10日投開票の都知事選 石原&東国原それぞれ急転直下出馬の裏事情とは?

tochizisen.jpg
やはり両者の一騎打ちになるのか。
芸能取材歴30年以上、タブー知らずのベテランジャーナリストが、縦横無尽に話題の芸能トピックの「裏側」を語り尽くす!  4月10日に投開票を迎える東京都知事選だが、現職の石原慎太郎都知事の対抗馬であった東国原英夫はすでに相当の危機感を持っているようだ。  彼のお笑いの師匠のビートたけしも、先日こう語っていた。 「石原都知事は"天罰発言"でバッシングを受けた。『これなら当選するかもしれない』と出馬したけど、石原都知事がレスキュー隊の前で涙を流したことで、東はかなりの危機感を持ったみたいだね」  そもそも石原都知事の4選出馬はあり得ないはずだった。急転直下、出馬に翻った背景には、自民党幹事長で党の都連会長を務める息子の石原伸晃からの猛烈な懇願があったことが、筆者の取材で分かっている。都知事選に自民党が候補者を擁立できなければ、幹事長や都連会長としてのクビが飛ぶかもしれないと、追い詰められた本人が母親で石原都知事の妻の典子さんに「親父を説得してくれ」と泣きついたというのだ。結果、石原都知事は出馬を決意、ハシゴを外された松沢成文・神奈川県知事は出馬を断念することになってしまった。だが、その裏では石原都知事は4選後、任期半ばの2年で辞任し、後継者には松沢氏を指名するなどという密約説も流れている。  一方、東国原も石原都知事の出馬表明後、自身の出馬を断念したはずだった。ところが、3月11日に東日本大震災が発生。それを受けて、石原都知事が「天罰だ」と発言した。さらに同知事は「水力、火力では限界もある。原発を欠いては日本の経済は成り立たない」と原発推進論者であることを公言するなど都民感情を刺激した。この発言に気を良くした東国原は、これなら勝算ありと踏んで出馬を決意したというのが真相だったようだ。  ところが、3月21日に石原都知事が、福島原発に乗り込み放水活動を行った東京都消防庁のハイパーレスキュー隊を前に涙の謝辞。風向きは一変し、石原都知事は株を上げてしまった。これを見てから、東国原は周囲に「負けるかもしれない」と弱音を吐いているという。  たけしは弟子の東国原を「応援しない」と言っているが、やはり、かわいい弟子には変わりがない。先日会った時には、何らかの形で東国原を応援するようなニュアンスの発言をしていた。だが、いまだその姿は見られない。被災者のことを思い、彼らを支援する一方、自身の映画の撮影を無期延期にしたことを考えれば、今、都知事候補の応援をする気にならないのだろう。  石原の涙に押された東国原だが、自転車やジョギングで"省エネ"選挙活動をするなどパフォーマンスは相変わらずうまい。そこで都民を納得させる政策を、どれだけ訴えることができたのか。2007年の宮崎県知事選でも決して下馬評は高くなかったことを考えると、今回も期待できるのではないかという声もあるが果たして......。 (文=本多圭)
TOKYO! どーなる!? amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 「都知事選はただの宣伝!?」漏れる本音......東国原英夫候補の狙いは、やはり国政か 「倫理観は大丈夫?」一転して都知事選出馬の東国原英夫 その打算と拭えない女癖 「東が知事なら師匠も逃げ出す!?」東国原前宮崎県知事 やはり都知事選出馬は断念か

動物愛護は金になる!? 動物福祉協会幹部が不正で辞任(前編)

