オンナ万引きGメンが見た、「万引き凶悪地帯」――特攻服の少年&ブラジル人との死闘

 みなさん、こんにちは。万引きGメンの智美です。クライアントから指名していただけることは保安員にとって非常に名誉なことであるのは前回お伝えしましたが、今回は、私が初めて指名していただいて地方出張した際のエピソードを書こうと思います。

<オンナ万引きGメン日誌バックナンバー>
勤務中にラブホへ行ったバツイチヤンママ保安員! 「変わった人が多い」万引きGメンの素顔
初日からカップ酒ドロボー捕捉! 保安員のセンスがあるのは20人に1人?
中年男性が盗った――! 恐怖と興奮に震えた“初現場の思い出”

 私の初指名は、長いこと可愛がってくださっている店長が、東京から中部地方に転勤されたことがきっかけでした。仕事の内容は、10日ほど現地のホテルに滞在して、そのエリアにあるスーパー数店舗を1日ごとに巡回するというものです。新幹線にも乗れるし、旅行気分で仕事ができる。お話をいただいた時には、今までのことが認められた気がして、とてもうれしかったです。

 出張初日、旅行気分が抜けないまま現場に入ると、その店の客層が私を現実に連れ戻しました。この地域は、南米系外国人が多く滞在しており、異国のような殺伐とした雰囲気が店内に充満していたのです。そのうえフードコートのある店は、たくさんの文字が刺繍されている派手な特攻服に、ポケットがたくさんついたニッカポッカのようなズボンをはいた少年グループのたまり場と化しています。まったく油断できない状況を目の当たりにした私は、得体の知れない不安を胸に、恐る恐る巡回を始めました。

 勤務開始からまもなく、特攻服姿の少年たちが分散して動き始め、そのうちの1人が私のいる菓子売場に向かって歩いてきました。その目を見れば相当にギラついており、たとえ初心者の保安員が見たとしても、絶対に万引きすると確信が持てるほどの眼力です。目を背けたくなるほどの恐怖を堪えて注視すると、複数のボトルガムを手にした少年は、それをニッカポッカに似たズボンの太い部分に次々と隠していきました。

 その後、流行のエナジードリンクやミルクティーのペットボトルをズボンのポケットに入れた少年は、ズボンの中に蓄積されたボトルガムが奏でるカシャカシャ音を気にすることなく、周囲を威嚇しながら出口に向かって歩いていきます。外に出た少年に声をかけるべく近づくと、店を出てすぐのところに、どこからどうみても暴走族であることがわかる異形のバイクに跨った少年が爆音を立てて待機していました。逃げられたらバイクのナンバーを覚えよう。そう心に決めて駆け寄った私は、後部座席に跨ろうとする少年の袖をつかんで声をかけます。

「ちょっと待って! お店の者ですけど、お金払ってないモノありますよね!?」
「ああん? なんだと、オラ?」

 声をかけると同時にオラついた少年は、肩を揺らして私に迫ってきました。待機していた少年もバイクを降りて、万引きした少年の背後から人殺しのような眼で私を睨んでいます。少年たちの勢いに慄き、助けを求められるか周囲を見回してみると、数人の通行人が足を止めてくれていました。その皆さんに、私が置かれている状況を理解してもらうべく、大きな声で少年に問いかけます。

「ズボンに入れたガムとかジュースのお金、払ってないでしょう?」
「そんなの知らねえよ。触んなよ、このブス!」

 振りほどこうとする少年にしがみつき、特攻服の袖を両手で大げさに引っ張ってみせると、状況をみていた体格の良い中年男性が「女の子相手に、なにをやっているんだ」と割って入ってきてくれました。男性の連れと思しき人は、警察に通報してくれているようです。

「なんだよ、おっさん。いいカッコしやがって」

 見た目が強そうな中年男性の登場に怯んだ少年たちは、勢いを失くすも、逃げる姿勢は見せずに悪態をつき続けました。ところが、所轄署の刑事さんが到着すると、その態度を一変させます。

「また、お前らか。こないだ帰ってきたばかりなのに、何やってんだ」

 案の定、地元で有名な不良少年だったらしい2人は、顔見知りの刑事さんを前に俯き、一言も発さなくなりました。つい先日まで、鑑別所にいたというので、現実に引き戻されてしまったようです。結局、2人とも逮捕となり、出張初日から残業する羽目になりました。このことは新聞にも載りましたが、周囲の助けがなければどうなっていたかわからないので、あまり喜べなかった記憶があります。

ブラジル人万引き犯に突き飛ばされて……

 そうそう、初回の出張では多数の商品を万引きしたブラジル人の男に突き飛ばされて、救急搬送されるという受傷事故も経験しました。この時の相手は、身長180センチくらいに見える大柄なブラジル人でした。たくさんの商品をカートに載せて、お金を払わないまま外に出る「カゴヌケ」と呼ばれる手口で、お米やビールケース、牛肉、惣菜など、1万6,000円相当の商品を持ち出したのです。

 外国人は基本的に逃げるので、それなりの心構えをしてから声をかけます。しかし、どんなに注意しても、大柄な男性に本気を出されれば、どうにもかないません。私が声をかけると同時に、男は商品を載せたカートを振り回して暴れ、執拗に上着をつかみ続ける私を突き飛ばして逃走しました。そのまま転倒して路面に後頭部を打ちつけたことで、裂傷を負い流血してしまいましたが、逃げられた悔しさや痛みよりも盗まれた商品のほとんどを取り返せた喜びの方が強かったです。

 こうした場合、万引きが事後強盗扱いとなり、警察は緊急配備を敷いて犯人の捜索にあたります。救急車が到着するまでの間、複数の刑事さんを相手に現場で状況を説明しながら実況見分を行い、救急車の車内でも同乗してきた女性警察官から詳しい事情を聞かれました。病院での応急処置を終えても、帰宅することはできません。いつもと同じように警察署に行って、被害届や調書を始め、さまざまな書類を作らなければならないのです。

 いつもより丁重な感じで刑事課の取調室に案内されると、一番偉くみえる課長さんらしき刑事さんが入ってきて、不自然な状態で壁にかかる黒いカーテンをつまみながら言いました。

「このカーテンの向こうに、被疑者と見られる男が座っています。向こうからは見えないので、この男が犯人かどうか確認してもらえますか」

 カーテンが引かれると、いわゆる「面通し」に使う暗いガラス窓が現れ、その窓を覗くと、私を突き飛ばして逃走した男が、刑事さんと向かい合って座っているのが見えました。

「この人に、間違いありません」

 どこで捕まえたのか刑事さんに尋ねると、私が病院を出発するくらいの時間に、現場近くの公園で水を飲んでいたところを発見されたということでした。

「では、そのまま見ていてください」

 そう言って隣室に向かった課長さんは、腕時計を見て男に時間を伝えると、部下の刑事さんに命じて手錠をかけさせました。恐らく男の手に手錠がかかるところを私に見せることで、被害感情を和らげようとしてくれたのでしょう。地方の刑事さんは、なかなか粋なことをやるものだと、少し感動しました。

 このことは地元のテレビや新聞などで報道されましたが、自分が病院送りにされていることから喜びはありませんでした。いま思うとぞっとするばかりで、死ななくてよかったと心から思います。

文=智美
監修=伊東ゆう(ジーワンセキュリティサービス株式会社)

万引きにお困りの方、智美も行きます!
ジーワンセキュリティサービス株式会社

「初めてのバー」で好かれる術、知りすぎてる! 愛嬌たっぷり「クズじいさん」の素性って?

(前回はこちら) 

どうも、紫帆です。都内の某飲み屋街で小さなバーを経営している私が、夜毎の営業中に目撃したクソ客・変な客・珍事件について、お話させていただきますね。さて、今宵のお客さまは――

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話題豊富な愛されじいさんの素性は……リアル前科者!?

