『きのう何食べた?』第3話は史上最高の改変! 山本耕史版小日向が色っぽすぎる!!

 4月20日に放送された『きのう何食べた?』(テレビ東京系)の第3話。

 今回うなったのは構成の妙だ。「シロさんを理解しようとするもどこかズレた両親」「佳代子さん宅で小日向さんを紹介されるシロさん」「元夫と遊ぶ息子を遠くから見守る今田さんに付き添うシロさん」「シロさんのお父さんに病気が見つかる」という4つのエピソードが見事無理なくつながっていた。こんなに素晴らしい改変は初めて見た気がする。

期待を寄せていた息子を犯罪者と同列にする母親

 筧史朗(西島秀俊、以下「シロさん」)が実家に帰る話は、原作でもかなり印象的なエピソードだ。まず、シロさんの「ただいま」に「いらっしゃい」と返す母・久栄(梶芽衣子)の言葉選びが気になる。自宅で待つ矢吹賢二(内野聖陽、以下「ケンジ」)ならば、無論、シロさんに「お帰り」と返すのだが。これだけでゲイと距離がある親世代と、シロさんと共に歩くケンジの違いが見て取れる。

 両親も頑張っているが、ところどころで根の深さがこぼれ落ちる。シロさんがエクレアを手土産に持っていくと「こういうことに気が利きすぎるのも女の子みたいねえ」と母は一言。食事していると、唐突に「ゲイでも犯罪者でも、シロさんを受け入れる覚悟はできてる」と、犯罪者とゲイを同列にする認識を露呈。父・悟朗(志賀廣太郎)と2人きりになればひと息つけると思いきや、いきなり「どんな女だったら大丈夫なんだ?」とぶっ込んできたのは衝撃だった。まさか過ぎる角度からの問いかけ。この手の無理解と直面すると、シロさんは目が笑ってない笑顔でいつもやり過ごす。

 この家は、きっとちゃんとしている。エクレアを手づかみではなく、皿に乗せてフォークで食べる品の良さ。シロさんが大事に育てられ、一人っ子として期待を一身に背負っていたことがわかる。しかし、この自慢の息子が孫を連れてくることはない。だから、シロさんも笑顔でやり過ごすことしかできなかった。

 自宅で帰りを待つケンジは、すぐにシロさんの異変に気づいた。というか、帰宅前から心配していた。

ケンジ「何かあった?」

シロさん「それがさ……、いや、普通だったよ」

 受け止める気まんまんのケンジ。愛にあふれている。そんなパートナーへ愚痴ることを思いとどまったシロさん。わかりにくいけど、これも彼なりの愛だ。しかし、ケンジの顔に浮かぶ寂しげな表情が重い。

 ガラッと変わって、シロさんがスーパーでの激安食材シェア仲間の主婦・佳代子さん(田中美佐子)の家にお邪魔した場面。このとき、佳代子の夫・富永さん(矢柴俊博)がシロさんのために連れてきた小日向大策(山本耕史)の登場は第3話で最大のインパクトだった。

 原作の小日向さんはガチムチ系で、山本耕史とはイメージが若干異なる。むしろ、それが良かった。山本版小日向は、原作の10倍くらい色っぽい。表情を動かさず、まばたきしない異常な眼力。端的に圧がすごいのだ。「どうも、小日向大策と申します」と自己紹介されるだけで動揺するシロさん。小日向さんはわざわざシロさんの隣に座り、話し始めた。「もしかして、口説かれる……?」とばかりに顔がこわばるシロさん。しかし、小日向さんは彼氏とのエピソードを口にする。

シロさん「あっ、彼氏いるんですね……」

 何をガッカリしているのかという。

小日向さん「そうだ、筧さん。せっかくですから、今度食事でもどうですか? 連絡先交換しましょう」

 まさかの「ふるふる」で連絡先を交換するシロさんと小日向さん。見つめ合った2人がスマホを揺らす光景は、卑猥な何かを意識してのツーショットのはずだ、きっと。

すれ違いの愛情に寂しげな表情を見せる内野聖陽

 シロさんの実家から連絡が入った。父・悟朗に食道がんが見つかったのだ。その様子を見て心配するケンジ。

ケンジ「俺……何かできること、あるかな?」

シロさん「……いや、別に。今のところないよ(笑)」

 切ない。こういうときこそシロさんの力になりたいケンジ。余計な心配を掛けたくないシロさん。お互いがお互いに愛情があるのに、すれ違って残念な形になってしまっている。

 翌日、シロさんは離婚した元夫に息子の親権を取られた依頼人・今田聖子(佐藤仁美)に連れ添って遊園地へ出掛けた(シロさんの職業は弁護士)。遠くから息子を見守るだけで我を忘れる今田さんを、シロさんは懸命にフォローする。そしてこの日の帰り際、今田さんはシロさんに感謝した。このとき、彼女が口にしたお礼の言葉はシロさんに響いた。

「私って、すごく変じゃないですか。だから、家族ですらまともに接してくれなくて。でも、先生はちゃんと話聞いてくれました。気持ちがしんどいときって、誰か1人でも親身になって話を聞いてくれる人がいると安心するんですね」