dobutsuaigo00.jpg
社団法人 日本動物福祉協会公式サイトより
 八百長騒動で日本相撲協会が公益法人の資質を問われている中、70年近い歴史を持つ別の法人団体が不明朗な会計で大揺れに揺れている。団体名は「(社)日本動物福祉協会」(本部:東京都品川区)。このほど、一部の幹部による協会資金の不正流用が発覚し、監督する神戸市が関係者に対して立ち入り調査をするなどの騒動が起こっているのだ。  協会資金を不正に着服していたのは、同協会前阪神支部長のN島氏。2008年には、同協会の推薦により環境大臣表彰を授章している。すでに支部長を辞任しているN島氏だが、0その理由は「一身上の理由」とされている。だが、事情を知る会員のAさんは次のように語る。 「N島さんは、顧問獣医師のK原氏らと共謀して協会資金を不正流用してきました。その事実を知った一部の会員が神戸市や環境省へ電話とメールで内部告発をし、これにより他の会員にも問題の存在が広がり、N島さんは会にいられなくなったのです」  日本動物福祉協会の歴史は古い。終戦直後の1946年、大学の実験動物の取り扱い改善を目的に創設。57年には社団法人の認可を受け、名誉会長には旧皇族の竹田恒徳氏が就任。以来、歴代の理事長には麻生元総理の母親・麻生和子氏や、中曽根康弘氏などそうそうたる顔ぶれが並ぶ。  現在は正仁親王妃華子さまが名誉総裁を務め、同協会が毎年作成するカレンダーには、麻生元総理の実妹・寛仁親王妃信子さまが撮影した写真が長年使われてきた。また、動物愛護法改正を検討する環境省中央審議会のメンバーにも、同協会の理事や顧問獣医師が名を連ねるなど、社会的な信用度はきわめて高い。  協会の主な活動のひとつが、野良猫の不妊去勢手術の推進である。地方の各支部が行う野良猫の捕獲活動や不妊手術費用を東京本部が支援・助成する一方、全国の都道府県から毎年2地域を選んで「捨て猫防止キャンペーン」なども行っている。本部から支部への資金の流れは、内部資料によれば以下の通りだ。 (1)各支部は年間に行う不妊手術件数の予測を立て、予算案を策定する。本部は各支部から提出された予算案に基づき、支部予算の不足分を送金する。 (2)支部は「不妊去勢手術助成金取り扱い規則」や支部独自の規定に基づき、手術の「申請者」に対して助成金を支払う。 (3)支部は、手術を実施した獣医師の証明書や領収書を添えて毎月本部に実績報告する。  上記(2)でいう「申請者」とは、「野良猫が保健所に殺処分されてはかわいそうだから」と、手術費用を自腹で支出する会員や一般住民を指す。助成金は、こうした善意の自己負担に対する補助行為ということになる。  阪神支部の規定によれば、申請者に支払われる助成額は手術費用に応じて一件2,000円~5,000円。2009年度の同支部の実績報告書によれば、1,757匹の不妊手術に対して452万4,000円の助成金が申請者に支払われ、本部から支部へは不足分として419万円が補てんされている。  理論上は、野良猫をたくさん捕獲して不妊手術をすればするほど、その実績に対して多くの補填が本部から支払われるという仕組み。当然ながら、手術費用が高いほど、支部から申請者へ支払われる助成額も高くなる。ちなみに、「阪神支部の助成金は、他の支部と比較して突出して高額化していた」(協会本部の内部資料より)という。
dobutsuaigo01s.jpg
阪神支部の助成金規則と、2009年度の同支部の実績(協会内部資料より)。
※クリックすると拡大します(以下同)。
 ここで話をAさんの証言に戻そう。 「阪神支部の前支部長のN島さんは、なぜか支部内に動物福祉協会とはまったく別の組織を立ち上げて、まるで商売のように不妊手術の"注文"を会員以外からも積極的にとっていました。組織の名前はN島さんと相棒のFさんの苗字をとって、漢字2文字で『NF会』と呼ばれていて、支部の中では大きな発言力を持っていました。このNF会と福祉協会阪神支部の活動がごっちゃになってしまい、それでお金の流れもよく分からなくなってしまったようです」  別の会員のBさんが言う。 「N島さんはいつも、阪神支部の顧問獣医師であるK原さんに8,000円で手術を依頼していたようなのですが、一方で申請者には1頭1万数千円や2万円、高いときは3万円くらいを請求していました。額は相手の懐具合を見て決めていたようです。なぜいつも3万円という高額な請求をしているのかと不審に思っていた会員は少なくなかったのですが、本人がいろいろな場で『3万円なんてもらえるのは全体の3分の1くらい。いつもではない』と自ら"白状"していますので、逆に言えば3分の1程度は3万円以上の高額請求をしていたということでしょう」  さらに、N島前支部長はK原獣医師に8,000円で手術を依頼しておきながら、実際の金額より高い1万円で虚偽の領収書を書くように要請。これにより助成金を不正に多く受け取っていたことが、後述するその後の本部による調査で判明している。3万円で受託した手術を8,000円でK原獣医師に"下請け"に出していたとしたら、その差額は一体どこへ消えたのだろうか。
dobutsuaigo02s.jpg
環境省の指導で動物福祉協会が昨年12月にまとめた、
事件の調査報告書。
 かねてよりN島氏の行動に強い不信感を抱いていた一部の会員らにより、昨年5月26日に開かれた阪神支部総会は激しく紛糾した。不明瞭な助成金の行方や「NF会」の存在理由、さらにはN島氏が自宅で常時40~50匹の猫を管理していたことが動物取扱業にあたらないかなどについて、会員から厳しい質問が飛び交ったという。N島氏はこれを受けて翌6月に辞任したが、その後も告発を受けた神戸市保健福祉局が、昨年8月18日にN島氏の自宅を立ち入り調査し、事態を重く見た環境省も協会事務局本部に対して事情説明を求めるなど、監督官庁らを巻き込みながら騒動は次第に広がりを見せはじめたのである。  こうした中、協会は12月13日付で調査書をまとめ、環境省に対して概要を以下の通り報告している。 ・N島氏とF氏らが立ち上げた「NF会」が高額の手術代金を受領していたのは事実。 ・K原獣医師が、N島氏の「ボランティアの労苦を慮って、好意的に実費より高額の領収書(実費8,000円→領収書1万円)を発行していた」(原文ママ)のは事実。
dobutsuaigo03s.jpg
環境省に提出された報告書の一部。
「NF会」(実際は漢字2文字)が高額な料金で不妊手術を受託していた。
 先のAさんが憤る。 「ニセの領収書を書いた理由が『日ごろの苦労を慮って』とか『あくまで好意で』なんていう理由が通用すなら、税務署は入りませんよ。実際、K原医師は税務署へどう申告していたのでしょうか」  Bさんも言う。 「K原獣医師にとっては、N島さんが営業担当者のように"仕事"を取ってきてくれるんだから、いい取引先なんでしょう」  さらに協会はこうした不正の事実を会員に対しては長らく報告してこなかったとBさんは言う。 「環境省からは事実報告をすべての会員に対しても行うように指導されているはずです。ところが、不正の事実を認めた12月13日の報告書のわずか2日後、12月15日付の会報(『jaws』65号)を見ると、『本部の調査で、助成金支給に関して不正等は存在しなかったことは確認されております』なんて書いてある。唖然としましたよ。内容が環境省に提出した報告書と、まるっきり逆じゃないですか」  また、取材を進めるうちにさらなる信じがたい証言も飛び出してきた。「NF会に猫を預けると二度と帰ってこない。いったいどこへ始末しているのか」との声が、協会本部や自治体に数多く寄せられていたのである。
dobutsuaigo04s.jpg
環境省に不正の事実を認めてから約10カ月後、
協会はようやく騒動の事実をHP上で会員へ報告。ただし、損害額は合計数万円程度で
「巨額の不正等は存在しない」と結論付けた。サイゾーが金額の根拠を問いただすと
「あくまで自己申告」「われわれは捜査機関ではないから」(事務局長)と回答。
これに対し環境省は「徹底した調査が求められる」と懸念を示している。
(後編に続く/文=浮島さとし)
犬と猫と人間と ペットブームの陰で......。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 死んだペットは「ご遺体」?「ゴミ」? ペット大国日本に突きつけられた問題 地震や洪水のとき、愛犬はどうなるの? 地震大国日本でペットを守るための絶対ルール 2兆円ペット産業の"開かずの間"に迫る ドキュメンタリー『犬と猫と人間と』

「都知事選はただの宣伝!?」漏れる本音……東国原英夫候補の狙いは、やはり国政か

higashikoku0408.jpg
誠意のある政治家さんはどこにいる
んでしょうか。
 そのまんま東こと東国原英夫・前宮崎県知事に、次の衆院選への立候補のウワサが政界でささやかれている。10日投開票の東京都知事選に立候補している東国原氏だが、落選は想定内で、その先を見据えているというのだ。  ある政治記者によると、東国原氏の陣営から「都知事選出馬は宣伝」という仰天するような話が漏れている。 「ハナから都知事になる気はなく、衆院選出馬のための宣伝・調査でいい......という話です。東国原が今回、都内各所で支持を求め水面下で動いていた地区も、妙に下町周辺に偏っていて、都全体をカバーしていない。衆院選の出馬を見据えた動きと見れば納得できます」(同記者)  言われてみれば、東国原氏は宮崎県知事の続投から降りた理由を「国の統治システムを変えること」としており、目指すところを国政としていた。県議会で「最も関心があるのは県政・都政・国政のどれか」と問われた時も、「この国の形を」と返答し都知事の都の字も出してはいなかった。かつて自民党に対し、「私を総裁候補として戦うおつもりはございますか?」と総理のイスを要求したこともあった。  「今回の選挙運動を見ても、念入りに準備したとは思えません。マニフェストは取って付けたような震災対策がメイン。目立つ発言でパフォーマンスする男が、今回はなぜか非常に地味ですね」(前出記者)  実際、東国原氏は立候補にあたり「行政は継続性が重要。首長が替わって180度変わることは、あってはならない」と石原都政に賛同。改革性に乏しく、他の記者たちからも「とても本気で当選しようという姿勢には見えない」という声は上がっている。  ある朝刊紙の政治部デスクは、「石原都政と対立しないのは、東国原がすでに自民党と話をつけているからではないか」と推察する。 「4期は長いとか、一応の"反石原"の立場を取ってはいるけど、すでに自民党の票読みでも石原が大幅リード。東国原が出馬することへの影響はない。困るのはむしろ、反石原票が割れる他の候補者たちで、結果的に石原のサポートをしている形になっている」(同デスク)  すでに衆院選で出馬する選挙区の選定にも入っているというウワサまである東国原氏。もしこれが事実であれば、都民にとってはバカにされたような話ではあるが果たして......。  都知事選には石原慎太郎氏のほか、他に、小池晃氏、渡辺美樹氏、谷山雄二朗氏、古川圭吾氏、ドクター・中松氏、マック赤坂氏、姫治けんじ氏、雄上統氏、杉田健氏が立候補を届け出ている。
選挙 文句を言うのは選挙に行ってから。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 「倫理観は大丈夫?」一転して都知事選出馬の東国原英夫 その打算と拭えない女癖 「東が知事なら師匠も逃げ出す!?」東国原前宮崎県知事 やはり都知事選出馬は断念か 「資金が集まらず......」東国原英夫前宮崎県知事、都知事選を回避して衆院選出馬か

日台交流センターに聞いた「義援金100億突破―」台湾はなぜ親日家が多い?

