専守防衛──日本を支配する幻想 現実はマジでヤバい!
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専守防衛──日本を支配する幻想 現実はマジでヤバい!
漫画、アニメーション、その他の画像(実写を除く。)で、刑罰法規に触れる性交若しくは性交類似行為又は婚姻を禁止されている近親者間における性交若しくは性交類似行為等を、不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を妨げ、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの。現状の「不健全図書」指定制度に加えて、新たなものを付け加える必要の是非は、ひとまず置いておいて、よく分からないのは、どうしたら「不当に賛美し又は誇張するように、描写し又は表現する」ものだと判断されるのだろうか? 「あくまで、不健全図書にあたるかを決めるのは青少年健全育成審議会ですが、子どもとヤってイッてしまう描写などが、不当に賛美するものにあたると考えています」 と、話すのは東京都の櫻井美香青少年課課長。 櫻井氏は、不当な描写に当たるか否かは「作品の全体を見て判断するもの」だと話す。 作品全体を見て判断するというのであれば、作品の文脈にまで踏み込んで規制することになるのではないか。 ところが、櫻井氏はあくまでも「内容の規制ではなく描写の規制です」と説明する。 たとえば、漫画で書かれたキャラクターが、18歳未満のキャラクターであるか、性交している男女が近親にあたるかは、セリフやナレーションなどの文字を読んでいかなければ分からない。 だが、櫻井氏の見解では「描写=画像+セリフ」であり、内容規制ではないのだという。 それでは、古典文学の名作『源氏物語』はどうだろう。よく知られているとおり、現在では触法するような性描写を数多く含んでいるし、幾度も漫画化されているのだが......。 「それも描写の内容によります。『源氏物語』の原作には、葵の上とヤッたとか明確に書かれているわけではない。それを、もし性器が露出していないにしても、微に入り細に入り描写したとすれば、それは単に『源氏物語』の呈を借りているだけのものと、判断されるでしょう。もちろん、個別の作品を読んでみなければわかりませんが......」(櫻井課長) 櫻井課長は今回の条例案は「非実在青少年」問題で紛糾した前回と「言っていることは変わらない」ものだとも話す。 「前回の条例案は年齢などが描いてあるものの、どういった行為が当てはまるのか明確ではなかった。そこで今回の条例案では、施行規則で定める予定だったものを含めた形になっているんです」(櫻井課長) ようやく明らかになった条例案だが、前回は反対に回った民主党の足並みが揃っていないという。 「(前回、反対に回った)民主党の都議は"エロ議員"と呼ばれて批判されているという話もある」(事情通) 民主党内部で、反対に回ることを恐れさせている原因は、来年の都知事選にまで問題がもつれ込むこと。一部の議員は候補者が批判される材料になると懸念を抱いているのだという。 今回の条例案には、前回と変わらず漫画やアニメに影響を及ぼす可能性のある部分以外でも、さまざまな問題点が見て取れる。賛否をめぐって熱くなる前に、まずは冷静に条文に目を通していくべきであろう。 (取材・文=昼間たかし)
非実在青少年〈規制反対〉読本 読んでおくべき。

資金は普天間も軍用地主?
先日、当サイトに掲載した記事で、辺野古の"テント村"で座り込みを続ける「ヘリ基地反対協議会」に殴りこみをかけたらしい幸福の科学教団。「いちゃもんをつけられた」一人である同協議会事務局の言い分は既報の通りだ。しかし、どんな喧嘩も双方の言い分を聞くのが傍観者(?)たるサイゾーの役割。ということで、今回はもう片方の当事者である幸福の科学教団沖縄支部を直撃。28日に投開票が行われる沖縄県知事選に、幸福実現党から立候補を表明している金城タツロー氏が対応してくれた。以下、その一問一答。
――先日、辺野古でテントを張って座り込みをされている方にお会いしたら、「幸福の科学が来て文句を言って帰った」と話していましたが。
金城氏(以下、金城) 幸福の科学といいますか、幸福実現党の役員のことですね。私は少し離れたところにいたんですが、ちょっとやり合ってましたね(笑)。うちが「本当にジュゴンなんているのか?」と聞いたら、ジュゴンの写真を出してきたんですが、オーストラリアの海のようにも見えるんですよ(笑)。これは辺野古の写真じゃないだろうと言ったら「おまえらは誰だ、どっから来たんだ」と。それで少し言い合いになったみたいです。
――ジュゴンがいるかどうかは議論が分かれているようですが、いる可能性も否定できません。
金城 ですのでそこをしつこく聞いたんですが、そのうち「自分らはジュゴンの命じゃなくて、人間の命を守るためにやってるんだ」と話が変わってきた。人の命を守るなら中国の脅威から国民の命を守るために基地が必要なんじゃないかという話をしたんですが、「中国とは貿易もしてるし、あの国がそんなことをするわけない」と話にならない。彼らは資金提供をどこから受けているんでしょうかね。一説には普天間の地主が資金提供してるなんて話もありますが。幸福の科学の信者さんの息子さんの同級生の子が「うちの親はテント村に金を出してるよ」と言ってたそうですから。移転先を県外だ、国外だ、と言えば言うほど普天間が固定化される。そのために言ってるのではないかと勘ぐらざるを得ませんよね。(注:「テント村」を運営しているヘリ基地反対協議会は「全国からのカンパによる」との説明。関連記事参照)
――辺野古区の住民の声はお聞きになっていますか?

