重厚な鎧に身を包んだ美少女騎士たちの青春ドラマが熱い! 秋クールアニメのダークホース『ワルキューレロマンツェ』

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テレビアニメ『ワルキューレロマンツェ』公式サイトより
 『弱虫ペダル』に『黒子のバスケ』と、イケメン男子たちによる熱い青春部活ものアニメが話題を集める2013年秋クールアニメですが、女子も負けじとセクシーな青春模様を描く作品が存在しています。それが『ワルキューレロマンツェ』です。  本作は馬に乗った騎士同士が、すれ違いざまに槍などの武器で相手を倒すという、実在の競技「ジョスト」を題材にした作品で、『ワルキューレロマンツェ 少女騎士物語』というパソコン用アダルトゲームを原作に持つ、いわゆる美少女アニメの一種です。  ヨーロッパに存在するという架空のジョスト名門校・ウィンフォード学園を舞台に、ジョストの騎士を目指す美少女たちと、騎士を補佐するセコンド的ポジション・ベグライターとして生きることを決意した元騎士・水野貴弘による学園生活を描く、というあらすじの本作。もちろん主人公である貴弘と美少女たちによるハーレムライフが物語の主軸となるわけですが、今回のテレビアニメ化に際し、ジョストについて非常に丁寧な解説が盛り込まれたり、競技シーンをじっくりと描きつつ、彼女たちをベグライターとしてフォローする貴弘のキャラも丁寧に描写することで、一種の青春群像劇として非常に見応えのある作品に仕上がっています。  特に、もともと普通科の生徒であったメインヒロイン・希咲美桜が、優れた動体視力と貴弘の優れたハンドリングを武器に騎士としての才能を開花させていくという序盤の展開は、部活もの、バディものとしては王道でありつつ、やはり痛快。  彼女は初試合の後、ジョストの魅力に目覚めて大会出場を目指すようになると同時に、貴弘を異性として意識するようになっていきます(この辺、ちょびっと『エースをねらえ!』と『あしたのジョー』を足して2で割った的なにおいを感じますね)。美少女ゲーム原作アニメだけあっkて、貴弘のことが気になる女子は美桜だけではありません。物語が展開するにつれ、言わば「ハーレムもの」的な様相を呈してくることはこの手の作品としては必然なのですが、なんといっても貴弘は「デキる男」です。毎回、嫌味なく的確なアドバイスとサポートで女子の悩みを解決すると同時に、美少女騎士たちのハートをゲットしていきます。「気が付くとなぜかモテモテ」という不自然な展開が多めなこの手の作品にしては珍しく、そのモテっぷりに納得できる稀有なキャラクターとなっています。  時折、過剰なセクシー描写も飛び出してくるので、さすがに小さなお友達に見せることはためらわれますが(ヒロインたちが全裸で「しゃせい」をやたらと連呼する第7話は爆笑モノでした)、どちらかというとコメディ要素として扱われているので、そこまでいやらしく感じられない点も、スタッフの絶妙なバランス感覚がうかがえて好印象です。ノリは80年代の「月刊少年ジャンプ」(集英社)に載ってたような、お色気成分強めのスポ根漫画的な感じでしょうか。  現在、物語はジョスト大会に突入。騎士の頂点を目指して、美少女騎士たちの熱い一騎討ちが描かれています。これから物語はクライマックスに向けて、ますます熱を帯びていくこと必至です。  CGとセルを組み合わせた迫力のジョストシーンに熱くなるも良し。重厚な鎧の隙間から見え隠れする女子の柔肌にハァハァするも良し。清水愛、田口宏子、中村檜里子、今井麻美、生天目仁美、水橋かおりなど、原作ゲーム出演者とそっくりな声を持つ豪華な女性声優陣の競演に萌えるも良しな本作は、まさしく今クールアニメのダークホース! ぜひともスピンアウト作『More&More』のエピソードを補完する続編も期待したいところです! (文=龍崎珠樹)

稀代のイジられキャラ・狩野英孝を“泳がせる”壮大な長尺コント『バカリズムのオールナイトニッポンGOLD』

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『バカリズムのオールナイトニッポンGOLD』
 当代随一の“イジられキャラ”狩野英孝の取扱説明書が更新された。しかし、書き換えた主は意外にも、縦横無尽にツッコむ剛腕司会者ではない。むしろその対極に位置する、ボケの世界の住人・バカリズムこと升野英知である。つまりそこにあるのは、「ツッコミ対ボケ」という、笑いの典型的な構図ではない。12月9日、『バカリズムのオールナイトニッポンGOLD』(ニッポン放送 毎週月曜22:00~24:00)にゲスト出演した狩野は、升野の繰り出す質問によって巧みに「泳がされる」ことで、秀逸な迷言・妄言を連発することに成功した。  この日の放送はスペシャルウィークにつき、特別編成の3時間スペシャル。その中の1時間を、番組は狩野に費やした。「費やした」という言葉が、これほど相応しいケースも珍しい。何しろそこには、中身などひとつもなかったのだから。  番組中盤、ゲストとして呼び込まれた狩野はまず、「テレビでは話さない、狩野さんの素顔に迫りたい」と、升野からその主旨を告げられる。この時点で、これ以降の会話が芸人同士の馴れ合いではなく、一定の距離を保ったインタビュー形式であり、ドキュメンタリーであることが決定される。なんの前触れもなくバカリズムワールドが立ち上がり、狩野ワールドを完全に飲み込んだ瞬間である。  だが次の瞬間、いきなりそのバカリズムワールド崩壊の危機が訪れる。「僕はそういう風には思ってないですけど、テレビだと割と飛び道具的な部分もあるじゃないですか?」という升野の質問に対し、狩野が「パーティーグッズ扱いね」と、思わぬ自覚を明かしたのである。まさかの展開である。自分自身を客観的に把握されてしまうと、このコントは終わってしまう。  状況を立て直すため、升野は「今おいくつなんですか?」という、恐ろしくどうでもいい質問を放つ。だが、そのどうでもいい流れが功を奏し、続けて放った「ひとりっ子なんですか?」という問いに、「ふたりっ子です!」と即答する狩野。いよいよエンジンが掛かってきた。手応えを得た升野が一歩踏み込んで、「イジられるという部分はあったんですか?」と訊くと、「いやいやいやいや、そんなの一切ないですよ!」と断言し、「クラスでのパーティーグッズ的なポジションではなかったんですか?」という質問には、「ないないないないないない」と食い気味に6回否定する狩野。冒頭の「パーティーグッズ扱い」に対する自覚症状はなんだったのかという、摩訶不思議な立ち直りっぷりである。そして、いよいよ狩野らしい自己肯定感の強いフレーズが、期待以上の極小スケールで放たれる。 「学級会でも、相当回してましたからね、僕」  学級会をまるで『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)のように語る、この「針小棒大」感こそが狩野の真骨頂である。映画学校時代には、「レボリューション」というあだ名で呼ばれていたらしい。  さらに、これまた誰も興味のない狩野の恋愛話の流れから、「バレンタインのチョコを最高何個もらったことがあるか?」という升野の問いに対し、「それ、お母さんも入れていいんすか?」「入れてよかったら、3かな」と、自慢気に答える狩野。返す刀で升野は「じゃあ、2もらったってことですね」と、無駄に膨らんだ内容をきっちり整理する。“わざわざ足したものを引く”という、完全に不毛なプロセスが生む、この絶妙な不条理感。これぞ、天然キャラのポテンシャルを巧みに引き出す、升野流「泳がせ術」の真髄である。  それにしてもこの、「お母さんも入れていいんすか?」という狩野の提案は、やはり天才的だ。とにかく数を増やすことでスケール感を出したいのだろうが、「この分だけ増やしますよ」と自ら宣言してから増やした分は、カウントされないに決まってる。思考回路のスタート地点とゴールがまったくつながっていないというのは、やはり一種の才能だと思う。幼稚なだけかもしれないが。  その後も狩野の武勇伝は尽きることなく引き出され、「高2のとき、病院の屋上で先輩にボコられた(理由は『弁当屋の前を女と歩いていたから』)」「新百合ヶ丘の駅前でやったストリートライブで100人以上集め、それが『新百合の幻の伝説』と呼ばれている」「マセキのライブで何カ月もスベり続け、スベりストレスで血尿が止まらなくなった」等、気がついてみれば、どこまでが本当でどこからがウソだかさっぱりわからない「ファンタジックなドキュメンタリー」という、新ジャンルを開拓。狩野の去り際になってようやく、このインタビューのテーマが「『ラーメン、つけ麺、僕イケメン』が生まれるまで」という、壮大なんだか小さいんだかわからないものであったことが明かされ、腑に落ちない狩野を尻目に、1時間にわたるインタビュー形式の長尺コントが完成する。  狩野が去った後、番組のラストで升野は、「新しい絡み方を聴いてしまったから、ちょっと聴いてる人たちの脳が疲れたかな」と語っていたが、まさにそんな斬新な角度がスリルを生むような、これはちょっと革新的な放送だった。リスナーとパーソナリティーが共犯関係にあってゲストを陥れているという感覚は、紛れもなくドッキリの構図ではあるが、ゲスト本人はただ自分にとっての事実(それが「真実」であるかどうかは別にして)を話し、騙されたという自覚もなく帰ってゆく。そういう意味でこれは、ドッキリでもドキュメンタリーでもコントでもない。あるいは、それらすべてなのかもしれない。 (文=井上智公<http://arsenal4.blog65.fc2.com/>) 「逆にラジオ」過去記事はこちらから

