『大恋愛』アルツハイマー患者は、消費されて捨てられた……残酷な最終回に「後味悪すぎ」

 14日に放送されたドラマ『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)最終回の視聴率は13.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。過去最高です。おめでとうございます。

 さて、第1話から好意的なレビューをしてきたし、実際とっても面白い作品だと思っていましたが、まあ最終回は、どうなのこれ。どうなのよ。振り返りましょう。

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■あっけなく死んだ

 若年性アルツハイマーが日々進行していた尚ちゃん(戸田恵梨香)が書き置きを残して失踪してから半年。夫の真司(ムロツヨシ)たちはテレビの「見つかりました」的な番組に依頼して、尚ちゃんの居所を突き止めました。

 片田舎の小さな診療所に、尚ちゃんは身を寄せていました。発病前に貯め込んでいた5,000万円の預金通帳を手に「これで面倒を見てくれ」と頼み込んだそうです。診療所の手伝いをしたり、看護師さんに世話をしてもらったりしながら、ゆっくりと時を過ごしていた尚ちゃん。真司の顔を見ても、それが誰だかわかりません。

 診療所の医師から手渡されたビデオカメラには、尚ちゃんの自撮りムービーがたくさん残っていました。小さなモニター画面の中で、真司、真司と語りかける尚ちゃん。

「あたし、あたしね、真司に会いたいな」

 号泣してしまう真司は、医師に促され、“はじめましての人”として尚ちゃんと話してみることにしました。

 真司は、自分と尚ちゃんのことを書いた小説を読み聞かせます。最初はただ、心地よく聞いていただけの尚ちゃんでしたが、自分が病気になったことを真司に告げるシーンで、変化が訪れました。

「『ごめんね、面倒な病気になっちゃって』妻は続けて語った。『ぜんぜん平気。迷惑かけると思うけど』」

 真司がそこまで読み上げると、尚ちゃんが不意に続きを暗唱しました。

「一生懸命生きるから、よろしくお願いします」

「真司……」尚ちゃんが、真司の目を見つめています。

「やっぱり真司は才能あるね、すごい」

 記憶が、そのときだけ戻ったのでした。その日以来、尚ちゃんは真司のことを思い出すこともなく、「それから1年後、尚は、肺炎であっけなくこの世を去った」んだそうです。そのほかいろいろありましたが、大筋そんな感じです。

 

■まず町医者がヤバい

 いや、あのさ、家の前に前後不覚の女が立ってて、そいつが「私アルツハイマーです」と言いながら5,000万円の預金通帳を出して「面倒みてくれ」ってなったときにですよ。言いなりになって面倒みますか? という話です。まず警察でしょ。

 どういうつもりで町医者は身元を引き受けたのか。本人は「家を出てきた」と言っているが、アルツハイマーを自称する通り、意思は不明瞭です。尚ちゃんは財布を置いて出て行ったから健康保険証など身分を明かすものは持っていなかったかもしれないけど、通帳はあったわけです。通帳からは口座名義と銀行支店名がわかるし、警察に届ければ口座から住所氏名はわかります。しかも尚ちゃんには捜索願が出ている。そうじゃなくても「間宮尚」の通帳と間宮真司の著書を持っているわけですから、町医者さえその気になれば、翌日か翌々日には尚ちゃんは真司の家に帰れたのです。彼ら夫婦を引き剥がして、恵一くんから母親との日々を奪ったのは、この町医者です。

「診療所の手伝いをさせた」とか「看護師を雇って世話をさせた」とか、何を勝手なことをやっているのか。この町医者にとって尚ちゃんは患者でもないし、患者扱いで診療行為を行っていたつもりだとしても、家族の意思を確認しようとしないのは、どういう了見か。もうね、犯罪の匂いさえ漂いますよ。何しろこの自称若アル患者には5,000万円の預金残高があるわけです。アルツハイマー患者の財産って、それこそ医療関係者にとって、もっとも慎重に取り扱うべきものでしょう。成年後見制度とかさ、ちゃんと制度があるわけでしょう。ちゃんとしようよ。

 しかも町医者を訪れた時点で尚ちゃんの病気は進行中ではあっても、まだ「何もかも忘れました」という状態ではなかった。適切な治療を受ければ、進行を遅らせることだってできたかもしれないし、何しろ真司と尚ちゃんの義理の父親となった井原侑市(松岡昌宏)という人は、尚ちゃんの主治医であり、アルツハイマーの世界的権威で、最先端医療に携わってる。どう考えても、その時点で井原に診せるのが医者として最善の判断なはずです。専門家でもない町医者が独自の判断で適切な医療を受けさせず、病気の進行を早めてる。まるで「早く全部忘れてしまえ」とでも言いたいかのような。アルツハイマーの診断が下れば、口座を凍結される可能性もありますからね。町医者にとっては、尚ちゃんを専門医に診せないほうが都合がいいわけだ。5,000万円下ろし放題だからね。

 とにかく、アルツハイマーを自称していて、その症状が明らかに見られる患者の意思だけを尊重し、家族の意向を確認しない医者というのはヤバすぎだし、真司はもっと怒ったほうがいい。「お前さえすぐに警察に届けていれば……!」って、怒ったほうがいいよ。井原先生も専門家なら怒れよ。ママも怒れよ。何してんだよ。

■結局、消費された

 性懲りもなく、真司は尚ちゃんの記憶が戻った瞬間を「神様が僕らにくれた奇跡だったのかもしれない」とかポエミーな解釈をしています。そして、それをそのまま小説に書いて『大恋愛~僕を忘れる君と』という新刊を出版しました。どうせバカ売れでしょう。おめでとうございます。

 女神だとか奇跡だとか、結局「また小説を書けた」ことだけが真司にとって大切だったわけだし、尚ちゃんが死んだ後には「尚ちゃんのことはこれで終わり、もう書かないよ」とか言ってる。

 このドラマでは、再三にわたって「作家が身近な病人をネタにすること」の是非について疑問を投げかけてきました。尚ちゃんと同じMCI患者の松尾(小池徹平)は「尚は小説の道具だろ」と真司を糾弾したし、担当編集の水野さん(木南晴夏)も尚ちゃんに「小説家の嫁としての覚悟」を問うたりしていました。

 そういう疑問を、結局疑問のまま放り投げて、ドラマは尚ちゃんを殺して終わりました。病気はネタとして消費されただけで、作品そのものが「難病をネタにすること」とどう向き合ってきたかは示されなかった。真剣に向き合っているというポーズだけだった。

