田中聖騒動でさらに窮地? 活動復帰した赤西仁がメディアにほとんど出ないワケ

20131010johnnys.jpg 【リアルサウンドより】  元KAT-TUNの赤西仁が、10月2日にシングル『アイナルホウエ』をリリース、10月7日付けのオリコンデイリーチャートでは3位をキープしていた。赤西は、昨年2月に女優の黒木メイサと結婚後、所属するジャニーズ事務所から事実上の“謹慎処分”を下されていたが、8月7日に発売したシングル『HEY WHAT'S UP?』のリリースで活動を再開。9月25日にはDVD『JIN AKANISHI JAPONICANA TOUR 2012 IN USA ~全米ツアー・ドキュメンタリー』をリリースするなど、作品を月ごとに発表している。  だが、精力的な音楽活動とは対照的に、メディアへの露出はあまり増えていない。復帰後、NHK BSプレミアムのジャニーズ番組『ザ少年倶楽部』などへの出演が多少あるものの、ドラマやバラエティへの出演は皆無に等しい。東京の渋谷などでは、赤西のCDリリースを大々的に伝える“宣伝カー”も走っているだけに、そのギャップが目立つ。  いったい、ジャニーズ事務所やマスコミは、活動再開した赤西の存在をどのように受け止めているのか。ジャニーズの内部事情に詳しいライター・ジャニ子氏に話を訊いた。 「赤西さんがテレビなどに出演しないのは、事務所との確執が未だに残っているからでしょう。メディアへの露出を調整する力は、もはや赤西さんの側にはないのでは。最近、渋谷で走っている宣伝カーも、かつての華々しさの“残り香”という印象です。もっとも、一緒に夜遊びをしていた『赤西軍団』と呼ばれるメンバーがいたように、赤西さんは一部のメンバーからは慕われていますし、タレント同士で特別嫌われているわけでもありません。しかし、事務所からすると、先日、契約解除が発表された田中聖のように、コントロール不可能なタレントではあるので、後輩たちには目指してほしくない。復帰したとはいっても、事務所が全面的にバックアップしているとはとても言えない状況です。かつては赤西さんをかわいがっていたジャニーさんも、快くは思っていないのでは」  ジャニーズ事務所のバックアップが受けられない中、赤西仁の芸能界・音楽界におけるポジションも微妙になりつつあるという。 「赤西さんは自分の好きな音楽をやりたい人なので、アーティスト路線に進みたいと思っているのは間違いないと思います。しかし、世間的にはやはりジャニーズということで、アイドルとして見られているのも事実。いわば、アイドルを卒業することもできず、アーティストにもなりきれないという、狭間にいる状態です。しかも、本来は選択肢にあったはずの、アイドルからタレントになるルートも見えていません。雑誌の世界では普通、ジャニーズはアイドル雑誌から始まり、だんだんと大人向けの女性誌などに進出し、ファン層を拡大していきますが、赤西さんの場合はそういった道をドロップアウトしてしまっています。古参のファンがずっと付いている感じで、新たなファンはあまり獲得できていないのでは」  では、赤西が今後、どんな活動を展開していくのか。 「8月23日に行われた『HEY WHAT'S UP?』のCD発売イベントでは、昔からのファンと親密なコミュニケーションを取っていたようです。MCでは、週刊誌に叩かれていることを『準レギュラーじゃね?』と自虐的なユーモアに転じたり、ファンを弄る感じで『俺に聞きたいことないの?』と質疑応答みたいなこともしたようです。自分の好きな音楽をやって、自分のことをずっと好きでいてくれるファンと仲良くやっているようので、もしかしたら今のバランスは悪くないのかもしれませんね」  田中聖がジャニーズ事務所としては異例の契約解除となったことで、何かと騒々しいKAT-TUN周辺。謹慎期間中は真摯に音楽に向き合い、態度も柔和したと言われていた赤西だが、田中騒動の余波がある中で、彼の作品は正当な評価を与えられるのだろうか。 (文=松下博夫)

KAT-TUN田中聖の専属契約解除で、彼を慕うジャニーズJr.への悪影響を心配する声も

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【リアルサウンドより】  KAT-TUNの田中聖が、所属するジャニーズ事務所を9月30日付で契約解除されていたことが、10月9日に同事務所から発表された。契約解除の理由について、ジャニーズ事務所は「度重なるルール違反行為があった」としている。都内での飲食店経営や独自の音楽活動などの副業、女性問題などが問題視されたとみられる。田中は「今後もタレント活動は続けていく予定ですが、詳細が決まりましたら改めてご報告します」とコメントしている。  今回の報道をジャニーズに近しい人物はどのように見ているのか。長年取材活動を行っている芸能記者に話を訊いた。 「ここ最近、飲食店経営の話が出たり、下半身露出写真が流出したりと、彼の周囲は騒々しいものでした。どう収拾するんだろう?とは思っていましたが、このタイミングで契約解除を発表するとは驚きました。飲食店の話から少し間が空いているので、事務所と話し合って調整してから発表したんでしょう。彼は全身にタトゥーが入っていますし、いわゆる“やんちゃ”なお友達も多かった。飲食店経営などは動かしがたい事実ですから、今回の措置は仕方がないとも思います」  では田中の脱退は、今後のジャニーズにどのような影響を与えるのだろうか。 「やんちゃな印象の強い田中聖ですが、兄貴的な性格の持ち主で後輩から慕われる存在でもありました。グループ内の悩み事や、今後の方向性を相談されることも多かったようです。Hey! Say! JUMPの有岡大貴や、Sexy Zoneの菊池風磨、Kis-My-Ft2のメンバーもよく相談していたと聞きます。熱い性格で、喝を入れるようなアドバイスもしてくれる貴重な先輩だったとも。親でもなく、事務所の偉い人でもない、ざっくばらんに話せる大人として慕われていたので、そういう人が抜けてしまうのは、後輩たちにとって寂しいことかもしれません。  また、田中聖にはジャニーズJr.に田中樹という弟がいるんですが、彼のことも心配ですね。田中樹は最近、森本慎太郎という子と一緒に雑誌に出ることが多かったんですが、実は森本の兄は、喫煙問題で謹慎処分を受けたHey! Say! JUMPの森本龍太郎。二人とも兄が不祥事を起こしているので、それが彼らの芸能活動にどんな影響を与えるのか心配ですね」  ジャニーズ事務所が、田中聖の素行問題に頭を悩ませながらも長年我慢してきた背景には、彼の“兄貴”的な性格に一定の評価をしてきた面もあるようだ。その兄貴が“強制退場”となった今、後輩たちには心のケアが必要なのかもしれない。 (文=松下博夫)20131009johnnys03.jpg

