ラッパー、文化人にアイドル……! 土曜深夜のお楽しみ!「オールナイトニッポンR」の魅力を徹底解明!

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ニッポン放送「オールナイトニッポンR」番組サイトより
 私、ラジオ好き若手芸人のカカロニの菅谷が毎月書いているラジオ神回列伝も、早いもので8回目。この8カ月、売れる気配ゼロ。そんな僕ですが、とても興奮するラジオ番組が最近ありました。  3月25日深夜、養成所時代の同期で、現在はケイダッシュステージに所属するお笑いコンビ、フレンチぶるが「オールナイトニッポンR」(ニッポン放送)の枠で放送を担当したのです。  昨年の大晦日深夜に放送された『三四郎のオールナイトニッポン初笑いスペシャル』で、一番“ハネた”ご褒美として番組パーソナリティ権を担当したフレンチぶる。 『フレンチぶるのオールナイトニッポンR』は、2人が得意とするボーイズラブをテーマにしたコントを皮切りに、魅力が凝縮された放送でした。ツッコミの大西翔は全く緊張しなかったという強心臓ぶりを発揮し、加藤ミリヤファンを公言するボケの加瀬部駿介との軽快なトークを展開。リスナーをどんどん巻き込んで話がおかしな方向に展開していく様、また2人がリスナーと共にそれを楽しんでいる120分は、いつかレギュラー放送になる日を十分期待させるものでした。  というわけで、今回はオールナイトニッポン単発回「オールナイトニッポンR」枠の魅力について紹介させていただきます。同時間帯の裏番組であるTBSラジオ「JUNK」枠が同じパーソナリティの長寿番組で人気を得ているのに対し、この門戸の広さが魅力です。  番組宣伝の一環、お試し、ご褒美などさまざまな理由で、芸人、俳優、アーティスト、果てはテレビ東京プロデューサーの佐久間宣行さんまで、多くの方々が担当してきた実験的な番組枠。特に若手芸人に関しては、単発放送を経てレギュラーへ昇格するパターンがとても多く、それぞれが自分たちの色を120分で押し出します。また、先物買いをしたようなお得感のある放送と言えるかもしれません。  最近では、ラッパーのR-指定さんとDJ松永さんのユニット『Creepy NutsのオールナイトニッポンR』が反響を呼びました。日本屈指のラッパーでありながらイケイケのノリが苦手なR指定さんの口からは、ラッパーとは思えない発言が飛び出し、自ら童貞であることを公言するDJ松永さんは「あ、これ本当に童貞だな。そんでラジオばっか聴いてたんだろうな」とすぐわかるほどの口調、論調。全てに嚙みついていく様は、ラジオパーソナリティとして人気を誇る、南海キャンディーズの山里亮太さんや伊集院光さんのような“怖いもの知らず”感もあり、少し懐かしさすら感じる放送でした。 『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日系)で、その“ディスりっぷり”が注目されているラッパーという立場であるゆえに、自由度の高い放送でした。Creepy Nutsのキャラクターと実際のギャップのように、こんな人だったんだと発見があるのもポイント。よく知らないパーソナリティでも、一度聴いてみると好きになるかもしれませんね。  また、レギュラーパーソナリティのお休みなどで、たびたび放送される代打単発回。こちらもラジオリスナーとして語っておきたい神回があります。2006年1月にくりぃむしちゅーさんが一週休んだ代役として放送された単発回『レイザーラモンHGのオールナイトニッポン』です。  ハードゲイキャラで大ブレークのHGさんと、HGさんに便乗したパクリのキャラ、RG(リアルゲイ)で極稀にテレビに出ていたRGさんという関係性だった当時のレイザーラモンさん。  当然のようにHGさんが一人トークをしていると、RGさんが登場します。お約束の、RGさんがHGさんをパクっているやり取りを終えると、そこからは仲がよさそうに、学生時代や若手時代のエピソードトークが繰り広げられます。  当時“キャラもの”としてテレビに出ており、ラジオでなければ聴けることがなかったフリートークは、とても貴重でした。若手時代、偉い人に怒られた2人は、HGさんがそのとき食べていた鉄板焼き屋の鉄板に頭をつけて謝罪。学生プロレス仕込みのリアクションを見せると、偉い人をさらに怒らせてしまいます。そこで、「そういうことか!」と早合点したRGさんは、鉄板に乗っかり土下座をしたなど、強烈なエピソードトークが次々に飛び出しました。  どのエピソードも面白く、当時「一発屋と、その相方」という認識が強かったレイザーラモンの2人の本当の魅力と実力を知ることができる回でした。  芸人はもちろん、アイドル、文化人、作家、ラッパーなどと魅力的な人たちが彩る土曜の深夜。皆さんも神回の先物買いをしてみてはいかがでしょうか。 (文=菅谷直宏[カカロニ])

“好きなジャニーズNo.1”中居正広の「仕事術」と「SMAP解散前後の異変」

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「週刊文春」が実施したアンケート調査「好きなジャニーズ」で、中居正広が1位に輝いた。そんな彼はおそらく、「業界人が一緒に仕事をしたいタレント」でも上位に入るだろう。レギュラー番組5本、好感度No.1男の仕事のスタンスとは、いったいどのようなものなのか?  司会者には2通りのタイプがいる。番組内容に積極的に意見し、よりよくしていこうとするタイプと、それに一切異を唱えることなく、言われるがままに進行するタイプだ。  だが前者の中にも、気に入ったスタッフしか周囲に置かず、反論する者には執拗に攻撃し、自ら辞めるよう追い込むタイプもいたりする。長らく日曜朝のワイドショー番組の司会を務めるベテラン司会者は、まさにそうだ。また、後者は後者で、番組の命運より自分さえよく見えればよいというNHK出身の司会者もおり、どちらも一概にいい悪いは言えない。  では、中居はどうかというと、リベラルというか中庸なのである。タモリや所ジョージのように淡々とこなすタイプもいれば、とんねるずや松本人志のように、ディレクターがプレゼンする企画にダメ出しする者もいるが、中居はそのどちらでもなく、あくまでフラットなのである。  それは、彼と仕事をした人間の証言からわかる。収録直前、スタジオ進行やVTRに不備があった場合でも相談に乗り、どうしたらいいかを一緒になって考えてくれるという声も聞く。かといって、「こうしなければならない」とか、「こうすべき」ということは言わない。あくまでも「こうありたい」と前向きな考え方を述べ、意見を求めるのだという。また、コンサート明けでも疲れを見せずに打ち合わせに臨んでいたとも聞いたことがある。 また、これは受け売りで申し訳ないが、彼の台本は事前に書き込んだ赤ペンで埋め尽くされているという。誰かの言葉ではないが、準備で9割が決まるのだ。    少し話題はそれるが、こんな司会者もいる。自らスポーツ同好会を立ち上げ、スタッフたちと汗を流したり、さらには一緒に旅行に行くようなお笑い芸人だ。両者の垣根を取り払い、より親密になることで士気を高めようとする狙いもあるのだろう。だが、中居はそこまではせず、スタッフのプライベートには立ち入らない。彼自身、女性と3日も同居していられない性分のため「結婚はしない」と冗談めかしてよく言っているが、親しくなりすぎた分、逆に気遣いをさせるのが嫌なのかもしれない。 いずれにしても、お笑い芸人がゴールデン番組の司会を占めている中で、彼の存在は稀有である。だが昨年、彼がMCを務める『ザ!世界仰天ニュース』(日本テレビ系)の仕切りが荒れて、態度が悪くなったときがあった。熱心なファンだったら気づいたかもしれないが、あからさまにゲスト出演者の言葉尻をあげつらい、つっかかったときがあった。それが何週にもわたって続いた。確か、SMAPの解散前後のことだった。  今にして思えば、周りとの折衝に心砕き、疲れていた時期だったのかもしれない。  そう思えば、彼もまた人間なのだ。もともとは、藤沢生まれの、気のいい兄(あん)ちゃんなのである。だが、そんな彼がレギュラー5本の人気番組を抱え、また『音楽の日』(TBS系)やNHK『紅白歌合戦』の司会もし、オリンピックのメインキャスターもこなすようになった。10年後、20年後、これからの中居はどうなっていくのだろう? いずれにしても、同じ時代に同じこの国で、一人のタレントの成長を見続けるのはこの上ない幸せなのだ。

