海外ドラマを牽引する売れっ子クリエーター! ライアン・マーフィの押さえておきたい代表作3選

 新作ドラマの数が急増しているアメリカTV界で、押しも押されもせぬ売れっ子がライアン・マーフィーだ。以前紹介した『アメリカン・ホラー・ストーリー』(参照記事)でアンソロジー・ドラマ人気に火をつけ、大御所女優ジェシカ・ラングを起用。監督を務めた映画『食べて、祈って、恋をして』に主演したジュリア・ロバーツと意気投合し、映画女優だった彼女を『ノーマル・ハート』でTV界に引っ張り出した辣腕ぶり。生存競争の激しい世界でアンソロジー・シリーズというひとつの潮流を生み出し、定着させた功績は大きいだろう。今、アメリカのドラマを見るなら彼の作品は外せない。なかでもまずは押さえておきたい、マーフィー作品をチョイスした。
海外ドラマを牽引する売れっ子クリエーター! ライアン・マーフィの押さえておきたい代表作3選の画像1
Huluより
 彼がブレークしたきっかけとなった作品が、2009年にスタートした青春ミュージカル・コメディ『glee/グリー』だ。オハイオの田舎町にある高校を舞台に、スクール・カーストの最下層にいる負け犬キッズたちが、合唱部でその才能を発揮し、成長していく姿を描いていく本作。合唱と言ってもここで描かれるのはパフォーマンス重視のショウ・クワイアー。生徒を演じるのはブロードウェイ出身のリア・ミシェルなど実力派がそろい、本格的なパフォーマンスを披露する。今でこそミュージカル作品は人気だが、一昔前までミュージカルといえばダサいというイメージ。そんな負のイメージを塗り替える音楽的クオリティの高さに度肝を抜かれるドラマだ。  60年代から現代に至るまでのヒットナンバーや、ミュージカル・ソング、映画のテーマ曲など幅広い楽曲がチョイスされているため、高校が舞台の青春ドラマでありながら大人世代が見ても楽しめる。普通にサントラを買いたくなるほど“聴ける”楽曲が盛りだくさんだ。もちろん音楽だけでなく、コミカルでありながら、イジメ問題やジェンダー問題など社会風刺を盛り込み、決して説教臭くならずにポジティブなメッセージを発信している点がドラマとしても秀逸なところだ。周囲からバカにされても決して自分を曲げない生徒たちがまぶしく、その何かにひたむきに打ち込む姿に思わず自分の高校時代が懐かしくなる事必至だ。
海外ドラマを牽引する売れっ子クリエーター! ライアン・マーフィの押さえておきたい代表作3選の画像2
スターチャンネルより
『アメリカン・ホラー・ストーリー』がヒットして以来、次々とアンソロジー・シリーズを手掛けているマーフィー。なかでも評価が高いのが、実録犯罪ドラマ・シリーズ第1弾『アメリカン・クライム・ストーリー/O・J・シンプソン事件』だ。1994年に元妻とその友人を殺害した罪で起訴された元人気アメフト選手O・J・シンプソンの裁判と、その結果をドラマ化。実際に起こった事件なのでその結末はすでに周知だが、当時“世紀の裁判”といわれるほど全米が注目した事件で一体何が起こったのか、判決が下るまでをリアルに描き、結末が分かっていてもその緊迫感で引き込まれてしまう。実際この事件に関しては刑事と民事で判決結果が分かれており、そうしたグレーな部分が事件から20年以上が経過しても見る者の興味を引くのだろう。もっとも、ドラマは単なる興味本位にスキャンダルを煽るものではない。“世紀の裁判”に関わる事になった人たちのそれぞれの目線で、苦悩や葛藤が深く描かれ、それをキューバ・グッディング・ジュニアやジョン・トラボルタなど実力派俳優たちが迫真の演技で大熱演。この俳優陣のアンサンブルだけでも見る価値がある。この年の賞レースを席巻したのもうなずける渾身の1作だ。  ちなみに『アメリカン・ホラー・ストーリー』の最新シリーズでは、トランプ大統領を取り上げることが決まっている。今のロシア・ゲート疑惑で世間を騒がせている様子を見ると、『アメリカン・クライム・ストーリー』で取り上げるほうが合っているような気もするが、もはやトランプ政権はアメリカにとってホラー同然ということなのだろう。
海外ドラマを牽引する売れっ子クリエーター! ライアン・マーフィの押さえておきたい代表作3選の画像3
『NIP/TUCK-マイアミ整形外科医〈ファースト〉 セット1』(ワーナー・ホーム・ビデオ)
 注目作は多々あれど、売れっ子クリエイターの原点という意味で押さえておきたいのが『NIP/TUCK』だ。『アメホラ』にしても、『アメクラ』にしても、この人の視点は基本ブラック。それは『glee/グリー』のような青春ドラマでも例外ではない。そうしたマーフィーのイジワルな視点が最大限に発揮されているのが本作なのだ。  2人の美容整形外科医を主人公に、美にとらわれ、飽くなき欲望を抱く人々の姿を痛烈に皮肉った本作は、ほかのどのマーフィー作品よりエグ味たっぷり。患者も患者なら医者も医者で、誰も彼もが己の欲に溺れ、抜き差しならない状態に陥っていく。あくまで美容整形業界を舞台にした人間ドラマなのに、まるで犯罪ドラマを見ているかのような“悪”の魅力に満ちているが、一方で良くも悪くも欲に忠実という意味では1本筋が通っており、欲望に振り回される人たちの姿もいっそ清々しく思えるほど。舞台がマイアミというのもまた、強すぎる日差しが濃い影を生むように、完璧な外見の裏に隠された人間のダークサイドを表現するのに絶妙にマッチしていて小憎らしい。自分から遠いようでいて、どこか共感が潜むそのディープな人間模様に、後のマーフィー作品の原点がしっかりと見て取れるドラマだ。 ●まくた・ちひろ 映画・海外ドラマライター。『日経エンタテインメント!海外ドラマSpecial』『ゲーム・オブ・スローンズ パーフェクト・ガイド』(日経BP社)、『海外ドラマTVガイド WATCH』(東京ニュース通信社)、『映画秘宝EXドラマ秘宝vol.2~マニアのための特濃ドラマガイド』(洋泉社)等に寄稿。Twitterアカウントは@charumin

もうゴリ押しなんて言わせない!? 『女囚セブン』で剛力彩芽が獲得した、新たな“ハマり役”

