結婚できない男1000万人超、中国に見る「拝金主義」が染み付いた“婚活”が問うもの

 1979年から2015年まで行われた「一人っ子政策」によって、中国国内の男女比は完全に崩壊。農村部の女性の数は激減し、今、多くの男性が結婚難に陥っている。そして中国の政府系シンクタンクによると、2020年で一生結婚できない男性は1,000万人超と予想されている。

 そんな結婚できない中国人男性の婚活現場を取材したドキュメンタリーが放送された。タイトルは『光棍児(こうこんじ) 中国 結婚できない男たち』(NHK BS1、9月11日午後9時~再放送)。「光棍(こうこん)」とは「独身」という意味である。

 番組では、日本のほのぼのお見合いドキュメンタリーでは決して見られない、男女の駆け引きと心のズレ、また拝金主義に陥り、露骨な要求を突きつける女たち、そんな金目当ての女性に辟易しながらも愛を求める男たちを生々しく映し出していた。放送後、ネット上には「お金で男性が選ばれる時代なんて…」「愛とか恋の延長の結婚はなく、金、金、金。すべての価値観が金であることが切なすぎた」と中国の現状を悲観する声や、「日本もこんな格差社会になるんだろう」「日本だって所得問題で結婚躊躇する人が増えている。男女同数でも起こり得る事」「外国の話では済まされないと思う」と、この国とて同様だとする声など、既婚・独身、男女を問わず、さまざまな反応が上がった。

 本稿では、そんな番組に登場した3人の“光棍児”の姿を点描してみたい。

 見ず知らずの女性宅に突撃お見合い

 舞台は、甘粛省(かんしゅくしょう)慶陽。1人目は、コックをやっているという男性。お見合い相手に会うため、仲人に連れられて農村にやってきたが、その後の奇妙な展開をカメラはとらえていた。女性がすぐそばにいるのに、男性が話しかけることは一切許されなかったのだ。親の意向か女性の判断かはわからない。さらにはその後、彼らは外で待つように指示された。まるで「面接」の結果を待つように。1時間後、しびれを切らした男性が愚痴をこぼす。「交通費だってバカにならないのに、会うこともまともにできないなんて」。だが結局、色よい返事は得られなかったようだ。

 驚いたのは、外で待っているその間、男性の仲人が近隣の家に突撃訪問し、その親に「娘さんがいるなら見合いさせてくれないか」と交渉していることだった。見ず知らずの家にお見合いを掛け合うという行き過ぎた行為に、「手当たり次第やるもんじゃないでしょ」と当の男性は呆れていたが、仲人は「向こうの親父がいいって言ってんだから」となぜか鼻息が荒い。自分の仕事はとにかく結婚させること、と割り切っているのだろうか。

 押しかけた先の父親からその後、残念な返事が返ってきた。「実はさっき遠くから娘が彼を見て『会いたくない』って。『背が低いのが嫌だ』とさ」。仲人は「ちょっとでも会ってくれませんか」と泣きつく。「本人が嫌がってるんだから無理だ。親父の言うことなんか聞きやしない。『お見合いしたいなら父さんがすれば』って言われたよ」と父親もお手上げだ。

 「会った瞬間にそっぽを向いて帰る女はしょっちゅう」

 2人目は、リンゴ農家の三男で、現在は長距離バスの添乗員をしている楊瑞卿(よう・ずいきょう)42歳。自分の家にお見合い相手の女性が訪ねてくるとあって、居住まいを正す楊さん。電動カミソリで念入りにひげを剃り、靴を磨いている。さらに料理を作る母親に、「おふくろ、豆腐は細かく切ってね。量が多く見えるからさ」とお願いしている。そんな言葉がいじらしくもあり、哀しくもある。

 楊さんは過去十数年で20回以上はお見合いをしている“達人”だ。「会った瞬間にそっぽを向いて帰っちゃう女もいたよ。しょっちゅうだよ」。だが、彼はそんなことは慣れっこだという。「見た目が良くないからさ。はげてるし」。彼の頭はつるっぱげだ。

「ちなみにいい写真があるけど見る? 結構気に入ってるんだ」

 そう言って、長さ数センチの小さな写真を見せてくれた。「ちょっと修正してもらったんだ」と話すそこには、あろうことかフサフサの髪の毛を頭に合成した楊さんの姿が……。

 さて、お見合い相手の女性は車に乗りつけてやってきた。離婚経験がある30代だ。お見合いした後、楊さんの母親が「礼金だから受け取ってよ」とお金を渡そうとしている。だが女性は受け取らず、逃げるように車を走らせて帰って行った。「飯もろくに食わずに急いで帰ろうとしていたし、話すときもそっぽを向いて目すら合わせてくれなかった」――砂煙の中、楊さんは呆然と立ち尽くす。

 また、お見合いの際に彼女と交換したのであろうLINEに、「俺はストレートな性格だからあなたの気持ちを教えて」「なんで何も言わないの?」「大丈夫 俺打たれ強いから」などとメッセージを送っているが、まったく返事がないという。それでいて、相手のことを冷酷に批評する。「彼女は都会に憧れているけど都会の男からは相手にされない、農村の生まれなのに農村には住みたくない。そういうタイプなんじゃないか」。

 その後、彼女から電話がかかってきた。楊さんは早速「あんたの気持ちを聞かせてよ」と切り出す。20秒ほど間があり、彼女は「特に悪い印象は持たなかったわ。いろいろもてなしてくれてありがとう」と言葉を告げた。楊さんが笑った。「おれは今、時間があるから、いつでもいいから電話ちょうだいね。今度どっか行こうね」。電話を切ると、目を輝かせて番組スタッフに「はい、形勢逆転です」と報告。

 女の本心は「金、車、家。物欲生活を望んでる」

 後日、カメラは楊さんのデートを追っていた。どこかの花畑へ向かっている道すがら、意外と楽しげに2人は会話している。ところがその後、彼女はなにやら、立て込んだ電話に応じていた。不穏な雰囲気である。

