
中国紅十字会 公式サイトより
北京市を水没させた7月21日からの豪雨による死者は、市当局によって77人と発表されたが、ネット上では「死者はさらに多いはずだが、当局が隠匿している」という疑いも出ている。そんな中、今度は中国紅十字会(中国赤十字)が、豪雨の犠牲者の遺体の搬送費用を遺族に不当に要求していたとして、ネット上で批判が噴出している。
中国版Twitter「微博」に投稿された情報によると、豪雨によって洪水被害が起きた北京市房山区で水死した教員男性の遺体を火葬場まで搬送した中国赤十字が、遺族に対して620元(約7,600円)の遺体搬送費を請求していたというのだ。さらに遺族は、遺体搬送に際しては火葬場の車を使用しようとしたものの、赤十字側がそれを認めなかったという。
また、中国赤十字が遺族に送付した遺体搬送料の請求書の画像もインターネットに出回っており、そこには往診費40元(約500円)、材料費370元(約4,600円)、出車費210元(約2,600円)という内訳で、620元が請求金額として明記されている。さらに請求書には、「北京赤十字救急救命センター」の印まで押されているのだ。
こうした批判に対し、中国赤十字は「遺族の同意のもと救急車両で男性の遺体を葬儀場まで運び、政府の規定に従って作業を行った」「搬送料は物価局と衛生局の決定を経たもの」と主張。しかし、ネット上でバッシングが高まると、「搬送費の徴収は不適切だったので返金している」と態度を改めており、そもそもこの搬送費は正当でなかった可能性が高まってきた。
人道的活動団体でありながら、災害被害者に不明朗な請求を行う中国赤十字について、広東省ブロック紙の社会部記者はこう話す。
「中国赤十字は、肩書きは公益団体でありながら、商業活動も盛んにやっている。昨年には、老人ホーム建設予定地として格安で政府から割り当てられた土地を開発して分譲し、巨額の利益を上げていたことが問題となっている。あまりにも儲けすぎて、政府監査部門から商業関連活動を制限されたが、商魂たくましい体質は変わっていない」
それにしても、100年に一度といわれる水害に便乗するとは、火事場泥棒以下の所業である……。
(文=牧野源)
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【ロンドン五輪現地レポ】勝負パンツで金メダルを目指す、サッカー日本代表のチャラ男・大津に地元紙も注目!

初戦のスペイン戦後には、小さいながらも
地元紙にその活躍ぶりが紹介された。
ロンドン五輪に参加しているサッカー男子五輪代表が4日、準々決勝でエジプトに3-0と快勝し、サッカー女子代表のなでしこジャパンとアベックでのベスト4入りを決めた。44年ぶりの準決勝進出を決めるホイッスルが鳴ったとき、この日ダメ押しの3点目を決めたFW大津祐樹は思わずピッチに膝をつき、感極まった。
初戦のスペイン戦で殊勲の決勝弾を決め、一躍時の人となった“チャラ男”大津。今大会2得点目となった自身のゴールについては「気持ちよかったですね。俺のゴールはタカ(扇原貴宏)のアシストが多い。信頼して飛び込みました」と、チームメイトへの感謝を口にした。
愛称はチャラ男だが、ことサッカーに関してはまじめな大津。甘いマスクに茶髪、細身でスラッとした姿はいかにもイマドキの若者風だが、武器はしなやかなドリブルだけではない。FWながら積極的に守備にも参加し、泥臭いプレーも厭わない。その見た目とプレーのイメージのギャップが受けているのだろう。
それにしても絶好調だ。五輪直前に行われたメキシコとのテストマッチでは、「スタメンを外され、強い気持ちで入った」と途中出場ながら、終了間際に劇的なボレーでチームに勝利をもたらし、自らを「持ってる」と称した。
「予選のときも(大事な場面で)決められましたし。ああいうゴールを決めることで“ヒーロー”にもなれる。本大会でもしっかり決められるように頑張りたい」
まさに有言実行。いまU-23日本代表を引っ張っているのは、大会前に注目を集めた清武弘嗣でも宇佐美貴史でもなく、快速FW永井謙佑と大津である。
大金星を決めた初戦のスペイン戦では、決勝ゴールを挙げたが、前半途中に脚を痛め、途中交代すると「ほんとに最後自分が出られないなか、みんなが戦ってくれたことに、ちょっとうるっときちゃいました」と涙を浮かべ「やっぱりうれしいときはうれしいし、泣きたいときは泣きたい」と人目もはばらず感情をあらわにした。