もうゴリ押しなんて言わせない!? 『女囚セブン』で剛力彩芽が獲得した、新たなハマり役の画像1
『女囚セブン』(テレビ朝日系)に出演する剛力彩芽が神々しい。  本作は、金曜23時15分から放送されている、女性刑務所を舞台にしたコメディタッチのドラマ。    京都で働く芸鼓の神渡琴音(剛力彩芽)は、先輩の雪乃(寺川里奈)を殺害した罪で逮捕される。しかし、それは冤罪だった。自らの汚名を晴らし、真犯人を突き止めるために自ら進んで女子刑務所に入る琴音。  雪乃は法務大臣の内藤裕次郎(高嶋政伸)の秘書・本郷(寿大聡)と付き合っており、彼らの悪事の数々を“黒革の手帳”に記録していた。  内藤は“黒革の手帳”を奪うため、看守たちに操られた女囚を使って琴音を追い詰めようとするが、琴音は女囚たちを仲間につけて、内藤を追い詰めていく。  脚本は西荻弓絵。『ケイゾク』や『SPEC』(ともにTBS系)といった堤幸彦演出のカルトミステリードラマで知られているが、近年のヒット作といえば、『女囚セブン』と同じ金曜ナイトドラマ枠で制作された政治コメディドラマ『民王』だろう。 『民王』は、笑いの中に政治ネタを盛り込んでいく手腕が実に巧みだったが、本作もコミカルな描写の中にゲス不倫、老人介護、待機児童、政治家の汚職などといった時事ネタが盛り込まれており、真実を隠ぺいしようとする権力に立ち向かう社会派ドラマとなっている。  そんなコメディだか、シリアスだかわからない人を食った世界観と、剛力のたたずまいは、実に相性がいい。  剛力が演じる琴音は寡黙で無表情のため、何を考えているかわからないミステリアスな芸妓だ。しかし、女囚が仕掛けてくる食事にゴキブリを入れるといったイジメを、鋭い勘と鍛え抜かれた体術で難なくかわしていく。  毎回の見せ場は、安達祐実や山口紗弥加といった実力派女優が演じる女囚たちとの議論対決だ。琴音は京ことばでゆったりとしゃべりながら相手の心の傷をえぐり出していき、精神的に追い込んだ後、「罪は犯すやつが悪いんやない。犯させる奴が悪いんどす」と言って、女囚たちを救済していく。  普通ならあり得ない、荒唐無稽なヒロインである。  しかし、剛力が演じると、妙な実在感が生まれる。  雑誌「Seventeen」(集英社)の専属モデルとして人気だった剛力彩芽は、 月9ドラマ『大切なことはすべて君が教えてくれた』(フジテレビ系)に出演以降、剛力という珍しい名字とショートカットの端正な顔立ちが注目され、女優として活躍するようになった。しかし、出演作が途切れることなく続いているため、ネットでは「ゴリ押しだ」というアンチの声が目立つ。  剛力の所属するオスカープロモーションは、所属女優を途切れることなく新作ドラマにブッキングする。同じ事務所の武井咲にも同じ戦略がとられているが、人気商売であるため早いうちに顔を売ると同時に、場数をこなすことで成長させたいという意図はよくわかる。  なんでも演じてきた雑食性が、結果的に今の武井と剛力の女優としてのタフさを作り出しているのは紛れもない事実だが、彼女らの出演作は玉石混交で、本人に合っていないものも多い。   特に原作モノの場合は(原作の)イメージと違うという反発も多く、もう少し丁寧に選べばいいのにと、昔から思っていた。  先輩の米倉涼子を筆頭に、オスカーの女優はスタイルのいい美女が多い。  彼女たちのような美女タイプはモデルやグラビア、あるいは短時間のCMなら相性がいいのだが、日常生活に根差した長尺のテレビドラマにおいては起用がとても難しい。  そのまま登場させると、顔が小さく、等身の高い美人である彼女たちは違和感が強すぎるのだ。  そのため違和感のない役というと、現実にはありえないようなゴージャスなメロドラマのヒロインになるか、荒唐無稽なスーパーヒロインを演じるしかない。  先輩の米倉も最初は女優としてうまくいかなかったが、『ドクターX~外科医・大門未知子』(テレビ朝日系)のようなスーパーヒロインを演じることで活路を見いだした。  では、剛力はどうか?    なかなかハマり役がなかった剛力だが、少し風向きが変わってきたのは、前作『レンタルの恋』(TBS系)だ。  剛力は、相手が望む理想の彼女を演じるレンタル彼女・高杉レミを演じた。  毎回、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の初号機やカブトムシのコスプレをするシーンがあるコメディ色の強い作品だったが、本作でもミステリアスで神秘的な美女を演じていた。 『レンタルの恋』以降、剛力=ゴリ押しというイメージは消えつつあり、評価も高まっている。    面白いのは、コミカルな役柄を演じることで、剛力の持つ圧倒的な造形の美しさもまた際立つことだ。  武井も同じようにコミカルとシリアスを横断することで評価されているが、今の剛力も同じ道を歩みだしている。その成果が『女囚セブン』の琴音だろう。  コミカルな芝居で安心させてから、圧倒的な美しさを見せつける。  緩いコメディのように見えて、実は社会派ドラマの『女囚セブン』と同様、剛力もまた、コミカルとシリアスを横断することで、新たなハマり役を獲得したのだ。 (文=成馬零一) ●なりま・れいいち 1976年生まれ。ライター、ドラマ評論家。ドラマ評を中心に雑誌、ウェブ等で幅広く執筆。単著に『TVドラマは、ジャニーズものだけ見ろ!』(宝島社新書)、『キャラクタードラマの誕生:テレビドラマを更新する6人の脚本家』(河出書房新社)がある。

電撃引退から半年 成宮寛貴に“美川憲一的復帰プラン”浮上中「ゲイ疑惑をネタにしてしまえば……」

電撃引退から半年 成宮寛貴に美川憲一的復帰プラン浮上中「ゲイ疑惑をネタにしてしまえば……」の画像1
 昨年末に芸能界を電撃引退した成宮寛貴の復帰に関する情報が諸説流れているが、広告代理店関係者から“美川憲一的復帰”を計画しているという情報を入手した。  昨年末、成宮は「フライデー」(講談社)に“コカイン使用疑惑”と“ゲイ疑惑”を報じられた。成宮は、コカイン使用については否定したが、「プライバシーが人の悪意により暴露され続けるのは耐えられない」という理由で芸能界を電撃引退し、日本を脱出した。  その後、バリ島などに潜伏していたが、2月には、国内で開催された有名ブランドのパーティーで目撃され、帰国していたことが明らかになった。以前から、ファッションに興味があるとしていた成宮は、デザイナーになるつもりでパーティーに参加したともいわれている。  これを受けて、スポンサーをつけてアパレルブランドを立ち上げるというウワサが流れた。さらに、テレビ朝日の人気ドラマシリーズ『相棒』で共演した水谷豊が、成宮の復帰に協力的だという情報もある。また、大手芸能プロ「ケイダッシュ」の川村龍夫会長の後押しで、今秋にも小さな舞台で復帰するという報道もあった。  いずれにしても、あれだけ世間を騒がせたのだから、復帰するには騒動に対する釈明が求められるだろう。引退撤回の際には「触れられたくないプライバシーとはなんだったのか?」という点に再び注目が集まることは間違いない。成宮にとっては酷なことだ。その点、広告代理店関係者が計画している“美川憲一的復帰プラン”なら、その必要性はない。  その昔、美川は「柳ヶ瀬ブルース」などの大ヒットで演歌歌手としてブレーク。『NHK紅白歌合戦』にも連続出場を果たしたが、大麻取締法違反容疑で2度の逮捕。有罪判決を受けて、芸能界から干された。  デビューの頃は“美少年歌手”として売り出したが、美川がゲイだということは芸能関係者の間では知る人ぞ知る話だった。実際、芸能界を干された美川は、新宿3 丁目でサパークラブを経営し、店では堂々とオネエ言葉を使い、ゲイであることを隠していなかった。  その美川の存在が、コロッケのもの まねで再び注目を集める ようになった。それに乗じて、美川自身はちあきなおみと一緒に「タンスにゴン」のCMに出演。オネエキャラ全開で出演したCMが大当たりし、再ブレークにつながった。とともに、美川がゲイであることが自然な形で世間に刷り込まれたのだ。 「成宮にも同様の戦略がハマるのではないか」と広告代理店関係者は言う。もちろん、成宮がゲイであるかどうかはわからないし、それを明かす義務もない。  だが、芸能界復帰に向けてなんらかの回答が求められるのであれば、美川同様にCM上の演出として“ネタ化”してしまうのは有効な手段ともいえる。成宮は罪を犯して芸能界を去ったわけでもなく、話題性を求めて、彼を起用する企業もあるはずだ。一見、とっぴな復帰計画だが、なんでもアリなのが芸能界。実現するか否か、注目したい。 (文=本多圭)

