『BG』俳優・木村拓哉が、中年男性の“弱さ”を演じられないいくつかの理由

 『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)は、木村拓哉が演じるボディーガード・島崎章が主人公のドラマだ。毎回、島崎たちボディーガードが、政治家や芸能人といったVIP待遇の有名人の身辺警護を担当する一話完結モノで、エンターテインメント作品としてとても見やすい作品となっている。

 第7話では、離婚した島崎の妻・小田切仁美が登場した。演じたのは1996年の恋愛ドラマ『ロングバケーション』(フジテレビ系)で木村と共演した山口智子だったことが話題となった。22年ぶりの共演でも、2人のやりとりは軽妙で息が合っており、これだけ時間がたち、外見は多少老けたものの、2人は当時とあまり変わらず、しかしそれらを素直に称賛する気持ちよりも、良くも悪くも時間が止まっているような違和感を覚えた。

 テレビ朝日系の連続ドラマに木村拓哉が出演するのは、今回で2作目だ。前作『アイムホーム』(2015)では、過去の記憶を失い、妻と子どもが“仮面”をかぶっているように見えて苦悩する父親を演じた。テレビ朝日系ドラマにおける、木村の起用方法が面白いのは、青年期が終わり40代という中年になった木村を見せようとしているところだろう。つまり、ヒーローではなく等身大の人間を演じさせようとしている。強さだけでなく、人間としての弱さや情けなさも盛り込みたいのだろう。今作『BG』の島崎も、シングルファーザーで、過去に仕事で失敗したことで交通警備員に降格したという、弱さを打ち出した導入部となっていた。

 脚本は『昼顔~平日午前3時の恋人たち』(フジテレビ系)などで知られる井上由美子。木村の作品では『GOOD LUCK!!』(TBS系)と『エンジン』(フジテレビ系)という人気作を手がけているが、今作では、40代の一児の父親という中年男性を描こうという挑戦が随所に見受けられる。

 劇中では、依頼人に文句を言われても我慢して彼らを守るボディーガードの苦しさが描かれている。毎回、木村は罵声を浴びせられ、殴られてボロボロだ。そんなボロボロの島崎を通して等身大の中年男性の弱さを描きたいのだろうが、それはあまりうまくいっていない。

 見ていて気になるのは、木村の体形だ。年相応の中年男性としては、細身でスタイルが良すぎるのだ。40代でボディーガードをしているという設定なら、もう少し贅肉があるか、逆に過剰に筋肉質であってほしい。例えば、西島秀俊が同じ役をやっていたら違和感はないのだろう。あの体形を40代で維持している木村の凄まじさこそ感じるものの、年相応のリアルさはなく、今まで木村が演じてきたストイックなヒーロー像に収まっている。娯楽作品としてはそれでも構わないが、木村の新境地を期待している立場としては、今のところもの足りなく感じる。

 『アイムホーム』以降の作品を見ていると、これまで演じてきた年齢不詳の自由なヒーロー像を更新して、大人の俳優に脱皮しようともがいているのがよくわかる。15年に端を発するSMAP解散騒動だが、結果的に、当初の計画にあった5人での独立を中居正広と2人だけ拒否してジャニーズ事務所に残ったかたちとなり、「裏切り者」というマイナスのイメージができてしまった。あのゴタゴタで露わになった木村の弱さは、木村と同じ40代で、会社組織に揉まれながら必死で働いている中年男性にとっては、他人事とは思えないものもあっただろう。

 その意味でも、30代から演じてきたヒーロー像から脱皮するには、絶好のタイミングなのだが、どうにも今まで作ってきた芝居の型が、変化を邪魔しているように見えてならない。そんな現状が作品に反映されていたのが、昨年の主演映画『無限の住人』だろう。三池崇史監督のスプラッターテイストの時代劇で、木村が演じるのは万次という侍だ。万次は体内に細胞を再生させる蟲を埋め込まれた不老不死の存在で、いくら斬られても傷口が再生する。つまり、永遠に死ねない若い身体を持っている。万次は全身傷だらけで戦い続けるが、最強のヒーローというよりは永遠に戦い続ける痛々しさの方が際立っていた。

 万次の不死の肉体は、年齢不詳の若いヒーローを演じてきた木村のアイドル性そのものだと言えるだろう。40代に入り、年相応の中年男性に着地しようする木村の動向は俳優としては面白い。しかし、なかなか年をとることができない姿に今の木村の困難が出ているように感じる。
(成馬零一)

『BG』俳優・木村拓哉が、中年男性の“弱さ”を演じられないいくつかの理由

 『BG~身辺警護人~』(テレビ朝日系)は、木村拓哉が演じるボディーガード・島崎章が主人公のドラマだ。毎回、島崎たちボディーガードが、政治家や芸能人といったVIP待遇の有名人の身辺警護を担当する一話完結モノで、エンターテインメント作品としてとても見やすい作品となっている。

 第7話では、離婚した島崎の妻・小田切仁美が登場した。演じたのは1996年の恋愛ドラマ『ロングバケーション』(フジテレビ系)で木村と共演した山口智子だったことが話題となった。22年ぶりの共演でも、2人のやりとりは軽妙で息が合っており、これだけ時間がたち、外見は多少老けたものの、2人は当時とあまり変わらず、しかしそれらを素直に称賛する気持ちよりも、良くも悪くも時間が止まっているような違和感を覚えた。

