遠征代は生命維持費!?『ねほりんぱほりん』“羽生結弦で人生変わった人”特集が深い

 3月6日放送の『ねほりんぱほりん』(NHK)に、“羽生結弦で人生変わった人”が登場。さまざまな名言が生み出され、ファンからは「“わかる”しか言えない」と共感の声が相次いでいる。

 この日の番組に集まったのは、ハルさん、ユミコさん、メイさんの3人。まず最初にファンになったきっかけが聞かれたのだが、いきなり“ソチ落ち”という用語が飛び出した。トークによると、メイさんは“ソチ落ち”でユミコさんは“ピョン落ち”。2014年のソチ五輪でファンになった人が“ソチ落ち”で、昨年の平昌五輪でファンになった人を“ピョン落ち”と呼ぶという。

 その後も羽生に対する並々ならぬ愛を語っていく3人。例えば羽生がきっかけで介護士になった元ヤンのメイさんは、試合を見るための旅費などにこれまで500万円ほどつぎ込んできたとのこと。さらに彼女は羽生関係に使う資金を生活費とは別の銀行口座にためているのだが、この口座には“生命維持費”という名前がつけられている。

「かなりのお金を散財してきたようですが、メイさんは『でもタダなんですよ』と断言。どうやら羽生に使うお金は生命を維持するために必要不可欠なので、“実質タダ”ということらしいです。かなりのトンデモ理論ですが、羽生ファンからは『羽生くんの試合を見ないと生きていけないし、“実質タダ”なのはすごいわかる!』『最悪ちょっとくらいご飯食べなくても生きていけるけど、羽生くんが観れないと死ぬ』と共感の声が。また他のジャンルに熱中している人からも、『実質タダ理論って、どのオタクにも共通している気がする』『アイドルファンだけど実質タダ理論に救われた』との声が寄せられていました」(芸能ライター)

 さらに番組では“出待ち”について、「羽生さんってアスリートなんですよ」「私たちは羽生さんの人生を見させていただいている側」「羽生さんさんが見せる所、見せない所ってあると思う。見せない所を無理に出待ちとかして見に行ったりするのはマナー違反」と語る場面が。こちらの発言にもオタク界隈から絶賛の声が上がっている。

「近年King & Princeファンの出待ちで新幹線が遅延する騒動など、ファンの迷惑行動が数多く報じられています。またアイドル本人がファンのストーカー行為に苦言を呈したケースもあり、生活に支障をきたしてしまうことも。そのため“推し”のプライベートを尊重する羽生ファンには、『ファンならばこうあるべきだよね』『羽生くんはファンもマナーが良いんだな』と称賛されていました」(同)

 純粋に“推しの活躍”を応援する羽生ファン。やはり羽生自身の人柄の良さも、ファンの質が高い要員なのではないだろうか。

新メンバーのピンチヒッターで番組ADが急きょ参戦!? 『あいのり』グダグタすぎる展開にがっかり……

人気恋愛ハウツーブログ「ハッピーエンドを前提として」(https://www.zentei-happy-end.com/)のウイさん(36歳未婚彼女ナシ)が、青春時代に夢中になった『あいのり』の新シリーズをウォッチ! 

<※これまでのあらすじはこちらから>

#17 去り方にこそ人間の本質が現れる――AI、華麗に散る

 いよいよ東大卒のエリート・AI(エーアイ)が、博多の狂犬・でっぱりんに告白するところから幕を開けたエピソード17。生まれて初めて書いたというラブレターを読み上げるAIですが、なんでだろう、ラブレターとでっぱりんの顔を交互に見るAIの顔が過去一番ブサイクです。これまでの輝きを失っているような……。常に冷静でスマートな立ち振る舞いだった知的な男を、人間臭い「告白」という行為がそうさせているのでしょうか。知識で武装しても、本番に弱いタイプだったのか? でも、そんなAIにめちゃくちゃ好感が持てます。

 しかし、告白の最中から、“あ、これダメだな。振られるな”ということがわかってしまいます。でっぱりんがずっと泣いているんです。OKする気なら、ケタケタ笑ってるはず。告白された時も、その日の夜も、翌朝も、ずっと泣いてる。告白を断るのが視聴者にも丸わかりなのです。なんてわかりやすい女、でっぱりん。

 案の定、AIは振られてしまうのですが、最後はあっぱれでした。でっぱりんとの別れ際「最後に一言だけ言わせてもらってもいい? 泣き顔もかわいいね」と一言。これはかつて、でっぱりんが落ち込んで泣いている時にAIが秒で笑顔にした名ゼリフなのですが、これを使うことで最後に強いくさびを打ち込んだはずです。今後どうなるかわかりませんが、でっぱりんが失恋して日本に帰っても、誰かと結ばれて日本に帰ってから別れても、真っ先にAIに連絡すると思います。僕は人間の価値は別れ際に現れると信じていますが、AIは最後まで完璧な立ち振る舞いでした。AIの旅の唯一のエラーは、恋した相手がでっぱりんだったことです。

 AI、今ごろ日本で友達から「お前、でっぱりんかよ。なんで?」って言われていると思うけど、大丈夫。君には、もっと穏やかで優しい女性が必ず現れる。素晴らしいフォロワーとなる大人の女性が現れるから。そして、その時気づくはず。でっぱりんじゃなくてよかった、と。

 でも、できれば結ばれてほしかったです。もっと正確に言うと、でっぱりん中心に回る『あいのり』に飽きてしまいました。ようやくでっぱりんや修羅場に頼らない新しい『あいのり』の幕開けが見られると思っていたのに……。そこだけが残念です。

#18 トムが桜子にアタック開始も、あいのりは”でっぱりん劇場”で終わってしまうのか

 AIを降ろしたラブワゴンは中央アジアのキルギスを進みます。しかし、ここで問題が。冒頭「キルギスはあいのりシーズン2最後の国」というアナウンスがされるので。非常にまずい展開です。このまま終わったら『あいのり』は男女7人、真実の愛を探す旅ではなく“福岡の狂犬でっぱりん劇場”で終わってしまうのです。僕たちが10代の頃に夢中になったのは、主役がコロコロ替わる『あいのり』でした。このままでは、ずいぶんと違うものになってしまう気がします。

 そのでっぱりん、AIを振ってから元気がありません。美容師の英くん(今さらですが、ガンバ大阪の元日本代表、遠藤選手に似てきた。つまりガチャピンにも似ている)とさっさと結ばれて帰ればいいのに。AIロスでしょうか。もし、この先シーズン1のように、ラブワゴンでは結ばれなかった2人が日本で再会して結ばれるような演出をシーズン2でもやったら、めちゃくちゃ失望しますけどね。非日常で旅をしながら結ばれる、という『あいのり』の根源を揺るがしかねません。