 第一印象は「一体どこのご隠居だろう?」。年の頃は70過ぎ。ハゲ頭に、痩せ衰えた体つきは完全におじいちゃんですが、眼鏡の奥のまなざしには経験豊富な大人の老獪さと好奇心が満ちています。トークの守備範囲はビジネスから映画、流行のアイドル、子ども向けのアニメまで多岐にわたり、語り口はひょうひょうとして愛嬌たっぷり。そして、何よりも気前の良さです。高級なジャパニーズウイスキーをボトルで入れ、バーテンダーや隣に座ったお客さまにお酒を振る舞ってニコニコ。お会計時にも実際の金額よりかなり多めに支払い、「釣りはチップにしろ」と言って去っていきます。

 何者なんだと謎が深まる何回目かのご来店時、おじいちゃんは「公認会計士」と肩書がある名刺をくれました。業界内では有名な方なのかも……と思って検索してみたところ、「数年前に詐欺で逮捕」とのニュースがヒットしました。小金持ちの奥さまに、実体のないビジネスへの投資話を持ちかけて金銭をだまし取ったとのこと。後々有罪になって公認会計士の資格をはく奪されたらしく、彼を悪徳ニセ会計士として糾弾しているサイトまで出てきました。

 リアル前科者キタ……! 

 検索結果を目で追っていて背中に冷たい汗が流れ落ちる心地がしましたが、少なくとも現時点ではお店で楽しく飲んでくださっているだけ。肩書を詐称するのも酒場ではしばしばあることで、それらしくいろんな肩書を名刺に連ねて実際は何の仕事をしているのか定かでない人や、飲みに来る時だけ指輪を外す既婚者などと大差ないのでは――わたしは、わたしと店が犯罪に巻き込まれない限りは程よい距離感を保って接客しようと決めたのでした。

 案の定、おじいちゃんの羽振りのよさは来店のたびに鳴りを潜めていきます。高級ウイスキーが普通のウイスキーになり、いつのまにかボトルキープもやめてグラスワインになり……それでも仕事関係のお客さんらを連れて、足繁く通ってくれています。おしゃべりの内容も、徐々に「地方の実業家から金をまきあげる方法」「ハズレ馬券を金に換える方法」「水商売の女性を利用して稼ぐ方法」などクズ度の高いものになっていきましたが、それはそれで裏モノ雑誌を読んでいるような面白みが。時折、他のお客さまに怪しい儲け話を持ちかけるのには困りましたが、あまりにビッグビジネスすぎる(「レディ・ガガに新曲を書かせてジャニーズの○○くんを起用したCMの話があるからコピーを考えてくれ」等々)ため真に受ける人もおらず、「飲み屋にいるうさんくさいけど面白いおじいちゃん」として店に定着していったのです。

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 おじいちゃんと知り合って一年以上たったある日、とあるクラブのママさんからメールが。そのママさんはおじいちゃんと何度かアフターで飲みに来てくださっていました。

「紫帆さん? さっき警察から連絡があって、おじいちゃん亡くなったって」

 そういえば2カ月ほど姿を見ていませんでした。ママさんによると、都内の自宅マンションで孤独死していたのが警察に発見されたものの、家族に縁を切られているようで連絡がつかない状況。携帯の着信履歴に残された番号に片っ端から電話をして、家族の連絡先がわかる人を探しているのだとか。わたしは、日々の営業に忙殺されて返信を忘れていたおじいちゃんからのメールの存在を思い出しました。

<ふるさとの四万十川に/近づくと…/道端に燃えるように/咲いていた/彼岸花/お目出度いことが/起こる兆しに天から/降ってくる… /と言い伝えられています>

 おめでたい兆しじゃなく、死の予兆じゃん! 思わず携帯の画面に向かってツッコミを入れてしまいました。

「紫帆、金持ちが親切なのは当たり前だ。余裕があるんだから。本当に優しいのは生活に余裕がないのに親切にしてくれる人だ」

 クズっぽい話の合間に、おじいちゃんはこういった純な発言をすることがありました。一度逮捕されて社会を追われた人間の真情か、それともこれもまた詐欺師が自分を信用させる手口なのか――本当のところはもはや知る由もありませんが、彼のような昭和らしいケレン味のある酔っ払いが酒場から消えてしまうのは、やっぱり寂しい気がするのです。

 

(隔週金曜日・次回は6月8日更新)

プロフィール
浮川紫帆(うきがわ・しほ)
東京都内の繁華街の一角でバーを経営する30代バツイチ女性。ママ歴は6年。好きなお酒はマカストロングのお湯割り。

(イラスト=ドルショック竹下)

「赤い公園」新ボーカルに、元アイドルネッサンス・石野理子! 彼女の魅力の根源にあるもの

 5月4日、さいたまスーパーアリーナで開催された音楽フェス『VIVA LA ROCK 2018』において、ガールズバンド「赤い公園」の新ボーカルが発表された。会場に集まったファン、そして「GYAO!」による生配信を視聴していた全国のファンが、かたずをのんで見守る中登場したのは「アイドルネッサンス」でセンターを務めていた石野理子だった。

 そのニュースは、驚きを持って拡散され、「石野理子」はTwitterのトレンドワードに躍り出た。それは、赤い公園、アイドルネッサンス、双方のファンが待ち望んだ、とてつもないビッグニュースだったのだ。

「アイドルネッサンスがいない世界が始まるんだ」

 今年の2月24日、アイドルネッサンスの解散ライブを終えて、私はそんなことを思っていた。それくらい、圧倒的な存在感のあるアイドルグループだった。解散ライブでも、メンバーの今後について語られることはなく、彼女たちも、私たちファンにとっても、これから一体どんな世界が始まるのか、考えあぐねていた。

 もしかしたら、昨年8月にボーカルの佐藤千明が脱退し、今後の展開が見えていなかった赤い公園のファンも、似たような気持ちだったのかもしれない。

 赤い公園は、2012年にメジャーデビューしたガールズバンドで、ギターの津野米咲が作る個性的な楽曲と、パワフルなライブパフォーマンスで人気を集めている。津野はSMAPやモーニング娘。’16、ベイビーレイズJAPANなどのアイドルにも楽曲提供するほか、自身も「アイドル好き」を公言しており、今回の石野の加入は、ある意味自然な流れだったのかもしれない。

 一方、石野の所属していたアイドルネッサンスは、14年にデビュー。大江千里や村下孝蔵といったアーティストの過去の名曲をカバーする「名曲ルネッサンス」を掲げ、そのクオリティの高い歌とダンスでアイドルファン以外にも支持と注目を集めていた。

 各々のメンバーカラーを配した派手な衣装や、振り付け、前にグイグイ出ていく個性的なキャラクターなどが多かった当時のアイドル界で、アイドルネッサンスのメンバーはある意味異色だった。

 全員が同じ真っ白な衣装、身にまとったどこか純朴な雰囲気、控えめな性格。しかし、ひとたびステージに上がれば、圧倒的な存在感で見る者を魅了する、そんなところが多くのファンを惹きつけた。彼女たちからは、いわゆる“現代の若者”が失いつつある純粋さと、神聖さが感じられたものだった。

 そんな中、当時から、石野理子の歌唱力は群を抜いており、グループ内のみならず、アイドル界全体で見ても、貴重な存在だった。ある意味「カリスマ」と言っていいかもしれない。

 石野は、広島県出身・在住で、アイドルネッサンス時代も、毎週末東京まで通って活動していた。中学・高校という多感な時期、東京へと向かう新幹線の中で、彼女は何を思ったのだろう。いろいろな事情があってのことであろうが、地元に住み、東京へ通っていたという活動スタイルは、彼女の感性に大きな影響を与えていたと思う。

 では一体、ここまで私たちを惹きつける、石野理子の魅力とはいったい何なのだろうか?

