【再掲】災害現場の困ったちゃん!? ボランティアに求められる自己責任の大原則

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イメージ画像(「Thinkstock」より)
※当記事は、熊本地震の発生にあたり、サイゾーの過去の記事から再掲載しています。  台風18号が2009年10月8日早朝、愛知県に上陸。各地を暴風雨に巻き込みながら日本列島を北上した。愛知県の国道ではトラック4台が横転し、和歌山県では倒木に新聞配達中の男性がバイクで衝突して死亡。気象庁によれば、「昭和34年に東海地方などを襲い、死者・行方不明者5,098人を出した伊勢湾台風に匹敵する」としている。  アジアモンスーン地帯に位置する日本列島は、元々が台風の常襲地帯。地形も急峻で断層や破砕帯が散在するなど、地理的にも地形的にも災害が発生しやすい自然条件にある。このため、毎年のように台風や地震等の自然災害に見舞われている。  そして、こうした災害復旧に欠かせないのが民間の「災害ボランティア」だ。全国の自治体が立案している「市町村災害復旧計画」も民間ボランティアの参加を大前提にしており、今や我が国の災害対策は彼ら抜きには語れないのが実情だ。しかし、そんなありがたいはずのボランティアが、とても迷惑な存在になってしまう場合があるという。  災害ボランティアの大原則は「自己責任」だ。現地への交通費や宿泊費、食費などの必要経費は、いうまでもなく自分負担。ところが現実には、「フラっとやってきて、『寝る場所はどこですか』とあたりまえに聞いてくる人が多い」(中部地方の某町役場職員)のも現実だ。災害対策本部(市町村役場の総務課などに設置される場合が多い)に電話をかけてきて、「安い民宿を紹介してくれ」と宿の斡旋を求める人もいる。徹夜で業務に追わることもある現地の役場職員が、全国からの宿の斡旋に対応していたらそれだけで業務はパンクしてしまう。各自で確保するように説明する職員に「手伝いに行ってやるのになんという冷たい対応だ! だから役人はダメなんだ!」と逆ギレして周囲を呆れさせる例も少なくない。  また、ボランティア志願者はどうしても土日に集中するため、必然的にこの二日間は人手が余りがち。その結果、土日のボランティアセンターでは大勢の人がテントで待機する光景がしばしば見うけられる。すると「貴重な休みをさいてやって来たのにいつまで待たせるのか」と怒り出す困った人が現れる。復旧作業を遊園地のアトラクションと勘違いしているのだろうか。仕事量と人手がちょうどよくかみ合う日ばかりではない。「待つのもボランティアの仕事ということでご理解を......。もう少しお待ち下さい」となぜかお詫びをしているスタッフさえもいる。  ちなみに筆者は北陸のある被災地へボランティアに行った際、ボランティアセンターの職員が、長時間待機する人たちに、即席の「方言講座」を開いて必死になだめている場面に遭遇。「そんな話を聞きにきたんじゃない!」と声を荒げる男に頭を下げるスタッフの姿は、実に痛々しかった。  また、若い層に多く見られるのが異様なまでの頑張り屋さんだ。体力に自信があるのか使命感が強いのか、とにかく全身全霊で作業を続け、「疲れた」「きつい」を連呼しながら頑張り続け、自らのブログに「意識が朦朧として更新もつらいがガンバルしかない」と悲壮な覚悟を綴るストイック(?)な人たちもいる。その結果、熱中症で倒れて救急車のお世話になり、かえって現場に迷惑をかけてしまう例も。疲労がたまれば休みも必要。意識が朦朧とするほど疲れているなら一日くらい休めばいい。どうしても休みたくなければ睡眠をたっぷりとり、たまには午後から"出勤"する方法もある。健康面での自己管理もボランティアに求められる重要な要素の一つだ。  支援物資も大きな問題。実は「救援物資は第二の災害」といわれるほど、現地にとっては厄介な存在なのだ。全国から怒涛の如く送られてくる物資の整理は自治体職員らが人海戦術で行うしかなく、しかも利用価値がない物も大量に含まれている。1993年北海道南西沖地震の被災地・奥尻島では、救援物資 5,000トンの保管のために1000平米の仮設倉庫を3,700万円かけて建築。さらに仕分の結果、衣類を中心とする1200トンが不要と判断され、カビや腐敗など衛生面の問題から焼却処分となり、これに560万円の予算が投入された。 「とりあえず何か送ろう」という安易な支援ほど現地にとって迷惑なことはなく、実際に京都府災害ボランティアセンターのように「救援物資は現地の復旧作業の妨げになる場合があるので送らないように」とサイトではっきりと呼びかけている例もあるほどだ。  とはいっても、被災地で人助けをしたいという気持ちそのものは非常に尊いもの。先にも述べたように、無償で貢献してくれるボランティアの存在なくして災害復旧が成り立たないのも事実だ。最近では各ボランティアセンターともサイト上でかなりの情報を提供してくれる。まずはネットや電話で被災地の情報を収集し、危険度や必要な経費も考慮に入れながら行くかどうかを判断したい。自己管理が原理原則の大切さを理解したうえで、その時自分ができると思う範囲で参加することが、災害ボランティアのあるべき姿といえるだろう。 (文=浮島さとし/本記事は「日刊サイゾー」2009年10月8日掲載のものです)