マスクマンに会いに一人でメキシコへ! プロレスが好きすぎる気象予報士

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プロレスが好きすぎる気象予報士、元井美貴さん。元井さん所蔵のプロレスグッズがズラリと!
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青山学院大学卒業。ももクロファン(モノノフ)でもある。
(撮影=今井健太)
「超」がつくほどのプロレス好きで、プロレスファンの間で人気の気象予報士、元井美貴さん。合格率5%という難関の気象予報士の資格を20歳の時に取得。お正月休みでも後楽園ホールに観戦に行くという彼女に、お話を伺った。 ――早速ですが、元井さんが注目している選手を教えてください。 「初めて台風選手(編註:九州プロレスで活躍するご当地レスラー)の存在を知った時から、これは気象予報士としても、ぜひとも“観測”に行かねばなるまいと思っていました」 台風選手のことがずっと気になっていたという元井さん。2013年の初夏、ついに元井さんは、九州プロレスの本拠地である福岡へと上陸したのである。
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――台風選手の試合は、いかがでした? 「もう興奮しましたよ~~。しかもこの日は、台風選手 VS タイフーUSA選手 VS 台風“5号”選手と、3WAYで台風選手が次々とリングに上陸したんです!」  台風選手たちは、のっけから奇声を上げて傘をぶっ壊すという暴れっぷり! 通常なら「身長」「体重」がコールされる場面では、「中心気圧」と「最大瞬間風速」がコールされたそうで……。 ★中心気圧960hPa! 最大瞬間風速40m/s! 台風!! ★中心気圧970hPa! 最大瞬間風速50m/s! タイフーUSA!! ★中心気圧980hPa! 最大瞬間風速60m/s! 台風5号!! 「試合では3人が入り乱れてて、誰が誰だか分からなくなってましたけど、本当に素敵でした。ちなみに、タイフーUSA選手は乱暴な感じで英語をしゃべってました(笑)」
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台風選手と2ショット。見よ、元井さんのうれしそうな顔を!
――ご当地プロレスで、おすすめの選手は? 「たくさんいらっしゃいますけど、『北都プロレス』(札幌市)のルー・ルルル選手とか……」 ――マスクに「狐」って書いてありますね! 「キタキツネのマスクマンです。あと、『新潟プロレス』のコシ☆ヒカ~ル選手にコシ☆ヒカ~ルゾフィー選手、スーパーササダンゴ・マシン選手も……」 ――元井さんは、プロレスの選手の中でも、とりわけマスクマンがお好きのようですが、マスクマンの魅力はなんですか? 「マスクに生きざまが表れているところです! しかもマスクって、視界が狭くなるし蒸れるから、本来はかぶらなくてもいいのに、好きでかぶってらっしゃるところが素敵だな~って思います」 ――ご当地プロレスの選手以外で、好きなマスクマンは? 「全日本プロレスのSUSHI選手です! 普段は寿司のネタが乗っているのに、プライベートでは“あがり”でお茶が乗ってるんです。だから、一目で『今はお休み中なんだな~』って分かります」  試合中とプライベートとではマスクを変えている選手も多いそうで、元井さんはプライベート用のマスクにも注目している。 ■マスクマンが好きすぎて、一人でメキシコへ! ――マスクマンの本場(?)、メキシコに一人で観戦に行ったこともあるそうですね。 「ツアーで行けば大丈夫だろうと思って申し込んだら、『現地集合』って書いてあって(笑)。ドキドキしながらメキシコシティの空港に着いたら、参加者は私一人でした」 ――一人!(笑) メキシコのプロレスの試合会場は、どんな雰囲気ですか? 「迫力がすごいです。日本のプロレスは、リングサイドに柵がありますが、それがないんです。だから、選手がどんどん客席に突っ込んでいて、一体感が素晴らしかったです! お客さんは、マスクをかぶって応援している人も多く、女性もお子さんもいましたが、日本人は私だけだったと思います(笑)」 ■世にも珍しい「プロレス天気予報」  ところで、元井さんは、サムライTV『速報!バトル☆メン』(22:00~23:00)で金曜日のキャスターを務めている。番組内では、翌日に行われる各試合会場の天気を予報する「闘う天気予報」も人気だ。 「今週の天気を覆面に例えると……カレーマン選手! 日本列島はホットでスパイシーな空気に包まれてインド並みの暑さ! プロレスTシャツ日和になりそう! カレーダンスで大気の状態が不安定! 雨雲のスパイシードロップに気を付けティコ!!」 ――面白いですね!! 「あ、いや、正式にいうと、『闘う天気予報』は私ではなく、別人の『ミキティコ』が担当してるんです」
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元井さんとは別人のミキティコ。
「あ、ミキティコから伝言を預かってまして……。『私のTシャツが発売されましたので、よろしくお願いしまティコ。売り上げがよかったら、ミキティコのマスクが新調できるかもしれないんでティコ。もう3年も使ってるんで、かなりくたびれてきてるんだティコ(涙)」 あれ? 気のせいか、隙を突いて宣伝されたような気がするが、ミキティコTシャツは通販「武藤ベアー 公式オンラインショップ プロレスLOVE」でも買えるそうなので、ぜひチェックしてみてほしい。
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発売されたばかりの「ミキティコTシャツ」(撮影:今井健太)
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ミキティコは、メキシコのプロレス雜誌の表紙に載ったことも。(サムライTV『速報!バトル☆メン』の模様)
■ももクロとプロレスの共通点  元井さんの話題は、これだけではない。「ももいろクローバーZ」の大ファンでもある。 ――プロレスファンと、ももクロファンは、シンクロするところがありますもんね。ちなみに、どのメンバーのファンですか? 「小さな巨人、ももかです」 ――いいですね! 私も、ももかファンです。 「何事にも全力でぶつかるところがすっごくかわいくて、大好きです! ももクロは、プロレスファンにとって、ものすごく心をくすぐられる要素が多いんです。『Chai Maxx』の振り付けで武藤さんのポーズが入ってたりしますし。私、完コピしようと思って、8割方は覚えました!!」  結局、元井さんのプロレストークは2時間にわたって続いた。いつかこの思いが届きますように。
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マスクを片手に、プロレス愛と、ももクロ愛をひたすら語る元井さん。
(撮影=今井健太)
●元井美貴さんのブログ「観天モッキー」 <http://ameblo.jp/motoimiki/> ※TBS系列の『JNNニュース』の天気予報や、TBS『ウィークエンドウェザー』『ニュースバード』等に出演中。 ●ミキティコTシャツの詳細はこちらへ 「武藤ベアー 公式オンラインショップ プロレスLOVE」 <http://store.shopping.yahoo.co.jp/alljapan/830t.html> ●天気予報(プロレス会場やライブ会場など、元井さんのピンポイント予報)のリクエストはこちらへ 「ウェザーマップ お天気相談」 <http://www.weathermap.co.jp/> niyaniyasss.jpg ●やきそば・かおる 山口県出身、東京都在住。ライター、構成作家、写真家。趣味は、変わった人に会って、変わった話を聞くこと。「相づちだけはうまいと言われます」(本人談) Twitter@yakisoba_kaoru 「土下座してでも会いたい!」過去記事はこちらから