 テレビ朝日系の連続ドラマに木村拓哉が出演するのは、今回で2作目だ。前作『アイムホーム』(2015)では、過去の記憶を失い、妻と子どもが“仮面”をかぶっているように見えて苦悩する父親を演じた。テレビ朝日系ドラマにおける、木村の起用方法が面白いのは、青年期が終わり40代という中年になった木村を見せようとしているところだろう。つまり、ヒーローではなく等身大の人間を演じさせようとしている。強さだけでなく、人間としての弱さや情けなさも盛り込みたいのだろう。今作『BG』の島崎も、シングルファーザーで、過去に仕事で失敗したことで交通警備員に降格したという、弱さを打ち出した導入部となっていた。

 脚本は『昼顔~平日午前3時の恋人たち』(フジテレビ系)などで知られる井上由美子。木村の作品では『GOOD LUCK!!』(TBS系)と『エンジン』(フジテレビ系)という人気作を手がけているが、今作では、40代の一児の父親という中年男性を描こうという挑戦が随所に見受けられる。

 劇中では、依頼人に文句を言われても我慢して彼らを守るボディーガードの苦しさが描かれている。毎回、木村は罵声を浴びせられ、殴られてボロボロだ。そんなボロボロの島崎を通して等身大の中年男性の弱さを描きたいのだろうが、それはあまりうまくいっていない。

 見ていて気になるのは、木村の体形だ。年相応の中年男性としては、細身でスタイルが良すぎるのだ。40代でボディーガードをしているという設定なら、もう少し贅肉があるか、逆に過剰に筋肉質であってほしい。例えば、西島秀俊が同じ役をやっていたら違和感はないのだろう。あの体形を40代で維持している木村の凄まじさこそ感じるものの、年相応のリアルさはなく、今まで木村が演じてきたストイックなヒーロー像に収まっている。娯楽作品としてはそれでも構わないが、木村の新境地を期待している立場としては、今のところもの足りなく感じる。

 『アイムホーム』以降の作品を見ていると、これまで演じてきた年齢不詳の自由なヒーロー像を更新して、大人の俳優に脱皮しようともがいているのがよくわかる。15年に端を発するSMAP解散騒動だが、結果的に、当初の計画にあった5人での独立を中居正広と2人だけ拒否してジャニーズ事務所に残ったかたちとなり、「裏切り者」というマイナスのイメージができてしまった。あのゴタゴタで露わになった木村の弱さは、木村と同じ40代で、会社組織に揉まれながら必死で働いている中年男性にとっては、他人事とは思えないものもあっただろう。

 その意味でも、30代から演じてきたヒーロー像から脱皮するには、絶好のタイミングなのだが、どうにも今まで作ってきた芝居の型が、変化を邪魔しているように見えてならない。そんな現状が作品に反映されていたのが、昨年の主演映画『無限の住人』だろう。三池崇史監督のスプラッターテイストの時代劇で、木村が演じるのは万次という侍だ。万次は体内に細胞を再生させる蟲を埋め込まれた不老不死の存在で、いくら斬られても傷口が再生する。つまり、永遠に死ねない若い身体を持っている。万次は全身傷だらけで戦い続けるが、最強のヒーローというよりは永遠に戦い続ける痛々しさの方が際立っていた。

 万次の不死の肉体は、年齢不詳の若いヒーローを演じてきた木村のアイドル性そのものだと言えるだろう。40代に入り、年相応の中年男性に着地しようする木村の動向は俳優としては面白い。しかし、なかなか年をとることができない姿に今の木村の困難が出ているように感じる。
(成馬零一)

『わろてんか』人気芸人コンビと跡取りの子どもたち……2組の恋愛の対比がエグい

ニッポンのお茶の間をわかし続ける国民的番組“朝ドラ”――そのあらすじと視聴者からの反響を、サイゾーウーマンが週1回(金曜日)お届けします!

『わろてんか』(NHK総合/月~土、午前8時) 京都の老舗薬種問屋「藤岡屋」の長女・てん(葵わかな)が笑いをこよなく愛する青年・藤吉(松坂桃李)と出会い、2人で「風鳥亭」をはじめ多数の寄席を抱える「北村笑店」を経営、日本中を笑わせるために奮闘する姿を描いた物語。「吉本興業」の創始者・吉本せいをモデルに描いている。

【サイ女の朝ドラ通信バックナンバー】
<115話~120話>『わろてんか』松坂桃李もびっくり!? 死んだのに、やたらと登場する藤吉にツッコミの声
<109話~114話>『わろてんか』成田凌演じる社長の息子がやらかすも、「血は争えなかった」と納得の声!?
<103話~108話>『わろてんか』漫才師になった広瀬アリスの相方が「こじらせすぎてめんどくさい」と不評

■2月24日(土)/121話~3月2日(金)/126話
 121話で、てんの息子・隼也(成田凌)と銀行の跡取り娘・つばき(水上京香)は恋心を抱きながらも、互いの立場を考えて、それぞれの道を歩むことを決意。一方、リリコ(広瀬アリス)に思いを寄せる相方の四郎(松尾諭)は告白を試みるが、緊張して途中までしか言葉がでない。そんな四郎の姿を見たリリコは、「お嫁さんになってあげる」と告げるのだった。これには視聴者から、「さらっと描かれるシーンがたまらない!」「リリコと四郎はなんか応援したくなる。おめでとう!」と祝福の声が続出。

