国民総監視時代もすぐそこ? ヤクザを潰しにかかる、“国家権力”の本当の姿

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「週刊文春」9月13日号 中吊り広告より
グランプリ 「GACKTの愛人・隠し子・黒いカネ」(「週刊文春」9月13日号) 第2位 「現役親分衆が実名激白『改正暴対法』に異議アリ!」(「週刊アサヒ芸能」9月13日号) 第3位 「『めぐみさんは生きている』野田総理は2度言った!」(「週刊新潮」9月13日号) 次点 「いまこそ落選運動を始めよう」(「週刊ポスト」9月21・28日号)  AERAの「『性犯罪男』の傾向と対策」を読んでいたら、盗撮者230人の年齢層は30代が一番多く28%で、次が20代の27%、40代の26%と続く。  公務員が多いのは、ストレスがたまるせいだろうか。民間人の70人を除いた盗撮者160人の職業では教職員が54人、地方公務員36人、警察・消防・自衛官が31人となっているそうだ。  そんなところに、こんなニュースをネットで見つけた。 「文化祭でチアダンスをしていた女子高校生の下半身などを撮影したとして、神奈川県警相模原南署は9日、県迷惑行為防止条例違反(卑わいな言動)と建造物侵入の疑いで、みずほ信託銀行本店営業部次長の○○(実名だが筆者が匿名に=43)=東京都江戸川区=と、川崎市危機管理室主任の○○(同=36)=横浜市磯子区=の両容疑者を現行犯逮捕した。同署によると、○○容疑者は『間違いありません』と逮捕容疑を認めているが、○○容疑者は『ステージ全体を映していた』と否認しているという」(毎日新聞2012年09月10日より)  これだけでは事件の詳細はよくわからないが、チアガールの下半身を執拗にビデオカメラでズーム撮影していたのだろう。  教員が気づいて「事情を聴いて映像を確認した上で、同署に通報した」(毎日)そうだ。  確かに「不謹慎な行為」であることは間違いないが、IBM元社長のように、エスカレーターで女性のスカートの中を盗撮していたのとはかなり違うと思うのだが。しかも実名報道である。  娘の運動会へ行ってほかの娘の下半身を撮ったら、カミさんに叱られるだけではなく、これからは逮捕されるのだろうか。  週刊誌はこの事件を詳しく調べて、論議を巻き起こしてほしいと思う。  今週の次点はポストの記事。類似の企画はこれまでもあったが、ポストは「落選運動は政治の堕落を止めるためのいわば『最後の暴力装置』」と位置付けているところがいい。現在、国民の最大関心事である5つの分野で、民意と逆行する行動をした政治家をランク付けして、その理由を書いている。  原発では、上から枝野幸男、細野剛志、仙谷由人の順である。枝野は原発事故の直後から「ただちに健康に影響はない」と繰り返し、国民から情報を隠蔽した罪である。  増税では、岡田克也、谷垣禎一、山口那津男で、意外にも野田佳彦は第4位である。岡田の罪は、衆院選でのマニフェストをまとめる責任者であったにもかかわらず、野田の増税路線を推進したことである。  年金&子ども手当では、上から長妻昭、小宮山洋子、小沢一郎となっている。これには説明は要しないだろう。  公務員改革では仙谷由人、岡田克也、蓮舫。蓮舫は仕分けの女王などともてはやされたが、結局は財務省のシナリオ通りに演じた主演女優でしかなかったという罪。  領土では前原誠司、安倍晋三、石破茂の順になっている。3位の石破は、2004年3月、中国の尖閣上陸問題発生時に、防衛長官として強制送還を容認した罪である。  こうした政治家たちの在任中の通信簿を、選挙前に全議員に広げて作ってもらえないだろうか、ポストさん。  3位は拉致被害者・横田めぐみさんについての新潮の記事。文春でも「本当に生きているのか」をやっているが、新潮の注目すべきは一点「野田総理が横田めぐみさんは生きている」と、確信に満ちた口調で語ったというところである。  約4カ月前、新聞各社の編集委員らと会食した際、野田総理がそう話したというのだ。なぜそこにいた新聞の連中は、そのことを書かなかったのだろう。いつも通り「オフレコだったから」とでも言うのだろうな。  だが、このことはめぐみさんの母親・横田早紀江さんに伝えられ、今年の6月か7月頃に彼女は、野田総理へ手紙を送ったそうである。  当然ながら彼女は、娘が帰ってくるのを一日千秋の思いで待っている。野田総理がそのような情報を持っていたのなら、なぜ自分たちに最初に教えてもらえなかったのかと悲憤慷慨している。  だが、それに対する返事はいまだにないそうだ。  産経新聞も、8月31日にこう書いている。 「めぐみさん 2001年に生存 政府 2ルートから情報入手」  8月末から始まった「日朝課長級協議」で、早期に両国の「関心事」について本協議を行うことで合意した。外務省関係者はこう語る。 「政府当局者の中には、めぐみさんを含む、未だ奪還できていない拉致被害者12人に加え、特定失踪者など2,3人も、“帰国させられるかもしれない”と話す人もいる。かなり“前のめり”な発言ですが、そこまで言うからには何らかの根拠があるのではないか、と受け取らざるを得ません」  週刊現代は9月8日号で、北朝鮮ですし職人をしていて日本へ戻った藤本健二が、北朝鮮側の招待で7月21日から8月3日まで平壌に滞在したとき、金正恩第一書記と再会した話を掲載した。  藤本は「正恩王子と再会できるこのチャンスに、拉致問題を早く解決し、日本と国交を結んでほしい」と、彼の書いた手紙を金正恩第一書記に通訳を通じて読み上げた。  金第一書記は肯きながら聞いていたそうだ。藤本は「私は、正恩王子がすぐに行動を取ることを確信しました」と話している。  金正日総書記の突然の死で、若い金正恩に体制が変わったため、拉致問題解決にはいいチャンスが訪れたことは間違いない。  これを実らせるかどうかは政治家や役人たちの力量にかかっている。自分に都合のいいことしか書かない新聞記者たちの前で、根拠も示さずめぐみさん生存説をたれ流すのではなく、そうした“確実”な情報があるなら北朝鮮に乗り込み、金正恩と差しで解決へ向けての話し合いをしたらいいではないか。  拉致問題さえ解決すれば、一気に経済制裁解除、日朝国交正常化へ向けて動き出すかもしれない。わずかだが、薄明かりが見えてきている気はする。  2位はヤクザに強いアサ芸の注目すべき記事。  7月26日に暴対法改正法案が成立した。施行から20年。4年ごとに改正が重ねられ今回で5度目となる。  これに基づいて都道府県公安委員会が認定した組織は22団体。「当局から指定されたヤクザのみが規制を受けるという希有な法律」(アサ芸)である。特に今回の改正点で注目されるのは、「特定指定団体」の新規定。  企業や経営者などへの襲撃の危険性が高い組織を「特定危険指定暴力団」とし、対立抗争事件を繰り返して住民の生命や身体に危険を及ぼす恐れのある組織を「特定抗争指定暴力団」とあらためて認定するのだ。  現在「特定危険──」には五代目工藤會と太州会が、「特定抗争──」には道仁会と九州誠道会が認定されると報じられている。ともに九州・福岡県に本拠を置く団体である。 「この『特定危険指定団体』の認定では、実行犯の特定がなくても、警察が“疑わしい”とした組織が認定されることが可能になる。警察にとって強力な武器になる反面、直罰規定もあり『疑わしきは罰せず』という法の精神からの逸脱も指摘されています」(社会部記者)  もはやメディアはヤクザを取り上げることさえタブーになりつつあると、アサ芸は批判する。ヤクザの生の声はアサ芸などわずかな雑誌でしか聞くことはできないのだ。  そこでわれらがアサ芸は、3人の現役ヤクザの親分から、現在の状況や暴対法への率直な思いを聞き出している。  五代目工藤會・木村博幹事長はこう語る。 「よくもまあ、国家や警察当局はヤクザを苦しめる手を次から次へと考え出すものだとアキレたり、感心したりしています。(中略)  我々を排除するという題目とは裏腹に、現状では『天下り』という悪しき慣例を存続させることに躍起になっているとしか見えません。税金で飯を食ったあと、民間に寄生し、みずからの縄張りを拡大させ、合法的なミカジメ料を得る狩場をせっせと作っています。パチンコ業界への規制をはじめ、結果的にでも警察OBらが利益を受けるシステムは、正義を隠れ蓑にした偽善と言わざるをえません。  福岡県警もかねてから汚職、情報漏洩、破廉恥事件と不祥事に事欠くことなく、その体質は昔から一向に変わっていません。警察による行為は前提として正しいという『警察無謬の原則』は幻に過ぎないことがよくわかりました。(中略) 『ヤクザが犯罪者になる』のではなく、『ヤクザを犯罪者に仕立てる』という段階まで踏み込んだ法律解釈が行われ、当局の裁量しだいで犯罪者が生み出されるという恐ろしい時代に我々は生きています」  日本最大のテキヤ組織で、指定団体に唯一入っている極東会五代目松山直参・野木勝執行部はこう語る。 「バブルの崩壊以降、景気はずっと停滞していますから、世間一般の人と同様に私たちもつらいですよ。(中略)特に、ここ数年はひどい。まともにバイ(編集部注・商売のこと)ができていません。昨年は、東日本大震災での祭りの自粛がありましたが、それよりもキツく感じるのはやはり警察の締めつけです。長いテキヤ人生でも最悪の時期ですね。(中略)  世間からは暴力団だと蔑まれる私たちですが、古きよき日本の伝統であるテキヤ文化を守っているという自負があります。改正暴対法が成立し、これからも険しい道のりが続くと思いますが、私たちを必要としてくれる人がずっと増え、縛りつける法律が廃止される日がきっと来ると信じ、歯を食いしばって生きていきますよ。  テキヤ文化は、これまで長い年月にわたり受け継がれてきた伝統なんですからね。法律や国家の力でもそう簡単に消し去ることはできないんです」  四代目浅野組・重政宜弘若頭はこう語る。 「ワシらヤクザ者から見れば、改正暴対法は悪法としか言えん。人権無視も甚だしいで。ヤクザは人間やないと断言しとるようなもんやろう。(中略)  国家権力が本気でヤクザを潰しにかかってきとるのかもしれん。ついにここまで来たんかい、というのが本音やな。  ただ、今回の改正暴対法はヤクザ者だけやなく、カタギにとっても悪法と映っているのと違うか。昨年、全国で暴排条例が施行されたわけやが、今回の改正暴対法では努力義務規定として事業者に暴排を義務づけた。カタギにも規定が設けられたわけやから。  例えば、ゴルフにしても、カタギとはプレーしちゃいけんだけやのうて、プレーそのものをしちゃいけんことにまでなっとる。(中略)  ワシらも暴力団なんて勝手に呼ばれて久しいが、最近では反社会勢力やからね。(中略)  ワシはこう思っとる。悪者にしやすく、かつ文句を言わないヤツから取り締まろうとなって、ヤクザ者が一番に選ばれたはずや。次はあいつら、その次はこいつらと、もう国家権力の中では順番が決まっとるはずやで。ワシはこれがいちばん怖いことやと思うが、最終的に国家が国民全体を監視するようになるやろう。そりゃあ、国民を思いどおりに操ることができたら楽なことかもしれんが、それはもう国家やのうて刑務所や。もしくは半島にあるどこかの国や。あんなところには誰も住みたないじゃろう。   今は、まだ笑い事で済むかもしれんが、いずれそうなってもおかしくない空気が世の中には流れとるな」  ヤクザには人権なんかないという考え方は警察には都合がいいだろうが、ヤクザも人間だという前提でものを考えないと、警察に都合のいい考え方が拡がり、いつかは一般市民も警察に監視され取り締まられる対象になりかねない。  ヤクザたちは現実に警察という権力と対峙しているから、その危険性が肌でわかるのだろう。今ではあまり聞かれなくなった「国家権力」という言葉は、やがてヤクザだけが使う言葉になるかもしれない。  さて、今週のグランプリは文春のGACKT(39)のスキャンダル。同じものを新潮もやっていて、書き出しは新潮のほうが見事である。 「東の空が白む頃、ヴァンパイアはゴシック建築の城の地下に隠された棺に帰る。現代の東京でも、ある男は夜毎、あやめもわからぬ暗闇の棲家へと帰陣する。近くを流れる滝の音を聞きながら、眠りに落ちる至福の時。傍らには艶やかな四肢を伸ばす美女が横たわる。自らの腕に女の柔肌を抱きつつ、夢の世界へと誘われ……。しかし、その瞬間、まどろむ彼はベッドの上で飛び上がったという。『東京国税局の査察部です。調査を行いますので、ドアを開けてください』」(新潮)  飛び上がったとされるのはGACKTで、ミュージシャンにして俳優活動もするビジュアル系カリスマである。  8月28日、GACKTが所有する東京の閑静な住宅街にある地上4階、地下2階の瀟洒なデザイナーズ・マンションに、マルサを名乗る20名近い男たちが強制捜査に踏み込んだ。  新潮によれば、このマンションにはスポーツジムのようなスペースもあり、寝室には滝が流れ、古代ローマの浴場のような30畳のバスルームもあるそうだ。  彼と寝ていたのは、ICONIQという美人歌手。国税の目的は脱税疑惑。 「メインバンクの取引支店、またGACKT個人の口座がある銀行の支店などにも同時に調査を入れました」(国税関係者)  GACKTの疑惑について、同じ関係者がこう語っている。 「GACKTは震災後、被災者支援の基金を設立し、義援金を募る口座を開きました。しかし、当初は彼がCMキャラクターを務める韓国のオンラインゲーム会社の口座を借り、そこにお金を集めていた。途中からこれが日本の銀行に切り替わり、そこに振り込まれた分の約2億円は日本赤十字に寄付された。しかし、その前に集められたお金が消えて、行方が分からなくなっているという疑惑が囁かれ続けているのです」  GACKTというよりも、彼の個人事務所の社長やファンクラブを運営する会社への疑惑のようだが、そことGACKTとの関連性については、これからの捜査次第のようである。  しかしこのGACKT、税金滞納で東京都から差し押さえをかけられたのは1度ではなく、いくつもやったサイドビジネスもうまくいかず、そのたびにタレント活動でピンチを脱してきたそうだ。  文春によればGACKTは沖縄出身となっているが、本当は滋賀県栗東町(現在は栗東市)で、本名は岡部学。その後、沖縄の母方の祖母の養子になり、大城姓に改名した。彼は顔の整形を繰り返してきたから、いまのGACKTを見て気づく幼なじみはいないそうだ。  なぜそうまでして顔を変え、過去まで消したかったのか? それは独立する際のもめ事が背景にあるというのだが、ここでは省く。  彼は女性関係が多い。10年ほど前にTBS深夜番組『ワンダフル』に出ていたアシスタントガールのE子と付き合うようになり、彼女は妊娠してしまう。  自分のイメージダウンになることを心配したGACKTは、子どもは認知しない、日本から出て行くことを条件に、生活の面倒を見続けているという。  彼女が住んでいるのはカナダのバンクーバーだという情報に、文春記者は現地へ赴く。彼女たちは月の家賃が日本円で40万円は下らないだろうという高級マンションに暮らしていた。  GACKTの知人は、自分と関係した女を海外に住まわせるのはE子が初めてではないと、語っている。 「今度は隠し子までいて、家族総出でカナダ暮らしだから、相当な出費が続いて本人は頭が痛いんじゃないですか。ファンクラブの会員もかつての三分の一ほど。最近はCDもあまり売れてないですから」  内容的には甲乙つけがたいが、整形、愛人、隠し子を見つけ出し、現地まで飛んだ文春に軍配をあげたい。  脱税疑惑はどうなるのか、この2本の記事を読む限り定かではないが、アラフォーの星だったGACKTに降りかかった最大の試練には違いないようである。  蛇足。数週前に芸術としての「女性器」をポストが取り上げ、現代がそれを追いかけている。  今週はポストが袋とじで「芸術としての女性器一挙160個」、現代が「日本女性『外性器の研究』第2弾 1万人にひとりの女性器」をやっている。  だが、こんなにたくさんのモノを見せられ、研究されてもな~という感じである。ワイセツ感などどこにもない。  ヌードもニュースである。ニュースなヌードを見てみたいものだ。 (文=元木昌彦) (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか 

