AKB48には“中毒性”がある!? アイドルのパチンコ台が増加している背景事情

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AKB48『ハート・エレキ TypeA』(キングレコード)

【リアルサウンドより】  パチンコメーカー藤商事のイメージガール「FUJI★7GIRLs」のメンバー7人に、パチンコ演出用映像の撮影で使ったセメントが付着、皮膚に炎症を起こす事故が発生し、各メディアで報じられて話題となっている。藤商事は「再発防止に向け、あらためて安全管理の周知徹底を図る」としているが、そもそもなぜ、パチンコの演出にアイドルが起用されているのだろうか。  AKB48をイメージキャラクターにした「CRぱちんこAKB48」を筆頭に、「つんくプロデュースCR元祖ハロー!プロジェクト」、「CRフィーバー倖田來未」「CR中森明菜・歌姫伝説」など、アイドル歌手を起用したパチンコ台が多い理由を、パチンコ雑誌の編集者に尋ねてみた。 「歌手とタイアップした台は以前からありましたが、ここ2、3年はアイドルの台が確かに増えましたね。アイドルブームの影響はもちろんあると思うのですが、これほど顕著に増えたのは、やはりパチンコとアイドルの相性が良いからではないでしょうか。まず、アイドルの台であれば、本来あまりパチンコには興味がなかったアイドルファンを取り込むことができるという、パチンコ屋側のメリットがあります。最近では『CRびっくりぱちんこ 銭形平次 with チームZ』という、AKBグループと銭形平次のコラボ台が大ヒットしたのですが、それのテーマソングとなっている『恋のお縄』はパチンコ景品限定CDなんですよ。AKBの大ファンなら、やはり打ちたくなるでしょうね」  アイドル側にとっても、パチンコのキャラクターになるメリットは大きいという。 「アイドルソングは明るく元気なものが多いから、当たった時に流れるとテンションが上がります。若い女の子がたくさん出てきて応援してくれるんですから、男性のパチンコファンは特にたまらないでしょう。先に話した『銭形平次』はよくできていて、大当たりの時しかAKBが出てこないんですよね。銭形平次に扮した大島優子が、小判を投げてゲームに協力してくれるわけです。で、気分のいい時にばかり彼女が出てくるものだから、刷り込み的な感じでだんだん好きになっていく。しかも『銭形平次』は出玉のバランスが絶妙で、パチンコファンにとっても魅力的な台。パチンコを通してAKBファンになったという話も、パチンコ好きの間では珍しくありません」  また、“お金の使い方”という点でも、アイドルとパチンコには相似点があるのだと、先の編集者は力説する。 「パチンコにつぎ込むお金って、基本的にはあぶく銭なんですよね。ストレス解消のための散財というか。私自身もアイドルファンなので、同じCDを何枚も買ったりしますが、その心理は似ているかもしれません。どちらも中毒性がありますが、身を滅ぼさない程度にハマる分には、楽しい遊びかと」  現在、パチンコファンの間では、ももいろクローバーZのパチンコ台が待ち望まれているという。派手で元気の良い応援ソングが持ち味のももクロは、たしかにパチンコという娯楽と相性が良いかもしれないが、そのぶん“ハマり過ぎ”には注意が必要となりそうだ。 (文=松下博夫)

ジャニーズ新人を支える「ヒット請負人」 作曲家・馬飼野康二の功績を探る

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ジャニーズの名曲を数多く手掛けてきた馬飼野氏。最近ではSexy Zoneの「Real Sexy!」やHey! Say! JUMPの「Come On A My House」なども手掛けた。

【リアルサウンドより】  デビュー早々にチャート1位を記録しトップアイドルの仲間入りを果たすジャニーズの新人アイドルたち。ジュニア時代から手塩にかけて育てた彼らの門出を華々しいものにするため、デビュー曲には一際クオリティの高いものが選ばれる。そこで必ずと言っていいほど登場するのが作曲家・アレンジャーである馬飼野康二氏の名前。彼こそがジャニーズアイドルのきらびやかなデビューを支える「ヒット請負人」なのだ。  馬飼野氏は日本を代表する職業作家。その名前を知らずとも西城秀樹の「傷だらけのローラ」やKinKi Kidsの「愛されるより愛したい」を手がけた人物と言われればピンとくる方も多いだろう。同氏は1967年に「ブルー・シャルム」というグループでCBSソニーからデビュー。4枚のシングルをリリースした後、1970年にグループを解散。その後、1970年に西城秀樹「チャンスは一度」の編曲を皮切りに職業作家の道をスタートさせた。当時は歌謡曲のほかにもアニメ(「エースをねらえ!」「ベルサイユのばら」等)や映画、CMなど様々なジャンルの作曲・アレンジを手がける売れっ子ミュージシャンであった。  そんな彼がジャニーズの楽曲を手がけるようになったのは近藤真彦の紅白出場曲「ケジメなさい」がきっかけ。元々「ブルー・シャルム」時代に現ジャニーズ事務所顧問、ジャニーズ・エンタテイメント代表取締役社長の小杉理宇造氏とバンドを組んでいたこともあり、親交のあった小杉氏はすでに職業作家として実績を積んでいた馬飼野氏に楽曲を多く依頼するようになる。近藤真彦「ギンギラギンにさりげなく(編曲)」や光GENJI「勇気100%(作曲)」、SMAPの「しようよ(作曲)」など誰もが耳にしたことのあるようなジャニーズの楽曲を手がけているのも実は馬飼野氏なのである。  ジャニーズにおいても多くのヒット曲を飛ばした実績から、事務所サイドは彼に絶大な信頼を寄せるようになる。そして1990年代後半からはこれから世に送り出そうとする「トップアイドル候補生」デビュー曲の指名先として、必ずと言っていいほど馬飼野氏が選ばれるようになったのだ。KinKi Kids「DISTANCE」(デビューアルバム「A album」収録)、嵐「A・RA・SHI」、関ジャニ∞「浪花いろは節」、NEWS「NEWSニッポン」、Hey! Say! JUMP「Ultra Music Power」、Sexy Zone「Sexy Zone」など今をときめくスターアイドルのデビュー曲、これらは全て馬飼野氏の手によって作られた。 歌謡曲調のメロディと流行のアレンジをミックスさせた耳馴染みのいい楽曲はいずれも大ヒットを記録。彼らがトップアイドル入りするための足掛かりとして馬飼野氏の楽曲は大きく貢献しているのである。  普段はアイドルの影に隠れその姿が見えない楽曲の作り手たち。たまにはCDのクレジットに記載された彼らの名前にも目を向けてみよう。あの名曲を作ったのも彼だったのか、と思わぬ発見を楽しめるかもしれない。 (文=北濱信哉)

モー娘。は“負け美女”にならない? 人気コラムニスト・犬山紙子が現メンバーの魅力を語る

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モーニング娘。『The Best! ~Updated モーニング娘。』(UP FRONT WORKS Z = MUSIC =)

