あきれたことに朝日新聞は2月19日の社説で「国や地方の財政は厳しい。所得や資産に応じてきちんと納税してもらい、本当に必要な人に漏れなく給付が行き渡るようにしなければならない。(中略)制度の必要性では、与野党の間に大きな争点はないだろう。一体改革と切り離して議論を進めてはどうか」と賛意を表明したのである。  その上、「番号制をめぐっては過去に納税者番号として何度か浮上し、懐を探られることへの反発から頓挫してきた歴史がある」とも書いている。  「国民総背番号制」は懐を探られるから反対したのではない。個人のプライバシーを権力側に一方的にすべて握られることへの「警戒心」から反対したのである。  個人情報やプライバシー保護に関心がないから、個人情報保護法のような最悪の法律が成立し、教育現場や福祉の現場で情報を共有できない深刻な事態が起きているのだ。  IT評論家なる者の多くに、ネットやSNSが拡がればバラ色の世界が拡がるなどとたわけたことを抜かしている輩がいるが、これからの時代は一つ間違えばジョージ・オーウェルが『1984』で描いたような監視国家になる。「Google」や「Facebook」はそのお先棒を担いでいるのではないか。  そうした現実をこの記事は教えてくれる。こうした痛烈な警告記事をこの国のメディアでも読んでみたいものである。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか
フェイスブック 若き天才の野望 知ってたけど。 amazon_associate_logo.jpg
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芸人仲間から心配の声続々……オセロ中島のほんとのところ(2月上旬の人気記事)


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 赤西仁&黒木メイサの電撃デキ婚が大きな話題となった2月上旬。日刊サイゾーでも毎日のように新情報をお伝えしていますが、そんな話題には目もくれず、日刊ユーザーの心をつかんだのはオセロ・中島知子の深刻な近況と、AKB48高橋みなみ母の淫行事件。みなさん、下世話な話題が大好物のようです。  それでは、2月上旬の日刊サイゾー人気ランキング、スタートです!! 第1位 「顔面をセロテープだらけにしていた」オセロ・中島知子の芸能界復帰どころじゃない現状 トモちゃん......。 第2位 AKB48高橋みなみ母の淫行逮捕 時事・共同以外の大手マスコミは"事務所の意向"でスルー これだから大手さんって......。 第3位 「迫るXデー」"篭城"するオセロ・中島知子にいよいよ警察権力が介入か どんなツラした霊媒師なのかしらん。 第4位 AKB48"まゆゆ"渡辺麻友 撮影中に「1時間寝る!?」主演ドラマ現場でスタッフは爆発寸前 人気ないコとワークシェアリングしたら? 第5位 「嵐・二宮の影響で......」女優を目指すも仕事がない佐々木希 ついに"引退宣言"!? のんちゃんは笑ってればいーの! 次点 福山雅治が通い詰める、謎の隠しスポット"マンキャバ"って何? 一見さんお断り? 次々点 早乙女太一と熱愛の西山茉希 実はまだ元KAT-TUN赤西仁と「やり直したい!?」 今さら熱愛宣言って誰得?

