【テラスハウスレビュー】愛華、凌との“匂わせ”に必死!? 花に対するマウンティングを考察

 見ず知らずの男女6人が、シェアハウスで共同生活する様子を記録したリアリティ番組『テラスハウス』。現在、Netflixにて「TOKYO 2019-2020」が配信中で、ファンは個性豊かな面々の恋愛模様を、一喜一憂しながら、固唾を呑んで見守っている。そんな『テラハ』を愛する“テラハウォッチャー”が、11月後半の配信分から、グッときた“名(珍)シーン”をピックアップし、思いのままにレビューする。

愛華、情緒不安定(テラスハウス第23話)

 大学4年生の愛華は、アルバイトの流佳が気になると言っていたが、その後すぐに「(プロバスケットボール選手の)凌くんが気になるかも」と心変わり。

 そんな折、就活のため1年休学することになった愛華は、凌へ「先の自分が全然見えない。CAになりたいよ、なりたいからね、勉強して……留学しようと思ってたから、本当。でも……」と要領を得ない愚痴をこぼす。凌が「CAになるのに留学は必要なの?」と聞くと、「一番必要なのはTOEICの点数だと思う。だからもう逆に塾とか通っちゃった方が……。今じゃないのかなって思ってきた。だから、海外に行くのが……!」と、キレぎみに答える。やがて泣き始めた愛華。凌が「まだ21歳じゃん。失敗してもやり直せるからね」と励ましても、「焦るよ。就活を頑張るために休学決めたから」と跳ねのけ、途中から加わったプロレスラーの花から「まあ、落ちた時は一緒にお酒でも飲みましょう。飲む?」と誘われても、「えっ今日!? 飲まない」と、あからさまにイラっとした表情を見せた。

 一体、愛華は何と言ってほしかったのだろう。気になっている凌に向かって「将来のこと、私だって考えてますよ」というポーズを取りたかっただけということだろうか。

 そもそも、連日深夜まで流佳とスマブラで遊んでいるという愛華に、そう愚痴られたとて、誰も本気と思わないのでは。まずは、就活を頑張るために休学しているのにテラハに出ている、という矛盾に焦った方がいい。

 花は、愛華がアルバイトの流佳と2人で深夜までスマブラで遊んだり、プレイルームで恋愛映画を見たり、リビングで一緒に寝ていたりするのを見て、2人の仲を勘違いするように。それが気に入らない愛華は花を呼び出し、“流佳とは恋愛感情ではなく友情”だと「ドヤ顔」(花いわく。YouTube公開の未公開シーンより)で説明する。

 愛華の言い方に漂う、「恋愛面では私の方がはるかに上だから。恋愛経験値低いくせに、勘違いして流佳とくっ付けようとしてくるんじゃねえ」というマウンティングを嗅ぎ取ったらしい花は、一旦謝ったものの、「でも言われても仕方なくない?」と反論。「夜中までスマブラ2人でやってました、ラブロマンス映画を2人で見ました、2人で寝てましたっていうのは、それは紛れもない事実なわけじゃん。それを恋愛って見られたくないとかいうんだったら、そういうのはやらない方がいいと思う。恋愛したくてテラハに入ったんでしょ?」と正論をぶつけると、愛華にも火が点き、口論に発展した。

 愛華は「流佳が気になるって前に言ったけど、私も凌が気になってきた」とハッキリ告げれば済む話なのに、なぜ「流佳とは友情」という話をえんえん繰り返すのか。“察して”や“匂わせ”で会話の中心に自分を置き、自分の価値を高めようとするクセも、彼女のモテテクの1つなのだろうか。

愛華語録1「クソッ」(テラスハウス第24話)

 花がいない時期を狙い、愛華が凌にモーションをかけ始めた。「28日何してます?」と聞いた愛華。凌が「練習試合」と答えると、苦虫を噛み潰したような顔で「クソッ」と一言。凌から「何で?」を引き出すと、「えっ、フフッ……」と思わせぶりな笑みを見せたのち、「私バイトなんですよ。で、ちょっと、お車を探してて。荷物がヤバイんだよね」。最初から「28日に車を出してくれる人を探しています」と言えばすぐ終わる会話で、何をそんなに尺を取っているのか、不思議で仕方ない。

愛華語録2「ザギンでシース―」(テラスハウス第24話)

 「クソッ」発言の直後、さらに愛華は、バスケ観戦で凌がプリントされたTシャツを買ったお礼として「凌くん、ザギンでシース―は?」と昭和なワードでおねだり。男気で引き受けた凌と、いざ東銀座の寿司屋「鮨やまけん」に入ると、「ホントにザギン?  びっくりしちゃうんだけど。ノリで言っただけなんだけど(笑) Tシャツが寿司になった~♪」と茶化してみせる。1万2,000円のコースをおごってもらいながら、それが言える強い精神力、ぜひ就活に生かしてほしい。

 愛花が凌とのザギンでシースーから帰宅すると、リビングには花の姿が。そこで突然、愛華は「フフフフーン♪」と鼻歌を歌い出し、「幸せです……」と思わせぶりにつぶやく。花が「お寿司食べられて?」と聞くと、「違う。あっ、そうです、ハハハッ。お寿司もおいしかったし、幸せです……(ハート)」と、“ワタシ、凌と幸せな時間を過ごしました”と匂わせる。さらに、「はあっ! やばっ! ピアス置いてきたぁ!」と、わざとらしいセリフで“凌とのデートでピアスを外すようなことをしちゃったワタシ”臭をバラ撒く。「何で? 寿司屋でピアス外すってなかなかなくない?」と訝る花に、凌は「やましいことはしてないよ。それだけは誓う」と答えたが、愛華は意味ありげにスルー。

 ピアスを置いてくる、鼻歌、「幸せです」が、全て愛華の書いたシナリオだとすれば、恐ろしい。シナリオがありがちで、演技がめちゃくちゃヘタなだけに、その恐ろしさは増している。テラハにおいて、就活がうまくいかない一般人というキャラは、地雷が多いようだ(例:軽井沢編のゆいちゃん)。

流佳、ほぼ登場しない(テラスハウス第23話、24話)

 流佳は23話も24話も、ほぼ登場しなかった。新情報は「料理教室に通い始めた」ということだけだった。もうスタッフも彼への興味を失いかけているのだろうか。

『ザ・ノンフィクション』祖父母の子育て支援という高い壁「娘がシングルマザーになりまして… ~29歳の出張料理人 彩乃~」

 根強いファンを持つ日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。11月24日の放送は「娘がシングルマザーになりまして… ~29歳の出張料理人 彩乃~」。シングルマザーの出張料理人と、娘を支える祖父の日々の模様だ。

あらすじ

 自宅や職場などに出向き料理を振る舞う出張料理人の仕事を東京でしていた新羅彩乃29歳。子どもができるも、相手の男性から堕ろしてほしいと言われシングルマザーを選ぶ。しかし、仕事の時間が読みにくい出張料理人とシングルマザーの両立は厳しく、借金をして事業拠点となる自分のキッチンを構えることに。キッチンが完成してからも、気の強い彩乃とスタッフとの関係はうまくいかない。