“夢の神具”で谷桃子がスケスケに!? 男の欲望を満たす、禁断の新感覚ドラマって?

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 科学とエロの力で男の欲望を満たす、禁断のVシネマシリーズ「妄想科学」がリリースされた。第1弾『スケスケ透視メガネで覗かれた!』(ソフト・オン・デマンド)の主演を務めるのは、テレビやグラビアで大人気の谷桃子。  あるAV好きの童貞男が「透けるメガネ」を手に入れ、目の前の人たちが次々と下着姿に。谷桃子演じる幼なじみのことも、思わず舐めまわすように見てしまい……。  同シリーズには、「透けるメガネ」のほかにも、「透明マント」「タイムストップ」といった夢の神具が登場! そんな“下着ドラマ”のプロデュースを手掛けるのは、故・若山富三郎の長男で俳優の若山騎一郎と、故・上原謙の娘で、加山雄三の義妹にあたる女優の仁美凌。今年5月に入籍し、公私ともにパートナーであるこの濃い夫婦が作り出す新ジャンルのドラマ作品とは?  主演の谷桃子と、仁美凌プロデューサーに話を聞いた。 ――「透けるメガネ」で下着が覗けちゃうなんて、夢のような作品ですね! 仁美凌(以下、仁美) みんな一度は考えたことがあると思うんです。ただ、全部叶っちゃったらストーリー性がなくなっちゃうので、メガネだったら「恋愛感情がある相手は透けない」というように、すべての道具に欠点を残しました。ただエッチなだけじゃなくて、淡い恋愛や、友情なんかも描いているので、ちゃんと面白い作品になっていると思います。 谷桃子(以下、谷) 普段、妄想しても叶えられないことが、現実になってしまう、夢と……ちょっと待ってくださいね。(突然、ケータイを取り出し、画面を見ながら)えっと……、あ! 夢とロマンが詰まった軌跡のドラマです! 仁美 え? 今、何見たの?  忘れたらどうしようと思って、ケータイにメモってきたんです。「ロマン」って言葉が思い出せなくて(笑)。 IMG_2547.jpg 仁美 そんなに用意周到な子だったんだ(笑)。  あと、見たあとに温かい気持ちになるお話ですよね。ハプニングが起きたことによって、実は好きな人が身近にいることに気付けるのって素敵ですよね~。ほら恋愛って「フィーリング」「タイミング」「ハプニング」って言うじゃないですか。このドラマにはそれが詰まってます! 仁美 AVやVシネマって、基本的に男性の一方的な欲望だけで作られている作品が多くて、見ててイライラしてたんですよ(笑)。もちろん、この作品を見る方は男性が多いでしょうけど、主演の女の子も納得して演じられるような、無理のない作品にしたかったんです。  確かに疑問を持って演じると、集中できなくて顔に出ちゃいますね。 ――お2人がお仕事されたのは、今回で3作目だそうですね。 仁美 今まで、2つの時代劇に出ていただいたんです。桃ちゃんは、同性から見てもホンットに魅力的なんですよ!  うんうん。……あ、自分でうんうんって言っちゃった! あははは! 仁美 この天然ぶりがいいですよ(笑)。制作側にいると、アイドルの子に対して「こいつ作ってんな」って腹立つ場面が多々あるんですけど(笑)、桃ちゃんはそれがまったくないんですよね。  なんか褒められて気持ちいいなあ~(笑)。 ――撮影で苦労した点はありますか? 仁美 桃ちゃんがすごい食べる子なんですよ!  食欲を抑えるのに苦労しました。下着シーンの前って、あまり食べられないじゃないですか? でも、現場はロケ弁じゃなくて、凌さんがいつも温かいご飯を作ってくれるんですよ。それがホントにおいしくて……。 IMG_2570.jpg 仁美 下着のシーンが終わった瞬間、すごい勢いで食べてたもんね(笑)。 ――下着姿で、洋服を着ているかのように演じるのは難しくなかったですか?  目の前で男性が興奮して鼻血出してるのに、「服着てるけど、何か?」って感じで、もう“無”です(笑)。アドリブも結構多くて、「好きなようにやってください」って言っていただいたので、部屋で虫を探すシーンでも、探しながらかかとを上げ下げしてお尻を震わせたり、遠いほうの手で物を取って胸を寄せたり……。私、グラビアのお仕事を5~6年やらせていただいてるんですけど、自然と「求められてるのはこれかな?」って分かるんです。職業病ですよね(笑)。 ――お気に入りのシーンはありますか?  女性3人が下着で走ってくるシーンは、胸の揺れ方に拍手しちゃいました。(再び、ケータイの画面を見ながら)「胸が揺れて、心も揺さぶられる」みたいな! 仁美 うまいね。カンペ見てるけど(笑)。  さっき電車の中でメモしてきたんですよー。 ――ところで、公私ともにパートナーである若山さんと仁美さんは、演者でありながら、作り手としてご活躍されてますが、仕事中はどんな感じなんですか? 仁美 脚本を作る時なんかは、とにかく若山は脳が柔軟で、発想力がすごいんです。私はそのアイデアを聞いて「でもここ矛盾してない?」とかってダメだしすることが多いですね。24時間ほぼ一緒にいるので、仕事の話をしてはケンカばかりしてます(笑)。  2人はバランスが取れてて素敵ですよ! 仁美さんは料理も上手だし、若山さんは幸せ者だなって思います。 ――「妄想科学」シリーズは、第2弾以降も尾崎ナナさんをはじめ人気グラドルが主演を務めるそうですね。 IMG_2616.jpg 仁美 第3弾まで撮り終わったんですが、1作目でも出てきた「透けるメガネ」と「透明マント」に加え、さらに「タイムストップ」という時間を止める時計も出てきます。  えー、それ面白そう! 仁美 でも、いつも時間を止められるわけじゃないの。  えー! なんで~? 興味津々! 出たら絶対買おうっと。 ――ちなみにエッチな妄想ばかりしている男性を、谷さんはどう思いますか?  私もホントに妄想が大好きなんです! だって、妄想なら何してもいいんですよ。なので、妄想が熟成するまで、とことん妄想しつくしてほしいなって思います! (取材・文=林タモツ/撮影=尾藤能暢)

大躍進は確定的な橋下徹と大阪維新の会に、週刊誌の評価は真っ二つ!