 しかも、でっぱりんは英くんにAIのような立ち振る舞いを求めます。「英くんは優しいイメージしかない。怒ったりしたところ見たことない」と言うのです。つまり、AIのように泣いたり怒ったりしなさい、というメッセージです。感情の表現には個性があり「これが正解」なんてものはないはずなのに、自分が振った男の長所をほかの男に求める。ますますアンチでっぱりんになってしまいそうです。英くんも、いつも眠そうな目を早く覚ませばいいのに。

 新メンバーにもがっかりしました。心底がっかりしました。呼ぶ予定だったメンバーが土壇場で来られなくなったという理由で、『あいのり』の童貞AD・たいぞーがメンバーとして入るのです。しかも、たいぞーはカザフスタンから同行していたため、メンバーとはすでに顔なじみ。そもそも、急に来られなくなるような可能性のある人物を採用したりするのでしょうか? 無理があります。キルギスが最後の国だから、新メンバーを呼ばなかったのでしょうか? とにかく、めちゃくちゃシラけます。過去最低の展開。全然面白くもなんともない。こんな展開だったら6人のまま旅を続け、それぞれができる限りの結末を迎えてほしかった。

 そんな中、ようやく泣き虫パティシエのトムが劇団主宰・桜子にアタックを開始するのですが、ここでもでっぱりん。トムを呼び出し、アドバイス。決してでっぱりんが悪いわけではないのです。でっぱりんに依存し、そこから抜け出せない『あいのり』の展開に疑問を抱いてしまいます。ずいぶんと前から桜子、みゃあ、じゅんきという、めちゃくちゃ個性的でポテンシャルを持ったメンバーが完全に脇役扱いにされてしまっているのです。

 そして、最後の最後に、エピソード1に登場していたシャイボーイの登場。なかなかインパクトが大きいメンバーだったので「お? どうした?」と思いましたが、再登場の理由が「英くんとなかなか進展がないでっぱりんのピンチを救うために歌を届けに行く」とのこと。ここでもでっぱりん……。

 恐らくあと3話前後で、シーズン2は終わりを迎えます。このまま“でっぱりん劇場”で終わるのか、視聴者が驚くような展開があるのか、いちファンとして見守りたいと思います。

◆毎週木曜新エピソード配信中『あいのり Asian Journey SEASON2』<https://www.netflix.com/jp/title/80174280>

 

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『ゴロウ・デラックス』が打ち切り!? “最後の砦”崩壊に悲しみの声続出!

 3月5日に行われたTBSの番組改編説明会で、『ゴロウ・デラックス』(TBS系)の終了が発表された。良質な番組だっただけに、SNSなどでは悲しみの声が上がっている。

 同番組は元SMAPの稲垣吾郎がMCを務める番組で、“本”について幅広く紹介するブックバラエティ。中々地上波では見ることができない作家もゲストに登場し、貴重な裏話などを語っていた。そんな『ゴロウ・デラックス』の打ち切りが発表され、編成部企画統括の石丸彰彦は「GP(ゴールデン・プライム)帯に打って出る深夜番組を作るため」と理由を説明。約8年の歴史に幕を下ろすという。

 今回の発表にはかつて番組に登場したゲストも反応しており、詩人で作家の最果タヒもTwitterで「清川あさみさんが共著『千年後の百人一首』で出演されたときも、私の書いた訳をどう引用するかで、本当にとても丁寧に検討してくださって、感動したんです。そしてそれは自分が出演したときも変わらずで、出演して本当に本当に良かったと思える番組だったのに…」とコメント。確かに同番組は、以前から“質の高さ”で多くの評価を集めていた。

「SMAP解散を機に“退社組”の番組は相次いで終了したのですが、『ゴロウ・デラックス』だけは今に至るまで継続。昨年10月の改編説明会では、編成部企画統括の石丸が『良質で本当にいい番組』『閉じる理由がない』などとコメントしていました。ファンも安心しきっていただけに、今回の終了発表には『なんで終わらせるのかわからない』『ゴロウ・デラックスをゴールデンに進出させるのはダメなの?』『唯一無二の番組なのに、数字を理由に終わらせるのはもったいない』との声が。また稲垣のファン以外の層からも、『本好きとしてもこの番組が終わるのは悲しい』『SMAPやジャニーズは全然知らないけど、純粋にいい番組だから見てたのに……』と悲しみの声が相次いでいます」(芸能ライター)

 数ある深夜番組の中で、何故『ゴロウ・デラックス』が切り捨てられてしまうのか。ネット上では様々な臆測が囁かれているという。

「やはり多いのは、『ジャニーズ事務所への忖度があったのか……』という声。これまでも『おじゃMAP!!』(フジテレビ系)や『「ぷっ」すま』(テレビ朝日系)など数々の番組が終了してきましたが、『ゴロウ・デラックス』が終わることで“3人”の地上波レギュラーはほとんど無くなることに。あまりに露骨な冷遇っぷりで、ファンの不信感が募るのも無理はないでしょう」(同)

 現在はネット番組などで活躍している退社組の3人。少しずつ前に進んでいるように思えるが、地上波への完全復帰はまだまだ先になりそうだ。

『羽鳥慎一モーニングショー』転覆危機! 新アシスタントに“ド新人”の元乃木坂46・斎藤ちはる起用

 テレビ朝日系の朝の情報番組『羽鳥慎一モーニングショー』が、3月いっぱいで降板、退社する宇賀なつみアナに代わり、4月1日より新人の元乃木坂46・斎藤ちはるアナウンサーを、新アシスタントに起用することが明らかになった。

 斎藤アナは昨年7月16日まで乃木坂に在籍。3月に明治大学文学部を卒業予定で、同局入社が内定している。現在アシスタントを務める宇賀アナも、入社日当日から、『報道ステーション』の気象キャスターに大抜擢を受けているが、さすがに入社早々、情報番組の進行担当に起用されるのは異例中の異例だ。

「民放局の場合、入社後、最低でも3カ月は研修期間に充てるのが通例。早ければ、7月から担当番組をもつケースもありますが、一般的には徐々に慣らしていき、改編期の10月から本格的にデビューさせる場合が多いです。宇賀アナのケースは天気担当でしたから、用意された原稿を読めばよかったわけですが、研修を吹っ飛ばして番組進行をド新人に任せるというのは前例がないんじゃないでしょうか。明らかに話題性優先の起用になります」(女子アナウオッチャー)

