ファミコン世代の妄想炸裂!「わたしのファミカセ展2010」

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店内にはファミカセがズラリ。
 80年代に子ども時代を過ごした者にとって、ファミコンは単なるコンシューマー機の一機種ではなく、文化であり、生活そのものだった。たとえば『スーパーマリオブラザーズ』の効果音や『グラディウス』のコナミコマンドを、いまでも空で言えるファミコン世代は決して少なくないはずだ。  ピコピコ音と16色のカラーで表現された無限の広がりを持つ世界。レトロゲーム愛好者に限らず、現在でもその人気は根強い。  そんなファミコン世代にはたまらない、「わたしのファミカセ展2010」が吉祥寺の「METEOR」で開催されている。「METEOR」はCDや書籍、Tシャツ、雑貨など8ビットグッズを数多く取り扱っている、ロービットアイテム好きにはたまらないお店。この「ファミカセ展」は、ファミコン育ちのクリエーターたちがファミカセラベルを自由にデザインする、というもので、今年で6回目を迎える。今回は初めて一般公募も行い、計78本の作品が店内に所狭しと並べられている。  単なるラベルアートに留まらず、ゲームの内容までひっくるめて丸ごとデザインされており、「こんなゲームがあったら楽しそう」という自由な発想(妄想)が炸裂している。  せっかくなので、面白そうな作品を何点か紹介したい。 『特命! 小学生刑事 THIRD EYE』  3rd.jpg
作:永井ミキジ(グラフィックデザイナー)
 母子家庭で育ったごく普通の小学4年生、茶倉田門(ちゃくらだ・もん)。彼女の裏の顔は、警視総監任命のスーパーカギっ子小学生刑事だった。門は母親がパートに出ている間に難事件を次々と解決する。首にかけた自宅のカギを額にかざし、母を想うと第三の眼が開く! 必殺技"スーパービジョン"を使って秘密組織に立ち向かう。 『ストリーキング2』  storuing.jpg
作:町田靖斉、浮花(ヘアメイクアップアーティスト、フォトグラファー) 
 高速道路や街中、はたまたあの娘の家まで裸で全力疾走! 追ってくる警官をかいくぐり、仲間を集めて広場で組体操。人間ピラミッドを完成させろ! 恐怖と興奮の、自問自答アクションゲーム。 『DEMODEMO』 demodemo.jpg
作:SAMA[ミズノツカサ+シミズサトシ](ペインター、グラフィックデザイナー)
 さまざまなデモの発起人となり、同志を集めてド派手なデモを敢行。生卵、投石、火炎瓶にサウンドなどの武器を使って、大胆不敵な作戦を決行し、国家権力からの攻撃をくぐり抜けて真の大義となれ!  「METEOR」の店長・坂上氏によると、そもそもお店を通じて知り合ったクリエーターたちとの雑談の中で、この「ファミカセ展」を思い立ったとのこと。毎年5月に開催されているが、参加者たちのアイデアにはいつも驚かされるという。とくに今年は、Twitterからの来訪者が増えた印象があるそうだ。  ちなみに、店長さんのイチオシの作品を聞いてみると、「どれもこれも個性的で素敵です。選べません」とのこと。  作品はすべて「METEOR」の特設サイトでも公開されており、1位から3位まで、お気に入りの作品に投票することできる。投票結果は6月初旬に同サイト内で発表。見事1位に輝くと、翌年の「ファミカセ展」のメインビジュアルに採用される。ファミコン本体の生産は03年に終了してしまったが、「まだまだ現役です!」と語る店長さんしかり、ファミコン世代のファミコン熱はまだまだ冷めていない。なお、展示は今月30日まで。 (文=編集部) ■「わたしのファミカセ展 2010」イベント詳細 展示期間:~5月30日(日) 展示会場:METEOR 東京都武蔵野市吉祥寺南町1-6-7 2F 開場時間:13:00~20:00 入場料:無料 定休日:月曜日(祝日は営業) サイト:< http://famicase.com/>
スーパーマリオブラザーズ ビヨ~ン! amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 あのころ、みんな子どもだった......「ロッチ」を生んだ"赤い海賊"コスモスの伝説 手のひらに広がる大冒険!「ゲームブック」今昔物語  何もかもが輝いていた第2世代オタクの青春グラフィティ『8bit年代記』

ダメでも笑い飛ばせ! 香港の国民性を体現したグラフィック・ノベリスト

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『Suffer Hero』 (c)Tak
 『AKIRA』『ドラゴンボール』『ドラえもん』......子どもの頃、僕らの心をアツくさせた漫画やアニメが、海の向こうに住むアジアの子どもたちの心にも火を付けていた。今や日本人だけのものではなくなった、ジャパニーズ・ポップカルチャー。その影響を受けて育った、アジアの才能豊かなクリエーターたちを紹介します。 第5回 コミックアーティスト&グラフィック・ノベリスト Tak(楊学徳/タック)  基本、香港人はお笑い好きだ。生きるってことは結構ハード。辛いこともいろいろあるけど、現実は現実。だったらいっそ笑ってしまおうや! 的な精神が貫かれている。だから彼らは、どんなに悲惨な話になっても、最後は絶対に笑いでオチをつけようとふんばるのだ。Tak(楊学徳/タック)がみんなから愛されているのは、そこらへんのツボをよく分かっているからだと思う。彼は、誰もが知っている香港のコミック・アーティストであり、グラフィック・ノベリストだ。
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『ウルトラマン Vol.1 』
バンダイビジュアル
 Takが生んだ香港で最大のヒーロー、それが「Suffer Hero(苦悩のヒーロー)」。主人公のUltra Low(ウルトラ・ロー)は、その名の通り、いつも今ひとつアガれない奴。今日もパートナーのWonder Po(ワンダー・ポー)に説教されつつ、強敵 Porky Mon (ポーキー・モン)との勝いに臨む!......よりも、公園で黄昏れていることの方が多い。愛すべきダメダメヒーロではあるのだが......。やっぱりモデルはあの? と聞くと、「もちろん。だって彼は、僕たちにとって、すごく身近なキャラクターだからね。特に今30代の香港人は、『ウルトラマン』シリーズを見て大きくなったと言っても過言ではないから」とTak。
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<クリックすると拡大されます>『標童話集』(c)Tak
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 Takが子ども時代を過ごした70年代、テレビをつけると、アメリカやイギリスの番組に混じって、『ドラえもん』や『仮面ライダー』など、毎日たくさんの日本のアニメやドラマが放映されていた。「『俺たちの旅』と『燃えろアタック』は、毎回欠かさず観ていたよ」  80年代になると、日本のカルチャーがどんどん香港に紹介され始める。 「香港におけるジャパニーズ・ポップ・カルチャーの最盛期だったと思う。当時の僕のヒーローは、日本のアイドルたち。中森明菜、マッチ、チェカーズ、安全地帯に小泉今日子! 特にマッチは、すごい人気だった。男子は全員彼の髪型にして、ファッションを真似て競っていた。でも僕の髪は硬くて、どうしてもマッチ・カットにならなくて......。青春の"苦悩"を味わったというわけ(笑)」
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<クリックすると拡大されます>『Tree(2005)』(c)Tak