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「週刊現代」9月15日号
佳作1 「寺川綾『イケメンスイマーと衝撃のキス!』写真」(「フライデー」9月14日号) 佳作2 「誰も批判しない『AKB48前田敦子』卒業バカ騒ぎ」(「週刊新潮」9月6日号) 佳作3 「怒号乱れ飛ぶ『住民説明会』実況中継」(「週刊ポスト」9月14日号) 注目記事 「やっぱりこの国には橋下徹しかいない」(「週刊現代」9月15日号)VS.「橋下徹と寝たい政治家たち『嫉妬と怨嗟で眠れぬ夜』」(「週刊ポスト」9月14日号)  尖閣諸島をめぐって日中関係が緊張している。  文春は「総力特集 韓国・中国を屈服させる方法」で「自衛隊vs.中国人民解放軍『尖閣海戦で日本は中国に圧勝する』」とジャーナリストの古森義久に書かせている(ポストも同様の内容を「『もしいま尖閣沖海戦なら日本が圧勝』の迫真シミュレーション」でやっている)。  古森は大手外交雑誌「フォーリン・ポリシー」9月号に「2012年の日中海戦」と題して、米海軍大学のジェームズ・ホルムス准教授が書いた論文を取り上げ、尖閣をめぐる日中海戦はまず起きないだろうと前置きしてはいるが、中国人民解放軍が尖閣軍事占拠作戦を始めた場合、少なくとも局地戦では日本が勝つだろうという見方を紹介している。  もはや「日中もし戦わば」という危険水域まで入っているようだ。丹羽宇一郎中国大使の車が襲撃され国旗を奪われた事件が起きたが、より深刻な事件が起きたらどうなるのか、心配である。  今週もグランプリに推したい記事にはお目にかからなかった。そこで、いま話題の中心にある橋下徹大阪市長が率いる「大阪維新の会」について取り上げている現代とポストを比較してみたい。 「産経新聞社とFNNの合同世論調査で、橋下徹大阪市長が率いる地域政党『大阪維新の会』が次期衆院選の比例代表投票先として約24%を占め、自民党(22%)、民主党(17%)を抑えてトップに立った」(産経ニュース9月4日より)  文春の「解散目前!総選挙全300選挙区当落予測 ザ・ファイナル」でも、「大阪維新の会」が相当な数を獲得すると予想している。  民主党89、自民党236、国民の生活が第一18、公明党21、日本共産党8、みんなの党33、そして大阪維新の会58。  橋下大阪市長に対する記事は概ね好意的なところが多く、サンデー毎日の「橋下維新と安倍の連携はニッポンを滅ぼす!」のような論調は少数派のようである。  中でも現代は橋下大いに持ち上げ派で、今週もこの男しかいないといい切る。  だが読んでみると意外にも、辛口コメントが多い。  衆議院議員を半減させるという案には、 「定数を半分にしたら、残りのスカスカの人数で衆院の常任委員会や特別委員会を開くことになってしまう。まさに役人天国になってしまう。橋下氏は単なる受け狙いで、何も考えずにただブチ上げたのだろう」(自民党山口俊一総務会長代理)  また、こういう書き方もしている。 「自党の若手・中堅代議士が維新の会に擦り寄っていくのを見て、既存政党のベテラン議員からは、『維新の会は落選候補者の救命ボート』などと、揶揄する声も上がる」  さらに、橋下の過去の発言を取り上げている。タレント弁護士時代、テレビでこんな発言をしている。 「日本の一番情けないところは、単独で戦争ができないことだ」 「徴兵制には賛成」 「アメリカの核の傘に入っているから日本は(アメリカに)抗議できない。日本も核兵器を持つべき」  もちろん現代は橋下のフォローをしているが、衆議院議員を半数にしなくても、救命ボートに乗った議員と素人同然の維新チルドレン議員が多数生まれれば、民主党の政権交代時よりも役人頼みが多くなり、官僚支配が強くなること間違いないはずである。  ましてや万が一にも橋下総理誕生となれば、憲法改正、徴兵制、核兵器を持てとなるかもしれない。  一方のポストは冷ややかに橋下大阪市長に擦り寄る政治家たちを見ている。  「大阪維新の会」に入ろうと野心満々の民主党・松野頼久元官房副長官や自民党・松浪建太を新人ホステスと呼び、松野はTPP強硬反対派で松浪は消費税増税法案に賛成した増税派なのに、TPP加盟賛成、増税反対の「大阪維新の会」に媚びを売るのは、 「要するに、政治家にとって政策は衣装。橋下氏が望むなら、どんなコスプレでも厭わないというわけだ。そもそも、安倍氏にしても、大の原発推進派で消費税増税賛成と、橋下氏と政策は全く逆方向なのである」  さらに橋下が敬愛する石原慎太郎都知事の息子・伸晃が8月初めに橋下と会談したが、 「こちらはチーママが大女将のコネで若旦那に『どうか私を選んでおくんなまし』としなをつくっているかのよう」  と茶化す。  したがって、絶対裏切らないのは石原都知事だけで、橋下が「役に立たないと判断すれば、躊躇なく伸晃を切り捨てるはずです」と、石原と橋下をよく知る人間にいわせている。  「大阪維新の会」は衆院選までに400人規模の候補者を擁立するといわれる。  ブームに惑わされることなく、候補者を見極めて一票を投じなければ、民主党よりもひどい政治になりかねない。なにしろ橋下大阪市長以外の候補者たちについては、われわれは何も情報を持っていないのだから。  佳作3は、8月27日に大阪・西成区の区民センターで開かれた「西成特区構想を考えるシンポジウム」の様子を伝えたポストの記事。  西成を変えることが大阪を変える第一歩と位置づける橋下大阪市長にとって、改革の重点地域である。  この日は市特別顧問の鈴木亘学習院大学教授らが特区の方向性を説明し、住民とのディスカッションが行われた。600人の会場に650人が詰めかけ、怒号が飛び交ったという。 「あいりん地区の簡易宿舎をゲストハウスエリアとして国際観光の拠点にする? そんなトコに外人が来るかい!」 「人口が減少して保護費の出費が減っていくっていうのは、人(受給者)が死ぬのを待つわけかッ?」 「一貫校もええが、通学路問題はどうするねん。小学校の校門前で朝からエロ本が売られとるんやで。買いに来るおっさんと子供たちが一緒に歩いとるのを知ってまっか」  治安問題では、鈴木教授が「警察は協力的」だというと、 「アンタのような偉い先生には紳士的やろが、ワシらにはボロクソや。通報しても何もしてくれん。自転車泥棒を捕まえるくらいしか能がないで」  と手厳しい。  生活保護受給者が4人に1人という現状は放置できるものではないが、だからといって、いきなり国際観光の拠点というのは飛躍しすぎであろう。  石原都知事が好きな橋下市長だから、新宿歌舞伎町浄化のケースを考えているのかもしれないが、そのおかげでどれだけ歌舞伎町がつまらない街になったか、一度見に来たらいい。  この記事はワイドの1本だが、こうした情報は他のメディアではやらないから、極上の週刊誌ネタだと思うのだが。  佳作の2位は、AKB48前田敦子の“卒業”を重大ニュースの如く扱ったメディアを批判した新潮の記事。  8月24日から3日間、AKB48は東京ドーム公演を開催し、27日には秋葉原AKB48劇場で前田の「卒業記念公演」が行われた。 「この期間、新聞・テレビ・雑誌の各メディアは、完全にAKB側にコントロールされていたといっても過言ではない。スポーツ紙は言うに及ばず、AKBを創刊135周年記念のイメージキャラクターに起用し、ドーム公演も特別後援している読売新聞をはじめ、朝日・毎日・産経から日経まで、全国紙は軒並み“あっちゃん”の動向を報じてきたのだ」(新潮)  雑誌はもっとひどい。秋葉原の改札を抜けると、至る所に前田のポスターが貼られていたのだ。  新潮は、ご丁寧にもその数を数えた。ちなみにこのポスターを貼るにはJR側に1枚あたり7万円を払わなくてはいけない。  集英社が38枚、講談社が20枚、文藝春秋が3枚、朝日新聞出版とマガジンハウス、日経BPが1枚ずつ、キングレコードが7枚だそうである。 「常日頃、彼らが口癖のように唱えている『批判精神』、あるいは『編集権の独立』といったお題目は、ここでは用を成さない。これでは、たかだか独り立ちする程度でから騒ぎを引き起こす無芸アイドルに、茶々を入れるわけにもいくまい」(新潮)  文春は「AKB48『仰天組閣』ウラ事情」をやっているが、内容的にどうということはない。  宮澤佐江と鈴木まりやが上海で発足するSNH48へ、高城亜樹と仲川遥香がジャカルタのJKT48へ移るそうだ。  これ以上AKBのまがい物をつくってどうするのかと思うのだが、それが秋元康戦略なんだろう。  最後にわざわざこう書いている。 「小誌は今後もガチですので、よろしくお願いします」  これからもAKB48のスキャンダルを追いかけるという決意表明なのだろうか。「御用メディア」に成り下がらないように、文春さん、気張ってな。  佳作の1位は、フライデーが掲載した美しすぎるアスリート・寺川綾(27)とイケメンスイマーとの「衝撃のキス!」。  ロンドンオリンピックの背泳ぎで2個の銅メダルを獲得した寺川は、日本の代表の中で一番輝いたアスリートといってもいいだろう。  帰国してからも多忙を極めているらしい。  その彼女が、しばらく前らしいが、飲み会の集合写真に写っている。ところがよく見ると、みんながピースサインを出しているのに、彼女は隣の男に「チュ!」しているではないか。  別のツーショット写真は、ホテルの部屋とおぼしきベッドの上で仲良く寄り添っている。もう一枚は、沖縄旅行をした際に撮られたのではないかと書いてあるが、沖縄そば屋で二人ともニッコリ笑って写っている。  男の名は細川大輔(30)。100メートルと200メートル自由形の元日本記録保持者で、いまは引退して、北島康介が主宰するスイミングクラブ「KITAJIMAQUATICS」でチーフインストラクターをやっているそうだ。 「寺川と細川の二人の交際は関係者の間では周知の事実でした。その後、別れたという話は、聞いていません。むしろ、来春には結婚するのでは、という話しも聞きましたが……」(寺川と親しい水泳関係者)  二人に直撃しているが、決定的なコメントはとれていない。だが、いい交際をしているという雰囲気ではある。  フライデーは「スクープ連弾2」として、女子バレーのエース木村沙織(26)がスカイツリーデートをした相手とのツーショットも掲載している。相手は男子バレー日本代表の米山裕太(28)。  中目黒の高級焼き肉屋から出てきた二人。木村のホットパンツから伸びている美脚が素晴らしい。一見の価値あり。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか 

青学中等部の壮絶イジメ 主犯格の母親“女優K”は今日もテレビで……(8月下旬の人気記事)

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 夏休みも終わって、いよいよ9月。2012年も残すところ4カ月となりました。あまりに早い時の流れに置いていかれないためにも、チェックしておきたい日刊サイゾー8月下旬の人気記事ランキング。はりきってどうぞ! 第1位 青山学院中等部の壮絶少女暴行事件 主犯格の母親・大物女優“K”の芸能生命終了か “後追い”がないのは圧力ですか? 第2位 「なぜ仕事が減っているのか」小林幸子に続いて“お家騒動”の美川憲一 そのキナ臭いウワサとは……? 演歌界も大変ね。 第3位 ももクロもしょこたんも「ムッ!」 小林幸子のKYぶりに批判が続出! みんなが怒ってるのは、そういうところだよ! 第4位 「歌っている最中に続々と観客が帰ってゆく……」a-nation大トリ・浜崎あゆみのステージが地獄絵図に もう目も当てられない? 第5位 「ネタのために寝た!?」ピース綾部祐二 64歳・藤田紀子との“30歳差熱愛”は本気なのか ガチなの? 次点 「ターバン姿で国歌斉唱」の湘南乃風HAN-KUN、その意外な評判とは? これは選んだほうが悪い! 次々点 「そのままになりそう!?」秋ドラマ月9に復帰のSMAP木村拓哉 不安視される“汚れ役” 期待しているよ!

豚のおっぱい、山羊のキンタマ……“食べ物界の一発屋”獣肉を食らう!!

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ワニ、トド、マンボウ……。メニューには妙な肉ばかりが並ぶ。
ゆるいものならなんでも大好き♪ ロリ顔ライター・朝井麻由美が気になるスポットをご案内します。  東京・高田馬場に、「豚のおっぱい」や「山羊のキンタマ」を食べられる店がある。分かってる、こんなもの食べずとも、普通の食べ物のほうがおいしいに決まってる。ゲテモノは悲しいかな、試しに“ネタとして食べる”、食べ物界の一発屋である。でも、一度は食べたい。一度経験して、「私、山羊のキンタマ、食べたことあるもんね!」と声高らかに自慢したい。ただそれだけのために獣肉酒家「米とサーカス」へ行くことにした。待ってろ、おっぱい、キンタマ。  高田馬場駅前の路地を数秒歩くと、突然妙な建物が現れた。 niku_1.jpg  妙なのは建物だけじゃない。店員さんも何かがおかしい。 niku_2.jpg  店の中も徹底的に怪しく、
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すぐ裏に山手線が走っているとは思えない異空間ぶり。
 メニューはなぜか絵本を改造して作られている。
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表紙は絵本そのまま。中身がメニューになっている。
 雑多なサーカス小屋をイメージしたというが、それにしてもあまりに前衛的な店構えにメニューの珍しさがいささか霞む。しかし、私はおっぱいやキンタマを食べに来たのだ。こんなところで負けるわけにはいかない。気を引き締めて、お目当ての珍味をオーダーした。挑戦したのは、豚のおっぱい・鹿のタン・熊の味噌焼き・山羊のキンタマ、の4品。 ■『いや~ん 豚オッパイ炒め』(480円) niku_5.jpg  オーナーの宮下慧さん曰く「リピーターがかなり多い」とのこと。一口かじってみると、やや豚の臭みはあるものの、歯ごたえコリコリでタンのような食感。噛むと、口いっぱいに脂の旨みがとろけて、うまい。うおォン!  ちなみに、こんなに安いのは、豚には一頭あたり12~14個もおっぱいがついていて、入手しやすいからだという。 ■『エゾ鹿の舌 塩焼き』(720円) niku_6.jpg  豚のおっぱいよりもやや硬く、少し獣臭さがあり、好き嫌いが分かれる味。鹿は部位によって味が大きく異なり、「鹿のレバーは、ペーストにしてみたり、味噌で焼いてみたりと工夫したけど、どうしても臭みが抜けず、定番メニューにするのはあきらめました」(宮下さん)と、調理に苦労しているそうだ。 ■『野趣あふれる熊の味噌焼き』(980円) niku_7.jpg  「熊はものすごくクセのあるお肉です」(宮下さん)と聞いておそるおそる口にしたのだが、味噌の染み込んだ肉の味がじゅわっと広がり、これまたうまい! うおォンうおォン! 肉を柔らかくするため、味噌とみりんに漬け込んで柔らかく調理されている。ラム肉に近いが、ラムよりも万人受けする味かもしれない。  だが、冬眠前が一番おいしく、冬眠明けは脂がのってなくて淡泊と個体差があるようだ。 ■『まさに珍味な山羊の金玉』(950円) niku_8.jpg  4品の中で、最も口にするのに勇気を要する一品である。なにしろキンタマ。しかも、なんの調理もなされていないお刺身として出てきてしまった。味噌や塩で味付けされているわけでもない、まっさらなキンタマ……。これはキンタマだと思うから食べづらいのだ。目をつぶって、キンタマであることは忘れて――と心の中でぶつくさ言いつつ、一枚口に含んでみると……とろとろっと舌の上で溶けたミルキーなその味は白子そのもの。すごいぞ、キンタマ。もちろん精力増進の効果があるとのこと。  今回食べた4品は、当初想像していた以上にどれも食べやすかった。特に、豚のおっぱいに至ってはゲテモノ感ゼロ。おっぱいのくせに。ゲテモノとしてのプライドを問いただしたいくらいである。  ところで、おっぱい、鹿、熊、キンタマ、と立て続けに食べると、最後のほうは胸焼けと同時に、なんだかやけに体全体が熱を帯びて発汗したのをここに記しておく。これはつまり、アレがアレでアレしたということで、皆さまにおかれましては、“そういう用途”で使うのも頭に入れておかれますよう。 ●ドキドキ度 ★★★★★ いろいろな意味でドキドキする店である。食べ過ぎるとドキドキと発汗し、お店のチャレンジ精神にもドキドキさせられる。まず、食材を仕入れるルートは、「“ゲテモノ”でGoogle検索をして調べています」(宮下さん)。そんなんでいいのか。さらには、「以前、虫料理も出そうとしたのですが、調理場がものすごく臭くなっちゃって……虫なんて食べるもんじゃないですね(苦笑)」と言い出す始末。虫料理は、こういったイベント(※記事参照)で十分である。 (取材・文・撮影=朝井麻由美) ●『米とサーカス』 <http://kometocircus.com/> 新宿区高田馬場2-19-8。JR山手線・西武新宿線・東京メトロ東西線 高田馬場駅より徒歩1分。営業時間は月~土17:00~7:00、日17:00~24:00。ちなみに、常に期間限定の新作メニューの研究を重ねていて、現在はウーパールーパー料理を開発中だそう。 【散歩師・朝井がゆく!】バックナンバー 【vol.15】ご当地検定だと思ったら大間違い!? 意外とガチな「甲賀流忍者検定」 【vol.14】まるでUFOキャッチャー!? ゲーム感覚で楽しめる‟釣り居酒屋” 【vol.13】工場長のテンションにも注目!? おもしろ消しゴム工場見学! 【vol.12】“新秋葉電気鉄道”出発進行! 鉄ヲタ大満足の鉄道居酒屋 【vol.11】ドレスコードはバンドT! ROCKにキメる『ジャケ弁講座』に潜入 【vol.10】かわいいメイドさんの正体はガンマニア!? シューティングメイドカフェ 【vol.9】ドヤ顔からてへぺろまで!? 自分にそっくりな石像が見つかる「五百羅漢」 【vol.8】ドラクエ好き女子ライターが教える、ドラゴンクエスト展のマニアな楽しみ方 【vol.7】麺の気持ちになれるアトラクションまで!? 「カップヌードルミュージアム」が楽し過ぎる! 【vol.6】「舌の上でプチプチと......」知られざる珍味"蝉フルコース"にチャレンジ 【vol.5】お坊さんは隠れた名カウンセラー? お寺で人生相談 【vol.4】"ライター"のプライドを懸けて「売り込みナイト」にガチで挑戦! 【vol.3】なんとも言えない高揚感に体が火照る!? 話題のアニソンバーで熱唱! 【vol.2】ベタなトルコをお気軽エンジョイ! 「東京ジャーミイ&トルコ文化センター」 【vol.1】サブカルイベントゆえのゆるさ!? 『ART MAP in 阿佐ヶ谷』を歩いてみた