 画面が切り替わり、楊さんが夜道を寂しげに歩く後ろ姿が映し出されていた。聞いてみるとおしゃべりの最中に突然、「今そんな気分じゃないって言いだしたんだ。あなたには解決できないことなの」と打ち明けられたと言う。楊さんが「話してくれないとわからない」と問いただすと、「20万元(約330万円)くれる?」と借金を明かしたらしい。さらに彼女は、「私のために20万元を出せる?」と確かめてきた。楊さんは、「それは俺とあんたの関係次第」と返した。

 それ以外も、貯金額についてしつこく聞いてきたが、「俺は教えなかったよ」と、精一杯の強がり。そして「彼女の本当の目的は何なのか、それがわかるまで探り合いだね」と割り切り、「彼女は平凡な生活を送りたいと言っていたけど、本心は金、車、家。物欲生活を望んでるんじゃないかな」と、心のうちを推測した。楊さんはその後、彼女からLINEをブロックされ、音信不通となった。やはり目的は金だったのか。

 石油会社の社員「大金も女もついてくる」

 3人目の光棍児は馬雲飛(ま・うんひ)42歳。彼は慶陽市内に4店舗をもつ人気の整体師だ。小太りで、少し腹が突き出ている。彼は仕事帰り、何もない簡素なアパートで生い立ちを語る。

 彼の意中の相手は、保険会社の契約社員で、夢はエステ店を持つことだという27歳。彼女は先ほどの女性よりかなり気まぐれだった。馬さんのことを「勝ち組」と持ち上げ、さらに「こんな田舎を捨てて海辺の町にオーシャンビューの家を買ってよ。私も30になるし遊んでる年じゃないから」と、思わせぶりなことを言ってみせたかと思えば、別の日には、隣で話している馬さんを遮って、スマホを眺めながら「それよりも今3万元(約50万円)する保険のソフトを買えなくて困ってるのよ」とおねだりしてくる。これによって全国の顧客データを調べることができるのだという。馬さんも「甘えて来たと思ったら急に冷めて。この情緒不安定さには参るね」と苦笑。

 別の日。馬さんが、女性へ「こっちには何時に着きそう?」と電話をかけると、「ほかの用事があるから、そっちには行かないわ」と、まさかのドタキャン。「一緒に晩飯食う約束したじゃない? どうしてくれるんだよ」と、スマホを見つめながら「来ないってさ。約束したのに……」と恨み節。

 一方、とある店。そこには誰の目から見ても明らかなイケメンたちが、数人の女性といわばカラオケ合コンをしていた。広いフロアで歌い、踊り、飲んでいる。すると1人の男性が「来てくれたね」と出迎えたのが、先ほどの女性だった。おそらくだが、彼女が約束をドタキャンしたあと、番組スタッフが個別に連絡。「ほかの用事」が何なのか尋ねて、合コン場所に先回りして撮っていたのだろう。

 イケメンの1人は事も無げに言う。「親の七光りで国有石油会社に入った。金の苦労は何もしてない。大金も女もついてくる」。女性は笑顔を振りまいていた。実に楽しそうだ。男性へのボディタッチもカメラの前で平気でやる。はしゃぎ、歌い、踊り、飲み、乱痴気騒ぎ。そして男女に分かれて、何やらヒソヒソ話をし始めた……。

 一方、ドタキャンを食らった馬さんは、部屋で1人、箱からバッグを取り出しながら、「プレゼントしようと思って買ったけど、いらないと言われたんだ。『私なんかよりもっときれいな人と付き合ったほうがいいよ』と言われた。なんでそんなこと言うのかな」と嘆いていた。 

 光棍児が問いかけるもの

 圧倒的な売り手市場の中で、女性に男性はいくらでも寄ってくる。そして女性は、彼らを切り捨てようと思えばいくらでも切り捨てられると考えているようだ。もちろん、中国にはこういった男性や女性ばかりではないだろう。愛される喜びを知る人もいるはずだ。だがこれはまぎれもない現実であり、こうしたむきだしの欲望に面食らいつつも、その打算や策略に心当たりがある人も少なくないだろう。

 「一人っ子政策」といういびつな社会の構造が生んだ「光棍児」だが、彼らの姿は、人を好きになるということとは? 幸せとは? 金とは? 結婚とは? と、普遍的な問いをこちらに投げかけてくるものだった。

『ひよっこ』クランクアップ! 大河ドラマの名セリフ登場に視聴者大満足!

ニッポンのお茶の間をわかし続ける国民的番組“朝ドラ”――そのあらすじと視聴者からの反響を、サイゾーウーマンが週1回(金曜日)お届けします!

『ひよっこ』(NHK総合/月~土、午前8時) 茨城県北西部の村に生まれたヒロイン・谷田部みね子(有村架純)が主人公。みね子が集団就職での上京を経て、様々な経験を積みながら自分の殻を破っていく姿を描いた成長物語だ。

【サイ女の朝ドラ通信バックナンバー】
<126話~131話>『ひよっこ』みね子の幼馴染・三男役の泉澤祐希に「こんなにかっこよかったっけ?」の声
<120話~125話>『ひよっこ』29回連続20%超え達成中! みね子が語った“大人の定義”に共感の声
<113話~119話>『ひよっこ』島崎遥香演じる由香の“ツンデレ”が好評! 週間視聴率も22.4%と絶好調

■9月2日(土)/132話~9月8日(金)/137話
 132話では、あかね荘の大家・富(白石加代子)がかつて愛した人の死を知る。芸者だった富とその人は愛人のような関係だったのだが、2人でさまざまなところへ旅行したりと、確かに愛し合ってたという。みね子は翌朝、その人の告別式会場前に見送りへ行くため、準備をする富を見かける。

