「政治に参加すると得をする」塩村都議に聞く、フリーランスや非正規の女性が働きやすくなるためには?

 放送作家から都議会議員になり、「セクハラ野次」で注目を集めた塩村あやかさん。後編では、個人事業主やフリーランスの出産・育児に対するサポートの現状、小池百合子都知事の評判について聞いた。

(前編はこちら)

■フリーランスや非正規で働く人の代表が政治家になっていないことは、大きな問題

――「女性活躍」が叫ばれる一方で、個人事業主やフリーランスで働く女性の存在は、完全に忘れられている気がします。働かなければ収入がゼロになるため、晩婚・晩産のかなり大きな要因になっていると思うのですが、出産・育児に関するサポートはどういう状況でしょうか?

塩村あやかさん(以下、塩村) 残念ながら、政治の世界では、ほとんど触れられていません。フリーランスで働いたことのないおじさんばかりですから、その存在にすら気づかないんですよね。女性議員も増えてはきていますけれども、企業でトップを張ってきた人や官僚、個人事業主であれば、ものすごく成功した人です。

 世の中には、マスコミ業界だけでも、放送作家、アナウンサー、タレント、カメラマン、デザイナー、ライター……フリーランスで働く女性がたくさんいます。そういう今どきの働き方をしている人たちの代弁者を増やす必要がありますね。その思いもあり、政治家になってみたけど、見渡してみたら、そういう人が全然いない。親に大学まで出してもらった議員というのが多い。恵まれて育っているんです。

 都議会だと、女性で、仕送りがないので奨学金とバイトの掛け持ちで短大をなんとか卒業して、非正規雇用で社会に出て、奨学金の返済をし、タレントをしてボランティアを経験して放送作家に転身して議員になったのは、私ぐらいじゃないでしょうか。就職しようと思った1999年は、超就職氷河期で、希望する多くの会社で正社員の募集が見送られた時代でした。「会社員にならなかったから悪い」「好きでフリーランスをやっているんだろう」と言う人も多いですが、今は、フリーランスや非正規で働くことが当たり前の時代です。それにもかかわらず、この世代の代表が政治家になっていないことは、大きな問題だと思っています。

――今後、個人事業主や育児に対するサポート面で、改善されていきそうな気配はありますか?

塩村 少しずつ動いていくとは思うんです。12月8日の、私にとって最後の都議会の一般質問で、「ベビーシッター代を経費で落とせるように税制を変えてほしい」と提案しました。

 この提案は、ある経営者の女性から言われたことがきっかけで、ハッと気がついたんですが、個人事業主やフリーランスの人は、本当は毎日子どもを保育所に預ける必要はないんですね。けれども、すぐに預けられるところがないから、保育所に入れようと努力する。ある時は週に2日、1日のうち数時間だけ、でも、ある時は、1週間丸々預けなければいけないこともある。そういった時に、預かってくれる人がいなかったり、ベビーシッター代がものすごく高いから、初めから認可保育所に預けたほうが安全だ、となるわけです。ベビーシッター代が経費として認められれば、保育所に預けなくても済む人が出てくるかもしれないですよね。

 今は、税制上、売り上げに関わらない経費は認められていないので、できないんです。こういうところから、個人事業主やフリーランスの女性の声を取り入れなければいけないと思っています。

■政治に参画すると得をする

――フリーランスの女性も、自分たちで声を上げないといけないですね。どうしたら、女性がもっと政治のことを身近に感じられるようになると思いますか?

塩村 女性はダイエットとか美容とか、そういう記事は読みますよね。それ以上に大事なのが政治だ、と打ち出すことだと思います。政治に参画しても、肌がキレイにはならないけれども、働きやすくなるのは一番のストレス解消法ですから、「本当に賢い女性は政治に参画する」ということが、おしゃれに伝わればいいですね。

 あと、私たちはいろんな税金を払っているじゃないですか。消費税だって払うし、温泉に行けば入湯税だって払う。税金をたくさん払っているのに、例えば、選挙に行かないのは、お金を「好きに使っていいよ」と行政と議員にプレゼントしているようなものですよ。

 私は、恋愛がうまくいっているとき以外の話は、全部政治につながっていると思っています。例えば、結婚する、離婚する、子育てが難しいこと、離婚してしまった時のサポートなど、直接ではないので、気づかないかもしれないけれど、全部政治に行き着いている。

――そう言われれば、確かにそうですね(笑)。

塩村 政治に参画すればするほど得することに、みんな気がついていますか? 経団連とか、大きな会社の社長さんとか、みなさん、政治家に会いに行っている。パーティに行ってるじゃないですか。それは、やっぱりお得なことがあるからですよ。税金を下げてもらったりとか。

 みなさんも逆をすればいいんです。政治は、必ず敵対している勢力があるから、そちらを応援すればいい。パーティ券を買わなくても、ネットでちょっと応援するぐらいならできるわけですよ。そうしないことには、世の中は変わらないです。

■応援するところは応援し、おかしいと思うところは「おかしい」と言う

――最後に、小池都知事が誕生して、都庁の雰囲気はどうなりましたか?

塩村 職員のモチベーションが下がっているのは、すごく感じます。今までは、知事が与党に数の力でコントロールされていることが多かったのですが、今はいい意味合いも大きいですが、よくも悪くもコントロールできないと聞いています。

 言い方は難しいんですけれど、小池さんのやり方は、良い部分もすごくある。けれど、マイナス面もあって、職員はいいと思っていない人も多いという気がします。今日も都職員がメイン読者の都政新報を読んでみたら、世論とは逆で(笑)、職員のモチベーションが下がってきていることがわかります。小池さんは、一気に変えてしまう。例えば、予算原案にない事業などを都議会の要望を受けて復活させる「政党復活予算」。やめるのはよいのですが、各会派に一度意見を聞くということは一切しない。たとえ、全員が「あったほうがいい」と言ったとしても、最終的に知事判断で決定すればいいのに、それをせずに何の打診もなくやってしまう。

――そのやり方だと、相手を怒らせてしまいそうですね。

塩村 問題点をあぶり出す、と言えば聞こえはいいけれど、そうはなっていない部分もある。「丁寧にやってほしい」という意見も届いていて、私もそう思う面はすごくある。改革の面では、すごく応援しているし、足を引っ張りたくはない。今の体制を変えなきゃいけないことは事実なんです。ただ、もろ手を挙げて賛成はできない。小池さんのことを非難すれば、選挙で損する。今は小池さんについているほうが、世論を得られますから。でも、それは有権者に対してフェアじゃないと思うし、応援するところは応援するし、おかしいと思うところは「おかしい」と言っていきたい。

 それにしても、今、都議会は「政策よりも政局」ですね。来年7月の選挙に向けて、本質論じゃないところで、話し合いが行われています。

――もう、選挙モードなんですね。

塩村 次回の都議選は難しいですよ。「今のおかしな都議会の制度を変えたい」と思うのであれば、小池さん率いるグループを応援するのはいいと思います。一方で丁寧な都政や公平で平等な都政を目指すのであれば、それは違うかもしれない。幸い都議選は、候補も政党もたくさんありますから、それぞれの候補や政党の特徴をよく考えてから投票をしてみてはいかがでしょうか。

 女性は、なぜか女性「目線」の議員を選ばない傾向があるんです。例えば、「女性の活躍だ」と言いながら、男性目線で物事を進め、男性に気に入られて要職に就いていく、ということは、そのおじさんたちの意向をくみ取っていくわけですから、ダメなんですよね。

 逆に、男性であっても、女性目線であればいいんですけれど、とても少ない。それから、“おじさん”議員の話をたくさんしましたが、若いからいいというわけでもありません。若くても変な議員はいっぱいいます。特に、“ノイジー・マイノリティ”(声高の少数派)といわれる、ネットを駆使して意見を強く反映させようとする議員が多いと思っています。そこにイデオロギーが介在する議員も多く、政治が「福祉」を行っている意味を理解していない若手議員が多いと感じています。SNSなどで主張していることを、しっかり見極めてください。

 最後にもうひとつ。みなさんが、候補者をしっかりと見ることが大切です。選挙公約に書いてあることも大事ですけれど、本当に実行してくれるのか。書いているけれど、やっていない人に投票することが、一番マズイです。実現に向けて、きちんと動いてくれる議員を選ばなきゃダメだと思います。それにしても、次回の選挙で誰を選ぶかは難しいですね。劇場型になるかもしれません。
(上浦未来)

「政治に参加すると得をする」塩村都議に聞く、フリーランスや非正規の女性が働きやすくなるためには?

 放送作家から都議会議員になり、「セクハラ野次」で注目を集めた塩村あやかさん。後編では、個人事業主やフリーランスの出産・育児に対するサポートの現状、小池百合子都知事の評判について聞いた。

(前編はこちら)

■フリーランスや非正規で働く人の代表が政治家になっていないことは、大きな問題

――「女性活躍」が叫ばれる一方で、個人事業主やフリーランスで働く女性の存在は、完全に忘れられている気がします。働かなければ収入がゼロになるため、晩婚・晩産のかなり大きな要因になっていると思うのですが、出産・育児に関するサポートはどういう状況でしょうか?