“タレント活動休止”の泰葉に、和田アキ子が戦々恐々!? 「アッコの息の根を止める」と業界から期待も

タレント活動休止の泰葉に、和田アキ子が戦々恐々!? 「アッコの息の根を止める」と業界から期待もの画像1
 6日に、各マスコミに向けて「タレント活動休止」を告げるファックスを送付した泰葉。今後は、父である故・初代林家三平の意思を継ぎ、「芸道」の道を極める決意を明かし、「歌手、作詞家、作曲家、古典芸能人、プロデューサー、そして、現在経営している弊社泰葉エンターテイメントの経営者、実業家」(原文ママ)として活動していくという。  このところ、元夫で落語家の春風亭小朝からの虐待を告発し続けていた泰葉だが、その動向が気にかかって仕方がないのが、歌手の和田アキ子だろう。 2日、都内の帝国ホテルで会見を開き、小朝と、“芸能界のご意見番”を気取る歌手の和田アキ子を民事訴訟で提訴することを発表した泰葉。業界内では「泰葉の暴走が、和田の息の根を止めるのでないか」と、ひそかに期待されているという。  和田は4月29日放送のラジオ番組『ゴッドアフタヌーン アッコのいいかげんに1000回』(ニッポン放送)で、泰葉がブログで小朝を告発していることに苦言を呈したが、それに対して泰葉が激怒。ブログで「最後にもう一人 告訴します 和田アキ子です」と爆弾宣言した。  和田は泰葉のブログでの告発に対して、「(泰葉が)『金髪野郎』と言ったとき、小朝さんは反応しなかったでしょ? 」と発言。さらに、小朝のいじめの 被害者として、2001年に自殺した故・桂三木助さんの名前を出したことに「お亡くなりになった方に失礼。家族もいるし、ちょっと違うと思う。小朝さんは元夫婦ということで百歩譲ってしょうがないと思うけど、(三木助さんについては)言っちゃいけない」と、泰葉を批判した。  その小朝は、今年1月から放送されたBSプレミアム時代劇『雲霧仁左衛門3』で雲霧を目の敵にする磯部主膳役を演じた。磯部は権力欲が旺盛、傲慢で陰湿、かつ狡猾な性格で、小朝は地で演じたといわれたほどだ。そんな性格の小朝に愛想を尽かしたのは、泰葉だけでない。元恋人で女優の岸本加世子、2人の仲を取り持とうとして小朝に裏切られたビートたけし。それに、その 権力欲に振り回された笑福亭鶴瓶や東京の落語家たちの中にも、小朝とは距離を置いている者が多い。  そういった事情も知らずに、したり顔で苦言を呈す和田に泰葉がブチギレ。ラジオの発言は営業妨害に当たり、かつて和田に挨拶しようと楽屋に行ったとき「なんで、そんな肌出した服着てるの?」と言われたことが名誉毀損だとして、提訴するという。  これに頭を抱えているのは『アッコにおまかせ!』(TBS系)のレギュラーを務める、泰葉の義兄・峰竜太。彼が苦しい立場に追い込まれるのは想像に難くない。  しかし、峰の妻で泰葉の姉である海老名美どりと泰葉の不仲説は有名な だけに、我関せずかもしれない。  一方、泰葉から攻撃を受けた直後の和田がレギュラーに加わったドラマ『小さな巨人』(同 )の出演者やスタッフはいい迷惑だ。『小さな巨人』は、和田が初出演した週の視聴率がダウン。業界内では、原因は視聴者の「和田アレルギー」が出たなどといわれた。もちろん因果関係は証明できないが、嫌いなタレントランキングで常連になっている和田が業界内でお荷物扱いされているということだろう。今回の泰葉の告発を、“ご意見番”気取りの和田にお灸を据えるという意味では歓迎する向きも多い。  いずれにしても、口は災いのもと。これを機に、世間知らずで傲慢な和田が“ご意見番”気取りするのはやめたほうがいいだろう。 (文=本多圭)

