やはりクドカンは天才?『監獄のお姫さま』見事な伏線回収で、退屈だった第1話の輝きが増す!

“クドカン”こと人気脚本家・宮藤官九郎による復讐コメディードラマ『監獄のお姫さま』(TBS系)の第9話が12日に放送され、平均視聴率8.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から1.6ポイントアップとなりました。

 まずは、これまでのあらすじを少し。2017年のクリスマス・イブ、元囚人の馬場カヨ(小泉今日子)、大門洋子(坂井真紀)、足立明美(森下愛子)、勝田千夏(菅野美穂)と元刑務官の若井ふたば(満島ひかり)の5人は、EDOミルク社・社長の板橋吾郎(伊勢谷友介)を誘拐。その背景には、6年前に起こった横田ユキ(雛形あきこ)殺害事件の罪を、当時婚約者だった“爆笑ヨーグルト姫”こと江戸川しのぶ(夏帆)に吾郎が押しつけたことを証言させ、再審請求しようという目的があったのです。

 その吾郎・監禁シーンと、カヨたちが出会い親密になっていく女子刑務所シーンとが行き交うカタチでドラマは展開。前回は、カヨたちが吾郎への復讐計画を着々と練るものの、犯行プランを記したノートがふたばに見つかり没収されてしまうアクシデントが発生しました。また、仲間たちの仮出所が続々と決まり、遂にはカヨも刑務所を去る時がきたところで終了となったのです。

 今回は、カヨが仮出所する15年11月時点からスタート。誰の迎えもなく、カヨは寂しさを抱えながら街へ行きます。そして、その足でスマホを購入。出所前に仲間たちに教えておいたアドレスbabakayo~を設定して連絡を待ちつつ、新しい生活を始めます。

 一方、刑務所では、しのぶに対して同情心が湧いたふたばが、しのぶの息子・勇介(前田虎徹)を面会に連れて来て欲しいとしのぶの母・民世(筒井真理子)に手紙を書きます。しかし、これを民世から聞きつけた吾郎が面会に訪れ、しのぶの罪を咎めて精神的に大きなショックを与えてしまうのです。

 やがて月日が流れ17年4月。カヨは刑務所で知り合った“小しゃぶ”こと小島悠里(猫背椿)が店長を務める美容室で働き、波風の立たない平穏な日々を送っています。つまり、吾郎・復讐計画のメンバーたちからは一向にメールがこないのです。そのためカヨは、復讐ノートを没収された際にふたばから言われた、「シャバに戻ったら(復讐なんて)みんな忘れるよ」という言葉を思い出し、寂しい気持ちを抱いてしまいます。

 そんなある日、店の前でチラシ配りをしていたカヨの前に、全身黒ずくめの女が登場。よく見るとそれはふたばなのですが、ふたばは一切口を利かず、髪の毛のカットが終わると嵐のように去って行ってしまいます。しかし、ふたばが座っていた椅子には、カヨたちの犯行プランを綿密なものに修正した復讐ノートと折り紙でつくった手裏剣が残されているのです。

 その手裏剣には住所が記されており、恐る恐るカヨが向かうと、そこには吾郎・復讐計画のメンバーの姿が。そして実は、カヨが間違えてbakakayo~とアドレス設定したためにメールが届かなかっただけで、出所後も皆、復讐プランを忘れてなかったことが発覚。カヨは涙を流してよろこびます。

 再会をよろこぶ一同の前にふたばが現れたところで復讐計画がスタート。準備段階や第1話で放送された勇介&吾郎の誘拐シーンがジャンプカットで流れ、現在のシーンに辿り着きます。

 その現在である17年12月25日のシーンでは、ふたばが裁判官役になり、爆笑ヨーグルト姫事件の再審請求に先立つプレ裁判を開始。殺人事件の真相を暴く大詰めを迎えたところで今回は終了となりました。

 さて感想ですが、今回は第1話の伏線回収、というよりも時系列的にはタネ明かしといった方が正しいのかもしれませんが、犯行に至った経緯やその経過などのディテールが一気に明かされた回となりました。そして、内幕がわかったことやこれまでの放送によって、退屈に思えた初回の印象が大きく変わりました。

 第1話のレビューでは、「誘拐時のカヨたちのドタバタ劇も見ていられませんでした。ターゲットを間違える、車のエンジンがかからなくてピンチになるなど、素人でも考えられるようなどうしようもないトラブル続き」と酷評してしまいましたが、それぞれのキャラがわかった今では、初回の面白さが数倍増しに思えたのです。特にカヨと洋子のオッチョコチョイぶりは、第一印象では“テンポが悪い”でしたが、改めて見直すととてもユーモラスに感じられました。

 また、巧妙に散りばめられた細かなネタを挙げたらキリがなく、やはりクドカンは天才なのかなと。序盤レビューではサブカルネタのキレの悪さも指摘しましたが、それらすべてをひっくるめ、思いっきり手のひらを返して称賛したいと思います。

 次回でラストというのは寂しい限りですが、爆笑ヨーグルト姫事件の真相も気になるところ。果たしてどう決着がつくのか、放送が楽しみです。
(文=大羽鴨乃)

スケジュール難航の『バイプレイヤーズ』第2シーズン、急転直下で役所広司『七人の侍』実現の可能性も!?

 名脇役の共同生活を描く、異色の“ゆるシブコメディー”として注目を浴びた、深夜ドラマ『バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』(テレビ東京系)。以前より第2シーズンの制作がささやかれていたが、ここにきて日曜劇場『陸王』(TBS系)で主役を演じる役所広司を主演に迎え、映画『七人の侍』のリメーク版として“6人の名脇役”が再集結するという情報を入手した。

 今年の1月クールに、テレ東の「ドラマ24」枠で放送された『バイプレイヤーズ』は、大杉漣、遠藤憲一、松重豊、光石研、田口トモロヲ、寺島進の名脇役6人が実名で主演し、主要キー局のドラマプロデューサーでは発想できない、ユニークで斬新なドラマとしてコアなファンの心を掴み、業界関係者からも注目された。

 同ドラマには役所広司や椎名桔平、竹中直人、安田顕といったベテラン俳優陣や、若手の野村周平、志田未来、川島海荷など、豪華メンバーがゲスト出演。さらには、幸福の科学への“出家問題”で世間を騒がせた清水富美加が実名で出演したこともあって、業界視聴率30%超えといわれた。10月には「東京ドラマアウォ―ド」の連続ドラマ部門で最優秀賞を受賞し、テレ東は来年、深夜枠ではなく、ゴールデンタイムでの続編を検討することとなった。

 しかし、6人の“スケジュール調整”という壁にぶち当たってしまった。『バイプレイヤーズ』制作時もスケジュール調整には苦労したというが、ドラマ終了後も6人は多忙を極めている。それに加え、寺島進が「前回でやり尽くした」と周囲に語っているそうだ。彼の頑固な性格から、説得は難しいといわれており、続編は暗礁に乗り上げた。

 その一方で、寺島は『バイプレイヤーズ』続編については消極的ながらも、同ドラマの最終回を終えた際、次回作について聞かれ、「やっぱり、役所広司さん主演の『七人の侍』のリメークでしょ」とも答えている。

「もともと『バイプレイヤーズ』は、三船敏郎と志村喬のW主演で1954年に公開され、アカデミー賞にもノミネートされた、黒澤明監督の名作『七人の侍』のリメークを制作するというオファーから始まったドラマだったんです。役所さんが主演を引き受ければ、今回、企画が実現する可能性は高いですよ」(テレ東関係者)