塩村あやかさん(以下、塩村) 残念ながら、政治の世界では、ほとんど触れられていません。フリーランスで働いたことのないおじさんばかりですから、その存在にすら気づかないんですよね。女性議員も増えてはきていますけれども、企業でトップを張ってきた人や官僚、個人事業主であれば、ものすごく成功した人です。

 世の中には、マスコミ業界だけでも、放送作家、アナウンサー、タレント、カメラマン、デザイナー、ライター……フリーランスで働く女性がたくさんいます。そういう今どきの働き方をしている人たちの代弁者を増やす必要がありますね。その思いもあり、政治家になってみたけど、見渡してみたら、そういう人が全然いない。親に大学まで出してもらった議員というのが多い。恵まれて育っているんです。

 都議会だと、女性で、仕送りがないので奨学金とバイトの掛け持ちで短大をなんとか卒業して、非正規雇用で社会に出て、奨学金の返済をし、タレントをしてボランティアを経験して放送作家に転身して議員になったのは、私ぐらいじゃないでしょうか。就職しようと思った1999年は、超就職氷河期で、希望する多くの会社で正社員の募集が見送られた時代でした。「会社員にならなかったから悪い」「好きでフリーランスをやっているんだろう」と言う人も多いですが、今は、フリーランスや非正規で働くことが当たり前の時代です。それにもかかわらず、この世代の代表が政治家になっていないことは、大きな問題だと思っています。

――今後、個人事業主や育児に対するサポート面で、改善されていきそうな気配はありますか?

塩村 少しずつ動いていくとは思うんです。12月8日の、私にとって最後の都議会の一般質問で、「ベビーシッター代を経費で落とせるように税制を変えてほしい」と提案しました。

 この提案は、ある経営者の女性から言われたことがきっかけで、ハッと気がついたんですが、個人事業主やフリーランスの人は、本当は毎日子どもを保育所に預ける必要はないんですね。けれども、すぐに預けられるところがないから、保育所に入れようと努力する。ある時は週に2日、1日のうち数時間だけ、でも、ある時は、1週間丸々預けなければいけないこともある。そういった時に、預かってくれる人がいなかったり、ベビーシッター代がものすごく高いから、初めから認可保育所に預けたほうが安全だ、となるわけです。ベビーシッター代が経費として認められれば、保育所に預けなくても済む人が出てくるかもしれないですよね。

 今は、税制上、売り上げに関わらない経費は認められていないので、できないんです。こういうところから、個人事業主やフリーランスの女性の声を取り入れなければいけないと思っています。

■政治に参画すると得をする

――フリーランスの女性も、自分たちで声を上げないといけないですね。どうしたら、女性がもっと政治のことを身近に感じられるようになると思いますか?

塩村 女性はダイエットとか美容とか、そういう記事は読みますよね。それ以上に大事なのが政治だ、と打ち出すことだと思います。政治に参画しても、肌がキレイにはならないけれども、働きやすくなるのは一番のストレス解消法ですから、「本当に賢い女性は政治に参画する」ということが、おしゃれに伝わればいいですね。

 あと、私たちはいろんな税金を払っているじゃないですか。消費税だって払うし、温泉に行けば入湯税だって払う。税金をたくさん払っているのに、例えば、選挙に行かないのは、お金を「好きに使っていいよ」と行政と議員にプレゼントしているようなものですよ。

 私は、恋愛がうまくいっているとき以外の話は、全部政治につながっていると思っています。例えば、結婚する、離婚する、子育てが難しいこと、離婚してしまった時のサポートなど、直接ではないので、気づかないかもしれないけれど、全部政治に行き着いている。

――そう言われれば、確かにそうですね(笑)。

塩村 政治に参画すればするほど得することに、みんな気がついていますか? 経団連とか、大きな会社の社長さんとか、みなさん、政治家に会いに行っている。パーティに行ってるじゃないですか。それは、やっぱりお得なことがあるからですよ。税金を下げてもらったりとか。

 みなさんも逆をすればいいんです。政治は、必ず敵対している勢力があるから、そちらを応援すればいい。パーティ券を買わなくても、ネットでちょっと応援するぐらいならできるわけですよ。そうしないことには、世の中は変わらないです。

■応援するところは応援し、おかしいと思うところは「おかしい」と言う

――最後に、小池都知事が誕生して、都庁の雰囲気はどうなりましたか?

塩村 職員のモチベーションが下がっているのは、すごく感じます。今までは、知事が与党に数の力でコントロールされていることが多かったのですが、今はいい意味合いも大きいですが、よくも悪くもコントロールできないと聞いています。

 言い方は難しいんですけれど、小池さんのやり方は、良い部分もすごくある。けれど、マイナス面もあって、職員はいいと思っていない人も多いという気がします。今日も都職員がメイン読者の都政新報を読んでみたら、世論とは逆で(笑)、職員のモチベーションが下がってきていることがわかります。小池さんは、一気に変えてしまう。例えば、予算原案にない事業などを都議会の要望を受けて復活させる「政党復活予算」。やめるのはよいのですが、各会派に一度意見を聞くということは一切しない。たとえ、全員が「あったほうがいい」と言ったとしても、最終的に知事判断で決定すればいいのに、それをせずに何の打診もなくやってしまう。

――そのやり方だと、相手を怒らせてしまいそうですね。

塩村 問題点をあぶり出す、と言えば聞こえはいいけれど、そうはなっていない部分もある。「丁寧にやってほしい」という意見も届いていて、私もそう思う面はすごくある。改革の面では、すごく応援しているし、足を引っ張りたくはない。今の体制を変えなきゃいけないことは事実なんです。ただ、もろ手を挙げて賛成はできない。小池さんのことを非難すれば、選挙で損する。今は小池さんについているほうが、世論を得られますから。でも、それは有権者に対してフェアじゃないと思うし、応援するところは応援するし、おかしいと思うところは「おかしい」と言っていきたい。

 それにしても、今、都議会は「政策よりも政局」ですね。来年7月の選挙に向けて、本質論じゃないところで、話し合いが行われています。

――もう、選挙モードなんですね。

塩村 次回の都議選は難しいですよ。「今のおかしな都議会の制度を変えたい」と思うのであれば、小池さん率いるグループを応援するのはいいと思います。一方で丁寧な都政や公平で平等な都政を目指すのであれば、それは違うかもしれない。幸い都議選は、候補も政党もたくさんありますから、それぞれの候補や政党の特徴をよく考えてから投票をしてみてはいかがでしょうか。

 女性は、なぜか女性「目線」の議員を選ばない傾向があるんです。例えば、「女性の活躍だ」と言いながら、男性目線で物事を進め、男性に気に入られて要職に就いていく、ということは、そのおじさんたちの意向をくみ取っていくわけですから、ダメなんですよね。

 逆に、男性であっても、女性目線であればいいんですけれど、とても少ない。それから、“おじさん”議員の話をたくさんしましたが、若いからいいというわけでもありません。若くても変な議員はいっぱいいます。特に、“ノイジー・マイノリティ”(声高の少数派)といわれる、ネットを駆使して意見を強く反映させようとする議員が多いと思っています。そこにイデオロギーが介在する議員も多く、政治が「福祉」を行っている意味を理解していない若手議員が多いと感じています。SNSなどで主張していることを、しっかり見極めてください。

 最後にもうひとつ。みなさんが、候補者をしっかりと見ることが大切です。選挙公約に書いてあることも大事ですけれど、本当に実行してくれるのか。書いているけれど、やっていない人に投票することが、一番マズイです。実現に向けて、きちんと動いてくれる議員を選ばなきゃダメだと思います。それにしても、次回の選挙で誰を選ぶかは難しいですね。劇場型になるかもしれません。
(上浦未来)

セクハラ野次の塩村あやか議員が語る、オジサン議員の裏側「都議会は“学級崩壊”状態だった」

 「早く結婚したほうがいいんじゃないか?」「まずは自分が産んでから!」など、2014年6月の都議会でとんでもない「セクハラ野次」を浴びた塩村あやかさんが、『女性政治家のリアル』(イースト新書)を上梓した。塩村さんといえば、『恋のから騒ぎ』(日本テレビ系)への出演、タレント活動、放送作家などを経て、13年に東京都議会議員へと転身した異色の経歴の持ち主。また、就職氷河期の“ロスジェネ世代”で、非正規雇用で社会に出て、女性、ひとり会派と、超マイノリティな政治家でもある。

 そんな塩村さんに、「セクハラ野次」はなぜ起こったのか? そして、都議会と政治の世界について聞いた。

■みなさんが意見を言うことで、政治を動かしていく

――『女性政治家のリアル』を出版された経緯を教えてください。

塩村あやかさん(以下、塩村) 1年以上前に出版のお話をいただき、編集者さんと内容を決め、原稿を書きました。都議会議員選挙(17年7月)直前に出すと、バタバタしてしまい、あまりよくないと思ったので、何事もない平和な時にと、16年10月に発売日を設定していました。そうしたら舛添(要一)さんの騒動が起きて、本当は都政の仕事も落ち着いたタイミングを狙ったつもりが、小池百合子都知事誕生の大騒動のさなかになってしまいました(笑)。

――偶然のタイミングなんですね。それにしても、なぜ順調だった放送作家のお仕事を捨て、政治家の道へと進もうと思われたのでしょうか?

