「今日から俺は!!」のMVPは磯村勇斗? 最終話で見せた、狂気と笑顔のギャップに募る今後への期待

 12月16日に放送された『今日から俺は!!』(日本テレビ系)の第10話。今回の最終話で描かれたのは、2つの友情だ。

■セリフからうかがえる三橋と伊藤の友情

 ヤクザの若頭・月川(城田優)と対決した伊藤真司(伊藤健太郎)は、月川に圧倒的な差を見せつけられる。左手しか使わない月川にボコボコにされたのだ。顔を血で染めながら伊藤は言った。

「覚えとけ。三橋はなあ……三橋は俺より強えぞ」

 ヤクザの事務所に乗り込んだ三橋貴志(賀来賢人)と伊藤。今度は三橋が月川と対決し、そこでは三橋が月川を圧倒! 両手両足を使って本気を出す月川に余裕で対処し、打撃を打ち込みながら涼しい表情だ。三橋は月川に言い放った。

「言っとくけどなあ、ウチの伊藤は俺より強えぜ。テメエが左手一本しか使わねえから本気出せなかっただけ。優しい男だからさ」

 これぞ、『今日から俺は!!』の世界観。謙遜してるのでも、伊藤を立てているのでもない。「左手一本の相手に本気を出せない」という評価は、伊藤の性分を端的に言い当てている。相棒の腕っぷしと優しさを認める三橋の言葉だ。

 伊藤が三橋に向ける友情も厚い。今度は三橋にピンチが訪れた。赤坂理子(清野菜名)が人質にとられたため、相良猛(磯村勇斗)に抵抗できず、ボコボコにされたのだ。身を盾にして理子をかばいながら三橋が口にしたのは「絶対、あいつが来っからよ」という言葉だった。そして、本当に伊藤が助けに来た。

 原作では、大ケガを負いながら救出へ向かう伊藤を心配した早川京子(橋本環奈)が彼を制止し、そんな京子を伊藤は振り切る。

「どけよ。ピンチ……なんだぜ、アイツが。今、俺を助けに来ねーってことは……俺を……待ってるんだ。ここで行かない奴は、伊藤じゃ……ないぜ」

 実はここ、原作派が最も楽しみにするくだりだった。でも、ドラマ版では描かれていない。伊藤と京子のイチャイチャへつなげるため、あえて削ったのかもしれない。ならば、もう野暮なことは言うまい。こんなに優しいし、こんなに強い。三橋の言う通りの男だ。

 相良と対峙した伊藤は満身創痍の体で相良をKO、三橋と理子の窮地を救った。

三橋 「さっき……チュー、できたななあ」

理子 「バカ」

伊藤 「来なきゃ良かったよ……」

■狂人・相良に智司がもたらした“未来”

 もうひとつの友情は、相良と片桐智司(鈴木伸之)である。

「天下の開久が女盾にして半端やってんじゃねえぞ。テメエら、開久のプライド忘れたんか、コラ!」

 京子を人質にとる開久たちにボコボコにされる伊藤を救い、不良らを蹴散らしたのは開久の前番長・智司だった。

 伊藤にやられ立ち上がれない相良の元へ、智司がやって来た。

智司「相良。どっか遠くの街行って、2人で働こうぜ」

相良「フッ。こんな俺を許すのかよ」

 原作の相良の狂いっぷりは、タガが外れている。危険の次元がほかのキャラに比べ、1人突き抜けている。彼がいなくなることにより、三橋たちの世界に平和がもたらされる。招かれざる存在。だから、相良の“その後”について描く必要はない。本来は、そんな男だ。

 そういう意味で、智司が「どっか遠くの街行って、2人で働こうぜ」と手を差し伸べた事実が深いのだ。智司がそばにいることで、あんな相良にも未来があるとにおわせてくれる。そもそも、三橋&伊藤を認める智司に納得いかなかった相良が、軟高と開久の抗争を巻き起こした。始まりは、智司との友情をこじらせたがゆえの嫉妬だったのである。

 いつもはオープニングで流れる「男の勲章」のライブシーンが、最終話ではエンディングに配された。ニクい。客席に開久がいるのだ。最前列には、ノリノリになっている相良と智司の姿が。クシャクシャの笑顔ではしゃぐ相良。あんなにメチャクチャだった相良も、三橋らと仲良さげである。

 原作の相良は狂人だったが、ドラマ版の相良にはどこか憎めないところがあった。つまり、演じる役者に力量があったということ。相良役の磯村勇斗が、こんなに逸材とは思わなかった。このドラマのMVPには、磯村を挙げたい。

『ひよっこ』(NHK総合)や『SUITS/スーツ』(フジテレビ系)などで実績を積んでいる彼だが、『今日から俺は!!』を契機に、これから番手を上げていく気がする。エンディングでのギャップも含め、磯村の演技には多くの人がハートをつかまれた。

■続編、そして相良&智司のスピンオフへの期待

 最終話の視聴率は12.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)。同時間帯にテレビ朝日で放送された『シン・ゴジラ』は9.7%だったので、まさに圧勝だ。SNSでの盛り上がりを加味すれば、もはや軽く社会現象といえるだろう。

 そこで期待されるのは、やはり続編である。三橋貴志役の賀来賢人はドラマのリレーブログで「35歳くらいまでは、三ちゃんできるんだけどなぁ。プロデューサー、なんとかなりませんか?」とつづった(賀来は現在29歳)。福田雄一監督は「とにかく、まだたくさんやれることあるなあという気分です。あとは日テレさん次第ですかね(笑笑)」というコメントを発表した。

 ドラマ版は、三橋も伊藤もまだ高校を卒業していない。サイパム編、軽井沢編、修学旅行編、埼玉編など未実写化の重要エピソードは数多い。中野誠、高崎秀一、田中良、森川涼子といった超重要キャラも温存中である。図らずも、それらの事実はシーズン2スタートの理由として機能する。

 ドラマ版『今日から俺は!!』の最終回は、漫画とは異なるものだった。しかし、原作の内容を織り交ぜつつ、うまい落としどころだったと思う。主人公2人がまだ卒業していないのも奇跡的だ。

 あと、やはり相良の描き方である。相良の狂気を巧みにテレビサイズへ収めていた。相良と智司の“その後”もスピンオフで見てみたい。

 期待を募らせるには十分。ドラマ版『今日から俺は!!』、いい着地点だった。

(文=寺西ジャジューカ)

橋本環奈、「ゴチ」クビに「想定内」「休みすぎ」と賛否も、二階堂ふみに思わぬ“蒸し返し”

 12月20日、『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)で「グルメチキンレース ゴチになります!19」の最終戦が放送され、レギュラー出演していた橋本環奈と渡辺直美のクビが決定した。ネット上には、女子2人の退場を悲しむ声が寄せられた一方、「橋本のクビは想定内」というコメントも少なくない。