案内人に怒鳴られてもヘラヘラ!? 張成沢処刑前夜に見た、「右から左へ」しながら生き抜く北朝鮮人のメンタリティ

案内人に怒鳴られてもヘラヘラ!? 張成沢処刑前夜に見た、「右から左へ」しながら生き抜く北朝鮮人のメンタリティの画像1
2013年年末、“あの事件”直前の平壌の様子
 あれは今から約3年半前、2013年の年末のことです。  当時の平壌の雰囲気は明らかに違っていて、張り詰めた空気が街に漂っているようでした。  案内員も前回とは違って冗談が通じない人が配置され、取材箇所の交渉も一筋縄ではいきませんでした。  その回の訪朝では大手テレビ局と一緒に回っており、車代もテレビ局負担のため、野良記者の私に決定権などなかった点も大きかったのでありますが、前回ほど自由なコミュニケーションが取れず、内心、困惑しておりました。  そんな中、ホテルで親戚に会ったとき「これからうちに来る?」という話になりました。  本来であれば案内員もタクシーに乗せて連れていかなければならないのですが、私はそれをすっかり失念し、その場のノリで親戚とタクシーに乗って親戚宅に行ってしまいました。  すると到着した瞬間、親戚宅の電話が鳴り、受話器からは案内員の「勝手なことをするな」という怒号が漏れ聴こえました。  しかし、親戚は萎縮するどころか「えっ、そうなんですか? それは知りませんでした。ハイハイ、すみませんでした~」などとヘラヘラ笑いながら適当に受け流しておりました。  私も、いつもなら案内員からは諭されるように説教されるところが、今回は大声で怒鳴られ、「平壌は随分と感じ悪い雰囲気になってきたな」と思っておりました。  ようやく受話器を置くと間髪入れずに再び電話が鳴り、「今お前の家にいるのは誰だ?」と聞こえました。地域の自治会責任者のようでした。  すると次は、親戚は負けじと「だから親戚って言ってるでしょ? どこの親戚? 日本ですよ、日本」などと強気で食い下がり、あろうことか電話をほぼ“ガチャ切り”していました。  私はその様子を見つめながら、気が気ではありませんでした。なぜかって?  私のせいで一族が懲罰を受けたらどうしようかとか、そもそも親戚はあのような反抗的な態度をとって大丈夫なのだろうかとか。  全身の毛が逆立ち、私の体からは漫画のように冷や汗がダラダラと噴き出ました。文字通り体がガタガタと震えたのは、後にも先にもこの時しかありません。 「あの、大丈夫でしょうか? あとで怒られないですか?」  するとドッと笑いが起き、「ビビりすぎだ」と言われました。  いや、絶対に大丈夫じゃないだろう……。その後、出された食事は、まったく味がしなかったことを覚えています。  翌朝、迎えに来た案内員はまだ機嫌が悪く、「申し訳ありませんでした」と平謝りしましたが、帰りのタクシー内ではずっとガミガミと小言を言われ続けてしまいました。  その直後に、金正恩氏の叔父である張成沢氏が処刑され、あの異様な空気が腑に落ちた気がしました。識者に聞くと、おそらく処刑前夜ということで国全体の統制が厳しくなっていたのだろうという見方でした。  その後、日本では高射砲で幹部を木っ端微塵にしただとか、一般市民を集めて公開処刑したなどの真偽不明な話が流れ始めましたが、「あの空気」を体験した私としては、それを受けてさまざまな想像をしてしまうようになりました。  やがてはそれが軽いトラウマとなり、「私のような人間がヘタに関わって、向こうの幸せを壊すわけにはいかない」と思うようになりました。    さらに、私がiPhoneで世界のバカ画像やゲームを見せたりしていたことが大ごとになるのではないか(北朝鮮では、場合によっては見たほうも罰も受ける)、そして日本での私の活動が北朝鮮を刺激し、最悪の事態も起こりうるのではないかと勝手な恐怖を募らせたのでありました。  そのうち、公私にわたって多忙が続き、訪朝のタイミングがなかなか得られず、海外に在住する北朝鮮人民との交流はありましたが、親戚との連絡は途絶えがちになりました。  しかし、このままではよくない。そこで、届かない可能性も想定しつつ、勇気を振り絞って手紙を出したところ、みんなまったく何事もなく健在でした。  それどころか一人は結婚して子どもを産み、一人は来年結婚、一人は大学を首席で卒業して良いところへ就職しており、相変わらずのリア充ぶり。「連絡ないから死んだかと思った(笑)」などと、逆にこちらが心配される始末でした。    処刑や懲罰に関しては、さすがの私もまったく勘所がわかりません。  しかし、思えば20歳くらいの女の子が街中で歩哨(身長180㎝程度)と大声でケンカしていた場面もありましたし、地方でも市民が人民軍の車を襲ったり幹部に詰め寄る場面は珍しくなく、「恐怖政治のもとで一方的に抑圧される人民」というイメージは一概に正しくないといえましょう。  ジャーナリストの米村耕一氏が著した『北朝鮮・絶対秘密文書』(新潮社)でも、法的手続きにのっとって懲罰が行われていることが明らかにされています。資本主義国よりも明らかに制限がある中で時にはたくましく、時には右から左へ受け流しながら生き抜く人民のメンタリティには、今後も注視していきたいと思います。  もちろんさまざまな情報があるでしょうから、私の体験・および観測範囲に限った話であることを申し添えておきます。 ●やす・やどろく ライター、編集者。都内大学院の心理学部在籍中。元朝鮮青年同盟中央委員。政治や民族問題に疲れ、その狭間にある人間模様の観察に主眼を置く。しばしば3重スパイ扱いされるのが悩み。日朝和平、北朝鮮のGDP向上、南北平和統一を願う一市民。ペンネームは実家が経営していたラブホテルの屋号(※とっくに倒産)。<http://blog.livedoor.jp/yasgreen/>

東京五輪キャスターまであと一歩!? 関ジャニ∞・村上信五のMC力を鍛えた『村上信五とスポーツの神様たち』

東京五輪キャスターまであと一歩!? 関ジャニ∞・村上信五のMC力を鍛えた『村上信五とスポーツの神様たち』の画像1
 今年の『FNS27時間テレビ』の総合司会者はビートたけしに決定。そのたけしを脇で支える「キャプテン」として、関ジャニ∞・村上信五が起用されることも発表された。  これ、総合司会=ビートたけし、は間違いだと思う(フジがそう発表しているのだから、間違いも何もないのだが)。編成・営業的な理由で「ビートたけし」の冠を立てなければならないのは明らか。たけしという旗印のもと、実質的な司会者として村上が番組のかじ取り役になる、と捉えたほうがいいはずだ。  実際、SNSを中心に懸念されているのが、たけしの今の滑舌で長時間の番組が成り立つのか、ということ。だからこそ、村上の司会力・MC力が問われることになる。  個人的には、村上の司会者ぶりが今から楽しみで仕方がない。実際、『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)、『ありえへん∞世界』(テレビ東京系)といった番組では抜群の安定感を見せ、そして、いま民放で最も熱量の高い番組『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)でも、その「回しの技術」は際立っている。  だが、『月曜から夜ふかし』はマツコ・デラックスの存在があってこそ。『ありえへん∞世界』『関ジャム』ではほかの関ジャニメンバーもいるだけに、その関係性の中で番組を回すことが多い。純粋に、村上のMC技術がどう優れているのかは、一見するとわかりにくいかもしれない。  そんな村上の「司会ぶり」を判断する上で、ぜひ一度見てもらいたい番組がある。番組開始から2年を過ぎたスポーツバラエティ『村上信五とスポーツの神様たち』(フジテレビ系)だ。  番組開始当初は、タイトル通り“スポーツの神様たち”=各競技で一時代を築いた往年のスーパースターたちを招き、現役時代の荒唐無稽なエピソードを聞く、というコンセプト。釜本邦茂、輪島功一、福本豊、中野浩一……といった、ヒト癖もフタ癖もある、さらにいえば司会者の言葉なんて一切聞いていないような唯我独尊のレジェンドたちを、MC村上が見事にいなしていくさまは、実に見応えがあって面白かった。  ただ、こうした「神様」たちも一巡してしまったのか、少しずつ現役選手や引退したばかりの選手の割合が多くなり、最近では「球団職員」「熱狂的ファン」「アスリートの妻」「トレーナー」「マイナー競技に挑戦」といった、もう神様など関係ない企画が多くなっている。  断っておくと、神様が出てこなくなったここ最近の番組も十分面白く、スポーツの魅力、奥深さ、マニアックさをしっかり伝えることができている。一方で、大きく変わったのがMC・村上にかかる比重だ。  神様が毎回出ていた時代、その神様たちが気持ちよく言葉を発することができれば、ある意味で番組は成り立っていた。意地悪くいえば、ブッキングができた時点で半分、面白さは担保できていたわけだ。  だが、今は違う。「球団職員」「熱狂的ファン」「トレーナー」「マイナー競技」……ある意味で、“素人”の出番が増えてきたのだ。当然、トーク力・トーク内容に関しては、神様ほどの破壊力はない。だからこそ、村上のMC力が重要になってくる。そして実際、村上がさまざまなエピソードを拾い上げ、膨らませ、毎回ちゃんと面白いスポーツ語りに帰結していく。  この手の役回りは、かつて『ジャンクSPORTS』(同)における浜田雅功の独壇場だった。だが、村上はより身近な存在として、微に入り細に入り、アスリートや競技関係者の懐に飛び込んでいく。  さらに言うと、以前はますだおかだの岡田圭右が毎回、サブMCとして村上をサポートしていたのだが、なぜか最近は出番が激減。村上ひとりで進行する回が多くなった。司会者としてのスキルも経験値も、ひとりで回すことでより高まっているはずだ。  この『村上信五とスポーツの神様たち』の先にある、村上の野望――。それは、2020年東京五輪におけるメインキャスターへの道だ(実際、それを番組の中でも公言している)。そのための足がかりとして、今年の『FNS27時間テレビ』でどんな司会者ぶりを発揮してくれるのか。今後の『村上信五とスポーツの神様たち』同様、大いに期待したい。 (文=オグマナオト)

