「偏差値30台の私立中」を受験する意味――「お金の無駄」「勉強できない」偏見の先にあるもの

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“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

 中学受験の世界に、一旦身を置いてしまうと、そこは“競争社会”なのだということを意識せざるを得ない現状がある。多くの中学受験塾は、学力ごとにクラス編成を組んでいるし、毎週のように行われるテストは、偏差値という数字で評価される。どちらかと言えば、子どもより親の方がその数字に一喜一憂するのである。

 それゆえ、中学受験生の親は、常に「上へ上へ」という気持ちに駆り立てられ、子どもが偏差値上位校に入らなければ「負け!」という感覚に陥る人もたくさんいるのだ。

 世間一般にも、「中学受験=偏差値の高い学校を狙う」というイメージがあり、例えば、偏差値30台の私立を目指そうものなら、「勉強ができなければ公立行かせればいいのに。お金の無駄では?」といった偏見の目を向けられてしまうことも、少なくない。しかし、私立中高一貫校を、偏差値順のランキングのみで判断することは、とても危険なことなのだ。

 理由は2つある。1つは“偏差値”というものの不安定さだ。偏差値は、“塾が決めているに等しい”部分があり、それも常に一定ではなく上下する。さらにいえば、偏差値ランキングというのは、10年たったとき、まったく違う並びになっているものなのだ。その“不安定な数字”だけを軸にして、我が子の学び舎を決めてしまうのはリスクが大きすぎる。

 もう1つは、偏差値が高くても子どもに合わない学校があるという点だ。私学は、創始者の確固たる“建学の理念”によって創設され、その信念が泉のごとく湧き続けている場所。「こういう子を育てたい」「こういう大人として社会に出したい」……そんな創始者の強烈な意志が、各校それぞれの特徴となっている。ゆえに、その“校風”に我が子が合うのかどうかという点が、中学受験では、何よりも優先されるべき問題なのだ。

 今回はあえて偏差値ではなく、校風に惹かれ“偏差値30台の学校”を受験したという親子にスポットライトを当ててみよう。

 恵子さんが、息子の誠也君を通わせた塾の方針は、こうだった。

「学校訪問時には偏差値表を見ない」

 これはつまり、「先入感を持たず、自分に合う学校を探せ!」という教えである。その塾は「たとえ、その学校の偏差値が70近くあって、今の自分の偏差値が40しかないとする。それでも、行きたいのであれば、目指せばいい」という雰囲気に満ちていたらしい。「偏差値が高いから無理」とか、逆に「偏差値が自分に合ってるから、ここ」という、“偏差値で区切る受験”には意味がないと、繰り返し言われていたという。

 恵子さんは、そういう環境下で誠也君と共に受験生活を送っていた影響により、偏差値表を封印。そして自宅から通学しやすいと思われる学校を、誠也君と共に回っていたらしい。

 恵子さんは当時を振り返り、こう筆者に語ってくれた。

「誠也は頑固な性格で、自分で納得しないと動かないところがあるのですが、私がいくら『この学校、どう?』って薦めても『ここは僕とは合わない』『ここは違う』と首を横に振るばかりで、6年生になろうかという時期にも、本命校が見えてこないという有様でした」

ところが、ある日、2人で訪れた学校にピンと来るものがあったのだそうだ。

「誠也が校舎の中でこう言ったんです。『ここがいい!』って。不思議な話ですが、私もその時、同じことを感じていて、『あ、ここが誠也に合う!』って思っていました」

 恵子さんは大人なので、さすがに雰囲気だけで本命校は決められないと、学校の教育方針などを冷静にじっくりと聞いたそうだが、最終的に、こう判断するに至ったそうだ。

「ここなら誠也は楽しいはず!」

 そう確信して、初めてその学校の偏差値を見ると、まさかの30台。誠也君の当時の偏差値は60前後だっただけに、「正直、もったいないかな? って思いました。でも、その後、誠也は何度学校に足を運んでも、その決意が揺るがないんですよ。『僕はここがいい!』と」

 当然、親戚筋からは「頭がいいのに、なぜわざわざ中学からそんな学校に?」との横やりが頻繁に入ったらしい。しかし、恵子さんは、「誠也の人生。誠也が進路を決めなくてどうする。それを応援することが唯一、親のできること。この学校は偏差値という数字を除けば、とてもいい学校」と考え、受験に突き進んだという。

 そして、誠也君は自らの意志を貫き、その学校に入学を果たした。その時、誠也君は「お父さん、お母さん、僕の行きたい学校に行かせてくれてありがとう」と言ってくれたそうだ。

 入学後の誠也君の“成績”を振り返って、恵子さんは苦笑しながら、こう教えてくれた。

「当然、余裕でぶっちぎりのトップにいるだろうと思ったら、甘かったんです(笑)。上には上がいて、やはりどんな学校であっても、トップの子たちはすごいなって!」

 それから年月が経過し、現在、誠也君は“難関”とされる大学に通っている。偏差値30台の中高に入って勉強を怠けたということはなかったようだ。

 恵子さんが息子の中高時代を懐かしむような眼差しで言った言葉が、筆者の胸に強く印象に残っている。

「誠也は、部活に勉強にと、中高を本当に目一杯楽しんでいました。一生の友達になるんだろうなっていう仲間との交友であるとか、本当に親身になってくださった先生方との信頼関係であるとか、目に見えないものをたくさんいただけたように思える、充実した6年間でした。やはり、この学校で間違っていなかったって心から思います」

 世の中には、数字という指標を超えた“進路”というものがあるように思う。中高一貫校の意義は、親から離れて、巣立ちをするまでの間、徐々にその子がその子らしさを発揮し、自己を肯定しながら、社会に出られる素地を作ることにほかならない。

 そう鑑みると、中学受験は“親離れ”“子離れ”のための助走であるとも言える。それゆえ、中学受験における一番、大切なことは“本人の意志”であり、その“意志”を親が尊重し、応援していくことが、次の良いステップにつながると、筆者は確信する次第だ。
(鳥居りんこ)

リアル『万引き家族』の実態……万引きGメンが見た「ホームレスのような兄妹、その壮絶な暮らし」

 先日、『カンヌ国際映画祭』でパルムドールを受賞した是枝裕和監督作品の『万引き家族」を、ウチの近所にある映画館で拝見しました。この記事を監修されている伊東ゆうさんが制作協力されていると聞いたので、公開されたら必ず見ようと決めていたのです。長年に渡って万引きの現場を見てきたからこそ、役者さんの凄味を余計に感じてしまったのかもしれませんが、冒頭の万引きを実行するシーンが強く印象に残りました。私自身、伊東さんのセミナーに参加したことがあるのですが、現場の実態を豊富な資料でわかりやすく解説されるので、役者の皆さんも演技の参考になったことでしょう。大変素晴らしい作品でしたよ。

 実際の現場でも、親子や夫婦、兄弟、時には一家まるごとなど、家族による共犯で万引きする人たちと遭遇することがあります。なかでも幼い子どもを利用した万引きは悪質で、盗むモノを子どもに指示しておきながら、捕まった後には子どもが勝手にやったことだと居直る鬼畜のような親も多数見てきました。現場の状況から明らかな共犯関係にあるのに、「俺たちは関係ない」と、成人した子どもに罪を擦りつける老夫婦にも遭遇したことがあります。同居する彼らの、その後の暮らしがどうなったのか気になりますが、それを知る術はありません。