【再掲】地震や洪水のとき、愛犬はどうなるの? 地震大国日本でペットを守るための絶対ルール

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イメージ画像(「足成」より)
※当記事は、熊本地震の発生にあたり、サイゾーの過去の記事から再掲載しています。  阪神・淡路大震災(1995年)、三宅島の噴火(00年)、新潟県中越地震(04年)など、過去に起きた災害時には、人間だけではなく多くの動物たちも被災した。だが、実際にいざ自分が被災し当事者になったら、自分の飼っているペットはどうしたらよいのか、具体的な対応策を知っている人は少ないのではないだろうか。ただでさえパニックになりがちな災害時において、飼い主である人間は、正しい行動が取れるのだろうか──。  そこで、前述の災害時などで動物の救済活動に携わってきたひとり、獣医師の山口千津子氏(社団法人日本動物福祉協会)に「災害時のペット」の現状と防災対策について話を伺った。 「私たちは、阪神・淡路大震災以降、『緊急災害時動物救援本部』(日本動物愛護協会、日本動物福祉協会、日本愛玩動物協会、日本動物保護管理協会、日本獣医師会によって組織)の被災地における動物救護本部設置の手伝いをはじめとする動物の救援活動をしてきました。これは、行政、獣医師会、動物愛護団体が一緒になって行われているもので、この取り組みの積み重ねにより、最近になってようやく、災害時のペット避難対策を具体的に検討する自治体が増えてきました。ペットの同行避難に対する理解も広がってきており、私たちは、まず、災害時には飼い主によるペットの同行避難を呼びかけています」  災害に巻き込まれたペットは、被災地に置き去りにされたり、飼い主不明のまま保護される迷子も少なくない。迷子になれば、火災や事故に遭う危険性も出てくる。 「とにかく同行避難さえしていれば、餌の支給、物資援助、獣医師協力もあり、ペットの受け入れができない避難所の場合でも、一時的な預りを行う上記の救護本部などに依頼すれば、安全を確保することができます。ですが、もし、同行避難せずペットを置き去りにした場合、たとえ後日迎えに帰るつもりだったとしても、その地域が立ち入り禁止地区になったら、迅速な救助が困難となります。有珠山の噴火の時(00年)は、危険地域に置き去りにされた動物たちのために、自衛隊や警察・消防などに協力を要請し、飼い主に代わって餌やりや保護活動を行いました」(同)  もっとも、同行避難後も、大きなダメージとストレスに加え、プライバシーのない避難所での共同生活では、隣人への配慮が必要不可欠だ。動物の無駄吠え、かみつきなどの問題行動は、隣人トラブルの原因となる。また、不十分な健康管理やワクチン不接種の動物を持ち込むことで、感染症などの新たな問題も起こしかねない。 「家族の一員であるペットの命を守ることができるのは、飼い主だけです。このことを自覚し、正しい知識と責任を持って、日頃からしつけや健康管理などを行うことが何よりも大切です。また、それが飼い主自身の心の支えにもなります」(同)  災害時に限らず、一番必要なのは、「ペットのしつけ」ではなく、「飼い主のしつけ」なのだ。最後に、ペットの防災対策に有効なポイントを簡単にまとめてみたので、飼い主のみなさんはぜひ実践していただきたい。   [ペットの防災対策] 【1】健康管理(=ワクチン接種、定期健康診断、病気の治療) 【2】しつけ(=人間社会への適応) 【3】避妊・去勢(=みだりな繁殖や問題行動の防止) 【4】鑑札や迷子札、マイクロチップ(動物の個体間識別を可能にする電子標識器具)の装着(=飼い主の所在明示による迷子の防止) 【5】同行避難時の非常袋(フード、水、薬、リードなど)の準備 【6】飼い主の情報、ペットの健康状態、病歴などをまとめた情報手帳の携帯 (文=小林未央/本記事は「サイゾー」2008年9月号掲載のものを再構成したものです)

寄付をすれば世の中を変えられるって、本当ですか!?