ティーンエイジ窃盗団のいつかキラキラする日!? ソフィア・コッポラ監督作『ブリングリング』

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2008年から09年にかけてハリウッドセレブ宅を荒し回った5人の少年少女たち。マスコミは彼らのことをブリングリング(キラキラしたやつら)と呼んだ。
 芸能人みたいに自分もキラキラと輝きたい、学校で舐めた態度をとったヤツらを見返してやりたい、マスコミに取り上げられてみんなから憧れられたい。10代の頃、誰しも少なからずそんなことを思い描いただろう。『ブリングリング』の主人公たちは自分らの抱く欲望を深く考えることもなく、そのまま速攻で行動に移す。しかも、なるべく手軽に、汗を流さず、サクッと叶えようとする。ハリウッドセレブの豪邸に次々と侵入し、ブランド品やジュエリーなどの戦利品(盗品)をFacebook上で自慢げにアップした“キラキラ窃盗団”のあまりに大胆かつおバカすぎる罪状をソフィア・コッポラ監督は最新作『ブリングリング』の中で再現していく。  ヴァニティフェア誌に掲載されたルポルタージュ記事「容疑者たちはルブタンを履いていた」が原作となった本作。学校でハブられている少年少女たちがナイトクラブで知り合って結成された“キラキラ窃盗団”が本作の主人公だ。彼らが最初のターゲットにしたのは“おバカセレブ”として有名なパリス・ヒルトンの邸宅。パリス宅周辺を地図検索サービスで事前に調べ、ブログやツイッターでその日は留守かどうか確かめておく。ドアノブをこじ開ける必要はなかった。玄関マットの下に鍵が置いてあったから。いとも簡単に主人のいない豪邸は彼らを迎え入れてくれた。さすがおバカセレブとして人気を得ているだけのことはある。
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キラキラ窃盗団の中心メンバーを演じたのはエマ・ワトソン。『ウォールフラワー』のサブカル少女からビッチ女へと堕ちてしまった。
 豪邸内は高価なファッションブランドで埋め尽くされている。ルブタン、シャネル、ヴィトン……。ミニシャトーと呼ばれる犬小屋に、ポールダンスができちゃうミニクラブまである。広々としたクローゼットで着せ替えごっこをし、キャッキャッと記念写真を撮り合って喜ぶ少年少女たち。最初は留守宅に忍び込んで遊んでいるだけだったが、こんなにもブランド品が溢れているのなら、ちょっぴりお土産代わりに失敬しても気づかれないだろう。だって、持ち主はおバカセレブのパリス・ヒルトンなんだから。案の定、パリス・ヒルトンは自分の家から持ち出されたブランド品をまとった彼らにナイトクラブで遭遇したものの、まったく気がつかなかったそうだ。  調子に乗ったキラキラ窃盗団はパリス宅に何度もお邪魔しただけでなく、同じくLAの高級住宅地にあるミーガン・フォックス、オーランド・ブルーム、リンジー・ローハンらの留守宅への侵入&窃盗も繰り返すようになる。どう? 私たちキラキラ輝いているでしょう!? 盗んだブランド品やジュエリー類で着飾った彼らは防犯用カメラにその姿を残しただけでは飽き足らず、Facebookで「いいね!」欲しさに戦利品の画像を並べ、あっさりと警察にパクられることになる。裁判所送りとなり、さすがに自分たちのバカさ加減を猛省するかと思いきや、群がるカメラマンたちのフラッシュライトを浴びて、いっそうキラキラした笑顔を振りまく始末だ。中心メンバーのニッキー(エマ・ワトソン)は言う、「この国のリーダーになるのが将来の夢。今回の経験はそのためのいい学びの場になったわ!」。
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セレブ宅から盗み出したブランド品を白昼堂々と売り出す、怖いもの知らずのキラキラ窃盗団。被害総額は300万ドルにも及んだ。
 デビュー作『ヴァージン・スーサイズ』(99)から、東京を舞台にした『ロスト・イン・トランスレーション』(03)、ガーリーな視点で描いた歴史もの『マリー・アントワネット』(06)、自伝的要素の強い『SOMEWHERE』(10)と一貫して鳥籠の中でしか生きられないカナリアの憂いを描いてきたソフィア・コッポラ監督。父親であるフランシス・フォード・コッポラ監督は油絵でどっしりした人物描写する感があるが、セレブ育ちのソフィア・コッポラ監督はパステル画タッチの繊細な小品が得意。だが、ワイドショーを賑わした事件を題材にした今回はちょっと趣きが異なる。英国女優エマ・ワトソン以外は無名の若手俳優をキャスティングしている本作は、淡いパステル画というよりはガチャガチャしたグラフィックアートを思わせる。キラキラ窃盗団があまりにもペラペラすぎるからだろう。感情移入する余地がない。主人公のモデルとなった彼らが即物的なら、本作もまた非常に表層的で即物的な作品に仕上がっている。  本作には実録犯罪ドラマの必須要素である犯罪者のドロドロとした情念はどこにもなく、被害者側の肉体的および精神的な苦痛が描かれることもない。犯罪者に罪の意識はほとんどなく、また被害にあったパリス・ヒルトンに至っては犯行現場となった自宅をロケ場所として提供している。犯行に及んだ主人公たちが自分たちなりのケリをつけるカタルシスも本作には存在しない。この空虚さ、空っぽさ加減は一体なんだろうか? ソフィア・コッポラ監督が本作で描きたかったことは、多分この空っぽさそのものなんだろう。  キラキラと輝いて見えるけど、その中身はまるで空っぽ。それが『ブリングリング』で描かれる世界の正体だ。本作の公開をいちばん喜んでいるのは、キラキラ窃盗団のメンバーとパリス・ヒルトンら事件の当事者たちに違いない。 (文=長野辰次) blingring_04.jpg 『ブリングリング』 原作/ナンシー・ジョー・セールズ 脚本・監督/ソフィア・コッポラ 撮影/ハリス・サヴィデス、クリストファー・ブローヴェルト 出演/エマ・ワトソン、ケイティ・チャン、クレア・ジュリアン、イズラエル・ブルサール、タイッサ・ファーミガ、レスリー・マン 配給/アークエンタテインメント、東北新社 +R15 12月14日(土)より渋谷シネクイントほか全国順次ロードショー (c)2013 Somewhere Else, LLC. All Rights Reserved  <http://blingring.jp>

特定秘密保護法案に反対するほど逆効果 「アイツが反対しているから」賛成する流れが加速!

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 ここしばらく、特定秘密保護法案関連の話題で持ち切りになっている。6日に参議院本会議で可決され成立した後も、廃案を目指した運動が広がっている。この法案の是非についてはさておき、世論の形成について検証してみよう。  テレビや新聞などの大手マスコミの多くは、特定秘密保護法案に大反対。反対派の意見を連日報道していた。独自のアンケート結果なども紹介し、大多数の国民が反対していると伝えている。しかし、朝日新聞が特定秘密保護法案についてネットでアンケートを取ったところ、賛成派が圧倒的多数になった。これは珍しいことではない。  ニコニコ動画でも、11月28日に特定秘密保護法案に関するアンケート調査を行っている。結果は「成立させるべき」が「審議延長が必要」「廃案にすべき」を上回る36.6%でトップ。ほかのウェブ媒体でのアンケートでも、半数以上が賛成という結果が出ている。この温度差はなぜ生じるのだろうか?  11月22日に東国原英夫氏はTwitterで「朝日新聞の女性記者(知り合い)から連絡があり『特定秘密保護法案に明確に反対してくれれば記事にするので、取材をお願いしたい』と言われた。メディアというのは、大体こんなものである」と投稿している。反対なら記事にする、ということをしていれば反対派の意見ばかりがメディアに登場するのも当然だ。それなのに、なぜ反対派が主流にならないのか? それは、アピールの仕方が間違っているからだ。  特定秘密保護法案に反対するなら、論理的に反論すればいい。それなのに、針小棒大に騒ぎ立てたりヒステリックに反発するので、引いてしまう人が出るのだ。さらに、大マスコミや一部の著名人が大反対しているのもネック。もとより、そういった対象に対して不信感を持っている人は少なくなく、“いつもウソばかり垂れ流すマスコミが反対するなら、きっといい法律に違いない”というねじれた流れもできている。精神科医の香山リカ氏も「秘密保護法に反対してる人がみなキライだからきっと良い法律なんだろ、という意見をネットでよく見る。反対を語れば語るほど逆効果になるくらい嫌われてるちゅうことを、私を含めたいわゆるリベラル派は考えてみなきゃ。これじゃ反対会見開いてかえって法案成立に貢献しただけ、ってことになる」とツイートしているが、まさにその通りだ。  嫌いな人が意見を述べているから、という理由だけで、自分はその反対に手を挙げるとは情弱といえるが、そういった人たちは少なくない。ネットで意見を発している人を「ネトウヨ」と十把一絡げにして軽視するのは間違いだ。ネトウヨなんて存在しない。ネットユーザーもリアルと同様、ありとあらゆる人がいる。変人もいるが、大多数は普通の人たちだ。この状態が続けば、マスコミがゴリ押しするほど、逆の流れができるようになる。  もし、筆者が反対派のブレーンであるなら、賛成派の意見も同じ比重で報道し、ユーザーに判断させることを選ぶ。デメリットもメリットも同じように紹介する。そうすれば、少なくとも「急いで決める必要はないんじゃない?」という流れになったはず。ネットで多数の人に敵視されている、という人なら、見当違いの論理で賛成すればいい。一挙に大多数の人が反対派に回るはずだ。  今回も想像通りの流れに乗ってしまった。ネットのムーブメントを特定秘密保護法案に反対する流れに乗せれば、廃案まで可能だろうに、このままでは賛同派が増えるばかり。しかし、反対派のほとんどはそのことに気がついておらず、ヒステリックになって賛成派を情弱呼ばわり。流れに棹さしているだけだ。世論を作り出したいなら、それなりの手法をとればいいのに、と思う。  とはいえ、そのうち逆張りの世論誘導術が行われるかもしれない。日刊サイゾーのユーザーには、上記の人たちのように感情で動かず、自分で情報のソースを当たり、自分の考えで判断を下してほしい。 (文=柳谷智宣)

「2年で30万円が2000万円に増えた」為末大は“インチキ投資ファンド”の広告塔だった?

