【テラスハウスレビュー】新メンバー・凌が驚愕? 「テラハあるある」水回りが汚すぎる問題

 見ず知らずの男女6人が、シェアハウスで共同生活する様子を記録したリアリティ番組『テラスハウス』。現在、Netflixにて「TOKYO 2019-2020」が配信中で、ファンは個性豊かな面々の恋愛模様を、一喜一憂しながら、固唾を呑んで見守っている。そんな『テラハ』を愛する“テラハウォッチャー”が、10月前半の配信分から、グッときた“名(珍)シーン”をピックアップし、思いのままにレビューする。

流佳、スパイダーマンへの道(テラスハウス第17話)

 スパイダーマンになりたいという夢を持つアルバイト青年の流佳。現在は原宿のムラサキスポーツでバイトしているが、スパイダーマンになるため、転職を計画中。そしてついに、マーベルファンが集う下北沢のバー「GOOD VIBES BAR」の面接までこぎ着けた。

 オーナーとの面接で「スパイダーマンになりたいなって」と志望理由を語ると、 オーナーは「なるほどね。お客さんでコスプレしてる人とかは、めちゃめちゃ来るし。スパイダーマン、なってよ。なってもらえたら、こっちとしても最高だから」と優しく包み込む。シフトの話題になると、「ムラサキスポーツは辞めて、こっちに週3か2回来たい」と話す流佳。週2か3回のバイトでなれるほど、スパイダーマンも甘くないはずだが。

 流佳の小さな前進はまだ続く。英会話教室「NOVA」に通い始め、「ウィークエンド」という単語を「ウォーキングデッド」と4~5回読み間違えながらも、勉強に励んでいる様子だった。

 そんな彼を神様は見ていたのか、ある夜、流佳の手首にクモが刺したような跡が(スパイダーマンは“特殊なクモ”に刺されたことで、超能力を得るという設定)。流佳は「起きたらさ、ここに噛み跡が。これクモかなぁ。ここ本当にスパイダーマンの場所だよ、ここは」と、メンバーにうれしそうに報告する。よかった、よかった。もう流佳は、優しい大人にだけ囲まれ、ただそのまま生き伸びていってほしい、という感情しか湧かなくなってしまった。

 深夜0時。男子部屋でスーツケースを広げ、衣服をたたんでいる俳優の翔平。流佳に「どっか行く? 撮影?」と聞かれると、「どっか行く。撮影って言うか、明日出てく」と突然のテラハ卒業を報告する。

 卒業を決めた理由を「めちゃくちゃ居心地よくなっちゃって、ホーム感が強くなっちゃって。でもそのホーム感、今まだ要らないと言うか。安心してすぐ甘くなっちゃう、自分に」とかっこいい感じに語ったが、「苦手なんだよね、何か。みんなでワイワイみたいな」と言って、メンバーに面と向かって卒業報告せず、こっそりと出て行きたい様子。

 まだ薄暗い翌朝4時55分。翔平はメンバーが眠っている隙に、「みんな今までありがとう 行ってきます」とメッセージを書き残して、独り去った。スナフキンのような男、翔平。まるで夜逃げのような、まったく新しい卒業スタイルだった。

無意味に英語をしゃべりたがる新メンバー(テラスハウス第18話)

 翔平の代わりとなる新メンバーとして、プロバスケットボールチーム「横浜ビー・コルセアーズ」の選手、凌(りょう)が加入した。「アメリカの大学に5年間留学していた」ため、英語力が自分の強みと認識しているらしい凌は、イタリア人漫画家のペッペに、英語で「出身はどこ?」と話しかける。「イタリア人デス!」と日本語で答えたペッペに、なぜか凌は「イングリッシュ? アイ スピーク イングリッシュ」と、“英語できる”アピールをする。

 さらに流佳が英語を勉強中だと知ると、「じゃあ今日から1回も日本語使わないでいきましょうね」と提案し、その後もペッペとの会話に英語を混ぜる。英語に自信がある日本人にありがちな、ただの“英語使いたがり”にしか見えないが、Netflixの世界の視聴者を意識した試みなのかもしれない。

 女優の春花が画面に登場するときは大抵、どうでもいい話をしていることに気が付いた。17話では、「ポケモンセンター行ったんだよ。楽しかった。ゼニガメとヒトカゲとフシギダネのぬいぐるみと、イーブイのポーチ買った」との報告。

 18話では「今日、お金持ってなかったのね。Pontaカードのポイントで買おうと思ったら、Pontaカードのポイント500ポイントしかなかった」との報告。

 「へ~」としか言えない。どうでもいいけれどPontaカードの500ポイントって結構貯めた部類に入るぞと思ってしまった。17話とは別の日にも、黒板に「ポケモンセンター行ってきます」と書いていた春花。暇なのかもしれない。

ホラーすぎる汚風呂(第18話)

 新メンバーの凌が初めてテラスハウスの男子風呂に入ることに。だが、映し出された風呂は目を覆うほどの汚さだった。床には、プールのごみを取る用と思われる網やスポンジ、濡れて丸まったタオル、ぐちゃぐちゃのビニール袋などが放り出されていて、浴槽にもタオルらしき布が浮かんでいる。スタジオメンバーも「ホラー!」「事件!?」「水死体?」と怖がるほどの惨状。

 お風呂から出てきた凌は「聞いていい? あのタオルは何なの? ちょっと1回さ、掃除しない?」とメンバーに提案した。夜逃げ同然に出て行った翔平も、最後にお風呂掃除くらいしてくれていたら……。

 今後は“テラハあるある”の水回り汚すぎる問題でも、ひと悶着ありそうなので注目したい。

『ザ・ノンフィクション』日本一有名なニートphaに思う、“こうあるべき”の自縄自縛「好きなことだけして生きていく 前編~元ニートの再々再々出発~」

 NHKの金曜夜の人気ドキュメント番組『ドキュメント72時間』に対し、こちらも根強いファンを持つ日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。10月6日の放送は「好きなことだけして生きていく 前編~元ニートの再々再々出発~」。日本一有名なニート・pha(ファ)と彼の同居人の日々を見つめる。

あらすじ

 日本一有名なニートのpha。京都大学を卒業後、一般企業に3年勤めるも決まった時間に出社する生活がつらく、退職。2008年にシェアハウス「ギークハウス」を発足する。12年には『ニートの歩き方 ――お金がなくても楽しく暮らすためのインターネット活用法 』(技術評論社)を上梓し、現在もシェアハウスで生活する。phaの知人で、京都で会社経営をするひらうがシェアハウス拡大のためのビル建設を提案するが、計画は自然消滅してしまう。またシェアハウスの住民、似非原(えせはら)は、ひらうからカードゲームの開発を依頼され途中までは熱心に仕事をするものの、興味がバーチャルYouTuberに移ってしまい、自然消滅してしまう。番組最後ではphaが40歳を前に、シェアハウス運営をやめて一人暮らしを始めると宣言し、シェアハウスは解散することになる。

穏やかで、高僧のようなphaの気質

 phaたちの生活を見て思ったのは、「人と暮らせる能力」は生涯で支払うコストを大幅に削減できる、楽に生きるためのスーパースキルだということだ。人と暮らすことができれば家賃は大幅に削減できるし、それ以外の食費や光熱費だって割安になる。家賃の高い東京などの都市部なら、人と暮らすことで年間60万円は生活コストを減らすことができるだろう。

