ディズニーランド「パワハラ」「過重労働」裁判に見る、オリエンタルランドの「4つの地雷」

 “夢の国”として知られ、多くのファンに愛され続けている東京ディズニーランドに、前代未聞の裁判が起こっている。キャラクターの着ぐるみを着て、ショーやパレードなどに出演していた女性契約社員A氏とB氏が、過重労働やパワーハラスメントで体調を崩したのは、運営会社のオリエンタルランドが安全配慮義務を怠ったためだとして、同社に損害賠償を求めた訴訟。その第1回口頭弁論が、11月13日に千葉地裁で開かれたのだ。

 A氏は、10~30キロの着ぐるみを着用して働く中、2017年1月に、神経などを圧迫される「胸郭出口症候群」を発症。しかし当初、会社側は労災申請を渋り、休業補償もないとの対応だったそうだ。その後、労働組合「なのはなユニオン」による交渉の結果、会社は労災申請をし、同8月に労災認定を受けたという。一方でB氏は、ゲストとのグリーティング中に薬指を反対側に折られて負傷。労災申請について上司に相談したところ、「君は心が弱い」という対応を受け、また役の変更の申し出にも「わがままには対応できない」と言われたそうだ。さらに「楽屋で喘息が出る」と伝えた際は、「30歳以上のババアはいらねえんだよ。辞めちまえ」「病気なのか。それなら死んじまえ」などの暴言を吐かれるパワハラを受けたとのこと。なおオリエンタルランド側は、請求棄却を求めている。

 名実ともに国民的テーマパークのディズニーランドだけに、世間はこの裁判を大きな関心を持って受け止めているようだが、『ディズニーの労働問題 「夢と魔法の王国」の光と影』(三恵社)著者であり、東京経営短期大学専門講師も務めるジャーナリスト・中島恵氏は、この裁判をどう見るのか? 今回、オリエンタルランドの姿勢に懐疑を抱く中島氏の緊急寄稿を掲載する。

 訴訟大国アメリカの本家ディズニー社と違って、日本のオリエンタルランドが提訴されることは、非常に珍しい。米ディズニー社はいつも何かしらの訴訟を抱えているので、今回のように、裁判一件がこれほど注目されることはないのだ。

今回のディズニー訴訟は、世間から好奇の目にさらされている気もする。筆者がSNSで裁判について触れたところ「ディズニーの裁判? なんか楽しそう」というコメントが寄せられ、なぜか知らない人から3つの「いいね!」をもらった。その内容を知らない人の目には、どうやらディズニーの裁判は“楽しそう”に見えるらしい。

しかし、実態はオリエンタルランドの悪しき社風と隠蔽体質が浮き彫りになった。筆者の目に特にダメと映った4つのポイントについて解説したい。

1.「バックステージを見せない」という美学が隠蔽体質を生んだ

 ミッキーの生みの親であり、ディズニーランドの創設者、ウォルト・ディズニー氏は、生前「バックステージをゲストに見せてはならない」とスタッフに強く指示していたという。客(ゲスト)に見えるところを「オンステージ」、見えないところを「バックステージ」と呼んで明確に区別し、ショービジネスの世界では「バックステージを客に見せない」ことが美学だと説いたのである。これはウォルトの経営哲学「ディズニー・フィロソフィー」の一項目にもなっている。

 その哲学は、現在のオリエンタルランドにも引き継がれているが、今回の裁判では、それがスタッフの過重労働やパワハラの隠れ蓑に使っているのではないかと感じた。原告の女性2人が、「夢を壊すのではないかと訴訟を躊躇した」などと発言していたのも、まさに「バックステージを見せない」ことをこれまで徹底してきたからであろう。都合の悪いことを隠す隠蔽体質では未来はない(バブル崩壊後の1990年代から2000年代にかけて、大企業の倒産が相次いだが、倒産した名門企業はどこも隠蔽体質であった)。

なお、こうした隠蔽体質は、ディズニー全体ではなく、オリエンタルランド独特のもののようだ。事実、アメリカのディズニーではストライキが何回か起こり、それが報道されている。隠蔽体質は日本で独自に進化したガラパゴスなのではないだろうか。

2.守るのは“夢の国”よりも“ディズニー・プライド”?

