野島伸司の少女への歪な憧憬と中年臭さが融合した、ジャニドラマ『49』の面白さ

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『49』(日本テレビ系)公式サイトより

 『49』(フォーティーナイン)は、日本テレビ系の土曜深夜に放送されている学園ドラマだ。銀行員として働く加賀美幹(かがみ・かん)は、離婚届を会社に持ってきた息子の加賀美暖(だん、Sexy Zone・佐藤勝利)が車の事故に遭いそうなところをかばい、命を落としてしまう。しかし幹は、別宅で飼っている猫のランが気がかりだったため、息子に頼み、49日間だけ肉体を借してもらう。暖の体に乗り移った幹は、父親がわからない子どもを身ごもった娘の裕子(野村麻純)や引きこもりがちの暖の生活を知り、現世にいられる49日間を、家族のために過ごそうと奮闘する。

 『49』が放送されている深夜ドラマ枠は、『私立バカレア高校』以降、ジャニーズ事務所出身の若手アイドルが主人公の学園ドラマが放送されている。SMAP・稲垣吾郎主演の『診療中―in the Room―』のような例外はあるにせよ、近年では10代の若手俳優の登竜門として、瑞々しい作品を多く放送し、ドラマファン、アイドルファンから注目されている。とはいえ、深夜に放送されている以上、マイナー枠であることは間違いない。そのゆえ、野島伸司が脚本を書くと知った時には正直驚いた。

小ネタのジャンク感で、超能力描写の限界を突破した『SPEC』の発明

<p> 『SPEC~警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿~』(TBS系)(以下『SPEC』)は2010年に放送された連続ドラマ。今までに続編として、単発ドラマの『SPEC~翔~』、映画化された『劇場版SPEC~天~』が製作されており、11月には完結編となる『劇場版 SPEC~結~』が前後篇の二部作で上映される。</p>

『クロコーチ』が暴く、「権力の暗部」における“正解”の限界と“悪”の有効性

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『クロコーチ』(TBS系)公式サイトより

 『うぬぼれ刑事』(TBS系)以降、テレビドラマには3年間出演していなかったTOKIO・長瀬智也だったが、今年は『泣くな、はらちゃん』(日本テレビ系)、『クロコーチ』(TBS系)と連続ドラマ出演が続いている。今期のドラマ『クロコーチ』では悪徳警官を演じており、無精ひげを生やした強面の表情は、久々に暴力性の塊としての長瀬が堪能できそうだ。TBSの金曜ドラマで放送されている『クロコーチ』は、「週刊漫画ゴラク」(日本文芸社)で連載されている同名漫画(原作・リチャード・ウー、作画・コウノコウジ)をドラマ化したものだ。

 神奈川県警捜査二課の警部補、黒河内(くろこうち)圭太(長瀬智也)は、県警最悪の悪徳警官。犯罪をもみ消す代わりに賄賂と情報を握ることから、「県警の闇」と呼ばれていた。そんな黒河内と、彼以上に深い闇を抱えた警察組織の、悪と悪のぶつかり合いを本作は描いている。

優れた音楽番組でありお笑い番組でもあった、特異なドラマ『あまちゃん』

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『連続テレビ小説「あまちゃん」オリジナル・サウンドトラック』/ ビクターエンタテインメント

 半年間放送されていた、朝の連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK)が、9月27日に終了した。

 岩手県にある架空の町・北三陸市と東京を舞台に、天野アキ(能年玲奈)が成長する姿と、アキと関わった人々が変わっていく姿を描いた本作は、アキが海女になることで地元のアイドルとなり町おこしをする故郷編と、アキが東京でアイドルを目指す東京編、そして、2011年の東日本大震災を東京で体験したアキが北三陸に戻り、地元の復興に関わる姿を描く震災以降で分かれる、三部構成となっていた。

『転校生』『放課後』の若者ドラマに続く、『山田くんと7人の魔女』が担う意味

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『山田くんと7人の魔女』公式サイトより

 学園ドラマの定番ジャンルに「入れ替わりもの」という分野がある。中には父親と娘、母親と娘といったイレギュラーなパターンもあるが、基本的には、同級生の男と女の性別が入れ替わる物語のことで、男がおしとやかになり、女が元気に暴れまわることで、俳優の演技のギャップを楽しめるのが、このジャンルの面白さだ。原点に遡ると山中恒の小説『おれがあいつであいつがおれで』(角川文庫)を原作とする大林宣彦の映画『転校生』での小林聡美と尾美としのりが思い出される。

 この『転校生』を、テレビドラマでリメイク(正確には、『おれがあいつであいつがおれで』を原作としたテレビドラマ)したのが、観月ありさといしだ壱成が主演した1992年の『放課後』(フジテレビ系)だ。本作は、スタッフもキャストも若手中心で固めた「ボクたちのドラマシリーズ」というフジテレビのドラマ枠で放送されており、観月ありさ、いしだ壱成、武田真治、内田有紀、松雪泰子といった俳優が、ここから羽ばたいている。