“ゴジラ映画史上最大の異端児”坂野義光監督に捧ぐ『ゴジラ対ヘドラ』にまつわるエトセトラ

ゴジラ映画史上最大の異端児坂野義光監督に捧ぐ『ゴジラ対ヘドラ』にまつわるエトセトラの画像1
『ゴジラ対ヘドラ 東宝DVD名作セレクション』(東宝)
『ゴジラ対ヘドラ』という映画がある。  ゴジラシリーズの11作目として1971年に公開されたこの映画は、シリーズ最大の「異色作」ともいわれ、一部ゴジラファンの間で熱烈な人気を誇る。  当時の社会問題であった「公害」が受肉し、そのまま実体化したような怪獣「ヘドラ」と、ゴジラが戦う――。新怪獣とのバトルが通例となっていたこの時期の娯楽路線のゴジラにおいて、ヘドラは異端の対戦怪獣だった。  そもそもゴジラは、人間の生んだ「核」という負の領域からヌッと現れた怪獣だ。54年の第1作『ゴジラ』で、人々はその存在に戦争の亡霊を見いだし、恐怖した。その脅威を排除するために全力を尽くし、沈みゆくゴジラに自らの過去も重ねて祈りを捧げた。  それから時がたち、地球の、子どもたちの味方になっていったゴジラの前に立ちはだかったのは、くしくも同じ人間が生んだ「公害」という負の領域からヌッと現れたヘドラだ。言うなれば、ヘドラは70年型の「新ゴジラ」だった。  この映画では、メッセージを背負っているのはゴジラではなく、ヘドラのほうなのだ。子どもの声に応えてどこからともなく現れたゴジラは、もはや実態を持たない、子どもたちが生んだ妄想のヒーローのようにすら見える。重量もなければ、奥行きもない、書き割りのようだ。そして、ヘドラは強い。ゴジラが対峙した怪獣の中でも最強の部類だ。  感情を見せず、ただヘドロやスモッグを吸いつくし、全身から有害物質をまき散らし、無尽蔵に成長することだけを本能としている。それはそのまま、公害を撒き散らしながら膨れ上がる日本の姿を暗示している。メッセージを持った敵は強い。  痛みも感じず、体が崩れても死なないヘドラに対して、今作のゴジラは鬼神のように立ち向かう。新たな「ゴジラ」であるヘドラに勝つには、自身の「ゴジラ」を取り戻すしかない。敵の「重さ」をむしり捨てるように、ヘドラの肉体をえぐり取っていく。  これはゴジラにとって「アイデンティティー」の戦いなのだ。  そこには余裕に満ちたヒーロー然とした姿はなく、ただ目の前の脅威を消滅させるために泥にまみれ、片目を潰され、腕は白骨化し、人類の武器まで利用して、満身創痍で辛くも勝利する。夕日に照らされ、死にゆくヘドラを傍目に佇むゴジラ、そこにかぶさる荘厳なコーラス。その姿は、自らの亡霊を葬り去っているかのようだ。第1作で沈み行くゴジラを見つめた人々と、ゴジラがダブる。  映画は、「そして、もう一ぴき?」という新たなヘドラの出現を予感させるスーパー(字幕)で終わる。  これもまた、新たなゴジラの存在を予感させた第1作目の『ゴジラ』と同じだ。  僕は、この『ゴジラ対ヘドラ』こそが、第1作目の『ゴジラ』に迫ることができた唯一のゴジラ映画だと思っている。そこには、監督の「ゴジラには、その時代の文明批評的なメッセージが必要だ」という並々ならぬ想いがあるからだ。  この映画を監督したのが、坂野義光さん。生涯において、メインの監督作はこれ1本。そして、その坂野さんは、5月7日に亡くなった。享年86歳。  少し自分の話をしたい。人にはそれぞれの「特撮」を卒業するタイミングがある。僕にも、特撮を卒業しそうなときが二度あった。一度は、小学校高学年になったとき。アニメや漫画やゲームに夢中で、特撮番組を見なくなった。これは、ほとんどの人が特撮番組を卒業する至極まっとうなタイミングで、多くのクラスメイトも戦隊ヒーローの話をしなくなったし、怪獣ソフビを買ったり、ウルトラマンのガチャガチャを回す人もいなくなった。  でも、そのときハマったアニメとその監督が、特撮のDNAを持っていることに気づき、すぐに戻ってきた。  そのアニメは『新世紀エヴァンゲリオン』で、監督は雑誌でスペシウム光線のポーズを決めている庵野秀明さんだった。  次のタイミングは中高生のときで、こちらのほうが大きかった。音楽に目覚めたのだ。それまで漫画家志望だったのに、一夜で音楽家に変わった。とにかく曲を作ったりする人になりたかった。特に「サイケ」と言われる音楽が妙に気に入った。どこまでがハードロックで、どこらへんがサイケで、どこからがプログレかよくわからなかったが、反復されるリズムや、エコーの効いたボーカル、主役のオルガン、ワウ、ファズが気に入った。  子どもの頃に好きだった特撮に対する興味は薄れて、音楽に夢中になった。  そんな時に、何かの雑誌で「ヘドラはサイケだ!」という一文を見つけた。言われてみれば、子どもの頃に見た『ゴジラ対ヘドラ』は変な映画だったよな……と思い返し、レンタル屋で借りて見てみた。  そこからの91分。開始早々に突如流れる「かえせ!太陽を」というサイケデリック歌謡曲、「水銀、コバルト、カドミウム……」と公害物質を連呼するAメロ、「かえせ!」「かえせ!」の大合唱、子どもからゴジラに捧げる作文、オタマジャクシのようなヘドラの融合と成長、ボディペインティングの歌姫と、魚人間が踊り狂うゴーゴークラブ、荒削りなバンドの演奏、麻雀中にヘドロに巻き込まれて死ぬサラリーマン、ヘドロに沈むメガネ、32分割されるニュース映像、赤ん坊の泣き声、不吉なアニメーション、バタバタと倒れる女子学生、めちゃくちゃ唐突に白骨化する通行人、富士の裾野100万人ゴーゴー(100人くらいしかいない)、役に立たない自衛隊、そして悲痛なまでのゴジラの死闘、強烈なイメージの数々が流れ込んできた。  この瞬間、自分の「好きになった物」と「好きだった物」がつながり、直列電流のような強力な電気が体内を走った。 「おれ、こういうのが好きなんじゃん!」  人生が決まってしまったような瞬間だった。  