 アイドルに限ったことではないが、「歌が上手い/下手」というのは、単に「楽譜通りに歌える」とか「声量がある」というのとはまた違った側面があると思う。大げさな言い方をすれば、その人が背負っているものを吐き出し、聴く人がそれに共鳴するかどうかではないか。だから、「上手い/下手」というよりは、「自分に合う/合わない」もしくは「好き/嫌い」で判断すべきことなのだろう。

 その意味で、私は石野理子の歌がとても好きだった。ただ、「アイドルネッサンス」というグループを知り、ライブに行くようになってからも、その理由を正確に把握することができず、「一体彼女のどこが魅力なのだろう?」と問い続けていた。

 そんな思いを抱いていた昨年の夏、彼女が期間限定のTwitterを始め、ちょっと世の中を斜に見たようなつぶやきをした時、その正体が少し見えた気がした。

 いわゆる“こじらせている”感じや、若さゆえの迷い、そんなものを感じさせるツイートはネット上でも反響を呼んだ。しかし、私はこれを見て、何か「ふに落ちた」ような感覚になったものだ。

 そうか、彼女の歌声の根底には、このような感情があったのか。

 彼女にとって「歌うこと」は、自身の中に生じた、この世界への疑念や疑いを他者に伝えるための、感情の発露ではないだろうか。愛を伝えるでもない、ただ楽しむだけの手段でもない。彼女の歌は、押しつぶされそうになる心の内側からの咆哮なのだろう。

「アイドル」というイメージを身にまといながら、 その制約の中でこそ生まれた奇跡といっていいかもしれない。

 私は、この心の底から絞り出すような歌声が好きだ。声に混じる、何かを渇望するような感情に、自分の心が共鳴する感覚が好きなのだ。

 歌がうまいアイドルとして、よく、「こけぴよ」の二木蒼生や、「大阪☆春夏秋冬」のMAINAなどと比較されたが、彼女たちに比べ、石野からは圧倒的な“何かを抱えている感”が出ていた。それが、石野理子というボーカリストの魅力のひとつであることは間違いない。

 当然それは、新ボーカルを受け入れる側の赤い公園メンバーも感じていたことだろう。おそらく、たくさんの候補がいた中で、石野理子を選んだのには、そのバンドの持っているカラーや方向性、「思い」などが共通しているとの認識はあったと思う。

 もちろん、彼女の魅力はそれだけではない、主演映画で見せた影のある表情も、時々突拍子もないことを言ったりする発言も、まだまだあまり知られていない側面であろう。

 そして、今回のバンド加入には、なにかしらの運命も感じる。

 きっかけは、双方と関わりのあった、Base Ball Bear の小出祐介が引き合わせたことらしいが、例えば、初お披露目となった5月4日は、14年にアイドルネッサンスが結成された日であったことや、ともに「白い衣装」をイメージにしていたこと、なにより、アイドルネッサンス解散により新たな表現の場を探していた石野と、新しいボーカルを探していた赤い公園のタイミングが合ったことなどは、まさに運命的なものと言えるだろう。

 運命を引き寄せる力、それもまたカリスマには必要な要素なのだ。

 音楽的に幅広く、ちょっとクセのある赤い公園と、独特の感性を持った石野理子の出会い。それは、ある種の化学反応を起こし、音楽シーンに大きな影響を与えることになるかもしれない。そして、彼女の中に内包された魅力が、今後もっともっと引き出されてくるものと期待している。

 石野理子の第二章が始まったのだ。歌にかけた彼女の人生、しっかりと見届けようではないか。
(文=プレヤード)

「外国人バー」で捨て身のナンパ大作戦!? オーストラリアの英語講師とカラオケで運命の出会い

 前回の「出会い系で山芋ちんこ事件」で、少々しぼんだ私。

 正直、ショックすぎた……。

 しょっぱなからあんな珍物件を引き当ててしまった、しかもセカンド扱いされそうになった、さらには目に焼きついて離れない迫り来るあの霜降りボディー、愛もロマンのかけらもない、獣としてるようなH。私にはこんな物件しか巡ってこないのか……と。

出会い系がだめなら“生け捕り作戦”!? 気になる「外国人バー」に突撃!

5-600前回はこちら:こぶし大のチンコがボロリ!? 碧眼イケメンの“逆サプライズ”に失神寸前の「肉弾バトル」)

 当時は外専女子が私の周りにいなかったので、包茎とか、脱いだら異常な霜降り体系なんてよくあることなのか? ということすらわからず。唯一、外国人数人と付き合った経験があるという友人に“山芋ちんこ”のことを話してみたものの「宗教の都合で皮かぶってる、っていうのは聞いたことがあるけど……」という回答しか得られず。ちなみにその友人ですら、“山芋ちんこ”にはまだお目にかかった事がないそう。

 新宿はゴールデン街にある、友人の働く飲み屋「A」(仮)に集う友人たちからは、こぞって「出会い系サイトに良い人なんているわけないじゃん」という意見をいただきました。そりゃそうだ。だけどそんなサイトでも使わないと外国人に出会うチャンスがない。もしかしたら、万が一、いや、億が一、運命の人に巡り合えるかもしれないじゃないか……! そう心の中で抵抗しつつも、いったん作戦を変更して、「生け捕り」作戦に切り替える事にしました。要するにナンパです。もうそれしかほかに方法が見当たらない!

 実は私には、以前から気になっているお店がありました。ゴールデン街が外国人向けのガイドブックに取り上げられはじめたことで、外国人の姿をちらほら見かけるようになっていたのですが、「A」の近くに、外国人がひときわたむろしているお店が……。

 私は「A」を抜け出し、まずはそこへ偵察に行くことに。

 お店を覗いてみると、カラオケがメーンのバーのようで、お客さんの8割が外国人。薄暗い店内ではガンガンカラオケを流していて、外にも人があふれている。外国人がうようよしている光景に胸が高鳴り、「ここはやっぱり“狩り場”だ!」と確信。

……が、しかし、ほろ酔いでナンパできる根性は当時なかったので、「A」に戻ってもう一杯ひっかけ。改めて「狩りに行ってくる!」と宣言し、準備万端で小走りしながらその店に向かったのでした。

 
 店内を見回すと、べろんべろんに酔った、Tシャツがピタピタの太った外国人おっさんたちが目立つ……。しかし諦めずに目を凝らして見渡すと、スーツ姿の外国人男性2人組が! そろっと近づいてお顔を拝見すると、2人のうち片方は、ブロンドにブルーアイ、若い頃のアレックス・ペティファーに似た奇跡的なかわいい系イケメンではないか!

 「よし、狩るぞ!」と、酒を手にしてタイミングを見計らう私。「なんだ、お前?」とか言われないか内心ドッキドキ、それでも勢いにまかせて「かんぱ〜い!!」なんて言いながらその2人の中に入っていくと、彼らはノリノリで「イエーイ!」と応えてくれたのです! やっぱり外国人はノリがいい……!!

 聞くと、2人は日本で、英会話の講師として働いているという。狙い通り! 私がスーツ姿の外国人を選んだのは、スーツ好きってワケじゃありません。日本で働いている(=日本に暮らしている)確率が高いと踏んだからなのです。私の狙った彼の名はエリック、オーストラリア出身。私より3歳くらい年下……年下なんて新鮮!

 カラオケ歌おうよ、と誘われ「私は恥ずかしくて歌えないから、あなた歌ってよ」と言うと「いいよ、何がいい?」なんて答えるので、私の大好きなベタベタのラブソングをリクエスト。私が外専女子になったきっかけであるBON JOVIの、メジャーでもない曲をしっかりと歌い上げた彼は、酔いも手伝ってか、とてつもなくイケている。まさしく私の運命の人かもしれない……。

そんな気持ちで、彼の横顔をうっとりと眺めていました。

 さて、ひとしきりカラオケを楽しんだ後、思い切って「またあなたに会いたいから、メアドと電話番号教えてくれる?」と言うと、快くメアド交換。よかった、今夜一回きりの飲み仲間で終わらないんだ! 