 近年、女子アナに関しては、どの民放局も無名の新人より、ミスコンやタレント出身者を“即戦力”として採用することが多くなった。話題性はもちろんだが、場慣れしている点やルックスのよさは大きな魅力だ。日本テレビは斎藤と同じ元乃木坂の市來玲奈アナを昨年4月に採用。いきなり、『行列のできる法律相談所』、『news zero』といった人気、注目番組の担当に起用したが、それでも6カ月間の研修期間をしっかり経てのものだった。入社日に『モーニングショー』担当となる斎藤アナの場合は、放送終了後、ほかの新人アナと共にトレーニングに参加すると思われるが、アナウンサーとしての基本ができていないまま、番組進行にチャレンジすることになる。

「『モーニングショー』は羽鳥アナと宇賀アナの人気に支えられています。そのうちの一人である宇賀アナがいなくなるわけですから、相応の新担当を付けるべきだったのですが、テレ朝は話題性、人気重視に走ってしまいました。アイドルをやっていたからといっても、番組進行なんて未経験ですから、羽鳥アナに過剰な負担がかかるのは目に見えています。若年層が見る番組ならともかく、この時間帯の主たる視聴者層は主婦、高齢者。元アイドルのネームバリューは、ほとんど通用しないと思います。まして、斎藤アナの知名度は、市來アナより劣りますし、視聴者的には『誰?』ってことになりかねません。宇賀アナ目当てで見ていた視聴者は、裏番組に乗り換える可能性も高いでしょうね」(テレビ関係者)

『モーニングショー』は、同時間帯の民放横並びで、2017年、18年と2年連続でトップを取っている人気情報番組で、真の王者『あさイチ』(NHK総合)の視聴率を上回る日もあるほど。しかし、こんな人事をしていたのでは、自ら転覆するようなもの。他局にとっては、『モーニングショー』を追い抜くビッグチャンス到来といえるかもしれない。
(文=田中七男)

おぼん・こぼん”解散ドッキリ”の困惑を解きほぐす、小籔千豊の”長尺語り”というスパイス

テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(2月24~3月2日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

■平野レミ「シチューもカレーもそうだけど、一晩寝かせるとさ……」

 平野レミの料理は雑である、ということになっている。まな板に叩きつけられる食材、調理台に飛び散る調味料――。そんな様子を見ていると、確かに「雑」という言葉が頭に浮かぶ。生放送で平野がとにかくたくさん料理を作る、というような番組をNHKで定期的にやっているけれど、そんな時間制限のもとでは雑さにさらに拍車がかかる。食材が立ったりもする。

 だが、平野の魅力はそこだけではない。父はフランス文学者、夫はイラストレーターでエッセイストである。身の回りには文化的なあれやこれやがあり、平野もそれを吸収してきたはずだ。だからだろうか、平野の言葉はときに文学的になる。

 2月26日放送の『ごごナマ』(NHK総合)では、大根を使った料理を披露していた。いつものように平野のテンションは高く、ついついそこに目を奪われてしまいがちになる。けれど、彼女の口から出る言葉は、やはりしばしば詩的な響きを帯びる。たとえば、「いつも元気なレミさん。気分が上がらないときはあるのですか?」といった視聴者からの質問に答えたときのこと。平野は「たいていワイン飲んじゃうね」と、次のように続けた。

「シチューもカレーもそうだけど、一晩寝かせるとさ、気持ちがマイルドになって、でっかい気持ちになっちゃって。だから嫌なことがあったら一晩寝るの、ワイン飲んで。そうすると次の日は、『なーんでもない、昨日のことは』ってなっちゃうねー」

 嫌なことがあったら、お酒を飲んで一晩寝れば忘れる。それだけのことといえばそれだけだが、シチューやカレーに例えるところが詩的であり、かつ、料理愛好家っぽい。同様の話を別のところでは「時間も調味料」というような表現もしていた。なるほど、時間制限を課された平野がいつもより数割増しで面白くなるのも、時間という調味料が効いているのかもしれない。

 さて、この日はトークを交えながら50分の番組で大根料理を5品仕上げた平野。調理器具と調理器具がぶつかって派手な音を立てていた。調理台の上にはしょう油なのかソースなのか、茶色い液体が飛び散っていた。汁物を作ると、いつの間にか鍋の周りにこぼれていた。これだけ見ると、確かに平野は雑である。

 だがしかし、一度レミパンを手にするとどうだろう。どこまで知られているのかわからないけれど、レミパンにはさまざまな機能がある。たとえば、フタは自立する。持ち手の部分は、レミパンとセットで購入できる専用のおたまとかがピタッとくっついて置ける仕様になっている。フタの取っ手には菜箸などを一時的に入れておく穴もある。つまり、調理中にいったん使わないフタや菜箸などを調理台にじかに置かなくてよい、清潔で機能的な調理を可能にするグッズがレミパンなのだ。

 で、平野はそんなレミパンの機能を存分に使う。おたまや菜箸は調理台の上に乱雑に置かれることなく、レミパンの然るべき場所に収められていた。この日はどの食材も立てられてはいなかったけれど、鍋から外されたフタはキレイに立てられていた。

 平野の料理は雑である。しかし、自身が販売するレミパンの使用は丁寧だ。各局を渡り歩き、料理番組をあたかもレミパンの通販番組にしてしまう平野。そんな実業家としての側面もまた、彼女の魅力である。

■こぼん「テレビのエンタテインメントとしては面白くもなんともないでしょう」

 芸人に仕掛けられるドッキリの定番のひとつに、解散ドッキリがある。辛苦を長年ともにしてきた相方から唐突に解散を告げられたら、どう振る舞ってしまうのか? 宣告された側の困惑。浮かび上がる相方との関係性。にじみ出る芸人観。隠しカメラを通して伝えられる、そんなこんなを味わうドッキリである。悪趣味といえば悪趣味だが、ドッキリは総じて悪趣味だ。

 そんな解散ドッキリを、若手や中堅ではなく、長年連れ添ってきた師匠クラスの芸人に仕掛けるとどうなるか? 2月27日放送の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で、「芸人解散ドッキリ 師匠クラスの方が切ない説」が検証された。シチューやカレーのように一晩どころではない。一緒に芸の道を歩み始めて数十年という時間の長さが、このドッキリの最大の調味料である。

 説検証にあたり、用意されたサンプルは2組。問題だったのは、2組目のおぼん・こぼんである。今回のドッキリの見届け人であるナイツいわく、結成して53年になる2人は仲が良い時期と悪い時期を繰り返しており、現在は最悪。8年間私語を交わしていない状態らしい。そんななか、解散ドッキリが行われた。前置きからしてしびれる。