塩村 切実に「世の中を変えたい」という気持ちがあったからです。長年、動物愛護活動をしているのですが、日本では年間10万頭もの犬や猫が殺処分されている現実をどうにかしたかった。それから、いつか子どもを産んでも、フリーランスの放送作家だと、保育園に預けられないかもしれない、そうしたら仕事が続けられないといった、当事者世代だからこそ身近に感じる現実にも直面しました。そのサポートがダイレクトにできるのは、政治の世界だと思い、飛び込みました。

 政治家になる前に、元議員のある有名な先生にそのことをお話ししたら、「放送作家のほうが世の中を変えられるよ。政治の世界は、なかなか変えられるものではない」とおっしゃったんですね。当時は、それもおかしな話だと思ったんですが、3年半たった今は、その意味もわかります。政治の世界は、ものすごく歩みが遅くて、悪いほうに一気に変わらないように、安全に安全を重ねた仕組みになっているので、緊急性をもってやらないといけないことへの対応が遅れてしまっている気がしています。

――動きが遅いのですね。子どもを保育園に預けられなくて、今も困っている女性が大勢いると思います。どうすれば、早く前へ進むようになると思いますか?

塩村 政治を動かすのは、みなさんでしかないんですよ。政治の世界には民意を反映する、というところがあるので、世論をつくるしかない。「保育園落ちた日本死ね!!!」というブログが大きな話題になりましたが、あのような世論を喚起する騒動がないと、政治の世界では物事がなかなか前へ進まないんですね。政治は少し遅れながら動いている部分があるので、そのスピードを速めるには、みなさんが意見を言うことで、政治を動かしていくことが必要です。

 例えば、ウェブニュースなどを読んで、おかしいなと感じたことがあれば、「これ、マジやばい」とつぶやいてみる。そのちょっとしたつぶやきが、何万人にも拡散されると、変わっていきます。

 でも、あまりにも拡散すると一気に叩かれちゃうから、書いた人は二度と言わなくなる。それに、あまりやりすぎると、「コイツは左翼だ」と言われ、ネットの住民に叩かれるので、少しずつコツコツと。私は、すでにぼっこぼこに叩かれているけれども、叩かれたら勲章ぐらいに思って、社会を底上げするような応援をしてほしいですね。

■怒られるから、野次は言っちゃいけない!?

――「セクハラ野次」についてお伺いします。議会の一般質問で、不妊治療に関する質問をしている時に、「早く結婚したほうがいいんじゃないか?」「まずは自分が産んでから!」といった、とんでもない野次が飛び交っていました。どんな思いで質問を続けていたのか教えてください。

塩村 当時は、議員になってまだ1年たっていない時だったので、純粋な気持ちでやっていたんですけれど、こりゃひどいと思いました。今はもう、こんな人たちが議員であることがわかっているので、当時のように思わないでしょうが、あの時は聞いているうちに落胆するし、悲しくなるし、何より相談してくれた人たちの顔が浮かぶわけです。

 「不妊治療の末に子どもを授かった」とか、「今、不妊治療しています」とか、そういう方々の代表で立っているのに、目の前には「早く結婚したほうがいいんじゃないか?」「まずは自分が産んでから!」と言って、ギャーギャー笑っている人たちがいる。もう学級崩壊となんら変わらない状態ですよ。このおじさんたちに何を言っても無駄だ、という絶望感、怒りと悲しみで、声が上ずりました。

――女性という理由で、あれほど野次が飛んだのでしょうか?

塩村 それもありますし、議会には「小さい会派には何を言ってもいい」「強い者が弱い者をいじめてよし」みたいな風土があるんですよね。私はこれを“逆カースト制度”と呼んでいます。数が少ないほうが虐げられるんです。あの野次には権力闘争みたいな面もあって、「自分は他の会派を牽制しているんだ」と、先輩へのアピールになる。だから、自分をアピールする手段にしていたんだと思います。

――ひどい話ですね。その後、ちゃんと謝りに来てもらえたのですか?

塩村 議会が終わった直後、幹部クラスではないにしろ、同期くらいの議員から「ウチの会派が悪かったね」と、ひと言ぐらい謝りに来ると思っていたら、来なかった。来たのは、「謝りに来ました?」と確認しにきた記者だけでした。その後、しばらしくて、明らかに野次の声の主だとされ、逃げ切れなくなったひとりだけが謝りました。けれど、そのほかの多くの議員は、逃げたまま、今も謝罪はありません。

 騒動以降、一応、あのような野次はダメなんだというふうに、少しずつ変わってきているとは思います。でも、まだ強制的に直されている、という状況ですよね。怒られるから言っちゃいけないーーみたいなレベルです。

■当選させてくれた人たちを、裏切っちゃいけない

――あの野次を本気でまずいことだと思っている議員の割合は、どれくらいいると感じていますか?

塩村 都議会全体として、3分の1ぐらいは、まともな議員という印象です。共産党と東京・生活者ネットワークは、あのような野次は公私ともにあってはならないとの認識がある方々です。公明党も、基本的にはまずいとわかっていると感じています。ただ、やっぱり友党として自民党に引っ張られちゃう部分はあったせいか、制止するまでには至らない。

 自民党の中にも、わずかですが、本気でまずいと思っている方もいらっしゃいます。直接、言葉にして伝えてくれた先生もいますから。でも、私と話しているのを見つかるとまずいので、あの騒動がだいぶ落ち着いてからでしたけど。

――しかし、本当に精神的にタフですね。

塩村 タフになったのは、幼い頃から徐々にだと思いますね。本にも書いてあるのですが、私が子どもの頃に、父親が事件を起こし、逮捕されているんですよ。そのあたりから慣れてはいます。そのことで、近所のお母さんから「あの子と遊んじゃいけないよ」と、ひどい扱いを受ける一方で、良い人もたくさんいて、助けられて生きています。

 その人たちを裏切っちゃいけないという思いもあるんです。議員になって、少数派ですけれど当選させてくれた、応援してくれた人たちが約2万3,000人います。その人たちの代表で来ているので、個人的なことで辞めちゃいけない、と思います。もちろん腹が立つことも多いけれど、それが仕事ですから。めげますけどね、よく(笑)。
(上浦未来)

(後編につづく)

「わたしの真似はしないでください」外専女子がイケメン外国人たちとベッドで異文化交流した結果

(前編はこちら)

■外国人男性は、セックスする前に性病検査の結果を聞いてくる

――欧米の男性というと、やっぱり下半身が立派なイメージがありますけど、そのあたりは?

音咲椿さん(以下、音咲) デカいですね。けど、セックスってデカさじゃないですよね。例えば、アイスランド出身のデヴィッドはデカいはデカいけど、真性包茎で、山芋にそっくりなんです。あんまり濡れていないアソコに刺さったら毛が巻き込まれて痛いし、全然気持ちよくない。やっぱり「心が通ってないとダメだなぁ」というのが外専女子をやってて思ったことです。

――とはいっても、心を通わせるのはなかなか難しいと言いますか、結局、遊ばれてる状況がありますよね。「日本人女性はすぐに股を開く」って言われてたり。以前にも、アメリカ人のナンパ師、ジュリアン・ブランクの動画が炎上して、来日を阻止する署名活動まで起こったことがありましたが、“外専女子”として、それについては、どう考えますか?

音咲 「あー、すみません……」って感じですよね。でも、「騙された」って後から恨み言とか、被害者感覚はないですね。糧になるっていうか、これもひとつの経験で「あの時ときめいたからいいや」と。

 ナンパ師についても、来日阻止まではしなくてもいいんじゃないかって思います。だって、受け入れるか否かは女性の問題じゃないですか。レイプ魔がくるわけじゃないんだし、そういう相手とのセックスも、きちんと性病検査してコンドームをつけて自分で責任が取れるならいいと思う。現に外国人男性は、セックスする前に性病検査の結果を聞いてくる人もいますよ。

■未練を残して死んでいくんなら、一回や二回火遊びはしたほうがいい

――性病検査の結果を! そこまではっきりしていると、ある意味、付き合いやすくはありますよね。考えようによっては、最初にお話に出た「誠実」についての考え方とも一貫していますし。ちなみに本を出した反響ってありました?

音咲 同じ年の友達で、ドイツにずっと住んでいて、帰国した後に日本人と結婚をした人がいるんですけど、その人が自分のママ友に私の本を貸したら「やっぱり外国人っていいの?」って聞かれたそうです。やっぱり願望がある人というか、興味がある人はいるんですよ。でも、遊ぶ感覚でなら、ぜんぜんやっちゃってOKだと思います。未練を残して死んでいくんなら、一回や二回火遊びはしたほうがいいじゃないですか。そっちのほうが人生が豊かになる。でも、人を選ばないと怖いのは確か。特に既婚者の女性っていうんなら、むしろ、ヤリ目だけの人がいいと思う。そういう男性なら、出会い系サイトで探せば嫌というほど出てきますよ。仕事でこっちに来ていて、帰国が決まってる人なんて、後腐れがなくって、狙い目です。

――セックスが目的じゃなくって、婚活のターゲットにするのもありだと思いますか?

音咲 はい。SNSとかでも、きちんとしてる人もいますよ。わりあい真面目な出会いを探していたりもする。実際にわたしが出会った人の中でも、「真面目な出会いが欲しい」って熱弁している人もいましたし……まぁ、その人は、ルックスがイケてなかったんで、わたしはダメでしたけど。ちなみにわたしもセックスではなく「彼氏を作ること」「恋愛」が目的だったので、「働いていて日本の労働ビザを持っている」という条件を決めてました。

――むしろ、本当に外国人と付き合いたいなら、海外に行ってしまったほうが手っ取り早いと思うんですが、結局、行かなかった理由は?