 このとき、シロさんの頭に思い浮かんだのはケンジの顔だ。ケンジはシロさんを思い続けているが、シロさんもケンジを思い続けている。帰宅後、シロさんはケンジに言った。

シロさん「親父のことで、もしこの先何かあったときさ、話聞いてもらってもいいかな? 話聞いてくれるだけでいいんだ」

ケンジ「……うん。……聞くよぉ~! もちろんだよ、シロさん」

 感極まり、返答するケンジの声が裏返っているのがいい。

 ドラマではW主演になっているが、原作で主人公的な立ち位置にいるのはシロさんのほうだ。ケンジは、どちらかと言うと“その恋人”という存在。しかし、内野聖陽が演じることで、より感情移入できる愛すべき人に昇華した。それが回り回って、シロさんが感じる幸せとなって着地する。どんなにつらいことがあっても、食事をしながら話を聞いてくれる存在がいるということは、なんて幸せなんだろう。

 そして、やはり構成がいい。今田さんに付き添うエピソードから、シロさんの「話聞いてくれるだけでいいんだ」へつながっていく流れ。なんと自然な改変なのだろうか。

 まだツンケンしていた初回と比べ、第3話では笑顔を見せることも多くなったシロさん。ケンジ→シロさんの愛と、シロさん→ケンジの愛が共鳴した結果だ。感動的な回だったと思う。

(文=寺西ジャジューカ)

NHK『ごごナマ』で“神回”? 「ポルノ」連呼の意外な舞台裏って!?

 お笑い番組やバラエティ番組もあるものの、基本的に“お堅い番組”ばかりなのがNHK。お色気とはまったく無縁の局だが、22日の昼下がり、「ポルノ」という単語が飛び交う異例の番組が放送された。

 その番組は、船越栄一郎と美保純が司会を務めるトーク番組『ごごナマ』だ。22日のゲストとして招かれたのは女優・白川和子。多くのドラマや映画に出演し、今年2月には過去に吉永小百合、八千草薫、三田佳子らも受賞した「田中絹代賞」を受賞した白川は、もともと昭和40年代に数多くのピンク映画に出演し、“ロマンポルノの女王”と呼ばれた人物だ。となると、当然話題はそのことに触れざるを得ない。番組を偶然見かけた40代の男性は語る。

「私は、高速道路のサービスエリアでお昼ご飯を食べており、備え付けのテレビでNHKを見ていましたが、13時のニュースが終わるといきなり画面に『ロマンポルノ』という単語が登場し、その後も『あえぎ声』『昼下がりの情事』『ピンク映画』『押し倒されて……』など、際どい単語が次々と登場しました。子どもが一緒だったので、非常に気まずかったです」

 昼下がりから挑戦的なテーマに挑んだNHK。しかし同局がロマンポルノを扱うのは、これが初めてではない。テレビ情報誌の記者が言う。

「地上波ではありませんが、2016年にBSプレミアムのドキュメンタリー番組『アナザーストーリーズ』で、日活ロマンポルノが取り上げられた過去があります。NHKがロマンポルノを取り上げたのも驚くべきことですが、名作を紹介する場面では、濡れ場やバストトップも画面に登場し、当時大きな話題になりました。今回、白川をゲストに呼び、包み隠さずロマンポルノについて話したということは、NHKはロマンポルノをひとつの文化として認めたということでしょう」

 ちなみに『ごごナマ』の司会を務める美保も日活ロマンポルノ出身で、番組では「色眼鏡で見られた」など、“共通の悩み”を話し合うシーンも登場。番組中には、NHKのアナウンサーが「ロマンポルノについて簡単にご説明申し上げます」と話すシュールな場面もあったが、こういった番組について、テレビ関係者は「NHKだからこそできる」と話す。

「制作現場は、お色気番組なら視聴率が取れるのはわかっていますが、画面にバストトップが映ったり、あまりに下品だったりすると、近年はすぐに『スポンサーはどこだ?』などという話になってしまうので、過激な番組やシーンは減る一方です。その点、NHKは視聴者がスポンサーですから、そういった心配はありません」(同)

 かつては“エロ”といえばテレビ東京の独壇場だったが、令和のテレビ界はNHKが“エロの救世主”になるのかもしれない。

NHK『ごごナマ』で“神回”? 「ポルノ」連呼の意外な舞台裏って!?

 お笑い番組やバラエティ番組もあるものの、基本的に“お堅い番組”ばかりなのがNHK。お色気とはまったく無縁の局だが、22日の昼下がり、「ポルノ」という単語が飛び交う異例の番組が放送された。

 その番組は、船越栄一郎と美保純が司会を務めるトーク番組『ごごナマ』だ。22日のゲストとして招かれたのは女優・白川和子。多くのドラマや映画に出演し、今年2月には過去に吉永小百合、八千草薫、三田佳子らも受賞した「田中絹代賞」を受賞した白川は、もともと昭和40年代に数多くのピンク映画に出演し、“ロマンポルノの女王”と呼ばれた人物だ。となると、当然話題はそのことに触れざるを得ない。番組を偶然見かけた40代の男性は語る。

「私は、高速道路のサービスエリアでお昼ご飯を食べており、備え付けのテレビでNHKを見ていましたが、13時のニュースが終わるといきなり画面に『ロマンポルノ』という単語が登場し、その後も『あえぎ声』『昼下がりの情事』『ピンク映画』『押し倒されて……』など、際どい単語が次々と登場しました。子どもが一緒だったので、非常に気まずかったです」