そして『孤独のグルメ』だけが残った……月刊「PANjA」とB級グルメの栄枯盛衰

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月刊「PANjA」創刊号(1994年8月)
 ついに実写ドラマにまでなった人気マンガ『孤独のグルメ』。最初の連載が1994年だから、大変息の長い作品である。でも、もう誰も覚えていないのではないか。『孤独のグルメ』が連載されていた雑誌・月刊「PANjA」(扶桑社)のことなんて......。  「PANjA」は、週刊「SPA!」(同)の黄金時代を築いた渡辺直樹を編集長に、94年に創刊された。「40歳になったら東洋文庫をやりたい」と入社した平凡社で、月刊「太陽」(当時の編集長は、嵐山光三郎こと祐乗坊英昭)を経て、嵐山と共に東急池上線の長原駅近くの八百屋の2階に間借りして開業した青人社で「月刊ドリブ」を創刊した渡辺が、「SPA!」の2代目編集長として招かれたのは89年のことだ。  「SPA!」は88年6月に「サンケイ新聞」が「産経新聞」へ題字変更するのに伴い、「週刊サンケイ」をリニューアルする形で創刊された。初代編集長にはフジテレビで『おはよう!ナイスデイ』などを担当していたプロデューサーの宇留田俊夫が招かれたが、新聞社の発行する週刊誌の枠からの脱却は難しく、売り上げは伸び悩んでいた(当時の「噂の眞相」でも「早くも廃刊か?」と書かれていたので、相当ヤバかったようだ)。
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都築響一の連載も、ウンチクを教えてくれるテイスト。
15年余り前、まだ「知るは楽しみなり」だったと回想。
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月刊誌の余裕なのか、ページデザインが「贅沢」な感じ。
 編集長に就任した渡辺は、デザイン・企画など誌面改革に着手する。そして、雑誌が大化けしたのは、幾人ものメディアスターの登場からだった。流行語「オヤジギャル」を生み出した、中尊寺ゆつこの「スイートスポット」、宅八郎の「イカす!おたく天国」、小林よしのりの「ゴーマニズム宣言」(小林を推薦したのは、後にオウム真理教の取り扱いをめぐって激しく対立する靍師一彦である)と、毎号買いたくなる連載が並んだ。その勢いに乗って、94年6月に創刊された「PANjA」は、いわば「SPA!」を濃厚に煮詰めたとでもいうべき「味付けの濃い」月刊誌であった。  創刊号の巻頭特集は「美人にバカはいない」。「セカンド・ビューティーは美人じゃない」「やっぱり顔が大事」「美人は心が安定している」といった見出しが続く「濃い」特集だ。総ページ数192ページのうち、巻頭特集は40ページにわたって続けられる。こういった世間を斜め読みするとか、ある一定の条件で世間の人をカテゴライズするといったテーマの記事は「SPA!」の巻中カラーページの得意技だったが、ページ数はせいぜい6ページ程度。「『SPA!』も読んでいるから、こちらも買ってみよう」という読者でも途中で満腹になってしまうテイストであった。
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文字中心の構成でもデザインにこだわった感じが見受けられる。
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日経新聞の「私の履歴書」をパロッたコラムも。
やはり好き嫌いが分かれる味付けだ
 同じく連載の味付けも濃かった。大泉実成の連載「ニッポンのお葬式」は、大山倍達(94年4月死去)からスタート。小林よしのりの対談マンガ『聖人列伝』の第1回目は小沢一郎である(この連載ではその後、美輪明宏なんかも登場する)。  これだけでも一目瞭然だと思うが、よくも悪くも、マニア受けという言葉がよく似合うページ構成である。その後も、ボリュームのある巻頭特集と第2特集を中心に据えたスタイルは休刊まで継続するが、テーマは一貫して濃かった。「恋の本音は男性上位でお願い!」「戦争への押さえがたい誘惑」「頭の良い悪い新基準」「ニッポンB級グルメ最終論争」おそらく最近だったら、このネタひとつで新書にしてしまうのではないかというタイトルが並ぶ。振り返れば、90年代半ばの「これから、世の中はどうなるんだろう」という、予想もつかない怪しさを詰め込んでいたように読める。