音咲 ビザの問題です。外専に目覚めたのが30歳を超えていたんで、ワーキングホリデーでの渡航は無理でした。お金もなかった。ただ、外国に住みたいって夢はずっとあって、それはむしろ、外国人と結婚すればすべて解決する話。一発逆転を狙ってたんです。

■母国語が違う同士で理解しあうのはやっぱり難しい

――なるほど。そういうもくろみもあったんですね。では、外国人と結婚をしたいと望んでいる女性たちに何かアドバイスをお願いします。

音咲 決してコミックに描いた、わたしのような真似はしないでくださいってことです。いきなり相手のマンションに行ったこともありますが、やっぱり危ないですよね。いざ家に入ったら複数の男性がいて、強姦されるってこともないとは限らないし……自己防衛はちゃんとしたほうがいい。あとは、ロマンスに流されて欧米人の男性と結婚しても、離婚率が高いのは事実です。それだけ難しいってことだと思う。日本人同士、母国語でしゃべっていても齟齬があるのに、母国語が違う同士って理解しあうのはやっぱり難しいですよ。文化の違いとか、受け入れたり、受け止めたりすることがたくさんあるのは確かです。

――でも、音咲さんは、もう“外専女子”は辞められたんですよね。

音咲 うーん、そうですね、今はお休み中です。岩川浩二さん率いる「The Mackshow」っていう日本のバンドがあるんですけど、このバンドで日本人のリーゼントのカッコよさに目覚めてしまって。中でも、トミー・マックさんの大ファン。いま、追っかけをやってるんですが、ツヤツヤの黒髪のかっこつけたスタイル、これは欧米人には出せないですよ。ギラギラした日本人男子の色っぽさは、最高です! 

 やっぱり、その時々で男に求めるものって変わっていくんですよね。わたしの場合、30代前半で外専になった時は“顔”だった。いまは“金”と“人生の豊かさ”が大切。今のボーイフレンドも日本人で、50代の方。顔は普通ですが、雰囲気のある方で趣味人。美術のことをよく知っていたり、マナーもきちんと学んでいて、エスコートしてくれる。それに、恋愛対象が日本人に戻って思うことは、やっぱり、言葉が通じる、母国語が一緒というのはいい。ニュアンスがきちんと伝わりますから。だから、外国人のイケメンを見ても、全然なびかなくなりました。イケメンはもういりません。

 実は2017年は、ついに念願の海外に行く予定です。スペインの巡礼「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」に行こうと思っているんですが、そこには世界中からあらゆる年代の人が集まってきてるんです。今なら余裕を持って、欧米人の男子たちと交流もできるんじゃないかって。だから、いろんな意味でどんな出会いがあるか楽しみにしています。
(大泉りか)

音咲椿(おとさき・つばき)
福岡県大牟田市出身。東京工芸大学芸術学部映像学科にて現代美術を学ぶ。ブルセラ誌編集長、フリーカメラマンを経てポット出版「女の子×女の子のためのエロチックブック・Carmilla」にてイラスト、漫画家デビュー。趣味はポールダンス、フラメンコ、クンダリーニヨガ、おっかけ。好きな芸術家はマーク・ポーリン、ジョルジュ・ルオー、ジュール・パスキン。

「わたしの真似はしないでください」外専女子がイケメン外国人たちとベッドで異文化交流した結果

(前編はこちら)

■外国人男性は、セックスする前に性病検査の結果を聞いてくる

――欧米の男性というと、やっぱり下半身が立派なイメージがありますけど、そのあたりは?

音咲椿さん(以下、音咲) デカいですね。けど、セックスってデカさじゃないですよね。例えば、アイスランド出身のデヴィッドはデカいはデカいけど、真性包茎で、山芋にそっくりなんです。あんまり濡れていないアソコに刺さったら毛が巻き込まれて痛いし、全然気持ちよくない。やっぱり「心が通ってないとダメだなぁ」というのが外専女子をやってて思ったことです。

――とはいっても、心を通わせるのはなかなか難しいと言いますか、結局、遊ばれてる状況がありますよね。「日本人女性はすぐに股を開く」って言われてたり。以前にも、アメリカ人のナンパ師、ジュリアン・ブランクの動画が炎上して、来日を阻止する署名活動まで起こったことがありましたが、“外専女子”として、それについては、どう考えますか?

音咲 「あー、すみません……」って感じですよね。でも、「騙された」って後から恨み言とか、被害者感覚はないですね。糧になるっていうか、これもひとつの経験で「あの時ときめいたからいいや」と。

 ナンパ師についても、来日阻止まではしなくてもいいんじゃないかって思います。だって、受け入れるか否かは女性の問題じゃないですか。レイプ魔がくるわけじゃないんだし、そういう相手とのセックスも、きちんと性病検査してコンドームをつけて自分で責任が取れるならいいと思う。現に外国人男性は、セックスする前に性病検査の結果を聞いてくる人もいますよ。

■未練を残して死んでいくんなら、一回や二回火遊びはしたほうがいい

――性病検査の結果を! そこまではっきりしていると、ある意味、付き合いやすくはありますよね。考えようによっては、最初にお話に出た「誠実」についての考え方とも一貫していますし。ちなみに本を出した反響ってありました?

音咲 同じ年の友達で、ドイツにずっと住んでいて、帰国した後に日本人と結婚をした人がいるんですけど、その人が自分のママ友に私の本を貸したら「やっぱり外国人っていいの?」って聞かれたそうです。やっぱり願望がある人というか、興味がある人はいるんですよ。でも、遊ぶ感覚でなら、ぜんぜんやっちゃってOKだと思います。未練を残して死んでいくんなら、一回や二回火遊びはしたほうがいいじゃないですか。そっちのほうが人生が豊かになる。でも、人を選ばないと怖いのは確か。特に既婚者の女性っていうんなら、むしろ、ヤリ目だけの人がいいと思う。そういう男性なら、出会い系サイトで探せば嫌というほど出てきますよ。仕事でこっちに来ていて、帰国が決まってる人なんて、後腐れがなくって、狙い目です。

――セックスが目的じゃなくって、婚活のターゲットにするのもありだと思いますか?

音咲 はい。SNSとかでも、きちんとしてる人もいますよ。わりあい真面目な出会いを探していたりもする。実際にわたしが出会った人の中でも、「真面目な出会いが欲しい」って熱弁している人もいましたし……まぁ、その人は、ルックスがイケてなかったんで、わたしはダメでしたけど。ちなみにわたしもセックスではなく「彼氏を作ること」「恋愛」が目的だったので、「働いていて日本の労働ビザを持っている」という条件を決めてました。

――むしろ、本当に外国人と付き合いたいなら、海外に行ってしまったほうが手っ取り早いと思うんですが、結局、行かなかった理由は?

音咲 ビザの問題です。外専に目覚めたのが30歳を超えていたんで、ワーキングホリデーでの渡航は無理でした。お金もなかった。ただ、外国に住みたいって夢はずっとあって、それはむしろ、外国人と結婚すればすべて解決する話。一発逆転を狙ってたんです。

■母国語が違う同士で理解しあうのはやっぱり難しい

――なるほど。そういうもくろみもあったんですね。では、外国人と結婚をしたいと望んでいる女性たちに何かアドバイスをお願いします。

音咲 決してコミックに描いた、わたしのような真似はしないでくださいってことです。いきなり相手のマンションに行ったこともありますが、やっぱり危ないですよね。いざ家に入ったら複数の男性がいて、強姦されるってこともないとは限らないし……自己防衛はちゃんとしたほうがいい。あとは、ロマンスに流されて欧米人の男性と結婚しても、離婚率が高いのは事実です。それだけ難しいってことだと思う。日本人同士、母国語でしゃべっていても齟齬があるのに、母国語が違う同士って理解しあうのはやっぱり難しいですよ。文化の違いとか、受け入れたり、受け止めたりすることがたくさんあるのは確かです。

――でも、音咲さんは、もう“外専女子”は辞められたんですよね。

音咲 うーん、そうですね、今はお休み中です。岩川浩二さん率いる「The Mackshow」っていう日本のバンドがあるんですけど、このバンドで日本人のリーゼントのカッコよさに目覚めてしまって。中でも、トミー・マックさんの大ファン。いま、追っかけをやってるんですが、ツヤツヤの黒髪のかっこつけたスタイル、これは欧米人には出せないですよ。ギラギラした日本人男子の色っぽさは、最高です! 