 このドラマで描かれたのは、小説家の嫁が「病気になるまで」であって、尚ちゃんが「病気になった後(完全に記憶を失った後)」のことは何も語られません。

「あれ以降、一度も思い出さなかった」
「あれは奇跡だった」

 真司は、記憶を失った尚ちゃんの面倒を見ることもなく、たまに会いに行くだけで、発症後には生活を共にすることすらしなかった。「あれは奇跡だった」と「死んだ」の間に、本来なら長大で退屈で代わり映えしない、苦難と絶望に満ちた日々があるはずです。人によっちゃ数十年、そういう日々が続くわけです。それがアルツハイマー患者を家族に持つということなんです。

 そういう日々は、小説家である真司には必要なかったと、ドラマは言っている。なぜなら、小説に書けることがないからだ。毎日同じ苦難の繰り返しだからだ。

 だから、ドラマは尚ちゃんを棄てたのです。記憶を失い、「尚ちゃんでなくなった尚ちゃん」は「もう尚ちゃんではない」と、断言したのです。

 病気が進行し、だらしなく口からこぼれ落ちるヨダレを拭ったり、尚ちゃんの激臭ウンコにまみれた大人用オムツを交換したり、ときに癇癪を起こしてモノを投げつけられたり、そうなった尚ちゃんの面倒を見たのは、真司じゃなくて、尚ちゃんの5,000万円で雇われた田舎の看護師だった。

 このドラマが多くの視聴者の涙を搾り取った“大恋愛”の正体は、そういうものです。ボケ切る前の尚ちゃんなら愛せるけど、ボケ切ったら愛せないんです。『僕を忘れる君』は好きだけど、『僕を忘れた君』には興味がないんだ。「尚ちゃんが尚ちゃんでなくなっても、尚ちゃんじゃなきゃ嫌なんだ」と真司が言っていたのも、ハイ、全部ウソでした。

 病気になっても「一生懸命生きるから、よろしくお願いします」と言った尚ちゃんでしたが、どっかで勝手に死にました。早々に死んでくれてよかったね。めでたしめでたし。

 なかなか最低な結論だったと思います。

 

■戸田ムロはすごかった。

 そんなわけで、脚本的には“メッセージ性”だけあって“メッセージ”がないという、そのわりに、すごく悲しい場面や神々しい場面が訪れて泣けちゃうという、いかにもベテランにいいようにやられたなという感想なんですが、戸田さんとムロさんのお芝居はすごかったね。がっつり感情移入しちゃったものだから、余計に最終回の尚ちゃんが不憫で、ひたすらムカついていたのだけど。

 あと、今になって思うと、サンドウィッチマン・富澤たけしが演じた引っ越し屋の木村が、ぼちぼち脚本自体を自己弁護するようなセリフを言わされていたなあと感じます。病気になった尚ちゃんのことを「書くべきだ」とか、いなくなった尚ちゃんを「探すべきでない」とか。真司にとってではなく、物語の進行にとって都合のいいことを、説得力のある雰囲気で述べていました。そういう意味で、富澤さんはすごく信頼されていたのでしょうね。

 そういうわけで、後味悪いけどここで終わります。よいお年を!
(文=どらまっ子AKIちゃん)

暴力&脅しで最後の案件を解決。こんな強引な終わり方でいいのか!?『SUITS/スーツ』最終話

『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)最終話。「サヨナラホームラン」 

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■最終話の敵は……姿を見せず

 検事時代の甲斐正午(織田裕二)が担当した世田谷女子高生殺害事件の再審請求。

 当時は、前科がある無職の男・栗林紡(淵上泰史)を犯人として刑務所に送ったが、柳慎次(國村隼)が隠していた証拠を調べたところ、別の真犯人が浮かび上がってきたのだ。

 真犯人と目されるのは、被害者が殺害される直前まで一緒に遊んでいたという同じ高校の男子高校生・曽我部一也と蜂矢勇気。

 起訴後の有罪率99.9%と言われる検察の名誉のため、各方面から再審請求を阻止しようと妨害が入る。

 ここで最高検の柳、もしくは澤田仁志(市川海老蔵)との直接対決となるのかと思いきや、表に出てくるのはやる気のなさそうな新人検事(上白石萌音)のみ。

 彼女に「検察の名誉を守ろうとする誰か」が圧力をかけてくるものの、その「誰か」は姿も形も見えないのだ。

 ある意味、検察全体が敵ということ。デカイ敵といえばデカイが、見えない敵とのバトルでは勝ったとしてもイマイチ爽快感がない。

 

■最後の手段が「脅し」かよ!?

 あの手この手で再審請求を突っぱねる検察を納得させるには、被害者のキャミソールに付着したDNAと曽我部たちのDNAが一致することを証明するのが一番。

 しかし当然、曽我部たちにDNA検査を拒否されてしまう。

 甲斐と鈴木大輔(中島裕翔)、そして「幸村・上杉法律事務所」の面々が協力してこの案件に立ち向かっていく最終回らしい展開ではあったものの、ここからの証拠収集方法がいろいろとヒドイ。

 まずは曽我部のDNAを手に入れるため、バーで口をつけていた酒瓶をゲット。違法に収集した証拠には証拠能力がないのでは……!?

 その結果、キャミソールに付着したDNA型と一致することが判明するが、検察はそもそもキャミソールが本当に被害者のものなのか疑わしいなんて言い出した。

 ここまでゴーインに再審を拒否されちゃうと、さすがに打つ手なし……。

 と思いきや、臆病そうな蜂矢の家に忍び込み、脅し上げることで「曽我部が殺した」という供述をゲット。

 これだけ証拠がどうのこうのやってきておいて、最後は脅し!?

「勝つためなら手段を選ばない」というわりには、普通に案件を解決することが多かった甲斐が、ここに来て「手段を選ばない」設定をフルに活かしたとも言えるが、コレがアリならもう捜査も何も必要ないだろ!