 寺島が共演を熱望する役所は、主演ドラマ『陸王』が高視聴率を維持し続け、ドラマ俳優としてもブレーク中。その役所が主演で、『バイプレイヤーズ』の6人が脇を固める『七人の侍』のリメーク版が実現すれば、ドラマでも映画でも大ヒット間違いなしだ。

 しかし、どうせやるなら、ドラマではなく、銀幕上で観たいものだ。果たして、『七人の侍』のリメーク版が実現するのか? 関係者の判断に注目したい。
(文=本多圭)

堕ちていく工藤Jr.、悪魔のように微笑むミッチー! 視聴率がまさかのV字回復『明日の約束』第8話

「結婚がなくなるかもしれない。その理由ができたことに、少しだけホッとしている自分がいる。多分、まだ私は母親になる覚悟ができていない」

 ちまたではクリスマスの定番ソング「恋人がサンタクロース」が流れる季節となりましたが、スクールカウンセラーである日向先生(井上真央)はそんなウキウキ気分にはなれません。なにせ、恋人がDV人間だったのですから。社会派ミステリー『明日の約束』(フジテレビ系)の第8話。大事な食事会を欠席してしまった日向先生に対して、思わず暴力を振るった年下の恋人・本庄(工藤阿須加)。ずっとかわいがっていたペットのチワワが喉笛に噛み付いてきたような衝撃です。噛み付いたチワワも、いや本庄も自分がやってしまったことに驚いて目を白黒させています。

 本庄に殴り飛ばされた日向先生ですが、肉体的な痛み以上に自分の胸に去来する複雑な想いに苦しみます。母・尚子(手塚理美)の「あーゆータイプは自分の思いどおりにならないと豹変する」という毒予想が当たっていた歯痒さに加え、自分はやっぱり幸せにはなれないんだという諦めの心境が芽生えてきます。それが冒頭の日向先生の心の声です。哀しいことに、日向先生は自分にそう言い聞かせることで心が落ち着くのでした。

 本庄のマンションを出たものの、怒り心頭の母・尚子が待つ自宅には帰れない日向先生。自殺した圭吾や姿を消した香澄(佐久間由衣)と同じように、日向先生もどこにも居場所がありません。夜の街で所在なさげにしていると、ばったり霧島先生(及川光博)に遭遇します。圭吾を自殺に追い込んだ毒親・真紀子(仲間由紀恵)の悪口をさんざんネット上で拡散させ、すっきりした表情の霧島先生。今の日向先生には霧島先生しか相手になってくれる人がいません。霧島先生が仮面教師であることを知っている視聴者にとっては、何ともやりきれないシーンです。

「ホテルでひと休みしませんか」というエロい展開になるのかなとつい期待したのですが、2人が向かった先は高校の相談室でした。日向先生にとっては職場がいちばん落ち着く場所のようです。そんなとき、日向先生のスマホに香澄からの着信が。「校門の前まで来ている」とのこと。香澄を迎えにいく日向先生と付き添う霧島先生。だが、これは香澄の仕組んだトラップでした。留守になった相談室に香澄は忍び込み、霧島先生のカバンに入っていたノートパソコンを盗み出します。体育の授業中に生徒たちの所持品を隈無くチェックしていた霧島先生の裏を突く、超頭脳プレーでした。霧島先生にしては珍しい失態。落ち込んでいた日向先生を前にして、霧島先生の心にも油断が生じていたのでしょうか。ノートパソコンを盗まれたことに気づいた霧島先生の「チッ!」という舌打ちが夜の校舎に響き渡ります。

 

■ただ自分のことを見てほしかった

 

 長い夜が明け、ようやく自宅に帰る日向先生。尚子はリビングで起きていましたが、日向が「ただいま。昨日はごめんなさい」と声を掛けてもダンマリを決め込んでいます。部屋に入った日向先生がスマホを開くと、本庄と日向先生が笑顔で収まっている2ショット画像。ひと晩明けた今では、とても遠い過去のように思えます。10月のドラマスタートから日向先生にはいろいろありました。毒親たちとの闘い、視聴率上の苦戦……。日向先生を演じる井上真央もここ数年はあまりに多くのことが起きました。ベッドに横になったまま、もう起き上がらないんじゃないかと心配になるほど深い眠りに落ちていきます。

 その日の夕方。ようやく日向先生が目を覚ますと、ちょうど本庄が日向の家を訪ねてきたところでした。何も知らない尚子に対し、「僕は取り返しのつかないことを。日向に暴力を振るってしまったんです」と土下座する本庄。そんな本庄に、かつてないほどの鬼顔を尚子は見せるのでした。

「あんた、うちの娘に何したのよーッ!!」

 大魔神化した尚子を初めて目の当たりにして後ずさりする本庄を、何とか自分の部屋へと連れ込む日向。しょんぼりした子犬のようになった本庄は自分が育った家庭の事情を語り始めます。本庄の父親は医者だったため、本庄の兄は医大に進むよう幼い頃からプレッシャーを与えられ、中学の頃から荒れるようになったのでした。凄まじい家庭内暴力で、本庄も両親もボロボロでした。それでも両親は「やればできる子だ。今は反抗期なだけ」と愛情を注ぎ続けるのでした。

「あいつが事故で死んだとき、正直胸がすぅーとした。これで家族が平和になった、やっと親も僕を見てくれるって」

 死んだ兄に代わって受験した医大は不合格。そんな本庄を両親は責めずに「気にしないで、好きにすればいい」と優しい言葉を掛けたのでした。でも、両親のそんな優しさが、本庄にとっては有害だったのです。自分も兄のように期待されたかったと。親に愛されたい、その一心で本庄は異様なまでに親思いで、爽やかな明るい息子を演じ続けてきたのでした。

 母親のことをけなす日向に対し、なぜ本庄が激怒したのかその心理背景を知ることはできました。でも、暴力を振るった本庄のことを許せるかどうかは別問題です。数日後、尚子はここぞとばかりに日向にお見合いを勧めます。このままでは結婚相手も、結婚後の生活もすべて尚子に仕切られてしまいそうです。「私はお母さんの所有物じゃない」と突っぱねた日向は自分の部屋に戻り、机の引き出しの奥から古いノートの束を引っぱり出します。小学生の頃に尚子から強制的に書かされていた、あの忌々しい反省帳「明日の約束」です。幼かった頃のいちばん辛かった記憶を辿りながら、心の平穏を見出す日向先生でした。

 

■中学生・英美里の母親殺しという試み

 

 さて、気になるのは仲間由紀恵演じる最凶毒親・真紀子の動向です。これまでマスコミや弁護士を操って日向先生のいる高校を徹底的に攻撃してきた真紀子ですが、これから裁判という段階になって旗色が悪くなってきました。ネットの掲示板には霧島先生が先頭に立って「息子が自殺したのは母親のせい」と書き込まれ、弁護士はこの件から手を引いてしまいます。弁護士が高校に来て告訴を取り止めると告げたことで、校長先生(羽場裕一)は大喜び。この人だけは幸せそうでした。亡くなった圭吾のケータイに「僕は、お母さんのせいで死にました」と嫌がらせのメッセージが届いたことにもショックを受けた真紀子ですが、さらなる追い打ちが彼女を襲い掛かります。

