【清野とおるの、キ○チ○ガ○イと呼ばないで】第7話「生卵恐怖症」(前編)

1tamago.jpg 『東京都北区赤羽』でおなじみの漫画家・清野とおるによる、悶絶必死の爆笑コラム。  俺は生卵が怖い。  正確には、生卵の味は大好きだけど、生卵を割るその瞬間が、怖い。 2tamago.jpg  あれは小4の時の話。近所で、大量のニワトリを飼って、コケコケ言わせてるおじさんがいた。  ある日、同じクラスの高田くんと、そのニワトリどもを駄菓子片手にボーっと眺めていたところ、飼い主のおじさんが近づいてきて、卵を一つくれた。 3tamago.jpg 4tamago.jpg  おじさんは、無知な俺たちに分かりやすく説明してくれた。  有精卵とは、オスと交尾した後にメスが産んだ卵のこと。精子入りなので、うまく育てると、ヒヨコが生まれるという。通常、その辺のスーパーで売られている卵は、交尾しないで産んだ無精卵なので、ヒヨコは生まれない。 5tamago.jpg  俺と高田くんは、有精卵に大興奮した。  有精卵については知らなかったけど、ヒヨコが卵からかえって初めて見る、自分より大きくて動くものを親と認識する「刷り込み」という習性があることは知っていた。  その習性を利用して、 6tamago.jpg  こんな感じでヒヨコに付きまとわれたいという、ステキ極まりない願望を抱いた俺たちは、早速図書館に行って、卵の育て方を調べてみた。 7tamago.jpg  高田くんの家に電気毛布があったので、それに包んで卵からかえるのを見守ることにした。 8tamago.jpg 9tamago.jpg  「刷り込み独占禁止条約」を締結した俺たちは、連日、放課後になるとダッシュで高田くんの家に行き、卵ヒヨコ化計画を遂行する日々を送った。 10tamago.jpg  時に卵を抱きしめて、おなかのぬくもりで温めたりもした。俺と高田くんは、ありもしないエセ母性に目覚め、まだ見ぬヒヨコを愛してしまっていたのだ。  嗚呼、早くヒヨコを。ヒヨコを抱きしめたい。耳元でピヨピヨ言われたり、追いかけられたりしたい。ヒヨコが、好きだ。  しかし……まさかあんなことになるなんて……この時の俺たちは……予想だにしなかったのであります……。 (後編へ続く/文・イラスト・写真=清野とおる) 1seinoprof.jpg ●せいの・とおる 1980年生まれ。東京都板橋区出身。地元・赤羽に生息する奇妙な人々を生き生きと描いた漫画『東京都北区赤羽』(Bbmfマガジン )が大ヒット中。 Twitter <https://twitter.com/seeeeeeeeeeeeno> ●【キ○チ○ガ○イと呼ばないで】INDEX 【第6話】「謎の美人くだもの売り」 【第5話】「オモシロイ顔のおじさん」 【第4話】「ウンコおじさん」 【第3話】「恐怖!‟木曜日の男”」 【第2話】「鳥盗り物語」(後編) 【第2話】「鳥盗り物語」(前編) 【第1話】「ホモビデオの清野さん」

文春、現代はどうした!? 怒れる週刊誌「週刊ポスト」がスクープ独占!

motoki1105.jpg
「週刊ポスト」11月16日号 中吊り広告より
グランプリ 「『発電量ゼロ』原子力マフィアの総本山に1440億円!」(「週刊ポスト」11月16日号) 第2位 「日本の領土・馬毛島地主が『島を中国に売る!』と言い出した」(同)  第3位 「拝啓 池上彰様 『都知事選に出馬いただけないでしょうか』」(同) 次点 「あなたの知らない東京23区の謎」(同) 次点 「激撮スクープ! オリラジ藤森・TBS田中みな実アナ『真剣交際お泊まり愛』撮った!」(「フライデー」11月16日号)  不思議なことがある。週刊現代が尼崎の連続殺人事件を取り上げていないのだ。  11月1日の朝日新聞に、こういう記事が載った。 「兵庫県尼崎市の連続変死事件をめぐり、事件とは関係のない女性の写真が角田美代子被告(64)のものとして複数のメディアで報道された」  角田被告の写真を、関係ない女性の写真と間違えてしまったというのである。当然ながら、多くの新聞、テレビ、週刊誌はお詫びをしているが、現代は「今回の事件については報じていない」(朝日)から、間違えるはずもないと答えているのである。 これほど週刊誌にピッタリの事件はないと思うのだが、どうしてなのか。  「日本の編集長」(東京アドエージ)の11月号で現代の藤田康雄編集長は、週刊誌の編集現場時代は、「私は現場に行きたくてしょうがなかったクチです。ともかく事件ばかり取材していました」と語っているのに。  週刊大衆のように、事件取材はカネばかりかかって読者に受けないからやらない、という「主義」ではあるまい。  藤田編集長はこうも語っている。 「オレ、ダメ人間が好きなんですよ。(中略)断然、ダメ人間のほうが面白いんです。ダメ人間だとワクワクする」  角田被告はダメ人間ではないのだろうか。不可思議である。  今週は見ていただけばわかるように、週刊ポストの圧勝である。これほど1誌がほぼ独占したのは、この連載が始まって以来であろう。  このところ週刊朝日は「橋下徹大阪市長への全面謝罪」問題で低迷しているが、あれほど一時期スクープを連発した週刊文春の元気のなさが目立つ。奮起を促したい。  次点が2本。まずはフライデーの張り込みネタ。  「オリラジ」というのは「オリエンタルラジオ」の略で、お笑いコンビの一人、藤森慎吾(29)だそうだ。女性のほうは、TBS『サンデージャポン』の田中みな実アナ(25)。ぶりっ子で有名だそうである。  二人の仲が最初に報じられたのは5月。最初は交際を否定していたが、互いのマンションを行き来して愛を育んでいたようだ。  二人がフライデーされるのを用心している様は、なかなか微笑ましい。  芸能プロ関係者が二人の仲をこう明かす。 「藤森はこれまでどんな女性と付き合っても、本気になれないのか短期間で関係が終わっていました。でも今回は違います。すでに自分の親に田中アナを紹介し、親しい友人には関係を明かしているようです。本人も『とても大切な人』と話しています。田中アナも、親に藤森のことは伝えているそうですよ。彼女は埼玉県内の実家で両親と暮らしていましたが、藤森と付き合い始めてから都内で一人暮らしをするようになった。もちろん彼と会う時間を増やすためですが、藤森のマンションで手料理を振る舞うことも多いとか。結婚に向け、具体的に話が進んでいることは間違いないと思います」  藤森もフライデーの直撃に、交際を認めているし、11月5日のスポーツ報知がこう報じている。  「写真週刊誌『フライデー』でTBS・田中みな実アナウンサー(25)との“お泊まり愛”が報じられたお笑いコンビ『オリエンタルラジオ』の藤森慎吾(29)が4日、都内で行われたトークライブ出演後に報道陣の取材に応じ、田中アナとの交際を認めた」  それにしても、お笑い芸人って、どうしてこうモテるのかね。  次点の2番目は、地域ネタだが、なかなか読ませる。  大田区と江東区が壮絶な「領有権争い」を繰り広げているというのが、中央防波堤埋立地だという。  ここは廃棄物処分場として埋め立てられたが、近年コンテナ輸送の要衝として利用価値が高まっている。それまでも両区が所有権を主張し合っていたが、今年2月に江東区と結ぶ「東京ゲートブリッジ」ができたため、さらに激化したという。  大田区とは臨界トンネルでつながっている。江東区の市民から「中央防波堤は江東区固有の領土である」という声が大きくなり、お互いの「愛区心」が高まって収まる気配が見えないそうである。  その他「どの区にも属さない銀座『番外地』」とは、銀座9丁目(銀座は8丁目まで)を意味する銀座ナインなどの商業施設のあたりだが、高速道路の下だったため何区なのか議論されずにきた。しかし、そこに多くの商店ができたために、商店は店ごとに、中央区、千代田区、港区のどれかの自治体を選んで行政サービスを受けているそうだ。  「埼玉県の中にある『6軒』の練馬区住居」は、埼玉県の新座市に、住居表示は練馬区西大泉町という飛び地があり、面積は約560坪、6軒の「都民」の住居がある。どうしてなのかはよくわからないようだが、新座市側が編入しようとしたが、住民の合意が得られずそのままだという。  「墨田区と隅田川、『すみ』の表記がなぜ違う」は、本所と深川を統合した当時は、隅の字が当用漢字になかったから墨になった。  「目黒駅は品川区にあり、品川駅は港区にある」では、目黒駅は区内に建てるはずだったのに、地元住民がSLによる煙害を懸念して激しい反対運動が起こり、品川区の権之助坂に追いやられたからだそうである。  品川駅はかつて一帯が品川県という行政区だった名残だそうだ。ほかにも男の人口が多いのは台東区で、女の比率が高いのは目黒区だとか、23区のトリビアは面白い。  さて、石原慎太郎が抜けた後の東京の盟主が誰になるのかが関心を集めている。  石原が後継に指名した猪瀬直樹副知事は、彼の人間性もあるのだろう、一般的な人気がない。そこで我こそはと名乗りを上げると思われているのは、民主党の蓮舫議員、自民党では小池百合子議員、舛添要一議員、変わったところでは文筆家で白洲次郎の孫の白洲信哉の名前や、菅直人元総理の名まで挙がっている。  だが、そうした中で大本命と目されているのが、あの東国原英夫前宮崎県知事だそうだ。  確かに、前回の都知事選に出て政党の支持もなく169万票を集めたのだから、可能性はあると思うが、そうなったらどうしよう。  新潮が「ついに『東国原』当確で我らの生き恥」と、私のような東京都民の胸の内を代弁してくれている。 「よく考えて欲しい。いくら東国原氏が茶の間の人気者で、宮崎県の『セールスマン』として活躍したとはいえ、彼が1300万の民を抱える首都の顔になるなんて、想像するだけで戦慄を覚えるではないか。なにしろ彼はこれまで、後輩芸人に暴行を加えて書類送検され、16歳の少女との猥褻行為で警視庁の事情聴取を受けるなど、数々の不祥事を起こし、女性関係も“奔放”の極み。本誌(08年5月1・8日号)でも、宮崎県知事時代に20代の女性を弄び、挙句、150万円の手切れ金を支払った彼の行状を報じている。世間ではこういう男を『不届き者』と呼ぶ」  さらに、こう結ぶ。 「西の宮崎県から東の東京都への“国替え”を企図している東国原氏。名前に反して“東の国”とは縁が浅いままであってくれることを祈るばかりである」  まさにその通り。新潮はん、ええこと言いなはる。  ポストも東国原や猪瀬に東京を渡してはいけないと危機感をもったのか、意見広告とも思える特集をトップにもってきた。 「唐突で申し訳ありませんが」と断っているが、いまやテレビの寵児となった池上彰に出てくれと、誌面で呼びかけたのだ。  こういう誌面づくりに賛否はあるだろうが、私は好きである。  池上は「政治報道のタブーを破った」そうである。それは10年7月の参院選開票時に司会をし、「民主党支持の日教組の組織票はどれぐらいか」「公明党と創価学会の結びつき」などに踏み込んだからだそうだが、私は、その程度でタブーを破ったなどというなよ、と思ってしまうのだが。  池上は悪くないタマだとは思うが、本人がその気は「毛頭ない」と言い切っているのでは、ポストの片思いで終わるようだ。  前々回の都知事選の時、鳥越俊太郎元毎日新聞記者が出馬を打診されたことがあった。私は彼から直接聞いているが、体調の問題さえなければ出馬してもいいと思っていたという。  今回、彼は出ないだろうが、少しマシな知名度のある文化人が出馬すれば、大量得票は間違いない。取り沙汰されているニュースキャスターの安藤優子が出れば楽勝ではないか。どうかね安藤さん、出てみたら。  第2位は、鹿児島県種子島の西方12kmの東シナ海に浮かぶ馬毛島が、中国企業に売られるかもしれないという記事。  島の由来は、ポルトガル宣教師たちが鉄砲とともに渡来させた馬を養っていたことから。  無人島としては国内で2番目に大きい。島を所有するのは「立石建設工業」立石勲会長。彼のこんな発言が政府に伝わってきたからである。 「中国の企業が何社か接触してきている。日本の対応次第では売ってもいい」  防衛関係者がこう語る。 「それまでは、本意ではないだろうと高をくくっていたんですが、8月の尖閣諸島騒動で事態は一変した。馬毛島の周辺には佐世保や沖縄などの米軍基地があって地政学上、非常に重要な場所です。ここを本当に中国にとられたら国防上、危機的な状況に陥ると省内で危ぶむ声が高まってきた」  馬毛島は過去に幾度となく米軍によって軍用化が検討されてきたという。ポストによれば立石がここを購入した経緯はこうである。 「立石氏は鹿児島県で遠洋漁業の船長をした後に上京。64年に不動産会社『立石建設』を設立する。4年後には砂利や砂などの建設販売部門を独立させた『立石建設工業』を設立し、高度成長の波にも乗り、一大グループを築くまでになる。  東京で一旗揚げた立石氏に馬毛島購入を勧めたのは、たまたま知り合った防衛省幹部OBだったという。 『国防は30年、40年先を読まなくてはいけない。馬毛島はいつか、日本防衛の有力な基地になる』  立石氏は自ら率先して住民票を馬毛島に移し、防衛省幹部OBから耳打ちされた言葉を実行に移した。奇しくもその言葉が現実のものとなりつつある」  当初6割の所有だったが、次々に買い足され、この島に投じた金は150億円にも上るという。  島には3万人収容できるし、軍隊向きの港も兼ね備えていて、今すぐ米軍に提供できると彼は話しているという。  当時の防衛大臣・北澤俊美が立石と交渉したが、その額は50億円にも満たないものだったようである。  ある防衛省幹部が嘆いている。 「外国企業が離島を買うとなっても法的に禁止することができません。さらに問題なのが日本の法体系の中には買った土地に対する禁止条項がないこと。個々の自治体による行政上の制約はあるが、安全保障上の規制ではない。例えば通信施設が作られたとしても、国として強制的に立ち入り調査することはできないんです。外国企業に島を買い取られた場合、島を日本の監視下におくことは現実的に難しい」  中国による日本列島買い占めは、米軍にとっても頭の痛い問題のようである。  さて、今週のグランプリは「まったく発電していない原発」のために、値上げされた電力料金が使われていると告発する記事にあげたい。  国民の支払う電気料金が、発電量ゼロの「日本原子力発電」という会社へ支払われているというのである。 「ここは東海第二原発(110万kw)、敦賀原発1号機(33.7万kw)、同2号機(116万kw)の3基の原発を保有し、東電をはじめ、東北電力、中部電力、北陸電力、関西電力の本州5電力会社に電気を売る、卸電気事業者である。 3基のうち、東海第二は昨年3月の東日本大震災で自動停止した。敦賀1号機は昨年1月から、同2号機は昨年5月7日から、それぞれ定期検査のため停止されている。当然、その後、現在に至るまで発電量はゼロである。 ところが、同社の有価証券報告書によると、昨年度(12年度)は東電の約465億円をはじめ、関電・約641億円、中部電力・約307億円など、5社から電力を売った代金として合計約1443億円を受け取り、93億円の経常利益を上げている(震災の被害による特別損失計上で最終損益は赤字)。本社社員の平均年間給与は637万円。経産省が電気代値上げにあたって、電力各社に求めている賃下げ基準(大企業平均596万円)より高い。 敦賀2号機だけは昨年4月1日から5月7日に停止するまで37日間稼働したとはいえ、その間の発電量は10億kwhと前年度の発電量(162億kwh)の16分の1に過ぎない。 なぜ、事実上「発電ゼロ」の会社が利益を出せるのか。 「次の数字を比較してほしい。過去2年間の日本原子力発電の発電量と、電力5社が支払った金額は、 ◆11年度162億kwh 1736億円 ◆12年度 10億kwh 1443億円 と、発電量が16分の1に減ったにもかかわらず、電力会社の購入代金は2割しか減っていない」(ポスト)  一体、どんな会社なのか。 「日本原子力発電は原子力発電推進のために電力9社と政府系特殊法人の電源開発(現在は民営化)の共同出資で1957年に設立された国策会社だ。筆頭株主は東京電力(28.23%出資)。66年には日本初の商用原発『東海発電所』の運転を開始し、前述のように現在3基の原発を保有している。  社員数は関連会社を含めて2254人。原発推進派の政治家、与謝野馨・元財務相は議員になる前に社員だったことでも知られる」(同)  東電は今回の値上げで年間ざっと6150億円の増収を見込んでいるが、そのうちの1003億円はここのために使われたのだという。  東電にはこの会社を潰せない理由があった。原発事故で引責辞任した勝俣恒久前東電会長が天下っているからである。  ポストはこう結んでいる。 「この企業の清算を早く決断しない限り、東電だけではなく、値上げ方針を打ち出した関電はじめ全国の電力会社が新たな料金算定に原発企業への救済資金を盛り込むのは確実で、今後も国民負担は膨らむばかりだ。 これでも電気代値上げは仕方ないと思えるだろうか」 今、国民に成り代わり一番怒ってくれている週刊誌はポストである。   (文=元木昌彦)
motokikinnei.jpg
撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか 