 隼也とつばきの別れから約半年がたった122話では、隼也に創立25周年を迎えた北村笑店の祝賀パーティー責任者を任せることに。また栞(高橋一生)の会社と共同で行った「マーチン・ショウ」も大成功。しかし、それを妬んだ東京のライバル会社が、北村笑店の芸人たちの引き抜きに動き出す。

 123話では、怪しい動きを見せる四郎や芸人のアサリ(前野朋哉)に、引き抜きにあっているのではないかと疑いの目を向ける専務の風太(濱田岳)や席主代表の亀井(内場勝則)の姿があった。しかし、四郎はリリコに隠れて女性と会っており、そのことがばれてリリコと喧嘩になる。

 124話では、四郎が会っていた女性が楽士時代の仲間だったことが判明。四郎は上海の楽団に誘われていることを明かし、今はリリコとの漫才のほうが夢より大切だと泣きながら楽譜を燃やすのだった。一方つばきは、親の決めた結婚に従うと決意したものの、隼也のことが忘れられないまま悶々とした日々を過ごしていた。そんな中、隼也はつばき付きの女中に頼まれ、つばきの思いを断ち切るために「自分も結婚することになった」という嘘の手紙を書く。

 恋に思い悩むリリコと隼也の姿が描かれた125話では、リリコが四郎に「もううんざりだ。解散したい」と発言。四郎を思ってのリリコの行動だったが、てんは2人に本音で話し合う場を作るのだった。

 2人で上海に行くことを決めたリリコと四郎の姿からスタートした126話。一方で、決別を決めたはずのつばきが、結婚せずに家を出ると隼也のもとを訪ねてくる。さらにつばきは、てんの家に迎えにきた自身の父親に向かって、好きな人がいるから結婚するのは婚約者にも失礼だと語り、家には帰らないと言い切るのだった。視聴者は、恋愛を後押しされたリリコと四郎、反対される隼也とつばきの対比に、「代わりがきくから祝福されたリリコ・シローと、代わりがいない隼也とつばきさん。厳しいところついてくる」「リリコたちを後押しした後に、この展開持ってくるのえぐいな」「てんちゃんは自分が駆け落ちしてるし、今の状態すごくつらそう」と感じたよう。

 126話ラストでは、つばきの父親と隼也が対面。隼也がどのような行動に出るのか要注目だ。

『わろてんか』松坂桃李もびっくり!? 死んだのに、やたらと登場する藤吉にツッコミの声

ニッポンのお茶の間をわかし続ける国民的番組“朝ドラ”――そのあらすじと視聴者からの反響を、サイゾーウーマンが週1回(金曜日)お届けします!

『わろてんか』(NHK総合/月~土、午前8時) 京都の老舗薬種問屋「藤岡屋」の長女・てん(葵わかな)が笑いをこよなく愛する青年・藤吉(松坂桃李)と出会い、2人で「風鳥亭」をはじめ多数の寄席を抱える「北村笑店」を経営、日本中を笑わせるために奮闘する姿を描いた物語。「吉本興業」の創始者・吉本せいをモデルに描いている。

【サイ女の朝ドラ通信バックナンバー】
<109話~114話>『わろてんか』成田凌演じる社長の息子がやらかすも、「血は争えなかった」と納得の声!?
<103話~108話>『わろてんか』漫才師になった広瀬アリスの相方が「こじらせすぎてめんどくさい」と不評
<97話~102話>『わろてんか』広瀬アリス演じる女流漫才師を売り出す女性たちに期待「強くてかっこいい」

■2月17日(土)/115話~2月23日(金)/120話
 アメリカの「マーチン・ショウ」を日本で開催しようとして、詐欺に遭ったてんの息子・隼也(成田凌)が、てんの監督下で一から修業をやり直す姿が描かれた115話。専務の風太(濱田岳)や仲間たちの後押しを受け、隼也は前向きに修行に取り組むようになる。また同話では、てんが藤吉からもらった鈴を鳴らしたことで、病気で亡くなった藤吉が現れる。亡くなったにもかかわらず、ドラマ内に幾度も登場するため、視聴者からは「藤吉、出てきすぎ」「なんやかんや幽霊として毎週出てくるな」「死んだはずなのに(笑) しかも、生きてる時よりいい仕事する」と藤吉へツッコミの声が続出。藤吉役の松坂も、自身のTwitterで「ご覧になってる方はお気付きかと思いますが、、、藤吉、出てますね。毎週。自分も正直この流れを聞いたときは驚きました」とコメントしている。

 116話では、隼也の先見の明を証明しようと、執行役員の栞(高橋一生)が本物の「マーチン・ショウ」をアメリカから呼ぶことにする。しかし、てんはそのプロジェクトから隼也を外す決断を下す。117話では、「マーチン・ショウ」に関われないことで落ち込む隼也が、せめてその中でもできることをしようと、英語教師の加納つばき(水上京香)の協力を得て、新たな企画を考え始める。

 北村笑店の人気お笑いコンビである四郎(松尾諭)とリリコ(広瀬アリス)が、互いに漫才の相方以上の好意を持ち始め、いつもよりギクシャクする2人の姿を描いた118話。一方、隼也も、徐々につばきに惹かれていく。

 119話では、隼也とつばき、四郎とリリコの2つの恋が進行。そんな中、隼也は、つばきの様子がいつもと違うことに気づく。つばきは隼也に結納が決まったことを告げ、自身が大銀行の頭取の娘で会社の跡を継ぐ婿を取らなければならないと明かすのだった。

