もはや、右も左も外国人しかいない。
日本を訪れる外国人観光客の数は、2017年には2,869万人。11年の622万人から比べると4倍以上の数となったが、国は東京オリンピックの開かれる20年には4,000万人を目標としていているので、まだまだ増える見込みだ。
こうした観光客の増加に伴って、外国人が数多く訪れる地域の住民の生活が不自由になる「観光公害」は、かねてより話題になっている。例えば京都では、観光スポット周辺を走るバスが観光客で混雑しすぎて地元生活者が乗ることができないだとか、さまざまな弊害が語られる。
とりわけ、外国人観光客が多すぎることが話題になるのは、東京よりも京都・大阪。やはり、東京に比べると人が集中するエリアが限られているからか「右も左も外国人」という話は、当たり前のように聞かれる。
でも、本当にそんなに視界を埋め尽くすように外国人しかいないという光景など実在するのか。ところが今回、筆者が足を運んだ大阪で見たのは、本当に右も左も外国人ばかりという光景だった……。
■アジア圏の観光客で栄える、りんくうタウン
関西で、右も左も外国人だらけといえば、まず関西空港。国際空港なのだから、それも当然。ただ、関西空港は成田空港に比べると外国人の数の多さが際立つ。とりわけ、本当に、ここは日本かと疑わしくなるのは関西空港駅。JRと南海電鉄の2本の路線が走る鉄道駅で、目に飛び込んでくる表示のほとんどは、英語、中国語にハングル。
そして、歩いている人のほとんどはアジア圏からの来訪者。電車に乗れば、巨大なトランクを抱えた旅行者が座席を占拠しているのだ。
そんな観光客は、関西空港から橋を渡った向かいの、りんくうタウン駅でぞろぞろと降りていく。
りんくうタウンは、関西空港の開発と共につくられた大阪の新たな副都心。だが、その開発はうまくいっているとは言い難い。ランドマークともいえる「りんくうゲートタワービル」は、運営していた第三セクターが赤字を抱えて破綻。駅に隣接するこのビルは、うらぶれた雰囲気を放っているが、同様に駅改札を出ると、これまた似たような雰囲気が広がっている。
だが、そんな街にも栄えているところがある。駅から、高架のペデストリアンデッキで直結する商業施設「りんくうプレジャータウンSEACLE」と「りんくうプレミアム・アウトレット」である。この施設が栄えている理由は、やはり観光客である。右も左も、見えるのは中国語やハングル。歩いているのも、アジア系の外国人だけ。もはや、失敗に終わるかに思われた街が、外国人観光客によって息を吹き返している。それが、この街の偽らざる真実である。
■外国人観光客は、やたら狭い地域に固まる?
さて、りんくうタウンを経由して、筆者が向かったのは、大阪市の中心部。
大阪にやってくる外国人。とりわけ、アジア系の人々は、とにかくミナミへ集まる。実際、一目瞭然だったが、心斎橋筋商店街から戎橋、道頓堀の周辺は「歩いている人の半分くらいが外国人観光客」が、いまや当たり前の光景だ。
だが、この外国人の集中には特徴がある。
外国人があふれているのが、特定の通りとか店に集中しているのである。そこから、少しでも外れると途端に外国人の姿は少なくなる。
この現象は京都でも同様だ。京都も、やはり外国人は多い。多いのだけれども、外国人が集まるところは寺社仏閣と、その周辺。京都鉄道博物館なんて、客はほとんどが日本人なのである。
やはり来日する外国人観光客が急増して、まだ5年程度。ようやく東京への一極集中から地方への観光客の分散が始まってはいるものの、いまだ「まずは、ガイドブックに載ってそうな場所に行く」というのが、外国人観光客の行動パターンの基本ということだろう。
これから、外国人観光客はさらに増加する。増加はしても、そのぶん外国人観光客としての日本人がそうであるように「なるべく観光客のいない穴場へ」と変化していくだろう。
いま語られる「観光公害」は、その過渡期の現象なのかと思った。
(文=昼間たかし)