普通の人であれば照れてしまうような言動を、なんともさらっとやってしまうのが、大津の魅力。
あ
「俺、余計なプライドが邪魔するんだったら全然捨てますから。もちろん、こだわりはあります。ただ、それが行く道を邪魔するんだったら、余計なプライドは捨てたほうがいいじゃないですか。俺はまだ22歳だし、これからだって考え方は変わるだろうし、あまり何かにこだわってもよくないでしょ」
何より、純粋で素直なのだ。
エジプト戦後のMIXゾーンでは、少し下がったズボンの下から見えたオレンジの色のパンツに話題が及んだ。
「勝負パンツなんですよ」
スペイン戦でも同じパンツをはいていたといい、「タイミングよく使ったら勝てたので、縁起がいいと思って」。勝負パンツといえば、なでしこジャパンの丸山桂里奈の代名詞だったが、チャラ男もパンツでゲンを担ぐつもりだ。「メダルは銅でも銀でもなく、金がいい」。果たして、この勢いはどこまで続くか。
(文=豪徳寺マサヲ)
【ロンドン五輪現地レポ】勝負パンツで金メダルを目指す、サッカー日本代表のチャラ男・大津に地元紙も注目!

初戦のスペイン戦後には、小さいながらも
地元紙にその活躍ぶりが紹介された。
ロンドン五輪に参加しているサッカー男子五輪代表が4日、準々決勝でエジプトに3-0と快勝し、サッカー女子代表のなでしこジャパンとアベックでのベスト4入りを決めた。44年ぶりの準決勝進出を決めるホイッスルが鳴ったとき、この日ダメ押しの3点目を決めたFW大津祐樹は思わずピッチに膝をつき、感極まった。
初戦のスペイン戦で殊勲の決勝弾を決め、一躍時の人となった“チャラ男”大津。今大会2得点目となった自身のゴールについては「気持ちよかったですね。俺のゴールはタカ(扇原貴宏)のアシストが多い。信頼して飛び込みました」と、チームメイトへの感謝を口にした。
愛称はチャラ男だが、ことサッカーに関してはまじめな大津。甘いマスクに茶髪、細身でスラッとした姿はいかにもイマドキの若者風だが、武器はしなやかなドリブルだけではない。FWながら積極的に守備にも参加し、泥臭いプレーも厭わない。その見た目とプレーのイメージのギャップが受けているのだろう。
それにしても絶好調だ。五輪直前に行われたメキシコとのテストマッチでは、「スタメンを外され、強い気持ちで入った」と途中出場ながら、終了間際に劇的なボレーでチームに勝利をもたらし、自らを「持ってる」と称した。
「予選のときも(大事な場面で)決められましたし。ああいうゴールを決めることで“ヒーロー”にもなれる。本大会でもしっかり決められるように頑張りたい」
まさに有言実行。いまU-23日本代表を引っ張っているのは、大会前に注目を集めた清武弘嗣でも宇佐美貴史でもなく、快速FW永井謙佑と大津である。
大金星を決めた初戦のスペイン戦では、決勝ゴールを挙げたが、前半途中に脚を痛め、途中交代すると「ほんとに最後自分が出られないなか、みんなが戦ってくれたことに、ちょっとうるっときちゃいました」と涙を浮かべ「やっぱりうれしいときはうれしいし、泣きたいときは泣きたい」と人目もはばらず感情をあらわにした。
普通の人であれば照れてしまうような言動を、なんともさらっとやってしまうのが、大津の魅力。
あ
「俺、余計なプライドが邪魔するんだったら全然捨てますから。もちろん、こだわりはあります。ただ、それが行く道を邪魔するんだったら、余計なプライドは捨てたほうがいいじゃないですか。俺はまだ22歳だし、これからだって考え方は変わるだろうし、あまり何かにこだわってもよくないでしょ」
何より、純粋で素直なのだ。
エジプト戦後のMIXゾーンでは、少し下がったズボンの下から見えたオレンジの色のパンツに話題が及んだ。
「勝負パンツなんですよ」
スペイン戦でも同じパンツをはいていたといい、「タイミングよく使ったら勝てたので、縁起がいいと思って」。勝負パンツといえば、なでしこジャパンの丸山桂里奈の代名詞だったが、チャラ男もパンツでゲンを担ぐつもりだ。「メダルは銅でも銀でもなく、金がいい」。果たして、この勢いはどこまで続くか。
(文=豪徳寺マサヲ)
【ロンドン五輪現地レポ】オッズはイーブン! なでしこジャパンはブラジル戦で“汚名”晴らせるか?

