『全裸監督』制作と黒木香さんは無関係! “プライバシー侵害”を訴えることは可能か、弁護士に聞いた

 AV監督・村西とおるの半生を描いたNetflixのドラマ『全裸監督』が話題となっている。主役の村西を演じる山田孝之をはじめ、交際していたAV女優の黒木香を演じる森田望智の演技も高い評価を受け、芸能人のほか、テレビ・映画などメディア関係者の間でも、「地上波では絶対映像化できない」などと大絶賛されている。

 一方で、ドラマの中には、現在は引退している元AV女優の黒木さんが、現役当時の名前(芸名)で重要人物として登場していることから、SNSなどでは、当時を知るAV関係者らから、「黒木さんはドラマ化を了承しているのか」といった疑問の声も上がっている。そんな中、「許可を取っているのか」という質問に対する、「作品制作にあたって、村西さん同様、黒木さんご本人は関与されていません」というNetflixの回答が報じられた。

 そこで、黒木さん本人が、プライバシーの侵害でNetflixを訴えることは可能なのか、弁護士法人ALG&Associatesの山岸純弁護士に話を聞いた。

 山岸氏によると、プライバシー権とは、「自分の情報をコントロールする権利」と考えられているという。

「現代社会では、人は、自分の過去や現在の情報がどこでどのように使われるのかについて強い関心を持っているので、このような情報について自分の知らないところで使用されることを拒む権利として考えられています」

 その上で、黒木さんがプライバシーの侵害を訴えることは可能なのかについて、山岸氏は次のように述べる。

「黒木香さんの実名モデルとしての登場は、本人に『世間に知られたくない』『過去のことなので、今となっては公表して欲しくない』という気持ちがあり、これらの気持ちについて大多数の一般の人が『同じ立場だったら同じように考える』というような場合には、法的保護に値する可能性があります。この場合、プライバシー侵害として、映像の配信停止や損害賠償請求のための訴訟を提起することができます」

 訴訟を起こした場合の損害賠償の金額はいくらになるかについては、「『精神的な損害』がメインとなるので、大きな額にはなりませんが、数百万円程度になる可能性があります」という。

 ドラマ自体は大変好評なため、シーズン2の制作が決定している。これについて、黒木さんが制作や配信の中止を求めることは可能なのだろうか。山岸弁護士によると、「『映像の配信停止』について、裁判所の仮処分手続きにおいてできるかもしれません」とのこと。

 そもそも、このドラマは本橋信宏のノンフィクション『全裸監督 村西とおる伝』(太田出版)が原作となっているという。では、この原作自体はプライバシー侵害にならないのだろうか。かつて小説のモデルとなった女性からのプライバシー侵害の訴えにより、出版の差し止めが認められた柳美里の『石に泳ぐ魚』(新潮社)のようなケースもある。

「一般人であること、一般的に『他人には知られたくないこと(昔の犯罪歴、身体のこと、過去の恥ずかしい出来事、癖など)』が開示されること、そのことを公開することが社会にとって役に立ったりするもではないこと、実名であること、などの要素があると、『プライバシー侵害』になる可能性が高まります。これに対し、一定程度、その人となりや生活ぶりなどが“おもて”に出ることが想定されている政治家や芸能人であったり、最近の犯罪歴だったり、そのことを公開することで社会に警笛を鳴らす目的などがあったりする場合には、『プライバシー侵害』にはなりにくいと考えられています」

 黒木さんの場合、「黒木香」は芸名とはいえ、黒木香になる前のライフストーリーもドラマ化されている。また、引退後、消息を報じる記事がプライバシー権や肖像権の侵害に当たるとして、出版社等に対して損害賠償を求める民事訴訟を何度か起こし、そのいくつかは勝訴していることも報じられている。

 山岸弁護士は、「エンタメやメディアの影響力(情報があっという間に広がっていく力、多くの人が疑問を持たずに信じ込んでしまう力など)を理解している者は、今一度、その力の強さをしっかりと認識し、使い方を思慮深く考えなければなりません」と警告する。

 今や、SNSやネットを通じて誰もが発信者となれる時代。メデイアのみならず、自らの発信する内容について今一度振り返り、人権について考える必要があるのではないだろうか。

『全裸監督』制作と黒木香さんは無関係! “プライバシー侵害”を訴えることは可能か、弁護士に聞いた

 AV監督・村西とおるの半生を描いたNetflixのドラマ『全裸監督』が話題となっている。主役の村西を演じる山田孝之をはじめ、交際していたAV女優の黒木香を演じる森田望智の演技も高い評価を受け、芸能人のほか、テレビ・映画などメディア関係者の間でも、「地上波では絶対映像化できない」などと大絶賛されている。

 一方で、ドラマの中には、現在は引退している元AV女優の黒木さんが、現役当時の名前(芸名)で重要人物として登場していることから、SNSなどでは、当時を知るAV関係者らから、「黒木さんはドラマ化を了承しているのか」といった疑問の声も上がっている。そんな中、「許可を取っているのか」という質問に対する、「作品制作にあたって、村西さん同様、黒木さんご本人は関与されていません」というNetflixの回答が報じられた。