 裁判と原告側の記者会見に出て、筆者が感じたのは、“夢の国”を壊さないという大義名分のもと、会社の名誉を守る“名誉欲”が強いオリエンタルランドの一面である。

 同社は、請求棄却、つまり原告の主張を正当な申し立てと見なさず、退けることを求めている。“夢の国”のイメージを守りたいという気持ちなのだろうが、キャストである原告への誠意のなさをも感じてしまう。実際に彼らが守りたいのは会社の名誉、名づけて“ディズニー・プライド”なのではないか。

 今、“会いに行けるアイドル”やインスタグラマーなどが人気なのは、親しみやすさ、同じ世界の人と感じられることなどが人気の要因であろう。対して、裁判で浮き彫りになったオリエンタルランドのプライドの高さは、人を遠ざけるのではないだろうか。

 政府と社会が“働き方改革”を進めている中、原告の訴えを見るに、オリエンタルランドが時代を逆行している感は否めない。B氏は、午後10時30分に仕事終了、午後11時20分の最終電車で家路につき、翌日は午前6時45分出勤といった厳しいシフトを強いられていたこともあったそうだ。

戦後の焼け野原から日本経済が復興したのは、定時にとらわれず猛烈に働く国民性によるだろう。バブル期には「24時間働けますか」というリゲインのCMがヒットし、長時間の激務をこなす人が美徳とされた。しかしそれは、頑張れば頑張っただけ給料が増えた時代の話である。バブル崩壊後の日本経済は縮小均衡に入ったため、頑張れば頑張っただけ……ということはないのだ。

 日本政府は、働き方改革で「非正規雇用の処遇改善」を掲げている。A氏もB氏も非正規雇用だが、請求棄却を求めるオリエンタルランドは、彼女たちの処遇を改善する気はないようである。

4.出演者のキャリア形成を考えていない?

 原告のA氏とB氏の訴えからは、オリエンタルランドが、従業員のキャリア形成を考えていないのではないかといった疑念も生じた。実際にA氏は、会社から「使い捨て」されているように感じると証言した。

 A氏とB氏のような出演者は、難関オーディションを突破した人だけがなれる職種で、2人とも長くダンスレッスンに通ってやっと合格している。レッスンの費用はもちろん自分持ち。おそらく出演者たちは、「これを一生の仕事にしたい」と思っている人が多いだろう(現在東京ディズニーランドは35周年、実際に、開業時に出演者として採用された勤続35年の50代従業員もいる。まさに一生の仕事である)。

しかし、胸郭出口症候群を発症したA氏に、当初「休業補償はない」などと説明した点を見るに、出演者が長く働き続ける環境を整えようとする配慮は会社側にない。学生のアルバイトとの処遇差はほぼないのではないか。

 A氏もB氏も、このままずっとディズニーで出演者として働くことを希望している(現在2人とも休職中)。一生の仕事としてディズニーで働くことを希望する人たちのキャリア形成を、会社はどう考えているのだろうか。

 今回の訴訟で、パワハラ体質や弱い立場の非正規を使い捨てにする体質があることがバレたたオリエンタルランド。今後、同社に非正規で入社を希望する者、特に出演者のオーディションを受ける人は減るのかもしれないが、東京周辺でまとまった出演者の仕事がある同業社が増えない限り、やはりディズニーランドでと願う人は減らないか……とも考えられる。

 最後にどうしても言いたいことがある。筆者は5歳の時、父に連れられて初めてディズニーランドを訪れたとき以来のディズニーファンである。04年、大学院生の修士論文のテーマに、ディズニーランドのキャストの人材育成とモティベーション向上策を選び、それから現在まで14年間、ディズニーについて調べ続けてきたのは、根底に「好き」という思いがあるからだ。

 しかし、正直なところ、今回の訴訟によって、ディズニーを嫌いになりそうなのも事実。実際に、このままではディズニーはファンを失うだろう。テーマパークは人気商売である。大勢のファンを失わないためにも非正規雇用の処遇改善をしてほしい。いちファンとして、そう心から願っている。

いまだ軽トラ横倒しの犯人も捕まらず、苦情も殺到……それでも渋谷区は「ハロウィン禁止」にできないワケ

 ついに、暴動の場となった渋谷のハロウィン。ハロウィンの当日にあたる10月31日には、スクランブル交差点に多数の警察官が配置されるなど厳戒態勢が敷かれた。

 今回の騒動を受けて、渋谷区には「ハロウィンを中止しろ」という苦情も数多く寄せられている。だが、渋谷区としては中止を宣言するわけにもいかない。というのも、渋谷のハロウィンは渋谷区はもちろん、特定の組織が開催しているわけではなく勝手に大勢の人が集まってきているだけだからである。

 もともと、渋谷区のハロウィンの歴史は古い。この地域でハロウィンのイベントが最初に開催されたのは1986年のこと。渋谷区の恵比寿・代官山周辺の商店会や企業が仮装パレードを催したのが最初で、その翌年には2,000人規模に。この催しは、結局定着しなかったものの、ハロウィンと渋谷区の縁はそれなりに長いのである。