 昼下がりから挑戦的なテーマに挑んだNHK。しかし同局がロマンポルノを扱うのは、これが初めてではない。テレビ情報誌の記者が言う。

「地上波ではありませんが、2016年にBSプレミアムのドキュメンタリー番組『アナザーストーリーズ』で、日活ロマンポルノが取り上げられた過去があります。NHKがロマンポルノを取り上げたのも驚くべきことですが、名作を紹介する場面では、濡れ場やバストトップも画面に登場し、当時大きな話題になりました。今回、白川をゲストに呼び、包み隠さずロマンポルノについて話したということは、NHKはロマンポルノをひとつの文化として認めたということでしょう」

 ちなみに『ごごナマ』の司会を務める美保も日活ロマンポルノ出身で、番組では「色眼鏡で見られた」など、“共通の悩み”を話し合うシーンも登場。番組中には、NHKのアナウンサーが「ロマンポルノについて簡単にご説明申し上げます」と話すシュールな場面もあったが、こういった番組について、テレビ関係者は「NHKだからこそできる」と話す。

「制作現場は、お色気番組なら視聴率が取れるのはわかっていますが、画面にバストトップが映ったり、あまりに下品だったりすると、近年はすぐに『スポンサーはどこだ?』などという話になってしまうので、過激な番組やシーンは減る一方です。その点、NHKは視聴者がスポンサーですから、そういった心配はありません」(同)

 かつては“エロ”といえばテレビ東京の独壇場だったが、令和のテレビ界はNHKが“エロの救世主”になるのかもしれない。

誕生日パーティー、自宅公開……社会学者・古市憲寿の”ザ・芸能人”なお仕事

テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(4月14~20日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします

古市憲寿「自分のパーティーは楽なんですよ。全員知り合いだから」

 平成の初め、芸能人の誕生日パーティーといえば、西田ひかるだった。しかし、平成が終わりを迎えようとしている2019年4月末現在、芸能人の誕生日パーティーといえば、古市憲寿である。佐藤健、城田優、DaiGo、川谷絵音、千秋、小泉進次郎といった面々が参加するという古市の誕生日パーティー。それが、彼の交友関係の広さを証拠付けるものとして、バラエティ番組でしばしば紹介されている。

 社会学者の肩書でテレビに出る機会が多い古市を、西田と同列の「芸能人」として捉えることには、異論があるかもしれない。「芸能人」というより「文化人」ではないか、と。しかし、すでに古市は「芸能人」だ。だって最近は、有吉弘行やアンガールズ・田中らとテレビゲームをしている姿をテレビで見かけたりする。自宅公開みたいな番組もいくつか放送されていた。立派な「芸能人」だろう。自分がゲームに興じている姿やプライベートな生活には、視聴者に見られるだけのエンタメ的な価値がある、という自負があるのだろうから。自分に彼氏がいるとかいないとか、そういう話題が長らくエンタメになっていた(ということになっていた)、西田と同じ「芸能人」である。

 そんな古市が14日放送の『おしゃれイズム』(日本テレビ系)に出演し、パーティーについての持論を展開していた。いわく、他人が開いたパーティーに参加するのは苦手らしい。

「自分のパーティーは楽なんですよ。全員知り合いだから。誕生日パーティーとか、出版記念パーティーとか」

 知り合いがほとんどいない他人主催のパーティーに招かれると、初対面の人とイチから関係を作らなければならない。それに比べて、自分で主催するパーティーは、居心地がいい知り合いばかりを呼べばいいから、すごく楽。古市が好きなのはパーティーというよりも、自分が主催するパーティーだそうだ。

 なるほど、さすがは芸能人。私的に開催する居心地のいいパーティーを、幅広い交遊録としてテレビで紹介し、公衆のエンタメにしている。古市からは、芸能界に一時的に片足を突っ込んでいるだけというようなスタンスも感じるけれど、実際にテレビでやっているのは、ザ・芸能人の仕事である。

 そして、当時子どもだった僕には西田の誕生日パーティー全盛期の記憶があまりないが、伝聞を総合するに、彼女の誕生日パーティーもまた、似たようなものだったのかもしれない。本人的あるいは事務所的に知己の芸能レポーターとの毛づくろいのようなやりとりをテレビでお届けし、エンタメにしていたのだろうから。

 芸能人の誕生日パーティーの平成史は、西田ひかるで始まり、古市憲寿で終わろうとしている。なぜだか。

 19日放送の『アナザースカイII』(日本テレビ系)に、西野亮廣が出ていた。西野といえば、漫才コンビ、キングコングのツッコミだが、芸人は辞めたと公言し、絵本作家としても活動している。近年はオンラインサロンの主宰者としても知られ、その他、さまざまな仕事を展開しているようだ。やっていることの全体像がつかめないわけだけれど、たぶん、テレビに映る時の西野は、「やっていることの全体像がつかめない」人をやっているのだろう。全体像をつかむ必要があるわけでもないが。

 そんな西野は今回、最新作の絵本の舞台となったラオスを訪れた。以前も来た小さな村を訪ね、子どもたちを相手に変顔をして笑わせたり、鬼ごっこのような遊びをしたり。そして、自身の今後を、来るべきエンタメの未来に重ね合わせながら、カメラに向かって次のように語った。