 そこで、黒木さん本人が、プライバシーの侵害でNetflixを訴えることは可能なのか、弁護士法人ALG&Associatesの山岸純弁護士に話を聞いた。

 山岸氏によると、プライバシー権とは、「自分の情報をコントロールする権利」と考えられているという。

「現代社会では、人は、自分の過去や現在の情報がどこでどのように使われるのかについて強い関心を持っているので、このような情報について自分の知らないところで使用されることを拒む権利として考えられています」

 その上で、黒木さんがプライバシーの侵害を訴えることは可能なのかについて、山岸氏は次のように述べる。

「黒木香さんの実名モデルとしての登場は、本人に『世間に知られたくない』『過去のことなので、今となっては公表して欲しくない』という気持ちがあり、これらの気持ちについて大多数の一般の人が『同じ立場だったら同じように考える』というような場合には、法的保護に値する可能性があります。この場合、プライバシー侵害として、映像の配信停止や損害賠償請求のための訴訟を提起することができます」

 訴訟を起こした場合の損害賠償の金額はいくらになるかについては、「『精神的な損害』がメインとなるので、大きな額にはなりませんが、数百万円程度になる可能性があります」という。

 ドラマ自体は大変好評なため、シーズン2の制作が決定している。これについて、黒木さんが制作や配信の中止を求めることは可能なのだろうか。山岸弁護士によると、「『映像の配信停止』について、裁判所の仮処分手続きにおいてできるかもしれません」とのこと。

 そもそも、このドラマは本橋信宏のノンフィクション『全裸監督 村西とおる伝』(太田出版)が原作となっているという。では、この原作自体はプライバシー侵害にならないのだろうか。かつて小説のモデルとなった女性からのプライバシー侵害の訴えにより、出版の差し止めが認められた柳美里の『石に泳ぐ魚』(新潮社)のようなケースもある。

「一般人であること、一般的に『他人には知られたくないこと(昔の犯罪歴、身体のこと、過去の恥ずかしい出来事、癖など)』が開示されること、そのことを公開することが社会にとって役に立ったりするもではないこと、実名であること、などの要素があると、『プライバシー侵害』になる可能性が高まります。これに対し、一定程度、その人となりや生活ぶりなどが“おもて”に出ることが想定されている政治家や芸能人であったり、最近の犯罪歴だったり、そのことを公開することで社会に警笛を鳴らす目的などがあったりする場合には、『プライバシー侵害』にはなりにくいと考えられています」

 黒木さんの場合、「黒木香」は芸名とはいえ、黒木香になる前のライフストーリーもドラマ化されている。また、引退後、消息を報じる記事がプライバシー権や肖像権の侵害に当たるとして、出版社等に対して損害賠償を求める民事訴訟を何度か起こし、そのいくつかは勝訴していることも報じられている。

 山岸弁護士は、「エンタメやメディアの影響力(情報があっという間に広がっていく力、多くの人が疑問を持たずに信じ込んでしまう力など)を理解している者は、今一度、その力の強さをしっかりと認識し、使い方を思慮深く考えなければなりません」と警告する。

 今や、SNSやネットを通じて誰もが発信者となれる時代。メデイアのみならず、自らの発信する内容について今一度振り返り、人権について考える必要があるのではないだろうか。

木村拓哉の新ドラマ『グランメゾン東京』と脚本家に「3度目のパクリ疑惑」が急浮上!

 このストーリーに、あの人は「ちょ、待てよ!」と言わなかったのだろうか。

 かねてから、木村拓哉が「天才シェフ」を演じると話題になっていた10月放送の主演ドラマのタイトルが『グランメゾン東京』(TBS系)に決定した。

 ”何を演じてもキムタク”と揶揄されるほど、「カッコいい役」がお約束の木村だが、既視感満載の設定にネット上では「また天才かよ!」と辟易したコメントも飛び交っている。

 しかし、今回は木村以上に「またか…」と批判を浴びている人物がいるという。テレビ誌ライターが明かす。

「脚本を務める黒岩勉氏ですよ。同ドラマは、木村演じるシェフが、パリに自分の店を持ち、二つ星を獲得。しかし、己が招いた重大事件によってその座を追われ、どん底まで転落した後、もう一度シェフとして再起するという物語です。しかし、この内容が15年に公開されたブラッドリー・クーパー主演の人気映画『二ツ星の料理人』に酷似しているため、”パクリ疑惑”が浮上しています。もしかしたら、木村が元ネタの俳優と比べられないよう、『オリジナル』と言い張るしかない事情もあるのかも……」

 この件は、制作が発表された5月から指摘されていたが、”盗作疑惑”を持たれるにはワケがあるという。

「黒岩氏は過去に執筆した上戸彩主演のドラマ『絶対零度 未解決事件特命捜査』(フジテレビ系)でも、内容が海外ドラマ『コールドケース 迷宮事件簿』の丸パクリだと話題になりました。さらに、16年にも伊藤英明主演のドラマ『僕のヤバイ妻』(フジテレビ系)も、映画『ゴーン・ガール』と設定がそっくりだと大騒ぎに。しかも、この時は第2話の真裏にスカパー!で『ゴーン・ガール』が放送され、パクリをよく思わない関係者が意図的に嫌がらせしたともっぱらでした」(テレビ関係者)

 こうした過去から、今回も疑念を持たれている黒岩氏。ドラマの内容とは別の話題が先行すれば、木村もさぞかし困惑することだろう。

木村拓哉の新ドラマ『グランメゾン東京』と脚本家に「3度目のパクリ疑惑」が急浮上!