なでしこジャパンとブラジルのオッズはイーブン。
6/4、21/10という数字は、4(または10)ポンドかけると
6(または21)ポンド戻ってくるという意味
ロンドン五輪に参加しているサッカー女子日本代表・なでしこジャパンが、“らしくない”戦いぶりで決勝トーナメント進出(ベスト8)を決めた。
なでしこジャパンといえば、どんなときも懸命にプレーする「フェアプレー精神」が何よりの売りだったはず。昨年のドイツW杯で世界チャンピオンに輝いた際も、称賛されたのは、サッカーの内容よりも、小さな女の子たちが欧米の大柄な選手相手にも懸命に挑む戦いぶりだった。
お茶の間のファンは、恵まれない環境の中でも必死に頑張っている女の子たちに感動し、声援を送ったのだ。
しかし、7月31日に行われたグループリーグ第3戦の南アフリカ戦は、そんなイメージとは対極にある試合だった。
初戦のカナダ戦に2-1で勝利し、続くグループ最大のライバル・スウェーデン戦を0-0で引き分けたなでしこジャパンは2試合を終え勝ち点4とし、南アフリカとの第3戦を前に決勝トーナメント進出を決めていた。
本来ならば第3戦も勝って、首位通過を目指すところ。しかし、なでしこジャパンは意図的に引き分けを狙いにいったのだ。
もちろん、引き分けを狙いにいった理由はちゃんとある。佐々木則夫監督は、その理由についてこう話している。
「(準々決勝の)相手はどこでもよかったが、ここ(カーディフ)に残ることがベストだと考えた。グラスゴーに行くとなると、8時間くらいかかってしまうので」
なでしこジャパンはこの南アフリカ戦をカーディフで戦ったが、グループ1位通過となれば約500キロ離れたグラスゴーへの移動を強いられる。だが、もし2位になれば次戦もカーディフで戦えるのだ。
「相手はどこでもいい」というのも、決して本心ではないだろう。1位通過であれば、相手は先の親善試合で0-2と完敗したフランスで、2位通過で決まった相手は「スカートを穿いたペレ」と称されるエースのマルタが不在だったとはいえ、4月に4-1と快勝しているブラジルなのだから(イギリスになる可能性もあったが……)。
それにしても、誰の目にも明らかな「ドロー狙い」だったものの(なでしこは、引き分ければ無条件で2位通過が決まる状況だった)、公の記者会見でそれを明らかにしてしまったのは、少々驚きだった。後半途中に投入したMF川澄奈穂美には「申し訳ないけど(得意の)カットインからのシュートはやめてくれ」と言ったことまで暴露してしまうとは、なんと正直なことか(これこそ、なでしこジャパンらしいが……)。
ロンドン五輪のバドミントン女子では「無気力試合」をした中国などの8選手が失格となる厳しい処分が下ったばかり。戦略とはいえ、格下の南アフリカを相手に意図的に勝利を放棄した戦いぶりは賛否を呼んだ。
狙いどおりの戦略で準決勝に進出し、メダル獲得となれば、この策も称賛されるかもしれない。しかし、万が一失敗に終われば、汚名とされ、昨年来のなでしこ人気の急降下を招きかねないだろう。
ちなみに、地元イギリスのブックメーカー「William Hill」の日本対ブラジルのオッズはまったくの五分。キックオフは日本時間8月4日午前1時。果たして、なでしこジャパンは“汚名を晴らす勝利”で、メダル獲得に向け前進することができるだろうか?