“絶対的価値”を求める男たちの翔んでもロマン! 井筒監督の犯罪サスペンス『黄金を抱いて翔べ』

orgonwodaitetobe_01.jpg
240億円相当の金塊を強奪する計画を練る6人の男たち。
銀行本店から金塊を奪うことに成功すれば、それは日本経済を揺るがす大事件だ。
 初めに金塊ありき。銀行を襲撃する男たち6人を束ねる北川は高らかにそう宣言する。ヨハネの福音書にある「初めに言葉ありき」をもじったものだ。北川は続ける。「金塊は我々と共にありき。我々の結束は肉の欲によらず、人の欲によらず、ただ金塊によって生まれしものなり」。6人の男たちはメガバンクで厳重に保管されている240億円相当の金塊を強奪しようと企んでいた。直木賞作家・高村薫の処女小説を妻夫木聡、浅野忠信、西田敏行らオールスターキャストで映画化した『黄金を抱いて翔べ』は、男臭くてゴツゴツした井筒和幸監督らしい作品だ。男たちは銀行強盗という犯罪に手を染めるわけだが、映画の世界ではそれは違った意味を持つ。絶対に不可能なことに挑む冒険者として彼らは登場する。男たちが欲しいのは、日本銀行が発行した債券である紙幣ではなく、あくまでも純金なのだ。永遠不変の価値を持つ絶対的な存在を手に入れようと男たちは立ち上がる。リスクを避けることが最優先される現代社会において、ロマンのために殉じて構わないという大ロマンチストたちの物語だ。  井筒監督の出世作『ガキ帝国』(81)や『岸和田少年愚連隊』(96)と同じく大阪が舞台。『パッチギ!』(05)は京都が舞台だが、これも関西圏ということでひと括りにしてしまおう。これらの作品はどれも閉塞的状況の中で突破口を求めてもがき苦しむ若者たちのドラマだ。突破口がなかなか見つからず、男たちはドツキ合う。そうするしかエネルギーの捌け口がなかった。『黄金を抱いて翔べ』ではそのエネルギーの捌け口が銀行襲撃へと向かう。高村薫は『黄金を抱いて翔べ』の中で、実に大胆な銀行襲撃プランを考え出した。銀行の地下に保管された金塊を盗み出すために、男たちは二手に別れて、まず中之島変電所をド派手に爆破してしまう。大阪の都心部一帯を停電させ、警察の目を引きつける陽動作戦だ。続いてケーブル回線が通る地下共同溝をこれもダイナマイトで爆破。これによって銀行の電話回線や警備会社と繋がった通信回線もすべて遮断されてしまう。そして銀行の裏口で待機していた実行部隊は非常用電力で動くエレベーターに乗って堂々と地下金庫へ向かい、破壊力抜群なプラスティック爆弾で金庫の扉ごと吹き飛ばしてしまおうというもの。何とも豪快な襲撃プランだ。
orgonwodaitetobe_02.jpg
北川(浅野忠信)は妻子持ちだが、抑えがたい破壊衝動の持ち主。
学生時代からの悪友・幸田(妻夫木聡)を銀行襲撃計画に誘う。
 大胆さと細心さを併せ持つ北川(浅野忠信)をリーダーに、6人の男たちが集まる。裏社会で便利屋として働き、どんな鍵でも開けてしまう幸田(妻夫木聡)。システムエンジニアで銀行のセキュリティーシステムに詳しい野田(桐谷健太)、元エレベーター技師で銀行の警備員たちと面識のあるジイちゃん(西田敏行)。爆弾製造を担当するのは、北朝鮮の元特殊工作員・モモ(チャンミン:東方神起)。さらに、怖いもの知らずのバイク野郎である北川の弟・春樹(溝端淳平)が仲間に加わる。6人の男たちには、ある共通点があった。あくせく頑張って働き続けても、もう上にあがるサイコロの目は出ないことを悟っている点だ。このままジリ貧の人生を過ごすよりは、イチかバチかのドデカい勝負をしてみたい。男たちの思惑は、金塊強奪という大博打に収斂されていく。間違ったことに一途になる男たちの姿は、それが取り返しがつかない分だけ、とても滑稽で同時にとても美しい。  緻密な文章を綴る直木賞作家・高村薫と無頼派・井筒監督は同世代で関西出身ということ以外にも接点があった。井筒監督は1991年に大作時代劇『東方見聞録』の撮影中に若手キャストが事故死するという不運に見舞われた。この作品も財宝を求める若者たちの冒険談だったが、事故のため公開中止に(ビデオ作品として93年に発売)。92年には製作会社ディレクターズ・カンパニーが倒産し、井筒監督は遺族に対して個人で賠償金を払い続けた。そんな不遇の時期に温めていた企画が、90年に日本推理サスペンス大賞を受賞した高村薫の処女小説『黄金を抱いて翔べ』の映画化だった。当時、誰よりも金塊を欲していたのは井筒監督だったのだ。映画を撮ることもできず、カラオケ用のビデオを撮っていた井筒監督は、崔洋一監督から「たまには撮影現場に来いよ」と誘われて、崔組の現場で死体役を演じる。これが高村薫の直木賞受賞作の映画化『マークスの山』(95)だった。『マークスの山』で見事な死体役を演じた井筒監督は、その現場にいた松竹のプロデューサーから声を掛けられ、低予算映画『岸和田少年愚連隊』を撮ることで監督復帰する。バブルが崩壊し、あらゆる価値観が揺らぐ90年代、井筒監督は高村作品がきっかけで映画界への帰還を果たした。
orgonwodaitetobe_03.jpg
『ゲロッパ!』(03)、『パッチギ!』(05)にも出演した桐谷健太は、
借金を抱えたエンジニア・野田役。命の危険を感じ、ビビってしまう。
 井筒作品と思えないほど、豪華キャストがそろった本作。実はキャスティングもワケあり。シネカノンの大ヒット作『フラガール』(06)は企画当初は『パッチギ!』を当てた井筒監督が撮る予定だった。だが、炭坑会社の社長を中心にした美談にまとめるのがイヤで井筒監督は降りてしまい、李相日監督に急遽バトンが渡され、少女たちの爽やかな成長ものへと軌道修正されて成功を収めた。井筒監督版の主人公である若手社員役に考えられていたのが妻夫木聡だった。また、井筒監督はシネカノンで江戸時代に起きた実在の殺傷事件『吉原百人斬り』の映画化を企画していたが、これも頓挫。『吉原百人斬り』の主演に予定されていたのが浅野忠信だった。テレビ番組では傍若無人に振る舞っている井筒監督だが、借りは返すという義理堅い一面を持ち合わせている。その一方、『黄金を抱いて翔べ』では派手な爆破シーンが用意されているが、これは井筒監督が自分の内側に溜め込んできたものを作品の中で思いっきり爆発させているのだろう。  高村薫作品は『マークスの山』に続いて『レディ・ジョーカー』(04)も映画化されたが、膨大な情報量が詰め込まれた高村作品を約2時間という映画の尺でまとめ上げるのは至難の技だ。本作も北朝鮮の元特殊工作員・モモをめぐって、左翼の活動家(田口トモロヲ)、北朝鮮と公安の二重スパイ(鶴見辰吾)らが暗躍する中盤までは目まぐるしく、意識を集中していないと物語から置いてけぼりをくらう。だが、その分だけクライマックスの銀行襲撃シーンが異様なまでに盛り上がる。あれだけ綿密に計画を練り、完璧と思われていた北川たちの銀行襲撃計画だが、直前になって欠員が生じるわ、北川の片腕である幸田は負傷するわ、ベストコンディションからは程遠い状態で襲撃に挑まなくてはならなくなる。永遠の輝きを放つ金塊に比べ、男たちが抱いていた夢の何とモロいことか。
orgonwodaitetobe_04.jpg
製作委員会の幹事会社エイベックスがスケジュールを抑え、
日本語に堪能な東方神起のチャンミンが起用された。観客動員の切り札となるか。
 さらに銀行でも、机上論では予測できなかったことが次々と起きる。『黄金を抱いて翔べ』の銀行襲撃シーンは、まるで映画の撮影現場のようだ。最高の脚本と万全のキャストをそろえたはずなのに、ロケ先の現場ではトラブルが次々と発生する。こんなとき、映画監督の対応は2つ。別の日に仕切り直すか、それとも不測の事態を受け止めた上で最後までやり遂げるか。北川はもちろん後者だ。北川は幸田に向かって叫ぶ。細かいことはいいんだよッ。ここまで来たら、あとはもう勢いだ。妻や息子に見せていた優しい笑顔とは異なる不敵な笑みを北川は浮かべる。金庫を爆破することが、北川は楽しくて仕方ない。  果たして金庫の扉の向こうで待っているものは何か? 北川と幸田は、永遠に価値の変わらないものに触れることができるのか? 高村薫の緻密な世界観の中で、井筒監督特有の暴力衝動がとぐろを巻く。流血に彩られた男のロマンがここにある。 (文=長野辰次) orgonwodaitetobe_05.jpg 『黄金を抱いて翔べ』 原作/高村薫 脚本/吉田康弘、井筒和幸 主題歌/安室奈美恵 出演/妻夫木聡、浅野忠信、桐谷健太、溝端淳平、チャンミン(東方神起)、西田敏行、青木崇高、中村ゆり、田口トモロヲ、鶴見辰吾  配給/松竹 11月3日(土)より全国ロードショー  (c)2012「黄金を抱いて翔べ」製作委員会  <http://www.ougon-movie.jp/> ●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第194回]禁断の蜜が溢れるSM世界『私の奴隷になりなさい』セクシーアイコン・壇蜜がすべてをさらけ出した! [第193回]“無意識の湖”に身を投じたユングと女性患者の行方──クローネンバーグの恋愛サスペンス『危険なメソッド』 [第192回]“お蔵入り映画”が人命救助を果たした!? 実話をベースにした大冒険ロマン『アルゴ』 [第191回]我が家に“食人族”がやって来た! 奇才ジャック・ケッチャムの異形世界『ザ・ウーマン』 [第190回] 裏切り&結託は当たり前。今の政界にそっくり! 極道たちのバトルロワイアル『アウトレイジ ビヨンド』 [第189回] これが全米を熱狂させた“USA版バトル・ロワイアル”! 殺人リアリティーショー『ハンガー・ゲーム』 [第188回]行き詰まった人生の扉を開く鍵は“銭湯”にあり? 内田けんじ監督のオリジナル作『鍵泥棒のメソッド』 [第187回]大家族の伝統料理から超手抜きレシピまで勢ぞろい! 台所から見えてくる中東の家庭事情『イラン式料理本』 [第186回]“世界的な絶滅危惧種”である独裁者に愛の手を!? 政治ネタ&下ネタ満載コメディ『ディクテーター』 [第185回]障害者の性処理も介護の重圧も、すべて笑い飛ばせ! 男たちのバリアフリーな友情ドラマ『最強のふたり』 [第184回]人類を生み出した“創造主”との遭遇!! リドリー・スコットが物語るSF神話『プロメテウス』 [第183回]“校内格差社会”に出現した異分子(ゾンビ)たち! 青春のカタルシス『桐島、部活やめるってよ』 [第182回]カメラマンは法を犯してもかまわない!? 国家の暗部を暴く男の情念『ニッポンの噓』 [第181回]“学校”という名の密室ではびこる児童虐待の事実! 子どもたちは教師を訴える『トガニ 幼き瞳の告発』 [第180回]“神様”との出会いと別れ、そして旅からの帰還  ドキュメンタリー『アニメ師・杉井ギサブロー』 [第179回]親友=お金を貸してくれる、女友達=SEXさせてくれる!? 品性お下劣男の青春『苦役列車』 [第178回]“沢尻エリカ”という名のアトラクションムービー『ヘルタースケルター』が描く無常の世界 [第177回]毒カレー、オウム真理教、光市母子殺害……“悪魔の弁護人”と呼ばれる男の素顔『死刑弁護人』 [第176回]“芸能生活30周年”ニコラス・ケイジの会心作! 被災地に流布する暗号『ハングリー・ラビット』 [第175回]やめろと言われても、今では遅すぎたッ! 妻夫木聡&武井咲主演の過剰なる純愛劇『愛と誠』 [第174回]年間自殺者数3万人を越える現代社会への提言 自殺対策の現状を追った『希望のシグナル』 [第173回]“三島割腹事件”を若松孝二監督が映画化!『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』 [第172回]実在の事件を題材にした“命の授業”『先生を流産させる会』がついに劇場公開! [第171回]自由社会に順応できない“脱北者”の過酷な現状 無垢なる季節との決別『ムサン日記 白い犬』 [第170回] 世界興収100億突破のSF大作『ロボット』はあらゆる既成概念を破壊する!! [第169回]“エンタの神さま”ツイ・ハークが大復活! B級映画マニアの心を焦がす『王朝の陰謀』 [第168回]人はお下劣な分だけ、強く優しくなれる!? 結婚を控えた女たちの本音『ブライズメイズ』 [第167回]行きすぎたシステム社会に警鐘を鳴らす“ユナボマー・マニフェスト”の映画化『モンスターズクラブ』 [第166回]祭りの終わりと新ステージの幕開け、3部作完結『サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』 [第165回]すばらしき“コーマン野郎”の世界!『コーマン帝国』、愛と欲望の歴史 [第164回]懐かしき香り漂う、新感覚サスペンス 破滅へ突き進む男の悲劇『ドライヴ』 [第163回] 災害に備えた地下シェルターは必要? 心理ホラー『テイク・シェルター』 [第162回] 森田芳光監督の最終列車『僕達急行』人生は出会いと旅立ちのリフレイン! [第161回] 鬼才キム・ギドクの"多重人格ショー"セルフドキュメンタリー『アリラン』 [第160回]映画創成期に散った"殉教者"への聖歌 3D映画『ヒューゴの不思議な発明』 [第159回]これはホラー? それともコメディ? 勘違い女が爆走『ヤング≒アダルト』 [第158回] ピラミッドは古代からのメッセージ!? 歴史ミステリー『ピラミッドの謎』 [第157回] 韓国映画の名匠が明かす"創作の極意"イ・チャンドン監督『ポエトリー』 [第156回] ローカル局で"伝説となった男"の生涯『木村栄文レトロスペクティブ』 [第155回] 米国に半世紀も君臨した"影の大統領" FBI初代長官『J・エドガー』 [第154回]犯罪者たちに学ぶ"人心掌握術"の奨め『アニマル・キングダム』『預言者』 [第153回]"地獄"からの生還者・板尾創路の凄み 古典落語を過激に脚色『月光ノ仮面』 [第152回]早くも2012年ベスト1映画が登場!"代理殺人"を巡る恐怖『哀しき獣』 [第151回]父殺し、自分殺し、そして再生の物語 園子温流ラブストーリー『ヒミズ』 [第150回]米国お笑い横断旅行『宇宙人ポール』人間のちっぽけな悩みはETが解決! [第149回]70年前と変わらない日本人の精神構造『聯合艦隊司令長官 山本五十六』 [第148回]追悼......"永遠の反逆児"原田芳雄さん幻の主演作『原子力戦争』がDVD化 [第147回]"ファスト風土"を舞台にした犯罪喜劇 J・アイゼンバーグ主演『ピザボーイ』 [第146回]"正義のゾンビ"が犯罪者を貪り喰う! イラク戦争奇談『ゾンビ処刑人』 [第145回] "時代の寵児"の未ソフト化作品上映!