【リアルサウンドより】  『負け美女』著者の犬山紙子氏に、モーニング娘。の魅力について語ってもらう集中連載。前編ではファンになった経緯、女性ファンから見たモー娘。の魅力について語ってもらったが、後編では新生モーニング娘。のメンバーについて詳しく訊いてみた。 前編:「モー娘。は、過去の自分を成仏させてくれる」“負け美女”犬山紙子が同性ファンの心理を解説 ――メディア露出が増えましたが、メンバー一人一人の個性まではまだ浸透していないのが現状かと思います。彼女たちの見どころ、一人一人の個性を解説すると? 犬山:あくまで個人的意見なのですが…。テレビでもよく紹介されているのが石田亜佑美さんと鞘師里保さんのアドリブダンスです。「アイドルがここまで踊れる」ということをしっかり見せてくれているのが魅力ですね。外見的なことで言えば、鞘師さんやJuice=Juiceのメンバーがそうですけれど、デカ目ブームの終焉を感じさせるのがいいですね。ここ10年ぐらいメイクでグリグリと目を大きくするのが流行っているけど、一重や奥二重の女の子の可愛さをハロプロが押し出してくれるのは、色んな女の子に勇気を与えると思うんですよ。私も奥二重がコンプレックスだったけど、彼女達を見てからほんのすこーしだけアイメイクが薄くなりました。 そして、初見の人に見てほしいのは、工藤遥の美少女ぶりです。彼女は声もハスキーボイスで男っぽいんだけど、顔が一級品の美人で。私も『恋愛ハンター』で何このかわいい子!?ってテンションすごくあがりました。美少女と言えば、生田衣梨奈のおっとりした美少女ぶりと不思議なキャラのギャップも最高!

モーニング娘。『恋愛ハンター』(UP FRONT WORKS Z = MUSIC =)

――前編では、道重さんがお好きという話もありました。 犬山:彼女には、すごく感動を覚えます。彼女はモー娘。が不遇な時代もずっと独りでテレビに出て、あの「ナルシストで毒舌」を披露していました。しかもそれがちゃんとおもしろかったのですが、あれって彼女が努力して手に入れたトーク力あっての賜物。けれどああいうキャラは壮絶なバッシングを受けますから。自分が有名になりたいというだけの動機でなかなかできることじゃないと思うんです。私も今テレビに少し出させてもらっているのですが、ちょっとキツイこと言うだけで「死ねブス」のオンパレードです笑。やり通したのは、グループのため、という愛があってこそだと思うんですよ。自分が悪役になってでもグループのために全力でぶつかる。どこかプロレスのヒールのようで…彼女の努力を思うと泣けてしまうんですよ。そしてモーニング娘はまた花開いたわけですが、夏に放送された「しゃべくりOO7」でね、道重さんが背負ってた大変な荷物が少し軽くなったように見えて。マリアみたいな顔になってて、またテレビの前で号泣。  道重さんは見た目もパーフェクトですしね。顔はすっぴんでもお人形みたいにかわいいし、体つきがとにかくエロい! 女としての目標にもなり得るし、精神の強さには本当に元気をもらいます。「アイドルから元気をもらうってことが本当にあるんだ!?」と初めて感じたのが道重さんでした。 ――ズッキ(鈴木香音)はどうですか? 犬山:ズッキは最高です! ぽっちゃりしたことばかり話題されていますが、彼女は愛嬌の塊で、笑顔が天使のようにかわいいんです。魂が浄化される感じ。きっといろいろ言われていることは知っていると思いますが、それでも笑顔を絶やさないのはなかなかできることではありませんし、見る人をファンにさせます。思春期の女の子が太ったり痩せたりするのは彼女に限ったことじゃないから、過剰に笑いのネタにするのはなあ……という憤りはあるんですけど、ネット界隈で愛されて、モーニング娘。を広めている部分もあるのかな、とも思います。アンチをも好きにさせる力を考えると、一番モテる力が強いのはズッキかもしれないですね。 ――最新メンバーの小田さくらさんはどうですか? 犬山:小田さくらさんは、その歌唱力に感動しっぱなしです。「Help me!」でデビューしましたけれど、それ以降のソロパートも歌い上げる箇所が多くて聞いてて気持ちが良いですね。つんく♂さんの、グループとしての完成度を高めるためのプロフェッショナルな人選が表れていると思います。彼女が入って明らかに歌がグッと変わりましたから。 ――変わった性格だとして注目される、佐藤優樹はどうしょう? 犬山:彼女は……不思議すぎです(笑)。ハロプロは上下関係が厳しいと思いますが、そこをヒュッと抜けて、田中れいなさんも妹みたいにかわいがってましたね。何しでかすかわからないワクワクする人で、子犬みたいな魅力といいますか。多少いたずらされても「子犬がじゃれてるなーっ」ってヨシヨシしたくなるかわいさがありますよね。 ――サブリーダーの2人は? 犬山:飯窪さんは漫画好きで、しかも「ジョジョの奇妙な冒険」が好きだったりして、親近感を感じるんですよ。身をわきまえてるつもりの私も「ひょっとしたら友達になってもらえるかも?」なんてありえない事をふっと思っちゃいましたから。これってすごく魅力ですよね。  譜久村さんは、ハロプロ歴が長いということもあって激動の娘。たちの中で見ると安心できる存在。顔も癒し系ですし、もし私が男だったら彼女にしたいNO1です。一緒に太鼓の達人やってコテンパにされたい。 ――卒業メンバーが不祥事を起こしたり、スキャンダルで辞めたメンバーも過去にいましたが、女性ファンとしてはそういうものはどう感じるのでしょう? 犬山:アイドルだから不祥事になりますが、10代20代の女の子グループ全員にスキャンダルを起こさせないのはほぼ無理だと思うんです。本人が「私はスキャンダル起こさないぞ」って決めてても恋に落ちるのってコントロールできないですし…。だからむしろスキャンダルを起こしていないメンバーは意志の強さが超人の域だ!って思います。逆に恋愛してたってだけでその子が「悪い子」って思われて欲しくないなあって。同性だからか「ファンを裏切ってしまってる」という罪悪感から「でも気持ちが抑えられない」というところまで気持ちが理解できるので…。最終的には幸せになってほしいなあと思います。 ――今後モー娘。に期待することはありますか? 犬山:期待と言うよりは、なるべく傷つくことの少ない環境で、伸び伸びと歌と踊りを楽しんで欲しいと思います。PVや音楽番組などで心から楽しんでる笑顔を見せてもらえればもうそれでいいです。そして、彼女達のCDを買って、ちゃんとお金を落とすことで応援できればと思うんですよ。まだまだファン歴は浅いですが、大人のファンとして最低出たCDは買い続けようと。 ――最後に、大人になって「負け美女」になりそうな人はいますか? 犬山:ここはなって欲しくないという願いも込めて「いない!」です。みんな幸せな人生を送りますよ!負け美女は負け美女でみんな幸せそうですけどね。 (取材=編集部/構成=小林郁太)