(文=豪徳寺マサヲ)
またまた炎上!? 中国ネット民が蒼井そらの五輪ツイートに「売国奴」の罵声
ロンドン五輪が後半に差し掛かかる中、国別金メダル獲得数では中国が首位をキープ。「国際社会の昇り龍」にふさわしい地位に、さぞかしご機嫌うるわしいはずの中国のネット市民たちだが、日本のAV女優・蒼井そらが彼らのバッシングを浴びている。
きっかけは7月28日、彼女が中国版Twitter「微博」上で、金メダル獲得数で首位に立つ中国に対し「金メダル首位おめでとう」と、健闘をたたえる書き込みを行ったことだ。しかし、蒼井は8月2日に中国で新曲の発表を控えていたため、「そのための“ご機嫌取り発言”に違いない」と勘ぐる複数の声が寄せられた。さらにその後、「日本人なら日本を応援するべき」「外国を応援するなんてお前は売国奴だ!」「ポルノ女優に応援されるほど中国は落ちぶれていない」などと批判はエスカレートしている。
ちなみに蒼井は昨年、柳条湖事件から80周年を迎えた9月18日に、「微博」上にVサインをした自らの写真とともに「超うれしい!」との中国語での書き込みをアップした際にも、「微博」アカウントが大炎上する事態となっている。柳条湖事件といえば、関東軍が中国侵略の口実を作るために満州鉄道を自爆したとされる事件。「我々の国恥の日にうれしいとはけしからん!」「お前ら日本人が80年前にやったことを忘れたのか!?」などといった批判が中国ネット市民から相次いだというわけだ。
こうした経験から彼女としては以降、ツイートする際には 中国人の国民感情を害しないよう注意していただろう。しかし、中国の健闘をたたえただけなのにここまで批判されるとは、思いもしなかったはずだ。中国ネット市民とは、なんとも気難しい方々のようである……。
中国では男性のみならず女性からも絶大な人気を誇り、「微博」では外国人として最大の1,200万人以上のフォロワーを抱える彼女。正真正銘の「中国で一番有名な日本人」に課せられた有名税として割り切るしかない!?
(文=牧野源)
またまた炎上!? 中国ネット民が蒼井そらの五輪ツイートに「売国奴」の罵声
ロンドン五輪が後半に差し掛かかる中、国別金メダル獲得数では中国が首位をキープ。「国際社会の昇り龍」にふさわしい地位に、さぞかしご機嫌うるわしいはずの中国のネット市民たちだが、日本のAV女優・蒼井そらが彼らのバッシングを浴びている。
きっかけは7月28日、彼女が中国版Twitter「微博」上で、金メダル獲得数で首位に立つ中国に対し「金メダル首位おめでとう」と、健闘をたたえる書き込みを行ったことだ。しかし、蒼井は8月2日に中国で新曲の発表を控えていたため、「そのための“ご機嫌取り発言”に違いない」と勘ぐる複数の声が寄せられた。さらにその後、「日本人なら日本を応援するべき」「外国を応援するなんてお前は売国奴だ!」「ポルノ女優に応援されるほど中国は落ちぶれていない」などと批判はエスカレートしている。
ちなみに蒼井は昨年、柳条湖事件から80周年を迎えた9月18日に、「微博」上にVサインをした自らの写真とともに「超うれしい!」との中国語での書き込みをアップした際にも、「微博」アカウントが大炎上する事態となっている。柳条湖事件といえば、関東軍が中国侵略の口実を作るために満州鉄道を自爆したとされる事件。「我々の国恥の日にうれしいとはけしからん!」「お前ら日本人が80年前にやったことを忘れたのか!?」などといった批判が中国ネット市民から相次いだというわけだ。
こうした経験から彼女としては以降、ツイートする際には 中国人の国民感情を害しないよう注意していただろう。しかし、中国の健闘をたたえただけなのにここまで批判されるとは、思いもしなかったはずだ。中国ネット市民とは、なんとも気難しい方々のようである……。
中国では男性のみならず女性からも絶大な人気を誇り、「微博」では外国人として最大の1,200万人以上のフォロワーを抱える彼女。正真正銘の「中国で一番有名な日本人」に課せられた有名税として割り切るしかない!?