 仕掛け人であるおぼん(70)が会話を切りだす。が、「オレがなんで怒ってるか、オマエわかるか?」と、いきなりのケンカ腰である。もはや初めからドッキリを仕掛ける姿勢ではないわけだが、それに対しターゲットであるこぼん(70)も、「アンタのことはわからん」「もうええ」というように、おぼんの言葉にまったく聞く耳を持たない。つまり、こちらもケンカを受けて立つ構え。50数年前の結成時の話が蒸し返される。漫才協会の業務の話題にもなる。この場の空気にいたたまれなくなったマネジャーも席を立つ。そして、とうとうこぼんが口にする。

「すっきりしましょう」

 おぼんがドッキリで解散を告げるはずだったのに、こぼんがリアルに解散を提案してしまったのだ。

「テッテレー」と効果音が鳴り、「ドッキリ大成功!」のプレートを持って登場するナイツ。しかし、「シャレになるドッキリとならんドッキリあるで、これ」と言い、ナイツにおしぼりを投げつけるこぼん。そして、ドッキリのバラシがあったにもかかわらず、「一言謝れや」と、なぜかケンカを続けるおぼんであった(カメラがいったん引いた後の話し合いで、おぼん・こぼんの解散は回避されたそうだ)。

 今回のドッキリ、仕掛けたのは誰で、仕掛けられたのは誰だったのだろう? 予告ドッキリ(ターゲットになる芸能人に、ドッキリであることを事前に予告しておくドッキリ)など少しひねったドッキリも少なくない中で、『水曜日のダウンタウン』はこれまでも他に例のないいちだんとひねったドッキリを企画してきたが、ここにきて、そもそもドッキリを仕掛けた側も仕掛けられた側も、最終的にどこにもいないドッキリを放送してしまった。

 さて、ネタバラシ(と言えるのかどうか)が終わり、おぼんは部屋を後にした。正座したナイツがこぼんをフォローする。わざわざこのためにご足労いただき申し訳ありませんでした。でも、放送後の反響は大きいはずです。話題にもなるはずです。編集もうまいことゴニョゴニョしてくれるはずです。そう言ってなだめるナイツに、こぼんが言い放つ。

「でも、テレビのエンタテインメントとしては面白くもなんともないでしょう」

 時間は調味料である。しかし、おぼん・こぼんの53年にわたる時間は、塩とか砂糖とかそういった調味料というよりも、ハバネロとかジョロキアみたいな類いの香辛料。もはや味覚ではなく痛覚である。しかし、そんな痛覚を楽しむ好事家もいるのです、師匠。

■小籔千豊「この番組を見た人は、お暇なとき、浅草の方の東洋館に行って……」

 引き続き、『水曜日のダウンタウン』の解散ドッキリの話。VTRが終わって画面はスタジオに戻る。しかし、ダウンタウンとゲストの面々に浮かぶ困惑の表情。「いや~」という声も漏れる。VTRをどう受け止めてよいのか、わからない雰囲気だ。ここで、今回の説のプレゼンターである小籔千豊が語り始めた。小籔によると、この解散ドッキリのオファーは、マネジャーが一度断ったそうだ。しかし、おぼんが「漫才協会の役に立つのだったら、引き受けよう」ということで、了承したのだとか。

「で、こぼん師匠。大変怒ってはりました。途中、おぼん師匠が『サービス精神ないねん』って言うてはりましたけど、あんな怒ってるとこ普通やったらオンエアされたくないです。師匠が『もう流すな』言うたら終わりのところを、こぼん師匠は『かまへん。テレビ流していいよ』という、こぼん師匠のOKいただきましたので、このVTRが流れることになっております。ですので、サービス精神バリバリあるこぼん師匠。ありがとうございますっ! そして、なんと次の日も、いつもの劇場に出られて、おぼん・こぼん師匠、いつものように大爆笑をとってらっしゃったというふうに聞いております。あれだけケンカして仲悪かったのに、次の日ネタ、バッチリやって、ドーン。ですのでこの番組を見た人は、お暇なとき、浅草の方の東洋館に行って、おぼん・こぼん師匠の漫才、生で見ていただきたいなというふうに思いますね」

 このように、小籔は長尺でしゃべる。今さら言うことではないかもしれないが、短いネタが歓迎されるといわれて久しいテレビのバラエティ番組の中で、演説調の語りを聞かせるのが小籔の真骨頂である。

 小籔は以前、こんなことを話していた(『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK総合、2月18日放送)。座長として吉本新喜劇の台本も手がける小籔だが、その台本は、マンネリと評されることも少なくない新喜劇の笑いの中で、異彩を放っているという。定番の型をしばしば排しているからだ。演者が台本の意図を読み取れないこともあり、観客がついてこられない恐れもある。しかし、小籔は言う。

「過去の人がやってきたことでいま定番になってることって、最初は逆風吹いてたと思うんですよ。みんな頑張って新しいことやったから今があるとしたら、逆風怖がるってセコいですよね。ボクが死んで100年後に新喜劇学を研究する大学の教授が出てきて、そのときにボクが『小籔の乱、間違いだ』って言われるのか。小籔は正しいことを言ってたのか」

 小籔は自身の行為を長い歴史の中に置く。先人たちの挑戦の積み重ねの上に自分を位置付け、さらに自分の挑戦の最終的な評価は将来の人の判断に委ねる。その言動から、時に「保守的」と言われることもあり、発言の内容には個人的にムムムと思うこともある。けれど、個々の発言の内容というよりも、長い歴史軸の上に自身の言動を置いて省察する姿勢にこそ、小籔が保守的と呼ばれて然るべきところがあるのかもしれない。

 小籔の話は長い。そして、その話が置かれる時間軸も長い。おぼん・こぼんショックが残るスタジオの空気を慰撫し、テレビの視聴者の困惑を少しずつ解きほぐすのは、このような幾重にも長い時間のしゃべりだったのだろう。カレーやシチューの尖った味も、時間を置くとマイルドになるように。

(文=飲用てれび<http://inyou.hatenablog.com/>)

エンタメ界の新たな指標に!? グラドル谷桃子とレスラー飯塚高史が見せた“やり切る有終の美”