金城氏。
金城 もちろん辺野古には何度も足を運んでます。「代替施設安全協議会」で活動されている市議ともお話をしてきましたが、辺野古区の7~8割は条件付き容認だと明言されていました。辺野古区はもともと、名護町(現名護市)に隣接した「久志(くし)村」という自治体で、キャンプシュワブを誘致したために水道や電気などのインフラ整備が進んだんです。それをうらやんだ名護町の要望で合併して今の名護市になったという歴史がある。ですから、一律に「名護市の民意」といっても単純に一体化できないんです。ほとんどの名護市民は辺野古区に行ったこともないはずで、どんなところかも知らないはずです。そういう人たちが反対している例だってあるわけです。
――辺野古区にも反対している方は多いと思いますが。
金城 ただ、地元の声を聞くと反対の理由は「基地ができてもメリットがないから」と言うんです。実は今すでに基地の付帯施設の建設が数百億ほどの予算で始まっているんですが、4、5社ある請負業者はすべて名護市中心部にある企業で、辺野古区の建設会社は使っていません。つまり、辺野古区の反対派も、きれいな海を守りたいという理由で反対しているわけじゃないんですね。
――在日米軍専用基地の75%が沖縄に集中している現状への批判もあります。
金城 誤解している県民が多いのですが、辺野古に移転すると基地負担は減るんですよ。辺野古沖に2014年までに飛行場を建設した後は、嘉手納から南はほとんど返還されますし、8千人の海兵隊はグアムに移るわけです。これこそまさに基地負担の軽減じゃないですか。他の候補者はこういう事実を言わないから県民も知らない。私はメディア側の世論の誘導の仕方に問題があると思っています。米軍基地に関するネガティブな報道は山のようにされていますが、アジア地域の危機とそれに伴う基地の必要性について十分な報道がなされているとは言えません。
――具体的にはどういうことでしょうか?
金城 あくまで一例ですが、中国では06年頃から、北京大学の教授らが「琉球(沖縄県)は中国の領土だ」という論文を20本くらい発表していますし、中国国内の教科書には「尖閣は中国のもの」と記載されているそうです。また、沖縄のメディアは報じませんが、「道の駅かでな」(嘉手納飛行場が一望できる展望台付き施設)で「リムピース」という反戦平和団体がテレビカメラで嘉手納基地を撮影していたことが産経新聞で報じされました。ちょうど北朝鮮で地下核実験が行なわれたときで、WC135大気収集機(通称コンスタントフェニックス)という放射能探知するアメリカの軍用機を嘉手納に駐機していたんですが、彼らはそれを撮影していたんですね。「リムピース」はなぜ北で地下核実験があることを知っていて、さらにフェニックスがあると分かったのか。
――「リムピース」が北朝鮮側と通じていたということですか?