 中学生になる娘の英美里(竹内愛紗)が真紀子のパソコン上のデータをコピーして、週刊誌記者の小嶋(青柳翔)に渡してしまったのです。このため、真紀子が圭吾の部屋を盗聴&録音していたこと、バスケ部の先輩・長谷部(金子大地)を脅していたのも真紀子の差し金だったことが週刊誌の記事になってしまいました。

 母親として誰よりも息子・圭吾のことを愛していただけなのに、何がいけなかったのか真紀子には分かりません。圭吾の声が残されていた音声データも英美里に消去され、呆然と立ち尽くす真紀子。そんな母親に対し、英美里は「お母さんはお兄ちゃんの声も聞いてなかった。お母さんが聞いていたのは、お兄ちゃんに話し掛けている自分の声だけだよ」ととどめの台詞を浴びせるのでした。中学生にして英美里は、精神的な意味での母親殺しを完遂してみせたのです。そこまでしないと毒親の猛毒に対抗できなかったのです。

 家を飛び出した英美里を追い掛けてきたのは、真紀子でも父親でもなく、彼女のことを心配して駆け付けてきた日向先生とバスケ部マネジャーの増田(山口まゆ)でした。「英美里ちゃん!」と2人が呼び止めると、振り返った英美里はとてもあどけない顔を見せます。「自由になるには、死ぬしかなかった」と決死の覚悟で母・真紀子と闘い、家を出てきた英美里を、日向先生は思いっきりハグします。「母親になる覚悟がない」と自分を責めていた日向先生ですが、英美里や増田にとって彼女は掛け替えのない存在です。他人の不幸を共有することに、日向先生は生き甲斐を感じるのでした。

 そして第8話のラスト。誰もいない夜の高校で、日向先生は再び霧島先生と2人っきりの時間を過ごします。この夜は日向先生から霧島先生へサプライズプレゼントが用意されていました。香澄が盗み出した霧島先生のノートパソコンです。かつて香澄をイジメていた望月(立野沙紀)経由で日向先生のところに回ってきたものでした。当然、日向先生もノートパソコンの中を覗き、霧島先生の腹黒さを知ったわけです。

「吉岡圭吾くんがクラスで孤立した原因をつくっていたのは霧島先生だったんですね!?」

 日向先生の問い掛けに、霧島先生はサイコーの表情で応えます。「えぇ、おっしゃるとおりです」と悪魔のように微笑むミッチー。みんなが待っていたトリックスター・ミッチーのお出ましです!

 第7話では4.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)まで落ち込んでいた視聴率ですが、第8話は工藤阿須加の土下座効果とミッチーの悪魔の微笑みによって、6.6%とV字回復を遂げたのでした(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。最終回まで残すところ、あとわずか。最後に笑っているのは果たして誰でしょうか?

(文=長野辰次)

過去最高17.5%! TBS『陸王』好調と相反する“物語の停滞、引き伸ばし”がストレスに……

 日曜劇場『陸王』(TBS系)も第8話。視聴率は17.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と過去最高を記録。2話を残してラストスパートといったところでしょうか。

 今回は、クライマックスのキーマン・御園社長役に大抜擢された松岡修造に大注目でしたが、ずいぶんと引き延ばされたなーという印象でした。というわけで、とりあえず振り返りましょう。

前回までのレビューはこちらから

 奇跡のソール素材・シルクレイの製造機がぶっ壊れたことで、こはぜ屋・宮沢社長(役所広司)が進めてきた新マラソンシューズ「陸王」の開発は完全に行き詰まりました。新たに製造機を作るには1億円の設備投資が必要ですが、そんな融資をしてくれる銀行はひとつもありません。

 そんな折、銀行からベンチャーキャピタルに転職した坂本ちゃん(風間俊介)が、こはぜ屋への買収話を持ってきました。坂本ちゃんといえば、「チーム陸王」の一員としてさまざま尽力してきてくれた人物。そもそも、こはぜ屋に新規事業を提案したのも、シルクレイを見つけてきてくれたのも坂本ちゃんです。坂本ちゃんの存在なくしては、この物語は始まってすらいないのです。『陸王』の中で、坂本ちゃんこそ「神の使い」「大いなる導き手」として、ここまで描かれてきました。

 だからこそ、買収話が持ち込まれたときに、坂本ちゃんを「冗談じゃない!」「必要ない!」と面罵する宮沢社長が、なんだかひどくみっともない人物に見えてしまった。「今回ばかりは坂本ちゃん見損なったよ」と社員に向かって吐き捨てる宮沢社長を、今回ばかりは見損なってしまいました。

 まあ『陸王』というドラマは、そもそもそういう設計なんです。宮沢社長は誰かにそそのかされてお熱を上げ、物事が思い通りに進まなければ酒を飲んで家族や取引先に当たり散らし、誰かが手を貸してくれなければ何も解決できないのに、解決できたら、まるで自分の手柄みたいにニッコニコになる。人と人とのつながりが仕事を成功に導く、といえば耳触りはいいもんですが、要するに他力本願、我田引水の神風主義。そういう男なんです。と、ここまで楽しんできたドラマの主人公を貶めたくなるほど、みっともなかったんですよねえ、坂本ちゃんに対する宮沢社長の態度って。

 

■駅伝大会出場の意味も見出せず

 

 とりあえずなんの解決案もないまま陸王への未練に溺れ、うじうじしている宮沢社長。「行田市民駅伝大会」などにうつつを抜かしているうちに心変わりし、買収を持ちかけてきた世界的スポーツメーカー・Felixの御園社長と会ってみることにしました。今回、ほぼ大半の時間を使って、この心変わりまでが描かれます。実に白々しく、間延びした展開です。

 そうして宮沢社長がうじうじしている間に、実害が出始めます。陸王のサポート契約が消滅した茂木くん(竹内涼真)は大事なレースにミズノの市販品で挑まざるを得ず、一度、陸王によって矯正したフォームが崩れ、大惨敗。一度は見捨てられた大手メーカー・アトランティスから再度サポートの打診を受けますが、意固地になって拒否したりしています。

 一度はみんなの心を動かした宮沢社長の情熱、その「陸王」という夢に縛られて、今度はみんなが不幸になろうとしている。役所広司の芝居が達者すぎることもあって、本当にフラストレーションのたまる回でした。池井戸ドラマといえば、毎回訪れる爽快感こそが魅力なんですが、今回は爽快感ゼロ。リトグリちゃんの「Jupiter」も鳴りません。制作側からしても、ゴリ押ししたい感動ポイントがなかったということです。

 

■満を持して、松岡修造です

 

 なんのかんので、ようやくFelix御園と会うことにした宮沢社長。満を持して、松岡修造の登場です。大物が来るぞ、という重々しいBGMとともに、会議室に御園が入ってきます。

 まず、風格! デカいし、顔が美しくて、目が強い。さすが、混じりっけなしの超絶ボンボンでありながら、テニスという実力社会に飛び込んで結果を残してきただけのことはあります。存在感として、役所広司にまるで引けを取りません。

 そして、演技もわりと自然! 「先じちゅは坂本さんを通して~」とか「御社の技じゅちゅ力です」とか、「つ」の発音が多少アレなことに目をつぶれば、実に堂々とした役者ぶりでした。よくよく考えてみれば、ドラマ初出演とはいえCMではさんざんお芝居してますし、なんかあの“熱血キャラ”だって芝居といえば芝居だろうし、これくらい出来て当たり前なんでしょうけど、この大詰めで松岡さんを持ってきたのはナイスキャスティングだったと思います。