まるでドラッグ……退廃的ムードを醸し出す『100万円の女たち』の中毒性

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木ドラ25『100万円の女たち』(テレビ東京)
 男を中心に、5人の女が食卓を囲んでいる。年齢も風貌もバラバラ。一人はセーラー服姿だし、一人は全裸だ。  彼女たちは、男が用意した夕食を食べながら、その料理にダメ出しをしている。  全裸の女は言う。 「味がぼんやりしてる。アナタみたい」  昨今のドラマでは『カルテット』(TBS系)や『バイプレイヤーズ』(テレビ東京系)、『住住』(日本テレビ系)など、いわゆるシェアハウスものが急増している。そんな中、同じジャンルでありながら、まったく違うムードを醸し出しているのが、この『100万円の女たち』(テレビ東京系)である。  本作は、これも急増している、ネット動画サービスと連携した制作スタイル。Netflixと共同で制作する、新たなドラマ枠「木ドラ25」の第1弾だ。  原作は『俺はまだ本気出してないだけ』の青野春秋が「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)に連載していた同名マンガ。  売れない小説家・道間慎が、自宅の一軒家に「家賃」100万円を持って突然押しかけてきた5人の美女たちと奇妙な共同生活を送るというストーリー。  主人公の慎を演じるのは、ドラマでは見かけない顔だ。それもそのはず、映画『君の名は。』の主題歌「前前前世」の大ヒットが記憶に新しいロックバンド、RADWIMPSのボーカル・野田洋次郎なのだ。売れない小説家らしい、地味でさえない雰囲気を見事に表現している。  5人の女の中で、今のところ最も目立っている白川美波役の女性もドラマではあまり見かけないが、(なにしろ、部屋ではずっと全裸なので)強烈に印象に残る存在だ。彼女は福島リラ。主にファッションモデルとして活動し、女優としては映画『ウルヴァリン: SAMURAI』でハリウッドデビュー。その後、NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』などにも出演している。  この普段見慣れない2人の強烈な存在感が、本作をミステリアスで新鮮な味わいにしている。  松井玲奈、我妻三輪子、武田玲奈、新木優子が演じるほかの4人の女も、それぞれ個性的で、何やら秘密を持っていそうな雰囲気だ。  夕食を食べ終えると、家に迷い込んだ猫の名前を決めようということになった。「たま」やら「漱石」やら案を出し合う、普通なら幸福感あふれるはずのシーンも、どこか不穏だ。常に緊張感が漂っている。  慎が何気なく女たちに子どもの頃の猫にまつわる思い出を訊こうとすると、「質問はしない約束でしょ」と一蹴される。  この共同生活には、いくつかのルールがあるのだ。 「女たちへの質問は禁止」 「女たちの部屋に入るのは禁止」 「夕食は全員一緒に食べる」 「女たちの世話は慎が全部やる」 「家賃は毎月100万円」  女たちはみな、「招待状」を受け取ってやってきたというが、もちろん慎が出したわけではない。誰が、どんな目的で彼女たちを集めたのかはまったくわからない。  彼女たちはなんらかの過去や秘密を抱えていそうだが、慎もまた壮絶なものを抱えている。  彼の書く小説には、人が死ぬシーンが出てこないという。なぜなら、彼の父親(リリー・フランキー)が、殺人犯だからだ。 「想像できる? 自分の父親が母親を殺しちゃうなんて」  父親は、自分の妻(つまり慎の母)とその不倫相手を殺害。さらに、駆けつけた警察官も殺害。死刑判決を受けているのだ。そのせいなのか、慎の自宅には繰り返し「死ね」「人殺し」などといったFAXが送られてくる。  こうしたサスペンス要素のほかに、このドラマの雰囲気を決定付けているのは、エロティックなムードだ。  そもそもがハーレム状態な上、慎は高級ソープランドに通っている。さらに第2話で、美波は慎の「価値観がぐるぐる揺れている」からいい小説が書けないのだと、秘密にしていた自分の職場へ慎を連れて行く。美波は、高級コールガールクラブのオーナーだったのだ。このクラブのコールガールには人気アイドルグループの一人が在籍しており、そのアイドルの値段は、なんと一晩1,000万円だという。 「質より人気という付加価値に弱い人間は、腐るほどいるの。特に、この国には」  こうした謎が謎を呼ぶサスペンスもののドラマは、その秘密を知りたいから次を見たくなる。だが、このドラマは、ちょっと違う。もちろんそうした意味で続きを見たいという欲求もあるにはあるが、それ以上に、なんだか中毒性があるのだ。  ドラマの画面から醸し出される強烈な退廃的ムードと緊張感を味わうと、理屈ではなく、またそれを味わいたくなる。  価値観がぐるぐる揺れる、麻薬のようなドラマなのだ。 (文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

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『人生でムダなことばかり、みんなテレビに教わった』(文藝春秋) スキマさんの新刊出ました まるでドラッグ……退廃的ムードを醸し出す『100万円の女たち』の中毒性の画像3