 KAT-TUNの田中聖が、所属するジャニーズ事務所を9月30日付で契約解除されていたことが、10月9日に同事務所から発表された。契約解除の理由について、ジャニーズ事務所は「度重なるルール違反行為があった」としている。都内での飲食店経営や独自の音楽活動などの副業、女性問題などが問題視されたとみられる。田中は「今後もタレント活動は続けていく予定ですが、詳細が決まりましたら改めてご報告します」とコメントしている。  今回の報道をジャニーズに近しい人物はどのように見ているのか。長年取材活動を行っている芸能記者に話を訊いた。 「ここ最近、飲食店経営の話が出たり、下半身露出写真が流出したりと、彼の周囲は騒々しいものでした。どう収拾するんだろう?とは思っていましたが、このタイミングで契約解除を発表するとは驚きました。飲食店の話から少し間が空いているので、事務所と話し合って調整してから発表したんでしょう。彼は全身にタトゥーが入っていますし、いわゆる“やんちゃ”なお友達も多かった。飲食店経営などは動かしがたい事実ですから、今回の措置は仕方がないとも思います」  では田中の脱退は、今後のジャニーズにどのような影響を与えるのだろうか。 「やんちゃな印象の強い田中聖ですが、兄貴的な性格の持ち主で後輩から慕われる存在でもありました。グループ内の悩み事や、今後の方向性を相談されることも多かったようです。Hey! Say! JUMPの有岡大貴や、Sexy Zoneの菊池風磨、Kis-My-Ft2のメンバーもよく相談していたと聞きます。熱い性格で、喝を入れるようなアドバイスもしてくれる貴重な先輩だったとも。親でもなく、事務所の偉い人でもない、ざっくばらんに話せる大人として慕われていたので、そういう人が抜けてしまうのは、後輩たちにとって寂しいことかもしれません。  また、田中聖にはジャニーズJr.に田中樹という弟がいるんですが、彼のことも心配ですね。田中樹は最近、森本慎太郎という子と一緒に雑誌に出ることが多かったんですが、実は森本の兄は、喫煙問題で謹慎処分を受けたHey! Say! JUMPの森本龍太郎。二人とも兄が不祥事を起こしているので、それが彼らの芸能活動にどんな影響を与えるのか心配ですね」  ジャニーズ事務所が、田中聖の素行問題に頭を悩ませながらも長年我慢してきた背景には、彼の“兄貴”的な性格に一定の評価をしてきた面もあるようだ。その兄貴が“強制退場”となった今、後輩たちには心のケアが必要なのかもしれない。 (文=松下博夫)

「国民作家の地位は、宮崎駿から宮藤官九郎へ」中森明夫が論じる『あまちゃん』の震災描写

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大友良英『連続テレビ小説「あまちゃん」オリジナル・サウンドトラック 2』(ビクターエンタテインメント)

【リアルサウンドより】  中森明夫氏がNHK連続テレビ小説『あまちゃん』と、ヒロイン天野アキを演じた能年玲奈について語り尽くす集中連載第2回。第1回「中森明夫が『あまちゃん』を徹底解説 NHK朝ドラ初のアイドルドラマはなぜ大成功したのか?」に引き続き、今回は『あまちゃん』で震災を描いた脚本家・宮藤官九郎への評価から、アイドル史における能年玲奈の"可能性の中心”まで、中森氏が縦横無尽に語った。インタビュアーはアイドル専門ライターの岡島紳士氏。 ――『あまちゃん』が震災を描いたこと自体についてはどうでしょうか。 中森:NHKの朝ドラというお年寄りも東北の人も見ている場で、まだ2年半しか経っていないセンシティブなテーマを取り上げる。これは、宮城県出身の宮藤さんと、音楽を担当した福島育ちの大友良英さんというコンビでなければできなかったと思います。これまでサブカルチャー的な若者主体のドラマの書き手だった宮藤さんにとっては、まだ傷の癒えていない震災を描くのは大変なことだったでしょうね。僕は宮藤さんをポスト・モダンの代表的なクリエイターだと思っていました。つまり、戦争、学生運動などの大きな物語ではなく、“小ネタ”をうまく描く作家だと。宮藤官九郎は初めて「大きな物語」を書いた。作家としてジャンプしたんだと思います。  アイドルは大したものじゃないとか、サブカルチャーで軽いものだとか言われますが、AKB48はいまだに震災のチャリティーをやっているし、震災後の東北を励まし続けてきた。作中では「GMTなんて偽善じゃないか」「でも、元気にしてくれるよね」というやりとりもありましたが、毎日2000万人が観ている“テレビ小説”の影響力は圧倒的です。新聞の連載小説に近いものだし、司馬遼太郎でも、村上春樹でもなく、宮藤官九郎こそ現在の最大の国民作家だと思います。  『あまちゃん』で震災が描かれたのは、関東大震災の90年後の翌日でした。奇しくも前日には、『風立ちぬ』で関東大震災を克明に描いた宮崎駿が引退宣言をしている。去年亡くなった僕のおふくろは毎日NHKの朝ドラを観ていて、夏の時期になると戦争の場面で決まって涙を流しながら自分の戦争体験を語っていました。僕は戦争を知らない世代なので、その涙の本当の意味は分かりませんでしたが、しかし東日本大震災を経験し、それが『あまちゃん』で描かれるのを観て、「こういうことだったのか」と理解ができた。これが国民作家のやることであって、その地位が宮崎駿から宮藤官九郎に移ったのではないかと思います。彼はクドカンと呼ばれて飄々とした人ですが、『あまちゃん』でそういう役割を担ったのではないかと。 ――宮藤官九郎は時代を描ける作家になったという意味でしょうか? 中森:「時代」という大きな話で見ると、例えば戦前までは軍国主義で領土を拡大していったが、それは大失敗だった。これは宮崎駿のテーマでもあるでしょう。その後、日本は『三丁目の夕日』的な高度成長期を経て、経済大国になりますが、その果てにはバブルの崩壊があり、何が豊かなのかがわからなくなった。  そんな中で『あまちゃん』を観ていて、面白かったのはアキの祖母、宮本信子が演じた“夏ばっぱ”の言葉です。母の春子はアキがアイドルになることに反対するのに対し、夏ばっぱは「観光海女は人を喜ばすのが仕事。アイドルも同じだからやればいい」と言う。ここで貫かれている価値観は、“人を喜ばせること”です。僕は『アイドルにっぽん』という本で、軍事大国になるとか、経済でバブルになって浮かれて騒ぐのではなく、「日本はアイドルになるべきだ」と書きました。アイドルは歌がうまいわけではないが、周りの人が元気になる。北三陸では、人を喜ばせて自分も喜ぶという社会が見事にできています。
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約2時間にわたって『あまちゃん』を語った中森明夫氏