「今年1月から新メンバーとして加入した橋本は、その可愛らしいルックスとキャラクターで愛された反面、番組収録に参加できず欠席した回が複数あり、『女優業が忙しくて休んでばかりのイメージ』が浸透していました。しかも、初めて欠席した4月5日放送回に関しては、そのオンエアとほぼ同じ時間帯に橋本がインスタグラムのライブ配信を行ったことにより、ネット上で『どういうつもり?』と物議を醸しました」(芸能ライター)

 6月21日放送回には、収録に参加できない橋本が事前に“ひとりゴチ”を行い、その映像をモニターで流す措置もとられたが、結局「共演者に失礼」「ちゃんと出演できないなら、どうしてバラエティのレギュラーを引き受けたの?」といった批判が噴出。そのため、最終戦にあたっても「橋本のクビは、金額云々はさておき想定内」「休みすぎだった」「そもそも番組が売れっ子の女優にオファーを出したのが間違い」という意見が寄せられていた。

「しかし、いざクビが決まると『最近は番組に馴染んでたから寂しい』『環奈ちゃんはやっぱり可愛くて目の保養だった』『直美との女子コンビが好きだったのに!』といった声も多くあったよう。また、『環奈ちゃんは、二階堂ふみよりずっと好感度が高い』という書き込みも散見されました」(同)

 二階堂も昨年まで「ゴチ」のレギュラーだったが、同11月23日放送回で「お芝居の方に集中させていただきたい」として卒業。もともと「知名度を広めたい」という理由で出演していたこともあり、突然の卒業はネットユーザーの反感を買った。

「今回、橋本がクビになったことがきっかけで、『みんな忙しくても頑張ってるのに、二階堂ってマジ何だったの?』『二階堂のせいで変な感じになってた「ゴチ」も、環奈ちゃんのおかげで楽しく見られた。ありがとう』『次の女性枠が心配だけど、誰かさんみたいに途中で勝手にいなくなる人じゃなければいいね』など、二階堂の件が蒸し返されているようです」(同)

 なお、二階堂と橋本は「ゴチ」出演中に日テレの連続ドラマにも起用されていたことから、ネット上では「次のメンバーも局のドラマに出る女優では?」ともささやかれている。その場合はバラエティとの両立を頑張ってもらいたいものだ。

広瀬すず『anone』4.4%でワースト――日テレ、2018年ドラマ「全作1ケタ」視聴率の悪夢

 2018年10月期、もっとも期待されていたであろう連続ドラマ『獣になれない私たち』(日本テレビ系)が、全話平均視聴率8.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と寂しい数字に終わってしまった。16年の大ヒット作『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)の主演・新垣結衣と脚本家・野木亜紀子氏を起用しながらも失敗した日テレだが、業界内では「今年の日テレ連ドラがすべてコケていた」と驚きの声が広まっている。

「民放各局で今年放送されたゴールデン・プライムタイムの連ドラを振り返ってみると、TBSで放送された嵐・松本潤主演の『99.9-刑事専門弁護士- SEASONⅡ』が全話平均17.6%で年間トップに輝き、次点はテレビ朝日で米倉涼子が主演した『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』が15.6%を獲得。かねてから視聴率不振に悩むフジテレビは、吉岡里帆主演の『健康で文化的な最低限度の生活』が5.8%で“2018年ワースト1位”となったものの、山崎賢人が主演を務めた『グッド・ドクター』が11.2%と健闘するなど、全話平均が2ケタ台に達した作品もあります。ところがその裏で、日テレは全作品が1ケタ台に終わるという悪夢のような状況に陥っていたんです」(芸能ライター)

 日テレの連ドラで、全話平均において今年最高を記録したのは、10月期に賀来賢人が主演した『今日から俺は!!』だった。

「漫画原作の実写モノ、さらにヤンキーの話ということで、前評判では『大コケ必至』と言われていた同ドラマ。全話平均9.9%と、やはり2ケタ台には及ばなかったのですが、結果としてこれが日テレ年間No.1の成績となりました」(テレビ局関係者)

『今日俺』に次ぐ数字を刻んだのは、1月期にHey!Say!JUMP・山田涼介が主演した『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』と、4月期の吉高由里子主演『正義のセ』で、同率の9.8%をマーク。ちなみに単話だと、『もみ消して冬』の初回13.3%が同局の今年最高となった。

「今年の日テレトップ3は、いずれもコミカル系の作品といえます。一方で、1月期に広瀬すずが主演を務めた『anone』は、全話平均6.1%で同局の年間ワースト1位に。日テレの大ヒット作『Mother』(10年)や『Woman』(13年)の脚本を担当した坂元裕二氏と広瀬のタッグとあって期待値は高かったものの、ネット上では『ストーリーが重い』『見ていて疲れる』などと、シリアス系の雰囲気が受け入れられなかったようです。そんな『anone』は、単話ごとに見ると終盤で4%台にまで転落しており、同局で今年唯一5%割れした作品となりました」(同)

 しかも、他局で途中5%割れしたのはフジだけで、吉岡の『ケンカツ』第5話で記録した4.8%以外に、芳根京子が主演した『海月姫』第7話の4.9%、深田恭子が主演した『隣の家族は青く見える』第5話の4.6%がそれぞれ“低迷するフジの象徴”として取り沙汰されていたものの、その裏で『anone』第9話は4.4%にまで落ち込んでいた。

「日テレがブレーク中の新垣を“不発”に終わらせたことも問題ですが、広瀬は来年、NHK連続テレビ小説100作目『なつぞら』の主演も控えている身とあって、『anone』の“大爆死”がトラウマになっていないか心配されます」(同)

 2019年は広瀬の活躍を祈りつつ、日テレの復活にも期待したいが……。

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 2018年10月期、もっとも期待されていたであろう連続ドラマ『獣になれない私たち』(日本テレビ系)が、全話平均視聴率8.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)と寂しい数字に終わってしまった。16年の大ヒット作『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)の主演・新垣結衣と脚本家・野木亜紀子氏を起用しながらも失敗した日テレだが、業界内では「今年の日テレ連ドラがすべてコケていた」と驚きの声が広まっている。

「民放各局で今年放送されたゴールデン・プライムタイムの連ドラを振り返ってみると、TBSで放送された嵐・松本潤主演の『99.9-刑事専門弁護士- SEASONⅡ』が全話平均17.6%で年間トップに輝き、次点はテレビ朝日で米倉涼子が主演した『リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~』が15.6%を獲得。かねてから視聴率不振に悩むフジテレビは、吉岡里帆主演の『健康で文化的な最低限度の生活』が5.8%で“2018年ワースト1位”となったものの、山崎賢人が主演を務めた『グッド・ドクター』が11.2%と健闘するなど、全話平均が2ケタ台に達した作品もあります。ところがその裏で、日テレは全作品が1ケタ台に終わるという悪夢のような状況に陥っていたんです」(芸能ライター)

