
市民団体から提出された懲戒請求書。
初任者・職場管理者のための職場トラブル解決の本 どうなることやら。

初任者・職場管理者のための職場トラブル解決の本 どうなることやら。

大王製紙コーポレートサイトより
"バカ殿"の交友関係には誰が浮上するのだろうか?
「エリエール」で知られる大王製紙の井川意高前会長が、使途不明の巨額借り入れをしていた問題で、同社は特別背任の容疑で刑事告訴する構えだ。
さらに佐光正義社長と5人の監査役ら多数の役員も、不透明な貸し付けを意図的に見逃してきた可能性があるとして処分が検討されており、事態は更なる広がりを見せ始めている。
井川氏は4年前、創業2代目の父親から社長を任され今年6月に会長に就任した3代目だが、同社の関係者によると社内では"バカ殿"などと陰口を叩かれたこともあったという。
「仕事熱心だったとも報じられていますが、社内ではまったくそう思っていない人も多いです。とにかく酒、ギャンブル、女が大好きで豪遊ばかりしていた印象が強く、ゴルフ関連の事業に携わったときは、立場を利用して何かと好みの美女タレントに近づいたり、結婚前の藤原紀香さんとも親しいとか、そんな話ばかり聞こえていました。人脈を作るのには長けていたようですが、おそらく多くは彼が引き出せる金目当てだったのでしょう。それでも創業者の孫に面と向かってモノを言える人はいなかったので、陰では"バカ殿"と呼ばれていたんです」(同関係者)
その真偽はともかく、井川氏は郷ひろみの自伝『ダディ』(幻冬舎)にも登場するなど、芸能人との派手な交友で知られてきたのは確かだ。学生時代の恋人と結婚して1男2女を持つ父親だが、六本木や麻布ではグラビアタレントら美女を連れて歩く姿が度々目撃されてきた。芸能人だけでなく政治家や官僚、財界の大物との付き合いでも知られた井川氏だが、ある経済ジャーナリストは「麻布をうろつく連中から、彼を騙して大金を引き出したという話も耳にしたから、外でも"バカ殿"扱いされていたのでは」と話す。
金の切れ目が縁の切れ目となったのか、そうした井川人脈もいまや井川氏との関係はなかったように振舞っている。ある週刊誌の記者によると「マカオにも同行したことがあるという有名女優」が、井川氏からの電話には一切出ないようにしているというのだ。
同記者は現在「井川氏の持ち出した大金で遊ばせてもらった芸能人リストを作っている」というが、犯罪で使われた金の行方を調べるために東京地検特捜部がすでに各方面に捜査を開始しており、肝を冷やしている者がいるかもしれない。
失った金の回収には父・高雄氏が保有株式などで返済する意思を示しているが、不明金の使途の解明でどんな人物の名前が出てくるか興味津々だ。
(文=鈴木雅久)

写真はイメージです。
勤務先の非合法行為を内部告発したことで不当解雇を迫られた社員が、勤務先である精密機器大手のオリンパス社を相手取り起こした裁判の二審で、9月、原告社員が勝訴(220万円の損害賠償)を勝ち取った。オリンパス社と顧問弁護士、産業医のブラックな連携による悪質な手口が明らかになるに連れ、社会的な反響は増すばかりだ。
同事件の内幕を報じた前回の本サイト記事でも、記事の配信先サイトも含めたリツイートが3,000件を超えるなどの"炎上"状態となり、「悪質すぎて信じられない」「本当にそんなひどい医者がいるのか!?」といった反響が多数寄せられた。
そこで今回、前回の取材に協力してもらった産業医とは別の、他の複数の現役産業医や産業医経験者らからも話を聞き、彼らの周りで起こっている「産業医の今」を語ってもらうことにした。
まずは産業医とは何であるか、基本的な定義から再確認しておきたい。
産業医とは「職場で労働者の健康管理にあたる医師」(大辞林より)とある通り、労働安全衛生法13条により、50人以上の労働者が常時従事する事業所には、労働者の健康管理のために産業医を置くことが義務づけられている。該当する企業が産業医の設置を怠ったり、選任だけして適切な業務を行わせなかったりした場合は、50万円以下の罰金処分が科せられる。
また、同法3項には、「産業医は、労働者の健康を確保するために必要があると認めるときは、事業主に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる」とあり、「オリンパス事件」はこれが企業側により悪用されたケースと言えそうだ。
この「悪用」の詳細については、前回の本サイトの関連記事中で、関係者証言からの概要を以下の通りお伝えした(引用は要約)。
「悪質な企業では、会社にとって都合の悪い社員に『精神的なケアをする』との名目で、会社お抱えの産業医に診断をさせる。会社とグルの産業医は、その社員を『君は精神疾患だ』『重度のウツなので治療が必要』と診断し、精神病院への措置入院を誘導したり、合法的に解雇したりして、事実を隠蔽してしまう」
法を利用した、まさにブラック過ぎる手口と言える。さて、その産業医、大きく以下の2種類に分けることができる。
ひとつは、産業医である前に自身で病院経営をし、産業医は非常勤として受任している医師。産業医をしなくても安定した固定収入があり、あくまで「バイト感覚というか、ボランティアのような気持ちで産業医は引き受けている」(30代開業医)場合が多い。報酬は出勤日数により千差万別だが、一例を挙げれば「月1回か2回出勤して2万から5万程度。それでも何社か掛け持ちすれば20~30万になる」(同)という。
もうひとつは、事業所に常駐する産業医である。年収は「一般企業の役員程度で、金額的には1,500万程度かそれ以下」(40代医師)が一般的。当然ながら、収入はその事業所からの報酬に限定されるため、「立場的には総務部所属の一社員と同じような存在」(同)となる場合が多く、構造的に見て「会社の言いなりになるのも当然」(同)と言えそうだ。