 そして、ハロウィンが騒乱になるのも、最近始まった話ではない。1992年頃からは、渋谷駅や山手線で外国人を中心に日本人も集まりはじめ、仮装して駅構内や電車で暴れ、乗客に水をかけたり電車の照明を破壊するなどして、警察が出動する騒ぎも起こっている。つまり、渋谷区は日本にハロウィンが定着する以前から、騒乱の場となっていたというわけである。

 渋谷区の長谷部健区長は「2019年2月の予算編成までに方向性を固めたい」としてはいるものの、前述のように特定の団体が開催している行事ではないために、具体的な対策はどこからも示されていない。

 現状でも、軽トラが倒されるなどの騒ぎが起きているわけだが、これを警察当局が取り締まることはできないのか。

「ハメを外しすぎている参加者を取り締まる方法は、いくらでもあります。交通整理にあたっている警察官の指示に従わず、声を張り上げるなどしたら公務執行妨害で逮捕することも可能でしょう。ただ、そこまでやれば過剰な取り締まりと批判を受ける可能性もあります。大半の参加者は、単に仮装して歩いているだけですから、交通整理以上のことはなかなか困難なのではないでしょうか」(新聞記者)

 実際、軽トラが横倒しにされる画像はネットで拡散しているものの、いまだ関与した者が逮捕されてはいない。警察当局がこんな及び腰では、来年以降も渋谷のハロウィンは荒れそうだ。
(文=ピーラー・ホラ)

伝説の爆乳ポルノ女優に憧れて……20回の整形手術で”リアルラブドール”に!

 バービー人形のようなルックスを目指し、何度も整形手術を受ける女性は世界に多数いるが、“ラブドール”そっくりに変身した元・男性が現れた。

 英「デイリー・ミラー」によると、ドイツ・ベルリン出身のイヴァナさん(26)は、ラブドールのように外見に憧れ、20回もの美容整形手術を受けた。

 これまで、胸を3回、鼻を5回、そのほか、顎削りや前額リフト、立ち耳修正などの手術を行っており、総額8万7,000ポンド(約1,3000万円)を費やしているという。

 しかし、これに飽き足らず、理想の外見を手に入れるためには、少なくともあと4つの手術が必要だというから驚きだ。

「私は単純に醜いんです。いつも男性に無視され、“美しくない”と言われていました」

 しかし、いまや彼女のインスタグラムのアカウントは9万6,000人ものフォロワーを抱えており、“リアルラブドール”として注目されている。

「女性たちは私を見ると“ラブドールみたい”と言って笑うけど、それは私にとっては最高の褒め言葉。私の憧れは、世界最大のおっぱいを持っていたといわれるポルノ女優、ロロ・フェラーリなの」

「完璧な人形になりたい」と話すイヴァナだが、セクシーな厚い唇に、はちきれんばかりのパンパンのおっぱいは、まさにラブドールそのもの。ドール好きの男性にとっては、たまらないボディだ。

 日本でも数年前、フランス人形に憧れ、200回以上の整形手術を繰り返す“整形モンスター”ことヴァニラが話題を集めたが、美しさの基準は人それぞれ。理想を求めて努力を重ねる彼女たちを応援したい。

大学受験で政治思想チェックが必須に!? 恐怖の“文革”再来か…… 

 中国内陸の大都市・重慶市の地元紙「重慶日報」(11月6日付)が、「2019年の高考(全国普通高等学校招生入学考試/日本のセンター試験のようなもの)では、受験生の政治思想をチェックする審査が必須となり、通過しなかったら入試を受けることができなくなる」と報じた。

 つまり、受験生は中国共産党が定める政治思想、行動規範に反していたり、家庭環境に問題があったり、社会に適してないと見なされたら、大学受験が許されないということだ。記事にはさらに「政治審査不合格者は、軍警察、公安、特殊な教育機関で再教育する」との記載まである。

 これは、重慶市教育考試院(大学入試センターに相当)がSNS上で「思想政治品格道徳の審査」を導入すると公表したことを根拠にしたもので、このニュースは瞬く間に話題となったが、こういった思想に関する厳格な管理・取り締まり・再教育となると、思い出されるのが文化大革命だ。

“文革”は毛沢東が1966年に始めた政治運動で、国家主席の地位を追われた毛氏が敵対政治勢力を駆逐し、再び権力の座をつかむために、中国全土に『毛沢東語録』を配って思想統制を図り、少しでも“反革命分子”と認定された者は、弾圧、処刑された。特にターゲットとなったのが大学教授など知識人たちで、大学入試の際にも厳しい政治審査が行われ、後に鄧小平が廃止するまで続けられた。

