“落としやすい”女のコがいる大学は……?「平凡パンチ」1980年6月9日号

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「平凡パンチ」1980年6月9日号
 山ガールという言葉が流行したころから、本気の山でも女性の姿が増えてきた。「いわゆるあの娘はお嬢さま 俺はしがない山がらす~」とか自嘲しながら、ヒィヒィと岩にしがみついていた時代とは、隔世の感がある。とはいえ、バブル期の「スキー場は3倍」の法則は、山でも通じるものがある(ほら、空気も薄いしね)。昨年、登山雑誌「岳人」の夏山増刊で、剱岳で出会った女性登山者を見開きで紹介していたけど、写真がすべて引き絵だったのは、なんとなく納得……。  で、先頃、知人の軟派な編集者から「山ガールも当たり前だし、女のコを誘って山に行きましょうよ」と誘われた。筆者も昨年、いよいよゴロー(巣鴨にある、植村直己も愛用した登山靴の名店)のS-8を手に入れた身。「いいね、日帰りなら塔ノ岳か蛭ヶ岳あたりで……」と返答したら、怒られた。 「そんなハードコアな話してるんじゃないですよ! 高尾山とかですよ! ハイキングですよ!」  ……残念ながら、埋めがたい意識のズレがあったようだ。しかし、近年になって男女のグループが出会い目的でハイキングに出かける、いわゆる合ハイ(合同ハイキング)は、日常的なものとなっているようだ。2010年には、文部科学省が「スポーツ立国戦略」策定の中で、独身男女による「合同ハイキング」で若者のスポーツ参加率を促すという案を提示している。新聞や雑誌記事を検索すると、ここ5年あまりの間に、スポーツや各種の野外活動で汗を流しながら、出会いも探すという行動パターンは徐々に浸透しているようだ。    さて、その合ハイだが、バブル期には合コンに取って代わられ、まったく廃れた文化だった。何かと合コンをネタにしてきた、ホイチョイプロダクションズの漫画『気まぐれコンセプト』でも、合ハイをネタにした作品を見ることができる。「流行っている」と聞いたら「とりあえず、体験してみるか」の前に、まず系譜を探りたくなる。早速、大宅壮一文庫で合ハイに関する記事を探していたら、見つけてしまった! また下世話な記事を。 ■親睦を深めるには、代々木公園で鬼ごっこ
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まだ誰も「個人情報が~」なんて頭のカタイことをいわない、
よい時代だった。
 というわけで、今回紹介するのが「平凡パンチ」1980年6月9日号の巻頭記事「東京全大学合ハイ新相関地図」である(そもそも、表紙にならぶ記事のタイトルが下世話過ぎて、絶対に読みたくなる。「女のハンドバッグ徹底ご開帳」なんて、もはや文化史の重要な資料だよ)。
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合ハイが合コンへと転換していく時代の貴重な
資料といえる記事だ。
 合コン以前の、重要な出会いの場だった合ハイ。この記事では、まず慶応大学の「ソビエト研究会」と大妻女子短大国文科との合ハイに密着する。彼らの集合場所は、土曜日午後4時、原宿駅。この時点で「え、ハイキングじゃないのか?」と思うのだが、行き先は代々木公園である。自己紹介の後いったい何をするのか? 記事はこのように綴る。
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相関図を見ると、大学同士の関係性は今も変わらない感じが。
「広い代々木公園の一角で彼らはおそろしく古典的な遊びの数々を繰り広げた。“草の上の昼食”ならぬ、草の上のハンカチ落とし、草の上の鬼ゴッコ……」  すでに何事かわからない。この記事を執筆した当人も「ちょっとおかしいヨ!」と思ったのか 「“ハイキング”というにはあまりにも近場で、一昔、二昔前の文字どおりの合ハイとはエライ変わりようだ」
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コネタも時代を象徴するにおいで溢れている。
 と記す。しかも、文字通りのハイキングは約1時間だけ。「“前戯”の功あって、すでにかなりの打ちとけよう」な男女は公園通りを抜けて「道玄坂のライブハウス『ヘッド・パワー』へ吸い込まれていった」のである。要は、ハイキングは口実で、そのまま飲み会に突入するわけである。なるほど、まだチェーン居酒屋が一般的でない時代(チェーン居酒屋の普及は80年代中盤以降)、ライブハウスで飲み会という手があったのか!
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この時期の連載漫画は、みなもと太郎先生。
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散々、恋愛を煽った挙げ句にこんな広告が。ステマか?
 記事は、宴会は2時間にわたって続き、成立した2~3組のカップルが向かったのは、宮下公園である。そこでは「サテンに行こうよ」「帰り送らせて」といった駆け引きが続いたことを記す。  なるほど、合ハイを口実にすれば、いきなり飲み会から始まる合コンスタイルよりも男女が互いに値踏みしたり、目当ての相手と駆け引きする時間も多いじゃないか! と納得。でも「ハズレ」だった時に帰りたくても帰れない時間が続くのは痛い!
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とにかく出会い系の広告がいっぱいである。
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いくらなんでも、異色すぎる対談。
   こうして、読者に「俺も合ハイしたいなあ」という気分を煽る記事は、首都圏の各大学が「地理的、歴史的、偏差値的に」近しい他の大学と相関関係をつくっていることを解説していく。要は、東大とお茶の水女子大、慶大とフェリス女子大、早大と日本女子大、一橋大と津田塾大のように地理的、歴史的、さらには「オツムの程度が似たりよったり」な大学同士だと、合ハイが成立しやすいことを解説していく。さらには、相関図を記し、大学ごとに関係性の強さ、相思相愛型か、片想い型か、さらには合ハイを申し込む場合に、ポスターを張ることができるか、否かまでを図で解説するのだ。
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果たして、このビジネスで儲かった人っているんだろうか?
 そこで、明らかになるのは人気トップ3は、東大、早大、慶大という構図。ううむ、現在とまったく変わらないような。さらに、青山学院大、上智大、立教大などの女子は「自校の野郎には目もくれず、にっくき他大学に秋波を送ってやまないのだ」と解説する。さらに、合ハイでもっとも不人気だと指摘されているのが中央大だ。「地理的条件の不利はあるものの、津田塾、共立、白百合、明星、昭和と、片っ端から声をかけてはみても、色よい返事はまるで頂戴できずにいるのだ」というから悲惨。記事では、その反動として内部でカップルが成立して「週末同棲」が急増していることまで指摘している。いや、なによりも、この取材力がスゴイ! ■落ちやすい女子大は、文化女子大と女子美大  ううむ、結局は受験戦争に勝ち残って東大、早大、慶大に通ってなければ、出会いの敗者とならざるを得ないのか。多くの読者が絶望したのは想像に難くない……。と思ったら、記事はそうした相関関係から外れた大学の諸君にも、救いの手を差し伸べてくれる。それは「穴場的女子大」を狙う方法だ。まず挙げられているのが、国立音大、桐朋、武蔵野音大だ。「こういう音楽系の大学は他大と意外につき合いが少ないし、普通の女子大とは一味違った雰囲気を持って」いるんだとか。さらに「ズバリ“落ちやすい”大学」として指摘されるのが、文化女子大と女子美大。加えて、昭和女子大を「寮の門限がキチンとあり、当局の取締りが厳しいゆえに、これから開発の余地がある」と『早稲田乞食』(早稲田大の伝統的ミニコミ誌。まだ、ある)の推薦する女子大として、紹介している。さらに『慶応塾生新聞』(これも、まだ続いている)のコメントとして「上智、青学、立教の女子は学年が進むにつれて、自校の男のコのアラが見えはじめる」ので、高学年に的を絞れば、容易に合ハイを組めることを指南するのだ。
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これ読んで、注文してから後悔した若者もいるんだろうな……。
 最近「町コン」をはじめ、男女の出会いが再び、アナログな手法へと回帰している。ネットは手軽な出会いのツールなのだが、やはり安心感が違うのか。それにしても、この記事が書かれた80年は現代と比べて、遙かに肉食的だ。アポなしで訪問することが非常識扱いされたり、意中の人に何度も猛アタックすることがストーカー呼ばわりされるようになったのは、いつ頃からなのか。やはり、携帯電話の普及で様相はがらりと変化したのか? まだまだ調査する必要がありそうだ。 (文=昼間 たかし) ■「100人にしかわからない本千冊」バックナンバー 【第6回】物欲と性欲、自己肯定感に満ちた30年前の大学生活「POPEYE」 【第5回】1991年、ボクらはこんなエロマンガを読んでいた「美少女漫画大百科」 【第4回】そして『孤独のグルメ』だけが残った......月刊「PANjA」とB級グルメの栄枯盛衰 【第3回】「いけないCOMIC」1985年1月号大特集 戸川純にただ単にミーハーしたいっ! 【第2回】あの頃、俺たちはこんな本でモテようとしていた『東京生活Qどうする?』 【第1回】超豪華"B級"文化人がロリコンで釣ってやりたい放題『ヘイ!バディー』終刊号