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木ドラ25『100万円の女たち』(テレビ東京)
 男を中心に、5人の女が食卓を囲んでいる。年齢も風貌もバラバラ。一人はセーラー服姿だし、一人は全裸だ。  彼女たちは、男が用意した夕食を食べながら、その料理にダメ出しをしている。  全裸の女は言う。 「味がぼんやりしてる。アナタみたい」  昨今のドラマでは『カルテット』(TBS系)や『バイプレイヤーズ』(テレビ東京系)、『住住』(日本テレビ系)など、いわゆるシェアハウスものが急増している。そんな中、同じジャンルでありながら、まったく違うムードを醸し出しているのが、この『100万円の女たち』(テレビ東京系)である。  本作は、これも急増している、ネット動画サービスと連携した制作スタイル。Netflixと共同で制作する、新たなドラマ枠「木ドラ25」の第1弾だ。  原作は『俺はまだ本気出してないだけ』の青野春秋が「ビッグコミックスピリッツ」(小学館)に連載していた同名マンガ。  売れない小説家・道間慎が、自宅の一軒家に「家賃」100万円を持って突然押しかけてきた5人の美女たちと奇妙な共同生活を送るというストーリー。  主人公の慎を演じるのは、ドラマでは見かけない顔だ。それもそのはず、映画『君の名は。』の主題歌「前前前世」の大ヒットが記憶に新しいロックバンド、RADWIMPSのボーカル・野田洋次郎なのだ。売れない小説家らしい、地味でさえない雰囲気を見事に表現している。  5人の女の中で、今のところ最も目立っている白川美波役の女性もドラマではあまり見かけないが、(なにしろ、部屋ではずっと全裸なので)強烈に印象に残る存在だ。彼女は福島リラ。主にファッションモデルとして活動し、女優としては映画『ウルヴァリン: SAMURAI』でハリウッドデビュー。その後、NHK大河ドラマ『軍師官兵衛』などにも出演している。  この普段見慣れない2人の強烈な存在感が、本作をミステリアスで新鮮な味わいにしている。  松井玲奈、我妻三輪子、武田玲奈、新木優子が演じるほかの4人の女も、それぞれ個性的で、何やら秘密を持っていそうな雰囲気だ。  夕食を食べ終えると、家に迷い込んだ猫の名前を決めようということになった。「たま」やら「漱石」やら案を出し合う、普通なら幸福感あふれるはずのシーンも、どこか不穏だ。常に緊張感が漂っている。  慎が何気なく女たちに子どもの頃の猫にまつわる思い出を訊こうとすると、「質問はしない約束でしょ」と一蹴される。  この共同生活には、いくつかのルールがあるのだ。 「女たちへの質問は禁止」 「女たちの部屋に入るのは禁止」 「夕食は全員一緒に食べる」 「女たちの世話は慎が全部やる」 「家賃は毎月100万円」  女たちはみな、「招待状」を受け取ってやってきたというが、もちろん慎が出したわけではない。誰が、どんな目的で彼女たちを集めたのかはまったくわからない。  彼女たちはなんらかの過去や秘密を抱えていそうだが、慎もまた壮絶なものを抱えている。  彼の書く小説には、人が死ぬシーンが出てこないという。なぜなら、彼の父親(リリー・フランキー)が、殺人犯だからだ。 「想像できる? 自分の父親が母親を殺しちゃうなんて」  父親は、自分の妻(つまり慎の母)とその不倫相手を殺害。さらに、駆けつけた警察官も殺害。死刑判決を受けているのだ。そのせいなのか、慎の自宅には繰り返し「死ね」「人殺し」などといったFAXが送られてくる。  こうしたサスペンス要素のほかに、このドラマの雰囲気を決定付けているのは、エロティックなムードだ。  そもそもがハーレム状態な上、慎は高級ソープランドに通っている。さらに第2話で、美波は慎の「価値観がぐるぐる揺れている」からいい小説が書けないのだと、秘密にしていた自分の職場へ慎を連れて行く。美波は、高級コールガールクラブのオーナーだったのだ。このクラブのコールガールには人気アイドルグループの一人が在籍しており、そのアイドルの値段は、なんと一晩1,000万円だという。 「質より人気という付加価値に弱い人間は、腐るほどいるの。特に、この国には」  こうした謎が謎を呼ぶサスペンスもののドラマは、その秘密を知りたいから次を見たくなる。だが、このドラマは、ちょっと違う。もちろんそうした意味で続きを見たいという欲求もあるにはあるが、それ以上に、なんだか中毒性があるのだ。  ドラマの画面から醸し出される強烈な退廃的ムードと緊張感を味わうと、理屈ではなく、またそれを味わいたくなる。  価値観がぐるぐる揺れる、麻薬のようなドラマなのだ。 (文=てれびのスキマ http://d.hatena.ne.jp/LittleBoy/「テレビ裏ガイド」過去記事はこちらから