 アイドルへの憧れや自己への苛立ちと共に過ごした80年代。貧しかったけど、毎日がカラフルだった時代を、Takは今でもとても愛しく思っている。彼のそんな思いが最大に表現されているのが、28歳で初めて発表した作品集『錦繍藍田(How blue was my valley)』だ。香港の庶民のほとんどが住んでいた低家賃の公共住宅を舞台として、彼らの日常生活が鮮やかな色彩で再現されている。コミック作品とは全く異なる画法で描かれたこの作品集は、遅咲きのTakの才能を広く知らしめ、彼が「グラフィック・ノベリスト」と称されるきっかけともなった。言葉がなくても、彼の絵は、雄弁に物語を語っている。 「この本を自費出版したとき、それまでやっていたデザイナーに、自分は向いてないって分かって仕事を辞めていたから、本当に貧乏だった。でも、それで自分を無理矢理創作活動に追い込めたから、逆に良かったのかも」
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<クリックすると拡大されます>
『錦繍藍田(How blue was my valley)』『The ballte of the noon (2005)』(c)Tak
 ここ数年、コミックの連載や単行本の出版、キャラクターがグッズ化されたり、各地で展覧会を開いたりと、大忙しのTak。最近、あるアニメ映画のキャラクター・デザイナーの依頼を受けて、忙しさに拍車がかかった。「自分の作品作りの時間がなかなかとれなくなっちゃって」と、温和なTakがめずらしく愚痴るほどだ。
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<クリックすると拡大されます>『Ghost Festival(2005)』(c)Tak
 彼が密かに暖めているライフワーク。それは、1841年に始まり、1997年の中国返還で終焉を迎えた、香港のイギリス植民地時代のグラフィック小説だ。「植民地じゃなくなって、香港人は中国国民としてのプライドを取り戻した、とか言われるけど、みんなどこか居心地の悪さを感じているんです。心の中では、香港が一番香港らしかった"黄金時代"を懐かしんでる。その時代の物語を描けたらなと」。それは、きっと、香港人だけではなく、毎日にちょっと疲れている人たちに、深く受け入れられる作品となるだろう。「いろいろあるけど、現実は現実。だったら笑ってしまおう」と。 (文=中西多香[ASHU]) tak_p.jpgTak (楊学徳/ヨン・ホク・タック) 1970年、香港生まれ。デザイン事務所、広告代理店、出版社勤務を経て、1999年に季刊『コックローチ(Cockroach)』誌上でコミック作品の発表を開始。以降、コミックとアートの領域を越えた「グラフィック・ノベル」スタイルを確立。多くの作品を発表している。<http://www.kicklamb.com/> ・『錦繍藍田(How blue was my valley)』の購入はこちら <http://www.ashu-nk.com/ASHU/shop2_Joint.html> ・TakデザインのオリジナルTシャツの購入はこちら <http://teeparty.jp/ashu/> ●なかにし・たか アジアのデザイナー、アーティストの日本におけるマネジメント、プロデュースを行なう「ASHU」代表。日本のクリエーターをアジア各国に紹介するプロジェクトにも従事している。著書に『香港特別藝術区』(技術評論社)がある。<http://www.ashu-nk.com > オンラインTシャツオンデマンド「Tee Party」<http://teeparty.jp/ashu/>
ウルトラマン Vol.1 ダメダメなヒーローでも、いいんでない? amazon_associate_logo.jpg
■バックナンバー 【vol.4】「教科書はガンダムの落書きだらけだった」 香港・原色の魔術師の意外な原点 【vol.3】「懐かしいのに、新しい」 読むほどにクセになる"タイ初の日本漫画家"タムくん 【vol.2】  マイブームはBL!? 香港の腐女子が描きとめる、消えゆく都市の記憶 【vol.1】 「 :phunk版ガッチャマンが作りたい」 シンガポール発のデザイン集団が描く夢

クラウド・ソーシングの新媒体「.review」発起人が語る、メディアの未来

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 2010年1月、『中央公論』(中央公論新社)『思想地図』(NHK出版)などで若手論客として活躍する西田亮介氏がTwitter上で呼び掛けて立ち上げた新媒体「.review」。ネット上の不特定多数の人間を動員して集合的に業務を行うクラウド・ソーシングを採用し、若い書き手や研究者の論文を募集、ウェブサイト上で順次公開している。それらをまとめたもののダウンロード販売も予定するなど、一見、webを中心に独自の活動を展開するインディーズ・メディアに見えるが、5月23日の文章系同人誌即売会「文学フリマ」では約300ページの紙媒体『.review 001』を販売など、複合的な展開を見せている。  メディア環境が劇的な変化の兆しを見せる中、今月28日にはとうとう日本でもiPadが発売される。出版の電子書籍化に拍車をかけるという見方もあるが、実際のところ電子書籍はメディアや言論を一変させ、各メディアがwebに民族大移動を行うことになるのだろうか? オンラインとオフラインを横断して活動を展開する「.review」の西田氏に話を聞いた。 ──「.review」の具体的な方針はなんですか? 西田 「.review」を仕掛ける「project .review」のミッションは2つあります。若い研究者や書き手を社会的に認知させる契機を作ることと、新しい"知のハブ"を作ることです。最近のメジャー媒体は、半ば固定化された執筆陣やコメンテーターに頼むばかりで若手を発掘する「余裕」のようなものがあまり感じられません。そもそも、出版不況で媒体自体が減っている。だから、既存の書き手と若い書き手をシャッフルしつつ「メジャーができないことをやる」ことで、当事者たちで新しい言説のインディーズ・シーンを作っていきたいと考えています。そのためには、一つのメディアの形にはこだわりません。僕らがやりたいのは「本を作る」ことではないので、形態に捉われず、目指すミッションの達成に最適な方法を選びます。 ──紙でも電子でも、必要に応じて対応すると。 西田 ただし、正直なところ、作る側としてはコストがかからない電子書籍のほうがやりやすいですね。今回、紙版を制作して痛感したのは、印刷代に紙代、輸送費など結構な額の元手がかかることです。しかも、取次を介すると中抜きされてしまう。直販で本屋に並べるだけでも6掛けされたりする。正直、やってられないと思うこともあります(笑)。電子書籍はコンテンツさえ用意して、運営側がプラットフォームを作ることができれば、ストックするコストもかからないので、自分たちで100%管理することができます。商品に繋がる導線のちょっとした工夫さえあれば、在庫コストもないのでいつでも売れる契機を持っている。だから電子書籍は、インディペンデントな活動においてはすごくやりやすい形態だと思います。 ──しかし、情報量が多く埋もれがちなweb上で目立たせることは、難しいのではないでしょうか? 例えばリアルの書店であれば、店内をフラフラしていて元々の目的ではないものに出会う機会があります。 西田 その機会はネットのほうが多いのではないでしょうか。例えば、今の僕の知名度であれば、どこかの出版社で本を書かせてもらったとして、初版3000部といったところでしょう。その内のほとんどが都内のブックファーストさんやジュンク堂書店さんなど、大手書店に並ぶことになります。そこに仮に一週間平積みされたとして──平積みされるかも怪しいですが、それで本当にたまたま来た人に訴求できるだろうかというと、入口がたくさんあるネットのほうがはるかに可能性がある。Twitterで僕をフォローしてくれている人が今大体3800人くらいいて、そこに対して繰り返し告知をするほうが、周知効果が見込めると思います。もちろん層が偏ってしまうことはありえるけれど、部数の制約の中で何とか訴求するしか方法がない紙より、誰でもどこでもいつでもアクセスできるネット上で電子書籍を取り扱うほうが広くアピールできるし、偶有性に開かれているといえます。 ──では今後、紙媒体の刊行をやめる可能性もありえる、と。 西田 状況次第です。僕らはいくつかのプラットフォームを設けることを考えています。具体的には、ダウンロード販売のプラットフォームを整備しながら、iPhoneアプリなどで販売できるようにもしたいと考えています。それが軌道に乗れば、将来的には紙媒体はやめる可能性もあります。電子書籍、ダウンロード販売は、単価は下がるが利率は上がる。「単価が低い」という電子書籍への批判がありますが、インディペンデントの場合、小さな機動力でうまく回すのであればやりようはあると踏んでいます。