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「週刊現代」12月21日号
今週の注目記事 第1位「安倍総理夫人が夫への『違和感』を告白」 (「週刊現代」12月21日号) 第2位「金正恩は朝鮮人民軍に暗殺される」 (「週刊現代」12月21日号) 第3位「中田英寿が3億円ブチ込んだ“インチキ投資ファンド”」 (「週刊文春」12月12日号) 第4位「中国『防空識別圏』を飛ぶJAL&ANA国際線全便リスト」 (「週刊ポスト」12月20・27日号) 番外1「2013ミステリーベスト10」 (「週刊文春」12月12日号) 番外2「小学校の音楽の先生が出ていた『無修正AV』ちょっと凄いぞ」 (「週刊現代」12月21日号)  今週の週刊新潮は、ちと期待外れ。週刊現代が編集長交代(藤田康雄編集長から鈴木崇之編集長)の御祝儀もあったのか(もっとも今号は前編集長からの引き継ぎ企画だが)、読み応えのある記事が多かった。  まずは、その現代の記事。わいせつ電磁的記録・記録媒体頒布ほう助の疑いで11月30日に逮捕されたA子(27歳)だが、現代によれば「罪名がわかりにくいが、インターネット上で配信するための無修正AVと知りながら、女優としてAV制作を助けた、つまり出演したという容疑である」そうだ。  実名を出すのは酷な気がするが、この容疑者が名門東京藝術大学の声楽家を卒業後、都内の小学校で音楽の先生をしていたというから、大きな話題を呼んだ。  60代男性がこう語る。 「この地区の運動会の開会式で『君が代』を斉唱していました。唄うように頼んだ人は、東京藝大出身と聞いて、『この地区に芸術家がいる』と喜んでいました。綺麗で愛想もよくて、この町のスターです。AV? 何かの間違いじゃないかな」  インターネット上にあるAVの写真まで出されては、先生としてやっていくことはできまい。ハイエナ週刊誌に「藝大出身の元小学校の先生Eカップの“お詫びヘア・ヌード”」なんてグラビアが載るのは近いかもしれない。かわいそうに。  私のようなミステリー好きにはたまらない、文春恒例の今年のベストミステリー。ベスト3と寸評を紹介してみよう。  国内部門の第1位は『教場』(長岡弘樹・小学館)  汐見薫「ある章の登場人物が次の章では全く違った人間像を見せる。その無駄のない文体と鮮やかな展開に感服」  第2位は『祈りの幕が下りる時』(東野圭吾・講談社)  田村良宏「こんなにも悲しい動機を描いたミステリーに出会ったのは初めて。いつまでも忘れられない作品になるだろう」  ちなみに東野氏は10位にも『夢幻花』(PHP研究所)が入っている。この作家の衰えない創作力には脱帽である。  第3位は『ノックス・マシン』(法月綸太郎・角川書店)  千街晶之「マニア気質と遊び心の融合から生まれた至高のパロディー短編集」  海外部門の第1位は『11/22/63』(スティーヴン・キング・文藝春秋)  狩野洋一「ファン待望の長編。ケネディー暗殺に時間を戻し、その後の歴史を織り込んだ読み応えのある力作」  第2位は『緑衣の女』(アーナルデュル・インドリダソン・東京創元社)  岩井志麻子「つらい物語だった。死体の身元を解き明かしながら、家庭内暴力も暴かれていく。心の中ってのが最大のミステリーか」  第3位は『遮断地区』(ミネット・ウォルターズ・創元推理文庫)  芹澤恵「人の弱い所、嫌な所を描くと右に出る者のない作家だが、今作では弱い人間にも骨がある所を丁寧に描く。それでいてこのスピード感」  私がこの中で読んだのは、高村薫の『冷血』、ジェフリー・ディーヴァーの『ポーカー・レッスン』、ローラン・ビネの『HHhH プラハ、1942年 55』だが、キングの本は早速読んでみよう。  さて、11月23日午前10時、中国国防部は、東アジア諸国・地域を震撼させる次のような発表を行った。 「本日、午前10時をもって、魚釣島(尖閣諸島)海域一帯に、防空識別圏を設定する。今後、この空域をわが国に許可なく通行することを禁じ、指示に従わない航空機に対しては防御的緊急措置を講じる」  文春「中国は世界の嫌われ者!」の中で、航空自衛隊幹部がこう懸念している。 「今回の防空識別圏の設定によって、海南島事件のようなケースが起きてしまうことです。日中の制服レベルのホットラインがない現状では、一度何か起きれば、事態がエスカレートしてしまいかねません」  海南島事件とは、2001年に中国南部の海南島から110キロの南シナ海上空で偵察活動を行っていた米軍の電子偵察機と、警戒にあたった中国軍の戦闘機が空中衝突した事件のことで、東シナ海上空に侵入する中国軍機が増えれば、このような事件が起きる恐れが高まるという。  アメリカもこの中国の発表に警戒感を強めているようだし、中国側の出方次第ではきな臭くなってくるかもしれない。  ポストは、民間機の安全がピンチだと、このあたりを飛ぶJALとANAの国際線のリストを掲載している。かつて大韓航空機撃墜事件があったから、客にとっては知りたい情報である。これが今週の第4位。  23日の中国側の設定以降、その空域を国際線の飛行経路とする全日空(ANA)と日本航空(JAL)は、中国政府にフライトプランを提出した。  安全運行を考えれば素直に従うほかなかったのだが、それに待ったをかけたのが日本政府だった。26日には国交省から、業界団体である定期航空協会に「中国にフライトプランを提出しないように」という要請が出たのである。その結果、両航空会社は27日の0時から提出をやめてしまったのである。  しかし、アメリカは民間の航空会社がフライトプランを提出することをやめさせなかった。  ポストで米国国防関係者が言う。 「防空識別圏に設定された区域は、米軍が軍事演習を行う地域でもある。アメリカは軍用機の対応では日本と一致しており、中国政府に対して演習の事前通達をすることはない。だが、民間機は別だ。不測の事態は絶対に避けなければいけない。国民の安全を考え、“中国政府の出した方針に従うべき”というスタンスをとった」  国民の安全を考えればこの措置が当然だと思うが、日本政府は考え方が違うのである。おかしいと思うが、こうなったら自分の身は自分で守るしかない。  ポストによれば「日本から、当該の空域を通るのは原則、『台湾』と『香港』への往復航路になる。実際に、2航路のフライトプランは11月23~25日まで提出されていた。現在、その航路を飛行するのはJALとANA、そしてLCC(ローコストキャリア)のPeachを合わせて、1日に台湾便が28便、香港便が18便の計46便となる」そうだ。  こちらへ行く方は、くれぐれもご覚悟を。  2001年の世界陸上400メートルハードルで銅メダルを取り、侍ハードラーとして名高い為末大が広告塔になっているアジア・パートナーシップ・ファンド(APF)という投資ファンドが、えらいことになっているという記事が文春に載っている。これが第3位。  そもそもは11月1日、証券取引等監視委員会(SESC)がAPFグループの実質的代表である此下益司氏(46)に対して、40億9605万円の課徴金納付命令を出すよう金融庁に勧告したのである。社会部記者がこう話す。 「これまでの課徴金勧告の最高額は法人で約16億円、個人では約1億2000万円でした。個人に約41億円というのは前代未聞です」  APFグループは投資家から資金を集めて、タイなど東南アジアで不動産や企業などに投資し運用してきたそうだ。日本やタイで不動産、証券、食品などの企業を傘下に収め、07年末には運用規模1200億円を超えていたとされる。 「SESCの発表では、APFグループの会社ウェッジホールディングスが、虚偽の情報を公表し、株価を上昇させたとして金融商品取引法違(偽計)の疑いがあるというものでした」(同)  APFがメディアで取り上げられるようになったのは、04年3月に為末が所属選手となったことがきっかけだったようだ。  為末は著書『インベストメント ハードラー』(講談社)で、此下氏との出会いについて明かしている。 「此下氏は超小型のファンドを作ってくれ、そのアドバイスに従って運用した結果、2年で30万円が2000万円に増えた。為末は『とても手堅くビジネスを推し進めていました』『怪しいなんて、とんでもない。この人は、本物だ』『此下会長から多くのことを学びました』」(文春) と絶賛しているそうである。確かに、為末の著書の帯には「30万円が2000万円に増えた話」と特筆大書してある。  APFの顧客には元サッカー日本代表の中田英寿や水泳の北島康介、野球の古田敦也。芸能界では美川憲一やうつみ宮土理などのセレブがいるという。  だが、ため息まじりにこう語る70代女性がいる。 「APFの担当者は私のことを『おかあさん、おかあさん』と呼んで、いろんなところに連れ出してくれた。お寿司を食べに行ったり、うつみ宮土理さんの舞台に招待してくれたり。でも、3年前に配当が止まってからは、きちんとした説明もない。一番、後悔しているのは自分の稼ぎだけでなく、夫の分もつぎ込んでしまったことです。