金城 そう考えるのが妥当でしょう。中国からも観光客に混じって米軍基地監視団が頻繁に沖縄入りし、米軍基地に詳しい沖縄のある人物と接触しています。その人物は、県内の革新系の政治団体によく出入りしている人物です。ということは、中国とその革新系団体とはつながりがあると考えるしかない。そういう危機的状況を沖縄メディアはまったく報じず、米軍のネガティブキャンペーンばかりをしている。私は、沖縄における反米闘争というのは、中国による日米離間作戦の一つだと思っています。中国は安倍内閣時代に、従軍慰安婦問題で徹底的なロビー活動をしました。アメリカのロビー会社100社以上に何十億円という国家予算を投じ、「日本は中国へ謝罪すべし」と働きかけました。そういう日本とアメリカをかい離させる作戦を、いま沖縄というステージで工作員が行っているわけです。こうした事実を県民はもちろん、国民はもっと知るべきではないでしょうか。
(文=取材・浮島さとし)
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7年目を迎えた「テント村」
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先として、新基地建設が計画される同県名護市辺野古区に、テント小屋(通称「テント村」)を建てて建設反対の座り込み運動を6年以上続けている左翼団体がある。"テント村"には団体の事務局員が陣取り、訪れる人に「辺野古移転」の理不尽さを説いている。また、基地移転に反対する一般人も自由に出入りが可能で、左翼イデオロギーを持つ全国の人々から「辺野古テント村がんばれ!」と熱い視線を集めている。いったい誰がどんな思想で仕切っているのか。テント村の立ち上げからこの運動に携わっている事務局の篠原孝子さんに、辺野古区のテント村で話を聞いてみた。
――暑い中おつかれさまです。篠原さんは沖縄でお生まれになったのですか?
篠原さん(以下、篠原) 私は岐阜の出身です。沖縄に9年ほど前に移住したのも、あったかいところでのんびり暮らしたかっただけで(笑)。政治にも関心がないほうだったんですが、イラク戦争の前に、アメリカ総領事館(浦添市)の前でハンガーストライキをしてる人たちがいたんですね。私、それまで平和運動とかをしている人に出会ったことがなかったんで、「何でそんなことしてるんですか?」と聞いてみたら、沖縄の基地がベトナム戦争の頃から他国の戦争に加担しているという。それまで私も、米軍基地は日本を守ってくれていると単純に思ってたんですが。そこから初めて政治や平和というものに関心を持ち始めました。
――この「テント村」はどこの組織が管理しているのですか?
篠原 ここは「ヘリ基地反対協議会」(安次富浩代表)という名護の市民団体が運営しています。ここに来るのは別に何かの組織の人ではなくて、市民運動として「辺野古に基地を作らせない」という一点だけで、非暴力をモットーに誰でも参加できる場所です。座り込みが始まったのは2004年の4月19日で、今日(11月10日)で2,397日目になります。
――"絶滅危惧種であるジュゴンの生息地の生態系を守るため"とも主張していらっしゃいますが、「ジュゴンなんて本当にいるのか?」という声も一部にあります。

辺野古岬を望む。ジュゴンはいるのか?
篠原 辺野古海域や大浦湾には、絶滅の危機にあるジュゴンのエサとなる海草藻場が広がっていて、ジュゴンはそれを食べにやってきます。いないと言っても、実際に「食み跡」があるのだから「いる」わけですし、国は「辺野古海域にはいないから埋め立ててもいい」とまで言ってますけど、良好な海草があればそこから今いるジュゴンが増えていく可能性があることは専門家も指摘しています。それに実際、大浦湾に設置した防衛局のカメラでもジュゴンは確認されていますよ。
――現実に普天間基地は危険性が高いわけですが、どこかに移転する必要性については?
篠原 実はそれが多くの国民が誤解している点なんです。普天間飛行場があまりに危険なために早くどこかへ移転しなければならない、辺野古移転もやむなし、という空気を作っているのは日米政府によるまやかしなんです。あまり知られていませんが、辺野古案というのは40年以上も前からあった計画です。1966年の米海軍のマスタープランに、キャンプ・シュワブの辺野古海域に飛行場を、さらに北側にある大浦湾を米軍の一大軍港にするという計画がすでに盛り込まれていました。そのときはアメリカの財政難や地元住民による抗議運動により計画は実現しなかったのです。米軍としては40年来の念願が叶うわけで、普天間の件とは関係ないんですよ。一方で日本のメリットは、ゼネコンの利権と陸上自衛隊の共同使用だと思います。米軍は普天間の危険性を口実に、日本のお金で新基地を作らせようとしているだけなんです。
――基地が縮小することで中国の脅威が増すという指摘もあります。
篠原 基地がないと攻められるというならば、なぜ今これだけの基地があるのにそういうことが起こっているのか。抑止力になっていないという証拠ではないでしょうか。日米同盟についても、アメリカは尖閣諸島を日本の領土である旨を中国側へは強く主張していませんよね。アメリカが日本を守ってまで中国と戦う意思はないという表れではないでしょうか。
――アメリカは伝統的に他国の領土問題には介入しない立場なわけですが......。「基地さえあればアメリカが助けてくれると思っているなら考えが甘いですよ」ということですか?