 また、『あまちゃん』で素晴らしいのは、その夏ばっぱが経営するスナック「リアス」です。ユイちゃんがグレて問題を起こしても、ユイちゃんのママが不倫らしきことをしても、ばっぱが「もうよかっぺ」と言えばそれで終わり、というゆるい感覚。学生やアルバイトのちょっとしたいたずらや、ツイッターでのちょっとした発言がものすごい攻撃を受けてしまう、生きづらい現実の社会とは逆です。あまロス(あまちゃんロス症候群)が話題になっているのは、番組が終わって「リアス」のような場所が失われた感覚があるからではないでしょうか。言うなれば、行きつけのお店がなくなってしまった感じ。  しかし、『あまちゃん』ではすでに“あまロス対策”に答えている。本作は、内向的なアキが東京でいじめられて引きこもっていたとき、三陸に引っ越して夏ばっぱに会い、東京にはない素敵な人間関係があることを見つける話です。そこで彼女は海女になり、地域アイドルとして周りを楽しませるが、それは東日本大震災で失われてしまう。これは、いまのあまロスの視聴者と同じ状況です。そして、その後の物語は失われたものを作り直すことがテーマになっている。あまロスの処方箋は、僕ら自身が自分の場所を作り直していく、ということではないでしょうか。 ――現状のアイドルシーンに対し、『あまちゃん』あるいは能年玲奈はどんなことを投げかけているのでしょうか? 中森:宮藤さんははっきりとは言いませんが、インタビューなどを読むと、やはりAKB48は好きじゃないんじゃないか。太巻こと荒巻太一は明らかに秋元康のパロディでしょう。最後はいい人になっているけれど、全体としては東京のアイドルグループが風刺され、皮肉に描かれている。アキはGMTに選ばれるがクビになり、映画女優として名を挙げて、太巻は改心。そして、ユイとのユニット「潮騒のメモリーズ」で復活します。つまり、現在の東京のグループアイドルを構造上否定し、ローカルアイドルの勝利を謳っている。  『あまちゃん』はAKB批判というより、アイドルシーンの批評であり、その結果として、能年玲奈が突出した。今や彼女はAKBを含む現在のアイドルの中でもトップレベルの人気者です。その上で僕が思うのは、『あまちゃん』を到達点としてたたえてしまったら、アイドルシーンが終わってしまうのではないか、ということです。この作品は80年代からのアイドルの富の多くを取り込むことによって成立している。そうであるなら、今度は僕らが『あまちゃん』からアイドルを奪い返さなくてはならない。『あまちゃん』を到達点ではなく、あくまでアイドル史の通過点とするために。『あまちゃん』によって総括されきっていないものとは何か? それが能年玲奈です。能年玲奈こそが『あまちゃん』を越えるものであり、アイドルの未来なんだと。今度、出る『午前32時の能年玲奈』(河出書房新社)という僕の本で書いたのは、そういうことなんですね。若い世代は能年玲奈に朝の輝きを見る。しかし、僕らのような80年代アイドルを見てきたものにとっては夜を越えた光を感じる。同じものを見ても二重性を帯びるんです。午前8時と32時に。つまり能年玲奈は「朝」と「超・夜」の二重の輝きによって満たされている。これが『あまちゃん』から導き出された僕の最大のテーゼであり、能年玲奈の可能性の中心です。能年玲奈はアイドルの未来を切り開きますよ!!
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天野春子『潮騒のメモリー』(ビクターエンタテイメント株式会社)

――『あまちゃん』の内容についてもう一つ、最後に鈴鹿ひろ美が、影武者たる春子が歌っていた「潮騒のメモリー」を自分で歌うシーンがあり、これに感動したファンが多かったようです。こちらについてはどう捉えましたか? 中森:小泉今日子もそうですが、歌がうまいというより、ものすごく味がありますね。80年代には春子が影武者として歌い、才能ある少女がアイドルになれない、という悲劇を産んでしまった。しかし、そのおかげでアキという女の子が生まれたのも事実なんです。そのアキは東京で鈴鹿ひろ美の付き人になり、アイドルとして育てられます。つまりアキは鈴鹿ひろ美と天野春子という二人の母親を持って、2010年代のトップアイドルの女王位を継承する。これは小泉今日子と薬師丸ひろ子という80年代2大アイドルの女王位を継承する能年玲奈とパラレルです。  鈴鹿ひろ美の歌うシーンがなぜあれだけ感動するかというのは、やはり歌詞を書き換えたからでしょう。東日本大震災があった中で、「三途の川のマーメイド」なんてひどい話です。しかし、鈴鹿ひろ美はそれを「三代前からマーメイド」と天野家の歌詞として、自分の歌声で歌い上げた。かつて自分がアイドル生命を抹殺したひとりの女性の人生を肯定してみせた。それが感動を呼んだのでしょう。 ――なるほど。中森さんは、「間違った歴史を今から書き換えて肯定的なものにする」という行為は『あまちゃん』に限らず、現実にも必要だとしていますね。 中森:『あまちゃん』には、現実との異常なシンクロを感じるんです。サンミュージックの社長の死や、藤圭子宇多田ヒカルの物語……特に宇多田ヒカルについては、母親が達成できなかった夢を娘が芸能界で実現したという意味でも、重なります。さらには、『あまちゃん』が放送された年に、東京オリンピックの開催が決まったこと。前回の東京オリンピックが開催されたのは1964年です。プロ野球で王貞治が55本の本塁打記録を達成した年でもある。今年はヤクルトスワローズのバレンティンがその記録を破りました。今年は1964年的なものが更新される年なんですよ。  64年は『あまちゃん』の中でも重要な年です。元祖アイドルの夏ばっぱが「橋幸夫歌謡ショー」で一緒に歌った年でもある。また、現実では吉永小百合が映画『潮騒』に主演した年で、「潮騒のメモリー」はそのオマージュです。そして、能年玲奈は吉永小百合のように、国民的女優になった。
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左・岡島紳士氏/右・中森明夫氏

 夏ばっぱ、春子、アキという三世代の時代で、日本は終戦から経済復興を遂げ、世界に冠たる国になりました。アキちゃんならぬアベちゃん(安倍首相)も、このストーリーに重なります。おじいさんであるところの岸信介がアイドル(総理)になり、父の晋太郎さんはなれなくて、自分が再びアイドルになったというのも不思議な符合です。経済復興はけっこうだし、東京オリンピックで盛り上がるのもいい。ただ、かつての時代を反復するように日本はよくならないだろうし、いまだ解決していない原発事故の問題もある。やはりアベノミクスではなく、アマノミクスでしょう。『あまちゃん』のモデルでみんなが喜びあって経済のみではなく心の復興をめざすべきではないでしょうか。7年後の東京オリンピックの開会式には潮騒のメモリーズを再結成して、そこでものすごくアナーキーなパフォーマンスをやってもらって、みんなで久しぶりに「じぇじぇじぇ」って(笑)。 第3回に続く(インタビュアー=岡島紳士/写真・文=編集部)

桜塚やっくんの悲劇を生んだクルマ移動 バンド界ではメンバー運転が当たり前との証言

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美女♂menZ『美女♂menZ~魔法のアルバム~ 全国流通ver.』(ニンニクレコード)

【リアルサウンドより】  「スケバン恐子」でブレイクし、歌手として活動していた桜塚やっくん(37)が10月5日、山口県の中国自動車道にて交通事故を起こし亡くなった。  歌手としての桜塚は、2006年に『ゲキマジムカツク』でCDデビュー、2010年からはメンバー全員が女装したバンド「美女♂men Z」(旧名:美女♂men Vlossom)のボーカルを務めていた。そんな桜塚の突然の訃報に、ゴールデンボンバーの歌広場淳や元FUNKY MONKEY BABYSのファンキー加藤など、芸人仲間のみならず多くのミュージシャンからも追悼の言葉が寄せられている。  イベント出演のため熊本に向かう道中で起こった今回の事故。ミュージシャンがライブ会場への移動中に事故を起こした例は他にもあり、2003年にはKemuriのトランペット奏者・森村亮介の運転する機材車が横転し、森村が死亡、ドラマーの平谷庄至が重傷を負った。また、2010年にはヴィジュアル系バンド・我羇道のボーカル・piyoが亡くなっている。  今回の事故について、桜塚本人が運転を行っていたことに驚く声も見られたが、これは珍しいケースなのだろうか。ライブを多く行うバンドの事情に詳しい音楽業界関係者に話を聞いた。 「ホールやアリーナクラスの会場でライブを行うバンドだと、メンバーは新幹線で移動し、機材は車で……というパターンもあるんでしょうけど、ライブハウスクラスのバンドの場合、それでは採算がとれない。そのため、車移動で当たり前、という認識ですね。と言っても、『俺たちは車で移動するしかない』などとネガティブに捉えているわけではなくて、ごくごく自然な行為です。ツアーのスケジュールも、移動の負担を考えた上で組んでいます。  メンバーが運転するのもよくあることで、『ここまでは俺が運転するから、ここで代わろう』と決めておくこともありますし、疲れたときに『交代して』と頼んだり、あるいは『交代しようか?』と声をかけたりと、一般の方が大人数で車移動するときと変わりません」  ごく一部の売れっ子バンドを除いては、車移動が当然のことになっているようだ。しかし桜塚の場合、経済的余裕はあったものの、「少しずつ上がっていく感覚を一緒に味わいたい」という理由でメンバーと一緒に行動することを選んだと、スポーツニッポンは報じている。移動まで共にすることでバンドの一体感が育っていくというメリットはあるようだが、バンドマンにはくれぐれも安全運転をお願いしたい。 (文=編集部)