「松江哲明グレイテスト・ヒッツ」 [第144回]原発事故を描いた『カリーナの林檎』と今関あきよし監督の背負った贖罪 [第143回]"窮屈なモラル"を脱ぎ捨てた裸の女たち 園子温監督の犯罪エロス『恋の罪』 [第142回]ノーベル賞作家・川端康成が夢想した新風俗『スリーピングビューティー』 [第141回]横暴な上司は有志社員が制裁します!『モンスター上司』のブラックな笑い [第140回]"クソみたいな社会を変えたい!"高校生テロリストの凄春『アジアの純真』 [第139回] うつ病なんかヘーキ!? 宮崎あおい主演作『ツレがうつになりまして。』 [第138回]"神話"が生まれる瞬間を目撃せよ! 人類への黙示録『猿の惑星:創世記』 [第137回]刑務所で食する至高の味『極道めし』ヒロインの後ろ姿に、むせび泣き! [第136回]"理想の恋人"という偶像を破壊せよ 深夜番長の劇場デビュー作『モテキ』 [第135回]"城定秀夫監督、ブレイク前夜の予感! 闘争本能を呼び覚ます『タナトス』 [第134回]"人間失格"の道を選んだ映画監督の業 林由美香の最新主演作『監督失格』 [第133回]ホラ吹きのホラを見破る特異な職能 ポランスキー監督『ゴーストライター』 [第132回]芦田愛菜、6歳にして危険な魅力!? 子連れで全力疾走『うさぎドロップ』 [第131回]元"暴走族"が書いた旧友への鎮魂歌 青春懺悔録『アメイジング グレイス』 [第130回]V・ギャロ主演のサバイバルグルメ!? 『エッセンシャル・キリング』 [第129回]『キック・アス』より悪趣味で泣ける 中年男の悪ノリ暴走劇『スーパー!』 [第128回]この夏の清涼剤、地方少女のダンス成長記『あぜみちジャンピンッ!』 [第127回]竹ヤリで世界進出"スシタイフーン"『エイリアンVSニンジャ』ほか逆上陸 [第126回]イーモウ監督、久々のアイドル映画 中華的妹萌え『サンザシの樹の下で』 [第125回]ナタリー・ポートマン vs. ヘビメタ野郎 人気女優の隠し球『メタルヘッド』 [第124回]黒澤明の名作『生きる』のラテン版! ヤモメ男が残した遺産『BIUTIFUL』 [第123回]北国で93年間営業を続ける"大黒座"と町の記録『小さな町の小さな映画館』 [第122回]新幹線がすれ違う瞬間、願いが叶う? 小学生の目線で描かれた『奇跡』 [第121回]理想と情熱がもたらした"痛い現実" 青春の蹉跌『マイ・バック・ページ』 [第120回]胸に響く金言"プロとは手を抜くこと" 職人秘話『アトムの足音が聞こえる』 [第119回]危険な出会い、井口昇ミーツ仲村みう 悪夢の遊園地『富江 アンリミテッド』 [第118回]ナタリー・ポートマン"第1章"の終幕 虚実が攻め合う『ブラック・スワン』 [第117回]"セカイ"を旅立った少女の地底探検記 新海誠監督の新作『星を追う子ども』 [第116回] 美少女たちの輝きが脳裏から離れない。青春ムービー『魔法少女を忘れない』 [第115回] 恋愛が与える"陶酔"とリアルな"痛み"サブカル活劇『スコット・ピルグリム』 [第114回]妄想、空想、そして現実からの大脱走 美少女革命『エンジェル ウォーズ』 [第113回]"3.11"後の新しい映画モデルとなるか『劇場版 神聖かまってちゃん』の挑戦 [第112回]マスコミが讃えた"楽園"のその後、ひとりの少女の成長記録『愛しきソナ』 [第111回]閉鎖的な"村社会"をブチ破ったれ! 韓流サバイバル劇『ビー・デビル』 [第110回]"粋"を愛したフランスの伯父さん J・タチ主演『イリュージョニスト』 [第109回]自分にとって家族は敵か、味方か? オスカー2冠受賞『ザ・ファイター』 [第108回]コーエン兄弟『トゥルー・グリット』40年で変化した"米国のヒーロー像" [第107回]ジョニー・デップが愛した"極道記者" 『GONZO』奇人がスターだった時代 [第106回] 巨匠イーストウッド監督の異色作! "あの世"はあるか?『ヒア アフター』 [第105回] キレ味、喉ごしが違うアクション! 黒帯美少女の"涙拳"が炸裂『KG』 [第104回] 高齢化するニートはどこに行くのか? "戸塚校長"のその後『平成ジレンマ』 [第103回]堀北真希&高良健吾主演作『白夜行』闇に生きる"影男"の密やかなる喜び [第102回]園子温の劇薬ムービー『冷たい熱帯魚』"救いのない結末"という名の救い [第101回] NHKが放映しない"裏プロジェクトX" AV界のカリスマ監督『YOYOCHU』 [第100回]エロスとタブーを交配した"至高の美女" 禁断のサイエンスホラー『スプライス』 [第99回]2010年に活躍した女優を勝手に表彰! 満島ひかりに"面倒くさい女"大賞を [第98回]大人だって"ドラえもん"にいて欲しい 残念男の逆転劇『エリックを探して』 [第97回]平凡な高校生デイヴは2度変身する!原点回帰のヒーロー『キック・アス』 [第96回]村上春樹の超絶ベストセラーの映画化『ノルウェイの森』はどこにある? [第95回]実在した"奇妙な高額バイト"の顛末 心理サスペンス『エクスペリメント』 [第94回]"アル中"カメラマンの泣き笑い人生『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』 [第93回]朝ドラと異なる映画『ゲゲゲの女房』ゴールなき"貧乏耐久"2人3脚走 [第92回]バラエティーでの実績は通用するか? テリー伊藤の初監督作『10億円稼ぐ』 [第91回] 不謹慎なる社会派エンタテイメント『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』 [第90回]"世界のナベアツ"大阪府知事に就任! 政治コメディ『さらば愛しの大統領』 [第89回]自分の恋愛もプロデュースする女優、ドリュー・バリモア主演『遠距離恋愛』 [第88回]スタローンが立ち上げた"筋肉共和国"男たちの祭典『エクスペンダブルズ』 [第87回]元"おはガール"安藤聖の再起動ドラマ 就職氷河期を生きる『バカがウラヤマシイ』 [第86回]マイノリティーは"理想郷"を目指す。筒井文学の金字塔『七瀬ふたたび』 [第85回]清純派・佐藤寛子が美しく"変態"! 官能サスペンス『ヌードの夜──』 [第84回]死を意識して、ギラギラ輝く男たち! 三池節、大バクハツ『十三人の刺客』 [第83回] 女を食い物にする男どもは全員処刑! モダン社会の闇を暴く『ミレニアム』 [第82回] "企画AV女優"たちの青春残酷物語 性なる鎮魂劇『名前のない女たち』 [第81回]猫を見れば、人間社会が見えてくる! 世界の人気猫大集合『ネコを探して』 [第80回]原恵一監督の新作は辛口ファンタジー 退屈な"日常生活"を彩る『カラフル』 [第79回]米軍に実在した"超能力部隊"の真実!? ムー民、必見『ヤギと男と男と壁と』 [第78回]戦場から帰還した夫は"芋虫男"だった! ヤクザ監督の反戦映画『キャタピラー』 [第77回] 白ユリの花開くガールズの妖しい世界 H系ホラー『ジェニファーズ・ボディ』 [第76回] 爽やか系青春ゾンビ映画にホロリ......夏休みは『ゾンビランド』に集結せよ [第75回] "生きる"とは"見苦しい"ということ 藤沢周平の時代活劇『必死剣 鳥刺し』 [第74回]初恋の美少女は200歳の吸血鬼だった! 北欧産のホラー映画『ぼくのエリ』 [第73回] "三億円事件"の真相を解き明かす! 桜タブーに挑んだ『ロストクライム』 [第72回/特別編] 上映反対で揺れる問題作『ザ・コーヴ』"渦中の人"リック・オバリー氏の主張 [第71回] 女子にモテモテになる方法、教えます。軟派少年の実話物語『ソフトボーイ』 [第70回] 下町育ちの"北野少年"が見た現代社会 人間同士の食物連鎖『アウトレイジ』 [第69回] "リアルと虚構の狭間"を生きる男、アントニオ猪木初主演作『アカシア』 [第68回] ヒーローも神もいない現代社会の惨劇 井筒監督の問題作『ヒーローショー』 [第67回] アイドルが地獄で微笑む『戦闘少女』ギャグ×血しぶき×殺陣の特盛り丼! [第66回]アナーキーな"社歌"で生産性アップ! 満島ひかり大進撃『川の底からこんにちは』 [第65回]超ヘビー級なシリアス劇『プレシャス』"家族"という名の地獄から脱出せよ [第64回]乱れ咲く"悪の華"ゼブラクイーン! 仲里依紗が過激変身『ゼブラーマン2』 [第63回] オタク王が見出した"夢と現実"の接点 ティム・バートン監督作『アリス──』 [第62回] バッドテイストな感動作『第9地区』 アナタはエビ人間とお友達になれるか? [第61回]スコセッシ監督の犯罪アトラクション『シャッターアイランド』へようこそ! [第60回]宮崎あおいの"映画代表作"が誕生! 毒を呑んでも生き続けよ『ソラニン』 [第59回]"おっぱいアート"は世界を救えるか? 母乳戦士の記録『桃色のジャンヌ・ダルク』 [第58回]現代に甦った"梶原一騎ワールド"韓流ステゴロ映画『息もできない』 [第57回]命知らずの変態レポーター、中東へ! 史上最大のどっきり?『ブルーノ』 [第56回]仲里依紗がアニメから実写へと跳躍! 母娘2代の時空旅行『時をかける少女』 [第55回]ビグロー監督はキャメロンより硬派! 人間爆弾の恐怖『ハート・ロッカー』 [第54回] "空気を読む"若者の悲劇『パレード』楽しいルームシェア生活の行き先は? [第53回]社会の"生け贄"に選ばれた男の逃亡劇 堺雅人主演『ゴールデンスランバー』 [第52回]『男はつらいよ』の別エンディング? "寅さん"の最期を描く『おとうと』 [第51回]ひとり相撲なら無敵のチャンピオン! 童貞暴走劇『ボーイズ・オン・ザ・ラン』 [第50回]ヒース・レジャーが最後に見た夢の世界 理想と欲望が渦巻く『Dr.パルナサスの鏡』 [第49回]トニー・ジャーは本気なんジャー! CGなしの狂乱劇再び『マッハ!弐』 [第48回]全米"オシャレ番長"ズーイー、見参! 草食系に捧ぐ『(500日)のサマー』 [第47回]市川崑監督&水谷豊"幻の名作"『幸福』28年の歳月を経て、初のパッケージ化 [第46回]押井守監督、大いなる方向転換か? 黒木メイサ主演『アサルトガールズ』 [第45回]ドラッグ漬けの芸能関係者必見!"神の子"の復活を追う『マラドーナ』 [第44回] 暴走する"システム"が止まらない! マイケル・ムーア監督『キャピタリズム』 [第43回]"人は二度死ぬ"という独自の死生観『ガマの油』役所広司の監督ぶりは? [第42回]誰もが共感、あるあるコメディー! 2ちゃんねる発『ブラック会社』 [第41回]タラとブラピが組むと、こーなった!! 戦争奇談『イングロリアス・バスターズ』 [第40回]"涅槃の境地"のラストシーンに唖然! 引退を賭けた角川春樹監督『笑う警官』 [第39回]伝説の男・松田優作は今も生きている 20回忌ドキュメント『SOUL RED』 [第38回]海より深い"ドメスティック・ラブ"ポン・ジュノ監督『母なる証明』 [第37回]チャン・ツィイーが放つフェロモン爆撃 悪女注意報発令せり!『ホースメン』 [第36回]『ソウ』の監督が放つ激痛バイオレンス やりすぎベーコン!『狼の死刑宣告』 [第35回]"負け組人生"から抜け出したい!! 藤原竜也主演『カイジ 人生逆転ゲーム』 [第34回]2兆円ペット産業の"開かずの間"に迫る ドキュメンタリー『犬と猫と人間と』 [第33回]"女神降臨"ペ・ドゥナの裸体が神々しい 空っぽな心に響く都市の寓話『空気人形』 [第32回]電気仕掛けのパンティをはくヒロイン R15コメディ『男と女の不都合な真実』 [第31回]萩原健一、松方弘樹の助演陣が過剰すぎ! 小栗旬主演の時代活劇『TAJOMARU』 [第30回]松本人志監督・主演第2作『しんぼる』 閉塞状況の中で踊り続ける男の悲喜劇 [第29回]シビアな現実を商品化してしまう才女、西原理恵子の自叙伝『女の子ものがたり』 [第28回]"おねマス"のマッコイ斉藤プレゼンツ 不謹慎さが爆笑を呼ぶ『上島ジェーン』 [第27回]究極料理を超えた"極地料理"に舌鼓! 納涼&グルメ映画『南極料理人』 [第26回]ハチは"失われた少年時代"のアイコン  ハリウッド版『HACHI』に涙腺崩壊! [第25回]白熱! 女同士のゴツゴツエゴバトル 金子修介監督の歌曲劇『プライド』 [第24回]悪意と善意が反転する"仮想空間"細田守監督『サマーウォーズ』 [第23回]沖縄に"精霊が暮らす楽園"があった! 中江裕司監督『真夏の夜の夢』 [第22回]"最強のライブバンド"の底力発揮! ストーンズ『シャイン・ア・ライト』 [第21回]身長15mの"巨大娘"に抱かれたい! 3Dアニメ『モンスターvsエイリアン』 [第20回]ウディ・アレンのヨハンソンいじりが冴え渡る!『それでも恋するバルセロナ』 [第19回]ケイト姐さんが"DTハンター"に! オスカー受賞の官能作『愛を読むひと』 [第18回]1万枚の段ボールで建てた"夢の砦"男のロマンここにあり『築城せよ!』 [第17回]地獄から甦った男のセミドキュメント ミッキー・ローク『レスラー』 [第16回]人生がちょっぴり楽しくなる特効薬 三木聡"脱力"劇場『インスタント沼』 [第15回]"裁判員制度"が始まる今こそ注目 死刑執行を克明に再現した『休暇』 [第14回]生傷美少女の危険な足技に痺れたい! タイ発『チョコレート・ファイター』 [第13回]風俗嬢を狙う快楽殺人鬼の恐怖! 極限の韓流映画『チェイサー』 [第12回]お姫様のハートを盗んだ男の悲哀 紀里谷監督の歴史奇談『GOEMON』 [第11回]美人女優は"下ネタ"でこそ輝く! ファレリー兄弟『ライラにお手あげ』 [第10回]ジャッキー・チェンの"暗黒面"? 中国で上映禁止『新宿インシデント』 [第9回]胸の谷間に"桃源郷"を見た! 綾瀬はるか『おっぱいバレー』 [第8回]"都市伝説"は映画と結びつく 白石晃士監督『オカルト』『テケテケ』 [第7回]少女たちの壮絶サバイバル!楳図かずおワールド『赤んぼ少女』 [第6回]派遣の"叫び"がこだまする現代版蟹工船『遭難フリーター』 [第5回]三池崇史監督『ヤッターマン』で深田恭子が"倒錯美"の世界へ [第4回]フランス、中国、日本......世界各国のタブーを暴いた劇映画続々 [第3回]水野晴郎の遺作『ギララの逆襲』岡山弁で語った最後の台詞は...... [第2回]『チェンジリング』そしてイーストウッドは"映画の神様"となった [第1回]堤幸彦版『20世紀少年』に漂うフェイクならではの哀愁と美学