 隼也がつばきを家に連れて帰ってきた120話。全ての話を聞いたてんは、つばきの恋については何も言わずに、夕ご飯を一緒に食べないかと誘う。そこへ立ち寄った風太に連れ出された隼也は、喧嘩しながらも仲睦まじい風太とトキ(徳永えり)夫婦の姿を見て励まされる。結局、一緒に夕飯を囲んだ隼也とつばきは、綺麗な満月の見える縁側で、静かに自分たちの恋に決着をつけるのだった。視聴者からは、この展開に「切ないけど、でもいい終わり方だと思う」「てんと藤吉が駆け落ちだったから、隼也も突っ走ると思ったけどそうはいかないか。2人はこれで良かった」と納得の声が上がっている。

 次回は四郎とリリコの恋の行方が描かれそう。2人の恋の結末をきちんと見届けよう。

『わろてんか』松坂桃李もびっくり!? 死んだのに、やたらと登場する藤吉にツッコミの声

ニッポンのお茶の間をわかし続ける国民的番組“朝ドラ”――そのあらすじと視聴者からの反響を、サイゾーウーマンが週1回(金曜日)お届けします!

『わろてんか』(NHK総合/月~土、午前8時) 京都の老舗薬種問屋「藤岡屋」の長女・てん(葵わかな)が笑いをこよなく愛する青年・藤吉(松坂桃李)と出会い、2人で「風鳥亭」をはじめ多数の寄席を抱える「北村笑店」を経営、日本中を笑わせるために奮闘する姿を描いた物語。「吉本興業」の創始者・吉本せいをモデルに描いている。

【サイ女の朝ドラ通信バックナンバー】
<109話~114話>『わろてんか』成田凌演じる社長の息子がやらかすも、「血は争えなかった」と納得の声!?
<103話~108話>『わろてんか』漫才師になった広瀬アリスの相方が「こじらせすぎてめんどくさい」と不評
<97話~102話>『わろてんか』広瀬アリス演じる女流漫才師を売り出す女性たちに期待「強くてかっこいい」

■2月17日(土)/115話~2月23日(金)/120話
 アメリカの「マーチン・ショウ」を日本で開催しようとして、詐欺に遭ったてんの息子・隼也(成田凌)が、てんの監督下で一から修業をやり直す姿が描かれた115話。専務の風太(濱田岳)や仲間たちの後押しを受け、隼也は前向きに修行に取り組むようになる。また同話では、てんが藤吉からもらった鈴を鳴らしたことで、病気で亡くなった藤吉が現れる。亡くなったにもかかわらず、ドラマ内に幾度も登場するため、視聴者からは「藤吉、出てきすぎ」「なんやかんや幽霊として毎週出てくるな」「死んだはずなのに(笑) しかも、生きてる時よりいい仕事する」と藤吉へツッコミの声が続出。藤吉役の松坂も、自身のTwitterで「ご覧になってる方はお気付きかと思いますが、、、藤吉、出てますね。毎週。自分も正直この流れを聞いたときは驚きました」とコメントしている。

 116話では、隼也の先見の明を証明しようと、執行役員の栞(高橋一生)が本物の「マーチン・ショウ」をアメリカから呼ぶことにする。しかし、てんはそのプロジェクトから隼也を外す決断を下す。117話では、「マーチン・ショウ」に関われないことで落ち込む隼也が、せめてその中でもできることをしようと、英語教師の加納つばき(水上京香)の協力を得て、新たな企画を考え始める。

 北村笑店の人気お笑いコンビである四郎(松尾諭)とリリコ(広瀬アリス)が、互いに漫才の相方以上の好意を持ち始め、いつもよりギクシャクする2人の姿を描いた118話。一方、隼也も、徐々につばきに惹かれていく。

 119話では、隼也とつばき、四郎とリリコの2つの恋が進行。そんな中、隼也は、つばきの様子がいつもと違うことに気づく。つばきは隼也に結納が決まったことを告げ、自身が大銀行の頭取の娘で会社の跡を継ぐ婿を取らなければならないと明かすのだった。

 隼也がつばきを家に連れて帰ってきた120話。全ての話を聞いたてんは、つばきの恋については何も言わずに、夕ご飯を一緒に食べないかと誘う。そこへ立ち寄った風太に連れ出された隼也は、喧嘩しながらも仲睦まじい風太とトキ(徳永えり)夫婦の姿を見て励まされる。結局、一緒に夕飯を囲んだ隼也とつばきは、綺麗な満月の見える縁側で、静かに自分たちの恋に決着をつけるのだった。視聴者からは、この展開に「切ないけど、でもいい終わり方だと思う」「てんと藤吉が駆け落ちだったから、隼也も突っ走ると思ったけどそうはいかないか。2人はこれで良かった」と納得の声が上がっている。

 次回は四郎とリリコの恋の行方が描かれそう。2人の恋の結末をきちんと見届けよう。

斎藤工『MASKMEN』で考える、山田孝之らイケメン俳優が抱える“痛さ”の使い方

 斎藤工は現在、2本のドラマに出演している。1本はテレビ朝日系で木曜午後9時から放送されている『BG~身辺警護人~』。

 本作は木村拓哉が演じるボディーガード・島崎章が主人公のドラマ。毎回、重要人物を警護する姿が描かれる1話完結の職業ドラマだ。斎藤が演じるのは、元自衛隊員で突出した身体能力を持つボディガードの高梨雅也。第3話では、島崎章と対立しながらもコンビを組み、芸能人社長の身辺警護を担当した。