夫が亡くなった時に、もっと好きなことをやらせてあげられたのではないか、と。それもこれも上手い話にのせられた自分が悪いんです」  此下氏は、約41億円もの課徴金を課せられる可能性があるほか、今年の5月には、投資家16名から4億6200万円の損害賠償を求めて、大阪地裁に提訴されている。原告弁護団の橋口玲弁護士はこう語る。 「我々は、詐欺的な勧誘をした疑いがあると主張しています。口頭で元本保証をうたって商品を勧誘した疑いがあり、これは出資法違反の疑いがあるのです」  隆盛だったAPFの転機となったのは、10年6月、APFグループの会社に架空増資の疑いがあるとして、SESCが強制調査に入ったことだった。  投資家B氏によると、強制調査の前からAPFには異変が起きていたという。「タイで暴動が起きて事務所がクローズしたので」とか「タイにいる役員が辞めたから」といって、とにかく配当を先延ばしにしようとしたそうである。  そのうち強制調査が入って完全に配当が止まり、内容証明を送ったら、その日から一切連絡が取れなくなったという。  文春は、此下氏に対する「疑惑」には捜査当局も関心を持っていて、情報収集を続けているとある。  約40億円の課徴金を課せられる裏に悪徳商法でもあったら、為末の責任も問われることになるであろう。  12月3日に韓国発で衝撃的なニュースが飛び込んできた。故・金正日総書記の妹・金敬姫書記の夫で、北朝鮮の実質上のナンバー2である張成沢国防委副委員長(党行政部長)が失脚したというのである。加えて、張副委員長の腹心の2人の幹部が、公開処刑に処せられたというのだから、驚いた。  しかし、これは北朝鮮側によって裏付けられるのだ。北朝鮮の朝鮮労働党が8日、政治局拡大会議を開き、張成沢国防委副委員長をすべての職務から解任し。党から除名すると決めたと、朝鮮通信が伝えたのである。  若い金正恩を支え、後見人とまでいわれてきた人物の突然の失脚の裏には何があったのか、現代が詳しい。これが第2位。  中国の外交関係者がこう語る。 「金正恩政権のスローガンは『経済発展と核大国』だが、経済発展の担当責任者が張成沢だった。張は頻繁に訪中し、『わが国も中国を見習って経済発展したい』というのが口癖だった」  そんな張国防委副委員長がこの春以降、勝負に出たという。同じ関係者が続ける。 「中国が経済特区の指導をして、5月に経済開発区法を制定したのに続き、10月下旬には、国内14カ所に、中国式の経済特区を設置することを決めたのだ。この経済特区のポイントは、中国などから外資を誘致し、民間主導で都市の経済発展を図るというものだった。 これに真っ向から噛み付いたのが、120万朝鮮人民軍だった。朝鮮では、インフラ建設は軍の独占的利権だ。それを切り崩されたら、軍の大幅削減は必至なので、軍が焦燥感を募らせたのだ」  そこへ不幸が重なったというのだ。 「それは、金敬姫書記の健康問題だ。2年前の12月に独裁者だった金正日総書記が死去した後、金正恩第一書記が直ちに後継者となったが、黒幕は金敬姫だった。過去2年間の重要人事はすべて、金敬姫の意のままだったと言っても過言ではない。金正恩も張成沢も、金敬姫あってのナンバー1でありナンバー2だった。その金敬姫が、持病の糖尿病を悪化させ、絶体絶命のピンチに陥っているのだ」(同)  そんな中で朝鮮人民軍は、経済特区設置によって軍の権益が侵されたとして一気に反撃出たのだという。国情院関係者がこう語る。 「だが、経済改革の旗手を失ったことで、14カ所の経済特区の開発は事実上ストップした。経済はいよいよ破綻し、この冬は再び大量の餓死者と凍死者を出すことになるだろう。そうなると、民衆の反乱が起こる可能性もある」  北朝鮮が内乱状態になり、軍が暴走する事態も考えられるのではないか。いよいよ北朝鮮王朝の断末魔も近いのかも知れないが、日本もそうなれば巻き込まれることになるはずである。北朝鮮からは目が離せない。  今週の第1位は、現代の安倍首相夫人・昭恵さんインタビューである。インタビュアーはジャーナリストの松田賢弥氏。  松田氏はもともと現代に籍を置いて仕事をしていたが、ここ数年は現代を離れ、文春の仕事が多かった。そのエース記者が古巣へ戻って、先日は菅義偉官房長官インタビューをやっていたが、これはどうということはなかった。  だが、今週号の安倍夫人インタビューは面白い。これが今週の第1位。  このインタビューの面白さは、インタビュアーの突っ込みのよさもあるが、ひとえに昭恵夫人の率直な受け答えにある。これほど現役総理夫人が“ホンネ”で語ったことはほとんどなかった。いくつか紹介しよう。  まずは、希代の悪法「特定秘密保護法」を強引に通したことについてどう思うかと聞かれ、こう答える。 「最近、皆さんにそのことを聞かれます。たしかに大きな時代の流れとしては、情報の開示は進めたほうがいいと思うんですね。主人は時代に逆行してるように見えるかもしれない。けれども、国民をだまして戦争しようとか、そういうことではないと信じている。日本という国がきちんと独立していく過程で必要な法案であり、いま通さなくてはいけない理由が、何かあるんだと私は理解しています」  この「いま通さなくてはいけない理由」こそが問題なのだと、私もあちこちでいっているが、彼女もそう感じていることが読みとれる。  石破茂自民党幹事長がデモとテロはあまり変わらないと言ったが、どう思うかと聞かれ、「デモができるということは健全な社会である証拠ですから、それをテロと言うことはちょっと許されないと思います。私には原発反対デモをしている知人もいますし」  亭主の政敵への“批判”もちゃんとするところがいいね。  彼女は反原発派で知られるが、亭主との違いを聞かれてはっきりとこう答えている。 「はい。もし、もう一度事故が起きれば、日本は終わってしまうと思うんです。以前、福島第一原発の20km圏内にも行きましたが、これだけの広範囲に未だに誰一人入ることができないという状況は、やはり普通ではないと感じました。(中略)子どもを持つお母さんたちは不安とストレスを抱え、風評被害は収まらず、除染も進まない。そんな状況で『原発は安全でしかも安い』と言われても。何か起きてしまえば莫大なお金がかかるわけですから、安いとは考えられません」  しかし、亭主は海外に原発を輸出するセールスマンになっているではないか。 「国内の事故が収束していないのに、外国に原発を売るというのは、私個人としてはなかなか心苦しいところがあります。(中略) 主人は『中国製の原発の方が危険なんだから、日本製を買ってもらったほうがいい』と言っています。実際、そうなのかもしれません。でも理想としては、日本が原発に代わる技術を開発して、それを売り込むのが筋なんじゃないか、と思います。なかなか簡単ではないでしょうけれど」  中国の原発なんか買う国があるわけないじゃないか。パチパチパチである。彼女は韓流ファンとしても知られるが、やはり相当プレッシャーがあるらしい。 「この前、日韓交流のイベントに行ったと(Facebookに=筆者注)書き込んだら、炎上するほど批判が寄せられたりして、大変な部分もあります。(中略)私は以前からずっと、日韓関係をよくしたいと考えていましたから、韓国の方々が喜んでくださるならそれでいいかな、と個人的には思います。でも、最近は非常に(日本国民からの批判が)厳しいですね…… 韓国のことについて発言すると」  これを読んでいて、私にはあるアイディアが浮かんだ。  きっかけは、『現代中国悪女列伝』(文春新書)というすこぶる面白い本を書いた、福島香織さんと会ったことだった。  この本には「金欲と情欲にまみれた中国を、ウラで動かす美女たち」という帯が着けられている。薄熙来の妻の谷開来や、温家宝の妻の張培莉などの「悪妻」と並んで、習近平の奥さんの彭麗媛夫人の「あげまん」ぶりが書かれているが、彼女は美人で中国を代表する歌手でありながら、現役将校でもある。彼女のおかげで習が人民解放軍に影響力を持てるといわれているほどだが、彭夫人は親日家でもあるといわれている。  実際、彼女は日本で公演を行い、皇太子ともパイプを持っている超大物だが、彼女と安倍昭恵首相夫人を会わせて「日中の女性問題を考える」というイベントでもしたら、深刻さを増す日中関係がほぐれるきっかけになるのではないか。ついでにミシェル・オバマ大統領夫人も加えたら最高だろう。  外交下手の習近平と安倍首相に任せていたら、両国関係は進まない。男がダメなら女の知恵を借りて、どうにもならないものを動かしてみたらいいのではないか。このインタビューを読みながら、そんな“夢”を描いてみた。  最後に、私が関係している本について紹介させてもらいたい。竹書房から出た三吉眞一郎著『翳りの城』という戦国時代小説である。  武田の大軍勢に囲まれた今川軍の残党が立て籠もった謎の城。そこへ攻め入った者は、二度と生きては戻ってこられない。“驚愕”という形容詞がこれほど当てはまる、手に汗握る小説は珍しいと思います。  ぜひお手にとってご覧下さい。後悔はさせません。 (文=元木昌彦)