 このストーリーに、あの人は「ちょ、待てよ!」と言わなかったのだろうか。

 かねてから、木村拓哉が「天才シェフ」を演じると話題になっていた10月放送の主演ドラマのタイトルが『グランメゾン東京』(TBS系)に決定した。

 ”何を演じてもキムタク”と揶揄されるほど、「カッコいい役」がお約束の木村だが、既視感満載の設定にネット上では「また天才かよ!」と辟易したコメントも飛び交っている。

 しかし、今回は木村以上に「またか…」と批判を浴びている人物がいるという。テレビ誌ライターが明かす。

「脚本を務める黒岩勉氏ですよ。同ドラマは、木村演じるシェフが、パリに自分の店を持ち、二つ星を獲得。しかし、己が招いた重大事件によってその座を追われ、どん底まで転落した後、もう一度シェフとして再起するという物語です。しかし、この内容が15年に公開されたブラッドリー・クーパー主演の人気映画『二ツ星の料理人』に酷似しているため、”パクリ疑惑”が浮上しています。もしかしたら、木村が元ネタの俳優と比べられないよう、『オリジナル』と言い張るしかない事情もあるのかも……」

 この件は、制作が発表された5月から指摘されていたが、”盗作疑惑”を持たれるにはワケがあるという。

「黒岩氏は過去に執筆した上戸彩主演のドラマ『絶対零度 未解決事件特命捜査』(フジテレビ系)でも、内容が海外ドラマ『コールドケース 迷宮事件簿』の丸パクリだと話題になりました。さらに、16年にも伊藤英明主演のドラマ『僕のヤバイ妻』(フジテレビ系)も、映画『ゴーン・ガール』と設定がそっくりだと大騒ぎに。しかも、この時は第2話の真裏にスカパー!で『ゴーン・ガール』が放送され、パクリをよく思わない関係者が意図的に嫌がらせしたともっぱらでした」(テレビ関係者)

 こうした過去から、今回も疑念を持たれている黒岩氏。ドラマの内容とは別の話題が先行すれば、木村もさぞかし困惑することだろう。

横浜流星がブレイク俳優ランキング1位に!  勢いに乗るイケメンの”最大の悩み”とは?

 先月ORICON NEWSが発表した、「2019上半期ブレイク俳優ランキング」で俳優の横浜流星が1位に輝いた。

 同ランキングは、オリコン・モニターリサーチが6月17~27日に、10~50代の男女1,000人を対象にインターネット調査。横浜は2位の中村倫也、3位の吉沢亮を押しのけ、世代別ランキングでも20~50代で1位となる“圧勝”だった。

「不良高校生役を演じた今年1月期の『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)、そして放送中の主人公的な立場の役を演じている『あなたの番です|反撃編|』がいずれも視聴者の心をわしづかみにしている。その相乗効果で3月に発売した写真集『流麗』が売り上げを伸ばしている」(テレビ局関係者)

 今風のイケメンに加え、中学時代に極真空手の世界大会で優勝したこともありボディーはムキムキ。売れる要素を兼ね備えているが、所属事務所としてはまだまだ“伸びしろ”に期待しているようだ。

「所属はスターダストプロモーションで、山崎賢人が所属する制作2部に所属。山崎と肩を並べるほどの売れっ子にしたいようです。この勢いに乗り代表作となるような主演作が欲しいようですが、どうも作品選びには恵まれていない。これが最大の悩みですね」(映画業界関係者)

 5月には主演作「チア男子!!」が公開されたものの、公開後はまったく話題にならず。9月には青春ミステリー小説を映画化した「いなくなれ、群青」が公開されるが、内容からしても大ヒットするような作品とは思えない。

 一方、山崎は人気コミックを実写化した今年4月公開の主演作「キングダム」が興行収入59.6億円を記録。今年上半期の邦画興行収入ランキングで2位となり、自身の代表作となった。

 横浜が山崎と肩を並べるまでには、まだまだ時間がかかりそうだ。

森田望智が熱演『全裸監督』完全レビュー後編~ 黒木香と村西監督との遭遇がSEX革命を呼んだ~

 山田孝之主演のNetflixオリジナルドラマ『全裸監督』が、世界190カ国で現在配信中だ。バブル時代へと向かっていた1980年代の日本で“AV界の帝王”と呼ばれた村西とおる監督の破天荒な半生を描いたものだが、アダルト業界が舞台なだけに女優のヌードシーンなど過激な描写が多い。武正晴総監督をはじめ、スタッフ&キャストがそろってクランクイン前にセクハラ防止の講習会に参加するなど、トラブルが起きないよう充分ケアした上での撮影だったという。そんな努力も功を奏し、従来の地上波ドラマとも予算が限られた邦画とも異なる、スケール感のある大人向けの連続ドラマ(全8話)に仕上がっている。