篠原 そういうことです。そうなると、今度は自衛隊を強化して自主防衛を......という話になるわけですが、それをしたら中国は「向こうがその気ならこっちも」となる。イタチごっこです。それより、今の日本の外交力は著しく落ち込んでますから、武力より外交力の強化に政治エネルギーを注ぐべきです。中国が交渉にのらないのなら、他国を通して国際世論を利用し、その中で日本の考えを理解してもらうという方法もあると思います。
――日本が武器を減らしたのを見た中国が「じゃ、うちも減らそう」と考えるでしょうか?
篠原 もちろん単純ではないとは思いますが、一気に基地をゼロに減らすということではなくて、今回は普天間基地を一つ減らすという限定的な話なんですね。その反応を見ながら次の一手を考えていく。普天間をなくしたら即中国が攻めてくるという話は無理があります。
――動画サイトの「YouTube」に「尖閣ビデオ」が流出しました。あれをどう思われましたか。
篠原 動画の通りであれば、あの船長を釈放したのは明らかに間違いですし、さきほどの「日本の外交力の弱さ」が露呈したということだと思います。どうして日本は自分で決断して他国としっかり交渉していくことができないのか。そこに歯がゆさを感じます。そこをしっかりやってから軍備を議論するなら分かるんですが、一番大事な「自分の国をどうしたいのか」という議論を避けて、「とにかく軍備強化だ」というのはどうしても納得できないんですね。
――宗教団体の「幸福の科学」が抗議をしてきたとお聞きしましたが。
篠原 はい、辺野古の浜のキャンプ・シュワブとの境界線にある有刺鉄線のところでお話をしたんですが、「辺野古に基地を作らないと中国が攻めてくる」と言うんで、どうしてそう思うのかと聞いたら「自分らのところにはペンタゴン(米国防総省)から情報が入ってくる」と言う(笑)。具体的なことは言いませんでしたが。マスタープランのことを言っても、珊瑚の破壊やジュゴンの話をしても論点をすり替えてまともに答えが返ってこない。幸福の科学のポスターに「世界の人たちが幸せに」と書いてあるので、これまでの米軍の殺戮行為の話を出しながら「矛盾しているじゃないか」と言ったんですが、納得できる答えはありませんでした。
――篠原さんはヘリ基地反対協議会の専従職員なのですか?
篠原 いや、職員というよりは事務局のアルバイトとして働いているという認識です。基本は私自身、あくまで個人として活動しているというつもりですので、そこは立場を明確にしたいと思っています。「お金がどこから出ているのか」とよく聞かれるのですが、ヘリ基地反対協議会は公式サイトなどを通して全国へカンパを募っていて、その資金で運営されています。毎月決まった額を寄付してくださる方もいますし、現地へ来て直接手渡してくれる方もします。原資はそこからということになります。
――全国の読者へお伝えしたいことは?
篠原 防衛問題に無関心でいたり、事実を知らなかったりすることで、理不尽なことをあたりまえのように担わされてしまう怖さを、沖縄に住んでみて実感しています。そのしわ寄せが沖縄にすべて来ていることもです。海兵隊が何をしているかを検証すれば、日本に駐留する必要がないことは理解できるはずです。日米安保の不都合な部分を知らせずに恩恵を受けているのは誰なのか。また、その利権によって、納税者である国民の生活保障が削られていることも、多くの人が自覚してほしいと思っています。
(取材・文=浮島さとし)
ジュゴンの海と沖縄―基地の島が問い続けるもの 基地問題のキーパーソン(アニマル)?

