自殺未遂騒動のモデル日南響子の彼氏も! ボカロPのアツ過ぎる恋愛事情

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日南響子 写真集 『 mau 』(ワニブックス)

【リアルサウンドより】  先日、車に轢かれるという自殺未遂騒動を起こした元『non-no』モデルの日南響子。その騒動の原因と言われているのが、恋愛関係のもつれだ。彼氏に浮気がバレ、Twitterで非難されたことが引き金になって自ら車道に入って行ったのではと噂されているのだが、肝心の交際相手はスポニチなどの新聞でも「交際相手とみられる男性」としか書かれていない。しかし、実はその彼氏とはニコニコ動画やオタク界では有名なボカロPのNemなのだ。  ここで大人の読者向けに解説すると、ボカロPとは初音ミクなどのVOCALOID(ボカロ)と呼ばれる音声合成ソフトを使って、作詞作曲を手がける人のこと。そんなボカロPたちだが、十代やオタクの間では神とあがめられたり、なりたい職業として挙げられるほどすごい存在になっている。ボカロPの実態に迫ったインタビュー本『ボカロP生活』(PHP研究所)によると、イベントでCDを発表すれば長蛇の列ができるし、ネットでは自分の名前を名乗る偽物がたくさん出てくるほど。そのうえ、日本経済新聞に掲載された「20歳以下のカラオケランキング」では、トップ10のうちなんと7がボカロ。しかも、AKB48などのアイドルソングは1曲も入っていないのだ。さらに、来年の4月からは専門学校にボカロPを養成する「ボカロP音楽プロデューサー科コース」というものまで登場するというから、彼らの人気ぶりはすさまじい。  そんなボカロPに対し、家に引きこもって、初音ミクや鏡音リン・レンに萌えているようなオタクなイメージを抱いている人もいるかもしれない。ボカロPの恋愛事情とは、いったいどうなっているのか? 『ボカロP生活』やTwitterなどの情報によると、実はモテモテで付き合っている人がいるというボカロPも多い。ラジオで彼女がいることを告白したオワタPは、『ボカロP生活』の中でもファンに「キャーッ!大好きで~す!!」などと言われると「俺はもういるからいらねぇよお前ら!」と返事をしていると答えていた。蝶々Pの代表作である「心拍数#0822」が彼女に向けて作られたラブソングだということは多くの人に知られているし、40mPに至っては、歌い手のシャノと結婚しているのだ。それに、『ボカロP生活』の中でも「そうですねーボカロPは女の絵師さんとよく付き合ってますからねー」と語られているし、『THE VOC@LOiD M@STER』などのイベントは「女の子率が高い」ので、出会いには事欠かないよう。やはり、ボカロやニコニコ業界において、ボカロPは芸能人並みにモテモテな存在みたいだ。  でも、いくらボカロやニコニコ業界で有名だからと言って、自宅で作業しているような彼らがどうやったら日南響子みたいなかわいいモデルと知り合い、付き合うことができたのか。付き合う相手も一般人か、もしくは同じ仕事や趣味の世界で知り合っただけなら納得できるが、こればかりは不思議でしょうがないという人も多いはず。  しかし、ボカロPをただのオタクや一般人と侮るなかれ。ボカロPの中にはしょこたんをはじめ、柴咲コウやまゆゆらとコラボしている人もたくさんいる。ボカロ曲のでも1番人気の「千本桜」をミュージカル化する際には、AKBから石田晴香や市川美織がキャスティングされている。さらに、田原俊彦の長女で、「ミスマガジン2011」準グランプリを獲得した綾乃美花や同じくミスマガの秋月三佳、朝倉由舞のデビュー曲を手がけている人も。有名なタレントだけでなく、これから活躍するアイドルの卵と出会うこともできるのだ。   その点、日南響子はもともとミクやリンのコスプレをしたり、自分でもボカロ曲の「歌ってみた」に挑戦するほどのボカロ好き。ブログや自分が担当するラジオ『日南響子のGIRLS LOCKS!』でも以前からNem好きを公言しており、それに応えるかたちで彼とのデュエット企画まで実現させてしまったよう。どちらかというと、日南響子のほうからアプローチして関係が進展したという話もある。たしかに、今では福山雅治までもがラジオでニコニコ動画好きを公言しており、初期の頃からプレミアム会員になるほどの「ニコ厨」だと語っている。たとえ実際にコラボしていなくても、イベントに参加したり、向こうからアプローチしてくる芸能人も、もしかすると増えていくのかもしれない。  これから芸能人とお近づきになるためには、ボカロPになるという方法が近道かもしれない。 (文=木村未来)

くるり岸田、アジカン後藤、KREVA…「ナナロク世代」がフェスを主催する理由

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『ASIAN KUNG-FU GENERATION THE MEMORIES 2003-2013』(ぴあMOOK)

【リアルサウンドより】  「ナナロク世代」という言葉がある。文字通り、1976年前後に生まれた人たちのことだ。  この「ナナロク世代」という言葉、これまで基本的には、Web系企業の起業家や技術者の世代感を表すものとしてよく使われてきた。代表的なところだと、グリー社長・田中良和氏(1977年生まれ)、DeNA取締役CTO川崎修平氏(1976年生まれ)、ミクシィ会長・笠原健治氏(1975年生まれ)、2ch開設者の西村博之氏(1976年生まれ)、はてな社長・近藤淳也氏(1975年生まれ)あたり。  しかし、実は日本の音楽シーンにおいても「ナナロク世代」の大きな特徴がある。この世代のミュージシャンたちは、他の世代にはない独特の存在感を持ってシーンをサヴァイヴしているのだ。わかりやすい共通項は、自らフェスを主催するミュージシャンが多い、ということ。並べてみると一目瞭然だ。 ■くるり・岸田繁(1976年生まれ)  ■ASIAN KUNG-FU GENERATION・後藤正文(1976年生まれ) ■KREVA(1976年生まれ) ■10-FEET・TAKUMA(1975年生まれ) ■氣志團・綾小路翔 (※綾小路翔は「年齢非公開」ですが、お笑い芸人・まちゃまちゃと同級生ということが広く知られていることもあり、76年生まれにカウントしました)  特に今年9月はこれら「ミュージシャン主催型のフェス」が毎週末に開催される状況になっている。9月8日にはKREVAによる『908 Festival』が開催された。9月14・15日には氣志團による『氣志團万博2013 房総爆音梁山泊』、そして9月21日にはくるり主催の『京都音楽博覧会2013』が開催。  10-FEETは7月6日に『京都大作戦2013』を主催、9月21日には同世代の盟友G-FREAK FACTORY が群馬県で開催する地元密着型ロックフェス『GUNMA ROCK FESTIVAL 2013』に出演する。  ASIAN KUNG-FU GENERATIONは9月14日・15日に『ファン感謝祭』『オールスター感謝祭』と銘打ったデビュー10周年記念ライブを横浜スタジアムで開催。そのため彼らがほぼ毎年開催してきた『NANO-MUGEN FES.』は今年はお休みになったが、その代わり、6月に全国を回るサーキット型のライブイベント『NANO-MUGEN CIRCUIT』を行っている。  もちろん自らフェスを主催するのは「ナナロク世代」のミュージシャンだけではない。たとえば、90年代末にパンクロックの祭典『AIR JAM』を主催し、長らく続いた休止から2011年と2012年にそれを復活させたHi-STANDARD。たとえば今年15周年を迎えたテクノフェスティバル『WIRE13』のオーガナイザー石野卓球。彼らは現在40代なかばで、「ナナロク世代」から見れば上の世代にあたる。  それでも、同じく40代後半を迎えた奥田民生(1965年生まれ)、斉藤和義(1966年生まれ)、吉井和哉(1966年生まれ)らのロックミュージシャンらが30代後半だった10年前の活動と、岸田繁や後藤正文ら「ナナロク世代」の今を比べると、そこには如実な違いがあると言っていいだろう。  その背景にあるのは、音楽カルチャーのここ10年の変化だ。今の日本においては雑誌やTV番組よりもむしろフェスのほうが「音楽カルチャーの見取り図」を示すメディアとしての役割を強く担うようになった。そこにプレイヤーとして参加するだけでなく、自らフェスを主催することでキュレーターとしての役割も果たす、いわば「メディア人」としての才能を持ったミュージシャンが多いのが「ナナロク世代」の特徴なのである。  特に、洋楽勢を意欲的に出演させてきた『NANO-MUGEN FES.』、細野晴臣や石川さゆりや小田和正などベテランアーティストが出演してきた『京都音楽博覧会』は、ファンに向けて自らのルーツやより豊かな音楽文化を示す意図が明確だ。『908 Festival』も今のヒップホップシーンの見取り図を示すものだし、『京都大作戦』もラウドロックシーンの活性化に大きく寄与してきた。昨年には小泉今日子、近藤真彦から浜崎あゆみ、ゴールデンボンバーまでが出演し、今年はシャ乱Qやhideからももクロマキシマム ザ ホルモンが出演する『氣志團万博』も、ジャンルを超えたスターたちによる化学反応を起こすことを狙ったラインナップだ。  リリー・フランキー氏が指摘するように(「フェスはただの音楽鑑賞会じゃない」リリー・フランキーが考える“理想のフェス”とは?)、今の日本のフェスというのはいまや単なる「音楽鑑賞会」ではなく、音楽カルチャーの充実や広がりを示すメディア的な機能も担うようになってきた。そこにおいて大きな活躍を見せているのが、彼ら「ナナロク世代」のミュージシャンたちなのである。  そして、この趨勢は、これからの時代のミュージシャンの「サヴァイヴ術」も暗に示している。飽和する音楽シーンを生き残っていくために、ミュージシャンには音楽家としての才能だけでなく、メディア人としての才能も必要になってきた、ということなのかもしれない。 ■柴 那典 1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば:」Twitter