 やっぱり、その時々で男に求めるものって変わっていくんですよね。わたしの場合、30代前半で外専になった時は“顔”だった。いまは“金”と“人生の豊かさ”が大切。今のボーイフレンドも日本人で、50代の方。顔は普通ですが、雰囲気のある方で趣味人。美術のことをよく知っていたり、マナーもきちんと学んでいて、エスコートしてくれる。それに、恋愛対象が日本人に戻って思うことは、やっぱり、言葉が通じる、母国語が一緒というのはいい。ニュアンスがきちんと伝わりますから。だから、外国人のイケメンを見ても、全然なびかなくなりました。イケメンはもういりません。

 実は2017年は、ついに念願の海外に行く予定です。スペインの巡礼「サンティアゴ・デ・コンポステーラ」に行こうと思っているんですが、そこには世界中からあらゆる年代の人が集まってきてるんです。今なら余裕を持って、欧米人の男子たちと交流もできるんじゃないかって。だから、いろんな意味でどんな出会いがあるか楽しみにしています。
(大泉りか)

音咲椿(おとさき・つばき)
福岡県大牟田市出身。東京工芸大学芸術学部映像学科にて現代美術を学ぶ。ブルセラ誌編集長、フリーカメラマンを経てポット出版「女の子×女の子のためのエロチックブック・Carmilla」にてイラスト、漫画家デビュー。趣味はポールダンス、フラメンコ、クンダリーニヨガ、おっかけ。好きな芸術家はマーク・ポーリン、ジョルジュ・ルオー、ジュール・パスキン。

「ドイツ人男性のセックスは最高だった」“外専女子”が語るイケメン外国人との恋愛

 欧米人の男性といえば、「かっこいい」「レディファーストが身についている」「ジェントルマン」といったイメージを日本女性から持たれがちで、ある種の女性たちにとっては憧れの存在だ。が、一方では「日本人の女性を軽く見ている」「日本の女性をカモにしている」と見る向きもあり、さらには、そんな欧米人男性の外見とイメージとに惹かれて簡単に股を開く女性たちは、悪気はないにしろ、結果として「日本の女性の地位を低下せしめている」といわれることもある。外国人男性を愛する“外専女子”たちは、彼らにいったい何を求め、恋愛や結婚をどう考えているのか。「外国人と恋愛がしたい!」と思い立ち、在日の欧米男子たちにターゲットを定め奮闘する自分を描いたコミックエッセイ、『イケメン外国人たちとベッドで異文化交流した結果。』(ぶんか社)を上梓したばかりの著者、音咲椿さんに話を伺った。

■『ダーリンは外国人』はぬるい。現実を思い知らせてやるぞ、と思った

――この漫画を描こうと思ったきっかけってなんですか?

音咲椿さん(以下、音咲) 日本にいる外国人男性のやりたい放題っぷりがすごいなぁと思って、それを伝えたいと思ったんですよ。日本人の女性にモテるのをいいことに、二号にしようとしたりして。ちょうどこの漫画の連載が始まった頃、『ダーリンは外国人』(メディアファクトリー)っていうコミックが映画化して話題になっていたんですよね。けど、あんなのはぬるい。現実を思い知らせてやるぞ、と思ったのがきっかけです。

――『ダーリンは外国人』に対するアンチテーゼだったんですか?

音咲 アンチテーゼとまではいかないですけど、外国人男性って面白いというか、ギャグみたいな行動を平気でしてくるんですよね。例えば、「誠実」っていうのを履き違えていることが多くって。コミックにも描いた、出会い系で知り合ったアイスランド出身のデヴィット(仮名)って男がいたんですが、ヤった後に「彼女がいるんだよね」って言ってくるわけですよ。「なんでそんなこと、いま言うの?」って聞くと、それが誠実さだと。普通、それはセックス前に言うことですよね。

――確かにヤってから言われても遅いですよね……。日本の恋愛文化って、基本的には告白して付き合ってからセックスをすることが多いですけど、欧米は、セックスをしてから恋人になるかならないか決めるっていうイメージがあります。そのあたりってどうなんですか?

音咲 それは、実際は国によるし、さらにはそれぞれの人にもよります。ただ、傾向で言うと、セックスが前にあって、付き合うかどうかを後で決める傾向が強いのはフランス人。ドイツ人の男性は「そんなこと信じられない」と、言ってました。あと、イタリア人はセックスに対するモチベーションがすごい。性欲が強いのもあるし、何人の日本人とやったか、と数を稼ぐことに一生懸命だったり。

――ポイントカードを貯めるタイプですね。

音咲 そうです。出会い系で知り合ったイタリアとイギリスのハーフのロバート(仮名)って男が言っていたのは、「今日会った外国人は『オッパイ』という単語を知らなかった。あいつは日本人とやったことがない。俺は知ってるぞ、オッパイー!」って優越感に浸ってて、アホかと思いました。ロバートはそれ以外にも「前の彼女も日本人で~」と自慢話をしたりしていましたし。日本人の女の子を軽く見てる人もいますよ。「なんで英語しゃべれんの?」とか言ってきたりして。

■欧米の男性のほうが、恋愛に対するモチベーションは絶対的に高い

――そもそも、出会い系にいる欧米人男性がロクでもないのでは、という気もしますよね。それにしても、なぜ外国人男性と付き合いたいと思うようになったんですか?

音咲 昔は、大学に行ったら留学しようと思っていたんです。けれど、美大に進んだら忙しくて、それなりに充実していたりで、だんだんと海外への憧れが薄れていった。そのまま、卒業後、日本人と結婚したんですけど、離婚して。で、その後に、今度は別の日本人男性と事実婚したんですが、この破局でかなり痛い目にあったんです。その男性、マザコンだったんですよね。それで、わたしと母ちゃんとの板挟みで、何も言えなくなってしまっていたんです。それが、ある日反撃してきた。「ベルリンに3カ月間、勉強しに行きたい」って言ったら、突然、がらっと顔色が変わって「君は僕の奥さんになる人なんだよ」と。そこから亀裂が走って、向こうの味方には義母がついて。で、調停まですることになって、もうボロボロになりました。ようやくのこと、別れた後に思ったことは、「誰かに愛されたい」ってこと。でも、マザコンも日本人もまっぴら、この傷心をいやすには外国人しかないって思ったんです。

――なるほど、日本人との恋愛に辟易した結果、外国人男性に走ったというわけですね。

音咲 そうです。それに、わたしは、付き合っても結婚をしてもずっと恋愛をし続けたいんです。外国人って、愛情表現が豊かで、恋をし続けてくれる。実際に、日本と欧州の計4カ国の男女に結婚観などを聞いた2015年度の内閣府の国際意識調査でも、「いつも恋愛をしていたい」の割合は、欧州3カ国の平均が26.8%に対して、日本は圧倒的に低くて10.9%なんですよ。欧米の男性のほうが、恋愛に対するモチベーションは絶対的に高い。

 ヨーロッパには30歳すぎて親と住んでいる男はほとんどいないし……それにビジュアルもいいですよね。非日常的。車でいうとキャデラックみたいなもので、日本で連れて歩いていると、みんな振り向いてくれるから、すごくテンションがアガる。「こんなかっこいい人連れて歩いてるんだ」という優越感を持てる。しかも、日本人の男性と違って、向こうから仕掛けてくれる。フランス人のアーティストと出会って「一緒に絵でも描こうか」という話になったことがあったんです。それでスタバに行ったんだけど「隣の席に来なよ」って誘ってくれる。そういうふうに自分への好意を示してくれると、うれしいじゃないですか。

――日本人の男性だと、酷い場合は自分だけ奥のソファに座ったりしますもんね。

音咲 そう! この間も、エクセルシオールカフェで見かけた日本人同士のカップル、たぶんあれは夫婦だと思うんですけど、男が奥の大きいソファにふんぞり返ってるんですよ。堅い材質の椅子に座らせるような男はダメですよね。だったらなんでふたりで座らないの、って。

――見せかけの優しさというか、ただ単にレディファーストのマナーが身についているだけであっても、優しくされるとうれしいものなんですよね……ちなみにベッドではどうなんでしょうか?

音咲 イケてる人、モテてきた人は、やっぱりうまいですよね。ロルフ(仮名)っていう、路上で知り合ったドイツ人男性がいて、この人はイケメンでかつ、白いブリーフを履くくらい自分のルックスに自信のある人だったんですが、やっぱり上手でした。でも、セックスの上手下手、気持ちいい、よくないって心の部分も大きいですよね。ロルフは、ビジュアルもいいし、チンコの具合もいいしで、セックスは最高だったけど、本当に好きだったから、気持ちの問題だった感じもします。

 そもそも、基本的に欧米の男性って、クンニをしないんです。98%はしませんね。フェラはさせられるけど。HIVを恐れてるから、自分からはオーラルセックスをしないようにしてるみたいです。そのくせ、自分がされるのはなぜか大丈夫だと思ってる(笑)。けど、ロルフはクンニをしてくれたし、コンドームもつけなかった。それは互いの気持ちが入っていたからだし、それくらいなわけだから、当然、セックスもよかった。
(大泉りか)

(後編につづく)

「ドイツ人男性のセックスは最高だった」“外専女子”が語るイケメン外国人との恋愛

 欧米人の男性といえば、「かっこいい」「レディファーストが身についている」「ジェントルマン」といったイメージを日本女性から持たれがちで、ある種の女性たちにとっては憧れの存在だ。が、一方では「日本人の女性を軽く見ている」「日本の女性をカモにしている」と見る向きもあり、さらには、そんな欧米人男性の外見とイメージとに惹かれて簡単に股を開く女性たちは、悪気はないにしろ、結果として「日本の女性の地位を低下せしめている」といわれることもある。外国人男性を愛する“外専女子”たちは、彼らにいったい何を求め、恋愛や結婚をどう考えているのか。「外国人と恋愛がしたい!」と思い立ち、在日の欧米男子たちにターゲットを定め奮闘する自分を描いたコミックエッセイ、『イケメン外国人たちとベッドで異文化交流した結果。』(ぶんか社)を上梓したばかりの著者、音咲椿さんに話を伺った。

■『ダーリンは外国人』はぬるい。現実を思い知らせてやるぞ、と思った

――この漫画を描こうと思ったきっかけってなんですか?