“世界的な絶滅危惧種”である独裁者に愛の手を!? 政治ネタ&下ネタ満載コメディ『ディクテーター』

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故金正日に捧げられた『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』。欧米で
大ヒットを記録したが、北朝鮮や中東での上映予定はないようだ。
 軍需産業で大儲けしたプレイボーイ、二重人格の科学者、70年の眠りから目覚めたバリバリの愛国者、遠い星からやってきた雷神さま……、それぞれピンで活躍していた人気ヒーローたちが“世界平和”という大義名分のために大同団結する『アベンジャーズ』が大ヒット公開中だ。作品にテーマはなくとも、CGと人気キャラクターをぎゅうぎゅう詰めにしたビッグマック的な味わいで歴代映画興収1位の座に迫っている。そんな正義のヒーローたちが大集合した米国の映画興行シーンに、果敢に立ち向かったのがサシャ・バロン・コーエン主演のコメディ映画『ディクテーター(独裁者) 身元不明でニューヨーク』。中東のとある小国の独裁者を主人公に、アメリカ社会の奇妙さを痛烈に皮肉った内容となっている。  サシャ・バロン・コーエンはカザフスタンのTVレポーターに扮した『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習』(06)、ゲイのファッションレポーターに成り済まして中東や米国南部をめぐった『ブルーノ』(09)といった“やらせ”ドキュメンタリー映画で爆笑を呼んできた過激な英国コメディアン。今回は『アリ・G』(02)以来となる、久々に脚本ありの主演ドラマ。中東の小国・ワディヤ共和国に君臨する、生まれながらの独裁者アラジーン将軍役だ。国内で開かれた競技大会はすべて驚異的な新記録で優勝し、夜はハリウッドから呼んだセレブ(ミーガン・フォックス)にベッドの相手をさせるなど、オイルマネーと権力を笠にやりたい放題。最近熱中しているのは核ミサイルの開発。「ミサイルの先っちょは尖ってないとダメ」というアラジーンのこだわりに異議を唱えた科学者ナダル(ジェイソン・マンツォーカス)はすぐさま処刑されてしまった。イラクのフセイン、リビアのカダフィ、北朝鮮の金正日の3人をブレンドしたようなアホバカ&わがままキャラクターだ。
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アラジーン将軍、NYへ見参。「米国は黒人が作り、
中国マネーが支える国」なんて毒舌ぶりが楽し
めます。
 自国で好き勝手やっていたアラジーンだが、国連が核ミサイルの開発疑惑に懸念を抱き、「サミットで釈明せよ。さもなくば空爆するぞ」と脅してきた。ここは一発、独裁主義の素晴らしさを米国人相手にスピーチしてやろうじゃないのと、アラジーンは秘密警察の長官であるタミールおじさん(ベン・キングスレー)や自分に瓜二つな影武者を伴っていざ渡米。金正日の“喜び組”か“カダフィガールズ”を思わせるセクシーな女性コマンドーたちを引き連れてのパレードでNYを沸かせる。ところが宿泊先の高級ホテルでアラジーンは何者かに拉致され、自慢のヒゲを剃られてしまった。これではホクロのない千昌夫かノーメイクの浜崎あゆみのように誰なのかさっぱり分からない。いくら「オレはワディヤ共和国の将軍さまだ!」と主張しても、米国ではただの頭のおかしい人状態。NYでいきなりホームレスとなったアラジーンを不憫に思ったのは、難民支援をしている人道主義者の女性活動家ゾーイ(アンナ・ファリス)。行き場のないアラジーンは、ゾーイが経営している自然食品店で働き始める。  現代的な女性ゾーイは、ショートヘアでおっぱいも大きくない。その上、わき毛がボーボー。保守的な女性観しか持ち合わせないアラジーンから見れば、セクシャルな魅力がまるで感じられない。ところが気に喰わない人間に向かって「お前、処刑しちゃうぞ!」と罵るアラジーンに対して、ゾーイは「面白いジョークを言う人ね」とケラケラと笑う。これまでのアラジーンが知っている、取り巻きたちの愛想笑いとは異なるとても自然な笑顔だ。屋上農園で一緒に汗を流すうちに、アラジーンはおっぱいの小さいゾーイの魅力に惹かれていく。宮殿にいた頃の“自由”とゾーイの店で働き始めてから感じる“自由”では、ずいぶんと意味合いが違う。独裁者が手に入れた初めての平穏な時間。つい数日前まで人を人と思わぬ暴君だったアラジーンが、『ローマの休日』(53)のアン王女(オードリー・ヘップバーン)に重なって見えるから不思議です。
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大富豪を相手に荒稼ぎするハリウッドセレブ
役でミーガン・フォックスが出演。ロボット映
画を降りて、こんなことをやっていたとは!
 身分の高い雲上人が、小市民の生活を体験する中で“愛”というプライスレスな宝物を見つけるという現代版『ローマの休日』としてロマンチックに展開する『ディクテーター』。クライマックスは、チャップリンが第二次世界大戦中にドイツの独裁者ヒトラーを痛烈に批判した『独裁者』(40)へのリスペクトに満ちた感動シーンが待っている。アラジーンがゾーイに夢中になっている間に、腹黒いタミールおじさんはサミットの席上でノータリンなアラジーンの影武者に民主化宣言の宣誓書にサインをさせようと企む。ワディヤ共和国を民主化させることで石油利権を米国や中国の巨大企業に売買し、莫大な私有財産を手に入れようとしていたのだ。アホでバカで差別主義者のアラジーンだが、自分の国が民主化されてアイデンティティーが失われることは身を挺して防ごうとする。変人が変人ならではの驚異的な特殊能力を発揮する。サミットに乱入したアラジーンは、世界各国がテレビ中継する中で高らかに独裁主義の素晴らしさを訴える。アラジーンの間違ったこの演説が、異常なまでに熱くて感動的だ。
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NYに来たアラジーンは、デモに参加していた自
然食品店の店長ゾーイとの恋に陥る。愛は独裁
者の心まで変えてしまうのか。
「独裁の何が悪いというのですか? もしも、アメリカが独裁国家だとしたら、国民の1%にすべての富を集めることができる。金持ちへの税金を減らしてもっと金持ちに、損をしても救済措置を行なえる。貧乏人の健康と教育など気にしなくていい。メディアも自由の名のもと、一族で牛耳ることができる。盗聴や捕虜虐待に不正選挙もできる。理由をでっちあげて、戦争だってできる。同じ人種ばかり逮捕してもいい。メディアを使って国民の不安を煽り、たとえ国民に不利な政策でも支持を得られる。そんな国にこのアメリカがなるなんて、ありえないでしょう!」  アラジーンという変人キャラクターを通して、超インテリ芸人サシャ・バロン・コーエンは民主主義を隠れ蓑に米国が世界を牛耳る独裁国家になってしまったことを逆説的に指摘する。  大企業の利権が最優先される超大国アメリカに、ドンキホーテさながらにたった1人で立ち向かうアラジーン将軍。果たして、この無謀な戦いに勝利することはできるのだろうか。ただひとつ言えることは、彼は決して一方的な敗者ではないということ。ゾーイというワキ毛ボーボーだけど、掛け替えのない宝物を手に入れたのだから。 (文=長野辰次) dictator05.jpg 『ディクテーター 身元不明でニューヨーク』 製作総指揮/アダム・マッケイ 製作・脚本/サシャ・バロン・コーエン 監督/ラリー・チャールズ 出演/サシャ・バロン・コーエン、アンナ・ファリス、ベン・キングスレー、ジェイソン・マンツォーカス、ジョン・C・ライリー、ミーガン・フォックス R−15 配給/パラマウント ピクチャーズ ジャパン 9月7日(金)よりTOHOシネマズ六本木ほか全国順次公開 http://www.dictator-movie.jp  (c)2012Paramount Pictures,All Rights reserved. ●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第185回]障害者の性処理も介護の重圧も、すべて笑い飛ばせ! 男たちのバリアフリーな友情ドラマ『最強のふたり』 [第184回]人類を生み出した“創造主”との遭遇!! リドリー・スコットが物語るSF神話『プロメテウス』 [第183回]“校内格差社会”に出現した異分子(ゾンビ)たち! 青春のカタルシス『桐島、部活やめるってよ』 [第182回]カメラマンは法を犯してもかまわない!? 国家の暗部を暴く男の情念『ニッポンの噓』 [第181回]“学校”という名の密室ではびこる児童虐待の事実! 子どもたちは教師を訴える『トガニ 幼き瞳の告発』 [第180回]“神様”との出会いと別れ、そして旅からの帰還  ドキュメンタリー『アニメ師・杉井ギサブロー』 [第179回]親友=お金を貸してくれる、女友達=SEXさせてくれる!? 品性お下劣男の青春『苦役列車』 [第178回]“沢尻エリカ”という名のアトラクションムービー『ヘルタースケルター』が描く無常の世界 [第177回]毒カレー、オウム真理教、光市母子殺害……“悪魔の弁護人”と呼ばれる男の素顔『死刑弁護人』 [第176回]“芸能生活30周年”ニコラス・ケイジの会心作! 被災地に流布する暗号『ハングリー・ラビット』 [第175回]やめろと言われても、今では遅すぎたッ! 妻夫木聡&武井咲主演の過剰なる純愛劇『愛と誠』 [第174回]年間自殺者数3万人を越える現代社会への提言 自殺対策の現状を追った『希望のシグナル』 [第173回]“三島割腹事件”を若松孝二監督が映画化!『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』 [第172回]実在の事件を題材にした“命の授業”『先生を流産させる会』がついに劇場公開! [第171回]自由社会に順応できない“脱北者”の過酷な現状 無垢なる季節との決別『ムサン日記 白い犬』 [第170回] 世界興収100億突破のSF大作『ロボット』はあらゆる既成概念を破壊する!! [第169回]“エンタの神さま”ツイ・ハークが大復活! B級映画マニアの心を焦がす『王朝の陰謀』 [第168回]人はお下劣な分だけ、強く優しくなれる!? 結婚を控えた女たちの本音『ブライズメイズ』 [第167回]行きすぎたシステム社会に警鐘を鳴らす“ユナボマー・マニフェスト”の映画化『モンスターズクラブ』 [第166回]祭りの終わりと新ステージの幕開け、3部作完結『サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』 [第165回]すばらしき“コーマン野郎”の世界!『コーマン帝国』、愛と欲望の歴史 [第164回]懐かしき香り漂う、新感覚サスペンス 破滅へ突き進む男の悲劇『ドライヴ』 [第163回] 災害に備えた地下シェルターは必要? 心理ホラー『テイク・シェルター』 [第162回] 森田芳光監督の最終列車『僕達急行』人生は出会いと旅立ちのリフレイン! [第161回] 鬼才キム・ギドクの"多重人格ショー"セルフドキュメンタリー『アリラン』 [第160回]映画創成期に散った"殉教者"への聖歌 3D映画『ヒューゴの不思議な発明』 [第159回]これはホラー? それともコメディ? 勘違い女が爆走『ヤング≒アダルト』 [第158回] ピラミッドは古代からのメッセージ!? 歴史ミステリー『ピラミッドの謎』 [第157回] 韓国映画の名匠が明かす"創作の極意"イ・チャンドン監督『ポエトリー』 [第156回] ローカル局で"伝説となった男"の生涯『木村栄文レトロスペクティブ』 [第155回] 米国に半世紀も君臨した"影の大統領" FBI初代長官『J・エドガー』 [第154回]犯罪者たちに学ぶ"人心掌握術"の奨め『アニマル・キングダム』『預言者』 [第153回]"地獄"からの生還者・板尾創路の凄み 古典落語を過激に脚色『月光ノ仮面』 [第152回]早くも2012年ベスト1映画が登場!"代理殺人"を巡る恐怖『哀しき獣』 [第151回]父殺し、自分殺し、そして再生の物語 園子温流ラブストーリー『ヒミズ』 [第150回]米国お笑い横断旅行『宇宙人ポール』人間のちっぽけな悩みはETが解決! 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まさに“シンガポール・ドリーム”! 国宝級アート・ディレクターが、憧れの地・日本でブレイク間近