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メディアの未来を語る西田氏。
──そうして電子書籍に移行した時、メジャー、つまり大手版元などとインディーズは互角に戦えるんでしょうか? 西田 そもそも「.review」は、メジャーとの対立は掲げてません。ジュンク堂書店さんやTSUTAYAさんなど、企業とのコラボレーション企画にも取り組んできましたしね。とは言え、一般論でいえば、ある程度のプレゼンス、存在感も必要になることはあるでしょう。しかし、まともにぶつかったとしたら、やはりメジャーが圧倒的に優位です。資本力でも歯が立たない上、同じ土俵でーー電子書籍ということですが、メジャーが持っているたくさんの商品を並べられたらひとたまりもありません。また、消費者の信頼を獲得できるのはやはり既存出版社のブランド力になるでしょう。だから、そことまともに正面から対抗するのは、僕らが掲げるミッションには適合しないと思っています。むしろ、インディーズ同士が横に繋がってコラボレーションすることで質を高め、メジャーにはない魅力的なコンテンツを増やすことが重要になります。そのための仕掛けを、オンライン/オフラインにまたがって、あらゆる場所に神出鬼没に設けるしかない。現状、「文学フリマ」のような場はありますが、団体やプロジェクト間の密な交流は少ないという認識でいます。それを増やしていきたいですね。23日には「文学フリマ」にも出店しますし、同じ建物内で商業誌の枠に捉われない、『早稲田文学』のプランナーである市川(真人)さんとそういった今のメディア状況についての対談も行います。 ──「.review」としての具体的な到達目標はありますか? 西田 ありません(笑)。なぜなら、新しい書き手は常に出てくるから。ネット的な言い方をするならば、"永遠のβ版"ですね。今は、何かにつけて境界を引くことが難しい環境です。「.review」をひとつのメディアとして捉えることもできますが、試み自体が新しいので取り組み自体をコンテンツとして消費することもできます。また、コンテンツとtwitterのハッシュタグを連動させてインタラクション性を設けているので、コンテンツ自体がメディアになっているともいえます。このように、コンテンツとメディアの境界が曖昧な中で、書き手も読み手も相互的になれる新しい時代です。とはいえ、本当はアメリカには、著名人によるオピニオンや他媒体からのニュースを集約して運営する「ハフィントン・ポスト」などが既にあって、日本は10年遅れくらいなんですけどね。 ──日本ではなぜ遅れたんでしょうか? 西田 「ネット上で実名記述文化が根付かなかった」とか、「ネットに金を払う文化が根付かなかった」といった諸説があります。具体例をあげれば「オーマイニュース」や「JanJan」も失敗してしまいました。しかし、電子書籍はそういったパラダイムさえ変えてしまうかもしれない。電子書籍が普及することで、「ネットのコンテンツが有料なのは当たり前だ」という認識が広まる可能性があるからです。電子書籍にしても、あるいは政策などに関しても、今求められているのは、日本の関連する社会的条件を読みながら、海外の優れたコンセプトを実装するために日本の社会環境に適した方法を探ることです。僕らがやっているような、緩やかに他媒体や既存メディアとも手を組んでやっていく、一見ぬるく見える方法がもしかしたら意外と日本社会と適合的なのかもしれないとも思っています。 ──今、巷では「電子書籍が紙媒体より優位になる」とする論調が多く見受けられますが、今後、紙は亡びてしまうとお考えになりますか? 西田 ユーザー視点でいえば、電子書籍は紙媒体にあらゆる面で勝っているというわけではありません。一長一短といったところでしょう。確かに紙の本はかさばりますし、個人的にはKindleやiPhoneといったメディアを使って、電子書籍を読むことにも抵抗はありません。なので、今のところ趣味の領域での読書は、電子書籍で支障ないと考えています。ただし、仕事で参照する場合には、意外と使いづらいという印象です。電子書籍は検索機能など使い勝手が良い点もありますが、紙の本は、「なんとなくこの辺に重要な論点があったはずだ」といった漠然とした記憶をたどれる点で圧倒的に優れている。ページを越えた文脈の検索もそうです。逆にそう考えれば、本をそこまで徹底的に読む必要がない書籍のライトユーザーにしてみれば、紙にこだわる理由があまりないともいえます。ただ、紙をめくるという身体性が染みついていて変更できない人もやはり一定数いるでしょう。したがって、徐々に紙の本がしめる割合が小さくなりつつも、共存する形に落ち着くと思います。少なくとも、いわゆる"ネオデジタル・ネイティヴ"といった、新しい身体性を持ったさらに下の世代が消費者のメイン層になるにはもうしばらく時間がかかります。そのような理由から、音楽CDからダウンロード販売への変化のように、電子書籍の登場によって直近で全てが置き換わるとは思えません。あえて予測するならば、流動性が高くて、"情報"に近いもの、雑誌・新書・文庫の順に置き換わっていくのではないかと思います。 ──インディーズ・シーンにとっては電子書籍は有利だと。しかしネットに馴染みの薄い層に対しては浸透どころか、電子書籍がさらにデジタル・デバイドという情報格差を広げることにはなりませんか? 西田 そもそも電子書籍自体が、現時点ではイノベーターやアーリー・アダプター層に注目されている、いわば「エッジなもの」なので、「格差」があるのは当たり前。しかし、情報機器の利用はかなり高齢者まで浸透してきています。電子書籍は、地理的制約を越え、さらにいろいろなデバイスやプラットフォームから臨機応変にアクセスできるので、将来的には紙媒体よりも格差を縮める可能性があるのではないでしょうか。 ●にしだ・りょうすけ 1983年生まれ。独立行政法人中小企業基盤整備機構経営支援情報センターリサーチャー。慶應義塾大学政策・メディア研究科博士課程在籍中。東洋大学非常勤講師。専門は地域活性化の分析と実践。既存メディアでの言論活動に取り組む一方で、新しい書き手の発掘とメディアのハブをつくるproject「.review」でも注目を集めている。 <http://dotreview.jp/> ・イベント情報 「第十回文学フリマ」出店 日時:5月23日(日)/午前11時から午後16時まで 会場:大田区産業プラザPiO 『.review001』販売ブース:V-11 『.review』+V-12KAI-YOU合体出店 http://bunfree.net/ 【同日会場内トークイベント詳細】 「〈ミニコミ2.0〉~メディアと流通の機能~」 対談:市川真人(『早稲田文学』プランナー/批評ユニット「前田塁」)×西田亮介 司会:武田俊(KAI-YOU代表) 会場:同6FC会議室 日時:5月23日(日)/午後14時10分から15時30分まで(予定) ※要予約(http://kai-you.net/order/index.html) ※当日券あり 入場料:800円(『界遊004』とのセットの場合は1700円) 定員:55名 ※ニコ生にて同時配信決定!<http://live.nicovideo.jp/gate/lv17471902>
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【関連記事】 "Kindle""iPad"電子書籍端末という黒船に対峙する日本出版界最初の一手!! 業界大注目! 「リストラなう」日記が完全暴露する総合出版社・光文社の内情 出版業界震撼!「青少年育成条例」改正でロリマンガが消滅する!?