離婚騒動の真相はこれだった!?  高城剛が明かした“エリカ大麻中毒” の内幕

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「週刊現代」6月16日号 中吊り広告より
グランプリ 「ポール・クルーグマン『預金流失、そして恐慌が始まる』」(「週刊現代」6月16日号) 第2位 「沢尻エリカの夫・高城剛氏を直撃!『大麻』『不倫』『離婚』初めて語られる全真相」(「週刊文春」6月7日号) 第3位 「鈴木亜美『高岡蒼佑と衝撃の連泊愛!』」(「フライデー」6月15日号) 佳作 「袋とじ 特撮連写 女子なぜ濡れるのか」(「週刊現代」6月16日号)  毎日新聞が6月4日の朝刊で、解散総選挙になれば橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」が民主党や自民党を圧倒すると報じている。  世論調査で次期衆院選比例代表の投票先を聞いた結果、民主党は14%、自民党16%に対して、維新の会は28%もあるのだそうだ。「維新が政党不信の受け皿として、近畿だけでなく、全国レベルで浸透している現状が浮き彫りになった」と毎日は書いている。  えらいこっちゃ。これでは、臆病な野田佳彦首相は解散に踏み切れないだろうな。自民党との「野合」がダメな場合は、野垂れ死にするしかないようだ。  順位発表。まずは佳作から。久しぶりに現代が過激なグラビアを組んでくれた。女性二人にオナニーをしてもらって、そのときに出た「愛液」をスポイトでとり、プレパラートに垂らして観察する。 「愛液は酸性です。ちなみに、同世代の女性では処女のほうが酸性度が高く、経験豊富な女性ほど低下し、膣内はアルカリ性に近づく」(セクソロジー渡仲三)  すごいのは「究極の神秘 潮吹きを科学」しているページ。オナニーをしている二人の女性の足の間から、オシッコのようなものが飛び出している。電気マッサージやバイブレーターを使って、数分で「斜め45度に放射状に飛び散った」というのだ。  ひと昔前まではこの手の企画がよくあったが、最近では珍しい迫力満点の袋とじである。決して人前で見てはいけませんぞ!  3位はフライデーの「スクープ撮」。妻・宮崎あおいに愛想を尽かされてしまった高岡蒼佑が、こちらも最近イケメン実業家と別れた歌手の鈴木亜美と「連泊愛」しているというのだ。  扉ページの二人の飾り気のない部屋着姿が微笑ましい。  某夜、0時を過ぎた六本木で亜美を降ろした高岡は、近くのパーキングで待っていたが、そのうちダッシュボードに足を乗せて熟睡してしまう。  クラブの仕事を終えて戻ってきた亜美が、窓ガラスをコンコン。飛び起きる高岡の姿に亜美がクスクス笑っている。その後、二人は都内の高台にある高岡の瀟洒なマンションへ消える。  毎夜、亜美のアッシーとなっている高岡は、役者仲間にいわせると一途に尽くすタイプの男だそうである。  深夜、マンションに帰り、オートロックを解除するや、亜美の手が高岡の腰に伸び、抱き合っている姿からは「熱愛」の二文字が浮かんでくる。  宮崎あおいよりもお似合いのカップルだと思うよ。  巻頭にある木村拓哉と女房・工藤静香の「LOVE・サーフ」の写真もいい。  5月24日、千葉の九十九里浜。オレンジのボードで波に乗るキムタクが格好いい。工藤も2児の母とは思えないスタイルで、なかなかのサーファーぶりである。  第2位は、先週に続いて沢尻エリカの「大麻中毒」を追った文春の記事。今週は夫の高城剛を直撃インタビューして、すごい証言を引き出している。 「エリカは、離婚騒動がはじまる前に、エイベックスの松浦勝人社長に会ったと言いました。松浦社長は彼女に『スターダストから、大麻の件を聞いている。ドラッグ検査の際のやりとりの録音も持っている』と話したということです。そして、『高城と離婚することがエイベックスとの契約の条件』とし、『俺が離婚させてやる。マスコミはどうにでもなる』と話したというのです。弱みを握られたエリカは、『エイベックスに行くしかない』と話していました」  彼女の前の所属事務所・スターダストは、俳優の押尾学や酒井法子が覚せい剤取締法違反で逮捕、検挙されたため、09年9月に事務所を挙げて所属タレントの薬物検査を実施。そこで沢尻が大麻常習者だとわかり、契約解除したというのだ。その通知書を文春は手に入れたが、そこには、 「平成21年9月10日に本人の同意のもと薬物検査をしたところ大麻について陽性反応が示され、本人は大麻使用の事実を認めた上で、今後大麻の使用を止めることはできない旨を表明したことなどが、専属契約の第9条に該当することによるものです」  と書かれていた。高城はこうも語っている。 「当時、僕はスターダストの事務所に呼び出され、取締役F氏とマネージャーのK氏から、この件について直接聞きました。書類は間違いない」  そこで高城は滞在していたロンドンで、彼女を現地の代替治療施設に通わせ、その治療がうまくゆき、彼女が立ち直ったように見えたので結婚したのだそうだ。  その後、エリカからの一方的な離婚表明などがあったが、エリカの弁護士からの仲介もあり、二人で身を隠すためにスペインに向かったという。  バルセロナでは部屋に閉じこもっていることが多かったが、エリカは彼の地の自称「大麻インストラクター」のセルジオと知り合い、再び薬物にはまっていった。  セルジオはエリカと寝るとき、エクスタシーという合成麻薬の一種も使ったと証言している。これを高城にぶつけると、エリカ本人から聞いたと裏付けている。そして、 「僕はエリカに何度も(薬物から)立ち直るよう説得してきました。ところが、そのたびに彼女の周囲にいる仕事関係者や友人は『エリカらしいから大丈夫』『そのままでいい』などとそそのかし、彼女の更生を阻んだのです」  そして最後には、高城に「ファック!」と叫び、壁にコーヒーカップを投げつけて帰国してしまったのだ。  さらに文春は「TBSは薬物を認識していた」としている。  エリカは09年にスターダストをクビになり、ヒロイン役に内定していた映画『SPACE BATTLESHIP ヤマト』を降板させられるのだが、その制作委員会にTBSも名を連ねていた。  高城は、当時の制作委員会の人間から、TBSにも薬物検査の結果が伝えられていると、ハッキリ聞いているそうである。 「なぜ、ヤマトでエリカを降ろしたTBSが、エリカを再びドラマ(『悪女について』=筆者注)に起用するのか。薬物問題はどうパスしたのか。理解できません。エイベックス、スターダスト、TBSなどのメディア、そして取り巻きのクリエイターたち……。エリカの薬物を認識する人は複数います。それを見て見ぬ振りを決め込み、握り潰し、夫を黙らせようとする。そして、エリカの弱みを握り、裸にして、カネにしようというのが、このたびの離婚騒動に隠された真相なのです」(高城)  大手芸能プロやTBSを巻き込んだ大スキャンダルだが、エイベックスやスターダストの力に恐れをなしたか、このことは一部の夕刊紙を除いて、ほとんどの新聞、テレビが取り上げることはなかった。  文春は厚労省の現役麻薬Gメンに「重大な関心をもっている」と語らせている。星薬科大学の鈴木勉教授は、 「よく、『大麻はタバコより害がない』という声を聞きますが、大麻の“精神的な依存性”はタバコのニコチンよりかなり強い。大麻は『ゲートウェイ・ドラッグ』とも呼ばれ、合成麻薬など他の薬物に繋がる可能性が非常に高く、幻覚が見える・眠気に襲われるなどの作用があります」  大麻所持の公訴期間は5年だから、エリカの時効は成立していない。映画封切りに向け、どういう展開を見せるのだろうか。  今週のグランプリは鈴木章一編集長がつくる最後の号への餞(はなむけ)ではないが、現代のノーベル経済学賞受賞者ポール・クルーグマンのインタビューにあげたい。  クルーグマンはギリシャの財政再建計画は現実的に実行不可能だと言っている。 「現実が私の言っていたようになってきている。もはやギリシャにはユーロを離脱し、そこから改めてやり直す以外に道は残っていない」  ギリシャがユーロを離脱するのは、6月中に50%の確率であるという。どちらにしても90%の確率で、ギリシャはユーロを離脱すると予測するのだ。  しかしその影響は「計り知れない。対応を誤れば、ユーロ圏で大パニックが起こることになる」という。 「ギリシャがユーロを離脱すると、まずスペインとイタリアで銀行から大量の預金流失が起こることになる。いわゆる取り付け騒ぎというやつだ。(中略)おそらく預金の引き出しと海外への移転の額を合わせて、1000億ユーロ(10兆円)単位になるだろう。そうなれば巨大銀行崩壊の危険性が高まってくる。もちろんスペインやイタリアの巨大銀行が倒れれば、それは『第二のリーマンショック』級のものになる」  それを避けるためにECB(欧州中央銀行)が乗り出し、スペインやイタリアにカネを貸し付けることになるだろうが、もしECBが動かなかったとき、またそれだけ大量のカネを供給できなかった場合は「預金封鎖」になるという。  このような事態はポルトガルでも起こり、そうした国々は次々にユーロを離脱してドミノ倒しのようにユーロ離れが起こる。  さらにクルーグマンは、ユーロというプロジェクトが失敗すればどんなひどいことが起きても不思議ではないと、こう話す。 「戦争が起こる可能性? ヨーロッパではすでに過激派政党がどんどん力を持ってきている。アドルフ・ヒットラーが戻ってくることはないだろうが、過激派がさらに増加することは間違いない。ハンガリーではそういう状態にある」  しかし、アメリカは日本経済と似たような状態だし、ユーロ諸国も同じ。中国も成長のスピードが落ちていて、労働者の賃金も上がっていることから、成長の速度はさらに落ちるという。  日本経済はというと、政策当局はこの15年間アグレッシブな政策をとることを拒否してきたし、それは今も変わっていない。  日本銀行は今年に入ってやっとインフレ目標を1%としたが、本来なら3%、4%にしなければならないはずだとして、クルーグマンは「もう日銀に期待するのはやめた」とまで言い切っている。 「野田首相も現在5%の消費税を2年後に8%、3年半後に10%まで上げようとしているが、いかにもタイミングが悪すぎる。いずれ消費税を上げなければいけないことにはなるだろうが、それはいまではない。この時期に消費税を上げたら、もっと消費が落ち込み、経済が悪化することは目に見えている。日本の政策当局はいつも、これといった大胆な政策を打たないできた。だからこそ、他国でショックが起きたときにはかなりきつく影響が波及してしまう」  クルーグマンはこの危機を乗り越えるために、ユーロ諸国、アメリカ、日本などが一斉に大恐慌並みの大胆で積極的な財政・金融政策をとればいいと説く。  さらに世界中の先進国が頭を抱えている国債、借金問題などそれほど怖くないともいう。 「経済が成長すればそれは返すことができる。イギリスがかつて成長を謳歌していた時代にも、同国は大量の借金を抱えていたという事実をどうして誰も語ろうとしないのか。そうした意味でも、成長のための政策がいま求められているのだ」  この記事を、野田首相に読ませてやりたいものである。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか 