ところで、一般に産業医に就くにはどのようなルートがあるのだろうか。前出の30代開業医は、「同業の紹介で『○○って会社が産業医探してるんだけどやらない? おまえ暇だろ』という誘いもあったし(笑)、自分からなりたい場合は、医師会を通して斡旋してもらう方法もある」と言うが、多くは「産業医専門の派遣会社に登録して紹介してもらうケースが、数としては圧倒的に多い」(同)ようだ。
ためしにネット上で「産業医 派遣会社」で検索すると、関連会社や関係サイトがズラリと検出される。そのうちの一社に業務内容を電話で尋ねると、「産業医になりたいという希望者と事業所の間に入りながら、医師との面接から契約までを、責任を持って行っております」(某社広報)とのこと。仕組みそのものは一般の派遣会社と同じだ。
■「上司からの指示という感覚」でモラルを捨てる産業医
さて、オリンパスなどのブラック企業の報道に見られるような、会社の命令で社員を追い込む悪質な産業医の実態についてはどうだろうか。筆者の質問に対し、ある40代の男性医師は「普通にいますよ」とあっさりと言い切った上で、「自分自身も経験がある」と告白してくれた。数年前に某メーカーでウツ気味の男性社員の相談を受けていたその医師は、結果的に会社側の片棒を担ぐ形で、その社員を解雇に追い込んだことを、今も気に病んでいるという。
「ある日、総務部の人間から書類を渡されて、『これに署名をもらってきてください』と言われたんです。内容は、休職中の補償などが記されている形式的なものだったのですが、実は『いかなる薬であっても常用している場合は復職できない』旨の一文が、小さな文字で隅に記されていたんです。でも、今の時代、睡眠薬を常用している人なんて普通にいますよね。彼もそのパターンで、結果的にその署名が誓約書となり、仕事に戻る上での障害になりました。本人は民事訴訟も考えたようですが、最後は『そんなエネルギーも、もうない』と言って辞めていきました。気づかなかったとはいえ、直接書かせたのは私ですからね。思い出すと気が重くなりますよ」
一方で、こうした産業医の横行を、「世の中に当たり前にある話と感じていた」とも言い、本サイト記事を読んでショックを受けた読者が多かったことを告げると、むしろ驚いた様子を見せた。
「もちろん、まじめにやってる人もいますよ。ただ、開業医と違って常勤の場合はサラリーマンと一緒で、会社から給料をもらっている立場なので上司には逆らえない。『会社とグル』という報道もありましたが、そういう対等な関係というより、上司からの指示という感覚で受け止めている人も多いでしょうね」
また、本サイトで報じた「集団ストーカー」でターゲットを追い込む手口については、実際にストーキングチームに加わり逆に精神を病んだという人物から、個人的に相談を受けた経験があるとして、「一部には存在する」と言う。
「私が相談を受けた集団ストーカーは、かなり大手の外資系会計事務所の法務部が、ある宗教団体の行動部隊へ委託して行われたという、かなり悪質な一件でした。信じ難いことですが、一部の教団にはそういう"業務"を請け負う部隊があり、各企業の法務部とパイプを構築しているのです。裏仕事を暴力団に頼むのと構図は同じです。しかもそのときは、顧問弁護を務めていた女性弁護士も承知していたというのだからひどい話です。道ですれ違いざまに『山田一郎(仮名)、死ね』とささやいたり、ホームの対面からじっと視線を合わせたりするわけです。ノイローゼになって産業医に相談に行くと、『最近、人の視線が気になりませんか』とか、『幻聴は聞こえますか』と誘導する。で、私に相談してきたのは、その集団ストーカーをしたひとり。『上からの指示でこんなことをしたが、もうやりたくない、死にたい』とメールで泣きついてきました。やる方もこたえる。負の連鎖ですよ」

集団ストーカーの参加メンバーのひとりから
医師に届いた相談メール。「納得できない」
「もうやめたい」といった心の叫びがつづら
れていた。
また、別の産業医(40代開業医)も集団ストーカーについて次のように言う。
「企業の法務部と教団ラインの集団ストーカーは、最近はあまり行われなくなったとも聞いています。人を多く使うので、どうしても情報が漏れやすいですからね。やる側も罪悪感から精神を病む人もいますし」
引き受ける教団も教団なら、そんなところへ"業務"として下ろす企業も企業。ここまでブラックな手法が一部の大手企業で常態化していた事実に驚くしかない。
今回の取材に応えてくれた医師らは皆、「産業医は誇りを持ちながらまじめに取り組んでいる人も多い」としながらも、「オリンパス事件」のような事例は「よくあること」と口を揃えた。また、過去に産業医経験があるという40代の開業医は、「誤解を恐れずに言えば、常勤の派遣産業医にはいい加減なのが多いですよ」と証言する。
「言葉は悪いけど、それだけで食ってる連中だし、短期間で勤務先が代わって会社へのロイヤリティーもないから、派遣先の上司のおかしな指示にも簡単に従う。そもそも医師というのは、手術や臨床経験、学会への論文などで実力をつけていくものですが、派遣登録の産業医は会社の中にいるだけだから、医師として能力が低いのも当然です。最近はお寺でも、坊さんが派遣先から電話1本でお経をあげに来るらしいけど、それと似てますよ」
また、最近では「安定して楽に稼げる」ことを理由に、最初から事業所に常勤する産業医を希望する若い医師や医大生も多いといい、「仕事に誇りを持たない医師は簡単に会社の犬になる」とその医師は言い切る。
■産業医を使わないと「不良社員」も解雇できない !?