 しかし、この「人と暮らす能力」はそう簡単なものではないから、スーパースキルなのだ。シェアハウスはここ10年程度で大幅に普及し、敷居は低くなっているにもかかわらず、一人で暮らす人のほうがまだまだ多いのも「人と暮らすのはストレスだから」が大きいのだろう。私自身、友人とシェア生活をし失敗に終わった経験がある。友人と住む家の両方を失う、ヘビーな体験だった。

 phaや彼のシェアハウスで暮らす似非原などは、番組を見る限り「人と暮らす能力」が高い。皆オタクっぽさがあり、こだわりは強そうなのだが、一方で、こだわりが強い人が持ちがちな「気難しさ」や「怒りっぽさ」を彼らからは感じない。気難しいのも怒りっぽいのも、人と暮らすには不向きな気質だ。特に、phaはそれらをどこかに置いてきたかのように穏やかで、高僧のようですらある。その態度に作った感はなく、無理がない。なんでこんなに、この人は穏やかなのだろうと思ったが、発言にヒントがあった。

 シェアハウス拡大のためのビル建設計画が「なんとなく」とん挫したときも、phaは一切悔しそうだったり、残念そうな表情すら見せず、淡々としていた。「やろうと決めたから石にかじりついてでも、とは?」 と番組スタッフが尋ねるのだが、phaは「ないですね。そういうのをやったら不幸になりますからね。やる気がなくなっているのに、やんなきゃいけないとか、そういう義務感でやると不幸になるので。いやになったらすぐやめるのがいいと思いますね」とまた淡々と答える。

 シェアハウスのメンバーの一員、似非原はカードゲームの開発を手掛けるのだが、興味の対象がバーチャルYouTuberに移ってしまい、カードゲーム開発も「なんとなく」とん挫する。それに対しても、「似非原はそういうところある」とphaをはじめ、シェアハウスの面々は淡々と受け止めていて、「受けた仕事は最後までやるべきだ」が一切ない。「こうあるべき」がないのだ。それがないから「気難しさ」も「怒りっぽさ」もなく、淡々としているのだろう。

 「働きたくない。好きなだけ寝て、好きなことだけして過ごしたい」と自著につづったphaは元祖的存在だと思うが、今「好きなことだけして生きていく」と発言する人が多い。この手の発言をする少なくない人が、普通に働く人を“あくせく働く”“搾取されてる”など、小ばかにした感じ、もしくは言下に匂わせているように思う。

 しかしphaは、「普通に働く」ことをばかにしていない。自分たちはそれができない、とただ受け入れていて、“逆ギレ的な居直り”もなければ“卑屈さ”もない。ありのままなのだ。そんなphaは「(自分も似非原も)自分が楽しくなるのがメインになっているので、それだけだと持続しない。もっと人に評価されたいとか、お金を儲けたいとか、そういうモチベーションがないと続けられないんだな、という気はします」とも話している。

 「こうあるべき」という執着や、評価や金儲けのモチベーションがないphaたちは、それゆえにあっさりといろいろな機会を手放してしまう。シェアハウスを兼ねたビル建設計画も、カードゲーム開発の仕事も、そして、phaは長年続けたシェアハウス運営すらあっさりやめて、一人暮らしに戻るという。

 phaたちの生き方を見て、「こうあるべき」の功罪について思いを巡らせた。「こうあるべき」の自縄自縛で苦しむ人たちには、phaたちのようにそれを手放して楽になるという選択肢が残っている。しかし一方で、「こうあるべき」はよりよく生きたいというエンジンや、頑張りの源にもなり、つまり薬にも毒にもなるのだ。用法用量を守り付き合っていきたい。

 次週の『ザ・ノンフィクション』は今回の続編。『好きなことだけして生きていく 後編~伝説のシェアハウス解散~』。シェアハウス解散の様子と、その後のphaの生活について。

石徹白未亜(いとしろ・みあ)
ライター。専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)。
HP:いとしろ堂

【テラスハウスレビュー】翔平の「セックスしまくってる」発言を受け、香織にぜひ忠告したいこと

 見ず知らずの男女6人が、シェアハウスで共同生活する様子を記録したリアリティ番組『テラスハウス』。現在、Netflixにて「TOKYO 2019-2020」が配信中で、ファンは個性豊かな面々の恋愛模様を、一喜一憂しながら、固唾を呑んで見守っている。そんな『テラハ』を愛する“テラハウォッチャー”が、9月後半の配信分から、グッときた“名(珍)シーン”をピックアップし、思いのままにレビューする。

戦慄の流佳アート(テラスハウス第16話)

 以前、イラストレーターの香織から画材を見繕ってもらっていたアルバイトの流佳。それを使っているシーンは一切なかったが、今回、新メンバーの大学生・愛華(えみか)から「描いた絵を見たい」と言われ、披露することになった。

 「デッドプールと未来図を書きました」とA4ほどのスケッチブックを開いて見せると、そこに描かれていたのは、怪獣(デッドプール?)が、小さな生き物たち(人間?)の前に現れている(襲っている?)ような状況を、小学生男子の落書き風タッチで描いたものだった。メインの画材は黒ボールペンと思われる。21歳の男が本気100%で描いたと思うと、底知れぬ恐怖を感じる何かがそこにはあった。

 しかし流佳は、あくまで真面目に「これパッと見、小学生(が描いた)みたいじゃないですか。けど、この中に一つひとつストーリーがあって、隠し絵もあって。宇宙から来たストーリーとか、ここから見た人はこういう生物だと思うけど、本当はこの人が操ってるみたいな、でも操ってる人を乗っ取るために侵入者がここにいるんで……」と、丁寧に解説。

 戸惑う愛華を気にもせず、スケッチブックをめくっていき、赤いペンで「これからは、」と走り書きされたホラーなページも臆することなく見せていた。

 挙句の果てに、愛華のサインを勝手に考え、スケッチブックに書き出す流佳。「今すごいの気づいちゃった。(ひらがなで)『えみか』ってつなげて書いたんですよ、そしたら、ここに『るか』っていう字が出てきた!」と、笑顔で言い出したシーンを見た時は、鳥肌まで立った。

 翌朝、そのテーブルの上には、流佳による「えみか」サインがぎっしり書かれたノートが残されていた。これをホラーと言わず、何と言おうか。

 流佳の絵に、悪い意味での衝撃を受けた愛華。翌日、「絵見せてって言ったけど、反応に困っちゃった」と、イタリア人漫画家・ペッペにこぼした。

 するとペッペ、流佳の絵を見て「アーティスト、だいたいそうなっちゃうヨネ!」「うまくなって、またヘタになる。勝手にヘタな感じで描く。ピカソとか、そうだった。『うまくなるのは簡単だったけど、ヘタになるのは一番大変だった』って、ピカソ言ってた」「スゴイ好き、こういうの」と、フォロー。言い方も押しつけがましくない。ペッペが、神のように見えた。

面食い男の独り花火(テラスハウス第16話)

 今シーズンに何度か登場している、ハワイ編メンバーでウクレレ奏者(兼チェリーボーイ)のユースケ。女優の春花に恋をし、横浜で開催される花火大会にも誘ったが、案の定フラれてしまった。

 そこでユースケは、一人で花火大会へ。サザンオールスターズの名曲「LOVE AFFAIR~秘密のデート~」が流れる中、花火に照らされたユースケの「くまのプーさん」似シルエットが夜空に浮かび上がるだけの映像が、なんと約2分20秒も放送された。

 ハワイ編でも「テラハNo.1美女」との呼び声高いローレンにフラれていたユースケ。とりあえずそろそろ、面食いをあらためた方がいい。

 春花から「もっと本音を出した方がいい」と言われて悩む香織は、俳優の翔平に「普通に生活してるつもりだったから、『どうしてそう思われちゃったんだろう?』っていうのが大きい」と相談を持ち掛けた。