「全部の面白いをやりたいですね。次はもう美術館つくろうとしてるし。もうそっちになっちゃったんですよね、なんかもう」

「(これからの)スタンダードはなんなんだっていうところにいくと、もう作ったものを届けるエンタメではなくて、一緒に作るエンタメですね。一緒に作るエンタメの世界1位を獲る」

「どんどん便利になればなるほど、もうみんな情報は共有されてしまって、クオリティがガッと上がってしまうと、機能で選べなくなるんで。(中略)最終的に人になるんですよね。」

「これまでのエンタメがレストラン型だったら、自分たちはもうバーベキュー型の、自分たちが食べる肉を自分たちで焼くみたいな。10年前、20年前はそれができなかったんです、物理的に。今はそれができるようになったから、(自分は)そっちのオリジナルになる、スタンダードになるっていうことですね」

 書き起こしをして気づいたが、西野は「もう」を多用する。「もう」を挟んで古い時代と新しい時代を並べる(例:「『もう』作ったものを届けるエンタメではなくて、一緒に作るエンタメですね」)。そして、自分は新しい時代の生き方に「もう」移ったと宣言する(例:「『もう』そっちになっちゃったんですよね、なんか『もう』」)。自分はすでに、こっちにいる。仲間も少しずつ、こっちに移ってきている。あなたはどうするの? そう、僕たちに問いかける。こっちに来ればいいのに。そう、僕たちを手招きする。

 西野が語る内容は、いつもなんだか新しい。けれど、こうやって並べて見てみると、人を動員しようとするときの語り口には、あまり新鮮さを感じない。先日訪れた銀行の窓口で、求めていない保険の説明がいつの間にか始まったときも、こんな感じだったと思う。新しくないというか、人のやることに、そんなに新しいものはないってことかもしれないけれど。

 さて、番組の最後、自分にとってラオスはどんな場所か聞かれた西野は、「エンタメの原点ですね」と答えた。モノの面で日本ほど発展しているわけではないラオスは、とにかく人が笑っている。そんな場所へ行くと、今の仕事を始めたころの自分の初心が取り戻せる。だから、自分の中で何かがおかしくなったら訪れ、自分を調整する。そんな場所が自分にとってのラオスだ、と。

 振り返ると、番組を通じて西野が笑わせていたのは、もっぱら子どもたちだった。異国の人がやってきたら、小さな子どもたちは興味津々だろう。半面、緊張もするだろう。そんな緊張を少し解いてやると、子どもたちは笑う。いわゆる「緊張の緩和」のセオリーに基づくならば、芸人(元芸人だったかもしれない)として、これ以上ない場面設定のはずだ。そこで、西野は初心を取り戻すのだという。

 なるほど、居心地のいい自分主催のパーティーは、もはや地球上どこでも開催できる。旧時代から新時代へとすでに歩み始めている西野は、そのことをいち早く僕たちに示してくれているのだ。レッツ、バーベキューパーティー。

 ――と、こうやって対象を皮肉るスタンスの記事は、「もう」古いのかもしれないけれど。

(文=飲用てれび<http://inyou.hatenablog.com/>)

NHK『平成紅白歌合戦』は“紅白の裏”をどれだけ暴露する? 和田アキ子、長渕剛問題は……

 平成の紅白歌合戦を振り返る特別番組『総決算!平成紅白歌合戦』が「令和」への改元を目前にした4月29日にNHK総合で放送される。

 第1部はアイドルグループ・嵐の櫻井翔らが司会を務め、松田聖子、北島三郎ら豪華歌唱陣が出演して感動の名場面を放送する。

 第2部は、視聴者のリクエストを交え、舞台裏も明かしながら「涙!感動!ハプニング!全部まとめて平成紅白伝説」と題し、内村光良らが司会をして番組進行する。内村は「とてもぜいたくで華やかな番組になりそう。(略)陽気に包まれた大みそかのように感じるかもしれません」とコメントし、やる気を漲らせているのだが……。

「NHKがどこまで寛容に過去のトラブルを水に流すのかが、大きな注目となっています。1992年に小林幸子のステージ衣装の電飾が一部光らなかったハプニングや、2005年の『WaT』小池徹平とウエンツ瑛士の前に置いていたスタンドマイクが倒れ、歌声が飛んだハプニングは放送されると業界内でウワサされていますが、06年のDJ OZMAが従えたバックダンサーが裸に見えるボディースーツを着て踊り、物議を醸した一件や、長渕剛が1990年に無断で3曲歌を続け、電波ジャックした事件は触れられるのか……。さらに、近年、落選したことをきっかけに紅白に毒づき、NHKとの確執も取りざたされていた和田アキ子の扱いをどうするのか。NHKの覚悟と心の広さが試されることになりそうです」(テレビ局関係者)

 生放送だけに放送事故も頻発している紅白歌合戦。あっと驚く今だから話せるエピソードも飛び出すといわれている。どこまでトラブルのウラ側を放送することができるのか、楽しみにしている視聴者は多いだろう。

『バイキング』は一般人の素直な代弁者? 自由な発言はネットと表裏一体? 叩かれるからこその存在価値

 ピエール瀧のコカイン使用による逮捕に関する報道をめぐって、何かと騒がしいのがフジテレビのワイドショー番組『バイキング』だ。ライブストリーミングサイト・DOMMUNEが電気グルーヴ特集を配信したことを取り上げた同番組で出演者たちが「売名行為」などとコメントし、ネットユーザーから猛烈な批判を食らうこととなった。