「能年玲奈こそが『あまちゃん』を越えるもの」 中森明夫が示す、アイドルと日本の未来

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大友良英『連続テレビ小説「あまちゃん」オリジナル・サウンドトラック 2』(ビクターエンタテインメント)

【リアルサウンドより】 岡島:『あまちゃん』が震災を描いたこと自体についてはどうでしょうか。 中森:NHKの朝ドラというお年寄りも東北の人も見ている場で、まだ2年半しか経っていないセンシティブなテーマを取り上げる。これは、宮城県出身の宮藤さんと、音楽を担当した福島育ちの大友良英さんというコンビでなければできなかったと思います。これまでサブカルチャー的な若者主体のドラマの書き手だった宮藤さんにとっては、まだ傷の癒えていない震災を描くのは大変なことだったでしょうね。僕は宮藤さんをポスト・モダンの代表的なクリエイターだと思っていました。つまり、戦争、学生運動などの大きな物語ではなく、“小ネタ”をうまく描く作家だと。宮藤官九郎は初めて「大きな物語」を書いた。作家としてジャンプしたんだと思います。  アイドルは大したものじゃないとか、サブカルチャーで軽いものだとか言われますが、AKB48はいまだに震災のチャリティーをやっているし、震災後の東北を励まし続けてきた。作中では「GMTなんて偽善じゃないか」「でも、元気にしてくれるよね」というやりとりもありましたが、毎日2000万人が観ている“テレビ小説”の影響力は圧倒的です。新聞の連載小説に近いものだし、司馬遼太郎でも、村上春樹でもなく、宮藤官九郎こそ現在の最大の国民作家だと思います。  『あまちゃん』で震災が描かれたのは、関東大震災の90年後の翌日でした。奇しくも前日には、『風立ちぬ』で関東大震災を克明に描いた宮崎駿が引退宣言をしている。去年亡くなった僕のおふくろは毎日NHKの朝ドラを観ていて、夏の時期になると戦争の場面で決まって涙を流しながら自分の戦争体験を語っていました。僕は戦争を知らない世代なので、その涙の本当の意味は分かりませんでしたが、しかし東日本大震災を経験し、それが『あまちゃん』で描かれるのを観て、「こういうことだったのか」と理解ができた。これが国民作家のやることであって、その地位が宮崎駿から宮藤官九郎に移ったのではないかと思います。彼はクドカンと呼ばれて飄々とした人ですが、『あまちゃん』でそういう役割を担ったのではないかと。 岡島:宮藤官九郎は時代を描ける作家になったという意味でしょうか? 中森:「時代」という大きな話で見ると、例えば戦前までは軍国主義で領土を拡大していったが、それは大失敗だった。これは宮崎駿のテーマでもあるでしょう。その後、日本は『三丁目の夕日』的な高度成長期を経て、経済大国になりますが、その果てにはバブルの崩壊があり、何が豊かなのかがわからなくなった。  そんな中で『あまちゃん』を観ていて、面白かったのはアキの祖母、宮本信子が演じた“夏ばっぱ”の言葉です。母の春子はアキがアイドルになることに反対するのに対し、夏ばっぱは「観光海女は人を喜ばすのが仕事。アイドルも同じだからやればいい」と言う。ここで貫かれている価値観は、“人を喜ばせること”です。僕は『アイドルにっぽん』という本で、軍事大国になるとか、経済でバブルになって浮かれて騒ぐのではなく、「日本はアイドルになるべきだ」と書きました。アイドルは歌がうまいわけではないが、周りの人が元気になる。北三陸では、人を喜ばせて自分も喜ぶという社会が見事にできています。
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能年玲奈がいかに突出した存在かを語る中森明夫氏

 また、『あまちゃん』で素晴らしいのは、その夏ばっぱが経営するスナック「リアス」です。ユイちゃんがグレて問題を起こしても、ユイちゃんのママが不倫らしきことをしても、ばっぱが「もうよかっぺ」と言えばそれで終わり、というゆるい感覚。学生やアルバイトのちょっとしたいたずらや、ツイッターでのちょっとした発言がものすごい攻撃を受けてしまう、生きづらい現実の社会とは逆です。あまロス(あまちゃんロス症候群)が話題になっているのは、番組が終わって「リアス」のような場所が失われた感覚があるからではないでしょうか。言うなれば、行きつけのお店がなくなってしまった感じ。  しかし、『あまちゃん』ではすでに“あまロス対策”に答えている。本作は、内向的なアキが東京でいじめられて引きこもっていたとき、三陸に引っ越して夏ばっぱに会い、東京にはない素敵な人間関係があることを見つける話です。そこで彼女は海女になり、地域アイドルとして周りを楽しませるが、それは東日本大震災で失われてしまう。これは、いまのあまロスの視聴者と同じ状況です。そして、その後の物語は失われたものを作り直すことがテーマになっている。あまロスの処方箋は、僕ら自身が自分の場所を作り直していく、ということではないでしょうか。 岡島:現状のアイドルシーンに対し、『あまちゃん』あるいは能年玲奈はどんなことを投げかけているでしょうか? 中森:宮藤さんははっきりとは言いませんが、インタビューなどを読むと、やはりAKB48は好きじゃないんじゃないか。太巻こと荒巻太一は明らかに秋元康のパロディでしょう。最後はいい人になっているけれど、全体としては東京のアイドルグループが風刺され、皮肉に描かれている。アキはGMTに選ばれるがクビになり、映画女優として名を挙げて、太巻は改心。そして、ユイとのユニット「潮騒のメモリーズ」で復活します。つまり、現在の東京のグループアイドルを構造上否定し、ローカルアイドルの勝利を謳っている。  『あまちゃん』はAKB批判というより、アイドルシーンの批評であり、その結果として、能年玲奈が突出した。今や彼女はAKBを含む現在のアイドルの中でもトップレベルの人気者です。その上で僕が思うのは、『あまちゃん』を到達点としてたたえてしまったら、アイドルシーンが終わってしまうのではないか、ということです。この作品は80年代からのアイドルの富の多くを取り込むことによって成立している。そうであるなら、今度は僕らが『あまちゃん』からアイドルを奪い返さなくてはならない。『あまちゃん』を到達点ではなく、あくまでアイドル史の通過点とするために。『あまちゃん』によって総括されきっていないものとは何か? それが能年玲奈です。能年玲奈こそが『あまちゃん』を越えるものであり、アイドルの未来なんだと。今度、出る『午前32時の能年玲奈』(河出書房新社)という僕の本で書いたのは、そういうことなんですね。若い世代は能年玲奈に朝の輝きを見る。しかし、僕らのような80年代アイドルを見てきたものにとっては夜を越えた光を感じる。同じものを見ても二重性を帯びるんです。午前8時と32時に。つまり能年玲奈は「朝」と「超・夜」の二重の輝きによって満たされている。これが『あまちゃん』から導き出された僕の最大のテーゼであり、能年玲奈の可能性の中心です。能年玲奈はアイドルの未来を切り開きますよ!!
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天野春子『潮騒のメモリー』(ビクターエンタテイメント株式会社)