 娘の現状を見て石川県から父・孝志(62歳)が会社を辞め上京。当初は孫の育児だけを担当していたが、プログラマーだった経験を生かし会計ソフトを作ったり、彩乃の作った弁当を売るリアカーを設計、製造するなど活躍を見せる。番組の最後に父についてスタッフから尋ねられた彩乃は「支えしかないですね。感謝忘れず頑張ります」と涙する。

今回の主役は娘でなく父・孝志62歳

 今回のタイトルは『娘がシングルマザーになりまして』の通り、真の主役は娘・彩乃でなく父・孝志だったように思えた。孝志の成長物語といってもいいくらい孝志が輝いていた。

 孝志は地元石川県で30年プログラミングの仕事に就いており、出張料理人という、道なき道を突き歩む娘に自分が何かできる立場ではないと、上京後も仕事ぶりを遠巻きに見守るだけだった。孝志は取材で「自分の思いとやりたい事と実際にできる事のバランスがよくわかっていなかった」と当時の自分を振り返るが、これが「わかった」途端、飛躍する。

 孝志はその後、プログラマーだった経験を生かし会計ソフトを作り、趣味の木工細工の腕を生かして彩乃の作った弁当を売るリアカーを一人で手掛ける。完成したリアカーは屋根や広告までついていて「素人の素朴な手作りリアカー」とは一線を画していた。

 リアカーを作る際、孝志は慣れた様子で木にノミで凹みを入れながら、「人件費を安く抑えるためには親父を安く使うしかないよね」と笑っていた。楽しそうに働く人がいる職場はうまく回る。彩乃にとって孝志がサポートしてくれること自体ありがたかっただろうが、「いやいややってる」感がなく、楽しそうに働く父の姿自体は大きな支えになっただろう。

「自分の思いとやりたい事と実際にできる事のバランス」が取れていると、働いていて楽しいし、やりがいもある。一方、ここがちぐはぐであったり、ちぐはぐなことに対して自分は何も言える立場でないときは、無力さを感じてきつい。

 そして「自分の思いとやりたい事と実際にできる事のバランス」は、会社組織で働くよりも、彩乃のような個人事業主の方が実現しやすいように思える。会社は組織である以上、効率化のため大なり小なり分業化がある程度進んでいるため、やりたいことやできることは自分の管轄外、ということが起きてしまうこともある。

 一方個人事業主はすべて自分でこなさないといけない。確定申告など、本業と関係のないこともすべて自前で行う必要がある。私自身一個人事業主として、この「なんでも自分でやる」は、うんざりすることもあるが、なんだかんだで結構好きだ。本業以外もなんでも全部自分でやることを通じて、自分の可能性や進化に気づき自信になったことは、個人事業主になって得られた大きなことだったと思っている。60歳を過ぎ簿記検定に挑む孝志は輝いていて、そこに「老後」感は皆無で、かっこよかった。

 ただ今回は好条件が重なった「奇跡」だとも思った。

 まず、彩乃と孝志の相性がいい。気が強くそれゆえにさまざまなことに挑める彩乃と、そんな娘のガッツを尊敬しつつ、穏やかに見守る孝志。孝志が彩乃のすることにいちいち口を出すタイプだったら衝突の末、孝志が“お里に帰る”ことになっていただろう。それぞれの領分に余計な口を出さないでいるのは簡単ではない。だから今日もさまざまな職場や家庭で火種が爆発しているのだ。

 さらに「孝志が子育てに積極的」なのも幸福だった。孝志自身自分の子ども(彩乃にとっての兄)を死産で失っており、子どもを思う気持ちが強かったのはあるのかもしれない。一方、孫は年に数日やってくるから可愛いのであり、子育てまでは勘弁してほしいという祖父母だって少なくないはずだ。祖父母にだって、当然彼らの人生や都合がある。

 何より、孝志がまだ62歳と若い祖父であることが大きい。以前産婦人科医師を取材した際に、高齢出産の弊害として、高齢である妊婦の妊娠や出産のリスクだけでなく、高齢出産はおおむね「高齢祖父母の誕生」につながることを話していた。60歳の祖父母は育児を手伝う戦力足り得るが、70歳の祖父母だとそれが体力的に難しくなってくる。自身が介護を必要とする側になる可能性だってあるのだ。若く見える中高年は増えたが、体力や体の中まで若返ったわけではない。高齢出産が進むということはそれだけ「手伝いたいんだけど体がついていけない」祖父母も増えている、ということなのだろう。

 今回はうまくいってよかったが「祖父母と協力した子育て」はかなりの難関だな、と思ってしまった。12月1日のザ・ノンフィクションも「娘と父」がテーマになる。『女32歳 きょうからプロレスラー ~父への告白~』。

石徹白未亜(いとしろ・みあ)
ライター。専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)。
HP:いとしろ堂

【テラスハウスレビュー】愛華の「凌Tシャツ」を用いた“モテテク”が怖すぎる!

 見ず知らずの男女6人が、シェアハウスで共同生活する様子を記録したリアリティ番組『テラスハウス』。現在、Netflixにて「TOKYO 2019-2020」が配信中で、ファンは個性豊かな面々の恋愛模様を、一喜一憂しながら、固唾を呑んで見守っている。そんな『テラハ』を愛する“テラハウォッチャー”が、11月前半の配信分から、グッときた“名(珍)シーン”をピックアップし、思いのままにレビューする。

香織が去った女子部屋の居心地が良さそう(テラスハウス第21話)

 イラストレーターの香織が去り、かわりに女子プロレスラーの花が加わった女子部屋。明るい花の影響で女子メンバーの仲も深まったらしく、3人で楽しそうに過ごすシーンも増えた。

 女優の春花は「花ちゃん入ってきて、すごい変わったよね、テラスハウスが。おかげで何でも話せる。花ちゃんが入ってきたおかげで、(女子の)3人で会話が盛り上がって」とうれしそう。大学生の愛華も、「花ちゃんが入ってきて恋愛モードになってる、すごいね!」と笑顔。香織の“モードでアーティストなワタシ”感は、春花にも愛華にもハマっていなかったのだろうか……とあらためて感じた。

愛華、「流佳気になる」発言を即撤回(テラスハウス第21話、22話)

 女子部屋での恋愛トーク中、愛華はアルバイトの流佳について「気になってるのかな? どういう感情なのか自分でわからないんですけど、顔は好きなんです、すごい」と発言した。

 笑えないおバカっぷりが板についてきた流佳に対して、そういう感情を抱けるなんて! と感心したのだが、翌週の配信で愛華は「流佳くんを『ちょっと気になるかもしれない』みたいに言ったじゃないですか。それは男として気になってたわけじゃなかったのかな」などと即撤回。かわりに「(プロバスケットボール選手の)凌くんが話しやすい。たぶん、一番かっこいいな。どの人が一番好きなタイプかって言われたら、当てはまるのは凌くん」と方向転換してみせた。