 133話では、富を1人で行かせたくないが人手不足で店を留守にできないという鈴子(宮本信子)を見かねて、みね子は近所の和菓子屋・柏木堂で働いている由香(島崎遥香)を連れてくる。家族である鈴子、省吾(佐々木蔵之介)とうまくいっていない由香が店を手伝ってくれることを、鈴子と省吾の2人は戸惑いながらも喜ぶ。一方その頃、女優の世津子(菅野美穂)は金銭スキャンダルで追い詰められていた。

 すずふり亭を手伝う由香の姿が描かれた134話。ぎこちないが少しずつ前を向こうとする由香たち家族に、みね子は笑みをもらす。

 135話では、スキャンダルで仕事が全部キャンセルになり、自宅に閉じこもっている世津子を助け出す様子が描かれ、そこでのみね子の言葉に注目が集まった。

 世津子の家の周りを張るマスコミの目を反らす人員がほしいと悩むみね子と、すずふり亭・見習いコックのヒデ(磯村勇斗)。そこへ柏木堂の息子・ヤスハル(古舘佑太郎)が登場すると、みねこは思わず「飛んで火に入る夏のヤスハル」。さらに作戦決行の気合入れでは、大河ドラマ『真田丸』の名セリフ「では、おのおの抜かりなく」が飛びだし、これらやり取りに視聴者は、「腹筋鍛えられる」「みね子劇場最高に可愛い」「夏のヤスハル、語呂いいな」「『おのおの抜かりなく』とかめっちゃ真田丸じゃん(笑)」と大満足の様子。

 無事、世津子を助け出せたみね子たちの姿からスタートした136話では、停電によりすずふり亭裏の広場に集まった近所の人たちと、餃子パーティーをすることに。みね子は、初対面の人々に戸惑いながらも楽しそうな世津子を見て安心する。また、ラストのワンシーンで声だけの出演となったヤスハルだが、Twitterでトレンド入り。135話でも、「ヤスハル」がトレンド入りを果たしていたことから、ここ数話で人気が急上昇中のようだ。

 137話で、世津子は、しばらくあかね荘の愛子(和久井映見)の部屋で一緒に暮らすことになる。みね子たちは部屋一面に布団を引き、いろいろな話をしながら、みんなで雑魚寝をするのだった。

 同作は9月4日に全撮影が終了。有村は自身のインスタグラムで「愛しい作品。愛しいみんな。心から尊敬する、皆さんとひよっこの世界を作れたこと、私の誇りです。宝物です」とコメントしている。最終回まで残り約3週間。同作はどのような最後を見せてくれるのだろう。

『やすらぎの郷』、石坂浩二と清野菜名の54歳差キスシーンに視聴者どん引き!?

ニッポンのお茶の間をわかし続ける“昼ドラ”――そのあらすじと視聴者からの反響を、サイゾーウーマンが週1回(木曜日)お届けします!

『やすらぎの郷』(テレビ朝日/月~金、昼12時30分) テレビ業界人専用の老人ホーム「やすらぎの郷 La Strada」を舞台に、家族、財産(遺産)、過去の栄光、恋、死への恐怖、芸術への心残り……、さまざまな思いを抱える老人たちと、彼らに翻弄される脚本家・菊村栄(石坂浩二)の姿を描く物語。

■8月31日(木)/109話~9月6日(水)/113話
 109話では、栄が凉子(野際陽子)から聞いた路子(五月みどり)の恋のうわさを自ら広めてしまう。軽い自己嫌悪にさいなまれながら、姫こと摂子(八千草薫)の病室を訪れた栄は、夢と現実のはざまで自分を、かつて愛した千坂監督と勘違いしている姫の手を取りしばし話し相手に。その夜、何の説明もなく病室棟への立ち入りが禁じられる。

 110話では、栄が昔恋した女性・直美(清野菜名)、その孫アザミ(清野菜名二役)、妻の律子(風吹ジュン)が総出演する奇妙な夢を見る。夢では、76歳の石坂が22歳の清野とキスをしたり胸を触るシーンが描かれ、視聴者からは「どん引きすぎて一気に見る気が失せた」「孫ほども離れた娘とキスしたり胸を触ったりと、お盛んぶりが正直かなり気持ち悪い」「石坂浩二への冥土の土産かな……(笑)」といった声が。その後、夢から覚めた栄がベランダに出ると、海辺に一群の人影を見つける。そこには黒ずくめの男たちに加え、車椅子に乗った姫と「やすらぎの郷」創設者の加納英吉(織本順吉)の姿があった。

 「やすらぎの郷」入居者の1人・白鳥洋介(上條恒彦)の部屋に思わぬ珍客が現れた111話。それは認知症が進行し、遠方の介護施設に移ったはずのしのぶ(有馬稲子)だった。112話では、不思議と姫の病状を察知していたしのぶが、お見舞いに歌をプレゼントすると言って、姫が好きだった「ゴンドラの唄」を披露する。「いのち短し 恋せよ乙女」というフレーズから始まる「ゴンドラの唄」は9月2日放送の朝ドラ『ひよっこ』でも劇中歌として流され、視聴者からは「『ひよっこ』でも泣いたけど、日本人はこの唄を聞くと涙腺が緩むようになっているんだと思う」「姫に捧げるゴンドラの唄、心に染みた」「最期まで恋し続けた姫の人生にぴったりの曲」と感動の声が続出。

 113話では、ついに姫が息を引き取る。訃報はたちまち世間の知るところとなり、総務理事のみどり(草刈民代)たちは対応に大忙し。栄は姫の在りし日の姿を偲びながら遺影選びを手伝い、また新聞から依頼された追悼文を引き受けることにする。

 次回は向井理演じる四宮が再登場するようで、視聴者の関心が集まりそうだ。ちなみにお嬢こと冴子を演じる浅丘ルリ子のインスタグラムには、『やすらぎの郷』キャストの若い頃の写真が掲載されている。気になる人はぜひチェックしてみては?