アイドリング!!!、7年目の大決断−−楽曲へのバラエティ要素の注入は何をもたらすのか

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アイドリング!!!『シャウト!!!(初回盤A)』(ポニーキャニオン)

【リアルサウンドより】  アイドリング!!!の21枚目のシングル『シャウト!!!』が、11月13日にリリースされる。菊地亜美をジャケットのセンターに据えているのが特徴だ。さらに同日、新ユニットのアイドリング!!!NEOも『mero mero』をリリース。アイドル界でも独自の世界を築き上げてきたアイドリング!!!に、嵐が起きようとしている。  2006年に誕生したフジテレビ721I(現・フジテレビONE)にて、夕方の帯番組のために誕生したアイドリング!!!は、2007年にはその総集編が地上波フジテレビで放送が開始され、AKB48よりも1年以上早く冠番組を持ち、アイドルブームの中でも先行した存在であった。その後もバカリズムをMCに据え、バラエティ畑のスタッフを多く据えた番組中心に順調に活動を続けてきた彼女たち。テレビの世界で生き残るためのタレント的な教育を受けたことで、アイドルの中でも突出したMC力やバラエティ対応能力を持ったアイドルグループへと成長していった。  現在のアイドルシーンの活性化の口火を切るキッカケともなった、AKBとのコラボ企画であるAKBアイドリング!!!を経て、アイドリング!!!が選択したのは他との競争による成長では無く、番組内で自分たちのタレント性を磨く成長であった。競争を求めるスタンスではないからこそ、毎年恒例の日本最大のアイドルフェスであるTokyo Idol Festival(以下TIF)のホストを務めることができているのかもしれない。番組内でお互いを磨き合いながら、笑い、笑わせ、笑顔で切磋琢磨する姿は実に幸福な空間だ。  また、楽曲やライブなどのアイドル活動ではバラエティ要素は残しつつも、遠藤舞、外岡えりか、横山ルリカという歌えるメンバーを中心に生歌を大切にし、正統派とも言える楽曲を多く残し、キャラクターとしてのアイドリング!!!とは一線を画してきた。そんなアイドリング!!!が、シーンの競争原理の中で疲労したアイドルファンのユートピアとなっているのも頷ける。そして、一昨年の秋に、菊地亜美がテレビのバラエティ番組で見ない日はないほどのブレイクを果たし、番組で磨いていた実力が間違いでないことが立証された。  そんな、菊地亜美をセンターに据えた『シャウト!!!』。本作では、トークの中心でいじられることが多くなった朝日奈央や相撲コーナーで活躍した玉川来夢など“現在番組で活躍している”メンバーをフロントに据えるという改革を行っている。そこには、アイドリング!!!内での大きな変化が関係しているのではないか。立ち上げより6年以上に渡りプロデューサーを努めた門澤清太氏が、フジテレビ内の人事異動のためにアイドリング!!!の担当を離れ、新たに神原孝氏がプロデューサーとなった。神原氏と言えば、元『野猿』(在籍は僅かな期間ではあるが、ずっと番組スタッフとして関わっていた)であり、羞恥心やPaboなどの『ヘキサゴンファミリー』を生み出した『クイズヘキサゴンⅡ』のプロデューサーとして知られている。そんな神原氏は、アイドリング!!!のアイドル部分にもバラエティ的な要素を注入して行こうとしているように見える。  一方、2013年のオーディションで加わったアイドリング!!!新メンバーに、最近の握手会で人気メンバーである伊藤祐奈と後藤郁を助っ人として加えたアイドリング!!!NEOは、元SPEEDなどで知られる伊秩弘将氏をプロデューサーに迎え、アイドリング!!!の売りであった生歌路線ではないダンスナンバーを投入。もともとアイドルブーム以降に加入したためにアイドルらしい振る舞いを最初から身につけたメンバーと、アイドリング!!!の中でも比較的アイドルらしいメンバーによるNEOは、今までのアイドリング!!!のコンセプトを根底からひっくり返す挑戦でもある。  7年のアイドリング!!!の歴史を大きく揺るがすこの決断は、アイドリング!!!を現在主流となっているリアリティショー的アイドルへと変化させるのか?  それとも、アイドリング!!!が積み重ねて来たバラエティセンスを全面に押し出し、バラエティーショーの主役を目指すものなのか? 今後のアイドリング!!!を見守り続けて行きたい。 ■エドボル 放送作家。『妄想科学デパートAKIBANOISE』(TOKYO FM水曜25:00-)『安田大サーカスクロちゃんのIdol St@tion』(目黒FM隔週木20:00-)、『Tokyo Idol Festival2013』(フジテレビNEXT)など、テレビ・ラジオなどの構成を担当。サイゾー、SPA!などでもアイドル関連のインタビューを中心に執筆中。

KinKi Kidsが長年の不仲説を払拭!? ニューシングルが充実の仕上がりとなったワケ

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“不仲説”が流れていたKinKi Kidsだが……

【リアルサウンドより】  KinKi Kidsの通算33枚目のシングル『まだ涙にならない悲しみが/恋は匂へと散りぬるを』(10月23日発売)が初週17.8万枚を売り上げ、11月4日付けオリコン週間ランキング1位となり、ギネス公認記録「デビューからのシングル連続首位記録」を更新した。2012年のシングル『変わったかたちの石』の初週売り上げが12万枚だったのに対し、5万枚強の売り上げ増である。  2種類の初回限定盤および通常盤という複数バージョン商法による底上げ効果もあるだろう(参照:KinKi Kidsの新曲が手堅くチャート1位 ジャニーズの“巧みすぎる“リリース戦略を読む)。さらに、作詞に松井五郎、作曲に織田哲郎、編曲に亀田誠治を迎えた「まだ涙にならない悲しみが」は、これまでのKinKi Kidsの作品の中でも“名曲”と評する声も多く、楽曲の良さが売り上げ増につながった面も考えられる。  1年9ヶ月ぶりのリリースとなった本作だが、いったいなぜKinKi Kidsは今のタイミングで良作を生み出すことができたのか。ジャニーズ事情に詳しいライター・ジャニ子氏は、次のように分析する。 「KinKi Kidsの2人は舞台裏では会話が少なく、一緒の撮影でも目を合わせることさえないため、長年“不仲説”が囁かれていましたが、最近ではその関係性に改善が見られたのか、今作では珍しく2人揃ってプロモーションをしています。  ここ数年、剛さんはENDLICHERI☆ENDLICHERI名義での活動をしたり、アルバム『Nippon』で海外デビューを果たしたり、カバーアルバム『カバ』をリリースしたりと、いわばアーティスト路線の活動に尽力してきました。一方、光一さんは舞台に力を注いでいて、ジャニーズ事務所の中でも随一と言われるほどの実力派舞台俳優に成長してきています。  2人は性格的に、表立って『実は相方をリスペクトしている』とは言いませんが、おたがい別のフィールドで活動をするうちに、ポジションが明確になり、厚い信頼関係が築かれてきたのではないでしょうか」  おたがいに認め合っている様子は、今回のシングルからも伝わってくるという。 「これまでのKinKi Kidsの楽曲だと、歌の上手い剛さんのパートに耳がいきがちでしたが、今回は光一さんの歌声の良さもちゃんと伝わっています。おたがいの歌い方を理解した上で歌っている感じで、とても調和が取れていると感じました。1年9ヶ月ぶりのシングルですが、ここ最近の2人の活動をちゃんとフィードバックしていて、全体的にレベルが上がっていると思います」  曲調もまた、KinKi Kidsの長所を引き出している。 「2人はもともと『俺ら根暗だから』と公言しているように、“明るく元気なアイドル”というタイプではありません。でも、そんな2人だからこそ他のジャニーズグループとは異なったアプローチができます。今回の曲のタイトルも『まだ涙にならない悲しみが/恋は匂へと散りぬるを』で、失恋をテーマにしていますが、哀愁や悲哀といった感情を表現できるのは、KinKi Kidsの強みでしょう。クールな関係性の2人ですが、そこもまた魅力に繋がっているのは間違いないはず」  SMAPやといった他のジャニーズグループに比べ、わびしさ・さびしさを表した曲が多いKinKi Kids。『まだ涙にならない悲しみが/恋は匂へと散りぬるを』が名作と評される背景には、2人ならではの馴れ合いのない関係性が成熟し、その美意識が色濃く反映されている、という面もあるのかもしれない。 (文=編集部)