 3月2日深夜放送『ゴッドタンゴッドタン』(テレビ東京系)が「引退記念 谷桃子メモリアル」と銘打って、昨年末をもって芸能界を引退した谷桃子の名場面を振り返った。

 今回紹介された名場面、メチャクチャの極みだった。さすが、“伝説の女”である。例えば、「ウエディング」をお題に謎掛けを振られた谷は、こんな風に返している。

「ウエディングと掛けまして、小さな子猫と解きます。そのこころは、『入れ歯が外れちゃった』」

 ウエディングも子猫も入れ歯も、ひとつも掛かってない。何がどうなってるのか、不安になってしまう。また、結婚後に同番組へ出演した谷は、夫の職業を聞かれ「旦那さんは生姜磨いてまーす!」と、ものすごい顔つきでアンサーする始末だ。このとき、彼女は新婚なのに……。

 バラエティに進出するグラビアアイドルは珍しくないが、こんなグラドルは見たことがなかった。芸人とのキャッチボールに順応し、番組の戦力になろうと“必死さ”を売りにする人材は数多い。しかし、谷は「本当にこんな子なんじゃないか?」と思わせる狂気がにじみ出ていた。アクが強すぎるゆえ、『ゴッドタン』でしか、この流儀にニーズはなかったが……。

■最後まで隙を見せなかった谷と飯塚

 話は変わって、2月21日に新日本プロレス所属のプロレスラー・飯塚高史が32年の現役生活に幕を閉じた。

 マスクが良く、サンボ仕込みのグラウンドテクニックに定評があり、現場監督時代の長州力のお気に入りだった飯塚。期待された時期もあったが、押しの弱い性格ゆえ、なかなかブレークの時は訪れなかった。そして、2008年。名脇役のポジションを見つけていた飯塚が、突如としてヒールターンを果たした。整った容姿の彼が髪を剃り上げ、ヒゲを伸ばし、言葉をしゃべらず奇声を上げる狂乱キャラへと変身したのだ。

 飯塚がキャラ変したのは、“友情タッグ”を組んでいたパートナー・天山広吉への裏切りが契機だった。当時、エンタメへの造詣では新日の数歩先を行っていたプロレス団体DDTのバックステージは「新日本がついに振り切った」と、この話題で持ち切りになったという。

 後楽園ホールで行われた飯塚の引退興行が、『ワールドプロレスリング』(テレビ朝日系)の3月2日深夜分で放送されている。引退試合のカードは、飯塚高史&鈴木みのる&タイチ組 VS オカダ・カズチカ&天山広吉&矢野通組。狂乱ファイトを貫きつつ、オカダのフィニッシュホールド「レインメーカー」を膝十字固めで切り返すなど、飯塚はレスラーとして最後までキレキレだった。

 試合は、飯塚が天山のムーンサルトプレスにピンフォールを奪われた。直後、飯塚は天山から和解を申し出されるも、観客の期待に反して拒否! そして、かつての相棒に得意のアイアンフィンガーフロムヘルをお見舞いした。

 そのまま、場内を怪しげに徘徊する飯塚。ファンに引退の挨拶を一言も発さず、狂ったまま会場を後にするラストデイ。そんな彼のバックに響き渡るは、鈴木みのるが叩く10カウントゴング。最後まで全うしたこの日の主役。こんな引退試合は、今までに見たことがない。

 話を『ゴッドタン』に戻そう。現在、夫を支えるため福岡に住まいを移した谷から、レギュラー陣に最後のメッセージが送られてきた。その内容は以下だ。

「遅くなりすみません!! だっだーん! ボヨヨンボヨヨン! あっああ~~~!!! アイルビーバック!! ~to be continued~」

 谷も最後までキレキレである。そして、やはり最後まで隙を見せていない。

 おぎやはぎの矢作兼が、真顔で谷について語った。

「谷桃子のことを見習っていかなきゃいけないと思ったことが本当にある。困ったときに、『谷ならどうする?』って」

 谷のやり切る姿に感銘を受けたと告白したのだ。

 プロレスもバラエティも、今のファンは成熟している。谷も飯塚も素性は愚直ということは、恐らくみんなにバレバレだろう。最後に素の姿を見せ、ネタバレしてオチを付ける必要はない。

 テレ朝とテレ東の同日同時間帯で、両者の去りゆく姿は放送された。ただの偶然でしかないのに、だからこそこじつけたくなってしまう。やり切った2人の有終の美は、今のエンタテインメントの指針になり得る。「こんなときに谷ならどうする?」「こんなときに飯塚ならどうする?」と、リトマス紙代わりになると思う。湿っぽさを狙うのではなく、感動を拒絶する姿勢だからこそ、余計に感動した。

(文=寺西ジャジューカ)

「やって!TRY」の女性差別脱却は「ポリコレがテレビをつまらなくする」批判を一蹴する

 日曜お昼の老舗番組『噂の!東京マガジン』(TBS系)内で放送されている「平成の常識 やって!TRY」に変化が起きているとツイッターを中心に話題となっている。

 「やって!TRY」といえば、道行く10代〜20代の若い女性に料理をつくらせ、失敗する姿を舅・姑世代の視聴者が見て溜飲を下げるコンテンツとして長く放送されてきた。

 近年では、「女性」のみを対象に企画を行い、また、失敗する姿をバカにすることで「女性は料理できなければダメ」という価値観を流布する企画趣旨に批判が集まりがちだった。「やって!TRY」が時代の空気感にそぐわないコンテンツになっていたことは紛れもない事実だろう。

 そんな空気を察知したのか、3月3日放送回の「やって!TRY」は、これまでと明らかに違っていた。

生まれ変わった「やって!TRY」
 この回では、東京タワーに観光に来た人たちを対象に「チャーハン」のお題が出された。

 一番目の挑戦者は、東京で一人暮らしをする22歳の女子大学生。上京してきた母、妹とともに東京タワーを訪れており、母が不安そうな目で見つめるなか調理はスタートする。

 母の心配をよそに彼女は難なく調理を終え、チャーハンが無事でき上がった。

 見た目も完璧で、母は嬉しさを隠せない。さらに、味見をすると、<お母さんのよりおいしい。感動しちゃった。感動! チャーハンごときで。一人でお料理できるようになって感動しちゃった。なんにもできない子だったのに>と、東京で成長した娘に感動の涙を流すのであった。

 二人目はホテルブライダルの専門学校に通う19歳の男性。男女混合グループのなかで仲間から指名された彼は<お客様のニーズの先読みじゃないですけど、欲しがるものを一歩先を考えてサービスする方が理想かなと思います>と理想のホテルマン像を語りながら調理。

 しかし、<ばあちゃんがつくるチャーハンが味付けもおいしかったです>と、祖母の味付けを模してつくると宣言したチャーハンは、見た目は問題なくとも味付けがこしょうのみで仲間からは大不評。