「DOMMUNEの電気グルーヴ特集が売名行為だというのは、さすがに勉強不足であって、『バイキング』が叩かれるのは当然。ただ、その一方でMCの坂上忍やほかのコメンテーターのように、DOMMUNEのことを全然知らず、素直に売名行為だと感じていた人がそれなりにいたのも事実です。『バイキング』は、そういった一般の声をそのまま代弁してしまった形でしょう。メディアなのだから、ちゃんと調べてから発信するべきなんですけどね」(音楽ジャーナリスト)

 良くも悪くも、一般の声をそのまま電波に乗せている『バイキング』。だからこそ叩かれることも多いのだが、このスタンスを評価する声も聞こえてくる。

「ほかのワイドショーに比べると、確かに発言は自由だし、かなりきわどい。地方のワイドショーなんかではよくあるスタイルですが、キー局制作の全国ネットの番組だったら、普通は自主規制されるところでしょう。にもかかわらず、攻めた内容であるという点は評価できると思います」(メディア関係者)

 4月17日の『バイキング』では、レギュラー出演者のおぎやはぎ・小木博明が、ネットで叩かれてもスタンスを変えない同番組について「すごい。よく頑張ってるなと思う」とも発言している。

「クレームに対するリスクを排除するのが今の流れなので、炎上上等のスタンスで突っ走る『バイキング』はレアな番組。ネットが自由な発言ができる場であるならば、『バイキング』もまた同じ役割を担っているともいえる。

「ネットとテレビという異なる立場であるがゆえに、意見が対立することも多いわけですが、『バイキング』があるおかげで、議論が活発化しているという側面もある。そういう意味では、ネットと『バイキング』は表裏一体だという解釈もできる。現在のテレビ界において、良くも悪くも目立っている『バイキング』は、いろいろな面で重要な番組だといえるかもしれません」(同)

 叩かれるからこそ存在価値がある『バイキング』。現在のスタンスはキープし続けるべきなのかもしれない。

怖すぎて離脱者続出……『あなたの番です』は、“VS秋元康”の姿勢で臨む連続殺人ミステリー?

 4月14日よりスタートしたドラマ『あなたの番です』(日本テレビ系)。このドラマの企画・原案を担当しているのは秋元康だ。

 初回を見てまず思ったのは「秋元康らしいネタだな」ということ。ドラマのホームページには過激な文言が躍っている。

「とあるマンションに引っ越してきた一組の新婚夫婦。(中略)マンションの周囲で次々と人が死んでいく…!」

 秋元氏に対する色眼鏡だろうか。一体、何をすれば世にウケるのか? という山っ気が透けて見えてくる気がする。

そもそも原田知世と田中圭の夫婦が怪しい

 本作は、手塚菜奈(原田知世)と翔太(田中圭)の新婚夫婦が、購入した引っ越し先のマンションで、住民同士の“交換殺人ゲーム”に巻き込まれていくというストーリー。毎週1人が死ぬという。

 言ってしまうと、そもそも主役の2人が怪しかった。

 まず、田中の芝居である。あまりにも『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)のはるたんだった。いや、はるたんより過剰に見える。わざととしか思えないほどあざとい。率先してかわいいと思われようとしている。翔太が、このままぶりっ子で終わるとは思えない。あのセルフパロディっぷりは、何かを隠すためな気がする。裏があると勘繰ってしまう。

 菜奈と翔太は15歳違いの年の差夫婦だ。この設定も臭う。なぜ、そんな夫婦にする必要があったのか。しかもこの夫婦、マンションを購入しているのに、まだ婚姻届を出していない。菜奈が何かと理由をつけ、提出を渋っているのだ。マンションの住人は全員が一癖あるが、この夫婦だってどこか不穏だ。菜奈は翔太に打ち明けていた。

「翔太君の存在を出会ったときよりもどんどん近くに感じてて。でも、年の差だけは埋まらないじゃない? これからもず~っと、15年分埋まらない事実があるっていうのが、何か怖い」

 うがった見方をすれば、これだけで殺人の動機になり得る。翔太が菜奈を殺せば、年の差が縮んでいくからだ。ほかにも、いくらでも勘繰ることができる。それこそ引っ越しの最中に翔太が菜奈のパズルを誤ってバラバラにしたくだりだって、菜奈が翔太を殺す動機になる。

 でも、本当にこの夫婦が殺意を抱き合っていたら、視聴者からは「やっぱり」なんて声が上がるに違いない。イージーだ。そんなわかりやすい予想を立てていると、「秋元康の罠にハマッているんじゃないか?」と不安になったりもする。……なんか、“vs秋元康”みたいなコンセプトのドラマに思えてきた。

 今作はミステリーだ。さて、初回ではどんな伏線が張られただろう?