離婚騒動の真相はこれだった!?  高城剛が明かした“エリカ大麻中毒” の内幕

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「週刊現代」6月16日号 中吊り広告より
グランプリ 「ポール・クルーグマン『預金流失、そして恐慌が始まる』」(「週刊現代」6月16日号) 第2位 「沢尻エリカの夫・高城剛氏を直撃!『大麻』『不倫』『離婚』初めて語られる全真相」(「週刊文春」6月7日号) 第3位 「鈴木亜美『高岡蒼佑と衝撃の連泊愛!』」(「フライデー」6月15日号) 佳作 「袋とじ 特撮連写 女子なぜ濡れるのか」(「週刊現代」6月16日号)  毎日新聞が6月4日の朝刊で、解散総選挙になれば橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」が民主党や自民党を圧倒すると報じている。  世論調査で次期衆院選比例代表の投票先を聞いた結果、民主党は14%、自民党16%に対して、維新の会は28%もあるのだそうだ。「維新が政党不信の受け皿として、近畿だけでなく、全国レベルで浸透している現状が浮き彫りになった」と毎日は書いている。  えらいこっちゃ。これでは、臆病な野田佳彦首相は解散に踏み切れないだろうな。自民党との「野合」がダメな場合は、野垂れ死にするしかないようだ。  順位発表。まずは佳作から。久しぶりに現代が過激なグラビアを組んでくれた。女性二人にオナニーをしてもらって、そのときに出た「愛液」をスポイトでとり、プレパラートに垂らして観察する。 「愛液は酸性です。ちなみに、同世代の女性では処女のほうが酸性度が高く、経験豊富な女性ほど低下し、膣内はアルカリ性に近づく」(セクソロジー渡仲三)  すごいのは「究極の神秘 潮吹きを科学」しているページ。オナニーをしている二人の女性の足の間から、オシッコのようなものが飛び出している。電気マッサージやバイブレーターを使って、数分で「斜め45度に放射状に飛び散った」というのだ。  ひと昔前まではこの手の企画がよくあったが、最近では珍しい迫力満点の袋とじである。決して人前で見てはいけませんぞ!  3位はフライデーの「スクープ撮」。妻・宮崎あおいに愛想を尽かされてしまった高岡蒼佑が、こちらも最近イケメン実業家と別れた歌手の鈴木亜美と「連泊愛」しているというのだ。  扉ページの二人の飾り気のない部屋着姿が微笑ましい。  某夜、0時を過ぎた六本木で亜美を降ろした高岡は、近くのパーキングで待っていたが、そのうちダッシュボードに足を乗せて熟睡してしまう。  クラブの仕事を終えて戻ってきた亜美が、窓ガラスをコンコン。飛び起きる高岡の姿に亜美がクスクス笑っている。その後、二人は都内の高台にある高岡の瀟洒なマンションへ消える。  毎夜、亜美のアッシーとなっている高岡は、役者仲間にいわせると一途に尽くすタイプの男だそうである。  深夜、マンションに帰り、オートロックを解除するや、亜美の手が高岡の腰に伸び、抱き合っている姿からは「熱愛」の二文字が浮かんでくる。  宮崎あおいよりもお似合いのカップルだと思うよ。  巻頭にある木村拓哉と女房・工藤静香の「LOVE・サーフ」の写真もいい。  5月24日、千葉の九十九里浜。オレンジのボードで波に乗るキムタクが格好いい。工藤も2児の母とは思えないスタイルで、なかなかのサーファーぶりである。  第2位は、先週に続いて沢尻エリカの「大麻中毒」を追った文春の記事。今週は夫の高城剛を直撃インタビューして、すごい証言を引き出している。 「エリカは、離婚騒動がはじまる前に、エイベックスの松浦勝人社長に会ったと言いました。松浦社長は彼女に『スターダストから、大麻の件を聞いている。ドラッグ検査の際のやりとりの録音も持っている』と話したということです。そして、『高城と離婚することがエイベックスとの契約の条件』とし、『俺が離婚させてやる。マスコミはどうにでもなる』と話したというのです。弱みを握られたエリカは、『エイベックスに行くしかない』と話していました」  彼女の前の所属事務所・スターダストは、俳優の押尾学や酒井法子が覚せい剤取締法違反で逮捕、検挙されたため、09年9月に事務所を挙げて所属タレントの薬物検査を実施。そこで沢尻が大麻常習者だとわかり、契約解除したというのだ。その通知書を文春は手に入れたが、そこには、 「平成21年9月10日に本人の同意のもと薬物検査をしたところ大麻について陽性反応が示され、本人は大麻使用の事実を認めた上で、今後大麻の使用を止めることはできない旨を表明したことなどが、専属契約の第9条に該当することによるものです」  と書かれていた。高城はこうも語っている。 「当時、僕はスターダストの事務所に呼び出され、取締役F氏とマネージャーのK氏から、この件について直接聞きました。書類は間違いない」  そこで高城は滞在していたロンドンで、彼女を現地の代替治療施設に通わせ、その治療がうまくゆき、彼女が立ち直ったように見えたので結婚したのだそうだ。  その後、エリカからの一方的な離婚表明などがあったが、エリカの弁護士からの仲介もあり、二人で身を隠すためにスペインに向かったという。  バルセロナでは部屋に閉じこもっていることが多かったが、エリカは彼の地の自称「大麻インストラクター」のセルジオと知り合い、再び薬物にはまっていった。  セルジオはエリカと寝るとき、エクスタシーという合成麻薬の一種も使ったと証言している。これを高城にぶつけると、エリカ本人から聞いたと裏付けている。そして、 「僕はエリカに何度も(薬物から)立ち直るよう説得してきました。ところが、そのたびに彼女の周囲にいる仕事関係者や友人は『エリカらしいから大丈夫』『そのままでいい』などとそそのかし、彼女の更生を阻んだのです」  そして最後には、高城に「ファック!」と叫び、壁にコーヒーカップを投げつけて帰国してしまったのだ。  さらに文春は「TBSは薬物を認識していた」としている。  エリカは09年にスターダストをクビになり、ヒロイン役に内定していた映画『SPACE BATTLESHIP ヤマト』を降板させられるのだが、その制作委員会にTBSも名を連ねていた。  高城は、当時の制作委員会の人間から、TBSにも薬物検査の結果が伝えられていると、ハッキリ聞いているそうである。 「なぜ、ヤマトでエリカを降ろしたTBSが、エリカを再びドラマ(『悪女について』=筆者注)に起用するのか。薬物問題はどうパスしたのか。理解できません。エイベックス、スターダスト、TBSなどのメディア、そして取り巻きのクリエイターたち……。エリカの薬物を認識する人は複数います。それを見て見ぬ振りを決め込み、握り潰し、夫を黙らせようとする。そして、エリカの弱みを握り、裸にして、カネにしようというのが、このたびの離婚騒動に隠された真相なのです」(高城)  大手芸能プロやTBSを巻き込んだ大スキャンダルだが、エイベックスやスターダストの力に恐れをなしたか、このことは一部の夕刊紙を除いて、ほとんどの新聞、テレビが取り上げることはなかった。  文春は厚労省の現役麻薬Gメンに「重大な関心をもっている」と語らせている。星薬科大学の鈴木勉教授は、 「よく、『大麻はタバコより害がない』という声を聞きますが、大麻の“精神的な依存性”はタバコのニコチンよりかなり強い。大麻は『ゲートウェイ・ドラッグ』とも呼ばれ、合成麻薬など他の薬物に繋がる可能性が非常に高く、幻覚が見える・眠気に襲われるなどの作用があります」  大麻所持の公訴期間は5年だから、エリカの時効は成立していない。映画封切りに向け、どういう展開を見せるのだろうか。  今週のグランプリは鈴木章一編集長がつくる最後の号への餞(はなむけ)ではないが、現代のノーベル経済学賞受賞者ポール・クルーグマンのインタビューにあげたい。  クルーグマンはギリシャの財政再建計画は現実的に実行不可能だと言っている。 「現実が私の言っていたようになってきている。もはやギリシャにはユーロを離脱し、そこから改めてやり直す以外に道は残っていない」  ギリシャがユーロを離脱するのは、6月中に50%の確率であるという。どちらにしても90%の確率で、ギリシャはユーロを離脱すると予測するのだ。  しかしその影響は「計り知れない。対応を誤れば、ユーロ圏で大パニックが起こることになる」という。 「ギリシャがユーロを離脱すると、まずスペインとイタリアで銀行から大量の預金流失が起こることになる。いわゆる取り付け騒ぎというやつだ。(中略)おそらく預金の引き出しと海外への移転の額を合わせて、1000億ユーロ(10兆円)単位になるだろう。そうなれば巨大銀行崩壊の危険性が高まってくる。もちろんスペインやイタリアの巨大銀行が倒れれば、それは『第二のリーマンショック』級のものになる」  それを避けるためにECB(欧州中央銀行)が乗り出し、スペインやイタリアにカネを貸し付けることになるだろうが、もしECBが動かなかったとき、またそれだけ大量のカネを供給できなかった場合は「預金封鎖」になるという。  このような事態はポルトガルでも起こり、そうした国々は次々にユーロを離脱してドミノ倒しのようにユーロ離れが起こる。  さらにクルーグマンは、ユーロというプロジェクトが失敗すればどんなひどいことが起きても不思議ではないと、こう話す。 「戦争が起こる可能性? ヨーロッパではすでに過激派政党がどんどん力を持ってきている。アドルフ・ヒットラーが戻ってくることはないだろうが、過激派がさらに増加することは間違いない。ハンガリーではそういう状態にある」  しかし、アメリカは日本経済と似たような状態だし、ユーロ諸国も同じ。中国も成長のスピードが落ちていて、労働者の賃金も上がっていることから、成長の速度はさらに落ちるという。  日本経済はというと、政策当局はこの15年間アグレッシブな政策をとることを拒否してきたし、それは今も変わっていない。  日本銀行は今年に入ってやっとインフレ目標を1%としたが、本来なら3%、4%にしなければならないはずだとして、クルーグマンは「もう日銀に期待するのはやめた」とまで言い切っている。 「野田首相も現在5%の消費税を2年後に8%、3年半後に10%まで上げようとしているが、いかにもタイミングが悪すぎる。いずれ消費税を上げなければいけないことにはなるだろうが、それはいまではない。この時期に消費税を上げたら、もっと消費が落ち込み、経済が悪化することは目に見えている。日本の政策当局はいつも、これといった大胆な政策を打たないできた。だからこそ、他国でショックが起きたときにはかなりきつく影響が波及してしまう」  クルーグマンはこの危機を乗り越えるために、ユーロ諸国、アメリカ、日本などが一斉に大恐慌並みの大胆で積極的な財政・金融政策をとればいいと説く。  さらに世界中の先進国が頭を抱えている国債、借金問題などそれほど怖くないともいう。 「経済が成長すればそれは返すことができる。イギリスがかつて成長を謳歌していた時代にも、同国は大量の借金を抱えていたという事実をどうして誰も語ろうとしないのか。そうした意味でも、成長のための政策がいま求められているのだ」  この記事を、野田首相に読ませてやりたいものである。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか 