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95年10月号。今でも、ちょっと買い
にくい表紙だと思う。
 この怪しさに惹かれるのはごく一部だったようで、売り上げは芳しくなくリニューアルは繰り返された。途中から「大人のクロスセックス・マガジン」というコンセプトを立ててみたり、末期には「保存版」と銘打ってオペラからマンガまで、1回ワンテーマでさらに濃いウンチクを語るページまで設けられた。当時、筆者はリアルタイムで購入していたのだが、もっとも驚いたのは95年の10月号だ。この数号前から「篠山紀信の女子小学生表紙シリーズ」と銘打った表紙のリニューアルが行われていたが、この号は海辺で裸にシーツを巻いただけの女子小学生が表紙で、とてつもなく買いにくかった記憶がある(なお、グラビアでは栗山千明と吉野紗香も登場しているので、その手の趣味の人には貴重らしい)。  短期間の間に、さまざまなリニューアルを試みた「PANjA」だが、なんら予告もなく96年6月号で突如休刊が告知される。休刊は編集部にも予告なく経営側の決定でなされたことから、「SPA!」での宅八郎VS小林よしのり騒動による『ゴーマニズム宣言』撤退以来の部数低迷の影響や、社屋移転(この前年に扶桑社は曙橋から現在の浜松町へ移転)によって外部の人間が寄りつかなくなった影響などさまざまな憶測が流れた。  休刊に伴い、渡辺は自ら希望して書籍編集部に異動した後に、アスキーへ移り「週刊アスキー」を創刊することになる......。 ■そして、『孤独のグルメ』だけが残った  短命だった「PANjA」で久住昌之・谷口ジローによる『孤独のグルメ』の連載が始まったのは、94年10月号。「東京都台東区山谷のぶた肉いためライス」に始まった連載は「東京都千代田区秋葉原のカツサンド」まで続いて一旦中断。復活した「東京都渋谷区渋谷百軒店の大盛り焼きそばと餃子」が掲載されたのは、休刊号であった。連載されていた当時、雑誌の売れ行きが低迷していたこともあるのか、この連載はまったく注目されていなかった。休刊の翌年、97年10月に単行本が発売されるものの、まったく話題にはならなかった。
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『孤独のグルメ』
 おそらくは、このまま「知る人ぞ知る」マニアな作品として消えていく運命にあっただろう。ところが、21世紀に入るころからだろうか「B級グルメ」が注目されるようになると共に、この作品も脚光を浴びるようになる。明確な確証は得られないが、最初はインターネットで幾人かの読者が、モデルになった店を実際に探し当てて訪問する一種の「聖地巡礼」的な形態で注目されていたように思われる。2000年2月には文庫版が発売されているが、その時期から徐々にメジャーな作品となっていたように思われる(大宅壮一文庫で確認した限り、一般誌への初出は「週刊文春」1998年1月15日号でマンガ家の吉田戦車が「いま誰かに贈りたい本」で取り上げている記事)。  「B級グルメ」の歴史は意外に古い。「B級グルメ」の言葉の産みの親である、フリーライターの田沢竜次によれば、最初に記したのは85年だという。主婦と生活社が発行していた情報誌「月刊アングル」で連載された「田沢竜次の東京グルメ通信」をまとめた『東京グルメ通信』(主婦と生活社、85年12月)において、帯に「B級グルメの逆襲」と記したと田沢は証言する。加えて、同書の巻頭で田沢は「B級グルメ宣言」と称して「腹ぺこ精神」「限られた予算で最大の効果をあげる食の知恵」「恐怖感」「権威にびびらない」「細部へのこだわり」「歩くこと」「脱ブランド、反ファッション」の七つのテーゼを掲げている。