賛否分かれるAKB48舞台裏チケット販売 運営お得意の“自虐ビジネス”は今後も通用するのか?

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AKB48『恋するフォーチュンクッキー』(キングレコード)

【リアルサウンドより】  AKB48が18日に東京・日本武道館で開催する「AKB48 34thシングル選抜じゃんけん大会」に、予想を上回る約8万人の応募が殺到したことから、AKB48の公式サイトでは11日、“禁断席”として、セットの真裏の席の追加販売を行うことを発表した。禁断席の購入者は、セットの真裏に設置された大型モニターで大会の様子を鑑賞することになり、会場の熱気や歓声は味わえるものの、肉眼でメンバーを観ることはできない。チケットの価格は1000円で、先行予約は12日の午前10時から、13日の午前10時まで行われる。公式サイトによると、この席は別名「わざわざ武道館に足を運んでモニ観なんて、だったら家でテレビを観るよ席」とのことで、チケットの入手が困難な現状に対する、苦肉の策であることを明かした。  この発表を受けて、ネット上では「ちゃんと不利な条件であることを開示しているし、それでも熱気を感じたいと思う人がいるのなら僕はこれはこれで“アリ”だと思う」「『物販の入場料』って考えればいいと思う」「現地パブリックビューイングか。発想としては悪くないのでは」と好意的に受け取る意見がある一方、「ものは言いようですな。『禁断』と名のつくものにロクなもんはないよ」「たんだんと勢い落ちてるから売れるうちに売っとけ的な発売だな」「なんでも売るんだ。どこまでやるつもりだろう?」と、運営の対応に疑問符を投げかける声もあった。  賛否両論となった今回の件を、アイドルの専門家はどう捉えているのだろうか。アイドルに関する記事を多数執筆し、『AKB商法とは何だったのか』(大洋図書)の著者でもあるさやわか氏に話を伺った。 「AKBの運営サイドは、お金儲けだけを優先して今回のような発表をしたかというと、必ずしもそうとは言えません。AKBの運営はもともと、カッチリしているわけではなくて、なるべくお客さんの意見を汲んで便宜を図ろうという、よく言えばフレキシブルなサービスをしてきました。今回の件で言えば、単純に、できるだけ多くのお客さんが入れるようにもしつつ、自分たちの失態と言えるような状況を自虐ネタとして提示したのだと思います。もちろん、そういった折衷案のようなものが、これまでのAKBの歴史の中で何度も問題となってきたのも事実です。たとえば握手会の日程を明確にせずに握手券を配ってしまい、メンバーが忙しく握手会がいつまでも開催されなかったり、握手会に集まる客が多くなりすぎてファンがAKBメンバーに触れ合える時間が異常に少なくなり、それを自虐ネタにして『悪魔の握手会』というイベント名を付けたこともありました」  では、なぜ運営は、一定層の“反発”を折り込んだかのようなサービス提案を続けるのだろう。 「先ほども言ったように、AKBの運営はお客さんとのコミュニケーションの中でよりよい方策を求めてきたという側面もあるので、古参のファンであればあるほど、ある程度ルーズさを容認している部分があります。そして、運営側にもそういった寛容なファンたちに甘える気持ちが若干あるのかと。その気安さがAKBの運営の良いところでもあり、魅力的な部分でもありますから。しかし、新たなファンの中には、AKBが大人気グループとなった今では、ちゃんと完成されたサービスを受けられて当然だと考えるファンも増えているでしょう。特に近年のファンの中には、今回のような対応には驚いてしまうケースもあるかと思います。最近のAKB周りの論争というか、ファン同士に起こる軋轢などを観察していると、運営側のよく言えば気安く、悪く言えばルーズな対応に端を発している場合も多いかな、とも思います」  今回のケースでも、そういった軋轢が生まれる可能性があると? 「一概には言えないけど、運営側からお客さんに序列みたいなのを生んでしまったところは、火種になる可能性があると思います。アイドルのライブというのは本来みんな同じ状況で観られるのが一番なんですが、今回の場合は金銭にからめながらファンに格差を作ってしまっている。そこからファン同士の軋轢が生まれるかもしれません。しかしもともとは、ファンに応えようとしてやっているサービスだし、アイドルファンには運営側の自虐ネタに乗って、そんな席を買ってしまう自分をも自虐的に楽しもうとするタイプの人間もいる。また世間一般もメディア露出しているAKBには興味があってもライブ現場の騒動には興味を持たないことが多い。したがって『AKBのこういうビジネスはよくない』と、社会的に大きな問題となり、糾弾されるということはあまりないのではと思います」  あまりにもファンが増加しすぎて、とうとう舞台裏にまでファンを招待したAKB48。圧倒的な人気を保ちながら、フレキシブルかつ公平な対応を続けていくには、今回のような策を打つも仕方がないのかもしれない。 (取材・文=マツタヒロノリ)