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テセウスがアート・ディレクターを務めた、ルイ・ヴィトンと
草間彌生氏のコラボレーションを記念したファイン・ブック。
 『AKIRA』『ドラゴンボール』『ドラえもん』......子どものころ、僕らの心をアツくさせた漫画やアニメが、海の向こうに住むアジアの子どもたちの心にも火をつけていた。今や日本人だけのものではなくなった、日本のポップカルチャー。その影響を受けて育った、アジアの才能豊かなクリエーターたちを紹介します。 第30回 アート・ディレクター テセウス・チャン(Theseus Chan)  今年建国47周年という若い母国よりも少しだけ年長のテセウスは、「国宝」(!?)の呼び名さえ持つ、シンガポールを代表するアート・ディレクターだ。歴史の浅いシンガポールのデザイン業界において、初めて世界的な評価を得たクリエイターであり、現地の若手が崇拝するマスター的存在。当地のヒーローであるPHUNKクリス・リーも、テセウスにだけは決して頭が上がらないという。  さぞや押しの強そうな人物と思われるかもしれないが、実際には「多くの前世を経験し、徳を積んでこられたのでしょう」と拝みたくなるような、一見お坊さんのような風貌。本人はいたって腰が低く、注目されるのが苦手で、業界のパーティーなどにはまず足を運びたがらない。  テセウスがデザイナーという職業を意識しだしたのは、かなり早かったという。
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「WERK No.18」
「僕が学生の頃は、デザイナーになるなんて言ったら、“馬鹿なことはやめろ”と説得されるか、変わり者扱いされるのがオチでした。銀行員か公務員になって安定した収入を得るのが一番の親孝行、と、多くのシンガポール人が信じて疑わなかった時代です」  そんな状況も、ここ10年ほどで随分変わってきた。シンガポールをアジアのアート&デザインのハブにし、経済効果を狙うというもくろみの下、政府主導のさまざまなバックアップ施策が実行されてきたのだ。一般市民へのデザインの認知度も上がり、クリエイターをめぐる環境もだいぶ整えられたように見える。若手デザイナーの数も増え、デザイナーを目指す学生を応援こそすれ、それを止める親や親戚もいなくなった。
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「WERK No.18」
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「WERK No.18」
 しかし、テセウスからすると、事態はそれほど楽観できたものではない。 「残念なことに、今、多くのデザイナーは、クオリティーを追求したり、そのプロジェクトが自分のキャリアやクライアントにもたらす成果のために努力するのではなく、とにかく“仕事をとる”ことに精力を傾けがちです。そのためのダンピングもお構いなし。デザイナーはプライドをなくし、クライアントのデザインに対する意識は低いまま。市場は成熟するどころか、後退しているようにさえ感じます」  辛口なようだが、「上から降ってくる」施策を享受した、いかにも教科書的なデザインが大量生産されれば、競争のポイントはクオリティーからずれていくばかり。むしろ網の目をくぐり、破り壊してでもやり遂げたい、強いデザインスタイルを持つべきなのだ、とテセウスは言う。  テセウスがデザインで常にお手本にしていたのは、80~90年代の日本の雑誌。「流行通信」「スタジオボイス」「Mr.ハイファッション」……行ったこともない日本の雑誌を手に入れては、ボロボロになるまで研究していた。中でも、コム・デ・ギャルソンが1988~91年に出していたフリーペーパー「six」は、テセウスのデザイン・バイブルといっていい。シックでゲリラ的精神にあふれ、妥協のないビジュアル・センスで見る者を圧倒する……それはテセウスに、自らのクリエイティブの発露をも促し、2000年から、世界のマガジンフリークの垂涎の的である「WERK(ヴェルク)」を、年に2回自費出版し続けている。同時に「いつか縁があって、自分のデザインを認めてくれる人たちと日本で仕事ができれば」と夢見ていたという。
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「OnPedderNewNews 2012 S/S」
 そんなテセウスの夢が、ここ数年で次々と現実化している。日本がらみのプロジェクトが目白押しなのだ。2009年に「師匠」と呼ぶ田名網敬一氏との出会いをきっかけに、2010年、田名網氏とPHUNKのコラボ展覧会のPR誌「The Tanaami Times」のアート・ディレクションを担当。2011年に田名網氏をフィーチャーした「WERK No.18 Keiichi Tanaami - Psychedelic Visual Master」を発行。2012年の1月と3月には、同じく田名網氏を迎え、長年アート・ディレクターを務める香港の高級セレクト・ショップOnPedderの顧客向けマガジン「OnPedderNewNews」(http://onpedder.com/pedderzine_fullbook/part7/index.html)での競演を果たしている。
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「LV - YK」ファイン・ブック
 7月には、彼がアート・ディレクターを務めた、ルイ・ヴィトンと草間彌生氏のコラボレーションを記念したファイン・ブック(発行:ルイ・ヴィトン ジャパン。ドーバーストリートマーケット銀座のみでの期間限定販売/http://ginza.doverstreetmarket.com/new/louis_vuitton.html)が発表され、大きな話題となった。アーティストへの深い理解とリスペクト、そしてチャレンジ精神を120%出し切った本の出来栄えに、草間氏本人も大絶賛したという。ユニクロ銀座では、8月に「UT 東京土産」プロジェクト(http://www.uniqlo.com/jp/store/feature/uq/ut/tokyoomiyage/)をリリース、テセウスが来日のたびに気になっている日本語をモチーフにデザインしたTシャツが販売されている。
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「UT 東京土産」プロジェクト
tee_mistaken.jpg tee_niceguys.jpg  さらには今年12月、日本のグラフィック・デザインの殿堂、ggg(ギンザ・グラフィック・ギャラリー/http://www.dnp.co.jp/gallery/ggg/)での日本初個展が開催されるなど、まさに今年は「テセウス祭り」とでも呼びたくなるほどの盛り上がりを見せている。  「僕にとって、日本はクリエイティブのお手本にあふれた国。自分たちの仕事を気に入ってくれる人たちが日本にもいると思うと、本当に勇気づけられます」というテセウス。今年の「祭り」はほんの序の口。来年は、日本中にテセウスのデザインがあふれていくことだろう。 theseus2008pilow_xs.jpg ●テセウス・チャン WORK代表/WERKマガジン クリエイティブ・ディレクター。1961年シンガポール生まれ。マッキャン・エリクソンなどを経て、97年に、広告・デザイン・ファッション・出版の枠を超えて活動するデザイン・オフィスWORKを設立。2000年に創刊した「WERK」は、印刷技術の限界に挑むインディペンデント・マガジンとして、世界中に熱狂的なファンを持つ。04年から09年まで、東南アジアで唯一のコム・デ・ギャルソン ゲリラストアを運営。同時にビジュアル誌「Guerrilazine」を制作。06年、シンガポール・プレジデンツ・デザイン・アワード受賞。09年「WERK」16号でD&AD賞イエローペンシル受賞。 <http://www.workwerk.com/> <http://www.ashu-nk.com/ASHU/work.html> ●なかにし・たか アジアのデザイナー、アーティストの日本におけるマネジメント、プロデュースを行なう「ASHU」代表。日本のクリエーターをアジア各国に紹介するプロジェクトにも従事している。著書に『香港特別藝術区』(技術評論社)がある。<http://www.ashu-nk.com > オンラインTシャツオンデマンド「Tee Party」<http://teeparty.jp/ashu/> ■バックナンバー 【vol.29】「ゴジラに出てくる怪獣が大好きだった」インドネシアの“落書きアーティスト”が描くジャカルタの今 【vol.28】香港フィギュアブームの火付け役! ‟『AKIRA』にヤラれた”作家が手がける近未来物語 【vol.27】“田名網チルドレン”続々……アジア各地で熱烈支持されるサイケデリック・マスター 【vol.26】『銀河鉄道999』はアップル並みのインパクト? 韓国の催眠術的ポートレイト 【vol.25】ネタ元は日本の特撮ヒーロー? インドネシア式ファンタジー 【vol.24】"80後"世代の代弁者 中国売れっ子写真家の「未来系アート」 【vol.23】「ヤクルトとカップヌードルに洗礼?」MOJOKOのユーモラスな世界 【vol.22】「狂気とポップカルチャーが融合!?」香港のアーティストが追求する"不完全な美" 【vol.21】「人間の欲望を視覚化?」香港人気キャラの生みの親が追求する"醜さの美学" 【vol.20】「故郷・ボルネオ島での原体験が創造力の源」世界で活躍するマレーシアの"ケンヂ" 【vol.19】「人生に起きるすべてのことを細かく観察したい」中国ネット世代のアーティスト 【vol.18】「ヒーローは宮崎駿と奈良美智」シンガポールのマルチスタイル・アーティスト 【vol.17】「ルーツは『天空の城 ラピュタ』」ウォン・カーウァイに見い出された香港の若き才能 【vol.16】怖かわいい魑魅魍魎が暴れ回る! ヤン・ウェイの妖魔的異界 【vol.15】「原点は日本のコミック」東南アジアを席巻する都会派クリエーター 【vol.14】エロ×宗教×故事が混在!? 中国版・寺山修司が造り出すカオスな世界 【vol.13】昼間はOL、夜は寡黙なアーティスト ソン・ニが描く秘密の快楽の世界 【vol.12】まるで初期アニメ ローテクを駆使する南国のアート・ユニット「トロマラマ」 【vol.11】「造形師・竹谷隆之に憧れて......」 1000の触手を持つ、マレーシアのモンスター 【vol.10】"中国のガロ系"!? 80年代以降を代表するコミック・リーダー ヤン・コン 【vol.9】大のラーメンおたく!? シンガポールデザイン界を率いる兄貴、クリス・リー 【vol.8】メイド・イン・ジャパンに憧れて...... 香港の文学系コミック作家・智海 【vol.7】「血眼になってマンガを追いかけた」海賊版文化が育んだ中国の新しい才能 【vol.6】裸人間がわらわら 香港ピクセル・アートティストが放つ"アナログデジタル"な世界 【vol.5】ダメでも笑い飛ばせ! 香港の国民性を体現したグラフィック・ノベリスト 【vol.4】「教科書はガンダムの落書きだらけだった」 香港・原色の魔術師の意外な原点 【vol.3】「懐かしいのに、新しい」 読むほどにクセになる"タイ初の日本漫画家"タムくん 【vol.2】 マイブームはBL!? 香港の腐女子が描きとめる、消えゆく都市の記憶 【vol.1】「 :phunk版ガッチャマンが作りたい」 シンガポール発のデザイン集団が描く夢

拉致問題解決は間近!? 金正恩第一書記が日本政府へメッセージ?