「トゥース」は世界の共通語 「春日の部族滞在記」に見る、オードリー春日の生きる才能

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「テレビはつまらない」という妄信を一刀両断! テレビウォッチャー・てれびのスキマが、今見るべき本当に面白いテレビ番組をご紹介。 「サムライの国から来た男だから負けるわけにはいかないですよ、チャンバラで」  『ネプ&イモトの世界番付』(日本テレビ系)の「オードリー春日の部族滞在記」で春日俊彰は、エチオピアのスルマ族に伝わる「ドンガ」という戦いを前に、自信満々にそう言い放った。  「部族滞在記」は、得意分野を「海外と水中」と言い切る春日の真骨頂が見られる企画だ。春日が世界各地に住む部族の村を訪れ、その生活を体験するという、いわばありふれた企画。しかし、春日がそれをやると、ただの過酷な海外ロケとは明らかに違うものになるから不思議だ。なんというか、その苛酷さに似合わず、春日がただただ楽しそうなのだ。企画開始当初こそ、スタジオの芸人たちに「大丈夫なのか?」などとイジられていたが、ひとたびVTRが流れると称賛せざるを得ないスゴさを見せつけ、いまや番組屈指の人気コーナーとなった。  これまでも、「陸には悪魔がいる」と信じる海の部族・パジャウ族とサメの生息する海で潜水対決をしたり、トーライ族と共に上半身裸になってムチで打たれたり、ハマル族の成人の儀式である牛の上を走る「牛跳び」に挑戦したり、素っ裸になって蜂の巣のまっただ中にハチミツを取りに行ったり、バイリン族と火の中を歩いたり、“戦いの部族”ズールー族の絶対王者と木の棒と盾だけを使ったイズンドゥクという伝統武術で戦ったりと、体を張ったさまざまな過酷な挑戦を繰り返している。そのたびに「ここで行かなかったらね、なんのために『春日』やってるかわからないからね!」などと言って立ち向かうのだ。  12月6日に放送された第8弾で訪れたのは、“乱闘の部族”スルマ族。日本から飛行機で約22時間、およそ1万キロ離れたエチオピアの山奥に住む部族。現地のエチオピア人さえも、「危険な部族」と口を揃えるほどだ。  事実、数時間かけてようやく到着すると、スルマ族の若者がカメラを武器と勘違いしてか、レンズに向けて棒で攻撃してくる始末。スルマ族は男女別々で暮らしているという。女性はデヴィニャと呼ばれる土の皿を口にはめている。下唇の下に穴を開けてつけているのだ。日本人から見ると、ギョッとしてしまう見た目だが、スルマ族にとってはこの皿の大きさや形が美しさの基準だという。実は19世紀、アフリカ大陸で若い女性が奴隷として売買された時に自らを醜く見せ自衛したことが始まりという悲しい由来を持つ風習なのだ。  そしてもうひとつ、スルマ族に伝わる伝統がある。それが「ドンガ」だ。ドンガとは敵・味方入り乱れて棒で打ち合い、相手が降参するまで殴り続け、勝者だけが真の男と認められる戦いである。これこそスルマ族が、“乱闘の部族”と呼ばれるゆえんである。  翌日に隣村との対戦があると聞いた春日は不敵に笑い、「出たいね!」と無鉄砲に言うのだった。  最初は一撃で激痛に耐え切れずうずくまっていた春日だったが、何本ものミミズ腫れを作りながら練習を繰り返し、いざ本番へ。 「とにかく勝ちます、ただそれだけ」 と全裸になってドンガに挑む春日は、どこか神々しい雰囲気すら漂わせていた。  一度は敗れたものの、再び立ち上がった春日は相手の膝に棒をクリーンヒットさせ、降伏させた。そして勝利の雄叫びを上げる。「怖かったぁ~!」と言いながら。  抜群の身体能力でその部族の得意分野を会得し、地元部族に勝るとも劣らない姿を見せる春日は確かにスゴい。しかし、何よりスゴいのは、実はそこではない。それは部族の子どもたちを見ればよく分かる。春日はほんの短い期間で、子どもたちを虜にしてしまう。異物感丸出しなのに、妙に馴染んでしまう。子どもたちは春日と一緒になって「トゥース!」と指を天に指し、「アパー!」とおどけ、「カスカスダンス」を踊る。気づけば春日を見て、自然とみんな笑っている。周りすべてを笑顔に変えてしまうのだ。  相方の若林は、春日を「生きるセンス」「生きる才能」がスゴいと称する。多くの人は、自分の不幸や不満に目が行きがちだ。しかし、春日は違う。春日は売れる前からずっと幸せだった。風呂なしアパートで貧乏暮らしをしていても、春日はずっと楽しそうだったという。それは大きな不安や不幸よりも、目の前の「アイスがおいしい」「オムライスのおにぎりが50円になっててうれしかった」などという小さな幸せをつなげて、そちらのほうばかりを感じているからだ。  「春日が子どもに人気があるのは、見た目にインパクトがあるからだと漠然と思っていた。でも、見た目は関係なかった」と若林は分析する。 「春日という男は自分に自信があり余裕がある。子どもたちはそれを感じとって春日に集まっているのではないか」(『社会人大学人見知り学部 卒業見込』/メディアファクトリー)  どんな過酷な状況でも小さな幸せをつなげ、自信満々に日々を楽しむ春日。その幸福感が周りに伝染していき、みんなを笑顔にする。それこそが“春日力”だ。  村から旅立つ春日は帰り際、一度振り返り「トゥース!」と声を上げた。すると、村人たちは一斉に「トゥース!」と返すのだった。 (文=てれびのスキマ <http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/>) 「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

例えばO・ヘンリーの小説みたいに──男女がTENGAとローターを贈り合う、賢者の贈り物「クリスマス×TENGA」です

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 貧しい夫妻が、相手にクリスマスプレゼントを買うお金を工面しようとする。妻は、夫が大切にしている金の懐中時計を吊るす鎖を買うために、自慢のロングヘアーをバッサリ切り落とし、売ってしまう。一方、夫は、妻がほしがっていたベッコウのクシを買うために、自慢の懐中時計を質に入れていた……物語の結末で、この一見愚かな行き違いは、しかし、最も賢明な行為であったと結ばれている。O・ヘンリーの小説『賢者の贈り物』の一説である。  街はすっかり、クリスマス一色。思えば昨年のバレンタインデーあたりには、女性から男性に“義理TENGA”を贈るブームが世間を賑わしたが、今年の聖夜にはなんと、遠距離恋愛のカップルや単身赴任で離ればなれの夫婦の間でTENGAグッズを贈り合うことが大流行しそうなのだという。
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もはや説明不要だろう。大定番となったTENGA。
 確かに今年、男性用のTENGAだけでなく、女性用のirohaも登場し、男女が互いに贈り合うことが可能になった。女性が男性にTENGAを……男性は女性にirohaを……会えない2人が相手のことを想いながら、オナニーグッズを贈り合う。これは、まさに現代版『賢者の贈り物』といえるのではないだろうか。
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空前のヒットとなったiroha。ローターです。
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iroha miniは12月20日デビュー。
 「浮気しないでね」「私のことを思い浮かべながら、TENGAを使って!」そんな想いを込めながらTENGAを贈るもよし、ライブチャットや テレビ電話などのスマホアプリを使って、遠隔でTENGA & irohaをお互いに使い合うのもいいだろう。2人の距離はどれだけ遠くても、心と股間は確かにつながっているという“温もり”が感じられるはずだ。  そして賢者といえば「賢者タイム」だが、TENGA & irohaを使ったカップルの賢者タイムは、ソロプレイとは一味違った余韻を味わえるだろう。  さらに、遠距離でないカップルは、VI-BOを使ってスペシャルなクリスマスナイトコミュニケーションを体験してみてはどうだろうか? TENGAが新たに開発したこのカップル用のバイブレーターは、どしゃ降りの雨もやがて雪に変えてしまうほどの快感を、2人にもたらすに違いない。
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使い方は自由自在
 それぞれの聖なる夜に、メリークリスマス。  http://www.tenga.co.jp/  