音咲椿さん(以下、音咲) 日本にいる外国人男性のやりたい放題っぷりがすごいなぁと思って、それを伝えたいと思ったんですよ。日本人の女性にモテるのをいいことに、二号にしようとしたりして。ちょうどこの漫画の連載が始まった頃、『ダーリンは外国人』(メディアファクトリー)っていうコミックが映画化して話題になっていたんですよね。けど、あんなのはぬるい。現実を思い知らせてやるぞ、と思ったのがきっかけです。

――『ダーリンは外国人』に対するアンチテーゼだったんですか?

音咲 アンチテーゼとまではいかないですけど、外国人男性って面白いというか、ギャグみたいな行動を平気でしてくるんですよね。例えば、「誠実」っていうのを履き違えていることが多くって。コミックにも描いた、出会い系で知り合ったアイスランド出身のデヴィット(仮名)って男がいたんですが、ヤった後に「彼女がいるんだよね」って言ってくるわけですよ。「なんでそんなこと、いま言うの?」って聞くと、それが誠実さだと。普通、それはセックス前に言うことですよね。

――確かにヤってから言われても遅いですよね……。日本の恋愛文化って、基本的には告白して付き合ってからセックスをすることが多いですけど、欧米は、セックスをしてから恋人になるかならないか決めるっていうイメージがあります。そのあたりってどうなんですか?

音咲 それは、実際は国によるし、さらにはそれぞれの人にもよります。ただ、傾向で言うと、セックスが前にあって、付き合うかどうかを後で決める傾向が強いのはフランス人。ドイツ人の男性は「そんなこと信じられない」と、言ってました。あと、イタリア人はセックスに対するモチベーションがすごい。性欲が強いのもあるし、何人の日本人とやったか、と数を稼ぐことに一生懸命だったり。

――ポイントカードを貯めるタイプですね。

音咲 そうです。出会い系で知り合ったイタリアとイギリスのハーフのロバート(仮名)って男が言っていたのは、「今日会った外国人は『オッパイ』という単語を知らなかった。あいつは日本人とやったことがない。俺は知ってるぞ、オッパイー!」って優越感に浸ってて、アホかと思いました。ロバートはそれ以外にも「前の彼女も日本人で~」と自慢話をしたりしていましたし。日本人の女の子を軽く見てる人もいますよ。「なんで英語しゃべれんの?」とか言ってきたりして。

■欧米の男性のほうが、恋愛に対するモチベーションは絶対的に高い

――そもそも、出会い系にいる欧米人男性がロクでもないのでは、という気もしますよね。それにしても、なぜ外国人男性と付き合いたいと思うようになったんですか?

音咲 昔は、大学に行ったら留学しようと思っていたんです。けれど、美大に進んだら忙しくて、それなりに充実していたりで、だんだんと海外への憧れが薄れていった。そのまま、卒業後、日本人と結婚したんですけど、離婚して。で、その後に、今度は別の日本人男性と事実婚したんですが、この破局でかなり痛い目にあったんです。その男性、マザコンだったんですよね。それで、わたしと母ちゃんとの板挟みで、何も言えなくなってしまっていたんです。それが、ある日反撃してきた。「ベルリンに3カ月間、勉強しに行きたい」って言ったら、突然、がらっと顔色が変わって「君は僕の奥さんになる人なんだよ」と。そこから亀裂が走って、向こうの味方には義母がついて。で、調停まですることになって、もうボロボロになりました。ようやくのこと、別れた後に思ったことは、「誰かに愛されたい」ってこと。でも、マザコンも日本人もまっぴら、この傷心をいやすには外国人しかないって思ったんです。

――なるほど、日本人との恋愛に辟易した結果、外国人男性に走ったというわけですね。

音咲 そうです。それに、わたしは、付き合っても結婚をしてもずっと恋愛をし続けたいんです。外国人って、愛情表現が豊かで、恋をし続けてくれる。実際に、日本と欧州の計4カ国の男女に結婚観などを聞いた2015年度の内閣府の国際意識調査でも、「いつも恋愛をしていたい」の割合は、欧州3カ国の平均が26.8%に対して、日本は圧倒的に低くて10.9%なんですよ。欧米の男性のほうが、恋愛に対するモチベーションは絶対的に高い。

 ヨーロッパには30歳すぎて親と住んでいる男はほとんどいないし……それにビジュアルもいいですよね。非日常的。車でいうとキャデラックみたいなもので、日本で連れて歩いていると、みんな振り向いてくれるから、すごくテンションがアガる。「こんなかっこいい人連れて歩いてるんだ」という優越感を持てる。しかも、日本人の男性と違って、向こうから仕掛けてくれる。フランス人のアーティストと出会って「一緒に絵でも描こうか」という話になったことがあったんです。それでスタバに行ったんだけど「隣の席に来なよ」って誘ってくれる。そういうふうに自分への好意を示してくれると、うれしいじゃないですか。

――日本人の男性だと、酷い場合は自分だけ奥のソファに座ったりしますもんね。

音咲 そう! この間も、エクセルシオールカフェで見かけた日本人同士のカップル、たぶんあれは夫婦だと思うんですけど、男が奥の大きいソファにふんぞり返ってるんですよ。堅い材質の椅子に座らせるような男はダメですよね。だったらなんでふたりで座らないの、って。

――見せかけの優しさというか、ただ単にレディファーストのマナーが身についているだけであっても、優しくされるとうれしいものなんですよね……ちなみにベッドではどうなんでしょうか?

音咲 イケてる人、モテてきた人は、やっぱりうまいですよね。ロルフ(仮名)っていう、路上で知り合ったドイツ人男性がいて、この人はイケメンでかつ、白いブリーフを履くくらい自分のルックスに自信のある人だったんですが、やっぱり上手でした。でも、セックスの上手下手、気持ちいい、よくないって心の部分も大きいですよね。ロルフは、ビジュアルもいいし、チンコの具合もいいしで、セックスは最高だったけど、本当に好きだったから、気持ちの問題だった感じもします。

 そもそも、基本的に欧米の男性って、クンニをしないんです。98%はしませんね。フェラはさせられるけど。HIVを恐れてるから、自分からはオーラルセックスをしないようにしてるみたいです。そのくせ、自分がされるのはなぜか大丈夫だと思ってる(笑)。けど、ロルフはクンニをしてくれたし、コンドームもつけなかった。それは互いの気持ちが入っていたからだし、それくらいなわけだから、当然、セックスもよかった。
(大泉りか)

(後編につづく)

「苦労しても、報われない」が現実! ネガティブ芸人ヒロシの幸せとは?

(前編はこちら)

■死んだら暗闇でおとなしく過ごしていかないといけないかもしれない

――本の中で「苦労しても、報われない」と書かれていましたが、悲しい現実ですよね。

ヒロシ 苦労すれば、報われるという言葉は、貧乏人をだます言葉だと思っちゃったんですよね。だって、報われることはないんですもん。いつまでたっても、どうしても使われる側になる。テレビに出ていれば、絶対的な幸せが待っていると思っていたんです。けれど、思ったほど生活の変化もない。ご存じのとおり、調子の良い時と悪い時がありますし、調子の悪い時はクソみたいな扱いを受けます。

 結局、人の顔色をうかがって生きていかなければいけないし、使われる側の人間でしかない。やっぱり大きな会社には、かなわないんですよ。

 極端な話をしますけれども、高校生の時に駐車場の警備のアルバイトをしていて、時給360円だったんですよ。いくら田舎の高校生とはいえ、360円はやっぱり安い。安すぎる。600円ぐらいが平均だった時代ですよ。そこから、制服代とか引かれたりして、実質、もうちょっと少なかったんでしょうね。

 でも、マジメな人ほど辞めない。日本人には辞めないこと、最後までやり通すことが、美徳だと考えるところがあるじゃないですか。でも、そんなところでやり通すよりも、違うところへ行ったほうが、全然、楽なわけじゃないですか。気づかないで、まじめな人ほどずっと続けてしまう、というばかなことがまかり通っている。

――ただ、辞め時も難しいですよね。

ヒロシ それは難しいですね。例えば、仕事でいじめられて、辞めたい。給料も安い。何の希望もない。それでも、辞めることはやっぱり不安ですよね。辞めることが、何となくいけない、と思うところもありますよね。でも、死にたいと思ったら、辞めたらいいじゃないですか。別のところに行けば、給料下がるかもしれないし、ブランド力のある仕事にはつけないかもしれない。けれど、自ら命を絶つぐらいなら、辞めたほうがいい。

 今の日本なら就職しなくても、生きていけますよ。余裕で。多摩川沿いとか、テント張って暮らしている人がいるじゃないですか。彼らの家には、軒下にマットを敷くとかではなくて、ちゃんと床下があるわけですよ。発電機もある。犬もいる。それで、税金も払ってないわけでしょう? いいなぁ、と思いますもん。リバーサイドで。

――言い回しひとつでよく聞こえますね(笑)。でも、多摩川沿いは本当にとんでもないことになっていますよね。

ヒロシ 10年近く前にiPod touchが出た時、値段も高いし、使うかなとか相当悩んで、でも、音楽がたくさん入るしと思って、最高ギガのものを6 万円ぐらいで購入したんですよ。それで、ある日、川沿いを音楽聴きながら歩いていたんです。そうしたら、リバーサイドの住人が同じもの持っていましたからね。俺が相当悩んで買った同じものを。最悪、今の日本だったら、生きていけるんですよ。死ぬぐらいだったら、逃げたほうがいい。

 だって、死ぬのは怖いですよ。死んだ後、どうなるんですか。終わりだと思っているでしょう? これね、誰もわからないんですよ。地球があって、宇宙がある。いまだにどこまであるか、わからないんですよ。無限。すごく怖くないですか? 例えば、死んだ後も、意識があるとして、時間の終わりがない世界が待っているかもしれない。時間のわからないまま、暗闇でずっとおとなしく過ごしていかないといけないかもしれない。超怖くないですか。

■僕は常に「あわよくば」精神で物事を考えている

――今の世の中で生き抜いていくためには、何が必要ですか?