それ以来、僕は自分が好きになるものを、直列電池のようにつなぎ合わせて生きてきた。一人の人間のことだ。同じリズムの中で愛したものに、古いも新しいも、はやりもダサいもない。 『ゴジラ対ヘドラ』は、僕の中で大きな作品となった。  さて、冒頭で書いたように坂野さんは、この『ゴジラ対ヘドラ』の1本しかメインでの監督をしていない。もともと東宝で黒澤明監督はじめ数々の巨匠の助監督を務めた経験のある坂野さんは、70年の大阪万博・三菱未来館での映像制作を大成功させ、新進気鋭の監督として抜擢された。その記念すべき1作目が『ゴジラ対ヘドラ』だったのだが、それだけのキャリアを持つ坂野さんがこれ1本しか監督をしていないというのは不思議な話だ。一部では「坂野義光は“ゴジラを飛ばして”東宝の逆鱗に触れて、干された」ともいわれている。 『ゴジラ対ヘドラ』のクライマックス、死闘の末にヘドラを追い詰めたゴジラだったが、ヘドラは使い古した肉体を脱ぎ捨てるように脱皮し、飛翔して逃げ出してしまう。それを追いかけるべくゴジラが取った行動は、尻尾を抱え込むようにして丸まり、口から地面に向けて放射火炎を噴き出したのだ。その「逆噴射」ジェットで空に飛び上がったゴジラは、そのまま飛行してヘドラを追いかけ、体当たりで叩き落とす!  それまでのゴジラにはなかった強烈なこの「空飛ぶゴジラ」のシーンが、坂野さんが「ゴジラを飛ばした男」とまで呼ばれる由来だ。  しかし、公開後にこのシーンを見たプロデューサーの田中友幸さんが難色を示し、「ゴジラのキャラクターを変えてもらっては困る」「坂野にはもう特撮映画は撮らせない」と述べたという。真偽のほどはわからないが、日本映画の斜陽とも重なり、この数年後に坂野さんは劇映画の世界を離れることとなる。  では、これで坂野さんの映像作家としてのキャリアは終わってしまったのか?  そんなことはない。むしろ、ここから坂野さんは、その行動力と企画力で、数々の功績を残していく。 まず、坂野さんは助監督時代から培ってきた水中撮影の技術で、数々の水中映像のドキュメンタリーの傑作を生み出していく。困難に直面しながらも、水中撮影のノウハウを切り開いてきた坂野さんは、日本の水中撮影のパイオニアと言っても過言ではない。  さらに万博での経験から、大型映像の未来を予感した坂野さんは、独自に日本初の大型映像「ジャパネックス・システム」を開発。80年代には、大型映像用のコンテンツの制作にも積極的に関わっていく。  いまやIMAX3D、4DMXなどの大型上映システムが映画の主流になっているが、坂野さんは40年も前からこの未来を予測し、その普及と発展に尽力してきた。  そして坂野さんの夢は、この大型映像システムで、もう一度ゴジラの映像を作り出すことだった。2003年、坂野さんはIMAX3D用にゴジラとヘドラが登場する短編を企画し、東宝との権利契約も締結する。  しかし、この『新ゴジラ対ヘドラ』は資金難に直面し、企画は頓挫寸前になってしまう。転機は10年、この短編3D映画の企画がとある人物の目に止まり、そこから「坂野版3Dゴジラ」は、さらに規模を拡大してハリウッド製作の長編映画として生まれ変わることとなる。  その人物が、レジェンダリー・ピクチャーズのトーマス・タル会長であり、その企画から生まれたのが、14年に公開されたギャレス・エドワーズ監督作『GODZILLA』だったのだ。この大作映画のスタッフロールに、坂野さんは「エグゼクティブ・プロデューサー(製作総指揮)」として大きくクレジットされた。  坂野さん自身の願いであった「環境問題に根ざしたシナリオとメッセージを」という想いも反映され、原子力発電所の事故を背景としたシナリオが完成した。  坂野さんは、自らのデビュー作であり、自身が特撮映画の世界を去るきっかけともなったゴジラの世界に、40年ぶりに帰ってきたのだ。そして、それはゴジラ映画自身の10年ぶりの復活でもあり、その復活の仕掛け人がゴジラ映画史上最大の異端児だった、というオマケ付きだ。  こんな痛快なことがあるだろうか?  スタッフロールに出た「YOSHIMITSU BANNO」の名前に、多くの『ゴジラ対ヘドラ』ファンは感動した。この坂野さんの企画書からスタートしたレジェンダリー版ゴジラは、今後も続編が予定されており、坂野さん亡き後も続いていく。  長年の夢を実現させ「新ゴジラ」をハリウッドで完成させた坂野さんだが、まだまだやりたい企画が山ほどあるようだった。14年、僕が見に行った坂野さんのトークショーでも、ヘドラが登場する新しい企画を進めたいと語っていた。  最近も、福島第一原発事故により新たなヘドラが登場するという『新ヘドラ』の企画を進めていたという。亡くなる直前まで、いくつもの企画を構想し、最新の映像技術を追いかける「現役映像作家」だった坂野さん。  そのエネルギーを『ゴジラ対ヘドラ』という1本の映画の中で追体験できる僕らは幸福だ。そして、坂野さん自身による『新ヘドラ』は残念ながら実現しなかったが、人間がいる限り、その陰から生まれる怪獣もまた、必ずいる。  新たなゴジラ、新たなヘドラは、時代の陰からヌッと現れてくるだろう。だからこの原稿も、このスーパーで終わる。 「そして、もう一ぴき?」 参考文献:『ゴジラを飛ばした男 85歳の映像クリエイター 坂野義光』 ゴジラ映画史上最大の異端児坂野義光監督に捧ぐ『ゴジラ対ヘドラ』にまつわるエトセトラの画像2 ●タカハシ・ヒョウリ “サイケデリックでカルトでポップ”なロックバンド、オワリカラのボーカル。たまにブログでつづる文章にも定評あり。好きなものは謎、ロック、歌謡、特撮、漫画、映画、蕎麦。 HP:http://www.owarikara.com/ ブログ:http://hyouri-t.jugem.jp/ Twitter:https://twitter.com/TakahashiHyouri?ref_src=twsrc%5Etfw