 その御園社長、買収しても、こはぜ屋の名前は残していいといいます。足袋屋も続けていいし、宮沢が社長を続けてもいい。壊れちゃったシルクレイ製造機の新規調達に、3億円の資金を用意する。Felixのマーケティング力をもってすれば、これまで以上に「こはぜ屋」ブランドを広めていくこともできる。まあ、だいたい坂本ちゃんが最初に宮沢社長に相談に来たときに話していたことと同じです。

「宮沢社長、一緒にやりましょう」

 そう言って握手を求める御園の手を、あっさり握り返す宮沢社長。なんなんだよ、って感じですが、まあようやく、2話にわたって停滞していた話が進みましたので、よかったです。

 宮沢社長が帰った後、「あと一押しだな」と言ってニヤリと笑う松岡修造も、実に怪しげで素敵でした。

 あと2話、いよいよ宮沢社長のことが全然信用できなくなってしまったのと、なんだかんだでここまでで一番盛り上がったのが、話の筋に全然関係ない“平瀬(和田正人)の引退レース”だったことが心配ではありますが、あの異様な盛り上がりを超えることができるのかどうか、見守りたいと思います。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

過去最高17.5%! TBS『陸王』好調と相反する“物語の停滞、引き伸ばし”がストレスに……

 日曜劇場『陸王』(TBS系)も第8話。視聴率は17.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と過去最高を記録。2話を残してラストスパートといったところでしょうか。

 今回は、クライマックスのキーマン・御園社長役に大抜擢された松岡修造に大注目でしたが、ずいぶんと引き延ばされたなーという印象でした。というわけで、とりあえず振り返りましょう。

前回までのレビューはこちらから

 奇跡のソール素材・シルクレイの製造機がぶっ壊れたことで、こはぜ屋・宮沢社長(役所広司)が進めてきた新マラソンシューズ「陸王」の開発は完全に行き詰まりました。新たに製造機を作るには1億円の設備投資が必要ですが、そんな融資をしてくれる銀行はひとつもありません。

 そんな折、銀行からベンチャーキャピタルに転職した坂本ちゃん(風間俊介)が、こはぜ屋への買収話を持ってきました。坂本ちゃんといえば、「チーム陸王」の一員としてさまざま尽力してきてくれた人物。そもそも、こはぜ屋に新規事業を提案したのも、シルクレイを見つけてきてくれたのも坂本ちゃんです。坂本ちゃんの存在なくしては、この物語は始まってすらいないのです。『陸王』の中で、坂本ちゃんこそ「神の使い」「大いなる導き手」として、ここまで描かれてきました。

 だからこそ、買収話が持ち込まれたときに、坂本ちゃんを「冗談じゃない!」「必要ない!」と面罵する宮沢社長が、なんだかひどくみっともない人物に見えてしまった。「今回ばかりは坂本ちゃん見損なったよ」と社員に向かって吐き捨てる宮沢社長を、今回ばかりは見損なってしまいました。

 まあ『陸王』というドラマは、そもそもそういう設計なんです。宮沢社長は誰かにそそのかされてお熱を上げ、物事が思い通りに進まなければ酒を飲んで家族や取引先に当たり散らし、誰かが手を貸してくれなければ何も解決できないのに、解決できたら、まるで自分の手柄みたいにニッコニコになる。人と人とのつながりが仕事を成功に導く、といえば耳触りはいいもんですが、要するに他力本願、我田引水の神風主義。そういう男なんです。と、ここまで楽しんできたドラマの主人公を貶めたくなるほど、みっともなかったんですよねえ、坂本ちゃんに対する宮沢社長の態度って。

 

■駅伝大会出場の意味も見出せず

 

 とりあえずなんの解決案もないまま陸王への未練に溺れ、うじうじしている宮沢社長。「行田市民駅伝大会」などにうつつを抜かしているうちに心変わりし、買収を持ちかけてきた世界的スポーツメーカー・Felixの御園社長と会ってみることにしました。今回、ほぼ大半の時間を使って、この心変わりまでが描かれます。実に白々しく、間延びした展開です。

 そうして宮沢社長がうじうじしている間に、実害が出始めます。陸王のサポート契約が消滅した茂木くん(竹内涼真)は大事なレースにミズノの市販品で挑まざるを得ず、一度、陸王によって矯正したフォームが崩れ、大惨敗。一度は見捨てられた大手メーカー・アトランティスから再度サポートの打診を受けますが、意固地になって拒否したりしています。

 一度はみんなの心を動かした宮沢社長の情熱、その「陸王」という夢に縛られて、今度はみんなが不幸になろうとしている。役所広司の芝居が達者すぎることもあって、本当にフラストレーションのたまる回でした。池井戸ドラマといえば、毎回訪れる爽快感こそが魅力なんですが、今回は爽快感ゼロ。リトグリちゃんの「Jupiter」も鳴りません。制作側からしても、ゴリ押ししたい感動ポイントがなかったということです。

 

■満を持して、松岡修造です

 

 なんのかんので、ようやくFelix御園と会うことにした宮沢社長。満を持して、松岡修造の登場です。大物が来るぞ、という重々しいBGMとともに、会議室に御園が入ってきます。

 まず、風格! デカいし、顔が美しくて、目が強い。さすが、混じりっけなしの超絶ボンボンでありながら、テニスという実力社会に飛び込んで結果を残してきただけのことはあります。存在感として、役所広司にまるで引けを取りません。

 そして、演技もわりと自然! 「先じちゅは坂本さんを通して~」とか「御社の技じゅちゅ力です」とか、「つ」の発音が多少アレなことに目をつぶれば、実に堂々とした役者ぶりでした。よくよく考えてみれば、ドラマ初出演とはいえCMではさんざんお芝居してますし、なんかあの“熱血キャラ”だって芝居といえば芝居だろうし、これくらい出来て当たり前なんでしょうけど、この大詰めで松岡さんを持ってきたのはナイスキャスティングだったと思います。

 その御園社長、買収しても、こはぜ屋の名前は残していいといいます。足袋屋も続けていいし、宮沢が社長を続けてもいい。壊れちゃったシルクレイ製造機の新規調達に、3億円の資金を用意する。Felixのマーケティング力をもってすれば、これまで以上に「こはぜ屋」ブランドを広めていくこともできる。まあ、だいたい坂本ちゃんが最初に宮沢社長に相談に来たときに話していたことと同じです。

「宮沢社長、一緒にやりましょう」

 そう言って握手を求める御園の手を、あっさり握り返す宮沢社長。なんなんだよ、って感じですが、まあようやく、2話にわたって停滞していた話が進みましたので、よかったです。

 宮沢社長が帰った後、「あと一押しだな」と言ってニヤリと笑う松岡修造も、実に怪しげで素敵でした。

 あと2話、いよいよ宮沢社長のことが全然信用できなくなってしまったのと、なんだかんだでここまでで一番盛り上がったのが、話の筋に全然関係ない“平瀬(和田正人)の引退レース”だったことが心配ではありますが、あの異様な盛り上がりを超えることができるのかどうか、見守りたいと思います。
(文=どらまっ子AKIちゃん)