新宿駅東口改札で出てすぐのところにある
「ベルク」。
本サイトでもたびたびルミネによる立ち退き問題を取り上げてきた新宿駅東口の名物ビア&カフェ「ベルク」(記事参照)。
ファン1万5,000人超の署名に支えられ、めでたく20周年を迎えようとしているが、ルミネ側はいまだに態度を変えておらず、10月初旬、再び2011年3月までの退店を迫る通知書を送付してきたという。
このルミネの行為に、定期借家制度【※】の実現を推進してきた中村てつじ民主党参議院議員は、Twitter上で「新宿『ベルク』の件、これが本当ならば大変なことだ。普通借家契約をしている借り主は守られている。家主が定期借家への切り替えを迫っても違法。これを許せば定期借家制度を作ったこと自体が批判されかねない」とコメントしているが、政治家に違法行為を指摘されてまで、なぜ、ルミネは、ベルクの立ち退きに固執するのか。
その理由をさぐるにあたって、まずは先ごろ、『食の職 小さなお店ベルクの発想』(ブルース・インターアクションズ)を上梓したベルク副店長・迫川尚子さん、そして同店長の井野朋也さんに話を聞いてきた。
──『新宿駅最後の小さなお店ベルク』に続くこのベルク本第2弾では、具体的なメニュー開発や食材選び、ベルクが誇る3人の職人さんのインタビューなど、随所に"味"へのこだわりが見えますが、意外にも(?)自分たちの趣味に走らず、きちんとビジネスとして成立させるために腐心されているのに、改めて関心させられました。
井野 そう、ちゃんとビジネスとして成立させるのが大事なんです(笑)。とくにベルクはこの新宿という場所に惹かれて始めたので、この場を最大限に活かすには"早い、安い、美味い"を極めるしかなかった。でも、最初の頃は、コンサルタントの方に、"自分たちだけの判断では絶対、趣味に走り過ぎるから"ってアドバイスをもらっていたんですよ。膨大なデータをもとに『この味はまだ×年早い』という分析が具体的かつ的確で、そこはさすがにプロでしたね。でも、職人はそういうデータには反発するから、プロデューサーとしてその間に立って味を決めるのが僕らの仕事になるわけです。
迫川 その際、普通は100人に支持される味と1000人に支持される味とでは、後者のほうが味が落ちるイメージがありませんか? でも、ベルクでは、多くの人の支持を得るために無難な味にするようなことは絶対しない。そういう意味で、味が最優先なんです。
──"早い、安い、美味い"というのは、ファストフードの基本とされていますが、でも、現実には、"早い、安い"はあっても、"美味い"まで並立させているお店は、なかなか見当たりません。
井野・迫川 そこは、ベルクの場合、本当に職人たちのおかげです(声を揃えて)。
──本書では、そんなベルクの職人さんへのインタビューも見どころのひとつになっていますが、ソーセージ職人の河野仲友さんが、あえて値段の高い腸を使って仕事の効率を上げ、値段を据え置きにするというエピソードには驚かされました。原材料費が高くなれば、そのぶん商品の価格に反映させるものだと思っていましたから。
迫川 あの話には私も目からウロコでした(笑)。『いい腸を使うと作業効率が上がるから、かえって時間単価は安くなっちゃう』って。要するに、ソーセージの価値は上がっているのに、職人の腕で実質的に値下げをしているわけですからね。ソーセージだけじゃなく、パンも、天然酵母を使いつつ、職人の高橋康弘さんの腕で安くしてもらっているようなもので、本当に助かっています。
井野 しかも、お客さんも分かっているから、パンを注文したときに『バターはいらないよ』って言ってくださる方が多いんです。今、バターも値上がりしているから、すごいコスト削減になっています(笑)。
■"食の安全"には殺菌・除菌!? 過剰な浄化志向が辿り着く先とは
──ベルクでは、職人さんだけでなく、スタッフの方もアルバイト・社員の隔てなく重要な戦力とされていますよね。特に、企業が常時取り替え可能な働き手として派遣や契約社員を重宝させているなかにあって、あえて長期スパンで行う社員教育は、業界に関係なく、理想的なように見えました。ただ、ノウハウを学んで独立されたら、正直、困る、ということはないのでしょうか?