さらに、その医師は驚くべき以下の事実を教えてくれた。
「これもおかしな話なんだけど、産業医って、法令には『医師のうちから産業医を選任』としか書かれていないんですよ。つまり、内科や精神科でなくても、眼科医でも小児科医でも可なんです。実際にそういう会社を知ってますしね」
前述の通り、産業医を選任だけして適切な業務を行わせなかった事業所は、50万円以下の罰金が科せられると条文には記されている。仮に100人規模の企業で、経験の浅い「目医者さん」をひとり置いている場合、それが産業医としての「適切な業務」と言えるかどうか、一般的な感覚からすれば大いに疑問が残るところだ。
さて、その一方で、産業医を利用したブラックな解雇が横行している現状について、「日本の労働者が『整理解雇の四要件』で手厚く守られ過ぎているため、企業に対して不利益をもたらす社員をクビにするには産業医を使わないと不可能という現実もある」と指摘するのは、労働法に詳しい都内の30代弁護士だ。
「今の労働者優位の体制を作ったのは労組、つまり連合なんですが、相当な条件をクリアしないと正社員を解雇できない国は先進国で日本だけです。役人が『親方日の丸』で働かないと言われていますが、実は民間も含めた日本全体がそうなっているんです。これは、経済の活性化という面では極めてマイナス。制度上は社員の解雇を可能にして、並行してセーフティネットも整える。そういう社会に変えていくべきだと思いますけどね」
そもそも、産業医とは過労死が社会問題になった時代に、労働環境の改善のために導入された制度。従って当時は、「どこの会社も面倒くさがって、産業医なんて置きたくないと嫌がっていたんです。ところが、想定外の使い道があることを各企業が学習してしまい、今では産業医を置く目的や意図が、当初と全く変わってしまったんです」(前出の弁護士)
産業医の問題を考えるには、国内の雇用実態を勘案した上での、幅広い議論が必要のようだ。いずれにせよ、もし自分が「企業→産業医」ラインで"抹殺"される危険を感じた場合、個人はどのように対抗すべきなのか? これについては、「ひとりで抱え込まずに、とにかく仲間に相談しまくる」(先の弁護士)のが、何より効果的だと多くの関係者は言う。
「情報が拡散することを会社は恐れるし、いろんな人に相談していれば知恵を出してくれる人、仲間になってくれる人が現れます」(同)
また、前出の40代医師は「かかりつけの医師への相談が一番」と言う。
「昔は近所にかかりつけの診療所があるのが普通だったんですけどね。自分のことを知ってくれている医師を普段から作っておくのが理想的です。かかりつけでなくても、別の医者に行くのは必要。ただ、最近は、産業医が『一応ここでも診てもらってください』と表向きセカンドオピニオンを勧めながら、実はそこもグルで罠にハメようとしてくる場合がけっこう多いので注意が必要です」
右を見ても左を見ても、何を信じていいか分からない今のご時世。相談仲間をひとりでも多く作っておくというシンプルな戦略が、事前にできる最も簡単で効果的な戦略といえそうだ。
(文=浮島さとし)

テレビ朝日公式サイトより
テレビ朝日のカイロ支局長がリビアで交通事故死した。
37歳という若さで亡くなったのは野村能久さんは、早大ラグビー部での活躍を経て1997年にテレ朝入社。警視庁記者クラブの担当記者や、同局の情報番組『スーパーモーニング』のディレクターなどを経て、今年6月からカイロに赴任し支局長を務めていた。
事故は20日、リビアの元最高指導者カダフィ大佐の死を受けて野村さんが、同じくテレ朝のカメラマン、現地ドライバーら4人で現地取材に向かったところ、シルトより東190キロほどの地点で何らかの事故があったとされる。テレ朝関係者によると、「気が付いたときには病院のベッドにいた」と話すカメラマンから他の3人が死亡したことが伝えられたという。現場は戦闘地域ではなかったが、事故の詳細はまだ詳しく分かってはいない。
驚いたのは危険な内戦状態にある国に若い記者が突入していたことだ。野村さんは海外取材は経験豊富だったというが、海外赴任はこれが初で、赴任後わずか4カ月足らずの悲劇だったことになる。また、同行カメラマンはなんと入社2年目の23歳だという。この点についてテレ朝関係者に話を聞くと「海外赴任は若い局員に人気がある」のだという。
「大半は自ら志望して海外赴任する形なんですが、その理由はいろいろ手当てがついて高待遇で、また出世の近道になることです。入社1~2年で現地の言葉も話せないのに海外赴任している若い局員もいます」
今回の事故がそうした背景で起きたことかは分からないが、過去に海外赴任経験を持つ同局のテレビディレクターによると「仕事熱心な若い人は、こういう大事件のときに気持ちが先走りして慎重さを欠きやすい面がある」という。
「テレ朝では1991年、長崎・雲仙普賢岳の火砕流で取材中の記者が事故死したことがありました。その後は定期的に勉強会を開くとか"危険を冒すな"という姿勢はあったんですが、でも現場で"危ないから行くな"という指示が出るほど徹底されたことでもなく、雲仙の事故も20年前の話。危機意識が薄くなっていたといわれたら返す言葉はないでしょう」(同ディレクター)
リビアは外務省から全土に退避勧告が出ていた。中東に詳しい記者からは「こういう混乱中は安全を確保するために車の通行ひとつ地元有力者への根回しが必要なこともある」という声も聞かれる。
記者会見で武隈喜一報道局長は「社員の命を一番に守らなければいけない。大変申し訳ない」と頭を下げたが、まずは事故の詳細と原因の究明が求められる。
(文=鈴木雅久)

民主党衆議員・大畠章宏氏の公式HPより
「(原発の重要性を訴える研究報告書について)これだけ変数の多い中をよくここまでまとめられた。敬意を表したいと思います」(民主党衆議員・大畠章宏元経産大臣)
「(原発の圧力容器は)40年で設計をしているわけですが、細心のメンテナンスをしていけば60年は問題ない。では60年で寿命になってしまうかというと、そんなこともない」(武藤栄・当時の電気事業連合会原子力部部長、2010年6月~11年6月東京電力副社長)
03年に行われた社団法人エネルギー・情報工学研究会議(EIT、後述参照)の座談会にそろって出席した両氏は、「原子力が2100年の発電の中で圧倒的な位置を持ちます」と結論づけるEITの研究報告書「地球再生計画のモデル解析」に「敬意を表し」ながら、意気投合していた。
10月4日、小沢一郎元民主党代表の初公判を2日後に控えメディアが盛り上がる裏で、この大畠氏が民主党の「エネルギー政策のあり方を検討するプロジェクトチーム」(民主党エネルギーPT)座長に就任するという人事が発表された。このPTの目的は、民主党の政策を決定し直接政府へそれを提言する政策調査会(政調)における、エネルギー政策の「議論のベースをつくる」(全国紙記者)ことだという。
ほとんど世間の話題に上らなかったこの人事が、「自民党への政権交代の引き金となりかねない」(同記者)との声もあるが、どういうことなのか? 大畠氏という地味な政治家のバックグラウンドを探ると、大畠氏と"原子力ムラ"とのただならぬ関係が垣間見えてきた。
まず、元日立製作所の原発設備設計者である大畠氏の選挙基盤であるが、同社の工場が集積する日立市を含む茨城県第5区から、90年の衆議院議員総選挙に立候補し初当選。以後7期連続の当選を重ねているが、「その最大の強みは日立労組、電機連合、そして同連合も加盟する日本労働組合総連合会(連合)による資金面、選挙活動面での全面的な支援」(同記者)という。
特に原発メーカーである日立、東芝、三菱電機などの電機メーカーの労組で構成する電機連合は、大畠氏が総支部長を務める民主党茨城県第5区総支部へ年間2,400万円(09年度政治資金収支報告書による)もの寄付を行っている。また、夕刊フジによると、同支部に対し東電労組、全国の電力会社労組で構成する電力総連からも献金が行われている模様だが(09年度)、こうした支援組織は、大畠氏の政治活動にどのような影響を与えるのか?