 このドラマ、すべての人の言動が意味ありげに作られており、伏線らしきシーンはメチャクチャある。その中でも主だったものを以下に列挙したいと思う。

・引っ越しの最中に翔太が菜奈のパズルを壊した。

・現状確認で手塚夫婦の部屋に上がった管理人・床島比呂志(竹中直人)が、天井を指し「気色の悪いシミが2つある」と指摘した。

・菜奈を無視して翔太にばかり話しかけていた301号室の尾野幹葉(奈緒)。

・佐野豪(安藤政信)が履いていた長靴。

・黒島沙和(西野七瀬)が胸に貼っていた湿布。

・住民会での久住譲(袴田吉彦)の発言「殺したい人は知り合いじゃない」。

・住民会で“殺したい人”を書く際、わざわざ田宮淳一郎(生瀬勝久)からボールペンを借りた赤池美里(峯村リエ)。

・菜奈が引いた紙に書いてあった「こうのたかふみ」という人名。

・マンションのゴミ捨て場にひどい状態で捨てられていたクマのぬいぐるみ。

・菜奈を尾行していた細川朝男(野間口徹)。

・サングラスとマスクで顔を隠し、マンションから出て行った久住。

・倒れたままにしてあった車椅子。ちなみに、赤池幸子(大方斐紗子)は車椅子生活。

 振り返ると、異常なほどの怪しいキャラ祭りである。あと、初回から登場人物が多すぎて全然覚えきれない。「面白い」とか「つまらない」とか感想を抱けるほど、まだ作品の輪郭がつかめないのが事実だ。

低視聴率でも半年間続けなければならない

 初回では管理人の床島が殺害された。当然、マンションには警察の捜査が入る。このドラマは2クールあると予告されている。警察が入るのに、2クールもの長期にわたって連続殺人が行われるというのか? 正直、リアリティという面で心配になる。ミステリードラマにとってリアリティは、クオリティと直結すると言っても過言ではない。

『あなたの番です』の初回視聴率は8.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だった。もちろん、作品への評価を下すのはまだ早い。でも、今のような低調が続いたとして、それでも2クール引っ張るというのか?

 そういえば、前期に同枠で放送されていたドラマ『3年A組―今から皆さんは、人質です―』の最終回の視聴率は15.4%だった。繰り返すが、このドラマは2クールある。半年だ。

(文=寺西ジャジューカ)

怖すぎて離脱者続出……『あなたの番です』は、“VS秋元康”の姿勢で臨む連続殺人ミステリー?

 4月14日よりスタートしたドラマ『あなたの番です』(日本テレビ系)。このドラマの企画・原案を担当しているのは秋元康だ。

 初回を見てまず思ったのは「秋元康らしいネタだな」ということ。ドラマのホームページには過激な文言が躍っている。

「とあるマンションに引っ越してきた一組の新婚夫婦。(中略)マンションの周囲で次々と人が死んでいく…!」

 秋元氏に対する色眼鏡だろうか。一体、何をすれば世にウケるのか? という山っ気が透けて見えてくる気がする。

そもそも原田知世と田中圭の夫婦が怪しい

 本作は、手塚菜奈(原田知世)と翔太(田中圭)の新婚夫婦が、購入した引っ越し先のマンションで、住民同士の“交換殺人ゲーム”に巻き込まれていくというストーリー。毎週1人が死ぬという。

 言ってしまうと、そもそも主役の2人が怪しかった。

 まず、田中の芝居である。あまりにも『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)のはるたんだった。いや、はるたんより過剰に見える。わざととしか思えないほどあざとい。率先してかわいいと思われようとしている。翔太が、このままぶりっ子で終わるとは思えない。あのセルフパロディっぷりは、何かを隠すためな気がする。裏があると勘繰ってしまう。

 菜奈と翔太は15歳違いの年の差夫婦だ。この設定も臭う。なぜ、そんな夫婦にする必要があったのか。しかもこの夫婦、マンションを購入しているのに、まだ婚姻届を出していない。菜奈が何かと理由をつけ、提出を渋っているのだ。マンションの住人は全員が一癖あるが、この夫婦だってどこか不穏だ。菜奈は翔太に打ち明けていた。

「翔太君の存在を出会ったときよりもどんどん近くに感じてて。でも、年の差だけは埋まらないじゃない? これからもず~っと、15年分埋まらない事実があるっていうのが、何か怖い」

 うがった見方をすれば、これだけで殺人の動機になり得る。翔太が菜奈を殺せば、年の差が縮んでいくからだ。ほかにも、いくらでも勘繰ることができる。それこそ引っ越しの最中に翔太が菜奈のパズルを誤ってバラバラにしたくだりだって、菜奈が翔太を殺す動機になる。

 でも、本当にこの夫婦が殺意を抱き合っていたら、視聴者からは「やっぱり」なんて声が上がるに違いない。イージーだ。そんなわかりやすい予想を立てていると、「秋元康の罠にハマッているんじゃないか?」と不安になったりもする。……なんか、“vs秋元康”みたいなコンセプトのドラマに思えてきた。

 今作はミステリーだ。さて、初回ではどんな伏線が張られただろう?