セックスを高らかに歌い上げるAcid Black Cherry その「エロ」路線はなぜ成功したのか

【リアルサウンドより】  「セックスドラッグロックンロール」とはよくいったものだが、近年の邦楽チャートを見ると、ドラッグはともかくセックスからも遠ざかっているロックバンドが多いような気がしてならない。それが良いことなのか悪いことなのかわからないが、筆者の個人的な感覚だとゼロ年代の青春パンクブーム以降それはずっと続いている。  アルバム曲ではその限りではないのかもしれないが、シングルカットされる歌詞は、雑なまとめかたをすると現状打破を鼓舞するものだったりアイデンティティや内面の問題についてだったり、とにかく自分自身についての内容のものが多いのだ。R&B系女性ソロシンガーがめんどくさい恋愛を切々と歌っているのとは対照的に。もちろん、「(めんどくさい)恋愛やセックスを歌わない」からこそ老若男女問わず多くのリスナーに支持されるというのもあるだろうけど。もう邦楽ロックで恋愛とセックスを歌っているのはサザンオールスターズしかいないのではという気すらしてくるのだが(あとは強いて言うなら湘南乃風と面影ラッキーホール?)、そんな中、ド直球のセックスソングを歌い上げながらも、メジャーチャート上位常連の男性ロックボーカリストがいる。それがAcid Black Cherry(以下ABC)のyasuだ。  ABCはJanne Da Arcのyasuのソロプロジェクト。1stシングルから『SPELL MAGIC』(07年)、続いてリリースされた『Black Cherry』(07年)とタイトルからだいたい察していただけるだろうが、「エロ」をコンセプトに活動している。テレビ露出はほとんどしていない中、昨年リリースされたアルバム「『2012』」はオリコンチャート1位を記録し、代々木体育館を即日ソールドアウトしてしまうほどの人気を誇っている。

「SPELL MAGIC」

「Black Cherry」

 現在47都道府県ツアー中で、ライブのサポートを務めるのはΛucifer/DUSTAR-3のYUKI、La'cryma ChristiのHIRO(Gu)、SHUSE(Ba)、SIAM SHADEの淳士(Dr)という、yasu本人も含めて90年代から活躍し、技術的にも評価の高いプレイヤーばかりだ。  ABCを知らない人から見ればこのメンツを見て「ああ90年代ヴィジュアル系ファンのアラサーから人気なのね」という印象を持つかもしれない。  しかしそういう層だけではなく、冒頭の通り今日日大人の恋愛を歌う男性ボーカルが珍しいからなのか、着うた系ソングを好む若いOLやギャルという新たな客層を取得している、そしてギャル男・ホスト層からも支持されておりその結果ギャル男の総本山、渋谷109MENSにyasuの巨大ポスターが出現したこともあった。Vホス系(V系+ホスト)雑誌『メンズスパイダー』の表紙をかざったこともある。

「イエス」

もちろん年から年中下半身のことばっかり歌っているわけでもなく、真っ直ぐなラブソングも。
 そんなABCが先月リリースしたシングル『Greed Greed Greed』もタイトル通りのABCの真骨頂ソングである。歌詞にも「セックス」という単語がガッツリ入っていながらオリコンシングルチャート4位を記録(参考までに同週の1位はサザンオールスターズ、2位は赤西仁、3位は超新星)。 【リアルサウンドより】
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『Greed Greed Greed (CD+DVD) (初回生産限定) 』(motorod)ジャケット画像。往年の浜崎あゆみを彷彿とさせる白黒ジャケット。これがエイベックスのお家芸なのかどうかは知らないが……。

「Greed Greed Greed」

 ABCには今後も独自のロックな「エロ」路線を突っ走ってほしいものである。 ■藤谷千明 ライター。ブロガーあがりのバンギャル崩れ。執筆媒体は「ウレぴあ総研」「サイゾー」「SPA!」など。Twitter ■関連情報 Acid Black Cherry オフィシャルサイト

便所サンダルが2万円!? マキシマム ザ ホルモンのサンダル争奪戦騒動の顛末

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マキシマム ザ ホルモンアーティスト写真

【リアルサウンドより】  7月末にリリースされた6年4ヵ月ぶりのアルバム『予襲復讐』は、3週連続アルバムチャートの1位を記録。ロングセラーとなって40万枚以上を売り上げた前作『ぶっ生き返す』をはるかに凌ぐペースで早くも20万枚を突破し、日本のロックシーン、いや、音楽シーン全体にその圧倒的な存在感をみせつけているマキシマム ザ ホルモン。その『予襲復讐』には「便所サンダルダンス」という楽曲が収められているが、ホルモンファンならご存知の通り、これはマキシマムザ亮君がライブ中でもプライベートでも常に愛用している、ニシベケミカルのV.I.Cというブランドの便所サンダルに捧げられた楽曲だ。歌の中では「利便性に富んだスタイル! こだわり抜いたフォルム! 色も渋くワイルド! サンダル界のキング!」と、その便所サンダルへの忠誠心を高らかに表明していた。  先週、そんな便所サンダルを巡って、ちょっとした騒動が巻き起こっていたのをご存知だろうか? 9月4日、ホルモンのホームページ、Twitterの公式アカウント、Facebookの公式ページで、ホルモンとヴィレッジヴァンガードのプレミアムコラボグッズが9月6日に発売されるとの告知がされた。そのコラボグッズの内容は、 ●メタルポーズとホルモンバンドロゴが刻印された“V.I.Cニシベケミカル製マキシマムザ便サン” ●亮君描き下ろしイラスト入りの特製「ヌッチェの亡骸」Tシャツ  これがセットで4000円というのは、亮君が『予襲復讐』付属の楽曲レビューの中で「値段も違うし作りも全然違うし(中略)ちょっと高いよ。他とは頭一つ飛びぬけたクオリティだし」と熱く語っていたことを考えると、かなり良心的。しかし、発売日2日前の告知、数量限定ということで、ホルモンファンの間で阿鼻叫喚の便所サンダル争奪戦が繰り広げられることになった。  9月6日の発売当日、当然のようにあっという間に店頭から姿を消した便所サンダル(まぁ、Tシャツもセットですが)。ヴィレヴァンの各店舗によって事前に予約を受け付けていたりいなかったりと足並みが揃っていなかったこともあって、ホルモン関連のサイトや掲示板は大荒れ。いち早く手に入れた人がオークションサイトに2万円で出品していたことも炎上に油を注ぐことに。TwitterやFacebookで亮君自ら「買えなかった人達ごめんね m(__)m」とメッセージをアップするところにまで事態は及んだ。  騒動中にファンの書き込みをチェックしていて、個人的に「なるほど!」と膝を打ったのは、次のような意見。「ホルモンのロゴが刻印されてるっていうけど、亮君が本当に履いてる便所サンダルはホルモンロゴなんて刻印されてない普通のやつじゃないか!」(心の声=だから羨ましくなんてないもんね!)。  というわけで、本当に亮君と同じ便所サンダルが欲しい人は、血眼になって亮君と同じ普通のニシベケミカルの便所サンダルを探してみてはどうだろうか? ちなみに亮君いわく「普通のいわゆるスーパーとかじゃ絶対置いてないね」(『予襲復讐』楽曲レビューより)、「昔、葬式用に黒のVIC便サンをネットで注文しようとしたら、80足からだった」(Twitterより)とのことですが……。 ■宇野維正 音楽・映画ジャーナリスト。音楽誌、映画誌、サッカー誌などの編集を経て独立。現在、「MUSICA」「クイック・ジャパン」「装苑」「GLOW」「BRUTUS」「ワールドサッカーダイジェスト」「ナタリー」など、各種メディアで執筆中。Twitter

東京五輪決定を音楽家はどう受け止めた? YOSHIKI、いきものがかり水野、三宅洋平らの発言を追う

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YOSHIKI『YOSHIKI CLASSICAL』(ワーナーミュージック・ジャパン)