 さらに「すごい翔平のことが気になってたの、ずっと。でも春花に『本音でズバズバ言う人がいい』って言ってたから……」と‟プチ告白”まで持って行く。

 すると翔平、「俺も最初、めちゃくちゃ香織のこと気になってたの。でも『(香織は)婚約者いるよ』って、いろんな人から聞いたの。で、俺はシュンって萎えちゃった」と、疑惑をぶつけた。

 香織はそれを否定して、元カレに仕事のマネジメントをしてもらっていただけと説明。「翔平のこと好きだったから、そう(まだ付き合っていると)思われたくなくて、マネジメントも辞めてもらった」とまで暴露。まさか、翔平のことが、そこまで好きだったとは。視聴者はもとより、テラハメンバーも気づいていなかったのではないか。春花に“もっと本音を出せ”と責められるわけも、少しわかった気がした。

 「同じように『翔平は彼女いるよ』って聞いたこともあった」と質問をし返す香織。翔平は「彼女はいないけどね。セックスはしまくってるけどね」と笑顔で答えた。「また飲みに行こ(ハート)」「うん、一緒に行こ(ハート)」と、いい雰囲気で終了した第16話。いやいや、「セックスしまくってる」とヘラヘラ言う男は、「彼女がいる」男より恋愛対象から外すべきでは。意外と流されやすい香織の行く末が気になる。

『ザ・ノンフィクション』中高年の「図太さ」は若者にない武器「母と娘の上京それから物語 ~夢のステージ ある親子の8年~」

NHKの金曜夜の人気ドキュメント番組『ドキュメント72時間』に対し、こちらも根強いファンを持つ日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。9月29日の放送は「母と娘の上京それから物語 ~夢のステージ ある親子の8年~」。舞台女優を目指し上京した娘・渡邊美代子と娘の夢を過剰に応援する母・美奈世のステージを目指す日々。

あらすじ

 舞台女優を目指し高校卒業後長野県から上京した美代子。オーディションを受け続けるも芽が出ず生活に追われる日々が続く。それから3年、22歳になった美代子に母、美奈世は地元のご当地アイドルの仕事を紹介する。しかし美代子は、10歳近く年下の他メンバーとなじめず、結局3か月で辞めてしまう。それからさらに4年後、26歳になった美代子はアルバイト先の先輩と結婚し子どもをもうけていた。家賃が安いからと長野へ戻ることを決め、夢を追うことから「卒業」する。

 一方の母・美奈世は、美代子の夢をサポートしていくうちに、芸能関係の仕事を目指していた少女時代の気持ちが再燃。新しいご当地アイドルユニットの結成を手伝ってほしいという話が舞い込んだ際には、それに奔走、娘・美代子がもともと縁のあった作曲家と意気投合し、番組の最後には作曲家の高円寺のライブで歌を披露するなど、娘に代わり夢を追い続ける。

若者は不安でいっぱい――娘・美代子の場合

 娘、美代子は理想や夢(舞台女優になること)はあるものの、具体的な像(どんな舞台女優になりたい、誰の作品に出たい、舞台女優としての自分の強みとは何かなど)は放送を見る限り今一つ見えず、どこかフワフワとしている。

 さらに、仕事がない状態で母が取ってきた地元・長野のご当地アイドルの仕事も、自分が望んだ仕事でないこともあってか、やる気をあまり感じない。それは、10歳近く年下のメンバーから「気を使われてるのもわかってる」とこぼしたり、長野での仕事が終わると、すぐ東京へ戻る生活からも感じられる。3カ月でアイドルの仕事を辞めた後、スタッフにどうするのか問われても「将来的なことも決めかねているから」 と、またしてもフワフワしている。

 「ビジョンはあるようだが、どうもフワフワしてて現実感がない」「受け身でやる気を感じない」というのは、何も美代子に限らず、むしろ若者はそういうほうがスタンダードなのではないだろうか。

 若者は年長者に比べ経験や実績が乏しい。経験が乏しく「実際の落としどころはこんなもん」というのを会得できていないため、理想は逆に高くなりがちだ。よって若者は「高い理想とさえない現実のギャップ」に苦しみ、不安に駆られやすい。そして不安が強いと失敗することがますます怖くなるので、つい受け身がちになったり、及び腰になって、やる気がないように見えてしまうのではないだろうか。

 結婚して子どもができた美代子は、夢を追っていた日々の焦燥感から解き放たれたのか、イラついた雰囲気がなくなり、フワフワしたことも言わなくなり、地に足のついた落ち着きを見せていた。美代子にとっては、こう生きる方が向いているのだろう。しかし、夢を追っていた日々は無駄ではなかったと思う。「やりたくてやってみたけど、ダメだった」という経験を積むことで、現実の落としどころを知る大人になっていくのだろう。

 若者特有の「不安」は年を取ると案外、解消する。まず、生きていれば自然と場数を踏んでいくので「経験不足で不安に駆られる」場面は減っていく。

 さらに、歳をとれば程度の差はあれ誰しも図太くなっていく。こういった図太さは「老害」と否定的にとられがちだが、一方でそんな中高年の母・美奈世は、図太さの利を生かして、なかなか楽しそうなのだ。

 美奈世はかなり図太い。美奈世は介護職に従事してきたのだが、美代子の活動を間近で応援してきたことで、「(今後は自分も)マネジメントとかプロデュースとか(をやってみたい)」 と抱負をテレビカメラの前でニコニコと臆せずに語る。年を取れば誰しも図太くなるとは言え、ここまで言えるのはかなりのタマだ。

 しかし、実際それでご当地アイドルのグループの結成の仕事に携わることになり、またしても「秋元(康)さんみたいになれるかな」 と微笑む。ためらわずに抱負を言える図太さが、チャンスを引き寄せたのかもしれない。

 結局、新しいアイドルグループの話はメンバーが集まらず白紙となってしまうのだが、しかし、その立ち上げに関する打ち合わせで何度も顔を合わせた作曲家が美奈世を気に入り、ライブへゲストで呼ばれ、生歌まで披露していた。

 作曲家は美奈世のことを「美代子ママは、俺の歌とか結構聞いてらっしゃるじゃないですか」 と話していた。美奈世は仕事相手である作曲家の作品をよく研究し、おそらく、本人に曲の素晴らしさなどを伝えていたのだろう。

 仕事相手にこういったことをやれない、したがらない人は結構多い。恥ずかしかったり、おべっかのように思えて嫌だ、という気持ちからなのかもしれない。もちろん心にもないのに褒める必要はないし、そんなウソは相手にすぐ伝わってしまう。しかし、実際に「良い」と思うのなら、「あなたの作品を買いました、好きです、良かったです」と伝えたほうが、相手も当然、悪い気持ちになるはずもなく、その後つかむチャンスも増えるはずだ。

美奈世は単に図太いだけでなく、そういった細やかさも併せ持った人なのではないかと、この流れを見て思った。

中高年が元気で、若者が暗い理由は「世代的レンズ」の違い?