尼崎連続殺人事件 女モンスターの“殺人カンパニー”ができるまで

20121031.jpg
「週刊新潮」11月1日号 中吊り広告より
佳作1 「安倍晋三と半グレ」(「週刊現代」11月10日号) 佳作2 「『地震予知』は大嘘だったのか!?」(「週刊ポスト」11月9日号) 佳作3 「尼崎『女モンスター』の揺り籠から監獄まで」(「週刊新潮」11月1日号) 佳作4 「誤認逮捕の被害者が『恐怖の取調室』を語った」(「週刊現代」11月10日号)  今週は、残念ながらグランプリに値する記事はなかった。予想通り、橋下徹大阪市長の記事で全面敗北した週刊朝日の河畠大四編集長が更迭されたのが目立つ程度だ。  どんぐりの背比べの中から佳作を4本選んでみた。  まずは、警察の誤認逮捕と調書でっち上げで、危うく冤罪にされるところだった人たちの恐怖を扱った、現代の「ネットなりすまし事件」の記事。大新聞に、自白調書が警察のでっち上げだったことがわかったのに、それを追及した記事があまり見当たらなかったのはどうしてか。  発端は7月1日、東京・杉並区に住む19歳の明大生が神奈川県警保土ケ谷署に逮捕されたことだった。横浜市のHPに小学校を襲撃する殺人予告を書き込んだという、威力業務妨害の疑いだったが、これも冤罪だった。 「しかし、3日付のスポーツ新聞にはこんな記事か載っている。〈明大広報課担当者は『事実関係を確認し、厳正に処分します』とコメント。商学部2年の女子学生は『明治の恥。大学のイメージが悪くなり、就活などで他の学生に迷惑がかかる』と憤っていた〉(日刊スポーツ)」(現代)  現代の言う通り、学校は事実関係を調べもしないで、警察の発表を無条件で信じてしまうのだ。  大阪府警に誤認逮捕された北村真咲さん(43)の弁護人はこう語る。 「北村さんは、今回の事件に関して逮捕前から一貫して捜査に協力し、かつ否認していました。にもかかわらず、北村さんは逮捕・勾留されてしまい、著しい肉体的、精神的、経済的打撃を受けました。(中略)また、逮捕された後も、捜査機関は北村さんの言い分を聞くことなく連日の取り調べを続けました。このような取り調べは、虚偽の自白を誘発するものです。この取り調べに北村さんが屈していれば、そのまま有罪判決を受けていたかもしれない」  8月26日に北村さんが逮捕され、9月1日に福岡の無職の男性(28)が警視庁に逮捕される。9月14日には2ちゃんねるに伊勢神宮を爆破すると予告したとして、三重県津市に住む28歳の男性が三重県警に逮捕されている。  なぜこのようなことが起きるのかを、全国紙社会部記者が解説している。 「08年の秋葉原事件後、警察庁が全国の県警に通達した『サイバーテロ予告の捜査マニュアル』があります。詳しい内容は開示されていませんが、そこには『脅迫メールの書き込みが行われたパソコンのIPアドレスを根拠に、被疑者を逮捕してもよい。被疑者否認のまま起訴しても、公判は維持できる』という旨が明記されているんです」  IT時代に、こんなとんでもない通達が出ていたというのは驚きである。真犯人が犯行声明で捜査当局の能力の低さをあざ笑うのは当然である。その上、犯人が捕まる可能性はほとんどないと、サイバー犯罪に詳しい神田知宏弁護士は話す。 「いろいろな国のサーバーを経由して発信元を隠すTorというソフトを使っているので、発信元を辿ることは不可能でしょう。現状はネットの書き込みに対する法整備が追いついておらず、警察は正直言ってお手上げの状態です」  後手後手に回った捜査をごまかすために、無実の者を逮捕し、自分たちに都合のいい調書をでっち上げ有罪にする。これだから司法を監視する手を緩めてはいけないのだ。  尼崎の「女モンスター」角田美代子(64)が主人公の大量殺戮事件は、いまだに謎だらけである。新聞、テレビはもちろんのこと、週刊誌を読んでも、なぜこの女がこのような大事件を引き起こしたのか、よくわからない。取り巻きを含めて柄の悪いのはいっぱいいるようだが、だからといって、娘が自分の親まで殺してしまうというのは、理解しがたい。  いろいろ読んだ中では新潮が美代子だけに絞っているだけにわかりやすかったので、これを佳作に推す。  美代子は1948年に尼崎市内の左官工の家に生まれた。中学時代にはナイフを背中にしのばせていたというから、桁外れのワルのようだ。私立女子高へ入ってわずか数週間で喧嘩沙汰を起こして退学になってしまうが、その頃すでに中学の同級生と同棲していたそうだ。  さらに若い女を4~5人雇ってホテルに送り届ける「管理売春」の元締めだったという。その元手でスナックを開き、ママになる。その後、離婚して横浜へと移り、伊勢佐木町にバーを開く。10数年後に故郷へ帰り、「殺人カンパニー」の下地を作り始めていったそうだ。  息子を溺愛し、通う学校の教頭を怒鳴りつけたり、卒業式に乱入したこともある。  美代子の暴力装置として支えたのは、戸籍上のいとこである李正則。全身刺青で野球をやっていただけに、腕力は強い。  美代子たちに乗り込まれた香川県高松市の「谷本家」は一家崩壊、地獄のようになった。一家は、後に美代子の息子と一緒になる瑠衣、姉の茉莉子、両親が静かに暮らしていた。そこへ李が入り込み、美代子たちが乗り込んで阿鼻叫喚の地獄の日々が始まる。 「男らが庭に両親を立たせてホースで水責めにするのは序の口。美代子は“金を持ってこないとこうなる”と言い、娘2人に両親を執拗に殴らせていた。さらに両親は素っ裸で集落を歩かされ、親戚の家々を回って借金を申し込んでいた」(捜査関係者)  この事件の全容が明らかになると、まだまだ犠牲者が増えそうである。  さて、イタリアで地震に「安全宣言」を出した地震学者らに、禁固6年の実刑判決が出て話題になっている。地震大国日本の地震予知はどうなのか。ポストが「大嘘」ではないのかと噛みついている。 「若手学者が声高に言った。『(予知できない地震があるのは)地震学者なら誰だってわかっている。そんな状態で「予知絡み」の予算を取るのはもうやめましょうよっ!』(中略)10月16日、北海道・函館で開かれた日本地震学会特別シンポジウム『「ブループリント(青写真)50周年ーー地震研究の歩みと今後』の討論は白熱した」(ポスト)  ここで指す地震予知とは、短期の地震予知である。冒頭の研究者の「予知できない地震」とは、「前兆現象」のない地震で、阪神・淡路大震災も東日本大震災も前兆は観測されなかった。  “反予知派”の筆頭で、シンポジウム実行委員長の東大大学院・ロバート・ゲラー教授は、「打つ手がない」「地震を予知しようとする作業に意味はない」とまで言いきった。 「その証左が文科省の外郭団体である独立行政法人防災科学技術研究所が作成する『確率論的地震動予測地図』(ハザードマップ)だという。地震学の粋を集めて作成されたはずのハザードマップだが、ゲラー教授は手厳しい。『この地図は、地震発生確率の高い地区ほど濃い色で塗りつぶされているのですが、阪神・淡路大震災も東日本大震災も、大きな地震の震源はいずれも色が薄い、確率が低いとされた地区だった。こうなると予知は“害悪”ですらある。ハザードマップを見て、地震に遭う確率の低い地区だと思って住んだら、大震災に見舞われたという人がいるかもしれない』」  だが、地震研究には毎年100億円単位の予算が投じられ、官僚の天下り先にもなっているのである。  東洋大学の渡辺満久教授はこう語る。 「地震学会の体質改善はそう簡単ではない。そもそも地震学者と呼ばれる人々に対してこれまでマスコミが甘すぎたんです。学界内部でも、きちんと同僚の罪を告発していた人々は昔からいたのに、『個人攻撃になるから』などといった理由をつけて、しり込みするメディアが多かった。そこはしっかりしてほしいと思う」  天気予報と地震予知は当たらなくて当たり前、では困るのだ。日本で地震予知学者を告発したらどうなるのだろう。裁判所はどういう判断を下すのか。誰かやってみないかな。  石原慎太郎都知事が辞任して政党をつくるとはしゃいではいるが、先行きは不透明である。ポストは、橋下大阪市長の「日本維新の会」と連携すると見ているようだが、現代は「それはない」と真反対である。  そうした中で、存在感が日に日に薄れていく安倍晋三総裁だが、現代が彼の「怪しい人脈」を掘り起こした記事をやっている。  冒頭、03年9月22日に行われた「ワールド・ダンス・ランキング・アワード」という耳慣れない名前の「ダンス大会」の模様が描かれ、自民党の幹事長になったばかりの安倍がそこで挨拶をしている。  その時、壇上で安倍とツーショットに収まるのが主催者の塩田大介ABCホーム元会長だが、この人物、今年3月に競売入札妨害容疑で警視庁に逮捕され、その後起訴されている人物なのだという。  安倍総裁は最近発売された他の週刊誌にも、かつて「山口組の金庫番」と呼ばれた大物金融業者・永本壹柱(本名・孫一柱)と親密に肩を並べる写真が掲載されたばかりだが、塩田もまた暴力団の密接交際者として警察にマークされてきた人物なのだ。 「1カ月に2度、暴力団と近しい人物との交際が明るみに出るとは、次期首相候補の政治家として資質を疑われても仕方がない。新興宗教団体の『慧光塾』との深い関係が取り沙汰されたり、もともと安倍さんは『怪しい人脈』がチラつく人、という印象があります。政治家一家で育ってきたわりには、ワキが甘過ぎるのではないか」(政治評論家・有馬晴海)  自民党清和会の幹部もこう語る。 「岸信介さんが統一教会教祖の故・文鮮明氏と関係があったことで、安倍は官房長官時代に統一教会の行事に祝電を打って問題になった。国際勝共連合(文鮮明氏が設立した共産党撲滅を目指す組織)ともつながりがある。とにかく周りにいるのが右寄りの人間ばかり。右だけならいいけど、それが右翼、さらには暴力団につながる危険性がある」  現代はこう結んでいる。 「人を見るに厳しく、機を見るに敏という、政治家に必要な二つの能力が、現段階で安倍氏に十分に備わっているとは思い難い。『二度目の総理』が近づくいまこそ、真価が問われている」  そんな夫の窮状を知ってか知らずか、夫人のアッキーこと昭恵夫人は東京・内神田に出した居酒屋稼業に精を出しているようだ。新潮が紹介したが、その後日談を今週もやっている。 「『UZU』。昭恵氏が『女将』を務めるこの店を再び訪れてみると、何とカウンターまで一杯である。(中略)そこで待つこと1時間、ラストオーダー近くなって何とか入店すると看板メニューの『山口県産新米と豚汁セット』(980円)を頼む。(中略)残念ながらオーダーが間に合わなかった。そこで、『山口県祝島のひじき五目煮』(480円)と『自家製ベーコン』(1500円)を注文。ひじき煮は柔らかくて瑞々しい。ベーコンは2日間塩に漬け込み、さっと燻してあるという。市販されているものとはまったく違った味で、ベーコンなのに新鮮な肉の味がする。そばにいた客に聞いてみると、やはりもの珍しさからのぞきに来たという。(中略)運がよければ『自民党総裁夫人』が注文を聞きにやってくるのだから」  私も10月25日(木曜日)に訪ねてみた。神田駅から歩いて7~8分。外堀通りを渡って路地を左に入ったところにある。外から見ると喫茶店かフレンチレストランという趣の店である。覗いてみるとテーブル席が空いているようなので入ってみたが、中年の女性に、予約でいっぱいだと言われてしまった。  4~5人かけられるカウンターとテーブル席が3つぐらいのこぢんまりした店だが、私のような古びた居酒屋が好きな人間には、居心地がよくない。  女性がドアの外まで出てきて、「名刺をいただければ、後日連絡する」と言われたが、お断りして、近くの酒屋がやっている立ち飲みでいっぱいひっかける。このような「千ベロ」(千円でベロベロになれる店)が一番落ち着くね~。 (文=元木昌彦)
motokikinnei.jpg
撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか 

「TENGAを超えてゆけ!!!」SODが完全バックアップでアダルトグッズ会社社長を公募!

ldgfclvf.jpg
 創業からたった7年で、日本のアダルトグッズのあり方を一変させてしまったTENGA。そのTENGAを裏で支え続けたAVメーカーのソフト・オン・デマンドが、なんと「TENGAに匹敵する」アダルトグッズ会社の社長を公募することになった。  TENGAは世界40カ国で発売されている業界最大手である。そのTENGAに立ち向かう新アダルトグッズ会社に対し、ソフト・オン・デマンドは全国のセル店舗4,000店・レンタル店・大手WEB通販への流通、販売・宣伝広告・商品在庫管理・資金援助、すべてにかかることをバックアップするという。  またTENGAを築き上げた松本光一社長も「僕の知っているノウハウは全て教えます」と応援を約束。「僕に勝てるか是非挑戦して下さい。自らライバルを増やす事もこの業界の発展の為です」と、その熱い思いを明かしている。  あなたのオナニーに対する情熱は、もしかしたらこのプロジェクトとの出会いを待っていたのかもしれない……。 ■応募資格  ・アダルトグッズ開発に情熱をもって取り組める方 ・独立して、会社経営に取り組める方 ・プラスティック成型技術をお持ちの方 ・基板回路設計技術をお持ちの方 ・金型製作技術をお持ちの方 ■採用までの流れ [必要書類]履歴書、職務経歴書、 アダルトグッズの企画・アイディア (創作物がある方はそちらもお願いします。なお創作物は返却致します。) 【1】書類選考→ 【2】1次面接→ 【3】最終面接 ※応募書類は弊社で管理及び廃棄しますので、ご返却はできません ■待遇 ・会社が立ち上がるまでは当社規定に則る ・社会保険完備(会社規定に則る) ■応募方法 必要書類を郵送もしくはメールしてください。 [メールの場合] ozuma@sod.co.jp [郵送の場合] 〒164-0012 東京都中野区本町6-20-12 SAN新中野ビル 郵送先:ソフト・オン・デマンド OZUMA プロジェクト宛 締切:11月9日(必着) http://www.sod.co.jp/sodtv/ozuma2/

禁断の蜜が溢れるSM世界『私の奴隷になりなさい』セクシーアイコン・壇蜜がすべてをさらけ出した!