KinKi Kidsが長年の不仲説を払拭!? ニューシングルが充実の仕上がりとなったワケ

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“不仲説”が流れていたKinKi Kidsだが……

【リアルサウンドより】  KinKi Kidsの通算33枚目のシングル『まだ涙にならない悲しみが/恋は匂へと散りぬるを』(10月23日発売)が初週17.8万枚を売り上げ、11月4日付けオリコン週間ランキング1位となり、ギネス公認記録「デビューからのシングル連続首位記録」を更新した。2012年のシングル『変わったかたちの石』の初週売り上げが12万枚だったのに対し、5万枚強の売り上げ増である。  2種類の初回限定盤および通常盤という複数バージョン商法による底上げ効果もあるだろう(参照:KinKi Kidsの新曲が手堅くチャート1位 ジャニーズの“巧みすぎる“リリース戦略を読む)。さらに、作詞に松井五郎、作曲に織田哲郎、編曲に亀田誠治を迎えた「まだ涙にならない悲しみが」は、これまでのKinKi Kidsの作品の中でも“名曲”と評する声も多く、楽曲の良さが売り上げ増につながった面も考えられる。  1年9ヶ月ぶりのリリースとなった本作だが、いったいなぜKinKi Kidsは今のタイミングで良作を生み出すことができたのか。ジャニーズ事情に詳しいライター・ジャニ子氏は、次のように分析する。 「KinKi Kidsの2人は舞台裏では会話が少なく、一緒の撮影でも目を合わせることさえないため、長年“不仲説”が囁かれていましたが、最近ではその関係性に改善が見られたのか、今作では珍しく2人揃ってプロモーションをしています。  ここ数年、剛さんはENDLICHERI☆ENDLICHERI名義での活動をしたり、アルバム『Nippon』で海外デビューを果たしたり、カバーアルバム『カバ』をリリースしたりと、いわばアーティスト路線の活動に尽力してきました。一方、光一さんは舞台に力を注いでいて、ジャニーズ事務所の中でも随一と言われるほどの実力派舞台俳優に成長してきています。  2人は性格的に、表立って『実は相方をリスペクトしている』とは言いませんが、おたがい別のフィールドで活動をするうちに、ポジションが明確になり、厚い信頼関係が築かれてきたのではないでしょうか」  おたがいに認め合っている様子は、今回のシングルからも伝わってくるという。 「これまでのKinKi Kidsの楽曲だと、歌の上手い剛さんのパートに耳がいきがちでしたが、今回は光一さんの歌声の良さもちゃんと伝わっています。おたがいの歌い方を理解した上で歌っている感じで、とても調和が取れていると感じました。1年9ヶ月ぶりのシングルですが、ここ最近の2人の活動をちゃんとフィードバックしていて、全体的にレベルが上がっていると思います」  曲調もまた、KinKi Kidsの長所を引き出している。 「2人はもともと『俺ら根暗だから』と公言しているように、“明るく元気なアイドル”というタイプではありません。でも、そんな2人だからこそ他のジャニーズグループとは異なったアプローチができます。今回の曲のタイトルも『まだ涙にならない悲しみが/恋は匂へと散りぬるを』で、失恋をテーマにしていますが、哀愁や悲哀といった感情を表現できるのは、KinKi Kidsの強みでしょう。クールな関係性の2人ですが、そこもまた魅力に繋がっているのは間違いないはず」  SMAPやといった他のジャニーズグループに比べ、わびしさ・さびしさを表した曲が多いKinKi Kids。『まだ涙にならない悲しみが/恋は匂へと散りぬるを』が名作と評される背景には、2人ならではの馴れ合いのない関係性が成熟し、その美意識が色濃く反映されている、という面もあるのかもしれない。 (文=編集部)