 「外見だけ磨いても、最初はモテるがすぐに飽きられる」という教訓を全世界に教えている……と思えば、まだ流佳がテラハを卒業する気配がないのも少しは納得できる。

 凌に恋する花のため、女子3人はかわいいルームウェアを買いに代官山の「KID BLUE」へ。「大人っぽくて女の子っぽいのがいい。ワンピースいい、ワンピース」と言い、セクシーなネグリジェを手に取ったりする花。

 しかし購入したのは結局、オーソドックスなシャツとズボンのパジャマだった。紺色を基調としたチェック柄。わざわざ代官山まで行かなくても、無印良品で買えそうなデザインでは……? 寝心地が良さそうではあった。

ペッペ、超人気漫画家に脅される(テラスハウス第22話)

 週刊漫画誌「スピリッツ」(小学館)での連載が始まるイタリア人漫画家のペッペは、編集者に連れられ、売れっ子漫画家・浅野いにお(小学館『ソラニン』等)、真鍋昌平(同『闇金ウシジマくん』等)との会食へ。

 そこでペッペは、真鍋からは「ペッペの容姿とかが最初に話題になって、色眼鏡で見られて、風化されていったらちょっともったいない」、浅野からは「ペッペ自身の自己紹介も、かなり漫画の内容として多いじゃないですか。最初それに引っ掛かって読む人って多いと思うんですけど、ずっとそれを繰り返すわけにはいかない。ずっと自己紹介ばっかしてるわけにもいかないから。連載が長期になったらその時にようやく漫画家としての才能を試される」と、まっとうすぎる意見を聞かされる。

 ペッペ自身もすでにわかっていて気にしているであろう部分を、連載スタート直前というナーバスな時期に大先輩から脅しのように言われると、精神的にくるものがあるのでは……と心配になってしまった。

 凌のバスケの試合を見に行った花と愛華。愛華は、凌の名前と写真入りの“凌Tシャツ”を買い、花は好きな人の写真入りを買うのが恥ずかしかったのか、チーム名とロゴの印刷されたTシャツを購入。花はそれを着用して応援席についたが、一方の愛華は着ることはせず、膝にかけるだけだった。

 しかし、愛華はなぜかテラスハウスに戻ると“凌T”を着用。「かわいいっしょ? 気に入ってる~」とメンバーに見せ、「凌くんに『凌くん帰ってくるまで毎日これ着るね』って、この写真をLINEで送りつけたの。『めちゃうれしい。おいしいものおごるね』って返信が来た」と花の前で堂々と報告した。さらに凌が合宿から帰ってくる日にも“凌T”を着用して出迎え、「毎日着るよ」と言ってのけた。そんなに気に入っているなら、応援席でも着ればよかったのにと思わずにはいられない。

 「(外では着られないけど部屋着としては気に入ってるから、家では)毎日着るよ」の意味なのか、それとも本当に凌が気になっているからこそのアピールなのか。どちらにせよ、怖い。

【テラスハウスレビュー】愛華の「凌Tシャツ」を用いた“モテテク”が怖すぎる!

 見ず知らずの男女6人が、シェアハウスで共同生活する様子を記録したリアリティ番組『テラスハウス』。現在、Netflixにて「TOKYO 2019-2020」が配信中で、ファンは個性豊かな面々の恋愛模様を、一喜一憂しながら、固唾を呑んで見守っている。そんな『テラハ』を愛する“テラハウォッチャー”が、11月前半の配信分から、グッときた“名(珍)シーン”をピックアップし、思いのままにレビューする。

香織が去った女子部屋の居心地が良さそう(テラスハウス第21話)

 イラストレーターの香織が去り、かわりに女子プロレスラーの花が加わった女子部屋。明るい花の影響で女子メンバーの仲も深まったらしく、3人で楽しそうに過ごすシーンも増えた。

 女優の春花は「花ちゃん入ってきて、すごい変わったよね、テラスハウスが。おかげで何でも話せる。花ちゃんが入ってきたおかげで、(女子の)3人で会話が盛り上がって」とうれしそう。大学生の愛華も、「花ちゃんが入ってきて恋愛モードになってる、すごいね!」と笑顔。香織の“モードでアーティストなワタシ”感は、春花にも愛華にもハマっていなかったのだろうか……とあらためて感じた。

愛華、「流佳気になる」発言を即撤回(テラスハウス第21話、22話)

 女子部屋での恋愛トーク中、愛華はアルバイトの流佳について「気になってるのかな? どういう感情なのか自分でわからないんですけど、顔は好きなんです、すごい」と発言した。

 笑えないおバカっぷりが板についてきた流佳に対して、そういう感情を抱けるなんて! と感心したのだが、翌週の配信で愛華は「流佳くんを『ちょっと気になるかもしれない』みたいに言ったじゃないですか。それは男として気になってたわけじゃなかったのかな」などと即撤回。かわりに「(プロバスケットボール選手の)凌くんが話しやすい。たぶん、一番かっこいいな。どの人が一番好きなタイプかって言われたら、当てはまるのは凌くん」と方向転換してみせた。

 「外見だけ磨いても、最初はモテるがすぐに飽きられる」という教訓を全世界に教えている……と思えば、まだ流佳がテラハを卒業する気配がないのも少しは納得できる。

 凌に恋する花のため、女子3人はかわいいルームウェアを買いに代官山の「KID BLUE」へ。「大人っぽくて女の子っぽいのがいい。ワンピースいい、ワンピース」と言い、セクシーなネグリジェを手に取ったりする花。

 しかし購入したのは結局、オーソドックスなシャツとズボンのパジャマだった。紺色を基調としたチェック柄。わざわざ代官山まで行かなくても、無印良品で買えそうなデザインでは……? 寝心地が良さそうではあった。

ペッペ、超人気漫画家に脅される(テラスハウス第22話)

 週刊漫画誌「スピリッツ」(小学館)での連載が始まるイタリア人漫画家のペッペは、編集者に連れられ、売れっ子漫画家・浅野いにお(小学館『ソラニン』等)、真鍋昌平(同『闇金ウシジマくん』等)との会食へ。

 そこでペッペは、真鍋からは「ペッペの容姿とかが最初に話題になって、色眼鏡で見られて、風化されていったらちょっともったいない」、浅野からは「ペッペ自身の自己紹介も、かなり漫画の内容として多いじゃないですか。最初それに引っ掛かって読む人って多いと思うんですけど、ずっとそれを繰り返すわけにはいかない。ずっと自己紹介ばっかしてるわけにもいかないから。連載が長期になったらその時にようやく漫画家としての才能を試される」と、まっとうすぎる意見を聞かされる。

 ペッペ自身もすでにわかっていて気にしているであろう部分を、連載スタート直前というナーバスな時期に大先輩から脅しのように言われると、精神的にくるものがあるのでは……と心配になってしまった。

 凌のバスケの試合を見に行った花と愛華。愛華は、凌の名前と写真入りの“凌Tシャツ”を買い、花は好きな人の写真入りを買うのが恥ずかしかったのか、チーム名とロゴの印刷されたTシャツを購入。花はそれを着用して応援席についたが、一方の愛華は着ることはせず、膝にかけるだけだった。