 当時を彷彿とさせる時代錯誤な取り組みに、ネット上では「政治審査に不合格の学生は、大学に進学する権利がないの?」「孔子は、人は教育によってどうにでもなる、生まれた時から差があるわけではないって話していた。でも2,500年後、孔子を敬う人がやったのが高考の政治審査って」「憲法で、教育を受ける権利って保障されている。なのに、政治審査ではく奪されるっていいの?」「人民を、いつまでも騙し続けることはできないよ!」などと、猛反発が巻き起こっている。

 習近平国家主席は毛沢東を想起させるような政策を行ったり、近年、メディアへの締め付けやインターネットの監視を強化するといった背景もあり、この話題に敏感になった人が多かったようだ。

 そうした批判を受け、重慶市教育考試院はホームページ上で「我々が記述した『思想政治品格道徳の審査』というのは規範ではないし、厳格なものでもない」と否定。これにて一件落着かと思われたが、今度は福建省教育考試院が9日、同じ表現を用いた発表を行った。ちなみに福建省は習近平が以前勤務した、ゆかりのある土地。それだけに「やっぱり中央政府の意向が働いているのか?」といった不気味さが漂う。

「これからは、民間企業の就職試験や住宅ローン審査にまで、政治審査が広がるかもしれない」SNS上には、そんな不安を吐露する者もいる。恐怖の文革時代の再来となるのか――。

助成金に頼りすぎ? ずさん経営で閉鎖も相次ぐ「企業主導型保育所」の落とし穴

 企業が主に従業員向けに設置する「企業主導型保育所」で、保育士が一斉に辞めるなどのトラブルが相次いで表面化している。企業主導型は、認可保育所よりも緩い条件で設置できる一方、助成金は認可並みとあって、2年で約6万人の児童の受け皿に急拡大した。だが、中には資金繰りの見通しが甘かったとみられるケースもあり、主導する企業の力量次第で保育のクオリティも左右されそうだ。

 東京都世田谷区の企業主導型の場合、同じ保育事業者が運営する2カ所で計18人の保育士や栄養士らが一斉に退職し、うち1カ所では今年4月のオープンから7カ月で閉鎖を余儀なくされた。

 助成金の支給実務を行う「児童育成協会」の聞き取りに、保育士らは「賃金の未払いがある」と訴えたが、事業者側は未払いを否定。助成金交付の遅れを指摘しているという。ほかにも、開設2カ月で閉鎖したケースがあった。

 これらの問題発覚後、同じように企業主導型を運営する関係者らに意見を聞くと、「経営者のマネジメント能力がないのでは」「資金繰りに失敗したんだろう」と手厳しい。おそらく、手厚い助成金を頼りにしすぎたのではないかというのだ。

 企業主導型では、都市部の定員20人の参考例で、工事費などの整備費用が1億円以上助成される。運営費用の助成も、東京都心では年間約3,000万円にも上る。

 だが、問題は、それがいつ支給されるか。関係者は語る。

「助成金を申請してから決裁までに2カ月、交付までにさらに4カ月から半年程度かかります。開園後しばらくは設置企業の資金で対応することになり、うまく回るようになるまで時間がかかる。立ち行かなくなった保育所は、そこまで考えてなかったのだと思います」

 それにしても、なぜそんなに時間がかかるのか?

「育成協会に申請書類を出しても、1回ではまず通らない。たいてい足りない部分があって差し戻しを受け、やりとりを繰り返します。制度ができてからまだ3年目で、毎年求めてくる内容が違い、用意に手間暇がかかる。育成協会も人員を増やして対応していると聞いていますが、思ったより申請数が多く、作業が追いついていないのかもしれません」(同)

 手厚い助成金のためか、設置企業は必ずしも大企業に限らない。事業を拡大しようとする企業が若手社員の募集に向けて、先行投資として設置する場合もあるのだという。投資が成功すればいいが、仮に本業が傾けば保育所運営にも影響が出かねない。

 また、保育所運営に携わったことのない畑違いの企業が、保育事業者に運営を委託せず、直営で保育所を開設するケースもある。

 保育スタッフの半分以上が保育士であるという基準を満たしていれば、保育とまったく関係のない仕事をしていた人を充てることも可能というわけだ。保育所参入の門戸を広げ、企業のパワーを生かして待機児童解消を目指す制度とはいえ、少々心もとない。

 加えて今は全国的に保育士不足で、保育士は引く手あまた。

「保育士が子どもたちを残して突然保育所を辞めることは、苦渋の決断だったはずです。だけど保育士にも生活はあるし、経営が危ういところでは働けないと思われても仕方ありません」(同)