「じゃあ帰るね」とその場を離れようとすると、エリックは「またね」とハグしてくれた。若いフレッシュな香水と少しの汗が混じったなんとも言えない甘い香りがその瞬間、ふわっと私を包み……。「狩り成功、あの山芋の悪夢はエリックが洗い流してくるんだわ!」と確信して、浮かれ足で家路についたのでした。

 つづく。

(隔週火曜日・次回は6月5日更新)


<著者プロフィール>

音咲椿(おとさき・つばき)
男性向けグラビア誌編集長を経て、ポット出版社刊「女の子×女の子のためのエロチックブック・Carmilla」にてイラスト・漫画家デビュー。
単行本「イケメン外国人たちとベッドで異文化交流した結果。」(ぶんか社刊)好評発売・配信中。テレビ出演多数。


 

「子ども乗せ自転車」はトラブルの温床!? 幼稚園で駐輪場争い、盗難、いたずら……悩めるママ

保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。

 時間のないワーママたちや、子育て中の家庭にとって“3種の神器”と呼ばれている、ロボット掃除機、洗濯乾燥機という家事を時短できる家電類、そして子ども乗せ電動自転車。都心では自家用車を維持するにはコストがかかるため、電動自転車が主流で、マンションなどの集合住宅の駐輪場を見ると、子ども乗せ自転車が何台も置いてある光景を見ることができる。子ども乗せ自転車は、子育て中のママにとって、園への送迎や、通院など日常生活に欠かせないアイテムだが、一方でさまざまなトラブルを巻き起こすものだという。

 子ども乗せ自転車をめぐるトラブルは、駐輪で揉めるケースが多い。5歳になる男児を持つ裕子さん(仮名)は、寺が経営している幼稚園に年少クラスから息子を通わせている。

「寺の境内の中に幼稚園があり、駐輪場は外にある車用の駐車場のスペースを借りて使っています。最近は、近隣の地区からの入園も増えて、子ども乗せ自転車を置くスペースがパンク寸前。暗黙の了解で、近所の子は徒歩で来たり、兄弟で園に通っているご家庭が駐輪場を優先的に使っています。うちは、徒歩で15分くらいのところから通っているのですが、『子ども1人で、年少からの入園なのに自転車を停めるなんて!』と、プレから通っているママに注意されました」

 裕子さんが通う幼稚園には、「プレ幼稚園」と呼ばれる満2歳児からのクラスがある。幼稚園に通う子どもへの補助の条件は自治体によってまちまちだが、満3歳児での入園から適応されることが多いため、プレはほぼ自費負担。にもかかわらず、プレから幼稚園に子どもを通わせる家庭は、プレのクラスがそのまま年少に持ち上がることを見越して入園させているのだ。「それだけこの幼稚園に入れたいという思い入れがある」――そんな自負があるからか、プレ入園のママの中には、年少入園のママを下に見る人がいるという。

「年少入園のママは、プレですでに人間関係ができあがっているママ友グループに入ることになるので大変です。あと、その幼稚園は地元でも歴史ある幼稚園で、パパやママの中にそこの幼稚園を卒園している親子も多い。園長先生はどうも卒園生をひいきする傾向があって、登園時、混雑する駐輪場で卒園生のママが立ち話をしていても見て見ぬふりをするんです」

 仕方なく、“数分くらいなら……”と、寺の敷地外のスペースに自転車を停車していると、近隣住民から「邪魔だ」と注意されることもあるそう。

「この前は、通りすがりの年配女性から『自転車は車道に停車しなさいよ』と怒られました。なんだか不平等だなって感じるのですが、園側に言っても『ママ同士の問題なので、譲り合ってください』と対応してもらえないんです。本当に困っているんですが、園から『モンペママ』と思われるのも、プレ入園ママに目をつけられるのも怖くって、あまり強く言えません……」

 子ども乗せ自転車を置けるスペースが確保できれば、解決できそうな問題だが、実際は譲り合って使うしか手段はなく、この先も解決しそうにない。

「あのスーパーは子どものものを盗まれる」と吹聴

 子ども乗せ自転車をめぐっては、“モンスターペアレンツ”化以外にも、“モンスタークレーマー”や“モンスター住民”化してしまう危険性もあるのかもしれない。意外に多いトラブルが、子ども用ヘルメットの盗難。保育園によっては、スペースの問題からヘルメットを持ち帰らなければならず、自転車のカゴに入れたまま出社するワーママも。1歳児の女児のママである加奈さん(仮名)は、スーパーの駐輪場に停車中にヘルメットを盗まれたという。

「子どもがヘルメットをつけたまま買い物をするのを嫌がるので、カゴの中に置いていきました。買い物中の盗難なので、スーパー側に『防犯カメラはないのか』『駐輪場に警備員がいないのが問題』と文句を言ったのですが、客側の過失として、ヘルメット代を負担してもらえなかったです。ママ友には『あのスーパーに停めると、子どものものを盗まれるよ』と教えました」

 こうした“犯人が特定できない嫌がらせ”を受けるケースはほかにもあるようだ。都内で3歳になる女児と1歳になる男児を育てている30代の美穂さん(仮名)は、子ども乗せ自転車への嫌がらせに悩んでいるという。

「昨年、リノベした中古マンションを購入して、引っ越ししました。マンションの敷地内に駐輪場があるのですが、以前、住んでいた住人が置いて行ったのか、置きっぱなしの自転車が幅を取っていて、新しく置けるスペースが少ないんです。子ども乗せ自転車は幅もあって大きく、うちは前と後ろに椅子がついているので、置いてある自転車とぶつかって倒してしまうこともあります」

 美穂さんは、毎朝、保育所に向かうために、置いてある自転車をどかして通り道を作ってから、自分の自転車を出すようにしていた。近隣にスーパーがあるためか、ただでさえ狭い自転車置き場に、マンション以外の駐輪許可シールが貼られた自転車が駐輪場に置いてあることもあった。ある時、やむを得ず自転車置き場の通り道を塞いでいる自転車の置き場所を変えると、次の日には、美穂さんの子ども乗せ自転車の置いてある場所が移動させられていたそうだ。

「まさか故意で動かす人なんていないと思っていたので、最初のうちは、たまたまどかされているのだと思ったんです。自分が置いているスペースに邪魔な自転車があると、どかして元の場所に自分の自転車を置いていました」

 しかし、自転車の置き場所を動かす嫌がらせはエスカレート。ついには、雨が強く降った次の日に、撤去自転車が積み重ねて置いてある山の上に、美穂さんの自転車が放り投げられていたという。

「最初は、いつもの位置に自転車がなかったので盗難を疑いました。しかし、鍵を2カ所掛けているのでそう簡単には外せないはずと思って探すと、マンションのすぐそばの撤去自転車の山の中に見つけて……。子ども乗せ自転車は30キロ以上あるので、女性の力では動かせないと思うんです。いったい誰がやったのだろうと思うと、怖くて眠れませんでした」

 証拠写真を撮り、交番にも相談したが現行犯ではないと注意ができず、器物破損していないので届け出も出せないと言われたという。

「子ども乗せ自転車が大きくて邪魔っていうのはわかるんです。別の部屋に住むママさんは、タイヤの空気がいつも抜かれていると言っていましたね。マンションの管理会社にもクレームを入れたのですが、『見回りをしています』の一言で片づけられてしまいました。管理会社に強く言っても、こうしたトラブル報告が続くと鬱陶しがられて、子ども乗せ自転車の駐輪場使用を規制されかねない。自分で犯人探しもできず、泣き寝入りかもしれません……」

 美穂さんは、このマンションを購入していることもあり、これ以上の文句は言いづらかったという。

 どのケースも、育児をするようになり子ども乗せ自転車に乗るようになって遭遇したトラブル。ママ友間だけでなく、近隣との大きな事件に結びつく可能性もあるだけに、たかがトラブルと見過ごせない面もあるのかもしれない。
(池守りぜね)