岡島:『あまちゃん』の内容についてもう一つ、最後に鈴鹿ひろ美が、影武者たる春子が歌っていた「潮騒のメモリー」を自分で歌うシーンがあり、これに感動したファンが多かったようです。こちらについてはどう捉えましたか? 中森:小泉今日子もそうですが、歌がうまいというより、ものすごく味がありますね。80年代には春子が影武者として歌い、才能ある少女がアイドルになれない、という悲劇を産んでしまった。しかし、そのおかげでアキという女の子が生まれたのも事実なんです。そのアキは東京で鈴鹿ひろ美の付き人になり、アイドルとして育てられます。つまりアキは鈴鹿ひろ美と天野春子という二人の母親を持って、2010年代のトップアイドルの女王位を継承する。これは小泉今日子と薬師丸ひろ子という80年代2大アイドルの女王位を継承する能年玲奈とパラレルです。  鈴鹿ひろ美の歌うシーンがなぜあれだけ感動するかというのは、やはり歌詞を書き換えたからでしょう。東日本大震災があった中で、「三途の川のマーメイド」なんてひどい話です。しかし、鈴鹿ひろ美はそれを「三代前からマーメイド」と天野家の歌詞として、自分の歌声で歌い上げた。かつて自分がアイドル生命を抹殺したひとりの女性の人生を肯定してみせた。それが感動を呼んだのでしょう。 岡島:なるほど。中森さんは、「間違った歴史を今から書き換えて肯定的なものにする」という行為は『あまちゃん』に限らず、現実にも必要だとしていますね。 中森:『あまちゃん』には、現実との異常なシンクロを感じるんです。サンミュージックの社長の死や、藤圭子宇多田ヒカルの物語……特に宇多田ヒカルについては、母親が達成できなかった夢を娘が芸能界で実現したという意味でも、重なります。さらには、『あまちゃん』が放送された年に、東京オリンピックの開催が決まったこと。前回の東京オリンピックが開催されたのは1964年です。プロ野球で王貞治が55本の本塁打記録を達成した年でもある。今年はヤクルトスワローズのバレンティンがその記録を破りました。今年は1964年的なものが更新される年なんですよ。  64年は『あまちゃん』の中でも重要な年です。元祖アイドルの夏ばっぱが「橋幸夫歌謡ショー」で一緒に歌った年でもある。また、現実では吉永小百合が映画『潮騒』に主演した年で、「潮騒のメモリー」はそのオマージュです。そして、能年玲奈は吉永小百合のように、国民的女優になった。
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左・岡島紳士氏/右・中森明夫氏

 夏ばっぱ、春子、アキという三世代の時代で、日本は終戦から経済復興を遂げ、世界に冠たる国になりました。アキちゃんならぬアベちゃん(安倍首相)も、このストーリーに重なります。おじいさんであるところの岸信介がアイドル(総理)になり、父の晋太郎さんはなれなくて、自分が再びアイドルになったというのも不思議な符合です。経済復興はけっこうだし、東京オリンピックで盛り上がるのもいい。ただ、かつての時代を反復するように日本はよくならないだろうし、いまだ解決していない原発事故の問題もある。やはりアベノミクスではなく、アマノミクスでしょう。『あまちゃん』のモデルでみんなが喜びあって経済のみではなく心の復興をめざすべきではないでしょうか。7年後の東京オリンピックの開会式には潮騒のメモリーズを再結成して、そこでものすごくアナーキーなパフォーマンスをやってもらって、みんなで久しぶりに「じぇじぇじぇ」って(笑)。 第3回に続く(インタビュアー=岡島紳士/写真・文=編集部)

薬師丸ひろ子、佐々木希、新垣結衣…「女優の歌声」に学ぶアイドル歌謡の神髄

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栗山千明『0』(DefSTAR RECORDS)