 私の回りを見ても、口では「疲れた」と言いながら、美奈世のように若年層よりよほどエネルギッシュに各地を飛び回り仕事をする中高年をよく見かける。もちろん個体差はあるが、この世代はそもそも元気な人が多い。これには育った時代の価値観の影響もあるのではないかと思う。

 私はそれら中高年より下、いわゆる「失われた10年」の不景気世代だ。就職で苦労したので、世の中を見る基本的な“レンズ”が「どうせ良くならない」と暗い。「失われた10年」に続く「ゆとり」「さとり」など下の世代も、レンズは暗い人が多いのではないだろうか。

 一方で、中高年層の世の中を見るレンズはそこまで暗くない感じがする。たまたま日本が豊かな時代に、思春期や青年期を送った恵まれた人たちともいえるが、美奈世や、また自分の身の回りのパワフルな中高年は楽しそうに働く人が多いし、そういう人を見ているとつられてこちらも楽しくなってくる。

 よって、「レンズが暗め」世代で、物事を暗く批判的にとらえがちで、それゆえに腰が重くなりがちな人ほど、美奈世の道なき道を突き進む図太く明るい生き方が、案外いいヒントになるのではないかと感じた。

 次週のザ・ノンフィクションは『好きなことだけして生きていく 前編~元ニートの再々再々出発~』。40歳になっても「好きなことだけして生きていく」はできるのか? 日本一有名なニート、京都大学卒のpha(ファ)。彼と仲間の6年を見つめる。

石徹白未亜(いとしろ・みあ)
ライター。専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)。
HP:いとしろ堂

『ザ・ノンフィクション』元受刑者への支援は“甘え”なのか?「半グレをつくった男 ~償いの日々…そして結婚~」

 NHKの金曜夜の人気ドキュメント番組『ドキュメント72時間』に対し、こちらも根強いファンを持つ日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。9月22日の放送は「半グレをつくった男 ~償いの日々…そして結婚~」。“最凶”の半グレ集団「怒羅権(ドラゴン)」の創設メンバー汪楠(ワン・ナン)は現在受刑者や出所者を支援する活動を行っている。改心のきっかけと活動の日々を追う。

あらすじ

 中国出身の汪、47歳。中国残留日本人だった継母の帰国について来て日本に移り住むも、壮絶な差別やいじめから日本社会への怒り、恨みを募らせ、半グレの元祖となる組織「怒羅権」を結成する。酒席でのトラブルになった相手の腕を日本刀で切り落とすなど凄惨な日々を過ごし、28歳で4度目の逮捕となる。裁判官が汪の愛読書『阿Q正伝』(角川文庫ほか)を読み汪を理解しようとしたことや、服役中に多くの支援者からの手紙が届き改心。現在は受刑者に本を差し入れたり、出所後の元受刑者をサポートする日々を送る。活動の運営資金はギリギリで、また、元受刑者の金の持ち逃げなど裏切りも受けるが、彼を理解する女性と出会い、支援者に囲まれた中で結婚式を挙げる。

裏切られても支援する大変さ

 今回まず驚いたのが「刑務所はエロ本OK」ということだ。汪の活動は年間2,000円を払えば受刑者の希望する本を送るというもので、受刑者の希望書籍のタイトルに「しゃぶり尽くしフェラガール」という、どう考えてもエロ本だろうものがあった。

 刑務所の中では「成人指定」の書籍や雑誌はダメで、せいぜい性描写ががっつりしている小説『ノルウェイの森』(講談社)あたりで妄想するのが刑務所性生活だと、私は思い込んでいた。サイゾーウーマンでも中野瑠美さんが「知られざる女子刑務所ライフ」を連載しているが、“塀の中”はこの情報化社会においても秘境なのだと改めて思う。

 受刑者に本を送る活動資金はギリギリだ。年間2,000円の会費で受刑者に書籍を送るものの、番組内でその支払いができているのは全体の10分の1もいない、と伝えられていた。

 さらに汪は出所後の元受刑者を自宅に住まわせたり、役所での手続きや就職先の紹介など献身的に面倒を見るのだが、そのうちの一人、ワタル(仮名)は、汪の妻が活動のために寄付した50万円のほとんどを持ち逃げしてしまう。

 ワタルは持ち逃げした金で“飛ぶ”わけでもなく、別の出所者、ケンジ(仮名)が暮らす予定だったアパートで勝手に暮らしていた。放送されている中では、ほとんど敷きっぱなしの布団の上でタバコをふかしていて、何をするわけでもない。汪に見つかったあとも、金の持ち逃げに対し一切謝罪せず、やたら饒舌に言い訳をする姿がなんとも見苦しく、腹立たしい。

 半グレ時代の汪は、酒席のトラブルで相手の腕を日本刀で切り落とし、ケンカ相手を横浜ベイブリッジの上から突き落とした荒くれ者だ。このとき、私も含めた視聴者の多くが「汪さん、やっちまえよ」と思ったことだろう。

 しかし汪はワタルに制裁を加えず警察に突き出すこともせず、ただ黙って部屋を出る。そして「(出所後の人を)サポートしたからって、どんだけ本人を助けるか微妙、ガス抜きにしかならないけど。ちょっとした期間延ばすだけでもいいとする」と淡々と話す。この発言からは、立ち直りがたやすいことではないこと、また一方で、それでも立ち直りを支援する活動を続ける汪の、人並外れた使命感や愛情を感じた。

 『ザ・ノンフィクション』では元受刑者や、彼らを支援する人たちがテーマになる回がよくある。2019年4月21日放送の「その後の母の涙と罪と罰」では、薬物売買で逮捕されたタカシ(仮名)は出所後、教会に身を寄せ立ち直ろうとするのだが、挫折し今度は覚せい剤の使用で逮捕されてしまうまでの日々が放送されていた。

 タカシは介護職に就き、最初は頑張ろうとしているが、徐々に勤務先へ行けなくなっていく。確かにふがいないのだが、カタギとしての生活経験がないタカシが、介護職というハードな職に、おそらく時短勤務ではなくフルタイムで入るのは、挫折しやすいのではないかと思ってしまった。

 今回、汪は出所したケンジを知り合いの建設会社の取締役に紹介するが、シフトに融通を利かせるスロースタートを提案していた。そもそも、受刑者たちは「カタギのきっちりした生活」が苦手だったり、できなかったりするから犯罪に手を染めてしまうのであり、汪のやり方は実情に即した、自信の芽を育みやすいやり方に思える。

 こういったスロースタートな支援に「甘えだ」という批判はあるし、実際甘えもあるのだろう。だが、そこで「自己責任だ」と突き放したところで再犯に走ってしまうだけだ。そして、こういった「困った人」たちは、その人固有の性格のだらしなさでそんなふうになっていったというよりは、育った境遇――例えば、家庭の貧困や不和などで「困った人」に育ってしまった、という方が多いのではないだろうか。そして困った人の親も困った人で、その親もまた、という気の遠くなるような連鎖があるのだろう。

 ケンジを従業員として引き受けた汪の知り合いは、汪のことを「神様みたいなもん、すごくいい方、見たことない」と話していたが、番組を見ているとこの言葉は決して大げさではなく聞こえる。汪は人並外れた使命感を持つ、立派な人だ。だからこそ、結婚した妻との出会いが汪からの一目惚れだったというエピソードは、自分の幸せを追求する情熱もあるのだなと、人間らしさを感じさせて、なんだかホッとした。

 次回の『ザ・ノンフィクション』は「母と娘の上京それから物語 ~夢のステージ ある親子の8年~」。舞台女優を目指し上京した娘・渡邊美代子と娘の夢を過剰なまでに応援し続ける母・美奈世のステージを目指す日々。

石徹白未亜(いとしろ・みあ)
ライター。専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)。
HP:いとしろ堂

 

『ザ・ノンフィクション』元受刑者への支援は“甘え”なのか?「半グレをつくった男 ~償いの日々…そして結婚~」

 NHKの金曜夜の人気ドキュメント番組『ドキュメント72時間』に対し、こちらも根強いファンを持つ日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。9月22日の放送は「半グレをつくった男 ~償いの日々…そして結婚~」。“最凶”の半グレ集団「怒羅権(ドラゴン)」の創設メンバー汪楠(ワン・ナン)は現在受刑者や出所者を支援する活動を行っている。改心のきっかけと活動の日々を追う。