【リアルサウンドより】  2020年、夏季五輪の開催都市を決める国際オリンピック委員会(IOC)総会が7日(日本時間8日)、ブエノスアイレスで行われ、開催都市に東京が選ばれた。日本での五輪は72年札幌、98年長野の冬季五輪と合わせ4度目の開催となる。  この発表を受けて、音楽業界でもさまざまな意見や意思表明が飛び交っている。X JAPANのリーダーYOSHIKIは、サンケイスポーツの電話取材に「歴史的なことが東京で起こるんだと感動しちゃいました。暗いニュースが多い中、今の日本に一番必要なことだと思う」と答え、今回のオリンピック開催決定を喜んだ。  また、歌手の和田アキ子は、8日放送の『アッコにおまかせ!』(TBS系)で開会式への出演に言及。準レギュラーの出川哲朗が「やらしい話、総合演出によってはアッコさんが歌ったり……」とおだてると、「今だと秋元康さんとか…私、詞作ってもらったりしてるから」「何か夢が持てるねえ!」と、テーマ曲を担当することにも前向きな姿勢を見せた。ほかにもツイッターでは、T.M.Revolutionの西川貴教が、「おはようございます。インドネシアから帰国しました。そして、改めて2020年、東京オリンピック開催決定おめでとうございます。」、GLAYのボーカリストのTERUは「おっ!2020年のオリンピック開催、東京に決定したみたいですね!楽しみですね!」などと発言し、オリンピックの開催を喜ぶ声が目立った。  一方、オリンピックの開催に対し、複雑な心境を示すミュージシャンも散見される。ソウル・フラワー・ユニオンは公式ツイッターにて「2020年夏期オリンピック・パラリンピック、東京に決定。いやー、朝からビックリ。」と発言した後、日本経済新聞の「五輪後に景気が悪くなる理由 夏季6大会で例外は1つだけ」という記事を紹介した。歌手の中山美穂は、お笑い芸人・ほっしゃん。の「やると決まったら素晴らしいモンをやらんと〜。ただ"日本の大きな問題"については、世界は日本人みたいに無関心で甘っちょろくない。"お手並み拝見"どころか"手腕ガン見"。それが世界標準。参加どころか開催するんやから、俺も含めて国民もそら、その"世界標準意識"をクリアせんとアカンよな。」という発言をリツイート。オリンピック開催を手放しに喜べない心境を匂わせた。  2012年にはロンドンオリンピックのNHKテーマソングにも抜擢された「いきものがかり」のソングライター、水野良樹は ‏「久しぶりに現れた“物語”。声が大きいひとが決めてしまう大きな希望が『ひとつになる』という言葉のもとにその他を飲み込んでしまうのではなくて、ばらばらである小さな希望たちが、互いにぶつかり合い落胆を繰り返しながらも、できうる限り共存できる7年を探せればいいね。甘いか。信じたいなぁ。」と、文学的な表現で期待と不安を表明。  ラッパーのZeebraは「さあ、海外からお客さんが来るんで色んな面で整備しないと。色んな面で。」と、オリンピックに向けて国民に奮起を促した。  レゲエミュージシャンのRYO the SKYWALKERは「オリンピックで『これで復興に弾みが』とか『これで原発処理も国主導でやらざるを得なくなるから進展する』とか言ってる人は、今後ちゃんとそうなるように注視、意見してよ? そもそも全く出来てないのに、これでそれが出来るかって言ったらオレは少し疑問。こうなった以上そうせなアカンねんやろけど」と、原発問題の処理に取り組む必要性を改めて強調した。  7月21日に行われた参院選全国比例区に出馬し、異例の「選挙フェス」を行ったことでも注目を集めた三宅洋平は「東京で五輪。。。原発のあの状況を抱えながら招致をアピールする時点で、狂気の沙汰だ。国際的な経済界が日本政府と財界に五輪誘致の称号を与える事で、TPPや海外派兵の推進力を付加しているように見える。メディアの喧伝とは裏腹に、世界の多くの市民は東京の安全など信じて居ない。」と、強い懸念を表明した。  五輪開催地を決める過程で、福島第一原発事故による汚染水流出問題が焦点の一つとなったこともあり、原発問題へのスタンスの違いでも意見が分かれた今回の東京五輪開催決定。今後はそうした政治的テーマに加え、テーマ曲の選定や開会式の演出など、音楽面での議論も進みそうだ。 (文=編集部)

つぼみ、早乙女らぶ……人気AV女優も出演 “ヌード系PV”がエロかっこいい

【リアルサウンドより】  ポップ・ミュージックにおいて、セクシャルな表現は大切な要素のひとつだ。たとえば70年代を代表するアイドル歌手である山口百恵は、10代の少女の頃に性行為を連想させる「ひと夏の経験」という曲を歌い、大ブレイクを果たした。80年代に一世を風靡したおニャン子クラブは「セーラー服を脱がさないで」という、これまた少女のあられもない姿を想起させる曲で、世の男性を虜にした。90年代には国民的バンドと呼ばれるサザンオールスターズが、「マンピーのGSPOT」という極めてストレートな曲名の作品をヒットさせ、10年代にはAKB48が下着姿で踊って、話題になったことも記憶に新しい。  そして、下着で踊るのがOKなら、それ以上のものも観てみたくなるのは自然なことだろう。もちろん、そういった表現を好ましく思わないリスナーもいる。だが、より過激な映像を観たいというリスナーがいる限り、それに応えようとするミュージシャンが現れるのも当然のこと。実際、最近ではきわどい内容のPVが増加しているようで、AV女優やモデルをフィーチャーした作品から、アイドル自身が裸体を披露したものもある。  ここでは、そういった“女性の肉体美”を活かしたPVを紹介したい。セクシャルな表現が苦手だという方は、閲覧を避けたほうがいいかもしれない。

人気女優のつぼみがヒップホップPVに

PUNPEE『160OR80』収録「Bad habit」

 一本目は、5lackの実兄であり、音楽プロデューサーとしても活躍するラッパー、PUNPEEの「Bad habit」。性格のいい女優を売りにしたAVメーカー「性格良し子ちゃん」が制作を担当しているのだが、都会的に洗練されたトラックとスタイリッシュな映像が、つぼみのヌードをクールに演出している。ヒップホップ好きにはもちろん、つぼみのファンにもたまらない映像ではないだろうか。

肌色の下着が裸っぽい

 アメリカの男性R&Bシンガー、ロビン・シックのPV。3人の美女があられもない姿で誘惑的なダンスを披露している。肌の色と同色の下着が全裸を錯覚させ、つい注視してしまったという男性も多いことだろう。確信犯的なエロテロリズムと言えそうだ。

中身まで見えてしまった変態的PV

Justic『AUDIO, VIDEO, DISCO』収録「ON'N'ON」

 ダフトパンク以来の衝撃とも称されるフレンチ・エレクトロユニット、JusticeのPVは、スペーシーでありながらセクシャルな要素をふんだんに取り入れてあり、摩訶不思議な映像に仕上がっている。全裸どころか、内臓までまる出しの美女に、彼らの変態ぶりが伺える。

アイドルの性行為映像!?