黒き鋼鉄と化した男の爆音復讐譚『鉄男 THE BULLET MAN』

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『鉄男 THE BULLET MAN』/5月22日(土) シネマライズ他全国ロードショー/配給:アスミック・エース/(C)TETSUO THE BULLET MAN GROUP 2009/http://tetsuo-project.jp/
 5月病からなかなか抜け出せずにいる人も、この映画を見れば嫌が上でも目が覚めるかもしれない。世界で人気の塚本晋也監督最新作『鉄男 THE BULLET MAN』(5月22日公開)だ。  塚本監督は1987年に『電柱小僧の冒険』で若手監督の登竜門PFFグランプリを受賞。89年の商業映画監督デビュー作『鉄男』は、「全身が鋼鉄の塊と化す男」という鮮烈な内容でいまでもカルト的な人気を誇っている。『六月の蛇』(02)ではベネチア国際映画祭審査員特別大賞を受賞し、同映画祭では審査員を2度努めるなど特にヨーロッパでの人気・評価が高い。脚本、撮影、美術、編集なども自らこなすこだわりの人でも知られ、そこから生み出される独創的な世界観は一度ハマると病み付きになる。  そんな塚本監督が、デビュー作にして代表作の『鉄男』20周年を記念して製作したのが、今回の『鉄男 THE BULLET MAN』。東京の外資系企業で働くアメリカ人、アンソニー(エリック・ボシック)がある日突然、愛する息子を何者かに殺され、人生が一変。絶望に打ちひしがれながらも事件の謎を追う。すると、解剖学者だった父親が関与する<鉄男プロジェクト>と呼ばれる謎の実験の存在に行き当たり、その事実を知って怒りに震えるアンソニーの体は、蒸気と黒いオイルを噴出する鋼鉄の銃器と化していく。  かつてハリウッドで企画開発されていた経緯があり、製作にはクエンティン・タランティーノも参加していたが実現には至らなかった。結局は日本映画として製作されたが、海外展開を意識して全編英語劇として完成。すでに昨年のベネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品されてワールドプレミアも行われた。満を持しての日本公開となる。  『鉄男』と『鉄男II BODY HAMMER』(92)のシリーズ過去2作とは、大都市・東京を舞台に男の体が怒りで鋼鉄の塊と化すというモチーフが共通するのみ。続編でもリメイクでもない新作として、過去作を見ていなくても問題ない。加えて、主人公の過去が明らかにされる過程や愛する人との絆などが描かれ、クライマックスの鉄男と謎の男と対決もアクション満載で、過去2作よりもストーリー性や娯楽性が増した。  なにより強烈なのがその音響だ。鋼鉄がうなりを上げるかのような破壊的な音が、劇場の限界ギリギリまで響き渡る。塚本監督は「上映時間は『アバター』の3分の1だが、見た後の疲労度は『アバター』の3倍は間違いなくある」と自信たっぷりで、実際にマスコミ試写では「試写室が揺れる」という現象も起こっているとか。  映像もCGは極力使われずアナログに徹しており、デジタル3Dが盛んな昨今、CGばかりの映画に見慣れた若い世代には、特に新鮮かもしれない。好き嫌いの別れる映画ではあるが、わずか71分の上映時間ながらも、見終わったあとはアドレナリンが全開に。その映像と音を文字通り体で受け止める"体感"映画として、季節柄ぼんやりしがちな脳ミソを刺激するには十分すぎる迫力がある。 (eiga.com編集部・浅香義明) 『鉄男 THE BULLET MAN』作品情報 http://eiga.com/movie/54774/
完全鉄男 『鉄男』から『鉄男 THE BULLET MAN』までの軌跡 徹底的に鉄男の世界。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 デビュー作『鉄男』の衝撃から20年! 塚本晋也監督の変わらない製作スタイル "小栗旬の後見人"山本又一朗が明かす『TAJOMARU』の過剰すぎる舞台裏!! 「走れ、考えろ、そして行動に移せ!」 SABU監督の熱気溢れる『蟹工船』

【ドボク対談】大山顕×西澤丞『Build the Future』はアイドル写真集だ!(後編)

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大阪大学レーザーエネルギー学研究センターのターゲットチャンバー室。
■前編はこちら ■『Build the Future』はアイドル写真集だ! 大山 取材の許可もらうのも大変ですけど、こうやって写真集にするのも大変じゃないですか。あのー、編集さんいる前でなんですけど、写真集って儲からないじゃないですか(笑)。 西澤 儲かんないっすよねー(笑)。 大山 だから写真家と編集者とが、悪巧みというか、共犯関係みたいにならないと写真集ってできないですよね。ぼくは、自分が写真集出すにあたってそれが素敵だなって思ってるんです。かっこいい! って編集者さんが惚れ込んじゃう、みたいな。七井(『Build the Future』の担当編集)さんはもともと好きなんですか、こういうの? 七井 西澤さんの写真がすごい好きで。実は、前の会社にいるときも西澤さんの写真集を出させていただいて。
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こちらは『Deep Inside』より。
大山 あー!『Deep Inside』(求龍堂)も七井さんなんだ! そうなんだ! 今回どうやって企画通したんですか? 七井 とにかく西澤さんの写真を見てもらいました。通常は企画書を出して説明するんですけど、この企画は西澤さんにA3で大きく写真をプリントしてもらって、「とにかく見てください!」と。 大山 どうでした、そのときの反応? 七井 写真を見た瞬間に、「やってみよう!」みたいな。 大山 あー! それ素晴らしいですね! あ、じゃあ企画通したときは西澤さんはすでに撮り終わっていたわけですよね。撮影に同行してないんですね。 七井 そうなんです、行ってないんです。 大山 それ、悔しくないですか(笑)。 西澤 でも、本物見てもこんな風になってないから「なんだよこれかよ」ってなっちゃうかもしれない。 大山 あー、分かります分かります。工場もねー、実際以上に美しく撮ってるので実際見に行って「写真と違う......」っていう人多いです。写真って嘘つきだからなー。 七井 そうなんです、樋口(真嗣)監督が帯で書いてくださっている言葉がすごく分かりやすいんですけど、たぶん社会科見学だけだとこの衝撃は得られないっていうのが本当で。西澤さんの目で切り取ってるこの写真で見たほうが、たぶん実際に見るよりもかっこよく見えちゃってるかも。 大山 そうそう。そういえばこの『Build the Future』見て思ったのは、「この写真って"なに写真"なんだろう?」ってことだったんですよ。単純に、いわゆるアート写真ってのがあって、もう一方に報道とかドキュメンタリー写真っていうものがあるとしたら、西澤さんのこの写真はどっちなんだろう? って。たぶん大きく言えばドキュメンタリーなんだろうけど、でもいま言ってたように、忠実に撮るようで忠実じゃないわけじゃないですか。かっこよく撮って「どう? かっこいいよね!」って。 西澤 単純に言っちゃえばそうなんだよね。 大山 で、ぼく気がついた。「これ、アイドル写真だ!」って。 西澤 あーなるほど。 大山 実際のアイドル見たらあんまりきれいじゃなかったよ、っていうのと同じ。でも、かわいいのは確かで、現場で盛り上がっちゃうっていうのと同じで。腑に落ちたんですよね。 七井 なるほどー、分かりやすい。そうですね。
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「レーザーディスクガラス保持治具の精密洗浄風景/
ここでは超純水を使った手作業での洗浄が行われる」(本書より)
■「耐震写真集」出したいですよね 大山 さっきの前書きの話ですけど、日本っていうところにやっぱりこだわりはあります? 西澤 そうですねー。自分の住んでいる国だからね。これから世界にいくようになれば、世界に変わるのかもしんないけど。 七井 でも、博士たちの話を聞きにいったときに、日本人ならではだなって思ったのがあって。日本て耐震構造を必ず設計に入れてる。 大山 おおー。 七井 海外ではそういうの想定してないので、震度3くらいでポロっといっちゃう。 大山 そうそう! 日本の高架橋のスペックもすごいんですよ。それがまたビジュアルに現れてて。初めて上海の高速道路の高架見たとき、おいおいそんなペラッペラで、大丈夫かよって、思った。でも地震なかったらあれで十分なんでしょうね。日本の見慣れてると、びっくりする。団地もそうなんだよなー。 西澤 そうかー。 大山 「耐震写真集」出したいですよね。 西澤 耐震!(笑)大山さんなんてぼくよりマニアックだと思うよ(笑)。 大山 いやいやいやいや(笑)。 西澤 だってほら、『高架下建築』(洋泉社)でしたっけ? すごいマニアックだなーと思ってさー。しかもよく企画通したなと思ってさ。 大山 いやでも、あれニフティの「デイリーポータルZ」で記事にしたら、アップされて30分後に編集者さんから出版打診のメールが来たんですよ。「こういう写真集が作りたくて、仕事を変えた者です」みたいなひと言が添えられて(笑)。
→この顛末はサイゾーウーマン『気鋭の女性編集者たちにとっての「ドボク・エンタテイメント」とは』でどうぞ!http://www.cyzowoman.com/2009/09/post_981.html
西澤 すごいね(笑)、運命の出逢いだなー。 七井 いやーそういうことですよ、そういうことですよ! 西澤 あと面白いのが、例えばこの写真ね、改修作業に入っちゃうからもう見れないの。今度は超伝導のコイル使うらしい。 大山 おおー! 七井 研究が終わるとどんどん崩してっちゃったり、解体しちゃうので、けっこう儚いんですよ。 大山 そっかそっか! それ面白いな! 確かに、実験器具なんですよね、施設っていうより道具なんだなー! 西澤 装置もどんどん変わってるんですよ。どんどん改修して実験の精度をあげてってるから。 七井 やっぱりアイドル写真集ですよ、16歳の今はここしかないんです!(笑) 一同 うまいなー!(笑)。
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那珂核融合研究所のJT-60。現在も日々、改修を繰り返している。