共演者が次々とトラブルに襲われた……呪われた番組“ラビリンズ村”

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『都市伝説 あなたに忍びよる恐怖』
(河出書房新社)
UMA、心霊現象、都市伝説、オカルト......科学や情報技術が発達した現代でも、今なお話題に上がり続ける真贋不明な有象無象を、"摩訶不思議"のオーソリティー・山口敏太郎が縦横無尽にぶった斬る  筆者は、さまざまなテレビ番組に出演したり、裏方として参加している。その数、数百本に上り、都市伝説、UMA、宇宙人、妖怪、心霊など分野は多岐にわたっている。中でも都市伝説の現場に行くリポートは波乱含みで、何が飛び出すのか不明であり、大変楽しい。  今から6~7年前、某局の番組に出演したときのことだ。この番組は深夜に放送されるパイロット版であり、この実験番組の視聴率がよければ、レギュラー放送になる予定であった。筆者は張り切ってロケとスタジオ収録に向かった。  その番組のディレクターから提案された取材先は、三重県にある「ラビリンズ村」であった(この名称は番組スタッフが名付けてそう呼んでいた)。一度入り込んだら逃げ出すことが不可能な村とウワサされており、村内の道が迷路になっているというのだ。  この話は、某サイトの管理人である学術関係者がネットで話題にしたものであり、番組スタッフがこの人物と連絡を取って企画を進めていたのだが、スケジュールの都合が合わず、代役として急遽、筆者が現場に踏み込むことなった。  この取材に行く前に、ある僧侶と電話で話をしたのだが、その僧侶は筆者に「絶対に行くな」と警告をした。 「山口さん、やばい気配が漂っているよ。この村に行ってはいけない。ものすごく嫌な予感がするよ」  結局、筆者はその言葉を振り切り、スタッフ2名と車に乗って三重県の某所に向かった。この村の捜索は困難を極めた。情報が少ない上、山間部の集落を特定するのが難しかったのだ。情報源である前出の人物と筆者も電話で話をして、おおよその場所を絞り込んだ。  さまようこと数時間、三角錐のように尖った山を発見し、その中腹あたりの斜面に貼り付くように存在する集落にたどり着いた。牧歌的な風景と、あちこちで農作業をする老人たち。筆者とスタッフは安穏とした気分になった。  だが、5時のサイレンが鳴り、ふと周囲を見渡すと、誰もいなくなっていた。あたりをいくら探しても、筆者とスタッフしかいない。さっきまで野菜を収穫していた老婆や、耕運機を動かしていた老翁の姿が忽然と消えてしまったのだ。  不気味である。まるで『千と千尋の神隠し』のように、先ほどまで人間がいた感覚が残る無人の空間が延々と続いている。摘まれた野菜、道端に止められた自動車、井戸の横でなみなみと水が溜まった木桶。さっきまで居た人々はどこに行ったのか。  焦った筆者とスタッフは、だんだんと闇が降りてくる村の中を車で必死に走りまくった。だが、何度走っても同じ道に出てしまい、村の中からなかなか出れない。どうやら、三角錐のような山の中腹をぐるりと走る村道をくるくる廻っているだけのようだ。  何度か迷走した後、ようやく脇にあった下り道を発見、麓の町まで移動することができた。これは筆者の推論であるが、山村で働いていた老人たちはかつて自分たちが住んでいた山村の田畑で農作業をやり、夕方になると麓の家まで帰宅するのではないだろうか。山村にあった旧宅は農作業中の休憩場所として使用するだけであり、基本的には病院やライフラインが充実している町の住宅で寝ているのではないだろうか。  まさに「ラビリンズ村」に相応しい場所であると筆者とスタッフは痛感し、その日のロケを終えた。放送も順調に終わり、視聴率はまずまずであったのだが、その番組がレギュラー化されることはなかった。  実は、担当したスタッフのトップが薬物で逮捕されてしまったのだ。やはり、僧侶が言った「ラビリンズ村の呪い」は現実だったのかと思いを馳せたが、共演者にも続々と不幸なことが起きている。  MCをやっていた陣内智則さんは離婚に追い込まれ、コメンテーターに呼ばれていたのは、事務所からの独立問題で揺れた眞鍋かをりさんと、現在窮地に立たされている次長課長さんだった。やはり、この世の中には踏み込んではいけない場所があるのであろうか。 (文=山口敏太郎) yamaguchibintaro200.jpg ●やまぐち・びんたろう 1966年7月20日生まれ、徳島県出身。血液型AのRHマイナス。作家・漫画原作者・ライター・オカルト研究家などさまざまな肩書を持つ。UMAや心霊・都市伝説など、あらゆる不思議分野に精通する唯一のオールラウンドプレイヤー。 ●【山口敏太郎の摩訶不思議ぶった切り】INDEX 【VOL.7】浜名湖の怪物事件で露呈した、メディアの“オカルト軽視”体質 【VOL.6】 山口敏太郎が語る――オセロ中島が陥ったオカルト業界の恐怖の洗脳とは 【VOL.5】 昭和の子どもたちに愛された "近所の怪獣"ヒバゴン 死因は老衰だった!? 【VOL.4】「世界滅亡の断言」を強要された!? オカルトにかかわるマスメディアの責任とは 【VOL.3】オカルトやホラーを家族で楽しむために「2012年 ハルマゲドン商法」を討つべし 【VOL.2】「いったい誰の仕業か」UFOの大群が飛来する怪事件が指し示すもの 【VOL.1】"オフィシャルか、プライベートか......現代における「妖怪と幽霊の違い」とは?