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『東京グルメ通信』
 その後「B級グルメ」という言葉は、次第に広まっていくが、田沢の掲げたテーゼは容易には浸透していかなかった。どちらかというと、丼物やラーメン、蕎麦などのグルメネタを総じて扱うときに都合のよい言葉として扱われていた感もある。「B級グルメ」のテーゼが一般に広まって行くには、長い年月が必要だった。  久住昌之は「ユリイカ」(青土社)2011年9月号のインタビューで、「『孤独のグルメ』の連載当初、テレビでも雑誌でもグルメブームで食べ歩きとかがすでに流行っていた。ラーメンやカレーとか、手打ち蕎麦とか。編集者は、それにちょっとウンザリしていて、違う方向性をみせられないかということで、ぼくに依頼してきたと思うんですね」と語っている。  渡辺は「"価値相対主義"では限界があると思ったから、確固とした新しい価値観を想像しようと月刊で『PANjA』を創刊したんです」(「噂の眞相」97年3月号)と語っている。『孤独のグルメ』をロングセラーにしたのは、食という行為において押しつけではない「B級グルメ」のテーゼが、知らず知らずのうちに浸透したゆえだと解釈できる。もっとも「B-1グランプリ」の大規模化に見られるように、「権威にびびらない」とか「脱ブランド、反ファッション」がまた忘れ去られているのも、歴史の必然だろうけど。  この文章を記すにあたって「B級グルメ」の初出を確認するために田沢に電話した時に思い出したのだが、以前、別の取材で田沢と四ツ谷駅近くの飲み屋に行ったとき「特定の店の常連にならないように気をつけている」と語っていた。彼こそ、『孤独のグルメ』以前からの「孤独のグルメ」の実践者ではあるまいか。 (文=昼間たかし 文中敬称略) ※なお『孤独のグルメ』と同じく「PANjA」に連載されていた岡野玲子の『妖魅変成夜話』も、その後継続しているので正確には「マンガだけが残った」である。念のため。
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■「100人にしかわからない本千冊」バックナンバー 【第3回】「いけないCOMIC」1985年1月号大特集 戸川純にただ単にミーハーしたいっ! 【第2回】あの頃、俺たちはこんな本でモテようとしていた『東京生活Qどうする?』 【第1回】超豪華"B級"文化人がロリコンで釣ってやりたい放題『ヘイ!バディー』終刊号

ピラミッドは古代からのメッセージ!? 歴史ミステリー『ピラミッドの謎』

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その大きさで否応なく人目を惹くギザの大ピラミッド。何のために造ったのかとまず疑問を抱かせることが目的だった?
 豊臣秀吉は6本指だった! 幻のアトランティス大陸は南極大陸のことだった! オーストリアで見つかった700年前の壁画にミッキーマウスが描かれていた! 世間一般では"トンデモ系"と称されているが、この手の歴史異聞を耳にするとザワザワするじゃないですか。教科書には載っていない情報に、頭の中がシュワシュワシュワ~となって、脳ミソがトロピカルジューシーになりますよ。2月18日(土)から公開されるフランス映画『ピラミッドの謎 5000年の嘘』は、これまでの古代エジプトに関する常識を覆す驚愕の歴史ドキュメンタリー。2月8日に『ザ・ベストハウス123』(フジテレビ系)でネタバレ放映したところ、同映画のHPにアクセスが殺到し、サーバーがダウンしたほどの大反響を呼んだ。  本作はギザの大ピラミッドについて37年間にわたって調査研究を重ねたジャック・グリモーの原作本をベースに、パトリス・プーヤール監督が6年間かけて検証した上で映画化したもの。本作の序盤はピラミッドに体する素朴な疑問から始まる。高さ146m、底辺の一辺が230mという古代最大の建造物であるギザの大ピラミッド。紀元前2700~2500年ごろにクフ王の墓として建造されたと言われ、雄大さと均整のとれた調和美を誇る。