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「週刊現代」9月8日号
優秀作 「世界的スクープ! 金正恩『単独会見』4時間」(「週刊現代」9月8日号) 佳作 「領土に侵略者!『野田総理』尖閣に立つべし」(「週刊新潮」8月30日号) 佳作 「読売新聞『取材メモ誤送信』ネタ元警察官は自殺未遂していた!」(「週刊文春」8月30日号) 次点 「急進的反原発に染まりかけた元首相夫人『安倍昭恵』」(「週刊新潮」8月30日号)  夏バテのせいか、週刊誌にも疲れが見える。中でも連続スクープを連発してきた文春にその色が濃い。今週の売り物は「主犯格は大物女優の娘【いじめ】青学中等部『セレブ子女』」だが、文春らしくない記事である。  いじめ事件が起きたのは、今年の5月下旬だそうである。保護者の一人がこう語る。 「二年生のA子さんが、数人のいじめグループによって、校内のトイレに追い込まれた。加害生徒は同級生の女子四人と男子二人。女子四人は直接手を下さず、“実行犯”の男子生徒に、いじめの指示をしていたらしい。男子はトイレの個室に無理矢理入り込み、白無地のブラウスにスカート姿のA子さんの衣服を剥ぎ取り、その様子を携帯電話のカメラで撮影したのです」  A子はこのことを父親に話し、激怒した父親が学校に怒鳴り込んで事態が明るみに出てしまった。ここまではいいのだが、それから後がいけない。「首謀者の一人はB子。あの○○さん(大物女優の実名)の娘です」というのだが、この女優が誰なのかさっぱりわからない。  もちろん、それがわかれば生徒たちのプライバシーに関わるから、配慮したのはわからないでもないが、読んでいて面白くない。これなら大物女優の実名を出して、娘の素行はボカして書けなかったものだろうか。  今週も「原色美女図鑑」でAKB48をやっているのも文春らしくない。東京ドーム公演の公式ムックを取れたことがそんなにうれしいのかね。  今週はそのようなわけで、グランプリ該当作が見当たらないので、優秀作と佳作、次点を選んでみた。  次点になったのは新潮の安倍元首相の妻の記事。これは現代でもやっているが、新潮のほうが短くピリッとしていていい。  夫の安倍晋三元首相は橋下徹大阪市長から組まないかと誘われているそうで、ご機嫌がいいようだが、その妻アッキーこと昭恵夫人が、山口県知事選に出馬した反原発の旗手・飯田哲也環境エネルギー政策研究所長と親交があるというのだ。  彼女は新潮のインタビューで、彼の講演会に行って、原発システムの在り方について疑問を抱くようになったと答えている。上関原発の建設予定地の祝島で、島中が建設阻止の反対運動を続けているが、そこへも行ってきたという。さすがに行くときは亭主から反対されたようだが、押し切ったそうである。  彼女は大学院で学び直して修士課程を終えた。修士論文のテーマはミャンマーでの寺子屋教育で、お金がなくて学校に通えない子どもたちの支援も続けている。震災以降は自給自足の生活を目指して、無農薬稲作も手がけているそうだ。  ウルトラ保守の星・安倍元首相も原発推進、憲法改正なんて言っていると、小沢一郎のように、自立した妻から三行半を突き付けられないとも限らないぞ。  佳作の文春の記事は、今の大新聞のお粗末さを浮き彫りにしていて興味深い。  読売新聞西武本社社会部記者が、福岡県警の暴力団捜査について取材した内容を、他社の記者たちに誤送信していた“事件”は、なんともお粗末である。  そこには、県警の東署警部補が暴力団関係者から、捜査上の便宜を図った見返りに現金を受け取っていたという情報が書いてあった。記者は慌てて受信者全員にメールを送信して削除と情報が漏れないように依頼し、社会部長にも報告していた。だが、読売新聞は翌日、その取材メモの内容を元に朝刊一面トップに記事を掲載してしまうのだ。 「『取材源の秘匿』を大原則にすれば、あり得ない判断である」(文春)  他社もやむなく読売の記事の後追いを始め、取材源として県警警務部監察室のX警視の名が浮上してきた。そしてX警視は自殺を図った。幸い一命はとりとめたが、捜査中の情報を漏らしたという警察内部の非難の目に耐えられなかったのであろう。  取材源を守るというジャーナリストとして最低限度のことさえ、今の新聞は忘れかけているようだ。  竹島、尖閣諸島をめぐって緊張が増している。週刊誌を読んでいるといつ戦争が起きても不思議ではない雰囲気である。中でも、この手のものでは「老舗」の強みを発揮しているのが文春と新潮である。  新潮は、タイトルは「尖閣」だが、もちろん中国だけではなく韓国にも言及している。  両誌を読んで感じるのは、韓国に対して厳しい論調が目立つようだ。文春は李明博大統領の肉親や側近20人が逮捕されていて、彼が大統領の座を退けば50%の確率で逮捕されるのではないかとこき下ろしている。  私は不勉強だから、尖閣諸島と竹島をめぐってなぜこのように対立が深まるのかよく理解できなかったが、新潮がこの素朴な疑問に答えてくれているので、こちらを佳作とした。  先日の野田佳彦首相の記者会見でも同様のことが述べられていたが、ときの首相が国民に説明するのは珍しいことのようだ。  江戸時代から日本人は尖閣諸島を利用していた。最盛期には200人を超す定住者がおり、1895年に明治政府は「これらの島々が他国に属していないことを慎重に確かめた上で日本の領土として編入」(新潮)したのだが、1968年に尖閣諸島の近海に石油が埋蔵されている可能性が指摘され、71年になって中国と台湾が領有権を主張し始めたというのだ。  一方、竹島は1905年に「明治政府が、尖閣諸島と同様に、周辺諸国の占有がなされていないと判断した上で閣議決定により島根県に帰属する官有地として実効支配を始めた」(新潮)とある。  これを見ると、尖閣諸島はともかく竹島のほうは「日本固有の領土」とするにはやや根拠が弱い気がする。そのためか、韓国は李承晩大統領のときに「李承晩ライン」なる境界線を引いて韓国領土に組み入れ、以降警備兵を常駐させるなどして「実効支配」を続けている。  この中で、中国問題に詳しい平松茂雄は「近代社会では国際法に則った実効支配が問題」で、尖閣諸島は日本の領土にし、日本が実効支配しているから問題ないとしているが、「国際法に則っている」かは疑問視されるが、竹島は韓国が現在では「実効支配」しているのだから、ややこしいことになるようだ。  ロシアのメドベージェフが大統領だった2年前に北方領土を訪問した。行く前に中国の胡錦涛国家主席と会い、領土問題について支持し合うという連携ができたと解説するのは中西輝政京都大学名誉教授。韓国はそれを見ていて、李大統領が「今だ」と竹島に上陸したのだと読む。  竹島に李大統領が上陸したことも日本側の反発を招いたが、その後の、「(天皇は)韓国を訪問したがっているが、独立運動で亡くなった方々を訪ね、心から謝るなら来なさいと(日本側に)言った」発言は、私のような自称リベラル派でも怒り心頭であった。  いくら支持率が落ちているからとはいえ、言っていいことと悪いことをわきまえるべきであろう。中国はもちろんだが、韓国と日本の溝は長く深い。私が最初に韓国を訪れたのは40年ほど前になるが、そのとき向こうの政府高官が、秀吉と加藤清正の朝鮮出兵によって韓国の歴史的建造物や重要な文書が焼かれたことを、つい昨日の如く怒り、私に食って掛かってきたことを思い出す。事の本質は領土問題ではなく、日韓双方の国民の中に根強くある嫌悪の情であろう。  ちなみに文春の中の首都大学東京鄭大均教授の「韓国被害者アイデンティティには未来がない」を引用してみたい。 「ほぼすべての韓国人には日本に対する敵意や憎悪が自明で本質的な感情になるという準備のようなものがあって、それは彼らの韓国人としての体験と分かちがたく結びついている。  韓国で韓国人として生きるものは、日本に対する敵意や憎悪がその心や身体に思考や感情のパターンとして刷り込まれるという体験から自由ではいられない。韓国人はその社会化の過程で、国家との一体感のようなものを早くから学ぶと同時に、反日の刷り込みもおこなわれる。  韓国では小学生の子どもでも『独島(日本では竹島=筆者注)はわれらの地』などと本気でいうが、この本気は、テレビの公共広告が毎日流し続けている『独島』の風景につながり、また学校教育における歴史理解の正答に支持され、よく知られた歌の文句に共鳴し、さらには、よく知られた清涼飲料水であるとか、その他の商品の広告宣伝によっても刷り込まれている。(中略)  ある程度の条件、状況が整えば、韓国人は誰しもが反日を実践してしまう。ロンドン五輪でのサッカー選手の行動も、今回の李大統領の言動も、その事例のひとつと考えればよい。(中略)  かつて国交正常化(65年)以後の日韓関係について、韓国研究者の故・田中明氏は『逃げの姿勢でその場をしのいでいこうとする日本』と『そうした日本を逃がすまいと襟首を掴んで要求し糾弾する韓国』と表現した。もう半世紀も続くこの構図を変えることを、私は日韓関係の新しい正常化と考えたい」  長く続いてきた日韓の歴史を冷静に見つめ直し、鄭教授の言うように「この構図を変える」努力を双方が歩み寄ってしなければ、日韓の負の歴史遺産を孫子の代まで残すことになる。今の日本が中国や韓国と付き合わないで生きていけるはずはないのだから。  ところで、シリア北部アレッポで取材中に殺害された山本美香(45)さんの死について触れておきたい。紛争地域へ入るだけでも覚悟がいることなのに、そこで虐げられている弱者の側に立ってカメラを回し、レポートする勇気には頭が下がる。  新聞記者だった父親は「娘は私の背中を見てジャーナリストになったそうだが、もう追い抜いた」とテレビで語っていたが、その通りであろう。それは親としての父を超えたのではない。大新聞にいたジャーナリストの父親を超えたのである。  新聞やテレビの特派員は、赴任している地域に紛争が起きれば、その地からいち早く引き上げてしまう。福島第一原発が爆発を起こした後、南相馬市や飯舘村から日本人記者がいなくなってしまったと、マーティン・ファクラー『ニューヨーク・タイムズ』東京支局長が『「本当のこと」を伝えない日本の新聞』(双葉新書)で書いている。そして、その後の現地報告をするのはフリーのジャーナリストたちである。紛争地域でも福島の高線量の避難区域に入ってルポしたのも彼らであった。  山本さんの志や勇気を評価するのはもちろんだが、そこで終わらせてはいけないと思う。既成メディアの記者たちの勇気のなさやジャーナリスト魂の欠如が指弾されなければならないはずである。自分たちは安全なところにいて、フリーが命懸けでとってくる現場報告や映像を流すだけではジャーナリストを名乗る資格はない。  8月26日付の朝日新聞社説「シリアでの死──山本さんが伝えた危機」の中の末尾にこうある。 「極限の危機に置かれた人々が生きる場に入り、その現実を世界に伝える。ジャーナリズムの重い責務を改めてかみしめる」  自分たちは危険から遠い場所にいて、ジャーナリストはこうあらねばいけないなどと寝言をいうだけの典型的な悪文である。朝日には、死を覚悟して戦地を取材するフリージャーナリストに対して恥ずかしいと思う気持ちが欠如している。  さて、今週の優秀作は現代の金正恩単独会見である。TBSテレビではその模様を8月22日から流しているから、現代の独占ではない。  これは、1982年に北朝鮮に渡って寿司職人となり、その後「金正日ファミリーの専属料理人」を務めた後、日本へ戻った藤本健二(66)が、北朝鮮側の招待で7月21日から8月3日まで平壌に滞在したとき、金正恩第一書記と再会した話である。  始めは北朝鮮からの訪朝要請に驚いたようだ。彼は1989年に20歳年下の有名歌手と金正日将軍の仲人で結婚し、間もなく成人する娘がいるそうだ。幼かった金正恩とよく遊んであげたそうである。  だが、2001年に北朝鮮を出て以来、妻子とは離ればなれである。会いたい気持ちは強いが逡巡していたところ、金正恩第一書記が自筆の手紙をよこし、ようやく決断した。  11年ぶりに見る平壌は「見違えるようでした。人々の表情は明るいし、ファッションはオシャレになっているし、携帯電話をかけたりしている」(藤本)  通称「8番宴会場」と呼ばれる場所で金正恩第一書記と会った。彼は李雪主夫人を従えて待っていた。我を忘れて走り寄り金正恩に抱擁したとき、涙が止めどなく流れたという。その時の様子が写真に撮られている。叔父で金正恩の信頼を得ているといわれる張成沢党行政部長とも親しく挨拶した。  歓迎の宴会は高級ボルドーワインを呑みながら行われた。藤本が持ち込んだマグロを食べ、フカヒレやアワビのご馳走が並んだ。そんな中で、藤本は「正恩王子」に言いたかったことを手紙にしたため、通訳に代読してもらったというのだ。  彼は「拉致問題」という言葉は北朝鮮の幹部たちのプライドを傷つけるため使わなかったが、「正恩王子と再会できるこのチャンスに、拉致問題を早く解決し、日本と国交を結んでほしいとお願いしたのです」(藤本)  金正恩第一書記は肯きながら聞いていた。「私は、正恩王子がすぐに行動を取ることを確信しました」(藤本)。彼は2000年に元山(ウオンサン)の将軍の別荘へ行ったとき、横田めぐみさんらしき女性とバッタリ出会ったのだそうだ。  そうだとすると、横田さんは生きている可能性が十分にある。しかも現在29歳の金正恩には、日本人拉致問題に関してはなんら責任がない。拉致問題を「過去の問題」として精算し、日朝国交正常化を金正恩第一書記の手で成し遂げてほしいという思いからだというのだ。  確かに、藤本が金正恩に手渡した日本文の手紙には、「敬愛する金正恩将軍、お願いです。横田めぐみさんたちを日本に帰国させてあげてください。そうしていただければ、日本との国交正常化や日本から多額の資金を引き出す道も必ず開けると思います」とある。藤本は「正恩王子が、遠からず拉致問題を解決してくれると信じています」と語っている。  今回の彼の訪朝はTBSテレビでも放映されることが事前にわかっていたから、北朝鮮側がそれを利用しない手はないだろう。政治色のない寿司職人・藤本だし、金正恩とは顔なじみで妻子もいるから、入国させる理由はつく。  金正恩に見せる手紙は事前に北の了解を取っているのは間違いない。そうだとすると、藤本を通じた金正恩第一書記の日本政府へのメッセージだと考えてもいいのではないか。  4年ぶりに北朝鮮との政府間協議が8月29日から中国・北京で開催される。このタイミングで出された「朗報」は現実になりうるのかもしれない。そんな期待を抱かせる記事である。もしそうなったら、この記事はテレビと共に世界的なスクープに昇格することは間違いない。 (文=元木昌彦)
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撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか 