「電機業界、電力業界の完全な"お抱え候補"である大畠氏が、業界利益の代弁者であり、業界の意に反する行動を行うことなどできないのは明らかです。彼らは、自分たちが支援する政治家にお願いしている案件の進捗状況が悪いと、『ところであれはどうなっていますか?』などと逐一政治家本人にチェックを入れてきますから」(政治ジャーナリスト・宮崎信行氏(http://blog.goo.ne.jp/kokkai-blog))
ちなみに電機連合の有野正治中央執行委員長は、連合の10月4日定期大会冒頭挨拶で古賀伸明会長が「脱原発」の方針を示したことについて、電機連合HP上で次のように待ったをかけている。
「『脱原発』あるいは『脱原発依存』という熟語一つで表していくことは受け取る方に誤解を招く危険が大きいと感じます。(略)原発に代わるエネルギー源を確保するには相当な時間と費用がかかることになり、時間軸は読めません」
また、全国の電力会社(10社全て)及び電力関連会社の労働組合で構成する電力総連の内田厚事務局長も6月18日付け東京新聞の取材に対し、「原子力発電は、議会制民主主義において国会で決めた国民の選択。もしも国民が脱原発を望んでいるのなら、社民党や共産党が伸びるはずだ」と発言。大畠氏を強力にバックアップする両組織の原発に関する方針は言わずもがなである。
■前原政調会長が大畠氏を脱原発からの舵切りに利用!?
次に、大畠氏の人脈を見てみよう。大畠氏は毎年「政治経済セミナー・レセプション」という名の政治資金パーティーを開催し、09年11月18日に行われた同パーティーでは計1,450万円の収入を上げている。政治資金パーティーでは「その政治家と日ごろからつながりが深かったり、ブレーンである人物が講演を行うことが多い」(前出の記者)が、大畠氏のパーティーでは、なぜか毎年のように原子力推進をテーマとする講演が行われている。
07年 「原子力は地球環境問題からも大切なエネルギー」
講師 木元教子氏(評論家)
08年 「フランス国における高レベル廃棄物処分計画と原子力政策」
講師 ピエール・イブ・コルディエ氏(フランス大使館原子力参事官)
09年 「日本と世界のエネルギーの現状と今後」
講師 十市勉氏(当時の財団法人日本エネルギー経済研究所専務理事)
(「日本のエネルギー政策の未来の鍵は原子力」との結論)
また、大畠氏が個人社員(全11人)を務める冒頭の社団法人EITは、10年度事業計画に「(EITは)わが国の原子力立国構想にも影響を与えてきたと確信している。『原子力ルネサンス』といわれる時代に、より重要性を増しているのではないだろうか。(略)研究課題を原子力に関する政策提言により特化していくことが望まれている」(EITのHP)と掲げる研究調査機関である。
そしてEITの法人会員には、電力総連、電機連合、電気事業連合会(電事連)、日本原子力研究開発労働組合と、原発推進で恩恵を受ける組織がずらりと顔をそろえる。
以上のバックグラウンドからも「脱原発」派とは言いがたい大畠氏を、なぜ民主党は「脱原発依存を前提」(10月4日産経ニュース)として据えられたPTの座長に据えたのか?
その裏には性急な脱原発の動きを抑制したい、民主党執行部の意向が働いているという。
「鳩山、菅政権時代に、民主党と経団連が代表する経済界との関係はボロボロになりました。消費税増税、TPP推進、そして再来年実施が濃厚な衆議院議員総選挙に向け、民主党にとっては経団連との関係修復が喫緊の課題になっています。しかし経団連は脱原発への反対を表明しており、世論を気にする民主党執行部は、明確に脱原発の方針を表明できない。そこで管前総理が唱えた脱原発路線からの舵切りを『あくまで党内議論の積み上げの結果』を担保として打ち出すため、特に前原政調会長の強い意向で、今回の人選は行われたとの見方があります」(前出の記者)
長きに渡り原発を推進してきた自民党に加え、民主党さえも「原発推進」となると、もはやこの方向は既定路線なのか?