 企業主導型は定員の半分まで地域の子どもたちを受け入れることができるため、従業員でなくとも子どもを預ける可能性がある。設置企業の責任は重い。

 利用者が突然の閉鎖などのトラブルに遭わないための方法を聞くと、関係者はこう強調した。

「利用前に、設置企業がどんな企業で、経営が危うくないかなどを調べる。直営でなく保育事業者への委託なら、その実績も調べるべきです」

助成金に頼りすぎ? ずさん経営で閉鎖も相次ぐ「企業主導型保育所」の落とし穴

 企業が主に従業員向けに設置する「企業主導型保育所」で、保育士が一斉に辞めるなどのトラブルが相次いで表面化している。企業主導型は、認可保育所よりも緩い条件で設置できる一方、助成金は認可並みとあって、2年で約6万人の児童の受け皿に急拡大した。だが、中には資金繰りの見通しが甘かったとみられるケースもあり、主導する企業の力量次第で保育のクオリティも左右されそうだ。

 東京都世田谷区の企業主導型の場合、同じ保育事業者が運営する2カ所で計18人の保育士や栄養士らが一斉に退職し、うち1カ所では今年4月のオープンから7カ月で閉鎖を余儀なくされた。

 助成金の支給実務を行う「児童育成協会」の聞き取りに、保育士らは「賃金の未払いがある」と訴えたが、事業者側は未払いを否定。助成金交付の遅れを指摘しているという。ほかにも、開設2カ月で閉鎖したケースがあった。

 これらの問題発覚後、同じように企業主導型を運営する関係者らに意見を聞くと、「経営者のマネジメント能力がないのでは」「資金繰りに失敗したんだろう」と手厳しい。おそらく、手厚い助成金を頼りにしすぎたのではないかというのだ。

 企業主導型では、都市部の定員20人の参考例で、工事費などの整備費用が1億円以上助成される。運営費用の助成も、東京都心では年間約3,000万円にも上る。

 だが、問題は、それがいつ支給されるか。関係者は語る。

「助成金を申請してから決裁までに2カ月、交付までにさらに4カ月から半年程度かかります。開園後しばらくは設置企業の資金で対応することになり、うまく回るようになるまで時間がかかる。立ち行かなくなった保育所は、そこまで考えてなかったのだと思います」

 それにしても、なぜそんなに時間がかかるのか?

「育成協会に申請書類を出しても、1回ではまず通らない。たいてい足りない部分があって差し戻しを受け、やりとりを繰り返します。制度ができてからまだ3年目で、毎年求めてくる内容が違い、用意に手間暇がかかる。育成協会も人員を増やして対応していると聞いていますが、思ったより申請数が多く、作業が追いついていないのかもしれません」(同)

 手厚い助成金のためか、設置企業は必ずしも大企業に限らない。事業を拡大しようとする企業が若手社員の募集に向けて、先行投資として設置する場合もあるのだという。投資が成功すればいいが、仮に本業が傾けば保育所運営にも影響が出かねない。

 また、保育所運営に携わったことのない畑違いの企業が、保育事業者に運営を委託せず、直営で保育所を開設するケースもある。

 保育スタッフの半分以上が保育士であるという基準を満たしていれば、保育とまったく関係のない仕事をしていた人を充てることも可能というわけだ。保育所参入の門戸を広げ、企業のパワーを生かして待機児童解消を目指す制度とはいえ、少々心もとない。

 加えて今は全国的に保育士不足で、保育士は引く手あまた。

「保育士が子どもたちを残して突然保育所を辞めることは、苦渋の決断だったはずです。だけど保育士にも生活はあるし、経営が危ういところでは働けないと思われても仕方ありません」(同)

 企業主導型は定員の半分まで地域の子どもたちを受け入れることができるため、従業員でなくとも子どもを預ける可能性がある。設置企業の責任は重い。

 利用者が突然の閉鎖などのトラブルに遭わないための方法を聞くと、関係者はこう強調した。

「利用前に、設置企業がどんな企業で、経営が危うくないかなどを調べる。直営でなく保育事業者への委託なら、その実績も調べるべきです」

W杯の”番狂わせ”で自殺者も……過熱する中国サッカー賭博事情

 先日閉幕したサッカーW杯ロシア大会では番狂わせが頻発し、各国ファンの熱狂と落胆が渦巻いた。そんな波乱のW杯は、出場していない中国にも大きな経済効果をもたらしたようだ。

 中国の経済雑誌「中国経済週刊」やネットメディア「網易」などの報道によると、W杯開催期間中の6月11日から7月8日までの、国家体育総局(日本のスポーツ庁に相当)が運営管理するスポーツくじの累計売上高は364.28億元(約6,066億円)だった。4年前のブラジルW杯の際は129.21億元(約2,143億円)で、売り上げは3倍近くまで伸びたことになる。

 ただ、この売上高は公営のサッカーくじのみで、違法なくじや、海外のブックメーカーを介して購入されたとみられるくじは数字には入っていないという。そのため、実際の売り上げは、前出の数字の倍近くあってもおかしくない。