その大ピラミッドは200万個もの巨石で構成されているわけだが、これまでの学説通り工期20年だとすると、セダン1台分の重量のある巨石を1日12時間労働と考えて、2分30秒のペースで積み上げていったことになる。クレーンなどない時代に、である。現代の建築技術を駆使しても、これだけの大プロジェクトを20年で完成させるのは至難の技。そこで工期20年という定説に疑問が生じるのだが、従来の考古学に携わる学者たちはそのことに触れられるのを嫌がる。大ピラミッドの建造期間がもっと長かったとすると、在位期間が20年足らずだったクフ王の統治期と合わなくなってしまうためだ。そうなるとピラミッド=王の墓、という学説が根底から揺らいでしまう。
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春分と秋分の日だけ、大ピラミッドが八面体であることが目視できる。当然ながら、緻密な建築技術が必要だ。
 続いて「へぇ~」と思わせるのが、ギザの大ピラミッドは四面体ではなく八面体であるということ。普段は気がつかないが、年に2回、春分と秋分のときだけ真東から太陽が昇り、ピラミッドに日が射すと八面体であることが明らかになる。地理学的、天文学的、建築学的にも非常に緻密な計算の上で、あの巨大な建造物は生み出されたのだ。さらにピラミッドの寸法には黄金数、円周率、平方根......といった様々な数学上のデータが潜んでいることを本作は指摘する。これだけの繊細な数値に基づいていながら、天災の数々にびくともしない耐震設計まで施されていたことにも驚きを覚えずにいられない。  当然ながら、ここまでピラミッドに関する情報を知ると、観ている側も強い疑問を抱くことになる。そんなにスゴいもの、手間ひまかかるものを、何のために造ったのかということ。ただエジプトの王様が自分の権力を誇示したいだけなら、単純にデカく見えるものをデ~ンと建てるだけでよかったはず。数千年単位でその巨大さをキープしながらも、古代エジプト人が非常に優れた文明を有していたことを分かる人には分かるように手掛かりを散りばめていることには大きな意味があるのではないか。本作はこう説く。ピラミッドは王様の墓ではなく、我々現代人に何かを伝えるために古代人が残した"巨大かつ恒久的な言語"なのだと。
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非常に高い精度で東西南北の方位を示しているピラミッド。巨大な方位盤であり、日時計であることが分かる。
 4000年以上もの歳月を越え、古代エジプト人が現代人に伝えようとした言葉とは何か? 国家規模であれだけの大プロジェクトを完成させ、自分たちエジプト文明が滅んだ後の末裔にまで伝えようとしているのだから、よっぽどの重要事項であるはずである。ここで、ふと脳裏を横切るのが映画『100,000年後の安全』(09)だ。日本でも福島第一原発事故後の2011年4月に緊急公開され、大きな話題を呼んだ北欧製のドキュメンタリー作品。フィンランドで建設中の高レベル放射能廃棄物の最終処分場、通称"オンカロ(隠された場所)"をめぐるものである。使用済み核燃料は処理するのが非常に難しい。ロケットに積んで、太陽に打ち込んでしまえというプランもあったが、結局は固い岩盤を掘削した地下500mに永久埋蔵されることになる。放射能レベルが生物にとって無害になるまで最低10万年は要するため、その処分場は10万年後の人類にも分かるように「ここは危険。近づくな!」と警告を発さなくてはならない。果たして10万年後の人類に、現代の言語やイラストの意味が通じるのか? 未来の人類は核廃棄物処分場を宗教的儀式の施設や財宝の埋蔵地などと勘違いして、掘り起こしたりしないだろうか? 現実の核廃棄物を前にして、科学者たちの間でSFめいた問答が繰り広げられる。多分、数万年後の未来人たちは、現代人がピラミッドのことを認識できる程度にしか、オンカロのことを理解できないに違いない。  『ピラミッドの謎』の後半は、いよいよ大ピラミッドに隠されたメッセージが解き明かされる。原作者ジャック・グリモーの考えはこうだ。ピラミッドは古代からのメッセージであるのと同時に、非常に精巧に造られた巨大な時計であると。では、その巨大な時計はいったいどのような時間を刻んでいるのか? その時間は何を知らせるものなのか? ここから本作は一気にイマジネーションの世界へと飛び出していく。イースター島やインカ文明との関連性、宇宙単位で語られる地球の歴史、そして未来のビジョン。諸星大二郎先生の奇想コミック『暗黒神話』などにハマった人には堪らない、超弩級の驚愕展開が待ち受けている。