「自民党は次の衆議院議員総選挙で政権を取れなければ、過去の社会党同様に衰退の一途をたどるとの危機感が強い。そこで民主党との明確な対立軸を打ち出すために、『脱原発』を訴えてくる可能性があります。脱原発により石油火力発電の燃料である石油の輸入・消費の増大が予想されますが、自民党は小泉政権時代、マラッカ海峡への巡視船派遣(海賊対策)やイラク戦争に伴う海上自衛隊派遣などを通じ、船舶の燃料である石油業界との関係を強化しました。同政権で外務大臣を務めた町村信孝氏、川口順子氏、官房長官であった細田博之氏は経産省出身であり、他にも同省へいまだ強い影響力を持っている議員は自民党には多数います。このようなパイプをフルに活用し、後のない自民党が、『脱原発』を鮮明にする可能性も十分に考えられます」(前出の宮崎氏)
経済界との関係を重視し、脱原発路線からのシフトを図る民主党と、世論を見方につけるべく脱原発路線を打ち出そうとする自民党。
今回ひっそりと行われた人事が、政権交代のカギを握っていると捉えるのは早計であろうか?
(文=編集部)

特撮リボルテック SERIES No.003 快獣ブースカ ブースカも怒るよ!?

最有力候補とされているステルス機「F-35」。
3候補の中では性能面で最も高いというのが専門家の一致した意見。
航空自衛隊(空自)の次期主力戦闘機(FX)の選定作業がいよいよ佳境だ。空自が現在保有しているF-4ファントムは30年以上も使われており、機体の老朽化は安全上の問題はもちろん、周辺諸国との比較における戦闘能力の低下が危惧されている。政府は年内までに現在の3候補からFXを決定する方針で、来年度予算で4機を購入し、最終的に40機程度を購入する。
中国やロシアが頻繁に領空・領海侵犯を繰り返す現状下で、国土防衛の未来を担うFX選定は極めて重要な問題だ。また、製造工程に日本企業がどの程度絡めるかは、機種により大きな幅がある。影響を受ける国内部品メーカーは大小含めて1,000社を超えると言われており、FX選定が日本経済に与える影響は計り知れない。以上の点から、FX選定のポイントと課題を、専門家の意見を交えながら考察する。
まず、「3候補」とされているのは以下の3機種である。
米を中心に9カ国共同開発の「F-35」(ロッキード・マーチン社)、米国製で米海軍とオーストラリア空軍が使用している「F/A-18E」、イギリスを中心に欧州4カ国が共同で開発した「ユーロファイター・タイフーン」。
このうち、現時点で最有力候補と言われているのがF-35だ。同機を製造しているロッキード・マーチン社は今年の夏から、日本メディア向けのPRイベントを積極的に行っており、他の2社を引き離しにかかっていると見られている。この10月にはF-35のコクピットのシミュレーターを日本へ持ち込み、記者が試乗体験できるプロモーションイベントを敢行した。同イベントに参加した航空専門誌「エアワールド」編集長の竹内修氏は、F-35と他2機種との違いを次のように説明する。
「操作方法の概念が他の機種とまったく違います。一般に戦闘機というと、いわゆるテレビゲームのように画面の中央にスコープがあって、敵に照準合わせて撃墜するというイメージがあります。ところが、F-35は画面がタッチパネルで、スクリーン上に表示された敵のマークと、発射するミサイルのマークを指でタッチして選び、あとはボタンをいくつか押すとミサイルが発射される。戦闘というより、iPadでブラウジングでもしているような感覚になります」
また、F-35は第五世代戦闘機と呼ばれ、レーダーに映りにくいステルス性能が高い点が最大の特徴。戦闘機としての性能は、総合的に見て他の2機種より高いというのが関係者の一致した見方だ。性能が高いほど抑止力も高まるとの考え方から、空自は過去の機種選定でも、常にその時点で最も性能の高い機種を選定してきた。この論でいけば、F-35は決定的とも思える。
ところが、F-35の選定には課題も多い。ひとつは価格の問題で、ロッキード・マーチン社は「量産化が進めば価格は下がり、1機50億円程度で導入できる」とコメントしているが、「開発コストは膨らみ続けているので、逆に上がる可能性」(業界紙記者)も否定できない。
また、F-35の最大の特徴のひとつであるステルス性が、今の日本の防衛体制では発揮できないとの指摘もある。「専守防衛」が大前提の自衛隊は、攻撃を先にしかけることができない。F-35は敵に見つからないうちに先制攻撃できるのが利点だが、専守防衛ではその性能も宝の持ち腐れというわけだ。
さらに、製造過程に日本の企業がどこまで参加できるかも大きな課題だ。9カ国が共同開発をしたF-35は機密度も高く、設計図面を買って国内で製造する「ライセンス生産」が許されていない(他の2機種は一定割合を上限にライセンス生産が可)。機体のどこにどの部品が使われるかというワークシェアリングが厳密に決められており、最終組み立て作業や一部のパーツの製造などが認められる可能性があるものの、経済効果に大きな期待はできないことになる。

日本経済への波及効果が期待されるユーロファイター。
総合的なメリットは最も高いと支持する声も多い。
また、一言で最終組み立て作業といっても単純ではない。極めて複雑で精度の高い同機の組み立てには、担当企業となることが確実視されている三菱重工は新たな設備投資が必要となり、これが最終的に価格にはね返るとの見方もあるのだ。
「FXの選定に国内経済の問題を持ち込むべきでない」という意見もある。その一方で、「軍事と経済は地続きの問題」との声もある。この課題を模索するには、国内の部品メーカーが現在どんな状況下にあるかを知る必要があるだろう。これについて、「国内メーカーはかつてない厳しい局面を迎えている」と言うのは、前出の竹内氏だ。
「次世代の主力旅客機として世界中から注目され、その1号機が日本のANAに先般納入されたボーイング787は、胴体パネルや主脚ドアなどの各種部品や内装部品全体の約30~40%以上に三菱重工や富士重工、IHI、川崎重工などの技術が使われています。実はこうした大手メーカーに納品している一部の下請けや孫請けの部品メーカーが、航空機、特に軍用機部門から撤退を始めているのです」