故ダイアナ妃の姪も! ハリー&メーガンのロイヤルウエディングに参列したセレブをチェック

 現地時間5月19日正午にウィンザー城の聖ジョージ礼拝堂で執り行われた挙式で、永遠の愛を誓った英国のハリー王子と米女優のメーガン・マークル。米シカゴから出席した米聖公会のマイケル・カリー首座主教が「それぞれの国が無欲で犠牲的な愛の道を進めば、この世から空腹で眠れない子どもはいなくなる!」と結婚式とは思えない説教を長々としたり、聖歌隊の賛美歌だけでなくアメリカのゴスペルグループが「スタンド・バイ・ミー」を熱唱したり、主役の2人が式の最中指を絡め合わせた“ラブラブつなぎ”をしたり、なにかと「型破り」なロイヤルウエディングとなった。

 エリザベス女王とエディンバラ公フィリップ殿下をはじめイギリス王族や貴族たちが集結した挙式には、世界的なセレブも正装姿で参列した。今回は、そんなハリー王子とメーガン・マークルのロイヤルウエディングに出席したセレブたちの写真を紹介しよう。

 

マツコ・デラックスの“毒舌”は自分を守るため? ブレークの理由をプロ筆跡鑑定人が解説

1712matsuko 「テレビで見ない日はない」と言われるマツコ・デラックス。毒舌キャラのオネエとしてブレークしたマツコは、今やご意見番として定着し、民放からNHKまでさまざまな番組やCMにも出演。順風満帆のように見えるが、多忙のあまり、昨年体調不良で入院。また最近は、行きすぎともいえる発言が物議を醸したり、「業界ズレしてきた」という指摘も聞こえてきている。さらに、NHKを退職した有働由美子アナを自分の事務所に引っ張ってきたなど、その言動が何かと話題になる一方で、テレビ番組では、たびたび孤独や将来への不安を口にしたり、弱気な発言も聞かれる。

 そんなマツコの筆跡を、筆跡鑑定人で筆跡心理学に基づいた書籍『自分のイヤなところは直る! 〜名前を書くだけ〜』(東邦出版)の著者・牧野秀美氏に、読み解いてもらった。

■物事の本質を見抜くマツコ節の懐刀「刃物運型」

――非常に特徴的な筆跡ですね。丸みと幅があって、マツコさんらしい文字という印象です。

牧野秀美氏(以下、牧野) かなり独特な書き癖の持ち主です。丸みのある続け字ですので、好奇心が旺盛で情緒性豊か。この文字は、マツコさんにしっくりきます。「日本体育大」「東京農業大学」の文字は2015年のもので、これは、牧野が再現したものですが、実際はもっとスムーズで滑らかに書かれています。

――再現文字は、少したどたどしく見えます。やはり人の筆跡はまねしにくいものですか?

牧野 同じ文字でも腕の動かし方が違うので、スピード感がなく、ぎこちなくなります。

matsuko_writing2――マツコさんのブレークと文字の形は関係ありますか?

牧野 非常に関係あると思います。マツコさんの文字で一番特徴的なのは、刃物運型と呼ばれるものです(1)。図の下部に「一般的な刃物運型」として示していますが、わかりやすく言えば「木へん」の4画目が2画目を「切る」ように交差して書かれるものです。この特徴を持つ人は、刃物を扱う職業に就いている人に多いことから、そう呼ばれています。ネーミングから連想されるように「本質を見抜く鋭さを持ち、何事も白黒はっきりさせたい」気質の表れです。マツコさんの文字にはこの刃物運型が非常に多く、図に表れているだけで、9カ所もあります(丸囲み)。

 「物事の本質を鋭く見抜き、歯に衣着せずはっきり言う」、この「刃物運型」の持つ気質がブレークに関わったことは間違いないと思います。また、マツコさんの刃物運型は少し特殊ですので、ほかの要素も混ざり合っています。長い左払いと自分流に変形させた右払いへのつなげ方が組み合わさることによって、単純に物事を白黒ばっさりと切り捨てるのではなく、独自の視点で、エンタメ性を意識した演出を心掛けているように見えます。知識も豊富なので、本質を深くえぐることができるのでしょう。突出が少なめですので、上から目線ではない協調型です(4)。そのような性格がブレークに大きく関わっているのでしょう。

――(3)の自分流に変形する「異能者型」の文字は、香取慎吾さんにもありました。“特殊な才能”といっても、それぞれの気質や持ち味によって分野が変わってきますね。

牧野 マツコさんの場合は、ハネが弱く飽きっぽい面もあるようなので、じっくり時間をかけた創作活動は苦手かもしれません。それよりも、端的に言葉で伝えるほうが向いていると思います。(5)のように、接筆(四角い文字の角の線が交わる部分)が閉じていますので、考え方は真面目です。しかし、(6)のように角が丸いので行動面は臨機応変、(7)のように右払いが長いので、のめり込みやすく情にもろい、ハネが弱いため、流されやすく自分に甘い、面倒くさがりの一面もありそうです。

――“ハネ弱”は、マツコさんの場合は「飽きっぽさ」と解釈するのですか? 小池百合子さんや、泰葉さんでは「責任感のなさ」として表れていました。

牧野 テレビで活躍する以上、発言に責任を持たないわけにはいきません。“ハネ弱”は、責任感のほかにも、機敏で移り変わりの速さに適応できることから、情報を扱うことに長けているとも解釈します。マツコさんは、ぐずぐずしないで白黒つけたい「刃物運型」との兼ね合いから、早く結論を出したいとすぐに答えを求める傾向があります。細部にこだわることはあっても、いつまでもちまちま考えるのは性に合いません。豪快に力業で結論を出していくタイプです。

 また、へんとつくりの間の広さが狭めで、角が丸く、大きな文字と小さな文字が混在することから、閉鎖的傾向がある半面、人恋しく、変化の中で安心感を覚える一面もあるようです。一方「体」の字のように、へんとつくりの間の空間が広めの文字もありますが、空間の隙間を左払いの曲線で埋めています。これは、空いた空間に誰も入れずに、自分を守ろうとしているのかもしれません。

――安心感を求め、人の集まるところに行く一方で、「刃物運型」の切れ味で自分を守っているということは、警戒心が強いのでしょうか?

牧野 たくさんの修羅場をくぐってきたのではないでしょうか? 警戒しなくても、自分の身は自分で守れるのだと思います。

――最近、以前と比べてキャラが変化してきたのでは、という声も聞かれます。

牧野 マツコさんは、もともとマスコミ関係にいたわけですし(タレントになる前はゲイ雑誌の編集者)、本質を見抜く方ですので、業界の事情や、自分に求められていることなどはすべて織り込み済みでしょう。考え方が真面目な半面、サービス精神が旺盛なので、自分自身に矛盾を感じやすく、ストレスもたまるタイプだと思われます。根っこの気質部分が変化することは考えにくいので、「変わってきた」のではなく、「慣れ」「体調不良」「ストレス」による「疲れ」「不安」などが関係しているのでは? 普段であれば、自ら表現に気を遣うところに気が回らないときがあったのではないでしょうか?

――有働アナとマツコさんの関係はどうでしょうか?

牧野 有働さんの文字には、「大弧型」と呼ばれる大物性を表す特徴が出ています。おそらく、お互いに、相手の能力の高さを見抜き合ったのではないでしょうか。また、書き始めのひねりが、野心家であることを表しています。程度と方向性は違いますが、ふと、松居一代さんを思い出しました。マツコさんの文字にも「日」の字に見られる突出が、潜在的なリーダー気質を暗示しています。そして、有働さんの文字には、マツコさんにはない「考え方の柔軟性、視野の広さ」があります。能力者同士が補い合う関係を続けられれば、野心家の2人が、ツートップで事務所を発展させていけそうです。相性も合うのでしょうが、ビジネスベースでの戦略的な関係に見えます。

matsuko_writing4
――今後の活動は安泰でしょうか?