「パンドラの箱を開けてしまった!?」‟ナマポ”問題は収拾不可能?(5月下旬の人気記事)

ranking201106.jpg  5月下旬の人気記事を紹介する、日刊サイゾー人気記事ランキング。次長課長・河本準一の生活保護不正受給問題が注目を集めた今期ですが、事態は収拾するどころか、どんどん悪化。一体どうなることやら~。それでは早速、ランキングをチェケラ! 第1位 大麻疑惑噴出の沢尻エリカに“もうひとつの爆弾発言”「セックスは……」 さすがエリカ様、期待を裏切らないね! 第2位 「芸人保険もないしパニックになった」次長課長・河本準一記者会見を無編集ノーカット全文掲載 相方・井上さんは今ごろ……? 第3位 「自分のほうが塩谷よりもヒドかった!?」SMAP・中居正広が塩谷瞬を擁護したワケ 国民的アイドルの知られざる素顔。 第4位 「事務所は大激怒も……典型的なだめんず好きの西山茉希に周囲は呆れ顔 二人そろって好感度ガタ落ち? 第5位 井上公造が園山真希絵を痛烈バッシング スターダストvsバーニングの代理戦争へ発展か!? 何かと井上公造。 次点 「会社が宗教団体に乗っ取られかけたことも……」Overflow・メイザーズぬまきちロングインタビュー 各所から大反響! 次々点 ドリカム・吉田美和結婚! ベテラン女性シンガーが年下男をゲットする深い理由 不幸が似合う女って……。

「パンドラの箱を開けてしまった!?」‟ナマポ”問題は収拾不可能?(5月下旬の人気記事)

ranking201106.jpg  5月下旬の人気記事を紹介する、日刊サイゾー人気記事ランキング。次長課長・河本準一の生活保護不正受給問題が注目を集めた今期ですが、事態は収拾するどころか、どんどん悪化。一体どうなることやら~。それでは早速、ランキングをチェケラ! 第1位 大麻疑惑噴出の沢尻エリカに“もうひとつの爆弾発言”「セックスは……」 さすがエリカ様、期待を裏切らないね! 第2位 「芸人保険もないしパニックになった」次長課長・河本準一記者会見を無編集ノーカット全文掲載 相方・井上さんは今ごろ……? 第3位 「自分のほうが塩谷よりもヒドかった!?」SMAP・中居正広が塩谷瞬を擁護したワケ 国民的アイドルの知られざる素顔。 第4位 「事務所は大激怒も……典型的なだめんず好きの西山茉希に周囲は呆れ顔 二人そろって好感度ガタ落ち? 第5位 井上公造が園山真希絵を痛烈バッシング スターダストvsバーニングの代理戦争へ発展か!? 何かと井上公造。 次点 「会社が宗教団体に乗っ取られかけたことも……」Overflow・メイザーズぬまきちロングインタビュー 各所から大反響! 次々点 ドリカム・吉田美和結婚! ベテラン女性シンガーが年下男をゲットする深い理由 不幸が似合う女って……。

まるでUFOキャッチャー!? ゲーム感覚で楽しめる‟釣り居酒屋”

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なんとこの店、ワシントンホテルの1階に入っている。
日本一アーバンな釣り堀だろう(たぶん)。
ゆるいものならなんでも大好き♪ ロリ顔ライター・朝井麻由美が気になるスポットをご案内します。  やってみたいと思いつつも、手つかずになっているレジャーが、“釣り”だ。『糸井重里のバス釣りNo.1』や『牧場物語』シリーズ、『ぼくのなつやすみ』に『どうぶつの森』、『モンスターハンター』、思えばずいぶんたくさんのゲームでせっせと釣りをしてきた。だが、実際の釣りとなると、いかんせん朝が早い。言い換えれば、その程度の理由であきらめられるくらいにしか、釣りへの情熱がないということなのだが。ともかく、早起きしなくてもいい釣りじゃなきゃイヤだイヤだ、とワガママを言っていたら――あった。早起きどころか、電車でサクッと行けて、しかもその場で釣りたての魚を食べられる至れり尽くせりスポット、『釣船茶屋ざうお』だ。今回行ってきたのは、新宿店。この店の目玉は鯛で、ほかにアジやヒラメ、カサゴ、サザエやオマール海老、伊勢海老などが釣れるそう。庶民にとっての夢の食べ物・伊勢海老が、新宿でさらっと釣れちゃっていいの?  お店に着いてさっそく釣り道具を借り、魚の密集していそうなところに釣り糸を垂らすのだが、
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餌はオキアミ。
 ……釣れない。
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 「全然釣れないですねぇ」と横にいた店長の鄭虹志さんにボヤいたら、「まだ2分しかたってないですよ! そんなに早く釣れるわけないよ(笑)」と一蹴されてしまった。ゲームだとせいぜい5秒くらいで釣れたのに、おかしいな……。  ピクリとも動かない釣り竿をボーっと眺めていたら、魚にしては大きい生き物が近くを横切った。
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商売道具の魚を食い散らかすペット。
 なんとこれ、この店のペットのサメらしい。しかも1匹だけではなく、よく見たら生け簀のあちこちで何匹ものサメが悠々と泳いでいた。当然、ほかの魚を食べてしまうようで、 「夜中に食べてるのか、朝来たらアジの頭だけが生け簀に浮かんでることもありましたね。たまに伊勢海老が狙われることもあるんですよ。でも、面白いから飼い続けてます」(店長)  という。大事な商売道具の魚が食いちぎられてしまっても、めげずにサメを飼うって。そんなんでいいのか。
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海のギャング・ウツボも同様にペット。
 待つこと20分。ちっとも釣れないので場所を変えるも、やはり釣れない。私の何が悪いのだろう。海や川にいる野生の魚よりも食いつきはいいはずが、釣り竿は無情にもだんまりを決め込んでいる。結構な数の魚がウヨウヨと泳いでいるのに、どいつもこいつも餌に見向きもしない……チッ。あまりに釣れない筆者を見かねた店長さんは、餌をオキアミからサーモンに変えてくれた。すると、
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お……!?
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鯛が釣れたーーーーー!!!!
 釣れたらすかさず、店員さんが調理スペースへ持って行き、活き造りを作ってくれる。ちなみに活き造りは、釣り代と調理費込みで2,380円。そのほかの料理は、調理法によっては釣り代2,380円(魚によって異なる)に数百円加算されるという仕組みになっている。
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飲食スペースは船の形。
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この店で釣れるのは、「紀州 梅まだい」という
種類。言うまでもないが、ピチピチでおいしい。
釣らずに活き造りだけを注文する場合は3,200円。
釣ったほうがお得。
 そして、せっかくなので伊勢海老釣りにも挑戦してみたのだが……これまた釣れない。
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 伊勢海老やオマール海老、貝類などを釣る場合は、餌はつけず、体に針を引っかけて釣る。が、針が水の中でふよふよと動き、思うように海老の体に引っかかってくれないのだ。海老のあれだけゴツゴツした体なら、どこかしらに引っかかりそうなものなのに、狙えば狙うほど釣れない。もはや手づかみした方が早いわ! とジリジリしていたら、「欲のない子どもたちは、伊勢海老をひょいひょい釣っていきますね。価値をわかっていない分、余計な力が入らないのかも」と店長さん。鯛たちにはことごとくフラれ、伊勢海老を狙って自分の欲深さを再認識させられ、なんだか自分という人間について考えさせられてしまった。魚にも選ぶ権利がある、そういうことだろうか。これ以上魚と己について思いをめぐらせても暗い気持ちになるだけなので、このへんにしておく。  海でも川でも新宿でも、釣りは人を哲学的にさせる。 ●ゲーム度 ★★★★★ ゴツゴツしたその体で釣れそうな誘惑をまき散らし、いざ釣ろうとすると、釣れそうで釣れない伊勢海老。この感覚は、UFOキャッチャーのそれと似ている。また、安いアジを釣りたかったのに(アジは釣り代+調理費680円~)、釣れたのは高い鯛だった! という、狙い通りに取れないところもまるでUFOキャッチャーのよう。子どもは価値も分からずに伊勢海老をひょいひょい釣るらしいが、その親のお財布事情がやや気になるところである。 (取材・文=朝井麻由美 撮影=田所英一郎) ●『釣船茶屋ざうお』 < http://www.zauo.com/contents/zauo_top.html > 新宿店:新宿区西新宿3-2-9 新宿ワシントンホテル1F 電話:03-3343-6622 営業時間は、平日は11:30~14:00/17:00~23:00、土日祝は11:30~23:00 首都圏の他には、大阪、愛知、三重、福岡でチェーン展開。毎月第一木曜日の夜はマグロの解体ショーを見ることもできる。釣った魚を使ってお寿司作りを教われる「寿司職人体験教室」も随時開催中。 【散歩師・朝井がゆく!】バックナンバー 【vol.13】工場長のテンションにも注目!? おもしろ消しゴム工場見学! 【vol.12】“新秋葉電気鉄道”出発進行! 鉄ヲタ大満足の鉄道居酒屋 【vol.11】ドレスコードはバンドT! ROCKにキメる『ジャケ弁講座』に潜入 【vol.10】かわいいメイドさんの正体はガンマニア!? シューティングメイドカフェ 【vol.9】ドヤ顔からてへぺろまで!? 自分にそっくりな石像が見つかる「五百羅漢」 【vol.8】ドラクエ好き女子ライターが教える、ドラゴンクエスト展のマニアな楽しみ方 【vol.7】麺の気持ちになれるアトラクションまで!? 「カップヌードルミュージアム」が楽し過ぎる! 【vol.6】「舌の上でプチプチと......」知られざる珍味"蝉フルコース"にチャレンジ 【vol.5】お坊さんは隠れた名カウンセラー? お寺で人生相談 【vol.4】"ライター"のプライドを懸けて「売り込みナイト」にガチで挑戦! 【vol.3】なんとも言えない高揚感に体が火照る!? 話題のアニソンバーで熱唱! 【vol.2】ベタなトルコをお気軽エンジョイ! 「東京ジャーミイ&トルコ文化センター」 【vol.1】サブカルイベントゆえのゆるさ!? 『ART MAP in 阿佐ヶ谷』を歩いてみた