watashinodoreini1.jpg
官能映画『私の奴隷になりなさい』で主演デビューを果たした壇蜜。
アラサーOL香奈が美しくなったのには、人には言えない秘密があった……!
 すっぱだかなのに、どこか気品が漂う。逆に服を着ているほうが襟元からストッキングの編み目から、ドクドクとフェロモンが溢れ出す。壇蜜は不思議な女性だ。29歳でグラビアデビューした遅咲きの逸材。壇蜜が出演したイメージDVDはAmazonのジャンル別売上げトップとなり、彼女のセクシーグラビアを掲載した男性週刊誌は軒並み売上げがアップする。そして31歳にして女優デビュー&初主演を果たしたのが角川映画『私の奴隷になりなさい』。団鬼六先生亡き後のSM映画シーンに、新たにセクシーアイコン・壇蜜が降臨したかっこうだ。今まで寸止めで隠していた大切な部分を、惜しげもなくスクリーン上でさらけ出している。  遅咲きなだけあって、壇蜜のプロフィールはかなりユニークだ。20代後半で芸能界に足を踏み入れる以前は、葬儀関係の職種に就いていたとのこと。大学卒業後に調理師免許をとり、母親と一緒に和菓子店を開くつもりだったが、出資してくれるはずだった知人が急逝。そのことから壇蜜は生命のはかなさを想い、人生の出口を見つめてみようと葬儀業界に身を置いたという。彼女の喪服姿を想像しただけで、妙に息苦しくなってくる。まさに、壇蜜は“エロス&タナトス”の化身ではないか。壇蜜という芸名は彼女自身が考えたもので“仏前のお供え物”という意味らしい。ますます、息が荒くなってくる。その他にも中学時代のニックネームが「愛人」、和菓子会社の製餡工場で汗を流しながらアンコを練っていた、医療関係の仕事にも従事、英語の教員免許を持っている、現在のライバルは「TENGA」……と数え切れないほどのエピソードを持つ。秘蔵されていたワインのごとく、豊饒な味わいを感じさせる女性である。
watashinodoreini2.jpg
香奈を調教する先生(板尾創路)。撮影現場では
壇蜜が「えっ」と一瞬たじろぐほど、板尾が積極的にリードしたらしい。
 壇蜜主演作『私の奴隷になりなさい』は、転職したばかりの僕(真山明大)の視線で物語が進む。若くて、何事もライト感覚な僕はこれはと思った女性たちを次々と口説き落としてきた。ゲーム感覚で目の前にいる女の子たちを軽〜くゲットしてきた。ひとりでいるときはエドワード・ゴーリーの大人向き絵本をめくり、自分でもイラストを描いているが、プロのイラストレーターとして食べていくだけの自信はないし、好きなもののためなら全てを棄てられるという覚悟もない。でも、そんな僕のリビドーを刺激してやまない存在が現われた。転職先である出版社の先輩OLの香奈(壇蜜)だ。落ち着いた大人の雰囲気の香奈はすでに社内結婚しており、夫は大阪に単身赴任中。これまで僕が手玉に取ってきた若い子たちと違って、ガードがやたらと高い。社内で宴会の席で、露骨に香奈へのアプローチを試みるが、「君は仕事を覚える気があるの?」とピシャリと鼻先をへし折られる。悶々とした劣情を抱きながら、香奈と同じフロアで仕事をしていると、ふいに携帯がブルブルと震えた。それは香奈からのメールだった。「今夜、セックスしましょう」。この一通のメールがきっかけで、僕はそれまで知らなかったアブノーマルな世界へとのめり込んでいく。  香奈の美しさには、秘密があった。実は香奈は1年前までは、フツーのOLでしかなかった。顔立ちは整っていたが、保守的な性格で、プライドだけ高く、いつも無難な衣服を着ていた。仕事帰りのバーで、職場の愚痴や上司の悪口を延々と垂れ流し続ける冴えない女だった。バーでその様子を観察していた先生(板尾創路)は、香奈を自分の席に優しく呼び寄せてから、はっきりとした口調でこう言う。「1時間かけてお前がしゃべり続けてきたことは、自分がいかにつまらないセックスしかしてこなかったかということだ」。初対面の他人から浴びせられたこの言葉に、香奈はしたたかに打ちのめされる。この夜から先生の調教が始まった。ご主人さまと奴隷の関係となった2人は、緊縛プレイ、アンダーヘアの剃毛、スパンキング、バイブによるアナル責め……とどんどん過激な世界へと進んでく。  先生との関係が深まるにつれ、香奈は一輪挿しの花が咲き誇るように美しくなった。ご主人さまという何よりも大事な存在ができたことで、職場や家庭で無駄な愚痴や口論をすることがなくなった。先生からいつ呼び出されるか分からないので、いつもセクシーな下着を身に付けるようになった。香奈が美しく変身していくことを、夫や同僚や得意先の男性社員たちも喜んだ。ため息が出るほど美しく変貌を遂げた香奈に、僕は魅了されてしまったのだ。メールの後、香奈からハメ撮りを強要された僕は、やがて彼女の秘密を知ることになる。香奈に「セックスしましょう」というメールを送らせたのは先生だった。先生は、僕と香奈との密会をスワッピングとして楽しんでいたのだ。全ては先生の遠隔操作だと分かっていても、僕は香奈との禁断の関係をやめることができない。
watashinodoreini3.jpg
メイキングDVD『壇蜜と僕たち』が現在リリース中。
映画本編がR15なのにメイキングはR18という謎のレイティングなのだ。
 『私の奴隷になりなさい』の原作者は覆面作家のサタミシュウ。ある人気作家の別名だそうだ。SMをテーマにした官能小説だが、団鬼六先生のハードなSM世界とはずいぶん趣きが異なる。谷ナオミ、杉本彩らが歴代ヒロインを演じてきた『花と蛇』では豪邸で暮らす清楚な人妻・静子が拉致監禁された挙げ句に男たちに陵辱されるという非日常的世界が繰り広げられたが、『私の奴隷になりなさい』では日常生活の中に幾つもの非日常が潜んでいる。先生と香奈、香奈と僕が肉体関係を結ぶことで非日常性が顕在化していく。先生によって調教された香奈はすっぱだかに赤い首輪だけして、僕の前にいる。とてもふしだらな職場の先輩だが、自分に秘密の姿を見せてくれた彼女が愛おしくて堪らない。ゲーム感覚で手軽な女の子を口説いた記憶も、イラストレーターに挑戦してみるかどうかといった日々の悩みも、香奈の裸身の前でことごとく木っ端みじんに砕け散ってしまう。  正体不明の“先生”を演じた板尾創路は、『空中庭園』(05)や『空気人形』(09)などこの手の役を任せると抜群にうまい。主人公たちの性意識から人生観まで変えてしまう“触媒”の役を実にクールに淡々と演じてみせる。演技経験がなく、序盤は芝居が固い壇蜜だが、板尾演じる先生が登場することで表情が一気に変わる。ご主人さまと奴隷という関係性が明示されることで、壇蜜自身も俄然輝きを放ち始める。大人の女の熟れた肉体をさらす一方、ベッドの上で板尾にあやされる姿はまるで赤ちゃんのように純真無垢でもある。やはり、壇蜜は不思議な女性だ。  映画でも原作小説でも、最後まで“先生”は何者なのかは明らかにされない。ただし、先生はとても大事なことを教えてくれる。日常生活を退屈だと感じているのは、自分自身が自分に首輪をして、常識の中に自分を縛り付けているからだということ。愛の奴隷になるということは、淀んだ日常生活から自分の心を解放することでもあるのだ。ご主人さまと奴隷という関係を結ぶことで、常識という名の鎖から解き放たれる。スクリーンの中から香奈が、そして壇蜜がこう囁く。私の奴隷になりなさい。 (文=長野辰次) watashinodoreini4.jpg 『私の奴隷になりなさい』 原作/サタミシュウ 脚本/港岳彦 監督/亀井亨 主題歌/壇蜜「fade」 出演/壇蜜、真山明大、西条美咲、美知枝、菜葉菜、石井明日香、杉本彩、海東健、高松泰治、ウダタカキ、草野イニ、古舘寛治、板尾創路 配給/角川映画 R15 11月3日(土)より銀座シネパトスほかロードショー  (c)2012角川書店 <http://www.dorei-movie.jp> ●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第193回]“無意識の湖”に身を投じたユングと女性患者の行方──クローネンバーグの恋愛サスペンス『危険なメソッド』 [第192回]“お蔵入り映画”が人命救助を果たした!? 実話をベースにした大冒険ロマン『アルゴ』 [第191回]我が家に“食人族”がやって来た! 奇才ジャック・ケッチャムの異形世界『ザ・ウーマン』 [第190回] 裏切り&結託は当たり前。今の政界にそっくり! 極道たちのバトルロワイアル『アウトレイジ ビヨンド』 [第189回] これが全米を熱狂させた“USA版バトル・ロワイアル”! 殺人リアリティーショー『ハンガー・ゲーム』 [第188回]行き詰まった人生の扉を開く鍵は“銭湯”にあり? 内田けんじ監督のオリジナル作『鍵泥棒のメソッド』 [第187回]大家族の伝統料理から超手抜きレシピまで勢ぞろい! 台所から見えてくる中東の家庭事情『イラン式料理本』 [第186回]“世界的な絶滅危惧種”である独裁者に愛の手を!? 政治ネタ&下ネタ満載コメディ『ディクテーター』 [第185回]障害者の性処理も介護の重圧も、すべて笑い飛ばせ! 男たちのバリアフリーな友情ドラマ『最強のふたり』 [第184回]人類を生み出した“創造主”との遭遇!! リドリー・スコットが物語るSF神話『プロメテウス』 [第183回]“校内格差社会”に出現した異分子(ゾンビ)たち! 青春のカタルシス『桐島、部活やめるってよ』 [第182回]カメラマンは法を犯してもかまわない!? 国家の暗部を暴く男の情念『ニッポンの噓』 [第181回]“学校”という名の密室ではびこる児童虐待の事実! 子どもたちは教師を訴える『トガニ 幼き瞳の告発』 [第180回]“神様”との出会いと別れ、そして旅からの帰還  ドキュメンタリー『アニメ師・杉井ギサブロー』 [第179回]親友=お金を貸してくれる、女友達=SEXさせてくれる!? 品性お下劣男の青春『苦役列車』 [第178回]“沢尻エリカ”という名のアトラクションムービー『ヘルタースケルター』が描く無常の世界 [第177回]毒カレー、オウム真理教、光市母子殺害……“悪魔の弁護人”と呼ばれる男の素顔『死刑弁護人』 [第176回]“芸能生活30周年”ニコラス・ケイジの会心作! 被災地に流布する暗号『ハングリー・ラビット』 [第175回]やめろと言われても、今では遅すぎたッ! 妻夫木聡&武井咲主演の過剰なる純愛劇『愛と誠』 [第174回]年間自殺者数3万人を越える現代社会への提言 自殺対策の現状を追った『希望のシグナル』 [第173回]“三島割腹事件”を若松孝二監督が映画化!『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』 [第172回]実在の事件を題材にした“命の授業”『先生を流産させる会』がついに劇場公開! [第171回]自由社会に順応できない“脱北者”の過酷な現状 無垢なる季節との決別『ムサン日記 白い犬』 [第170回] 世界興収100億突破のSF大作『ロボット』はあらゆる既成概念を破壊する!! [第169回]“エンタの神さま”ツイ・ハークが大復活! B級映画マニアの心を焦がす『王朝の陰謀』 [第168回]人はお下劣な分だけ、強く優しくなれる!? 結婚を控えた女たちの本音『ブライズメイズ』 [第167回]行きすぎたシステム社会に警鐘を鳴らす“ユナボマー・マニフェスト”の映画化『モンスターズクラブ』 [第166回]祭りの終わりと新ステージの幕開け、3部作完結『サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』 [第165回]すばらしき“コーマン野郎”の世界!『コーマン帝国』、愛と欲望の歴史 [第164回]懐かしき香り漂う、新感覚サスペンス 破滅へ突き進む男の悲劇『ドライヴ』 [第163回] 災害に備えた地下シェルターは必要? 心理ホラー『テイク・シェルター』 [第162回] 森田芳光監督の最終列車『僕達急行』人生は出会いと旅立ちのリフレイン! [第161回] 鬼才キム・ギドクの"多重人格ショー"セルフドキュメンタリー『アリラン』 [第160回]映画創成期に散った"殉教者"への聖歌 3D映画『ヒューゴの不思議な発明』 [第159回]これはホラー? それともコメディ? 勘違い女が爆走『ヤング≒アダルト』 [第158回] ピラミッドは古代からのメッセージ!? 歴史ミステリー『ピラミッドの謎』 [第157回] 韓国映画の名匠が明かす"創作の極意"イ・チャンドン監督『ポエトリー』 [第156回] ローカル局で"伝説となった男"の生涯『木村栄文レトロスペクティブ』 [第155回] 米国に半世紀も君臨した"影の大統領" FBI初代長官『J・エドガー』 [第154回]犯罪者たちに学ぶ"人心掌握術"の奨め『アニマル・キングダム』『預言者』 [第153回]"地獄"からの生還者・板尾創路の凄み 古典落語を過激に脚色『月光ノ仮面』 [第152回]早くも2012年ベスト1映画が登場!"代理殺人"を巡る恐怖『哀しき獣』 [第151回]父殺し、自分殺し、そして再生の物語 園子温流ラブストーリー『ヒミズ』 [第150回]米国お笑い横断旅行『宇宙人ポール』人間のちっぽけな悩みはETが解決! [第149回]70年前と変わらない日本人の精神構造『聯合艦隊司令長官 山本五十六』 [第148回]追悼......"永遠の反逆児"原田芳雄さん幻の主演作『原子力戦争』がDVD化 [第147回]"ファスト風土"を舞台にした犯罪喜劇 J・アイゼンバーグ主演『ピザボーイ』 [第146回]"正義のゾンビ"が犯罪者を貪り喰う! イラク戦争奇談『ゾンビ処刑人』 [第145回] "時代の寵児"の未ソフト化作品上映!「松江哲明グレイテスト・ヒッツ」 [第144回]原発事故を描いた『カリーナの林檎』と今関あきよし監督の背負った贖罪 [第143回]"窮屈なモラル"を脱ぎ捨てた裸の女たち 園子温監督の犯罪エロス『恋の罪』 [第142回]ノーベル賞作家・川端康成が夢想した新風俗『スリーピングビューティー』 [第141回]横暴な上司は有志社員が制裁します!『モンスター上司』のブラックな笑い [第140回]"クソみたいな社会を変えたい!"高校生テロリストの凄春『アジアの純真』 [第139回] うつ病なんかヘーキ!? 宮崎あおい主演作『ツレがうつになりまして。』 [第138回]"神話"が生まれる瞬間を目撃せよ! 人類への黙示録『猿の惑星:創世記』 [第137回]刑務所で食する至高の味『極道めし』ヒロインの後ろ姿に、むせび泣き! [第136回]"理想の恋人"という偶像を破壊せよ 深夜番長の劇場デビュー作『モテキ』 [第135回]"城定秀夫監督、ブレイク前夜の予感! 闘争本能を呼び覚ます『タナトス』 [第134回]"人間失格"の道を選んだ映画監督の業 林由美香の最新主演作『監督失格』 [第133回]ホラ吹きのホラを見破る特異な職能 ポランスキー監督『ゴーストライター』 [第132回]芦田愛菜、6歳にして危険な魅力!? 子連れで全力疾走『うさぎドロップ』 [第131回]元"暴走族"が書いた旧友への鎮魂歌 青春懺悔録『アメイジング グレイス』 [第130回]V・ギャロ主演のサバイバルグルメ!? 『エッセンシャル・キリング』 [第129回]『キック・アス』より悪趣味で泣ける 中年男の悪ノリ暴走劇『スーパー!』 [第128回]この夏の清涼剤、地方少女のダンス成長記『あぜみちジャンピンッ!』 [第127回]竹ヤリで世界進出"スシタイフーン"『エイリアンVSニンジャ』ほか逆上陸 [第126回]イーモウ監督、久々のアイドル映画 中華的妹萌え『サンザシの樹の下で』 [第125回]ナタリー・ポートマン vs. ヘビメタ野郎 人気女優の隠し球『メタルヘッド』 [第124回]黒澤明の名作『生きる』のラテン版! ヤモメ男が残した遺産『BIUTIFUL』 [第123回]北国で93年間営業を続ける"大黒座"と町の記録『小さな町の小さな映画館』 [第122回]新幹線がすれ違う瞬間、願いが叶う? 小学生の目線で描かれた『奇跡』 [第121回]理想と情熱がもたらした"痛い現実" 青春の蹉跌『マイ・バック・ページ』 [第120回]胸に響く金言"プロとは手を抜くこと" 職人秘話『アトムの足音が聞こえる』 [第119回]危険な出会い、井口昇ミーツ仲村みう 悪夢の遊園地『富江 アンリミテッド』 [第118回]ナタリー・ポートマン"第1章"の終幕 虚実が攻め合う『ブラック・スワン』 [第117回]"セカイ"を旅立った少女の地底探検記 新海誠監督の新作『星を追う子ども』 [第116回] 美少女たちの輝きが脳裏から離れない。青春ムービー『魔法少女を忘れない』 [第115回] 恋愛が与える"陶酔"とリアルな"痛み"サブカル活劇『スコット・ピルグリム』 [第114回]妄想、空想、そして現実からの大脱走 美少女革命『エンジェル ウォーズ』 [第113回]"3.11"後の新しい映画モデルとなるか『劇場版 神聖かまってちゃん』の挑戦 [第112回]マスコミが讃えた"楽園"のその後、ひとりの少女の成長記録『愛しきソナ』 [第111回]閉鎖的な"村社会"をブチ破ったれ! 韓流サバイバル劇『ビー・デビル』 [第110回]"粋"を愛したフランスの伯父さん J・タチ主演『イリュージョニスト』 [第109回]自分にとって家族は敵か、味方か? オスカー2冠受賞『ザ・ファイター』 [第108回]コーエン兄弟『トゥルー・グリット』40年で変化した"米国のヒーロー像" [第107回]ジョニー・デップが愛した"極道記者" 『GONZO』奇人がスターだった時代 [第106回] 巨匠イーストウッド監督の異色作! "あの世"はあるか?『ヒア アフター』 [第105回] キレ味、喉ごしが違うアクション! 黒帯美少女の"涙拳"が炸裂『KG』 [第104回] 高齢化するニートはどこに行くのか? "戸塚校長"のその後『平成ジレンマ』 [第103回]堀北真希&高良健吾主演作『白夜行』闇に生きる"影男"の密やかなる喜び [第102回]園子温の劇薬ムービー『冷たい熱帯魚』"救いのない結末"という名の救い [第101回] NHKが放映しない"裏プロジェクトX" AV界のカリスマ監督『YOYOCHU』 [第100回]エロスとタブーを交配した"至高の美女" 禁断のサイエンスホラー『スプライス』 [第99回]2010年に活躍した女優を勝手に表彰! 満島ひかりに"面倒くさい女"大賞を [第98回]大人だって"ドラえもん"にいて欲しい 残念男の逆転劇『エリックを探して』 [第97回]平凡な高校生デイヴは2度変身する!原点回帰のヒーロー『キック・アス』 [第96回]村上春樹の超絶ベストセラーの映画化『ノルウェイの森』はどこにある? [第95回]実在した"奇妙な高額バイト"の顛末 心理サスペンス『エクスペリメント』 [第94回]"アル中"カメラマンの泣き笑い人生『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』 [第93回]朝ドラと異なる映画『ゲゲゲの女房』ゴールなき"貧乏耐久"2人3脚走 [第92回]バラエティーでの実績は通用するか? テリー伊藤の初監督作『10億円稼ぐ』 [第91回] 不謹慎なる社会派エンタテイメント『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』 [第90回]"世界のナベアツ"大阪府知事に就任! 政治コメディ『さらば愛しの大統領』 [第89回]自分の恋愛もプロデュースする女優、ドリュー・バリモア主演『遠距離恋愛』 [第88回]スタローンが立ち上げた"筋肉共和国"男たちの祭典『エクスペンダブルズ』 [第87回]元"おはガール"安藤聖の再起動ドラマ 就職氷河期を生きる『バカがウラヤマシイ』 [第86回]マイノリティーは"理想郷"を目指す。筒井文学の金字塔『七瀬ふたたび』 [第85回]清純派・佐藤寛子が美しく"変態"! 官能サスペンス『ヌードの夜──』 [第84回]死を意識して、ギラギラ輝く男たち! 三池節、大バクハツ『十三人の刺客』 [第83回] 女を食い物にする男どもは全員処刑! モダン社会の闇を暴く『ミレニアム』 [第82回] "企画AV女優"たちの青春残酷物語 性なる鎮魂劇『名前のない女たち』 [第81回]猫を見れば、人間社会が見えてくる! 世界の人気猫大集合『ネコを探して』 [第80回]原恵一監督の新作は辛口ファンタジー 退屈な"日常生活"を彩る『カラフル』 [第79回]米軍に実在した"超能力部隊"の真実!? ムー民、必見『ヤギと男と男と壁と』 [第78回]戦場から帰還した夫は"芋虫男"だった! ヤクザ監督の反戦映画『キャタピラー』 [第77回] 白ユリの花開くガールズの妖しい世界 H系ホラー『ジェニファーズ・ボディ』 [第76回] 爽やか系青春ゾンビ映画にホロリ......夏休みは『ゾンビランド』に集結せよ [第75回] "生きる"とは"見苦しい"ということ 藤沢周平の時代活劇『必死剣 鳥刺し』 [第74回]初恋の美少女は200歳の吸血鬼だった! 北欧産のホラー映画『ぼくのエリ』 [第73回] "三億円事件"の真相を解き明かす! 桜タブーに挑んだ『ロストクライム』 [第72回/特別編] 上映反対で揺れる問題作『ザ・コーヴ』"渦中の人"リック・オバリー氏の主張 [第71回] 女子にモテモテになる方法、教えます。軟派少年の実話物語『ソフトボーイ』 [第70回] 下町育ちの"北野少年"が見た現代社会 人間同士の食物連鎖『アウトレイジ』 [第69回] "リアルと虚構の狭間"を生きる男、アントニオ猪木初主演作『アカシア』 [第68回] ヒーローも神もいない現代社会の惨劇 井筒監督の問題作『ヒーローショー』 [第67回] アイドルが地獄で微笑む『戦闘少女』ギャグ×血しぶき×殺陣の特盛り丼! [第66回]アナーキーな"社歌"で生産性アップ! 満島ひかり大進撃『川の底からこんにちは』 [第65回]超ヘビー級なシリアス劇『プレシャス』"家族"という名の地獄から脱出せよ [第64回]乱れ咲く"悪の華"ゼブラクイーン! 仲里依紗が過激変身『ゼブラーマン2』 [第63回] オタク王が見出した"夢と現実"の接点 ティム・バートン監督作『アリス──』 [第62回] バッドテイストな感動作『第9地区』 アナタはエビ人間とお友達になれるか? [第61回]スコセッシ監督の犯罪アトラクション『シャッターアイランド』へようこそ! [第60回]宮崎あおいの"映画代表作"が誕生! 毒を呑んでも生き続けよ『ソラニン』 [第59回]"おっぱいアート"は世界を救えるか? 母乳戦士の記録『桃色のジャンヌ・ダルク』 [第58回]現代に甦った"梶原一騎ワールド"韓流ステゴロ映画『息もできない』 [第57回]命知らずの変態レポーター、中東へ! 史上最大のどっきり?『ブルーノ』 [第56回]仲里依紗がアニメから実写へと跳躍! 母娘2代の時空旅行『時をかける少女』 [第55回]ビグロー監督はキャメロンより硬派! 人間爆弾の恐怖『ハート・ロッカー』 [第54回] "空気を読む"若者の悲劇『パレード』楽しいルームシェア生活の行き先は? [第53回]社会の"生け贄"に選ばれた男の逃亡劇 堺雅人主演『ゴールデンスランバー』 [第52回]『男はつらいよ』の別エンディング? "寅さん"の最期を描く『おとうと』 [第51回]ひとり相撲なら無敵のチャンピオン! 童貞暴走劇『ボーイズ・オン・ザ・ラン』 [第50回]ヒース・レジャーが最後に見た夢の世界 理想と欲望が渦巻く『Dr.パルナサスの鏡』 [第49回]トニー・ジャーは本気なんジャー! CGなしの狂乱劇再び『マッハ!弐』 [第48回]全米"オシャレ番長"ズーイー、見参! 草食系に捧ぐ『(500日)のサマー』 [第47回]市川崑監督&水谷豊"幻の名作"『幸福』28年の歳月を経て、初のパッケージ化 [第46回]押井守監督、大いなる方向転換か? 黒木メイサ主演『アサルトガールズ』 [第45回]ドラッグ漬けの芸能関係者必見!"神の子"の復活を追う『マラドーナ』 [第44回] 暴走する"システム"が止まらない! マイケル・ムーア監督『キャピタリズム』 [第43回]"人は二度死ぬ"という独自の死生観『ガマの油』役所広司の監督ぶりは? [第42回]誰もが共感、あるあるコメディー! 2ちゃんねる発『ブラック会社』 [第41回]タラとブラピが組むと、こーなった!! 戦争奇談『イングロリアス・バスターズ』 [第40回]"涅槃の境地"のラストシーンに唖然! 引退を賭けた角川春樹監督『笑う警官』 [第39回]伝説の男・松田優作は今も生きている 20回忌ドキュメント『SOUL RED』 [第38回]海より深い"ドメスティック・ラブ"ポン・ジュノ監督『母なる証明』 [第37回]チャン・ツィイーが放つフェロモン爆撃 悪女注意報発令せり!『ホースメン』 [第36回]『ソウ』の監督が放つ激痛バイオレンス やりすぎベーコン!『狼の死刑宣告』 [第35回]"負け組人生"から抜け出したい!! 藤原竜也主演『カイジ 人生逆転ゲーム』 [第34回]2兆円ペット産業の"開かずの間"に迫る ドキュメンタリー『犬と猫と人間と』 [第33回]"女神降臨"ペ・ドゥナの裸体が神々しい 空っぽな心に響く都市の寓話『空気人形』 [第32回]電気仕掛けのパンティをはくヒロイン R15コメディ『男と女の不都合な真実』 [第31回]萩原健一、松方弘樹の助演陣が過剰すぎ! 小栗旬主演の時代活劇『TAJOMARU』 [第30回]松本人志監督・主演第2作『しんぼる』 閉塞状況の中で踊り続ける男の悲喜劇 [第29回]シビアな現実を商品化してしまう才女、西原理恵子の自叙伝『女の子ものがたり』 [第28回]"おねマス"のマッコイ斉藤プレゼンツ 不謹慎さが爆笑を呼ぶ『上島ジェーン』 [第27回]究極料理を超えた"極地料理"に舌鼓! 納涼&グルメ映画『南極料理人』 [第26回]ハチは"失われた少年時代"のアイコン  ハリウッド版『HACHI』に涙腺崩壊! [第25回]白熱! 女同士のゴツゴツエゴバトル 金子修介監督の歌曲劇『プライド』 [第24回]悪意と善意が反転する"仮想空間"細田守監督『サマーウォーズ』 [第23回]沖縄に"精霊が暮らす楽園"があった! 中江裕司監督『真夏の夜の夢』 [第22回]"最強のライブバンド"の底力発揮! ストーンズ『シャイン・ア・ライト』 [第21回]身長15mの"巨大娘"に抱かれたい! 3Dアニメ『モンスターvsエイリアン』 [第20回]ウディ・アレンのヨハンソンいじりが冴え渡る!『それでも恋するバルセロナ』 [第19回]ケイト姐さんが"DTハンター"に! オスカー受賞の官能作『愛を読むひと』 [第18回]1万枚の段ボールで建てた"夢の砦"男のロマンここにあり『築城せよ!』 [第17回]地獄から甦った男のセミドキュメント ミッキー・ローク『レスラー』 [第16回]人生がちょっぴり楽しくなる特効薬 三木聡"脱力"劇場『インスタント沼』 [第15回]"裁判員制度"が始まる今こそ注目 死刑執行を克明に再現した『休暇』 [第14回]生傷美少女の危険な足技に痺れたい! タイ発『チョコレート・ファイター』 [第13回]風俗嬢を狙う快楽殺人鬼の恐怖! 極限の韓流映画『チェイサー』 [第12回]お姫様のハートを盗んだ男の悲哀 紀里谷監督の歴史奇談『GOEMON』 [第11回]美人女優は"下ネタ"でこそ輝く! ファレリー兄弟『ライラにお手あげ』 [第10回]ジャッキー・チェンの"暗黒面"? 中国で上映禁止『新宿インシデント』 [第9回]胸の谷間に"桃源郷"を見た! 綾瀬はるか『おっぱいバレー』 [第8回]"都市伝説"は映画と結びつく 白石晃士監督『オカルト』『テケテケ』 [第7回]少女たちの壮絶サバイバル!楳図かずおワールド『赤んぼ少女』 [第6回]派遣の"叫び"がこだまする現代版蟹工船『遭難フリーター』 [第5回]三池崇史監督『ヤッターマン』で深田恭子が"倒錯美"の世界へ [第4回]フランス、中国、日本......世界各国のタブーを暴いた劇映画続々 [第3回]水野晴郎の遺作『ギララの逆襲』岡山弁で語った最後の台詞は...... [第2回]『チェンジリング』そしてイーストウッドは"映画の神様"となった [第1回]堤幸彦版『20世紀少年』に漂うフェイクならではの哀愁と美学