fightsmile.jpg
台湾チャリティー番組『相信希望 Fight & Smile』
(YouTubeより)
  東日本大震災の発生から早1カ月、日本国内はもとより、世界各国から救援物資や義援金が続々と届いている。そんななかでも、「台湾から義援金100億」というニュースには誰もが驚かされたことだろう。時事通信によると震災発生当日、日本の外務省にあたる台湾外交部が約2億8,500万円の義援金を日本に送ると表明。その後、テレビ局などがチャリティーイベントを開催して寄付を呼び掛けるなどし、4月1日までの時点で、官民合わせ100億円を突破しているという。  さらに被災した子どもとその家族を対象に、渡航費・滞在費を全額負担し、2週間から1カ月ホームステイできるよう、約100世帯を一時避難所として確保するなど、義援金以外の支援の輪も広がっている。  九州ほどの面積しかない台湾の人口は約2,300万人で、サラリーマンの平均月収は13万円前後。その台湾からの義援金100億はまさに桁外れの額で、台湾人の親日ぶりがうかがえる。  なぜ、ここまで台湾人は親日なのか。両国は隣接し、古くから相互往来は密接だったが、それに加え、1999年9月に発生した台湾中部大地震、さらに09年の8月に台湾南部を襲った台風災害の際、日本は早期に台湾への支援を表明し、救援隊の派遣や多額の義援金を送るなどしたが、その献身的な対応に台湾側は深い恩を感じているという。さらに歴史をさかのぼれば、日本の統治時代、後藤新平らの尽力によって台湾のインフラが急速に整備されたり、教育制度などが整えられた背景があり、それが現在の台湾経済発展の基盤になっていると考える人が多く、そのため日本に友好的な感情を抱いているという。  しかし、それだけではない。台湾ではわれわれが思っている以上に日本のカルチャーが浸透しているのだ。台北市内には、日本でおなじみのコンビニや飲食チェーン店が建ち並び、薬局などでも日本の商品が数多く売られている。日本の芸能人を起用した広告ポスターが街のあちらこちらで見受けられ、若者のファッションも日本とそう変わりはない。日本語が話せる人も多く、道を尋ねれば親切丁寧に対応してくれる。さらに日本に留学経験がある若者も少なくない。  こうした台湾と日本の関係について、日台交流センターに詳しく話を聞いた。 「台湾から日本に来ている留学生は現在5,000人ほどで、日本語学校や専門学校に通ったり、大学や大学院で高等教育を学んでいる人もいます。日本の統治時代、日本語を学んだ世代が今は80歳くらいの高齢者。若い人からすると自分のおじいちゃん、おばあちゃんが日本語を話せるので、日本語がとても身近なものなんですね。それに近年は、日本のポップカルチャーが急速に台湾に浸透しています。ドラマやバラエティー、グルメ番組などさまざまなジャンルのテレビ番組が中国語(北京語)の字幕付きで頻繁に放送され、アニメやゲーム、音楽などもすぐに入ってきます。そういったところから日本のカルチャーに接する機会が多く、高校や大学で第二外国語として日本語を履修する学生が増えています。現在、第二外国語としては日本語が一番人気があると聞いています」  カルチャー面においてはとても身近なようだが、台湾にとって、かつて日本は宗主国でもあった。現在の台湾人にとって、日本人とはどういう存在なのだろうか。 「世代や政治的なスタンスによって違うとは思いますが、一般的によく言われるのは、戦後、日本の敗戦にともない台湾が中華民国(中国国民党政府)に返還(不法占拠説もあり)されましたが、蒋介石時代には市民がひどく弾圧されたという歴史的背景があります。その時代と比較すると、日本の統治時代はインフラを含め、日本の政府は献身的な対応をしてくれた。そのため、反日感情ももちろんありますが、現在では友好的な感情を持っている人が多いようです」  われわれ日本人が思っている以上に深い台湾との関係を認識することとなった今回の震災。テレビのチャリティー番組は単発的なものだったが、台湾外交部や台湾赤十字では専用口座を開設し、現在も義援金を募っている。また、日台交流センターの台北事務所と高雄事務所にも多くの義援金が届いているという。  台湾の経済建設委員会は、主要貿易相手国である日本の被災の影響による台湾経済の損失は約540億円を超えるとの予測をしている。にもかかわらず、国が一丸となり援助の手を差し伸べてくれる台湾には頭が下がる思いでいっぱいだ。近い将来、なんとかこの国難を乗り越え、両国親交がさらに深くなることを期待したい。
台湾に生きている「日本」 非常感謝! amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 「もっと避難所を映せ!」サンドウィッチマン伊達の"提言"は震災報道を変えたか 「誰のための自粛なの?」乙武洋匡の"不謹慎厨"に対する思いとは!? 食料も燃料も絶たれた"グレーゾーン"で苦悩する被災者たち

日本企業は海外でセクハラし放題! コンプライアンスはどうなってる !?