あらすじ

 中国出身の汪、47歳。中国残留日本人だった継母の帰国について来て日本に移り住むも、壮絶な差別やいじめから日本社会への怒り、恨みを募らせ、半グレの元祖となる組織「怒羅権」を結成する。酒席でのトラブルになった相手の腕を日本刀で切り落とすなど凄惨な日々を過ごし、28歳で4度目の逮捕となる。裁判官が汪の愛読書『阿Q正伝』(角川文庫ほか)を読み汪を理解しようとしたことや、服役中に多くの支援者からの手紙が届き改心。現在は受刑者に本を差し入れたり、出所後の元受刑者をサポートする日々を送る。活動の運営資金はギリギリで、また、元受刑者の金の持ち逃げなど裏切りも受けるが、彼を理解する女性と出会い、支援者に囲まれた中で結婚式を挙げる。

裏切られても支援する大変さ

 今回まず驚いたのが「刑務所はエロ本OK」ということだ。汪の活動は年間2,000円を払えば受刑者の希望する本を送るというもので、受刑者の希望書籍のタイトルに「しゃぶり尽くしフェラガール」という、どう考えてもエロ本だろうものがあった。

 刑務所の中では「成人指定」の書籍や雑誌はダメで、せいぜい性描写ががっつりしている小説『ノルウェイの森』(講談社)あたりで妄想するのが刑務所性生活だと、私は思い込んでいた。サイゾーウーマンでも中野瑠美さんが「知られざる女子刑務所ライフ」を連載しているが、“塀の中”はこの情報化社会においても秘境なのだと改めて思う。

 受刑者に本を送る活動資金はギリギリだ。年間2,000円の会費で受刑者に書籍を送るものの、番組内でその支払いができているのは全体の10分の1もいない、と伝えられていた。

 さらに汪は出所後の元受刑者を自宅に住まわせたり、役所での手続きや就職先の紹介など献身的に面倒を見るのだが、そのうちの一人、ワタル(仮名)は、汪の妻が活動のために寄付した50万円のほとんどを持ち逃げしてしまう。

 ワタルは持ち逃げした金で“飛ぶ”わけでもなく、別の出所者、ケンジ(仮名)が暮らす予定だったアパートで勝手に暮らしていた。放送されている中では、ほとんど敷きっぱなしの布団の上でタバコをふかしていて、何をするわけでもない。汪に見つかったあとも、金の持ち逃げに対し一切謝罪せず、やたら饒舌に言い訳をする姿がなんとも見苦しく、腹立たしい。

 半グレ時代の汪は、酒席のトラブルで相手の腕を日本刀で切り落とし、ケンカ相手を横浜ベイブリッジの上から突き落とした荒くれ者だ。このとき、私も含めた視聴者の多くが「汪さん、やっちまえよ」と思ったことだろう。

 しかし汪はワタルに制裁を加えず警察に突き出すこともせず、ただ黙って部屋を出る。そして「(出所後の人を)サポートしたからって、どんだけ本人を助けるか微妙、ガス抜きにしかならないけど。ちょっとした期間延ばすだけでもいいとする」と淡々と話す。この発言からは、立ち直りがたやすいことではないこと、また一方で、それでも立ち直りを支援する活動を続ける汪の、人並外れた使命感や愛情を感じた。

 『ザ・ノンフィクション』では元受刑者や、彼らを支援する人たちがテーマになる回がよくある。2019年4月21日放送の「その後の母の涙と罪と罰」では、薬物売買で逮捕されたタカシ(仮名)は出所後、教会に身を寄せ立ち直ろうとするのだが、挫折し今度は覚せい剤の使用で逮捕されてしまうまでの日々が放送されていた。

 タカシは介護職に就き、最初は頑張ろうとしているが、徐々に勤務先へ行けなくなっていく。確かにふがいないのだが、カタギとしての生活経験がないタカシが、介護職というハードな職に、おそらく時短勤務ではなくフルタイムで入るのは、挫折しやすいのではないかと思ってしまった。

 今回、汪は出所したケンジを知り合いの建設会社の取締役に紹介するが、シフトに融通を利かせるスロースタートを提案していた。そもそも、受刑者たちは「カタギのきっちりした生活」が苦手だったり、できなかったりするから犯罪に手を染めてしまうのであり、汪のやり方は実情に即した、自信の芽を育みやすいやり方に思える。

 こういったスロースタートな支援に「甘えだ」という批判はあるし、実際甘えもあるのだろう。だが、そこで「自己責任だ」と突き放したところで再犯に走ってしまうだけだ。そして、こういった「困った人」たちは、その人固有の性格のだらしなさでそんなふうになっていったというよりは、育った境遇――例えば、家庭の貧困や不和などで「困った人」に育ってしまった、という方が多いのではないだろうか。そして困った人の親も困った人で、その親もまた、という気の遠くなるような連鎖があるのだろう。

 ケンジを従業員として引き受けた汪の知り合いは、汪のことを「神様みたいなもん、すごくいい方、見たことない」と話していたが、番組を見ているとこの言葉は決して大げさではなく聞こえる。汪は人並外れた使命感を持つ、立派な人だ。だからこそ、結婚した妻との出会いが汪からの一目惚れだったというエピソードは、自分の幸せを追求する情熱もあるのだなと、人間らしさを感じさせて、なんだかホッとした。

 次回の『ザ・ノンフィクション』は「母と娘の上京それから物語 ~夢のステージ ある親子の8年~」。舞台女優を目指し上京した娘・渡邊美代子と娘の夢を過剰なまでに応援し続ける母・美奈世のステージを目指す日々。

石徹白未亜(いとしろ・みあ)
ライター。専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)。
HP:いとしろ堂

 

『ザ・ノンフィクション』ひたすらに淡々と“薄情”、誰にもできない仕事「レンタルなんもしない人」

 NHKの金曜夜の人気ドキュメント番組『ドキュメント72時間』に対し、こちらも根強いファンを持つ日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。9月15日の放送は「なんもしないボクを貸し出します ~『レンタルなんもしない人』の夏~」。「何でもする」便利屋とは真逆の「何もしない」を仕事にしている「レンタルなんもしない人」。彼は何者で、また、彼に来る依頼とはどのようなものなのか。

あらすじ

 フォロワー約23万人の「レンタルなんもしない人」こと森本祥司、35歳(以下、レンタルさん)。彼のTwitterのプロフィールにはこうある。

「なんもしない人(ぼく)を貸し出します。国分寺駅からの交通費と飲食代等の諸経費だけ(かかれば)ご負担いただきます。飲み食いと、ごくかんたんなうけこたえ以外、なんもできかねます」

 レンタルさんには番組内だけでも、「掃除をついついさぼってしまうので、部屋の掃除をする間、家にいてほしい」「愛想笑いするクセを直したく真顔で話す練習台になってほしい」「最近うまくいっていない彼氏と会うとまた喧嘩しそうなので、今日は一緒に過ごしてほしい」「自分の見た夢の話を聞いてほしい」「自分から体臭がにおっていないか確認してほしい」などの依頼が寄せられる。

レンタルさんの収入を推測

 「レンタルなんもしない人」の事業は基本、交通費や飲食代など、実費のみの支払いになる。中には「おふせ」と書いた銀行封筒に2,000円を入れ、レンタルさんに渡していた人もいたが、皆がそうしてくれるとは限らないだろう。

 果たして、レンタルさんはどう金銭を得ているのか? 番組内では、貯金を切り崩しながら、イラストの仕事をしている妻の稼ぎで生活している、とナレーションで触れていた。一方でレンタルさんは本を出版しており、印税収入があることも紹介された。