 ベビーカーで眠る乳児の背中に、高級和牛肉を隠して外に出た若い主婦を捕まえた時には、同じ女として許せない気持ちになりました。ぐずり続ける乳児の、悲鳴にも似た泣き声と、乳児の体温で茶色に変色してしまった生肉が、いまも脳裏に焼きついたまま残っています。

 夫婦や兄弟の共犯による犯行は珍しくなく、旦那の背中を使って自分の手許を隠して万引きする常習夫婦を捕まえた時には、その熟練された万引き技術に我が目を疑う気持ちになりました。後日、この件で証人として裁判所に出廷した際、夫婦合わせて三十犯以上の犯歴があると聞き、妙に納得したことを覚えています。

 最近は、万引きの現場からネグレクトが発覚することもあって、被害児童を加害者として扱わなければならない不条理に涙したこともありました。一昨年の夏、S県のベッドタウンに所在するスーパーの店長から、日常的に食料品を万引きする小学生がいるので捕まえてほしいという依頼を受けた時の話です。開店時刻に合わせて現場に入り、事務所まで挨拶に行くと、どうやら私を待ち受けていたらしい店長より、防犯カメラから抽出された手配写真を渡されました。

「一番捕まえてほしいのは、この子たちです。夏休みだから何時に来るかわからないけど、毎日必ず万引きしにくるので、よろしくお願いします」

 毎日万引きされていることがわかっているなら、自分で捕まえればいいじゃないか。そう思われることでしょうが、危険負担や誤認事故を嫌って、店員などによる万引き犯の検挙を禁じている商店は多いのです。

 手配写真を見ると、ホームレスのように薄汚れた服を着た小学生らしき2人の男児と女児が、入口から入ってくる様子が写っていました。2人の手には使用感のある空のレジ袋が1枚ずつ握られており、この瞬間を見ただけでも、万引きしにきたとわかる1枚です。店長によれば、2人は兄妹らしく、親といる姿は見たことがないということでした。どんな境遇にある子たちなのだろう。そんな思いを抱えて現場に入ると、昼前のピークに合わせて、写真と同じ格好をした2人の子どもが店の中に入ってきました。2人の顔を見れば、まったく年齢に合わないギラついた目をしており、体全体から“近づくな”という威嚇意思を醸し出しています。気付かれぬよう、少し距離を取って追尾すると、前を歩く子どもたちから、何日か体を洗ってない人のニオイが漂ってきました。衣服や靴など身につけているものを見ても、全体的に黄ばんでおり、靴に至ってはアニメ柄の部分に穴が開いている有様です。

 捕まえれば、きっと面倒なことになる。

 そんな思いで追尾すると、総菜売場で弁当やおにぎりを手にした2人は、その場にしゃがんで持参したレジ袋の中に隠してしまいました。飲料やお菓子など、いくつかの商品も同様の手口でレジ袋に隠した兄妹は、レジ店員の動向を窺いつつ出入口脇にある休憩所に入っていきます。

(ここで食べちゃうのかな? お弁当を開けたら声をかけよう)

 そう心に決めて売場の物陰から2人の動向を見守っていると、よれたレジ袋から弁当を取り出し、馴れた手つきで電子レンジの扉を開いてスタートダイヤルを回しました。どうやら弁当とレンジ皿の大きさが合わないようで、弁当のパックがレンジ内で引っかかるたびに、ゴツゴツとした異音が休憩所内に鳴り響いています。

 およそ2分後、熱くなった弁当をつまむように取り出した2人は、テーブルに座って弁当のパッケージを開きました。もう声をかけなければならない状況にありますが、弁当を前にした2人のうれしそうな顔を見て躊躇した私は、どうにも歩を進められません。盗品である弁当は、回収しても廃棄されます。それならば、きっとおなかが空いているのであろう2人の腹を満たしてしまった方がよいのではないか。服務規程的に違反してしまう話かもしれませんが、そう思ってしまったわけです。

 あっという間に弁当を食べ終えた2人は、ペットボトルの栓を開いて口をつけると、レジ袋の中から菓子を取り出しました。さすがに、食後のおやつまで与えてしまうのは、いかがなものか。そこでスイッチの入った私は、スナック菓子のおまけを見てはしゃぐ2人の横に座って、やんわりと声をかけます。

「こんにちは。おばちゃんね、ここのお店の人なんだけどさあ、僕たちお弁当のお金、持ってる?」
「…………」
「お父さんかお母さんは、近くにいるの?」
「…………」

 今日も捕まらないと、きっと安心していたのでしょう。幼いながらも、声をかけられて全てを悟ったらしい2人は、だんまりを決め込みました。法的にいえば、黙秘というやつです。この2人には捕まった経験がある。そう確信した私は、彼らが食した弁当の空き箱や飲料水のボトルを犯罪供用物であるレジ袋に入れて証拠を保全し、逃走防止のため、近くにいた店員さんに声をかけて、事務所までの同行を補助してもらうことにしました。声かけ時に反抗的な被疑者は、証拠隠滅や逃走に及ぶことが多いので、たとえ相手が子どもであっても油断できないのです。声をかけたからには、完璧な状態で引き渡す。その鉄則は、老若男女、国籍を問わず、どんな被疑者に対しても変わることはありません。

 2人を事務所に連行して店長に判断を仰ぐと、できることなら警察を呼ばずに、保護者を呼んで引き取ってもらいたいという意向でした。しかし、名前や連絡先を聞いても2人は何も答えず、ただ俯くばかりです。仕方なく警察に通報すると、まもなく現場に臨場した少年課の刑事さんが、困り果てた顔で言いました。

「商品の買い取りはできないと思うんですが、よろしいでしょうか?」
「どういうことですか?」

 刑事さんに話を聞けば、少し前に2人を扱った時、両親がおらず認知症のおばあちゃんに育てられていることが判明したというのです。どうやら満足な食事も与えられていない環境で暮らしているらしく、前回は、児童相談所に通報して引き渡したとのことでした。万引きの現場には、さまざまな社会の闇が詰まっているのです。

「この子たち、あまり学校にも行けてないみたいで……」

 刑事さんの話を聞いた私は、なにもできない自分に腹が立つような思いがして、とても悲しくなりました。憎き常習者を前にした店長も、2人の境遇が普通じゃないことを理解したらしく、封を切ってしまったお菓子を食べさせ、盗んだおにぎりも持たせています。警察に引き渡した後の彼らが、どのような処置を取られたのかわかりませんが、少なくともご飯だけは食べられる環境にいてほしい。ただ、そう願うばかりです。
(文=澄江、監修=伊東ゆう)

「身バレ・親バレ・彼氏バレ」ドルヲタが恐れる危機とは? ドラマ『婚外恋愛に似たもの』第3話

「リア充(リアルが充実している)」という言葉が使われ始めたのはいつ頃だったろう。

 おそらく、ネットの中で力を持ち始めた大型掲示板あたりが最初だと思うが、「自身はリア充ではない」と自認している人が、「リア充爆発しろ!」などと書き込みをするようになって、徐々に広まっていったのではないかと思われる。