「ニコニコが、歌の日記帳だった」【鈴湯】アニソンコピーから始まった夢

suzuyu_04.jpg  元祖フリーアイドルで声優のルンルンこと宍戸留美さんが、自らカメラマンとしてかわいい声優さんたちの写真を撮り、さらにアイドルライターの私(小明)がインタビューする不思議な連載の26回目! 今回はTVアニメ『リトルバスターズ!~Refrain~』の主題歌を歌っているアーティストの鈴湯ちゃんが私のCDのプロデューサー・樫原伸彦先生と一緒に来てくれました! ――樫原先生の秘蔵っ子、鈴湯ちゃんだ! 以前、樫原先生の誕生日ライブで歌ってるのを観ましたよ、同じ樫原チルドレンとしてよろしくね~!  え? 秘蔵っ子? あ、はい、ありがとうございます。よろしくお願いします。 ――もしかして、緊張してます?  はい、いつも緊張してます。ライブでも毎回緊張してます。 ――初々しい! 活動のきっかけは何だったんですか?  友達に誘われて……。 ――おお、アイドル王道パターンじゃないですか。  あは(笑)。でも、そこで誘われて行ったのが音楽スタジオだったんです。楽器をやってる人が20人くらいいて、バンドのセッションがはじまって……そこで自分たちでアニソンコピーバンドを組んだのが、私の初めての音楽活動ですね。 ――コピーバンドっていうと、BOØWY、X JAPAN、GLAYを真っ先に浮かべる世代には、複雑な時代になってきましたね。メンバーは全員オタクなんですか?  はい、全員もれなくオタクです。居心地の良い感じで(笑)。 ――ニコニコ動画で歌い手もされてましたか?  歌い手と言いますか、最初に音楽をはじめた頃は学生だったので、知り合いもいなければお金もなくて、そういうときに、「インターネットっていうツールはすごく便利だ!」と思って、ラジオを配信してみたり、ニコニコ生放送だったり、自分の音源をニコニコ動画に投稿したり、自分でできることは何でもやってみたんです。 ――現代……!  そうですね(笑)。我ながら現代っ子だと思います。 suzuyu_01.jpg ――そうした活動が樫原先生の目に止まってデビューに?  いえ、ぜんぜん! もうひとつ自分でできることで、「ライブやりませんか?」みたいな募集ページに自分から連絡して、ひとりでライブに出るっていうのをやりはじめて。 ――ひとりで!? 行動力ありますね~!  ひとりでできることはなんでもやってみよう、と。そのライブを続けていく中で、ご縁があって知り合ったのが樫原先生で。 ――樫原先生、鈴湯ちゃんをはじめて見つけた時には「コレだ!」っていうものがありましたか? 樫原 もちろん。秋葉原のライブアイドルのイベントを定期的にパトロールしていたときだったんだけど…… ――それは趣味で? 樫原 仕事で!! 新人発掘のために見てきたライブイベントに彼女が出てきて「アレ?」って。良い意味で浮いてたんだよね。普通のライブアイドルみたいに飛んだり跳ねたりもしないし、おべんちゃらも言わないし、ちゃんと挨拶もできないし(笑)。でも、歌ってるときの目線とか、オーラがひとりだけ全然違った。だからそれから定点観測してたんだよ。 ――ライブアイドルとよく一緒になるなら、ご自分もアイドルユニットに入ろうとは思わなかったんですか?  えーっと……あるにはあります……ね。でも、見る方がアイドルは好きっていうか、あのー……たぶん、やっても、継続してうまくやれないだろうと。 ――お気持ち、わかります! ひとりでできるならひとりが一番! ちなみに、ニコニコに音源をアップしたりするときは、どういう気持ちでアップするんですか? 例えば「有名プロデューサーよ、私を発掘しろ」みたいな念を込めるとか……。  ぜんぜんそこまで考えてなかったです(笑)。「この曲が好きだなぁ、カバーしたい」って自宅で歌って録音して、「あ、いいのが録れたな」と思ったらアップロードっていう、記録というか、メモ? 日記帳みたいなものでしたね。 ――なるほど~。あんまりガツガツしない方がいいのか……私もやってみます! ちなみに他にはどんな活動を?  同人活動を少々……。 ――へ!? BL? 薄い本? suzuyu_02.jpg  いえ、同人音楽の方ですね。CDを自分で作ったりしてました。BLも好きですけど……今は「Free」がアツいですよ(照)。あと、ゲーマーでして、PCゲームが好きで、クリエーターさんたちといろんな作品作りをしたり、歌ったりしていたんです。 ――そういう人がライブアイドルに混じっていたら、そりゃ確かに浮くかもしれませんな。  みなさん元気に踊って歌っている中で、ひとりだけ暗い歌を歌ってましたし……みなさんと同じく、わっしょいわっしょい明るく頑張ってみたこともあるんですけど、「無理してやらなくていいよ?」「そういう芸風じゃないんだから」ってアドバイスされて……。 ――せつねぇ!! その活動の中で、どうやってTVアニメ『リトルバスターズ!』の主題歌を歌うことに?  はじめに、クリエイターさんに「興味ある?」って聞かれて、「あります」って答えたら、いつのまにかボイスサンプルみたいなものの選考があったのかな? 気づいたら決まっていたんですよ。 ――大抜擢!? すごいじゃないですか! 樫原 その時は俺の主催のライブに毎週出てもらってたんだけど、はじめはアイドルファンで予約が埋まるところ、だんだん誰の客でもない大人が入るようになったんだよ。もしかしたら、他にも業界の人が偵察に来てたのかもしれないね。それくらい光ってたんだよ。 ――私、10年くらいイベントやってますけど、なんのスカウトも来ないですよ。くすんでいるのかな。というか、話を聞いていると、樫原先生って鈴湯ちゃんの何なんでしょう? 樫原 主催ライブに出てもらってたよ。 ――それだけ? 私、てっきり樫原先生が発掘して、一から育てたのかと……。 樫原 いや、勝手に育っていったね。 ――TVアニメの主題歌も、本当は樫原先生が決めてきたんじゃないんですか? 樫原 いや、俺なんにもしてない。実力。ボイスサンプルとか、これまでの活動の実績で勝ち取ってた。 ――じゃあ……樫原先生はいったい何をしていたの? 樫原 そばで、微笑んでいたよ。 ――……邪魔じゃない?  (笑)! 樫原 俺はこれからいろいろ頑張るの! そこはもう任せてください。 suzuyu_03.jpg ――そうですか……。では、鈴湯ちゃん、『リトルバスターズ!』の主題歌が決まった時はどんなお気持ちでしたか?  うーんと……私、さっきPCゲームが好きって話をしてたと思うんですけど、そのPCゲームの中でも特に大ファンだったのが、『リトルバスターズ!』だったんですよ。 ――じゃあ、もともと大ファンなゲームがアニメ化、さらに自分がその主題歌を歌うって状況に?  そうなんです(泣)。すごすぎて、もう現実感がないんですよ。テレビで流れていても実感が湧かなくて、他人事みたいな気分です。初めて自分の声と映像が一緒になっているのを観たのはコミケの企業ブースだったんですけど、その時はさすがに実感が湧いて、感動で涙目になりましたね。遠くの物陰からじっとブースを眺めて、名乗りもせずに去りましたが……。 ――消極的を超えて忍者みたいだね……。では、今は、これから自分の人生がどうなるのか、希望と不安に満ちている頃ですね。  希望ももちろんあるんですけど、根が暗いもので、不安がいっぱいです……。 ――同じ樫原チルドレンとしてアドバイスさせていただくと、年齢があがってくるにつれて同級生がガンガン子どもを生み出したり出世したりするので、その不安要素は増えるばかりですよ☆  わぁ~……。でも、たくさん悩んで考えた結果、普通の生活はできないだろうな、と思って。協調性がなくて、人と一緒にいるのも、なかなか苦手なので、普通に就職して、結婚して、子供産んで……そっちの方が自信ない。そっちの方がハードモードだなって。 ――超わかる~(満面の笑み)!  なので、「これをやるしか道はない」というか……。不安だったり、悩んだりしているときも、辛いけれど、辛い時間の方をいつもの時間よりも大切にして、創作活動につなげるようにしています。創作に回していくことで、だんだん元気が出てくるので。 suzuyu_05.jpg ――創作活動では、具体的にどういうことを? 歌詞を書いたりとか?  実は歌詞はあんまり得意じゃなくて、詩とか、絵とかですね。 ――落ちこんでるときに書く詩と絵は、翌朝冷静になった時に見返すとヤバそうです。  そうなんですよ(笑)、後になって自分で「うわっ暗!! 大丈夫!?」って驚きます(笑)。 ――そういうのは古くなれば古くなるほど面白くなってくるので、歌詞カードの挿絵にしよう! でも、ネガティブな部分を創作につなげていくと、幸せなときには創作意欲が湧かなくなるのでは?  幸せなときや、前向きな気分のときは、創作よりも日々の歌の練習とかトレーニングをしてますね。ポジティブな時は努力にまわして、ネガティブな時は創作にまわそうと心がけてます。 ――まぶしすぎるお言葉……。最近はどんなときに幸せを感じましたか?  『リトルバスターズ!』で知ってくださった方が、私の歌う「Boys be Smile」を「僕が初めて自分で買ったCDです」って言ってくださって。それがすごく心にきましたね。 ――人の初めて奪っちゃった的な?  思い出のひとつに私がなれるんだ、と思って感動しました。 suzuyu_07.jpg ――美しい言葉で言い換えられた! 今後の野望を教えてください!  自分ができるライブを突き詰めていきたいし、いろんな作品と関わりたいです。 ――いつか自分の描いた暗い絵をバックにバーっと貼り詰めて真っ暗な部屋で暗いポエムを読みましょうよ。  いいと思います(笑)! ――ちなみにグラビア撮影ははじめて?  初めてなんですよ、緊張します、うまく笑えるか不安です(照)。 ――では、初めてを宍戸留美に奪われてきてください! これからの鈴湯ちゃんの活動をお楽しみに~! (取材・構成=小明/撮影=宍戸留美) suzuyu_06.jpg
●すずゆ TVアニメ『リトルバスターズ!~Refrain~』OPテーマ「Boys be Smile」ボーカル担当 【出演情報】 「鈴湯軍作戦本部」 毎週日曜日 21:30~23:00 はりねずみチャンネルよりお送りする鈴湯のニコニコ生放送番組! 日々のイベントレポートやリトルバスターズ!~Refrain~実況もふまえてお送りします! 「はりねずみ☆ナイト」 毎月第三金曜日 21:00~22:30 GGW公式チャンネル「ガールズグラウンド生放送!!アキバの地下で大騒ぎ!」トークありドタバタありなカルチャートーク番組出演中! 【ライブ情報】 ○鈴湯×北沢綾香2マンライブ「Little Twin Melody」     日時:2013年 12月 15日(日)     時間:開場予定 11:00/ 開演予定 11:45     場所:秋葉原CLUB GOODMAN     チケット価格:3000円 +1ドリンク別途     チケット販売:イープラスにて販売中! ○鈴湯ワンマンライブ「パラレル・ピクチャーズ」     日時:2014年 2月 2日(日)     時間:開場予定 18:00/ 開演予定 18:30     場所:渋谷REX     チケット価格:3500円 +1ドリンク別途     チケット販売:イープラスにて販売中! ●ししど・るみ 1973年、福岡県生まれ。1990年にアイドルデビュー、18歳でフリーアイドルになり現在まで様々な分野で活動中! フランス、ドイツ等でもライブを行い音楽活動で高い評価を得ている。
ルミネッセンス 形態:8曲入り 定価:¥2,500(税込) 品番:SNDL-0003/JAN:4514306011869 レーベル:sundaliru amazon_associate_logo.jpg
公式ブログ http://s.ameblo.jp/sundaliru/ ●あかり 1985年、栃木県生まれ。02年、史上初のエプロンアイドルとしてデビューするも、そのまま迷走を続け、フリーのアイドルライターとして細々と食いつないでいる。初著『アイドル墜落日記』(洋泉社)、DVD『小明の感じる仏像』(エースデュース)発売中。ブログ「小明の秘話」<http://yaplog.jp/benijake148/> サイゾーテレビ<http://ch.nicovideo.jp/channel/ch3120>にて生トーク番組『小明の副作用』(隔週木曜)出演中。ニューシングル「君が笑う、それが僕のしあわせ」発売中<http://www.cyzo.com/akr/>。