迫川 たしかに以前は複雑な気持ちになりましたが、うちのコーヒー職人である久野(富雄)さんをみて考えが変わったんです。というのも、久野さんは全国でコーヒー焙煎の講習をしているんですが、それはなぜかと尋ねたら、『情報を共有することで業界全体のレベルを上げていきたい』と言われて。それ以降、独立するスタッフにも、どんどん面白いお店をつくっていってもらえたら、と思うようになりました。
井野 ただ、ベルクで得たノウハウを活かして独立しようと思っても、今はかなり不可能に近いのが現実です。というのも、飲食店の設備投資には数千万円単位のお金が必要で、さらにそれを回収するまでには最低でも十年ぐらいはかかりますが、1999年に借地借家法が改正されて定期借家制度が導入されたことで、賃借側である僕たちは通常2~3年という短期の定期契約しか結べず、しかも賃貸側から『契約を更新しません』と言われたら、契約終了後に出ていかなくてはいけなくなってしまったんです。そうなると、ベルクのような個人店をターミナルビルに出店するのはほぼ無理。こうした営業権の問題が見直されれば、ベルクも支店を出せるし、やる気のあるスタッフにはより明確な目標をもって働いてもらえるようになるのですが......。
──中村議員のつぶやきが端的に示しているように、この定期借家制度には改善すべき点がいくつかありそうですね。ところで、相変わらず立ち退きを勧告しているルミネ側とは、契約だけでなく、衛生管理をめぐっても"プチ・バトル"を展開中だそうですが。
迫川 ルミネさんが無料で定期的に衛生検査をしてくれるっていうんで、最初は喜んでいたんです。ところが、毎回すごいんですよ。『菌が出た』って。でも、菌って、当たり前のように存在しているんです。保健所なんかは"無菌なんてありえない"ということが分かっていますが、ルミネ指定のその業者さんというのは、もともと業務用洗剤の製造販売を手掛けていて、とにかく"殺菌・除菌"という発想なんですね。でも、そんな口に入れられないような薬品なんて厨房に入れたくないし、そもそも店を清潔にするには重曹と石鹸で十分。先方は、『菌が強くなっている』というのですが、それは、薬品に頼っているから薬品に対して強くなっているんであって、菌の繁殖力自体は弱まっているんです。化学薬品は悪い菌だけでなく、善い菌も見境なく殺しますし......悪循環ですよね。
* * *
過剰な浄化志向は、「ルミネはファッションビルだから」という理由だけで立ち退きを迫るルミネ側の姿勢と相通じるものを感じさせるが、ルミネだけでなく、それを是とする人々にしてみれば、ベルクのような個人経営の飲食店は、取り除くべき"異物"と映るのかもしれない。実際、本書を通じて語られる"ベルクの哲学"というべき食に対する姿勢──たとえば、なるべく作り置きはしない、なぜなら新鮮さが失われて味が落ちるから、など──は、一般的なファストフード店や企業とは正反対で、異質だ。
と同時に、そんな同店の立ち退き反対に1万5,000人超もの人が声を上げたのは、それが、"健康体を維持するためには、本来、人間が持っている抵抗力を失わせてはいけない"という、人間の本能に突き動かされた人々のレジスタンスだからなのではないか──2人の話に耳を傾けていたら、ふと、そんな気がしてきた。
(文=編集部)
【※】定期借家制度
1999年の借地借家法の改正により導入された賃貸契約の新制度。賃貸住宅市場の活性化がその目的で、借り手にとっては家賃が安くなるなどのメリットが生じるとされたが、それまでの借地借家法では、大家が立ち退きを求める場合、「正当事由」が必要だったのに対して、契約期間が終われば家主の通告で契約が打ち切れるなど、家主の権利が大幅に強化されることになり、「追い出し」などへの懸念が指摘され、野党が強く反対していた。
●ベルクHP<http://www.berg.jp/>
食の職 小さなお店ベルクの発想 味に対するこだわりとベルク愛がつまった1冊。
新宿駅最後の小さなお店ベルク 大反響を呼んだベルク本第1弾。
徹底予測 中国ビジネス 仲良くしようよ!