 このムリヤリな解決方法を正当化するためなのか、やたらと「自分なりの正義」だの「正義を貫くには時に小さな悪に目をつぶる必要がある」といったセリフが登場していた。

 これが「手段を選ばない」甲斐の決めゼリフとして、これまでにも登場していたのならまだ分かるが、最終回になって急に言い出したのでは「詭弁!」としか思えない。

■キャラメルの謎も「シーズン2」に持ち越しか

 事件も解決し、残された問題は経歴詐称が事務所のボス・幸村チカ(鈴木保奈美)にバレた大輔の処遇。

 大輔自身は今回の案件を最後の仕事と考え、弁護士を辞める決心をしていたが、甲斐は事務所が過去に起こした不正に目をつぶる代わりに「代表にも目をつぶっていただきたいことが」とチカに迫る。

 大輔に、弁護士バッジとともにボストン行きのチケットを渡す甲斐。

 ハーバード大学に行って、弁護士資格を取ってこいということなのだろう。

 この辺りの展開は日本版「シーズン2」以降にも含みを持たせた結末か。

 アメリカ版のスタイリッシュな雰囲気を意識しすぎて、織田裕二の演技はヘンだし、小粋な会話も滑りがち。どうも地に足が着いていない感じがしていた日本版『SUITS』。

「勝つために手段を選ばない弁護士と、超絶記憶力を持つアソシエイトのバディ」という設定自体は面白いのだから、もしも「シーズン2」があるならアメリカ版の呪縛から解き放たれた、日本独自展開多めのドラマを期待したい。

 ところで、初回から意味ありげに登場していた「江森ソフトキャラメル」。最終回にも登場していた。

 甲斐が「あたり」か何かをゲットするために食べ続けているような描写があったんだけど……結局、何だったのかは分からずじまい。

 この伏線、「シーズン2」まで持ち越すのかよ!?

(文とイラスト=北村ヂン)

新垣結衣『獣になれない私たち』脚本家・野木亜紀子“暴言ツイート”に「とろサーモン野木」の声

 新垣結衣主演×野木亜紀子脚本という『逃げ恥』タッグであることから、大いに期待を集めた『獣になれない私たち』(水曜22時、日本テレビ系)。

 フタを開けてみると、平均視聴率は8.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と低迷。一部視聴者からは共感の声もあったものの、「話がとっちらかっていて何が言いたいのかわからない」「誰にも共感できなくて、イライラする」といった感想が多数。

 リアリティを追求しようとする制作側の意欲は感じるものの、それが逆効果に働いている面もあり、「伏線を回収したり笑いを取りたいのかなとか意図が見えているんだけど、知りたいのはそこじゃねえとか、そんなことどうでもいいんだよ! な外し方がさあ」「話が動かんねー。動かないなりにも面白いドラマはあるんだが、これは……」などの指摘も見られた。

 また、かねてより一部で指摘されてきた脚本家・野木亜紀子のオリジナル作品を描く力量についての疑問の声もあり、「結局、掟上逃げ恥重版と違って原作ないとゴミ脚本しか作れないと露呈してしまったな」などの手厳しい意見まで出ていた。

 そんな風当たりの強さを受けてか、最終回放送直前に野木のTwitterでのつぶやきが、ネットの一部掲示板で話題になっていた。問題視されたのは、次のようなつぶやきである。

「それはさておき。作品のすべての責任は脚本担当とプロデューサーだと私は考えているので、視聴率なんつークソくだらねえ話の延長で役者がどうのと書いてるクソメディアは全員わかってると思うけど軒並みクソであり、爪の先から腐る呪いにかかればいいし、全部脚本。」

 このツイートは12日深夜につぶやかれ、即削除されたようだが、すぐに消されることを予測したネット民がスクリーンショットを保存した上で掲示板に投稿。

 このつぶやきには「野木の本性見た感じ」「よろしくないTwitterする脚本家、自分が制作側だったら一緒に仕事したくないけど(半分、の人とかも)、なぜ干されないのだろうか」「次の作品もクソで視聴率悪かったらTwitterでやらかしそう。今回も炎上前に消してるけど評価ガタ落ちして自暴自棄になるとやばそう」「Twitterでは信者の盲目で好意的な意見ばかりを集めて野木帝国の王様になりつつあるな まるで北川悦吏子のようだ」などの声が。

 だが、皮肉にも、野木亜紀子のTwitterといえば、少し前までは『アンナチュラル』のつぶやきが好評で、NHKの連続テレビ小説『半分、青い。』でたびたび炎上していた北川悦吏子と比べられ、模範的に取り上げられることが多かった。

 それが、10月には、トークイベントの当選者たちに対して「くじ運の良い人たちの集まり」とつぶやき、炎上→後日、Twitterで謝罪。さらに『けもなれ』放送中になると、ますます危なっかしさを増してきたと感じる人たちはいるようで、「前まで野木のTwitterなんとも思わなかったけどけもなれから急速にイラついてついにミュートにしたわ」「マジできつい…誰かTwitter取り上げてくれ」「野木さん好きだったのに大嫌いになった」と言われるほどに。

 さらに今回のつぶやき→即削除の流れから、「とろサーモン野木」とまで言われている。

 件のつぶやきは現在は確認できないうえに、言葉を操る職業と思えないほどの汚い言葉を思えば、なりすまし、もしくは画像の加工ではないかという疑惑もある。まして『フェイクニュース』のように、ネットの恐ろしさを題材としたドラマを描き、取材もたくさんしている野木亜紀子が、そこまで軽率だとは思えない。もし本人だとしたら、泥酔の可能性もあるが、それはそれで別の問題もあるだろう。

「爪の先から腐る呪いにかかればいい」などといった独特のまわりくどい言い回しは、確かに野木節にも思えるが、はたして?

米倉涼子『リーガルV』最終回で有終の美飾るも『ドクターX』から視聴率大幅ダウン! やっぱり失敗なのか?

 米倉涼子が主演した新ドラマ『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』(テレビ朝日系)最終回(第9話)が13日に放送され、視聴率は17.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)をマークして有終の美を飾った。全話平均は15.7%で、10月期のプライム帯の連ドラでトップになるのは確実。だが、前作『ドクターX~外科医・大門未知子~』と比べると、視聴率は大幅ダウンとなった。

『リーガルV』は初回15.0%で発進し、第2話で自己最高の18.1%を記録。第3話15.9%、第4話16.5%と好調に推移した。ところが、第5話以降、15.4%→14.4%→14.2%→13.4%と4週連続で右肩下がり。しかし、最終回では第2話に次ぐ17.6%まで引き上げて、米倉ドラマの強さを見せた。