まるでUFOキャッチャー!? ゲーム感覚で楽しめる‟釣り居酒屋”

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なんとこの店、ワシントンホテルの1階に入っている。
日本一アーバンな釣り堀だろう(たぶん)。
ゆるいものならなんでも大好き♪ ロリ顔ライター・朝井麻由美が気になるスポットをご案内します。  やってみたいと思いつつも、手つかずになっているレジャーが、“釣り”だ。『糸井重里のバス釣りNo.1』や『牧場物語』シリーズ、『ぼくのなつやすみ』に『どうぶつの森』、『モンスターハンター』、思えばずいぶんたくさんのゲームでせっせと釣りをしてきた。だが、実際の釣りとなると、いかんせん朝が早い。言い換えれば、その程度の理由であきらめられるくらいにしか、釣りへの情熱がないということなのだが。ともかく、早起きしなくてもいい釣りじゃなきゃイヤだイヤだ、とワガママを言っていたら――あった。早起きどころか、電車でサクッと行けて、しかもその場で釣りたての魚を食べられる至れり尽くせりスポット、『釣船茶屋ざうお』だ。今回行ってきたのは、新宿店。この店の目玉は鯛で、ほかにアジやヒラメ、カサゴ、サザエやオマール海老、伊勢海老などが釣れるそう。庶民にとっての夢の食べ物・伊勢海老が、新宿でさらっと釣れちゃっていいの?  お店に着いてさっそく釣り道具を借り、魚の密集していそうなところに釣り糸を垂らすのだが、
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餌はオキアミ。
 ……釣れない。
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 「全然釣れないですねぇ」と横にいた店長の鄭虹志さんにボヤいたら、「まだ2分しかたってないですよ! そんなに早く釣れるわけないよ(笑)」と一蹴されてしまった。ゲームだとせいぜい5秒くらいで釣れたのに、おかしいな……。  ピクリとも動かない釣り竿をボーっと眺めていたら、魚にしては大きい生き物が近くを横切った。
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商売道具の魚を食い散らかすペット。
 なんとこれ、この店のペットのサメらしい。しかも1匹だけではなく、よく見たら生け簀のあちこちで何匹ものサメが悠々と泳いでいた。当然、ほかの魚を食べてしまうようで、 「夜中に食べてるのか、朝来たらアジの頭だけが生け簀に浮かんでることもありましたね。たまに伊勢海老が狙われることもあるんですよ。でも、面白いから飼い続けてます」(店長)  という。大事な商売道具の魚が食いちぎられてしまっても、めげずにサメを飼うって。そんなんでいいのか。
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海のギャング・ウツボも同様にペット。
 待つこと20分。ちっとも釣れないので場所を変えるも、やはり釣れない。私の何が悪いのだろう。海や川にいる野生の魚よりも食いつきはいいはずが、釣り竿は無情にもだんまりを決め込んでいる。結構な数の魚がウヨウヨと泳いでいるのに、どいつもこいつも餌に見向きもしない……チッ。あまりに釣れない筆者を見かねた店長さんは、餌をオキアミからサーモンに変えてくれた。すると、
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お……!?
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鯛が釣れたーーーーー!!!!
 釣れたらすかさず、店員さんが調理スペースへ持って行き、活き造りを作ってくれる。ちなみに活き造りは、釣り代と調理費込みで2,380円。そのほかの料理は、調理法によっては釣り代2,380円(魚によって異なる)に数百円加算されるという仕組みになっている。
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飲食スペースは船の形。
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この店で釣れるのは、「紀州 梅まだい」という
種類。言うまでもないが、ピチピチでおいしい。
釣らずに活き造りだけを注文する場合は3,200円。
釣ったほうがお得。
 そして、せっかくなので伊勢海老釣りにも挑戦してみたのだが……これまた釣れない。
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 伊勢海老やオマール海老、貝類などを釣る場合は、餌はつけず、体に針を引っかけて釣る。が、針が水の中でふよふよと動き、思うように海老の体に引っかかってくれないのだ。海老のあれだけゴツゴツした体なら、どこかしらに引っかかりそうなものなのに、狙えば狙うほど釣れない。もはや手づかみした方が早いわ! とジリジリしていたら、「欲のない子どもたちは、伊勢海老をひょいひょい釣っていきますね。価値をわかっていない分、余計な力が入らないのかも」と店長さん。鯛たちにはことごとくフラれ、伊勢海老を狙って自分の欲深さを再認識させられ、なんだか自分という人間について考えさせられてしまった。魚にも選ぶ権利がある、そういうことだろうか。これ以上魚と己について思いをめぐらせても暗い気持ちになるだけなので、このへんにしておく。  海でも川でも新宿でも、釣りは人を哲学的にさせる。 ●ゲーム度 ★★★★★ ゴツゴツしたその体で釣れそうな誘惑をまき散らし、いざ釣ろうとすると、釣れそうで釣れない伊勢海老。この感覚は、UFOキャッチャーのそれと似ている。また、安いアジを釣りたかったのに(アジは釣り代+調理費680円~)、釣れたのは高い鯛だった! という、狙い通りに取れないところもまるでUFOキャッチャーのよう。子どもは価値も分からずに伊勢海老をひょいひょい釣るらしいが、その親のお財布事情がやや気になるところである。 (取材・文=朝井麻由美 撮影=田所英一郎) ●『釣船茶屋ざうお』 < http://www.zauo.com/contents/zauo_top.html > 新宿店:新宿区西新宿3-2-9 新宿ワシントンホテル1F 電話:03-3343-6622 営業時間は、平日は11:30~14:00/17:00~23:00、土日祝は11:30~23:00 首都圏の他には、大阪、愛知、三重、福岡でチェーン展開。毎月第一木曜日の夜はマグロの解体ショーを見ることもできる。釣った魚を使ってお寿司作りを教われる「寿司職人体験教室」も随時開催中。 【散歩師・朝井がゆく!】バックナンバー 【vol.13】工場長のテンションにも注目!? おもしろ消しゴム工場見学! 【vol.12】“新秋葉電気鉄道”出発進行! 鉄ヲタ大満足の鉄道居酒屋 【vol.11】ドレスコードはバンドT! ROCKにキメる『ジャケ弁講座』に潜入 【vol.10】かわいいメイドさんの正体はガンマニア!? シューティングメイドカフェ 【vol.9】ドヤ顔からてへぺろまで!? 自分にそっくりな石像が見つかる「五百羅漢」 【vol.8】ドラクエ好き女子ライターが教える、ドラゴンクエスト展のマニアな楽しみ方 【vol.7】麺の気持ちになれるアトラクションまで!? 「カップヌードルミュージアム」が楽し過ぎる! 【vol.6】「舌の上でプチプチと......」知られざる珍味"蝉フルコース"にチャレンジ 【vol.5】お坊さんは隠れた名カウンセラー? お寺で人生相談 【vol.4】"ライター"のプライドを懸けて「売り込みナイト」にガチで挑戦! 【vol.3】なんとも言えない高揚感に体が火照る!? 話題のアニソンバーで熱唱! 【vol.2】ベタなトルコをお気軽エンジョイ! 「東京ジャーミイ&トルコ文化センター」 【vol.1】サブカルイベントゆえのゆるさ!? 『ART MAP in 阿佐ヶ谷』を歩いてみた