(文=牧野源)
中国で頻発する集中豪雨で、コンドームがバカ売れした理由とは?

6月下旬から7月にかけて、九州地方を中心に日本列島は記録的な集中豪雨に見舞われたが、お隣中国でも、北京、武漢、南京、成都、天津など各地を豪雨が襲っている。首都北京で7月21日から降り始めた集中豪雨では、少なくとも77人の死者を出す事態となった。
そんな中、被害地域ではなぜかコンドームが飛ぶように売れていたという。しかし「外出できないため、家にこもってセックスに励んでいたから」という理由ではない。
「コンドームは避妊用具としてだけでなく、防水グッズとして浸透しているんです」と語るのは、広東省ブロック紙の社会部記者だ。
「昨年夏、北京が豪雨に見舞われた際、『靴にコンドームを装着すると水が染みない』という趣旨の書き込みが中国版Twitter『微博』上で拡散し、実行する人が後を絶たなかったことは有名な話。これは後に、コンドームメーカーのデュレックスが行った巧みなPRだったことがわかったのですが、その後もコンドームは防水グッズとして定着しました。さらに今夏の豪雨では、大人の腰の上くらいまで冠水した地域も多く、靴だけではなく、財布や携帯電話やノートパソコンなどにもコンドームを装着する必要があったため、被害地域ではコンドームは品切れが続出していた」
ちなみに同記者によると、中国人が水場でコンドームを利用するのは、今に始まった話ではないという。
「文革期には、英国領だった香港に泳いで密入国する人が後を絶たなかったが、そのときに使われたのがコンドーム。膨らませて浮き代わりにしたり、現金や家族写真を入れて水濡れを防いだりしていた」
その一方では、中国人の性行為時のコンドームの使用率は、2割以下にとどまっているという調査結果もあり、HIVを含む性感染症の蔓延や中絶手術例の増加の一因となっていると指摘する声もある。防水目的に使うのもナイスアイデアだが、コンドームの本来の使い方も学んでもらいたいものだ……。
(文=牧野源)
3つのバイトを掛け持ちし、駅のトイレで寝泊まり……子どもたちを蝕む、貧困の連鎖

『ルポ 子供の貧困連鎖
教育現場のSOSを追って』
(光文社)
5年ほど前、「貧困」が新たな社会問題としてクローズアップされはじめた時には「いくら不況とはいえ、GDPが世界第2位の日本でまさか……」と誰もが思ったことだろう。それから数年を経て、日本に貧困問題が存在していることは一般に認知されてきたものの、今のところ抜本的な改善策が講じられていない。それどころか、長引く不況にデフレ、円高が重なり、事態は徐々に悪い方へと進んでいる。
「高齢者に手厚く、若者に厳しい」という日本の支援制度の特徴を反映するように、これまでの貧困問題はとくに20代〜40代の若年層をイメージして語られることが多かった。ニート、フリーター、ネットカフェ難民、ワーキングプア……次々と現れる新しい貧困層の存在に社会は動揺し、彼らを定義するために多くの言葉が生まれた。
しかし、もはや貧困問題は子どもさえ例外ではない。『ルポ 子供の貧困連鎖 教育現場のSOSを追って』(光文社)は、保育園から高校生までの子どもたちが直面する貧困の現場に向き合った1冊だ。
ユニセフによれば、日本における18歳未満の子どもの相対的貧困率は14.9%。先進35カ国中ではワースト9位という、目も当てられない成績だ。7人に1人は貧困状態、つまりクラスに35人の生徒がいれば、そのうちの5人が「貧困児童」というのが実態である。では、そんな子どもたちを抱える教育現場では、どんな事態が起こっているのだろうか? 本書でつまびらかに描かれている内容を一部紹介しよう。
定時制高校に通う陽子は、朝6時〜9時までコンビニ、10時〜15時までファーストフード店、17時〜21時まで学校に行った後、飲食店で深夜バイトという毎日を送っていた。仕事が終わるころには、すでに終電はない。真冬の私鉄沿線の街は寝静まり、深夜3時には駅の明かりも消えている。行き場所のない彼女は、駅前にある多目的トイレに入った。車椅子でも使えるように広く設計されたその場所で眠りにつくためだ。そして、2時間ばかりの浅い眠りについた後、彼女はまたコンビニのバイトへ向かう。「トイレは寒いけど、横になれる場所があるとほっとする。眠れるだけで『幸せ』って感じ」。トイレで眠る彼女が感じた“幸せ”とは、いったいなんなのだろうか?