 <味があんまりない><病院食ぐらいでもいい>という評価に不満そうな彼は自分でもチャーハンを口に運んでみるが、そこですべてを察したらしく、<穴があるなら入りたい気分です>と、反省するのであった。

 三人目は再び女性。祖母、母、弟と共に東京タワーに観光に来た22歳の大学生である。

 彼女は春から新社会人になるが、母は<あんまり物事深く考えないで行動してるんじゃないかな>と、娘に対して手厳しい評価。彼女自身も<このままで通用するのはいまだけだよ>と怒られっぱなしであると語りながら料理を続ける。

 結果的には、油を入れ過ぎたことにより、見た目も味も最悪なチャーハンが出来上がってしまった。

 味見をした母は<ベーコンが多過ぎ。あと、ベチャッとなり過ぎ>と叱るが、そこで祖母が助け舟を出す。

 一口食べた祖母は<私はね、おいしい>と好評価。そして、怒る母に対しても<ママだって若い頃はね……>と、昔から料理が出来ていたわけではないとフォローを入れるのだった。

 そこまで言われて立つ瀬がなくなったのか、母はスタッフに対し、ご飯を追加して自分がつくり直していいか志願。娘の前でチャーハンのつくり方を実演するという珍しい展開になったのだった。

定型を脱したことで人間ドラマが浮き上がった「やって!TRY」
 3人とも、これまでの「やって!TRY」の定型からは大きく外れている。

 そもそも、これまで料理に成功した人がオンエアーされることはほぼなかったし、男性の参加者も珍しい。

 3人目はいつも通りの失敗パターンだが、「これだから若い娘は……」というお小言を言いたがる中高年のニーズにそのまま乗っかるつくりにはなっていない。

 新しい試みをしたことで、むしろ、3者3様のキャラクターやドラマがよく見えるようになった。どの参加者も「若い娘は料理もできないで何をやっているんだ」という結論に落とし込まれていたときよりも、格段に面白くなっているといえる。

 こういった変化は先週2月24日放送分でも起きていた。

 揚げ出し豆腐がテーマのこの回では、最初の2人こそいつも通りの「若い女の子が失敗する」「その姿に同行する友人や彼氏が呆れる」パターンだったが、3人目は普段から番組を見ているという21歳の男子大学生が自ら志願して挑戦。

 結果的には失敗に終わり、一緒に来ていた彼女にも<思ってるのと違う>とつれなく言われてしまうが、本人は明るい表情で番組ナレーションの乱一世のモノマネをしながら<あ〜あ〜、やっちゃったよ〜>と、良いキャラを披露するのだった。

 「やって!TRY」に対して疑問を呈する声は近年日増しに高まっていて、2019年1月6日付のニュースサイト「東洋経済ONLINE」では、作家・生活史研究家の阿古真理氏による寄稿「「女性の料理が笑われる」TBS番組への違和感  TBS「平成の常識・やって!TRY」は常識的か」を掲載し話題になった。

 「やって!TRY」の変化は、「女性が料理をするのは当たり前だから、料理ができない女性は嘲笑の対象になる」という旧時代の価値観を強化する企画への批判を、制作サイドが真っ正面から受け止めた結果だろう。

「ポリコレのせいでバラエティ番組がつまらなくなった」は大ウソ!
 今回の「やって!TRY」が意義深いのは、「バラエティ番組はポリティカル・コレクトネスやらコンプライアンスやらがうるさくなってから面白くなくなった」という、番組製作者からも視聴者からもしばしば出される意見が、まったくの的外れであることを教えてくれるということだ。

 こういった意見が出るのは、番組をつくる方も観る方も、「使い尽くされて錆び付いた定型パターン以外を受け付けない、もしくは、受け付けようともしない」という思考停止状態に陥っているだけだからだ。

 むしろ、ポリティカル・コレクトネスやコンプライアンスと向き合って、新しい時代に向けてアップデートすることで、表現の幅はより広がるし、深まりもする。

 今回の「やって!TRY」はそれを証明した。

 今回の出演者は、「料理もできないバカ娘」という代替可能な役割とは違い、その人本来の個性が浮き上がってきていた。また、家族や友人との関係も含め、「料理」を媒介にした「人間ドラマ」が描かれていた。

 今回のような「やって!TRY」をつくるのは、定型でつくっていたときよりも格段に難しい作業になるかもしれない。素人出演者を鋳型にはめてきたこれまでとは180度違い、出演者や同行する人たちのキャラクターを活かすつくりになるからだ。

 それを承知で「やって!TRY」をアップデートさせた『噂の!東京マガジン』のスタッフには拍手を送りたい。

「やって!TRY」の女性差別脱却は「ポリコレがテレビをつまらなくする」批判を一蹴する

 日曜お昼の老舗番組『噂の!東京マガジン』(TBS系)内で放送されている「平成の常識 やって!TRY」に変化が起きているとツイッターを中心に話題となっている。

 「やって!TRY」といえば、道行く10代〜20代の若い女性に料理をつくらせ、失敗する姿を舅・姑世代の視聴者が見て溜飲を下げるコンテンツとして長く放送されてきた。

 近年では、「女性」のみを対象に企画を行い、また、失敗する姿をバカにすることで「女性は料理できなければダメ」という価値観を流布する企画趣旨に批判が集まりがちだった。「やって!TRY」が時代の空気感にそぐわないコンテンツになっていたことは紛れもない事実だろう。

 そんな空気を察知したのか、3月3日放送回の「やって!TRY」は、これまでと明らかに違っていた。

生まれ変わった「やって!TRY」
 この回では、東京タワーに観光に来た人たちを対象に「チャーハン」のお題が出された。

 一番目の挑戦者は、東京で一人暮らしをする22歳の女子大学生。上京してきた母、妹とともに東京タワーを訪れており、母が不安そうな目で見つめるなか調理はスタートする。

 母の心配をよそに彼女は難なく調理を終え、チャーハンが無事でき上がった。

 見た目も完璧で、母は嬉しさを隠せない。さらに、味見をすると、<お母さんのよりおいしい。感動しちゃった。感動! チャーハンごときで。一人でお料理できるようになって感動しちゃった。なんにもできない子だったのに>と、東京で成長した娘に感動の涙を流すのであった。

 二人目はホテルブライダルの専門学校に通う19歳の男性。男女混合グループのなかで仲間から指名された彼は<お客様のニーズの先読みじゃないですけど、欲しがるものを一歩先を考えてサービスする方が理想かなと思います>と理想のホテルマン像を語りながら調理。