 どうでしょうか。ぼくとしては「ちゃんと取材企画書書こう!」って反省した有意義な雑談、じゃなくてインタビューでした。取材後、「飲みながら話した方がよかったかもね」なんて話も。すみません。いや、でも本当に有意義なお話しでした。編集さんとの関係も素敵。うらやましい。  そして"アイドル写真集"である『Build the Future』、本当にかっこいいのでみなさんぜひ買ってみてください!  あ、あと、チャンバー室の写真(この記事のトップ)を見ながらこんな会話も: 西澤 これもね、普段は装置を保護するジャケットがかかってるの。でもどうしてもそのジャケット外したときに撮りたいから、メンテナンスのときに呼んでくださいってお願いしたんですよ。 大山 やっぱりアイドル写真ですね(笑)。 西澤 そうそう、脱がしちゃった。着てちゃ画にならないから、って(笑)。 (取材・構成=大山顕) ohyama_nishizawa01.jpg ●にしざわ・じょう(写真左) 自動車メーカーデザイン室、撮影プロダクション勤務を経て2000年よりフリー。広告、広報の写真撮影を行っているが、なかでも、科学技術、工業技術の撮影には定評があり、その写真は国内外のクリエーターに影響を与えている。 http://joe-nishizawa.jp/ ●おおやま・けん(写真右) 公営団地を紹介するWEBサイト「住宅都市整理公団」総裁。団地や工場のほかにもジャンクション、水道管、螺旋階段、高架下建築、地下鉄ホーム、駅のパイプ群など幅広い鑑賞趣味を持つ。写真集『ジャンクション』、著書『団地の見究』ほか。 http://danchidanchi.com/
Build the Future この本の中には、科学の子の、「夢」がある。(出渕裕氏) amazon_associate_logo.jpg
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【ドボク対談】大山顕×西澤丞『Build the Future』はアイドル写真集だ!(前編)

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核融合科学研究所の大型ヘリカル装置内部。
写真集『Build the Future』より
 みなさんこんにちは。大山です。ぼくは工場や団地やジャンクションを撮って写真集出したりしている人間です。要するに、一般的に写真家と呼ばれる職業ですね。そう、今回なぜだか一介の写真家であるぼくが、インタビューをしました。しかも写真家に!  インタビューする相手は、先日素晴らしい写真集『Build the Future』(太田出版)を出版された西澤丞さん。ぼくの尊敬する写真家です。2006年に発表された写真集『Deep Inside』(求龍堂)では建設中の高速道路や原子力発電所の内部などが収められていて、これがものすごくかっこいい。ぼくの大好きな写真集のひとつ。  で、今回の『Build the Future』でも核融合研究施設や加速器研究施設など、ふつう入ってみることのできない空間の、超かっこいい写真を撮っておられます。  うらやましい!  インタビューは正直気が引けてたんですが、どうやったらこういう写真が撮れるのか、この際そこらへんを聞いてみたい! という下心もあって西澤さんと対談してきました。  そう、これ、インタビューじゃなくて対談、いや、雑談かも。 ■「かっこいい!」って言っちゃう 大山 『Build the Future』拝見しました。これ、本当かっこいいですね! 西澤 ありがとうございます(笑)。 大山 こんなにかっこいいものを目の前にしながら、どんな感じで撮ってるんですか? 「うおー!」とか言っちゃいません? 西澤 「かっこいい!」って言っちゃう。言いながら撮ってるよ。 大山 やっぱり(笑)。 西澤 例えばこの表紙の場所、実は2回行ってるんですよ。1回目はあまりのかっこよさに舞い上がっちゃって、人物を入れて撮影するのを逃しちゃったの(笑)。 大山 あはは(笑)。 西澤 それが表紙。 大山 舞い上がっちゃって撮るの忘れたって、いい話だなー。なんかこう、勇気づけられる。で、現場にいらっしゃる研究者の方々はそういう「かっこいい!」っていう感想をどう受け取ってるんですかね。 西澤 現場の方々は見慣れちゃってるから、かっこいいと思ってないんですよ。面白いのは、ぼくは研究者ではなく素人なんで、かっこいいと思ったとこだけ撮るじゃないですか。それは研究の本質じゃないところだったりする。で、現場の博士たちは「そこはそんなに重要じゃないんだけどなー」みたいな目線を送ってくる(笑)。 大山 ああ、分かる分かる。ぼくも工場に招かれて、かっこいいなあと思ったもの撮ってると「それよりこっちの方を見てもらいたいんですけど......」って言われる。博士たちは西澤さんが撮った写真見ても「これがかっこいいのかー。分からないなー」って感じなんですかね? 西澤 撮影したあと、「こんな風に撮らせていただきました」ってメールで写真送るんですよ。そうすると少し反応が変わる。で、こうやって本が出ると「撮ってくれて、ありがとう!」ってなる。 大山 おおー。 西澤 こういう施設って、今までこういう写真集にはなってないじゃないですか。だから、みなさんどういう感じに写るのか想像ができない。で、実際こういう形で目の当たりにして初めて、ちょっと理解できるんでしょうね。 大山 みんなもっと撮ればいいのにね、こういうの。もしかして、自分でも写真撮り始めちゃう現場の方いらっしゃるんじゃないですか? 西澤 いると思いますよ。 大山 それはやっぱり「かっこいい!」って思ってるんですかね。 西澤 うん、だと思いますよ。 大山 それいいな、それいい。
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「大型ヘリカル装置の超伝導コイルは液体ヘリウムで冷却されており、
その液体ヘリウムを制御するためのバルブ」(本書より)
よくわからないが、かっこいい。
■「泣ける企画書を書くんですよ」 大山 実は今回ぼくが一番お聞きしたいのは......こういう施設って、どうやって入れてもらって撮影許可もらったんですか? 西澤 (笑)それはねー、企画書書いて、泣き落としですよ。 大山 泣き落とし!(笑) 具体的にどう泣き落とすんですか? 西澤 いやーもう、泣ける企画書を書くんですよ。 大山 それは西澤さんご本人が。 西澤 もちろんもちろん、自分で書く。 大山 それはもちろん撮りたいがための言葉ではなくて、本気ですよね。 西澤 いやマジですよ、マジマジマジ。ぼくは博士みたいに研究はできないけど、撮影して発表するっていうスキルがある。そこでぼくのやるべきことがあるなっていう。博士たちの研究を通訳して発表するような、そんな感じですね。 大山 かっこいい写真一枚で説得力があるっていうのはありますよね。そういうのもっと利用したいですよね。 西澤 そう。海外ではすごく上手に写真を政治の道具に使ってるじゃないですか。 大山 そうそう! アメリカの新聞社のサイトとか、写真かっこいいんですよね。 西澤 うまいんだよねー。使い方もよけりゃ撮り方もうまいしさー。あーゆうの見てると、すごいくやしいんだよ。 大山 そう、すごいくやしい! 西澤 フランスなんてカメラマンを雇って核融合施設の写真をかっこよく撮らせて、世界中に送ってるんですよ。しかもそのカメラマンが日本の施設にも来るらしいんだよ。なんで向こうのやつがこっちにきて撮るんだよって!(笑) 大山 俺にやらせろ! って。 西澤 そうそう、俺にやらせろって思うよね、本当に。
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那珂核融合研究所。「高周波加熱装置の導波管/プラズマを加熱する為に、
1本あたり1000kWの高周波を伝送する」(本書より)
■「『かっこいい!』ってやられちゃうといいなー」 大山 実はこの写真集でぼくが一番グっときたのは、前書きなんですよ。これすごくいい文章で、たぶん、このインタビュー記事で書くべきことがあるとしたら、もうこの前書きにぜんぶ凝縮されてるな、と思って。 西澤 悩んだ、これ書くの何日もかかった。 大山 最後の段落で「この国にとって重要な~」ってあるじゃないですか。つまり、こういうことですよね。 西澤 それくらいのこと言う人、いま必要だと思うもん。 大山 現場に行ってそこで働いている方の話し聞くと、やっぱり感動しちゃいますよね。 西澤 そうそう。感動しちゃってこういう文章になっちゃうんだよね。これ必要なのか必要じゃないのか、日本はどこへ投資するのか、って考えながら撮るじゃないですか。 大山 おおー! 西澤 そうすると、勉強しないと撮れなくなっちゃうんです。博士たちの物理の話もよく分かんないんだけど、それが何を目的にやってるかっていうことは自分で把握しとかないと、本にならないんです。ぼくが理解しないと読者にも伝えられないと思ってる。 大山 すごいなー。やっぱりこれ見て、かっこいいなーって、たとえば、高校生とかが思って、こういう研究施設で働いてみたいとか、っていうのが......。 西澤 そうそうそう、それ。 大山 うんうん! ぼくも時々ね、『工場萌え』(東京書籍)買ってくれた大学生が、あれがきっかけで工場の研究所に働くことにしましたって言ってくださることがあって。 西澤 それ、うれしいじゃないですか! 大山 そう、すごくうれしいの。 西澤 それですよ。 七井(この本の編集者さん) ちょうど一昨日、高校の図書館さんから注文がきてました。 大山 ああ! いいな! 西澤 それいいね! いいですね。高校生くらいがみて「かっこいい!」ってやられちゃうといいなー。ぜひやられちゃってほしいなー。 大山 あー、ぼく、ちゃんと企画書書いて取材申し込むのやったほうがいいな、っていま反省した。このインタビューの収穫はそれだな。 西澤 そこかい!(笑) (後編につづく/取材・構成=大山顕) ohyama_nishizawa01.jpg ●にしざわ・じょう(写真左) 自動車メーカーデザイン室、撮影プロダクション勤務を経て2000年よりフリー。広告、広報の写真撮影を行っているが、なかでも、科学技術、工業技術の撮影には定評があり、その写真は国内外のクリエーターに影響を与えている。 http://joe-nishizawa.jp/ ●おおやま・けん(写真右) 公営団地を紹介するWEBサイト「住宅都市整理公団」総裁。団地や工場のほかにもジャンクション、水道管、螺旋階段、高架下建築、地下鉄ホーム、駅のパイプ群など幅広い鑑賞趣味を持つ。写真集『ジャンクション』、著書『団地の見究』ほか。 http://danchidanchi.com/
Build the Future 「もう、シビレるっ!」としか云えません。(庵野秀明監督) amazon_associate_logo.jpg
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「表現の限界とは何か──」 DVD『ムダヅモ無き改革』制作陣が挑んだ自由の臨界点

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各国首脳がマージャンで勝負!