 レビュー前編では村西監督が独自の流通網を持つことでビニ本業界の覇者となったことを紹介したが、レビュー後編は「サファイア映像」を立ち上げた村西(山田孝之)が“AV界の女王”となる黒木香(森田望智)と邂逅することになる第5話を中心に触れていきたい。

 ベータとの規格戦争に勝利したVHSが主流となり、1980年代には一般家庭へとビデオデッキがいっきに普及していった。ビデオデッキの普及には、AVの存在が大きく貢献した。黎明期のAV男優は股間を前貼りで覆い、卵白とミルクを混ぜた手づくりのスペルマを注射器で飛ばすという疑似本番が主流だったが、村西は男女がガチンコでせめぎあう“本番”にこだわった。そのため、競合社・ポセイドン企画の池沢社長(石橋凌)の肝いりで発足した「ビデ倫」から締め出されてしまう。

 窮地に陥った村西の前に、救世主が現れる。それが黒木香だった。知的で清楚な雰囲気を漂わせる女子大生の黒木だが、村西によって快楽の扉を開かれた彼女はベッドの上で別人へと変身する。名作AV『SMぽいの好き』の撮影シーンを、第5話は長回しを多用してたっぷりと再現する。

 1986年に発売された『SMぽいの好き』は、画期的なAV作品として語り継がれている。作品とキャストは消耗品扱いされるAV界にあっては、これは異例のことだ。監督である村西自身が男優となり、黒木の相手を務めた。男女の結合部分はモザイクで隠されているも、黒木は快感の度合いに応じて笛を吹いた。絶頂度が高まるにつれ、笛がピーピーと鳴る。あまりのコミカルさに『SMぽいの好き』を初めて観たユーザーは唖然としたが、黒木が鳴らす笛の音はSEXをタブー視する時代は終わったことを告げる新時代到来のファンファーレだった。
日陰の存在だったAVがメジャー化し、SEXそのものがカジュアル化する、SEX革命の始まりだった。それまで自宅で抑圧された性生活を送っていた黒木の表情が華やいでいく。

 黒木役を演じた森田望智は1996年生まれの22歳。武監督がオーディションで見いだした逸材だ。オーディションの際に森田はわきにマジックペンでわき毛を描いて臨んだという。また、人気絶頂期にはテレビ番組に引っ張りだこだった黒木香の「わたくし、主張するヴァギナでございます」などの独特のトークも完璧にコピーしてみせている。SEX革命を起こした黒木香の人格とわき毛が、まるでそのまま森田に乗り移ったかのようだ。黒木香が瞬く間にAV界の女王となったように、我々は配信ドラマという新しいメディアから森田望智というニューヒロインが誕生した瞬間を目撃することになる。

■カルト教団さながらの合宿生活だった村西軍団

 黒木香という至高のミューズを得て、相手役を務めた村西監督もそのユニークなキャラが知れ渡り、時代の寵児となっていく。時代はまさにバブル。第6話では村西軍団を率いてハワイロケを敢行するなど、村西監督の無軌道ぶりにますます拍車が掛かる。その一方、米国のポルノ女優の視点から辛口の村西像、日本のAV作品の評価が語られるのも、世界市場をターゲットにしているNetflixだからこそだろう。

 本橋信宏氏の原作本『全裸監督 村西とおる伝』(太田出版)には、バブル期の村西軍団の暮らしぶりについても描かれている。全盛期には年商100億円を稼ぎ出していたものの、村西監督をはじめスタッフは全員会社に寝泊まりし、取り憑かれたかのようにAV作品をひたすら撮り続けた。スタッフは男優も兼ね、専属女優たちと撮影中に本番を行った。寝食だけでなく、SEXパートナーも共有するという、カルト教団さながらの合宿生活を送っていた。

 やがてバブル経済は弾け、村西監督は総額50億円もの負債を抱え込むことになる。このとき、黒木香は村西監督に映像業界を離れ、新興宗教の教祖になることを勧めたと原作には記されている。黒木は巫女役を務めるつもりだったそうだ。もし、村西監督がこのとき応じていたら、とんでもないSEX教団が誕生していたに違いない。バブル時代は見方を変えれば、バブル社会に適応できない人々の心のすき間に、カルト宗教が忍び込もうとした時代でもあったのだ。

 親バレや顔バレによってそれまでの生活をすべて失ってしまうAV女優や裏ビデオを介した裏社会との繋がりなど、AV業界のダークな部分にもきっちりと触れた『全裸監督』第1シリーズは、昭和が終わり平成という新しい時代の到来と共にエンディングを迎える。第2シリーズでは、バブル期に栄華を極めた村西軍団が地獄のドン底へと転落していく崩壊劇が描かれるはずだ。