KinKi Kidsの新曲が手堅くチャート1位 ジャニーズの“巧みすぎる“リリース戦略を読む

2013年10月21日~10月27日のCDシングル週間ランキング

1位:まだ涙にならない悲しみが/恋は匂へと散りぬるを(KinKi Kids) 2位:革命デュアリズム(水樹奈々×T.M.Revolution) 3位:EXILE PRIDE ~こんな世界を愛するため~(EXILE) 4位:さよなら(西野カナ) 5位:ユニバーページ(三森すずこ) 6位:五月の蝿/ラストバージン(RADWIMPS) 7位:Winter Games(2PM) 8位:いいじゃん!(Tokyo Cheer② Party ) 9位:HALLOWEEN PARTY (HALLOWEEN JUNKY ORCHESTRA) 10位:Remember me(くるり)
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 1位のKinKi Kidsは1997年のデビュー以来、どのシングルもチャートで初登場1位になり続けていて、B'zと並んで日本の音楽シーンでは手堅く1位を取るグループだ。そのノウハウとしては両グループともシングルの発売タイミングを選ぶことに非常に長けているという印象がある。  逆に言うと、これらのグループが新譜を出す週というのは、他にあまりデカいヒットを飛ばすようなシングルがない場合が多いと言えてしまう。実際、これらのグループの初週販売枚数は2位以下にダブルスコアくらいの差を付けることもざらにあり、そして今回のKinKi Kids『まだ涙にならない悲しみが/恋は匂へと散りぬるを』もそうなっている。もちろん曲がいいから売れているのだと言うことは可能だ。が、この発売タイミングの選び方はチャートを見る側として見事なものなものだし、またここぞという場合は1曲入り1コインシングルなどの手法を的確に投入してくるのも実にうまく、そちらも評価されてしかるべきだと個人的には思う。  ただ1位とは言ってもKinKi Kidsの初週売り上げはデビュー10年目となる2007年にリリースされた『BRAND NEW SONG』『永遠に』が20万枚を切ってから一貫して落ち続けており、2012年唯一のシングル『変わったかたちの石』は12万枚、つまり10万枚を切りそうなまでになっていた。おそらくその事実は今回、グループとしては異例なほどブランクを挟んだ1年9ヶ月ぶりにシングルをリリースする彼らにとって課題だったはずで、KinKi Kidsもまた最近のジャニーズの手法にならって2種類の初回限定盤および通常盤という複数バージョン商法による売り上げの底上げを計っている。これによって今作の初週販売枚数は18万枚近くまで回復したが、常に1位を求めたいKinKi Kidsとしてはまだまだ物足りないところだろう。来年発売されるはずの次作にはさらなる期待がかかる。  さてほかの順位だが、前述したようにKinKi Kidsに比べればあまり強くない。ただこういう週は固定ファンがいるミュージシャンが強くて、だからかというわけではないが5位以内に声優が2人いる。中でも5位の三森すずこは、以前MXテレビでやたらとライブの告知CMを流していた(東京以外の人は知らないと思うが)あの声優ユニット、ミルキィホームズのメンバーというか、元となったアニメの主人公役をやっている声優さんなわけで、まあ簡単に言うと非常に人気のある人である。アニメに興味のない人は「んな話どうでもいいわ」と思うかもしれないが、実は彼女は2000年代の地下アイドルブームを生き抜いた、知る人ぞ知るアイドルユニットCutie Paiの元メンバーでもあるのだ。そんな玄人好みの活動が目立つ人が今週の音楽チャートで5位に入っているというのはけっこう面白い。つまりまあ何が言いたいかというと、こういう大ヒットばかりではない週には、やはりそれなりの面白さがあるものである。 ■さやわか ライター、物語評論家。『クイック・ジャパン』『ユリイカ』などで執筆。『朝日新聞』『ゲームラボ』などで連載中。単著に『僕たちのゲーム史』『AKB商法とは何だったのか』がある。Twitter

NYCが事実上解散――中山優馬は仕事急増中で、恒例の「紅白」もなし?

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今年に入ってからあまり活動していなかったNYCだが……

【リアルサウンドより】  4年連続紅白へ出場するも、毎年「なぜこのグループが出られるの?」、「そもそも誰?」という波紋を呼んでいたNYC。今年の夏以降、アイドル雑誌からNYCの文字が消え、今年の紅白出場はないのではという声が、雑誌関係者の間で間で高まっている。  今一度、おさらいをすると、NYCとはN=中山優馬、Y=山田涼介、C=知念侑李の3人から構成されるジャニーズのアイドルグループだ。前身のNYCboysをふくめ、 これまで“女子バレーボールワールドグランプリ2009”のイメージソング『NYC』や、ジャニーズの名曲『勇気100%』など6枚のシングルをリリースしてきた。  だが、グループの結成時からNYCへ向けられた世間の視線には、厳しいものがあった。事務所による中山優馬のゴリ押し体制が原因で、「Hey!Say!JUMPの中でも人気のある山田、知念と抱き合わせて売り出すなんて、魂胆が見え見え」という意見も聞かれた。中山優馬をどうにかスターにしようと、地道に実力と人気を獲得してきたメンバーに便乗させた、という見方がされてきたのだ。  また、NYCの前身になった「NYCboys、中山優馬w/B.I.Shadow」の元メンバーで、現在は Sexy Zoneとしてデビューした中島健人、菊池風磨、そして現在もジャニーズJr.として活動を続けている松村北斗、髙地優吾らのファンも、NYCのことはあまり面白く思っていないようだ。彼らのファンにとっては、NYCの登場によって元のユニットの存在がウヤムヤにされてしまったのだから、仕方あるまい。  極めつけは、NYCがJUMPのコンサートに参加し、ワンコーナーとして生歌を披露していることだ。この”抱き合わせ感”が漂う演出には毎回、JUMPファンも複雑な表情を浮かべるほかない。  もちろん、そういった厳しい状況の中でも、NYCのファンはいた。「JUMPのときとはちがう山ちゃんの表情が見られる」、「山田、知念のボケに、ツッコむ優馬がかわいい」などの評価もあり、3人ならではの空気感もできあがりつつあった。だが、JUMPと掛け持ちの山田と知念のスケジュールに合わせると、どうしてもNYCの活動に制限がされ、“紅白限定ユニット”などと皮肉られることも多かったのは事実だ。  そんなNYCは現在、事実上の解散状態にある。JUMPのマネジメント体制がジャニー氏から、副社長のジュリー氏へと移ったことが原因だ。中山優馬はそれにともないNYCから引き離され、SMAPを育てた敏腕マネージャー・飯島氏の傘下におさまったようだ。  しかし、3人での活動はなくなったが、大人の事情によるモヤモヤ感がなくなったということで、その状態を歓迎するファンも多い。実際、この夏以降の3人は単独でのメディア露出も多くなり、NYC時代よりも伸び伸びと活動しているように見える。中山優馬はドラマ『ぴんとこな』で、歌舞伎の女形というむずかしい役に挑戦し、主役のKis-My-Ft2の玉森裕太を食う勢いで注目を集めた。さらに、2つの舞台を立てつづけにこなすなど、仕事の量が急拡大しているのだ。  モトサヤのJUMPに戻った山田涼介&知念侑李にも、ドラマへの出演オファーが。知念侑李は『よろず占い処 陰陽屋へようこそ』が絶賛オンエア中。山田涼介も四代目金田一一として、来年新春放映の『金田一少年の事件簿 獄門塾殺人事件』を収録中だ。  事実上の解散とはいえ、プライベートでは山田涼介が中山優馬の家へ遊びに行ったり、一緒にごはんを食べに行くなど、友情が続いているとのことで、ファンとしては胸を撫で下ろすばかり。それぞれのフィールドで経験を積んだ3人は、今後どのような成長を遂げるのか。いつかまたNYCが復活したときには、大人の事情に翻弄されず、それぞれの持ち味を発揮してくれることを願いたい。 (文=ジャニ子)

ZONEは金爆の先駆けだった!? バンドかアイドルか…ボーダーレス化する“バンドル”を追う

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SCANDAL『STANDARD』(エピックレコードジャパン)