【リアルサウンドより】  今回は「女優とポップ・シンガー」について書きます。  まず、読者の皆様の中で、栗山千明の歌声を聴いたことのある方はいらっしゃいますか。女優として2000年の映画『バトル・ロワイヤル』でブレイク、モデルとしては90年代から活躍している彼女。歌手としてのイメージはあまりないかもしれませんが、10年にCDデビューしています。11年には浅井健一や椎名林檎といった筋金入りロック・スターのプロデュースでルーズかつキュートなシングルを連発。今年4月にリリースしたシングルではさらにエッジを尖らせて、激重ギター・リフでおなじみ、9mm Parabellum Bulletの滝善充をプロデューサーに迎えた超絶オルタナ・ロック・ナンバーを投下。さらに10月23日発売の新曲「0」はlalalarksが楽曲を提供したダブステップ・コンシャスなフィルターハウス歌謡で、これまた実に爽快な佳作です。どの作品も、クオリティの高い楽曲を女優ならではの豊かな表現力で演じており、栗山千明のネームバリューや注ぎ込まれたであろう予算を勘案すると「もっと売れてよい」という印象を抱きます。  かつては、映画やドラマの主題歌を主演女優が歌ってヒットするケースが多くありました。薬師丸ひろ子「セーラー服と機関銃」は最も衝撃的で、気品ある美しい楽曲に乗せた清楚な歌声が鮮烈でした。CMソングを女優が歌ってヒットした斉藤由貴のようなケースも最近あまり見ない気がします。近年「ポップ・シンガーとして成功した女優」が激減しているのではないでしょうか。現在活躍している女優で、コンスタントに高いCDセールスを記録しているのは、柴咲コウぐらいしか思いつきません。  栗山千明のCDがなぜ大ヒットしないのか、と考えると、それは単純に、市場で求められていないからだと思います。栗山千明のファンが求めているのはテレビや映画での美貌や華麗な演技であり、彼女が演じる「そのまんま椎名林檎」なボーカルやオートチューンで加工されたボカロめいた歌声の入ったCDは求められていない、ということでしょう。さらに、9mm Parabellum Bulletのファンなどには「この栗山千明の曲、卓郎に歌ってほしい」というジレンマさえ生まれます。作家として参加したアーティストのファンにも、自身のファンにも、ギャップを抱かせてしまっているのが現状でしょう。  この強烈な「これじゃない感」と「本業以外のことをやらされている感」が「女優の歌」が売れない原因であり、同時に、特有の魅力なのだと思います。  それでは「すでに歌手デビューしている女優」と「これから歌手デビューしてほしい女優」を分類して、「女優とポップ・シンガー」について少し考察したいと思います。  すでに歌手デビューしている人気女優として、まず挙げたいのが新垣結衣です。07年に主演映画の主題歌「メモリーズ」を収録したアルバム『そら』でデビューしていますが、初回限定盤のジャケットに採用された自筆のイラスト(サイケデリックな色使いで描かれた謎の爬虫類)が強烈すぎて、そのキュートな歌声についてあまり言及されていないのが残念です。  今や国民的女優となった綾瀬はるかも06年に歌手としてデビューしています。これまで4枚のシングルをリリースしていますが、MY LITTLE LOVERやEVERY LITTLE THINGを思わせるちょっと懐かしいテイストのバラードが多く、透明感あふれる歌声とよくマッチしていて、イメージを裏切りません。  期待の若手女優、武井咲は11年12月に「恋スルキモチ」というシングルをリリースしています。GLAYのTAKUROが書き下ろした切ない恋心を描いた冬のバラード。私はファースト写真集を発売日に買ったほどのファンなのですが、「彼女の魅力は高慢さがにじみ出た貌と鼻にかかった幼い声質とのギャップにあり」と考えていたので、歌手としての活躍にも大いに期待しました。しかし、この曲のクオリティは実に凡庸で、「ベイビ、ベイビ、ベイビ」という歌い出しで「あー、これTAKURO全然やる気ないわ」と瞬時に判明する駄曲です。これ以降、武井咲のCDは出ておらず、残念ながら歌手としての活躍を見ることはできていません。  佐々木希が10年のクリスマスに向けてリリースしたCD「ジン ジン ジングルベル」をご存じでしょうか。Pentaphonicというヒップホップ・チームとの共演で、可愛いラップと若干の歌唱を聴かせています。「ボイス・トレーニングなど知らない」と言わんばかりにフィーチャーされた地声の不安定さがたまらなくキュートです。なんの考えもなしに適当に作った感じのサビメロと相まって、脳の聴覚野が溶けていくような絶望感いや多幸感を覚える、良くも悪くもインパクトのある好盤で、たぶんブックオフで100円で売っているので、見かけたら買われるとよいのではないでしょうか。  続いて、「これから歌手デビューしてほしい女優」について妄想します。  今、最も脂の乗っている女優といえば、石原さとみ。彼女の可愛さには抗いがたいものがあります。どんなに良い楽曲も、彼女のキュートネスの前には霞んでしまうでしょう。そう考えると、ハンドメイドなイメージ、ナチュラルなテイストで、石原さとみ自身の素材の魅力を引き出す敏腕シェフのようなプロデューサーが必要です。とはいえ、ここでまたGLAYのTAKUROにお願いしたら、平凡で眠たいバラードを作ってきそうです。トクマルシューゴがよいのではないでしょうか。彼なら、石原さとみのエッセンスに見合ったクオリティの楽曲を作りそうな気がします。きっとさとみちゃんとポップ・ミュージックの未来を切り拓いてくれることでしょう。  吉高由里子は、RADWIMPSの野田洋次郎と恋の噂がありますから、彼のプロデュースで歌手デビューすればいいんじゃないですか。最近ラッドに似たバンドがたくさん出てきて幅を利かせていますから、本家を従えて吉高が歌えば、他の亜流バンドはきっと太刀打ちできずに沈静化するのではないでしょうか。  日南響子は、映画の主題歌の着うた配信などがあったもののCDデビューはしていないようです。配信された曲を聴いてみましたが、中島美嘉のアルバムの7曲目ぐらいにひっそり入ってそうな感じの、あまり印象に残らないバラードでした。沢尻エリカ以来久々に現れたヤバそうな素性と美貌を併せ持つ逸材ですから、CDを出す機会があれば慎重に企画してほしいものです。ギター一本でアイドル・フェスの大舞台に立ち、迸る情念と絶叫でドルヲタをロック・オンした気鋭のシンガーソングライター、大森靖子に任せましょう。彼女の激情、剥き出しの愛は、厄介な煩悶を抱える女優が歌うことで、さらに多くの人々の共感を呼ぶことでしょう。  最後に、ぜひ聴いてみたいのが堀北真希の歌声です。彼女はなぜCDを出さないのでしょう。破壊的な音痴なのでしょうか。ダンスしている動画などを観ていると、決してリズム感は悪くないようです。声もキレイですし、決して歌が下手なようには見えません。ただ、90年代の広末涼子みたいにキャピキャピした元気なポップスを歌うというキャラクターではありませんし、じっくりバラードを唄うとなるとまたGLAYのTAKUROみたいなのが出てきそうで怖い。彼女の透明感には、きっとテクノが合います。それもエモっぽさのない透徹としたテクノ。そうなると日本には彼らしかいません。歌手・堀北真希は電気グルーヴがプロデュースすべきでしょう。石野卓球がなんとかしてくれるはずです。  妄想が過ぎました。 「国民的大女優を目指す下積みガールズユニット」を標榜する「夢みるアドレセンス」や、すでに女優として活躍しているメンバーを擁する「bump.y」や「9nine」といったアイドル・グループを見ていると、女優とポップ・シンガーの境界の垣根はどんどん低くなっているように思います。また、美しい女性ボーカリストが野心あふれるクリエイターと手を組んでマーケットを活性化していくのは、正しいポップスの歴史のあり方だと思います。とにかく、美しくて可愛い女の子たちが素敵な歌を唄っている姿を、これからもたくさん見たいです。 ●プロフィール 山口真木(やまぐち・まき) 大阪出身の27才、OL。ポップスとロックと女の子をこよなく愛する。何かに毒づいてばかりの思春期まっただ中。『あまちゃん』を全然観ていなかったので、今回のコラムでも能年玲奈や橋本愛にあえて触れてない天邪鬼です。信じてもらえないことが多いのですが、テレビを持ってないのです。いまだに「地デジ化反対」を主張している両親の影響です。でも『乃木坂って、どこ?』だけは毎週ワンセグで観てます。まいやん可愛い。

EXILEの“成り上がり”を支える、リーダーHIROの物語プロデュース力

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EXILE『No Limit』rhythm zone

【リアルサウンドより】  今年4月、EXILEのHIROは2013年いっぱいでパフォーマーとしての活動を終え、今後はプロデューサーとして同グループに関わっていくと発表した。彼はEXILEのリーダーであり、また所属会社の社長でもあるから、グループの方針どころか今や巨大になったEXILE関連組織のすべてを動かしてきたのだろう。だから、プロデューサーへの転身には不思議はない。つまり彼はもともとプロデューサー的に振る舞っていたのであり、今後は二足の草鞋であったパフォーマーをやめてプロデュース業に専念すると考えることは可能だ。しかし、何か変に引っかかるものも感じられる。なぜだろう。  HIROについて調べると苦労話がいろいろ見つかる。とにかく苦労して、努力して、仲間と意志を確かめ合って、高め合って、だから今の成功がある、という話が豊富に採取できる。自伝的な本まで書いている。そこにあるのはだいたいにおいて音楽の話などではない。周辺で語られるのは彼の音楽よりも、まずは生き方についてなのだ。デビューに至るまでにはいろいろと苦難の連続があり、そもそもHIROが社長に就任したのも最後に残った仲間たちと身銭を切り合った果てのことであったという。だがそのストーリーの核にあるのは、日本で多くの若者が経験する種類のもので、内容的には塗装工が仲間と起業して小さな作業場を構え、社会的に居場所を得ていくというようなものと、さほど変わりはしない。成功体験の規模が違うだろうと思うかもしれないが、しかしならばHIROは、そしてEXILEのメンバーは、ごまんといる「そういう人びとにとっての島耕作」みたいな存在として、成り上がりのストーリーを生きていると言ってもいい。  そしてこのストーリーの存在こそが、HIROという人間の際だった点なのだと思う。つまり彼は彼自身と”仲間”を、辛く苦しい物語の主人公として語ることで成功体験を美しく彩ってきた。いわば彼は自分自身を含めてEXILEを物語化するという意味においてプロデューサーだった。そして、その物語を生きる、演じるという意味でもパフォーマーであった。だからEXILEの楽曲にはHIRO以外に専属の、音楽的な意味でのプロデューサーがいて、楽曲的な部分は大枠として彼らに任されている。そして、HIROはもっとカラオケで歌いやすい曲を作るべきだと指示したり、ダンスオーディションやスクール運営なども含めて、ダンスパフォーマンスを中心とした成功物語へ向けて人びとの人生を物語化するというプロデュース活動を行っている。まあ、芸能事務所かレコード会社の社長業に近い。  むろん音楽シーンの状況とHIROの動きに関連がないわけではない。HIROは89年にデビューしたZOOというダンスグループの一員であり、EXILEがその後継グループと目されることもあるこのグループは『Choo Choo TRAIN』のスマッシュヒットでオリコン3位となり、90年代のダンスブームにうまく乗っていた。しかしその後ブームが下火になると低迷し、95年には解散している。男性のR&Bやダンス系ミュージシャンが再度日の目を見るには、90年代後半の日本語ラップシーンの成熟や和製ディーヴァブームを経るまで待たねばならなかった。そういう音楽シーン側から見たようなことはいくらでも言える。が、そうした説明をしても、HIROのプロデューサーとしての才覚や立ち位置とは微妙にズレている。だから音楽シーンの言葉でHIROを語るのは難しいのだろう。  EXILEは2003年にタイアップ攻勢を利かせたアルバムでチャート1位を記録するが、このやり方自体は実に90年代的なもので、特に新しさはなかった。そういった手法を採ること自体が、このグループの年期を感じさせる。しかし同じ年、EXILEはオリコン2位のロングヒット曲『Breezin' 〜Together〜』を発売し、これはメンバーの自信につながっていた。そこにもやはり、「自分たちを信じて頑張る」というような浪花節の物語が差し挟まれている。これは何かに似ていると思えば、それはゼロ年代以降に台頭したグループアイドルの見せる、売れない下積み期間を経て、やっと大きな場所でライブをやり、ついにオリコンで上位になるという「感動の物語」と、ほとんど同じものだ。アイドルシーンでライブを中心に活動するアイドルが増え、そうした「感動の物語」が観客に求められるようになっていくのも2003年以降のことなのである。その意味でHIROの、というかEXILEのやり方は時代に寄り添っている。近年のEXILEはAKB48と何ら変わらない複数枚CD販売を行っているが、それもむべなるかなと言ったところである。  結局、今の音楽チャート上位を席巻しているのは音楽の力よりも物語の力であり、プロデュースという役割には物語をうまく演出するという意味が含まれるようになった。その点でHIROは手練れである。HIROは自分たちの来し方行く末をしっかりと見据えて、それを熱くカッコいい物語にして売っている。ストーリーラインを把握している。突発的な行動に出たりもしない。だから、彼は今年4月の時点でパフォーマー引退を宣言したし、彼はそのストーリーをパフォーマンスしている。 ■さやわか ライター、物語評論家。『クイック・ジャパン』『ユリイカ』などで執筆。『朝日新聞』『ゲームラボ』などで連載中。単著に『僕たちのゲーム史』『AKB商法とは何だったのか』がある。Twitter