 巨乳ブームを巻き起こした松坂季実子をモデルにした女性キャラクターは第1シリーズには姿を見せなかったが、もし登場するならば誰が演じるのか。第1話でセールスマン時代の村西にビジネスの極意を伝授した小野(板尾創路)は再登場することになるのか。そして何よりも莫大な借金を背負いながらも生命力旺盛に生き続ける村西を、Netflixという格好の居場所を見つけた山田孝之がどう演じ切るのか。アダルト業界を舞台にした大河ドラマとして、『全裸監督』第2シリーズにも期待したい。

Netflixオリジナルシリーズ『全裸監督』
原作/本橋信宏 監督/武正晴、内田英治、河合勇人
出演/山田孝之、満島真之介、森田望智、柄本時生、伊藤沙莉、冨手麻妙、後藤剛範、吉田鋼太郎、板尾創路、余貴美子、小雪、國村隼、玉山鉄二、リリー・フランキー、石橋凌

森田望智が熱演『全裸監督』完全レビュー後編~ 黒木香と村西監督との遭遇がSEX革命を呼んだ~

 山田孝之主演のNetflixオリジナルドラマ『全裸監督』が、世界190カ国で現在配信中だ。バブル時代へと向かっていた1980年代の日本で“AV界の帝王”と呼ばれた村西とおる監督の破天荒な半生を描いたものだが、アダルト業界が舞台なだけに女優のヌードシーンなど過激な描写が多い。武正晴総監督をはじめ、スタッフ&キャストがそろってクランクイン前にセクハラ防止の講習会に参加するなど、トラブルが起きないよう充分ケアした上での撮影だったという。そんな努力も功を奏し、従来の地上波ドラマとも予算が限られた邦画とも異なる、スケール感のある大人向けの連続ドラマ(全8話)に仕上がっている。

 レビュー前編では村西監督が独自の流通網を持つことでビニ本業界の覇者となったことを紹介したが、レビュー後編は「サファイア映像」を立ち上げた村西(山田孝之)が“AV界の女王”となる黒木香(森田望智)と邂逅することになる第5話を中心に触れていきたい。

 ベータとの規格戦争に勝利したVHSが主流となり、1980年代には一般家庭へとビデオデッキがいっきに普及していった。ビデオデッキの普及には、AVの存在が大きく貢献した。黎明期のAV男優は股間を前貼りで覆い、卵白とミルクを混ぜた手づくりのスペルマを注射器で飛ばすという疑似本番が主流だったが、村西は男女がガチンコでせめぎあう“本番”にこだわった。そのため、競合社・ポセイドン企画の池沢社長(石橋凌)の肝いりで発足した「ビデ倫」から締め出されてしまう。

 窮地に陥った村西の前に、救世主が現れる。それが黒木香だった。知的で清楚な雰囲気を漂わせる女子大生の黒木だが、村西によって快楽の扉を開かれた彼女はベッドの上で別人へと変身する。名作AV『SMぽいの好き』の撮影シーンを、第5話は長回しを多用してたっぷりと再現する。

 1986年に発売された『SMぽいの好き』は、画期的なAV作品として語り継がれている。作品とキャストは消耗品扱いされるAV界にあっては、これは異例のことだ。監督である村西自身が男優となり、黒木の相手を務めた。男女の結合部分はモザイクで隠されているも、黒木は快感の度合いに応じて笛を吹いた。絶頂度が高まるにつれ、笛がピーピーと鳴る。あまりのコミカルさに『SMぽいの好き』を初めて観たユーザーは唖然としたが、黒木が鳴らす笛の音はSEXをタブー視する時代は終わったことを告げる新時代到来のファンファーレだった。
日陰の存在だったAVがメジャー化し、SEXそのものがカジュアル化する、SEX革命の始まりだった。それまで自宅で抑圧された性生活を送っていた黒木の表情が華やいでいく。

 黒木役を演じた森田望智は1996年生まれの22歳。武監督がオーディションで見いだした逸材だ。オーディションの際に森田はわきにマジックペンでわき毛を描いて臨んだという。また、人気絶頂期にはテレビ番組に引っ張りだこだった黒木香の「わたくし、主張するヴァギナでございます」などの独特のトークも完璧にコピーしてみせている。SEX革命を起こした黒木香の人格とわき毛が、まるでそのまま森田に乗り移ったかのようだ。黒木香が瞬く間にAV界の女王となったように、我々は配信ドラマという新しいメディアから森田望智というニューヒロインが誕生した瞬間を目撃することになる。

■カルト教団さながらの合宿生活だった村西軍団

 黒木香という至高のミューズを得て、相手役を務めた村西監督もそのユニークなキャラが知れ渡り、時代の寵児となっていく。時代はまさにバブル。第6話では村西軍団を率いてハワイロケを敢行するなど、村西監督の無軌道ぶりにますます拍車が掛かる。その一方、米国のポルノ女優の視点から辛口の村西像、日本のAV作品の評価が語られるのも、世界市場をターゲットにしているNetflixだからこそだろう。

 本橋信宏氏の原作本『全裸監督 村西とおる伝』(太田出版)には、バブル期の村西軍団の暮らしぶりについても描かれている。全盛期には年商100億円を稼ぎ出していたものの、村西監督をはじめスタッフは全員会社に寝泊まりし、取り憑かれたかのようにAV作品をひたすら撮り続けた。スタッフは男優も兼ね、専属女優たちと撮影中に本番を行った。寝食だけでなく、SEXパートナーも共有するという、カルト教団さながらの合宿生活を送っていた。