 つまり、非リア充側が、リア充側を敵視する時の力が、大きな原動力となったのだろう。

 ここで考えてみたいのだが、“非リア充”という言葉には、二つの意味が内在している。一つは文字通り「今のリアルが充実していない」こと、そしてもう一つは「リアル以上に非リアル(妄想の世界)が充実している」ことだ。

 dTVで配信されている、栗山千明主演ドラマ『婚外恋愛に似たもの』第3話のメインキャストである売れっ子経営コンサルタント・隅谷雅(平井理央)は、完全に後者である。

 大物資産家の父のもとに生まれ、勉強も仕事も一番だった。見た目も申し分のない美人で、「この人がリア充じゃなかったら、いったい誰がリア充なんだ?」と思われるほどだろう。しかし、彼女はバリバリと仕事をこなす一方で、近づいてくる男に興味も示さず、ただひたすらに推しである「スノーホワイト」のチカちゃん(増子敦貴)を「自分の夫」と思い込み、日々応援に明け暮れているのだ。まさに“推しとの非リアルが現実を凌駕している状態”だろう。

 もちろん、男性ヲタ界隈でも、好きな女性アイドルを「俺の嫁」と呼んではばからず、家に帰れば彼女のポスターを見たり音楽を聴いたりして過ごす人は少なくない(本来の夫婦は、部屋に妻の写真を過剰に貼ったり彼女の歌を聴いたりはしないだろうが)。しかし、雅のように、リアリストな面と夢見がちな面を、自分の中で共存させている例は、さすがに珍しいだろう。

 今回、もう一点象徴的だったのは、いわゆるエリート(=仕事ができる)のドルヲタの存在である。

 アイドルの現場では、とにかく湯水のようにお金を落としていく人、通称“財閥ヲタ”が存在する。CDやグッズを買い占め、特典会では何回もループ(繰り返し並ぶこと)をし、地方での公演があれば、どこまででも追いかけていく。確かに、もともと家が裕福な人もいると思うが、話を聞いてみると、やはり会社である程度の役職についていたり、高収入であったりする人が多いのも実情だ。

 雅や財閥ヲタのように、何もかも恵まれている人がアイドルにハマるのには、どのような背景があるのだろうか。私はそこに、“お金では買えない存在に、お金をかければ近づくことができる”という心理が働いているように思う。

 そもそも、財閥ヲタは金持ちである。そして、今の日本において、お金で買えないものはほぼないだろう。そんな中で、“アイドル”と“彼(彼女)の心”は、お金ではとうてい手に入るものではないのだ。

 人間は欲深いとよく言われるが、まさにその通り。一通りのものが手に入れられる環境に置かれると、次に欲しくなるのは、“それでも手に入らないもの”なのだろう。アイドルにハマる財閥ヲタは、それを象徴した存在だと言える。

 雅は、それほどチカちゃんにハマっていながら、そのことを周囲にはひた隠しに隠している。個人でコンサルを営む彼女にとっては、世間の評判は大きくビジネスに影響するからだ。

 そんなある日、雅がドルヲタであることを公表する怪文書が、取引先の会社に次々と送られてくる。契約中止の連絡が相次ぎ、途方に暮れた雅であったが、美佐代(栗山千明)の助言により、その出どころを突き止めようとする。以前勤めていた会社に入り込み、犯人と思われる人を問い詰めてみると、今回の事件を指示したのはなんと、会長である、雅の父だった。

 いわゆる“親バレ”である。

 正確にリサーチしたわけではないが、ドルヲタの多くは、自身の趣味を親には隠しているケースが多い。実家で同居していれば、親に怪しまれ、カミングアウトすることもあるかもしれないが、離れて暮らしていれば、親バレするメリットはほぼ何一つない。

 雅のように、アイドルと“脳内結婚”し、現実で家庭を持つことにまったく興味を示さなければ、親としては子供の将来が心配でならないだろう。もちろん、親世代からすれば、ドルヲタというものが理解しにくい存在だということもある。私自身のことを考えてみても、テレビでドルヲタのドキュメンタリーなどが流れると、実家の親から電話があり「あんなふうにだけはならないように」と釘を刺されるのである。

 日本には昔から「知らぬが仏」ということわざがある。親に余計な心配をかけず、また、親から余計な干渉を受けずに済むのであれば、自分の趣味などというのは隠しておいたほうが幸せなのかもしれない。

 それはもちろん、リアルな世界での恋人やパートナー、ドラマの中で“息子バレ”をしてしまった昌子(江口のりこ)のように、多くの家族に知られてしまうことは、ドルヲタとして最も避けるべき危機のひとつなのである。

 そして、もう一つ、隠しておいた方がいい理由がある。人間にとって、楽しみというのは、密かであれば密かであるだけ、なんとも言えない甘美な魅力を放つものなのだ。仕事先にも、親にも、パートナーにも言えない。そんな“背徳感”を楽しむのもまた、アイドルの魅力であると思うのだ。

 次回、雅は、ドルヲタであることを世間に公表し、苦境に追い詰めた張本人である父親と対峙することになる。アイドルへの思いとプライドをかけて、父親とどのような対決をすることになるのだろう。多くのドルヲタが抱える問題のひとつの結論が出されるかもしれない。

(文=プレヤード)

■ドラマ『婚外恋愛に似たもの』
dTVにて毎週金曜日配信

「トイレトレーニング」は保育士の仕事? 多忙ママが、園にとって“モンペ”となるワケ

保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。

 アラサーやアラフォー世代が子どもだった頃と比べ、現代は共働きの家庭も増え、時間に追われるように過ごしているママたちも多い。そんな中、育児に関して、何でもかんでも保育園や幼稚園に頼る保護者が、保育士の間で問題視されているという。「忙しいので、保育園にお願いしたい」と思うママたち、一方で「それはご家庭でやってください」という心情を抱える保育士たち―—それぞれの声を見ていこう。

 保育士の中で、「家庭での協力が必要である」といわれているという “トイレトレーニング”。しかし、なかには保育園に任せきりの保護者も多いそうだ。認証型保育園に2歳になる娘を通わせている紀子さん(仮名)は、こう語る。

「娘は今、2歳児のクラスにいて、園では少しずつ、おむつを外して幼児用の洋式便座でのトイレトレーニングを始めています。そのため、保育士から家でもおむつではなくパンツで過ごすように言われているのですが、正直困っていますね。家で一緒にいる時間に排泄のトレーニングを行うと、帰宅後の時間が足りないんです。午後6時過ぎに迎えに行って、夕飯を食べさせて、お風呂に入れて、寝かしつけして。平日はほぼワンオペ育児なので、そこにトイレトレーニングも加わったら、自分の時間が持てません」