 このドラマ、すべての人の言動が意味ありげに作られており、伏線らしきシーンはメチャクチャある。その中でも主だったものを以下に列挙したいと思う。

・引っ越しの最中に翔太が菜奈のパズルを壊した。

・現状確認で手塚夫婦の部屋に上がった管理人・床島比呂志(竹中直人)が、天井を指し「気色の悪いシミが2つある」と指摘した。

・菜奈を無視して翔太にばかり話しかけていた301号室の尾野幹葉(奈緒)。

・佐野豪(安藤政信)が履いていた長靴。

・黒島沙和(西野七瀬)が胸に貼っていた湿布。

・住民会での久住譲(袴田吉彦)の発言「殺したい人は知り合いじゃない」。

・住民会で“殺したい人”を書く際、わざわざ田宮淳一郎(生瀬勝久)からボールペンを借りた赤池美里(峯村リエ)。

・菜奈が引いた紙に書いてあった「こうのたかふみ」という人名。

・マンションのゴミ捨て場にひどい状態で捨てられていたクマのぬいぐるみ。

・菜奈を尾行していた細川朝男(野間口徹)。

・サングラスとマスクで顔を隠し、マンションから出て行った久住。

・倒れたままにしてあった車椅子。ちなみに、赤池幸子(大方斐紗子)は車椅子生活。

 振り返ると、異常なほどの怪しいキャラ祭りである。あと、初回から登場人物が多すぎて全然覚えきれない。「面白い」とか「つまらない」とか感想を抱けるほど、まだ作品の輪郭がつかめないのが事実だ。

低視聴率でも半年間続けなければならない

 初回では管理人の床島が殺害された。当然、マンションには警察の捜査が入る。このドラマは2クールあると予告されている。警察が入るのに、2クールもの長期にわたって連続殺人が行われるというのか? 正直、リアリティという面で心配になる。ミステリードラマにとってリアリティは、クオリティと直結すると言っても過言ではない。

『あなたの番です』の初回視聴率は8.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)だった。もちろん、作品への評価を下すのはまだ早い。でも、今のような低調が続いたとして、それでも2クール引っ張るというのか?

 そういえば、前期に同枠で放送されていたドラマ『3年A組―今から皆さんは、人質です―』の最終回の視聴率は15.4%だった。繰り返すが、このドラマは2クールある。半年だ。

(文=寺西ジャジューカ)

『きのう何食べた?』原作超えシーン連発……シロさんの過去を暗喩した”いちごジャム作り”にニヤリ

 

 4月12日放送『きのう何食べた?』(テレビ東京系)の第2話。

 このドラマは、原作に忠実な脚本になっている。マンガのセリフを、かなりそのまま再現している。なのに、生身の人間が演じることで、ドラマでしか成し得ない境地に達する瞬間があるのだ。

ドラマ版が原作を超える瞬間がある

 なんといっても、筧史朗(西島秀俊、以下「シロさん」)が富永佳代子(田中美佐子)の家に上がり、スイカを食べた場面を取り上げたい。

 本当は逐一種を取り、それをカットして食べたいシロさん。でも、「丁寧な食べ方をしたらゲイだとばれる」と彼は心配した。だから、男らしさを見せるべく、ワイルドにスイカにかぶりつく。

 ここ、ぶっちゃけ、マンガより色気が出ているのだ。原作のシロさんよりもイケメン。異常に険しい顔つきで、口から垂れるスイカの汁を拭う姿。危険な雰囲気である。各ドラマでやたらと公安の任務を背負う西島とマッチし、マジックが起きてしまっている。

「縦から見ても横から見てもカタギじゃないじゃない!」

 そりゃ、佳代子さんもうろたえるというもの。思わず、この場面で筆者は声を出して笑ってしまった。

 まだある。シロさんの元カノ・仁美(大島葉子)が店主を務めるパン屋に、矢吹賢二(内野聖陽、以下「ケンジ」)が偵察に行ったくだりだ。原作を読んだ際は、「夫の愛人がやってる小料理屋に偵察に行った正妻みたいな気持ちに勝手になられても……」というシロさに共感していた。でも、ドラマになると、不思議とケンジに入れ込んでしまうのだ。「もうちょっとケンジのことを考えてあげてよ!」と応援していた。役者・内野聖陽の力量によるものだと思う。表情や仕草が、あまりにいじらしすぎるからだろうか。

 ケンジの嫉妬に、シロさんは誠実に対応する。仁美と付き合ったのは、女っ気の薄い子だったから。でも、付き合ってみると、やっぱり女の子は女の子だった。このままノンケの仮面をかぶっていくのはキツい。仁美と適当に付き合っていた自分。すると、すぐに仁美のほうから別れを切り出してきた。そのときは正直、ホッとした。

「もしあのまま仁美と付き合い続けていたら、俺、結婚とかしてたかもしれない。子どもだってできてたかもしれない。でも、ゲイであることはやめられないから、奥さんと子どもを裏切って彼氏作って。それでも家族を捨てられないから、結局、彼氏のことも傷つける。そういうの、続けてたと思う……。ゾッとするよ。仁美には悪いことしたって反省してる。だからもう俺は女性とのどうこうっていう、そういうのはないんだ」

 今回のエピソードに、いちごジャム作りを持ってきたところが本当に素晴らしい。煮たいちごから出るアクをすくう工程は、ノンケを装い女性と交際するも「自分には無理」と再認識したシロさんの過去そのままだ。果物から色が抜け白っぽくなる変化は、「もう女性とは付き合わない」と心に決めるに至ったシロさんの変化を暗喩している。

 原作のほうのシロさんは今ではすっかり悟りが入り、迷いもかなり抜けた。長い年月を経たカップルに、波風らしい波風が立つことはもうほとんどない。2人の間の感情の揺れ動きを描くドラマを見ていると懐かしさが湧き上がり、なんとも言えない気持ちになってしまった。