 しかし、愛華はなぜかテラスハウスに戻ると“凌T”を着用。「かわいいっしょ? 気に入ってる~」とメンバーに見せ、「凌くんに『凌くん帰ってくるまで毎日これ着るね』って、この写真をLINEで送りつけたの。『めちゃうれしい。おいしいものおごるね』って返信が来た」と花の前で堂々と報告した。さらに凌が合宿から帰ってくる日にも“凌T”を着用して出迎え、「毎日着るよ」と言ってのけた。そんなに気に入っているなら、応援席でも着ればよかったのにと思わずにはいられない。

 「(外では着られないけど部屋着としては気に入ってるから、家では)毎日着るよ」の意味なのか、それとも本当に凌が気になっているからこそのアピールなのか。どちらにせよ、怖い。

虐待者の心理を理解する必要性について――『ザ・ノンフィクション』「目黒・結愛ちゃん虐待死事件」

10月27日に放送された『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)、「親になろうとしてごめんなさい~目黒・結愛ちゃん虐待死事件~」が大きな反響を呼んでいる。その番組内容について、都内の児童相談所に心理の専門家として19年間勤務し、『告発 児童相談所が子供を殺す』(文藝春秋)などの著書を刊行した山脇由貴子氏が考察する。

 『ザ・ノンフィクション』で、東京・目黒で船戸結愛ちゃん(当時5歳)が虐待死した事件に関し、船戸雄大被告の友人や同級生、元上司や雄大被告が兄のように慕っていた知人らが、その人柄について語った。

 結愛ちゃんの痛ましい死、そして反省文を覚えている方も多いと思う。5歳の女の子の書いた文章としてはあまりに切なかった。

「ほんとうにおなじことはしません ゆるして きのうぜんぜんできてなかったこと これまでまいにちやってきたことをなおす これまでどんだけあほみたいにあそんだか あそぶってあほみたいだから やめるから もうぜったいぜったいやらないからね ぜったいやくそくします」(反省文の一部)

 私は児童相談所に勤務していた頃、同じように、親に書かされたであろう子どもの反省文をたくさん見てきた。子どもを虐待し、そして反省文を書かせる親は、自分が正しいことをしていると信じている。自分は子どものために、しつけのために正しいことをやっている。だから、自分の言うことを聞かない子どもが悪い。本当にそう思っているから、反省文を書かせるのだ。そして子どもの書いた反省文を、自分が虐待などしていない証拠として、自慢げに持って来る親もいた。

 雄大被告も、自分のやっていることは正しいと信じていたのだろう。実際、番組内では紹介されなかったが、裁判の中で、結愛ちゃんを2度保護した香川県の児童相談所の職員は、雄大被告が「子育てに自信を持っていた」と証言した。雄大被告は、結愛ちゃんをここまで良くしたのは自分だ、と児童相談所職員に話していたのだ。自分のしていることが虐待だと気づかぬまま、結愛ちゃんのために、正しいことをしていると信じ続け、そして死に至らしめたのだ。

語られる人物像から見える「強い孤独感と承認欲求」

 一方、友人や知人らが語る雄大被告の人柄から見えてくるのは、強い孤独感と承認欲求だ。

 雄大被告は、仕事も真面目で、飲み会の幹事も積極的に引き受けていた、という。また、友人のやっている香川のキャバクラで人手が足りないと言われ、友人を助けるために北海道から香川へ転居している。品川のマンションに住んでいた時は、友人を招待することも頻繁だったようだ。

 雄大被告は、独りでいることが耐え難かったのではないだろうか。バーに足を運んで、そこで知り合った人を兄のように慕っていた、という話もある。常に孤独を抱え、一緒にいてくれる人を求めていたのではないだろうか。そして、人から好かれるため、認められるためなら必死に努力した。ほかの人が嫌がる役割も引き受けた。仕事が真面目だったのも、認めてほしい気持ちが強かったからだろう。

 強い孤独感と承認欲求は、雄大被告の生い立ちが関係しているように思える。雄大被告がどんな育ち方をしたのかはわからないが、孤独感と承認欲求の強さからは、子ども時代に寂しい思いをしてきたのではないか、と推察される。もしかしたら「誉められる」という経験も少なかったのかもしれない。だから大人になった後も、人から好かれようと必死に努力していたのではないか。大人になっても、雄大被告は愛情を求め続けていたように思える。

 香川で出逢った優里被告が、雄大被告を頼っていた様子も番組内からは見える。雄大被告は、頼られて、とてもうれしかったのだろう。ようやく認めてくれる、自分を必要としてくれる存在と出逢えた、と思ったのではないだろうか。優里被告と結愛ちゃんを幸せにしたいという気持ちは、きっと本心だったとも考えられる。そして、自分の思い描く理想の家庭を作りたいと願ったのも本心だろう。そしてまた、結愛ちゃんを理想の子どもにしたいと思ったのも本心だろう。

 しかし雄大被告は精神的に脆かった。番組からも、裁判内容からも、雄大被告が完璧主義であったことも垣間見られる。“理想の家庭”など簡単に実現はできない。しかし、雄大被告にはそれが耐えられなかった。自分の思い通りにいかないことに耐えられない。その完璧主義は精神的な脆さだ。雄大被告は、自分の間違いを認める柔軟性を持っていなかった。だから自分の言うことを聞かない優里被告と結愛ちゃんを許せない気持ちが強まっていった。それが、虐待のエスカレートにつながったのだ。人当たりが良く、外で不満を語らない人間は、外での疲れや怒りを家族に向ける傾向が強い。それも雄大被告が虐待をエスカレートさせていった一因であろう。

虐待を繰り返す親の心理状態

 しかしながら、雄大被告がなぜ結愛ちゃんを死に至らしめるほどの虐待を繰り返したのか、その心理状態の詳細はわからない。

 私は児童相談所勤務時代、悪質な虐待を繰り返す親にたくさん会ってきた。そして親の心理テストを取ることも多々あった。しかし日本には、子どもを虐待する親の心理を分析したデータの蓄積がない。児童相談所は親が虐待を繰り返さないための指導はするが、更生のための心理分析やプログラムは十分ではない。

 同じような事件を繰り返さないためには、虐待されている子どもの早期発見や早期の保護も必須であり、児童相談所の強化も必須だが、なぜ親が子どもを虐待するのか、その心理を分析したデータを蓄積し、児童相談所や子どもに関わる現場で働く人間が、虐待者の心理や行動特徴をしっかりと理解することが必要だ。それは各自治体に任せるのではなく、国が方針を出し、子どもを虐待した親に心理分析と更生プログラムを受けさせるという取り組みが必要なのではないだろうか。

山脇由貴子(やまわき・ゆきこ)
家族問題カウンセラー、子育てアドバイザー、心理カウンセラー、作家。都内児童相談所に心理の専門家として19年間勤務。現在、山脇 由貴子 心理オフィス代表。新聞、テレビ等で児童虐待に関するコメントを発信。著書『教室の悪魔』(ポプラ社)『告発 児童相談所が子供を殺す』(文春新書)『思春期の処方せん』(海竜社)他多数。
Yahoo!ニュース個人
山脇由貴子心理オフィス