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社会起業家・駒崎弘樹氏。
 社会的企業であるNPO法人フローレンスは、病児保育を行っている団体だ。病児保育とは、幼児が熱を出したり、風邪を引いたりしたとき、仕事のために看病ができない親や、そうしたニーズに対応できない保育園に代わって子どもたちを預かるサービス。同団体の代表理事を務める社会起業家の駒崎弘樹氏が、自らの団体の活動の様子や寄付によって世の中がどう変わるかなどを考察した著書『社会を変える お金の使い方』(英治出版)を昨年12月に出版した。今回、駒崎氏に日本で寄付を増やす方法や最近話題を集めた"タイガーマスク現象"について話を聞いた。 ――本書を執筆した経緯を教えてください。 駒崎弘樹氏(以下、駒崎) ある講演会で我々の行っている病児保育について話す機会がありました。その講演が終わったあと、一人の女性が私のところに来て、「フローレンスの活動は素晴らしいが、私には(フローレンスを利用するための)月々の会費7,000円も払えない」というのです。よくよく話を聞くと、彼女は非正規雇用で一人で子どもを育てているので、そこまでお金に余裕がないということでした。 ――母子家庭の多くは、非正規雇用で所得は低いと聞きます。 駒崎 そうなんです。そして、お金が教育にまで回せないので、子どもが高校や大学まで進学できない。そうすると子どもの代でも所得が低くなる傾向が高く、いわゆる貧困の世代間連鎖のようになってしまう。そんな中で、少しでもいい教育環境で子どもを育ててもらうには、親が働きやすくするための社会的なサポートが必須です。そこで、そんな家庭の方でも利用できるように、寄付に支えられた病児保育を作ろうと思いました。それまで僕は寄付について、よく知らなかったのですが、よく調べてみると奥が深い。単にお金をもらうという経済的行為に留まらず、人々の意識を変えるという効果があることを知り、多くの人に寄付について知ってもらいたいと思い、本を書きました。 ――よく、アメリカには寄付文化が根づいているが、日本にはそれがないと言われます。その背景として、日本とアメリカを比べた場合、寄付に関する税制上の問題(寄付に関しては、日本の場合、公的に認められた寄付金だけ所得控除される。一方で、アメリカは寄付金が認められる範囲が広い上、税額控除される。つまり免除される税金が、アメリカのほうが多い)が大きいのでしょうか? 駒崎 税制の問題はかなり大きいと思います。むしろ税制ぐらいしか大きな違いはありません。僕はアメリカに留学していたことがありますが、アメリカ人の中にも寄付文化がある人もいれば、ない人もいます。寄付に関する社会のシステムが整っているかどうかだと思います。 ――日米を比べた場合、個人の寄付に対する意識の違いはどうでしょうか? 駒崎 アメリカの場合は、建国当初からアソシエーショニズムという、みんなで助け合い、何かをしていこうというところがあります。一昔前の日本でも、ほとんどの神社仏閣は地域の人々の寄付でできています。そういう意味では、日本人だから寄付の文化がないとか、アメリカ人だからあるというのは、歴史的に見れば、根拠が希薄じゃないかと思います。 ――本書にも出てきますが、世界的なコンサルティングファームのベイン・アンド・カンパニーが社会福祉団体やNPOに無償でコンサルティングを行っているように、外国の大企業の中には社会貢献活動に積極的なところが少なくありませんが、日本の企業の場合はどうでしょうか? 駒崎 かつての日本企業はメセナ(文化・芸術活動への支援)みたいな感じで、余ったお金を慰め程度に社会貢献に回す場合が多かったのですが、最近は、すごく戦略的になってきています。コーズ・リレイテッド・マーケティングといって、企業の社会問題や環境問題への取り組みをお客さんにアピールしつつ、利益の獲得を目指すマーケティング手法で、商売しながら寄付をするという形が知られざる流れとしてあります。今では有名企業でそういった活動をしていない企業はかなり少なくなってきました。 ――コーズ・リレイテッド・マーケティングの具体的な例としては? 駒崎 有名なところでは、「Say Loveキャンペーン」といって、参加したさまざまな職種の企業が自社の店頭や職場に共通の募金箱を置いてくれたり、寄付付き商品を販売したりしたプロジェクトが挙げられます。また、「PASS THE BATON」というリサイクルショップで寄付付き商品を買うと、売り上げの一部が私たちの団体に入ってくる仕組みになっています。 ――ズバリ日本で寄付を増やすにはどうすればよいでしょうか? 駒崎 四の五の言わず、僕らが寄付をする。そして、我々NPOが、コンビニに置かれている募金箱ぐらい気軽に寄付ができるような機会をもっと作れば、はっきり言って今のレベルじゃないほど募金は集まると思います。 ――寄付と言えば、最近のタイガーマスク現象についてはどう思われますか? 駒崎 あれだけ多くの人が伊達直人とわざわざ書いて、日本全国でランドセルなどを寄付している。ということは、寄付文化の定着ということは容易に起こりえるということを示していると思います。これを機に"寄付をすることが当たり前だよね"っという風に一般化できればと思います。"日本には寄付文化がないから"で諦めていたら、何も変わらない。とにかく、自分がやり始めることじゃないかと思います。 ――寄付をすると何がどう変わるかというのが、思い描けない人が多いと思います。寄付をすると何がどう変わるのでしょうか? 駒崎 今回のタイガーマスク現象で児童養護施設に国民の目線が集まりました。その結果、1月18日付の東京新聞によると、30年ぶりに厚生労働省が児童養護施設の職員数を増やすことを打ち出したそうです。