 衝撃的なパフォーマンスが話題のアイドルグループ、BiSのPV。明らかに性行為中であることを意識させる映像に、ロマンチックが止まらないという男性は多いだろう。刹那的な匂いがする歌詞の内容とも相まって、視聴者の性的感情を刺激する映像だ。  女性のヌードを音楽PVに登場させるのは、場合によっては下品になってしまう恐れもある。しかし、アート性が高い楽曲や映像に合わせると、スタイリッシュにさえ映るのも事実だ。ヌードがアートか猥褻かは、時と場合によって大きくわかれるところだが、このような音楽PVに独特の趣があることは確かだろう。 (文=マツタヒロノリ)

CD1000枚購入の猛者も…ファンを虜にする地下アイドルの“ゲーム的な仕掛け”とは

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アイドルカレッジ『アイドルカレッジの伝えたいこと』(ドリーミュージック)

【リアルサウンドより】  アーキテクチャの視点からネット環境を分析する気鋭の批評家/社会学者で、近年はAKB48をはじめとするアイドルに関する著作や発言も増えている濱野智史氏が、地下アイドルシーンの魅力とその特徴を語り尽くす集中連載第2回。今回は自身が愛してやまない具体的なグループの魅力と、ファンが思わずハマってしまう“仕掛け”や“演出”について語った。 第1回:「僕はAKBにハマりすぎて、地下に流出した」社会学者濱野智史が案内する、地下アイドルの世界」 ――今回は、濱野さんが推している地下アイドルについてお話を聞きます。どんなグループに注目していますか? 濱野:クオリティが高いと思うのは、やはり何年かキャリアを積んでいるグループです。例えば僕がいま一番入れ込んでいるのはアイドルカレッジで、現場もしょっちゅう行っています。ただ、アイカレはもうメジャーデビューもしているので本当は「地下アイドル」と呼んでいいか微妙な存在なんですけども、「しょっちゅうのように会いに行けるアイドル」という条件は十分みたしているので、名前を挙げます。

アイドルカレッジ『アイドルカレッジの伝えたいこと』収録「僕のシャッターチャンス」(ドリーミュージック)

 ここはけっこうキャリアが長くて、前身のB.L.T.IDOL COLLEGE時代から数えると、もう4年目になるのかな。とてもいい意味で「AKBフォロワー」なグループで、運営の人たちも明らかにAKBを好きなのがわかるし、楽曲の雰囲気や歌詞、制服風の衣装なんかもとてもAKBらしさがある。僕の知り合いのAKBの古参ファンも“初期の劇場で頑張っていたAKBを思い出す”と言います。パフォーマンスは全力努力系で、曲もパフォーマンスも良くて、だいたい知り合いを連れて行くと「アイカレ、いいじゃん」とか、「こんな子たちがなぜ売れないのかわからない」とか、みんな言ってくれます。僕もそう思っていて、本当にアイカレはもっと売れてほしいですね。  ちなみに僕の推しメンは、さくらちゃん(床爪さくら)とゆいぽん(中島優衣)という子で、さくらちゃんはパフォーマンスがとにかくすごくて本当に毎回感動させられます。すごいですよ、アイドルの全力努力系のパフォーマンスに一度でも感動したことがある人なら、さくらちゃんは見なければダメです。あと、ゆいぽんは長身でスタイルがいいんですけど、なんかオタクな子で。不思議な感性を持っている子で、すごくお気に入りです。でも、どっちを一推しにするかいまだに決めかねていて、よくメンバーから「濱野さんの推しメンはどっちなの!?」と問い詰められて困っています(苦笑)。    この夏にけっこう個人的に熱かったグループは、ALLOVERですね。ここは楽曲もパフォーマンスもいいんですが、何よりハマったのはそのゲーム的な仕掛けでした。というのも、ALLOVERは夏に新曲をリリースしたんですが、“21人いるメンバーのソロジャケット版を出して、一番売れたメンバーからユニット曲のセンターにしていく”という、まあAKBの選抜総選挙に似たような手法をやったんです。それで、みんな推しメンのCDを買う。最初はみんな恐る恐る買っていたようですが、運営が中間報告と称してどんどんランキングを発表するので、ファンもだんだんムキになって購入枚数がエスカレートしていく。どうやらひとりで1000枚近く買ったファンもいるみたいです(笑)。CDは累計1万3000枚以上売れたという話ですから、売り上げの13分の1をひとりで支えている。すごいですよね。  で、僕も“さきぶ”という最近ALLOVERに入った子にハマって、その子がちょうどそのとき1位との差が60枚くらいあると発表されていたので、試しに50枚一気買いしてみたら、次の日にいきなり2位に上がったと発表されて、“やべえ、これは熱い!”と思わずガッツポーズですよ(笑)。何が熱かったのかといえば、これってAKBのかつての総選挙に近い面白さなのかな、と。AKBの古参ヲタの人も、“総選挙は第一回が一番面白かった”と言います。ちょっと油断すると順位が変わってしまうから、みんな大急ぎでCDを買いあさっていたそうなんです。それと同じことがALLOVERで起きていて、実際にその効果で、7月にリリースされた4thシングル『世界でイチバン夏が好き』がオリコンデイリーチャートで8位、ウィークリーでも13位になりました。これはALLOVERよりファンが格段に多くて知名度も高いグループに迫る数字。この週の12位がぱすぽで15位がベイビーレイズでしたから、大健闘でしたね。
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「推しメンは絞りきれない」と語る濱野智史氏。

――AKBくらい市場が広がると、ひとりのファンが持てる影響力は限られてきます。 濱野:そうなんです。初期AKBの面白さとまったく同じで、ALLOVERでは自分の一票の重みがすごい。ALLOVERはいつも現場にいる常連も十数人くらいしかいなくて、そういうすごく狭い範囲での戦いですからね。だから自分の買ったCDの枚数で推しメンの勝敗が大きく左右され、現場もどよめく……という、ある種の真剣勝負の面白さがあった。個人的に今年の夏一番熱かったですね。  あと僕が比較的通っているグループだと、らぶけんこと「愛乙女★DOLL(らぶりーどーる)研究生」があります。ここはその名のとおり「愛乙女★DOLL 」というグループの研究生で構成されたグループです。  「愛乙女★DOLL」は通称「らぶどる」とか「らぶど」と呼ばれていて、地下アイドルの中ではかなり大手の、ファン数も多いグループで有名です。ここは2011年に元AKBの研究生をふたり(愛迫みゆ、佐野友里子)入れて作ったグループで、AKBからの流出したファンも多いらしいと聞きますね。ただ僕は、地下は最近ハマったばかりなので、本体の「らぶどる」は全然詳しくはなかったんです。それがたまたま今年4月に秋葉原で始まった定期公演にフラっと入って、それが推し始めたきっかけになりました。だから僕は本体の「らぶどる」はよく知らないけど、「らぶけん」を通して「らぶどる」を知っていくヲタになっていて、研究生のメンバーと一緒に成長している感じです(笑)。これはAKBなんかもそうですけど、アイドルオタクの基本として、“アイドルはなるべく初期から推したい”という心理がある。活動初期はメンバーに認知もされやすいし、応援すれば喜んでもらえますからね。まさに「らぶけん」もそんな感じで入って行きました。

愛乙女★DOLL『Paradise in the summer』(Arc Jewel)