【テラスハウスレビュー】香織の「テラハ卒業」に見る、昨今の“オシャレ人間”の自意識

 見ず知らずの男女6人が、シェアハウスで共同生活する様子を記録したリアリティ番組『テラスハウス』。現在、Netflixにて「TOKYO 2019-2020」が配信中で、ファンは個性豊かな面々の恋愛模様を、一喜一憂しながら、固唾を呑んで見守っている。そんな『テラハ』を愛する“テラハウォッチャー”が、10月後半の配信分から、グッときた“名(珍)シーン”をピックアップし、思いのままにレビューする。

春花、ポケモン以外の話ができない(テラスハウス第19話)

 このところ“コミュニケーションベタ”が露呈し始めている女優の春花。週刊誌連載を抱える漫画家のペッペに翌日の予定を聞き、ペッペが「明日も仕事」と答えたものの、春花は「ポケモン捕まえに行く?」と、「ポケモンGO」デートに誘う。

 仕事の都合をつけられたペッペと中目黒で「ポケモンGO」ができた春花は、「(テラハメンバーは)だ~れも興味なかったの、ポケモンに対して。しゃべる人いなかったから、すごいうれしい!」と上機嫌。帰宅後も、イラストレーターの香織に「ペッペ、すごいステキだなって思った! 共通の話題があるのがすごい助かる」とうれしそうに報告した。“共通の話題”が異性に求める条件で、それがポケモンでいいのであれば、春花の求める人材は小中学生男子に山ほどいるであろう。

 その後も、ペッペが描いているマンガの原画を1話分まるごと読ませてもらったにもかかわらず、感想は「終わりました! ありがとうございます」だけだったり、自分から誘った車のレースにペッペが行くと言うと「えっ、来る!? 来てもすっごい忙しすぎて、ペッペとしゃべる時間ないの」と拒否したりなど、かみ合わない会話が続く。“ポケモンを通してのコミュニケーションしかスムーズに取れない”という現代が生んだ症状の一種なのだろうか、と心配になった。

 イラストレーターの香織は、スタジオメンバーから「“いい人キャンペーン”をずっとし続けている」(南海キャンディーズ・山里亮太)、「見る人と書いて“見人(みるんど)”」(チュートリアル・徳井義実)と呼ばれるほど、テラハ傍観者的存在になりつつあったが、「ロンドンに家を借りまして。明日卒業します、朝」と急に卒業を報告した。

 夜逃げのように誰にも会わず卒業した俳優・翔平(第18話)に続く、突然の卒業。「テラハにそんな思い入れとかないし~、なりゆきで出ちゃっただけでテラハ出身とかダサいし~、別れ際にワイワイされるのって古い青春物みたいでサムいし~」と言いたげな温度の低さを醸し出すのが、昨今のオシャレ人間のはやりなのかもしれない。

 そして行先はこれまたオシャレなロンドン。選んだ理由を「何か勉強したり、ちょっと仕事もあればうれしいなっていうのはあるし、ずっと行きたかったし」と、抽象的に語った香織。やっぱり実家が金持ちなんだろうな……と思わされた。「一枚絵で売れるアーティストになりたい」と、今の香織のイラストからは想像しにくい夢を語ったことは、ずっと忘れません。

流佳「覚えといてね、この味」(テラスハウス第20話)

 香織に憧れを抱いていた流佳は、卒業前夜の香織にパスタを振る舞うことに。流佳といえばパスタとブロッコリーと溶き卵を一緒に茹でただけのパスタを作り、視聴者を驚かせたが、あれから少しずつ進化し、この日作ったのは厚揚げとパスタを同じ鍋で茹でたものに市販のたらこソースをあえたものだった。

 厚揚げは謎だが、市販のソースがかかっているので、以前と違って味はあるようだ。流佳は香織に、キリッとした顔で「覚えといてね、この味」と一言。その味は、市販のソースの味だが……? 流佳としてはどうしても言いたかったセリフのようだった。

 香織にかわって入居した新メンバーは、女子プロレスラーの花。恋愛初心者らしい花は、プロバスケットボール選手・凌との初対面で、いきなり恋に落ちた。明らかに表情が変わり、両手で顔を覆ったり、椅子の上に体育座りをするなど、わかりやすい反応。後から、あの流佳にさえ「見てて思ったけど、ときめいてる感じだったね」と指摘されるほど、気持ちがダダ漏れだったのだが、その空気を読まないのが春花。

 凌が翌日は1日オフだと言うと、春花は率先して「明日、昼くらいに出てもいいかも。どっか行く? ランチ? ブランチみたいな時間だったら行ける!」とアピール。花の目の前で約束を取り付けた。

 流佳をバカにしがちな春花だが、空気を読むという点では春花は流佳以下である様子。初期メンバーで残っているのは、あとはこの流佳と春花のみ。精神年齢低めな2人を、温かい気持ちで見守りたい。

『ザ・ノンフィクション』友人が語る船戸雄大被告の実像『親になろうとしてごめんなさい~目黒・結愛ちゃん虐待死事件~』

 根強いファンを持つ日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。10月27日の放送は「親になろうとしてごめんなさい~目黒・結愛ちゃん虐待死事件~」。船戸雄大被告の実像とは。

あらすじ

 2018年3月2日、義父の船戸雄大被告による虐待の末、結愛ちゃんは衰弱死する。119番通報したのは雄大被告自身だった。結愛ちゃんは亡くなったとき体中に170カ所以上の傷があり、5歳の女の子の平均体重が19.9㎏なのに対して、わずか12.2キロだった。雄大被告は一審で懲役13年の判決が出ている。

 この事件は結愛ちゃんが雄大被告に書かされた「反省文」も報道され、その悲痛な内容を覚えている人も多いだろう。

「ゆるしてください おねがいします
あそぶってあほみたいだからやめる
もうぜったいぜったいやらないからね」
(メモの一部より)

 5歳の子どもに「遊んだ」ことを反省させ、真冬に冷水のシャワーを浴びせ、冷え切ったベランダに立たせ足をしもやけだらけにさせた雄大被告。一方で彼の友人や職場の上司からは「バスケのうまいクラスの人気者」「幹事を率先してやってくれる」「職場では高齢の社員にPC操作を教えてくれていた」といった声が上がる。そして雄大被告は、裁判で「私が親になろうとしてごめんなさい」と口にした。

雄大被告、世話焼きで見栄っ張りの一面

 雄大被告は世話焼きで、人付き合いにアクティブだ。大学時代のバスケサークルの友人は体育館の予約など面倒なことをしてくれたと話し、最初に東京で勤めた通信系の会社でもいつも幹事を率先していたという。香川で勤務した会社では、年配社員にパソコン操作も優しく教えていた。プライベートでもバーに通い、カウンターで知り合った人を兄のように慕い、自身が転居したのちもLINEで交流を続ける。人付き合いに積極的で、世話好き。その場さえ楽しく交流できればいいタイプでもなく、関係を継続させていくマメさもある。