刑事処分か、はたまた行政処分なのか。
現場は混乱を極めている。
中国漁船衝突シーンのビデオ映像流出事件は、その後の雲行きが怪しくなってきた。
「自分がやった」と上司に告白した神戸海上保安部のベテラン保安官(43歳)は、昨日10日に警視庁の事情聴取を受けたものの、逮捕令状の執行は見送られたからだ。今日11日も引き続き聴取は行われているが、逮捕されるかどうか不透明な情勢が続いている。
新聞・テレビ各社では、「このまま逮捕方針を伝えていても大丈夫なのか」と上を下への大騒ぎ。読者や視聴者からは「逮捕されない事情があるのではないか」「誤報だろう」と問い合わせも相次ぎ、事態は混沌としてきた。
大手紙の社会部記者が事情を説明する。
「事情聴取に当たっている警視庁捜査1課は、国家公務員法の守秘義務違反で保安官を逮捕するつもりでいましたが、警察庁と検察庁が『待った』をかけたんです。というのも、衝突現場の当事者である石垣海上保安部の職員が漏らしたのなら『捜査情報の漏えい』に当たるわけですが、事情は一変。神戸にいながらビデオ映像を入手できたとなると、いわゆる研修用ビデオとしてふだんから保安部同士で互いに利用し合っている現場映像のひとつに過ぎず、職員なら誰でも利用できる類のものであるなら、行政上の資料を外部に持ち出しただけであり、刑事処分ではなく、行政処分で済むケースかもしれないのです」
実際、新聞・テレビに登場するコメンテーターからも、逮捕状の執行に異論が噴出。例えば、情報管理に関する法制に詳しい堀部政男・一橋大名誉教授は各社の取材に対し、国家公務員法違反の要件となる「職務上知り得た秘密の漏えい」なのかどうか、はなはだ疑問と指摘。最高裁判例ではこの「秘密」というのは、情報開示せずに公務員側が保護しておくに値する情報に限られるとしており、すでに国会議員に一部開示されたものを今さら「秘密」と言うには問題が多く、逮捕しても起訴できないのではないかとコメントしている。
「警察庁も検察庁も、幹部たちはこうした新聞・テレビでの専門家のコメントが世論に与える影響力を非常に気にしている」と司法クラブ記者。
こうした逮捕をめぐる議論にさらに拍車をかける事態も起きている。
日本テレビ系列の在阪局「読売テレビ」の記者が、取り調べ前に神戸の海上保安官本人を直接取材していたとする独占ニュースが10日夕のニュース番組内で流れ、この中で保安官は、インターネットにアップした動機について「あれを隠したままでいいのだろうか。闇から闇に葬られてしまうのでは。国民には映像を見る権利がある」と、公益性をアピールするような告白をしたのだ。
この報道に新聞各社は衝撃を受け、ニュース価値があると判断。同日夜、朝日、読売、毎日が自社ホームページのニュースサイトで次々とこの読売テレビの報道を転電するという、これまた異例の扱いを行った。
「民放テレビ内の報道にとどまるなら、捜査当局も無視できた。ところが大手紙3紙がこぞってこの報道を伝えたことで、いわば全国中に知れ渡ってしまい、この事前インタビューの存在によって『やはり逮捕するな』という声が高まれば、逮捕に重大な影響を与えかねないのです」(前出・社会部記者)
そうでなくても海上保安庁には、保安官の自首前から「犯人捜しをしないで」とビデオ映像を流出させた人物をかばう声が殺到し、むしろこれまで隠し通してきた菅直人政権の姿勢を批判する世論がじわじわと形勢されている。
捜査当局では、このあやふやな政権に乗っかって保安官に逮捕状を執行していいのか、逡巡が続いているのだ。
情報セキュリティガバナンス―情報漏えい対策と内部統制 徹底させなきゃ。

宇賀神さんの著書『ぼくの翻身』(模索舎)。
■前編はこちら
1970年代に東アジア反日武装戦線のメンバーとして、社会を震撼させた「連続企業爆破事件」に関わっていた宇賀神寿一氏。指名手配から7年間にわたる潜伏後、82年に逮捕。90年に懲役18年を言い渡され、03年に刑務所を出所するまで21年間の獄中生活を送った。その後の「救援連絡センター」メンバーとしての活躍は前編の通り。後編では、その「事件」に至るまでの経緯をうかがった。
高校時代から左翼運動に関わり始めた宇賀神氏。在日コリアン問題や下層労働者の問題に取り組み、「東アジア反日武装戦線」に参加。このグループには死刑判決を受けた大道寺将司 、益永利明や無期懲役判決を受けて服役中の黒川芳正、現在も逃亡中の桐島聡らが参加していた。
三菱重工や三井物産、大成建設などの大企業を標的にした連続企業爆破事件では、宇賀神氏は鹿島建設と間組の爆破事件に関与していた。はたして、その事件の裏にはどんな思想があったのだろうか?
――「連続企業爆破事件」では、鹿島建設と間組の件に関わっていますが簡単に概要を説明していただけますか?