 トイレトレーニングは、子どもによって、おむつが外れる時期にばらつきがあるため、根気が必要だと言える。排泄を口で伝えることができない幼児には、“トイレに行こう”と促し、ズボンの下に穿いている下着を下ろすのも手伝い、女児の場合は、便座の上に座らせて落ちないように支えて排泄の介助をするというのが一般的だ。男児の場合は、尿を飛び散らかさないに気を付けさせる。トレパンの時にお漏らしをしたら下着や服を洗う、濡れた床を拭く、寝ているときに排泄をしてしまったらシーツを洗って消毒をする……。洗濯物が乾きやすい夏にスタートするのがベストといわれているものの、まだプレ幼稚園にも通わせず、自宅育児をしている2歳児のママからすれば、トイレトレーニングは気が遠くなる作業だという。

 満3歳児からの入園が主な幼稚園では、入園前のトイレトレーニング(おむつ外れ)をお願いしているケースもある。それに反し、自宅にいる時間よりも園で過ごす時間が長い保育園児は、否が応にもトイレトレーニングを保育士が担う部分が多い。小規模保育園で2歳児クラスの保育士をしている秋元さん(仮名)は、「うちの園では2歳児クラスに進級すると、家でのトイレトレーニングをお願いしています。でも、休みの日はディズニーランドなどレジャー施設に出かけたり、祖父母の家に帰省したりと、長時間移動するためにおむつを穿かされている子もいるんです。家でおむつを穿いて過ごしている子は、『なんで園だとおむつを穿いてはいけないの?』と言い出し、トイレトレーニングがうまくいかないんです」と、困惑した表情を見せた。

 近年は、待機児童問題から、入りやすいとされる“0歳児入園”が当たり前となり、保育園に預けている時間が長いため、親が生活の中で教えてきたトイレでの排泄というような手間がかかる躾を、保育士が行っているといえる。なかには、「子どもが粗相をした下着を軽い水洗いで返すと、『きちんと洗ってください』と言ってくる親もいます。そもそもトイレトレーニングはご家庭でやるべきものなのに」(秋元さん)との声も。保育士と、親が教えるべき躾の境界が曖昧になってきているのかもしれない。

 保育園と幼稚園の違いとして、よく挙げられるのが“文字の読み書き”を教えるかどうか。一般的に、幼稚園の管轄は文部科学省で、保育園の管轄は厚生労働省という違いがあり、幼稚園では就学前に文字の読み書きを教える一方、保育園では共働きの両親に代わって保育を行うのが目的で、勉強を教える場所ではないという前提がある。しかし、最近では幼稚園でも「のびのびとした保育」をモットーに、園内での家庭菜園や課外学習を行うなど、勉強以外に力を入れている園もあり、反対に保育園なのに、読み書きや計算の時間を積極的に取り入れている園も増えてきている。

 関東で看護師として働いている麻衣子さん(仮名)は、夜勤を行わないシフト勤務だが、長時間労働で土曜出勤もあり、家で子どもとゆっくり過ごす時間がないという。彼女の4歳になる息子が通っている公立保育園では、園生活の中では、いっさい読み書きを教えない。不満に思った麻衣子さんは、「小学校に入学したときに、ひらがなの読み書きができないといじめられたり、劣等感を抱いてしまう」と直接園長に直訴した。

「最近の私立の保育園は、英語教育を取り入れている園もあるのに。うちの園は公立ですが、保育園だから読み書きを教えないって、もう今の時代に合っていないって思うんです。しかし園側が『読み書きなどは、自然と生活の中で覚えていくもの。子どもとのスキンシップの時間を取って、ぜひ絵本の読み聞かせをしてあげてください』っていうんです」

 麻衣子さんが住んでいる地域では、小学校高学年になると塾に通いだし、私立中学への受験が盛んになるという。幼少期の読み書きが、先々の学力に影響するのではないかと、今から心配している。

「もっとママたちが声を上げれば、保育園でも読み書きや計算の勉強は可能だと思うんです。同じ産院で知り合った専業主婦のママさんは、フラッシュ暗算をさせる幼稚園に息子を通わせていて、どんどん差がついてきて焦ってきています。保育園の無償化よりも、時間に余裕がないワーママさんの代わりに、保育園で勉強も見てもらいたいです」

 保育園では、日常業務以外にも、季節の行事や保護者会などがあり、保育士の負担は今のままでも十分大きい。しかし、“仕事をする方が育児よりも楽”というワーママもいるように、トイレトレーニングから始まり、準備に手間のかかる離乳食、箸トレーニング、読み書き計算、側転後転というような簡単な体操など、本来は家庭で行っていた育児・躾を、保育園に期待する保護者たちが増えた。そんな、保育士をサービス業として捉える“モンペ”たちが、保育士不足をさらに加速させてしまわないか、不安は増すばかりだ。
(池守りぜね)

隣客にディープキス、パンツ半脱げで昏睡!? 泥酔アラサー女子の「プロすぎる帰り方」

(前回はこちら) 

どうも、紫帆です。都内の某飲み屋街で小さなバーを経営している私が、夜毎の営業中に目撃したクソ客・変な客・珍事件について、お話させていただきますね。さて、今宵のお客さまは――

大迷惑! 狭いトイレで昏睡する“泥酔女子”

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 とある週末、常連のお客さまが連れていらした、30代前半の元気な女性。

 常連さんの会社の後輩である彼女は、かなりの豊満体型もあってか、とにかく酒豪です。甲類焼酎の緑茶割りをガンガン空にしながら、「去年までスナックでバイトしてた」という経験も納得のトークの冴えと、華やかな笑顔を披露していました。

 ところが夜が深まるにつれ、徐々に許容量を超えてきたのか、彼女の目の焦点が定まらなくなってきました。たまたま居合わせた男性客にディープキスをしたり、また別の男性にしなだれかかったりと乱れる彼女を心配するものの、連れてきた張本人である常連さんは「いつもこんな感じなんだよ。男みたいなもんだから、大丈夫大丈夫」とのんきに構えています。

 しばらくしてトイレに立った彼女。こちらの不安は的中し、いつまで経っても個室から出てこなくなってしまいました。金曜の夜、このままトイレを占拠されては困ります。事実、「トイレに行きたいから」という理由で他の店に移動してしまったグループも。困り果てたわたしは、彼女をトイレから引きずり出すという強硬手段を取ることにしました。

 が、おそらくは体重90キロ以上の豊満体型で、その上泥酔して寝ているので動かすことすら困難です。常連さんの力も借りて、やっとの思いで狭いトイレの個室から出したものの、背もたれが低く安定しないカウンターチェアに座らせることもできず、決して広くはない店内で床に転がしておくわけにもいかず……。

 仕方なく一旦、店外の路上に寝かせることに(本当に仕方なくです!)。

 薄暗がりの中、うち上げられた大型水生哺乳動物か、はたまた魚市場のマグロかといった体(てい)の彼女をよく見ると、トイレの途中だったのかパンツがずり落ちたまま。し、しかもパンツに装着された生理用ナプキン(肌に触れる面)が丸見えではないですか! 

 当然同じ女性として看過することはできず、初対面の女性の生理用パンツを、無理やり穿かせ直すという荒業を為し終えたのでした……。

 その後も気にかけて見守っていたところ、一時間ほどたって、奇跡の復活を遂げた彼女。常連さんが「タクシー拾うところまで送るよ」と店を出るよう促すと、豊満女子はさっきまで酔い潰れていたとは思えないくらい元気に「また来るわ!」と片手を上げて帰って行きました。その様子があまりにも豪気かつ爽やかで、こちらとしてはとても迷惑だったはずなのに「この女、飲みのプロだな!」と感心せざるを得ませんでした。

 ちなみに常連さんは、気を遣って実際の飲み代よりだいぶ多めに置いて行ってくださいましたけどね。まいど~!