KARAメンバー脱退で改めて注目 なぜK−POPグループには揉め事が多い?

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KARA『FANTASTIC GIRLS』(ユニバーサル・シグマ)

韓国の人気女性5人グループKARAが10月4日、一部メディアの解散報道を公式ホームページで否定した。一方で、ニコルが来年1月で脱退することを発表。大学生のジヨンは来年4月、所属事務所との契約終了時点で脱退するかを決めるという。また、ギュリ、ハラ、スンヨンの3人はKARAとして活動を継続することを表明した。  KARAのメンバーは2011年1月にも分裂騒動を起こしている。正当な利益を受け取っていないとして、スンヨン、ニコル、ジヨンの3人が所属事務所に専属契約解除を通知、訴訟にまで発展した。韓国メディアによると、受け取った報酬が1人当たり月14万ウォン(約1万円)ということもあったという。今回、脱退を決めたニコルは当時、韓国のレギュラー番組『豪快ガールズ』を途中降板しており、事務所との確執はメンバーの中で最も根深かったと言われている。  K-POPの脱退騒動は、他にも絶えない。東方神起、T-ARAのケースに加え、2013年8月には、K-POPアイドルグループの火付け役Wonder Girlsにも、メンバーのソネの結婚にともない解散説が流れた。  なぜK-POPのアイドルグループにはこうも解散や分裂の問題が付きまとうのか。K-POPに 詳しい韓流雑誌編集者に尋ねてみた。 「それぞれの事情があり、KARAの場合はまだ判然としません。ただ、ほとんどのケースで問題となっているのはギャラの安さですね。なぜギャラが安いかというと、事務所の言い分では育成期間の長さと、その費用の高さです。韓国の芸能界では、小学生くらいの時にスカウトして、17~18歳でデビューさせるのに長くて7~8年、短くても3年をかけて育てるのが一般的。ダンスや歌のレッスンはもちろん、海外でも活躍できるように、メンバーそれぞれに異なる外国語を教えたりします。ダンスの先生がニューヨークにいるってなれば、それも行って覚えさせたりと、とにかくレッスンにはお金を惜しまないんですね。そうした育成期間の長さがダンス等のクオリティにつながっているのは事実ですし、『育成費用を回収するためにギャラが安い』っていうのが事務所側の主張ですが、ブレイクしたグループのメンバーはやはり納得しないことも多い」  では今回、メンバーの脱退が決まったKARAだが、今後はどのように活動していくのか。 「日本を拠点にやっていくんじゃないでしょうか。KARAって実は、少女時代などと比較すると、韓国ではそれほど人気があるわけではないんです。どちらかと言うとJ-POPに近いグループで、日本の方が相性良い。韓国では抜群のダンススキルや歌唱力が求められますが、KARAの場合は特に際立ったスキルがある訳ではありません。しかし日本の場合は、スキルよりも成長過程を楽しんだり、キャラクターを愛でたりする傾向があるので、KARAの親しみやすさが好印象に映るのではないでしょうか。でも、彼女たちがソロになって日本で活躍できるかと言ったら、それはわからないですよね。グループとして人気があるのだから、分裂などしないのが理想ですが……」  分裂、解散騒動が後を絶たないK-POP界だが、KARAはそのキャッチ―な魅力を発揮し続けることができるだろうか。 (文=松下博夫) 

AKB48の恋愛禁止はもう古い? 武田鉄矢の“恋の自由化”提起に波紋広がる

【リアルサウンドより】  武田鉄矢がプロデュースした4人組女性アイドルユニット「赤マルダッシュ☆」が2日、都内で楽曲完成披露会を行った。同グループは東洋水産の人気カップ麺「赤いきつね」のPRを兼ねた“食べドル”をコンセプトにしているが、アイドルにつきものの恋愛禁止ルール がないことも特徴だ。武田は「恋愛は自由。恋は人間を鍛える最高のレッスンですから」とコメントしている。  この“恋愛自由宣言”に対し、ネット上では「そもそも恋愛禁止ルールがおかしい」「多感な年ごろだから恋をするのは当然」「さすが金八先生だね」と賛同する声がある一方、「15歳のメンバーとかいるのに、堂々と恋愛自由を掲げるのはどうかと思う」「そんなこと言ったらファンが勘違いするのでは」「アイドルの神聖さがなくなる」と疑問を呈する声も少なくない。  では実際、恋愛に関して独自のルールを掲げている他のアイドルは、そのことによって芸能活動にどのような影響を与えているのだろうか。事例を見てみたい。

青SHUN学園

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青SHUN学園『今、ここに立って!!』(NoMaKe)

 福岡を拠点に活動している青SHUN学園は「恋をすること」がグループのコンセプトとして掲げられている。ライブでもファンとの距離感が非常に近く、曲によってはメンバーもフロアに降りてきて、肩を組んだり手をつないだりしながら、一緒に盛り上がるとのことだ。社会学者でありながらアイドル論者としても知られる濱野智史氏は、リアルサウンドのインタビュー「CD1000枚購入の猛者も…ファンを虜にする地下アイドルの“ゲーム的な仕掛け”とは」にて、青SHUN学園を高く評価。恋愛を推奨する同グループのスタンスについては、「青女のライブはみんなで肩を組んで盛り上がり、終わればメンバーも客同士もハイタッチをするという、ものすごい一体感です。特定のメンバーを推すというより、そういう現場を面白がる傾向があるので、これまでのアイドルとは違い、恋愛していても問題ないのかもしれない」とコメントしている。  