 日テレの連ドラで、全話平均において今年最高を記録したのは、10月期に賀来賢人が主演した『今日から俺は!!』だった。

「漫画原作の実写モノ、さらにヤンキーの話ということで、前評判では『大コケ必至』と言われていた同ドラマ。全話平均9.9%と、やはり2ケタ台には及ばなかったのですが、結果としてこれが日テレ年間No.1の成績となりました」(テレビ局関係者)

『今日俺』に次ぐ数字を刻んだのは、1月期にHey!Say!JUMP・山田涼介が主演した『もみ消して冬~わが家の問題なかったことに~』と、4月期の吉高由里子主演『正義のセ』で、同率の9.8%をマーク。ちなみに単話だと、『もみ消して冬』の初回13.3%が同局の今年最高となった。

「今年の日テレトップ3は、いずれもコミカル系の作品といえます。一方で、1月期に広瀬すずが主演を務めた『anone』は、全話平均6.1%で同局の年間ワースト1位に。日テレの大ヒット作『Mother』(10年)や『Woman』(13年)の脚本を担当した坂元裕二氏と広瀬のタッグとあって期待値は高かったものの、ネット上では『ストーリーが重い』『見ていて疲れる』などと、シリアス系の雰囲気が受け入れられなかったようです。そんな『anone』は、単話ごとに見ると終盤で4%台にまで転落しており、同局で今年唯一5%割れした作品となりました」(同)

 しかも、他局で途中5%割れしたのはフジだけで、吉岡の『ケンカツ』第5話で記録した4.8%以外に、芳根京子が主演した『海月姫』第7話の4.9%、深田恭子が主演した『隣の家族は青く見える』第5話の4.6%がそれぞれ“低迷するフジの象徴”として取り沙汰されていたものの、その裏で『anone』第9話は4.4%にまで落ち込んでいた。

「日テレがブレーク中の新垣を“不発”に終わらせたことも問題ですが、広瀬は来年、NHK連続テレビ小説100作目『なつぞら』の主演も控えている身とあって、『anone』の“大爆死”がトラウマになっていないか心配されます」(同)

 2019年は広瀬の活躍を祈りつつ、日テレの復活にも期待したいが……。

くりぃむ有田がUWFの掘り起こし作業に参戦!「前田日明vsドン・ナカヤ・ニールセン」語る

 くりぃむしちゅーの有田哲平と上田晋也が出会ったのは高校時代。上田がプロレスファンだと知った有田が「アントニオ猪木と前田日明、どっちが強いと思う?」と話しかけ、「猪木かな」と返答する上田に「俺は前田だと思う」と有田が主張したやりとりが、2人の関係の始まりだった。

■UWFのキックを漫才のツッコミになぞらえ例える有田

 Amazonプライム・ビデオで配信中の『有田と週刊プロレスと』は、毎回1冊の週刊プロレスをテーマに有田が語り、プロレスから学ぶべき人生の教訓を伝授するという趣旨の番組である。

 12月12日配信回が取り上げたのは、№170(1986年11月4日号)の週プロだ。表紙に写るのは前田日明で、前田の右横には「10.9前田は時代を変えた」のコピーが踊る。

 表紙を見たゲストのビビる大木は「この番組、本当にUWFが好きですよね(笑)」と感想を漏らしたが、仕方がない。若き日の有田のプロレスファンとしての嗜好を知っていれば、さもありなん。そういえば、有田がレギュラーを務める『くりぃむクイズ ミラクル9』(テレビ朝日系)や『全力!脱力タイムズ』(フジテレビ系)に、あまりにも唐突なタイミングで前田がキャスティングされたことがあったが、あれは有田からの希望だったのだろうか。

 旧来の純プロレスとUWFのスタイルの違いを、有田はお笑いを引き合いに出して例えた。

有田「(手を前にプッシュしながら)こういうキックですよ、プロレスは。それが(手の甲を下げてしならせながら)こういうキックになったわけですね。“パチーン!”っていう。そうなりますと……こう言いますと誤解もされますけど、痛いですわねえ(笑)」

大木「結構、勇気のある発言ですねえ、有田さん(苦笑)」

有田「お笑いのツッコミなんかで“バカヤロウ!”って叩かれると“痛いなあ”くらいかもしれないですけど、“それじゃあツッコミになってないから”ってグーでバン! と殴るみたいな。バットでやるみたいな。入院したりケガするかもしれない。相手を倒さなきゃいけないプロレスなんだけど、だけど本当に潰してしまったらダメ。闘いを通じてお客さんに感動とか喜びを与えたいということですから」

 プロレスの二重構造をオブラートに包んで伝えながら、同時に本質も説明しようとする有田。新日本プロレスとUの間にあった摩擦もうまく説明している。当時、Uの迎撃部隊として頻繁に駆り出された越中詩郎は、かつてを振り返ってこんな感想を述べている。

「高田(延彦)とか山崎(一夫)とか、強烈だったですね、うん。あのね、目がついていかないんですよ。ああいう蹴り、食らった事ないですからね」(『プロレス狂宣言~涙と歓びのリングベル』/ビー・エヌ・エヌより)

■前田日明の語り部と化す有田

 1986年10月9日に、猪木のレスラー生活25周年を記念したイベント『INOKI 闘魂 LIVE PART I』が開催された。メインイベントは猪木による異種格闘技戦。相手は、元ボクシングヘビー級チャンピオンのレオン・スピンクス。そのアンダーカードとして組まれたのが「前田日明vsドン・ナカヤ・ニールセン」の一戦だ。

 荒れた少年時代や新日との軋轢を振り返る際、“セルフ語り部”となり、発信する自己プロデュース力を前田は持っている。ニールセン戦での新日の対応について、前田は不信感をあらわにした。

「ニールセン戦が決定したのが2週間前で、そんで新日本側にニールセンっていうのがどんな試合やってっか聞いてもわからない。負けるわけにはいかないから資料をくれって言ったらプロマイドが送られてきて(苦笑)」(「週刊プロレススペシャル6 プロレスVS格闘技大戦争!」/ベースボールマガジン社より)

 有田が「柴俊夫さんに似てる」と評したニールセンだが、資料が不足していた前田は相手の顔さえ把握し切れていなかった。

「最初、顔さえわかんなかったから“ドンな顔やニールセン”って言ってたんだけどね」

「ほんで試合のビデオもって言うんだけど全然くれないんだよ。(海外から試合のビデオを取り寄せて)見てみたら(キックボクシングの)現役のチャンピオンで、いま旬の選手だと。それで一番の武器はなんですかって聞いたら左のストレートだって。そこでやっとサウスポーってわかった」

 この時の前田と新日のせめぎ合いについて、できるだけニュートラルな立場で有田は解説しようとする。

「異種格闘技戦をやる以上、相手がどんな選手なのかビデオを見て研究だとか、トレーナーを付けて……っていうことをやらなきゃいけないんです。いつものプロレスじゃないですから。猪木さんは当然始めてます。でも、前田さんには来ないんですよ、資料が。これについて、前田さんは思うんです。“新日本プロレスのやり方だ”と」