牧野 寂しがり屋で華やか好みですので、テレビ業界で活躍することは間違いないと思われます。ただ、留意点は、表面化した健康面でしょう。豪快でコツコツが苦手ということは、マツコさんにとって「節制」は大きなハードルと考えられます。たぶんマツコさんご本人も、一番よくわかっているのではないでしょうか? 健康面を心配するファンも多いと思います。今後も一層元気で活躍してほしいですね。

牧野秀美
筆跡鑑定人。筆跡アドバイザー・マスター。筆跡心理学をもとにした鑑定と診断を行う。著書に『自分のイヤなところは直る 〜名前を書くだけ〜』(東邦出版)
ほっかいどう筆跡鑑定研究所

マツコ・デラックスの“毒舌”は自分を守るため? ブレークの理由をプロ筆跡鑑定人が解説

1712matsuko 「テレビで見ない日はない」と言われるマツコ・デラックス。毒舌キャラのオネエとしてブレークしたマツコは、今やご意見番として定着し、民放からNHKまでさまざまな番組やCMにも出演。順風満帆のように見えるが、多忙のあまり、昨年体調不良で入院。また最近は、行きすぎともいえる発言が物議を醸したり、「業界ズレしてきた」という指摘も聞こえてきている。さらに、NHKを退職した有働由美子アナを自分の事務所に引っ張ってきたなど、その言動が何かと話題になる一方で、テレビ番組では、たびたび孤独や将来への不安を口にしたり、弱気な発言も聞かれる。

 そんなマツコの筆跡を、筆跡鑑定人で筆跡心理学に基づいた書籍『自分のイヤなところは直る! 〜名前を書くだけ〜』(東邦出版)の著者・牧野秀美氏に、読み解いてもらった。

■物事の本質を見抜くマツコ節の懐刀「刃物運型」

――非常に特徴的な筆跡ですね。丸みと幅があって、マツコさんらしい文字という印象です。

牧野秀美氏(以下、牧野) かなり独特な書き癖の持ち主です。丸みのある続け字ですので、好奇心が旺盛で情緒性豊か。この文字は、マツコさんにしっくりきます。「日本体育大」「東京農業大学」の文字は2015年のもので、これは、牧野が再現したものですが、実際はもっとスムーズで滑らかに書かれています。

――再現文字は、少したどたどしく見えます。やはり人の筆跡はまねしにくいものですか?

牧野 同じ文字でも腕の動かし方が違うので、スピード感がなく、ぎこちなくなります。

matsuko_writing2――マツコさんのブレークと文字の形は関係ありますか?

牧野 非常に関係あると思います。マツコさんの文字で一番特徴的なのは、刃物運型と呼ばれるものです(1)。図の下部に「一般的な刃物運型」として示していますが、わかりやすく言えば「木へん」の4画目が2画目を「切る」ように交差して書かれるものです。この特徴を持つ人は、刃物を扱う職業に就いている人に多いことから、そう呼ばれています。ネーミングから連想されるように「本質を見抜く鋭さを持ち、何事も白黒はっきりさせたい」気質の表れです。マツコさんの文字にはこの刃物運型が非常に多く、図に表れているだけで、9カ所もあります(丸囲み)。

 「物事の本質を鋭く見抜き、歯に衣着せずはっきり言う」、この「刃物運型」の持つ気質がブレークに関わったことは間違いないと思います。また、マツコさんの刃物運型は少し特殊ですので、ほかの要素も混ざり合っています。長い左払いと自分流に変形させた右払いへのつなげ方が組み合わさることによって、単純に物事を白黒ばっさりと切り捨てるのではなく、独自の視点で、エンタメ性を意識した演出を心掛けているように見えます。知識も豊富なので、本質を深くえぐることができるのでしょう。突出が少なめですので、上から目線ではない協調型です(4)。そのような性格がブレークに大きく関わっているのでしょう。

――(3)の自分流に変形する「異能者型」の文字は、香取慎吾さんにもありました。“特殊な才能”といっても、それぞれの気質や持ち味によって分野が変わってきますね。

牧野 マツコさんの場合は、ハネが弱く飽きっぽい面もあるようなので、じっくり時間をかけた創作活動は苦手かもしれません。それよりも、端的に言葉で伝えるほうが向いていると思います。(5)のように、接筆(四角い文字の角の線が交わる部分)が閉じていますので、考え方は真面目です。しかし、(6)のように角が丸いので行動面は臨機応変、(7)のように右払いが長いので、のめり込みやすく情にもろい、ハネが弱いため、流されやすく自分に甘い、面倒くさがりの一面もありそうです。

――“ハネ弱”は、マツコさんの場合は「飽きっぽさ」と解釈するのですか? 小池百合子さんや、泰葉さんでは「責任感のなさ」として表れていました。

牧野 テレビで活躍する以上、発言に責任を持たないわけにはいきません。“ハネ弱”は、責任感のほかにも、機敏で移り変わりの速さに適応できることから、情報を扱うことに長けているとも解釈します。マツコさんは、ぐずぐずしないで白黒つけたい「刃物運型」との兼ね合いから、早く結論を出したいとすぐに答えを求める傾向があります。細部にこだわることはあっても、いつまでもちまちま考えるのは性に合いません。豪快に力業で結論を出していくタイプです。

 また、へんとつくりの間の広さが狭めで、角が丸く、大きな文字と小さな文字が混在することから、閉鎖的傾向がある半面、人恋しく、変化の中で安心感を覚える一面もあるようです。一方「体」の字のように、へんとつくりの間の空間が広めの文字もありますが、空間の隙間を左払いの曲線で埋めています。これは、空いた空間に誰も入れずに、自分を守ろうとしているのかもしれません。

――安心感を求め、人の集まるところに行く一方で、「刃物運型」の切れ味で自分を守っているということは、警戒心が強いのでしょうか?

牧野 たくさんの修羅場をくぐってきたのではないでしょうか? 警戒しなくても、自分の身は自分で守れるのだと思います。

――最近、以前と比べてキャラが変化してきたのでは、という声も聞かれます。

牧野 マツコさんは、もともとマスコミ関係にいたわけですし(タレントになる前はゲイ雑誌の編集者)、本質を見抜く方ですので、業界の事情や、自分に求められていることなどはすべて織り込み済みでしょう。考え方が真面目な半面、サービス精神が旺盛なので、自分自身に矛盾を感じやすく、ストレスもたまるタイプだと思われます。根っこの気質部分が変化することは考えにくいので、「変わってきた」のではなく、「慣れ」「体調不良」「ストレス」による「疲れ」「不安」などが関係しているのでは? 普段であれば、自ら表現に気を遣うところに気が回らないときがあったのではないでしょうか?

――有働アナとマツコさんの関係はどうでしょうか?

牧野 有働さんの文字には、「大弧型」と呼ばれる大物性を表す特徴が出ています。おそらく、お互いに、相手の能力の高さを見抜き合ったのではないでしょうか。また、書き始めのひねりが、野心家であることを表しています。程度と方向性は違いますが、ふと、松居一代さんを思い出しました。マツコさんの文字にも「日」の字に見られる突出が、潜在的なリーダー気質を暗示しています。そして、有働さんの文字には、マツコさんにはない「考え方の柔軟性、視野の広さ」があります。能力者同士が補い合う関係を続けられれば、野心家の2人が、ツートップで事務所を発展させていけそうです。相性も合うのでしょうが、ビジネスベースでの戦略的な関係に見えます。

matsuko_writing4
――今後の活動は安泰でしょうか?