 北京在住のサッカー好き日本人男性も、中国でのW杯賭博の盛り上がりについてこう話す。

「もともとサッカー好きでバクチ好きという国民性もありますが、中国でのフィンテックの拡大も、サッカー賭博の盛り上がりの要因となっています。今大会では、スマホの違法サッカーくじアプリや、中国版LINE・微信(WeChat)のグループチャットを介した賭博も横行しましたが、これは前大会では見られなかった動き。いまやWeChat Payのようなスマホによる個人間決済が普及しているため、掛け金や当選金のやりとりも用意周到で当局にもバレにくい」

 一方で、ブラジル、アルゼンチン、ドイツ、スペインなど優勝候補国が不調だったこともあり、思惑が外れて大損してしまった中国人も続出したようだ。特にグループリーグの韓国対ドイツ戦では、多くの中国人がドイツの勝利に賭けていたのか、韓国が2対0で勝利した直後には、「韓国なんか嫌いだ!」「韓国の馬鹿野郎」など罵詈雑言がSNS上で飛び交っていた。

 また、6月18日には広東省恵州市の男性が、くじを外して大金をすり、殺虫剤を飲んで自殺を図る事件が発生するなど、W杯の開幕当初から深刻な社会問題になっていた。

 当局は、携帯電話のショートメッセージでサッカー賭博への参加を自重するよう市民に呼びかけたり、違法くじアプリやサッカー賭博の胴元の摘発なども行っていたが、どこまで効果があったかは怪しい。

 W杯出場は中国の悲願だが、自国が出場していなくても自殺者が出るほど過熱するサッカー賭博。出場したあかつきには、どうなってしまうことやら……。

(文=大塚淳史)

「うな次郞」では足りない……絶滅寸前、高すぎるうなぎに代用品続々! でも、本当に美味いのはどれだ?

 今年は土用の丑の日が2回。その1回目である7月20日。スーパーの店頭にも、多くのうなぎの蒲焼きが並んだ。

 年中行事に熱心な人は減少しているように見える。冬至の日に、必ずカボチャを食べなくては、と焦る人も今ではそう多くない。

 でも、土用の丑の日だけは別格だったはず。その流れにも変化が訪れている。

 土用の丑の日にスーパーに並んだうなぎの蒲焼き。中国産で1,000円強。国産だと2,000円を超える。プラス、うなぎのタレである。

 食材一つの価格としては、かなりの値段。これならば、専門店で食べたほうがよい。新香で酒を飲みながら待つというガチの専門店でなくてもよい。スーパーで買い求めてレンチンしたうなぎをごはんに盛り付けるよりも、4,000~5,000円出して専門店で食べると、値段は倍だが美味さは十倍は違う。

 そのほうが得だと消費者が気づき始めたわけではないが、今年は明らかに土用の丑の日が盛り上がりに欠けた。理由は、多くのメディアが報じている「うなぎの絶滅危機」である。うなぎの多くは養殖物だが、純粋な養殖ではない。野生から捕獲したシラスウナギ(稚魚)を、養殖する仕組みだ。そのシラスウナギの漁獲量の激減によって、うなぎの絶滅危機がにわかに現実味を帯びているのだ。

 もちろん、完全養殖に向けて日夜研究が続いているが、まだ成功には至っていない。いずれにせよ、今後もうなぎの価格の高騰は避けられないだろう。

 そこで注目を集めているのが、うなぎの代用品だ。

 まず、よく見かけるのが、うなぎ以外の食材を用いたものだ。さんまのほか、最近ではなまずの蒲焼きなんてものも見かけるようになった。今回、スーパーを見てみると「うなぎ屋が作ったさんまの蒲焼き」という、なかなか強気なネーミングの商品も。さっそく食してみたが……やっぱりさんまだ。

 関東・甲信越の大学生協では「土用のたれめし」。すなわち、うなぎのタレだけをまむしたごはんが話題を呼んだ。これは、買うまでもなく学生時代に食べたことのある人も多いはず。確かに、さんまのたれだけで、ごはんは進む。進むけど……完全な敗北感がある。

 そんな中、うなぎ代用品の本命とされているのが、カニカマで有名な新潟の一正蒲鉾が製造している「うな次郎」。製造元からもわかるように、要はカニカマのうなぎの蒲焼きバージョンのようなもの。

 これ、外見は完全にうなぎを再現していると話題になっている。皮のようなものもついているし、見ているだけならうなぎで通用しそう。ただ、やっぱり食感は完全に違う。山椒をぶっかけると、なんとなくうなぎ感は感じるが、あくまで、うなぎとは別の食べ物。ネットでは、その美味さを称讃する声も多いが、その期待値で食べるとかなりの残念感も否めない。とりわけ、付属の蒲焼きのタレが妙に濃いので、これも好き嫌いは分かれそうだ。