ついに5%台転落の篠原涼子主演『民衆の敵』 フジ月9史上ワースト記録更新の危機も、打ち切りできない裏事情

 ついに、ここまで落ちてしまったか──。

 篠原涼子主演のフジ月9ドラマ『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』(月曜午後9時~)の第7話が4日に放送され、視聴率は5.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)まで落ち込んだ。フジの看板ドラマ枠だった月9で、5%台を記録したのは、1月期の『突然ですが、明日結婚します』(西内まりや主演)第6話の5.0%以来、2度目の非常事態となった。

『民衆の敵』は初回9.0%と1ケタスタートで、いきなりつまずいた。第2話で7.1%まで降下すると、第3話7.5%、第4話7.6%と7%台が続いた。以降、6.9%、6.5%でさらに下げ、ついに第7話で5%台に転落。3週連続ダウンで、ゴールデン帯では禁断の5%割れも目の前だ。

 第7話は、あおば市議会のドン・犬崎和久市議(古田新太)にかつがれて市長となった佐藤智子(篠原)が、副市長に前田康(大澄賢也)、秘書に富田恭一(渡辺いっけい)という犬崎派の人事を受け入れ、市議会は犬崎派が牛耳る形となった。それでも、福祉政策を進める智子の市民人気はうなぎ上りで、ドキュメンタリー番組にも取り上げられる。この人気を盾に、犬崎は前市長・河原田晶子(余貴美子)が中止したニューポート開発を、再び進めようと開発委員会を設置する。智子は、この件にかかわることを許されず、犬崎は反対運動を行う市民の強制排除に動く。これに納得がいかなかった智子は、意を決し、単独で緊急会見を開き、犬崎にクーデターを仕掛ける……という展開だった。

 すでに多くの視聴者が脱落したと思われるが、それでもネット上では、「高橋一生が好きだから見てるけど幻滅した。風俗嬢とイチャイチャする一生なんて見たくなかった。これじゃ無駄遣い」「小さな都市だから、智子でも市長をやれるのかと思ったら、100万人都市の設定とは非現実的」「平田和美(石田ゆり子)の存在がウザい。智子の家に子どもを迎えに行ったら、すぐ帰ればいいのに、夕食まで智子の家で食べるなんて考えられない」といった調子で、依然批判の声も多々。

 第7話までの平均視聴率は7.3%で、月9史上ワースト2位の『カインとアベル』(昨年10月期/Hey!Say!JUMP・山田涼介主演)の平均8.2%を下回る可能性が高くなってきた。ワーストは『明日結婚します』の平均6.7%だが、今後も低視聴率が続くようなら、これも更新する危機に瀕したといえそう。もはや、5、6%台では、打ち切られてもおかしくないが、フジには打ち切れない事情があるという。

「『民衆の敵』は、当初10月16日放送開始の予定でしたが、衆院選の投票日が同22日になり、混乱を避けるため、初回が23日に延期されました。その際に、最終回が12月25日になることが公になったため、打ち切りたくても、“体面上”打ち切ることはできないでしょう。それをやったら、打ち切りが明らかになってしまうからです。近年どの局も、連ドラの打ち切りを公にすることはタブーとしていますので……」(スポーツ紙記者)

 同ドラマのキャストは、主演の篠原以下、高橋、古田、前田敦子、千葉雄大、トレンディエンジェル・斎藤司、若旦那、余、大澄、田中圭、石田らで、それなりに豪華だが、特に前田や千葉あたりが、まるで生かされていないのが実状。

 篠原自身は、2015年10月期の主演ドラマ『オトナ女子』(同)も平均8.7%と惨敗を喫しており、2作連続爆死の憂き目に遭ったことで、かつては蜜月だったフジと距離を置く可能性も十分。残るは、あと3回。せめて、月9史上ワーストだけは避けたいところだろう。
(文=田中七男)

櫻井翔・校長が「出しゃばりすぎ」!? 『先に生まれただけの僕』モンスター・ペアレンツのクレームを見事に解決!

 嵐・櫻井翔が私立高校の校長役を演じるドラマ『先に生まれただけの僕』(日本テレビ系)の第8話が2日に放送され、平均視聴率8.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.2ポイントアップとなりました。

 前回、真柴ちひろ(蒼井優)が担当する特進クラス・2年3組の生徒の結婚騒動に頭を悩ませた鳴海涼介(櫻井翔)ですが、今回もちひろのクラスの生徒に問題が浮上。大和田達也(伊能佑之介)の成績が著しく低下し、進級時に普通進学クラスに移らざるを得ない状況に陥っていることを学校の責任だとして、達也の父・和宏(升毅)が抗議してきたのです。

 いわゆるモンスター・ペアレンツの登場に戦々恐々とする鳴海ですが、達也に詳しい事情を聞いてみたところ、学校に非がないことがわかります。プロ棋士を目指しているという達也は、塾をサボり将棋教室に通っていることを白状。さらに、「すべての時間を将棋に使いたい」とのことで、大学進学はおろか高校中退も辞さないと言い出すのですが、これには当然、達也の両親は大反対し、達也に進学を勧めるよう鳴海に手助けを求めるのです。

 両親の立場に立てば、鳴海も進学を勧めるのがベストだと考えます。プロ棋士になれるのは毎年4人あまりと極端に狭き門だからです。しかしその一方、関東大会で優勝した経験があり、頑張ればプロになれる素質がある達也を応援したい気持ちもあります。また、日本将棋連盟の奨励会に21歳までに加入できなければプロ棋士にはなれないという年齢制限があるため、達也が学業を捨ててでも将棋に打ち込みたいという気持ちもわかるのです。

 悩んだ結果、鳴海は達也にひとつの提案を出します。21歳までは全力で将棋に打ち込み、結果が出なかった場合はきっぱり夢を諦め、そこから大学進学を目指すこと。同級生たちには遅れをとってしまうけれど、ギャンブル的な生き方をするのではなくセーフティ・ネットは張るべきだと諭すのです。また、最低でも高校は卒業するよう約束させ、達也の両親も納得したところで終了となりました。

 さて感想。前回の結婚騒動に関しては結論が曖昧でモヤモヤ感がありましたが、今回はすっきり解決したように感じました。夢を追う生徒を応援したい気持ちと、誰しもが努力をすれば夢を叶えられるわけではないという現実的な観点、両親の立場を考慮すれば、ベストかどうかはさておきひとつの落としどころではあったと思います。

 また、21歳までに奨励会に加入できなければプロにはなれないという将棋界の独特のルールに対して“厳しい”ではなく“優しい”と、まだやり直しの利く年齢で夢を諦めさせる親切なルールだという鳴海流の解釈は、商社マンとしてリアルな社会生活を送ってきた経験があるからこそ言えるものだと感じました。

“生徒と真正面から向き合う”という理念を実行し、今やすっかり教育現場に染まった鳴海ですが、不安な点もあります。それは、残り2話で学校経営の立て直しが達成できるのかどうかということです。前回同様、今回も生徒個人の相談役に回ってしまい、経営改善のための業務にほとんど着手できていませんでした。というよりもむしろ、経営を悪化させてしまいかねない行動を起こしていました。