実は、政府は国民の目線に弱いのです。養護施設に国民が寄付をするだけで、国を揺り動かすことができます。実際、国というのは本当に動きが鈍いので、ソーシャルメディアなどで"俺たちで勝手に支援しようぜ"って盛り上がれば、それを国や自治体が追いかけてきます。つまり、寄付をすれば世の中を変えることができるんです。 ――出版後の反響はどうですか?  駒崎 僕のTwitterには、毎日のように感想が寄せられます。すごく売れているんじゃないかと錯覚するぐらいですよ(笑)。寄付をタイトルに入れると、本が売れないと出版社の方には言われたんですが、本書はサブタイトルに「投票としての寄付 投資としての寄付」と入れた。寄付の本を出さないと誰も寄付の力を理解してくれないし、このまま寄付後進国ではよくないと思います。  本書は、寄付について書かれた珍しい本である。寄付は社会を変える力を持っているという力強い駒崎さんの言葉が印象的だった。もし、寄付に興味をもったならば、まずは下記にあるフローレンスのホームページを一度のぞいてほしい。 (文=本多カツヒロ) ●こまざき・ひろき 1979年生まれ。慶応義塾大学卒業。NPO法人フローレンス代表理事(http://www.florence.or.jp/)。著書に『働き方革命』(ちくま新書)などがある。
「社会を変える」お金の使い方 自分が食べていくだけで精一杯ですが。 amazon_associate_logo.jpg
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「得をしたのはワイドショーだけ」京大カンニング騒動 受験生の逮捕は"生贄"か

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京都大学公式HPより
 カンニング事件が急速に事態の終息に向かっている。  京大などで入試問題が試験中にインターネットの質問掲示板に投稿された事件で、京都府警は犯行を男子予備校生の単独のものと結論付けた。  当初は外部協力者など共犯者がいる複数犯説が有力視され、そのため各メディアでも続報に注目が集まったが、予備校生は試験中、股の間に挟んだ携帯電話で猛スピード操作による犯行だったことを供述。捜査上でも通信記録の分析から単独犯との見方が固められた。  世間を大きく騒がせた史上最大のカンニング事件が予想外の単独犯に終わったことには、被害者である大学関係者が胸を撫で下ろす。 「共犯者がいたら騒ぎは続いたでしょう。正直、これ以上の騒ぎにしたくなかったので良かった」  同関係者は疲れた表情でこう話すのは「カンニングぐらいで未成年の少年を逮捕までさせるのは教育機関としてどうなのか......という批判がかなり集まっていたから」だという。  こうした空気を読んだか、同様の被害に遭った同志社大は、被害届の提出を見送った。同大の広報課も「未成年の犯行なので」と予備校生への気遣いを理由とした。  しかし、別の大学関係者からは「事態の解明が中途半端ではないか」という声も上がっている。 「ネットで質問されたものに返答した"回答"とそっくりの答えを答案用紙に記入した学生が他にもいたと聞いています。あの予備校生と協力していたとは思えませんが、カンニング犯が他にもいた可能性がある以上、もっと調査すべき」(同関係者)  つまり、投稿はしなかったが回答を携帯電話で見ただけの受験者がいた形跡があるということか。 「閲覧だけなら他にもあります。ある受験生は"実は自分も携帯電話でカンニングした"と名乗り出ているんです。ネット検索して調べてしまったが、後でそれがバレて騒ぎになったら怖いので...と申し出たそうです」(同)  ただ、逮捕された予備校生の場合、ネットに投稿したことによる偽計業務妨害容疑に該当したが、閲覧だけのカンニングでは刑法に該当するようなものはない。 「刑事事件にしろというのではなく、同じカンニングをしても差が出るのは不公平で、今後の対策を取るためにも何をどうやったかもっと調べるべきだと思います」と同関係者。  受験の不正は本来、大学が自ら取り締まるだけのものであるが、世間の騒ぎに乗じて刑事事件となったのは、見方によっては逮捕少年だけが生贄になった形とも受け取れる。  問題が起きた京大の学生に話を聞くと「大学のイメージが悪くなっただけで、得したのはワイドショーだけ」と不満そうに答えていた。  結局のところ、世間を騒がせるほどのカンニングだったから逮捕したが、捕まえてみれば大した事件ではなかった......ということなのだろうか。 (文=鈴木雅久)
京都大学 茂木さんのブチギレぶりはちょい異常。 amazon_associate_logo.jpg
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「競馬にも八百長はある!?」 ゴール直前の"無気力騎乗事件"が大波紋!

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JRA公式HPより