「あくまで、裏読みですよ? 猪木さんはヘビー級のレオン・スピンクスに勝って、前田さんは苦戦して負けたりなんかしちゃって。そしたら、今は“前田スゲーな”となってるんだけど“やっぱ猪木だな!”と。だから、あえて比較するように異種格闘技戦を2本並べてるわけです。相手(の資料)も、あえて出さない」

 前田も、その意図については理解していた。

「ああ、これは俺へのあてつけで、差を見せてやろうっていうのがわかったから、負けられないなと思って」

■有田によるUWFの掘り起こし作業

 前田 vs ニールセン戦の試合内容について語る有田。この試合は何度も見たと、彼は胸を張る。

 1ラウンド開始早々、ニールセンの左ストレートが前田の顔面を捉えた。

「前田さん、実はそこから記憶がないらしいです。そこからは本能で闘ってたらしいです。まあ、ニールセンがいいですもんね。かませ犬じゃないです。ニールセンって強いんです。なんとか関節技に持ち込もうと足を取ろうとしてもバーンって外して、パンチ、キックを放ってくる」

 結果、この試合は5ラウンド2分26秒に、逆片エビ固めで前田が勝利を収めた。

「“スゲーな、前田!”って話になって。しかも、試合が面白いの。異種格闘技戦にありがちな膠着試合じゃないの。投げもあるし、キックもあるし」

 一方のメインイベント、猪木vsスピンクスはどうだったか?

「まず、スピンクスがすごい太ってました。動きも鈍いんですよね。ダラダラと8ラウンドまで行って、まさかの体固めで猪木が勝ったという。僕も覚えてないんです、それくらいひどい試合だったんですよ。もう一回見ようって気がないから、見たのはこの一回だけだったと思う」

 有田の感想は、当時のプロレスファンの総意だ。前田との対戦を猪木が避けたために猪木vs前田は実現しなかったが、週プロは緊急増刊号(86年10月25日増刊号)の表紙コピーで「前田、猪木に勝つ!」とストレートに断言。この一文に対して、当時の新日本から編集部へクレームが寄せられたそうだが、ファンとしては週プロの英断を評価するべきだろう。

「どうなりましたか、もくろみは? こっち(猪木の試合)が盛り上がり、こっち(前田の試合)がシラケちゃうのか。真逆です。“猪木はもう終わったな。前田はスゲエな”。その時に付いた称号が“新格闘王”。言っときますけど、猪木さんをバカにしてるわけじゃなくて、猪木さんの全盛期を越えた後だから、こういうことが起きてるわけですけども」

 プロレスの過去の名勝負を今のファンが見ても、おそらくピンとこないケースも多いはずだ。当時を生き、当時の時代性の中で生きた人が語り部となり、思い入れを盛って語ってこそ、ようやく帳尻が合うというか。

 昨年以降、掘り起こし作業が頻繁に行われるUWFだが、前田に思い入れを持つファンとしての立場から有田がUを掘り起こした回顧回であった。

(文=寺西ジャジューカ)

“西の女帝”上沼恵美子の出演番組を片っ端から見てみたら、やっぱり面白かった件

テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(12月9日~15日)見たテレビの気になる発言をピックアップします。

 今年の『M-1グランプリ』の暴言動画をめぐる騒動。9日放送の『ワイドナショー』(フジテレビ系)で、松本人志がこの件に言及していた。

「彼らは何よりも勉強不足ですよ。上沼さんという人がどれだけの人か、ホントにわかっていない。だから、勉強不足だし、勉強が不足しているということすら勉強できていないと思いますよ。やっぱ、あの人のやってきた功績考えたらすごいし。吉本ではない人で、女性目線で、ボクより先輩で当然尊敬できる人であのポジション座れる女性は、あの人しかいないので」

 上沼の審査員としての姿勢を批判したとろサーモン・久保田とスーパーマラドーナ・武智を、「勉強不足」だと断ずる松本。なるほど確かに、『M-1』の中でも上沼は、叱る人、えこひいきする人、『えみちゃんねる』の人みたいに扱われていて、芸人としての「功績」がわかりにくい感じもある。「功績」を問われる必要がなくなったポジションの人、みたいなところに追いやられているようでもある。

 かく言う僕も、漫才をしていた海原千里時代の上沼を知るわけではない。そもそも、現在放送されている上沼がMCを務める番組を、あまり見たこともない。関西に住んでるのに。

 ということで、上沼が出ている番組を、片っ端から見てみることにした。

■番組の公式レシピ本を「買わなくて結構」と言える境地

 その1。10~14日放送の『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』(テレビ朝日系)。番組名の通り、料理を作りながらゲストや料理の先生とのさまざまなおしゃべりが繰り広げられたわけだけれど、中でも屈指は10日放送回での次の発言だろう。

「分量は、みなさんレシピが出ておりますので、おしゃべりクッキングの本が出ておりますので、ぜひともお買い求めくださいまし。……まぁ、みなさんね、物入りですもんね、12月。『そんな料理の本にお金なんか使うてられへんわい!』って、いまテレビの前で叫ばれたと思います。買わなくて結構です。テレビ見てたらいいわけですから」

『おしゃべりクッキング』は1995年のスタートから20年以上の歴史を持つ番組らしい。番組ホームページによると、紹介されたレシピは4,600を超えているとか。

 そんな番組の中心でおしゃべりを続けてきたMCがたどり着いたのが、料理番組の必携品であるレシピ本を、「買わなくて結構」と言ってしまえる境地である。番組の中でもテロップやナレーションで「月刊テキスト ただ今発売中!」とか宣伝されているのに。レシピ本どころか、自身がプロデュースする鍋・フライパンの宣伝をする人もいたりするのに。

 もちろん、「買わなくて結構」なんて冗談なわけだけれど、テレビの前にいる人たちの“庶民感覚”に寄り添う姿勢を突き詰めると、そしてその姿勢を何十年も積み重ねていると、冗談であろうとここまで言えるわけである。料理番組の仕組みの解体である。すごい。

■女性視聴者の声を代弁

 その2。14日放送の『怪傑えみちゃんねる』(関西テレビ)。上沼が大平サブローとMCを務める関西ローカルのひな壇系トーク番組。先週は夫婦に関する話が多くを占めていて、たとえば妻から家事の給与を請求されたと話すU字工事・益子が、上沼に論難されたりしていた。

「お金がほしいわけじゃないの。優しさがほしいの。手を差し伸べてほしいのよ。それがないから。それか益子ちゃん、もう月1,800万円ぐらい稼げ。どっちかや」

 益子、アマゾン奥地にいるときより汗かいてたんじゃないか。

 また、仮に妻が来年亡くなるようなことがあったら、20歳ぐらい年下の女性とパートナー関係になりたい、という大平の発言を受け、上沼は次のように喝破する。

「女でそんなこと言うてみいや、どう言われる? 来年(私の)主人が逝ったら、42、3の男の人とお茶をしたり、映画を見たりコンサート行くねんなんて言うて……言うただけで、もう終わりや。な? 男って得やね。何十になったって遊んでも全然平気やんか。なーんか知らんけど、勲章みたいに思うてるやんか」