実は、三菱重工や富士重工はボーイング787のような旅客機も作ってはいるものの、これまで受注額の多くは自衛隊からの発注分が占めていた。しかし、ここ数年は防衛費の圧縮やFXの選定作業の遅れなどから、防衛関連の受注が激減。787などの3~4割の生産だけでは、すべての下請けの"食い扶持"を賄うことはできないというのだ。
一方、三菱重工の傘下にある三菱航空機は、国産旅客機「MRJ」の開発を進めている。この量産化による波及効果は期待できないのだろうか。竹内氏はこれについても否定的だ。
「MRJは開発コスト削減などの理由で、実績のある海外メーカーの部品を多く使っています。国内への経済効果、とりわけ中小企業への波及効果という点では、大きくは期待できません」
こうしたことから、国内の中小部品メーカーはFXの早期発注に大きな期待をかけてきたが、選定の大幅な遅れからすでに撤退や倒産した会社も出始めている。
また、仮にF-35に決まった場合、前述した通り国内メーカーが得られる恩恵は他の2機種に比べれば少ない。このままでは、日本の航空産業で大きな役割を果たしてきた中小企業は総倒れという事態にもなりかねない。FXの選定が、下町の工場の未来を分ける分水嶺になる可能性があるというのだ。
こうした中、F-35の製造元であるロッキード・マーチン社はこのほど、ある程度までのライセンス生産を認めると発表。その割合は「一説では最大で20%程度」(関係者)と限定的だが、機密保持に厳格な取り組みを続けてきた同社の歴史の中でも、「異例中の異例の決断」(竹内氏)として関係者を驚かせた。ロッキード・マーチン社が動きを活発化させた背景には、ライバル2社の追い上げに対する焦りに加え、「ユーロ危機が関係しているのでは」と竹内氏は推測する。
「F-35の開発パートナー国には、イタリアやオランダなどのユーロ圏の国が多く、それらの国も当然ながら同機の導入計画がありますが、ここ最近のユーロ危機の影響で、はたして各国が予定通り購入できるかが怪しくなりつつあるのです」
また、中国やロシアの脅威にさらされている日本と違い、欧州は全般的に武力脅威が少ない。各国とも「しばらく様子見で、金があるときに買おう」と言い出しかねない条件がそろっているというのだ。事実、デンマークは9カ国の開発パートナーのひとつでありながら、いまだに導入するかさえ決定していない。
「それに引き換え、日本は不景気といってもまだまだ経済力の信用性は高く、軍事的にも新型戦闘機の必要性に迫られている。多少は出血サービスしても、日本に売りたいと考えても不思議ではありません。今後の交渉次第ではさらに有利な条件を引き出せる可能性も考えられます」
先般のシミュレーターを用いたPRイベントや、5月以降の一連のプロモーション戦略、さらには異例のライセンス生産の許諾など、ロッキード・マーチン社がここへきて売り込み攻勢のネジを巻き始めたのも、こうした要因に基づく同社の「焦り」と無関係ではないだろう。
とはいえ、ライセンス生産をある程度認めるという"譲歩"と、最も高い性能という条件にありながら、単純にF-35に決められない理由は他にもある。FXは防衛省が3候補の中から決定(最終決定は政府の国防会議)するが、実は航空自衛隊や防衛省の中でも各機種を推す3つの派閥的な動きがあると竹内氏は言う。
「F-35を推す勢力は、防衛大出身で純粋に機体の性能を第一に考えている人たちです。一方、F/A-18Eを推す勢力は一般の大学を出ているキャリアたちで、大学の同期に財務官僚がいたりして、要するに安定したコストで機数を揃えたいという現実路線です。最後にユーロファイターを推すグループですが、省内にはまだ国産戦闘機の開発を続けたいと考えている層がいまして、この人たちはユーロファイターを強く推しているのです」

F-35のコクピット。タッチパネルによる操作は革新的だ。
国産機推進派が欧州製のユーロファイターを推すには理由がある。欧州4カ国が共同開発したというユーロファイターは、日本国内でのライセンス生産を全体の実に95%まで認めている。F-35の最大でも20%程度という数字とは雲泥の差で、それどころか、将来的には日本でライセンス生産した同機の海外輸出までも可能とする破格の条件を提示しているのだ。これは事実上の国産化ともいえる。もちろん、輸出には「武器輸出三原則」という高いハードルが待ち構えているが、95%という数字は戦闘機の生産基盤の維持と産業技術力の向上という面では魅力的だ。
国防の要を担うFXを金勘定だけで選ぶことはできないが、性能面で見てもユーロファイターは「3機の中で速度が一番早く、運動性も機敏」(竹内氏)。スピードや機敏さが性能のすべてではないまでも、領空に侵入してくる他国の軍用機の迎撃を最大の役目としている航空自衛隊にとっては魅力的な要素といえる。前述したとおり、F-35がステルス性の利点を十分に発揮できないのであれば、総合的な判断からユーロファイターを選ぶ考え方も的外れとはいえない。
もちろん、最高性能のF-35をとりあえず選択し、今後の国民的な議論の中で専守防衛の見直しを図る方法もあるが、現与党が国防の議論に消極的な民主党である現状や、憲法改正に国民の半数が否定的であるとの調査結果を鑑みれば、それが簡単でないことは明白だ。
「しかも、戦闘機の製造には1,000社ほどの国内企業が関係してきますから、ユーロファイターは日本の経済界にも応援団が多いのです。経産省にシンパが多いという話もありますし、経団連の幹部が同機に肯定的なコメントも出しています。また、戦闘機の部品製造は民間技術への転用という広がりも期待でき、技術力の底上げや雇用の維持に大きく貢献します。日本の産業力や経済力を含めた広義の安全保障という意味では、ユーロファイターという選択肢は現実的ともいえるのです」(竹内氏)
また、現在のFX候補機が4カ国や9カ国で共同開発していることからも分かる通り、各国とも単独での戦闘機開発は困難になりつつある。F-35のさらに次の世代の戦闘機を見据えたとき、今から欧州と技術交流を進めて体制を固めておくことは、「安全保障の幅も広がり、未来の日本の国防を考えればありえる選択」(竹内氏)ともいえる。