ヒロシ 芸人も昔はネタだけをやっていれば、おもしろいかつまらないかだけだったと思うんですけれど、今は違うじゃないですか。理想はネタだけやって、食っていくことがカッコイイでしょうけれど、それだけじゃ生きていけないですからね。

 だから、好きなことをやるのが一番。それには、後悔がないじゃないですか。YouTubeの『ヒロシちゃんねる』で、趣味のキャンプの様子を流しているんですよ。楽しいから。友達とキャンプ行って、動画を撮ってアップして。それほど見られていないとはいえ、多少なりとも広告収入が入ってきます。

 さらに、これを見たキャンプ用品のメーカーさんから連絡がきて、お仕事につながったら……と思っていたら、実際にありましたからね。動画をアップしていなかったら、なかった話です。僕は常に「あわよくば」精神で物事を考え、生きています。

――確かに重要なことですね。

ヒロシ 小学校3年生の時、インベーダーゲームが、すごくブームだったんですよ。ゲーム機が置いてあった、近くの駄菓子屋さんに通いつめて、ゲームをすることが仕事になればいいなぁと思っていました。そんなことがかなったら夢みたいだな、と思ったんですが、今、あるじゃないですか!? まさかですよ。まさかゲームをプレイして金になるとは、誰が想像しましたか? おもしろいことのひとつも言わない。でも、あれを見る人がいるんですから。

 今の世の中は、趣味や仕事など考えられないほどの細分化が行われているわけです。好きなことが仕事につなげやすい時代になった。ピコ太郎さんだって、ジャスティン・ビーバーにツイートされたり、何があるかわからないわけですよ。好きなことをいっぱいやっておく。何でもいいんですよ。浮浪者だったら、毎日、日記を書き続けておいたら、いつか本になるかもしれない。日本で1円もなく、生きる方法とか。ちょっと興味ありますもん。

――ヒロシさんにとっての幸せはなんですか?

ヒロシ 頑張った人が報われる世界ですね。正しいことが正しい、悪いことは悪い、という絶対的な評価とか、白黒はっきりしている世の中であってほしいです。

 ヒロシに仕事をお願いしたいなと思った時に、いろんな会社が間に入って、抜いて、抜いて、抜いて、抜いて、ギャラが1万円とかになる。何もしないで、口先三寸で“チョリ~ス”とお金を奪い、うまいことやってきた人たちがたくさんいるわけですよ。芸能界だけではなくて、大体そうじゃないですか? こっちは、長年、無一文に近い生活をしてやっと売れたのに。僕が売れっ子の時は「ヒロシを使ったんだ」という理由でいい女を抱いて、ということが目に見えているわけですよ。それが現実ですよ。

 でも、そのことがバレると、みんながチョリ~スを目指してしまうので、金持ちは真面目に頑張れば、いつか上にいける、いつか幸せになれるから、という教えを与える。でも、金持ちは何もしないでも、富を得ています。苦労すれば報われる的な言葉を無条件に信じる人たちがいないと、成り立たないんですね。いつか上に行くんだ、と頑張ってのぼりつめると、最終的にさらに上でチョリ~スが待ち受けている。

 世の中、何もしないでお金を奪っていく人が多すぎる気がします。本当は、頑張った人が報われれば一番良いと思うし、そうなることが当たり前だと思います。
(上浦未来)

ヒロシ
1972年生まれ、熊本県育ち。お笑い芸人。著書に『ヒロシです。』『ヒロシです。②』などがある。10万部を超える大ヒットとなった日めくり『まいにち、ネガティブ。』が話題に。2016年10月には2冊目となる日めくり『今日のネガティブ。』も発売。趣味はソロキャンプ。YouTube『ヒロシちゃんねる』でキャンプの模様を配信している。タレント活動以外にも『カフェ&カラオケ喫茶ヒロシのお店』も経営。ヒロシ公式HP『ヒロシの部屋

ネガティブ芸人ヒロシがすすめる「クリぼっち」の過ごし方

 ご存じ、お笑い芸人のヒロシさんが、今年12月、自身が考えたネガティブワード60語を収めた『ネガティブに生きる。~ヒロシの自虐的幸福論』(大和書房)を発表した。「パワースポットでモメました。」「明日やろう! やらないよね。」「明けても、めでたくない」など、どこか共感を誘う珠玉のひと言が詰まっている。

 ヒロシさんといえば、世の中的には「ヒロシです。」でおなじみの“一発屋”と思われがちだが、実は、2015年の日めくり『まいにち、ネガティブ』(自由国民社)が10万部を超える大ヒットを記録し、今回の新刊は自身8冊目の著作だ。さらに、東京・中野坂上では「カフェ&カラオケ喫茶ヒロシのお店」を経営するなど、マルチな才能をひっそりと発揮している。

 そこで今回、ひとりぼっちのクリスマスやお正月を乗り切るには? 世の中の不条理にどう立ち向かえばいいのか? などなど、ヒロシさんにうかがった。

■不倫したら、テレビ出れるのかなぁ

――『ネガティブに生きる。』は、どんな思いで書かれたのでしょうか?

ヒロシさん(以下、ヒロシ) 世の中には、僕みたいにネガティブで冴えない人がたくさんいると思います。我慢するのは、いつもポジティブではなく、ネガティブ。けれど、ネガティブな人がいるからポジティブな人が存在できる。ほんの少しでもネガティブが見直されれば、と思って書きました。

 約1カ月と、かなりタイトなスケジュールで書いたので、パラパラッと見たらわかると思うんですけれども、4分の1が蛭子能収さんとの対談。インタビューページは、通常4~5ページぐらいのものでしょうが、50ページ以上あるので驚かないでください。

 僕はダメ人間のくせに、嘘をつくのが嫌いな面倒くさい性格です。大抵のタレントさんは、こういった本を出版される時、ゴーストライターを使い、自分では書かないそうなんです。でも、僕は自分の文章でなくなるのがたまらなくいやで、自分で書いています。8冊目なので、ベストセラーになるわけがないことは、もうわかっています。けれど、ネガティブな僕にも、どこかポジティブな部分もあって、ひょっとしたら今回は……という、わずかな望みにかけています。

――ヒロシさんがネガティブな性格になったのは、いつ頃からですか?

ヒロシ 生まれ持ったものなんでしょうね。学校では地味な生徒で、小さい頃から平等ということに、すごく疑問を持っていました。平等って、なんだろう? 平等なんて、全然ないじゃないか。僕は大人から嫌われる子でした。まず学校の先生からの扱いが違う。テンションが高い人はすごく扱いがよくて、僕のように暗い人間は、何もしなくても鬼のように怒られてましたね。

 極端になったのは、大学ぐらいかな。僕にも、純粋な時があったので、女性と付き合ったら、結婚に近いような感覚で相手を信じ切っていたわけです。でも、ことごとく女性が浮気するわけですよ。まず疑問に思うのは、付き合うといっても、結果、ただの口約束じゃねぇか、と。浮気しても、法律的には何もない。僕が責めると、逆切れしてこっちの立場が弱くなる。それで、別れる。なんで悪いやつが優位に立つんだってね。おかしいですよね。

――では、今年は不倫の話題がものすごく多かったですが、どんな思いでニュースを見ていたんですか?

ヒロシ 不倫したら、テレビ出れるのかなぁと思って。1~2週間は出れますよね。しばらく叩かれて、仕事になったりしますよね。なんなら浮気をしてテレビに出ている人の方が、僕よりも楽屋が良かったりするはずですよ。悪いことをしたはずなのに、なぜ扱いがいいんだっていう……。

――どう転んでも、ネガティブな話につなげていきますね(笑)。

ヒロシ ネガティブな人は、ネガティブな人として生きるしかないんですよ。無理やり変えようとしてもいいと思うけれど、どうなんですかね。

 僕は、決して六本木のパーティには行かないわけですよ。売れまくっていた時に、ある有名人の誕生会に呼ばれました。六本木にあるおしゃれなお店が会場でした。中へ入ったら、テレビで見たことのあるタレントさんたちが、お酒を片手にソファーに座って、談笑していました。極度の人見知りである僕は、キューッと胃が痛くなる。萎縮しまくって、何をするでもなく、ひとりで黙って座っているだけ。ものすごく、つらかった。そこで何も考えずにはしゃげるポジティブな人間だったら、いいですよ。でも、僕は絶対に苦痛と感じてしまう。大勢の中にいると、華やかですが、とても寂しいです。

■正月も普通にコンビニ弁当を食べて過ごすと、何のダメージもない

――今週末はクリスマス、さらには年越しもまもなく。ひとりぼっちには、1年でもっとも試練の時がやってきました。どう乗り切ったらいいですか?