 

(隔週金曜日・次回は7月20日更新)

プロフィール
浮川紫帆(うきがわ・しほ)
東京都内の繁華街の一角でバーを経営する30代バツイチ女性。ママ歴は6年。好きなお酒はマカストロングのお湯割り。

(イラスト=ドルショック竹下)

あなたにとってアイドルとは?――ヲタク心理を問われるドラマ『婚外恋愛に似たもの』第2話

「あなたにとって、アイドルとはどんな存在ですか?」

 アイドル好きを公言していると、しばしば聞かれる質問だ。正直、一言で説明することは難しい。実際、私自身も明確にわかってはいないし、ドルヲタ同士で酒を飲みながら延々と語り合ったこともある。最終的には、それぞれが自分の中に「アイドルとはこういう存在」というビジョンを持っていればそれが正解なのだと思う。

 dTVで配信中のドラマ『婚外恋愛に似たもの』第2話では、主人公たちのアイドルに対する思いが語られた。

 千葉の元ヤン主婦・益子昌子(江口のりこ)は、中学生の息子(畠山紫音)が万引きをしたとのことでスーパーに駆けつける。そこで目にしたのは、履歴書を万引きした息子の姿だった。「履歴書をどこに出すつもりだったのか?」そう問い詰める昌子。なかなか口を割らない息子であったが、やがて本当の気持ちを話し始める。

「ディセンバーズエンターテイメントスクールに送るつもりだった」

 そう、昌子が愛してやまないアイドルグループ「スノーホワイツ」の所属する事務所を受けようとしていたのだ。

 そもそも、昌子にとって推しの八王子(太田将煕)は、“理想の息子”だった。実際の息子の素行に苦しめられる昌子からすれば、アイドルに対しての感情は「母性」であったのかもしれない。

 実は、男性である私からしても、この感情は理解できる。

 若い頃、女性アイドルは、世間でよく言われるように「疑似恋愛」の対象であった。「あんな子と仲良くなりたい。恋人になりたい」そんな気持ちが強かったことも事実だ。しかし、自身が年を重ねるにしたがって、それだけでは説明のつかない感情も入ってくるようになった。複雑な感情ではあるが、その中には間違いなく「父性」というような気持ちが混じっいる。

 実際、アイドルの現場では、自分の娘のような年齢の女の子を応援しているファンが多く見られる。子供がいる人も、そうでない人もいるだろうが、「子供を応援したくなる気持ち」というのは多くの人に多くの人が共通して持つ感覚だと思う。

 昌子が、八王子に抱いた思いも、人間としてごく自然なものであったと言えよう。そして、それに対する息子の思いもまた胸に迫ってくる。

 母親がアイドルを理想の息子と思っている。そんな母親を喜ばせるため、自分もそのアイドルになろうとしたのだ。アイドルという存在をめぐって、親子の絆が深まっていく。そんなことが象徴されるいいシーンであった。

 一方、神田みらい(Da-iCE・岩岡徹)推しのセレブ主婦・桜井美佐代(栗山千明)は、同じホワラー(スノーホワイツのファン)ということで、昌子と仲良くなり、素直に自分の気持を話せるような関係にまでなる。

 昌子が美佐代のマンションを訪れた夜、テレビマンである美佐代の夫・修一郎(袴田吉彦)が怪しい男に襲われる。昌子の反撃により難を逃れたが、相手は修一郎が深い仲になったアイドル・さなのファンであった。

 ここで、アイドルファンの視点へと切り替わる。

 自分が好きなアイドルが、テレビ局関係者と不倫の関係にある。暴行は立派な犯罪だが、相手に一言言ってやりたくなる気持ちもわかる。その場に居合わせた美佐代も、昌子も、そしてもしかしたら修一郎でさえも、その男の気持ちは痛いほどわかっていたのかもしれない。この「2つの視点がぶつかりあうシーン」というのが、個人的には大好きだ。

 続いて、このドラマで重要な役となる人物が登場する。美佐代の会社員時代のライバル・隅谷雅(平井理央)だ。

「いつも上から三番目」を自認する美佐代にとって、何事もうまくこなし、一番になる雅は天敵なのである。鼻持ちならないセレブエリートの女性を、平井理央が嫌味な雰囲気たっぷりに演じている。彼女も実はホワラーで、次回以降、さらに美佐代らと大きく関わってくることになりそうだ。

 そして、スノーホワイツのライブに向かう朝、美佐代は言う。

「女にとってアイドルはデトックス」

 自分が若さを保ち、美しくいられるのもアイドルへの思いがあるからだという意味だろう。これは、女性アイドルを応援する男性ヲタクについても言えることだ。

 若い女の子を応援する男性は、おしなべて実年齢よりも若く見える。これは、現場でアイドルヲタを見ていての実感だ。それは、“若い子と会うから”という理由で意識的に服装などに気を使っていることもあるだろうが、やはり気持ちの面で“好きなものに夢中になっている”ということが、大きく働いていると思う。

 私自身、アイドルのライブを見たり、イベントで接したりしていると、自分が若くいられることを実感する。「好きなアイドルと1回握手をすると3日寿命が延びる」というのが私の持論である。

 男性アイドルの女性ヲタク、という視点で描かれたこのドラマ。1回25分と短いが、毎回、アイドルファンとしての立場を考えされるシーンが織り込まれている。もちろん、アイドルには興味がないという人が「ドルヲタってこういう世界なのね」という感覚で見ても十分に楽しめるであろう。

 今回テーマとなっていた、「自分にとってアイドルとはどんな存在か」。見ている人も、一度問いかけてみてはいかがだろうか。

 ちなみに私がヲタク仲間と議論した結論。それは、「アイドルは妖精」というものだった。気持ち悪い結論になってしまい、すみません。

(文=プレヤード)

■ドラマ『婚外恋愛に似たもの』
dTVにて毎週金曜日配信

「夏のパイパン問題」に最終結論! 外専女子が導き出した、欧米男性が好む「おまたの毛」

 さて、季節はいよいよ夏本番……この頃になると肌の露出が一気に増えて「ムダ毛の処理」に悩まされる女性、多いのではないでしょうか。

 この連載の第2話で私が感じた疑問――「Hな雰囲気になった時、“アソコの毛”はどうしておくべきか」。当時は知識もなく、外専女子の友達も周りにいなかったので、漠然と「欧米の女性のあそこはツルツルである」と思っていました。

前回はこちら

アンダーヘアは「自然体」or「ツルツル」? 