『今日の日はさようなら』、消費される“チャリティー”を揺さぶる作品強度

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『今日の日はさようなら』/バップ

 『24時間テレビ』(日本テレビ系)内で放送されているスペシャルドラマを「どうせ、実話を元にしたワンパターンの難病モノでしょ」とか「お涙ちょうだいの感動の押し付けだろ」と感じて、見る気が起きないという人は多いかと思う。正直、私自身も今まではそう思っていて、まともに評価する気にはなれなかった。

 しかし昨年放送されたスペシャルドラマ『車イスで僕は空を飛ぶ』を見て、そんな偏見を持っていた自分を恥じた。

 『Q10』(同)を制作した、河野英裕プロデューサーと佐久間紀佳が演出を担当した『車イス~』は、事故で突然半身不随となった若者を主人公(嵐・二宮和也)にした、実話を元にした作品だった。誰もが簡単に社会的弱者に転げ落ちてしまう現代日本の危うさに、チャリティーやボランティアといったものに対する批評的な厳しい目線を盛り込み、また息子・二宮と母親・薬師丸ひろ子の迫力ある演技もあって、実に見ごたえのあるドラマとなっていた。

10代から現在への成長の痛みが俳優たちと重なる『激流』

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『激流』公式サイトより

 自分が10代の頃に見ていた同世代のタレントが、30代40代になった姿でテレビに出ているという現実が時々、呑み込めないことがある。

 最近では、反原発運動の活動家をしている山本太郎と千葉麗子の姿を見ていると、何だかSFでも見ているような気持ちになる。「あの学園ドラマの続きは、こういう話になっているのか?」と、ドラマの中の10代の彼らと、30代になった現実の彼らの姿がごちゃごちゃになって混乱してしまう。

『ぴんとこな』、華やかさを抑え感情を描くイケメンドラマの到達点

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『ぴんとこな』公式サイトより

 近年、大きく急成長したジャンルに「イケメンドラマ」がある。定義はあいまいだが、『花より男子』や『美男ですね』(いずれもTBS系)のような、複数(だいたい4人以上)の若い男性が登場する女性向けの華やかなドラマのことで、男性アイドルや新人俳優にとって、登竜門のようなジャンルとなっている。

 そんなイケメンドラマの最新形が、TBSで木曜午後9時から放送されている『ぴんとこな』である。主演は玉森裕太(Kis-My-Ft2)、中山優馬、川島海荷。原作は嶋木あこ原作の少女漫画で、歌舞伎役者を目指す若者たちを主人公とした青春ドラマとなっている。

 名門・木嶋屋の御曹司、河村恭之助(玉森裕太)は、歌舞伎界のプリンスとして人気を博していたが、父親に認めてもらえないことから、歌舞伎に対する思いは冷めていて、稽古もさぼりがち。しかし歌舞伎ファンの同級生・千葉あやめ(川島海荷)に恋したことで、歌舞伎に対する情熱が芽生えていく。一方、ライバルとなる澤山一弥(中山優馬)は、恭之助とは正反対の真面目な努力家。一弥はあやめと幼馴染で、あやめが一弥のことを好きだと知った恭之助は、恋と歌舞伎のライバルとして一弥に対抗心を燃やすことになる。

時代劇の勧懲フォーマットに沿いつつ、悪以上に狡猾な『半沢直樹』のヒーロー性

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『半澤直樹』公式サイトより

 TBSの日曜劇場で放送されている『半沢直樹』は、池井戸潤の小説『オレたちバブル入行組』『オレたち華のバブル組』(ともに文藝春秋)を原作としたドラマだ。

 世界第3位のメガバンク、東京中央銀行・大阪西支店で働く融資課課長の半沢直樹(堺雅人)は、有能なバンカー(銀行員)。ある日、西大阪スチールという年商50億の大手企業への融資話が持ち上がる。半沢は警戒するが、支店長・浅野(石丸幹二)の鶴の一声で「無担保で5億の融資」が決定する。しかし、西大阪スチールは計画倒産を行い、東田満社長(宇梶剛士)は失踪。融資金5億円の回収が困難な事態に陥る。半沢は浅野支店長に全ての責任を押し付けられ、5億を取り戻さないと出世コースから脱落し地方銀行に左遷されてしまうため、東田社長の行方を追いかけるが、浅野支店長と配下のバンカーが次から次と妨害工作を仕掛けてくる。

織田裕二の「熱血さ」「ウザさ」を魅力に反転させる、手加減のない『Oh,My Dad!!』

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『Oh, My Dad!!』公式サイトより

 『スターマン~この星の恋』(フジテレビ系)、『Woman』(日本テレビ系)と、今期のドラマはシングルマザーを題材にした作品が並んでいる。細田守によるアニメ映画『おおかみこどもの雨と雪』もそうだが、子どもを守る母親というモチーフは、ここ数年人気の題材で、それだけ子育てに対する関心や母親として社会に向き合うことの困難さに、世間が感心を持っているということなのだろう。

 そんな中、逆にシングルファーザーの子育てを描いているのが、フジテレビ系列木曜10時に放送されている『Oh,My Dad!!』だ。