 前回、1年3組の担任・市村薫(木南晴夏)から相談を持ちかけられた、授業中に生徒がスマホで情報検索をしてもいいのか否か、ということに関しては今回、来年度からタブレットPCを用いるという解決策を発表。また、部活動に力を入れるべく専属コーチを続々と雇い始めていましたが、まだ何の経営実績も上げていないのに支出ばかりが増え、この先の赤字垂れ流しが思いやられます。今回、最初にちひろから達也の相談を受けた際、副校長の柏木文夫(風間杜夫)に「校長は出しゃばりすぎなの」とたしなめられていましたが、まさにその通り。いかにして経営を立て直すかを優先して考えるべきだと思います。

 仕事に邁進する一方、プライベートではフィアンセの松原聡子(多部未華子)を放ったらかし状態の鳴海。まだ婚約指輪を渡しておらず、それを聞いたちひろがニンマリする場面がありましたが、前々回あたりから描かれ始めたこの安っぽい三角関係も、このままいくと中途半端な展開で終わってしまいそう。また、そもそも取ってつけたような展開なだけに、描く必要性も感じられません。

 しかし次回の予告では、鳴海が聡子へのプロポーズの方法を相談して、ちひろの嫉妬心をかき立ててしまうシーンがあるため、まだまだこの関係性は引っ張るようです。ただ、職員会議で来年度の入学試験のことが議題に上がり、受験生獲得に向けて本格的に計画を練り始めるようなので、鳴海校長のビジネスマンとしての真価発揮に期待したいところです。
(文=大場鴨乃)

柴咲コウ、大河『直虎』不発なのにギャラアップで「民放からのオファーがゼロ」に!?

 女優としては、これで見納めかも!?

 12月3日に放送された柴咲コウ主演のNHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』第48話の平均視聴率が、11.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。2週を残した全話平均視聴率は、12.82%となった。

「11月30日に行われた次期大河ドラマ『西郷どん』主演の鈴木亮平とのバトンタッチセレモニーにて、柴咲は集中力を保つため狭い部屋に引っ越しまでしていたことを明かし、鈴木を驚かせていました。しかし、視聴率は低空飛行続きで、『花燃ゆ』『平清盛』に続く歴代ワースト3位でフィニッシュしそうです」(テレビ誌記者)

 これといって世間の話題にも上らないまま、撮影は10月11日にクランクアップしているが、柴咲のスケジュールは空白のままだという。

 あるテレビ関係者は「このまま女優引退となってしまう可能性もありそう」と言って、こう続ける。

「現状、柴咲に民放からのオファーはありません。制作費削減が叫ばれる中、昨年までは1本180万円だったギャラ相場も、『大河女優』の肩書を得たことで250万円以上にアップしているため、起用しづらい。それに加えて、事務所を独立するというキナ臭い話も流れている。彼女は昨年、『レトロワグラース』という会社を設立し、社長に就任。今年10月にはベンチャーキャピタルから1億6,000万円を調達し、上場を目指しているようです。公式サイトでも、今年末から『環境や健康、美容に配慮した商品開発』に注力する計画だという彼女のコメントが掲載されており、女優と並行してできるような活動ではなさそう。裏では、昨年に交際説と破局説が流れた実業家のH氏が糸を引いていて、彼が柴咲の芸能活動やビジネスをサポートするという話まで漏れ聞こえてきます」

 大河ドラマを通して、「城主」になりたい思いが湧いてきたのだろうか?

父親がシャブ逮捕の浅野忠信『刑事ゆがみ』最終回直前で“マズイ雰囲気”に……?

 息子が稼いだカネで喰うシャブは旨ぇか!?

 というわけで、“パリピおじさん(記事参照)”こと所属事務所社長の父親が覚せい剤で逮捕されてしまった浅野忠信の主演ドラマ『刑事ゆがみ』(フジテレビ系)は第9話。せめて放送が終わってからにしてよ……と、関係者全員が思っていることでしょう。逮捕報道後の浅野さんの気丈な振る舞いには、頭が下がる思いです。

 ともあれ、低視聴率ながら好評を集めている同作も、最終回直前まできました。今回は、ドラマで初となる「非1話完結」、次回へ続くとなりました。いよいよクライマックスです。さっそく振り返ってまいりましょう。ちなみに視聴率は6.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。もう数字は話題にしなくてもいいね。

前回までのレビューはこちらから

 今回の殺人事件の被害者は、元医師で資産家の独居老人・薮田先生(渡辺哲)。熱湯風呂に入れられ、身体中をズタズタに切りつけられた痛ましい姿で、二階堂ふみ(豪華ゲスト!)演じる家政婦の春菜に発見されます。現場には「積年の恨み ここに晴らす」とのメモが。

 近所の人の話では、薮田先生には晴男くん(鹿間康秀)という1人息子がいましたが、医大入試に立て続けに失敗したことで7年前に失踪。すでに失踪宣告が出され、“認定死亡”となっています。

 

■7年前といえば、覚えていますか「ロイコ事件」

 

 7年前といえば、第5話(記事参照)で語られた「ロイコ事件」のあったころです。当時、弓神(浅野)が担当したこの事件では、ある夫妻が『ロイコ』という小説になぞらえる形で惨殺され、その小説の作者・横島(オダギリジョー)が容疑者として浮上したものの、焼身自殺。事件は闇に葬られていました。

 その横島の、未完の遺作となった小説が『聖なる夜空にサンタが舞う』。弓神の上司である係長・菅能ちゃん(稲森いずみ)によれば、同著は「家を飛び出した息子が親に復讐する」というストーリー。殺害方法やメモ書きの内容まで薮田先生が殺された事件と一致しており、失踪したはずの晴男くんが容疑者として浮上します。さらに、真野恵里菜(=豪華ゲスト2!)演じる美人鑑識官がメモ書きを調べると、そこには晴男くんの指紋が。いよいよ晴男くんに疑いの目が向けられます。

 しかし、この事件の捜査に、どうにもやる気がなさそうなのが弓神です。羽生くんにサボりを注意され「マジで首切られますよ」とたしなめられると「それもいいかもなぁ」と上の空になってみたり、ロイコ事件の生き残りである夫妻の娘・ヒズミ(山本美月)に「2人で南の島でも行くか」と提案してみたり、もう警察の仕事も辞めちゃいたい感じ。どうしたんでしょう。

 弓神は、晴男くんより第一発見者の春奈が怪しいと言います。それを受けて、羽生くん(神木隆之介)が春奈を取り調べることに。しかし春奈は、先生の家から絵画やら1万円札やらをくすねていたことは認めましたが、殺害については否認します。「だって私、犯人を見ましたから」と。

 

■就職しちまったんですか、琥珀さん!