 多少は無理をしたり、他人の面倒をイヤイヤ見ていたところもあるのだろうが、本当に人付き合いが嫌で億劫なら、幹事やパソコン操作の指導はやらないだろう。周囲からも、人が好きで、楽しいことも好きな人物として見られていたようだ。

 そして雄大被告は、見栄っ張りで派手好きでもあった。最初に通信会社に就職した際は、品川のベイエリアのマンションに住み、会社の同期を招待するなど、わかりやすい方向に見栄を張る。通信の仕事に不満を覚えるようになると、故郷・札幌で会員制バーのボーイに転身。その後、友人が香川でやっているキャバクラの人手が足りないと伝えられると、縁もゆかりもない土地ながら、頼られたことで世話心がくすぐられたのか、居を移す。そこで、シングルマザーだった優里被告(一審で懲役8年、控訴中)と、娘の結愛ちゃんと出会ってしまう。

 雄大被告の妻、優里被告は裁判で「私が社会に出たときに無知だったので、雄大はすごく幅広い知識を持っていて教えて欲しいと思いました 」と話す。「世話焼き」で「見栄っ張り」な雄大被告が、優里被告の目に「頼れる」と映ったのは想像に難くない。雄大被告は、結婚後に地元の上場企業に転職を決める。

 優里被告にしてみれば、当初は上々の再婚に思えたのではないか。しかし、優里被告も雄大被告のDVの被害者になり、説教や立たされて叱ることなどが日常的に繰り返される。近所の住民は優里被告が結愛ちゃんを「あんたがそんなやけん、ママがパパに叱られるやろ 」と叱責する姿を目撃している。

 なお、これは番組内では触れられていなかったが、裁判の傍聴記事では、雄大被告は優里被告との結婚前から結愛ちゃんに手を上げていたと話すが、優里被告は結婚前は雄大被告と結愛ちゃんの関係は良かったと言い、食い違いを見せている。本当に虐待の事実を知らなかったのか、「再婚」を前に見ようとしなかったのか。

 そして、雄大被告はおしゃべりだ。結愛ちゃんのことを友人たちや、バーの店員たちにも話している。真冬に結愛ちゃんを路上に放置し、二度も書類送検(不起訴)になっているにもかかわらず、そのことまで友人に話しているのだ。もちろん、凄惨な虐待の実態などは話さず、しつけの一環で家の外に出したら通報されてしまった、といった体だ。壮絶な虐待をしているなら、「家族のことに触れない」かと思ったら、むしろ父親である自分、血のつながらない子どもを育てる自分を“誇示”するかのように積極的に話しているのだ。

 この行動には覚えがあった。以前、モラハラ夫として妻に去られた経験から回復し、現在は日本家族再生センターでカウンセラーとして被害者、加害者双方の支援活動を行い『DVはなおる 続』(ジャパンマシニスト社・味沢道明著)の共著者、中村カズノリ氏に取材をしたときのことだ。

 『DVはなおる 続』に掲載されている、男性の加害者側の手記を読むと、総じて結婚願望も家庭を持つことへの願望も強く、「家庭」や「家長である自分」への思い入れが強すぎるように感じた。こんな書き方は性差別的だが、男性の割に、家庭のことばかり考えているなと思ってしまった。大人であれば「家庭の構成員である自分」以外にも「働く自分」「●●が好きな自分」「友達としての自分」「地域社会の自分」など、アイデンティティはいくつも存在するはずだが、加害当事者たちは自分のすべてを「家庭の構成員である自分」に振り切りすぎている感じがした。

 しかし、本人の強い思い入れとは裏腹に、家庭生活は自身のDVやモラハラや虐待で崩壊してしまっている。加害当事者はなぜそこまで皆、判を押したように家庭に強くこだわりすぎてしまうのか中村氏に聞いてみたところ、「それも結局『家庭を作って認められたい』ということなのでしょう」との返答だった。

 雄大被告も「家庭へのこだわり」「家庭をつくって認められたい」という思いが異常なまでに強いようにみえ、しかしそれらはまったくいい方向に向かっていない。

 なお、中村氏はモラハラや虐待、DVの加害当事者たちが変わっていくきっかけの一つとして、「他愛のない日常のおしゃべり」を挙げていた。加害当事者たちは自分が誰にも認められないんじゃないかという不安が強く、防衛のために相手を必要以上に攻撃をしてしまうという。そこで、気負うこともなく、何を話してもよく、話したくないことは話さなくていい、安心できる場所で気楽なおしゃべりの場を通じ「自分も相手も尊重するコミュニケーション力」を培っていくのだ。

 雄大被告は、おしゃべりで友人も多い。しかし、安心して、本当に話したいことを話すことはできなかったのではないだろうか。もしくは、本当に話したいこと、考えなければならないことはなんなのか、雄大被告自身も考えようとしないまま、虐待を続けていた、という方が近いのかもしれない。

 『DVはなおる 続』内の加害当事者達の手記には他にも共通点がある。「配偶者や子どもが家を出て行ってしまう」などの大きな出来事があってようやく初めて自身の加害性に気付くという点だ。船戸家の場合、それは「結愛ちゃんの死」からだった。

石徹白未亜(いとしろ・みあ)
ライター。専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)。
HP:いとしろ堂

『ザ・ノンフィクション』語学はネットでググっても習得できない「ここがわたしの居場所~海を渡った熱血教師と教え子の涙~」

 NHKの金曜夜の人気ドキュメント番組『ドキュメント72時間』に対し、こちらも根強いファンを持つ日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。10月20日の放送は「ここがわたしの居場所~海を渡った熱血教師と教え子の涙~」。中国で一番有名な日本語教師、中村紀子と、彼女のスタッフの成長について。

あらすじ

 中国で一番人気のある日本語教師・中村紀子。ネット配信を活用した授業で教え子の総数は22万人を超える。授業のわかりやすさだけでなく、人情味あふれる人生相談も人気で、日本でのオフ会にも多くの生徒たちがやってくる。中村は幼少期から教員を目指していたが教員採用試験に受からず、塾講師を経て日本語教師となり中国に渡った。中村の語学学校のスタッフで、唯一大学で日本語を専攻しなかった周紫娟(愛称ルンルン)は他スタッフと比べ自分の語学能力が劣ることや、日本語を教える仕事を家族が反対していることで思い悩むも、SNSにルンルンが投稿した仕事ぶりを見て家族との関係も改善。日本語能力試験のN2級も高得点で合格する。

語学はネットでググっても習得できない

 日本語能力試験は、N1~N5のクラスに分かれている。ルンルンが合格したN2は、難易度が上から2番目で、その問題は、日本語能力試験のホームページにある問題例からも見ることができる。その中から一つを紹介したい。