 こういった発言が、テレビの前の特に女性視聴者に訴えかけるところは大きいのかもしれない。他方で、上沼のこういったトークに対しては男性側からのツッコミもあるだろうし、上沼の男女観はアップデートされていないのではないか、みたいな話もあるかもしれない。

 でも、14日の『しくじり先生』(テレビ朝日系)で、夫・宮崎謙介の不倫を許容した妻・金子恵美(ともに元衆議院議員)に対し、「いい女」「素敵な奥さん」「最高の女性」といった声が周りの男性タレントから飛ぶ、みたいな光景を見たりすると、平成が終わろうとする現時点でも上沼の話芸がカウンターとして効いている理由が、なんとなくわかったりもする。

 ただ1点。U字工事・益子は月に1,800万円は稼げないかもしれないけれど、アマゾンの奥地で銃撃されたり、勾留されたり、猿の味を知って日本に帰ってきたりしているので、そこは少し斟酌してほしい。

■上沼の横でも何も積み重ならない高田純次

 その3。9日放送の『上沼・高田のクギズケ!』(日本テレビ系)。上沼と高田純次がMCを務める情報番組である。

 冒頭、「ちょっと一言よろしいでしょうか」と言った上沼は、例の「炎上」について話し始める。審査は自分の立場から公正に行ったこと、2人の発言について自分は特に気にしていないこと、興味もないこと、というような内容だ。それを受けて、隣の高田が言う。

「じゃあ、来年からはボクが(審査員として)出るようにしましょうか」

 高田は上沼の横でも、いつものように適当で最高だ。突然キレる高齢者の話題になったときも、こんな感じだ。

上沼「(高田さんはキレるイメージが)全然ない。20年ぐらいお付き合いしてます、高田純次さんと。マネージャーさんを怒ってるとか、スタッフを怒ってるとか全然見たことない」

高田「いやいやボク今ね、痔がキレてるんでね」

 芸能ゴシップや社会問題を扱うトークの中で、一事が万事、この調子。何も積み重ならない。積み重ならないということが積み重なっている感じ。なんだか、上沼の件にせよ何にせよ、ゴシップとかネットでの「炎上」ネタを真顔で話しても詮無い、みたいなことを、先週見たテレビの中でただ一人、徹底的に語り示しているようでもあった。ゴシップを扱う番組に出てるのに。

■「U.S.A.」ダンスへの同調圧力には屈する?

 その4。11日放送の『第18回わが心の大阪メロディー』(NHK総合)。大阪の名曲をお送りする、年に1回の特番である。司会は藤井隆と松坂慶子、そして小田切千アナウンサー。上沼はこの番組に歌手としてゲスト出演していた。

「大阪ラプソディー」を歌い上げる上沼、やしきたかじんとの思い出を語る上沼、松坂に「もし上沼さんの人生をドラマ化するときは、ぜひ私に上沼さんの役をさせていただけませんか?」と問われ、「まぁ、そんな……顔はそっくりですよ?」と軽口を叩く上沼。

 そんな上沼関連の見どころも多々あったのだけれど、個人的に面白かったのは、今年のヒット曲「U.S.A.」を出演者全員が踊るエンディング。番組では「U.S.A.浪花スペシャル」と称されていた。

 広いNHK大阪ホールのステージの中央で、DA PUMPが歌って踊る。ステージの脇で、上沼が踊る。松坂も踊る。藤井、踊る。荻野目洋子、踊る。三山ひろし、踊る。福田こうへい、踊る。May. J、踊る。リトルグリーモンスター、踊る。くいだおれ人形、踊る。Mr.オクレ、指揮棒を振る。海原はるか、髪の毛を振る。天童よしみ、当然踊る。上田正樹、まったく踊らない。

 そう、上田正樹がまったく踊らなかった。ISSAが「みんなで!」と盛り上げても、周囲がいくら盛り上がっていても、上田はずっと手拍子だけだった。

 これから年末年始に向け、「U.S.A.」を踊る芸能人を見かける機会はますます増えるだろう。東野幸治も別の番組で言ってたけれど、今年の『紅白』で五木ひろしが拳を握りながら「いいねダンス」を踊ることがあるとすれば、そのさまは必見だろう。

 2018年の今、テレビを席巻する「U.S.A.」ダンスへの同調の圧。それをはねのける芸能人を見るのは、上田が最初で最後になるかもしれない。関西では誰も逆らえない、みたいに勝手に怖がられている上沼だって、「U.S.A.」には逆らえないのだ。

 いや、それは上沼が屈服しているというよりも、与えられた役割を全うしているということではあるのだけれど。そしてそれは、若手を叱る人、みたいな番組上で与えられた役割と、審査員という役割の間でカメラの前に立つことを求められた、『M-1』での姿に重なったりもする。

 にしても、上田正樹、すごかったな。僕は五木ひろしを見ながら、上田を思い出しているだろう。そして、ちょっと楽しい気分になっているだろう。

 なんだか話がズレてしまったけれど、上沼が出ている番組をひとまず片っ端から見てみたところ、やっぱり上沼は面白かったし、何より、上沼がいなければ見なかったかもしれないテレビ番組も、面白いなと思った。

(文=飲用てれび<http://inyou.hatenablog.com/>)

 

アクションシーンが意外といい『今日から俺は!!』第9話 シーズン2への期待大?

 12月9日に放送された『今日から俺は!!』(日本テレビ系)の第9話。今回のエピソードは、開久との全面対決だ。

■秀逸なアクションシーンだからこそ、惜しいポイントがある

 三橋貴志(賀来賢人)と伊藤真司(伊藤健太郎)のせいで開久がナメられることが我慢ならない相良猛(磯村勇斗)は、何もされてないのに「開久の不良が伊藤に集団でやられた」というニセ情報をでっち上げ、番長・片桐智司(鈴木伸之)を焚きつけることに成功する。

 伊藤を待ち伏せた智司は、メリケンサックをはめ、お互いが目をつむった状態で殴り合う変則ルールのタイマンを持ちかけた。これは罠だ。バカ正直に目をつむっているのは伊藤だけ。目を開けたままの智司は、視界を塞いだ伊藤を余裕でボコボコに……。しかし、いつまでたっても伊藤は目を開けない。意地を貫く伊藤を見て、智司は心変わりした。

智司「目開けろ、伊藤。いいから、目開けろー!」

 伊藤の姿に感化された智司は、メリケンサックを捨て、真っ向勝負で伊藤とのタイマンを仕切り直した。

 実はこのドラマ、アクションシーンが意外にいい。迫力十分、心理描写も予想以上に繊細だ。原作はアクションもギャグパートも魅力的だったが、ドラマ版はギャグ(ムロツヨシや佐藤二朗など)よりシリアスパートのほうが圧倒的に面白い。今回の第9話はアクション要素多めの構成である。見どころの多い回だったように思う。

 だからこそ、惜しい場面がいくつかある。例えば、智司が目を開けるよう伊藤に促したくだり。ここ、原作はもっと熱いのだ。意地を貫く伊藤を見て揺れた智司は「テメーと勝負してみたくなったぜ」と、自らも目をつむった。お互いが視界を塞いだ小細工なしの乱打戦は続き、結果、両者ともにボロボロの状態に。この流れで、智司の「もう、いーだろ。俺の負けだ。俺は最初、目ェ開けてたからな」というセリフへとつながるのだ。

智司「テメェ……あんまバカだと、そのウチ死ぬぜ」

伊藤「意地張るといい事があるんだ」

智司「憎たらしい野郎だよ」

「相良らの捏造」から「伊藤の実直」へ心の針がグッと傾いたことのわかる描写だ。胸の内の揺れがスッと伝わった。相手に目を開けさせるのと自らがつむるとではまったく違うと、おわかりいただけただろうか?