牧野 寂しがり屋で華やか好みですので、テレビ業界で活躍することは間違いないと思われます。ただ、留意点は、表面化した健康面でしょう。豪快でコツコツが苦手ということは、マツコさんにとって「節制」は大きなハードルと考えられます。たぶんマツコさんご本人も、一番よくわかっているのではないでしょうか? 健康面を心配するファンも多いと思います。今後も一層元気で活躍してほしいですね。

牧野秀美
筆跡鑑定人。筆跡アドバイザー・マスター。筆跡心理学をもとにした鑑定と診断を行う。著書に『自分のイヤなところは直る 〜名前を書くだけ〜』(東邦出版)
ほっかいどう筆跡鑑定研究所

「大金払って中学受験させる意味って?」公立出身の母が、成績不振の息子に抱く疑問とその答え

syounencyzowoman“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

 言うまでもなく、中学受験は“どうしてもやらなければならないもの”ではない。これは、わが子に中学受験を経験させようとしている母も、十分すぎるほどわかっていることだ。わが子が勉強好きとは思えず、もちろん閃く天才肌でもなく、勉強への集中力も続かず、勉強習慣も根付かない……そんな現状を憂う中学受験生の母たちは、よって次にこのような思考に覆われがちだ。

「中学受験はやめよう」

 お金もかかる、時間もかかる、神経も使う。土日もなく、塾の課題に追われる日々。小学生にこういう毎日を与えることが本当に良いのだろうか? という疑問と葛藤が、母の心に湧き上がるからだ。

 せめて、わが子が「どうしても、この中学に行きたい!」という具体的な目標を持ち、努力を重ねようという気概を見せてくれるのであれば、母もこれまで通り、最大限の応援をし続けると決意を新たにすることもできようものだが、こういう子ばかりではない。勢い余って、わが子に「やる気がないなら、(中学受験を)やめなさい!」という怒りを直接ぶつけてしまうことになりやすい。

 しかし、不思議に思われるかもしれないが、筆者の長年の取材を通して見ても、親に「やめろ!」と言われ、「願ったり、叶ったり!」状態で「はいはい」とやめる子はいない。多分、子どもには子どもなりの理由、例えば、「一度目指したものを親に独断的に言われたくらいで放棄したくない」とか、「友達は受験するのだから、自分だけが今更リタイアできない」とか、単純に「勉強は嫌いだけど、塾は楽しい」とか「志望中学には行きたいけれど、目の前のゲームの誘惑についつい負けてしまう」などの理由があるのだろう。ゆえに、「やめなさい!」→「絶対、やめない!」という親子の言い争いに発展していくのだ。

 母の立場からすれば「だったら、やることやれよ!」ってことなのだが、生まれて10年ちょっとしかたっていない子どもに対して、自己コントロールを求めることは、思うよりずっと難しいことなのだ。よって、一部の出木杉君と出来杉ちゃんたちを除き、大部分の子どもたちが大なり小なりの親とのバトルを繰り広げて、受験本番に突入する。

学力の伸びがわからない、中学受験の罠

 翔太くん(12歳)の場合もそうだった。母である夏子さん(44歳)から見ても、翔太くんは勉強好きには見えず、YouTubeに夢中で、机の前に引っ張ってくるだけでも疲れる日々。塾のクラスも上がらず、受験直前の模試でも第一志望校には黄色信号が点滅している状況だったそうだ。夏子さん自身が公立中出身者ということもあり、いつも頭のどこかで「勉強が好きじゃないのだから、大金払って受験する意味があるのだろうか?」という疑問が渦巻いていたという。

 そのため、特に小5~6の2年間は、何かにつけ「やる気がないなら、受験をやめなさい!」⇔「嫌だ! 絶対、やめない! 受験はする!」という親子バトルが頻繁に繰り返されていた。

 夏子さんが塾に勝手に“退塾届”を持って行ったことも、塾の先生に翔太くんの受験に対する甘さを諫めてもらうようにお願いしたことも、はたまた翔太くんのテキストを、怒りの余り、ゴミ袋に入れたこともあったという。その度に、翔太くんは泣きながら「塾に行かせてほしい。絶対に頑張るから!」と夏子さんに懇願したそうだ。

 夏子さんだって、きっとわかっていたのだろう。「やる気がない」といくら言おうが、翔太くんは、受験をしない小学生とは比較にならないくらいの勉強量をこなしている。ただ、その成績が、夏子さんの夢見る“数字的レベル”に達していないだけなのだ。

 中学受験は全員が同じ方向を向いて、日々、努力をしているので、そう簡単には偏差値の急上昇は見込めないのだが、哀しいことに、サボると一気に急降下する。よって、親は学力の伸びを、“わが子自身のビフォー・アフター”ではなく、常に“誰かとの比較”でしか見られなくなってしまう。それが中学受験の一番の罠なのかもしれない。

壮絶な親子バトルの末に……

 大多数の親子がそうであるように、夏子さんと翔太くんも、親子で小さな小競り合いを繰り返しながら、受験本番直前の塾の最終日を迎えた。夏子さんはいつも通り、自宅近所のバス停まで翔太くんを迎えに出向いた。この3年間、そこから親子2人で並んで帰ることがほぼ日課のようになっていたのだ。

 バスから降りるや否や、翔太くんがお弁当の感想を言ってくる日もあれば、饒舌に塾での笑い話を聞かせてくれることもあったという。この帰り道が、親子のささやかな触れ合いの場でもあったのだ。

 塾の最終日は凍てつく寒さであったが、空気が澄み渡った夜だったそうだ。夏子さんはバスから降りて、少し前を歩く翔太の背中を見ながら、「ああ、今日で塾が終わったんだなぁ……。翔太も何やかんやあったけど、頑張って通い抜いたんだよなぁ……」と感慨深く思っていたという。

 そして、夏子さんが「翔太、頑張ったね。お疲れ様」と言おうとした時、翔太くんが不意に立ち止まって夜空を見上げ、「ママ、見て! ほら、冬の大三角が見えるよ!」と、一つひとつの星を指さして「ほら、プロキオンでしょ? あれがペテルギウス。あそこに見えるのがシリウスだよ。これが冬の大三角だよ。ママ、見える? やっぱり、シリウスが一番、明るいね!」と説明をし始めた。

 これらは、3年間、懸命に勉強をしてこなければ得られなかった知識である。夏子さんは「うんうん、見えるよ、ちゃんと見えるよ」と言いながらも、星がだんだんと滲んでくるので、「ホントだね、冬の大三角だね……」と言うのが精一杯。続けて翔太くんは、楽しそうにこう言うのだった。

「シリウスからペテルギウスを中心にして、時計回りにこいぬ座のプロキオン、ふたご座のポルックス、ぎょしゃ座のカペラ、おうし座のアルデバラン、オリオン座のリゲルを結ぶと冬のダイヤモンドができるんだって。これ、ママにあげるよ!」

 その時、夏子さんは世界で一番素敵なダイヤをプレゼントしてもらえた気がして、余計に星たちが滲んで見えたのだそうだ。

 後日、夏子さんは筆者にこう言っていた。

「あの日は、『今日でお迎えも最後か』って思ったら、もう合格でも不合格でもどっちでもいいっていうか、悔いはないっていうか。翔太も私も全然、努力が足りなかったかもしれないけど、自分なりにはやるだけやったから、あとは天の神様、どうか、この子に一番合った道をお与えくださいって気持ちでした。翔太に対して、良い誘導ができずに、母として失格だったかもしれませんが……この子がいてくれて、この子であってくれて良かったって素直に思いました。あの夜は、本当に本当に大切な宝物です。こんなプレゼントをもらえるなんて、りんこさん、私、中学受験させて良かったです……」

 母には、わが子が生まれた日や、初めて歩いた日などという忘れられない日があるが、中学受験をすると、その忘れられない日が増える。多くの親子が、塾の最終日にこうやって、夜空を見上げるのだろう。

 確かに中学受験は成績が伸びずに腐る日も、壮絶な親子バトルになってしまう日もあるが、わが子は決して諦めることなく、自分の力で未来を切り拓こうと明日の本番を待っている。中学受験は合否を超えて、母の心をいっぱいにすることもあるのだ。
(鳥居りんこ)

勤務中にラブホへ行ったバツイチヤンママ保安員! 「変わった人が多い」万引きGメンの素顔

 みなさん、こんにちは。万引きGメンの智美です。おかげさまで、このシリーズも4回目を迎えることができました。どれだけ楽しんでもらえているのかわかりませんが、今回も万引きGメンにまつわるディープな話を書いてみましたので、ご興味あったらお付き合いください。

<オンナ万引きGメン日誌バックナンバー>
初日からカップ酒ドロボー捕捉! 保安員のセンスがあるのは20人に1人?
中年男性が盗った――! 恐怖と興奮に震えた“初現場の思い出”
保安員になって早10年の私、「万引きGメンのなり方」教えます!