 小泉が! ブッシュが! ジョンイルが! そして毛沢東が! 世界各国を代表する大物政治家たちが、卓という名のリング上でガチンコ闘牌を繰り広げる!  そんな前代未聞の麻雀漫画『ムダヅモ無き改革』(竹書房「近代麻雀」連載中)が、なんとアニメになってしまった。  監督を務めるのは、自主規制も条例も何のその。表現の自由に挑み続ける、日本で一番パンクなアニメ監督・水島努だ。今回は水島監督と、このブッ飛んだアニメの企画立ち上げから完成までを見守り続けた川瀬浩平プロデューサーによる、本作の見どころと制作ウラ話を無修正でお送りします! ──『ムダヅモ無き改革』がアニメになるとは、最初は全く信じられませんでした。しかも、完成した作品は予想以上にとんでもない仕上がりで(笑)。 水島努監督(以下、水島) 「水島さんが受けなかったら、この企画がなくなる」と川瀬さんに頼まれてしまいまして(笑)。ただ、作るからには原作のもうワンランク上のヤバさを出したいとは思っていました。 川瀬浩平プロデューサー(以下、川瀬) 最初は原作の大和田秀樹先生も交えて三人で「和民」で飲みながらで、何となく「東アジアいっとく?」みたいな流れになりましたね。
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麻生氏、鳩山幸氏、金正男氏など、
脇役も熱い!
水島 やっぱり話題性を出すなら、北の将軍様をやるしかないかなと。 ──世界各国の首脳がズラリと登場して麻雀で戦うという本作ですが、キャラが立ちまくりでどの登場人物も強烈ですよね。 川瀬 政治家ってエピソードが面白い人が多いんですよ。だから登場人物たちのキャラも立っているんだと思います。 水島 やっぱりキャラが濃くないと、国を切り盛りしていけないんでしょうね。 ──例えば麻生(太郎)さんもクレー射撃の選手ということで、作中では暗殺者をライフルで狙撃してみたり。 水島 『ムダヅモ』の中の麻生さんは、カッコいいですよね。ああいうカッコいい政治家がもっと出てきてほしいです。キャラの立った政治家が上でグイグイやってくれるといいなと思いますね。 ──鳩山首相の口から金星人が出てきて、宇宙からの侵略者であるミユキに操られていたっていうエピソードもすごい発想ですよね。 水島 だったらいいなって願望です(笑)。僕も大和田さんのシナリオを読んで、「だからか!」と全てのピースがカチッとはまったという感じです。 ──そういった一連のシーンに政治的な意図は全く込めていないのでしょうか? 水島 込めていないです。『ムダヅモ』を作る時に自分の中で決めたルールが二つあって、ひとつは政治的な意思を出さないということ、もうひとつがナショナリズムに走りすぎない。つまり、「日本はこんなに素晴らしい」という方向にいかないということです。それよりも、戦う男たちの暑苦しい国境を越えたカッコよさを出すように気を付けました。 ──作品が発表されてから、周囲の反響はいかがでしたか? 水島 いろいろな人から反響がありまして、「本当に大丈夫なの?」「拉致られないの?」みたいな心配ばかりされました(笑)。でも、圧力も批判も特になかったんです。みんな思った以上に大人だったんじゃないのかな? 川瀬 最近はネット上の小さな声も必要以上に大きく取り上げられてしまう。それがきっかけとなって問題になるなら、(過激な表現を)やめちゃおうっていう考え方がとりわけテレビでは顕著だと思いますが、それだとやっぱり作品は面白くならないと思います。特に今回は、せっかく水島さんを使うのならそれくらいの覚悟をもって追求しないといけないなと思っていました。 水島 それに本物の大物だったら、こんなところで何かやってても、「それがどうした」って思うはずですよね。 川瀬 だから鳩山さんに関しても、何も気にしてませんでした。むしろリリースする時に私人になっていたという点で、小泉(純一郎)さんや太蔵(杉村)さんとかの方が危ないと思いました。公人はいくらいじっても大丈夫なんですけどね。
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ティモシェンコ氏、温家宝氏も登場!