 せっかく良く描けているケンカシーンだ。だからこそ、些細な部分が余計惜しく思えてしまう。

■カットされた名言と説得力

 三橋、伊藤、そして紅高の今井勝俊(太賀)と谷川安夫(矢本悠馬)は、4人だけで開久へ乗り込むことにした。失脚した智司に代わって頭を張るのは、相良だ。

 大勢の不良に阻まれ、相良へたどり着くことのできない伊藤たち。そんな中、「三橋をやった」という報告が相良に入った。伊藤らの眼前には、血まみれで引きずられる三橋の姿が……。

 しかし、これはやられたフリをすることで相良に近づく三橋の作戦だった。立ち上がった三橋は、驚きの表情で固まる相良に右ストレートを放ち、瞬殺ノックアウト! こうして、三橋らは開久制圧を果たした。

 ここ、惜しすぎる。絶対、もっと丁寧に描写すべきだった。前話レビューでも触れたが、そもそも原作で智司にクーデターを起こすのは相良ではなく、「末永」という男である(本来、相良はあまり地位に興味はない)。

 原作では、こんな流れだった。末永に近づくことに成功した三橋。三橋の講じた作戦に驚きの表情を見せる末永。でも、三橋は一気に行かない。

三橋「テメーをだまくらかしてマヌケ顔おがもーと思ったんよ」

 末永は、まともな勝負でも三橋に負けないと思っている。

末永「ナニ、勝ち誇った顔してやがんだよ。テメー、今どれだけのチャンスを逃したのかわかってんのか。俺らぁー智司より強え―ぞ!!」

三橋 「バカ言ってんじゃねェー!!」

「俺は智司より強い」という言葉を聞いた三橋の表情は豹変し、マジモードへ突入する。そして、三橋は右ストレートを2発。為す術がない末永は、あっけなく痙攣KOを喫した。つまり、不意打ちではないのだ。完膚なきまでの実力差を見せつけている。あっけにとられる開久勢を前に、三橋は「こりゃ、つまんねーわ」と一言。

 三橋の怒りの着火、「こりゃ、つまんねーわ」の名言、そして“千葉最強”を名乗るにふさわしい説得力をドラマ版は削ぎ落としている。どう考えても改変すべきシーンではなかった。内容的にも尺的にも、原作通りで問題なかったはずだ。惜しい。そのままで行くべきだったと思う。

■第2シーズンの可能性は?

 エンディングにて、今井がヤクザにフクロにされ、意識不明の重体に陥ったとの報告が谷川から入った。原作の最終エピソードがドラマ版の最終回に選ばれたということだ。

 ドラマ版がスタートする前、今回の実写化の成功を予想していた視聴者は少数だったと思う。しかし、フタを開けたら想定外の大ヒット。原作の最終回エピソードをドラマ版が選んだということは、おそらくドラマ版『今日から俺は!!』シーズン2は予定されていないということになる。当然だ。もともと、それほど期待されていなかったのだから。

 ドラマ版で描かれていない秀逸なエピソードは、いまだ数多い。これは、原作ファンにとっての無念だ。“修学旅行編”を描けば中野誠が登場するし、“埼玉編”を描けば高崎秀一が登場する。今井に恋する森川涼子(通称“バナナ女”)や、正義感あふれる赤坂道場の門弟・田中良(通称“良くん”)の不在も残念だった。特に中野だ。開久との全面対決や最終回エピソードに中野がいないのは、原作ファンにとって不完全なのだ。

 それらの無念さと、今回獲得した数字的な成功、世間の空気感も含めて考慮すると、『今日から俺は!!』シーズン2の可能性が急上昇している気がしてならない。

 これは、願望込みでもある。あの輪の中に中野がいてほしい。ケンカレベルは三橋&伊藤と同等クラス、一匹狼を貫き、窮地の時にはニヒルに助太刀に入る彼。男の子の琴線を絶妙にくすぐる超重要キャラクターである。ドラマに登場しなかったことで、どれだけ中野を好きだったか、我々は逆に気づかされたというか。だからこそ、第2シーズンでの中野の登場を待望している。

(文=寺西ジャジューカ)

 

テレ朝『ナニコレ珍百景』『ポツンと一軒家』が日テレを捕らえた! 『DASH!!』『イッテQ!』は沈没へ……

 10月までなら考えられなかった事態が起きている。他局をまるで寄せ付けない絶対的な強さを誇っていた、日本テレビの日曜ゴールデン帯が、テレビ朝日に抜き去られる日が目前に迫ってきたようだ。

 9日、日テレの同時間帯の視聴率は午後7時台の『ザ!鉄腕!DASH!!』が12.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、8時台の『世界の果てまでイッテQ!』が14.6%、9時台の『行列のできる法律相談所』が12.3%といずれも低調だった。

 一方、テレ朝は7時台の『ナニコレ珍百景』が12.1%、8時台の『ポツンと一軒家』が14.1%と日テレにかぎりなく肉薄。9時から放送された『フィギュアスケートグランプリファイナル2018 女子フリー』は17.4%を取って、特番ながら同時間帯トップに立った。

 そのほかの局では、フジテレビ系で7時から10時24分までオンエアされた『Cygames THE MANZAI 2018 マスターズ』が11.7%で、まずまずの健闘。

 TBS系の『坂上&指原のつぶれない店』2時間スペシャルは7.0%で惨敗。9時からの連ドラ『下町ロケット』(阿部寛主演)第9話は12.6%と伸び悩んだ。

 NHK大河ドラマ『西郷どん』(鈴木亮平主演)第46話は最終回目前ながら、11.4%と振るわなかった。

 4月から月イチレギュラーに昇格し、着実に8~9%台をマークしていたテレビ東京の『緊急SOS!池の水ぜんぶ抜く大作戦~全国一斉!謎の巨大魚ぜんぶ捕る!~』(7時54分~9時54分)は5.2%しか取れず、大惨敗を喫した。