障害者の性処理も介護の重圧も、すべて笑い飛ばせ! 男たちのバリアフリーな友情ドラマ『最強のふたり』

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障害を持つ大富豪とスラム街出身の介護人との
友情を描いた『最強のふたり』。2人でマリファナ
吸うわ、風俗嬢を呼ぶわのやりたい放題。
 映画の人気ジャンルのひとつに“バディムービー”がある。生まれ育った環境、身分、世代が異なる2人がぶつかり合いながらもお互いの価値観を認め合い、唯一無二のバディ(相棒)へと成長していく鉄板スタイルだ。ジャッキー・チェン&クリス・タッカー主演作『ラッシュアワー』(98)など多民族国家である米国のアクションエンターテイメント作品に多く見られる。主人公2人の性格や嗜好性が大きく違えば違うほど、そのギャップがドラマを面白く転がしていく。フランスで記録的大ヒットとなった『最強のふたり』も“介護”というシリアスになりがちな題材を扱いながら、典型的なバディムービーとして観る者を楽しませる。男たちの本音満載コメディであり、スカイアクションあり、格差社会の現実を描いた社会派ドラマでもある。様々な価値観が混在する映画的な豊かさに溢れた作品だ。  舞台は現代のパリ。スラム街出身の黒人青年ドリス(オマール・シー)は、場違いな大豪邸を訪ねる。妻に先立たれた大富豪フィリップ(フランソワ・クリュゼ)の介護人の面接試験を受けるためだ。介護経験はないが、採用されなくても失業手当がもらえるので不採用になることを前提で面接を受けにきた。他の受験者たちが「人間が好き」「困っている人の役に立ちたい」ときれいごとを口にしているのに比べ、「失業手当がほしいから、さっさと不採用にしてくれ」と頼むドリスは実に正直者。常識や建前を振りかざすマジメ人間たちより、よっぽど退屈しのぎになりそうだ。これまでの介護人は1週間で逃げ出していた気難しがり屋のフィリップは、興味本位でドリスを住み込みの介護人に採用する。お金持ちだけど車椅子生活を余儀なくされている大富豪フィリップとすこぶる健康だけどお金も未来もないビンボー青年ドリスという異色コンビがここに誕生する。
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改造した電動車椅子で街を爆走する
フィリップと介護人のドリス。せっかくの
人生、楽しんだもん勝ちですよ。
 学歴のないドリスだが、好奇心だけは異常に旺盛。ハングライダーの墜落事故で首から下が全身麻痺状態のフィリップに対し、「本当に痛みを感じないのか?」とフィリップの足に熱湯を注いで確かめてみる。雇用主を雇用主と思わぬドリスの行動に、フィリップ家の使用人たちは慌てふためくが、当のフィリップはドリスの無邪気さを新鮮に感じる。その一方、ドリスは夜中にフィリップがうなされているのに気づき、朝まで寄り添う。痛みを感じないはずのフィリップだが、“幻想痛”にときどき悩まされるらしい。医者でもセラピストでもないドリスが横にいても、フィリップの痛みが和らぐわけではない。そこでドリスは車椅子を押して、フィリップに外の新鮮な空気を吸わせようとする。車椅子の男2人が日の出前の真っ暗なパリ市街をあてもなくさまよう。このシーンが素晴らしい。スラム街出身で複雑な家庭で育ったドリスは、これまでに幾度も眠れないまま朝を迎えたことがあったのだろう。医療や介護知識はないドリスだが、眠れない夜をひとりぼっちで過ごす辛さはイヤになるほど知っている。使用人ではなく、コドクの辛さを知るひとりの仲間としてフィリップと一緒に朝を迎える。男2人が眺めるパリの朝焼けが美しい。このとき、電池のプラス極とマイナス極のように一生顔を合わせることのなかったはずの2人の間に友情という名の回路が結ばれ、明るい希望の灯りがポッとともされる。  実話をベースにした本作だが、介護をテーマにしていると思えないほどあけっぴろげなエピソードが満載だ。ドリスに勧められて、フィリップは大麻を嗜むようになる。「あっちのほうはどうなんだい?」とドリスはズケズケとフィリップに下半身事情を尋ねる。フィリップは首から下が麻痺状態だが、幸いなことに耳が性感帯らしい。ドリスに呼んでもらった風俗嬢にねっとりと両耳を責められ、フィリップは超ご満悦。さらにドリスは電動車椅子をカスタマイズして、高スピードが出せるようにする。風を切って走る電動車椅子に2人乗りしたフィリップとドリスは、あまりの気持ちよさに少年のようにゲラゲラと大笑いする。タブー視されがちな“身障者の性”など下半身の問題をコメディとして掘り下げていく作風が心地よい。
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ドリスに煽られ、フィリップは文通相手の
女性に逢うことに。目一杯おしゃれして、
待ち合わせのカフェへGO!
 バディムービーの面白さは、主人公2人がお互いの異なる価値観を受け入れることで共に視野が広がっていくところ。妻が亡くなってから屋敷に篭りがちだったフィリップはドリスに促されて、新しいガールフレンドに逢うために街へ出掛けるようになる。裏社会で生きていくしかないと思っていた下流階級のドリスも、多趣味なフィリップと知り合うことで意外な才能が備わっていることや真っ当な社会で働くことの面白さに気づかされる。たまたま出会った男2人がタッグを組むことで、世界が2倍にも4倍にもぐんぐんと広がっていく。  物語の終盤、トラブルを抱えた兄妹たちのためにドリスはスラム街に戻ることになる。最強コンビとなったフィリップとドリスに別れの時がやってきた。だが、ここでバディムービーのもうひとつのよさが活きてくる。バディムービーの主人公2人は、基本的には同性同士という組み合わせだ。男女のコンビだと、どうしても両者間に恋愛感情やセックスの有無といったナイーヴな問題が浮上し、一貫した関係性がキープできない。その点、恋愛感情抜きの同性同士だとその関係性を維持しやすい。離れて暮らすようになっても、フィリップとドリスは固い友情で結ばれていることを確かめ合う。  ところ変わって2012年8月20日の東京・浜離宮朝日ホール。『最強のふたり』一般試写の前に、ジャズシンガーの綾戸智恵が泉谷しげるとのトークショーを行った。認知症の母親の介護をしている綾戸は2010年に介護の疲れとストレスから精神安定剤を飲み過ぎて病院に運び込まれる騒ぎとなったが、この日はいつもながらの快活なおばちゃんスマイルで会場を和ませていた。そのときの印象に残ったコメントを紹介したい。 泉谷 「この映画は下品な会話がいっぱいだな(笑)。現実はもっと、すごかったんだろうな。オレがいいなと思ったのは、障害を持つ金持ちが丁寧にされる“距離感”をイヤがっているところ。マジメな人間って、我慢ばかり強要するから。それが、若いドリスは平気で障害者に文句を言うし、平気でおちょくる。平気で距離感を乗り越えてくる。そこがいいよな」 綾戸 「触れ合うはずのない2人が融合することで、すごい力が生まれてくるんだよね。人間ってどうしても似た者同士でつるみがちだけど、そうじゃなくて自分とは違う人間と一緒になり、自分をさらけ出すことで大きくなれる。そこがええな。車椅子を押されるほうだけやなくて、車椅子を押してるほうも世界が広がって見えますよ。私もそうやもん」  綾戸いわく、明るい人間がユーモアを口にするのではなく、“沈んだ人”のほうがユーモアを体得できるとのこと。なるほどね。介護問題に加え、国際化や社会格差に今後さらされていく日本社会においても、カルチャーギャップを笑いに変える“バディムービー”的発想は重要なアイテムになりそうだ。 (文=長野辰次) saikyonofutari4.jpg 『最強のふたり』 脚本・監督/エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ 出演/フランソワ・クリュゼ、オマール・シー、アンヌ・ル・ニ、オドレイ・フルーロ、クロティルド・モレ 配給/ギャガ PG12 9月1日(土)よりTOHOシネマズシャンテ、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、新宿武蔵野館ほか全国順次公開 <http://saikyo-2.gaga.ne.jp> (c)2011SPLENDIDO/GAUMONT/TF1 FILMS PRODUCTION/TEN FILMS/CHAOCORP ●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第184回]人類を生み出した“創造主”との遭遇!! リドリー・スコットが物語るSF神話『プロメテウス』 [第183回]“校内格差社会”に出現した異分子(ゾンビ)たち! 青春のカタルシス『桐島、部活やめるってよ』 [第182回]カメラマンは法を犯してもかまわない!? 国家の暗部を暴く男の情念『ニッポンの噓』 [第181回]“学校”という名の密室ではびこる児童虐待の事実! 子どもたちは教師を訴える『トガニ 幼き瞳の告発』 [第180回]“神様”との出会いと別れ、そして旅からの帰還  ドキュメンタリー『アニメ師・杉井ギサブロー』 [第179回]親友=お金を貸してくれる、女友達=SEXさせてくれる!? 品性お下劣男の青春『苦役列車』 [第178回]“沢尻エリカ”という名のアトラクションムービー『ヘルタースケルター』が描く無常の世界 [第177回]毒カレー、オウム真理教、光市母子殺害……“悪魔の弁護人”と呼ばれる男の素顔『死刑弁護人』 [第176回]“芸能生活30周年”ニコラス・ケイジの会心作! 被災地に流布する暗号『ハングリー・ラビット』 [第175回]やめろと言われても、今では遅すぎたッ! 妻夫木聡&武井咲主演の過剰なる純愛劇『愛と誠』 [第174回]年間自殺者数3万人を越える現代社会への提言 自殺対策の現状を追った『希望のシグナル』 [第173回]“三島割腹事件”を若松孝二監督が映画化!『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』 [第172回]実在の事件を題材にした“命の授業”『先生を流産させる会』がついに劇場公開! [第171回]自由社会に順応できない“脱北者”の過酷な現状 無垢なる季節との決別『ムサン日記 白い犬』 [第170回] 世界興収100億突破のSF大作『ロボット』はあらゆる既成概念を破壊する!! [第169回]“エンタの神さま”ツイ・ハークが大復活! B級映画マニアの心を焦がす『王朝の陰謀』 [第168回]人はお下劣な分だけ、強く優しくなれる!? 結婚を控えた女たちの本音『ブライズメイズ』 [第167回]行きすぎたシステム社会に警鐘を鳴らす“ユナボマー・マニフェスト”の映画化『モンスターズクラブ』 [第166回]祭りの終わりと新ステージの幕開け、3部作完結『サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』 [第165回]すばらしき“コーマン野郎”の世界!『コーマン帝国』、愛と欲望の歴史 [第164回]懐かしき香り漂う、新感覚サスペンス 破滅へ突き進む男の悲劇『ドライヴ』 [第163回] 災害に備えた地下シェルターは必要? 心理ホラー『テイク・シェルター』 [第162回] 森田芳光監督の最終列車『僕達急行』人生は出会いと旅立ちのリフレイン! [第161回] 鬼才キム・ギドクの"多重人格ショー"セルフドキュメンタリー『アリラン』 [第160回]映画創成期に散った"殉教者"への聖歌 3D映画『ヒューゴの不思議な発明』 [第159回]これはホラー? それともコメディ? 勘違い女が爆走『ヤング≒アダルト』 [第158回] ピラミッドは古代からのメッセージ!? 歴史ミステリー『ピラミッドの謎』 [第157回] 韓国映画の名匠が明かす"創作の極意"イ・チャンドン監督『ポエトリー』 [第156回] ローカル局で"伝説となった男"の生涯『木村栄文レトロスペクティブ』 [第155回] 米国に半世紀も君臨した"影の大統領" FBI初代長官『J・エドガー』 [第154回]犯罪者たちに学ぶ"人心掌握術"の奨め『アニマル・キングダム』『預言者』 [第153回]"地獄"からの生還者・板尾創路の凄み 古典落語を過激に脚色『月光ノ仮面』 [第152回]早くも2012年ベスト1映画が登場!"代理殺人"を巡る恐怖『哀しき獣』 [第151回]父殺し、自分殺し、そして再生の物語 園子温流ラブストーリー『ヒミズ』 [第150回]米国お笑い横断旅行『宇宙人ポール』人間のちっぽけな悩みはETが解決! [第149回]70年前と変わらない日本人の精神構造『聯合艦隊司令長官 山本五十六』 [第148回]追悼......"永遠の反逆児"原田芳雄さん幻の主演作『原子力戦争』がDVD化 [第147回]"ファスト風土"を舞台にした犯罪喜劇 J・アイゼンバーグ主演『ピザボーイ』 [第146回]"正義のゾンビ"が犯罪者を貪り喰う! イラク戦争奇談『ゾンビ処刑人』 [第145回] "時代の寵児"の未ソフト化作品上映!「松江哲明グレイテスト・ヒッツ」 [第144回]原発事故を描いた『カリーナの林檎』と今関あきよし監督の背負った贖罪 [第143回]"窮屈なモラル"を脱ぎ捨てた裸の女たち 園子温監督の犯罪エロス『恋の罪』 [第142回]ノーベル賞作家・川端康成が夢想した新風俗『スリーピングビューティー』 [第141回]横暴な上司は有志社員が制裁します!『モンスター上司』のブラックな笑い [第140回]"クソみたいな社会を変えたい!"高校生テロリストの凄春『アジアの純真』 [第139回] うつ病なんかヘーキ!? 宮崎あおい主演作『ツレがうつになりまして。』 [第138回]"神話"が生まれる瞬間を目撃せよ! 人類への黙示録『猿の惑星:創世記』 [第137回]刑務所で食する至高の味『極道めし』ヒロインの後ろ姿に、むせび泣き! 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障害者の性処理も介護の重圧も、すべて笑い飛ばせ! 男たちのバリアフリーな友情ドラマ『最強のふたり』