「僕らは建設会社を標的としていました。鹿島建設が戦時中に起こした花岡事件を問題視したのがきっかけです。鹿島建設では戦時中、秋田県の花岡鉱山に中国人を強制連行し、過酷な労働により、虐待・殺害しました。敗戦後、建設会社は中国人に賠償するのではなく、逆に自分たちが 国から損害賠償をもらい、戦後は国内の下層労働者を搾取して金儲けをしていたんです。それに対してストップをかけ、企業の責任を追及するために闘いました」
――しかし、「爆破テロ」という方法以外には考えられなかったのでしょうか?
「いまから考えれば別の方法もあったと思います。当時は『武装闘争』というのが盛んに叫ばれていたんです。当時、僕らが使える武器は爆弾くらいでした。だから、爆弾を使用した武装闘争に流れてしまったんです」
――連続企業爆破テロは74年〜75年にかけての犯行でした。あさま山荘事件が72年ですから、左翼運動は勢いを弱めていた時期ですよね。
「あさま山荘でのリンチ殺人が発覚して、左翼全体が元気をなくし、武装闘争も下火になりかけていました。しかし、一方ではパレスチナなどで日本赤軍が『テルアビブ空港乱射事件』などを起こしていたんです。それがあさま山荘事件に対するアンチとしての戦い方ではないかと思ったんです」
――企業に対して爆破テロをすることによって社会全体を変えようと思っていたんでしょうか?
「社会を変えるというよりは、悪いことをしてきた企業の責任を追及することが第一でした。企業活動を阻むことで、そういった悪事を止めようと思っていたんです。だから、左翼革命によって革命社会を実現するという目的ではなかったんです」
――いま振り返って、宇賀神さんにとって左翼運動とは何だったと思いますか?
「僕自身のきっかけはベトナム反戦でした。いま、ベトナムで殺されかけている人間がいて、自分はどのような行動をするのかというのが問題だったんです。それで、デモや活動に入っていきました。だからはじめから左翼思想によって動いていたという訳ではありませんし、いまでも自分が左翼だったかどうかは分かりませんね」
――宇賀神さんにとって重要なことは、企業爆破テロと同じように「理想の左翼社会を実現する」ということではなく、「今目の前にある問題を解決したい」ということですよね
「運動のきっかけはヒューマニズムだったんです。社会や企業の不正に対して怒りを感じ、社会を変えようという思いが生まれます。だから左翼を意識しすぎると、その根本となる『何を変えるか』『なぜ変えるのか』という動機が分からなくなってしまうんです」
――事件を起こしてから30年以上の時間が経ちましたが、変化はありましたか?
「現代にも企業悪はありますよね。ただ、当時は戦争が終わってからそんなに経っていないということもあり、花岡事件に対する思いも強かったんです。最近、鹿島が花岡事件の企業責任を一部認めていましたが、今でも日雇いや野宿労働者に対する排除や虐待は増えているし、昔より良くなったというわけではないでしょう」
――現在、宇賀神さんの闘争心は何に対して向けられているんでしょうか?
「抑圧であったり、他人が困っているという状況に対して反抗しています。救援連絡センターの活動も同じで、権力からの抑圧状況に対して反抗しているんです」
――戦いは続いているんですね。
「『戦い』という言葉は恥ずかしいけどね(笑)。現状をなんとか良い方向に変えたいとはいまでも思っています。身近な例で言えば、電車の中に妊婦がいても老人がいても席を譲ろうともしない人が多いですよね。人と人との関係が断ちきられてしまって、一人一人バラバラになっちゃっている。だから、できなくなっちゃったんです」
――70年代風に言えば『席譲り闘争』ですね(笑)。
「小さいけれどもそこからですよね。今は、人間関係を再構築して繋がり合うということを考えているんです」
――最後に若い人に対してメッセージをお願いします。
「現状を変えたいと思ったら行動に移さなきゃなりません。現代では行動に移すということをしないですよね。自分より弱い相手に対して、暴力を振るったりするのではなく、国家権力など、強者に向かっていかないとダメだと思います。抑圧状況に対してしっかり反抗していかなきゃならないんです」
(取材・文=萩原雄太[カモメマシーン])
●うがじん・ひさいち
1952年、東京都出身。東アジア反日武装戦線「さそり」班の元メンバーとして連続企業爆破事件に関与し逮捕される。出所後は人権団体「救援連絡センター」の事務局員として活動。
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