 しかし、<ばあちゃんがつくるチャーハンが味付けもおいしかったです>と、祖母の味付けを模してつくると宣言したチャーハンは、見た目は問題なくとも味付けがこしょうのみで仲間からは大不評。

 <味があんまりない><病院食ぐらいでもいい>という評価に不満そうな彼は自分でもチャーハンを口に運んでみるが、そこですべてを察したらしく、<穴があるなら入りたい気分です>と、反省するのであった。

 三人目は再び女性。祖母、母、弟と共に東京タワーに観光に来た22歳の大学生である。

 彼女は春から新社会人になるが、母は<あんまり物事深く考えないで行動してるんじゃないかな>と、娘に対して手厳しい評価。彼女自身も<このままで通用するのはいまだけだよ>と怒られっぱなしであると語りながら料理を続ける。

 結果的には、油を入れ過ぎたことにより、見た目も味も最悪なチャーハンが出来上がってしまった。

 味見をした母は<ベーコンが多過ぎ。あと、ベチャッとなり過ぎ>と叱るが、そこで祖母が助け舟を出す。

 一口食べた祖母は<私はね、おいしい>と好評価。そして、怒る母に対しても<ママだって若い頃はね……>と、昔から料理が出来ていたわけではないとフォローを入れるのだった。

 そこまで言われて立つ瀬がなくなったのか、母はスタッフに対し、ご飯を追加して自分がつくり直していいか志願。娘の前でチャーハンのつくり方を実演するという珍しい展開になったのだった。

定型を脱したことで人間ドラマが浮き上がった「やって!TRY」
 3人とも、これまでの「やって!TRY」の定型からは大きく外れている。

 そもそも、これまで料理に成功した人がオンエアーされることはほぼなかったし、男性の参加者も珍しい。

 3人目はいつも通りの失敗パターンだが、「これだから若い娘は……」というお小言を言いたがる中高年のニーズにそのまま乗っかるつくりにはなっていない。

 新しい試みをしたことで、むしろ、3者3様のキャラクターやドラマがよく見えるようになった。どの参加者も「若い娘は料理もできないで何をやっているんだ」という結論に落とし込まれていたときよりも、格段に面白くなっているといえる。

 こういった変化は先週2月24日放送分でも起きていた。

 揚げ出し豆腐がテーマのこの回では、最初の2人こそいつも通りの「若い女の子が失敗する」「その姿に同行する友人や彼氏が呆れる」パターンだったが、3人目は普段から番組を見ているという21歳の男子大学生が自ら志願して挑戦。

 結果的には失敗に終わり、一緒に来ていた彼女にも<思ってるのと違う>とつれなく言われてしまうが、本人は明るい表情で番組ナレーションの乱一世のモノマネをしながら<あ〜あ〜、やっちゃったよ〜>と、良いキャラを披露するのだった。

 「やって!TRY」に対して疑問を呈する声は近年日増しに高まっていて、2019年1月6日付のニュースサイト「東洋経済ONLINE」では、作家・生活史研究家の阿古真理氏による寄稿「「女性の料理が笑われる」TBS番組への違和感  TBS「平成の常識・やって!TRY」は常識的か」を掲載し話題になった。

 「やって!TRY」の変化は、「女性が料理をするのは当たり前だから、料理ができない女性は嘲笑の対象になる」という旧時代の価値観を強化する企画への批判を、制作サイドが真っ正面から受け止めた結果だろう。

「ポリコレのせいでバラエティ番組がつまらなくなった」は大ウソ!
 今回の「やって!TRY」が意義深いのは、「バラエティ番組はポリティカル・コレクトネスやらコンプライアンスやらがうるさくなってから面白くなくなった」という、番組製作者からも視聴者からもしばしば出される意見が、まったくの的外れであることを教えてくれるということだ。

 こういった意見が出るのは、番組をつくる方も観る方も、「使い尽くされて錆び付いた定型パターン以外を受け付けない、もしくは、受け付けようともしない」という思考停止状態に陥っているだけだからだ。

 むしろ、ポリティカル・コレクトネスやコンプライアンスと向き合って、新しい時代に向けてアップデートすることで、表現の幅はより広がるし、深まりもする。

 今回の「やって!TRY」はそれを証明した。

 今回の出演者は、「料理もできないバカ娘」という代替可能な役割とは違い、その人本来の個性が浮き上がってきていた。また、家族や友人との関係も含め、「料理」を媒介にした「人間ドラマ」が描かれていた。

 今回のような「やって!TRY」をつくるのは、定型でつくっていたときよりも格段に難しい作業になるかもしれない。素人出演者を鋳型にはめてきたこれまでとは180度違い、出演者や同行する人たちのキャラクターを活かすつくりになるからだ。

 それを承知で「やって!TRY」をアップデートさせた『噂の!東京マガジン』のスタッフには拍手を送りたい。

黒幕はネット民!? 『3年A組』伏線の回収と見せかけ、風呂敷は大きくなる一方……

 2月17日放送『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)の第8話。

 前回、景山澪奈(上白石萌歌)のフェイク動画作成を半グレ集団・ベルムズに依頼したのは自分だと認めた教師の武智大和(田辺誠一)。しかし、澪奈殺害に関しては否定していた。なのに、ネット上はすでに「武智が殺人犯とは」「武智サイコ認定!」という声であふれている。加えて、同僚たちも「うさんくさかった」「ざまあみろ」と手のひらを返して武智を責めた。

“推定有罪”の概念が大部分を占めているのが世間。柊一颯(菅田将暉)による「俺の授業」への大いなる前振りである。

■電脳部員の西崎はネット民を体現する存在

 今回、柊がA組に課した授業は「自習」だった。しかも、没収していた携帯電話を返却する大サービスぶりだ。

 思い思いに和やかな時間を過ごす生徒たちの中、「電脳部」部員の堀部瑠奈(森七菜)はパソコンを前に奮闘していた。澪奈と武智が共にビルへ入っていく動画を再チェックしているのだ。そして、解析する。動画は加工されており、ビルに入っていくのは武智じゃなく本当は柊だった事実に彼女はたどり着いた。

 瑠奈と、そして同じ電脳部員の西崎颯真(今井悠貴)は悔やんでいた。澪奈が生きていた頃、彼女のドーピング疑惑のきっかけとなるフェイク動画を見つけ、拡散したのは西崎だった。