( )に入れるのに最もよいものを1~4から一つ選びなさい
■あの映画の最後は( )場面として知られている。
1.名
2.高
3.良
4.真

 ルンルンの日本語は、書き言葉はちょっとおぼつかないところがあるが、話し言葉は十分伝わるレベルではある。「日本語で話すのがすごく怖い。ミスが怖くて。日本語能力がもっとアップしなければならない」「(自分の語学能力は全然)変わんない」とこぼしていたが、それを聞いていた中村と他スタッフは「変わんない」という日本語は難しくて、それが言えるだけすごいのだ、と慰めていた。どうやらこれは「撥音(ん)」の問題で、「ん」は、外国人にしたら聞き取りがとても難しいようなのだ。

 ただ、そんなルンルンも中村に言われた「ちょっと待ってね」を「少しの間待っていてね」ではなく、「そこで動かないで待っていてね」と勘違いして中村やスタッフを困らせてしまうなど、ネイティブの人間なら小学生でも理解できることでつまずいてしまう。それが外国語だ。

 外国語の習得、特に思春期以降の外国語の習得は長期の地道な努力と、冷や汗をかきつつ実践し恥をかき、それでもあきらめないひたむきさが必要だ。なので、ルンルンや、中村の語学教室で働くスタッフなど、母国語以外の言語を習得した人たちを尊敬している。

 自身の語学力の足りなさを嘆くルンルンに、中村は周りの18歳から日本語学科で学んだスタッフとは学んだ量が違うのだから、これからなんとかなると励ます。ネットが普及し、ググればすぐ手頃な答えがあると勘違いしがちな現代社会においても、語学の学習は「結局ものをいうのは地道な取り組みであり、“量”なのだ」という大切なことを教えてくれる。

一方で、ルンルンの日本語はもうすでに「おおむねオーケー」ではないのか、とも思う。もちろん、ルンルンは日本語教室で働く以上、さらなる高みを目指す必要があるだろう。しかし「語学で食べていく」、もしくは「その地で正社員としてバリバリ働く」のでなければ、このくらいしゃべれればもういいのではないかとも思う。

 というのも、私自身昨年フィリピンに英語の語学留学に行き、それ自体はとてもいい経験だったのだが、英語の「前置詞」「冠詞(a/the)」「複数形」「時制」につくづくうんざりさせられたからだ。これらは日本語ではなじみの薄い概念で、外国人にとっての「ん」のようなものだ。前置詞をこなせば冠詞を忘れる、というように、この4つがすべてきれいに着地できずいつも添削されていた。

 旅行者の会話やSNSのつぶやきレベルなら、見逃してやってくれやしないかと思う。多くの大人が外国語習得で挫折するのは、大人になったのに、箸の上げ下ろしのようなことまであれこれ言われるツラさに耐えきれないからだろう。根性が足りないと言われれば、その通りなのだが。

 世界中どこにいても(英語圏でない場所でも)、当たり前のように英語で話す英語圏の人はいる。「ミス・ユニバース世界大会」で過去に、ベトナム代表が質問に笑ってうなずくだけで返答しないことを、「わからないのにわかるフリをしていて可愛い」と、米国代表がからかい、大炎上したことがあった。たまたま生まれた国が英語圏だっただけなのに、非英語圏の人間が英語を学ぶためにかけた時間や苦労を知ろうともせず、単に思い上がっているだけに思える。

 私は英語に苦労しているので、日本語を学ぶ外国人に優しくありたいと思うが、そうではない人も、残念ながらいるのだ。

 次週の『ザ・ノンフィクション』は『親になろうとしてごめんなさい~目黒・結愛ちゃん虐待死事件~』。目黒区内のアパートで義父からの虐待の末に亡くなった船戸結愛ちゃん。5歳の女の子に暴力を続けた船戸雄大被告は、彼を知る人からは「学校一バスケがうまかった」「サークルのリーダー的存在」「同期の盛り上げ役」という声も上がる。雄大被告の実像とは?

石徹白未亜(いとしろ・みあ)
ライター。専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)。
HP:いとしろ堂

『ザ・ノンフィクション』語学はネットでググっても習得できない「ここがわたしの居場所~海を渡った熱血教師と教え子の涙~」

 NHKの金曜夜の人気ドキュメント番組『ドキュメント72時間』に対し、こちらも根強いファンを持つ日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。10月20日の放送は「ここがわたしの居場所~海を渡った熱血教師と教え子の涙~」。中国で一番有名な日本語教師、中村紀子と、彼女のスタッフの成長について。

あらすじ

 中国で一番人気のある日本語教師・中村紀子。ネット配信を活用した授業で教え子の総数は22万人を超える。授業のわかりやすさだけでなく、人情味あふれる人生相談も人気で、日本でのオフ会にも多くの生徒たちがやってくる。中村は幼少期から教員を目指していたが教員採用試験に受からず、塾講師を経て日本語教師となり中国に渡った。中村の語学学校のスタッフで、唯一大学で日本語を専攻しなかった周紫娟(愛称ルンルン)は他スタッフと比べ自分の語学能力が劣ることや、日本語を教える仕事を家族が反対していることで思い悩むも、SNSにルンルンが投稿した仕事ぶりを見て家族との関係も改善。日本語能力試験のN2級も高得点で合格する。

語学はネットでググっても習得できない

 日本語能力試験は、N1~N5のクラスに分かれている。ルンルンが合格したN2は、難易度が上から2番目で、その問題は、日本語能力試験のホームページにある問題例からも見ることができる。その中から一つを紹介したい。

( )に入れるのに最もよいものを1~4から一つ選びなさい
■あの映画の最後は( )場面として知られている。
1.名
2.高
3.良
4.真

 ルンルンの日本語は、書き言葉はちょっとおぼつかないところがあるが、話し言葉は十分伝わるレベルではある。「日本語で話すのがすごく怖い。ミスが怖くて。日本語能力がもっとアップしなければならない」「(自分の語学能力は全然)変わんない」とこぼしていたが、それを聞いていた中村と他スタッフは「変わんない」という日本語は難しくて、それが言えるだけすごいのだ、と慰めていた。どうやらこれは「撥音(ん)」の問題で、「ん」は、外国人にしたら聞き取りがとても難しいようなのだ。

 ただ、そんなルンルンも中村に言われた「ちょっと待ってね」を「少しの間待っていてね」ではなく、「そこで動かないで待っていてね」と勘違いして中村やスタッフを困らせてしまうなど、ネイティブの人間なら小学生でも理解できることでつまずいてしまう。それが外国語だ。

 外国語の習得、特に思春期以降の外国語の習得は長期の地道な努力と、冷や汗をかきつつ実践し恥をかき、それでもあきらめないひたむきさが必要だ。なので、ルンルンや、中村の語学教室で働くスタッフなど、母国語以外の言語を習得した人たちを尊敬している。

 自身の語学力の足りなさを嘆くルンルンに、中村は周りの18歳から日本語学科で学んだスタッフとは学んだ量が違うのだから、これからなんとかなると励ます。ネットが普及し、ググればすぐ手頃な答えがあると勘違いしがちな現代社会においても、語学の学習は「結局ものをいうのは地道な取り組みであり、“量”なのだ」という大切なことを教えてくれる。