 木村と斎藤のコンビは新旧イケメン俳優の夢の共演という感じで、見応え抜群だ。木村演じる島崎への対抗意識から、突っかかっては空回りする高梨を演じる斎藤の姿には、かわいげと色気がにじみ出ている。

 もう1本は金曜の深夜に放送されている『MASKMEN』。テレビ東京が得意とするドキュメンタリードラマで、斎藤が野性爆弾・くっきーのプロデュースのもと、覆面芸人の「人印(ピットイン)」としてデビューするという異色作だ。

 マスクで自分の顔を隠して、宇宙人のようなコスプレをした芸人としてデビューするシチュエーションは面白い。また、顔ではなく才能で勝負する芸人に対し、斎藤が嫉妬とあこがれを抱いているという構図の設定は、いいところを突いている。

 斎藤が主演級の俳優として人気を確立したのは、上戸彩が演じる人妻と不倫関係になる教師を演じたドラマ『昼顔~平日午後3時の女たち~』(フジテレビ系)だ。しかし、それ以降、セクシーさが売りの“壁ドン俳優”として消費されてしまうことに危機感があると、斎藤は事あるごとに話している。

 イケメン俳優がハマる落とし穴

 イケメン俳優が人気を確立し30代が近づくと、わざと変な役を演じたり、ミュージシャン、カメラマン、小説家、映画監督などといった他ジャンルに進出することが多い。

 斎藤も映画監督としての顔を持ち、高橋一生が主演を務めた初の長編映画『blank13』(公開中) で各方面から高い評価を得ている。これらの活動は、本人たちにとっては純粋な表現欲求かもしれないが、意地悪な見方をすると「俺はただのイケメンじゃない」という血の叫びに見える。

 もちろん、全てのイケメン俳優が脱イケメンのためにクリエイターを目指しているとまでは言わないが、外から見ると遅れてきた反抗期のようで、迷走しているなぁと思ってしまう。

 代表例は、映画『シュアリー・サムデイ』で監督を務めた小栗旬だろう。しかし、今の彼は気持ちの整理がついたのか、世の中が求めるイケメン俳優としての役割を誠実に果たしている。

 逆に山田孝之は髭を生やして強面になり、ほとんど別人のようになってしまった。それだけならイケメン俳優から大人の“性格俳優”への脱皮なのだが、彼が本人役で出演する『山田孝之のカンヌ映画祭』(テレビ東京系)を見ていると、そういう安易な物語に回収されること自体を必死で避けようとしているようで痛々しかった。しかし今や、その痛々しさ自体が山田特有の魅力となり、目が離せない。

 対して、斎藤の本作での振る舞いは、山田ほど痛々しいものにはなっていない。

 芸人としてダメ出しをくらう姿や、笑いが取れずに真剣に悩んでいる姿は面白いものの、当初期待していたイケメン俳優・斎藤が抱えているジレンマは、今のところ見えてこない。

 だからイマイチ盛り上がらない。

 もともと、斎藤はキャリアの長い俳優で、イケメン俳優として注目されたのも30代に入ってからと遅咲きだった。だから、イケメンとしての自分を過度に否定することの痛々しさもわかっているのだろう。マスコミでの彼の振る舞いはとてもスマートで、大人の余裕を感じる。そういったスタンスは人間としては圧倒的に正しい。

 しかし、その「正しさ」のせいで、本来ならいくらでも面白くなるはずのドラマにブレーキをかけているように見える。年々、不気味さが増している山田と比べるのは酷かもしれないが、このドラマ自体が「ただのイケメン俳優ではないとアピールするために文化人を気取ってしまう自分自身の痛さについて、僕は自覚的ですよ」というポーズに見えてしまうのだ。

 タイトルの『MASKMEN』とは、覆面芸人という意味だけでなく、仮面をかぶっているような斎藤の態度も含まれるのだろう。だとすれば、物語はそんな斎藤の仮面を剥いで、本当の内面を暴き出す方向へと向かうのだろうが、そもそも斎藤の中に暴いて面白い内面があるように見えないのだ。おそらく、斎藤に必要なことは自嘲的になることではなく、イケメンという仮面を徹底的に磨きあげることではないだろうか。

 実際『BG』に出ている斎藤は、大人の俳優として枯れたがっている木村の隣にいることもあってか、かつて木村が持っていた色気がにじみ出ており、このドラマ自体が木村から斎藤へのイケメン俳優の王位継承の儀式に見える。

 せっかく目の前に椅子が差し出されているのだから、まずはちゃんと座ってほしい。おそらくポスト木村に一番近いのは斎藤工なのだから、変な言い訳はしないでいいのだ。
(成馬零一)

『わろてんか』成田凌演じる社長の息子がやらかすも、「血は争えなかった」と納得の声!?

ニッポンのお茶の間をわかし続ける国民的番組“朝ドラ”――そのあらすじと視聴者からの反響を、サイゾーウーマンが週1回(金曜日)お届けします!