 

 映画『HiGH&LOW THE MOVIE』で大暴れしていた「琥珀さん」ことEXILE・AKIRA(=豪華ゲスト3!)は、どうやらタクシー運転手に就職したようです。メガネをかけて、真面目に働いています。正気に戻ったようでよかったです。で、この運転手とのシーンで、いよいよ弓神の怪しい行動に拍車がかかります。

 いつも春奈を先生宅まで乗せている運転手のドライブレコーダーにも、この犯人が映っているはずでした。しかし、映っているはずの部分だけ、弓神はスキを突いてドラレコから削除します。そこに映っていたのは、死んだはずの『ロイコ』作者・横島。そう、横島は生きていたのです。

 怪しい行動を重ねる弓神を羽生くんが尾行すると、なんと弓神は横島と密会していました。

 羽生くんは、上司の菅能ちゃんに「この事件とロイコ事件、関係あるんじゃ?」「横島は生きているんじゃ?」と迫ります。頑なにそれを否定する菅能ちゃんでしたが、横島の死亡報告書の作者が弓神であることを発見すると「ごめん、ありえるかも」と、関与の可能性を認めました。

 で、なんだかんだあって、横島に呼び出されたヒズミが意識不明の状態で病院に運び込まれ、その報せを受けた弓神が駆けつけると、ヒズミは声にならない声で(ロイコ事件を目撃したショックで失声症になってる)、弓神を指差し「ひとごろし……」。弓神は夜の町に姿を消すのでした。最終回へ続く。

 

■ちなみに、今回と次回の脚本はドラマオリジナルです

 

 ここまで、原作から舞台設定や人物配置を拝借しつつ、巧みにアレンジを加えながら時代性、当事者性を抱いた脚本を作ってきた『刑事ゆがみ』。結果、原作より強度が増した回も少なくありませんでしたが、今回と次回の最終回は、ほぼ完全にオリジナルとなります。

 第1話のレビュー(http://www.cyzo.com/2017/10/post_34885_entry.html)で、「いずれオリジナルで事件を構築するという、人物造形とはまるで違う脳みそを使わなければいけない段階も来ることでしょう。応援してますし、もしつまんなくなったら、それも正直に書かなきゃなーと思ってます」と書いたので正直に書きますが、第9話、けっこうマズイ雰囲気が漂ってきたかなーと思います。

 仕掛けの整合性を取ろうとするあまり、キャラクターの行動原理や捜査の技能レベルが乱れきってる。羽生くんがキレキレなのは「成長した」ってことでいいんですが、割を食ったのが菅能ちゃんで、真相に迫った羽生くんを否定し続ける場面なんて、稲森いずみがすごく無能な刑事に見えてしまっていた。弓神の突飛な行動の数々も、「次回に謎を残す」という役割はあっても、これまでの心理的な伏線がないので「意味がわからんよ……」以上の印象がない。今回、第5話とはつながっているけど、6~8話とは全然つながってない。さらにいえば、未完であるはずの『聖なる夜空にサンタが舞う』がハードカバーで出版されていたり、メモ書きに7年前の息子の指紋が残っていたりと、細部にも粗が目立ちました。それでも、各ショットの雰囲気と役者の芝居がいいので画面的に「もって」いるのが、逆にすごく優秀な作品でもあると思うんですけど。

 脚本的にいえば、そもそも初回から登場しているヒズミが「誰」なのか、そしてヒズミを生んだロイコ事件とは「何」なのかを解き明かすのがドラマ版の本筋であって、ロイコ事件を初出しした第5話と今回を担当した池上純哉さんが、実質的なメインライター(設計者)なのかもしれません。ただ、この作品の評価を高めてきたのって、おそらくは事件関係者個人(特に女性)への描き込みの深さとリアルさ、それと浅野&神木というバディのイチャコラ感だったと思うんですよね。そう考えると、倉光泰子さんをはじめとした女性脚本家たちが実力を発揮したことによって、本来の設計よりずっと魅力的な作品が出来上がってしまっていた、と理解したほうが正しいのかもしれません。

 いやいや、最終回を前に書く内容じゃないね。すみません。次回も楽しみです。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

星野源も坂口健太郎もいなくなる!?『コウノドリ』3シーズンへの布石と“ONE PIECE化”の期待

 周産期母子医療センター(出産の前後を通し、産科と新生児科で連携した医療体制のとれる病院)を舞台に、医師や妊婦の喜びと悲しみ、生命の誕生の素晴らしさや難しさを描く医療ヒューマンドラマ『コウノドリ』(TBS系)。

 白川が転機を迎える第8話は視聴率12.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と着実にアップ。前回の終盤、BABYのライブ会場に突如現れた四宮(星野源)の真意とは……?

 

■BABYの正体を知っていた!

 

「やっぱり四宮にはバレてたか、僕がBABYだってこと」

 ライブ後に訪れてきた四宮に、鴻鳥(綾野剛)がそう語る、いきなりの展開。

 しかし前シーズンでは重要なポイントであった「鴻鳥が人気ピアニストBABYである」という設定は、今回あまり意味を持たなくなってきており、特に影響もなく話は進む。

 今回、四宮が訪ねて来たのは、大学から早期胎盤剥離防止の研究に誘われており、それに専念すべきか? という相談のため。

 実はすでに研究を手伝っているのだが、鴻鳥はそれを知っていたようで、そのことに今度は四宮が驚く。しかしよくお互いを知っている2人だ。

 四宮は以前早期胎盤剥離の手術中に妊婦を亡くし、さらにその子どもも脳性まひになってしまった、つらい過去がある。もはや家族も面会に来ない、眠り続ける子どもに、毎夜本を読んであげるなど、責任を感じていた四宮だったが、結局その子も息を引き取ってしまった(前シリーズ・9話)。

 そんな四宮が早期胎盤剥離防止の研究に参加していることは、間近で苦悩する姿(治してあげたかったと自分を責めるように号泣)を見ていた鴻鳥にとって、なんの不思議もないのだろう。

 人手不足のペルソナ産科を離れることを躊躇する四宮に、鴻鳥は「関係ない。自分で選択するべきだ。自分の行くべき道を」と背中を押す。四宮も鴻鳥にそう言われたくて、わざわざ来たのかもしれない。

 そんな中、四宮の父親が倒れたとの連絡が。

 

■四宮の里帰り

 

 急遽、故郷の石川・能登へ飛んだ四宮だったが、そこで目にしたのは病を押して妊婦の診察をする父・晃志郎(塩見三省)の姿。四宮の父も産科医だ。

 しかもステージ4の肺がんなのに「仕事を続けながら治療をすればいい」と言い張り、すぐ治療に専念させたい四宮を突っぱねる。

「俺はこの街を、子どもが産めない街にはさせない」と産科医不足の街のために踏ん張りたい晃志郎に、「だったら、生きろよ!」と複雑な思いをぶつける四宮。食卓には輪島塗が並んでいる。

 結局「この街のお産を守ることが使命だと思っている。だから最後までやらせてくれ」という晃志郎の強い意志の前に「……勝手にすればいいよ」としか四宮が言えなかったのは、彼が息子であるのと同時に、現場に生きる同じ産科医だからなのだろう。能登の曇った空が、静かに葛藤する四宮の心情とよくマッチしていた。

 ちなみに「だったら生きろよ!」という台詞は、台本では「だったら治療しろよ」だったのが、星野の案で強い言葉したいと変更されたらしく(公式HPのインタビュー)、より血の通ったシーンとなっている。

 

■今週の鴻鳥と四宮

 

 ライブハウスで、なぜか結婚の話題となり、

「僕たちもいつかそんな日が来るかもしれないね(笑)」

「言っておくがスピーチだけはごめんだからな」

「安心して? 四宮には絶対頼まないから(笑)。その代わり余興でお嫁サンバを…」

「絶対やらないぞ!」

 という謎の乳繰り合いがあり、先週に引き続き、対立もなく異様な仲の良さを見せつけてくれた。

 また、四宮が「ピアノって魔法みたいだな」と呟き、慣れなさそうに鍵盤を一つだけ叩くその姿に「もっと弾いてえええ」と思ったファンの方も多いだろう。

 今放送中のドラマ『民衆の敵』(フジテレビ系)の中で、篠原涼子演じる市議がカラオケで「恋しさと切なさと心強さと」を選曲してるのに、邪魔が入って結局一言も歌えない(歌わない)というシーンのヤキモキさを思い出す。