民主党政権になり、2010年からは子ども手当の支給と、高校無償化が実施された。「チルドレン・ファースト」を公約として掲げていた民主党政権は、この国の将来を担う子どものために財源を使い、子育てにかかる出費は軽減されるものと期待された。しかし、高校を例にとれば、公費負担は授業料のみ。修学旅行積立金、PTA会費といった月1万円ほどの負担は、家計にのしかかる。以前なら授業料とともにPTA会費なども免除になっていた低所得家庭の生徒にとっては、実質的な値上がりだ。本書では、月5万円の奨学金を得ることができても、家賃の支払いと借金返済のために親が使い込んでしまうという事例もレポートされている。
大阪府内のある小学校では、保健室を訪れる児童に対して給食の残りのパンと牛乳を出している。この地域の就学援助利用率は40%に上り、給食以外に満足な食事も摂れない児童は多い。目が悪くなってもメガネを作ることもできず、成長する子どもの体格に合わせた体操服を用意できない家庭もある。保育園では車上生活を送る園児や、親によるネグレクト(育児放棄)や虐待などを受ける園児が後を絶たない。
本書の内容は、一般的な教育を受けて育ってきた読者にとっては、思わず目を背けたくなるものばかりだ。しかし、このような事例は、どこの学校でももはや特別なものではない。むしろ、本書に登場する生徒・児童たちは、まだマシといえるだろう。取材に協力する先生たちは、勤務外の労も厭わず、自分の時間を削りながら子どもたちを支えているからだ。しかし、それはあくまでも教師たちの個人的な熱心さのなせる業。この子どもたちを支える社会的なシステムは存在していない。
いまだに「貧困は自己責任である」という風潮は強い。確かに自己責任の側面もないとは言い切れないが、親のネグレクトや借金問題などによって貧困に直面する子どもたちに限っては、それは当てはまらないだろう。3つのバイトを掛け持ちし、公衆トイレで眠りながら定時制高校に通う少女に「それは、あなた自身の責任です」とは言えない。そして、満足な教育を受けることができない彼らの大部分は、おそらく数年後に、ワーキングプアとして労働市場に送り込まれるのだ。
豊かな日本の裏側で、子どもたちは逃れることのできない連鎖に蝕まれている。
(文=萩原雄太[かもめマシーン])
●ほさか・わたる
1979年に共同通信社入社。社会部を経て、編集委員室編集委員。著書に『虐待』(岩波書店)『迷宮の少女たち』(共同通信社)などがある。
●いけたに・たかし
1988年に共同通信社入社。大阪社会部次長などを経て、社会部次長。著書に『死刑でいいですー孤立が生んだ二つの殺人』(共同通信社)がある。
リーマンショック以上の衝撃に!? LIBOR不正関与の銀行を待ち受ける賠償請求地獄

※イメージ画像 photo by
Images_of_Money from flickr
世間がロンドン五輪に浮かれている一方、国際金融界ではロンドン発のスキャンダルに揺れている。
国際的な資金調達金利の基準とされるロンドン銀行間取引金利(LIBOR)が、複数の銀行によって不正操作されていた、いわゆるLIBOR不正操作問題で、米連邦検察などの欧米当局が、不正に関わった銀行とそのトレーダーを刑事訴追する動きに出た件だ。
この件に関して、英バークレイズにはすでに約350億円もの制裁金が科せられており、さらに英RBSにも近く制裁金が科られる見込みだという。
当局の追及は、それだけには終わらない。モルガン・スタンレーのアナリストによる試算では、不正に関わった欧米の主要金融機関が負担することになる制裁金と訴訟費用の総額は、2014年までに1兆円以上になるとしている。
ところが、「それ以上に大きな負担となる可能性があるのが、投資家からの損害賠償請求」と話すのは、大手紙の経済記者だ。
「事件に関わった銀行はカルテルを結び、金融危機前はLIBORを実際よりも高めに操作して利息を稼ぎ、さらに金融危機以降は低めに操作して自らの資金調達を容易にしていた。一方、彼らが操作した金利に従うしかない投資家や企業は、もらうべき利息をもらえなかったり、過剰な金利を払っていたことになる。当局によって不正に関わったとして特定された銀行は、今後さらに、投資家や企業からの損害賠償請求に直面することとなる。場合によっては、制裁金よりも巨額な賠償金を支払うハメになるのでは。ちょうど日本で過払い金返還請求がブームとなり、サラ金が次々と廃業したように、不正に関わったメガバンクがバタバタと潰れるという事態も予測される。そうなれば、リーマンショックどころの騒ぎではないだろう」
もはやロンドン五輪に浮かれている場合ではない!?