 最終回は、翔子(米倉)がかつて弁護した受刑者・守屋至(寛一郎)が、NPO法人「貧困を救う会」の代表・大峰聡(速水もこみち)に脅され、殺人の罪に手を染めていた。その真実を法廷で明らかにするため、翔子自身が原告となり、大峰と“ある濃密な裏関係”が疑われる「Felix & Temma法律事務所」の代表弁護士・天馬壮一郎(小日向文世)を提訴。至を弁護していた1年前に弁護士資格を剥奪されたことに関して、弁護士会会長でもある天馬に、1円の損害賠償を求める民事訴訟を起こした。そして、法廷で翔子が管理人を務める「京極法律事務所」と、天馬の事務所が大バトルを繰り広げる・・・・・・という展開だった。

 その裁判では、翔子が弁護士資格を剥奪される直接原因となった“暴力団への金銭授与行為”が、仕組まれた罠だったことが明らかになった。さらに、天馬の事務所の海崎勇人弁護士(向井理)が裏切って、至の犯行は、天馬が実の息子である大峰に指示したものであったことが判明。翔子は勝利し、天馬はすべてを失った。しかし、翔子は弁護士資格の回復手続きはせず、ほかの弁護士とパラリーガルに事務所をまかせるとして、旅に出るというエンディングとなり、“続編”はあってもなくてもいいような終わり方になった。

 ドラマの視聴率がなかなか取れない、この時代で平均15.7%は上々。同枠で、今年1月期にオンエアされた、木村拓哉主演『BG~身辺警護人~』の15.2%を上回ったのだから、“米倉人気”は健在だったといえそう。

 ただ、『ドクターX』と比較すると、どうしても大幅な視聴率ダウンが目に付いてしまう。同シリーズの全話平均視聴率は、第1シリーズ(12年)が19.1%、第2シリーズ(13年)が23.0%、第3シリーズ(14年)が22.9%、第4シリーズ(16年)が21.5%、第5シリーズ(17年)が20.9%。昨年の第5シリーズより、『リーガルV』は平均で5.2ポイントも落ちた。同シリーズの最終回は25.3%で、最終回のみ比べると、7.7ポイントもの大幅ダウンとなったのだ。

 なにはともあれ、“一定”の結果を残した『リーガルV』だが、果たして、この数字はテレ朝にとって、成功なのか、失敗なのか?

「『リーガルV』は向井、菜々緖など主演級の俳優・女優も多数出演し、ギャラ総額も高く、制作費もかかっていることから、テレ朝の目標は17~18%だったといいます。それに届かなかったのですから、その意味では失敗でしょう。ただ、最低ノルマといえる15%台を記録したため、必ずしも失敗とは言い切れないでしょうね。ただ、目標をクリアできなかったのですから、“成功”ともいえそうにありません」(テレビ関係者)

 そうなると、来年10月期に内定しているとされる“米倉ドラマ”がどうなるか、気になるところだ。

「テレ朝上層部には、『ドクターX』復活を願う人たちが多数存在するといいます。その人たちにとっては、『リーガルV』はコケてほしかったはず。しかし、目標には届かなかったものの、最低ノルマの15%を超えたことで、『ドクターX』続編を嫌がる米倉を説き伏せるのは、難しくなったといえそうです。米倉自身、『ドクターX』よりギャラダウンに応じたとも伝え聞きますし、来年も米倉の意向が尊重されるのではないでしょうか。そうなると、さらにまた新ドラマを制作するとなると、リスクもありますし、『リーガルV』続編放送で落ち着く可能性が高くなったとみていいかもしれません」(同)

 テレ朝にとっても、ファンにとっても、『ドクターX』復活がベストなのだろうが、やはり、すべては米倉の腹一つとなりそうだ。
(文=田中七男)

『下町ロケット』第10話 下町の舞台・大田区を襲う蒲田くんを迎え撃て!! 明かされた軽部の素顔

 阿部寛主演の熱血理系ドラマ『下町ロケット』(TBS系)もいよいよクライマックスです。裏番組ではテレビ朝日が大ヒット映画『シン・ゴジラ』(16年)という強力な刺客を差し向けてきましたが、『下町ロケット』も復活のイモトアヤコ、変人・軽部の意外な素顔、そして吉川晃司の華麗なボウリングフォームといった見せ場で応戦しました。エンジンフル稼働状態となった『下町ロケット ヤタガラス』第10話を振り返りましょう。

 後半戦に入って出番がすっかり減り、『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)のやらせ問題も尾を引き、心配されていたイモトアヤコ扮する天才エンジニア・島津ですが、第10話で完全復活です。プー子生活を脱して、大学の非常勤講師として働き始めた島津は、念願叶ってカリフォルニアの工業大学で研究職に就けるチャンスも手に入れます。また、「帝国重工」時代から苦楽を共にしてきた「ギアゴースト」の伊丹社長(尾上菊之助)からも戻ってきてほしいと頼まれます。

 しかし、島津が選んだ再就職先は、佃社長(阿部寛)率いる中小企業「佃製作所」でした。自分を本当に必要としている職場で働くことが彼女の仕事のモチベーションだったのです。日本の農業を救いたいという佃社長の熱い想いに協力することにしたのです。

 三顧の礼をもって「佃製作所」に迎え入れられた島津は、さっそく社名入りの作業着に着替えます。あまりに作業着姿がぴったり似合うため、「佃製作所」の社員たちは大喜びです。「帝国重工」の財前部長(吉川晃司)の勝負服が高級感漂うスリーピース・スーツなら、天才エンジニア・島津はシンプルな作業着こそが勝負服なのです。

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■島ちゃん軽ちゃんコンビの誕生!

 気になるのは、「佃製作所」きっての変人・軽部(徳重聡)のリアクションです。途中入社の島津が役員待遇で、軽部がそれまでリーダーだったトランスミッション開発チームを担当することになりました。島津が「ギアゴースト」を退職した際には、目から「一緒に働こうよ」ビームを発していた軽部ですが、カメラは無言のままの軽部を映し出すだけです。しかも、相変わらず定時になると帰社してしまいます。立花(竹内涼真)とアキ(朝倉あき)は、島津にチームリーダーの座を奪われたことが面白くないのではと勘ぐってしまいます。トランスミッション開発チームに不穏な空気が漂います。

 開発部長の山崎(安田顕)は立花とアキをおでん屋に誘い、軽部の家庭の事情について説明します。軽部には生まれつき心臓の弱い娘がおり、妻も共働きのため、病院への送り迎えは軽部がしなくてはいけなかったのです。職場ではぶっきらぼうな軽部ですが、娘には子煩悩そうな優しい表情を見せていました。