8-1-600

 だからといって「じゃあ自分もブラジリアンワックスに行こう!」という気にはなれませんでした。なぜなら、アダルトビデオのジャンルに「毛あり日本人女性」というのがあるくらいだし、生やしておいたほうが欧米人は喜ぶに違いない! と信じていたから。

 わざわざ欧米人女性をマネてつるつるにするなど愚の骨頂と思っていたし、大事なところをスッカスカにしておくのはなんとなくマヌケな感じ。「隠しておくのがエロくていいのではないの?」と日本人らしく(?)「恥の文化」を尊重し、スーパーナチュラル(生まれたまんまの姿)を貫き通していました。
 
 そう考えてからしばらくたち、外専女子の女友達もできた私。

 彼女には、イタリア人と付き合っている友人・C子がいるそうなのですが、C子の彼が、あるとき急遽イタリアに戻ることになったのだそう。日本に残されたC子は数カ月後、彼を追いかけてイタリアへ渡り、無事再会。

 久しぶりの再会に盛り上がり、さあやることヤろう! となりパンツを脱いだC子ですが、パッカーンとご開帳するや否や、彼から脚を閉じられて「絶対、無理‼︎」と叫ばれ、おまたをお返しされたという……。

 C子は彼と会っていない間、おまたの毛の処理をしておらず、生えかけのワイルドヘアーがコンニチハ状態になっていたらしいのです。

 私はその話を聞いて、「え〜、そんなんでHできないの? その彼氏、過剰反応すぎない? 愛があれば毛なんてどうでもいいじゃん。理解できないな〜」と思ったのでした。

 そんなやりとりも忘れかけたある日、ふとテレビに目をやると……そこには黒々とした「アソコの毛」が映っているではないですかー‼︎ 

8-2-600

 ……もちろんそんなわけはなく、「アソコの毛」だと錯覚したのは、体操の内村航平選手のワキ毛。確実にお手入れしていなさそうな、のび放題の、凶暴さすら感じる黒々としたワキ毛……。そのビジュアルは、完全に私のおまたと一致しています。

 こんなワサワサなおまたを外国人男性に見せていたのか、私! グロい! キモい! 恥ずかしい! 

 頭を抱え、じだんだ踏んで今までのいろんなHシーンを思い浮かべては恥ずかしさでギャアアと叫んで卒倒しそうになり、いてもたってもいられずブラジリアンワックスサロンに突撃。

 いろんな脱毛のデザインを見せていただきましたが、内村選手のワキ毛が脳裏に焼き付いた私は迷うことなく「つるつるで!」とオーダーし、あの「ズウ~~ン」としたなんとも言えない痛みにうなりながら耐えて、つるっつるのおまたにしていただきました‼︎ 

 抜きたてのおまたを見ていると、毛で隠しているより、丸見えの方がはるかにエロいと感じます。

 まる見えおまたを好きな相手に見られるのは相当恥ずかしいし、日本の「恥の文化」って奥が深いんだなあと、感慨深い気持ちにすらさせられました。

 古い角質も取れてスベスベして手触りもいいし、衛生的(特に生理の時とか)だし、どんな形のパンツをはこうが毛がはみ出ないし、良いことづくし。

 私の経験から、欧米外国人男性はステディな関係以外ではクンニをなかなかしないんですが、私に限ってはアソコの毛がボーボーだったことも一因としてあるだろうと確信。愛とか恋とかの前に、私の黒々とした毛は、彼らに恐怖心さえ与えていたに違いない……‼︎ 「スーパーナチュラル」のせいで、だいぶ損をしてきたのでは……と愕然としました。

 晴れてボーボーを卒業し、「愛されおまた」を手に入れましたが、なぜかその後から全っ然外国人男性とめぐり会えず、一度もHしてません。もしかしたら毛と一緒に男運もなくしてしまったのかも……。

 

(隔週火曜日・次回は7月17日更新)


<著者プロフィール>

音咲椿(おとさき・つばき)
男性向けグラビア誌編集長を経て、ポット出版社刊「女の子×女の子のためのエロチックブック・Carmilla」にてイラスト・漫画家デビュー。
単行本「イケメン外国人たちとベッドで異文化交流した結果。」(ぶんか社刊)好評発売・配信中。テレビ出演多数。


 

「夏のパイパン問題」に最終結論! 外専女子が導き出した、欧米男性が好む「おまたの毛」

 さて、季節はいよいよ夏本番……この頃になると肌の露出が一気に増えて「ムダ毛の処理」に悩まされる女性、多いのではないでしょうか。

 この連載の第2話で私が感じた疑問――「Hな雰囲気になった時、“アソコの毛”はどうしておくべきか」。当時は知識もなく、外専女子の友達も周りにいなかったので、漠然と「欧米の女性のあそこはツルツルである」と思っていました。

前回はこちら

アンダーヘアは「自然体」or「ツルツル」? 

8-1-600

 だからといって「じゃあ自分もブラジリアンワックスに行こう!」という気にはなれませんでした。なぜなら、アダルトビデオのジャンルに「毛あり日本人女性」というのがあるくらいだし、生やしておいたほうが欧米人は喜ぶに違いない! と信じていたから。

 わざわざ欧米人女性をマネてつるつるにするなど愚の骨頂と思っていたし、大事なところをスッカスカにしておくのはなんとなくマヌケな感じ。「隠しておくのがエロくていいのではないの?」と日本人らしく(?)「恥の文化」を尊重し、スーパーナチュラル(生まれたまんまの姿)を貫き通していました。
 
 そう考えてからしばらくたち、外専女子の女友達もできた私。

 彼女には、イタリア人と付き合っている友人・C子がいるそうなのですが、C子の彼が、あるとき急遽イタリアに戻ることになったのだそう。日本に残されたC子は数カ月後、彼を追いかけてイタリアへ渡り、無事再会。

 久しぶりの再会に盛り上がり、さあやることヤろう! となりパンツを脱いだC子ですが、パッカーンとご開帳するや否や、彼から脚を閉じられて「絶対、無理‼︎」と叫ばれ、おまたをお返しされたという……。

 C子は彼と会っていない間、おまたの毛の処理をしておらず、生えかけのワイルドヘアーがコンニチハ状態になっていたらしいのです。

 私はその話を聞いて、「え〜、そんなんでHできないの? その彼氏、過剰反応すぎない? 愛があれば毛なんてどうでもいいじゃん。理解できないな〜」と思ったのでした。

 そんなやりとりも忘れかけたある日、ふとテレビに目をやると……そこには黒々とした「アソコの毛」が映っているではないですかー‼︎ 

8-2-600

 ……もちろんそんなわけはなく、「アソコの毛」だと錯覚したのは、体操の内村航平選手のワキ毛。確実にお手入れしていなさそうな、のび放題の、凶暴さすら感じる黒々としたワキ毛……。そのビジュアルは、完全に私のおまたと一致しています。

 こんなワサワサなおまたを外国人男性に見せていたのか、私! グロい! キモい! 恥ずかしい! 