――パフォーマンスが特徴的なグループはありますか? 濱野:これは純粋な意味でのパフォーマンスとは違うかもしれませんが、福岡を拠点に活動している青SHN学園は、もうはちゃめちゃで最高に盛り上がりますね! 初めて観たのは2月でしたが、いきなりアイドルの格好をした男性が踊り始めて、“学園長=プロデューサー”のSHUN様が歌い出す。“アイドルのライブなのにおっさんが歌うの!?”と驚いていると、メンバーたちがステージからフロアにぞろぞろと降りてきて、ヲタと一緒にオーイング(楽曲に合わせて“オー!”と叫ぶこと)を始めるんです(笑)。  ヲタからすると、普通は“ステージ上のメンバーからレスがあってうれしい”というレベルなのに、曲によってはメンバーもフロアに降りてきて、肩を組んだり手をつないだりしながら、「オーエーオー!」とシャウトして一緒に盛り上がってしまう。これは今年の5月にあったワンマンに行ったときの話なんですが、『ぬくもり』という曲では観客もみんな手をつないで聴くんですよ。隣が汗臭いおっさんだったら最悪ですが(笑)、たまたまこのとき、僕の隣にちょっといいなと思っていたシュガー(佐藤彩)ちゃんというメンバーが来て、めちゃくちゃラッキーでした。だって“5分間、アイドルとずっと手をつないでいられるなんて、握手券に換算したら大変なことだぞ”と(笑)。  もともとアイドルの現場はハコが小さくて、ステージとフロアに大きな隔たりもないし、距離も近いからこそ、ステージ上のメンバーからレスをもらうことができる。ステージ上のパフォーマンスをただ受動的に見るだけじゃなくて、こっちからコールをしたりミックスを入れたりヲタ芸を入れたりして、能動的に参加できる――アイドルの現場はそういうインタラクティブ性が魅力だと思うんですけど、それをいま極限まで追求したのが、青SHUN学園だと思いますね。だってもう、文字通りステージとフロアの区別なんてないですから(笑)。本当にここはいつ行ってもフロアは大盛り上がりで、最終的にはプロデューサーのSHUN様を好きになって帰っていく、というよくわからない現場です(笑)。 ――青SHUN学園は、恋愛も自由なんですよね。 濱野:あ、らしいですね。むしろ恋愛を推奨していたはずです。それでアイドルとしてどううまく回っていくのかは知りませんが、なんとなくわかる気はします。青女のライブはみんなで肩を組んで盛り上がり、終わればメンバーも客同士もハイタッチをするという、ものすごい一体感です。特定のメンバーを推すというより、そういう現場を面白がる傾向があるので、これまでのアイドルとは違い、恋愛していても問題ないのかもしれない。これからドンドン人気を広げていくでしょうから、要注目です。

青SHUN学園『今、ここに立って!!』(NoMaKe)

 あと、よく通っている現場だとテレパシーもすごくいいです。昨年、フォーライフミュージックエンタテイメントのアイドルプロジェクト=F.A.R.Mから選抜された5人で結成したグループで、“宇宙初のエアギターアイドル”を謳っていています。それだけ聞くとふざけている感じがしますが、パフォーマンスも全力で迫力があって、ヲタの側としても熱く盛り上がれるし、なによりメンバーも可愛いんです。めちゃくちゃかわいいし曲もいいのに、まだ固定ファンがあまりいないので、今からでも全然推せます。僕の周りでもめっちゃ評判いいですし、オススメですね。僕の推しメンは前嶋菜子ちゃん。テレパシーはなこちゃんに限らず、みんなめちゃくちゃ素直で性格のいい子たちばかりで、いつも現場に行くとほっこりします。  メンバーの可愛さで言えば、夢アドこと「夢みるアドレセンス」がズバ抜けてます。ただ、ここも地下アイドルといっていいレベルじゃもうないんです。というのも、メンバーはローティーン向けファッション雑誌『ピチレモン』の現役モデルなので、そりゃあもう折り紙つきの可愛さです。メンバー全員が完全に本当に可愛いグループというのは、いまどきのアイドルでは珍しいかもしれませんね。それくらい可愛いんですよ、見ているだけでニヤけてきます(笑)。ただ、ここは月に一度しか公演をしないので、しょっちゅう会いに行くという感じではありません。でも、モデルの子だからってお高く止まっているわけでもなく、握手の対応もいいし、ちゃんと通えばレスもけっこうもらえます。僕の推しメンの「きょうたん(京佳)」は、とにかくすごいレス師で、 “こんな可愛い子にレスもらっちゃっていいの!?”という驚きで、もうたまらないです。 (取材=神谷弘一) ■濱野智史(はまのさとし) 社会学者、批評家、株式会社日本技芸リサーチャー。千葉商科大学で非常勤講師も務める。専門は情報社会論で、著作に『アーキテクチャの生態系』(NTT出版)、『前田敦子はキリストを超えた――〈宗教〉としてのAKB48』(筑摩書房)、『AKB48白熱論争』(共著/幻冬舎)などがある。

「僕はAKBにハマりすぎて、地下に流出した」社会学者濱野智史が案内する、地下アイドルの世界

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青SHUN学園『今、ここに立って!!』(NoMaKe)