「帝国重工」が開発した農業ロボット「アルファ1」の内部に不具合があることに気づいた軽部が「アルファ1」を思い遣るような表情を見せ、出来たばかりの「佃製作所」の試作ロボットに「がんばれ!」と声援を送っていたのは、自分の娘とロボットたちを重ね合わせて見ていたからだったのです。

 軽部がいつも定時で退社し、週末を利用した農作業ボランティアにも参加しなかった理由がこれで分かりました。しかも、立花やアキがおでん屋で呑んでいる間、軽部は会社に戻って黙々とひとりで作業を続けていたのです。タイムカードは一度押しているので、これはサービス残業でしょう。

 天才エンジニアの島津は、軽部の堅実な仕事ぶりをしっかり理解していました。きっちりの自分の担当パートを仕上げてみせた軽部のことを「これからもよろしくね、軽ちゃん!」とねぎらう島津に対し、「よろしく、島ちゃん♪」と応える軽部でした。才能ある人間同士が認め合うことで、トランスミッション開発チームは急激な進化を遂げていくのでした。軽部のことを過小評価していた立花とアキは、エンジニアとしても社会人としてもまだまだ次元が下だったのです。

 島津の歓迎会を兼ねたボウリング大会が開かれます。「アルファ1」の改良を「佃製作所」に依頼している財前部長も、途中参加することに。上着だけ脱いだスーツ姿で、パーフェクトな投球フォームを披露する財前部長。改良型「アルファ1」完成への祝砲代わりとばかりに、見事なストライクを決めてみせます。

■ドラマと現実世界をつなげたクボタのCM

 裏番組の『シン・ゴジラ』では「佃製作所」の所在地である東京都大田区にゴジラの第二形態である“蒲田くん”が上陸し、下町をメタメタに蹂躙します。一方の『下町ロケット』も大変な事態を迎えました。記録的な大豪雨という自然災害が、新潟県燕市を襲ったのです。元「佃製作所」の経理部長・殿村(立川談春)は実家の田んぼの稲刈りを間近に控えていたのですが、成す術なく稲は全滅してしまいました。脱サラした殿村があれだけ苦労して育て上げたのに、たった一夜の大雨がすべてを奪い去ったのです。自然と触れ合いながら、田舎生活を満喫していた殿村は、農業で食べていくことの恐ろしさを身を持って体感したのでした。

 さらに自然災害以上に恐ろしいのが、田舎の人間関係です。農業法人に参加することを断り、独自ブランド米の販売を続けてきた殿村に対し、農林協の職員・吉井(古川雄大)は容赦ありません。本年度の収穫ゼロとなった殿村が農林協に500万円の融資を申し込むと、窓口に現われた吉井は「農業法人に入らないから、こんなことになったんですよ」とニヤニヤ顔で対応します。勝手なことをするから、災害に遭ったのだと言わんばかりです。ブランド米を止めて、今後はこちらに服従するなら融資を考えるという悪代官ぶりです。閉鎖的社会の恐ろしさがまざまざと描かれます。

 さまざまな悪役が登場する『下町ロケット』ですが、殿村家を村八分扱いする吉井は最上級のゲス野郎です。殿村が絶望しながら去った後、吉井の上司が「農林協は農家の人の助けになるためにあるんだ」とフォローを入れましたが、もっとしっかり部下の仕事内容をチェックしてほしいものです。しかし、ここまで嫌な奴は、役とはいえなかなか演じられるものではありません。古川雄大はミュージカルの舞台というホームグランドがあるからこそ、徹底して悪役を演じられるのでしょう。舞台とテレビの仕事をうまく使い分ける、古川雄大のクレバーさにも恐れ入ります。

 第10話では、CM中に他局にチャンネルを変えられないための秘策も投じられました。クボタが開発して実用化に成功した「アグリロボトラクタ」の勇姿がCMとして流れたのです。『下町ロケット』の世界が現実化したようなリアルな映像で、CMかドラマなのか分からないほどでした。日本の農業を守りたいという佃社長や財前部長たちの願いが現実のものになりつつあることに、驚きを覚えた第10話でした。

 驚いたといえば、軽部が結婚して、娘もいたこともショックでした。軽部には根っからの変人でいてほしかったなというのが、正直な思いです。残業は頑なにやらない頑固者であっても、「佃製作所」は活躍できる理想の職場であってほしかったからです。サービス残業以外にも、会社に貢献できる方法はあると思います。まぁ、社員が自主的に黙々と残業する姿を映すことが、テレビドラマとしては分かりやすい盛り上げ方なのでしょう。日本に本当の意味での「働き方改革」が浸透するのはまだまだ先のことのようです。

 分かりやすい盛り上げ方に徹したことで、15分拡大スペシャルだった第10話の視聴率は15.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と、第8話の11.5%、第9話の12.6%からグ~ンと数字を伸ばしました。次週の最終回は、前シリーズの最終回22.1%にどこまでまで迫ることができるのでしょうか。首相の前で実演が行なわれる小型ロボット「ダーウィン」と進化を遂げて生まれ変わった「アルファ1」とのリターンマッチの行方に注目です。
(文=長野辰次)

『SUITS/スーツ』第10話 久々に見た織田裕二の暑苦しい演技に安心感。賢い演技、向いてないよ……

『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)第9話。「最強の検事VS最強の弁護士!」

 いよいよ最終回(前編)。

 今回の案件は、鈴木大輔(中島裕翔)が蟹江貢(小手伸也)と争うことになった、資産家の異母姉妹による遺産分与問題。

 そして、甲斐正午(織田裕二)の元上司・最高検次長検事の柳慎次(國村隼)による汚職疑惑だ。

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■法曹界における「親」がラスボス

 これまでもちょいちょい顔を出してはいたものの、過去にどんな因縁があったのか分からずにいた甲斐と柳。

 柳は悪を憎む思いが突っ走りすぎて、証拠隠しなどの不正をしてまで容疑者を断罪するタイプの検事。甲斐はそんな柳に嫌気が差して検事を辞めて、弁護士となったようだ。

 柳の不正疑惑を調査している最高検監察指導部の澤田仁志(市川海老蔵)は、検事時代の甲斐の後輩。

 多くの「状況証拠」はつかんでいるものの、決定的な「物証」がないため、かつて柳とベッタリだった甲斐にあの手この手で揺さぶりをかけて、証言をさせようとする。

 柳が不正を働いていた事実を知っていた甲斐だったが、澤田の態度から「検察内の内部抗争のニオイ」を嗅ぎ取り、

「そんなものに利用されるのはまっぴらですよ」

 と証言を拒否。

 しかし、澤田たちの集めた「状況証拠」を手に入れたところ、柳が自分の担当事件だけではなく、検察時代の甲斐が担当していた事件の証拠隠しまで行っていたことが発覚する。

 甲斐の部下である大輔に対して、

「私の孫みたいな存在ってわけだ」

 と語っていた柳。つまり柳は甲斐の法曹界における「親」ということだ。

 そんな「親」が自分を裏切っていたことに対する怒りなのか、「親」を告発しなければならないことに対しての迷いなのか、甲斐はいつになくイライラした様子を見せていた。

■やっぱり暑苦しい織田裕二が見たい!