 頭を抱え、じだんだ踏んで今までのいろんなHシーンを思い浮かべては恥ずかしさでギャアアと叫んで卒倒しそうになり、いてもたってもいられずブラジリアンワックスサロンに突撃。

 いろんな脱毛のデザインを見せていただきましたが、内村選手のワキ毛が脳裏に焼き付いた私は迷うことなく「つるつるで!」とオーダーし、あの「ズウ~~ン」としたなんとも言えない痛みにうなりながら耐えて、つるっつるのおまたにしていただきました‼︎ 

 抜きたてのおまたを見ていると、毛で隠しているより、丸見えの方がはるかにエロいと感じます。

 まる見えおまたを好きな相手に見られるのは相当恥ずかしいし、日本の「恥の文化」って奥が深いんだなあと、感慨深い気持ちにすらさせられました。

 古い角質も取れてスベスベして手触りもいいし、衛生的(特に生理の時とか)だし、どんな形のパンツをはこうが毛がはみ出ないし、良いことづくし。

 私の経験から、欧米外国人男性はステディな関係以外ではクンニをなかなかしないんですが、私に限ってはアソコの毛がボーボーだったことも一因としてあるだろうと確信。愛とか恋とかの前に、私の黒々とした毛は、彼らに恐怖心さえ与えていたに違いない……‼︎ 「スーパーナチュラル」のせいで、だいぶ損をしてきたのでは……と愕然としました。

 晴れてボーボーを卒業し、「愛されおまた」を手に入れましたが、なぜかその後から全っ然外国人男性とめぐり会えず、一度もHしてません。もしかしたら毛と一緒に男運もなくしてしまったのかも……。

 

(隔週火曜日・次回は7月17日更新)


<著者プロフィール>

音咲椿(おとさき・つばき)
男性向けグラビア誌編集長を経て、ポット出版社刊「女の子×女の子のためのエロチックブック・Carmilla」にてイラスト・漫画家デビュー。
単行本「イケメン外国人たちとベッドで異文化交流した結果。」(ぶんか社刊)好評発売・配信中。テレビ出演多数。


 

しまむらが抱える“3つの地雷”! 「都心の人には相手にされない」という大問題の背景

 今回は「ファッションセンターしまむら」を見てみたいと思います。2009年頃、しまむらで洋服を買う女性が「しまらー」と呼ばれ、大いに盛り上がりましたが、現在では一段落した感じがします。会社全体の売上高は年々伸びているものの、儲けを示す営業利益の伸び率は鈍化し、既存店売上高も伸びていません。業績面から見ても、しまむら人気はピークアウトしていると言えるのではないでしょうか。

 さて、しまむらが支持された理由は、値段が安い割りに良いデザインの服があるという点で、さらにその商品の店ごとの枚数がそれほど多くないことから、ほかの人と服装が“かぶらない”という利点でした。この部分は、他人と服装が“かぶりまくる”ユニクロとは正反対だったと言えます。とはいえ、09年頃までしまむらは若いファッション好きの女性に支持されていませんでした。それ以前は、どちらかというと“安かろうダサかろう”な店で、節約好きな年配の主婦層御用達の店だったのです。それが一変して「しまらー」が生まれたのは、09年頃にファッション雑誌モデルの益若つばささんが愛用していると発言したためだと言われています。

 これに加え、08年に起きたリーマンショックによる不況で、それ以前よりもさらに低価格品が求められるようになったという要因から、人気はにわかに加熱したと言えます。しかし、その人気も長くは続かず、5年後の2014年には退潮しています。

 ではどうして、しまむらの勢いは止まってしまったのでしょうか。筆者は、「これまで、しまむらの強みとされていた部分が弱みに転換しているからだ」と見ているのですが、今回はそれをひもといていきたいと思います。

 しまむらの成長を支えた要素はいくつかあります。まず、それを見てみましょう。

 1.売り切れ御免方式の“バラエティ豊富な品揃え”でファン急増

 低価格衣料品を「売り切れ御免」で販売したことです。同じ低価格衣料品でもユニクロは大量生産することで1枚当たりのコストを下げて安い定価で販売していますが、しまむらはもともと、いろいろなメーカーの不良在庫を安く引き取ってきたから、バラエティ豊かな品揃えで安く販売することが可能でした。それが、掘り出し物を見つけたいしまらーの心をつかんだとも言えるのではないでしょうか。

 2.地方郊外に出店&チープな外観・内装でコスト削減

 低価格品の販売なので1枚当たりの利益額はそれほど大きくありませんから、とにかくローコストを追求すべく、土地代・家賃の安い地方郊外のロードサイドという立地に出店を続けてきました。また建物の外観・内装ともにチープともいえる簡素な作りで、いわゆる「ブランド」らしい装飾性は皆無です。こういったところにお金をかけない戦略なのでしょうが、翻れば、消費者にとっては「だからこそ安い」という利点が生まれました。

 3.小商圏獲得を目的とする多店舗展開で「身近さ」を感じさせる

 大手低価格ブランドは基本的に各社とも店舗数を多数抱えていますが、しまむらの店舗数はというと、ほかの低価格ブランドに比べて群を抜いています。しまむらは商圏(店舗に集客できる範囲)を5000人規模と小さめに設定しており、それゆえに店舗数を増やしてきました。しまむらグループ全体で見ればしまむらが1416店舗、アベイルが318店舗、バースデイが272店舗、シャンブルが98店舗、ディバロが16店舗(18年現在)となっています。ユニクロでも800店舗台なので、それに比べるとしまむらの1416店舗というのは圧倒的な数。消費者にとっては、どこにでもあるという身近さを感じさせるでしょう。

 それ以外にも、しまむら成長の要因はさまざまありますが、今回はこの3点についてどう弱みに転じたかを見てみましょう。

◎ユニクロ化で「しまむららしさ」がなくなる

 しまむらグループ全体の現在の売上高は5651億円(2018年2月期決算)あります。世界のアパレル小売企業ランキングは1位がZARAのインディテックス社、2位がH&M、3位がユニクロ、ジーユーのファーストリテイリング社、4位がGAPというのは有名ですが、しまむらグループは10位にランキングしています。ここまでの巨大企業となると、商品を揃えることに苦労します。せっかく揃えてもそれが各店に5枚ずつしか配布できないようでは困ります。もちろん、数量が多すぎれば売り切れ御免にならずに消費者からの人気が落ちますが、少なすぎてもあっという間に売り切れるため、欠品による機会損失が大きくなり、ある程度の枚数は必要なのです。しかし、1416店舗にまでなると在庫品の仕入れだけでは賄いきれなくなります。ですから、しまむらも近年はジワジワと自社企画製品を増やしていたのです。

 その施策が顕著だったのが、3年ほど前に大ヒットした保温ズボン「裏地あったかパンツ」。これは2015年に100万本以上が売れた大ヒット商品で、これによって決算も増収増益となりました。しかし、100万本も商品を揃えようとすると仕入れ品では当然不可能で、これは自社企画生産せざるを得ません。100万本となると相当に大掛かりな生産システムが必要になり、それはユニクロのやり方とほぼ同じになります。これまでの「仕入れ品による売り切れ御免」から「自社企画による大量生産」というビジネスモデルに切り替わりつつあるということで、通常、ビジネスモデルの変更には大きな危険が伴います。もちろん、しまむらもその例外ではありません。消費者にとっても「しまむららしさ」がなくなることは、魅力激減となるでしょう。

◎都心の消費者は、購買欲が湧かない!?