【リアルサウンドより】  空前のアイドルブームといわれる昨今、AKB48ももいろクローバーZといった一般的に知られているアイドルグループ以外にも、数多くの“地下アイドル”と呼ばれるグループが活躍している。彼女たちはメディアにほとんど露出せず、ライブを活動の中心とし、ファンとの距離が近いのが特徴だ。  AKB48のファンであることを公言し、『前田敦子はキリストを超えた』(ちくま新書)というセンセーショナルな書物で話題をさらった社会学者の濱野智史氏も、地下アイドルにどっぷりとハマったひとり。地下アイドルシーンの魅力とその特徴を語り尽くす集中連載第1回では、AKB48のファンだった濱野氏がなぜ地下アイドルの世界に引き込まれたかを追った。 ――濱野さんが『新潮45』8月号に寄稿された『地下アイドル潜入記 デフレ社会のなれのはて』が電子書籍化され、話題になっています。最近ではAKB48より地下アイドルにハマっているそうですが、その経緯とは? 濱野:アイドルオタクの世界では、別のアイドルに鞍替えすることを「流出」とか「他界」といったりするんですが、別にAKBが嫌いになったわけじゃないんですね。むしろ“AKBにハマりすぎた結果、地下アイドルに流れ着いた”というのが正しいと思います。僕の周りにいるAKBの古参ヲタの皆さんもほとんどそうなっているので、それが自然の流れなんだなと。もちろん、ずっとAKB一筋という人もいますが、そちらの方が特殊な例だという感覚です。  アイドルヲタの世界では、いろんなアイドルを好きになる人、いわゆる“DD(誰でも大好き)”は否定的に見られることもあり、“KSDD”(カスDD、クソDD)などと呼ばれます。まあやっぱり、真剣に一つのアイドルグループに入れ込んでる人から見れば、なんでもかんでも好きというのはただの浮気性にしか見えないでしょうし(笑)。でも、DDにはDDの魅力があって、やっぱりいろんなアイドルを見ることでどんどんアイドルについての理解も深まるし、常に新しい発見もあってどんどん新鮮な気持ちでアイドルを楽しむことができるんですよね。 ――なぜAKBファンが地下アイドルに流れるのでしょうか? 濱野:簡単に言ってしまうと、確かにAKBは素晴らしいが、ほかの地下アイドルとそんなにすごい差があるわけではない、ということです。“AKB劇場は狭いからいい”と言っても、地下アイドルの現場はどこだって狭い。秋元康さんの楽曲がいい、というのは当然認めるところですが、AKBだけで400曲以上もあるわけで、ひとくくりにどの曲が“素晴らしい”ということはできません。AKBからアイドルに入っていくと自然と多様性に慣れていくので、地下アイドルの多様性にもまったく抵抗なく入っていくことができるんです。  多様性というのはこういうことです。AKBはとにかくメンバーが多いんですよね。“AKB好き”と言っても、“ぱるる(島崎遥香)だけを好きでい続ける”という「単推し」を維持するのはほとんど不可能です。ほかのメンバーもドンドン気になって、勝手に“推し増し”(推しメンを変えるのではなく、増やしていくこと)していくことになっていきます。それに慣れていくと、地下アイドルも普通に推せちゃうんですよね。まあ実際、2ちゃんねるのAKB板は今でも「地下アイドル板」という名前で、これはAKBが当初からマスメディア主体ではなく劇場や握手会を活動の主にした「会いにいけるアイドル」であることの名残であって、いまもAKBは「地下アイドル」の延長にある。だから逆にヲタの側がAKBから地下アイドルに流れるのは自然の流れで、延長線上にあることなんだと思います。 ――メンバーが多様であることや、劇場で会えるといったAKBの特性の延長上に、地下アイドルの世界があったと。 濱野:逆のケースを考えると、ももクロなんかはメンバーも5人に限定されているし、どんどん増えたり減ったりしないわけですよね。だからファンの人は“あの5人しかあり得ない”という箱推しになりやすいかもな、とは思います。これに対しAKBファンの場合は、もはや“AKBとAKBじゃないアイドルの境界ってなんだろう?”という感覚になってしまう。実際、地下アイドルには元AKBだったり、AKBのオーディションに落ちたという人がたくさんいますしね。  ちなみに、僕はAKBにハマりすぎて地下に流出したといいましたが、一番マックスでAKBの現場に行っていたのは、去年の11月~12月頃でした。このとき僕は認知されたぱるるに会うために、大阪に行くわ北海道に行くわ、毎週のように遠征してました(笑)。常にどこかで握手会をやっているから、追いかければ確かに、毎週“会える”んです。そして劇場に入ればレスももらえる。でも、そうこうしているうちに『とはいえ、会えるのは週一だもんな』というふうに感覚がおかしくなっていく(笑)。それにAKBの握手会には毎週行けても、抽選倍率の高い劇場はさすがにそうは行きませんからね。  僕がAKBにハマったのはずいぶん遅い2011年からですから、昔の売れる前のAKBのことはよくわかりませんが、それこそ古参の人たちの話を聞くと、本当に毎日のように劇場で会いに行くことができた。でもいまのAKBでそれは無理です。じゃあ昔のAKBに近いものはどこにあるのかというと、地下アイドルになるんですよね。それにだいたいヲタというのは周りのヲタの流出タイミングを見計らっていて、“こいつはそろそろAKBから地下アイドルに行く潮時だな”と見ると、いいタイミングで声をかけて地下に連れて行ってくれる(笑)。みんなが通る道だから、必ずハマるという確信があるんらしいんですよね。  もっとも、地下アイドルは本当にピンキリですから、AKBやももクロが好きな大多数の人からすると、初めは“うわ、しょぼっ!”と思うこともあるでしょう。実際、僕もしょうもないステージを観ることも少なくないので、その感想が正しい部分もある。ただ、AKBを好きな人の8割には地下アイドルに流出する素地があるんじゃないかなとも思います。それでも地下アイドルの人気が爆発的に伸びないのは、やはり物理的な制限が大きくて、東京に毎日会いに来られる人が限られているからだと思いますね。
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アイドルをアーキテクチャの視点から分析する濱野智史氏。

――例えば、青SHUN学園などは福岡を拠点にしています。 濱野:地下アイドルの世界でよく議論されているのが、まさに“東京以外で、地下アイドルは成立するのか”ということです。ローカルアイドルはいますが、結局は東京に来ないと売れないわけで、地元だけで持続可能なアイドルというのはほとんどいないようですね。地方都市で、土日以外の平日もアイドルが毎日ライブをやっているような地域はほとんどないと聞きます。ギリギリで名古屋でしょうかね。だから、青春女子学園を始めとして、たいていの地方アイドルは夏休みのあいだずっと東京に遠征に来ている。東京にいるのに、毎日のようにローカルアイドルを見ることができる状態にあります。  だから地下アイドルにハマるといっても、いまはある限られた人しか得られない経験なのかもしれない。しかし、それでも地下アイドルにハマる余地のある人は、まだまだ潜在的にはたくさんいると思います。僕は“近接性”、つまり近くまで行けることがいまのリアル系アイドルの魅力だと思うんですが、アイドルヲタ用語にも“接触厨”という言葉があって、要は僕の立場はそれなんですよね。アイドルという向こう側の存在なのに、すごく近くまで行くことができる。それは物理的な距離という意味でもそうだし、心理的な距離という意味でもそうです。アイドルのメンバーとコミュニケーションをして、関係性を築くことができる。そこに魅力を感じる人であれば、必ず地下アイドルにハマるでしょうね。だってAKBの握手会とかより圧倒的にコスパがいいですから。AKBなら10秒1000円のところが、地下アイドルなら1分1000円なんてザラです。「量が質に変わる」じゃないですが、それはやっぱり圧倒的なんですよね。 ――かつてのアイドルはメディアを通して観るものでしたが、今は違うルートで楽しむことができるわけですね。 濱野:もちろん今でも、“メディア越しに可愛い女の子たちを観ていればいい”という、“在宅”の人はいます。かつては「アイドルはテレビの向こう側にいる存在だ」と思われていたわけで、今のアイドルのあり方はずいぶん変わってしまったともいえる。でも、僕はアイドルというのは常にメディアの変化に敏感な存在なんだと思うんですよ。メディアの構造が変われば、アイドルのあり方も自然と変わる。今はソーシャルメディアが中心の時代で、それこそ地下アイドルの子たちはデジタル・ネイティブ世代だし、テレビも昔ほど見ていない。“身の周りの人間関係がすべて”という時代に生まれたアイドルの子たちは、テレビのような強いメディアに露出すれば売れることは知っていても、それはごく限られた世界の話であって、むしろ身の回りのファンやメンバーとの関係性こそが大事なんだと考えているんじゃないかなと思いますね。 ――アイドルの側からしても、やはり近接性は大きなテーマになっていると。 濱野:これは僕がアイドルにハマってますます思うようになったんですが、そもそも人間って、少しでも関係性を持ったことがある人を、依怙贔屓して見てしまう特性を持っているじゃないですか。これは僕が実際最近経験したことですが、僕は以前、Fleur*(フルール)という地下アイドルをライブで観たのですが、そのときは疲れていたこともあって、黙って座って観る“地蔵”スタイルで、そんなにいいとは思ってなかったんですよ、正直。それが、こないだもふくちゃんとさやわかさんとゲンロンカフェでイベントをやったとき、ちょうどFluer*のメンバーがお客さんとして来ていて、終わったあとに挨拶してくれたんです。そこで、“あ、僕もFluer観たことありますよ、今度また見に行きますよ”なんて調子のいい話を僕もしてしまって。  するとおかしなもので、その後に実際にFleur*をライブで観ると、とてもよく見える(笑)。最初はそんなによく見えなかったくせに、いざ知り合いが出ていると思うととても贔屓目に見てしまうわけです。これは別にアイドルに限らなくて、知り合いがやっている演劇でも、音楽でも、あるいは小説でも、全部同じことですよね。知っている人がやっているということに、これほど人間の審美眼というか、価値観は左右されるのかと。これって表現を純粋に取り組んでる人からすると、“知り合いになったちょっと可愛い子が歌っているからよく見えるとか、お前バカいってんじゃねーよ”という話だと思う。しかし現実問題として、ちょっとでも可愛いと思った子や、ちょっとでも交流がある子、握手したり挨拶したことのある子が目の前で歌っていると、どうしても関心を持ってみてしまうし、よく聴こえてしまうし、応援してしまう。確かにこれって純粋に音楽性とかパフォーマンスを評価しているわけじゃないから、単なるバカなのかもしれない。でも、人間ってこういう「知り合いへのえこひいき」みたいな感情を持っているからこそ、仲間をつくり社会を作ることができたわけじゃないですか。社会心理学っぽくいえば。 ――アイドル論者の中にも、「在宅か、現場か」という立場の違いがあるようです。 濱野:そうなんですよ。そもそも評論家は、基本的に“在宅”の側に立つと思うんですよね。たとえば『AKB48白熱論争』の4人の中だと、中森明夫さんや宇野常寛さんなんかはあんまり現場に行っていない。単純に忙しくて行く隙がないだけかもしれないですが(笑)、たぶんそれは距離をとって対象を見ようとするからだと思うんです。在宅だからこそ、純粋に対象の良し悪しをなるべく客観的に論じることができる。だってそうじゃないと、いま僕が言った“接触したら好きになってしまう”なんて話をしてたら何も論じられなくなっちゃうから(笑)。以前、田中秀臣さんが”最近のアイドルライターの現場至上主義はどうかと思う““地下アイドルの現場に行ってみたが、自説を変えるようなことは何もなかった”という意味合いのことをツイッターでおっしゃっていました。でも僕はそれを見て、「あ、田中さんは現場でレスをもらったり、高まったりしなかったのかな」と思ったんですよね。いや、もらってるかもしれませんけど(笑)。普通、評論家的な人がアイドル現場いったら、「後ろのほうで腕組んで地蔵スタイルで見る」という感じになりがちですからね。もしそうだとしたら、そりゃ現場の面白さなんて分かるわけないですよ。  ただ、評論家が「現場」を重視しすぎてはだめ、というのはよくわかるんです。客観性が失われてしまうから。でも、僕が考える少なくとも地下アイドルの姿というのは、客観性なんてものはないんです。その人がいいと思ってハマっていれば、それがすべて。“たまたま握手したことがある”とか、“最前で観たらたまたたまレスをもらってしまった”とか、現場で何をいいと思うかは、本当に偶然の産物だと思います。そしてそれでいいんですよ。僕に言わせれば、そういう主観的な経験を大量生産するのが地下アイドルという装置なんだと、と。  僕はもともと映画や音楽や小説の作品批評をする評論家でもないから、別に個別のアイドルの素晴らしさをどうこう論じるつもりはないんですよね。僕は「アーキテクチャ」といって環境がどう設計されているかにしか興味がないから、あくまで自分自身をいわば実験台にして、いろんな地下アイドルの現場に潜ってはなぜそれが人を夢中にさせるのか、その環境の設計ばかり気になってしまう。こういう見方をする人もかなり特殊だから、別に自分の言っていることが地下アイドルのすべてだとも思いません。ただ、地下アイドルの世界が非常に面白い環境であることは、AKBから地下に潜ってますます分かるようになりましたね。 (取材=神谷弘一) ■濱野智史(はまのさとし) 社会学者、批評家、株式会社日本技芸リサーチャー。千葉商科大学で非常勤講師も務める。専門は情報社会論で、著作に『アーキテクチャの生態系』(NTT出版)、『前田敦子はキリストを超えた――〈宗教〉としてのAKB48』(筑摩書房)、『AKB48白熱論争』(共著/幻冬舎)などがある。