 一方、大輔の担当案件。

 クライアントである資産家の依頼は、ふたりの異母姉妹に公平に資産を分配するよう遺言書を作成したいということだが、姉・藤代(町田マリー)と、妹・雛子(本仮屋ユイカ)の関係は険悪で、すんなりとまとまりそうにはなかった。

 幸村チカ(鈴木保奈美)は、姉の担当を蟹江に、妹の担当を大輔に任せ、交渉を進めるように指示する。

 大輔の経歴詐称を知ったチカは、クビにする口実とするため、ベテランの蟹江と真っ向勝負となるような案件を担当させたのだ。

「互いの資料は盗み見しない」

 というルールを設定した蟹江だったが、当然そんなルールを守るはずもなく、大輔のメールを盗み見。

 しかし大輔もそれを予想しており、あえて偽メールを盗み見させることによって、妹・雛子の欲しがっていたアパレル部門をU&T社に売却するよう仕向けたのだ。

 その上で、U&T社を雛子が買収することによって、アパレル部門を手に入れようという作戦。

 大輔の罠に気付いた蟹江は文句たらたらだが、そこで甲斐がブチ切れる。

「不正を働いた人間が居直るな!」
「部下が相手だったら、何をしても許されているとでも思っているのか? 不正を働いた人間が偉そうに。自分を正当化するな!」

 明らかに柳へのイライラが募っていることからの発言だ。

 近年の織田裕二は、山本高広のモノマネ的な熱血・織田裕二像を払拭したいのか、やたらと「賢いキャラ」をやりたがっているように思える。

 本作でも感情を抑えた演技を心がけているようだが、あんなに色黒な猿人顔なのにクールな知性派弁護士(ハーバード大卒)って、どうしても違和感アリアリなのだ。

 やっぱり織田裕二といえば、『東京ラブストーリー』のカンチや『踊る大捜査線』の青島のような熱い男のイメージが強い。織田裕二に「賢い」イメージなんて誰も求めていないんじゃないだろうか。

 そこにきて今回の感情を爆発させる甲斐。「ボクらの裕二が帰ってきた!」という感じだ。

 織田裕二は素直に、正義感に燃える暑苦しい弁護士役をやった方がよかったんじゃ……。

 近年の武田鉄矢も、金八先生イメージを払拭しようとあえて悪役を演じることが多くなっているが、鉄矢の場合は、素の性格の悪さがにじみ出ていて、金八先生よりも明らかにハマリ役となっている。

 織田裕二の素は、おそらくTBS『世界陸上』で見せるような熱血バカなのだろう。もっと素直に「素」を活かした役をやって欲しい。

■あのキャラメル、何だったんだ?

 大輔の作戦通り、U&T社を雛子が買収することによってアパレル部門を手に入れることに成功。

 しかし蟹江は罠に気付いており、業績の悪いアパレル部門を法外な値段で売りつけていた。

 ということで、雛子の手に入れた会社は最初から借金まみれ。姉・藤代の復讐は果たされたのだ(だったら、罠にハメられた蟹江が怒っていたのはどういうことなの!?)。

 大輔の敗北が確定して、チカはさっそくクビにしようとするが、甲斐は、

「あとひとつだけ目をつぶってもらえませんか。どうしても彼に手伝ってもらいたい案件がある」と頼み込む。

 柳の証拠隠しのせいで生み出してしまった冤罪被害者を救い出したいのだという。

 甲斐と大輔との間に信頼関係が生まれつつあるのはちょいちょい描かれてきたが、ここにきて甲斐が自分自身の案件を「手伝ってもらいたい」とは。

 ふたつの案件がパラレルに進行して、せっかくのバディものなのに、甲斐と大輔、別々の案件に取り組んでいることが多かった本作。

 信頼関係を築き上げたふたりが、いよいよ手を取り合って最大の案件に立ち向かう。熱い展開ではあるが……。

 いろいろ気になっていた伏線が、あと1話でちゃんと回収されるのかが気になるところ。

 特に、第1話からしばしば意味ありげに登場していた「江森ソフトキャラメル」。何の説明もないまま終わったら怒るで、しかし。
(文とイラスト=北村ヂン)

北大路欣也、75歳で連ドラ主演へ……『やすらぎの郷』から続く“抱かれたいお年寄り”ブームって!?

 来年1月からの新ドラマ『記憶捜査~新宿東署事件ファイル~』(テレビ東京系)で主演を務めることがわかった俳優・北大路欣也。75歳になってもドラマの第一線で活躍し続ける姿は、多くの高齢者のみならず中高年にも希望を与えている。

 昨年テレビ朝日が、主演の石坂浩二はじめ、元妻の浅丘ルリ子や元カノの加賀まり子らを起用した昼ドラ『やすらぎの郷』(脚本:倉本聰)を放送。初のシニア向けドラマとして成功するか注目を集める中、懐疑的な予想を覆して見事大ヒットを記録した。このヒットに勇気づけられたのが、往年の俳優たちだった。

 日本には、坂田藤十郎が会長を務める『日本俳優協会』や、西田敏行が理事長を務める『日本俳優連合』があるが、年金制度はなく、老後の生活に不安を抱く役者は少なくない。そんな彼らにとって、シニアドラマの成功は、新たな活路が開けるのではないかと期待が高まった。

 実際、『やすらぎの郷』のヒットに触発された民放各局が、広告代理店やシンクタンクと共に、60歳以上を対象にした企画プロジェクトを立ち上げてドラマの話を進めているが、中でもいち早く反応したのがテレ東だった。

 というのも、テレ東は『やすらぎの郷』に先駆け、2014年・15年・17年と3シーズンにわたって、北大路欣也、泉谷しげる、志賀廣太郎の“おっさん”が活躍するドラマ『三匹のおっさん』を放送。高視聴率を記録した実績があったからだ。