 つまり、うなぎの食感や味を、代用品で再現するのは、ほぼ不可能。ならば、最良の方法はうなぎと同レベルでうまい、かつ、より近似している食材を見つけることだ。

 そこで、本命として推したいのは、あなごである。見た目が似ているからであろうか、スーパーでも、あなごの蒲焼きは見かけるようになってきた。でも、本気で美味いのは焼くよりも煮るである。

 自宅で作る煮あなごの美味さは、スーパーのうなぎの蒲焼きが100だとすると、80くらい。「これは、これで美味い」と確実に感じることができるはずだ。

 でも「それでも、代用品じゃダメだ。うなぎを食べたいのだ」という人は、どうすればいいか。

 もはや、自分で釣るしかない。都内であれば、江戸川が知られているが、日本各地の川では、天然うなぎが釣れる。

 本当に食べたいというなら、そこまで努力したなら、いっそう美味く感じるだろう。
(文=昼間たかし)

長野県民なら誰もが知ってる、もう一つの食卓……「みんなのテンホウ」は胃袋の桃源郷だった!

「テンホウ」を、ご存じだろうか。

 長野県民なら、誰もが知っている馴染みの味。でも、長野県民以外に知られることは少ない。なぜなら、現在の店舗数は32店舗。そのすべてが、長野県内にしかないからだ。

 長野県では、老若男女を問わず愛され続けるローカルチェーン。いったい、なぜ「テンホウ」は、長野県の人たちに愛されるチェーンとして、定着するに至ったのか。

 以前から知りたかった謎が、このたびようやく明らかになった。地元有志などによって開催されている公開講座「諏訪力講座」が「テンホウに見る諏訪力」と題し、テンホウ・フーズ代表取締役社長の大石壮太郎氏を招いて、講座を開催することになったのだ。

「テンホウ」の歴史や「謎」を知る、またとない機会。筆者はさっそく、諏訪へと向かった。

 まず、改めて驚いたのは「テンホウ」の人気。

 講座の前に、まずは店にも行かねばと訪れたのは、現状の最古の店舗である諏訪市の城南店(もともとの2号店)。その日は日曜日とはいえ、まだ昼前にもかかわらず、すでに駐車場は満車だったのである。

 少し待ってから入店するが、客はひっきりなしにやってくる。一人客やカップル、家族連れ……。掛け値なしに、老若男女がやってくるのである。

 そして、初めて来た人なら驚くのは、メニューと値段である。餃子は280円。醤油ラーメン390円。ソースカツ丼670円。中華料理主体のチェーンかと思いきや、さば串カツもある。さらに、一部の店舗ではアップルパイまであるという。

 いったい、豊富なメニューと値段の安さは、どうして生まれたのか……。

「諏訪力講座」で、まず大石氏は「テンホウ」の歴史から語り始めた。

 大石氏の祖父母が「テンホウ」の源流である「天宝 鶴の湯 餃子菜館」を始めたのは1956年のことだ。

 その名前の通り、もともと祖父母は戦前、諏訪に移り住み、上諏訪の温泉街で「天宝 鶴の湯」という名前の旅館を営んでいた。

 今でも上諏訪には多くの温泉宿があるが、戦前は現在とは異なり、もっと内陸部に温泉街が広がっていた。その中にあった「天宝 鶴の湯」も大いに繁盛していた。

 ところが戦後になると、温泉街は諏訪湖畔へと移っていき、もともとの温泉街にも陰りが見えてくる。

 そんな時であった。大石氏の祖母である百代(ももよ)おばあちゃんは、たまたま東京に出かけたその時に、偶然、歌舞伎町にあった「餃子会館」という店で食べた餃子で閃いたのだ。

「この作り方を教えてほしい」

 そう店の人に頼んでみたが、おいそれと教えてもらえるはずがない。何度も店に通った百代おばあちゃんは、ついに無給で3カ月あまり店で働いたのだという。

 その時、百代おばあちゃんは、すでに50歳を過ぎていた。まだ戦後間もない時期だから、かなりの高齢である。そこまでの情熱のおかげか、味を伝授された百代おばあちゃんは諏訪に戻り、旅館の一角で餃子を売り始めたのである。

 それは次第に評判になり、広まっていった。

 その後を継いだ、大石氏の父である孝三郎氏は1973年に店舗を株式会社化。まだ2店舗しかない時点でセントラルキッチンを建設したのである。まだ、日本におけるファミリーレストランの先駆けである「すかいらーく」が登場して間もない時代(1号店は1970年)。孝三郎氏は、幾度も東京に出かけては「すかいらーく」を訪れていたという。ファミリーレストランという新しい業態は、必ず成長する。そのことを孝三郎氏は確かに見抜いていたのである。