 やがてバブル経済は弾け、村西監督は総額50億円もの負債を抱え込むことになる。このとき、黒木香は村西監督に映像業界を離れ、新興宗教の教祖になることを勧めたと原作には記されている。黒木は巫女役を務めるつもりだったそうだ。もし、村西監督がこのとき応じていたら、とんでもないSEX教団が誕生していたに違いない。バブル時代は見方を変えれば、バブル社会に適応できない人々の心のすき間に、カルト宗教が忍び込もうとした時代でもあったのだ。

 親バレや顔バレによってそれまでの生活をすべて失ってしまうAV女優や裏ビデオを介した裏社会との繋がりなど、AV業界のダークな部分にもきっちりと触れた『全裸監督』第1シリーズは、昭和が終わり平成という新しい時代の到来と共にエンディングを迎える。第2シリーズでは、バブル期に栄華を極めた村西軍団が地獄のドン底へと転落していく崩壊劇が描かれるはずだ。

 巨乳ブームを巻き起こした松坂季実子をモデルにした女性キャラクターは第1シリーズには姿を見せなかったが、もし登場するならば誰が演じるのか。第1話でセールスマン時代の村西にビジネスの極意を伝授した小野(板尾創路)は再登場することになるのか。そして何よりも莫大な借金を背負いながらも生命力旺盛に生き続ける村西を、Netflixという格好の居場所を見つけた山田孝之がどう演じ切るのか。アダルト業界を舞台にした大河ドラマとして、『全裸監督』第2シリーズにも期待したい。

Netflixオリジナルシリーズ『全裸監督』
原作/本橋信宏 監督/武正晴、内田英治、河合勇人
出演/山田孝之、満島真之介、森田望智、柄本時生、伊藤沙莉、冨手麻妙、後藤剛範、吉田鋼太郎、板尾創路、余貴美子、小雪、國村隼、玉山鉄二、リリー・フランキー、石橋凌

山田孝之ドラマ『全裸監督』完全レビュー前編~流通を制して裸の帝国を築いた村西とおる伝説~

 Netflixオリジナルドラマ『全裸監督』の配信が8月8日より始まった。“AV界の帝王”として名を馳せた村西とおる監督の半生を、山田孝之の主演作として、『百円の恋』(14年)の武正晴監督、『下衆の愛』(16年)の内田英治監督らが連続ドラマ(全8話)化したものだ。8月16日には早くもシーズン2の製作が発表されるなど、大きな話題を呼んでいる。

 CMスポンサーの顔色や企業コンプライアンスを気にしすぎる余りに過剰に規制しがちな地上波ドラマに比べ、CMのない有料配信ドラマだけに女優のヌードや大胆な絡みのシーンがあることでも注目を集めているが、『全裸監督』の面白さはエロ描写だけではない。ビニ本やアダルトビデオといった1980年代に人気を博した新しいメディアに、村西をはじめとする主人公たちが異様なまでに情熱を注ぐ姿に引き込まれてしまう。

「ナイスですね」「ビューティフルです」などの怪しい英語交じりのトークでおなじみの村西監督が、いかにしてアダルト業界で伝説の男へと覚醒していくかを『全裸監督』は描いている。村西はもともとは英語教材のセールスマンだった。高額な教材を売るために、ユーモラスな英語交じりのトークで訪問相手の心をつかむ。“応酬話法”と呼ばれる村西のトークスキルは、セールスマン時代に培われたものだった。いわば修業時代に身に付けた話術を武器に、村西はアダルト業界でも女性モデルたちを口説き、心の扉まで開かせることになる。

 村西が成功を収めた要因は、個性的な話術だけではなかった。やがてセールスの仕事に見切りをつけた村西は、ビニ本業界へと進出する。正規のルートでは販売できない過激な内容のビニ本を、村西は印刷所から販売店まで次々と買収し、「北大神田書店」グループを立ち上げて売りさばく。「北大神田書店」は北海道を中心に48店舗が出店され、さらに各地で「九大神田書店」などと名前を変えて、全国展開されることに。ビニ本・裏本を製造・流通・販売まですべて自社で手掛けることで、莫大な収益が生じた。村西はAV界の帝王と呼ばれる前に、ビニ本界の覇者として君臨する。

 山田孝之が主演した『全裸監督』は性表現のタブーに挑んだ村西監督の伝記ドラマであると同時に、ビジネスドラマとしても見応えがある。どんなに面白いコンテンツを製作しても、流通ルートを持っていなければヒットさせることは不可能だ。その点、村西は「北大神田書店」という独自の販売網を持つことで、アングラカルチャーの寵児となっていく。TBSの「日曜劇場」では決して描かれることのない、アダルト産業の実録系企業ドラマとして物語は展開していく。