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「昭和最大のミステリー」下山事件を読み解くブックガイド

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『日本の黒い霧〈上〉』(文藝春秋) 
 昨年、海の向こうのトランプ大統領が使った「ポストファクト主義」という言葉が注目を集めた。「ポスト真実」とも言うらしい。無数のあらゆる情報が飛び交う現代においては、「真実かどうか」よりも「それに対する感情や、個人的な意見」のほうが影響力を持っている、という意味の言葉だ。この言葉を聞いた時、僕は「下山病」を思い出した。  そう、日本には「下山病」という病気がある。60年以上前に生まれたこの病は、一度かかると非常に治療が難しい。  ゲザンビョウ? 高山病の逆? いやいや違う。「しもやまびょう」と読む。初代国鉄総裁・下山定則氏の名前に由来する。下山総裁こそが、昭和最大のミステリーと呼ばれる「下山事件」の主役であり、このミステリーの謎解きに取り憑かれた人々を「下山病患者」と呼ぶのだ。  1949年7月6日午前0時30分過ぎ、常磐線・北千住駅と綾瀬駅の間の線路上で、列車に「轢断」された死体を発見した。約85メートルにわたってバラバラになっていたその轢死体は、色白で肉付きがよかったために当初は女性と思われたが、散乱する所持品の中に「国鉄総裁・下山定則」の名刺等が発見されたことから、事件は急激に騒がしくなっていく。まさに、轢死体発見の15時間前、下山総裁は日本橋の三越に入っていく姿を運転手に見届けられたのを最後に行方不明となり、失踪事件として捜査が開始されていたのだ。轢死体は、下山総裁本人であることが確認され、このニュースは列島中を駆け巡った。  
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現在の日本橋三越(筆者2017年撮影/以下同)。下山総裁は、三越の重役や得意客などが使う本店南口から入って失踪した。店内で複数の店員に目撃されている
 下山氏は、同年に発足した国鉄の初代総裁となった人物だ。技術畑出身でありながら異例の抜擢を受けた彼に課せられた仕事は、実に10万人近い国鉄職員の人員整理。1949年当時は本格化する冷戦に突入した時代であり、日本の占領統治を行うアメリカは、日本を「反共産主義の砦」として再生すべく、経済の立て直しを急いでいた。そのために実施された「ドッジ・ライン」と呼ばれる経済政策の一環として、全国で28万人の公務員の人員整理、いわゆる「首切り」を日本政府に要求した。下山総裁は事件当時、まさにこの人員整理を迫られ、そのリストを発表している最中だった。こうした緊迫した状況の中での、遺体発見。  当初は、これらの「首切り」のプレッシャーを受けての「自殺」と考えられ、マスコミもそれに寄った報道を行った。しかし、遺体の司法解剖の結果からは「他殺」の可能性が浮かび上がった。それだけでなく、検視を行った各機関による見解が、「他殺」と「自殺」で真っ二つに割れたのだ。注目されたのは、列車に轢断された下山総裁の遺体が、生きている状態で轢断された=「生体轢断」か、死んでいる状態で轢断された=「死後轢断」か、だ。生体轢断なら自殺である可能性が高いが、死後轢断ならどこか別の場所で殺害されて線路上に放置された、つまり他殺だということになる。それを判定する鍵は、下山総裁の傷口が生きている間にできたことを示す「生活反応」があるかどうかだ。最初に司法解剖を行った東京大学の古畑教授は、死後轢断と判定した。つまり他殺だ。しかし、そのあとに司法解剖を行った東京都監察医務院の八十島監察医、慶應義塾大学の中舘教授は「生体轢断」、つまり自殺の可能性が高いと主張した。マスコミもこれに追従し、朝日新聞や作家の松本清張などは「他殺」、毎日新聞などは「自殺」を支持し、一大論争に発展した。 「他殺」「自殺」それぞれを支持する人々によって無数の証拠や証言が集められたが、結局、論争が結論を見るには至らず、捜査本部は同12月31日に解散。翌年、「自殺」と結論付ける内部資料「下山白書」が週刊誌に流出、という非公式な形で一応の結末を見た。しかし、この報告書に対しても、「他殺派」から無数の事実誤認や捏造を指摘されている。 ……と、あらましがめちゃくちゃ長くなってしまったけど、お察しのように、こういうことがサラサラと書ける時点で、僕も「下山病」罹患患者の一人なのだろう。いやいや、僕なんかかなり軽度のほうだと思うが。それで、今回の記事なんだけど、「下山事件」の真実に迫ろう!ということではない。そんなことをしたら、それこそ何十年という歳月、何百ページという原稿が必要になる。じゃあ、何をやろうかというと、この国でひそかに増殖を続けてきた「下山病」の世界を、代表的な書物を読み解くことで、ちょっとガイドしてみようと思う。なんたって、この「下山論争」、今も続いているのだ。今この瞬間も、書籍コーナーの一角で、ネットの片隅で、下山事件に関する「新事実」が現れては消え、「自殺なのか他殺なのか」「他殺なら黒幕は誰なのか?」という論争が続いているのだ。  下山事件に関する書籍のうち最も有名で、導入に適しているのは、推理小説家・松本清張の『日本の黒い霧』(1960年)だろう。戦後、GHQ統治下で起きた事件に焦点を当て、裏で糸を引くGHQの陰謀を暴き出したノンフィクション小説で、一大ベストセラーとなり、「陰謀=黒い霧」という概念を日本に植えつけた。下山事件に関する本はどれも情報量が多いために分厚かったり、また本職の物書きでない人が書いているものが比較的多いということもあってか、「ん? 文章が読みづらいかな?」っていう瞬間も少なくない。要するに、完読するのに気合が必要な本が多く、よほど興味のある人でないと読み切るのが難しいものもある。でも、この清張の『日本の黒い霧』なら大丈夫! 「帝銀事件」「松川事件」などのいくつかの事件に関する推理がオムニバス形式で収録されていて程よい長さだし、さすがベストセラー小説家! という感じでグイグイ読ませる。事件の概要がとてもわかりやすい名著だ。ただ、前述のように清張の結論は「他殺」であり、本書でもさまざまな推理を巡らせ黒幕を暴き出しているのだが、いかんせん、全体的に論拠に疑問点が残るものが多い。残念ながらノンフィクションとしては取材も不十分で、あくまで下山事件を題材にした「推理小説」として読みたい一冊だ。
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旧八洲ホテル跡地。三越から徒歩数分の場所にあった八洲ホテルは、清張が「黒幕」と指摘したGHQ参謀第2部(G2)の特殊部隊「CIC」の拠点であった
 さてそれでは、コレ! と言える「他殺本」はどれか? 事件発生当時から取材を担当し、独自の調査で線路上の血痕などさまざまな「新事実」を見つけ出し、捜査本部にも食い込んでいた朝日新聞の記者・矢田喜美雄氏が執筆した『謀殺 下山事件』(1973年)だろう。映画にもなった本書には、とにかく新事実や新証言が多く登場し、「他殺派の急先鋒」として、さまざまな「下山本」に引用される機会も多い。本書を読めば、ほとんどの人が間違いなく「なるほど……これは他殺なんじゃないか」と考えるだろう。一読者としては、それくらい「他殺」という結論への導き方が、勢いと説得力に満ちているパワーのある本だ。だがしかし、問題点として挙げられるのが、その「新事実」を証言する「新証人」が、みーんな仮名だったりイニシャルだったりで、どこの誰だかわからないことだ。確かに昭和の闇に迫る危険な証言で匿名なのはわかるが、あまりにも都合よく、「この本にしか登場しない新証人」が多すぎないかい? という疑問は当然湧いてくる。「他殺」という結論に向かって走っていくためのパーツを、ムリヤリこしらえたような違和感は拭えない。これは多くの書籍で批判されている部分で、後に平成3部作といわれる「平成になってから出版された下山本」でもやり玉に挙がっている。  その平成3部作の中では、『下山事件 最後の証言』(2005年)は読み逃せない一冊だろう。平成3部作はそれぞれ別の著者が書いているが、基本的にこれが「元ネタ」といってよい。本書は実にセンセーショナルだ。なんたって、著者・柴田哲孝氏の祖父が下山事件の実行犯として深く関わっていた!? という内容なのだ。その祖父が所属した実行犯グループと名指しされる「亜細亜産業」なる会社についての調査・考察が、「平成3部作」共通の大きなキモだ。さまざまな証人に会い、謎に迫っていく――という筋書きは、読み物としてめちゃくちゃ面白い。実行犯グループの写真なども多数掲載されていて、もうこれが正解ジャン、やばいジャン、他殺ジャン、と思うだろう。とにかく近年話題になった「下山本」の中で最もインパクトが大きく、「亜細亜産業関与説」は今ではスタンダードのひとつになっている。
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旧ライカビル跡地。「亜細亜産業」が入っていたといわれるライカビルは、写真の正面のビルの右脇にあった。正面の旧日本貿易会館ビルは、地下通路で三越とつながっている。
 さて、ここまで読んで「あれ?」と思う人もいるかもしれない。「他殺派の本ばっかで、自殺派の本がないじゃん」と。そうなのだ。下山事件に関する本、いわゆる下山本で話題になるのは、ほとんどが「他殺本」だ。自殺派の本もあるにはあるが、まずそもそもの数が少ない。さらに、当然っちゃ当然なのだが、「下山事件は、謀殺事件だった! 新事実発見! 黒幕は…○○!」というセンセーショナルな切り口の本でなければ、ちっとも売れないし話題にもならない。そのため、「実はね~自殺だよ」という本はどうしても地味な扱いを受けて読まれる機会も少なく、早々と絶版になってしまうのだ。結果、世に出回るのは「他殺派」の本ばかり、という状況になる。実際、下山事件を少しかじったことのある人は、「果たして誰が? どの組織が黒幕か?」という部分において差異はあっても、ほとんどの人が「下山事件は他殺に決まってる」と考えているんじゃないだろうか。僕も実際、いろんな他殺派の本を読みあさっていた頃は、「これは絶対、謀殺だよな~」と考えていた。しかし、次に紹介する本を読んでから、「どうもおかしい」と考えだすようになった。「自殺派のバイブル」であり、「究極の下山本」、佐藤一著『下山事件全研究』(1976年)だ。
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 とにかく、分量が多い。600ページオーバー、しかもすべて小さな文字の二段組みで、よほどの読書ジャンキーじゃないと、これを読み切るのは不可能だ。それもそのはず、本書は、事件に関するあらゆる資料や証言、そして検証実験の結果を極力「客観的」に網羅しようという意図で作られた本なのだ。そのため、分量は膨大で、かつストーリー仕立てになっていないために「物語を追っていく興奮」などまったくない。著者の佐藤氏は、福島県で起きた列車転覆事故「松川事件」の被告として一度は死刑判決を受け、その後「冤罪」が証明され、無罪を勝ち取った人物だ。清張らに誘われ、下山事件の研究に参加したが、さまざまな調査を進めるにつれ、「自殺」への確信を深めていき、清張らと袂を分つことになる。研究の集大成を提示し、そこから導き出される結論として、本書は「自殺説」を支持し、各「他殺説」への反論も掲載している(前述の『謀殺 下山事件』への反論もある)。言うなれば、とてつもなく硬派な「自殺派」の本なのだ。その上、76年に出版されるも、09年に再版されるまで、ずっと絶版だった。そもそもかなり高い本なのだが、絶版なので一時期は古書市場で高値がついていた。片や、紹介した他殺派の『日本の黒い霧』『謀殺 下山事件』『下山事件 最後の証言』は、どれも文庫でも出版されていて、書店でワンコインでお手軽に安く買える。どう考えても、『全研究』は誰にも読まれない。一人の読者が本書を手に取る間に、一体何千人の読者が他殺派の本を読むんだろうか。そんなことを考えてしまうほど、ハードルの高い本だといえる。  しかし、そのハードルを越えて読むと、驚かされるのは、諸々の「下山本」が、どれほど「自分たちの望む結論に都合の良い証言や実験結果」しか引用していないか、ということについてだ。もちろん、『全研究』は結論から言えば「自殺派」の本であり、自殺と結論付けるバイアスが「まったくかかっていない」と言う気はない。しかし、それが極力少ないのは間違いなく、これが感覚としてわかるだけでも、本書には一字千金の価値があるんじゃないだろうか。これに照らし合わせると、平成3部作の『下山事件 最後の証言』も、かなり重要なポイントを「あえて」いくつも無視して「結論ありき」で話を進めている、という事実が見えてくる。『最後の証言』はものすごく興味深く面白い本だが、僕はこれもまた下山事件を題材にとった推理小説のようなものに近いと考えてしまう。  それで、冒頭の「ポスト真実」の話に戻るのだが、下山事件に関する証言や実験結果は、うわさ話のようなものも含めれば無数に存在する。そもそも司法解剖の結果ですら、それぞれの研究機関によって判定が違うのだ。尽きることなく結論の違う「陰謀」が暴き出され続けることからもわかるように、極端な話、必要なパーツだけを望むようにピックアップしていけば、自分の思い描くストーリーを構築するのも不可能ではないのだ。たとえば下山総裁の奥さんの発言として、失踪直後に「自殺かもしれない」と心配していたとする証言Aと、後年になって「下山は殺された」と周りに言っていたとする証言Bが存在する。自殺派は証言Aだけを、他殺派は証言Bだけをピックアップする。こうして意識的にせよ無意識的にせよ、無数の取捨選択が繰り返された結果、われわれが「真実」として受け取ってきたストーリーが作り上げられるのだ。そして「真実」が謎である限り、あらゆる推論に等しく真実である可能性がある。いや、もはや真の意味での「真実」は問題でなく、下山事件には「それに対する感情や、個人的な意見」だけが存在するのかもしれない。まさに、下山事件は「面白ければ、なんでもあり」の、「ポスト真実」を地でいく無法地帯なのだ。  そして、この無法地帯を永久にさまよい歩く病が、「下山病」だ。「真実」という太陽を探して、地面を掘り続けるのだ。空を見上げることなく、死ぬまでそれを続けるのだ。「おそろしい病気だな~」と思った。そこのあなた。ここまで原稿を読んだら、もう、伝染(うつ)ってますよ。 *** 【後記】  暖かくなってきた4月のある日、僕は五反野を訪れた。駅から10分ほど歩いた、線路脇の道や公園からやや遠めに見える伊勢崎線(いまは東武スカイツリーラインというらしい)と常磐線が交差するポイントが、68年前に下山総裁が列車に轢かれた場所だ。夜の闇の中に電車が通るたび、音を立てて地面を揺らし「そこ」を光のレールが通過する。轢断現場の近くの高架下の、ほとんどの通行人が見逃しそうな片隅に、「下山国鉄総裁追憶碑」が作られている。そこに添えられた下山総裁の肖像を見ていると、時代に翻弄され無念の死を遂げた一人の紳士の姿が浮かび上がってくる。下山本を読み進めたある時から、それまで「昭和最大のミステリー」のパーツのひとつにすぎなかった下山総裁という存在が、穏やかな表情で、一人の人間として、自分の中に立ち上がってくる瞬間があった。時代が違えば、優秀な技術者としての職務を全うしたかもしれない、市井の人として穏やかに生きたかもしれない。もちろん会ったことも話したこともない人物だが、先述の「真実」がなんであれ、彼の魂の安寧に想いをはせずにはいられない。下山事件の無法地帯では、こういう「感情や、個人的な意見」も許されるだろう。合わせた手をほどいて歩きだすと、夜風に吹かれて、その感情はどこかへ吸い込まれるように飛び去っていった。その風の行く先を見ると、下山事件が、今も風に吹かれて揺れている。
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下山総裁轢断現場周辺
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「下山国鉄総裁追憶碑」
「昭和最大のミステリー」下山事件を読み解くブックガイドの画像8 ●タカハシ・ヒョウリ “サイケデリックでカルトでポップ”なロックバンド、オワリカラのボーカル。たまにブログでつづる文章にも定評あり。好きなものは謎、ロック、歌謡、特撮、漫画、映画、蕎麦。 HP:http://www.owarikara.com/ ブログ:http://hyouri-t.jugem.jp/ Twitter:https://twitter.com/TakahashiHyouri?ref_src=twsrc%5Etfw