『三匹~』の主演の一人だった北大路は、テレ東でかつて新年恒例だった『新春ワイド時代劇』の30年来の常連出演者で、03年からは刑事ドラマ『さすらい署長 風間昭平』シリーズの主演も務めている。来年1月から放送される新ドラマ『記憶捜査~』は、『三匹~』と同じ金曜夜8時枠とあって、早くも注目の的だ。実はテレ東は、紫綬褒章や旭日小綬章を受章している大物俳優の北大路が、今回のオファーも引き受けてくれるのか、自信がなかったようだが、北大路は二つ返事で受諾したという。

 ちなみに北大路は、「週刊女性」(主婦と生活社)が実施した「抱かれたいお年寄りランキング」でも、渡哲也に次ぐ2位にランキングしている。いつまでも現役で活躍し続ける姿は、目標を失っている中高年たちに「75歳でも、まだまだやれるんだ!」と、高齢者俳優には「俺にもまだチャンスがある」という、ささやかな希望を抱かせるには十分だろう。

 それだけに、新ドラマには、視聴率・視聴熱とも『三匹~』を超えてほしいものだ。
(文=本多圭)

『ドロ刑』前回の伏線はなかったことに!? 脚本がブレ過ぎで初期設定が強引に捻じ曲げられる……

 ジャニーズの人気グループ・Sexy Zoneの中島健人が主演するドラマ『ドロ刑 -警視庁捜査三課‐』(日本テレビ系)の第9話が8日に放送され、平均視聴率8.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。前回から0.8ポイントアップとなりました。

(前回までのレビューはこちらから)

 前回、懇意にしていた伝説の大泥棒・煙鴉(遠藤憲一)に利用されていたことを知り、ショックを隠せない斑目勉(中島)。暗い気持を引きずったまま出勤したある朝、13係の床に200万円分の1万円札がバラまかれていることに気づき驚きます。

 さらに室内には煙鴉の残り香が。どうやら、煙鴉が班目のIDカードを偽造して侵入したらしく、班目は係長の鯨岡千里(稲森いずみ)から懲戒免職になりかねないとお灸を据えられてしまうのでした。

 しかし、それでも煙鴉のことを悪人とは思えず街をさまよう班目。すると突然目の前に現れた煙鴉が、「虹を掴み損ねた。それですべてを踏み潰された」と意味深な言葉を口走り、捕まえようとした班目に対し突然、発砲してくるのでした。

 腕に被弾したため命に別状はなかったものの、この事態を重く見た鯨岡は、13係のメンバーに拳銃の携行許可を与え、煙鴉が発砲しようとした場合、射殺しても構わないと命じます。

 治療を受けた班目は、撃たれる直前に煙鴉から手渡されたコースターの裏面に『七波隆』という人物名が記されていることを発見。元官僚で現在は一般企業の顧問を務める七波は、以前あるインタビューで肌身離さず携帯している大事な手帳があるとのことで、煙鴉の次のターゲットはそれだと睨んだ13係のメンバーは、七波の警護にあたることになります。

 ところが、七波のオフィスでシンポジウムを開催中、30名のスリ集団を引き連れ会場入りした煙鴉にまんまとその手帳を盗まれてしまうのでした。

 意気消沈した班目は、いつも煙鴉と飲んでいた馴染みのバーで1人しみじみと酒を飲むのですが、その店のマスターから「こんなものが見つかった」と差し出されたコースターの裏に、『阿川義一』という人物名が書かれていることに気づきます。

 元裁判官で現在は弁護士研究会の顧問を務める阿川が次のターゲットだと予想した13係のメンバーは、研究会の本部があるビルを訪れるのですが、金庫から業務日誌を盗み出した煙鴉をまたしても逃してしまいます。

 一方、今回は、皇子山隆俊(中村倫也)の妹・真里が、5年前に勤めていた病院から何者かに資料を盗まれ、その3日後に自宅マンションから飛び降り自殺した事実が明らかとなりました。さらに、真里の爪から煙鴉のものと同じDNAが検出されたものの、警察の上層部の手回しによって揉み消されたことが発覚。皇子山の煙鴉に対する復讐心と、当時の捜査への疑心が膨れ上がったところで今回は終了となりました。

 さて感想。ドラマも残すところあと1回ということで、クライマックスへ向けて慌ただしい展開となってきたのですが、当初の予定とは違う流れになったのか、初期設定を強引に捻じ曲げている部分があまりに目立つ気がしてなりませんでした。

 これまで13係は、各部署のポンコツばかりがかき集められたという設定だったのですが、今回の鯨岡と警視総監の密会シーンによれば、煙鴉を捕まえるために結集されたとのこと。いつの間にやら伝説の大泥棒を捕まえるためのエリート軍団みたいな位置づけになってしまったんですね。

 しかも、今まで事なかれ主義を前面に押し出し、お気楽キャラだった鯨岡が、どうやら煙鴉と個人的に知り合いという関係性が浮き彫りになった途端、急にシリアスな演技をするようになったんです。

 その展開がどうにも、急ごしらえな感じが否めないのですが、皇子山にしても最初は捜査にやる気のない美脚好きのむっつりスケベなキャラクターだったんですよね。ドラマに芯がなく、脚本がブレッブレの出たとこ勝負だったため、終盤へきて収拾がつかなくなり強引にキャラ変更しているような気がしてなりません。

 また、班目に関してはこれまで、煙鴉のことを大泥棒と認知しているのかどうか曖昧だったのですが、今回の様子を見る限りしっかり認識していたらしく、警視庁の情報を漏らしていたことが発覚したとなれば即刻、懲戒免職処分となるのが妥当なのではないでしょうか。初回からリアリティーに関しては期待していませんでしたが、それにしてもちょっと酷すぎるように思えます。

 ところで前回、煙鴉は借金を抱えた男(大友康平)に5,000万円の報酬を与え、5日間“偽・煙鴉”として勾留されるよう依頼したものの、結局その理由は明かされず仕舞いでした。そして今回もその伏線は回収されないままだったのですが、まさかこのまま何もなかったことにされるのではないかと心配です。大団円を迎えるためにも、次週しっかりした展開を期待したいと思います。
(文=大羽鴨乃)