 八百長問題で大揺れの相撲界だが、競馬界でも首をかしげたくなるような出来事が起こった。26日、日本中央競馬会(JRA)は第2回小倉競馬第1日の第12レースに騎乗した黛弘人騎手に「注意義務を著しく怠った油断騎乗があった」とし、2月27日から3月28日まで騎乗停止の処分を科した。騎乗停止30日間はレースの裁決委員が科すことのできる最長の処分。  黛騎手はメジロガストンに騎乗したが、ゴール手前で2完歩ほど(馬を)追う動作を緩めた結果、1着とハナ差の2着に終わった。表向きにはゴール手前で「勝った!」と確信し、全力を尽くさなかった黛騎手に対して「プロ失格」とお灸を据えたように見えるが、ネット上では「八百長では?」という声が上がっている。  黛騎手は制裁決定後、「馬が内側にもたれていましたが、手綱が長かったので持ち替えようとしてあのような格好になってしまいました。不正な意図はありません」とコメントしたが、競馬界の表も裏も知る関係者は「相撲と違って生き物相手だから、完璧な八百長というものは存在しないが、無気力騎乗は昔からありますよ」と断言。今も地方競馬を中心に不可解なレースが時折見られるという。  ベテラン競馬ライターはその手口について次のように明かす。 「例えば、逃げ馬に乗って出遅れたわけでもないのに逃げなかったり、いつもより直線の仕掛けが遅かったり......。こういう時は怪しいね。生き物だから『絶対』はないけど、大抵こういう時のパターンは、勝ち馬は楽にベストポジションを取って、道中は2~3番手で進み、直線でかわす。差し馬に有力馬がいる場合も、なぜかその時は仕掛けが遅いから届かない、もしくは追っているフリしてそこまで必死にムチを入れていないんだよ」  つい最近も中央競馬で「?」なレースがあったという。とあるレースで、勝ち馬は前出のレース展開そのまんまで、危なげなく勝利。単勝人気は10倍前後だった。 「2日前の段階で、競馬サークルや厩舎筋ではこのレースは『ヤリ(八百長の隠語)だよ』とウワサになっていた。あのレースで儲けた人は相当いるはず」(関係者)  八百長と無気力騎乗の線引きは難しいが、この手のレースは関東より関西で多いという。今回の黛騎手の"無気力騎乗"が競馬界の「八百長論争」にならないことを祈るばかりだ。
勝ち馬がわかる競馬の教科書 それが分かれば苦労しない。 amazon_associate_logo.jpg
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次期首相候補にも!? 現役閣僚3人に「アングラ献金」疑惑で官邸内は大騒ぎ

 民主党議員16人の会派離脱騒ぎが起きるなど、いよいよ政権維持が難しくなってきた菅直人内閣。次期首相候補として、前原誠司外相や野田佳彦財務相、あるいは玄葉光一郎国家戦略担当相らの名前も取り沙汰されるようになってきた。  民主党にとっては首相交代を起死回生の策とするしかないようだが、ここにきて、そんなムードに水を差すような超ド級のスキャンダルが浮上しているという。匿名を条件に、ある官邸スタッフが証言する。 「わたしども内閣の中に、同じアングラ筋から多額の献金をもらっている閣僚が3人いるんです。まずいことに、次期首相候補も含まれています」  このスタッフによると、ある閣僚の2009年政治資金収支報告書に、都内のコンサルタント会社などから百万円単位の献金があったと記入されており、調べたところ、献金者に逮捕歴があったという。 「その人物は7年ほど前、脱税事件で捕まっていました。もう昔の話だからと気にかけなかったんですが、その後の調査で、ヤバイ筋だと判明したんです」(同)  調査の結果、この献金者は指定暴力団の周辺者だと分かったのだ。かつては騎手やプロスポーツ選手のタニマチをしていたという。 「最近になり、政界にも手を伸ばすようになったといいます。ただ、理由はさっぱり分かりません」(同)  この情報、2月の早い時期にすでに官邸内で取り沙汰されていたようだ。というのも、2010年の政治資金収支報告書の提出締め切りが2月末に迫るなか、各議員事務所では報告書の作成に追われており、この際、献金先の「身体検査」で引っ掛かったという。 「情報を共有したところ、閣内の3人が献金をもらっていたことも分かり......。野党にしてみたら、格好の攻撃材料。ほとほと困りました......」  すでに各メディアが取材に動いているという。断末魔の民主党政権にとっては、まさに泣きっ面に蜂ということになりそうだ。
政治献金―実態と論理 政治家なんて、しょせんカネの亡者。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 「資金が集まらず......」東国原英夫前宮崎県知事、都知事選を回避して衆院選出馬か 「なんという世襲!」与謝野馨入閣の裏で次期衆院選息子公認の密約が!? 「辺野古テント村」運動家が語る中国への過剰な期待と基地計画の真実?

倒れた被災者に「ちょっとそのまま!?」 NZ震災報道で問われる日本マスコミのモラル

 悲惨な大地震に見舞われたニュージーランドのクライストチャーチで、日本のマスコミの評判が最悪のものとなっているようだ。  日本人の被災者が多かったことで、多数の報道陣が現地入りしているが、2月24日のニュージーランド通信によれば、病院に無断で侵入しようとした日本人記者が逮捕されたとも伝えられる。同社の記者に問い合わせたところ、保健局の職員が事前に「身分証明書と許可が必要です」と警告していたにもかかわらず、職員の目を盗んで2名の日本人記者が病院内に侵入し、写真などを撮影。これを発見した関係者が一時身柄を拘束したのだという。 「被災者のプライバシーを含めた情報保護の観点から、基本的には病院内の取材は厳しく規制されています。亡くなった可能性のある方の遺族ですら自由に出入りはできません。日本のマスコミはこの国のルールを守るべきです」(現地記者)  また、地元警察からは夜間外出禁止令を破って深夜の取材を行なっていた日本のテレビ関係者もいたことが漏れ伝わる。  さらに、現場で取材を続けるオーストラリアの記者によると「血を流して倒れていた男性が起き上がろうとしたところ、これを撮影していた日本人カメラマンが『ちょっとそのまま』と被災者を制止するような感じだったため、それを見ていたボランティア男性が怒ってカメラを地面に叩きつけ、両者がもみ合いになったのを目撃した」という。  