天然で純粋な性格×育ちの良さを武器に、Sexy Zone・マリウス葉が“ポスト伊野尾”に!?

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どうしてあのタレントは人気なのか? なぜ、あんなにテレビに出ているのか? その理由を、ギョーカイ目線でズバッと斬る「ズバッと!芸能人」。  3年ほど前から始まり、芸能界を席巻した「伊野尾革命」(参照記事)。Hey!Say!JUMP・伊野尾慧のあまりのかわいさに、V6・岡田准一や滝沢秀明などジャニーズタレントのみならず、多くの芸能人がメロメロに。『メレンゲの気持ち』(日本テレビ系)や『めざましテレビ』(フジテレビ系)など、各番組からオファーが殺到した。  今、そんな「“キュン死”現象」が、1人のジャニタレによって再び繰り返されようとしている。彼の名はマリウス葉(よう)17歳。5人組アイドルグループSexy Zoneのメンバーだ。  昨年12月から『櫻井・有吉 THE 夜会』(TBS系)に「準会員」(準レギュラー)として出演。この3月末からは、フランスの炭酸飲料水「オランジーナ」のCMに初めて単独出演。ジワジワきつつあるのだ。   テレビメディアが芸能人に求めるポイントは主に2つある。「新しさ」と「希少価値」だ。彼の場合は、父がドイツ人、母が日本人と中国人のハーフの逆クウォータータレント。    ジャニーズ史上最年少の11歳でデビューし、家族ごと日本へ引っ越してきたという経歴も見逃せない。  さらに彼の家は代々続く名家だそうで、ドイツにある実家は地上5階、地下2階の大豪邸だ。しかもクッキー作りにハマり、肌のケアも欠かさない「女子力男子」の一面もある。とにかく武器が多いのだ。  だが、それらは彼の横顔を語る上での、一要素でしかない。  継続的に起用されるかどうかは、やはり「トークの瞬発力」にかかっている。マリウスでいえば、純粋さからくる“天然発言”だ。そんな彼の性格は、お笑い芸人たちも虜にしている。    ある番組のロケで、香川県にうどんを食べに来たマリウス。 「ハロー、マリウスです。いま、香川県に来てます」という挨拶の後、「香川は初めてなんです。……サッカーの香川選手って、ここから来たんですかね?」と、まさかの疑問を呈した。  すると、そのロケVTRをスタジオで見ていた爆笑問題・太田光は、「いいじゃない、マリウス!」と、前フリだけで大絶賛。    さらに地元の学生と一緒にうどん店に入ると、マリウスは彼らに「うどんは初めて?」と質問。太田は、それにも笑っていた。  太田が4月6日放送の『夜会』にゲスト出演した際には、彼が「朝、何を食べればいいか悩んでいる」ということを事前に聞いていたマリウスは、自分の朝食写真を撮影、スタジオで披露した。    だがメニューの内容は、ドイツのパンや、スペイン産の生ハム、スイス産のチーズなど、わざわざ取り寄せるか、専門のスーパーなどで購入しなければならないものばかり。太田は「どうやって集めるんだよ!」とツッコみつつも、マリウスのやさしさに笑っていた。  彼の真っすぐな心は、雑誌のインタビューにも見て取れる。「POTATO」(学研)2015年2月号で、「最近あった悲しいこと」を聞かれたマリウスは、   「この間、道を歩いていたら、ハトが力尽きて横たわってたの……。天国に旅立った直後だったみたい。なんだかすごくかわいそうになっちゃった」  また、逆に「楽しいこと」を問われると、 「冬になって人恋しい季節になるとハグしたくなる。いつかファンのみんなとハグ会みたいなイベントがやれたらいいな」  さらには冬の間寝るとき、「モコモコのタートルネックを着て冷やさないようにしている。今、部屋の暖房の調子悪いから、特にあったかくするようにしてる!」(「ザテレビジョン」17年2月17日号)    そんなマリウスが日本にやってきたのは、6年前の2011年。その年は……。   「当時のことで覚えているのは、とにかく人を幸せにしたい、人を助けることがやりたいと強く思っていたってこと。テレビから流れる日本で起きた震災の映像を見て、この人々を笑顔にできたらって思ったんだよね」(同16年11月11日号)    その純粋さと天然ぶり、育ちの良さを武器に、ドイツからやってきた天使がいま、日本を癒やそうとしている。伊野尾に続いて、革命を起こせるか?  (文=都築雄一郎) 「ズバッと!芸能人」過去記事はこちらから