機体性能のF-35と、価格と安定性のF/A-18E、国力全体を勘案したユーロファイター・タイフーン。そして、これらを十分に活用できるための法環境の整備。FX選定にはさまざまな角度からの考察が必要だ。単純に「戦闘機を何にするか」という問題ではない。竹内氏が言う。
「先日も近所の飲み屋さんで、FX関連のニュースをテレビで見ていたあるお客さんが『武器なんていらない、平和が一番だ! こんなもの税金で買うな!』と一喝していました。では、老朽化する今の戦闘機を放置しながら、具体的にどうやって"平和"を維持するのか、日本経済を下支えする下町の優れた工場をどう維持するのか。国内経済の振興をどうするのか。耳障りのいい言葉であいまいにせず、問題を具体的に掘り下げて考えていく必要があるのではないでしょうか」
航空自衛隊の次期主力戦闘機の問題は、実は国民生活の身近なところに深く関係している。政府は年内には3機種の中から決定する方針だ。国民一人ひとりがこの問題を自身の課題として捉え、決定に注目をしていく必要がありそうだ。
(文=浮島さとし)
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中国の「花鳥市場」で販売されている、動けないほどの狭いケージに
閉じ込められた犬。値段を聞くと「1,500元(約1万8,000円)」。
「観光客価格です。現地人なら900元(約1万円)まで下がる」と、
中国やヨーロッパなどで動物愛護に取り組んでいる上海在住の
日本人Aさん(35歳)は明かす。
経済成長を続ける中国で、生活の豊かさを背景にペットブームが拡大している。中国のあるペット専門誌の調べでは、中国の20主要都市で飼われている犬の数は約5,800万匹。これは日本国内の犬と猫を合わせた飼育頭数約2,200万頭(2009年ペットフード工業会調べ)の2.6倍に相当する。また、北京市保護小動物協会の05年の統計資料によれば、同市のペット市場規模は6億元(約72億2,000万円)を突破したという。
マーケットが拡大を続ける中、中国人のずさんな動物の扱い方も問題視されている。中国メディア「京華時報」は09年4月、北京市郊外のペット市場で一部の業者が犬の体毛を染色したり、塩水注射で口元を整形した犬を販売し、活発な犬に見せるために興奮剤を飲ませる業者もいるとの記事を配信。業界の慢性的なモラル欠如を告発している。
モラル欠如の象徴としてしばしば指摘されるのが、「花鳥市場」の存在だ。花鳥市場とは中国国内に多数存在する"なんでも市場"ともいうべき巨大な青空市で、犬や猫、鳥、魚、昆虫、植物、衣類、生活雑貨など、生き物から物品まであらゆる商品が売られている。正規のペットショップを利用する客は一部の層に限られ、多くの国民はこの花鳥市場で犬や猫などのペットを購入している。たとえば上海では、市内全体で60~70カ所の花鳥市場があり、法律上はそのすべてを政府が管理。出店希望者は上海市住房保障和房屋管理局の市場部に申し込み、当局と賃貸借契約を結ぶことで誰でも商売が可能となる。
中国やヨーロッパなどで動物愛護に取り組んでいる上海在住の日本人Aさん(35歳)は、「花鳥市場で売られている動物たちは例外なくルートが不明で、扱いも虐待に近いほどひどい」と説明する。
「花鳥市場では、基本的に野良犬や野良猫を捕まえて繁殖させ、商品価値のありそうな犬猫を販売していますが、新しい犬猫がどんどん入ってくるため、売れ残った動物は、ところてん式に押し出されて殺されていきます。狂犬病ワクチンの予防接種などは一切打たれていません。あまりに環境がひどすぎるため、欧米の愛護団体などが場内で業者と揉めるなどのトラブルも起きており、最近はナーバスになっている業者が写真撮影している外国人を怒鳴っている光景も目にします」
そのAさんの案内で、上海市内の花鳥市場を見てみることにした。場所は上海北部郊外にある普陀区。同区だけで5カ所の花鳥市場があるという。そのうちの一つを訪れると、およそ300坪ほどの敷地に、さまざまな店がひしめきあうように立ち並んでいた。動物たちは例外なく狭いゲージに折り重なるように詰め込まれ、中には死んで動かない動物も見受けられる。子猫の顔をよく見ると、顔全体に黒くまだらな点々が見える。「これ全部、ノミの糞ですよ」とAさんが嘆息する。

顔中の黒いまだらの点は「ノミの糞が散らばったもの」(Aさん)。
環境の劣悪さが分かる。
別の店では、毛が抜けて明らかに病気と思われる犬が、別のケージに隔離されている。投薬などの措置が施されている気配はない。場内に立ち込める悪臭に顔をゆがめると、Aさんは「今日はまだ涼しいからマシです。夏はとてもじゃないけど来られませんよ」と苦笑いした。
「新しい犬や猫を次々に仕入れてきては、弱った順に殺されていく。今ここにいる犬や猫たちも、来週にはいるかどうか分かりません」(Aさん)

激しく毛が抜け落ちてぐったりとする犬。
商品価値がなくなった動物は処分されるだけだという。
こうした中、中国でも動物愛護意識は高まっており、ずさんな扱いを虐待行為と批判する声も増えている。中国では今年4月、食用の犬約520匹を積んだトラックが、高速道路上で約300人の愛犬家グループに囲まれるという事件が発生。愛犬家らはすべての犬を買い取ることで運転手と話をつけたが、あまりの数の多さに結局は引き取ることができなかったと地元紙が報じている。
また、法規制の動きもあり、09年には中国社科院法学研究所の専門家たちが「反虐待動物法」という法案を提出したものの、同法案には中国国内にも賛否両論あり、現在は事実上ストップしている状態だという。
一方、「ペット市場の環境が劣悪だという点においては、日本も外国のことを言える立場にありません」と言うのは、公益財団法人どうぶつ基金(http://www.doubutukikin.or.jp/)の佐上邦久理事長だ。
「生まれたばかりの犬や猫は、環境の変化や輸送に弱いためと、母親や兄弟との触れ合いで社会性をつけるために、欧米の国や州では生後8週齢(約2カ月)未満の犬猫の取引は法律で禁止されているところがほとんどです。ところが日本では、生後すぐに子犬を母犬から引き離して売ってしまう。仮に病気に感染している場合、発症する前の小さくてかわいいうちに売り払ってしまったほうが、業者にとって利益になるからです」