『わろてんか』(NHK総合/月~土、午前8時) 京都の老舗薬種問屋「藤岡屋」の長女・てん(葵わかな)が笑いをこよなく愛する青年・藤吉(松坂桃李)と出会い、2人で「風鳥亭」をはじめ多数の寄席を抱える「北村笑店」を経営、日本中を笑わせるために奮闘する姿を描いた物語。「吉本興業」の創始者・吉本せいをモデルに描いている。

【サイ女の朝ドラ通信バックナンバー】
<103話~108話>『わろてんか』漫才師になった広瀬アリスの相方が「こじらせすぎてめんどくさい」と不評
<97話~102話>『わろてんか』広瀬アリス演じる女流漫才師を売り出す女性たちに期待「強くてかっこいい」
<91話~96話>『わろてんか』松坂桃李の死期を匂わせすぎ!? 「感動的なシーンに集中できない」

■2月10日(土)/109話~2月16日(金)/114話
 109話では、てんがプロデュースしたリリコ(広瀬アリス)と四郎(松尾諭)の“しゃべらん漫才”が受け、2人は売れっ子コンビに成長。110話ではてんの息子・隼也(成田凌)がアメリカのショーを日本に輸入したいと専務の風太(濱田岳)に進言するが、まったく相手にされない。悩んだ隼也は、北村商店の役員でもあり、映画や百貨店など先進的な仕事を手がける栞(高橋一生)の会社で働きたいと、てんに訴えるのだった。一方、風太は漫才人気を確実なものにしようと、大人気のキース(大野拓朗)とアサリ(前野朋哉)をコンビ別れさせる奇策を思いつく。

 111話では、藤吉が大切に育てたキース・アサリコンビを別れさせることに反対するてんだったが、キースや栞、リリコの意見を聞き、コンビ別れという奇策を受け入れる。さらにキース、風太、てんの思いを感じたアサリも、コンビ別れを了承。

 キースとアサリが解散して1カ月後の112話では、隼也が栞の会社で働いていた。ある日、隼也は「マーチン・ショウ」というアメリカの有名なミュージカルの代理人を名乗る男から電話を受け、栞の許可なく会いに行ってしまう。これには視聴者から、「隼也の暴走加減が藤吉と一緒で不安になる……」「そのアメリカ人、絶対に怪しいぞ!! 藤吉は同じようなパターンで騙されてるぞ、気をつけろ!!」「あ~~ これは隼也大損のパターンですわ」といった声が続出。113話では、てんや栞に「マーチン・ショウ」の興行権獲得を納得させられなかった隼也が、藤吉が隼也のために残していたお金を勝手に使ってショーの仮契約金を払ってしまう。

 隼也が会った「マーチン・ショウ」の代理人が偽物だと発覚した114話では、相談もせずに勝手に物事を進めた隼也にてんが激怒。同時にてん、風太、栞の3人が「隼也を甘やかしすぎた」と互いに頭を下げ合うのだった。そんな中、北村笑店の仲間たちは藤吉の昔の失敗を語りつつ、隼也を慰める。この様子に視聴者は、「やっぱり血は争えなかったか~~」「北村笑店は、藤吉の時代から失敗続きだったってことを思い出した」「隼也の失敗はもはや様式美だから仕方ない」と納得したよう。

 113話ラストでは、「マーチン・ショウ」の交渉の時に雇われ通訳として同席したつばき(水上京香)が北村笑店を訪れる。自分も隼也の後押しをしてしまったと謝罪するつばきが、物語にどう関わってくるのかにも注目したい。

『わろてんか』成田凌演じる社長の息子がやらかすも、「血は争えなかった」と納得の声!?

ニッポンのお茶の間をわかし続ける国民的番組“朝ドラ”――そのあらすじと視聴者からの反響を、サイゾーウーマンが週1回(金曜日)お届けします!

『わろてんか』(NHK総合/月~土、午前8時) 京都の老舗薬種問屋「藤岡屋」の長女・てん(葵わかな)が笑いをこよなく愛する青年・藤吉(松坂桃李)と出会い、2人で「風鳥亭」をはじめ多数の寄席を抱える「北村笑店」を経営、日本中を笑わせるために奮闘する姿を描いた物語。「吉本興業」の創始者・吉本せいをモデルに描いている。

【サイ女の朝ドラ通信バックナンバー】
<103話~108話>『わろてんか』漫才師になった広瀬アリスの相方が「こじらせすぎてめんどくさい」と不評
<97話~102話>『わろてんか』広瀬アリス演じる女流漫才師を売り出す女性たちに期待「強くてかっこいい」
<91話~96話>『わろてんか』松坂桃李の死期を匂わせすぎ!? 「感動的なシーンに集中できない」

■2月10日(土)/109話~2月16日(金)/114話
 109話では、てんがプロデュースしたリリコ(広瀬アリス)と四郎(松尾諭)の“しゃべらん漫才”が受け、2人は売れっ子コンビに成長。110話ではてんの息子・隼也(成田凌)がアメリカのショーを日本に輸入したいと専務の風太(濱田岳)に進言するが、まったく相手にされない。悩んだ隼也は、北村商店の役員でもあり、映画や百貨店など先進的な仕事を手がける栞(高橋一生)の会社で働きたいと、てんに訴えるのだった。一方、風太は漫才人気を確実なものにしようと、大人気のキース(大野拓朗)とアサリ(前野朋哉)をコンビ別れさせる奇策を思いつく。

 111話では、藤吉が大切に育てたキース・アサリコンビを別れさせることに反対するてんだったが、キースや栞、リリコの意見を聞き、コンビ別れという奇策を受け入れる。さらにキース、風太、てんの思いを感じたアサリも、コンビ別れを了承。