『ひよっこ』みね子の幼馴染・三男役の泉澤祐希に「こんなにかっこよかったっけ?」の声

ニッポンのお茶の間をわかし続ける国民的番組“朝ドラ”――そのあらすじと視聴者からの反響を、サイゾーウーマンが週1回(金曜日)お届けします!

『ひよっこ』(NHK総合/月~土、午前8時) 茨城県北西部の村に生まれたヒロイン・谷田部みね子(有村架純)が主人公。みね子が集団就職での上京を経て、様々な経験を積みながら自分の殻を破っていく姿を描いた成長物語だ。

【サイ女の朝ドラ通信バックナンバー】
<120話~125話>『ひよっこ』29回連続20%超え達成中! みね子が語った“大人の定義”に共感の声
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<108話~112話>『ひよっこ』23.7%最高視聴率更新! 記憶喪失の父・実と家族の再会に視聴者感涙

■8月26日(土)/126話~9月1日(金)/131話
 126話では、みね子と時子(佐久間由衣)の幼馴染・三男(泉澤祐希)と三男の勤め先である米屋の娘・さおり(伊藤沙莉)の姿が描かれた。三男のことが好きなさおりは、三男へ積極的にアプローチ。しかし、三男はそんなさおりに向かって、「自分が時子に片思いしていることが、時子の女優という夢への力になる」「時子が女優になるまで、自分は片思いしてなきゃいけない」と告げるのだった。この三男の思いに、視聴者からは「三男の覚悟が本当にかっこいい」「これこそ純粋な愛」「なんて大人で男前な愛し方なの!」と絶賛の声が。さらにこの話を、偶然、三男の勤める米屋を訪れようとしていた時子が聞いてしまう。

 三男の話を聞き、「ツイッギーそっくりコンテスト」という雑誌のコンテスト企画に応募することを決めた時子の姿が描かれた127話。しかし、すでに応募の締め切りは過ぎてしまっていた。128話では、コンテストに出られず落ち込む時子のもとに、出場の案内が書かれたはがきが届く。なんと時子の母が時子に黙って応募していたのだ。

 129話では、同コンテストで優勝を目指す時子が、三男にその決意を伝えるために、みね子と一緒に三男の働く米屋を訪れる。そこで、さおりがファンのふりをして時子に会っていたことがわかり、2人の口論がスタート。みね子もとばっちりを受けるのだった。また同話のラストでは、三男が時子に振られてしまう。笑いながら上を向いて涙をこらえる三男。そんな三男を演じる泉澤を見た視聴者からは、「え、三男ってこんなにかっこよかったっけ……?」「竹内(涼真)くんや(佐々木)蔵之介の影に隠れて気づかなかったけど、泉澤くんものすごいイケメン」「すごい今更なんだけど、泉澤くんめちゃくちゃ男前だ」との声が。“昭和顔イケメン”として、視聴者の注目を集めたようだ。

 すずふり亭の見習いコックであるヒデ(磯村勇斗)が鈴子(宮本信子)に休みをもらい、みね子と付き合っていた島谷(竹内涼真)に会いに行った時の回想が描かれた130話。ヒデは島谷に、みね子のことが好きだと伝えるのだった。一方、省吾(佐々木蔵之介)の娘・由香(島崎遥香)は、すずふり亭の近所にある和菓子屋・柏木堂の店主である一郎(三宅裕司)に頼んで、柏木堂で働き始める。

 131話では、バー月時計に集まるみね子、時子、早苗(シシド・カフカ)、由香の姿が。しかし途中で、店の外に誰かを見つけた早苗が駆け出して行ってしまう。一方、あかね荘では、大家の富(白石加代子)が「大切な人が死んだ」ことを感じるのだった。

 作品のスタート時から、時子に片思いをし続けていた三男の恋にスポットが当たった、今回のエピソード。同作をきっかけに、三男を演じる泉澤に注目する視聴者は、決して少なくないだろう。

『やすらぎの郷』肺腺がんで亡くなった野際陽子のセリフに「不思議な運命の巡り合わせ」

ニッポンのお茶の間をわかし続ける“昼ドラ”――そのあらすじと視聴者からの反響を、サイゾーウーマンが週1回(木曜日)お届けします!

『やすらぎの郷』(テレビ朝日/月~金、昼12時30分) テレビ業界人専用の老人ホーム「やすらぎの郷 La Strada」を舞台に、家族、財産(遺産)、過去の栄光、恋、死への恐怖、芸術への心残り……、さまざまな思いを抱える老人たちと、彼らに翻弄される脚本家・菊村栄(石坂浩二)の姿を描く物語。

【サイ女の昼ドラ通信バックナンバー】
<99話~103話>『やすらぎの郷』性暴力被害に認知症……倉本聰が描く“忘れる”ということ
<94話~98話>『やすらぎの郷』松岡茉優の性暴力被害エピソードに「今のところ一番不快」批判の声
<89話~93話>『やすらぎの郷』八千草薫の“殿方と手をつなぐのは初めて”衝撃告白に「切ない」の声

■8月24日(木)/104話~8月30日(水)/108話
 姫こと九条摂子(八千草薫)に断捨離をさせたことで、マヤ(加賀まりこ)とお嬢こと冴子(浅丘ルリ子)のけんかが勃発した104話。そこに姫の付き人である夕子(松本ふみか)が、姫の異変を告げに訪れる。栄が夕子に連れられて海辺へ行くと、そこにはうつろな顔で着物を裂く姫の姿が。そして、姫はそのまま海辺で倒れてしまう。

 105話では、目を覚ました姫が点滴を受けながらも、栄に辻褄の合わない話を語る様子が描かれた。姫の記憶混濁は、肺がんの脳への転移が原因だと理事長の名倉(名高達男)から明かされた栄。そして、姫の余命が、あとひと月ほどしかないという衝撃の真実を知る。

 106話では栄が夕子に、事が公にならないよう平静でいるよう助言するが、姫に関するうわさは、たちまち「やすらぎの郷」の誰もが知るところに。栄は、あっという間にうわさ話を広げる施設内の人々に辟易とするのだった。