根本宗子が引き出した、朝ドラ『とと姉ちゃん』相楽樹の「薄味加減」

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『相楽樹 二人きり、夏休み補習授業』(デジタルブックファクトリー )
 NHKの連続テレビ小説に出演することが新人女優の登竜門になって久しい。中でもいま熱いのは、ヒロインの友人、姉妹、娘などの脇役を演じた女優たちの活躍だ。 『あまちゃん』の松岡茉優や『あさが来た』の吉岡里帆など、朝ドラに出演したことで人気に火が付いた女優もいれば、『おひさま』と『花子とアン』への出演を経て『まれ』で主演を果たした土屋太鳳や、『あまちゃん』を経て現在放送中の『ひよっこ』で主演を獲得した有村架純のようなケースもある。  朝ドラのネームバリューは他局でも大きく、「朝ドラに出演したあの人が!」という紹介をする番組も珍しくない。その極め付きが、3月に3週にわたってテレビ東京系で月曜深夜に放送された『こんにちは、女優の相楽樹です。』だった。  本作は、俳優が本人役を演じるというテレ東が得意とするノンフィクション風のドラマだ。主演を務めたのは、朝ドラ『とと姉ちゃん』で次女の鞠子を演じた相楽樹。  朝ドラに出演したことで国民的人気女優になったと勘違いして調子に乗っている相楽は、純喫茶が舞台の深夜ドラマのウエイトレス役で初主演を果たす。  しかし、監督(浜野謙太)は、相楽の演技に何かが足りないと毎回激怒。  怒られた相楽は、役作りのために純喫茶へ行くのだが、そこで3人組のウエイトレスからダメ出しされることになる。面白かったのは、3人のキャラクターが作品のテーマと直結していること。  第1話は「可愛い」がテーマで、アイドルの佐々木彩夏(ももいろクローバーZ)、藤江れいな(NMB48)、生田衣梨奈(モーニング娘。'17)がウエイトレスとして登場。  第2話は「色気」がテーマで、壇蜜、MEGUMI、おのののかというグラビアタレント3人が登場。相楽は『嫌われる勇気』(フジテレビ系)にセクシーな女性医師役で出演した際に壇蜜に似ているといわれていたが、いざ2人が並ぶと「壇蜜から色気を抜くと、相楽樹になる」ということがよくわかる。  そして最終話では、朝ドラの『あまちゃん』に出演した足立梨花と『とと姉ちゃん』で相楽と共演した川栄李奈、趣里が登場。女優を目指す女たちの激しい自意識がスパークする。    つまり「可愛い、色気、朝ドラ女優」のキャラクター3本勝負に、相楽が挑むのだ。  脚本は根本宗子。戯曲『夏果て幸せの果て』が2016年の岸田國士戯曲賞の最終選考に残った、いま最も勢いのある若手劇作家だ。  連続ドラマの脚本は、映像サイトGYAO!で放送され、後に映画としても公開された1話13分のWEBドラマ『女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。』を手がけている。女子トイレを舞台に女子中学生たちの自意識を容赦なく描写して笑いと感動をもたらす脚本が、実に見事だった。 『こんにちは、女優の相楽樹です。』でも、根本の鋭い視線が相楽に対し、容赦なく降り注ぐ。  朝ドラに出演したことを女優としての拠りどころとする相楽が「知らない」「印象が薄い」と言われる場面はまだ笑って見ていられるのだが、「Twitterに上げる写真がつまらない」とか、「グラビアやイメージDVDが地味で、色気がない」というのは思わず「それは言っちゃダメ!」と言いたくなるようなギリギリのラインだ。と同時に、的確すぎて「そうそう!」と、思わずうなずいてしまう。  だが、そこまでキツいダメ出しをしていながら、見終わった後に嫌な感じがせず、むしろさわやかな気持ちになるのが本作の面白さである。  根本の女子をいじる目線には嫌な感じがしない。それは、芸能の世界で生きる女の子たちの気持ちに、ちゃんと寄り添っているからだろう。  00年代に宮藤官九郎が『木更津キャッツアイ』(TBS系)等のドラマでジャニーズアイドルをいじり倒して笑いのネタにすることで、男子校的な連帯感を男子に与えたように、女優やアイドルをいじり倒すことで女子校的な連帯感を女子に与えられるのが根本の才能ではないかと思う。  では、そんな根本のいじわる目線は、相楽の何を引き出したのか? 『とと姉ちゃん』で相楽が演じた鞠子は、家族を守る長女の常子(高畑充希)と要領の良い三女の美子(杉咲花)に挟まれて、いまいちパッとしない残念さがあった。この三姉妹の関係性自体が、女優としてのキャリアを順調に積み上げ、すでに演技力は折り紙つきだった高畑と、子役時代から実力派女優として高い評価を受けてきた杉咲に挟まれて、どこか自信なさげに見える相楽の立場を、そのまま反映していた。  だが、いつも自信なさげで、怒られて「ひ~」と気持ちがヘコんだ後でガックリきて、「とほほ」という表情をしている時の相楽の困り顔には、高畑と杉咲の自信に満ちた演技とは違う、ふつうの人の親しみやすさがあった。  可愛くない、色気がない、街を歩いていても気づかれないと言われてしまう印象の薄さは、キャラの濃さを競わされるアイドルやタレントとしては致命的な弱点に見える。だが、女優として、むしろその薄味加減こそが彼女の武器なのだと、本作は教えてくれる。 (文=成馬零一) ●なりま・れいいち 1976年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

山口百恵の次男・三浦貴大の“ハロヲタ発覚”で、モー娘。に「新時代」が来る!?