nomura0405_01.jpg
野村総研上海支社がある
「嘉華中心」ビル(中国上海)。
 当サイトで報じて、多くの反響を呼んだ「野村総研強制わいせつ事件」(http://www.cyzo.com/2011/04/post_6960.html)。その卑劣さに憤慨する向きがある一方で、このようなケースは氷山の一角であり、日本企業での、特に海外におけるわいせつ事件やセクハラ事件は表沙汰にならないものが多いとの指摘もあった。そこで今回は、そうした事情に詳しい人々に集まってもらい、知られざる日本企業の破廉恥な内情を語ってもらった――。 ■参加者 A氏 元テレビ番組制作会社プロデューサー B氏 労働法の実務専門家 C氏 コンプライアンス遵守のためのコンサルティング会社経営 D氏 ブランド防衛のコンサルティング会社経営 進行 浮島さとし(フリーライター) ――最初に皆さんの自己紹介をお願いします。 A もともと、某大手テレビ局関連の番組制作をしていました。そこでセクハラ問題の番組を取り扱ったこともあります。 B 労働法の実務を専門にしていまして、最近は中国など海外からの相談が増えています。 C 日本企業のコンプライアンス遵守におけるコンサルティングをしています。海外では、不正会計や使い込みの摘発などの案件が多いです。 D 企業防衛等を専門的に扱うマーケティングコンサルティング会社を経営しています。企業側が不祥事に対し、どう対応すべきかを専門的に対応していますが、不祥事に際しては、あくまで事実を開示して、正しく加害者を処罰して被害者を救済し、会社のリスクを軽減するべきという立場をとっています。 ――今日のテーマは「日本企業は海外でセクハラし放題! コンプライアンスは一体どうなってんだ!?」というものです。日本企業の海外でのセクハラはそんなに常態化しているのでしょうか? 今、私の手元に知人の中国通の女性記者が、周りの女性から相談を受けてまとめた事例集があります。主に日本企業の中国での事例ですが、これを元にお話を伺っていきたいと思います。まず、最初はこれです。 「社内の忘年会で男性社員が『この中で誰のチン○が大きいと思う?』とか、下ネタを連発して部下の女性たちに迫ってくる」。 一同 あぁ、これはよくある。 D 日本でもありますね。ただ、日本では男女雇用機会均等法があるから、会社が介入せざるを得ない。仮に会社がまともに対応しなければ、厚労省の雇用均等室が会社への指導に乗り出すという流れですね。 B 日本だとそうなんですが、これって海外での話でしょ? 均等法って海外適用がないから、厚労省も法的な権限がなくて手が出せない。そうすると窓口は社内の「セクハラ通報窓口」ぐらいしかないんだけど、そこに通報すると確実に隠蔽される。だから常態化するんでしょうね。 A 僕なんて、ちょっと前に上海へ「○○○○(大手商社)」の役員と一緒に行ったら、接待という名目でホテルのスイートを貸し切って、裸のおねーちゃんをはべらしてパーティーやってたからね。それから考えたら、これぐらいしょっちゅう起きてる話だね。 ――次の事例です。 「会社の取引先に食事を伴っての会合と言われて行くと、なぜか社交ダンスを踊る場所があった。すると、取引先のオッサンがダンスを踊ろうと抱きついてくる。誰も止めてくれず、尻や胸を触られまくった」 D 上司に言っても重要取引先のお偉いさんだからと、なあなあにされるんですよね。 ――他にも、こんなのがあります。 「男性の上司が、いわゆる現地妻を同伴して、取引先が出席する会合に堂々と出てくる。どう反応していいのか分からない。そんなことが日常茶飯事」だと。 B これも中国ではしょっちゅうですね。 nomura0405_02.jpg C 難しいですよね、愛人を作っているだけなら、モラルの問題はあるけれど刑事罰になるわけじゃないから。法的に違法とまでは言えない。 D ですね。中国のカラオケバーって、日本でいうキャバクラだったりして、売春する女性もいるんだけど、そこで愛人を作るのは本当によくある話。売春は非合法だけど、愛人として付き合うなら刑事罰とまでは言えない。ただ、女性も含めて社員も出席するような場、ましてや取引先も出席する公の場にまで同伴させるってのは、常識の範疇を超えているとは思いますけどね。 ――他にも、愛人がらみではこんなのもあります。 「男性の上司が中国人の愛人との間に子どもをもうけた。その問題解決のために部下の中国語の堪能な日本人女性に『愛人と和解交渉をやれ』と通訳させて交渉させる。なんで、あたしがこんなことをしなきゃいけないんだ」という事例。 A もう、平然とそんなことを言ってる状況なんだよね。隠そうともしない。 B でも、これぐらいなら海外だと「セクハラ」と認定されない。 ――では、コンプラ遵守を指導すべき企業側はどんな対応をしているのでしょうか。今回、日刊サイゾーで報じた野村総研の事例についてご意見を伺えますか。 A これについては、隠蔽しようとした証拠も残っているし、加害者を処分していない。「事実ではない」と言ったり、証拠を出されると「会社は関係ない」と言ったり。終いには弁護士を使って被害者に脅迫的対応でしょ。企業の対応としては最悪の部類ですね。こういう企業がコンプライアンス遵守だとか内部統制だとか言いながら、日本最大のシンクタンクとして仕事をしているのが現状なんですよね。 C もはや謝罪するタイミングも逃しているし、事態が沈静化するのを待っているだけでしょう。 D 厚労省の出しているセクハラ対策の指針というのがあって、セクハラ問題が起きた際には、企業は被害者女性も含めて直接面談で対応するのが望ましいとされている。今回、野村総研はどういう対応をしているんですか。 ――今回、野村総研は直接面談はとらず、M法律事務所のT弁護士を「外部の客観的な弁護士」として出していて、被害者女性にも「代理人を通さずに自分で直接相談してください。また、会社にではなく、こちらの指定する弁護士に言ってください、これは野村総研の人事部の規定です」と対応していたようです。 A 「代理人を使うな」ってのもナメてますね(笑)。でも、言われたほうも、素人だと「そういうものなのか」と思ってしまいますよね。 ●事件をもみ消す"裏マニュアル"の存在とは D 確かに、厚労省の指導内容に「コンプラ遵守の相談先を外部の客観的な立場の法律事務所にする」なんてのもあるんだけど、実際には法律事務所と企業が結託していることが多い。まともに機能していませんからね。それを裏マニュアル化していますね。 B 特に海外で起こった案件では、厚労省も動いてくれませんしね。強制わいせつ罪は法的には海外適用があるけど、現実には海外だと日本の警察は捜査ができないので、被害相談があってもなかなか立件できない。実際、今回の野村総研の事件でも、厚生労働省に相談しても海外だからという理由で対応してくれなかったようです。そうすると会社しか動けないけれど、野村総研のように多くの会社は隠蔽に走り、かつ若い女性よりも重鎮の人間のほうが社内の政治力もあるから保護してしまう。 ――現地の警察は動いてくれませんか? B まず無理ですね。今回の例で言えば、中国の警察としては日本人同士のトラブルには介入しにくいんですよ。日本企業とモメたくないし、言葉の問題もあるから捜査もしにくい。そこで、現地の警察ではできる限り外人同士のトラブルには介入しないよう通達が出ている現実があります。それが、日本企業が逃げ道に使う裏マニュアルのひとつとして使われるわけです。 ――裏マニュアルと呼ばれる企業の手口には、他にどんなものがあるのでしょう。 B 悪質な日本の大手シンクタンクや外資系コンサルでも使われている手口でこんなものもあります。被害者の女性社員に「精神的なケアをする」と言って、会社お抱えの産業医に診断をさせる。実際、産業医のサポートをつけることは、残業が多いとか、セクハラ問題があった場合には厚労省も指導している方法なんです。ところが、実際にはこの産業医が会社とグルになっている。 A 産業医という存在は意外に一般に知られていませんが、セクハラ問題で産業医が絡んでいるケースは少なくないんです。もちろん、すべてではありませんが。 B そうなんです。で、産業医は女性を「統合失調症だ」などと診断して、本当に精神病院へ入院させて「治療」する。これで隠蔽が完了というわけです。これをやられると、警察や弁護士が被害者女性に面会を希望しても、医師の診断書を出されて「治療中」とされたら手も足も出ない。かといって他の医者が、後から診断して診断書を再度書いてくれるかというと、同業他者の診断にケチをつけるのも大変ですし、産業医も他の医者の介入を認めないので、救出は簡単ではない。しかも、その後に治療しても自殺しても、保険が使えるから会社のお金は痛まないという手口です。 D 恐ろしいけど、そういう事実はありますね。産業医を派遣する専門の会社まであるほどです。確かに、入院後に抗うつ剤を「治療」として大量に投薬すれば、抗うつ剤って麻薬と同じように薬が効いているときと切れているときで態度が大きく変わるから、誰が見てもおかしく見える。そうすると診断は正しいと。おまけに、その後は被害者女性は自殺するケースが多いから、そうなれば完全に事実は隠蔽される。 ――となると、海外だけではなく国内で受けたセクハラ行為にも制度が対応しきれていないことになります。被害を受けて悩んでいる方はどうしたらいいでしょうか。 B まず、一人で絶対に悩まないことですね。別に弁護士でなくてもいいから、友人などに相談しまくりましょう。そうすると、第三者の客観的な観点で、協力してくれる人が出てきます。すると、監督省庁も警察も急に動きやすくなるんです。そして、より詳しい人に相談が行くようになり、助けてくれる人が増える。被害者本人だけだと、男女の被害は客観的な証明が難しくて動きにくいんですよね。 ――その上で具体的な対策は? B 証拠を確保することです。第三者の証言でもいいですが、できれば発言を録音するとか、録画しておくとか。今はボイスレコーダーやカメラなどが進歩していますから。 D 一人だと精神的にも辛いし、多くの女性は、相手の弁護士から「言いふらせば名誉毀損で法的措置を取る」などと言われて黙ってしまう。でも、まず知ってほしいのは、友達に相談するだけで名誉毀損になるなんて、まずないということ。だから、少しでも頼れる人がいればどんどんと相談する。その中で社内外に味方の輪を広げていくのがいい。 C とはいっても、企業としてもセクハラ通報窓口に来る全ての相談を鵜呑みにできるかというと、それはできない。やっぱり、実際にはおかしなクレームも来るわけで。そのたびに男性社員を飛ばすことはできないよね。 A そりゃあそうでしょう。悪用している会社ばかりではないですし。 B 最近は、被害者は女性だけじゃなくて、男性も多いんですよ。男同士で海外出張に行ったら上司のオッサンが豹変して......なんていうケースが増えています、これ本当に。警察に駆け込んでも助けてくれないのは女性と一緒です。 D そういう話はほとんど表に出てこないですねぇ......。いずれにせよ、海外に赴任している人には「セクハラ天国なんだから俺もやっちゃえ」なんて思わないでほしいですね。軽く考えていると証拠を取られて、報道もされて、強烈なパンチを食らう。 C 確かにメディアにリークするという手もありそうですが。 ●隠蔽工作に大手広告代理店も大活躍!? A でも、テレビ業界にいた立場で言わせてもらうと、報道する側に対しても圧力はあるからね。例えば、「○○○○(大手広告代理店)」はキー局の株主になってたりするので、報道を止めようと思えば大量に出稿している顧客企業から電話一本で止められてしまうこともある。 D 怖い例を言うと、「××××(大手流通会社)」という会社は、昔は大手広告代理店の「■■■■」と組んで、セクハラ事件が起きると被害者女性の家のまわりに暴力団員らしき男をたむろさせたり、女性を助けようとする友人が現れると、その友人が麻薬をやっているとか脱税しているとか噂を広げるという裏マニュアルを使うんだけど、書いた記者に対しても仕掛けてくる場合があるから、気をつけたほうがいいですよ。 B とにかく、週刊紙やテレビのような大手メディアもいいけど、一部のネットメディアも火がつけば拡散して世論が動く可能性もある。ニュースバリューがあることが分かるように粘り強く説得すれば、どこかが載せてくれます。 D 今回はサイゾーが報じてくれたけど、実は「□□□□(某週刊誌)」とか、「■■■■(某テレビ局)」とか、メジャーどころもいくつか取材はしてくれたんだよね。 C まだ出てないですよね。 D あるメディアは「登場人物が有名じゃないからネタにするのは難しい」って。あと、はっきり言わなかったけど、会社同士のしがらみも一部あったようです。たしかにマスコミも慈善事業ではないし、部数や視聴率といった数字も無視はできない。公共性があるとはいっても、ある意味での大人の関係もあるだろうし。 A ただ、「大人の関係」ということで言えば、対抗する側はその「大人の関係」を逆手にとって攻撃する戦略もあるわけですよ。いわゆる裏マニュアルに対抗する裏マニュアルということで、非常に高度な戦いにはなりますけど。そこらは専門のBさんに相談するなりして。 D あと、メジャー誌の記者が言ってたのは、舞台が上海ということで「取材費用が出ない」って。今どこも経営が大変だから。今回は記者さんが上海まで行って関係者数人と会ってるんですが、採算的には赤字でしょうね。 A 考えてみたら、こんな座談会もメジャー誌では記事化されないか。あ、それはそれとして、今日ここで出た代理店とか商社の企業名は伏字にしておいてね。やばいから(笑)。
壊れる男たち―セクハラはなぜ繰り返されるのか ナゼナゼ? amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 続報!「野村総研強制わいせつ事件」で内部リークが続出! スクープ! 野村総研の経営陣に強制わいせつ疑惑! 担当弁護士にも懲戒請求が出されるドタバタ劇 「武富士」破たんはこれからが正念場 創業一族=武井家の責任を追及する緊急集会が開催