福岡市内の悪質なブリーダーから市民団体に救助された全身皮膚病の雌犬(写真左)。
ひたすら出産のみを義務付けられ、病の治療は一切行われなかった。
現在は佐上理事長に引き取られ、一年かけて健康体を取り戻した(写真右)。
また、犬や猫を糞尿だらけの小さなカゴに詰め込んで飼育するブリーダーは、日本にも数多くいるといい、中には数を増やすことだけを目的に、父犬と娘犬や孫犬との近親交配も、一部の業者では常態化していると指摘する。
「環境省が公表している『犬猫調査のまとめ』によると、年約15万頭の犬や猫が業者によって生産され、そのうち生きて消費者に販売されるのは約6万頭。残りは死産や売れ残りという理由で処分されています。トレーサビリティ(流通履歴)の確保もされていません。年間約24万頭の犬猫が保健所で殺処分されているニュースは目にすることはありますが、流通ルートで10万頭近くが処分されている事実を国民は知るべきです。こんな国は先進国では日本だけです」
また、多くの国で禁止されている店頭での陳列販売が、日本ではほとんど問題視されていない現状に驚愕する欧米の愛護団体も多い。前述のAさんが、日本では一般的な「生体市場(オークション)」の問題点を次のように指摘する。
「日本のペットショップではオークションで仕入れた犬や猫が店頭のガラスケースに陳列されて売られていますが、狭いケースで陳列される環境は子犬には非常に苛酷で、ストレスから精神的に大きな負担を強いるために、イギリスでは法律で禁止されています。また、オークションでは動物たちが病気に感染しているかなどの健康状態を知ることができないため、店頭で他の子犬に感染を広めてしまうこともあるのです」
ヨーロッパの動物事情に詳しいある外資系メディアの記者は、日本や中国のペット市場には法律や条例による規制が今すぐ必要だと考えている。
「ドイツでは飼育面積などの規定も動物の種類ごとに法律で細かく規定されていて、犬については小屋の材質や散歩する時間、リードの長さまで決められています。また、無責任に犬を飼えないように『犬税』も存在します。ペット後進国の日本や中国は、こうした動きを積極的に導入していくべきでしょう」(同記者)
日本で法規制が遅々として進まないのはなぜだろうか。最大の原因は「悪質な業者の利益を関係省庁の天下り団体が守っている構造にある」と指摘するのは、前出の佐上理事長だ。8週齢未満での取引禁止などが法制化されると、手間やコスト面で業者にとっては大きなマイナスとなる。このために業界団体が環境省や農水省などからの天下りを受け入れることで、業界に不利な法規制に歯止めをかけているというのだ。
「動物愛護法の改正については、環境省の諮問機関である中央環境審議会動物愛護部会で審議されますが、ここの委員は過去に『日刊サイゾー』で助成金詐取が暴露された『日本動物福祉協会』のお抱え獣医師(※記事参照)や、農水省の天下り先である「ジャパンケネルクラブ」の理事長らが顔をそろえています。前回の法改正時には幼齢犬の分離を56日にする案が出されていたのに、土壇場でなぜか廃案。その直後に当時の環境省動物愛護管理室長は、動物愛護部会と小委員会臨時委員を輩出している業界団体『日本愛玩動物協会』の理事に天下りしています。しかし、新聞もテレビもこれを報じない。政治家と業界、官僚がズブズブの関係なんです。これでは適正な法改正などできません。ましてや中国を批判なんて恥ずかしくてできませんよ」
では、現状を変えるためには何が必要なのか。佐上氏は、一部の欧米諸国で導入されている飼育免許制度の導入と、流通構造の抜本的な改革が必要だと主張する。
「ペットを飼いたい人は講習を受けて飼育免許を取得する。流通構造については、問題の温床である店頭販売やセリを法律で禁止し、店で買わずに保健所やNPO団体が行っている保護施設から譲り受ける。どうしても買いたい人は、ブリーダーに予約して直接購入する。こうした改革が急務です。幸いにも、現在の環境省動物愛護管理室の職員は、問題の本質を受け止めながら真摯な態度で法改正に取り組んでいます。彼らの自浄能力に期待しています」
一方、市民レベルでの意識改革が必要だと説くのは、中国・上海で猫の里親探しなどの活動を続けている民間組織「ストレイ上海(Stray-Shanghai)」(http://stray-shanghai.jimdo.com/)だ。一人ひとりができることを考え、可能な範囲で実践に移していくことが何より大事だと指摘する。
「できることは人のキャパによってさまざまですので、絶対的な答えはありません。お金に余裕があれば資金面での支援ができますし、そうでなくても、近所の野良猫に去勢や避妊手術をする活動に参加することも可能です。一人ひとりが意識を変えなければ存在する問題を直視できませんし、現状を変えることは不可能です。まず、彼らの存在に気がついてあげられる事、そこが一番大事なポイントだと思っています」
事実、ストレイ上海のロシア支部「ストレイ・ピーターズバーグ」(Stray-Petersburg)では、2000年からサンクトペテルブルグ市に働きかけを続けてきた結果、これまで薬殺処分されていた野良犬に対し、国家予算での治療(チップの装着、不妊去勢手術、ワクチンや狂犬病の予防接種など)を行政に義務づける条例改正を06年に実現。また、同団体はフィンランドやスウェーデン、ドイツ政府とも協力し、野良犬の里親探し活動で300件あまりの成果を上げている。
仮にも先進国の日本がペット大国と言われながら、その劣悪な市場環境を理由に中国と並んで国際的な非難を受けているのであれば、恥ずべき現実という以外ない。一刻も早い法整備へ向けた審議が求められる。また、草の根レベルでの意識改革を図りながら、天下りなどの構造的な問題へも、社会全体で厳しく目を向けていく必要があるだろう。
(文=浮島さとし)
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