 キースとアサリが解散して1カ月後の112話では、隼也が栞の会社で働いていた。ある日、隼也は「マーチン・ショウ」というアメリカの有名なミュージカルの代理人を名乗る男から電話を受け、栞の許可なく会いに行ってしまう。これには視聴者から、「隼也の暴走加減が藤吉と一緒で不安になる……」「そのアメリカ人、絶対に怪しいぞ!! 藤吉は同じようなパターンで騙されてるぞ、気をつけろ!!」「あ~~ これは隼也大損のパターンですわ」といった声が続出。113話では、てんや栞に「マーチン・ショウ」の興行権獲得を納得させられなかった隼也が、藤吉が隼也のために残していたお金を勝手に使ってショーの仮契約金を払ってしまう。

 隼也が会った「マーチン・ショウ」の代理人が偽物だと発覚した114話では、相談もせずに勝手に物事を進めた隼也にてんが激怒。同時にてん、風太、栞の3人が「隼也を甘やかしすぎた」と互いに頭を下げ合うのだった。そんな中、北村笑店の仲間たちは藤吉の昔の失敗を語りつつ、隼也を慰める。この様子に視聴者は、「やっぱり血は争えなかったか~~」「北村笑店は、藤吉の時代から失敗続きだったってことを思い出した」「隼也の失敗はもはや様式美だから仕方ない」と納得したよう。

 113話ラストでは、「マーチン・ショウ」の交渉の時に雇われ通訳として同席したつばき(水上京香)が北村笑店を訪れる。自分も隼也の後押しをしてしまったと謝罪するつばきが、物語にどう関わってくるのかにも注目したい。

『わろてんか』漫才師になった広瀬アリスの相方が「こじらせすぎてめんどくさい」と不評

ニッポンのお茶の間をわかし続ける国民的番組“朝ドラ”――そのあらすじと視聴者からの反響を、サイゾーウーマンが週1回(金曜日)お届けします!

『わろてんか』(NHK総合/月~土、午前8時) 京都の老舗薬種問屋「藤岡屋」の長女・てん(葵わかな)が笑いをこよなく愛する青年・藤吉(松坂桃李)と出会い、2人で「風鳥亭」をはじめ多数の寄席を抱える「北村笑店」を経営、日本中を笑わせるために奮闘する姿を描いた物語。「吉本興業」の創始者・吉本せいをモデルに描いている。

■2月3日(土)/103話~2月9日(金)/108話
 103話では、亡くなった藤吉がてんの前に現れ、「怒るのも興行師の仕事だ」とアドバイスを残す。藤吉の言葉を参考に、「流行歌万歳」にチャレンジする新しい漫才コンビのリリコ(広瀬アリス)と四郎(松尾諭)の背を押したてんだったが、2人は漫才大会で入賞さえできず、ほろ苦いデビューとなるのだった。

 帰国したてんの息子・隼也(成田凌)が、風鳥亭で働きはじめた104話。リリコと四郎の漫才が不発に終わったことで、てんはこのまま「流行歌万歳」のプロジェクトを続けるべきか悩んでいた。105話では、役員である栞(高橋一生)の後押しもあり、リリコたちの漫才プロジェクトに再び挑み始めたてんたち。一方、隼也は下働きばかりで勉強してきた、ショウビジネスの知識を生かせず、イライラを募らせていく。しかし、てんがこれまで積み重ねてきたことを振り返るような隼也の仕事の数々は、視聴者から「隼也を通じて、今のてんちゃんがどんな道を通ってきたのかを感じ取れるのいいね!」「てんちゃんと隼也、2人の成長が感じられて、すごいワクワクする」と好評のよう。

 漫才は上達しているが、客には受けないリリコと四郎のコンビに悩むてんの姿が描かれた106話。先輩芸人であるキース(大野拓朗)やアサリ(前野朋哉)は、緊張が観客に伝わっているため笑えないのだとアドバイスを送る。そんなある日、てんは漫才作家・万丈目(藤井隆)と歌子(枝元萌)の夫婦げんかを見て、リリコと四郎にぴったりの新しい漫才をひらめく。

 107話で「しゃべらない漫才」を提案したてんだが、四郎から「それでは自分のいる意味がない」と猛反対を受ける。さらに、やってみてはどうかと言うリリコに、四郎は解散だと言い放つ。この四郎の姿に視聴者は、「四郎、こじらせすぎてめんどくさい」「確かに、これまでの努力が無駄になるのはつらいけど、ウケてないからなぁ」「もっといい案があるのに古いことに固執する感じにイラっとする」と不満を感じているよう。しかし一方で、「芸人じゃない人が芸人やるとリアルにこうなりそう」「元は全くの素人に、そこまでわかれってのも酷だよなぁ」と四郎を弁護する声も上がっていた。

 解散したいと言う四郎に悩むてんの姿が描かれた108話では、栞のアドバイスを受けたてんが「しゃべらない漫才」の面白さをきちんと伝えようとする。「楽器でしゃべる」のだというてんの言葉と、漫才作家・楓(岡本玲)の書いた台本を見た2人は、芸人として再出発を決意する。