「日テレが下降線をたどった原因は明らか。『DASH!!』は山口達也が脱退したことで人手不足に陥り、TOKIOのメンバーがなかなかそろわないうえ、マンネリ。新企画もパッとしません。『イッテQ!』はいうまでもなく、『週刊文春』(文藝春秋)による“ヤラセ報道”があってから、視聴者の信頼を損ねてしまった。それに伴い、視聴率は一気に落ちてしまいました。ただ、テレ朝の浮上は日テレの自滅だけが要因ではありません。なんといっても、10月からレギュラーに昇格した『一軒家』が大好評で、これが大きいのです。安定した視聴率をマークして、『イッテQ!』と互角に戦い、9日は0.5ポイント差まで迫りました。それに連動するように、レギュラー番組として復活した『珍百景』も予想以上の健闘ぶりを見せ、『DASH!!』を捕らえようとしています。日曜の夜といえば、まったり気楽にテレビを見たいという視聴者も多いわけです。そういった層には、『珍百景』『一軒家』はピッタリ。視聴者のニーズに合った番組を提供する、テレ朝が実力で高視聴率を取っているだけに、日テレを逆転する日も近いと見ていいでしょうね」(テレビ誌関係者)

 日テレの日曜といえば、午後5時30分放送開始の『笑点』から、10時スタートの『おしゃれイズム』まで、他局にチャンネルを替えさせない強さがあったが、それも完全に分断された。『一軒家』の人気はホンモノなだけに、この流れはもはや止めようがないようだ。
(文=田中七男)

36歳未婚彼女ナシ男が、10年ぶりに『あいのり』を見た正直すぎる感想

 

人気恋愛ハウツーブログ「ハッピーエンドを前提として」(https://www.zentei-happy-end.com/)のウイさん(36歳未婚彼女ナシ)が、青春時代に夢中になった『あいのり』の新シリーズをウォッチ! 

 

 今、いわゆる「恋愛リアリティショー」が人気を博しています。『テラスハウス』に始まり、『バチェラー』『恋んトス』『オオカミくんには騙されない』、さらにはクロちゃんの『モンスターハウス』もあります。僕は36歳なのですが、今の30代が青春時代まっただ中だったころに夢中になった恋愛リアリティショーの元祖といえば『あいのり』でしょう。

 フジ月9ドラマから『SMAP×SMAP』を見て、『あいのり』で締める流れは、当時の僕たちにとって月曜日の大事なルーティーンでした。平均視聴率15.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、最高視聴率20.4%という、日本中の若者がピンク色のワゴンで男女7人が世界中を旅しながら恋をする様子を見守りました。2009年に地上波放送が終了し、僕たちにとって『あいのり』が過去のものとなり、ずいぶんと長い時間が流れたある日、「Netflix・FODで『あいのり Asian Journey』として再スタートした『あいのり』のレビューを書きませんか?」という依頼が。受けたはいいものの、心配しかありませんでした。僕が見ていた『あいのり』は、出演者のほとんどが年上。自分より少し年上の大人たちが繰り広げる恋愛に抱いていたワクワク感を、立派な36歳、しかもいまだ独身のおっさんになった僕が楽しめるのか?

 案の定、不安は的中します。早速シーズン1を見始めるも、「おぼこいな」という印象が拭えません。若い男女のやりとりに「え? 僕、今、何見せられてんの?」という、こちらが恥ずかしくなる展開ばかり。それどころか、ツッコミどころ満載なのです。

「いつまで女子にビットコインの話してんだよ、この男は」

「待て待て、なんだ米粒のネックレスって。何かあるだろ、ほかに」

「泣くな! 自作の歌で泣くな!」

「ハト胸って言うか、なで肩だよね」

「出会ってたった6日の人に告白するの!? なにその判断。Netflixだって1カ月無料でお試しできるのに?」

 10代の頃はあんなに夢中になっていた『あいのり』に、僕は上から目線でツッコミを入れることでしか楽しめなくなってしまったのか? でもそれは、さまざまな恋愛を経験した僕が成長した証しなのか? 『あいのり』を見ていた頃は無垢だった証しなのか? 

 しかし、ストーリーが進むにつれ、『あいのり』から目を離せなくなっている自分に気づきました。いや、相変わらずツッコミは入れるんです。もう3分に1回は「なんだそりゃ」と無責任に上から目線でツッコんでる。

 僕が夢中になった要因は主に3つ。

■修羅場シーンも普通に放送

 恐らく、地上波の『あいのり』ではカットされていたであろう修羅場が、普通に放送されるのです。「え? これ大丈夫?」というシーンがナチュラルに流れます。これがエキサイティング。ネット配信のいいところは、地上波ではNGがOKなところ。時には思わず「まじかよ」って声が出ます。例えば、ある女子が男子に切れて「貴様! コラァ!!」って怒鳴り、グーで殴りかかります。「ガチンコファイトクラブ」なんか目じゃない。女子が「貴様」っていう二人称をナチュラルに使います。そしてグーパンです。言い争いから逃げる男あるあるの「すべて僕が悪かったです。はいさようなら」という捨て台詞あり、「お前待っとけよ! 逃げんなよ!」という暴言あり、過呼吸あり。どんどん変わる怒りの矛先と、訳も分からず集合させられる男女。今から恋しようっていう男女がですね、ぶつかりまくるわけです。できます? 恋。キレたら「貴様!」って言って殴りかかってくる女子に、恋心抱けます? これは断じてヤラセではない。これらの修羅場のシーンだけでもいいので、みなさんにもぜひ見ていただきたい。きっと新『あいのり』夢中になれるはずです。

■メンバー選考が攻めている

 これもネット配信だからでしょうか。メンバーが明らかに地上波時代より攻めている。親の虐待が原因で18歳まで施設で育った女子、28歳童貞(童貞と公言していないけど絶対に童貞)、「面白いことが言えない」と泣きだす新人芸人のような女子、1曲だけオリジナルソングを披露して旅をリタイアする謎のイケメンなど、「個性派」という言葉では収まりきらないメンバーばかり。恋愛の行方をスタジオで見守るメンツも絶妙です。過去に不倫をしていた女子が出れば、オードリーの若林がベッキーに「不倫といえばベッキーさん、どうですか」と平気で振ります。「真実の愛を探す番組・あいのり」は、Netflix で、本当の意味でリアリティを得たのです。

■あいのりメンバーとの「世代の違い」

  新シリーズは「え? なんで告白OKじゃないの?」「え? なんでこのタイミングで告白するの?」「え? なんでそっちに告白するの? あっちじゃないの?」という驚きの展開の連続です。たぶんですが、この原因のひとつは、旧あいのり世代である僕たちとの「世代の違い」です。20代前半が多い『あいのり』メンバーのほんどは、自分の気持ちが100%になったら告白するのです。相手が今何%なのかなんて、大きな問題ではない。当然「こっちはまだ100%じゃないよ」と振られる。結果、「番組成立してる? 大丈夫?」と不安になるほど、全然カップルが誕生しない。若い彼らには何度だってやり直しができるから、振っても振られても大丈夫なんです。僕らが「次付き合う人とは結婚しなきゃ」「もう5年も付き合ってるから、結婚してくれるでしょ」という守りに入っている中、『あいのり』のメンバーは「100%の気持ち」という名の若さがあるからこそ振るえる愛の暴力で殴り合います。