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「BRAND NEW MORNING/ジェラシー ジェラシー」(UP FRONT WORKS Z)
 欅坂46の4thシングル「不協和音」(SMR)が初週63万2,667枚を売り上げ、シングル1位を獲得。デビュー曲「サイレントマジョリティー」(同)から4作連続1位という、デビュー1年以内の女性アーティストとして史上初の快挙を成し遂げた。  また、乃木坂46は、シングル売り上げもさることながら、個人の写真集がヒットを連発。白石麻衣の『パスポート』(講談社)は累計発行部数20万部を突破し、話題となっている。  世間は今、「坂道グループ」の快進撃に夢中だ。  しかし、その一方で、ネット上ではハロプロファンがにわかに活気づいていることをご存じだろうか?  彼らが熱い視線を送るのは、三浦貴大。山口百恵&三浦友和の次男で、俳優として活躍中だ。  きっかけは、4月6日放送の『「ぷっ」すま』(テレビ朝日系)に番宣で出演したときのこと。  ユースケ・サンタマリアが不意に「三浦くんと共通点が……」と話し始めたかと思いきや、その内容は意外にも、三浦がユースケと同じ「ハロヲタ」であるということ、さらに、「モーニング娘。’17の小田さくら推し」という暴露だったのだ。  バラされた三浦本人は、耳まで赤くして大照れ。かなり本気な雰囲気を醸し出していた。  現在、さほど高視聴率というわけでもない『「ぷっ」すま』だが、この話題は瞬く間にネット上で拡散され、Twitterには「小田さくら」「三浦貴大」「ぷっすま」などが長時間トレンド入りする盛り上がりぶりを見せた。  しかも、面白いのは、三浦をもともと知らなかった人たちまでもが、「ハロヲタ」という共通点を得たことで、「なかなか見る目のある青年だな」などと、急に彼に親近感や好感を抱き始めたこと。  特に、小田は歌唱力に定評があり、つんくから「ハロプロの歴史でベスト3に入る」と評価されている“歌姫”である。そのため、三浦の母親で昭和の歌姫である山口と重ね合わせて、異常な盛り上がりを見せているのだ。ネットの掲示板などには、こんなコメントが相次いだ。 「やっぱりお母さんに似たオーラを感じちゃう? とにかくなんかすごい小田ちゃん来てるw」 「つまり小田は山口百恵を超えた存在ということか」 「山口百恵の後継者 小 田 さ く ら」 「母親に似たものを感じたんだろう」 「さすが母親に似た人を好きになるのは本当なんだな」 「歌姫の息子は歌姫を求めちゃうんだろうね遺伝子的に」 「男は無意識に母親の姿を探し求めるんだなあ」 「息子公認の山口百恵の再来」  ハロヲタたちは大いに盛り上がり、「山口百恵が息子の部屋で小田さくらの写真を見つけてしまう」といった、三浦母子のやりとりの妄想が繰り広げられていた。  また、「三浦さくら」「山口さくら」などと、小学生のように2人の名字と名前をくっつけて遊んでみたり、しまいには、小田を一気に飛び越えて、その子ども→「山口百恵の孫=歌姫」の妄想まで膨らませたりしている。いきなり強力な援軍を得たような、名家の婿養子を迎えたような、ハロヲタたちの歓迎ぶりはすさまじい。  ちなみに、モーニング娘。’17の新曲は「BRAND NEW MORNING/ジェラシー ジェラシー」(UP FRONT WORKS Z )。「坂道」に夢中なお茶の間には今のところまったく浸透していないものの、もしかしたら意外なきっかけで、モーニング娘。’17に「新時代の幕開け」が来るのかも?

渡辺謙の“ゲス不倫”に大手マスコミ完全沈黙! 今回よりさらに“ゲス”だった15年前の離婚劇とは

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『誰?-WHO AM I?』(ブックマン社)
 ハリウッド俳優の渡辺謙と、21歳年下の大阪・北新地の元ホステスとの“不倫スキャンダル”を「週刊文春」(文藝春秋)が証拠写真付きで2週にわたって報じたが、ワイドショーやスポーツ紙はその後、沈黙。騒動は早くも沈静化しようとしている。  昨年大騒ぎとなった、ベッキーと「ゲスの極み乙女。」川谷絵音との不倫スキャンダルについては、ベッキーが再起不能に陥るまで叩き続けたのに、渡辺の所属プロがコワモテで知られるケイダッシュだということで尻込みをする。今さらながら「長い物には巻かれろ」という大手メディアの体質には辟易する。  不倫スキャンダルが報じられた時期、米ニューヨークに滞在していた渡辺も、現在は帰国しているにもかかわらず、ノーコメントを貫いている。それに代わって、ケイダッシュの川村龍夫会長が「離婚の可能性はゼロ。彼は事態をちゃんと収拾できるはず」と、週刊誌の取材に対してコメントしている。  この川村会長の「事態を収拾できる」という発言は、15年前に起こった渡辺の離婚スキャンダルのことを踏まえているのではないだろうか? 確かに、あのときは離婚という形で決着したが、そこに行き着くまでに渡辺が異常な“ゲスぶり”を発揮したことは、あまり知られていない。  1987年、NHK大河『独眼竜政宗』の主演を演じた渡辺は、その後、映画『天と地と』の撮影中に急性白血病を患って入院。完全復帰する95年まで入退院を繰り返した。  復帰から7年後の2002年には、所属していた劇団「円」から大手プロのケイダッシュに移籍した。移籍理由について渡辺は「FAのようなもの」と言っていたが、移籍する前に女性週刊誌に高島礼子とのW不倫が報じられたこともあって、大手プロに移籍すればスキャンダルは抑えられるという思惑があったというのが本音だろう。今回は見事にその思惑が当たったようだが、当時はそう簡単にはいかなかった。  移籍直後、妻だったU子さんが、子どもたちの同級生の母親や宗教団体「釈尊会」の小野兼弘会長(故人)から、約5億円の使途不明の借金をしていたことが発覚。それ以前から、渡辺の女性問題で夫婦仲はうまくいっていなかったが、借金トラブルを機に別居した。大学生だった長男の大と高校生だった杏は母親についた。その後、渡辺が離婚訴訟を起こしたことで、一番の被害者になったのが杏だった。  別居後、渡辺からの生活費が送られてこなかったために、一家は生活に窮した。杏は「お兄ちゃんは大学を卒業して。私は高校を中退して、モデルとして働いて生活を支える」と言ったという。  当時、杏はサンミュージック傘下のサンミュージックブレーンにモデルとして所属していたが、“親の七光り”を利用したくなかったのか、事務所には「渡辺謙の娘」ということを内緒にしていた。母親が事務所に金を借りに来たことで、事務所は初めて、その事実を知ったという。サンミュージックの相澤秀禎会長(故人)は「杏のような親孝行娘は見たことがない」とベタ褒めしていたのを記憶している。  離婚裁判では、U子さんの弁護士から、渡辺と不倫がウワサされた女優として若村麻由美、高島礼子、荻野目慶子、斉藤由貴、池上季実子の5人が実名で挙げられた。裁判で出てきた情報だけに、ケイダッシュはメディアを抑えるどころか、防戦一方だった。本気で渡辺を守ろうという気も弱かった気がする。  そんな渡辺だが、03年12月にハリウッド映画『ラストサムライ』が公開され、翌月にはアカデミー賞助演男優賞にノミネートされると、一躍ハリウッドスターの仲間入りを果たした。これは、事務所の力ではなく、キャスティングプロデューサー・奈良橋陽子さんの尽力といわれている。  U子さんとの離婚は05年に成立したが、その前から作家の辻仁成と離婚した南果歩と深い関係になっていたため、離婚後すぐに再婚。渡辺は「果歩のすべてを一生愛す」と公言。愛妻家といわれてきたが、滞在先のアメリカでは南の目を盗んでは不倫していたという情報もあった。  昨年2月には、南が乳がんを患っていることが明らかになったが、渡辺は闘病中の妻を支える献身的な夫を演じながら、その一方で、元ホステスと逢瀬を楽しんでいたのだ。これほどゲスな男はいないだろう。一方で、「文春」に証拠写真を提供したのは元ホステス本人だという情報があるし、彼女が親しい友人に「渡辺はケチだから」と言っていたという証言もある。愛人に裏切られたとしたら、それも渡辺の甲斐性のなさの表れだろう。  過去にさんざん女遊びをしてきたビートたけしが「女に金を使わないで遊ぶ奴は、後で手痛い目に遭う」と言っていたことを思い出した。元妻の借金トラブルのとき、渡辺が少しでも借金を肩代わりしたという話は聞かなかった。金に対してはシビアなようだ。だから、元ホステスにも裏切られたのかもしれない。  ワイドショーやスポーツ紙が沈黙しようが、不倫スキャンダルでハリウッドスター・渡辺の虚像が暴かれたことは確かだ。ファンあっての俳優だけに、今後、世間がどう評価を下すか注目したい。 (文=本多圭)