ヒロシ “それっぽさ”があるところを見ないことですね。本の中でも「明けても、めでたくない。」と書きましたが、何がめでたいんだ? 12月31日と1月1日は、別に何も変わらないんですよ。何も変わらない普通の日です。とはいえ、正月は1年で一番惨めさを感じる日です。年末年始になると、お笑い番組がたくさんあるでしょう。僕は、タレントなので、変にテレビを見たりすると、へこむ。「なんでみんな出てるのに、俺は出ていないんだ?」とか余計なことを考えちゃうので、見ない。正月も普通にコンビニ弁当を食べて過ごすと、何のダメージもなく、過ごせます。

――本当ですか?

ヒロシ 最初の頃は寂しさもありましたよ。バブルが終わったぐらいの頃、クリスマスに、ホテルを予約している男たちを見て、彼女がいていいなぁとか思って、眺めていましたけれど、さすがにそれを繰り返していると、普通の日だという認識が強くなっていきました。慣れるまでにちょっと時間はかかるかもしれません。

 でも、女性はまだ可能性があるからいいですよ。100人男がいて、「クリスマス一緒に過ごしてください」と言ったら、30~40人はOKが出ますよ。街で立っていてごらんなさいよ、絶対に声かけてきますから。

 男だったら、超イケメンでない限りゼロですからね。だって、ありえないじゃないですか。「クリスマスを一緒に過ごしてください」といきなり言ってくる男がいたら。気持ち悪いですよ。声をかけてくる男は、体目当てとかよからぬことがかもしれませんよ。でも、男はそれすらできないわけですから。女性の方が、俄然、有利ですよ。

――俄然、有利ですか(笑)。今年はクリスマスが土日なので、何かソロ活動をしてみるのは、どう思いますか?

ヒロシ だからね、何かしようと予定を考えた時点で、クリスマスや正月を意識しているので、それすら考えない。意識した時点で、屈辱感が生まれるわけじゃないですか。今年のクリスマスは土日なんだとか、カレンダーを見ていることがおかしい。俺、知らないですもん、そんなこと。ないものとして、過ごしてください。ただ、外には出ないほうがいい。
(上浦未来)

(後編につづく)

ネガティブ芸人ヒロシがすすめる「クリぼっち」の過ごし方

 ご存じ、お笑い芸人のヒロシさんが、今年12月、自身が考えたネガティブワード60語を収めた『ネガティブに生きる。~ヒロシの自虐的幸福論』(大和書房)を発表した。「パワースポットでモメました。」「明日やろう! やらないよね。」「明けても、めでたくない」など、どこか共感を誘う珠玉のひと言が詰まっている。

 ヒロシさんといえば、世の中的には「ヒロシです。」でおなじみの“一発屋”と思われがちだが、実は、2015年の日めくり『まいにち、ネガティブ』(自由国民社)が10万部を超える大ヒットを記録し、今回の新刊は自身8冊目の著作だ。さらに、東京・中野坂上では「カフェ&カラオケ喫茶ヒロシのお店」を経営するなど、マルチな才能をひっそりと発揮している。

 そこで今回、ひとりぼっちのクリスマスやお正月を乗り切るには? 世の中の不条理にどう立ち向かえばいいのか? などなど、ヒロシさんにうかがった。

■不倫したら、テレビ出れるのかなぁ

――『ネガティブに生きる。』は、どんな思いで書かれたのでしょうか?

ヒロシさん(以下、ヒロシ) 世の中には、僕みたいにネガティブで冴えない人がたくさんいると思います。我慢するのは、いつもポジティブではなく、ネガティブ。けれど、ネガティブな人がいるからポジティブな人が存在できる。ほんの少しでもネガティブが見直されれば、と思って書きました。

 約1カ月と、かなりタイトなスケジュールで書いたので、パラパラッと見たらわかると思うんですけれども、4分の1が蛭子能収さんとの対談。インタビューページは、通常4~5ページぐらいのものでしょうが、50ページ以上あるので驚かないでください。

 僕はダメ人間のくせに、嘘をつくのが嫌いな面倒くさい性格です。大抵のタレントさんは、こういった本を出版される時、ゴーストライターを使い、自分では書かないそうなんです。でも、僕は自分の文章でなくなるのがたまらなくいやで、自分で書いています。8冊目なので、ベストセラーになるわけがないことは、もうわかっています。けれど、ネガティブな僕にも、どこかポジティブな部分もあって、ひょっとしたら今回は……という、わずかな望みにかけています。

――ヒロシさんがネガティブな性格になったのは、いつ頃からですか?

ヒロシ 生まれ持ったものなんでしょうね。学校では地味な生徒で、小さい頃から平等ということに、すごく疑問を持っていました。平等って、なんだろう? 平等なんて、全然ないじゃないか。僕は大人から嫌われる子でした。まず学校の先生からの扱いが違う。テンションが高い人はすごく扱いがよくて、僕のように暗い人間は、何もしなくても鬼のように怒られてましたね。

 極端になったのは、大学ぐらいかな。僕にも、純粋な時があったので、女性と付き合ったら、結婚に近いような感覚で相手を信じ切っていたわけです。でも、ことごとく女性が浮気するわけですよ。まず疑問に思うのは、付き合うといっても、結果、ただの口約束じゃねぇか、と。浮気しても、法律的には何もない。僕が責めると、逆切れしてこっちの立場が弱くなる。それで、別れる。なんで悪いやつが優位に立つんだってね。おかしいですよね。

――では、今年は不倫の話題がものすごく多かったですが、どんな思いでニュースを見ていたんですか?

ヒロシ 不倫したら、テレビ出れるのかなぁと思って。1~2週間は出れますよね。しばらく叩かれて、仕事になったりしますよね。なんなら浮気をしてテレビに出ている人の方が、僕よりも楽屋が良かったりするはずですよ。悪いことをしたはずなのに、なぜ扱いがいいんだっていう……。

――どう転んでも、ネガティブな話につなげていきますね(笑)。

ヒロシ ネガティブな人は、ネガティブな人として生きるしかないんですよ。無理やり変えようとしてもいいと思うけれど、どうなんですかね。

 僕は、決して六本木のパーティには行かないわけですよ。売れまくっていた時に、ある有名人の誕生会に呼ばれました。六本木にあるおしゃれなお店が会場でした。中へ入ったら、テレビで見たことのあるタレントさんたちが、お酒を片手にソファーに座って、談笑していました。極度の人見知りである僕は、キューッと胃が痛くなる。萎縮しまくって、何をするでもなく、ひとりで黙って座っているだけ。ものすごく、つらかった。そこで何も考えずにはしゃげるポジティブな人間だったら、いいですよ。でも、僕は絶対に苦痛と感じてしまう。大勢の中にいると、華やかですが、とても寂しいです。

■正月も普通にコンビニ弁当を食べて過ごすと、何のダメージもない

――今週末はクリスマス、さらには年越しもまもなく。ひとりぼっちには、1年でもっとも試練の時がやってきました。どう乗り切ったらいいですか?

ヒロシ “それっぽさ”があるところを見ないことですね。本の中でも「明けても、めでたくない。」と書きましたが、何がめでたいんだ? 12月31日と1月1日は、別に何も変わらないんですよ。何も変わらない普通の日です。とはいえ、正月は1年で一番惨めさを感じる日です。年末年始になると、お笑い番組がたくさんあるでしょう。僕は、タレントなので、変にテレビを見たりすると、へこむ。「なんでみんな出てるのに、俺は出ていないんだ?」とか余計なことを考えちゃうので、見ない。正月も普通にコンビニ弁当を食べて過ごすと、何のダメージもなく、過ごせます。

――本当ですか?

ヒロシ 最初の頃は寂しさもありましたよ。バブルが終わったぐらいの頃、クリスマスに、ホテルを予約している男たちを見て、彼女がいていいなぁとか思って、眺めていましたけれど、さすがにそれを繰り返していると、普通の日だという認識が強くなっていきました。慣れるまでにちょっと時間はかかるかもしれません。

 でも、女性はまだ可能性があるからいいですよ。100人男がいて、「クリスマス一緒に過ごしてください」と言ったら、30~40人はOKが出ますよ。街で立っていてごらんなさいよ、絶対に声かけてきますから。

 男だったら、超イケメンでない限りゼロですからね。だって、ありえないじゃないですか。「クリスマスを一緒に過ごしてください」といきなり言ってくる男がいたら。気持ち悪いですよ。声をかけてくる男は、体目当てとかよからぬことがかもしれませんよ。でも、男はそれすらできないわけですから。女性の方が、俄然、有利ですよ。

――俄然、有利ですか(笑)。今年はクリスマスが土日なので、何かソロ活動をしてみるのは、どう思いますか?

ヒロシ だからね、何かしようと予定を考えた時点で、クリスマスや正月を意識しているので、それすら考えない。意識した時点で、屈辱感が生まれるわけじゃないですか。今年のクリスマスは土日なんだとか、カレンダーを見ていることがおかしい。俺、知らないですもん、そんなこと。ないものとして、過ごしてください。ただ、外には出ないほうがいい。
(上浦未来)

(後編につづく)