現時点では、こうした取材マナーの酷い記者たちがどこの媒体の者かまでは伝わってきてはいないが、よほど目に余ったのか、現地警察は「疑わしい行動に対しても逮捕など厳しい処分をする」と異例の通達を出しているほどだ。  一方、現地に滞在中の日本人や、続々と帰国する日本人の中には、被災現場を撮影した動画や画像などをマスコミに売ろうとする者が出始めている。 「成田空港で帰国者を取材していたら、若い男性から『現場の動画がたくさんあるので10万円で買ってもらえないか』と言われました。高いと答えたら『それなら他社に売りますが、いいんですか?』などと捨て台詞を吐かれました」(朝刊紙記者)  また、ある帰国者が「大聖堂の一部だよ」とガレキの一部を持ってはしゃぐ姿も見受けられた。国際的にも注目される惨事の中で、いま日本人のモラルが問われている。
巨大地震―地域別・震源、規模、被害予測 人ごとではない。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 地震がくるまであと5秒! 最先端の地震対策を消防庁が伝授 災害現場の困ったちゃん!? ボランティアに求められる自己責任の大原則 事件や災害と感覚は同じ!? 日テレ"非"正社員のストライキへの寛容さ

二郎とマラソンは"似て蝶"!? 生粋のジロリアンが語るラーメン二郎の経営学

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多いときには月20杯、二郎のラーメンを食べるという、
筋金入りのジロリアン・牧田氏。
 ラーメン狂がお気に入りの店を語るときは、得てしてアツく前のめりになりがち。中でも、"ラーメン二郎"をこよなく愛する人々の、傾倒ぶりときたらない。皆さんの周囲にも、ラーメン二郎をソウルフードにしている"ジロリアン"がいるのではないだろうか。  信州大学経営大学院で教鞭をとる、経営学者の牧田幸裕さんも、そんなジロリアンのひとり。二郎好きが高じて、書籍『ラーメン二郎にまなぶ経営学』(東洋経済新報社)まで出してしまったのだ。そんな牧田氏に溢れんばかりの二郎愛を語ってもらった。 ――"ラーメン二郎"と"経営学"とは唐突ですね? 牧田幸裕氏(以下、牧田) いえ、実はラーメン二郎は経営学を解説するのに非常に良いモデルなんです。一般的に商売のやり方は、お客様を広く薄く取るか、もしくは、狭く深く取るか、の大きく分けて2つ。後者を経営学では"差別化"と言います。二郎は、この"差別化"に成功しているいいケースなんですよ。二郎を使って、差別化の説明をすれば、経営学に慣れ親しんでない方々にも入りやすいのではないか、と思って書きました。 ――経営学の本というよりは、二郎の素晴らしさをあの手この手で説かれているようで、牧田さんの愛情がひしひしと伝わってきました。 牧田 光栄です。本の執筆のときは、まず二郎を食べに行き、その高いテンションのまま書いていました。そうすると、ついつい暑苦しい文章になってしまうんですが(笑)。執筆時は月に20杯は二郎を食べていたので、まさに"ロイヤル・ジロリアン"(=牧田氏の造語。月に20杯、年間で約20万円を二郎につぎこむ人の意)でした。 ――それほどまでに愛する二郎との、出会いのきっかけとは? 牧田 社会人1年目、全然自分の力が通用しなくて、自信を失っていたんです。そのときにふらっと入ったラーメン屋が二郎だった。二郎のことを何も知らずに大盛りを頼んだら、とんでもない大きさのラーメンが出てきて、僕はラーメンにすら勝てないのか、と思ったんです。ですが、ラーメンなんかにまで負けてなるものか、と悔しい気持ちをバネに完食。この二郎大盛りに打ち勝ったのが、東京に出てきたときの初めての成功体験だったわけです。目の前のラーメンは、"いただくモノ"であって、決して"戦うモノ"ではないのですが。
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"ロイヤル・ジロリアン"とは牧田氏の
造語で、月に15~20回二郎に通う人を
指すらしい。彼らが年間二郎に費やす
金額はおよそ20万円!
――"戦い"と言いたくなるほど、食べ切るのが大変なんですか? 牧田 店舗によって差がありますが、麺の量は「小」で200~300グラム、「大」で400~500グラムありますからね。ちなみに、他のラーメン屋はだいたい120~150グラムです。また、二郎の店から出てくる人を観察していたところ、疲れている人が妙に多い、ということに気付いたんです。ラーメンを食べているだけなのに、疲れるとはどういうことだ、と。でも、みんなどこか爽やか。まるで、マラソンを走り終わったあとの高橋尚子選手のように、達成感がにじみ出たほほえみを浮かべているんですよ。つまり、二郎を食べている間はまさにマラソンで、自分を信じて頑張って食べ切ることに喜びを見出す文化がある。これが、二郎独特の"差別化"のひとつなわけです。 ――ラーメン二郎を食べるのは、スポーツのようなものなのですね。マラソンということは、個人競技なのでしょうか? 牧田 チームスポーツの要素も持っているかと思います。周囲のお客さんとの"同志愛"のようなものを感じるんですよね。例えば、他のラーメン屋では気にならないのに、二郎では、周囲の人がラーメンをズルズルとすする音が気になる。その音を聞くことで、心の中で『お互い頑張って食べてるな』と励まされる。こうして、偶然同じ日、同じ時間、同じ店に居合わせた何人かが、チームになって頑張ってる、という状況が生まれるんですよ。この、店内のジロリアンとの独特な連帯感も、二郎の提供価値になっていますね。 ――"ロイヤル・ジロリアン"のようなベテランさんがたくさんいる中で、初心者はどう振る舞えばいいのでしょう。二郎でのお作法をうまくこなせるのか、不安です。 牧田 おそらく、初めての人が面食らう関門は、"トッピングコール"でしょうね。「野菜ましまし、カラカラ、アブラ、ニンニク」などと言うのですが、ジロリアンの間では"呪文"と呼ばれています。食券を出したら、トッピングコール(=呪文)を突然聞かれるので、ボーっとしないこと。また、呪文は流暢に言えなくてもいいので、ゆっくりと自信を持って言うことです。ベテランのジロリアンは早口でペラペラと唱えるけど、それができないからって焦らなくても大丈夫。緊張のあまり噛んでしまうこともあるかもしれませんが、周りのジロリアンもそんな初々しい姿を見て、「自分にもそういう時代があったよなぁ」なんて昔を振り返るはずですよ。  結局、"経営学"ではなく"二郎"の話に終始してしまったが、これこそがラーメン二郎の経営戦略でもある、と牧田氏は言う。「二郎の顧客が、二郎の良さを周囲に口コミで広める。つまりこれは、経営学で言う"コミュニティマーケティング"に成功している、ということです」。  そんなジロリアン兼経営学者・牧田氏に、初心者にもオススメの二郎はどの店舗かを聞いたところ、「こればっかりは主観になってしまいますが、僕は三田本店と目黒店がお気に入り。でも、人によって好みが分かれる部分ですから、ぜひ自分にとっての最高の二郎を探して食べ歩いて下さい。"二郎クエスト"です! スライムは出てきませんがね(笑)」とのこと。モンハンもいいけど、今度は二郎でも狩りに行こうかしら、なんて。 (取材・文=朝井麻由美) ●まきた・ゆきひろ 1970年京都市生まれ。京都大学経済学部卒業、京都大学大学院経済学研究科修了。アクセンチュア戦略グループ、サイエント、ICGなど外資系企業のディレクター、ヴァイスプレジデントを歴任。2003年IBMビジネスコンサルティングサービスへ移籍。インダストリアル事業本部クライアント・パートナー。主にエレクトロニクス業界、消費財業界を担当。IBMでは4期連続最優秀インストラクター。2006年信州大学大学院経済・社会政策科学研究科助教授。07年より現職。著書に『フレームワークを使いこなすための50問』(東洋経済新報社)、雑誌連載など多数。
ラーメン二郎にまなぶ経営学 ―大行列をつくる26(ジロー)の秘訣 ある意味、二郎入門書。 amazon_associate_logo.jpg
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「資金が集まらず……」東国原英夫前宮崎県知事、都知事選を回避して衆院選出馬か

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宮崎県はもういいの?
総理を夢見る男 東国原英夫と地方の反乱 中途半端だな。 amazon_associate_logo.jpg
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気鋭の社会学者が提案する「売春業のライセンス化」と「自由な社会」とは?

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 僕たちはある程度自由な社会に生きている。でも、もっと自由なことがあってもいいと思ったり、さすがにそれは自由すぎるだろう、と思ったりすることもある。では「本当に自由な社会」とは、どんな社会なのだろうか? 社会哲学を専門とする北海道大学の橋本努准教授は、さまざまな社会問題を通して、「自由社会の再設計」を具体的に提案している。それをまとめ、閉塞的な斯界で話題や議論を呼んでいるのが、近著『自由の社会学』(NTT出版)だ。  今回、橋本准教授に、本書の中でも提案されている「売春業のライセンス化」という画期的なビジョンから見える、自由社会のデザインを聞いてみた。 ――まずは、本書を執筆する経緯について教えてください。 橋本 偉大な社会思想家というのは、必ず"社会はこうあるべきだ"ということを具体的に提言しているんですが、凡俗の思想研究者たちは、"自分ならどう考えるか"について語らないですね。だからなんとなく、社会思想というのは役立たない学問だと思われている。そういう状況に違和感を抱いていたので、この際、私自身が政策的なことを体系的に考えてみよう、と。大胆ですが、いろいろと練っています。最近、サンデル教授の「ハーバード大学白熱講義」が流行っていますよね。「どんな社会がいいか」という、サンデルが投げかける問いに、私も自分なりの答えを出しているつもりです。 ――本書の中では、より自由な社会を実現するために、いくつかの具体的な社会問題について提起されています。たとえば「戦争の民営化」や「ムハンマドの風刺画問題」など。その中でも、私が斬新だと感じたのが、「売春業のライセンス化」についてです。確かに売春業を合法とすることは、一般市民に「より社会が自由になったな」と感じさせる身近な例だとは思いますが、同じく市民からの道徳的な反感が強いように思います。 橋本 ええ、まずは不可能だという前提がありますね。しかし現実には、オーストラリアやニュージーランドで、売春業の経営者にライセンスを与える形で、売春の合法化が行われています。なぜ、そのようにするのかといえば、非合法でも実際には、日本中で売春は行われているわけです。非合法でもこんなにやっている人がいるなら、合法化して、きっちり取り締まるほうがいい、ということです。 ――合理的に考えれば、そうだろうなと思える一方、体を売るという不道徳な行為を国家が認めるというのは抵抗があります。 