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障害を持つ大富豪とスラム街出身の介護人との
友情を描いた『最強のふたり』。2人でマリファナ
吸うわ、風俗嬢を呼ぶわのやりたい放題。
 映画の人気ジャンルのひとつに“バディムービー”がある。生まれ育った環境、身分、世代が異なる2人がぶつかり合いながらもお互いの価値観を認め合い、唯一無二のバディ(相棒)へと成長していく鉄板スタイルだ。ジャッキー・チェン&クリス・タッカー主演作『ラッシュアワー』(98)など多民族国家である米国のアクションエンターテイメント作品に多く見られる。主人公2人の性格や嗜好性が大きく違えば違うほど、そのギャップがドラマを面白く転がしていく。フランスで記録的大ヒットとなった『最強のふたり』も“介護”というシリアスになりがちな題材を扱いながら、典型的なバディムービーとして観る者を楽しませる。男たちの本音満載コメディであり、スカイアクションあり、格差社会の現実を描いた社会派ドラマでもある。様々な価値観が混在する映画的な豊かさに溢れた作品だ。  舞台は現代のパリ。スラム街出身の黒人青年ドリス(オマール・シー)は、場違いな大豪邸を訪ねる。妻に先立たれた大富豪フィリップ(フランソワ・クリュゼ)の介護人の面接試験を受けるためだ。介護経験はないが、採用されなくても失業手当がもらえるので不採用になることを前提で面接を受けにきた。他の受験者たちが「人間が好き」「困っている人の役に立ちたい」ときれいごとを口にしているのに比べ、「失業手当がほしいから、さっさと不採用にしてくれ」と頼むドリスは実に正直者。常識や建前を振りかざすマジメ人間たちより、よっぽど退屈しのぎになりそうだ。これまでの介護人は1週間で逃げ出していた気難しがり屋のフィリップは、興味本位でドリスを住み込みの介護人に採用する。お金持ちだけど車椅子生活を余儀なくされている大富豪フィリップとすこぶる健康だけどお金も未来もないビンボー青年ドリスという異色コンビがここに誕生する。
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改造した電動車椅子で街を爆走する
フィリップと介護人のドリス。せっかくの
人生、楽しんだもん勝ちですよ。
 学歴のないドリスだが、好奇心だけは異常に旺盛。ハングライダーの墜落事故で首から下が全身麻痺状態のフィリップに対し、「本当に痛みを感じないのか?」とフィリップの足に熱湯を注いで確かめてみる。雇用主を雇用主と思わぬドリスの行動に、フィリップ家の使用人たちは慌てふためくが、当のフィリップはドリスの無邪気さを新鮮に感じる。その一方、ドリスは夜中にフィリップがうなされているのに気づき、朝まで寄り添う。痛みを感じないはずのフィリップだが、“幻想痛”にときどき悩まされるらしい。医者でもセラピストでもないドリスが横にいても、フィリップの痛みが和らぐわけではない。そこでドリスは車椅子を押して、フィリップに外の新鮮な空気を吸わせようとする。車椅子の男2人が日の出前の真っ暗なパリ市街をあてもなくさまよう。このシーンが素晴らしい。スラム街出身で複雑な家庭で育ったドリスは、これまでに幾度も眠れないまま朝を迎えたことがあったのだろう。医療や介護知識はないドリスだが、眠れない夜をひとりぼっちで過ごす辛さはイヤになるほど知っている。使用人ではなく、コドクの辛さを知るひとりの仲間としてフィリップと一緒に朝を迎える。男2人が眺めるパリの朝焼けが美しい。このとき、電池のプラス極とマイナス極のように一生顔を合わせることのなかったはずの2人の間に友情という名の回路が結ばれ、明るい希望の灯りがポッとともされる。  実話をベースにした本作だが、介護をテーマにしていると思えないほどあけっぴろげなエピソードが満載だ。ドリスに勧められて、フィリップは大麻を嗜むようになる。「あっちのほうはどうなんだい?」とドリスはズケズケとフィリップに下半身事情を尋ねる。フィリップは首から下が麻痺状態だが、幸いなことに耳が性感帯らしい。ドリスに呼んでもらった風俗嬢にねっとりと両耳を責められ、フィリップは超ご満悦。さらにドリスは電動車椅子をカスタマイズして、高スピードが出せるようにする。風を切って走る電動車椅子に2人乗りしたフィリップとドリスは、あまりの気持ちよさに少年のようにゲラゲラと大笑いする。タブー視されがちな“身障者の性”など下半身の問題をコメディとして掘り下げていく作風が心地よい。
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ドリスに煽られ、フィリップは文通相手の
女性に逢うことに。目一杯おしゃれして、
待ち合わせのカフェへGO!
 バディムービーの面白さは、主人公2人がお互いの異なる価値観を受け入れることで共に視野が広がっていくところ。妻が亡くなってから屋敷に篭りがちだったフィリップはドリスに促されて、新しいガールフレンドに逢うために街へ出掛けるようになる。裏社会で生きていくしかないと思っていた下流階級のドリスも、多趣味なフィリップと知り合うことで意外な才能が備わっていることや真っ当な社会で働くことの面白さに気づかされる。たまたま出会った男2人がタッグを組むことで、世界が2倍にも4倍にもぐんぐんと広がっていく。  物語の終盤、トラブルを抱えた兄妹たちのためにドリスはスラム街に戻ることになる。最強コンビとなったフィリップとドリスに別れの時がやってきた。だが、ここでバディムービーのもうひとつのよさが活きてくる。バディムービーの主人公2人は、基本的には同性同士という組み合わせだ。男女のコンビだと、どうしても両者間に恋愛感情やセックスの有無といったナイーヴな問題が浮上し、一貫した関係性がキープできない。その点、恋愛感情抜きの同性同士だとその関係性を維持しやすい。離れて暮らすようになっても、フィリップとドリスは固い友情で結ばれていることを確かめ合う。  ところ変わって2012年8月20日の東京・浜離宮朝日ホール。『最強のふたり』一般試写の前に、ジャズシンガーの綾戸智恵が泉谷しげるとのトークショーを行った。認知症の母親の介護をしている綾戸は2010年に介護の疲れとストレスから精神安定剤を飲み過ぎて病院に運び込まれる騒ぎとなったが、この日はいつもながらの快活なおばちゃんスマイルで会場を和ませていた。そのときの印象に残ったコメントを紹介したい。 泉谷 「この映画は下品な会話がいっぱいだな(笑)。現実はもっと、すごかったんだろうな。オレがいいなと思ったのは、障害を持つ金持ちが丁寧にされる“距離感”をイヤがっているところ。マジメな人間って、我慢ばかり強要するから。それが、若いドリスは平気で障害者に文句を言うし、平気でおちょくる。平気で距離感を乗り越えてくる。そこがいいよな」 綾戸 「触れ合うはずのない2人が融合することで、すごい力が生まれてくるんだよね。人間ってどうしても似た者同士でつるみがちだけど、そうじゃなくて自分とは違う人間と一緒になり、自分をさらけ出すことで大きくなれる。そこがええな。車椅子を押されるほうだけやなくて、車椅子を押してるほうも世界が広がって見えますよ。私もそうやもん」  綾戸いわく、明るい人間がユーモアを口にするのではなく、“沈んだ人”のほうがユーモアを体得できるとのこと。なるほどね。介護問題に加え、国際化や社会格差に今後さらされていく日本社会においても、カルチャーギャップを笑いに変える“バディムービー”的発想は重要なアイテムになりそうだ。 (文=長野辰次) saikyonofutari4.jpg 『最強のふたり』 脚本・監督/エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ 出演/フランソワ・クリュゼ、オマール・シー、アンヌ・ル・ニ、オドレイ・フルーロ、クロティルド・モレ 配給/ギャガ PG12 9月1日(土)よりTOHOシネマズシャンテ、TOHOシネマズ六本木ヒルズ、新宿武蔵野館ほか全国順次公開 <http://saikyo-2.gaga.ne.jp> (c)2011SPLENDIDO/GAUMONT/TF1 FILMS PRODUCTION/TEN FILMS/CHAOCORP ●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第184回]人類を生み出した“創造主”との遭遇!! リドリー・スコットが物語るSF神話『プロメテウス』 [第183回]“校内格差社会”に出現した異分子(ゾンビ)たち! 青春のカタルシス『桐島、部活やめるってよ』 [第182回]カメラマンは法を犯してもかまわない!? 国家の暗部を暴く男の情念『ニッポンの噓』 [第181回]“学校”という名の密室ではびこる児童虐待の事実! 子どもたちは教師を訴える『トガニ 幼き瞳の告発』 [第180回]“神様”との出会いと別れ、そして旅からの帰還  ドキュメンタリー『アニメ師・杉井ギサブロー』 [第179回]親友=お金を貸してくれる、女友達=SEXさせてくれる!? 品性お下劣男の青春『苦役列車』 [第178回]“沢尻エリカ”という名のアトラクションムービー『ヘルタースケルター』が描く無常の世界 [第177回]毒カレー、オウム真理教、光市母子殺害……“悪魔の弁護人”と呼ばれる男の素顔『死刑弁護人』 [第176回]“芸能生活30周年”ニコラス・ケイジの会心作! 被災地に流布する暗号『ハングリー・ラビット』 [第175回]やめろと言われても、今では遅すぎたッ! 妻夫木聡&武井咲主演の過剰なる純愛劇『愛と誠』 [第174回]年間自殺者数3万人を越える現代社会への提言 自殺対策の現状を追った『希望のシグナル』 [第173回]“三島割腹事件”を若松孝二監督が映画化!『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』 [第172回]実在の事件を題材にした“命の授業”『先生を流産させる会』がついに劇場公開! [第171回]自由社会に順応できない“脱北者”の過酷な現状 無垢なる季節との決別『ムサン日記 白い犬』 [第170回] 世界興収100億突破のSF大作『ロボット』はあらゆる既成概念を破壊する!! [第169回]“エンタの神さま”ツイ・ハークが大復活! B級映画マニアの心を焦がす『王朝の陰謀』 [第168回]人はお下劣な分だけ、強く優しくなれる!? 結婚を控えた女たちの本音『ブライズメイズ』 [第167回]行きすぎたシステム社会に警鐘を鳴らす“ユナボマー・マニフェスト”の映画化『モンスターズクラブ』 [第166回]祭りの終わりと新ステージの幕開け、3部作完結『サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』 [第165回]すばらしき“コーマン野郎”の世界!『コーマン帝国』、愛と欲望の歴史 [第164回]懐かしき香り漂う、新感覚サスペンス 破滅へ突き進む男の悲劇『ドライヴ』 [第163回] 災害に備えた地下シェルターは必要? 心理ホラー『テイク・シェルター』 [第162回] 森田芳光監督の最終列車『僕達急行』人生は出会いと旅立ちのリフレイン! [第161回] 鬼才キム・ギドクの"多重人格ショー"セルフドキュメンタリー『アリラン』 [第160回]映画創成期に散った"殉教者"への聖歌 3D映画『ヒューゴの不思議な発明』 [第159回]これはホラー? それともコメディ? 勘違い女が爆走『ヤング≒アダルト』 [第158回] ピラミッドは古代からのメッセージ!? 歴史ミステリー『ピラミッドの謎』 [第157回] 韓国映画の名匠が明かす"創作の極意"イ・チャンドン監督『ポエトリー』 [第156回] ローカル局で"伝説となった男"の生涯『木村栄文レトロスペクティブ』 [第155回] 米国に半世紀も君臨した"影の大統領" FBI初代長官『J・エドガー』 [第154回]犯罪者たちに学ぶ"人心掌握術"の奨め『アニマル・キングダム』『預言者』 [第153回]"地獄"からの生還者・板尾創路の凄み 古典落語を過激に脚色『月光ノ仮面』 [第152回]早くも2012年ベスト1映画が登場!"代理殺人"を巡る恐怖『哀しき獣』 [第151回]父殺し、自分殺し、そして再生の物語 園子温流ラブストーリー『ヒミズ』 [第150回]米国お笑い横断旅行『宇宙人ポール』人間のちっぽけな悩みはETが解決! 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