「試合がないなら広告料を返金すべき」震災余波で東京ドームに存続危機

tokyodome0403.jpg
できた当時は"夢の球場"でしたが......。
 東京ドームが大ピンチだ。節電のため4月中は使用自粛となっているが、球場内に広告を出している企業が激怒しているという。  ある企業は、既に3月末で広告から撤退するという。10年以上、広告を出し続けてきた松本歯科大学も7月までに撤退することを検討し始めた。同大学の関係者によると「4月以降に使用が再開できればいいんですが、これから夏に向けて家庭の消費電力も増えるので、この先も使用自粛の可能性が高い。早めに手を打つしかない」と話す。  ドームの野球使用は約5,000世帯の1日分の消費電力を必要とする。1988年の設立時は「日本初の屋根付き球場」として雨天中止がないと持てはやされたが、デーゲームでもナイターと同じ電力消費量があるという弱点をさらけ出した形だ。  当初は本拠地とする巨人が節電使用を訴えていたが、ドームの整備担当者に聞いたところ「外の装飾照明は落とせても、使用するなら通路を暗くすることはできない。空気圧で膨らませている屋根を支える送風ファンにも電力を使います。大幅な節電は難しい」というから、夏の使用も非常に厳しい様子だ。  ドームには自家発電装置もあるが、これは災害時の緊急用で「試合に使うほどの電力を想定したものではない」(同)という。  東京ドームにとって痛いのは、企業から広告費用返還の相談がきていることだ。ある企業の広報は「試合が全て行なわれる前提で支払った広告料なのだから、試合がないならその分は返金すべき」と交渉する構え。  株式会社東京ドームは1月、遊園地内で死亡事故があり、さらには所有する後楽園ホールが地震の影響で損傷、3月の予定が軒並み吹っ飛んだ。さらに東京ドームホテルの業績も減少傾向で売却観測も浮上しつつある。  昨年12月と今年1月、ドームは続けて業績の大幅下方修正していた中だ。今年1月期の予想では純損益9億円の赤字(従来9億円の黒字予想)としていたが、このままではさらに大きな赤字を抱えることも見通される。  小規模の広告でも年間1,000万円は下らないと言われるドーム広告だが、近年はプロ野球の試合中継も減少し広告効果も下落していた。今回の使用自粛で企業広告が撤退してしまえば、それこそ存続の危機に関わる大ピンチに陥る。  関係者のなかには「さいたまスーパーアリーナのように避難所として開放してはどうか」という声もあるが、とてもそんな余裕はなさそうだ。 (文=鈴木雅久)
Perfume LIVE @東京ドーム まだ半年もたってないのに、遠い昔のようです amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 「自家用車に"ひばく"とスプレー書きも」嫌がらせを受ける東電若手社員の本音 「紙がない!」製紙工場被災と広告激減で出版界大倒産時代が来る!? 食料も燃料も絶たれた"グレーゾーン"で苦悩する被災者たち

「誰のための自粛なの?」乙武洋匡の"不謹慎厨"に対する思いとは!?