 と、このままなら一企業の成功物語である。

 でも「テンホウ」は、そうではなかったからこそ、長野県民に愛される味となった。

 その後「テンホウ」は、さまざまなことに挑戦した。一時は多店舗展開を考えて、長野県外に出店したこともある。ラーメンチェーンのFCに参加したり、スパゲッティや持ち帰り弁当、コロッケなどに挑戦したこともある。

 実際「このシステムであれば1,000店舗はいける」といわれて、心の動いた時代もあるというが、そうはしなかった。

 なぜなら、そうしてしまえば、どうしても手薄になる部分ができてしまうからだ。

「テンホウ」の店舗の大きな特徴は、オープンキッチンになっていること。お客は、自分たちの料理が出来上がるのを、今か今かと見ながら待つことができる。拡大によって必然的にやってくるサービスの低下よりも、世代を超えて通ってくれる人々へ情熱を注ぐことをテンホウは選んだのだ。

 だからといって、決して保守的になっているのではない。中華料理に限らないメニューが次々と投入されていくのは、その現れ。社員からも発案があれば、次々と採用して新メニューを試しているのだという。

 なぜ、これが中華料理屋にあるのかと思ってしまうアップルパイは、今も時々厨房に立つ孝三郎氏が「今は、これだ!」と発案したものだそう(ほかを食べ過ぎたので注文するタイミングを逸したが、人気メニューだそう)。

 そんな地元に愛される店となった秘訣の一つとして大石氏が語ったのは「あまり美味しくしすぎない」ということ。極上の美味しい料理であれば、一度食べたら満足しきってしまう。それよりも「今日はご飯をつくるのが面倒だから、テンホウに行こう」という感覚で利用してもらえる家庭の食卓の延長が、大石氏の考える理想形だ。

 世代を超えて一つの完成形へ到達し、さらに進化を続けている「みんなのテンホウ」。

 長野県を訪れる機会があれば、ぜひ、その味と客席の満足そうな表情を見てほしい。
(文=昼間たかし)

大失敗でも、もう止められない2020年東京五輪……怒りのあまり、売れているのは「批判本」

 2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックは、どう転んでも大混乱は必至。もう、誰もが失敗を予測しながらも止めることのできない状況になっているようだ。

 前回、1964年の東京開催では、道路網やインフラの整備など、その後の経済成長に向けた基盤が作られた。でも、今度はむしろ経済を阻害する可能性すら出てきている。

 7月7日に開催された公開講座「東京2020大会に向けた輸送戦略」では、また新たな問題が浮かび上がった。この講座に登壇した、東京都オリンピック・パラリンピック準備局大会施設部の松本祐一輸送課長は通勤ラッシュ軽減のため、時差出勤や「ボランティア休暇」を求め、さらにネット通販についても大会中は購入を控えるよう「協力」を求めたのである。

 オリンピックというお祭りで盛り上がるのかと思いきや、まさかの「動くな」「経済活動をするな」という方針。もう、2020年が日本経済の起爆剤になるとは思えない。

 そんな状況下で、いま次第に書店で目につくようになっているのは2020年東京オリンピック・パラリンピックに絡む「批判本」だ。

 先日発売になった、本間龍氏の『ブラックボランティア』(角川新書)は、いま、もっとも問題になっているボランティアの動員の問題を告発する本。『電通巨大利権~東京五輪で搾取される国民』(サイゾー)のような、タブーに斬り込む著述を行っている人物だけに、ボランティアを用いた利権の構造を、シンプルに説明しきっている。

 2020年東京オリンピック・パラリンピックを軸にした「オリンピック批判本」は数年前から、ちらほらと出版されるようになっている。小川勝氏の『東京オリンピック 「問題」の核心は何か』(集英社新書)のように東京開催をテーマにしたものだけではない。ジュールズ・ボイコフ著『オリンピック秘史: 120年の覇権と利権』は、サッカーでオリンピック出場経験もある政治学者が描いた、近代オリンピックの闇の歴史である。

 2020年に向けての、個々の余りある腹立ちは、こうした批判本に手を伸ばす機会を与えているようだ。

「爆発的に売れているというわけではありません。でも、確実に毎日数冊は批判本が売れているという感じです。とりわけ新書は、カタルシスを得やすいのか、人気があるように見えます」(ある書店員)

 運営はグダグタ、酷暑で人死にも出るのではないかと危惧される2020年東京オリンピック・パラリンピック。今さら止められない状況で、せめて本を読んで怒りを誰かと共有したいという人は多いのか。
(文=特別取材班)