(文=牧野源)
「いつかやらかすと思っていた」世界遺産クライミングで逮捕の佐藤裕介に余罪が噴出中!

現場となった那智の滝。
photo by m-louis from flickr
世界遺産「那智の滝」(和歌山県那智勝浦町)でロッククライミングをして軽犯罪法違反容疑で逮捕されたアルパインクライマーの佐藤裕介に“余罪”の話が噴出している。
「いつか何かやらかすんじゃないかと思った」
日本を代表するクライマーの佐藤に対して侮蔑の表情を浮かべたのは、長野県で山小屋を管理する国立公園の職員だ。
「以前から、マナーの悪さでは有名でしたからね。あるときは仲間と酒を飲んで遅くまで騒ぎ、女性クライマーに全裸を見せつけて反応を楽しんでいた。苦情が来ると禁止区域でテントを張り、注意しても“ここはおまえの土地か”と逆ギレ。あれだけ態度の悪いクライマーは、ほかに知りません」
佐藤に対して嫌悪感を示しているのは、この職員だけではない。山梨県のある神社では高さ12メートルの岩を“神体”として祭っているが、8年前に「佐藤がここを登った」という話が広がり、地元住民の怒りを買っていたのだ。
関係者は直接、佐藤が登ったところは見ていなかったが、あるとき岩に無数の傷と滑り止めチョークの跡が散見され、さらに後日、各方面から「佐藤がここを登ったと聞いた」というクライマーが次々に訪れたというのだ。
神社側は日本フリークライミング協会に通報。クライミングの自粛が呼びかけられたというが、結局、佐藤本人からの説明は一切なく、関係者は佐藤への不快感を持ったままだという。
佐藤の禁止区域でのクライミング目撃談は、ほかにもネットなどで報告がされており、20年以上前に禁止区域に指定された東京・奥多摩町の岩場でも「最近、佐藤が下見に来ていた」などとウワサになっていた。現地でこうした問題に取り組んでいる自然環境保護グループの理事からは「以前から佐藤氏は悪質なクライマーとしてマークしていた」という話が聞かれるほどだ。
佐藤本人が釈放後も雲隠れ状態のため、実際にどれほどの問題行動をしていたかは本人の弁明を待つしかないが、佐藤の悪評には当のクライマーたちからもブーイングが飛んでいる。
「クライミング先進国のアメリカなど、海外では環境保護との折り合いをつけて行われているのに日本は未整備で、クライミング人口だけが増えている危ない状態。良識あるベテランクライマーが率先して啓蒙活動などを行わなければならないのに、佐藤氏の行為でクライミング全体のイメージダウンとなってしまった。正直、責任を取って引退してほしい」(クライミング歴21年・加藤健氏)
佐藤は事件の影響で、スポンサーだったブランド「THE NORTH FACE」から契約解除されたが、内外からの冷たい視線という社会的制裁の風は収まりそうにない。
(文=和田修二)