「すべての原点はヴァギナだ!」“1331人斬り”宍戸錠の男前伝説

motoki1022.jpg
「週刊新潮」10月25日号 中吊り広告より
グランプリ 「裏路地の居酒屋女将になった『淋しき「未来のファースト・レディ」安倍昭恵』の隙間風」(「週刊新潮」10月25日号) 第2位 「決意の内部告発!『原発ゼロ』はこうして潰された」(「週刊ポスト」11月2日号) 第3位 「エースのジョー【宍戸錠・78】『1331人斬り』」『世界第3位!?』伝説」(「週刊ポスト」11月2日号) ワースト第1位 「おわびします 編集長河畠大四」(「週刊朝日」11月2日号)  同業者OBとして読むに堪えない「おわび」が出た。  先週のこの欄で、週刊朝日の「緊急連載 ハシシタ 奴の本性 佐野眞一+本誌取材班」について概ねこう書いた。 「週刊朝日がノンフィクション・ライターの佐野眞一を起用して連載を始めた。この連載の意図は、タイトルにある『ハシシタ』や『奴の本性』でわかろうというものだ。『あんぽん』(小学館)で孫正義の在日三世としての出自を徹底的に取材した佐野が、この連載で向かうのはどこになるのか。彼がじっくり腰を据えて橋下に取り組む覚悟なら、橋下本人にとってはもちろんのこと、読者にとっても興味深いものになるかもしれない。次回以降を注目したい」  この中で、橋下徹大阪市長の父親の出身地を明記し、そこには被差別部落があると書いている。当然ながら、そのことを橋下市長が批判してくるのは予期されたことであろう。  佐野はこうも書いているのだ。 「一番問題にしなければいけないのは、敵対者を絶対に認めないこの男の非寛容な人格であり、その厄介な性格の根にある橋下の本性である。そのためには、橋下徹の両親や、橋下家のルーツについて、できるだけ詳しく調べあげなくてはならない」  また、書けば橋下はオレの身元調査までするのかと生来の攻撃的な本性をむき出しにしてくるかもしれないが、「それぐらい調べられる覚悟がなければ、そもそも総理を目指そうとすること自体笑止千万である」。この連載を佐野に頼んだ時点で、どういうものになるか編集長は予想できたはずだし、それ故、連載のタイトルも「橋下」ではなく「ハシシタ」にし、リードにも「血脈をたどる取材を始めた」と書いたのではないのか。  それが、想定通り橋下市長が攻撃してきたとたん謝ってしまうというのは、私には理解できない。河畠編集長はこう書いている。 「同和地区を特定するなど極めて不適切な記述を複数掲載してしまいました。タイトルも適切ではありませんでした」  連載も中止し、「橋下徹・大阪市長をはじめ、多くのみなさまにご不快な思いをさせ、ご迷惑をおかけしたことを心よりおわびします」と続けている。全面降伏である。  私は、被差別地域を明記したことをよしとするものではない。差別問題には、メディアに携わる人間は最大の関心と細心の注意を払うべきだと思っている。この連載の中で、具体的な地名まで挙げる必要があったのか、読んでみて疑問が残った。だが、編集長も筆者も、そうしなければいけないという確固たる意識があったからこそ、わざわざ明記したのではないのか。  あえて「言論の覚悟」と言わせていただく。河畠編集長にはその覚悟もなく原稿を依頼し、内容をチェックし(文中には、社内の関係部署のチェックを受けたともある)、タイトルを付けたというのだろうか。  橋下市長の批判に対して受けて立つ論理を編集部側が構築していなかったというのでは、言論機関として体をなさない週刊誌と言われても仕方あるまい。  筆者である佐野眞一のコメントが載ってないのはどうしてなのか。彼には言いたいことが山ほどあるに違いない。それを次号に掲載すべきだろう。週刊誌への信頼がまた大きく傷ついた「事件」である。残念だ。  尼崎の連続怪死事件や「山中伸弥教授のノーベル賞に泥を塗った」森口尚史など、不可解な出来事が多く、沈みがちな気持ちがさらに落ち込んでいく毎日だが、そんな時ほど痛快な読み物が読みたくなるものである。  とっておきのがポストにあった。かつて日活で「エースの錠」といわれて一世を風靡した宍戸錠インタビューがそれである。  インタビュアーは吉田豪。宍戸は年末に79歳になるが「今年、子どもを作る予定だった」と話し始める。  相手は? と聞かれて、 「宍戸 相手はいたけど60歳だから。そいつがまあ、すごくて……もう嫌で(笑)。そいつの友達もまた俺の追っかけでね。その人たちが28とか27だったらいいけど、60と58じゃ……嫌だよ、こっちだって」  でも、今年中にはやろうと思っていると“断言”している。  女の経験人数の世界第1位はウォーレン・ベィティで1万2,775人、次にチャーリー・シーンで5,000人だそうだ。どうやって数えたのかね?  できるのはコンディション次第かと問うと、 「宍戸 いや、相手のね。こないだ、ちょっと年寄りもできるのかなと思ってヤッてみたらね、やっぱり年寄りとヤッちゃいかんな。人数にも入れたくねえよ!」  人数にカウントするのか? 「宍戸 入れないよ。入れたくもねえ。入れるところもねえっていうか(笑)」  中学生の時に、同級生と「内緒で教える女のデカメロン」という猥本を作ったというから天才的早熟。日活の仲間では二谷英明が凄腕で、女に関しては「あいつにかなうヤツはいねえよ」と太鼓判を押している。  ある大物の4号と関係があったといわれるが? 「宍戸 まあ、『役者買い』が流行ってたわけ。育ててやろうかとか、そういうのが昔からあって。そういうのは一度、絶対経験しておかないといけねえなって思うじゃない。だから経験したんだけど、ホントに勃たなくなるわ。金をもらったり、洋服を買ってもらったりしてるとダメなんだよな。金を払う側にならないと勃たないな」  その女とは別の女を、赤木圭一郎に紹介したのだという。  52~53歳の連中を「若い子」と呼び、今でも東京・仙川のカウンターバーでナンパしているそうだ。女遊びと言われるが、向こうからしたら男遊び、女も計算していると語る。  宍戸はかつてこう言ったことがある。 「スキーだのスキューバだのスカイダイビングだの、ほかの遊びが増えたのはわかるけど、海山空よりもすべての原点であるヴァギナだけは忘れないでほしい」  ポスト批判もチクリ。 「宍戸 ただ、『週刊ポスト』でもヴァギナの特集をずっとやってるけど、あれはえげつないな」  高倉健とほぼ同じ年だが、まだまだ十分に男くさい、人間くさい男の話を読むと、こちらまで何かしら元気が出てくる。  同じポスト。野田政権が示した「原発ゼロ」方針は、国家的詐術だと批判する記事が第2位。  ジャーナリストの長谷川幸洋が、政府の脱原発路線を支えてきた最高ブレーン・田坂広志多摩大学大学院教授にインタビューしている。長谷川は、野田政権が決めた「2030年代原発ゼロ」という方針は、実はゼロではなく「30年に原発依存度15%」なのだと指摘する。 「長谷川 私は『政府の30年代ゼロ案は、30年15%案だ』と見ている。この理解は正しいか。 田坂 (中略)『ゼロ案のデータは実質15%案のもの』という指摘は鋭い指摘と思います」 「長谷川 私は『39年ゼロ』も実はないだろうと読む。この理解は間違いか。 田坂 これも残念ながら、『戦略』の表現は、『コミットメント』(公約)ではなく、あくまでも『ベストの努力をする』という主旨に抑えてある。それは『綱引き』の結果生まれてきた文章だからです」  田坂が言うには、原発をなんとか残したいという側とゼロにするという人たちの意見を合わせて修正した、妥協の「霞ヶ関文学」だという。  また、経産省も資源エネルギー庁の官僚も、一番こだわったのは「原発維持の可能性を残す」という点だったと話す。それは財界、立地自治体も同じだ。  端からゼロなんて選択肢はなかったのだろう。  田坂は「『脱原発依存』に向けた12の政策パッケージの宣言」を出した。その意図をこう語る。 「田坂 脱原発に向かう場合、『地元の経済は破綻する』との疑問には『脱原発交付金』の政策を示す。『原子力技術者がいなくなる』との疑問には、『原子力環境安全産業』(廃炉・解体など)の政策を示す。こうした諸政策をパッケージで示さないかぎり、必ず矛盾が出てきます」  廃炉がビジネスになるかという長谷川の疑問には、 「田坂 廃炉や放射性廃棄物処理などは、脱原発に向かうために絶対必要な産業です。さらに、我が国は、ベトナムや韓国、中国なども視野に入れ、国家戦略として、この産業を国際的な産業に育てるべきでしょう」  田坂は「脱原発は選択の問題ではなく不可避の現実」だとし、活断層がないところでも地震の可能性があり、地下水によって高レベル放射性廃棄物がどう運ばれるか分からないこの国では、放射性廃棄物や使用済み核燃料の最終処分は日本の中ではできないと断言する。 「田坂 この最終処分の問題は非常に重い課題となって、次の政権にものしかかってきます。近く行われる総選挙では、本当は、『原発ゼロ社会をめざすか否か』が争点ではない。『不可避的に到来する原発ゼロ社会に、どう準備するか』こそが本当の争点になるべきなのです」  先週、園子温監督の映画『希望の国』を見た。大地震で原発事故が起こり、家族が離れ離れになる悲劇描いた佳作である。酪農家の老夫婦を夏八木勲と大谷直子が熱演している。 これを見ていて、東日本大震災が起き、福島第一原発が爆発したのがわずか1年半ぐらい前だということに改めて気付き、愕然とする。  現代の「世界最低最悪のビジネスの現場から 日本人いじめ ここまでやるか中国」を読んでいて、確かに日中、日韓問題は大きいが、それより日本人が今すぐ議論し尽くさなくてはいけないのは、地震大国日本で原発をどうするのかということである。「国家戦略として、この産業(廃炉や放射性廃棄物処理)を国際的な産業に育てるべき」という考えは正しいと、私も思う。  今週のグランプリは、次期総理が確実視される安倍晋三自民党総裁の妻「アッキー」こと昭恵夫人が、都内に居酒屋を開いたと報じた新潮の記事に捧げる。  夫の原発推進是とする考え方とは違い、反原発運動に傾倒したり、これも反中国の夫とは異なり、中国出身のミュージシャン・金大偉のファンだと公言したりと、話題に事欠かない夫人だが、今度は東京・内神田の裏路地に「UZU」という居酒屋を10月10日にオープンしたのだ。  カウンター5席とテーブルが9席のこぢんまりした店で、新米と豚汁が980円、ひじきの五目煮が480円という庶民的な値段である。  新潮は、次期ファースト・レディになる彼女が、店で酔っぱらったり、亭主がいないのにコンビニでビールを買って帰ったりすることを難じ、2人は仮面夫婦ではないかと心配しているが、いいではないか。  森永製菓の社長令嬢で、やや線は細いが政界のサラブレッド安倍と結婚し、一度はファースト・レディにまでなったのだ。亭主は亭主、私は私で、好きな人生を生きていくというのは、多くの女性たちの共感を得るのではないか。 「私はオーナーで料理は作りませんが、できるだけお店に出て、お客さんと話したい。店の場所は、学校の先輩が近くで料理教室を開いていたこともあって、ここに決めました。店名は、いろんな人が店に集まって、人の渦ができればいいなと思って付けたの。地球の成り立ちも渦で、宇宙に通じているすべてが渦になっていたりもしますしね。いろんなお客さんが出入りして危険なんじゃないかと言われても、何か起きたときに考えればいいかなと。ひとり4,000円くらいで食べられるお店を目指しています。とにかくたくさんの人に来てもらってお話を伺いたい。さまざまな方からお話を聞くのは選挙活動と同じだと思うんです。(中略)主人は大賛成ってわけではないと思います。このお店のことには触れたくないみたいですね、ふふふっ」  こうアッキーは語っている。  今夜は、アッキーの店でいっぱいやってみようか。これを読んだ都内の多くのサラリーマンがそう思うのではないか。私も今週中に行くつもりである。 (文=元木昌彦)
motokikinnei.jpg
撮影/佃太平
●元木昌彦(もとき・まさひこ)
1945年11月生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社入社。90年より「FRIDAY」編集長、92年から97年まで「週刊現代」編集長。99年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長を経て、06年講談社退社。07年2月から08年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(2006年8月28日創刊)で、編集長、代表取締役社長を務める。現「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催、編集プロデュースの他に、上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで教鞭を執る。 【著書】 編著「編集者の学校」(編著/講談社/01年)、「日本のルールはすべて編集の現場に詰まっていた」(夏目書房/03年)、「週刊誌編集長」(展望社/06年)、「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社/08年)、「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス/08年)、「競馬必勝放浪記」(祥伝社/09年)、「新版・編集者の学校」(講談社/09年)「週刊誌は死なず」(朝日新聞社/09年)ほか 