 さて、好き勝手言ってきましたが、ここで考えなければいけないことがあります。「僕たちは、彼らにとやかく言えるほどの恋愛をしてきたのか」ということです。面と向かって、一人の異性に100%の気持ちを声に出して「好きだ、大好きだ!」と伝えてきたのか? 地上波の『あいのり』を見て純粋な恋愛に憧れたはずなのに、おそらく多くの人は「あの頃の未来に僕たちは立っているのかな」の問いには「NO」と答えざるを得ないはずです。彼らに胸を張れるような恋愛を、僕たちはしていない。大人になり、賢く、ずるくなってしまい、傷つかないように、恥をかかないように、変なやつと思われないように、なんでもかんでもスマートに終わらそうとしてきたのではないか――。

 大人になって、まるで手かせ足かせをつけられたような恋愛をしている旧あいのり世代に僕は言いたい。今すぐ『あいのり』に戻りましょう。彼らは、全身で、全力で恋愛をしています。人間臭くて、みっともないシーンもあります。でも、本来、人間の恋愛はみっともないものだったはずです。泣いたり、怒ったり、嫉妬したりしながら、みっともない部分を赤裸々にさらけ出す魅力が、地上波という呪縛から解き放たれた『あいのり』にはあります。僕たちがするはずだった恋愛を、人間臭さを爆発させた、まるで至近距離で殴り合うような恋愛を見て、ツッコんだり、驚いたり、懐かしんだりしながら、自分がするべき恋愛を思い出しましょう。

 そして、シーズン2です。シーズン1で残っていたメンバーに新しいメンバーが加わります。29歳童貞も登場。どうやら、新しい『あいのり』には「童貞枠」があるようです。処女もいました。コンシーラーやビューラーを持ち歩く男子もいるし、シーズン1で猛威を振るったあの女子もいます。元気そうです。これは修羅場が期待できるな……と期待してたら、早速やらかしてました。あまりネタバレするといけませんので割愛しますが、期待できるメンツです。

 最後に、曲がりなりにも恋愛ハウツーブログがきっかけでレビューを書く機会をいただいた身として、ひとつだけ僕なりの意見を述べます。

 シーズン2、エピソード5のラストシーン。ある告白が残念な結果に終わります。それはしょうがない。でも、ここからが重要です。振った側が振られた側に、最後に手紙を渡すのです。「今までありがとう」という感謝の気持ちが綴られた手紙です。オンエアでは読み上げられることはないのですが、一瞬画面に映った手紙に僕は思わず「ちょっと待て」と巻き戻し、手紙が映るシーンで一時停止させました。やはり、見間違いではありませんでした。手紙には「また会おうね」のメッセージが書かれていたのです。

 だからさ、そういうところなんだよ! 振る側のマナーとして、絶対にしてはいけないのは「優しさを見せること」なのです。いや、いいんです。『あいのり』で手紙を渡したのは若者なので。きっと純粋な優しさです。問題は僕たち大人です。例えば、付き合っている恋人に別れを告げるときに、最後の最後にいい人になろうとしてはダメなんです。「あなたのことを嫌いになったわけじゃないんだけど」や「友達に戻ろう」や「距離を置こう」という振り方は最悪です。自分を「いい人」にしたいのか、男性なら別れても身体の関係だけは続けたいがための卑劣な言葉です。相手は、そのわずかな希望にすがってしまいます。別れるってことは、振られる側はもちろん、振る側も無傷ではいられません。大人なら、ちゃんと傷ついて、傷つけて、別れましょう、相手がきれいに散れるように。

◆毎週木曜新エピソード配信中『あいのり Asian Journey SEASON2』<https://www.netflix.com/jp/title/80174280>

 

 

 

『獣になれない私たち』、全話平均8.7%で不発! 「1話で済む話じゃ?」と非難轟々

 新垣結衣と松田龍平がダブル主演を務めた連続ドラマ『獣になれない私たち』(日本テレビ系)の最終回が12月12日に放送され、平均視聴率8.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録。最後まで数字が振るわなかった上、ネットユーザーからも不満の相次ぐエンディングとなった。

「同ドラマは、クラフトビールバーで出会った深海晶(新垣)と根元恒星(松田)の“ラブかもしれないストーリー”を展開。脚本を担当する野木亜紀子氏は、2016年の連ドラ『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)でも新垣とタッグを組んでいて、こちらは最終回20.8%、全話平均も14.5%をマーク。そのため今作にも期待が寄せられていたものの、全話平均8.7%とコケてしまいました」(芸能ライター)

 最終回は、勤務先の社長・九十九剣児(山内圭哉)の業務方針に抗議するも「お前がいなくても会社はどうにでもなる」と言われた晶と、家族を救うために加担した粉飾決算から抜け出せずにいた恒星が、それぞれ傷心、関係を持った夜について話し合った。そんな中、恒星の元恋人のデザイナーでモデルの橘呉羽(菊地凛子)が男性関係でバッシングを浴びていることで、謝罪会見を開く。これを見届けた晶と恒星も、それぞれの決断を下す……という内容だった。

「ネット上では『毎回イライラ&モヤモヤするドラマだったけど、最終回はスカッとできますように!』と言われていました。まず、当初から九十九が晶をこき使う様子に『完全にパワハラ』『見ててつらくなる』といった声が飛び交い、『最後は九十九をギャフンと言わせてほしい』と願う者も多かったんです」(同)

 しかし、実際に晶が退職届を提出する場面でも、九十九は相変わらず怒鳴り散らしていた。結局、晶の同僚たちが拍手で後押しする流れで退職話が片付いてしまい、ネット上は「何これ? 社長は変わらずじまい?」「10話かけてやっと退職……。でも、グダグダ引っ張ったわりにはスッキリしない」「晶が辞めて解決するなら、1話で済んだだろ」「みんなで拍手とか寒すぎ。こんな職場ないから」などしらけムードが広まった。

「一方、恒星も粉飾決算から手を引き、自身に不正を強要していた高梨(松本博之)を殴って立ち去りましたが、『ベタな展開だなぁ』『脚本が雑。最終回がこれでいいの?』『松田のファンだからここまで頑張って見てたけど、残念な役とドラマだったね』『松田とガッキーの無駄遣い』といった書き込みが寄せられていました」(同)

 そんな晶と恒星のラストシーンも“手を繋いで終わり”だったため、「ラブストーリーまで消化不良」「このドラマは一体何を伝えたかったの?」「結末が謎のドラマ」との批判が噴出。とにかくビールを飲む場面が多かったことで「ビールのドラマだったのかな」「ビールドラマ……。むしろビールの長いCMだったのでは?」というように、内容よりビールの印象のほうが強かったようだ。