ototake0401.jpg
 東日本大震災の発生後、世間では娯楽や経済活動を控えるといった"自粛"ムードが蔓延し、普段通りの生活をしているだけで「不謹慎だ」と言われるような風潮が目立ち、論争の対象になっている。乙武洋匡が、自身のTwitterで、「飲みにいってもいいんじゃないか」というツイートを「不謹慎だ!」と批判したユーザーに対して「でた、不謹慎厨!」と返答するなど大胆な発言をしていることも、注目を集めたトピックのひとつだ。これまでも、自らの障害をネタにするなど、突飛とも思える発言を繰り返してきた乙武氏は、このような世の中の反応をどうとらえているのだろうか。 ――今回の事態に、一部で過剰とも思えるほどに"不謹慎だ!"という声が上っている風潮について、どう思いましたか? 乙武洋匡(以下乙武) 震災後、テレビなどで流れる被災地の悲惨な光景を目にすることで、皆さんの中で「自分は平和な日常を送っていていいんだろうか?」という戸惑いや罪悪感が湧き、それが過剰な反応を生むきっかけになってしまったのだと思います。僕は、そんな"自粛ムード"が蔓延している中あえて開催を決行した、「キャラメルボックス」さんの演劇公演(「夏への扉」3月5日~27日)を見に行った時、すごく力をもらったんです。みんながピリピリしている中で締め付けられていた自分の心が、解放されたように感じました。  すごく印象的だったのは、その公演では、いつもは3~4回やっているカーテンコールを節電の影響で1回しかできなかった代わりに、役者さんたちが客席の通路を通って退場するというパフォーマンスがあったこと。できることの限られた中で、どんな工夫を加えたら見に来てくれた人に力を与えてあげられるのか考えた末の、素晴らしいアイデアだったと思います。 ■批判を恐れた"自粛"は他人に強要された"他粛" ――一方で、"自粛ムード"の影響で予定していたイベントが中止や延期になり、倒産した会社もあったようです。 乙武 集客や停電の影響があっての中止なら分かるけど、例えばまったく関係のない西日本でも自粛するというところには疑問を感じますね。本当に被災者の方々、被災地のためを思っての"自粛"なのか、この時期に開催をして批判を浴びることを恐れた自分たちのための"自粛"なのか。後者であれば、それは"自粛"ではなく"他粛"ではないのか、と。それをTwitterに書いたところ、フォロワーさんが「それは"自粛"ではなくて"萎縮"ではないか」と言っていたんです。すごくうまいこと言うな~と思いましたね(笑)。 ――震災後は震災前に比べて"不謹慎"のラインが変わったように感じるのですが......。 乙武 まったくそのラインは違ってきていると思いますね。僕の場合ツイートで「飲みに行ってもいいんじゃないか」と言ったことに対して"不謹慎"だと言われてしまった。でも、普通の生活で「飲みに行こう」ということに対して"不謹慎"だなんて、誰も言わないですよね? ――被災地の方からもTwitterで、「不謹慎だ!」と言われる事はあるんですか? 乙武 実はあまりないんです。むしろ逆に、「私たちが復興に向けて歩み始めた時には、それを支えられるように、活発に飲んで遊んで働いて経済を活性化させてください」と言ってくれる方もいます。"不謹慎だ"と過敏な反応をしてしまっているのは、むしろ被災地以外の方であることが多いんですよね。 ototake0401_1.jpg ――"不謹慎"発言で話題になっている有名人もいますが、気になったケースはありますか? 乙武 陸上の為末大選手が「今だからこそスポーツをするべきではないか」と発言をしたことに対し、賛否両論が巻き起こっているみたいだけど、スポーツ界にかかわらず、エンタテインメント業界についても、飲食・娯楽についても、積極的にやっていくべきだと感じています。それを不謹慎と思うのは自由だけど、相手にまで「不謹慎だからそれはやめるべきだ」と同じ行動を求めるのはおかしい。今、"不謹慎"かそうじゃないのかという議論をする時に、スタンスとして「相手に自分の思いを強要しない」ということが大事だと思っています。 ――今回の"不謹慎"騒動とうまく付き合ってるな、と思う人はいますか? 乙武 僕は最近デーブ・スペクターさんのTwitterにハマっていますね(笑)。 【こんな時にささやかなギャグですが・・・ミネラルウォーターの緊急輸出を検討しているアメリカの州→水売り州】  くだらないんですけど、ちょっと面白くないですか?(笑)あえて、"不謹慎"スレスレのダジャレを持ってくることで、クスッと笑ってしまった人はいっぱいいると思うんですよね。そういったことで救われた人もいると思うんです。 ――乙武さんはよく、Twitterで個人に対してリプライをしていますが、意識していることはありますか? 乙武 僕の発言には毎日、何百何千とリプライを頂くのですが、中でも多くの方に考えていただきたい内容に関しては、リツイート(※Twitterにおいて、ほかのユーザーのツイートを引用形式で発信すること)して広く意見を募るなどといったことはしています。 ■「僕に対して"かたわ"とからかうくらいの人の方が接しやすい」 ――東京都金町浄水場(葛飾区)の水道水から、乳児の飲み水についての国の基準の2倍を超える数値の放射性ヨウ素の検出したと発表をし、同浄水場から給水している東京23区と多摩地域の5市を対象に、乳児に水道水を与えるのを控えてほしいという報道があった際に、乙武さんがTwitterで「被曝する前から奇形だしな!とか言うと怒られるの?」と言われたことに「飲んだら、むしろ生えてくるかなo(^o^)o ワクワク」と返してらっしゃいました。どういうお気持ちであのような回答をしたんですか? 乙武 僕にとっては、そういうネタを振ってくれる人の方が接しやすいんです。逆に「そういうのはけしからん!」と思う人たちの方が接しづらい。2ちゃんねるでも、僕の手のことを"手羽先"という人がいて、面白いな~と思いました(笑)。本質は、言葉ではなく、その人が僕に対してどういう思いを抱いて発言をしているのかということだと思うんです。  例えば、僕に対して「かたわ!」と言う人がいたとすると、それは「不謹慎だ!」と言われたりするかもしれない。でも、僕のことを大事に思ってくれている友人が、「こいつ"かたわ"だからさ~(笑)」と言ってもそれは失礼ではないと思うし、僕も傷つかない。それが「乙武さんは、そんな体なのに頑張っていらっしゃって......」と、きれいな言葉で言っていても、実は障害者である僕のことを見下して言っていたとしたら、そっちの方が失礼だと思うんですよね。  だからといって、ほかの障害者の方に対しても同じようにからかっていいのかというと、それは、その人によって受け取り方が違うので、そのあたりはすごく慎重にならないといけないと思うし、障害者と接する場合だけではなく、普段の人間付き合いでも大事なことだと思うんですよね。  "不謹慎"も同じで、どんな言葉でも受け取る人次第だから、発信する方も聞く方も、常にそこは意識するべきだと思いますね。 ――最後に、乙武さんの近況について教えてください。 乙武 4月1日に東京都練馬区で「まちの保育園」をオープン。役員として経営に携わっていきます。ここまでの話ともつながりますが、現場の先生方には、子どもたちのためだと思うことは積極的に取り組んでもらい、その意図に対して保護者から寄せられてくるであろうさまざまな意見もあるかとは思いますが、すぐに謝るとか、やめるのではなく「意図に対して理解を求める毅然とした対応を心掛けてください」とお話をしました。賛否両論あることを覚悟の上で、しっかりと自分の思いを伝え形にしていくことが大事だと思います。
五体不満足 [単行本] 乙武さん、ありがとうございました! amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 「誰が小人を殺したか?」小人プロレスから見るこの国のかたち 「もっと避難所を映せ!」サンドウィッチマン伊達の"提言"は震災報道を変えたか 「暴走する善意」拡散か? 静観か? Twitterで助けを求められたらあなたならどうする?