 ここではいやらしくレンタルさんの印税額を推測してみたい。まず、「本を出せば儲かる」自体は大きな誤解だ。世の中の9割の本は初回の印刷部数もさばけず売れ残る。このような状況ではさっぱり儲からない。しかし、レンタルさんのTwitterを見ると、出版した3冊の本のうち1冊が発売3日で3刷(1回の印刷じゃ売れに売れて追い付かず、3回刷った)と紹介されていた。

 なお、印税率10%(※)の本体価格1,000円の本が1万冊売れたら、著者には1,000円×10%×10,000冊=100万円が入る。3日で3刷にもなった本なら1万冊は刷っているはずだ。これが10倍、10万冊売れれば印税も1000万円だ。ただし、「漫画以外の本が10万冊売れる」ことは激レアと言っていいだろう。

 印税が著者に入るのは出版社によって異なり、結構先になるケースもある。Amazonを見る限りレンタルさんの本はすべて今年の4月以降から出されているため、「貯金を切り崩しながら妻のイラストの仕事で食べている」も事実なのだろうが、印税が今まさに入ろうとしているのも事実だろう。

 こうして計算してみたのは「レンタルさん、ああ見えて稼いでやがるぜ」という揶揄の意味ではまったくない。直接の利用者から金を取らずしても稼げるのはすごいことだ。これが「レンタルさん」を認定資格制度にして、半年通う週1のスクールを開講し、月額制のオンラインサロンを開いて、ノウハウをnoteの有料記事で公開して……みたいなことにしたら、一気にフォロワーが離れてしまうだろう。そういう“生臭み”“いやらしさ”がないからウケているのだ。

 ※ちなみに印税率10%は「いい方」だが、フォロワー23万人というレンタルさんの宣伝力を見越し、10%で推測してみた。なお、印刷や流通のコストを抑えられる電子書籍の印税率はもっと高い。

 フォロワー23万人という、ネット界の有名人。やっていることはそこにいるだけであり、資格や経歴は不要――そんなレンタルさんを見て、「よし俺も」「私も」という2匹目以降のどじょうを狙う第2、第3のレンタルさんも今Twitter上に多数いると番組で紹介されていた。

番組内でレンタルさんをレンタルし、自分の夢日記をレンタルさんに読ませた26歳女性「よもぎ」も自身を「レンタル話を聞く人」として売り出し中だ。ただ、よもぎをレンタルした男性客は「頭にゴミがついてるよ」と、よもぎの髪に触れてみせた。あくまで私個人は、そこに男性客の「触れたい」という意図を感じてしまった。若い女性が男性相手に「レンタルさん」的仕事をすると、大なり小なりこの要素はつきまといそうだ。

 本家のレンタルさんは35歳の男性。中年太りと無縁の、すらっと細身で、清潔感のある青年だ。35という年齢もいい。25歳の男性なら、まだ自然に活力がほとばしるので「何もしない」仕事内容とマッチしないし、またこれがもっと年齢が上になると、容貌的にはどうしても衰えるだろうし、利用者側が気軽に呼べなかったり、気を使って楽しくなくなってしまうだろう。

 またレンタルさんの希少性は、とにかく“雰囲気”だ。男性がつい陥りがちな「俺は俺は」のアクや押しの強さはなく、一方、そうではない男性が抱く「どうせ俺なんて」といういじけた感じもない。レンタルさんはフラットなのだ。その平坦さと、なにもしないというサービスが合致しているように思う。

 しかし、番組が進むほどレンタルさんは意外と野心の人であることがわかってくる。レンタルさんは「それを売りにしたくないが、たぶん(自分は)発達障害なんだと思う」 と話しており、大阪大学大学院卒と勉強はできたが文化祭などの行事はさっぱり役に立たず、その後就職しても職を転々とする。みんなができる普通のことが自分にはできなかったという強いコンプレックスを抱えていて、コピーライターや構成作家の塾に通ったりと模索を続ける。妻に出した昔の手紙では「絶対世に出たいですね」と切実な思いを綴っている。

感情や野心が見えず、ひたすらに淡々と薄情

 レンタルさんの不思議なところは、そのかなりギラギラとした野心が見た目や雰囲気に驚くほど出ないところだ。見た目に野心が出ていたら、女性は「家で掃除する様子を見ていてほしい」なんて気軽に自宅に呼べないだろう。また、番組で見る限りレンタルさんが「うんざりしてそう」「退屈そう」な様子は見えなかったし、一方で「前のめり」な様子も一切なかった。「見た夢の話を延々と聞かされる」という地獄のような依頼すら淡々と受けていた。

 さらに、レンタルさんはレンタルなんもしない人の仕事が軌道に乗り「世に出る」ことに成功すると、家庭よりも仕事を優先したいと、妻と幼い子どものいる家から“淡々と”出ていってしまう。この薄情な行いは、自身のイメージを損なう大打撃のようにも思えるが、一方でそれを隠さずTwitterでつぶやき、それでも依頼は途絶えない。「薄情なことをしている自覚はあるが、それが何か?」という居直りではなく、ただ淡々と薄情なのだ。これはなかなかできることではない。

 レンタルさんは今、「自分の自然な状態」と「職業」が合致していて、さらにそれが受け入れられているというとんでもなく幸福な状況だ。まさに天職だが、レンタルさんの見た目の小ぎれいさと、“淡々と”を貫ける独特な考え方に依るところが大きい。やっていることは何もしないことと簡単そうに見えて、なかなかこれはほかの人には真似できないだろう。

 次回のザ・ノンフィクションは『半グレをつくった男 ~償いの日々…そして結婚~』。最凶の半グレ集団「怒羅権(ドラゴン)」の創設メンバー汪楠(ワン・ナン)は現在受刑者や出所者を支援する活動を行っている。改心のきっかけと活動の日々を追う。

石徹白未亜(いとしろ・みあ)
ライター。専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)。
HP:いとしろ堂

『ザ・ノンフィクション』ひたすらに淡々と“薄情”、誰にもできない仕事「レンタルなんもしない人」

 NHKの金曜夜の人気ドキュメント番組『ドキュメント72時間』に対し、こちらも根強いファンを持つ日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。9月15日の放送は「なんもしないボクを貸し出します ~『レンタルなんもしない人』の夏~」。「何でもする」便利屋とは真逆の「何もしない」を仕事にしている「レンタルなんもしない人」。彼は何者で、また、彼に来る依頼とはどのようなものなのか。

あらすじ

 フォロワー約23万人の「レンタルなんもしない人」こと森本祥司、35歳(以下、レンタルさん)。彼のTwitterのプロフィールにはこうある。

「なんもしない人(ぼく)を貸し出します。国分寺駅からの交通費と飲食代等の諸経費だけ(かかれば)ご負担いただきます。飲み食いと、ごくかんたんなうけこたえ以外、なんもできかねます」

 レンタルさんには番組内だけでも、「掃除をついついさぼってしまうので、部屋の掃除をする間、家にいてほしい」「愛想笑いするクセを直したく真顔で話す練習台になってほしい」「最近うまくいっていない彼氏と会うとまた喧嘩しそうなので、今日は一緒に過ごしてほしい」「自分の見た夢の話を聞いてほしい」「自分から体臭がにおっていないか確認してほしい」などの依頼が寄せられる。

レンタルさんの収入を推測

 「レンタルなんもしない人」の事業は基本、交通費や飲食代など、実費のみの支払いになる。中には「おふせ」と書いた銀行封筒に2,000円を入れ、レンタルさんに渡していた人もいたが、皆がそうしてくれるとは限らないだろう。