群雄割拠の土日深夜スポーツ番組 王者・上田晋也に挑むピース又吉&ビビる大木に「足りないもの」

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『追跡 LIVE! SPORTS ウォッチャー』(テレビ東京)
 土・日の深夜といえば、スポーツニュース番組の最激戦区だ。民放各局では昨年度からずっと、下記4番組がほぼ同時間帯でしのぎを削っている。 『Going! Sports&News』(日本テレビ系/土・日:23時55分~) 『S☆1』(TBS系/土:24時30分~、日:24時~) 『追跡LIVE! SPORTSウォッチャー』(テレビ東京系/土:23時〜、日:22時54分~) 『スポーツLIFE HERO'S』(フジテレビ系/土:24時35分~、日:23時15分~)  この春、改編期に合わせて4者4様の衣替えを済ませた。それぞれの変化と狙いを見ていきたい。

■タレントを排したTBS、あくまでもタレントで攻めるテレ東

 今回の改編期に合わせ、最も様相が変わったのがTBS『S☆1』だ。爆笑問題の田中裕二、小島瑠璃子のMC2人が卒業し、伊藤隆佑アナと上村彩子アナ、局アナだけの進行に切り替わった。  一見すると、予算削減? 規模縮小? と感じてしまうが、リニューアル初週は二夜連続でイチローに独占インタビュー。企画・構成は、イチローに関する著書も多いスポーツライター・石田雄太とあって、掘り下げ方も独自の視点も、実に素晴らしかった。  第一夜は「43歳の衰えぬ体」。第二夜が「常識を超えた打撃」。 (周囲からの「年齢による衰えがくるはず」という言葉に対して) 「『そうであってほしい』という解釈ですよね。これから僕の絶頂期が来るって、どうして考えられないんだろう」 (パワーに依存しない体作りについて聞かれ) 「随分遠回りはしましたけど、随分無駄なことはしましたけど、やっぱりそうなんだ、って」 と、イチロー節も全開だった。  2週目はマスターズ中継のために短縮放送となったが、1週目の濃度がこのまま続くのかはまだ読めない。ただ、単なる予算削減ではなく、タレントのギャラ分で良質な取材が増えるのならば、その狙いは大歓迎だ。  一方で、あくまでもタレントによる番組作りを進めているのがテレ東の『SPORTSウォッチャー』だ。これまではピースの2人がMCを務めていたが、ニューヨークに渡る(予定の)綾部祐二に代わって、ビビる大木が新MCに加わった。  ビビる大木といえば筋金入りの巨人ファンだが、初登場となった8・9日の放送でも、やはりというか案の定というか、メイン企画は巨人について。特に9日の放送では、ゲストに阪神ファンでおなじみの千秋を招いて「巨人・阪神戦」の特集を組むなど、MCありきの番組構成になっていた感は否めない。  なお、9日のスポーツ番組で、トップニュースで「体操・内村航平10連覇」を扱わなかったのは『SPORTSウォッチャー』のみ。スポーツニュースの主役はあくまでも「スポーツの結果」か「アスリート」であるべきはずなのだが……。新MCというかせに縛られた番組作りが今後どうなっていくのか、心配な点ではある。  同番組では、『やべっちF.C.』(テレビ朝日系)以降、スポーツ番組でもすっかりおなじみになったワイプ芸も多用されているわけだが、正直なところ、矢部浩之ほど効果的とは思えない。野球知識が豊富な大木と、サッカー元大阪府代表だったという又吉直樹。それぞれの強みがもっと番組作りに生きてくることを願うばかり。マニー・ラミレスに独占密着した特集企画「Human watcher」など魅せる企画もあるだけに、タレントに頼らない企画を、もっともっと深めてもらいたい。

■新コーナーで攻める『Going!』と『HERO'S』の明暗

 アナウンサー陣の交代はあったものの、メインMCは代わらず、新コーナーで新年度を迎えたのが、『Going!』(日本テレビ系)と『HERO'S』(フジテレビ系)だ。 『HERO'S』の新コーナーは「影乃英雄」。勝利を裏側で支えたもう一人のヒーローにも目を向けよう、という内容。とても真摯でいい企画のはずなのだが、現状、ちょっと地味な印象も否めない。そりゃ、あえて「影」を取り上げているのだから致し方ない気もするのだが、今後、「このコーナーで取り上げられたい」という選手が増えて定着してくると、より深みが増してくるはず。粘り強く続けてもらいたい。  一方、解説陣のキャラクターをうまく生かした新コーナーを展開しているのが『Going!』。土曜日は元阪神・赤星憲広による「入り込み解説」。日曜日は江川卓による「昭和の怪物・江川が選ぶ、この選手『買物(かいぶつ)』です」。企画・目線の面白さもさることながら、結局のところ、『Going!』が飽きない理由は、MC上田晋也のコメント力によるところが大きい。『SPORTSウォッチャー』のビビる大木も又吉も、用意されたカンペを“読んでいる”感がアリアリとわかる。だから、ワイプでのコメントも視聴者に響いてこないのだ。  現状、視聴率では圧倒的な支持を集めている日曜夜の日本テレビ。その流れもあって、『Going!』の盤石さは今後も続いていきそうだ。 ***  日曜日夜のスポーツ番組といえば、NHKの『サンデースポーツ』に、この春20周年を迎えたテレ朝『Get Sports』、サッカーなら『やべっちF.C.』 と、ほかにも固定ファンのいる番組がひしめいている。だからこそ、それぞれ独自の切り口で、もっともっとスポーツファンをうならせてほしい。TBSの「イチロー特集」しかり、テレ東の「マニー・ラミレス特集」しかり。志と取材力のある企画には、視聴者もきっと食いついてくれるはずだ。 (文=オグマナオト) 熱血!スポーツ野郎』過去記事はこちらから