 姫がこれまで果たしてきたテレビ人としての功績を回想する栄の姿から始まった107話。そんな中、栄のもとに姫の病気を知ったマヤが訪れる。マヤは姫に「断捨離をしろ」と言ったことを深く反省し、まるで次の人に明け渡すかのように何もなくなった姫の部屋に、これまで捨てたトロフィーや勲章を戻してほしいと「やすらぎの郷」の職員に頼み込む。

 108話では、凉子(野際陽子)に呼び出され、「山家」に出向いた栄。そこで、涼子のペンネームである新人作家・濃野佐志美の受賞が本命視されている、芥川賞の発表日当日だと知る。今年6月に肺腺がんで亡くなった野際が、姫のがんについて「人っていつかこういう日が来るのね」と口にするシーンもあり、視聴者からは「この時、野際さんはどんな気持ちだったんだろう」「この一言にはすごく重みを感じる」「野際さんがこのセリフを言うってところに不思議な運命の巡り合わせがあると思う」という声が上がっていた。

 また108話では、「脚本や演技などの仕事を必死にするのは、賞とか名誉が欲しいからではない」「もっと純粋な別のもののため」と凉子の口から語られるシーンも。前話107話では、テレビ人としての仕事を「心の洗濯屋」だという栄の姿も描かれ、視聴者は「凉子や栄のセリフは、倉本聰が理想とするテレビ人なんだろうな」「最終回に向けて倉本先生の思いがわかりやすく表現され始めてる」と感じたよう。

 作品を通して出演している登場人物が死に向かう姿を、初めて描いた今回のエピソード。倉本が作中屈指の人気キャラクターでもある姫の姿をどのように描いていくのか要注目だ。

『やすらぎの郷』肺腺がんで亡くなった野際陽子のセリフに「不思議な運命の巡り合わせ」

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『やすらぎの郷』(テレビ朝日/月~金、昼12時30分) テレビ業界人専用の老人ホーム「やすらぎの郷 La Strada」を舞台に、家族、財産(遺産)、過去の栄光、恋、死への恐怖、芸術への心残り……、さまざまな思いを抱える老人たちと、彼らに翻弄される脚本家・菊村栄(石坂浩二)の姿を描く物語。

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<99話~103話>『やすらぎの郷』性暴力被害に認知症……倉本聰が描く“忘れる”ということ
<94話~98話>『やすらぎの郷』松岡茉優の性暴力被害エピソードに「今のところ一番不快」批判の声
<89話~93話>『やすらぎの郷』八千草薫の“殿方と手をつなぐのは初めて”衝撃告白に「切ない」の声

■8月24日(木)/104話~8月30日(水)/108話
 姫こと九条摂子(八千草薫)に断捨離をさせたことで、マヤ(加賀まりこ)とお嬢こと冴子(浅丘ルリ子)のけんかが勃発した104話。そこに姫の付き人である夕子(松本ふみか)が、姫の異変を告げに訪れる。栄が夕子に連れられて海辺へ行くと、そこにはうつろな顔で着物を裂く姫の姿が。そして、姫はそのまま海辺で倒れてしまう。

 105話では、目を覚ました姫が点滴を受けながらも、栄に辻褄の合わない話を語る様子が描かれた。姫の記憶混濁は、肺がんの脳への転移が原因だと理事長の名倉(名高達男)から明かされた栄。そして、姫の余命が、あとひと月ほどしかないという衝撃の真実を知る。

 106話では栄が夕子に、事が公にならないよう平静でいるよう助言するが、姫に関するうわさは、たちまち「やすらぎの郷」の誰もが知るところに。栄は、あっという間にうわさ話を広げる施設内の人々に辟易とするのだった。

 姫がこれまで果たしてきたテレビ人としての功績を回想する栄の姿から始まった107話。そんな中、栄のもとに姫の病気を知ったマヤが訪れる。マヤは姫に「断捨離をしろ」と言ったことを深く反省し、まるで次の人に明け渡すかのように何もなくなった姫の部屋に、これまで捨てたトロフィーや勲章を戻してほしいと「やすらぎの郷」の職員に頼み込む。

 108話では、凉子(野際陽子)に呼び出され、「山家」に出向いた栄。そこで、涼子のペンネームである新人作家・濃野佐志美の受賞が本命視されている、芥川賞の発表日当日だと知る。今年6月に肺腺がんで亡くなった野際が、姫のがんについて「人っていつかこういう日が来るのね」と口にするシーンもあり、視聴者からは「この時、野際さんはどんな気持ちだったんだろう」「この一言にはすごく重みを感じる」「野際さんがこのセリフを言うってところに不思議な運命の巡り合わせがあると思う」という声が上がっていた。

 また108話では、「脚本や演技などの仕事を必死にするのは、賞とか名誉が欲しいからではない」「もっと純粋な別のもののため」と凉子の口から語られるシーンも。前話107話では、テレビ人としての仕事を「心の洗濯屋」だという栄の姿も描かれ、視聴者は「凉子や栄のセリフは、倉本聰が理想とするテレビ人なんだろうな」「最終回に向けて倉本先生の思いがわかりやすく表現され始めてる」と感じたよう。

 作品を通して出演している登場人物が死に向かう姿を、初めて描いた今回のエピソード。倉本が作中屈指の人気キャラクターでもある姫の姿をどのように描いていくのか要注目だ。

『ひよっこ』29回連続20%超え達成中! みね子が語った“大人の定義”に共感の声

ニッポンのお茶の間をわかし続ける国民的番組“朝ドラ”――そのあらすじと視聴者からの反響を、サイゾーウーマンが週1回(金曜日)お届けします!