 果たして、レンタルさんはどう金銭を得ているのか? 番組内では、貯金を切り崩しながら、イラストの仕事をしている妻の稼ぎで生活している、とナレーションで触れていた。一方でレンタルさんは本を出版しており、印税収入があることも紹介された。

 ここではいやらしくレンタルさんの印税額を推測してみたい。まず、「本を出せば儲かる」自体は大きな誤解だ。世の中の9割の本は初回の印刷部数もさばけず売れ残る。このような状況ではさっぱり儲からない。しかし、レンタルさんのTwitterを見ると、出版した3冊の本のうち1冊が発売3日で3刷(1回の印刷じゃ売れに売れて追い付かず、3回刷った)と紹介されていた。

 なお、印税率10%(※)の本体価格1,000円の本が1万冊売れたら、著者には1,000円×10%×10,000冊=100万円が入る。3日で3刷にもなった本なら1万冊は刷っているはずだ。これが10倍、10万冊売れれば印税も1000万円だ。ただし、「漫画以外の本が10万冊売れる」ことは激レアと言っていいだろう。

 印税が著者に入るのは出版社によって異なり、結構先になるケースもある。Amazonを見る限りレンタルさんの本はすべて今年の4月以降から出されているため、「貯金を切り崩しながら妻のイラストの仕事で食べている」も事実なのだろうが、印税が今まさに入ろうとしているのも事実だろう。

 こうして計算してみたのは「レンタルさん、ああ見えて稼いでやがるぜ」という揶揄の意味ではまったくない。直接の利用者から金を取らずしても稼げるのはすごいことだ。これが「レンタルさん」を認定資格制度にして、半年通う週1のスクールを開講し、月額制のオンラインサロンを開いて、ノウハウをnoteの有料記事で公開して……みたいなことにしたら、一気にフォロワーが離れてしまうだろう。そういう“生臭み”“いやらしさ”がないからウケているのだ。

 ※ちなみに印税率10%は「いい方」だが、フォロワー23万人というレンタルさんの宣伝力を見越し、10%で推測してみた。なお、印刷や流通のコストを抑えられる電子書籍の印税率はもっと高い。

 フォロワー23万人という、ネット界の有名人。やっていることはそこにいるだけであり、資格や経歴は不要――そんなレンタルさんを見て、「よし俺も」「私も」という2匹目以降のどじょうを狙う第2、第3のレンタルさんも今Twitter上に多数いると番組で紹介されていた。

番組内でレンタルさんをレンタルし、自分の夢日記をレンタルさんに読ませた26歳女性「よもぎ」も自身を「レンタル話を聞く人」として売り出し中だ。ただ、よもぎをレンタルした男性客は「頭にゴミがついてるよ」と、よもぎの髪に触れてみせた。あくまで私個人は、そこに男性客の「触れたい」という意図を感じてしまった。若い女性が男性相手に「レンタルさん」的仕事をすると、大なり小なりこの要素はつきまといそうだ。

 本家のレンタルさんは35歳の男性。中年太りと無縁の、すらっと細身で、清潔感のある青年だ。35という年齢もいい。25歳の男性なら、まだ自然に活力がほとばしるので「何もしない」仕事内容とマッチしないし、またこれがもっと年齢が上になると、容貌的にはどうしても衰えるだろうし、利用者側が気軽に呼べなかったり、気を使って楽しくなくなってしまうだろう。

 またレンタルさんの希少性は、とにかく“雰囲気”だ。男性がつい陥りがちな「俺は俺は」のアクや押しの強さはなく、一方、そうではない男性が抱く「どうせ俺なんて」といういじけた感じもない。レンタルさんはフラットなのだ。その平坦さと、なにもしないというサービスが合致しているように思う。

 しかし、番組が進むほどレンタルさんは意外と野心の人であることがわかってくる。レンタルさんは「それを売りにしたくないが、たぶん(自分は)発達障害なんだと思う」 と話しており、大阪大学大学院卒と勉強はできたが文化祭などの行事はさっぱり役に立たず、その後就職しても職を転々とする。みんなができる普通のことが自分にはできなかったという強いコンプレックスを抱えていて、コピーライターや構成作家の塾に通ったりと模索を続ける。妻に出した昔の手紙では「絶対世に出たいですね」と切実な思いを綴っている。

感情や野心が見えず、ひたすらに淡々と薄情

 レンタルさんの不思議なところは、そのかなりギラギラとした野心が見た目や雰囲気に驚くほど出ないところだ。見た目に野心が出ていたら、女性は「家で掃除する様子を見ていてほしい」なんて気軽に自宅に呼べないだろう。また、番組で見る限りレンタルさんが「うんざりしてそう」「退屈そう」な様子は見えなかったし、一方で「前のめり」な様子も一切なかった。「見た夢の話を延々と聞かされる」という地獄のような依頼すら淡々と受けていた。

 さらに、レンタルさんはレンタルなんもしない人の仕事が軌道に乗り「世に出る」ことに成功すると、家庭よりも仕事を優先したいと、妻と幼い子どものいる家から“淡々と”出ていってしまう。この薄情な行いは、自身のイメージを損なう大打撃のようにも思えるが、一方でそれを隠さずTwitterでつぶやき、それでも依頼は途絶えない。「薄情なことをしている自覚はあるが、それが何か?」という居直りではなく、ただ淡々と薄情なのだ。これはなかなかできることではない。

 レンタルさんは今、「自分の自然な状態」と「職業」が合致していて、さらにそれが受け入れられているというとんでもなく幸福な状況だ。まさに天職だが、レンタルさんの見た目の小ぎれいさと、“淡々と”を貫ける独特な考え方に依るところが大きい。やっていることは何もしないことと簡単そうに見えて、なかなかこれはほかの人には真似できないだろう。

 次回のザ・ノンフィクションは『半グレをつくった男 ~償いの日々…そして結婚~』。最凶の半グレ集団「怒羅権(ドラゴン)」の創設メンバー汪楠(ワン・ナン)は現在受刑者や出所者を支援する活動を行っている。改心のきっかけと活動の日々を追う。

石徹白未亜(いとしろ・みあ)
ライター。専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)。
HP:いとしろ堂

【テラスハウスレビュー】愛華「庶民派の西野カナ」ペッペ「おどけた外国人」ひと癖アリの新メンバー

 見ず知らずの男女6人が、シェアハウスで共同生活する様子を記録したリアリティ番組『テラスハウス』。現在、Netflixにて「TOKYO 2019-2020」が配信中で、ファンは個性豊かな面々の恋愛模様を、一喜一憂しながら、固唾を呑んで見守っている。そんな『テラハ』を愛する“テラハウォッチャー”が、9月前半の配信分から、グッときた“名(珍)シーン”をピックアップし、思いのままにレビューする。

パルクール関係者の名言率高し(テラスハウス14話)

 バンド「SPiCYSOL」のボーカル・ケニーに再度告白されたフィットネストレーナーの莉咲子は、通っているパルクールの練習スタジオへ。そこで、パルクールアスリートのTAISHI(26)やKODAI(24)に、ケニーからキスされそうになって戸惑ったことを報告する。

 するとTAISHIは「それが選んだ結果っつうか、だって抜き打ちテストの連続じゃん? 人生って」、KODAIも「99パーいけるジャンプも、1パー不安があったらいかないじゃん? 莉咲子の状態って、ジャンプできないか、したくないかのどっちかだよね」と、それぞれ名ゼリフを残した。パルクールをやっていると、いい感じのセリフが出てくるようにもなるのだろうかと感じた。

ケニー、ダサいキス記録を更新(テラスハウス14話)

 結局、莉咲子はケニーの卒業前日、「これからゆっくりケニーさんを知る時間がほしい」と、ケニーと一緒に卒業を決意。それを聞いてうれしくなっちゃったケニーは「なんか、ちょっと来て」と莉咲子にものすごい速さで近づいて、顔を背けられているのに背中を抑え込みキス。去り際には「これが女子は好きなんでしょ?」とでも言うように、頭ポンポンまでしやがった。

 スタジオのYOUも、「女子に準備をさせないほどのスピードで、一方的に大人がキス……。すごい幼稚じゃなかったですか?」と呆然。第13話で樹立した“テラハ史上最もダサいキス”記録を今回、自ら塗り替えた。卒業おめでとうございます!

