12月16日に放送された『今日から俺は!!』(日本テレビ系)の第10話。今回の最終話で描かれたのは、2つの友情だ。
■セリフからうかがえる三橋と伊藤の友情
ヤクザの若頭・月川(城田優)と対決した伊藤真司(伊藤健太郎)は、月川に圧倒的な差を見せつけられる。左手しか使わない月川にボコボコにされたのだ。顔を血で染めながら伊藤は言った。
「覚えとけ。三橋はなあ……三橋は俺より強えぞ」
ヤクザの事務所に乗り込んだ三橋貴志(賀来賢人)と伊藤。今度は三橋が月川と対決し、そこでは三橋が月川を圧倒! 両手両足を使って本気を出す月川に余裕で対処し、打撃を打ち込みながら涼しい表情だ。三橋は月川に言い放った。
「言っとくけどなあ、ウチの伊藤は俺より強えぜ。テメエが左手一本しか使わねえから本気出せなかっただけ。優しい男だからさ」
これぞ、『今日から俺は!!』の世界観。謙遜してるのでも、伊藤を立てているのでもない。「左手一本の相手に本気を出せない」という評価は、伊藤の性分を端的に言い当てている。相棒の腕っぷしと優しさを認める三橋の言葉だ。
伊藤が三橋に向ける友情も厚い。今度は三橋にピンチが訪れた。赤坂理子(清野菜名)が人質にとられたため、相良猛(磯村勇斗)に抵抗できず、ボコボコにされたのだ。身を盾にして理子をかばいながら三橋が口にしたのは「絶対、あいつが来っからよ」という言葉だった。そして、本当に伊藤が助けに来た。
原作では、大ケガを負いながら救出へ向かう伊藤を心配した早川京子(橋本環奈)が彼を制止し、そんな京子を伊藤は振り切る。
「どけよ。ピンチ……なんだぜ、アイツが。今、俺を助けに来ねーってことは……俺を……待ってるんだ。ここで行かない奴は、伊藤じゃ……ないぜ」
実はここ、原作派が最も楽しみにするくだりだった。でも、ドラマ版では描かれていない。伊藤と京子のイチャイチャへつなげるため、あえて削ったのかもしれない。ならば、もう野暮なことは言うまい。こんなに優しいし、こんなに強い。三橋の言う通りの男だ。
相良と対峙した伊藤は満身創痍の体で相良をKO、三橋と理子の窮地を救った。
三橋 「さっき……チュー、できたななあ」
理子 「バカ」
伊藤 「来なきゃ良かったよ……」
■狂人・相良に智司がもたらした“未来”
もうひとつの友情は、相良と片桐智司(鈴木伸之)である。
「天下の開久が女盾にして半端やってんじゃねえぞ。テメエら、開久のプライド忘れたんか、コラ!」
京子を人質にとる開久たちにボコボコにされる伊藤を救い、不良らを蹴散らしたのは開久の前番長・智司だった。
伊藤にやられ立ち上がれない相良の元へ、智司がやって来た。
智司「相良。どっか遠くの街行って、2人で働こうぜ」
相良「フッ。こんな俺を許すのかよ」
原作の相良の狂いっぷりは、タガが外れている。危険の次元がほかのキャラに比べ、1人突き抜けている。彼がいなくなることにより、三橋たちの世界に平和がもたらされる。招かれざる存在。だから、相良の“その後”について描く必要はない。本来は、そんな男だ。
そういう意味で、智司が「どっか遠くの街行って、2人で働こうぜ」と手を差し伸べた事実が深いのだ。智司がそばにいることで、あんな相良にも未来があるとにおわせてくれる。そもそも、三橋&伊藤を認める智司に納得いかなかった相良が、軟高と開久の抗争を巻き起こした。始まりは、智司との友情をこじらせたがゆえの嫉妬だったのである。
いつもはオープニングで流れる「男の勲章」のライブシーンが、最終話ではエンディングに配された。ニクい。客席に開久がいるのだ。最前列には、ノリノリになっている相良と智司の姿が。クシャクシャの笑顔ではしゃぐ相良。あんなにメチャクチャだった相良も、三橋らと仲良さげである。
原作の相良は狂人だったが、ドラマ版の相良にはどこか憎めないところがあった。つまり、演じる役者に力量があったということ。相良役の磯村勇斗が、こんなに逸材とは思わなかった。このドラマのMVPには、磯村を挙げたい。
『ひよっこ』(NHK総合)や『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)などで実績を積んでいる彼だが、『今日から俺は!!』を契機に、これから番手を上げていく気がする。エンディングでのギャップも含め、磯村の演技には多くの人がハートをつかまれた。
■続編、そして相良&智司のスピンオフへの期待
最終話の視聴率は12.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。同時間帯にテレビ朝日で放送された『シン・ゴジラ』は9.7%だったので、まさに圧勝だ。SNSでの盛り上がりを加味すれば、もはや軽く社会現象といえるだろう。
そこで期待されるのは、やはり続編である。三橋貴志役の賀来賢人はドラマのリレーブログで「35歳くらいまでは、三ちゃんできるんだけどなぁ。プロデューサー、なんとかなりませんか?」とつづった(賀来は現在29歳)。福田雄一監督は「とにかく、まだたくさんやれることあるなあという気分です。あとは日テレさん次第ですかね(笑笑)」というコメントを発表した。
ドラマ版は、三橋も伊藤もまだ高校を卒業していない。サイパム編、軽井沢編、修学旅行編、埼玉編など未実写化の重要エピソードは数多い。中野誠、高崎秀一、田中良、森川涼子といった超重要キャラも温存中である。図らずも、それらの事実はシーズン2スタートの理由として機能する。
ドラマ版『今日から俺は!!』の最終回は、漫画とは異なるものだった。しかし、原作の内容を織り交ぜつつ、うまい落としどころだったと思う。主人公2人がまだ卒業していないのも奇跡的だ。
あと、やはり相良の描き方である。相良の狂気を巧みにテレビサイズへ収めていた。相良と智司の“その後”もスピンオフで見てみたい。
期待を募らせるには十分。ドラマ版『今日から俺は!!』、いい着地点だった。
(文=寺西ジャジューカ)