 今回のドラマ版では割愛されているが、エネルギーほとばしる村西監督はビニ本の製作・販売だけでは満足できず、出版社を立ち上げたことが本橋信宏氏の原作本『全裸監督 村西とおる伝』(太田出版)ではかなりの紙面を割いて紹介されている。新しい出版社の名前は「新英出版」。大手出版社の新潮社と集英社にあやかったネーミングだった。AV女優たちの名付け親にもなった村西監督は、「北大神田書店」といい、ネーミングにも独特のセンスがある。

 新英出版では、1983年に写真誌「スクランブルPHOTO」を公称30万部という触れ込みで創刊。「北大神田書店」の販売ルートを使って売り出すなど、新しいメディアを生み出すことに貪欲だった。後には通信衛星放送事業にも関わり、自前のメディアを持つことにこだわった。ちなみに写真誌の先駆けとなった新潮社の「フォーカス」に対抗して創刊した「スクランブル」だったが、わずか10号で廃刊となってしまう。この短命に終わった写真誌「スクランブル」の初代編集長を務めたのが、当時26歳だった本橋氏だった。その後も両者は付かず離れずの関係が続き、本橋氏は村西監督がカリスマ化していく過程を間近で目撃することになる。

■笑いとペーソスで描く、新しい体位誕生秘話

 ドラマに話を戻そう。第2話で早くもビニ本界の帝王となる村西(山田孝之)だが、出る杭は打たれる。アダルト業界での既成利権者であるポセイドン企画の社長・池沢(石橋凌)は、村西がチンピラのトシ(満島真之介)やビニ本の編集者・川田(玉山鉄二)らと組んで好き勝手にビジネスしているのが許せない。滝沢と懇意にしている警視庁の刑事・武井(リリー・フランキー)がガサ入れを行ない、「北大神田書店」は解散へと追い込まれる。猥褻画図販売の罪によって、村西も刑務所送りとなってしまう。

 やがて池沢と村西の闘いは、第3話からAV業界を舞台にした第2ラウンドへと突入する。ここでも池沢は「ビデ倫」を発足させ、村西たちの新規参入を拒もうとする。「ビデ倫」の認可がないため、第4話から登場するレンタルビデオ店の店長(ピエール瀧)は村西たちが面白いビデオ作品を作っても店に並べることができない。やはり『全裸監督』は流通をめぐるリアルな企業ドラマだといえるだろう。

 もちろん、エロ描写も抜かりはない。シリーズ前半で白眉といえるのが、第3話で刑務所から出てきたばかりで所在のない村西が、小さな飲み屋に立ち寄るエピソードだ。この店は未亡人の陽子(大谷麻衣)がひとりで営んでおり、村西も未亡人も同じ福島出身ということで意気投合する。閉店後、孤独さを分かち合うかのように、2人はお互いの体を求め合う。このとき、未亡人は亡くなった夫がいつもしてくれた懐かしい体位をしてほしいと村西に懇願する。亡くなった夫は駅弁売りだった。村西は裸の未亡人を抱きかかえ、「美味しい、美味しいお弁当はいかがですか」と連呼する。後に村西作品で一世を風靡する「駅弁ファック」の誕生だった。

 タイトルそのままに全裸になった山田孝之と『娼年』(18年)でも過激な濡れ場を演じてみせた大谷麻衣の熱演によって、笑いとエロスが複合した珠玉のシーンとなっている。市井の人々の性生活をありのままに伝える、これぞ村西イズムの醍醐味だろう。レビュー後編では、伝説のわき毛女優・黒木香(森田望智)と村西が出会うことでエロ度がますますヒートアップするシリーズ後半を紹介したい。

Netflixオリジナルシリーズ『全裸監督』
原作/本橋信宏 監督/武正晴、内田英治、河合勇人
出演/山田孝之、満島真之介、森田望智、柄本時生、伊藤沙莉、冨手麻妙、後藤剛範、吉田鋼太郎、板尾創路、余貴美子、小雪、國村隼、玉山鉄二、リリー・フランキー、石橋凌

『全裸監督』黒木香役・森田望智に”土屋太鳳越え”の期待! 迫真艶伎に業界内でも絶賛相次ぐ

 Netflixで放送されている山田孝之主演のドラマ『全裸監督』が芸能人たちの間で話題だ。

 ナインティナイン・岡村隆史や爆笑問題・太田光はラジオで「めちゃくちゃ面白かった!」「最高」と大絶賛しているが、そんななか、8月11日に放送されたラジオ番組では有吉弘行も同ドラマにハマったことを明かした。

「有吉が心を揺さぶられたのは、伝説のAV女優・黒木香を演じた若手女優・森田望智(もりたみさと)。彼女の熱演を『凄いですよ』と絶賛すると、『頑張ってたっていうのは生意気かもしれませんけど、ああ、こういうのが体張って演技することなんだなあっていうふうに思いましたね』と感動を覚え、すぐにツイッター探してフォローしたことを明かしています」(芸能ライター)

 現在22歳の森田は、土屋太鳳らが所属するソニー・ミュージックアーティスツに所属。今回は演じられる女優が見つからないとスタッフもあきらめかけていたところに森田がオーディションに参加。その体当たり艶技は脱ぎっぷりがどうのこうのというレベルではなく、AV撮影での貝笛を吹くシーンなどはまさに黒木香を完コピ。ネット上では『羞恥心吹っ切る女優魂』『マジでスゴかった』『必然性があれば脱げる女優さんはやっぱ強い』と視聴者の称賛コメントが飛び交っています」(芸能記者)

 現在は主演級の女優になった吉高由里子、真木よう子、満島ひかり、二階堂ふみ、清野菜名もヌード作品がその後の飛躍につながっている。『全裸監督』は世界190カ国に配信されるため、森田には今後、国内外からオファーが殺到する可能性も。

 あっという間に土屋を追い越すことになるかも?