“三島割腹事件”を若松孝二監督が映画化!『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』

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自衛隊市ヶ谷駐屯地の総監室を占拠した三島由紀夫(井浦新)は
バルコニーでの演説後、割腹自殺に及ぶ。
 “キング・オブ・インディペンデント”若松孝二監督の『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(08)『キャタピラー』(10)に続く、“昭和三部作”の完結編となる『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』。1970年11月25日に自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹自殺を遂げた作家・三島由紀夫が日本の未来を憂う若者たちと「楯の会」を結成し、三島事件を引き起こすまでの軌跡を描いたものだ。三島由紀夫役を演じたARATAが本作に出演したことがきっかけで、「アルファベット表記はこの作品に相応しくない」と本名の井浦新に芸名を改めるなど、男たちの激情が渦巻く力作となっている。
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自衛官たちに向かって“改憲”を訴える三島
由紀夫。本作をきっかけにARATAから改名した
井浦新が渾身の演技に挑む。
 映画はまず、日比谷公会堂で演説中の日本社会党委員長・浅沼稲次郎が17歳の少年・山口二矢に刺殺される瞬間のニュース映像で幕を開ける。沢木耕太郎のノンフィクション小説『テロルの決算』(文藝春秋)でも知られるショッキングな暗殺事件だ。1960年に起きたこの事件を、若松監督は未成年者による殺人事件とは解釈せず、自国を愛するあまりに直接行動に出た17歳の少年の純粋さに共鳴している。17歳のときに実家を飛び出して上京した若松監督は、この事件当時はまだピンク映画『甘い罠』(63)で監督デビューする前の何者でもなかった。何者でもなかったこのアウトロー監督にとって、よっぽど忘れがたい事件だったのだろう。また、この国のことを憂いていたのは山口二矢だけではなかった。獄中で山口二矢が首吊り自殺を遂げるシーンが映し出され、カメラがパーンすると、そこには書斎で短編小説『憂国』を執筆中の三島由紀夫(井浦新)の姿がある。戦後の日本社会が物質的に満たされていく一方、日本人の美しい心がけがれていく。日本語による美しい文章を綴る三島由紀夫には、そのことが堪え難かった。  自衛隊を武士道精神を受け継ぐ拠り所と考えた三島由紀夫は自衛隊に体験入隊し、自衛官たちと交流を重ねていく。そして、若者たちに呼び掛けて、民兵組織「楯の会」を結成する。運営費や制服代は、三島由紀夫の作家としての収益が当てられた。1960年代の大学を吹き荒れた学園紛争に反感を感じていた民族派の学生・持丸博(渋川清彦)や森田必勝(満島真之介)らが「楯の会」に参加し、麗しき男たちの王国が築かれる。国の未来を憂うことで一心同体となった彼らは、来るべき日のための訓練に汗を流し、酒を酌み交わし、『昭和残侠伝』(65)の主題歌「唐獅子牡丹」を朗々と歌う。三島由紀夫夫人・瑤子(寺島しのぶ)は女の自分が立ち入れない“男だけのユートピア”がちょっぴり羨ましげだ。
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多くの若者たちが三島のもとに集まるが、
「楯の会」に入会するには自衛隊で1カ月以上
の軍事訓練を体験しなくてはならなかった。
 三島由紀夫というとアブノーマルな作風からホモセクシャル疑惑がつきまとうが、若松監督はその点に関しては安易にスキャンダラスな描き方をしない。その代わり、三島由紀夫と森田必勝らは一緒にサウナ風呂に入る。タオル一枚で全身から玉のような汗をダラダラと流しながら、男たちは熱く語り合う。三島由紀夫を何よりも崇拝する森田必勝は「先生、ボクは死ぬことは怖くありません!」「この国のために、身を捧げることができるなら本望です!」と大きな目をギラギラさせながら三島に迫る。ついに三島は「楯の会」の中から信頼できるメンバーを率いて、行動に出ることを決意。市ヶ谷駐屯地で自衛官たちの決起を促し、その後“改憲”を訴えて自衛隊と共に国会を包囲するというクーデターを画策する。駐屯地に押し入る際の武器は、日本古来からの武器である日本刀のみ。決起を誓い合った三島由紀夫と若者たちは、今まで感じたことのない究極の恍惚感に酔いしれる。  みずから若松プロに電話して、『実録・連合赤軍』のオーディションに参加して以来、すっかり若松作品の常連俳優となったARATAこと井浦新。『11.25自決の日』と同時期に撮影した『海燕ホテル・ブルー』の公開時に話を聞いたところ、若松監督から三島由紀夫役を頼まれたのはクランクインの2か月前だったそうだ。 「若松監督からは『実録・連行赤軍』の撮影中に『右の次は左も撮るぞ』と聞いていたんですが、まさか自分が三島役をやるとは思いもしていませんでした。若松監督から頼まれたら断ることはできないんですが、正直なところ、うれしいというよりプレッシャーでしかなかったですよ(苦笑)。役づくりに1年あっても足りないくらいなのに、2か月ですから。でも、若松監督からは『物まね映画にはしない。お前の考える三島由紀夫を演じればいいんだ』と言われ、すごく気が楽になりましたね」と語ってくれた。以前より、1960年~1970年代の文化に興味があり、三島文学もたしなんでいたので、撮影前に慌てて三島由紀夫全集を読み直したりすることはなかったそうだ。三島由紀夫研究読本などに手を伸ばすこともなく、写真集『薔薇刑』などの撮影を通して三島由紀夫と親交のあった写真家・細江英公のエッセイなどを思い出しながら、三島由紀夫役に挑んだという。  ARATA時代の井浦新は、おしゃれでクールな印象が強かったが、「まだ見たことのない自分に会ってみたい」という純粋な想いから若松組に飛び込んでいった激情家の一面を持つ。ごく少人数での撮影だった『海燕ホテル・ブルー』の伊豆大島ロケでは、助監督代わりに現場での雑用も引き受け、初めて若松作品に出演する若手俳優には声を掛けて飲み会を開く好漢でもある。『実録・連合赤軍』で新しい自分の一面を引き出してくれた若松監督の期待に応えるため、精一杯の熱演を見せている。自衛隊での演習シーンで奇妙な走り方をするが、これは三島役のオファーを受ける直前に足の骨折で入院しており、無理矢理リハビリして撮影現場に入ったためと思われる。演技力うんぬんではなく、精神力勝負の現場だったようだ。森田必勝役を演じた満島真之介(満島ひかりの実弟)の黒目がちなギラギラした瞳も印象的。彼の一本気な情熱が、井浦のクールなルックスの裏に隠された激情を呼び起こし、男たちの物語はクライマックスへとなだれ込む。
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『キャタピラー』(10)に続いての若松
孝二作品への出演となった寺島しのぶ。三島
由紀夫の妻・瑤子を演じる。
 ポール・シュレイダー監督、緒形拳主演の日本未公開映画『Mishima:A Life In Four Chapters』(85)と同様に、本作の三島由紀夫も狂気と血に彩られた一生に一度きりの“聖なる神事”へと突き進む。総監室のバルコニーから自衛官たちに決起を呼び掛けるが、その声はヤジに掻き消されてしまう。でも、そんなことは三島由紀夫には織り込み済みだった。何よりも自分たちが行動することが大事なのであって、成功するかどうかは問題ではなかったのだ。自衛隊にはすでに武士道精神を持つ者がいないことを確認した三島由紀夫はおのれが武士としての死に様を見せることで、自分自身の物語の感動的なグランドフィナーレを迎える。その介錯を務めるのは、三島由紀夫が愛する美しい若者・森田必勝だ。  この5月、本作を携えて41年ぶりにカンヌ映画祭に参加した若松監督は、現在76歳。2011年には『11.25自決の日』『海燕ホテル・ブルー』だけでなく、中上健次原作『千年の悦楽』(今秋公開予定)も撮り上げている。今まさに、人生のクライマックスを謳歌しているといっては失礼だろうか。三島由紀夫は自らが潔く散ることに美を求めたが、若松監督は貪欲に生き抜くことで生の輝きを放っている。三島由紀夫の死と若松孝二の生が激突する。スクリーンからヤケドしそうなほどの熱い火花がほとばしる。 (文=長野辰次) mishimayukio_05.jpg ●『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』 監督・脚本/若松孝二 企画協力/鈴木邦夫 脚本/掛川正幸 出演/井浦新、満島真之介、岩間天嗣、永岡佑、鉄之助、渋川清彦、大西信満、地曳豪、タモト清嵐、中泉英雄、長谷川公彦、韓英姫、小林優斗、小林三四郎、笠松伴助、小倉一郎、篠原勝之、吉澤健、寺島しのぶ  配給/若松プロ、スコーレ 6月2日(土)よりテアトル新宿ほか全国公開 <http://www.wakamatsukoji.org/11.25> (c)若松プロダクション ●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第172回]実在の事件を題材にした“命の授業”『先生を流産させる会』がついに劇場公開! 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“三島割腹事件”を若松孝二監督が映画化!『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』