谷一歩

 グラビアアイドルの谷一歩は2012年、「恋愛禁止のAKBの代わりに48股目指す」と宣言し、テレビ番組や雑誌の取材などで22股をかけていると公言していたが、2013年2月22日放送の『できるテレビ』(フジテレビ)にて、それらの発言が嘘だったことを涙ながらに告白。注目を集めたいがために無理のあるキャラ設定をしていることが明かされた。ネット上ではこの告白に対し、「キャラ設定なのはわかってたけど、どうせやるならとことんやって欲しかった」「壇蜜が出てきて持ってかれてるから話題作りなんだろうけど事務所のやり方酷いな」と、行き過ぎた設定に呆れる声が目立った。

きゃりーぱみゅぱみゅ

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きゃりーぱみゅぱみゅ『もったいないとらんど』(ワーナーミュージック・ジャパン)

 海外でも人気のきゃりーぱみゅぱみゅは、2013年2月にフランスの民放、CANAL+の情報番組「LE PETIT JORNAL」に出演。当時はAKB48峯岸みなみの“丸刈り謝罪”が話題になった時期だったため、番組内では「日本のアイドルはなぜ恋愛が禁止されているのか?」という質問がなされた。それを受けてきゃりーは、「日本のアイドルは恋愛に関して厳しくて、男性の人が応援してくれる代わり、自分のプライベートでは恋愛せずに、アイドル一筋で頑張る」と独自のアイドル論を展開した上で、「私はアイドルではないので自由に恋愛をしても大丈夫なんです」と語った。アイドルではない理由については「もっとアーティスト寄りなことをやってます」。アイドルをどう定義するかは難しい問題だが、歌手はアーティストと名乗ることによって、恋愛禁止ルールを免れることができるのかもしれない。

ハロー!プロジェクト

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Juice=Juice『ロマンスの途中/私が言う前に抱きしめなきゃね(MEMORIAL EDIT)/五月雨美女がさ乱れる(MEMORIAL EDIT)』

 モーニング娘。Juice=Juiceが所属するハロー!プロジェクトでは、異性との恋愛は禁止であるが、メンバー間で恋愛感情を持つことは容認される空気があるようだ。アイドル論者でハロプロに詳しい掟ポルシェ氏は、リアルサウンドのインタビュー「ハロプロはソフトレズ容認へ!? 掟ポルシェが語る『アイドルと恋愛』」にて、「最近、『メンバー同士でイチャイチャするのは良い』という妙な抜け道的手法が取り入れられて、それがファンにも認められているんですよ。(中略)年頃の女の子ですから、恋愛感情を多大に持っているのは当たり前で、それが男の子を好きになっちゃいけないと言われたら『じゃあしょうがない、相手が女でもいいや』と思ってしまうのは、自然と言えば自然と言える」と語っている。恋愛禁止がルールとして徹底している女性アイドルグループには、このようなケースも起こりうる、ということだろう。  AKB48の恋愛禁止ルールがあまりにも有名になったため、“逆張り“的なスタンスのアイドルも増えてきた現在。赤マルダッシュ☆の恋愛自由化宣言は、果たしてどんな結果を生むのだろうか。 (文=編集部)

大島優子、指原莉乃らのNot yet、チャート1位も枚数に勢いなし 思い切ってリセットする時期か?

【リアルサウンドより】

2013年09月23日~09月29日のCDシングル週間ランキング

1位:ヒリヒリの花(Not yet) 2位:No Limit(EXILE) 3位:EXILE PRIDE ~こんな世界を愛するため~(EXILE) 4位:Get The Star/Last Forever(東京女子流) 5位:HICCHAKA×MECCHAKA(BugLug) 6位:Derringer(DaizyStripper) 7位:GALAXY SUPERNOVA(少女時代) 8位:タイムマシンなんていらない(前田敦子) 9位:ドギマギFirst Love(Nゼロ/元AKBN 0) 10位:盛者必衰の理、お断り(KANA-BOON)
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EXILE『EXILE PRIDE ~こんな世界を愛するため~』(rhythm zone)

 EXILEの曲が上位に2つチャートインしているが、やっぱり注目したいのは3位の『EXILE PRIDE ~こんな世界を愛するため~』だ。以前にもこのコーナーにて紹介したが(参照:「EXILEの4月発売シングルがなぜかチャート急浮上! その驚くべきカラクリとは?」)、このCDはライブのチケットを抱き合わせしたり、ライブ会場でCDを買うと特典があるなどの商法を活用し、4月に発売したのにまだチャートに居座っているのだ。そのことについては賛否両論あるが、せっかく2位に入った曲のタイトルが「No Limit」だし、今後もEXILEにはどこまでも限界のない特典商法を展開してくれることを期待したい。  それにしてもCDに握手会参加券などを特典として添付するやり方はアイドルなどを中心に一般的になっているが、普通はCD発売初週のランキングを押し上げるために使われる手法。ここまでのロングヒットを演出する例は珍しい。そこがこの曲でEXILEが行った新しい試みだと言ってもいいかもしれないが、新しさって何だろうという気にもなる。  言い換えると、この曲以下の順位に入った曲は、健闘はしたものの、EXILEの抱き合わせ商法にも及ばなかったということでちょっとした衝撃である。4位ですら推定販売枚数が15000枚を下回っており、なかなか低調だ。そのおかげとは言ってはなんだが、5位のヴィジュアル系BugLugとか9位のアイドルNゼロとか、なかなか飛び道具っぽさのあるグループがトップ10入りすることになった。販売枚数は低調でも、こういう週の方が変わった音楽が飛び抜けて出てきて、純粋なリスナー視点では面白いかも。
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Not yet『ヒリヒリの花[通常盤Type-B CD+DVD]』(日本コロムビア)

 1位のNot yetはAKB48の派生グループ。2011年デビューで、大島優子、北原里英、指原莉乃、横山由依というメンバー構成は当時のAKB系の中では微妙なものだった。グループ名も「まだまだの存在」という意味から来ており、「まだ未完成だからこそ、あなた色に染めてください」などと雑誌のグラビアページにコピーを書かれるようなグループだった。しかし2013年に指原莉乃が「シングル選抜総選挙」で1位となったせいで、このグループは今や大島優子と共に新旧の1位メンバーを集めた実に豪華なグループだと言えてしまうのが面白い。  もっとも、CDの売り上げはファーストシングルの『週末Not yet』を頂点として下がり続けているのが実情だ。今回も推定10.7万枚という初動売り上げ枚数は過去最低の数字になっている。しかし、そもそもこのグループを結成した2011年当時とはAKBメンバーの状況が全く変わってしまっている。「総選挙」によってAKBの主力メンバーは次々に目新しく入れ替わるが、派生グループは旧体制の時に決めたメンバー構成もそのままに残ってしまうというのがネックになっているのではなかろうか。動きの鈍った派生グループは一度思い切ってリセットしたほうがいいのかもしれない。 ■さやわか ライター、物語評論家。『クイック・ジャパン』『ユリイカ』などで執筆。『朝日新聞』『ゲームラボ』などで連載中。単著に『僕たちのゲーム史』『AKB商法とは何だったのか』がある。Twitter