「自家用車に"ひばく"とスプレー書きも」嫌がらせを受ける東電若手社員の本音

 東日本大震災で発生した福島第一原発事故の被害の広がりを受けて、東京電力への批判は強まるばかりだ。命の危険も顧みず必死に事態悪化の阻止を試みる現場作業員たちが英雄視される一方で、東電本体は事故への対応の悪さが指摘され、下請け作業員の被ばくには監督責任を問う声が上がっている。  東電は傘下に原発運営会社があり、さらに現地のメンテナンス請負会社、メーカー系列の派遣技術者などが複雑に絡んでおり、同じ東電関係者でも立ち位置には開きがある。  かたや英雄、かたや悪者......都内に勤務の東電社員は被災地から遠く離れていることから後者と見られやすく、在京の東電社員には嫌がらせが相次いでいるという。 「近隣の住民の方々から"早く解決しろ"とおしかりを受けた」というのは、都内勤務の東電社員Aさん(29)。現在、社員寮に住んでいるが、日増しに風当たりが強くなり、ついには駐車場の愛車にスプレーで「ひばく」と書かれる目にも遭ったという。 「寮に出入りするだけで鋭い視線が通行人の方から飛んできます。真夜中に"おい、さっさと福島に行け"という怒鳴り声も聞こえました」(Aさん)  先日、この寮は「東京電力」と書かれた社員寮の表札をビニールテープで覆い隠し、社名のないプレートと差し替える事態となった。 「石を投げられたとか、寮を出るところを記者に待ち伏せされたとか、そんな話も聞いたので、現在は埼玉県にいる親せきの家から通っています」とAさん。  渋谷にある社宅に住む東電社員Bさんは、実際に記者の直撃を受けたというが、その内容は福島の原発ではなかったという。 「社宅の建設を施工したのが西松建設だと知っているか、と聞かれました」  西松といえば裏金問題で騒がれた渦中の業者。東電の原発事業にも深く食い込んでいたと見られており、すでに一部マスコミは原発事故に端を発して見えてきた"電力の闇"にも探りを入れ始めているようだ。仮に利権がらみの問題の一つでも浮かび上がってくれば、東電に対する世間の目は一層厳しくなるだろう。 「正直、ノイローゼ気味です。会社を辞めたいけど、いま辞めたら"あのとき逃げたやつ"と一生、十字架を背負うことになってしまう。病院へ通うにも批判がありそうで、しばらくは耐えるしかないです」(Aさん)  また、東電の社員を名乗る人物がブログに「これまで電力を使っていた国民が被害者面するのはおかしい」という内容の日記を書いたことで批判を浴び、ブログを閉鎖するなど東電内部と国民の間の温度差は日増しに広がっていくように見える。  未曾有の大事故と東電上層部の不手際によって、末端の技術者や若手社員に対しても三次被害、四次被害ともいうべき状況が発生し始めているようだ。放射線という見えない恐怖への不安が消えないうちは、東電に対する風当たりが弱まる気配はない。怒りと憎しみの連鎖を少しでも早く止め、復興への足がかりを整えるためにも、官邸と東電には一日も早い事態の収拾を望みたい。
原発と地震―柏崎刈羽「震度7」の警告 教訓は、生かされない。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 【東日本大震災】原発職員がこぼした本音、略奪を踏みとどまらせた被災者の心 「もっと避難所を映せ!」サンドウィッチマン伊達の"提言"は震災報道を変えたか オール電化はエコじゃない!? 東京電力「企業優遇」の商魂

続報!「野村総研強制わいせつ事件」で内部リークが続出!

NRI0401_01.jpg
「嘉華中心」は05年に完成した上海の高級オフィスビル。
野村総研上海支社はこの29階にある。
 当サイトが昨年8月報じた、いわゆる「野村総研強制わいせつ事件」が新たな広がりを見せている。事件詳細は前回の記事(http://www.cyzo.com/2010/08/post_5334.html)をご覧いただくとして、概要は以下の通り。  野村総研の上海支社副総経理(日本の副支社長に相当)であるY田氏が、取引先の別会社の女性営業担当者を「業務上の打ち合わせ」であるかのように誘い出し、女性の家に上がりこみ、抱きつき、押し倒してキスを迫るなどの強制わいせつ行為をした事件。女性は事件後に退社しているが、Y田氏はいまだ何の処分も受けてない。Y田氏の勤務先である野村総研は「当人同士で行き違いがあったことは非常に残念です」(広報部)と他人事だ。  ところが、8月にこの記事が出たことをきっかけに、記事を読んだという「同僚」や「関連企業勤務」を名乗る人間から数件の内部リークが寄せられている。被害者側の市民団体(「野村総合研究所のわいせつ、セクハラ被害者を救う会」=以下「救う会」)の一人は次のように言う。 「リークの内容はどれも、上海におけるY田氏の買春行為など、明らかな違法行為を告発するものばかり。あきれるしかありません」 「救う会」によれば、主なリーク内容は以下の通り。 ・Y田氏は上海のカラオケ店で買春行為をしている。 ・2009年10月と、10年1月にマカオで集団買春行為を行った。 ・野村総研の社員でありながら上海市長寧区の日本料理屋に出資し、喫茶店の営業ライセンスしかない同店舗において飲食業を行わせている。
NRI0401_02.jpg
Y田氏が副支社長を務めていた野村総研(NRI)上海支社の受付窓口。
 さらに最近になり、取材陣に対し「Y田氏と近い立場」を名乗る複数の人物から生々しい告発も寄せられている。以下は、そのうちの一人(上海在住の30代男性)から得た証言である。 「記事を見て、『まさか』というよりは『やっぱり』という感じ。女癖が最悪なことで有名でしたからね。Y田さんがミスコン出場者の中国人女子大生を自分の旅行に同伴させていたと(前回の記事に)書かれてましたけど、あの話はこっち(上海)では結構有名ですよ。『うちはミスコンのスポンサー様だ』とか、『上海の子は金で簡単に落とせる』とか、自慢げに言いふらしていました。さすがにみんなドン引きしてましたけど。あと、09年に日本人の女の子も上海に呼ばれてミスコンに出場したんですが、その時は女の子に『おめえらAV嬢と変わんねえだろ』と暴言を吐いてひんしゅくをかってましたね」  「救う会」はこれらの事実関係を確認するために、2010年11月12日付で野村総研本社およびY田氏が弁護を委託している「銀座東法律事務所」(東京都)へ「照会確認」をぶつけたが、野村総研は11年3月31日現在まで無回答。一方のY田氏側からは担当弁護士を通して「事実経緯に異議がある」との回答があったものの、異議の具体的な内容説明につていはいまだ説明がない。それどころか担当弁護士のM川氏は、同じ「銀座東法律事務所」に所属する弁護士6名と共同で署名、捺印した文書を被害者女性の代理人へ内容証明で送付。文面の趣旨は「交渉は野村総研でなく当法律事務所へ連絡せよ」というものだった。  これに対し「救う会」の一人が意図をM川弁護士へ電話で問い合わせたところ、M川氏はY田氏の代理弁護士でありながら「事件の詳細を把握していないので対応できない」と回答。さらに取材陣が後日、この点をM川弁護士に直接確認するため電話で問い合わせると、同法律事務所からは「M川は退職しましたので代理人も辞任しています」「もう当事務所とは一切関係がありません」との答えが返ってきた。
NRI0401_03.jpg
担当弁護士であるM川氏の突然の辞任を知らせる銀座東法律事務所からの通知。
 救う会の一人があきれながら言う。 「代理人である弁護士が事件の詳細を知らないから対応できないというのだから、話になりません。しかも、そんな状態で意図のよくわからない内容証明を、法律に素人の被害者に送りつける威圧行為も大きな問題です。さらにその直後に退職したという。事務所内の混乱ぶりがうかがい知れます。この法律事務所はこれ以外にも不審な対応が目立つので、懲戒請求を検討しているところです」  また、前出の証言者は、今回の被害者以外にも、泣き寝入りしている女性は上海に数多くいるという。 「実はまったく別の女性が、最近までブログにそのことをアップしていたんです。やはり同じように酒を飲まされ、意識を失っているうちにY田さんに性行為をされてしまったと書かれていました。『副総経理(Y田氏の役職)は頭がおかしい!』とコメントされてましたが、今は削除されてます。Y田氏の行為が日常的だったと考えるのが自然でしょうね」  別の証言者(上海在住の日本人男性)も「会社名を絶対に出さないでほしい」との条件で次のようにコメントしてくれた。 「Y田さんは上海から日本へ戻っているみたいですね。最低でも2年はこちら(上海)にいると聞いてたんで、予定よりかなり早い。今回の事件が少しは関係してるんじゃないですか? ただ、野村総研は懲戒処分や降格などの厳しい処分はしないと思いますよ。そういう会社なんで(笑)。本人も武勇伝くらいの認識でしょう」  また、事件発覚当初の10年9月16日、被害者の代理人が野村総研本社を訪れて事実関係を問いただした際、「人事部のT沢部長らが、何度もチッと舌打ちをするなどの横柄な対応をした」(救う会)という録音記録を一部始終聞いてもらったところ、苦笑交じりに次のように感想を述べてくれた。 「だから、そういう会社なんですって(笑)。人事部も『ほとぼりが冷めるまで静かにしてよね」くらいのノリでしょう」
NRI0401_04.jpg
上海ミスコンの出場者数人をY田氏は個人旅行に同伴させたという。
 この事態を当の野村総研本社はどう受け止めているのか。昨年8月のサイゾーからの問い合わせには、広報部の女性担当者が「お世話になりますぅ」「えーと、これは記事に出る感じですかぁ?」「うーん、Y田は幹部とまでは言えるかどうか~」と、実にハイテンションな応対をしてくれたが、あれから半年が経過した今、認識に変化は見られるのだろうか。電話で問い合わせてみたところ、以下の回答が返ってきた。 「現在、担当弁護士と相談しながら対応を検討しています」(広報部)  前回(昨年8月)質問した時は、あくまで「当人同士の個人的な問題」との認識だったはずだが、半年が経過してさすがに社としての対応を取り始めたということなのだろうか。 「いえ、それも含めて検討しているということです」  つまり、まだ何もしていないということのようだ。 (文=浮島さとし)
挑戦し続ける野村総合研究所 そういう会社。 amazon_associate_logo.jpg
【関連記事】 スクープ! 野村総研の経営陣に強制わいせつ疑惑! 担当弁護士にも懲戒請求が出されるドタバタ劇 「武富士」破たんはこれからが正念場 創業一族=武井家の責任を追及する緊急集会が開催 自己破産の正しい作法とは? 消費者金融の実態を描いた『仮面の消費者金融』