“カツラ疑惑否定芸人”と化した演歌歌手・細川たかしに美容師証言「最近のカツラは、もっと優秀です」

カツラ疑惑否定芸人と化した演歌歌手・細川たかしに美容師証言「最近のカツラは、もっと優秀です」の画像1
「縁結び祝い唄/人生夢将棋」(日本コロムビア)
 最近、細川たかしが「カツラ疑惑否定芸人」化している気がする。  きっかけは、昨年9月15日放送の『徹子の部屋』(テレビ朝日系)出演時。毛髪に違和感があったことから、ネット上で「明らかにカツラ」「放送事故レベル」といった声が続出した。  そうした疑惑を受け、同25日に行われた北海道・増毛町のイベントでは「私にもカツラ疑惑があったけど」「私は大丈夫。今日は短く切ってきました」と堂々宣言。「30年くらい前から、1回のセットでヘアスプレー1本使い切るほどガチガチに固めたことから、カツラと言われるようになった」とヘアスタイルについての説明までしていた。  そして、11月14日放送の『ぶっちゃけ寺&Qさま!!豪華2本立て3時間スペシャル』(同)に出演した際にも、カツラを全面否定。  さらに12月29日、『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)ではカツラ疑惑を否定した上、わざわざCCDカメラでの毛根確認を受け、レポーターに「完全に地肌から生えています」と証言してもらってもいた。  今年に入ってからも「カツラ疑惑否定芸人」仕事は止まらない。1月19日放送の『アウト×デラックス』(フジテレビ系)でも、やっぱり完全否定。  5月17日放送の『ナカイの窓』(日本テレビ系)の“演歌歌手SP”では、MCの中居正広や近藤春菜に追及され、「疑惑があってね。昔からスプレーで固めてる。白髪が嫌でサイドを剃っていくうちに、独特の髪形になった」とも話していた。  いまやテレビ番組でのメイン仕事が「カツラ疑惑の否定」になりつつある細川だが、本当に地毛であると仮定して、そもそもなぜそんなにもカツラに見えてしまう髪形なのか?  都内の女性美容師は言う。 「あれはカツラじゃないと思いますよ。今どきのカツラは、もっと優秀ですから。地毛にこだわって、地毛でどうにかしようとしているから、ああなっているんだと思います」  仮に何かしているとしたら、ハゲ界で「ふりかけ」「青のり」などと呼ばれている「スーパーミリオンヘアー」のような商品を使用している可能性はあるかも、と言う。 「菅義偉官房長官と、細川たかしは、同じはげ方の気がします。よく似ていますよね? なぜ違和感があるかというと、真っ黒なカラーリングと、こめかみ寄りの生え際部分の白髪を剃っていることが原因だと思います」(同)  カツラが「カツラ」に見えてしまう理由は、フェイスラインがいきなり濃い毛から始まること。普通、髪の毛の生え際には産毛が生えていて、後ろにいくに従って、だんだん濃い毛になっていくものなのに、頭部全体が同じ髪質だから、違和感が出るということだそう。 「ただし、最近の優秀なカツラは、いろんな髪質を使い分けていて、襟足のほうが濃くて量も多いとか、トップは、ハリがなくて密集していないとか、毛量もコントロールされていて、自然なバランスで作られているんですよ。だから、いいカツラは、かなりわかりにくくなっています」(同)  ちなみに細川は、フェイスラインの産毛を剃っていることを番組で明かしている。そのため、スプレーでセットする際に、トップの薄くあるべきところも、ブローなのか、何かしらの商品によってなのか、濃さが均一になるようにしていることで、違和感があるのかも、と言う。 「ハゲの人が大事にするはずの生え際の産毛を、ないことにして剃ってしまって、濃いところから毛として扱っているので、本人は『薄い』とは思っていないんでしょうね。一般的に毛髪の薄い方は、産毛状のところを『薄い薄い』と嘆いている気がしますから」(同)  本来、髪の薄い人にとって大切なはずの産毛を「なかったこと」にする潔さ(?)が、髪の生えていない面積をどんどん広げてしまい、独特なヘアスタイルを作り上げている可能性アリ。 「カツラに見えないカツラ」と「地毛に見えない地毛」、はたしてどちらがよいのだろうか……。

井ノ原快彦 VS国分太一、山口達也 VS 伊野尾慧……ジャニタレ「裏番組」視聴率バトル

井ノ原快彦 VS国分太一、山口達也 VS 伊野尾慧……ジャニタレ「裏番組」視聴率バトルの画像1
どうしてあのタレントは人気なのか? なぜ、あんなにテレビに出ているのか? その理由を、業界目線でズバッと斬る「ズバッと芸能人」。  今回は特別編。裏番組で戦っているジャニーズを、視聴率で徹底比較する(すべてビデオリサーチ調べ、関東地区)。 ■早朝の情報番組対決! 『ZIP!』山口達也 VS 『めざましテレビ』伊野尾慧    両番組は、視聴者層が重なっているところが多く、お互いしのぎを削っている。ということで視聴率を比べてみると、結果はご覧の通り。 『ZIP!』8.9% 『めざまし』8.1%  山口は『ZIP!』(日本テレビ系)の月曜と水曜のメインパーソナリティーであるのに対し、伊野尾の『めざまし』(フジテレビ系)は木曜日だけと純粋には比較できないのだが、それでも直近の出演日で比べた(『ZIP!』5月29日放送回、『めざまし』5月25日の放送回)。  アドリブベタを嘆く伊野尾も、徐々にではあるが、返しがうまくなってはきている。だが、ここは山口の貫禄勝ちというところか。   ■朝8時のジャニーズ対決! 『あさイチ』井ノ原快彦 VS 『ビビット』国分太一    何かと番組内でエール交換している『あさイチ』(NHK)と『ビビット』(TBS系 )、この2番組の“現在”を5月30日放送回で比べてみた。すると……。   『あさイチ』9.6% 『ビビット』3.0% 『ビビット』に3倍の差をつけて圧勝した『あさイチ』。やはり朝ドラからの流れを引き継いでいることもあり、圧倒的優位だ。    ただ、そもそも『あさイチ』の制作スタッフは、『ビビット』の枠で長らく放送されてきた『はなまるマーケット』を作っていたチーム。それをNHKに制作会社ごと引き抜かれて、ついには本陣の『はなまる』も潰されたという経緯がある。TBSとしては忸怩たる思いがあるだろう。   ■平日夕方のニュース番組対決! 『news every.』小山慶一郎 VS 『ニュース シブ5時』Sexy Zone 『every.』(日本テレビ系)の小山は言うまでもないが、『シブ5時』(NHK)のセクゾは1コーナーのみの出演で、iPS細胞など最近のニュース用語をNHK解説委員から学んだり、熊本地震の被災地を訪ねるなど、彼らのファンにとっては貴重な番組となっている。  今回はセクゾが出た5月10日放送回で比べてみる。結果はこちら。   『every.』5.5% 『シブ5時』4.7%  わずかながら『every.』が上回った。ただし5.5%というのは、午後4時50分~5時53分の第2部。これが5時53分~7時までの第3部になると、9.5%まで跳ね上がる。    また正確を期すために付け加えておくと、小山の出演は、月~木曜の第1部(午後3時50分~4時53分)と水曜日の第2部のみ。実際には、月曜の第2部には出ていないのだが、同時間帯での比較という意味で、ここでは数字を挙げた。ちなみに、小山が出た10日の1部は5.1%となっている。 ■月曜夜11時対決! 『NEWS ZERO』櫻井翔 VS 『キスマイBUSAIKU!?』Kis-My-Ft2 『NEWS ZERO』(日本テレビ系)の月曜担当である櫻井と、『キスブサ』(フジテレビ系)の裏番組対決だ。5月29日放送回の結果は…… 『ZERO』9.3% 『キスブサ』 5.9% 『SMAP×SMAP』終了を受けて始まった『ちょっとザワつくイメージ調査 もしかしてズレてる?』(月曜午後10時~)の視聴率は5.8%。『キスブサ』と、なんら変わらないのだ。これであれば、月曜夜10時に『キスブサ』を持ってきたほうがよいのでは? ■月曜深夜のバラエティ対決! 『月曜から夜ふかし』村上信五 VS 『Momm!!』中居正広   中居と関ジャニ村上が、裏番組で真っ向勝負。5月29日放送回の結果は……   『夜ふかし』8.0% 『Momm!!』3.1% 『夜ふかし』(日本テレビ系)も毎週2ケタを連発していた一時期からすると落ち着いた感があるが、それでも同時間帯1位だ。 対して『Momm!!』(TBS系)は2015年のスタート以来苦戦しており、たびたびリニューアルしている。現在は、タレントがたどってきた人生の中での思い出の曲やターニングポイントになった歌を紹介している。    ただ「SMAP」なき今、中居が唯一、音楽を語る時間とあって、ファンにとってはありがたい番組となっている。 ■土曜夜9時対決! 『嵐にしやがれ』嵐 VS 『出没!アド街ック天国』井ノ原快彦 『嵐にしやがれ』(日本テレビ系)がこれまでの土曜夜10時から9時台に上がり、井ノ原司会の『出没!アド街ック天国』(テレビ東京系)と裏かぶりすることになった。5月27日放送回の視聴率を比較してみると……。 『しやがれ』10.6% 『アド街』8.2%  現況を見る限り、『しやがれ』の時間帯移動が成功したのかどうかはわからない。ただ、おそらく2ケタに届いていればいいとは思っているだろう。一方『アド街』は、先代・愛川欽也のあとを受けてMCに就任したイノッチも板についてきた。 ***  いかがだったろうか? 同じ事務所でも、これだけのジャニタレが裏番組でぶつかり合っている。まだまだこのほかにも、『有吉ゼミ』(日本テレビ系)に不定期出演しているジャニーズWEST VS 『世界ルーツ探検隊』(テレビ朝日系)の中丸雄一、『サタデープラス』(TBS系)の丸山隆平 VS『週刊ニュースリーダー』(テレビ朝日系)の城島茂など、いろいろな対決が繰り広げられている。こちらはまたの機会にご紹介したい。 (文=都築雄一郎)