 次回はいよいよ四郎とリリコの新しい「しゃべらない漫才」が披露される。いったいどんな漫才なのか、放送を楽しみにしていよう。

『わろてんか』『不能犯』松坂桃李、生真面目青年からダークヒーロー魅せる幅

 真面目すぎて融通がきかず、空回りしているがどこか憎めない。そんな男を演じさせたら松坂桃李の右に出るものはいないだろう。先日まで出演していた連続テレビ小説(以下、朝ドラ)『わろてんか』(NHK)で演じていた北村藤吉もそんな男だった。

 真面目すぎて融通がきかず、空回りしているがどこか憎めない。そんな男を演じさせたら松坂桃李の右に出るものはいないだろう。先日まで出演していた連続テレビ小説(以下、朝ドラ)『わろてんか』(NHK)で演じていた北村藤吉もそんな男だった。

 『わろてんか』は吉本興業の創設者である吉本せいをモデルにした北村てん(葵わかな)を主人公にしたドラマだ。松坂が演じたのは、てんの夫・籐吉。物語は明治末から始まり、てんは籐吉と結婚、やがて女興行師として成長していく。思い込んだら周りが見えなくなる藤吉を笑顔で支えるが、子どもが生まれても家庭を顧みずに「家族のため」と言い訳をしながら、寄席小屋の数を増やし、優秀な芸人を呼ぼうと接待に熱を入れる藤吉へ次第に腹を立てるようになっていく。

 籐吉のモデルとなった吉本吉兵衛は放蕩息子で、遊んでばかりのダメ男だ。芸能興業を自分でやろうとして借金を作り、家業を廃業に追い込んだという。『わろてんか』では、同じ状況をかなりマイルドに描いていた。亡き父が作った実家の米問屋の借金を返すため、仲間から紹介された仕事をするものの騙されて借金を作り、藤吉は家業を倒産に追い込んでしまう。

 朝ドラということもあって、浮気だとか博打に狂っていたと言うような欠点は籐吉には盛り込めなかったのだが、そのかわり「真面目で頑張ってるけど、周りが見えずに失敗して周りに迷惑をかけてしまう」という、愛すべきダメ人間ぶりが籐吉にはあった。このダメさは、松坂桃季が今まで演じてきた役柄とどこか重なる。

 松坂の俳優デビュー作は、特撮ヒーロードラマ『侍戦隊シンケンジャー』(テレビ朝日系)で演じたシンケンレッドだ。この作品が戦隊ヒーローモノとしてユニークだったのは、普通ならば平等な関係のはずの戦隊ヒーローなのに、レッドだけが「殿様」という絶対的な立場を持っていたことだ。そのことによって横の仲間同士のつながりとは違う主従関係が生まれ、それがドラマの面白さを盛り立てていた。

 松坂はこのシンケンレッドを好演。後に松坂は、大河ドラマ『軍師官兵衛』(NHK)で黒田長政という大名を演じることになったが、今考えると正義感が強くて真面目な「殿様」という立ち位置は、その後の俳優・松坂桃李の魅力を的確に言い現していたと思う。

 その後、松坂は朝ドラ『梅ちゃん先生』(NHK)に出演して、ヒロインの幼馴染で後に夫となる男・ノブや、『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』(フジテレビ系)菜々緒が演じる猟奇殺人鬼を追う生真面目な刑事を演じたなどに出演しキャリアを積み重ねていく。

 もちろん『シンケンジャー』以降もヒーロー役を演じていて、70年代にヒットしたアニメを実写映画としてリブートした『ガッチャマン』や、未来が見える目を持った男を演じた連続ドラマ『視覚探偵 日暮旅人』(日本テレビ系)等に出演。その一方で、映画『MOZU』では残虐な殺し屋を演じており、現在公開中の映画『不能犯』でも、不気味な殺人犯を演じている。

 『不能犯』で松坂が演じる宇相吹正は、「思い込み」や「マインドコントロール」を駆使して次々と人を殺していく。神出鬼没で、目が赤く光ることからモンスターのような存在だが、一方で「殺してほしい」という依頼人の願いをかなえるダークヒーローとしての側面もあるという得体のしれない存在だ。宇相吹は、自分の快楽や私利私欲のためではなく、人間の本質に迫りたいという哲学的な動機で殺人を重ねていく。今まで松坂が演じていたヒーローとしての特性を、そのまま悪役にひっくり返したような存在で、正義の味方を演じた時と同様に、真面目で使命感が強く融通がきかない姿には、愛嬌のようなものすら感じる。

 そんな、生真面目さの中にある愛嬌を見事に引き出していたのが、宮藤官九郎が脚本を担当していた『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)だろう。本作で松坂は小学校の教師・山路一豊を演じた。生徒たちから人気がある優秀な教師だが山路は童貞で、教育実習に来た女子大生や生徒の母親にいつも翻弄される。その一方で仲間たちの相談相手となって冷静に物事に対応する頼りがいのある大人としての魅力もあり、ただ生真面目なだけではない、人間味のある男となっていた。本作で共演した岡田将生や柳楽優弥とは、今でも3人で旅行に行く仲らしく、松坂にとっても一つの転機となった作品と言えるだろう。

 松坂の持つ生真面目なイメージは、現代の青年を演じるには立派すぎて、現実感が薄いのだろう。そのためどうしてもヒーローや殺人鬼といった、人間離れした存在を演じることが多くなってしまう。しかし、『ゆとりですがなにか』のようなアプローチならば現代に生きる普通の青年の役も演じられるだろう。正義の味方のような極端なキャラクターも悪くはないが、普通の人の中にある情けなさを演じても面白い俳優だと思う。
(成馬零一)