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自衛隊市ヶ谷駐屯地の総監室を占拠した三島由紀夫(井浦新)は
バルコニーでの演説後、割腹自殺に及ぶ。
 “キング・オブ・インディペンデント”若松孝二監督の『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』(08)『キャタピラー』(10)に続く、“昭和三部作”の完結編となる『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』。1970年11月25日に自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹自殺を遂げた作家・三島由紀夫が日本の未来を憂う若者たちと「楯の会」を結成し、三島事件を引き起こすまでの軌跡を描いたものだ。三島由紀夫役を演じたARATAが本作に出演したことがきっかけで、「アルファベット表記はこの作品に相応しくない」と本名の井浦新に芸名を改めるなど、男たちの激情が渦巻く力作となっている。
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自衛官たちに向かって“改憲”を訴える三島
由紀夫。本作をきっかけにARATAから改名した
井浦新が渾身の演技に挑む。
 映画はまず、日比谷公会堂で演説中の日本社会党委員長・浅沼稲次郎が17歳の少年・山口二矢に刺殺される瞬間のニュース映像で幕を開ける。沢木耕太郎のノンフィクション小説『テロルの決算』(文藝春秋)でも知られるショッキングな暗殺事件だ。1960年に起きたこの事件を、若松監督は未成年者による殺人事件とは解釈せず、自国を愛するあまりに直接行動に出た17歳の少年の純粋さに共鳴している。17歳のときに実家を飛び出して上京した若松監督は、この事件当時はまだピンク映画『甘い罠』(63)で監督デビューする前の何者でもなかった。何者でもなかったこのアウトロー監督にとって、よっぽど忘れがたい事件だったのだろう。また、この国のことを憂いていたのは山口二矢だけではなかった。獄中で山口二矢が首吊り自殺を遂げるシーンが映し出され、カメラがパーンすると、そこには書斎で短編小説『憂国』を執筆中の三島由紀夫(井浦新)の姿がある。戦後の日本社会が物質的に満たされていく一方、日本人の美しい心がけがれていく。日本語による美しい文章を綴る三島由紀夫には、そのことが堪え難かった。  自衛隊を武士道精神を受け継ぐ拠り所と考えた三島由紀夫は自衛隊に体験入隊し、自衛官たちと交流を重ねていく。そして、若者たちに呼び掛けて、民兵組織「楯の会」を結成する。運営費や制服代は、三島由紀夫の作家としての収益が当てられた。1960年代の大学を吹き荒れた学園紛争に反感を感じていた民族派の学生・持丸博(渋川清彦)や森田必勝(満島真之介)らが「楯の会」に参加し、麗しき男たちの王国が築かれる。国の未来を憂うことで一心同体となった彼らは、来るべき日のための訓練に汗を流し、酒を酌み交わし、『昭和残侠伝』(65)の主題歌「唐獅子牡丹」を朗々と歌う。三島由紀夫夫人・瑤子(寺島しのぶ)は女の自分が立ち入れない“男だけのユートピア”がちょっぴり羨ましげだ。
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多くの若者たちが三島のもとに集まるが、
「楯の会」に入会するには自衛隊で1カ月以上
の軍事訓練を体験しなくてはならなかった。
 三島由紀夫というとアブノーマルな作風からホモセクシャル疑惑がつきまとうが、若松監督はその点に関しては安易にスキャンダラスな描き方をしない。その代わり、三島由紀夫と森田必勝らは一緒にサウナ風呂に入る。タオル一枚で全身から玉のような汗をダラダラと流しながら、男たちは熱く語り合う。三島由紀夫を何よりも崇拝する森田必勝は「先生、ボクは死ぬことは怖くありません!」「この国のために、身を捧げることができるなら本望です!」と大きな目をギラギラさせながら三島に迫る。ついに三島は「楯の会」の中から信頼できるメンバーを率いて、行動に出ることを決意。市ヶ谷駐屯地で自衛官たちの決起を促し、その後“改憲”を訴えて自衛隊と共に国会を包囲するというクーデターを画策する。駐屯地に押し入る際の武器は、日本古来からの武器である日本刀のみ。決起を誓い合った三島由紀夫と若者たちは、今まで感じたことのない究極の恍惚感に酔いしれる。  みずから若松プロに電話して、『実録・連合赤軍』のオーディションに参加して以来、すっかり若松作品の常連俳優となったARATAこと井浦新。『11.25自決の日』と同時期に撮影した『海燕ホテル・ブルー』の公開時に話を聞いたところ、若松監督から三島由紀夫役を頼まれたのはクランクインの2か月前だったそうだ。 「若松監督からは『実録・連行赤軍』の撮影中に『左の次は右も撮るぞ』と聞いていたんですが、まさか自分が三島役をやるとは思いもしていませんでした。若松監督から頼まれたら断ることはできないんですが、正直なところ、うれしいというよりプレッシャーでしかなかったですよ(苦笑)。役づくりに1年あっても足りないくらいなのに、2か月ですから。でも、若松監督からは『物まね映画にはしない。お前の考える三島由紀夫を演じればいいんだ』と言われ、すごく気が楽になりましたね」と語ってくれた。以前より、1960年~1970年代の文化に興味があり、三島文学もたしなんでいたので、撮影前に慌てて三島由紀夫全集を読み直したりすることはなかったそうだ。三島由紀夫研究読本などに手を伸ばすこともなく、写真集『薔薇刑』などの撮影を通して三島由紀夫と親交のあった写真家・細江英公のエッセイなどを思い出しながら、三島由紀夫役に挑んだという。  ARATA時代の井浦新は、おしゃれでクールな印象が強かったが、「まだ見たことのない自分に会ってみたい」という純粋な想いから若松組に飛び込んでいった激情家の一面を持つ。ごく少人数での撮影だった『海燕ホテル・ブルー』の伊豆大島ロケでは、助監督代わりに現場での雑用も引き受け、初めて若松作品に出演する若手俳優には声を掛けて飲み会を開く好漢でもある。『実録・連合赤軍』で新しい自分の一面を引き出してくれた若松監督の期待に応えるため、精一杯の熱演を見せている。自衛隊での演習シーンで奇妙な走り方をするが、これは三島役のオファーを受ける直前に足の骨折で入院しており、無理矢理リハビリして撮影現場に入ったためと思われる。演技力うんぬんではなく、精神力勝負の現場だったようだ。森田必勝役を演じた満島真之介(満島ひかりの実弟)の黒目がちなギラギラした瞳も印象的。彼の一本気な情熱が、井浦のクールなルックスの裏に隠された激情を呼び起こし、男たちの物語はクライマックスへとなだれ込む。
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『キャタピラー』(10)に続いての若松
孝二作品への出演となった寺島しのぶ。三島
由紀夫の妻・瑤子を演じる。
 ポール・シュレイダー監督、緒形拳主演の日本未公開映画『Mishima:A Life In Four Chapters』(85)と同様に、本作の三島由紀夫も狂気と血に彩られた一生に一度きりの“聖なる神事”へと突き進む。総監室のバルコニーから自衛官たちに決起を呼び掛けるが、その声はヤジに掻き消されてしまう。でも、そんなことは三島由紀夫には織り込み済みだった。何よりも自分たちが行動することが大事なのであって、成功するかどうかは問題ではなかったのだ。自衛隊にはすでに武士道精神を持つ者がいないことを確認した三島由紀夫はおのれが武士としての死に様を見せることで、自分自身の物語の感動的なグランドフィナーレを迎える。その介錯を務めるのは、三島由紀夫が愛する美しい若者・森田必勝だ。  この5月、本作を携えて41年ぶりにカンヌ映画祭に参加した若松監督は、現在76歳。2011年には『11.25自決の日』『海燕ホテル・ブルー』だけでなく、中上健次原作『千年の愉楽』(今秋公開予定)も撮り上げている。今まさに、人生のクライマックスを謳歌しているといっては失礼だろうか。三島由紀夫は自らが潔く散ることに美を求めたが、若松監督は貪欲に生き抜くことで生の輝きを放っている。三島由紀夫の死と若松孝二の生が激突する。スクリーンからヤケドしそうなほどの熱い火花がほとばしる。 (文=長野辰次) mishimayukio_05.jpg ●『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』 監督・脚本/若松孝二 企画協力/鈴木邦夫 脚本/掛川正幸 出演/井浦新、満島真之介、岩間天嗣、永岡佑、鉄之助、渋川清彦、大西信満、地曳豪、タモト清嵐、中泉英雄、長谷川公彦、韓英姫、小林優斗、小林三四郎、笠松伴助、小倉一郎、篠原勝之、吉澤健、寺島しのぶ  配給/若松プロ、スコーレ 6月2日(土)よりテアトル新宿ほか全国公開 <http://www.wakamatsukoji.org/11.25> (c)若松プロダクション ●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第172回]実在の事件を題材にした“命の授業”『先生を流産させる会』がついに劇場公開! 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