 「マーベルになりたい」という夢を持つアルバイトの流佳。夢への第一歩として、マーベルファンの集うカフェでバイトしたいと話していたが、「行ったんすけど、募集してなかったです」と、女優の春花に報告した。「けど飲み物飲みました。アイアンマンビール。結構よかったですね」と、なぜか満足そうな流佳に対し、春花は「発言の精神年齢が低い。もうちょっとよく考えて発言しないと。世界で仕事したいって思ったら英語が必要だし。勉強してる?」と、何度目かのお説教を始める。

 すると流佳は「勉強してない。英語は話してる方がわかりやすい、俺の頭的には。直接外国のお客さんと話す方が理解しやすいんだよね」と反論。「I’tsの意味はわかんないけど、I’ts使ったりしてる。Thisもわかんないけど、使ってる。言葉で覚えてる、俺」と、得意げに話した。

 このレベルの話になってきたら、お説教も時間のムダに思えて放り出してしまいそうなものだが、春花はあきらめない。「もっと自分の発言と並行して実行に移した方が、いい報告に向くと思う」と、アドバイスを続けた。“夢番人”の春花はちょっとうっとうしくはあるけれど、流佳を見捨てない慈悲深さには恐れ入る。

流佳、台風を知らない(テラスハウス15話)

 第15話でも流佳は、春花に「台風」という言葉の意味を教えてもらっていた。

春花「明日、台風だよね」
流佳「雨ですか?」
春花「台風」
流佳「台風は雨っすか?」
春花「台風は雨。すごい風がいっぱい」

 これからも、流佳に根気強く日本語を教えていってほしい。

 卒業したケニーと莉咲子に代わり、大学生の愛華(えみか)とイタリア人漫画家のペッペが新メンバーに加わった。ペッペは「チャオ! 今日から住みマスヨ~! ヨロシク~!」とインターホン越しでもテンションが高く、家の中に靴で入り「オッ、ヤバイ! コレはちょっと玄関に置いときマスネ!」とおどける外国人ギャグを披露した。

 一方の愛華は、“庶民派な西野カナ”というようなおしゃれさん。黒いキャスケット帽をかぶって登場したが、テラハの中に入ってからも、部屋を案内されている間も、メンバーとのランチ中も、キャスケット帽を取ることがなかった。何かこだわりがあったのだろうか。

 ひと癖ありそうな新メンバーのこれからが楽しみである。

【テラスハウスレビュー】愛華「庶民派の西野カナ」ペッペ「おどけた外国人」ひと癖アリの新メンバー

 見ず知らずの男女6人が、シェアハウスで共同生活する様子を記録したリアリティ番組『テラスハウス』。現在、Netflixにて「TOKYO 2019-2020」が配信中で、ファンは個性豊かな面々の恋愛模様を、一喜一憂しながら、固唾を呑んで見守っている。そんな『テラハ』を愛する“テラハウォッチャー”が、9月前半の配信分から、グッときた“名(珍)シーン”をピックアップし、思いのままにレビューする。

パルクール関係者の名言率高し(テラスハウス14話)

 バンド「SPiCYSOL」のボーカル・ケニーに再度告白されたフィットネストレーナーの莉咲子は、通っているパルクールの練習スタジオへ。そこで、パルクールアスリートのTAISHI(26)やKODAI(24)に、ケニーからキスされそうになって戸惑ったことを報告する。

 するとTAISHIは「それが選んだ結果っつうか、だって抜き打ちテストの連続じゃん? 人生って」、KODAIも「99パーいけるジャンプも、1パー不安があったらいかないじゃん? 莉咲子の状態って、ジャンプできないか、したくないかのどっちかだよね」と、それぞれ名ゼリフを残した。パルクールをやっていると、いい感じのセリフが出てくるようにもなるのだろうかと感じた。

ケニー、ダサいキス記録を更新(テラスハウス14話)

 結局、莉咲子はケニーの卒業前日、「これからゆっくりケニーさんを知る時間がほしい」と、ケニーと一緒に卒業を決意。それを聞いてうれしくなっちゃったケニーは「なんか、ちょっと来て」と莉咲子にものすごい速さで近づいて、顔を背けられているのに背中を抑え込みキス。去り際には「これが女子は好きなんでしょ?」とでも言うように、頭ポンポンまでしやがった。

 スタジオのYOUも、「女子に準備をさせないほどのスピードで、一方的に大人がキス……。すごい幼稚じゃなかったですか?」と呆然。第13話で樹立した“テラハ史上最もダサいキス”記録を今回、自ら塗り替えた。卒業おめでとうございます!

 「マーベルになりたい」という夢を持つアルバイトの流佳。夢への第一歩として、マーベルファンの集うカフェでバイトしたいと話していたが、「行ったんすけど、募集してなかったです」と、女優の春花に報告した。「けど飲み物飲みました。アイアンマンビール。結構よかったですね」と、なぜか満足そうな流佳に対し、春花は「発言の精神年齢が低い。もうちょっとよく考えて発言しないと。世界で仕事したいって思ったら英語が必要だし。勉強してる?」と、何度目かのお説教を始める。

 すると流佳は「勉強してない。英語は話してる方がわかりやすい、俺の頭的には。直接外国のお客さんと話す方が理解しやすいんだよね」と反論。「I’tsの意味はわかんないけど、I’ts使ったりしてる。Thisもわかんないけど、使ってる。言葉で覚えてる、俺」と、得意げに話した。

 このレベルの話になってきたら、お説教も時間のムダに思えて放り出してしまいそうなものだが、春花はあきらめない。「もっと自分の発言と並行して実行に移した方が、いい報告に向くと思う」と、アドバイスを続けた。“夢番人”の春花はちょっとうっとうしくはあるけれど、流佳を見捨てない慈悲深さには恐れ入る。

流佳、台風を知らない(テラスハウス15話)

 第15話でも流佳は、春花に「台風」という言葉の意味を教えてもらっていた。

春花「明日、台風だよね」
流佳「雨ですか?」
春花「台風」
流佳「台風は雨っすか?」
春花「台風は雨。すごい風がいっぱい」

 これからも、流佳に根気強く日本語を教えていってほしい。

 卒業したケニーと莉咲子に代わり、大学生の愛華(えみか)とイタリア人漫画家のペッペが新メンバーに加わった。ペッペは「チャオ! 今日から住みマスヨ~! ヨロシク~!」とインターホン越しでもテンションが高く、家の中に靴で入り「オッ、ヤバイ! コレはちょっと玄関に置いときマスネ!」とおどける外国人ギャグを披露した。

 一方の愛華は、“庶民派な西野カナ”というようなおしゃれさん。黒いキャスケット帽をかぶって登場したが、テラハの中に入ってからも、部屋を案内されている間も、メンバーとのランチ中も、キャスケット帽を取ることがなかった。何かこだわりがあったのだろうか。

 ひと癖ありそうな新メンバーのこれからが楽しみである。