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パトリス・プーヤール監督は「より多くの人に知ってほしいという使命に駆られ、作品を完成させた」と語る。
 1月に来日したパトリス・プーヤール監督にコメントを求めたところ、このような言葉が返ってきた。「もし、私がこの映画で提示している結論をひと言で言ってしまうと、気が狂っていると思われるかもしれません。しかし、映画で描かれる事実の数々を目にすると、きっとみなさんも今まで教えられてきた学説について疑問を感じるようになり、新たな仮説についても心を開いて考えられるようになるでしょう。何と言っても事実は事実なのですから、否定することはできません」。  グラハム・ハンコックの『神々の指紋』(翔泳社)から受けた影響について聞いてみると、「調査を始める当初、『神々の指紋』を読み、充実した内容に驚きました。素晴らしい本であることは認めますが、でも残念ながら私が求めていたことは書かれておらず、読み終わった後に少し不満が残りました。事実の断片を紹介するだけでは、何も訴えることができないと感じたからです」とのこと。また、プーヤール監督によると、ピラミッドにはまだまだ隠された謎が残されているらしい。本作の反響次第では、続編に取り掛かりたいとも語っている。  目先の1分1秒に追われがちな現代人だが、5000年、1万年単位で地球を眺めることで、これまでとは違った光景が見えてくることを本作は教えてくれる。ここまで壮大な歴史エンターテイメントには、そうそう劇場ではお目にかかれないだろう。 (文=長野辰次) piramid021505.jpg ●『ピラミッドの謎 5000年の嘘』 原作/ジャック・グリモー 監督/パトリス・プーヤール 日本語監修/大地舜 日本語ナレーター/森川智之 配給/スターサンズ 2月18日(土)より新宿バルト9、丸の内TOEI、渋谷TOEIほか全国ロードショー http://pyramid-movie.jp
神々の指紋 (上) 人類が失った記憶とは......。 amazon_associate_logo.jpg
●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第157回] 韓国映画の名匠が明かす"創作の極意"イ・チャンドン監督『ポエトリー』 [第156回] ローカル局で"伝説となった男"の生涯『木村栄文レトロスペクティブ』 [第155回] 米国に半世紀も君臨した"影の大統領" FBI初代長官『J・エドガー』 [第154回]犯罪者たちに学ぶ"人心掌握術"の奨め『アニマル・キングダム』『預言者』 [第153回]"地獄"からの生還者・板尾創路の凄み 古典落語を過激に脚色『月光ノ仮面』 [第152回]早くも2012年ベスト1映画が登場!"代理殺人"を巡る恐怖『哀しき獣』 [第151回]父殺し、自分殺し、そして再生の物語 園子温流ラブストーリー『ヒミズ』 [第150回]米国お笑い横断旅行『宇宙人ポール』人間のちっぽけな悩みはETが解決! [第149回]70年前と変わらない日本人の精神構造『聯合艦隊司令長官 山本五十六』 [第148回]追悼......"永遠の反逆児"原田芳雄さん幻の主演作『原子力戦争』がDVD化 [第147回]"ファスト風土"を舞台にした犯罪喜劇 J・アイゼンバーグ主演『ピザボーイ』 [第146回]"正義のゾンビ"が犯罪者を貪り喰う! イラク戦争奇談『ゾンビ処刑人』 [第145回] "時代の寵児"の未ソフト化作品上映!