『ひよっこ』(NHK総合/月~土、午前8時) 茨城県北西部の村に生まれたヒロイン・谷田部みね子(有村架純)が主人公。みね子が集団就職での上京を経て、様々な経験を積みながら自分の殻を破っていく姿を描いた成長物語だ。

【サイ女の朝ドラ通信バックナンバー】
<113話~119話>『ひよっこ』島崎遥香演じる由香の“ツンデレ”が好評! 週間視聴率も22.4%と絶好調
<108話~112話>『ひよっこ』23.7%最高視聴率更新! 記憶喪失の父・実と家族の再会に視聴者感涙
<102話~107話>『ひよっこ』菅野美穂と木村佳乃が演じる静かな女の戦いが「切なすぎる」ワケ

■8月19日(土)/120話~8月25日(金)/125話
 120話では、前話から引き続きバー月時計に集まったみね子、由香(島崎遥香)、時子(佐久間由衣)、早苗(シシド・カフカ)の会話が描かれた。母の死によって家族の仲がうまくいかなくなり、家を出たという由香にみね子たちは、自分から動くことで関係をやり直すようアドバイスする。みね子の言った「自分から親に何かをしようと動く、親を許す、それが大人」という“大人の定義”に、「めちゃくちゃよくわかる」「親も同じ人間なんだって思えたら大人だよね」「大人になったって実感するのは、本当にみね子の言ったことができた時だった!」と共感の声が続出。

 121話では、大家の富(白石加代子)が、あかね荘に住んでいる漫画家コンビ・祐二(浅香航大)と啓輔(岡山天音)を3日ほど見ていないと大騒ぎ。長年漫画家としてデビューできていない2人の失踪に、富やその場に居合わせたみね子たちは、夜逃げしたのではないかと考える。

 122話で、祐二と啓輔は泊まり込みのアルバイトに行っていただけだと発覚。自分たちを心配してくれたあかね荘の仲間を見て、2人は涙を流すのだった。そんな中、2人の部屋から自分を主人公にして描かれた漫画を見つけたみね子は、その漫画について2人を問い詰める。しかし「おもしろいけれど主人公が地味」と編集者に言われたと聞き、落ち込んでしまう。

 落ち込むみね子を、すずふり亭でコック見習いとして働くヒデ(磯村勇斗)が励ますシーンから始まった123話。ヒデは店主である鈴子(宮本信子)に1日休みをもらうと、誰にも行き先を明かさずどこかに出かける。一方その頃、世界中でミニスカートが大流行。みね子の故郷・奥茨城村でも、叔父である宗男(峯田和伸)の妻・滋子(山崎静代)がミニスカートを穿いてみようかと言い出すのだが、これを宗男は「穿け!」と力強く後押し。このシーンに視聴者から「妻がミニスカートを穿くのは嫌だろうに、女が変わるんだから男も変わらなきゃと滋子を後押しする宗男さんが最高にかっこいい」「女の人が変わるんなら、って自分を変えようとする宗男さんこそ本物の紳士」「さらっとだけど、すごく本質を突いたシーンだと思う」と絶賛の声が上がっていた。

 124話では、谷田部家で「みね子を仕送りから解放してやりたい」と緊急会議が開かれる。一方、みね子はヒデとともにテレビ局へ出前を届けに。そこで、みね子の父・実を匿っていた女優・川本世津子(菅野美穂)を見かける。125話では、ヒデの後押しもあり、世津子に話しかけるみね子の姿が。実の現状などを伝えるみね子の様子に、世津子は「そんなにはっきりものを言う子だっけ?」と驚きを見せる。

 8月24日に放送された124話までで、29回連続の20%超えを達成している朝ドラ『ひよっこ』。この勢いのまま最終回まで駆け抜けてほしい。

『やすらぎの郷』性暴力被害に認知症……倉本聰が描く“忘れる”ということ

ニッポンのお茶の間をわかし続ける“昼ドラ”――そのあらすじと視聴者からの反響を、サイゾーウーマンが週1回(木曜日)お届けします!

『やすらぎの郷』(テレビ朝日/月~金、昼12時30分) テレビ業界人専用の老人ホーム「やすらぎの郷 La Strada」を舞台に、家族、財産(遺産)、過去の栄光、恋、死への恐怖、芸術への心残り……、さまざまな思いを抱える老人たちと、彼らに翻弄される脚本家・菊村栄(石坂浩二)の姿を描く物語。

【サイ女の昼ドラ通信バックナンバー】
<94話~98話>『やすらぎの郷』松岡茉優の性暴力被害エピソードに「今のところ一番不快」批判の声
<89話~93話>『やすらぎの郷』八千草薫の“殿方と手をつなぐのは初めて”衝撃告白に「切ない」の声
<84話~88話>『やすらぎの郷』が後番組『トットちゃん!』の番宣に? 清野菜名が黒柳徹子役で出演決定

■8月17日(木)/99話~23日(水)/103話
 99話は、秀次(藤竜也)が一馬(平野勇樹)に、ハッピーことゆかり(松岡茉優)が受けた性暴力被害の全貌と、男性職員たちによる犯人への報復計画に関して尋ねる場面からスタート。秀次は職員たちの報復計画を制止し、彼らに代わって、原田(伊吹吾郎)、那須(倉田保昭)と犯人のたまり場に乗り込むのだった。同話では全員70歳超えとなる藤や伊吹、倉田がアクションシーンを披露したこのシーンには、視聴者も「憧れのアクションスターは今なお健在だった!」「めちゃくちゃカッコいい!」と大興奮のよう。

 栄がハッピーの性暴力事件について知らされる場面が描かれた100話では、ハッピーが施設内のバー・カサブランカに復帰。カサブランカで気を使いながら話をする栄たちに、ハッピーは「私のことだったら気にしないで下さい」と言う。その様子を見たお嬢こと冴子(浅丘ルリ子)や凉子(野際陽子)はハッピーに「忘れなさい」と告げるのだった。しかし、この言葉が視聴者の間で波紋を呼んだ。「名言のつもりで言っているとしたら、性暴力被害と女性を軽視してる」「軽々しく言っていい言葉じゃない」という批判から、「長く生きている老人たちだからこそのセリフだよね。つらいことこそ忘れようとするしかない」「実際どう向き合うかって、忘れるのがリアルだと思う」という賛同の声まで、さまざまな反響があった。