【リアルサウンドより】  今回のテーマはバンド・アイドル、略して「バンドル」です。  「バンドル」の元祖はZONEだといわれています。アイドル・グループとして結成されたZONEは2001年のメジャーデビューに際して「楽器を演奏するふりをしながら踊る」という荒技を編み出しました。動画サイトで「大爆発No.1」という曲を披露している『ポップ・ジャム』(NHK/2001年7月)の映像を見ましたが、すごいです。立派なドラムセットが用意されているにもかかわらず、ドラマーは椅子に座ることなくスティックを持ってドラムスの周りをぴょんぴょん跳ねながら踊っていました。ゴールデンボンバーの先駆けです。しかし、ZONEのすごいところは、そのスタイルを変化させ、3枚目のシングル「secret base ~君がくれたもの~」以降は実際に楽器を演奏して大ヒットしたという点にあります。これらの経緯からZONEが「バンドとアイドルの融合」を果たした始祖とされています。  最近では、モーニング娘。を脱退した田中れいながロック・バンド、LoVendoЯ(ラベンダー)を結成し、70年代フォークのカバー曲などを収録したミニ・アルバムで今年5月にデビューしました。T.M.Revolutionの西川貴教がその方向性を批判するなど楽曲のチョイスやアレンジに賛否両論あるようですが、トップ・アイドルのバンド転向ということで話題を呼びました。  しかし、一般的に「バンド」は本格的に音楽に取り組む芸術性の高い集団と考えられ、「アイドル」はルックス重視で音楽性は二の次とされる風潮が根強く、ともすれば「バンドとアイドル」には敵対するイメージがあります。  最近、そんな垣根をぶっ壊そうとする動きが、主にアイドル側に顕著です。  代表的なのは、なんといってもBABYMETALでしょう。敏腕ミュージシャンを従えてへヴィメタルとアイドル・ポップスの折衷に成功している女の子3人組。多くのロック・フェスに参戦し、フロアでサークル・モッシュが起こるほどの熱狂ぶりで存在感を放っています。私もサマーソニックで彼女たちのステージを観ましたが、まったく予備知識がなく苦笑いしていた初見の観客たちがみるみるBABYMETALの世界に惹きこまれていく様子を目の当たりにしました。

BABYMETAL「 - メギツネ - MEGITSUNE」

 名古屋を本拠にしている、しず風&絆~KIZUNA~は、「Iロック」をスローガンにアイドルとロックの融合を図っています。ブルーハーツのカバーなどで歌い踊る彼女たちのライブもパンキッシュで、特にミニスカートのメンバーが観客の肩や腕の上を歩くクラウドウォークは衝撃的です。

しず風&絆~KIZUNA~「つくしん暴」

 キング・オブ・ノイズと賞される関西パンクの重鎮バンド、非常階段がアイドル・グループのBiSと合体したBiS階段も画期的です。アンダーグラウンドの帝王が教唆する過激で凶悪なパフォーマンスはどこかキッチュで諧謔的でありながら、旧態依然としたアイドルのイメージを破壊するにはじゅうぶんなインパクトを持っています。

BiS階段「好き好き大好き」

 メンバーにDJとギタリストを擁するカモフラージュのステージも、アイドル・グループのライブとしては良い意味で違和感を醸しており、バンドとアイドルの両方の魅力をブレントしようとする野心を感じさせます。ギタリストの高崎聖子はグラビアでも活躍している美少女で、特別な存在です。  テレパシーというグループは振り付けに全編「ギターを弾くふり」を導入している「エア・ギター・アイドル」です。これも「楽器を演奏する女の子のアクションの可愛さ」を追求しているという点で大いに実験的です。

テレパシー「テレパシーキセキ」「SkyHigh」「Live! Live! Live!」

 さて、今回のテーマは「バンドル」でした。しかし、今ご紹介したアイドル・グループはどれも楽器演奏をメインにしているわけではありませんので「バンドル」とは呼べません。私はいったい何を書いていたのでしょう。  定義があいまいなので、ハッキリさせましょう。2001年のZONEみたいに「まるでアイドルのように可愛い女の子バンド」を「バンドル」と呼ぶことにします。これならいくつか思い当たります。  SCANDALは2006年に女子高生4人で結成され、今や日本を代表するガールズ・バンドに成長しました。20代になった彼女たちはすっかり垢抜け、プロポーションもスラリと細くなって、艶っぽさが目立ちます。デビュー当初はドラムのRINAがいちばん可愛いと思っていたのですが、最近の映像を見るとなんだか全員可愛くなっています。もともとダンス・スクールで知り合った仲間なので振り付きで踊るミュージック・クリップの完成度も高く、まさしく「バンドル」と呼ぶにふさわしい存在です。

SCANDAL「下弦の月」-short ver.-

 「サイサイ」ことSilent Sirenもルックスでは負けていません。ボーカルの吉田菫を中心にメンバー全員がモデルとして活躍している美女ばかりで、ガールズ・バンドのルックス偏差値があるとすれば日本最高峰、東大理Ⅲ級といえます。この人たちが演奏している姿を観ているだけで癒されます。もはや音楽性をあまり気にしなくてよいほどです。特にキーボードのゆかるんこと黒坂優香子が可愛くてたまらん。

Silent Siren「Sweet Pop!」

 この夏にデビューした、たんこぶちんは全員が佐賀県唐津市在住の現役女子高生バンドということで話題を呼んでいます。特にボーカル、MADOKAの端正な顔立ちとファニーな笑顔には、往年のZONE・長瀬実夕に劣らぬスター性を感じます。ベースのNODOKAとドラムのHONOKAが双子の姉妹。クールでボーイッシュなイメージのギター・YURIなどメンバーのキャラが立っています。ルックスだけでなく、キャッチーな展開の楽曲も爽快で、デビュー曲「ドレミFUN LIFE」のサビメロの高揚感は今年のJ-POP界の大きな収穫だと思います。

たんこぶちん「ドレミFUN LIFE」

 同じく唐津の女子高生バンド、Victoryも2014年1月にCDデビューします。たんこぶちんのメンバーとは小学校の同級生でお互いのバンドには従姉妹のメンバーもいるらしく、「女子高生バンド」が唐津名物になりそうな局地密集状態です。初期のチャットモンチーを思わせるポップなアレンジ、よく伸びるきれいな歌声と2人のギタリストを擁する厚いサウンドが特徴です。まだあどけなくて素朴な印象の彼女たちですが、2年ぐらい後には今のSCANDALみたいにフェロモンをまき散らしているかもしれませんね。

Victory「HOME」

 今、ガールズ・ロックを語るのに外せないのは住所不定無職という名のバンドです。「あの娘が歌うaikoが好き」と歌っていた数年前のサイケでガレージな印象からメンバー編成も曲調もポップに変容して、最近はメジャー感が炸裂しています。「バンドル」というカテゴリーでは語りにくいですが、他のガールズ・バンドにも彼女たちぐらいブッ飛んだ冒険心を持ってほしいものです。

住所不定無職「IN DA GOLD,」

 名古屋の女子大生バンド、カーリーズもキュートな楽曲とルックスが魅力的なバンドでした。かつてフランク・ザッパが「ビートルズより重要な存在」と評したアメリカの超絶的脱力系ガールズ・バンド、ザ・シャッグスにも似たピュアネスで一部のロック・ファンから熱狂的な支持を受けました。今年の春、大学卒業を機会に活動休止してしまったのが惜しまれます。