TBS大誤算!? 視聴率低迷の『下町ロケット』正月スペシャルは爆死濃厚か

 TBS日曜劇場枠で放送されている連続ドラマ『下町ロケット』(阿部寛主演)の「新春ドラマ特別編」が、来年1月2日午後9時から2時間15分枠でオンエアされることがわかった。だが、業界内外では「TBSの大誤算」といった声が漏れ伝わってくる。

 10月期の連ドラが年をまたいで、正月ドラマになるのは、極めて異例なことだが、同局の挑戦は“不発”に終わる可能性も高そうだ。

 23日放送の第11話が日曜劇場枠でのラストとなるが、正月スペシャルでは、さらにその続きが描かれるというから、それが実質的な“最終回”になりそうだ。

 同ドラマの原作は、『半沢直樹』などで知られる人気作家・池井戸潤氏の同名小説。2015年10月期に、同じ日曜劇場枠でシーズン1が放送され、全話平均18.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)の高視聴率をマークする大ヒットとなった。

 3年ぶりに制作されたシーズン2も、当然高い数字が期待されたものの、第9話(9日)を終えた時点で、最高が第3話の14.7%、最低は第8話の11.5%で、ここまでの平均は13.0%とパッとしない。シーズン1の最低は16.1%で、1度も15%を割ることはなかったが、シーズン2は、逆に現状一度も15%超えを果たせていない。

 ここ最近の同枠ドラマでは、昨年10月期『陸王』(役所広司主演)が平均16.0%、1月期『99.9―刑事専門弁護士― SEASONⅡ』(嵐・松本潤主演)が17.6%、4月期『ブラックペアン』(嵐・二宮和也主演)が14.3%を獲得しており、『下町ロケット』シーズン2は、それらに大差をつけられている状況だ。

「シーズン2は脚本家が替わったことで、ストーリー上の問題も物議を醸していますし、マンネリも叫ばれています。それに今シリーズには、イモトアヤコ、福澤朗、古舘伊知郎らの役者ではないキャストが多数出演しているため、“学芸会”と揶揄されるなど、不評を買っている面があります。そのへんが敗因ではないでしょうか」(テレビ誌関係者)

 同局としては、「『下町ロケット』なら高い視聴率が取れる」と判断して、早い段階で正月スペシャルを編成したと思われるが、さすがにここまで低調が続くのは、“計算外”だったに違いない。

「そもそも正月三が日は帰省や旅行、初詣などで、ふだんより在宅率が下がりますし、なんせ忙しいわけです。2時間ドラマをじっくり見るような環境にはなかなかならないでしょう。そのうえ、ゴールデン・プライム帯では、各局とも毎年恒例の人気バラエティー番組を並べてきます。『相棒』(水谷豊主演/テレビ朝日系)の元日スペシャルのように慣例化されていれば話は別ですが、レギュラー枠でもイマイチの『下町ロケット』はなんとも分が悪いでしょう。2ケタに乗せられればいいですが、爆死の可能性も十分あるでしょうね」(テレビ関係者)

 ストーリー上、正月スペシャルを見なければ完結しないようなら、ファンにとっては、ある意味はた迷惑な話かもしれない。編成上、どうしても年をまたぎたかったのであれば、1月6日日曜に最終回を通常放送した方が、よっぽど数字が取れるかもしれない。
(文=田中七男)

TBS大誤算!? 視聴率低迷の『下町ロケット』正月スペシャルは爆死濃厚か

 TBS日曜劇場枠で放送されている連続ドラマ『下町ロケット』(阿部寛主演)の「新春ドラマ特別編」が、来年1月2日午後9時から2時間15分枠でオンエアされることがわかった。だが、業界内外では「TBSの大誤算」といった声が漏れ伝わってくる。

 10月期の連ドラが年をまたいで、正月ドラマになるのは、極めて異例なことだが、同局の挑戦は“不発”に終わる可能性も高そうだ。

 23日放送の第11話が日曜劇場枠でのラストとなるが、正月スペシャルでは、さらにその続きが描かれるというから、それが実質的な“最終回”になりそうだ。

 同ドラマの原作は、『半沢直樹』などで知られる人気作家・池井戸潤氏の同名小説。2015年10月期に、同じ日曜劇場枠でシーズン1が放送され、全話平均18.5%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)の高視聴率をマークする大ヒットとなった。

 3年ぶりに制作されたシーズン2も、当然高い数字が期待されたものの、第9話(9日)を終えた時点で、最高が第3話の14.7%、最低は第8話の11.5%で、ここまでの平均は13.0%とパッとしない。シーズン1の最低は16.1%で、1度も15%を割ることはなかったが、シーズン2は、逆に現状一度も15%超えを果たせていない。

 ここ最近の同枠ドラマでは、昨年10月期『陸王』(役所広司主演)が平均16.0%、1月期『99.9―刑事専門弁護士― SEASONⅡ』(嵐・松本潤主演)が17.6%、4月期『ブラックペアン』(嵐・二宮和也主演)が14.3%を獲得しており、『下町ロケット』シーズン2は、それらに大差をつけられている状況だ。

「シーズン2は脚本家が替わったことで、ストーリー上の問題も物議を醸していますし、マンネリも叫ばれています。それに今シリーズには、イモトアヤコ、福澤朗、古舘伊知郎らの役者ではないキャストが多数出演しているため、“学芸会”と揶揄されるなど、不評を買っている面があります。そのへんが敗因ではないでしょうか」(テレビ誌関係者)

 同局としては、「『下町ロケット』なら高い視聴率が取れる」と判断して、早い段階で正月スペシャルを編成したと思われるが、さすがにここまで低調が続くのは、“計算外”だったに違いない。

「そもそも正月三が日は帰省や旅行、初詣などで、ふだんより在宅率が下がりますし、なんせ忙しいわけです。2時間ドラマをじっくり見るような環境にはなかなかならないでしょう。そのうえ、ゴールデン・プライム帯では、各局とも毎年恒例の人気バラエティー番組を並べてきます。『相棒』(水谷豊主演/テレビ朝日系)の元日スペシャルのように慣例化されていれば話は別ですが、レギュラー枠でもイマイチの『下町ロケット』はなんとも分が悪いでしょう。2ケタに乗せられればいいですが、爆死の可能性も十分あるでしょうね」(テレビ関係者)

 ストーリー上、正月スペシャルを見なければ完結しないようなら、ファンにとっては、ある意味はた迷惑な話かもしれない。編成上、どうしても年をまたぎたかったのであれば、1月6日日曜に最終回を通常放送した方が、よっぽど数字が取れるかもしれない。
(文=田中七男)