『べしゃり暮らし』ウケない漫才で心が折れる描写がリアルすぎ! いたたまれなくて胸が痛くなる第3話

 8月10日に放送された『べしゃり暮らし』(テレビ朝日系)第3話。途中で目を背けたくなるほどいたたまれなくなる場面が登場した回だった。

第3話あらすじ ウケない漫才を客のせいにした間宮

 上妻圭右(間宮祥太朗)と辻本潤(渡辺大知)は、漫才の日本一を決めるコンテスト『NMC(ニッポン漫才クラシック)』へエントリーをすることに。辻本はNSC用に台本を用意したが、圭右は「俺たちのスタイルはアドリブだろ」と突き返した。

 NMCの予選当日、調子に乗る圭右は緊張するほかの出場者をイジって笑い飛ばしていた。本番が始まり、余裕の表情で舞台に上がる圭右。しかし、会場の空気は緊張感に満ちており、客はクスりとも笑わない。焦りを感じた圭右はマイクを頭にぶつけて失笑を買い、ついには辻本を残し舞台を降りてしまった。「客が馬鹿」とウケなかったことを客のせいにする圭右は、「漫才舐めんなや」と辻本に怒鳴られた。

 以降、学校を休むようになる圭右。幼なじみの土屋奈々(堀田真由)が心配して様子を見に行くと、圭右は実家の蕎麦屋を手伝っていた。店には蕎麦の食べ方で揉めている2人組の客が。それを見た圭右の父・潔(寺島進)は「お好きに召し上がっていいんですよ」と客に声を掛けていた。かつて、「どんな食べ方をするかはお客さんの自由だ。『客がこうあるべきだ』なんて求めるもんじゃない」と潔が言っていたことを圭右は思い出した。

 翌日、登校してきた圭右に辻本は「デジタルきんぎょ」金本浩史(駿河太郎)から受け取った1枚のDVDを渡した。そこにはまったくウケていないデジきんの初舞台の映像が収められており、最後は笑わない客にキレた金本がスタッフに制止される姿があった。

 DVDを観た圭右は自信を回復する。デジきんの2人は「漫才は自分たちが楽しむべき」という圭右の言葉に感銘を受けていたのだ。

 第2話のレビューで、役者が漫才の舞台をドラマや映画で再現するのは困難と書いた。一方、ものすごくリアルに再現していた要素がある。間宮&渡辺が披露した漫才がスベる描写がものすごくリアルだったのだ。観ているほうがつらくなるほど。いたたまれなくて、視聴者が恥ずかしくなってくるくらいだった。確かに、M-1グランプリ一回戦の会場ではスベるコンビも珍しくない。その点もリアルである。緊張するほかのコンビをイジり倒し、「俺たちはアドリブでいい」と調子に乗っていた間宮。だからこそ、舞台で下手を打ってヘコむまでの落差は大きかった。

 補足すると、「アクシデントでやむなくアドリブ漫才を披露した学園祭で大爆笑」→「成功体験を信じてアドリブ漫才を貫く」という流れが原作ではスムーズに描かれていた。しかし、ドラマでは2話を挟み込むことでこの流れにワンクッション置かれている。だから、間宮が“ただ調子に乗っているだけの奴”に見えてしまったかもしれない。お調子者だけどどこか憎めない圭右のキャラクターは、確かに間宮に合っていたとも思うが。

「芸人は客を選べる」から「客を選ばないのがプロ」の価値観へ

 ダウンタウンに憧れる多くの若者が芸人になったのが90年代だった。「芸人は客を選べる」という松本人志のお笑い論に、まだ実績のない若手さえかぶれることも多かったあの頃。あれから価値観は次第に変化し、「客を選ばないのがプロ」というお笑い論が現在は主流になる。今作でそれを間宮に伝えたのは、寺島とデジきんだ。

 中堅芸人であるデジきんがアマチュアの間宮に救いの手を差し伸べるというのも、ちょっと不思議な話だ。しかし「お笑いは演者が楽しんでこそ」という素人ならではのお笑い論にデジきんの心が動かされる2話が伏線だと思えば合点が行く。3話では、逆にデジきんがプロの立場から素人の間宮に漫才のなんたるかを伝えるという流れだった。

 生意気だったり、有頂天になったり、ガツン! とヘコまされたり、学んで立ち上がったり……。あまりの青春っぷりにむずかゆくもなるが、そこがなんともほほえましい。

(文=寺西ジャジューカ)