 この業界に入って10年目となる私は、現場や研修会などで、凄腕の先輩からどうしようもないほどにダメな新人さんまで、たくさんの人たちと接してきました。お給料は決してよくないのですが、強い正義感や興味本位から保安員(万引きGメン)を目指す人は意外と多いのです。今回は、中でも強烈なGメンたちについて、お話していきたいと思います。

 私たちの仕事は目立ってはいけない立場にある上、逃走された場合に対応できないことから、勤務時にスカートやハイヒール、サンダルなどを着用することはありません。ジーンズにスニーカーというカジュアルなスタイルで現場に入るのが基本で、派手な色や覚えられやすい番号のついたモノは極力身につけず、なるべく記憶に残らないような服装で現場に入るのです。

 にもかからず、水商売風の派手なメイクを施し、胸元が大きく開いた服にミニスカート、さらには真っ赤なハイヒールという格好で現場に入るバツイチのヤンママGメンがいました。もちろん上司からも注意を受けていましたが、まるで聞く耳を持ちません。万引き犯を捕まえる意欲もなく、会社の指示にも従わないのに、なぜ解雇されないのだろう。そう不思議に思っていたところ、現場デビュー直後から、クライアントの部長さんと深い関係になっていたことが判明しました。お相手の部長さんが、大きな契約先の有力者であったため、上司も厳しい対応を取れずにいたのです。

 ひとつも実績のないまま、下半身の力で指名を得た彼女は、部長のスケジュールに合わせたシフトで出勤するようになりました。出勤するといっても、仕事はしません。入店手続きを済ませると、本業である巡回はそっちのけで部長と合流して、店舗並びのラブホテルに入る。そんな日々を過ごしながら、お給料を得ていたのです。さらには会社が黙認しているような状況につけこみ、契約が保てているのは私のおかげだと、賃上げ要求までしてきたと聞きました。あまりの厚かましさに辟易としたことを覚えています。

 2人の蜜月は、少し意外な形で終焉を迎えました。勤務時間中、ラブホテルに入るところを、抜き打ち視察にきた役員さんに目撃されてしまったのです。事務所に呼び出されて事情を聞かれた2人は「休憩時間中だから問題ない」と、苦しい弁解を繰り返したそうですが、あえなく部長さんは懲戒解雇。それに合わせてヤンママGメンも退職していきました。その後、あろうことか部長さん相手にセクハラ訴訟を起こした彼女は、数百万円の慰謝料をせしめたそうです。その話を聞いた時には、一体何のために入社してきたのだろうと、とても嫌な気分になりました。

 このような色仕掛けは別ですが、私たち保安員にとってクライアントからご指名をいただくことは、1つの目標であり栄誉なことです。些少(1回1,000円くらい)ながら指名料も入るので、全ての勤務日を指名で埋めることを目標にしている人もいました。求められて現場に入る分、居心地がよく、余計なストレスを感じることなく仕事に集中できるメリットもあります。クライアントからの指名をいただくには、店長やマネジャーとの人間関係も良好に保たなければなりません。かといって、出退勤時の挨拶以外で接触するには、万引き犯を摘発するほかないので、行くたびに結果を出すことが重要となります。まずは検挙実績を積みあげていくことが基本ですが、高額品狙いの被疑者や店舗で有名な常習者、窃盗団などの検挙はインパクトが大きく、1回の検挙で指名を得られることも多いです。

 同系列の店舗で、特定の女性従業員に対する露出狂や書店における盗撮常習者、さらにはスーパーの駐車場における車上狙いの犯人まで捕まえたことがある先輩は、これらの捕捉をきっかけに盤石の信頼を勝ち取り、長きに渡り多くの指名を受け続けてきました。この先輩は「迷彩服が一番目立たない」と服装にもこだわりを持っている人なのですが、店の人たちから「軍人さん」とあだ名され、親しまれています。日々の捕捉で信頼を得て、お店の人に可愛がられながら、時には大物を挙げる。それが指名を得るコツなのかもしれません。

 指名の多い保安員は、自ずと現場が固定されるため、お店の人はもちろん、警察官との関係も深くなります。とある署の警察官から「ボス」というあだ名で呼ばれる凄腕の先輩は、実況見分や調書作成など逮捕手続きの経験が豊富なので、現場で戸惑う新人警察官の指導まで依頼されていました。警察が忙しく人の足りない時は、率先して実況見分を手伝います。なるべく早めに処理を済ませることが目的ですが、若い新人の警察官と2人でメジャーを持ち、現場で距離を測る姿を見る限りベテランの刑事にしか見えません。マル暴の刑事や被疑者に間違えられることも多いというので、彼の正体を勘違いしたままの警察官やスーパーのお客さんもたくさん存在していると思います。

 この先輩は、いかに早く警察署に行くかということを日々のテーマに掲げているそうで、その理由を尋ねると「警察署に行けば、歩かないで済むし、昼寝もできるから」と答えました。警察署のロビーや取調室で堂々と爆睡できる人は、多分この人くらいではないでしょうか。本物のプロといえる保安員は、どこか職人気質で、ちょっと変わった人が多いのです。

 私自身も何度か経験していますが、指名手配犯や薬物所持者、また社会的地位の高い人を捕まえたり、事後強盗被害に遭うなど、結果として大きな事件になってしまった時には、新聞やテレビで報道されることがあります。それを誇りに思う職員は多数存在しており、ステルス(スーパーなどの現場で保安員であることが絶対的に見破られないという意味)の異名を取るおばあちゃんGメン(当時78、故人)も「あたしは3回も新聞に出たことがあるんだ」と、ことあるごとに自慢していました。

 その記事は、“食料品などを万引きした公務員が女性警備員に捕まった”というような内容なのですが、よほどうれしかったのでしょう。自分の名前すら出ていない小さな新聞記事の切り抜きを、汚れないようパケ袋に入れて財布に忍ばせ、いつも持ち歩かれていたようでした。30年以上にわたる現場勤務を終えた彼女は、引退後まもなくご逝去されましたが、このような小さな誇りの積み重ねが、仕事を継続する力につながっていたのかもしれません。

 現役終盤、腰を悪くした彼女は、ステッキを片手に背中を丸めて歩くようになり、カートを利用して巡回していました。傘をかけるリングにステッキを刺して、背中を丸めてカートを押す姿は、どこからどう見ても近所の老婆にしか見えません。そんな彼女が得意とするのは、その特性を最大限に活用した接近戦でした。常習者であっても彼女が保安員であることは見抜けず、彼女の目の前で実行してしまうのです。

 たとえ相手がガラの悪い若者や外国人であっても、ひるむことなく声をかけてしまう彼女でしたが、受傷事故は一度も経験していませんでした。腰の曲がったおばあちゃんに、自分の愚行を咎められると、図らずも戦意を喪失してしまうのでしょうか。長年にわたって高い検挙率を維持してきたことが頷けるような話ですが、なかなか真似のできるものでもありません。

 その一方、大量の化粧品を万引きした中国人らしき女性に腕を噛みつかれて、取り逃がしたことを報道されたおじさんGメンは、みんなからバカにされていましたね。相手が女性であったことはもちろん、ただ逃げられるだけでなく、商品まで奪われてしまったからです。たとえ犯人に逃げられても、ブツだけは取り返す。それがプロの仕事なのです。

文=智美
監修=伊東ゆう(ジーワンセキュリティサービス株式会社)

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