【東日本大震災】原発職員がこぼした本音、略奪を踏みとどまらせた被災者の心

iwaki0328__07.jpg
いわき市の小名浜港。打ち上げられた漁船を地元の 
主婦がハンディカメラで撮影していた。ここから北上
して四倉町に入る。
 原発施設から30キロ以上離れているために「避難勧告」も「屋内待機指示」も出されず、情報も移動手段もない中で、過酷な自己決断を迫られている住民の苦悩については既報の通り(記事参照)。  80歳の女性が被災後も営業を続ける乾物屋さんを後にし、県道352号線(豊間―四倉線)をさらに北上する。ほどなく国道6号線「越前浜街道」と合流し、道の駅やホームセンターなどが「あった」同町3~5丁目のエリアへ。地震が起こるまで観光客や地域住民のくつろぎの場だった「道の駅 よつくら港」は爆撃を受けたかのように破壊され、大型ホームセンターも見るも無残な姿を晒している。  国道を挟んだ民家の前には乗用車が不可思議に重なりあい、壁に突き刺ささるように車体を横たえている。ニュース映像で惨状は散々見せつけられてきたはずだが、皮膚感覚で見る現場の空気に言葉を失う。
iwaki0328__01.jpg
iwaki0328__03.jpg
道の駅「よつくら港」付近にて。乗用車が折り重な
り、住宅に突き刺さる。非日常的な光景が一面に広が
り、現実感が薄れてくる。
 民家の片付け作業していた一人の男性と立ち話になる。聞けば、偶然にも(?)福島原発の関係者だという。同原発を管理しているのは言うまでもなく東京電力。だが、実際に現場に携わっているのは東芝、日立、IHIといったいわゆる「協力会社」と、その下請け、孫請け業者である。男性はそのうちの一社に約20年以上の期間を勤務(本人の希望で社名は伏せる)。地震発生時は広野火力発電所で作業の真っ最中だったが、敷地内の高台に避難して職員全員が命をとりとめた。男性の住居は四倉町ではないものの、この日は知人の家の片づけを手伝いにきたのだという。 「俺自身、20年以上原発で働いてきたから、安全管理がしっかりしていれば放射線なんて全然怖くないという気持ちがあった。けど、今回のことでその根本が崩れたわけで......。いや、崩れたと言っちゃダメなんだろうけど......。とにかく、原発にはこれから猛烈な逆風が吹くと思う。なにより、第一(福島第一原子力発電所)のプラント復旧を急がないとならない。現場で命がけで戦っている仲間たちの無事を祈るしかないよ」
iwaki0328__02.jpg
横転する車に道をふさがれて呆然とたたずむ男性。
いわき市四倉町にて。
iwaki0328__04.jpg
片づけをしていた主婦は「4台の車が全部流さ
れた」と肩を落とす。自宅前に山のように積まれた廃
材やがれきを見ながら「明日、燃えないゴミの日だ
な」と独り言を言った。
 津波の勢いで破壊されたホームセンターを覗いていると、一人の男性が早足で近づいてくる。すわ、"火事場泥棒"と間違われたか? が、男性は笑顔でこう言った。 「○○○(ホームセンターの名)の方ですか?」  近所に住んでいて家が流されたというその男性は、まだ使える物資が店内にありそうなので、ホームセンター側に許可を得たうえで一部を譲ってもらえないかと考えていたという。本社に電話で聞こうとしたが通じず、そのうち携帯のバッテリーも切れてしまった。こうした極限状態でも、この男性は「お店の許しを得て」と考えているのだ。自分が男性の立場だったらどうするだろうかと、自問してみるが答えが浮かばない。 「避難所でニュース見てると、『日本人は略奪もしないで冷静だ』と海外に報道されているらしいじゃないですか。だから、自分がそれ(黙って持ち去る)やっちゃダメなのかなと思って......(笑)。でも、これ、このまま放置しておくのももったいないし......」
iwaki0328__05.jpg
津波に襲われたホームセンターの惨状。
 県内でも被害の多かった同地区では、福島県警広域緊急援助隊や地元消防団らが、地震の三日後から海岸近くで行方不明者の捜索を行った。男性の家族は幸いにも全員が生き延びたが、近所の知り合いの遺体がこの近くで見つかったという。疲れきった口調で男性がつぶやく。 「命だけでも助かってよかったと思う気持ちが半分、何もかもなくなってこれからどうやって生きていけばいいかとも思うのが半分。そもそも、ここは国が逃げろと言わないから安全ってことなんですかね? 30キロより離れていれば、放射能は大丈夫なんでしょうか。何もかもわからないですよ」
iwaki0328__06.jpg
国道6号線は明不作(みょうふさく)地区から福島
第二原発20キロ圏内に入るため立入り禁止区域に
なっている。防護服に身を固めた警官が常駐している。
(文=浮島さとし) 【関連記事】 「もっと避難所を映せ!」サンドウィッチマン伊達の"提言"は震災報道を変えたか ディズニーリゾート「大きな損傷なし」は事実か 大手マスコミが伝えない首都圏の震災被害 災害現場の困ったちゃん!? ボランティアに求められる自己責任の大原則