「松江哲明グレイテスト・ヒッツ」 [第144回]原発事故を描いた『カリーナの林檎』と今関あきよし監督の背負った贖罪 [第143回]"窮屈なモラル"を脱ぎ捨てた裸の女たち 園子温監督の犯罪エロス『恋の罪』 [第142回]ノーベル賞作家・川端康成が夢想した新風俗『スリーピングビューティー』 [第141回]横暴な上司は有志社員が制裁します!『モンスター上司』のブラックな笑い [第140回]"クソみたいな社会を変えたい!"高校生テロリストの凄春『アジアの純真』 [第139回] うつ病なんかヘーキ!? 宮崎あおい主演作『ツレがうつになりまして。』 [第138回]"神話"が生まれる瞬間を目撃せよ! 人類への黙示録『猿の惑星:創世記』 [第137回]刑務所で食する至高の味『極道めし』ヒロインの後ろ姿に、むせび泣き! [第136回]"理想の恋人"という偶像を破壊せよ 深夜番長の劇場デビュー作『モテキ』 [第135回]"城定秀夫監督、ブレイク前夜の予感! 闘争本能を呼び覚ます『タナトス』 [第134回]"人間失格"の道を選んだ映画監督の業 林由美香の最新主演作『監督失格』 [第133回]ホラ吹きのホラを見破る特異な職能 ポランスキー監督『ゴーストライター』 [第132回]芦田愛菜、6歳にして危険な魅力!? 子連れで全力疾走『うさぎドロップ』 [第131回]元"暴走族"が書いた旧友への鎮魂歌 青春懺悔録『アメイジング グレイス』 [第130回]V・ギャロ主演のサバイバルグルメ!? 『エッセンシャル・キリング』 [第129回]『キック・アス』より悪趣味で泣ける 中年男の悪ノリ暴走劇『スーパー!』 [第128回]この夏の清涼剤、地方少女のダンス成長記『あぜみちジャンピンッ!』 [第127回]竹ヤリで世界進出"スシタイフーン"『エイリアンVSニンジャ』ほか逆上陸 [第126回]イーモウ監督、久々のアイドル映画 中華的妹萌え『サンザシの樹の下で』 [第125回]ナタリー・ポートマン vs. ヘビメタ野郎 人気女優の隠し球『メタルヘッド』 [第124回]黒澤明の名作『生きる』のラテン版! ヤモメ男が残した遺産『BIUTIFUL』 [第123回]北国で93年間営業を続ける"大黒座"と町の記録『小さな町の小さな映画館』 [第122回]新幹線がすれ違う瞬間、願いが叶う? 小学生の目線で描かれた『奇跡』 [第121回]理想と情熱がもたらした"痛い現実" 青春の蹉跌『マイ・バック・ページ』 [第120回]胸に響く金言"プロとは手を抜くこと" 職人秘話『アトムの足音が聞こえる』 [第119回]危険な出会い、井口昇ミーツ仲村みう 悪夢の遊園地『富江 アンリミテッド』 [第118回]ナタリー・ポートマン"第1章"の終幕 虚実が攻め合う『ブラック・スワン』 [第117回]"セカイ"を旅立った少女の地底探検記 新海誠監督の新作『星を追う子ども』 [第116回] 美少女たちの輝きが脳裏から離れない。青春ムービー『魔法少女を忘れない』 [第115回] 恋愛が与える"陶酔"とリアルな"痛み"サブカル活劇『スコット・ピルグリム』 [第114回]妄想、空想、そして現実からの大脱走 美少女革命『エンジェル ウォーズ』 [第113回]"3.11"後の新しい映画モデルとなるか『劇場版 神聖かまってちゃん』の挑戦 [第112回]マスコミが讃えた"楽園"のその後、ひとりの少女の成長記録『愛しきソナ』 [第111回]閉鎖的な"村社会"をブチ破ったれ! 韓流サバイバル劇『ビー・デビル』 [第110回]"粋"を愛したフランスの伯父さん J・タチ主演『イリュージョニスト』 [第109回]自分にとって家族は敵か、味方か? オスカー2冠受賞『ザ・ファイター』 [第108回]コーエン兄弟『トゥルー・グリット』40年で変化した"米国のヒーロー像" [第107回]ジョニー・デップが愛した"極道記者" 『GONZO』奇人がスターだった時代 [第106回] 巨匠イーストウッド監督の異色作! 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