カーリーズ 「baby blue / スローモーション」

 「バンドル」をテーマに、アイドル・グループとバンドの両方を紹介してまいりましたが、その境界線に立っているのが、その名も「バンドじゃないもん!」でしょう。神聖かまってちゃんのドラマー、みさ子が結成したこのユニットは、金子沙織(かっちゃん)とのツイン・ドラムで、アイドル・ポップス寄りのバック・トラックに合わせて2人でドラムを叩きながら歌うという前代未聞の越境者、カテゴリー・クラッシャーでした。

バンドじゃないもん!「パヒパヒ」

 しかし、バンドじゃないもん!は今年9月にかっちゃんが脱退。現在の編成はみさ子1人がドラムス、アイドル然とした新メンバー4人がボーカルとなっているようです。これではもうわざわざ「バンドじゃないもん!」と言わなくてもいい感じで、現代の混沌とした「バンドとアイドルのボーダーレス状態」を象徴している存在といえるでしょう。  そういえば、AKB48の新曲「ハート・エレキ」もバンド編成を意識したビジュアルを展開しています。楽器を演奏する可愛い女の子たちの姿には普遍的な訴求力があり、「バンドル」のニーズが常に市場に潜在していることの証明かもしれません。 ●山口真木(やまぐち・まき) 大阪出身の27才、OL。ポップスとロックと女の子をこよなく愛する。何かに毒づいてばかりの思春期まっただ中。先日ある飲み会で知り合ったバイセクシャルの女の子に何度もチューされてしまいました。こんなことは初めてなのですが、女の子って、柔らかいですね……。身体の奥で地殻変動が起きたような気分の、危ない秋です。

「ポップの本質は一発芸だ」J-POPを創った男=織田哲郎が明かす“ヒットの秘密”

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作曲したシングルの累計セールスは4000万枚以上。ソロ活動と作家活動を30年間両立させてきた

【リアルサウンドより】  作曲家としてZARD、DEEN、大黒摩季、相川七瀬、AKB48などに楽曲を提供する一方、ソロアーティストとしてもヒット曲を数多く世に送ってきた織田哲郎。いわば“J-POPのオリジネイターの一人“である彼が、前作『One Night』以来6年ぶりのソロアルバム『W FACE』を10月30日にリリースする。ロック色の強い「RED」盤とアコースティック曲中心の「BLUE」盤の2枚からなる本作は、30年にわたるソロキャリアを集大成したような多面的なアルバムだ。そのリリース直前に行ったインタビュー前編では、稀代のヒットメイカー=織田哲郎の音楽哲学を探った。

ビートルズで言えばポップなのはジョン・レノン。ポール・マッカートニーは職人だった

――ご自身の作品でも、また提供曲でも、数多くのヒット曲を世に送り出してきた織田さんですが、これまで何曲くらい作りましたか。 織田:自分のアルバムの200曲くらいも入れて、作品になっているのは全部で400~500曲くらいかな。作曲家として30年やってきた人間にしては少ないです。だから、ヒット曲の率を考えると打率はいいですよ(笑)。 ――その曲数で累計4000万枚以上のセールスはすごいですね。織田さんの中で、多くの人に届く「ポップス」の定義があるのでしょうか。 織田:とにかく人を一発で振り向かせるものがポップスだと考えています。世の中では“心地よく作られたもの”がポップだと勘違いされがちです。でも、ビートルズで言えばポップなのは明らかにジョン・レノン。彼は一発芸が大得意で、心地よく聴かせるような音楽の構築は苦手なんですよ。一方、ポール・マッカートニーは構築の天才で、ソロになってからは“職人的な心地よさ”の方に向かってしまい、あまりポップではなくなった。ビートルズ時代は、身近にジョンというポップの大先生がいたから、ポップな楽曲を作ることができたんです。「Help!」といきなり言われたら、ハッと耳がいってしまうでしょう。見るものでも聴くものでも、ポップアートというものは、なるべくシンプルな何かにすべてを象徴させ、その一発で人の注意をひくものなんです。 ――意図的に構築するのが難しいのだとしたら、上質なポップスはどのように生まれるのでしょう。 織田:理屈ではなく、瞬発力で突然浮かぶものです。そこから先の増改築は理屈でやれるところですが、ポップの本質的な部分は“浮かぶかどうか”だけ。人に対する影響力やインパクトというのは、だいたい簡単に作ったものの方が大きいんですよ。じっくり煮詰めて作ったものは、自分としては愛着が湧くけれど、ポップスとしての力は弱いですね。  僕は20代後半のころに、ほかのアーティストのアルバムを全曲プロデュースする、という仕事を多くやって、疲れ果ててしまいました。そうすると、“合格点なら、60点の曲でもいいか”という気持ちがどこかに出てきてしまう。そんな計算をしてしまっては、ポップなものはできない。だから、ある時期からなるべくシングルのA面曲だけを書いて、“この曲が合わないんだったら、ボツで構わない”という姿勢でやるようになりました。曲の数を絞って、本当にポップなものだけを人に提供しよう、と考えたんです。90年代以降はそんなやり方でしたね。 ――じっくり作ったものではなく、いわば“思いつき”のような部分が評価されるというのは、作り手としては葛藤を生むところかもしれません。 織田:そうですね。切ない部分ではあるけれど、そればかりは仕方がない。“そういうもん”だから。
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ポップ・ミュージック史全般への造詣は深く、各ジャンルへの考察が次々と飛び出す