 101話で栄は、運転免許証更新のために、ほかの入居者とともに高齢者講習を受ける。その中にはカーマニアで知られる岡林谷江(佐々木すみ江)の姿もあった。その翌朝、「やすらぎの郷」で車の盗難事件が発生する。

 車両盗難の犯人が谷江だと発覚した102話。高齢者講習の結果、運転免許を取り上げられたことに立腹した谷江は、来訪者の車を乗っ取り、高速道路を猛スピードで逆走。パトカーとのカーチェイスを繰り広げる。そんな騒ぎが「認知症による一種の徘徊」として一段落ついた頃、栄は姫こと摂子(八千草薫)の付き人から、姫の様子がおかしいと相談を受けるのだった。

 103話では、姫が急に始めた身辺整理はマヤ(加賀まりこ)の勧めによるものだったと判明。姫が手放すと決めた物の中には、天皇陛下から賜った紫綬褒章まで含まれており、あまりの勢いに栄は不安を抱く。

 ハッピーの性暴力被害、そして谷江の逆走騒動では“認知症”についても触れられた今回のエピソード。老人たちにスポットを当てた『やすらぎの郷』にとって、“忘れる”ということは大きなテーマになってくるのかもしれない。

竹内涼真『過保護のカホコ』、“朝ドラ・シンデレラボーイ”が俳優としてブレークした理由

 「勢いに乗っている」とは、こういうことを言うのだろう。竹内涼真が出演したドラマが、立て続けにヒットを飛ばしている。

 一作は言わずと知れた連続テレビ小説(以下、朝ドラ)の『ひよっこ』(NHK)。東京オリンピックが開催された1964年から物語がスタートする本作は、岡田惠和の脚本の巧みさもあって作品評価こそ高かったものの、当初は平均視聴率がなかなか20%台(ビデオリサーチ調べ/関東地区)に乗らず、朝ドラとしては苦戦していた。

 有村架純演じる谷田部みね子を筆頭とするかわいい女の子や、峯田和伸が演じる宗男おじさんのような面白いキャラクターはたくさんいて、ドラマ自体は楽しかったのだが、朝ドラの華ともいえるイケメン俳優が不在だったため、メイン視聴者層である女性ファンの心をつかむまでに至らなかったのが伸び悩んでいた原因だろう。

 しかし、竹内が演じる慶應ボーイの御曹司・島谷純一郎とみね子の恋愛模様を描き出したあたりから視聴率は安定し、少しずつ上昇していった。

 島谷を演じる竹内は、いかにも育ちのいいお坊ちゃんという風情で、『ひよっこ』の温和な世界観になじんでいた。そして竹内は、『あさが来た』のディーン・フジオカ、『とと姉ちゃん』の坂口健太郎、『べっぴんさん』の松下優也に続く、“朝ドラ・シンデレラボーイ”となった。

 その後、島谷は物語から退場し、視聴者の間で激しい“島谷ロス”が起こる。そこにうまくハマったのが、水曜午後10時から放送されている連続ドラマ『過保護のカホコ』(日本テレビ系)である。『女王の教室』(同)や『家政婦のミタ』(同)で知られる遊川和彦が脚本を手がける本作は、両親から過保護に育てられたカホコ(高畑充希)の自立を描いた物語だ。

 竹内涼真が演じるのはピカソを超える芸術家になるために絵を描いている大学生・麦野初。同じ大学生でも慶應義塾大学のエリートだった島谷とは違う、バイトに明け暮れる苦学生だ。一見、軽薄に見えるが、熱い気持ちを持っていて、いつもカホコを心配している優しい青年である。その一方で、母親に捨てられた過去を抱えているという複雑な内面を見せていて、カホコと一緒に成長していく姿に視聴者の共感が集まっている。

 もともと、遊川和彦は初期の代表作であるコメディドラマ『オヨビでない奴!』(TBS系)の頃から、(遊川自身の分身ともいえる)軽薄だが、実は優しくていい男の描写を得意としていた。近年の作品ではあまり出番がなかったが、今作の麦野は久々に登場した遊川が得意とする男性ヒーローだ。ポータルサイト「citrus」に掲載された遊川との対談の中で、竹内は、いつも怒っている麦野の気持ちがわからなくて苦労したと、語っている。そして、役を演じる際には、自分の中で「オレ、どうしちゃったのかな?」くらいやった方が伝わると気づいたという。

 確かに、麦野を演じる竹内の芝居は『ひよっこ』の島谷と比べるとケレン味が強い。元来、遊川作品のキャラクターは、本作で高畑充希が演じるカホコのように、味付けが濃くて芝居が過剰なのだが、優等生的な竹内の場合、これくらい過剰な方が、ドラマ映えするのだろう。

 朝ドラでブレークした俳優にとって、次の出演作品が成功するかどうかは、俳優生命の大きな分かれ道だが、『ひよっこ』でブレークしてすぐに、『過保護のカホコ』というヒット作に巡り合えたことは、竹内にとってはもちろんのこと、同作の制作チームにとっても幸運だったと言えよう。

 育ちの良さと軽薄さの振り幅が強みに

 竹内涼真は現在24歳。俳優として大きく注目されたのは『仮面ライダードライブ』(テレビ朝日系)だ。2000年にオダギリジョーが主演を務めた『仮面ライダークウガ』以降、平成ライダーシリーズは、佐藤健や瀬戸康史、近年では菅田将暉や福士蒼汰といった若手イケメン俳優を輩出しており“男版の朝ドラ”と言っても過言ではないドラマ枠である。1年に渡って、演技経験がほとんどない新人が主役を担当し、放送されることになる。そのため出演する前と後では別人のように成長を果たし、竹内もそうやって演技力を磨いてきた1人だ。