 

■天狗と化した白川

 

 前回から、医師として力をつけるにつれ自信過剰になっている新生児科医・白川(坂口健太郎)問題。「上を目指す」ことに取り憑かれたような姿は、救命科に移った同期の下屋(松岡茉優)が「患者が助かれば十分」と患者本位であるのに対し、白川のそれは評価されることに酔った自分本位と言える。

 そんなある日、白川は産後間もない子どもを新生児遷延性肺高血圧症(肺に血液が流れにくくなり血流中の酸素が不足する病気)と診断、肺に一酸化窒素を流す治療を開始する。

 だが、親である風間夫妻(高橋努・芦名星)への説明に、自分の力を誇示する様子が。過剰な自信により自分の考えに固執するその姿に、同じような時期に天狗になりかけた経験のある鴻鳥や今橋(大森南朋)も不安を感じており、危なっかしい。

 その後、数日しても一向に治療の効果が見えないので、研修医の赤西(宮沢氷魚)が「本当に肺高血圧なんですかね?」と違和感を口にしたり、看護師の麻生(古畑星夏)も「今橋先生に相談した方が……」と持ちかけるも、白川は「その必要はない!」と聞く耳をもたない。

 しかしあくる日、レントゲンに写る子どもの肺が白くなる事態が発生。麻生が独断で呼んだ今橋の診断により、総肺静脈還流異常症という先天性の心臓病(肺静脈が本来行くべき左心室以外に流れてしまう)であることが発覚する。

 

■懐かしいあの人が!

 

「それって医療ミスですよね!?」

 間違った治療をされていたことに激昂する風間(夫)。

 動揺する白川に代わり、今橋がよその病院に搬送して緊急手術をする必要がある旨を伝える。

 だが、気まずさゆえ搬送車内の付き添いを他の医師に頼もうとする白川に、今度は今橋が声を荒らげる。

「責任を持って最後まで見届けなさい!」

「君は過ちを犯した。自分の実力を過信して赤ちゃんの命を危険にさらしたんだ。自分の過ちから逃げるんじゃない」

 重苦しい空気の搬送車で向った講談医大でも、引き継ぎの医師にそっけなく言われた言葉が白川に刺さる。

「あとはこちらでなんとかしますから、もう帰っていいですよ」

 帰り際、ベンチで手術終了を待つ不安げな風間夫妻の姿が目に入るが、白川は逃げるように迂回してしまう。

 そんなズタボロの白川に声をかけてきたのは、以前同じ新生児科で「鉄の女」と呼ばれていた先輩医師・新井(山口紗弥加)だった。

 新井もかつて、気負いすぎ視野が狭くなったあげく、つまずき打ちのめされ、燃え尽きてペルソナから消えてしまった過去がある(前シーズン・9話)。

 今は講談医大の小児科で働きつつ、NICU(新生児集中治療室)を卒業した子どもらを外来で診ているという新井は、現場から離れていた半年間「ペルソナにほっぽり出してきた赤ちゃんのこと」が頭から離れなかったとの苦い体験を語り、「そろそろ帰んなよ? 赤ちゃんたちがあんたのこと待ってるよ」と、かつての後輩の尻を叩く。

 おそらく今の白川に声をかけるのに、彼女ほどの適任はいないだろう。

 前シリーズ・9話でこんなことがあった。

 一人で抱え込み過ぎている新井に「休んでください」と声をかけた当時研修医の白川。だが、バーンアウト寸前の新井は「いいってば! 白川先生に任せられない!」と突っぱね、白川をむっとさせてしまう。

 2人は、2年前のあの日のことを思い出していたのだろうか。そして白川は、後輩に強く当たりちらす今の自分をどう思っただろうか。

 

■強化された「救い」

 

 少し驚いたのは、原作コミックでは新井との出会いが全くの偶然として描かれているのだが、ドラマでは鴻鳥がこっそり新井に連絡をしていて、白川に声をかけて欲しいと段取りをしていたという点だ。これはドラマ、原作、それぞれによさがあると思う。

 ドラマの「段取り」パターンでは、まず、あんな消え方をした新井と鴻鳥が今も連絡を取っていたんだ、という「救い」があるし、「みんな新井先生に会いたがってますよ」「私もみんなに会いたいな」という通話の内容から、双方が気にしており今後また会うかもしれないんだな、という「救い」も見て取れる(鴻鳥の言葉は気遣いの可能性もあるが)。

 そして、原作では確認できなかった結婚指輪らしきものが新井の左手に光っていたのも「救い」だ。もちろん段取りを仕掛けた鴻鳥は主人公として株が上がるし、出会いの整合性や辻褄的にも、こっちの方が説得力があるだろう。

 それに対し原作の「偶然」パターンは、ドライだ。

 その後の新井と誰も連絡を取っている様子はなかったし、新井が婚約者とどうなったのかもわからないままだ。今後もペルソナ一派と関わることはないのかもしれない。それがシビアな現実なのかもしれない。

 しかし、だからこそ、失意の白川と、かつて同じ失意の底にいた新井が、何の手筈もなく偶然出会い、会話する中で共に救われるという奇跡はこちらの方が強烈に輝く。

 頼まれて探し出し励ますのと、無視することもできたであろう、たまたま見かけた後輩に声をかけ、過去の自分と似た境遇なのを知って自発的に励ますのとでは、励ます側の振りかぶり方が違うはずだ。

 後日ペルソナで、白川が再度、風間夫妻に遭遇するシーン。

 ここも原作ではお互い気まずそうな会釈程度で厳しい現実を見せるのに対し、ドラマでは白川に「力及ばず申し訳ありませんでした」としっかり頭を下げさせ、風間妻も「白川先生、お世話になりました」とぎこちないながらも向き合って挨拶させるなどの「救い」をいれている(旦那は仏頂顔)。

 どちらがいいというわけではないが、原作は実際あるのであろう厳しさをしっかりと描き、ドラマは視聴者の後味が悪くならないよう強めに配慮をいれているのだろう。

 ちなみに新井が仕事から離れていた間によく行っていたと白川に語った温泉や魚釣りというのは、山口自身の本当の趣味だ。

 

■どんどんレギュラーがいなくなる?

 

 屋上にて、いつものように下屋に軽口をたたく白川だが、唐突にペルソナをやめる決意を告げる。

 患者に寄り添う気持ちをなくしていたと反省を口にし、「どんな小さな命にももっといい未来を届ける」ため、よその小児循環器科(おそらくペルソナにはない)で研修を受けたいと語る。

「上を目指す」のではなく「先を目指す」と語るその気持ちは、下屋が救命科に転科するのを志願した気持ちと同じだろう。

 研修先が決まるまではいるようだが、しかし今後白川が出ていき、下屋も転科していて、これで四宮までいなくなったら、ドラマ的にはだいぶ寂しくなってしまいそうなのだが、これはシーズン3でまた結集するための布石なのだろうか?

 ここまでメンバーが散り散りになると、何年か経ってそれぞれ新たな能力を手にいれた手練の医師たちが一堂に会す、再開後の『ONE PIECE』(集英社)のような展開を期待してしまう。

 今回のラスト、ペルソナに戻った四宮のもとに、晃志郎から「一日一生」という書が届けられる。四宮はどんな決断をするのか。再度、晃志郎が倒れる次週も見逃せない。
(文=柿田太郎)