90年代は、いろいろな歯車がうまくかみ合ったラッキーな時代だった

――80年代の日本語ポップスは「ニューミュージック」という呼び方で、ロックとは別のものという認識が一般的でした。それが90年代に入ってから、織田さんの作るロックのマナーを持ったポップスが世の中に広がっていき、ロック的な要素も入った「J-POP」というカテゴリーができあがったように思います。そうした流れを、ご自身ではどのように分析していますか。 織田:僕がデビューしたWHYというバンドが、すでにそんな志向でしたね。当時から、メロディーはアコギ一本で歌ってもきちんときれいなもので、でもオケはロックとしてカッコいいものがいい、と思っていて。ただそのころは、弦が入っていて、不必要なキメがやたらあるものじゃないと歌謡曲じゃなかったから「中途半端なもの」と言われたし、ロック系の人からは「歌謡曲っぽい」と言われたりして。そういう音楽がきちんと受け入れられるようになっていった変化については、素直にうれしいですね。自分が気持いいと思うものをみんなが気持ちいいと思ってくれるようになった、という感じでした。 ――そうして、織田さんは楽曲提供したBBクイーンズ「おどるポンポコリン」(90年)以降、自身の「いつまでも変わらぬ愛を」(92年)、ZARDへの提供曲「負けないで」「揺れる想い」(93年)など、ミリオンヒット曲を連発しました。 織田:歯車がかみ合ってきているな、という感じでした。そもそも楽曲というものは、“曲がいい”というだけでヒットするものではない。いい歌詞が乗ることが大事だし、アレンジも歌もよくないとダメです。なおかつ、多くの人が聴いてくれるようなプロモーションができていないといけない。そうやっていろいろなことがうまく回らないと、ヒットにはつながらないんです。その意味で90年代は、いろいろな歯車がうまくかみ合っていた時代だと思います。 ――一方、現在の音楽業界について伺います。90年代初頭はCDの売り上げがどんどん伸びる時代でしたが、2000年以降、頭打ちになってから厳しい状況になってきています。そうした中で、レコーディング芸術としての音楽が難しくなっている状態をどう思われますか? 織田:それは仕方がないですよ。逆に言えば、レコードがまだない時代は、生演奏しかなかった。そのころからハードの変化に応じて、人が音楽を楽しむ方法は変わってきたんです。レコードからCDに切り替わる以前のことを考えると、実はレコードはそんなに売れなかったんですよ。TUBEの「シーズン・イン・ザ・サン」(86年4月にレコード/カセットでリリース)は当時大ヒットだったけれど、それでも30万枚くらいだった。90年代のCDのセールスは、たまたまラッキーな時代だったと思います。  音楽を聴くためのソフトやハードをどう世の中に普及させるか、あるいはそこでどんな音楽を商売としてやるべきか、ということは、それを考えたい人が、それぞれのポジションで考えればいい。自分は単純に音楽を作ることのプロであって、そこにしか楽しみはないから、レコードがなければ演奏会用の音楽を作るだろうし、その時代なりに自分が作りたいものを作るだけです。  もちろん、ハードが変わることで作り手も変わる。ただ、パソコン一台で音楽が作れるようになっても、それはあくまで道具であって、その道具だからできることだけをエンジョイしているサウンドは単なる流行りになってしまうから、あまりそういうことはしたくないですね。音楽自体は、何十年経ってもリスナーが古くさいと思わずに聴ける普遍性を求めて作っています。売れる売れないはそこから先の話で、正直あんまり興味ない。歯車が上手く回れば売れるし、売れなかったらそれは仕方がない。売れても売れなくても「良い曲ができたなぁ」と思える瞬間に自分の最大の幸福があるので、「あんまりほかのことを考えても仕方がない」というスタンスですね。
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プライベートスタジオにて。最近あまり使ってないけど…と笑いながらポーズを取ってくれた

人がポップだと感じるメロディは、60~70年代からそれほど変わっていない

――「いい」と思える音楽の基準は、作り方や状況が変わっても変わらないものですか。それとも、ハードウェアや状況に規定される部分もあるのでしょうか。 織田:それはあります。例えば、いまの僕は“デジタル万歳”。なぜかと言えば、音楽制作ソフト「Pro Tools」が96kHz(録音サンプリングレート。一般的なCDは44kHz)に対応したから。打ち込みをやっていて、サンプル音源のクオリティがかなり上がっているので、これは楽曲の制作に大きく影響します。 ――先ほど伺った良質なポップスに対する判断基準は、制作環境の変化の影響を受けますか。 織田:それはまったく変わりません。電気的な後処理で曲がカッコよくなることも認めるし、「ハードの変化でこういうことができるようになった」というポップさもアリです。でも、だいたいにおいて人がポップだと感じるメロディの要素というのは、実は60~70年代とそれほど変わっていない。50年代の音楽はいま聴くと古くさく感じますが、ビートルズの後期のメロディは、まったく古くなっていません。60年代はまだ古いものと新しいものが共存していたけれど、70年代には古いものが淘汰されて、新しいメロディの気持よさの価値観ができあがったんです。そして、現在に至るまでその価値観は大きくは変わっていない。当然、細かい変化はありますけど、それ以前の激変に比べると比率としては小さいものです。細かい話は理屈っぽくてつまらなくなるから、今回は割愛しますが(笑)。 ――60~70年代に起きたような変化は、当分は起きないと。 織田: そうですね。例えば、服や車の形だって、結局は70年代くらいまでのものをマイナーチェンジしているわけでしょう? 音楽にかぎらず、いろんなものが大きく変化しない安定期に入っているのかもしれないですね。ここまでは「より便利に、快適に」という人間の欲求が文明を進化させてきたけれど――『マトリックス』という映画でも描かれているように、ここから先は、便利さの追求が必ずしも社会を発展させることにつながらないと思う。  例えば、恋愛の魅力を考えてみるとどうか。これまでになかった刺激的なできごとがあれば楽しいし、一方で心地よく、落ち着ける関係も魅力的ですよね。これを両立するのが、ものすごく幸せな恋愛だということになる。そして、音楽において刺激的なことが心地よさと両立していた幸せな時代が、60~70年代だったということです。それを過ぎたら、より刺激的なことは、体に悪いことでしかなくなっていく。いまはどんなジャンルでも、前衛的なものは普通の人にとって気持ちよくないものになっている。その点、60~70年代はアンディ・ウォーホールやビートルズが最先端で、しかも心地のいいものだった。こんなにハッピーな時代はない。その点、いまのポップ・ミュージックには、前衛的に見えたとしても、予定調和で先が見えているものしかない。文化として停滞せざるを得ない時期なんだと思います。 ――織田さんの中に、「予定調和を超える前衛を見てみたい」という思いはありますか? 織田:それはありますよ。例えば、発表しない音楽を作るなかで、既存の理論を壊した音階やリズムを試したりもしています。そういう作業は、作り手としては面白い。でも、それをリスナーとして聴いてみると、面白くも心地よくもないものだったりするわけで。だから発表していないんですけどね(笑)。  それでも、細かいところでは「まだ同じことやっているよ、俺……」という意識で曲を作るのは耐えられないので、ポップスというフィールドのなかで、いろんなことを試しています。言ってみれば芸術家というより職人で、人から見たら同じ皿でも、自分にとって進歩があれば幸せだし、つまらなく思えば割ったりもする。大それた前衛じゃなくても、細かいところで「俺は新しいことをした!」と思えればいいと考えています。 後編「10年ぶりにエレキが弾きたくなった」織田哲郎が最新作『W FACE』に求めた“衝動”とは?に続く (取材・文=神谷弘一/写真=竹内洋平)
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織田哲郎『W FACE』(キングレコード)

■リリース情報 織田哲郎『W FACE』 発売日:10月30日 価格:¥3,150 <収録曲> ディスク:RED 1. 天啓 ver.3 2. FIRE OF LIFE 3. 馬鹿なんです 4. 背中には今もブルースが張りついたまま 5. Winter Song 6. Just Another Day 7. After Midnight 8. R&R is my friend [W FACE ver.] ディスク:BLUE 1. 月ノ涙 2. 伝言 3. あなたのうた [W FACE ver.] 4. 砂の城 5. aino uta 6. チャイナタウン・ララバイ 7. You’ve Got A Friend 8. いつまでも変わらぬ愛を [21st century ver.]