
インドネシア・ジャカルタ市内の米市場の様子
米政府系メディア「ボイス・オブ・アメリカ」(5月25日付)などによると、インドネシアの首都・ジャカルタの警察当局はこのほど、中国産の偽装米を大量に押収したと発表。なんとその米は、ジャガイモやサツマイモから抽出したデンプンにプラスチックを混ぜたシロモノだったというから大変だ。このニュースはインドネシアのみならず、東南アジア全体に広がり、中国毒食品の連鎖パニックになると報じている。

まだまだ毒食品はこの国からなくならない。写真は化学薬品で着色した鶏の脚を製造する闇工場の様子(今年4月)
この前代未聞の毒プラスチック米からは、発がん性物質で体に有毒なポリ塩化ビニルが検出されたという。水道パイプや各種フィルム、建材などに使用されるものが食品として流通していたことに、インドネシア中がパニックに。同国ではこれまでタイ産とインドネシア産の米が流通していたが、近年、前者は価格が高騰化し、後者は口当たりが悪くて人気がなかったという。そこに割って入ったのが中国産で、そこそこの値段で、味もよいということで主に中間層に人気だったようだ。
中国の王受文商務部副部長とインドネシアのゴーベル貿易大臣はこの問題について協議し、中国側が「偽装米の調査に全面的に協力する」と約束して沈静化を図ったが、中国駐在経験もある、インドネシア在住の日本人商社マンは「毒食品の途上国や新興国への輸出ブームが起こっている」と警鐘を鳴らす。

こちらも5月に謙虚された、毒ビーフンの製造工場の様子
「インドネシアはじめ、ラオスやミャンマー、カンボジア、パキスタンなどなど中国よりも経済発展が遅かった国々に今、中国産毒食品が大量に流入しているんです。ご存じの通り、習近平政権は『食の安全』に力を入れ、今年4月の全国人民代表大会でも食品安全法が改正され、毒食品の製造・流通に厳罰を科すことになった。今まで毒食品を作っていたような中国の食品会社は、相当なリスクを負うことになったんです。だけど海外に輸出する分にはチェックも緩い。かといって、先進国にはもう中国食品=毒食品というイメージが定着してしまっている。そこで、近場の“新興国”が輸出にぴったりというわけです。陸路や河川で国境が接しているところもあり、密輸もたやすい」
5月には広東省や広西チワン族自治区などで、大規模な偽装ピーナツ油事件も起きている。この油はパーム油や地下油が大量に混ぜられ、食品安全基準の4~5倍のカビ毒の一種アフラトキシン(発がん性物質)が検出されていた。そして、この不正ピーナツ油は陸路を通じ、ベトナムやラオスにも輸出されていたという。
中国の毒食品がなくなる日は来ない。習近平政権には、自国民の安全よりもまず、他国民に健康被害が及ぼさない方策を第一に考えてほしいものだ。
(取材・文=金地名津)