橋本 最近、マンガなどの激しい性描写をどのように規制するのか、ということが問題になっていますね。東京都は、青少年の育成に悪影響を与えると思われる作品に対して、ゾーニングによる規制をし、大阪府はそれを一律に取り締まる方向で検討しているという。東京では、ある程度不道徳なマンガを売ったり、読んだりしてもよいわけですが、大阪では、一切認められないようになるかもしれません。道徳感覚というのは、地域によっても違うし、また時代によっても違ってくるでしょう。国家が売春を認めるかどうかに抵抗があるなら、地方自治体に判断を委ねてもよいでしょう。 ――売春によって社会が荒廃する、というような意見も出てきそうですが、社会統治の面ではいかがでしょうか? 橋本 本当に全部自由化して、ゾーニングもライセンスもすべてなくせば、確かに荒廃するでしょうね。ですが、年齢を制限して、ゾーンを限定して、ライセンスを取りにくくし、しかもライセンスの数を規制すれば、本当にそれが天職だと思える人しか、売春しなくなると思います。たとえば、主婦や女子高生がお小遣い稼ぎにやることは、倫理的にも法的にも認められないでしょう。 ――お小遣い稼ぎに体を売ることができないように、システム的に規制することは可能でしょうか? 橋本 たとえば、シンガポールでは自動車の数を規制するために、ナンバープレートの数を決めています。だから、自動車を新しく買おうと思ったら、ナンバープレートを購入しなければならない。ナンバープレートには、市場価格が付いていて、たくさんの人が自動車に乗りたいと思えば、ナンバープレートの価格は上昇します。それと同じように、売春業のライセンスの数を決めるような法律を作れば、たとえ資格試験に合格しても、売春を開業できないことになるでしょう。このように、荒廃しないための方法は、いろいろと考えられます。 ――具体的に、ライセンス取得のための試験とは、どんなものですか? 橋本 試験の難しさでいえば、車の普通免許を取るよりは難しくしたほうがいいでしょうね。具体的な試験内容ですが、例えば、労働法や市民権論、性の歴史、性に関する医学、フェミニズム、社会学、ディベート術などを3カ月以上にわたって勉強してもらうような形にすれば、性を売る人は、問題が起きたときに自分を守るための、豊かな知識を得るでしょう。 ――そのほか、ライセンス化することのメリットはありますか? 橋本 ライセンスというのは、一つの専門的な承認です。売春業のような、世間では白い目で見られる職業でも、これを「卓越」した能力を必要とする仕事として認めてあげる。そうすれば、売春者でもプライドを持って生活できるでしょう。こうして排除された人を社会的に包摂するのです。 ――その場合の「卓越」とはなんでしょうか? 橋本 たとえば、パラリンピックでがんばっている障がい者たちの姿を見ると、私たちもそこから、何か受け取るものがありますよね。普通の人でも、やればできるのではないか、と。そういった「ガッツ」を与えてくれる。虐げられたり排除されたりしても、人は誇りをもって生きていくことができるんだ、と。自由な社会というのは、限界状況にいても、倫理規範に従わなくても、いい人生だなと言える、そういう社会だと思います。限界状況にいる人たちの卓越は、普通の人々にとっても、自由に生きるための感染力となるでしょう。 ――リバタリアン(自由尊重主義)の人たちも売春の合法化を主張しますが、彼らとの大きな違いは何でしょうか? 橋本 社会が、排除される側にプライドを与えたいと思うかどうかです。リバタリアンの人は、何でも自由にすればいい、という感じで、プライドなどをケアしようとは思わないでしょう。卓越などどうでもいい、と。 ――本書の出版後の反響はどうですか? 橋本 とりあえず周囲に評価されてよかったです。私の具体的な提案に納得しているとかではなく、さまざまな具体的問題に一貫した応答を試みている、という意味ですが。思想界の先輩で森村進先生(法哲学者・一橋大学教授)という方がいるのですが、その先生がリバタリアンの本を出したときには、反発もありました。そこまで自由はいらないよ、という。それが10年ぐらい経って、森村先生の本は、日本発の独創的な思想として評価されるようになってきた。本書も10年後にはそう評価されたいですね。思想というのは、みんなに納得してもらうよりも、みんなの思考を喚起することに役割がある。そういう役割を引き受けたいです。本書は「そこでまで自由はいるのか!」みたいな問題をたくさん示しています。選挙権を売ったり、赤ちゃんを売ったりしてもいいんじゃないか、とか。突っ込みどころ満載ですので、批判していただけるとうれしいです(笑)。  * * *  著者も、思想系の本をたまに読むことがある。しかし、議論があまりに抽象的すぎて理解できないことが多い。本書は、理論編と多くの具体例を用いた実践編とに分かれており、幅広い方々が楽しむことができるのではないか。"自由な社会とは何か?"と頭に浮かんだ方は一読をお薦めする。 (文=本多カツヒロ) ●橋本努(はしもと・つとむ) 1967年東京生まれ。北海道大学大学院経済学研究科准教授。専門は、社会哲学。横浜国立大学経済学部卒業。東京大学綜合文化研究科相関社会科学専攻、課程博士号取得。著書に、『帝国の条件――自由を育む秩序の原理』(弘文社)、『自由に生きるとはどういうことか――戦後日本社会論』(ちくま新書)、『経済倫理=あなたは、なに主義?』(講談社メチエ)など多数。
自由の社会学 (真横から見る現代) 自由っていったいなんだ。 amazon_associate_logo.jpg
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