瑠奈「ねえねえ、ヤバい。景山さん、ドーピングらしい」

西崎「最っ低だな~。拡散してやるか」

 ニヤつきながら軽い気持ちで拡散した西崎。その後、今回と同様に瑠奈は動画を解析、動画がフェイクだと見破った。

瑠奈「どうする……?」

西崎「……別にどうもしねえよ。ほっとけよ」

 動画を拡散した西崎と、見て見ぬふりをした瑠奈。ある意味、西崎は多くの「ネット民」を体現している。そこに恨みや復讐心のような感情はない。目に飛び込んだ情報をうのみにし、オートマティックに拡散。自分が発信したのではなく、ただ拡散しているだけだから当事者意識もあまりない。フェイク動画だと気づき、まずいとは思っても、自分発信ではないので「俺のせいじゃない」と放置して終了。真実を知っていたのにもかかわらずだ。2人が声を上げれば、澪奈の命は失われなかったかもしれない。

■今日の「自習」は西崎のための授業

 ビルから柊が出てきた動画を前に、A組は騒然。柊はA組に迫った。

「お前たちが決めろ。この動画をどうすべきか、俺をどうしたいか、お前たちが決めろ」(柊)

 西崎は動画をアップしようとする。澪奈への罪悪感を拭いたいからだ。あのとき、自分が放置したせいで澪奈は死んでしまった。そして今、武智の動画がフェイクだと判明した。この動画をアップし、今度こそスルーしない自分でいたい。

 皮肉である。真偽不明のまま澪奈のフェイク動画を拡散したときとやってることが同じなのだ。過去の過ちを悔やみ、改めようとしているのに、同じ轍を踏んでしまっている。

 クラス中が西崎を制した。そして、よく考えるように「グッ、クルッ、パッ」を訴えた。

柊「大事な決断をするときはグッと踏みとどまって、クルっと頭を一周させれば、パッと正しい答えが浮かぶ。グッ、クルッ、パッ、な」(柊)

 今日は西崎のための授業だ。彼は柊からの“説教”がなかった初めての生徒。でも、A組は柊から多くを学んできた。もう、お前たちで答えが出せるだろう? という柊の思いからの「自習」なのだ。

 クラス全体が、この動画が本物かどうか議論している。結果、柊が映る動画そのものがフェイクだとわかった。なんでもかんでも拡散していたあの頃と比べ、生徒たちは変わった。柊作成のフェイク動画に踊らされるマインドボイスユーザーたちとも違う。「自分は傷ついた」を免罪符に他人を傷つけていたA組が、“加害者としての自分”も意識するようになった。「Let’s Think!」ができるようになったのだ。

 柊が作ったフェイク動画は、武智に対してのものでもあり、電脳部に対するものでもあったのだ。

 我々からしても、SNSでの情報の取り扱いは「投稿」より「拡散」のほうが身近だと思う。大きな罪悪感を伴わないから、余計に厄介である。

■椎名桔平(郡司真人)はネット民と正反対の存在

 このドラマが全10話だとすると、残るはあと2話。伏線の回収作業に入っていると見せかけて、風呂敷は大きくなる一方だ。

 初回から一貫してわからないことがある。そもそも、柊の目的はなんなのか? そして、“黒幕”は一体誰なのか?

 柊に手を貸す警視庁理事官の五十嵐徹(大友康平)は、郡司真人(椎名桔平)から事件の目的を問われ、答えた。

五十嵐「俺も柊も、復讐が目的じゃない。俺たちの相手は別にいる」

郡司「牧原丈一郎ですか? 教育委員会も操れる教育界のドン」

五十嵐「その程度の相手なら、犯罪に加担したりしねえよ」

 元文部科学大臣よりも上の存在とは誰か? 実は、ネット上では「黒幕はネット民では?」という説が飛び交っている。澪奈のフェイク動画をうのみにし、楽しみ、澪奈を叩き続けたのは、確かにネットユーザーだ。だから、柊はマインドボイスで注目を集めることを意識している? でも、それだと、相良文香(土村芳)の“育ての父”孝彦(矢島健一)と五十嵐が柊に手を貸した理由としては弱い気がする。

 1つだけ気づいたことがある。郡司のことだ。五十嵐には「誰と戦おうとしてるんですか?」と、柊には「何をしようとしてるのか確かめに来た」と迫った郡司。真意がわからなければ必ず本人に会いに行き、問うのがこの男だ。グッと踏みとどまらず、気軽に投稿、拡散してしまうネット民と対の存在として郡司は描かれている。

(文=寺西ジャジューカ)

『ザ!鉄腕!DASH!!』キムタク投下で盛り上がったのに……ひふみん起用の迷走ぶりで視聴率急降下!

 TOKIOの番組である、日本テレビ系『ザ!鉄腕!DASH!!』がとんだ迷走ぶりで、一気に視聴率を下げてしまった。

 24日放送回では、なぜか将棋界のレジェンド・加藤一二三九段(ひふみん)が「0円食堂」企画に参戦。TOKIOからは長瀬智也、国分太一が出演し、神奈川・横須賀市周辺で食材探しに奔走した。

 同回の視聴率は13.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)どまり。裏のテレビ朝日系『ナニコレ珍百景』は13.7%で、わずか0.1ポイント差に詰め寄られてしまった。

 かつて、『DASH!!』は当たり前のように15%を超えていたが、山口達也の脱退後、視聴率が低迷。昨年12月2日には12.1%まで落ち込んだ。

 しかし、窮地を救うべく、1月20日放送回に、木村拓哉が「0円食堂」企画に助っ人参戦すると、18.6%まで跳ね上がった。すると、同27日は16.4%、V6・井ノ原快彦が出演した2月3日は16.7%と3週連続で好調をキープ。ところが、同10日が15.5%まで降下すると、同17日は14.5%に下がり、同24日は13.8%まで落ち込んでしまった。視聴率が13%台に転落したのは、昨年最後のオンエアとなった12月23日の13.6%以来、2カ月ぶり。

 せっかく、木村や井ノ原の出演で、数字を引き上げたのに、それも水の泡。昨年レベルの視聴率に戻ってしまった。なかなかTOKIOメンバーがそろわない中、助っ人は必要だが、これまでの流れからジャニタレでなければ、ファンに受け入れてもらうのは難しい。

「過去には神木隆之介らが出演するなど、ジャニーズ以外のタレントが助っ人参戦することがなかったわけではありませんが、基本的には異例。しかも、よりによって、奇をてらったであろうひふみんの参戦など、迷走しすぎです。そもそも、視聴者は誰もこの番組にバラエティタレントの出演など望んでいないでしょう」(テレビ誌関係医者)

 今年に入って、上向いていた視聴率も、迷走で大きく落としてしまった。こんなことをやっていたら、『珍百景』に負ける日も遠くないだろう。

(文=田中七男)