扱っているテーマが毎回、実は重い

 前回のレビューでも書いたが、やはりこの作品は「グルメ」「同性愛」の要素を前面に押し出した人間ドラマである。

 もし、シロさんとケンジが一生添い遂げたとしても、2人は子どもを授かることができない。だから、シロさんは老後のために貯蓄している。ケンジは姉妹の多い家庭に育ったが、シロさんは1人っ子だ。それを考えると、女性との交際歴を持つシロさんをケンジは意固地に責められない。だから、ケンジはシロさんの告白を正面から受け止めた。いちごジャムのトーストを手にわかり合った朝食のシーンは、第2話のハイライトだった。

 サラッと描いているが、『きのう何食べた?』の扱うテーマは毎回重い。そこをチャーミングな作風が救っている。見た後、温かな気持ちになる。原作はもちろん、ドラマ版の今作も、結構奇跡的な出来栄えだと思う。

(文=寺西ジャジューカ)

『きのう何食べた?』原作超えシーン連発……シロさんの過去を暗喩した”いちごジャム作り”にニヤリ

 

 4月12日放送『きのう何食べた?』(テレビ東京系)の第2話。

 このドラマは、原作に忠実な脚本になっている。マンガのセリフを、かなりそのまま再現している。なのに、生身の人間が演じることで、ドラマでしか成し得ない境地に達する瞬間があるのだ。

ドラマ版が原作を超える瞬間がある

 なんといっても、筧史朗(西島秀俊、以下「シロさん」)が富永佳代子(田中美佐子)の家に上がり、スイカを食べた場面を取り上げたい。

 本当は逐一種を取り、それをカットして食べたいシロさん。でも、「丁寧な食べ方をしたらゲイだとばれる」と彼は心配した。だから、男らしさを見せるべく、ワイルドにスイカにかぶりつく。

 ここ、ぶっちゃけ、マンガより色気が出ているのだ。原作のシロさんよりもイケメン。異常に険しい顔つきで、口から垂れるスイカの汁を拭う姿。危険な雰囲気である。各ドラマでやたらと公安の任務を背負う西島とマッチし、マジックが起きてしまっている。

「縦から見ても横から見てもカタギじゃないじゃない!」

 そりゃ、佳代子さんもうろたえるというもの。思わず、この場面で筆者は声を出して笑ってしまった。

 まだある。シロさんの元カノ・仁美(大島葉子)が店主を務めるパン屋に、矢吹賢二(内野聖陽、以下「ケンジ」)が偵察に行ったくだりだ。原作を読んだ際は、「夫の愛人がやってる小料理屋に偵察に行った正妻みたいな気持ちに勝手になられても……」というシロさに共感していた。でも、ドラマになると、不思議とケンジに入れ込んでしまうのだ。「もうちょっとケンジのことを考えてあげてよ!」と応援していた。役者・内野聖陽の力量によるものだと思う。表情や仕草が、あまりにいじらしすぎるからだろうか。

 ケンジの嫉妬に、シロさんは誠実に対応する。仁美と付き合ったのは、女っ気の薄い子だったから。でも、付き合ってみると、やっぱり女の子は女の子だった。このままノンケの仮面をかぶっていくのはキツい。仁美と適当に付き合っていた自分。すると、すぐに仁美のほうから別れを切り出してきた。そのときは正直、ホッとした。

「もしあのまま仁美と付き合い続けていたら、俺、結婚とかしてたかもしれない。子どもだってできてたかもしれない。でも、ゲイであることはやめられないから、奥さんと子どもを裏切って彼氏作って。それでも家族を捨てられないから、結局、彼氏のことも傷つける。そういうの、続けてたと思う……。ゾッとするよ。仁美には悪いことしたって反省してる。だからもう俺は女性とのどうこうっていう、そういうのはないんだ」

 今回のエピソードに、いちごジャム作りを持ってきたところが本当に素晴らしい。煮たいちごから出るアクをすくう工程は、ノンケを装い女性と交際するも「自分には無理」と再認識したシロさんの過去そのままだ。果物から色が抜け白っぽくなる変化は、「もう女性とは付き合わない」と心に決めるに至ったシロさんの変化を暗喩している。

 原作のほうのシロさんは今ではすっかり悟りが入り、迷いもかなり抜けた。長い年月を経たカップルに、波風らしい波風が立つことはもうほとんどない。2人の間の感情の揺れ動きを描くドラマを見ていると懐かしさが湧き上がり、なんとも言えない気持ちになってしまった。

扱っているテーマが毎回、実は重い

 前回のレビューでも書いたが、やはりこの作品は「グルメ」「同性愛」の要素を前面に押し出した人間ドラマである。

 もし、シロさんとケンジが一生添い遂げたとしても、2人は子どもを授かることができない。だから、シロさんは老後のために貯蓄している。ケンジは姉妹の多い家庭に育ったが、シロさんは1人っ子だ。それを考えると、女性との交際歴を持つシロさんをケンジは意固地に責められない。だから、ケンジはシロさんの告白を正面から受け止めた。いちごジャムのトーストを手にわかり合った朝食のシーンは、第2話のハイライトだった。

 サラッと描いているが、『きのう何食べた?』の扱うテーマは毎回重い。そこをチャーミングな作風が救っている。見た後、温かな気持ちになる。原作はもちろん、ドラマ版の今作も、結構奇跡的な出来栄えだと思う。

(文=寺西ジャジューカ)