文学は悪女とビッチと売春婦でできている──『萌える名作文学 ヒロイン・コレクション』

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『萌える名作文学 ヒロイン・コレクション』(コアマガジン)
 ひと昔前の雑誌と書籍を中心に取り上げているこの連載だが、たまには最近のものも取り上げなくては、と思った。「出版不況」といわれながらも、日本で年間に発行される書籍は7万点以上ある。つまり、多くの本は、読者が知らない間に消えていってしまうのだ。自分が関わった本も、発見されないままに消えていってしまう。それは、あまりに悲しいことである。  というわけで、筆者も携わった『萌える名作文学 ヒロイン・コレクション』(コアマガジン、2010年)を取り上げることにする。  この本の内容を一言で説明するならば、古今東西の文学作品に登場する女性を萌えキャラ化しつつ、真面目に作品を解説するというものである。  筆者の備忘録によれば、最初に企画に参加したのは2010年の4月初頭のこと。それは、一本の電話から始まった。 「昼間さん、文学って詳しいですか?」 と、尋ねてきたのは編集の伊藤氏。伊藤氏は日本刀を、美少女のイラストを添えてひたすら真面目に解説する『萌える日本刀大全』(コアマガジン、2009年)という、これまたマニアックな本を企画して、世間の注目を集めた編集者だ。そんな彼が、文学うんぬんを尋ねてくるとは何事か? 理由はわからないが、筆者も生まれた時から、雑誌と書籍のほかに友達のいない人生。本は山のように読んでいるわけで、「詳しいですよ」と返答する以外に選択肢はなかった。  こうして、企画への参加は電話一本で決まった。なんでも、企画は通ったけど、意外に文学に精通したライターがいなかったので、急遽連絡してきたそうだ(そういえば、この時まで伊藤氏からは2年余りまったく連絡はなかった……)。  筆者の仕事は、作品をセレクトして解説を書くだけ。イラストレーターとの打ち合わせはやらなくてもよいし、楽な仕事だと思っていたら甘かった。なぜなら、これは筆者の人生、人格、そのほかすべてのものを問われる戦いだったからだ。  「萌え」という言葉が日常的に使用されるようになって久しい。しかし、「萌え」とは本質的に、吉本隆明の分類するところの「自己幻想」にすぎない。個人がどのヒロインに萌えるかは、その個人が触れてきた文化によって決定される。どのヒロインに萌えるから無制約に自由であるが、他者がそれに共感するとは限らない。もちろん、自分が萌えているヒロインの魅力を「布教」することは誰も制約しないが、他者が誰に萌えるかをコントロールすることはできないのだ。  そうした中で、商業誌として成立させるために、「最大公約数」となるヒロインをセレクトしていかなければならない。それは、非常に困難な作業であった。当たり前だ、どんなに客観的になろうとしても、結局は自分が萌えることのできるヒロイン像に引きずられてしまうのだから。  かくして数度にわたった打ち合わせは、ほぼ死闘と化した。「こんな女に萌えるわけねえよ」「素人にはわからんのですよ」――。罵倒に激高、鉄拳の飛び合う打ち合わせは続いた。  今、冷静になって当時提出した取り上げるヒロインの案を見てみると「アンタの“萌え”ポイント、おかしいよ」と言われたことも、納得せざるを得ない気もする。ボツになったほうから、いくつか記してみよう(作者・タイトル・ヒロイン名の順である)。 ・安部公房『砂の女』砂の女 ・葉山嘉樹『セメント樽の中の手紙』少女 ・井伏鱒二『黒い雨』矢須子 ・金庸『笑傲江湖』東方不敗 ・作者不詳『ペピの体験』ペピ ・ヘルマン・ヘッセ『青春彷徨』エリーザベト  当時の記憶をたどると、『セメント樽の中の手紙』は「ホラーですよ!」と蹴られ、『笑傲江湖』は「ヒロインじゃねえ!」と怒られ、『ペピの体験』は「萌えとエロを勘違いするな」と、さらに怒られた。『青春彷徨』は、最後まで「ヘッセの作品は入れるべきである」と抵抗したが、一体どこが萌えるポイントかと問われて「エリーザベトは19世紀ドイツにおける最高のサークルクラッシャーである(主人公に気のあるフリをしてデートするが別の男と結婚してしまう)」と回答した結果、ボツになった。  激闘の末に、幾人かのヒロインが選ばれた。ここからが本番である。本文を執筆しつつ、イラストレーターに描いてもらう作中の場面を抜粋し、さらにヒロインの特徴も懇切丁寧に記さなければならない。ここで、大変なことに気づいてしまった。筆者の担当は十数人のヒロイン。つまり、すべての作品をいま一度じっくりと読み込んで、ここぞというシーンを見つけ出さなくてはならないのだ。尾崎紅葉の『金色夜叉』なんかは、熱海の海岸を散歩するところで決め打ちができる。でも、ダンテの『神曲』なんて文庫本で上中下巻もあるし、エミール・ゾラの『ナナ』も相当長い。自分で推しておいてなんだが、上田秋成『雨月物語』の一編「蛇精の淫」から萌えポイントを抽出するのは、ほとんど頓智である。  とはいっても、「危うく萌え殺されるところだったよ……」と言えるほど萌えてやる気で読み込めば、自ずと答えは見えてくるのだ。そもそも、自分が萌えているヒロインばかりなので、当然といえば当然でもあるが。  例えば、エミール・ゾラの『ナナ』のヒロイン・ナナは売春婦であるが、その生き様に萌え殺されそうだ。散々名声を得て金持ちになったかと思いきや、あっという間にカネがなくなって、ならばと街娼を始める。挙げ句に、学校時代の友人とは同性愛になるし、小間使いの女は散々こき使われているのに、女主人ラブ。この周囲を自分色に巻き込みっぷりは、スゲエよ! ゆえにナナが小間使いを「間抜け」と罵ったところ、「あたくし、こんなに奥様が好きで……」とさめざめと泣くシーンを推すしかなかったのだ。文豪・ゾラが「このシーンで萌えてくれ」と思って書いたかどうかは知らないが、萌える(もっとも、ゾラの『居酒屋』『ナナ』など20作品から成る「ルーゴン・マッカール叢書」は、主要登場人物がすべて血縁。まあ、19世紀フランスにおけるOverflowのエロゲーと考えてよい)。  日本では『三銃士』のタイトルで知られている『ダルタニャン物語』の悪女・ミレディーも、萌え要素が尽きないヒロインだ。みんなストーリーは知っていると思うので、ネタバレ気味に話すと、第一部の最後でミレディーは処刑されてしまうわけだが、最後まで逃げようとしたり往生際の悪さがまさに悪女の鏡である。「いずれ仇を討たれるんだから」という捨てゼリフが第二部『二十年後』で現実になるところも、まさに悪女の本領発揮といったところ。  つまり、本書を通して読者が知ることができるのは、現代の漫画・アニメで描かれるヒロインのほとんどの類型は、すでに20世紀前半までに発明されていたということだ。島崎藤村は『新生』でヤンデレヒロイン・節子を描いている。押川春浪『銀山王』は、薄幸と高慢の2つのタイプの令嬢ヒロインの織りなす物語だ。  その上で見えてくるのは、結局、魅力的なヒロインには「悪女・ビッチ・売春婦」の要素が不可欠ということだ。今さら「処女厨」でもあるまいに、黒髪ロングの一途な清純ヒロインのどこに魅力があろうか、と筆者は思う。本書が刊行されたとき、筆者の選んだヒロインを見て多くの人に「いったい、どんな人生を歩んできたら悪女・ビッチ・売春婦にばっか、萌えるようになるんですか?」と聞かれた。  そんなもの、自分でわかっていたら苦労はしない。畜生! 来年の今月今夜のこの月は、俺の涙で曇らせてやる! (文=昼間たかし)