俺たちの『くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン』が帰って来た! 放送前にチェックしておきたい“神回”

俺たちの『くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン』が帰って来た! 放送前にチェックしておきたい神回の画像1
ニッポン放送『くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン』番組サイトより
 私、名もなき若手芸人、カカロニ菅谷が好きなラジオについて書かせていただくこの「ラジオ神回列伝」。今回は、ついに僕の一番好きな番組『くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)について書かせていただきます。 『くりぃむしちゅーのANN』は、2005年7月から08年12月にかけてニッポン放送で放送されていた、カルト的人気を誇るラジオ界の伝説的番組です。  その人気は番組終了後もとどまることを知らず、いまだに一番好きなラジオ番組に同番組を挙げるファンが多く、当時リアルタイムでリスナーでなかった人でさえ、評判を耳にしてネット上でラジオ音源を探して第1回から聴くほどの人気ぶり。まさに、カリスマ的番組だったのです。  そんな番組が、昨年6月に約7年ぶりに復活し、同じく昨年12月には再度特番として生放送。多くのリスナーに7年前にタイムスリップしたかのような感動と笑いを与えてくれました。  そして、5月29日深夜25時から3度目の復活が決まり、今回はこの放送をより楽しむために、知っておくべき同番組の過去の神回を網羅していきます。  まずおすすめしたいのは、06年5月30日放送の「上田の記憶力チェック」の回、その翌週の6月6日放送の「済々黌高校(せいせいこうこうこう)ラグビー部祭り」の回。リスナーには言わずと知れた大人気回です。  同番組の魅力といえば、2人と同じ部活の友達になったかのような感覚になれるトークでしょう。コンビ仲のよさはもちろん、身内ネタの多さが部室のような雰囲気を作るのですが、この回を聴いておけば、かなり多くのネタをカバーできるはずです。  有田さんが上田さんの記憶力をチェックするという名目で、高校時代の友人や先生に関するクイズを出し、上田さんがそれに答え、そこから話が広がっていく「上田の記憶力チェック」の回。高校時代のエピソードは圧倒的なトーク技術も相まって、どれもバカバカしくて、楽しそうで、聴いているだけで2人と思い出を共有しているような錯覚を起こしてしまう、そんな放送です。  あまりの反響に、翌6月6日の放送はSPウィークであったにもかかわらず、放送予定を変更し、2人が通っていた熊本の済々黌高校での思い出話を「済々黌高校ラグビー部祭り」と題し放送時間丸々話したほど。こちらの回にグッときた人は、高校卒業後、下積み時代から若手時代のエピソードがたくさん語られる、06年7月4日の放送も聴いてみてください。  そして次の神回は迷いに迷いましたが、08年11月4日放送の「心に一杯のミルクティーを」の回をご紹介。  この神回は、あまりの身内ネタの多い放送を憂えた有田さんが、もっとリスナーと向き合った放送をしたいと言い出したことに端を発します。  というのも、とある13歳の女の子のリスナーから真面目な相談が届いたのです。もっとこういう質問に答える「心に一杯のミルクティーを くりぃむしちゅーCAFÉ」的な放送にしたいという有田さん。対する上田さんは、いまいち腑に落ちていない様子。するとリスナーから次々質問や悩み相談が届きます。しかし、その内容は「上田さんはイチゴが好きですか?」と、全く意に介さないもの。  吹き出してしまう上田さんに有田さんは、真剣に向き合ってくださいと注意します。渋々真面目に質問に答える上田さんですが、質問は次第に中身のないものに。採用されるリスナーのラジオネームも「おなろー」「チンカスばぁちゃん」果ては「あの子としてからチンコが痒い」と下品なものが並びます。それでも有田さんはあくまでリスナーの味方につき、悩み相談を続けます。  最終的に上田さんが振り回されてしまう、いつもの流れに。2時間の放送で、メールを採用するスタッフ陣、リスナー、そしてくりぃむしちゅーの2人が一体となって生放送とは思えないくらい、すべてが面白く転がった、まるで作品のような神回でした。  そんな数々の神回を生み出したくりぃむしちゅー。5月29日の生放送では重大発表があるそうなので、放送当時のリスナーも後追いのリスナーも、そうでない方もお聴き逃しなく! (文=菅谷直宏[カカロニ])