“無意識の湖”に身を投じたユングと女性患者の行方──クローネンバーグの恋愛サスペンス『危険なメソッド』

kikennna_1.jpg
デヴィッド・クローネンバーグ監督の最新作『危険なメソッド』。
同名舞台の映画化。東海テレビの昼ドラもびっくりな、怒濤のメロドラマが繰り広げられる。
 フロイトとユングといえば精神分析学を語る上で欠かせない2大ビッグネームだが、その2人に多大な影響を与えたひとりの女性がいた。その女性から刺激を受けたことで、フロイトは“タナトス概念”を、ユングは『アニムス・アニマ論』を生み出したと言われている。ただし、その女性はスキャンダラスな存在だったため、歴史から名前が抹消されてしまった。その女性とはロシア系ユダヤ人のザビーナ・シュピールライン(1885〜1942年)。18歳のときに精神患者として、精神科医になりたてだったユングと出会い、症状の回復と共にユングと愛人関係になった。既婚者だったユングは医学界でこのスキャンダルが発覚することを恐れ、一方的に別れを告げる。その後、ザビーナ自身も精神科医となり、ユングの師匠であったフロイトに招かれて精神分析学協会に参加するようになる。フロイトとユングとザビーナは、まるでビリヤードの球のようにお互いを衝き合った。20世紀初頭のヨーロッパで、奇妙な三角関係を描きながら転がり続けた。『スキャナーズ』(81)、『ザ・フライ』(86)から『イースタン・プロミス』(07)に至るまで一貫して人間が変化、変容する様を描いてきたデヴィッド・クローネンバーグ監督が、男と女の心変わり、師と弟子との立ち場の移ろいをケレン味に走らずにしっとりと描いている。  時代は1904年。日本がちょうど帝政ロシアとの日露戦争に突入した頃だ。スイス・チューリヒの大学病院に、18歳の少女ザビーナ(キーラ・ナイトレイ)が運び込まれてくる。裕福なロシア系ユダヤ人の家庭で育ったザビーナは、思春期からずっと精神を患っており、ロシアからはるばるスイスまで最新の治療を求めてきたのだ。エリート精神科医のユング(マイケル・フェスベンダー)にとっては初めての患者。フロイトが提唱したばかりの“談話療法”をザビーナに試してみる。どうやらザビーナは幼少期の体験が原因で、トラウマを抱え込んでいるらしい。ある日、ユングはザビーナを森への散歩に誘うが、ユングがザビーナのコートに付いた土ぼこりをステッキで叩き払おうとすると彼女は表情を一変させる。ステッキがコートを叩く音を耳にしただけで、ザビーナの乳首はキィーンッと硬くなるのだった。ザビーナは幼い頃に厳格な父親から折檻された際に、屈辱と同時に快感を覚えたことを告白する。心を丸裸にされたザビーナはユングのことをすっかり信頼し、またユングは観察力の鋭いザビーナに自分の研究を手伝わせるようになる。すべては治療の一環だった。症状が回復へと向かったザビーナは、ユングが教壇に立つチューリヒ大学医学部に入学。医者と患者という立ち場を離れ、非常に親密な関係となっていく。
kikennna_2.jpg
師弟関係にあったフロイト(ヴィゴ・モーテンセン)と
ユング(マイケル・ファスベンダー)だが、ユングは神秘主義、錬金術へ傾倒する。
 その一方、ユングはそれまで手紙でやりとりをしていたフロイト(ヴィゴ・モーテンセン)に対面し、フロイトから「自分の後継者だ」と呼ばれるほどの寵愛を受ける。ユダヤ人で無宗教だったフロイトは医学界で極めて異端な存在で、チューリヒ大学に勤めるスイス人のユングが自分の学説を支持してくれていることは政治的に大きな意味があったのだ。エマ(サラ・ガドン)という愛妻がいながら、破滅になりかねないユダヤ人患者との不倫愛に走るユングを、フロイトはなだめようとする。しかし、フロイトとユングの蜜月期間もそう長くは続かなかった。ユングは次第に“超心理”への関心を深めていき、“超心理”を否定するフロイトとの間に大きな溝が生じていく。ユングとザビーナの男女の関係が、フロイトとユングの師弟関係が、それぞれの家庭環境、学界の事情、そして自我の増長によって揺れ動き、バランスを失っていく。  ヴィゴ・モーテンセンはクローネンバーグの世界を体現化する重要な俳優だ。『ヒストリー・オブ・バイオレンス』(05)ではヴィゴ演じる父親の過去を知った家族の意識が変容していった。『イースタン・プロミス』では裏社会で暮らしていく中でロシアン・マフィアと同化していく。本作ではヴィゴ扮するフロイトが創り出した“精神分析”の世界で、愛憎の物語が展開される。その当事者であるユングとザビーナが男と女の関係へと踏み出す際のトリガーの役目を果たすのは、『イースタン・プロミス』にも出ていた個性派俳優ヴァンサン・カッセル。カッセル演じるグロスも優秀で野心的な精神科医だが、薬物に溺れてしまって自分が治療を受ける側になってしまった。ユングはグロスにも談話療法を試みるが、グロスは一夫一妻制を否定する快楽主義者。「患者と寝たことはあるか?」「快楽を拒むな」「衝動に降伏しろ」とグロスは囁く。言葉の毒がユングを蝕む。もうユングは心の奥底から欲望が突き上げてくるのを抑えることができない。ユングがザビーナの下宿先へと向かうと、彼女はユングがドアをノックするのをずっと待っていた。父親と同じようにユングにぶたれたザビーナは歓喜に悶え、乳首をカチンカチンに硬くする。2人は医者と患者、先生と教え子という束縛を棄てて、快楽という名の湖へと身を投じる。
kikennna_3.jpg
感受性が豊かなザビーナ(キーラ・ナイトレイ)。
人を愛することは相手を傷つけ、また自分自身も傷つくことを思い知る。
 劇中、ユングは何度もボートに乗る。将来を約束されたエリートで、幸福な家庭にも恵まれたユングだが、無意識という広大な湖の上でゆらゆらと揺れるちっぽけな自我でしかない。精神分析医だが、自分自身は分析できない。彼にできたことはザビーナに対し「君には治療費を請求しなかったよ」という別れの台詞を吐いて、彼女を逆上させたことぐらい。妻エマと離婚することはなかったが、また別の女性患者を愛人にしてしまう。ユングと別れて精神科医となったザビーナは、自分自身の気が狂いそうになる実体験を基に“破壊衝動論”へと辿り着く。人間には自己破壊の本能があること、死の衝動によって生の欲望を得るということ、そしてエロスとタナトスは裏表一体の関係であることにザビーナは突き当たる。ユングとフロイトはザビーナの学説に大きな影響を受けるが、フロイトは自著の欄外に小さくザビーナの名前を触れただけにとどめ、ユングはまったくザビーナの存在には言及していない。  これまでのクローネンバーグ作品にはグロテスクさに満ちたバイオレンスシーンが盛り込まれてきたが、『危険なメソッド』では冷静さを装った常識人の残酷さがザビーナをズタズタに打ちのめす。そして、その残酷なオノを振り上げたユングたちも、その返り血を浴びることになる。どうやら、超能力集団スキャナーズや物質移転装置が生み出したハエ男よりも、無意識と自我のはざまで揺れ動く人間の心理がいちばん厄介な存在らしい。その後、ザビーナもユングもフロイトも、第二次世界大戦という世界中がうなされた国家・民族レベルでの巨大な破壊衝動に飲み込まれていく。とりわけザビーナの末路はあまりにも悲劇的すぎる。鬼才クローネンバーグでさえ、彼女の過酷な運命を描き切ることはできなかったようだ。 (文=長野辰次)
kikennna_4.jpg
『危険なメソッド』 原作/ジョン・カー 脚本/クリストファー・ハンプソン 監督/デヴィッド・クローネンバーグ 出演/キーラ・ナイトレイ、ヴィゴ・モーテンセン、マイケル・ファスベンダー、ヴァンサン・カッセル、サラ・ガドン 配給/ブロードメディア・スタジオ PG12 10月27日(土)よりTOHOシネマズシャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー  (c)2011 Lago Film GmbH Talking Cure Productions Limited RPC Danger Ltd Elbe Film GmbH. All Rights Reserved. <http://dangerousmethod-movie.com> ●深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】INDEX [第192回]“お蔵入り映画”が人命救助を果たした!? 実話をベースにした大冒険ロマン『アルゴ』 [第191回]我が家に“食人族”がやって来た! 奇才ジャック・ケッチャムの異形世界『ザ・ウーマン』 [第190回] 裏切り&結託は当たり前。今の政界にそっくり! 極道たちのバトルロワイアル『アウトレイジ ビヨンド』 [第189回] これが全米を熱狂させた“USA版バトル・ロワイアル”! 殺人リアリティーショー『ハンガー・ゲーム』 [第188回]行き詰まった人生の扉を開く鍵は“銭湯”にあり? 内田けんじ監督のオリジナル作『鍵泥棒のメソッド』 [第187回]大家族の伝統料理から超手抜きレシピまで勢ぞろい! 台所から見えてくる中東の家庭事情『イラン式料理本』 [第186回]“世界的な絶滅危惧種”である独裁者に愛の手を!? 政治ネタ&下ネタ満載コメディ『ディクテーター』 [第185回]障害者の性処理も介護の重圧も、すべて笑い飛ばせ! 男たちのバリアフリーな友情ドラマ『最強のふたり』 [第184回]人類を生み出した“創造主”との遭遇!! リドリー・スコットが物語るSF神話『プロメテウス』 [第183回]“校内格差社会”に出現した異分子(ゾンビ)たち! 青春のカタルシス『桐島、部活やめるってよ』 [第182回]カメラマンは法を犯してもかまわない!? 国家の暗部を暴く男の情念『ニッポンの噓』 [第181回]“学校”という名の密室ではびこる児童虐待の事実! 子どもたちは教師を訴える『トガニ 幼き瞳の告発』 [第180回]“神様”との出会いと別れ、そして旅からの帰還  ドキュメンタリー『アニメ師・杉井ギサブロー』 [第179回]親友=お金を貸してくれる、女友達=SEXさせてくれる!? 品性お下劣男の青春『苦役列車』 [第178回]“沢尻エリカ”という名のアトラクションムービー『ヘルタースケルター』が描く無常の世界 [第177回]毒カレー、オウム真理教、光市母子殺害……“悪魔の弁護人”と呼ばれる男の素顔『死刑弁護人』 [第176回]“芸能生活30周年”ニコラス・ケイジの会心作! 被災地に流布する暗号『ハングリー・ラビット』 [第175回]やめろと言われても、今では遅すぎたッ! 妻夫木聡&武井咲主演の過剰なる純愛劇『愛と誠』 [第174回]年間自殺者数3万人を越える現代社会への提言 自殺対策の現状を追った『希望のシグナル』 [第173回]“三島割腹事件”を若松孝二監督が映画化!『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』 [第172回]実在の事件を題材にした“命の授業”『先生を流産させる会』がついに劇場公開! [第171回]自由社会に順応できない“脱北者”の過酷な現状 無垢なる季節との決別『ムサン日記 白い犬』 [第170回] 世界興収100億突破のSF大作『ロボット』はあらゆる既成概念を破壊する!! [第169回]“エンタの神さま”ツイ・ハークが大復活! B級映画マニアの心を焦がす『王朝の陰謀』 [第168回]人はお下劣な分だけ、強く優しくなれる!? 結婚を控えた女たちの本音『ブライズメイズ』 [第167回]行きすぎたシステム社会に警鐘を鳴らす“ユナボマー・マニフェスト”の映画化『モンスターズクラブ』 [第166回]祭りの終わりと新ステージの幕開け、3部作完結『サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』 [第165回]すばらしき“コーマン野郎”の世界!『コーマン帝国』、愛と欲望の歴史 [第164回]懐かしき香り漂う、新感覚サスペンス 破滅へ突き進む男の悲劇『ドライヴ』 [第163回] 災害に備えた地下シェルターは必要? 心理ホラー『テイク・シェルター』 [第162回] 森田芳光監督の最終列車『僕達急行』人生は出会いと旅立ちのリフレイン! [第161回] 鬼才キム・ギドクの"多重人格ショー"セルフドキュメンタリー『アリラン』 [第160回]映画創成期に散った"殉教者"への聖歌 3D映画『ヒューゴの不思議な発明』 [第159回]これはホラー? それともコメディ? 勘違い女が爆走『ヤング≒アダルト』 [第158回] ピラミッドは古代からのメッセージ!? 歴史ミステリー『ピラミッドの謎』 [第157回] 韓国映画の名匠が明かす"創作の極意"イ・チャンドン監督『ポエトリー』 [第156回] ローカル局で"伝説となった男"の生涯『木村栄文レトロスペクティブ』 [第155回] 米国に半世紀も君臨した"影の大統領" FBI初代長官『J・エドガー』 [第154回]犯罪者たちに学ぶ"人心掌握術"の奨め『アニマル・キングダム』『預言者』 [第153回]"地獄"からの生還者・板尾創路の凄み 古典落語を過激に脚色『月光ノ仮面』 [第152回]早くも2012年ベスト1映画が登場!"代理殺人"を巡る恐怖『哀しき獣』 [第151回]父殺し、自分殺し、そして再生の物語 園子温流ラブストーリー『ヒミズ』 [第150回]米国お笑い横断旅行『宇宙人ポール』人間のちっぽけな悩みはETが解決! [第149回]70年前と変わらない日本人の精神構造『聯合艦隊司令長官 山本五十六』 [第148回]追悼......"永遠の反逆児"原田芳雄さん幻の主演作『原子力戦争』がDVD化 [第147回]"ファスト風土"を舞台にした犯罪喜劇 J・アイゼンバーグ主演『ピザボーイ』 [第146回]"正義のゾンビ"が犯罪者を貪り喰う! イラク戦争奇談『ゾンビ処刑人』 [第145回] "時代の寵児"の未ソフト化作品上映!「松江哲明グレイテスト・ヒッツ」 [第144回]原発事故を描いた『カリーナの林檎』と今関あきよし監督の背負った贖罪 [第143回]"窮屈なモラル"を脱ぎ捨てた裸の女たち 園子温監督の犯罪エロス『恋の罪』 [第142回]ノーベル賞作家・川端康成が夢想した新風俗『スリーピングビューティー』 [第141回]横暴な上司は有志社員が制裁します!『モンスター上司』のブラックな笑い [第140回]"クソみたいな社会を変えたい!"高校生テロリストの凄春『アジアの純真』 [第139回] うつ病なんかヘーキ!? 宮崎あおい主演作『ツレがうつになりまして。』 [第138回]"神話"が生まれる瞬間を目撃せよ! 人類への黙示録『猿の惑星:創世記』 [第137回]刑務所で食する至高の味『極道めし』ヒロインの後ろ姿に、むせび泣き! [第136回]"理想の恋人"という偶像を破壊せよ 深夜番長の劇場デビュー作『モテキ』 [第135回]"城定秀夫監督、ブレイク前夜の予感! 闘争本能を呼び覚ます『タナトス』 [第134回]"人間失格"の道を選んだ映画監督の業 林由美香の最新主演作『監督失格』 [第133回]ホラ吹きのホラを見破る特異な職能 ポランスキー監督『ゴーストライター』 [第132回]芦田愛菜、6歳にして危険な魅力!? 子連れで全力疾走『うさぎドロップ』 [第131回]元"暴走族"が書いた旧友への鎮魂歌 青春懺悔録『アメイジング グレイス』 [第130回]V・ギャロ主演のサバイバルグルメ!? 『エッセンシャル・キリング』 [第129回]『キック・アス』より悪趣味で泣ける 中年男の悪ノリ暴走劇『スーパー!』 [第128回]この夏の清涼剤、地方少女のダンス成長記『あぜみちジャンピンッ!』 [第127回]竹ヤリで世界進出"スシタイフーン"『エイリアンVSニンジャ』ほか逆上陸 [第126回]イーモウ監督、久々のアイドル映画 中華的妹萌え『サンザシの樹の下で』 [第125回]ナタリー・ポートマン vs. ヘビメタ野郎 人気女優の隠し球『メタルヘッド』 [第124回]黒澤明の名作『生きる』のラテン版! ヤモメ男が残した遺産『BIUTIFUL』 [第123回]北国で93年間営業を続ける"大黒座"と町の記録『小さな町の小さな映画館』 [第122回]新幹線がすれ違う瞬間、願いが叶う? 小学生の目線で描かれた『奇跡』 [第121回]理想と情熱がもたらした"痛い現実" 青春の蹉跌『マイ・バック・ページ』 [第120回]胸に響く金言"プロとは手を抜くこと" 職人秘話『アトムの足音が聞こえる』 [第119回]危険な出会い、井口昇ミーツ仲村みう 悪夢の遊園地『富江 アンリミテッド』 [第118回]ナタリー・ポートマン"第1章"の終幕 虚実が攻め合う『ブラック・スワン』 [第117回]"セカイ"を旅立った少女の地底探検記 新海誠監督の新作『星を追う子ども』 [第116回] 美少女たちの輝きが脳裏から離れない。青春ムービー『魔法少女を忘れない』 [第115回] 恋愛が与える"陶酔"とリアルな"痛み"サブカル活劇『スコット・ピルグリム』 [第114回]妄想、空想、そして現実からの大脱走 美少女革命『エンジェル ウォーズ』 [第113回]"3.11"後の新しい映画モデルとなるか『劇場版 神聖かまってちゃん』の挑戦 [第112回]マスコミが讃えた"楽園"のその後、ひとりの少女の成長記録『愛しきソナ』 [第111回]閉鎖的な"村社会"をブチ破ったれ! 韓流サバイバル劇『ビー・デビル』 [第110回]"粋"を愛したフランスの伯父さん J・タチ主演『イリュージョニスト』 [第109回]自分にとって家族は敵か、味方か? オスカー2冠受賞『ザ・ファイター』 [第108回]コーエン兄弟『トゥルー・グリット』40年で変化した"米国のヒーロー像" [第107回]ジョニー・デップが愛した"極道記者" 『GONZO』奇人がスターだった時代 [第106回] 巨匠イーストウッド監督の異色作! "あの世"はあるか?『ヒア アフター』 [第105回] キレ味、喉ごしが違うアクション! 黒帯美少女の"涙拳"が炸裂『KG』 [第104回] 高齢化するニートはどこに行くのか? "戸塚校長"のその後『平成ジレンマ』 [第103回]堀北真希&高良健吾主演作『白夜行』闇に生きる"影男"の密やかなる喜び [第102回]園子温の劇薬ムービー『冷たい熱帯魚』"救いのない結末"という名の救い [第101回] NHKが放映しない"裏プロジェクトX" AV界のカリスマ監督『YOYOCHU』 [第100回]エロスとタブーを交配した"至高の美女" 禁断のサイエンスホラー『スプライス』 [第99回]2010年に活躍した女優を勝手に表彰! 満島ひかりに"面倒くさい女"大賞を [第98回]大人だって"ドラえもん"にいて欲しい 残念男の逆転劇『エリックを探して』 [第97回]平凡な高校生デイヴは2度変身する!原点回帰のヒーロー『キック・アス』 [第96回]村上春樹の超絶ベストセラーの映画化『ノルウェイの森』はどこにある? [第95回]実在した"奇妙な高額バイト"の顛末 心理サスペンス『エクスペリメント』 [第94回]"アル中"カメラマンの泣き笑い人生『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』 [第93回]朝ドラと異なる映画『ゲゲゲの女房』ゴールなき"貧乏耐久"2人3脚走 [第92回]バラエティーでの実績は通用するか? テリー伊藤の初監督作『10億円稼ぐ』 [第91回] 不謹慎なる社会派エンタテイメント『裁判長!ここは懲役4年でどうすか』 [第90回]"世界のナベアツ"大阪府知事に就任! 政治コメディ『さらば愛しの大統領』 [第89回]自分の恋愛もプロデュースする女優、ドリュー・バリモア主演『遠距離恋愛』 [第88回]スタローンが立ち上げた"筋肉共和国"男たちの祭典『エクスペンダブルズ』 [第87回]元"おはガール"安藤聖の再起動ドラマ 就職氷河期を生きる『バカがウラヤマシイ』 [第86回]マイノリティーは"理想郷"を目指す。筒井文学の金字塔『七瀬ふたたび』 [第85回]清純派・佐藤寛子が美しく"変態"! 官能サスペンス『ヌードの夜──』 [第84回]死を意識して、ギラギラ輝く男たち! 三池節、大バクハツ『十三人の刺客』 [第83回] 女を食い物にする男どもは全員処刑! モダン社会の闇を暴く『ミレニアム』 [第82回] "企画AV女優"たちの青春残酷物語 性なる鎮魂劇『名前のない女たち』 [第81回]猫を見れば、人間社会が見えてくる! 世界の人気猫大集合『ネコを探して』 [第80回]原恵一監督の新作は辛口ファンタジー 退屈な"日常生活"を彩る『カラフル』 [第79回]米軍に実在した"超能力部隊"の真実!? ムー民、必見『ヤギと男と男と壁と』 [第78回]戦場から帰還した夫は"芋虫男"だった! ヤクザ監督の反戦映画『キャタピラー』 [第77回] 白ユリの花開くガールズの妖しい世界 H系ホラー『ジェニファーズ・ボディ』 [第76回] 爽やか系青春ゾンビ映画にホロリ......夏休みは『ゾンビランド』に集結せよ [第75回] "生きる"とは"見苦しい"ということ 藤沢周平の時代活劇『必死剣 鳥刺し』 [第74回]初恋の美少女は200歳の吸血鬼だった! 北欧産のホラー映画『ぼくのエリ』 [第73回] "三億円事件"の真相を解き明かす! 桜タブーに挑んだ『ロストクライム』 [第72回/特別編] 上映反対で揺れる問題作『ザ・コーヴ』"渦中の人"リック・オバリー氏の主張 [第71回] 女子にモテモテになる方法、教えます。軟派少年の実話物語『ソフトボーイ』 [第70回] 下町育ちの"北野少年"が見た現代社会 人間同士の食物連鎖『アウトレイジ』 [第69回] "リアルと虚構の狭間"を生きる男、アントニオ猪木初主演作『アカシア』 [第68回] ヒーローも神もいない現代社会の惨劇 井筒監督の問題作『ヒーローショー』 [第67回] アイドルが地獄で微笑む『戦闘少女』ギャグ×血しぶき×殺陣の特盛り丼! [第66回]アナーキーな"社歌"で生産性アップ! 満島ひかり大進撃『川の底からこんにちは』 [第65回]超ヘビー級なシリアス劇『プレシャス』"家族"という名の地獄から脱出せよ [第64回]乱れ咲く"悪の華"ゼブラクイーン! 仲里依紗が過激変身『ゼブラーマン2』 [第63回] オタク王が見出した"夢と現実"の接点 ティム・バートン監督作『アリス──』 [第62回] バッドテイストな感動作『第9地区』 アナタはエビ人間とお友達になれるか? [第61回]スコセッシ監督の犯罪アトラクション『シャッターアイランド』へようこそ! [第60回]宮崎あおいの"映画代表作"が誕生! 毒を呑んでも生き続けよ『ソラニン』 [第59回]"おっぱいアート"は世界を救えるか? 母乳戦士の記録『桃色のジャンヌ・ダルク』 [第58回]現代に甦った"梶原一騎ワールド"韓流ステゴロ映画『息もできない』 [第57回]命知らずの変態レポーター、中東へ! 史上最大のどっきり?『ブルーノ』 [第56回]仲里依紗がアニメから実写へと跳躍! 母娘2代の時空旅行『時をかける少女』 [第55回]ビグロー監督はキャメロンより硬派! 人間爆弾の恐怖『ハート・ロッカー』 [第54回] "空気を読む"若者の悲劇『パレード』楽しいルームシェア生活の行き先は? [第53回]社会の"生け贄"に選ばれた男の逃亡劇 堺雅人主演『ゴールデンスランバー』 [第52回]『男はつらいよ』の別エンディング? "寅さん"の最期を描く『おとうと』 [第51回]ひとり相撲なら無敵のチャンピオン! 童貞暴走劇『ボーイズ・オン・ザ・ラン』 [第50回]ヒース・レジャーが最後に見た夢の世界 理想と欲望が渦巻く『Dr.パルナサスの鏡』 [第49回]トニー・ジャーは本気なんジャー! CGなしの狂乱劇再び『マッハ!弐』 [第48回]全米"オシャレ番長"ズーイー、見参! 草食系に捧ぐ『(500日)のサマー』 [第47回]市川崑監督&水谷豊"幻の名作"『幸福』28年の歳月を経て、初のパッケージ化 [第46回]押井守監督、大いなる方向転換か? 黒木メイサ主演『アサルトガールズ』 [第45回]ドラッグ漬けの芸能関係者必見!"神の子"の復活を追う『マラドーナ』 [第44回] 暴走する"システム"が止まらない! マイケル・ムーア監督『キャピタリズム』 [第43回]"人は二度死ぬ"という独自の死生観『ガマの油』役所広司の監督ぶりは? [第42回]誰もが共感、あるあるコメディー! 2ちゃんねる発『ブラック会社』 [第41回]タラとブラピが組むと、こーなった!! 戦争奇談『イングロリアス・バスターズ』 [第40回]"涅槃の境地"のラストシーンに唖然! 引退を賭けた角川春樹監督『笑う警官』 [第39回]伝説の男・松田優作は今も生きている 20回忌ドキュメント『SOUL RED』 [第38回]海より深い"ドメスティック・ラブ"ポン・ジュノ監督『母なる証明』 [第37回]チャン・ツィイーが放つフェロモン爆撃 悪女注意報発令せり!『ホースメン』 [第36回]『ソウ』の監督が放つ激痛バイオレンス やりすぎベーコン!『狼の死刑宣告』 [第35回]"負け組人生"から抜け出したい!! 藤原竜也主演『カイジ 人生逆転ゲーム』 [第34回]2兆円ペット産業の"開かずの間"に迫る ドキュメンタリー『犬と猫と人間と』 [第33回]"女神降臨"ペ・ドゥナの裸体が神々しい 空っぽな心に響く都市の寓話『空気人形』 [第32回]電気仕掛けのパンティをはくヒロイン R15コメディ『男と女の不都合な真実』 [第31回]萩原健一、松方弘樹の助演陣が過剰すぎ! 小栗旬主演の時代活劇『TAJOMARU』 [第30回]松本人志監督・主演第2作『しんぼる』 閉塞状況の中で踊り続ける男の悲喜劇 [第29回]シビアな現実を商品化してしまう才女、西原理恵子の自叙伝『女の子ものがたり』 [第28回]"おねマス"のマッコイ斉藤プレゼンツ 不謹慎さが爆笑を呼ぶ『上島ジェーン』 [第27回]究極料理を超えた"極地料理"に舌鼓! 納涼&グルメ映画『南極料理人』 [第26回]ハチは"失われた少年時代"のアイコン  ハリウッド版『HACHI』に涙腺崩壊! [第25回]白熱! 女同士のゴツゴツエゴバトル 金子修介監督の歌曲劇『プライド』 [第24回]悪意と善意が反転する"仮想空間"細田守監督『サマーウォーズ』 [第23回]沖縄に"精霊が暮らす楽園"があった! 中江裕司監督『真夏の夜の夢』 [第22回]"最強のライブバンド"の底力発揮! ストーンズ『シャイン・ア・ライト』 [第21回]身長15mの"巨大娘"に抱かれたい! 3Dアニメ『モンスターvsエイリアン』 [第20回]ウディ・アレンのヨハンソンいじりが冴え渡る!『それでも恋するバルセロナ』 [第19回]ケイト姐さんが"DTハンター"に! オスカー受賞の官能作『愛を読むひと』 [第18回]1万枚の段ボールで建てた"夢の砦"男のロマンここにあり『築城せよ!』 [第17回]地獄から甦った男のセミドキュメント ミッキー・ローク『レスラー』 [第16回]人生がちょっぴり楽しくなる特効薬 三木聡"脱力"劇場『インスタント沼』 [第15回]"裁判員制度"が始まる今こそ注目 死刑執行を克明に再現した『休暇』 [第14回]生傷美少女の危険な足技に痺れたい! タイ発『チョコレート・ファイター』 [第13回]風俗嬢を狙う快楽殺人鬼の恐怖! 極限の韓流映画『チェイサー』 [第12回]お姫様のハートを盗んだ男の悲哀 紀里谷監督の歴史奇談『GOEMON』 [第11回]美人女優は"下ネタ"でこそ輝く! ファレリー兄弟『ライラにお手あげ』 [第10回]ジャッキー・チェンの"暗黒面"? 中国で上映禁止『新宿インシデント』 [第9回]胸の谷間に"桃源郷"を見た! 綾瀬はるか『おっぱいバレー』 [第8回]"都市伝説"は映画と結びつく 白石晃士監督『オカルト』『テケテケ』 [第7回]少女たちの壮絶サバイバル!楳図かずおワールド『赤んぼ少女』 [第6回]派遣の"叫び"がこだまする現代版蟹工船『遭難フリーター』 [第5回]三池崇史監督『ヤッターマン』で深田恭子が"倒錯美"の世界へ [第4回]フランス、中国、日本......世界各国のタブーを暴いた劇映画続々 [第3回]水野晴郎の遺作『ギララの逆襲』岡山弁で語った最後の台詞は...... [第2回]『チェンジリング』そしてイーストウッドは"映画の神様"となった [第1回]堤幸彦版『20世紀少年』に漂うフェイクならではの哀愁と美学