──表現の限界に挑戦しているという感覚でしょうか。 水島 そんなに大層なもんじゃないです(笑)。 ──表現ということでいくと、東京都の条例の件をはじめとして自主規制の縛りがが年々が強まってきつつあるように感じますが、ヤバいネタに挑戦している水島監督としてはどう感じているのかお伺いしたいのですが。 水島 実は、自分は取り締まれるものなら取り締まってもいいよってスタンスです。それに多少制約あった方が燃えるんですよね。燃えるというか、制約があるからこそアイデアが生まれるという風に思っています。日本のアニメだっていろんな制約があるからさまざまな作品が生まれてきたわけで、制約が増えることについては特に何も思わないです。まあ怒られたら怒られたで、全力で謝る準備はいつでもできています(笑)。 ──視聴者としてはここが一番気になるところだと思うのですが、続編が作られる予定はあるのですか? 水島 政治ネタということで、タイミングがなかなか難しいんですよね。それに北を超えるネタというと、ミドル・イーストあたり? あっちの方にはいきたくないなあ。怖いなあ?。 川瀬 ただこの手のギャグって、エスカレートしていかざるを得ないんですよね。そうなってくると、禁断の地に足を踏み入れないといけなくなってくる。でもそれが面白いかというと、必ずしもそうではない。 水島 その結果、1巻よりも下回る内容ならば作る意味がないと思います。おかげ様で思ったよりは売れてくれているのでたぶん出せるのではないかな? とは思いますので、ご期待ください。 ──では最後に、『ムダヅモ無き改革』の「ここが見どころ」というのを教えてください。 水島 みんながよく知っている人たちが、よく知っている麻雀を熱くうっている。そのバカバカしいけど清々しい、「熱い思い」を受け取ってほしいですね。政治家の写真と合わせてみてもらったら面白いと思います(笑)。 (取材・文=有田シュン)
ムダヅモ無き改革-The Legend of KOIZUMI- デラックス版:5,040円(税込)GNBA-1589 通常版:2,940円(税込)GNBA-1599 発売/ジェネオン・ユニバーサル 【デラックス版特典】 封入特典/スペシャルCD ・「ムダヅモ無き改革」オリジナルサウンドトラック ・テーマ曲  「ムダヅモ無き改革~勝利の闘牌ジュンイチロー~」  歌:小泉ジュンイチロー(森川智之) 映像特典/激突!麻雀大会(轟盲牌禁止ルール)  (出演:大和田秀樹、水島 努、玄田哲章、伊藤静) 音声特典/オーディオコメンタリー(大和田秀樹×水島努) 【通常版との共通特典】 大和田秀樹描きおろしジャケット ・各国首脳ブロマイド(5種類の内1枚封入) amazon_associate_logo.jpg
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トロフィーは青行灯!? 日本で唯一の怪談専門誌が選ぶ、大注目の新人怪談作家

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受賞者には、硝子の賞状と作品をモチーフに作られた
世界にただ一つの青行灯トロフィーが贈与される。
 5月11日、メディアファクトリーが主催する「第4回『幽』怪談文学賞授賞式」が行なわれました。「幽」は、本邦唯一の怪談専門誌。年に2回の刊行で、綾辻行人さん、京極夏彦さん、小野不由美さん、謎の覆面作家の山白朝子さん、有栖川有栖さん、福澤徹三さん、平山夢明さん、小池壮彦さん、安曇潤平さん、工藤美代子さん、加門七海さんなどが怪談作品を連載しています。そして「幽」怪談文学賞は、雑誌の「幽」から生まれた怪談文芸の新人賞です。ここからデビュー出来るのは、選考委員に認められた怪談作家だけ。審査員の面子は、小説家の京極夏彦さん、岩井志麻子さん、南條竹則さん、漫画家の高橋葉介さん、そして編集長の東雅夫さん。  同賞には長編と短編の2部門がありますが、今回は短編部門から大賞が2作品選ばれました。神狛しずさんの「おじゃみ」は京言葉の一人称で紡がれる怪奇譚。谷一生さんの「富士子」(「住処」改題)は主人公が発作的に旅先で民宿を購入してしまうことから始まる物語です。  不吉な数字の4がつく回、しかも怪談作品の授賞式と聞いて、会場はお化け屋敷みたいなところで、血のにこごりのような飲み物をみんなが啜りあっているに違いない。そんな風に想像を巡らせながら、会場に到着したのですが......。禍々しそうなのは、入り口近くに置かれた過去に出版された怪談本くらいで、会場は綺麗な白いクロスのかかったテーブルの並ぶホテルの大広間でした。綺麗な背の高い女性に、「お飲み物はいかがですか?」とワインを勧められて手に取り、あたりを見回してみると有名な作家や文芸評論家の方々がズラーリ。ううう......凄いなあと気押されつつも、受賞者のお顔がよく見える最前列をキープ。
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受賞者の神狛しず氏(左)と谷一生氏(右)。
 最初に、「幽」編集長の東雅夫さんによるスピーチがありました。 「今年は怪談作品の収穫も大きく、受賞作は作風も著者も対照的だった。怪談は生々しさがコアになる、インパクトを秘めたジャンル。これからもどんどん新しい人達を押し出して行きたい」  東編集長の言葉が終わると、選考委員を代表して、漫画家の高橋葉介さんのお話がありました。 「2作品の傑作が出て、めでたさも2倍となった。受賞作の、神狛しずさんの『おじゃみ』は、中身はかなりのスプラッタ怪談なのだけれど、京言葉ではんなりと和らげられている。例えて言うならば、毒のお菓子を砂糖でコーティングしたような感じ。もう一作の受賞作、谷一生さんの『富士子』は、選考委員一致で『いいよね』とコメントが出た。選考委員みんな、富士子さんの大ファンになってしまうほど、魅力的なキャラだった。この作品は、他人に変貌する怖さが書かれている」  高橋さんのコメントの後に、賞の贈呈式が行われました。受賞者に贈呈されたのは、名前が刻まれた、涼しげに透き通った硝子の賞状と、作品をモチーフにして作られた、世界にただ一つしかない青行灯トロフィー。どうして、トロフィーが青行灯かというと、百物語を行うには行灯に青い紙を張った、青行灯のもとでやるという仕来りが江戸時代にはあったそうです。また、百話目を語り終えると行灯のかたわらに立った、髪を逆立てた青行灯という鬼女が出るとも言われています。そんな伝承から、怪談作家に贈呈されるトロフィーとして青行灯が採用されたようです。  今年の「幽」怪談文学賞には512編もの応募が集ったと聞き、怪談作家への登竜門としての盛り上がりを感じさせられてしまいました。500を超える作品の中から受賞を勝ち取った、神狛しずさんは、粋な着物を着こなして登場。「怪談を書いているうちに、怖いが楽しみになって来た、ほんまおおきに」と、作品の舞台ともなっている京都の言葉で締めくくっていました。着物で語られる京言葉っていいなあと余韻に浸っていると、もう一人の受賞者である谷一生さんが壇上に登場。「審査員の岩井志麻子さんから、選評で、「富士子」は悪い女やないという言葉が嬉しかった。器量も性格も悪い中年女だけれど、愛おしい」と作中キャラ富士子を大アピール。  受賞作品については、今現在読んでいる最中なのですが、魅力的で癖のある内容の怪談がギュッと詰まっているといった感じです。詳しい選評を知りたい方や、実は怪談を書いていて、この賞に出してみたいという人や、ちょうど怖い話を先日体験したからこれから書いてみようかなという人。もし、いたら「幽」を読んでみて下さい。怪談小説だけでなく、諸星大二郎や、花輪和一、高橋葉介、押切蓮介、伊藤三巳華と漫画連載も豪華な面子が揃っています。これから先の季節、ぞぞっと怖い読み物を味わってみたいって人にもお勧めの雑誌です。ちなみにお二人の受賞作品は、5月21日に単行本として刊行されます。 (取材・文=田辺青蛙) tanabe_prof.jpgたなべ・せいあ 「小説すばる」(集英社)「幽」(メディアファクトリー)、WEBマガジン『ポプラビーチ』などで妖怪や怪談に関する記事を担当。2008年、『生き屏風』(角川書店 )で第15回日本ホラー小説大賞を受賞。綾波レイのコスプレで授賞式に挑む。著書の『生き屏風』、共著に『てのひら怪談』(ポプラ社)シリーズ。2冊目の書き下ろしホラー小説、『魂追い』(角川書店)も好評発売中。
幽 2010年 01月号 淳二の季節がやってきます。 amazon_associate_logo.jpg
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「クレイジーなほど面白い!」 最先端技術と伝統文化が生んだ新しいアートの魅力

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左からパネリストの八谷和彦氏、土佐信道氏、岩田洋夫氏、稲見昌彦氏。
 5月13日、早稲田大学にて「デバイスアート・シンポジウム」が行われた。早稲田大学の草原真知子教授が司会を務め、メディアアーティストの土佐信道氏(明和電機)、八谷和彦氏、筑波大学の岩田洋夫教授、慶応義塾大学の稲見昌彦教授、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のエルキ・フータモ教授がパネリストとして登壇した。  そもそもデバイスアートとは、コンピューター技術をはじめとする新しいテクノロジーを用いたメディアアートの一種で、アートとテクノロジー、そしてサイエンスが融合した最先端アート。デバイス(装置)という名のとおり、部品や技術を隠すのでなく、そのままコンテンツにしてしまうという斬新なアートだ。   もっと簡単にいえば、電化製品に代表されるような日本の高度なテクノロジーを、視点を変えてアートの分野に使ったら面白いんじゃない? という発想のもとに生まれたもので、この発想の背後には、日本的な感性やモノづくりの伝統というものが息づいているという。  今回、シンポジウムに参加したのは「デバイスアート・プロジェクト」のメンバー。これは国際的に活躍するメディアアーティストを中心としたグループで、芸術家もいれば科学者もいる。作品を発表するだけでなく、デジタルメディア時代におけるアートの意味や、日本のメディアアートに見られる「モノ」や素材への愛着、遊び心などの要素を分析し、理論化している。  エルキ教授によると、日本で生まれたデバイスアートは国際的にもメディアアートに貢献しており、そこには日本人が持つ"遊び心"という部分が重要な役割を果たしているという。西洋においては遊び心が理解されにくく、「クレイジーすぎるからやめよう」と何かやり始める前にストップしてしまうケースもあるが、デバイスアートという分野においては、「すごくクレイジーだからやってみよう」ということになる。試してみることによって、予期していた結果とは違うものになるかもしれないが、そこから生まれた技術を使って、また新しいアイデアが生まれるのだ。そんなユーモアや意外性、そしてエンターテイメント性が重視されるのも一つの特徴だ。