一方で、ルンルンの日本語はもうすでに「おおむねオーケー」ではないのか、とも思う。もちろん、ルンルンは日本語教室で働く以上、さらなる高みを目指す必要があるだろう。しかし「語学で食べていく」、もしくは「その地で正社員としてバリバリ働く」のでなければ、このくらいしゃべれればもういいのではないかとも思う。

 というのも、私自身昨年フィリピンに英語の語学留学に行き、それ自体はとてもいい経験だったのだが、英語の「前置詞」「冠詞(a/the)」「複数形」「時制」につくづくうんざりさせられたからだ。これらは日本語ではなじみの薄い概念で、外国人にとっての「ん」のようなものだ。前置詞をこなせば冠詞を忘れる、というように、この4つがすべてきれいに着地できずいつも添削されていた。

 旅行者の会話やSNSのつぶやきレベルなら、見逃してやってくれやしないかと思う。多くの大人が外国語習得で挫折するのは、大人になったのに、箸の上げ下ろしのようなことまであれこれ言われるツラさに耐えきれないからだろう。根性が足りないと言われれば、その通りなのだが。

 世界中どこにいても(英語圏でない場所でも)、当たり前のように英語で話す英語圏の人はいる。「ミス・ユニバース世界大会」で過去に、ベトナム代表が質問に笑ってうなずくだけで返答しないことを、「わからないのにわかるフリをしていて可愛い」と、米国代表がからかい、大炎上したことがあった。たまたま生まれた国が英語圏だっただけなのに、非英語圏の人間が英語を学ぶためにかけた時間や苦労を知ろうともせず、単に思い上がっているだけに思える。

 私は英語に苦労しているので、日本語を学ぶ外国人に優しくありたいと思うが、そうではない人も、残念ながらいるのだ。

 次週の『ザ・ノンフィクション』は『親になろうとしてごめんなさい~目黒・結愛ちゃん虐待死事件~』。目黒区内のアパートで義父からの虐待の末に亡くなった船戸結愛ちゃん。5歳の女の子に暴力を続けた船戸雄大被告は、彼を知る人からは「学校一バスケがうまかった」「サークルのリーダー的存在」「同期の盛り上げ役」という声も上がる。雄大被告の実像とは?

石徹白未亜(いとしろ・みあ)
ライター。専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)。
HP:いとしろ堂

『ザ・ノンフィクション』有名ニートphaの後継者が抱く“不安と結婚”「好きなことだけして生きていく 後編~伝説のシェアハウス解散~」

 NHKの金曜夜の人気ドキュメント番組『ドキュメント72時間』に対し、こちらも根強いファンを持つ日曜昼のドキュメント『ザ・ノンフィクション』(フジテレビ系)。10月13日の放送は「好きなことだけして生きていく 後編~伝説のシェアハウス解散~」。日本一有名なニート・pha(ファ)が、11年運営してきたシェアハウスを解散したその後の生活と、phaに影響を受けた、新しい働き方を模索する「後継者」が紹介された。

あらすじ

 日本一有名なニート、phaは11年間運営してきたシェアハウスを解散し、猫二匹を連れて一人暮らしを始める。一方で、phaに触発された若き「後継者」として、19歳で東京と京都でシェアハウス運営を行う今井ホツマと、開業資金を極力抑えた喫茶店を夫婦で営む25歳の池田達也の働き方が紹介される。

phaの若き後継者二人が結婚に求めたもの

 phaの意志を継ぐ、今井と池田には共通点がある。まず、ほかの就業経験を持たずに最初から事業を始めていることと、そして今井には東京で一緒に暮らす婚約者がいて、池田は妻と子がいるという、今どきの都市部に暮らす男性にしてはずいぶん結婚が早い点だ。

 結婚の理由として、今井は「 身ぐらいは固めとかないとヤバい。土着していかないといけない。あまり(シェアハウス運営に)振れ過ぎるとエネルギーが高くなってしまう。よりしろ(よりどころ)みたいなものが欲しい」と、池田は「 自分のために働きたくなかった。結婚してだれか人のためなら、家族のためなら苦じゃないなと」と話す。

 二人は一見、反対のことを言っているように見えるが、「不安がある」という点は似ている。そんな二人を見ていると、数年間と割り切って、興味がある方面の会社でまず働いてみたら、少し不安は薄まったのではないかとも思ってしまった。

「旧来型の働き方や生き方はもう無理」という危機感は、若い人の方が身に染みているだろう。しかし、「旧来型」を試さず、いきなり「新しい方」を始めるのでは、比較対象を自分の中に持てないために、将来不安がますます強くなってしまうのではないだろうか。

「新しい働き方」を実践する若い二人は、それで生じた不安を「旧来型の生き方」ともいえる結婚で埋めようとしたともいえる。これは皮肉でも悪口でもない。一人の人間の中に、窮屈だが歴史も長く、実践している人も多い、安心感のある「旧来型のやり方」と、自由だが歴史が浅く実践者も少なく、不安のある「新しいやり方」が混在していて、日々それは変化しているのだろう。そして、今井や池田が早くに結婚したように、どこかが新しく突き抜けている人ほど、案外ほかの分野では保守的になるのかもしれない(ただしphaはそういったところも超越していて、あらためて超人だ)。

 一方、シェアハウスからいったん手を引き、一人暮らしを始めたphaはこう話す。

「 シェアハウス疲れる。年齢的なものもあるかもしれないですね。若いころは劣悪な環境で暮らしてること自体楽しかったりするけれど、だんだんただなんかキツくなってくる。飽きてくるというかしんどくなってくるみたいな」

 若いころの貧乏はまだ楽しめるけど、年いってからの貧乏はしみじみきつい――そんな身も蓋もない現実を、11年シェアハウスを運営してきた40歳のphaが言うと重い。

 しかし若いころ貧乏だった人が、年を取ったらそれなり暮らしは安定するなんて、今の社会ではなかなか思えない。ぜひ、中高年を撮らせれば右に出るものなしの『ザ・ノンフィクション』で、「中高年シェアハウス」をテーマにした番組を放送してほしい。「経済的に困った状況にある人のセーフティーネット」としてだけでもシェアハウスの意義は十分あるが、一方で、シェアハウスが一時の宿り木でなく、そこが「住まい」となっている、もしくはならざるを得ない現実はすでにある。

 「若くもなく、金もないと悲惨だ」という絶望や恐怖は、「若くなく、金もなく、でも暮らせている」という人たちの日々の営みを知ることでしか、薄まらないのではないだろうか。

 次週の『ザ・ノンフィクション』は『ここがわたしの居場所~海を渡った熱血教師と教え子の涙~』。いま中国で一番人気のある日本語教師・中村紀子49歳。これまでの教え子は約22万人で、インターネットを使ったライブ授業ではパソコンの向こう側に約5千人の生徒がいる。彼女と彼女のもとで働く中国人スタッフの日々を追う。

石徹白未亜(いとしろ・みあ)
ライター。専門分野はネット依存、同人文化(二次創作)。著書に『節ネット、はじめました。』(CCCメディアハウス)。
HP:いとしろ堂