「母の遺言書があった」宇多田ヒカルが実父バッシング報道と対決へ

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宇多田ヒカル『This Is The One』(Umgd/Mercury)

【リアルサウンドより】  藤圭子(本名・宇多田純子)が西新宿のマンションから飛び降り自殺をして2週間。事件後の親族間の争いや、娘の宇多田ヒカルの動向を伝える報道が過熱する中、宇多田ヒカルが9月5日、自身のホームページ上で報道内容に反論するコメントを発表した。ここでは、各誌の報道内容を振り返りつつ、宇多田が反論に至った経緯をまとめたい。  藤圭子の実兄をはじめとする親族への取材を成功させ、元夫・宇多田照實氏へのバッシング色の強い記事を掲載しているのが『週刊文春』だ。同誌の8月29日売り号では、藤圭子の訃報の翌日、実兄である藤三郎氏が遺体の安置されている新宿署に駆けつけたが、警察により遺体との対面は拒否されたとの記事を掲載。身元引受人が藤の元夫・宇多田照實氏であることを明かした上で、藤三郎氏は「宇多田君はこれまでも圭子と家族を切り離し、会わせないようにしてきました。圭子が死んでもなお、同じことを続けるのかと絶望的な気持ちになりました」と不満を顕にした。  また、同誌や『フライデー』8月30日売り号によれば、ロンドンで日本画家の男性と同居していた宇多田ヒカルは急遽帰国。葬儀場となった都内の会館で27日、父の照實氏と2人きりで藤圭子の死を悼んだ。このことに対し、藤圭子の叔母にあたる竹山幸子さんは「宇多田さんとヒカルだけで荼毘に付するなんて、不自然なことだし、納得がいかないわけです」と語っている(『週刊文春』9月5日売り号)。さらに同誌は、芸能関係者の証言として「ヒカルは母親を埋葬して、数日後、お骨を持たずにロンドンに戻ったようです。誰が遺骨を引き取るかはわからない」との証言を掲載。生前、藤圭子が知人に「ヒカルちゃんが私を遠ざけているの」と漏らしていたことにも触れており、藤圭子と宇多田ヒカルの関係も断絶していたのでは、と推測する記述も見られた。  一方、『週刊新潮』9月5日売り号は、RCAレコードで藤を担当していた元ディレクターの榎本襄氏の「ヒカルのイメージを崩さないようにしたい。宇多田照實さんはそう考えて藤圭子を世間から遠ざけたのだと思っています」とのコメントを掲載。藤圭子が“世間から消えた”晩年を過ごした背景に、宇多田照實氏の意向が働いていたことを示唆した。  一連の報道を受けてネット上では、照實氏が藤圭子を追いつめ、宇多田ヒカルの利権を独り占めしようしたのではないか、との見方が強まった。そんな中、宇多田ヒカルは9月5日、自身のホームページで「父と離婚後も、母は旧姓の阿部ではなく宇多田姓を名乗ることを希望し、籍も父の籍においたままでした。夫婦だとか夫婦ではないなんてこと以上に深い絆で結ばれた二人でした。亡くなる直前まで、母は娘である私だけでなく、父とも連絡を取り合っていました。父は、母が最後まで頼っていた数少ない人間の一人です」と、照實氏と藤圭子の関係が、報道のように険悪なものではなかったと反論。  さらに、葬儀を親子2人だけで行ったことについては「母の遺体との面会を希望された方もいらっしゃいましたが、やむなくお断りさせていただきました。この場を借りてお詫び申し上げます。母の気持ちを考えた上での、喪主としての私の判断でした。(中略)遺言書の内容に基づき、出来る限り母の意向に沿うべく精一杯の弔いをしています」と、遺言書があったことを発表すると共に、藤圭子が「葬儀や告別式といったイベントを好むような人ではなかった」ために、遺言書に沿って葬儀を行ったことを示唆した。  著名人の死後にはしばしば、親族の証言をもとに“骨肉の争い”を伝える報道がなされる。藤圭子死去後の報道もまさにその一例だが、今回の宇多田ヒカルは当事者として、いち早く反論を行ったことになる。歌手復帰が待たれる宇多田だけに、音楽ファンとしては一連の騒動の早期決着を望みたい。 (文=編集部)