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パネリストたちご自慢の作品がスライド
ショーに次々と登場。
(上)笑う機械 「WAHHA GOGO」と
(下)電子楽器「オタマトーン」
(ともに明和電機)
「デバイスアートという言葉が世に出て10年経っていないが、実は日本に古くからあった文化が形を変えて現れたもの。テクノロジーや遊び心、映像文化など、日本人のビジュアルなものに対する関心というものが、こういう形になって出てきたと言える。デバイスアートは単にそこから作品を作っていくというクリエイティブな面だけでなく、そこから技術の研究としても重要である」(エルキ教授) ■何が「アート」か? 今年2月にUCLAで開催されたデバイスアート・シンポジウム「Gadget OK! Device Art in Japan」で取り交わされた議論を中心にシンポジウムが進むなか、一番白熱したのは、「何がアートか」という議題だった。 「最近すごく面白いのは、IVRC(国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト)とか工学系の学生が、僕から見ると『これアートじゃん?』と思うものをスポーンと作ってしまう人が出てきているんです」(土佐) 「工学系の作品が多く出てくるのかと思いきや、デザイン性が優れている作品が意外と評価されている。そういう意味では、アートやエンジニアリング、デザインとかといった枠で分けるのではなく、エッジなところでの"表現力"というところが評価されている気がする」(稲見) 「工学系でデバイスアートに関与しようと思う人の立場はかなり微妙なんです。"何がアートか"という問題にぶつかるんです。本人がアートだと思っていない、アート作品とは意識していないんだけど、誰かが見出すという可能性がある。そういうポテンシャルがあるものが単なる試作品で終わるか、作品になるか、それがどこで変わるかっていうのが面白いです」(岩田) 「大きく言うと、アートはヨーロッパから始まる芸術史・美術史を知らないと、現代美術の上で語ることはできないですよね。たとえば八谷さんは2つの空を飛ぶガジェットを作っているけど、『空飛ぶパンツ』は芸術史に組み込むのはなかなか難しい。けれど、ナンセンスマシーンの飛行機『Open Sky』はハマる。それが工学系のナンセンスマシーンを作っている人と、アートの文脈でナンセンスマシーンを作っている人の違いで、工学系の人が自力でアートの文脈に乗せてくるのは非常に難しいと思うんです。ただ、その2つはすごく接近している。岩田先生(工学系)と僕(アート)が隣同士で座っていること自体おかしいと思うんです。それが日本ではすごく近づいてきていて、その混沌とした状況がすごく面白くて、お互いにとって刺激になっていると思うんです。『明和電機プロダクション』みたいなのをつくって、そこで工学系の学生をスカウトしてデビューさせる自信はある(笑)」(土佐)    また、芸術家と科学者の違いは、作品を一般の人に見せたときの反応で分かれるという。 「一般の人が同じナンセンスマシーンを見たときに、必ず「で?(so what?)」という感想になると思うんです。芸術家は『これを作らないともうダメなんだ、この世が終わってしまう』と作らずにはいられないから作るんです。だから絶対に説明はしない」(土佐) 「科学者は「で?(so what?)」と聞かれたら、用途目的を説明しますね。もともと『こういう研究テーマがある』と学術的に意味があるということを主張して、科学研究費を獲るんです。だから後付けとしての報告書(論文)が必要」(岩田)  自分の美学を表現するために作品をつくるのが芸術家で、社会に還元されることを目的に技術開発を行うのが科学者。「装置」をつくりだす、という点においては同じでも、その視点には違いがあるようだ。一方のエルキ教授は、また別の見解を持つ。 「アートとはオープンなコミュニケーション。コミュニケーションの方向、展開、内容は前もって決められておらず、それは状況によって変わってくる。つまり優れたアート作品というのは、そこから人々が何らかの意味を汲み取ることができたり、そこに価値を付加したり、自分でその意味を変えることができる。デバイスアートにはこのオープンコミュニケーションという要素が強い。だからこそ面白い」  アートと大道芸的なもの、道具や工芸作品の棲み分けがあいまいな日本と違い、明確な線引きがある海外において、どれだけデバイスアートが受け入れられるかは未知数ではあるが、これからの発展が楽しみだ。 (取材・文=編集部) ・シンポジウム USTREAM(録画)
メディアと芸術 ―デジタル化社会はアートをどう捉えるか アナログなあなたに。 amazon_associate_logo.jpg
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『アイアンマン2』特別試写会に10組20名様をご招待!

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Iron Man 2, the Movie: (c) 2010 MVL Film Finance LLC. Iron Man, the Character: TM & (c) 2010 Marvel Entertainment, LLC & subs. All Rights Reserved.
 全米のオープニング・ウィークエンドで1億2812万ドルという記録的ヒットとなった『アイアンマン2』。全世界で3億2000万ドル以上の興収を上げているこの超大作が、6月11日より日本で公開されます。それを記念して、この映画の特別試写会の10組20名様をご招待いたします。詳細は以下より。 全世界を熱狂させた、型破りでリアルな次世代ヒーローが帰ってきた!! aianmen02.jpg  世界最大の軍事産業の最高経営責任者兼天才発明家のトニー・スターク(ロバート・ダウニーJr)。自社の製品が世界中に不幸を生み出している現実を知り、パワードスーツを開発したトニーは自らアイアンマンとなり、巨悪に立ち向かう。前作のラストで自らアイアンマンであることを世界に明かしたトニーに、新たな試練が待っていた。  パワードスーツの没収を政府から命じられる一方で、スーツの動力源であるアーク・リアクターの悪影響はトニーの体を急速に蝕んでいた。さらにアイアンマンを凌ぐパワーを持ち、激しい憎悪の炎を燃やすウィップラッシュ(ミッキー・ローク)が現れる。そして敵か味方かその正体を明かさない謎の美女、ブラック・ウィドー(スカーレット・ヨハンソン)も登場し......。  監督は、前作でその手腕を発揮し、脚本俳優としても映画界でマルチな才能を発揮するジョン・ファブロー。このシリーズを大ヒットに導いた手腕を買われ、次回作はスティーブン・スピルバーグのプロデュース作品『Cowboys & Aliens』の監督に大抜擢されるなど、ハリウッドの次世代を担う監督として大きな期待を寄せられている。 『アイアンマン2』 監督:ジョン・ファブロー 製作:ケヴィン・フェイグ 原作:ジェック・カービー、スタン・リー 脚本:ジェスティン・セロー 出演:ロバート・ダウニーJr、グウィネス・パルトロウ、スカーレット・ヨハンソン、ミッキー・ローク、ドン・チードル  配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン 6月11日(金) TOHOシネマズ スカラ座ほか全国ロードショー 公式サイト:<http://www.IRONMAN-MOVIE.jp> プレゼントの詳細  この映画の公開を記念して、特別試写会に10組20名様をご招待いたします。下記の試写会情報をご確認の上、応募フォームよりご応募ください。ご応募の〆切は5月21日(金)23時59分とさせていただきます。なお、当選の発表は商品の発送をもってかえさせていただきます。 ■日時:6月4日(金) ■時間:開場18:00/開映18:30 ■ 場所:九段会館ホール(千代田区九段南1-6-5) 応募はこちらから 【個人情報】 ■ご応募にあたり、ご提供いただく個人情報はサイゾーにて厳重に管理を行います。また、お客様の同意なしに守秘義務を負う業務委託先以外の第三者に開示、提供いたしません。 ■ご提供いただく個人情報は、『サイゾー』からの、お客様がご希望の場合の商品、キャンペーン等のご案内、アンケート等の発送に使用させていただきます。また、個人を特定しない方法で、マーケティングの統計データとして活用させていただきます。 ■今後、『サイゾー』からの商品の送付や媒体に関するご案内等をご希望されない場合は、下記連絡先までご連絡願います。 ■『サイゾー』が保有するお客さまの個人情報について、訂正・利用停止等をご希望される場合には、下記連絡先までご連絡願います。サイゾー 03-5784-0790 個人情報管理責任者まで