 『仮面ライダードライブ』の後も、『時をかける少女』(日本テレビ系)や『THE LAST COP/ラストコップ』(同)といったドラマに出演し、着々とキャリアを積み重ね、ここにきて一気にブレークしたと言える。

 竹内の魅力は、育ちの良さが醸し出す真面目さと清涼感だ。だからこそ『ひよっこ』の島谷があれだけハマったのだろう。しかし、それだけでは優等生的すぎて、魑魅魍魎が跋扈する芸能界では、埋もれてしまう。そんな中で麦野という、軽薄で乱暴に見えるが実は優しい男という真逆の存在を演じたことで、役者としての振り幅の広さを証明した。この両極を演じた後なら、どんな役を演じても大丈夫だろう。これからの活躍が楽しみである。
(成馬零一)

志尊淳の「寝顔」が、酒井若菜&緒川たまきの熱演を食った『下北沢ダイハード』

 テレビ東京系の深夜で、同局ならではの試みのドラマが放送されている。演劇の聖地・下北沢の小劇場で活躍する人気脚本家が、下北沢で起きた「人生最悪の一日」をテーマに書き下ろす、1話完結型シチュエーションコメディドラマ『下北沢ダイハード』だ。その第4話が8月11日に放送された。

 第4話「夜逃げする女」はアラフォー女2人が殺人を犯し、下北沢から逃避行しようとする話。と言ってもコメディなので、当事者には深刻でも全体的にゆるいテイストに仕上がっている。

 下北沢で小さな古着屋を営む2人の女性。須田類(緒川たまき)のもとに、共同経営者の椎名照美(酒井若菜)の彼氏である原田利夫(山西惇)が、貸した300万円を返せと乗り込んでくる。必ずお金は返すと懇願するが、原田は聞く耳を持たずらちがあかない。試着室に隠れていた照美が出てくると、原田は、返せないなら結婚して下北沢を出ようと婚姻届を突きつける。「ごめんなさい」と謝り続ける照美を、無理やり連れ出そうとする原田。そばで見ていた類は思わず、原田の頭を売り物のブーツで何度も殴り、頭から血を流した原田は動かなくなってしまう。

 原田を箱に詰めた2人は、夜逃げを決意。知り合いの若手俳優・深大寺(志尊淳)に連絡し、車で駆けつけてもらう。何も知らない深大寺は、段ボールを運び出すのを明るく手伝うが、車に乗せるときにバランスを崩し、原田が箱から転げ出てしまう。“死体”を深大寺に見られた2人は、その場から逃げ出し、逃避行を決意する。

 しかし、訳あって立ち寄った馴染みのバーに制服姿の警官が現れ、さらには深大寺が血を流したままの原田をおぶって登場。騒然とするバーの面々の隙をついて2人は逃げ出す。下北沢で共に過ごした20年間を振り返りながら歩く2人は、お互いの別々の道を歩んでいく決意をする。

 事件からしばらくたち、変わらずあの古着屋にいる照美だが、おなかには原田との新しい生命が。そして店には、類からの知らせが飾られていた。類は、下北沢からたった2つ隣の駅「代々木上原」に転居した、というオチだ。

 下北沢の、かつて小田急の踏切があった場所で、このアラフォーの2人が対峙したシーンが味わい深かった。類の「照ちゃんの幸せ邪魔してごめん」という謝罪から、照美の「こういう時はあってほしかったね。遮断機。そしたらさ、仕方がないねって思えたじゃん。目の前を小田急が通過して、2人はお互いの姿を見失うんだ」という返しに、下北沢の街が変わってしまったことと、彼女らが過ごした20年間が終わる切なさが伝わってきた。

 しかし、そんな熱演の女優たちよりネット上で話題だったのは、深大寺を演じた、戦隊モノ出身のイケメン俳優・志尊淳。彼の寝顔が一瞬流れただけで、ネット上に「かわいい」というコメントが飛び交った。今回の役は、何にも考えてなさそうな「ゆとり世代の若手俳優」。あまりの空気の読めなさ加減に、普通ならイラッとするところも、志尊の持つ根っからの明るいキャラが「こいつはそんな奴か」と見る者を納得させ、嫌な感情を抱かせない。20歳も年上の類のことを好きという設定も、現実にはあり得ないとしらけるところだが、志尊の、いかにも年上のお姉様に可愛がられそうな雰囲気がリアリティを生み、こんな子犬みたいな男子から好意を持たれてみたいと、年上女性の心をくすぐってくる。

 ネット上では、今まで4話放送された『下北沢ダイハード』の中で、今回が一番面白かったという意見も。評価が分かれるのは、脚本家によるところが大きいのだろう。今回の脚本を担当したのは、劇団ブルドッキングヘッドロックを主催する喜安浩平。劇団の作品だけではなく映画をはじめとする外部作品にも積極的に参加し、『桐島、部活やめるってよ』で、第36回日本アカデミー賞優秀脚本賞を受賞。ももいろクローバーZ主演の青春群像劇『幕が上がる』なども執筆し、今回もアラフォー女性の青春をほろ苦く描いた。

 第5話は、現在ぶっちゃけキャラでノっている夏菜を主演に迎え、「最高のSEXをする女」を放送。バンドマンの彼氏である幸治のため、自身のバンド活動を辞め、就職して支え続けた麻子。彼のバンドの曲がドラマのエンディングテーマに抜擢され、「ついに売れた」「いよいよ結婚」と浮かれる麻子のもとに、SNS上で幸治の浮気を決定づける情報が……。脚本は福原充則(ピチチ5)が担当する。

 金曜日の深夜、一週間の疲れを忘れるのにちょうどいい、「人の不幸な一日」の話。柄本明が下北沢で自転車をこいでいる後ろ姿だけが流れ続けるエンディングの癒やし効果も抜群だ。
(円城寺小春)