お菓子なの? パスタなの? ペペロンムーチョとカールボナーラ

IMGP3294.jpg
料理の数だけダジャレがある――。ダジャレをこよなく愛する男が考案する、笑えるおいしいレシピ。  「今日のランチは、軽くペペロンチーノにしようか」  「いいわよ。あなたの作るパスタ、おいしいものね」  「まずはフライパンに多めのオリーブオイルを注ぎ、荒くみじん切りにしたニンニクを弱火で揚げるようにして、香りを移すのがコツなんだ」  「いい匂い!」 IMGP3279.jpg  「一緒に唐辛子を入れて、辛さをプラスしてと。……あ、しまった。唐辛子がないぞ」  「えー、それじゃペペロンチーノにならないじゃない。困ったわね」  「何か変りはないかな。辛いもの、辛いもの……。あ、これでどうだろう」 IMGP3262.jpg  「カラムーチョ? まあ、確かに辛そうだけど」  「茹であがったパスタを入れたら、砕いたカラムーチョを入れてみるか」 IMGP3286.jpg  「塩、こしょう、しょうゆで味を調えたら、さらに仕上げにもカラムーチョを振りかけて完成!」  「やっていることはめちゃくちゃだけど、見た目は意外とまともね!」  「だろう。カラムーチョのペペロンチーノだから……」 IMGP3297.jpg 男&女 「ペペロンムーチョ!」  「カラムーチョがサクサクして、ほどよい刺激でとってもおいしい! でも、なんだかまだ食べ足りないわ」  「じゃあレトルトだけど、カルボナーラでも食べようか」  「わーい!」 IMGP3271.jpg  「おっと、今度はパスタがもうないや。でも大丈夫だ。そんなときは、カールのチーズ味にこれをかければ……」 IMGP3315.jpg 男&女 「カールボナーラ!」 ■材料  ・パスタ ・ニンニク ・オリーブオイル ・カラムーチョ ・調味料(塩、こしょう、しょうゆなど) ■作り方 1、塩を入れたたっぷりのお湯で、パスタを茹でる。 2、フライパンにオリーブオイルを多めに入れ、荒くみじん切りにしたニンニクを揚げるように炒める。 3、フライパンにパスタと茹で汁少々を加えて絡め、砕いたカラムーチョを加える。 4、お好みで塩、こしょう、しょうゆなどで味を調整する。 5、仕上げにさらにカラムーチョを振りかける。 ■玉置メモ ・今回は唐辛子の替わりにカラムーチョを使いましたが、唐辛子とカラムーチョの両方を使ってもいいですね。たぶん、それが正解です。 ・おまけに作ったカールボナーラですが、実はこれが絶品。カールがサクサクのうちに食べても良し、フニャっとしてから食べても良し。よく冷やした白ワインのツマミに合うのです。 (文=玉置豊) ■男のダジャレレシピ・バックナンバー 【第30回】長いゴボウのキューピーハニー(永井豪のキューティーハニー)! 【第29回】ガリガリ君でスタミナアップ!?「ガ~リガ~リック♪」(しょうがとニンニクのチャーハン)  【第28回】生レバー難民必見! 食感と滑らかさの絶妙ハーモニー「生レバー丼」 【第27回】新感覚スウィーツ!?  夏はICECREAMで「アイススーパーカップヌードル」 【第26回】初夏の新定番! スパルタンな「カツオの100タタキ」 【第25回】勝手にコラボ! ケンタッキーフライドチキンラーメン 【第24回】炊飯器で作る簡単ピラフ!「SPAM × SPAM」(SMAP×SMAP) 【第23回】北北西を向いてガブリ!「......え、フォー巻き!」 (恵方巻き) 【第22回】アラフォーはちょっとツラい!? 「とってもジューシー(牛脂)な格安すき焼き 」 【第21回】悪い酔いスウィーツで年忘れ!「レディーボーデン会 」(女子の忘年会) 【第20回】万能味噌を使った魔法の料理「西京の相性は黄身」(最強の相性はキミ) 【第19回】旬のサンマをギニア風に「イイコブ、ニコム、サンコン!」(イッコン、ニコン、サンコン) 【第18回】永谷園で作る秋の味覚「松タケご飯 」(まつたけご飯) 【第17回】アジ釣りで大漁! 「アジしめちゃいました」(味占めちゃいました) 【第16回】うなぎと乗り切れ! "ダシ"が違う夏のひつまぶし 【第15回】夏にピッタリ! 旬の魚で手軽にできちゃう「狂う水」(クールビス) 【第14回】蒸し暑い時期にピッタリ! 梅干しの酸味が効いた「上を向いて歩こう」(梅と麦とアルコール) 【第13回】レストランにも行きたくない出無精なあなたに「大型連休ギュウギュウ詰め」(O型レンコン牛牛詰め) 【第12回】旬の素材が盛りだくさん「ネギに大葉 ヤマウド・ノビル 初鰹」(目には青葉 山ほととぎす 初鰹) 【第11回】スタミナ満点! よくばりどんぶり「ごはんと胃・レバー・牛たくさん」(ゴホンと言えば、龍角散) 【第10回】甘党にはたまらん!  「オリゴ糖、黄身と和えて、ようかん食った」(ありがとう、君と逢えて、よかった) 【第9回】捌けなくても大丈夫! 包丁要らずのカンタン鍋「捌き無知鍋」(サバキムチ鍋) 【第8回】惚れてしまいそうな大人の味「バーレーン・タイ キッシュ」(バレンタイン・キッス) 【第7回】3分で出来るお祝い料理「脂肪コーン、5を書く!」(志望校合格) 【第6回】正月ボケに効果てきめん「意外! タイなら七臭粥」(胃が痛いなら七草粥) 【第5回】気分次第でアレンジ可能「麻婆茄子! 干し芋乗っかっちゃう!」(まーボーナス! 欲しいもの買っちゃう) 【第4回】三つの味が楽しめる豪華ディナー「三択ロース」(サンタクロース) 【第3回】ぜいたくの極み! 「いい肝のカワハギのいい肝ばかり」(『いきものがかり』のいきものばかり) 【第2回】ひと手間かければ豪華な一皿! 「タンカレー ナンバナナ天」(タンカレー No.10) 【第1回】甘くて辛い 大人のおつまみ「マスタードナッツ」(ミスタードーナツ)

『笑っていいとも!』『オールスター感謝祭』……老舗バラエティが迷走中(10月上旬の人気記事)

ranking1016jpg.jpg
 10月上旬の人気記事を紹介する、日刊サイゾー人気記事ランキング。今クールは、フジテレビ『笑っていいとも!』やTBS『オールスター感謝祭』など、老舗バラエティ番組の低迷っぷりを訴えた記事が人気を集めました。とくに、『いいとも!』の迷走っぷりは本当にすごい! それでは、早速ランキングをチェックしていきましょう。 第1位 「知らない人が写っている!?」AKB48大島優子の2013年カレンダーが別人すぎると話題 あっちゃんの修整よりはマシ? 第2位 このまま終わってしまうのか? ‟崖っぷち”『笑っていいとも!』の挑戦 どうせダメなら、このまま突っ走れ!? 第3位 「芸能人大量投入の番宣番組が素人に負けた」『感謝祭』惨敗のTBS 秋の新番組も全滅の危機に!? 紳助兄ヤンがいないから? 第4位 選手名鑑を指さして「これもブス、あれもブス……」元なでしこ・大竹七未の意外な素顔 川澄ちゃんのがかわいいよ。 第5位 「芸能界のドンもつらいよ!?」酒井法子の復帰騒動で、バーニング周防社長がご立腹! なんでもかんでもドンのせいにしないで~! 次点 1枚3万円でも高すぎる! ソーシャルゲームイラストの適正料金はおいくら? 足元見られたら負けだよ。 次々点 セックス教団の合宿に潜入!?『「カルト宗教」取材したらこうだった』 覗いてみたい気はする。