 店舗数が1416店となり、地方・郊外ではほぼ飽和点に達しようとしています。地方・郊外では、もう有望な出店先はほとんど見つけられなくなっています。残るは大都市都心となりますが、ここはユニクロをはじめとしてジーユー、ZARA、H&M、GAPなど強力なライバルがひしめき合っています。どれもそれなりに外観・内装・商品陳列と、工夫を凝らして「雰囲気作り」を行っており、ローコストを追及した、簡素なケレン味のない外観・内装・商品陳列で太刀打ちできるとは思えません。都心の消費者には、相手にされないのではないでしょうか。また大都市都心は家賃や土地代、人件費も地方・郊外に比べて高くなっていますから、お得意のローコスト戦略は通用しにくくなります。

◎インターネット通販が遅れてる&不便すぎる!

 インターネット通販が万能だとは思いませんが、ファッション業界において、重要な一部になりつつあることに異論はありません。しまむらは、ネット通販をこれから始めるという段階です。昨年秋にEC構想を発表しましたが、通常の宅配されるインターネット通販ではなく、希望商品を指定店舗に取り寄せるという、いわばインターネットを介してのお取り寄せサービスに過ぎず、最近、改めて通常のネット通販への参入を明らかにしました(自社ブランドをゾゾタウンに出店)。

 そもそも、店舗取り寄せでもあまり強みを発揮できないのではないでしょうか。ユニクロや無印良品も、ネット通販での店舗受け取りが可能ですが、両者は都心やターミナルにも店舗が多く、通勤・通学の途中で立ち寄れる利点があります。しかし、しまむらは地方・郊外の店がほとんどですから、休日に「わざわざ」出かけなくてはなりません。さらに、イオンモールなどの大型ショッピングセンター内に出店していれば、休日に食料品を買いだめする際に立ち寄ることが可能ですが、ローコスト戦略の影響で、そういうテナント出店ではなく、ロードサイドに路面店として出店している場合が多いため、やはり「わざわざ」立ち寄らねばなりません。こんな不便なお取り寄せサービスを好んで使う消費者は、ごく限られた一部でしょう。

 しまむらグループ=安売り専門店が巨大化したブランドだとすれば、いつまでもそのビジネスモデルのままでは成長が難しくなります。成長しなければ現在のような悩みにぶち当たることもなかったのでしょうが、さらなる成長を目指すのであれば、これまでのビジネスモデルを変える必要性が出てきます。その舵取りを誤ってしまうと、一気に衰勢となってしまう危険性も。巨大化した故の苦悩というのが、現在のしまむらの大きな地雷と言えるのではないでしょうか。
(南充浩)

人生が辛い時ほどアイドルは輝いて見える――ドルヲタを描いた栗山千明主演ドラマ『婚外恋愛に似たもの』レビュー

 今の時代、一口に「アイドル」と言っても、その種類は多岐に渡る。それらをひとくくりに語ることはもはや不可能だろう。ただ、絶対的に大きなくくりとして分けられるのは「女性アイドルのファン」と「男性アイドルのファン」である。

 その中で、「女性アイドルファン」については、地下のライブハウスでヲタ芸を打ち、サイリウムを振っているような姿で、ドラマやドキュメンタリーなどで多く取り上げられてきた。しかし、一方の「男性アイドルファン」というものは、あまりセンセーショナルにとらえられることがなかった。ある意味、ヲタクの中でもベールに包まれた存在だと言えるかもしれない。

 そんな男性アイドルのヲタクが主人公となった、宮木あや子の小説『婚外恋愛に似たもの』(光文社)が、ドコモの動画配信サイト「dTV」で連続ドラマ化された。6月22日に配信された第一話をチェックしたので、レビューしていこう。

 まず注目したいのは、今回の出演者だ。主人公・桜井美佐代を演じるのは、栗山千明。学生時代からモデル・女優として活躍し、男女問わず人気を集めているが、2000年に主演した深夜ドラマ『秘密倶楽部o-daiba.com』(フジテレビ系)では、宮崎あおいやベッキーらと「リアルシスターズ」を結成、アイドルファンからも大いに注目を集めた経歴がある。

 そして、有名なのは彼女のオタク趣味。アニメ、ゲーム、マンガなどに造詣が深く、役を演じる上でも、その気質が見え隠れすることがある。昨年放送されたドラマ『でも、結婚したいっ!~BL漫画家のこじらせ婚活記~』(同)では、そのヲタクぶりが遺憾なく発揮され、恋愛に疎いBL漫画家をリアリティを持って演じていた。

 第一話でもう一人のメインとなっていたのは、やんちゃな息子に手を焼くシングルマザー・益子昌子役の江口のりこ。言わずと知れた名バイプレーヤーだ。とにかく個性的な役を演じたらピカイチ、作品自体にコミカルさや深みを与えることができる。

 今回は、美佐代と昌子との置かれている環境の差がじっくりと描かれていた。子供はいないものの、テレビマンの夫(袴田吉彦)と結婚し、いわゆる「勝ち組」とも言える美佐代。高級マンションに暮らし、ブランド物を身につけるその姿からは、不満などなにもないように思える。

 しかし、義母からの「子供はまだか」との催促や、夫の女遊びなどに悩まされる日々。そんな時、街で偶然見かけた男性アイドルに心奪われてしまう。

 彼女が夢中になっているのは、5人組の男性アイドルグループ「スノーホワイツ」。中でも「みらきゅん」こと神田みらい(Da-iCE・岩岡徹)が彼女のイチオシだ。彼のことを思っている時が、彼女の唯一の幸せなのかもしれない。

 そんなある日、美佐代は、夫から家を出ていくようにと告げられる。もともとアイドル好きの夫は、「KGB64」という女性アイドルグループのメンバー、さなちゃんといい仲になり、一緒に暮らしたいというのだ。男性アイドルヲタの女性が、女性アイドルヲタの夫に別れを迫られるという修羅場の構図。 好きな女性アイドルと関係を持った夫を前に、美佐代は思う。

「好きなアイドルと寝たいとは思わない。でも一晩中独占できるなら、その美しい寝姿をただ眺めていたい」

 ここに男性と女性のアイドル観の違いが透けて見える。

 双方のアイドルファンの名誉のために言っておくが、アイドル好きの男性が皆アイドルと繋がりたいと思っているわけではなく、もちろん逆に女性がみな関係を持ちたいと思っていないわけでもない。ただ、一般的に、女性アイドルに対して男性ファンが「繋がりたい」という欲求を持つことは多い。

 これは、男女の資質によるものが大きいだろう。

「夜空に輝く星を見て、男はそこに行くことを願い、女はそれを手にすることを願う」そんな言葉を聞いたことがある。男性ヲタクと女性ヲタクの違いがあるとすれば、そこに介在するセクシャリティの差だと言えるかもしれない。

 さて、一方の昌子である。彼女は、問題ばかり起こしている中学生の男の子を抱えたシングルマザー。スーパーのレジのパートをしながら息子を養っているが、生活は楽にはならない。そんな彼女が心の支えにしているのもまた「スノーホワイツ」。彼女は「ハッチ」こと八王子(太田将煕)のファンである。

 彼女がパートをする高級スーパーに、美佐代が買い物に来るシーンで二人の運命が繋がる。ひょんなことからお互い“ホワラー(スノーホワイツのファン)”であることを知り、話をするのだ。

 ここでは、二人の格差が顕著に現れる。セレブな生活をし、客として食材を買う者と、そこで働く者。しかし、その格差さえも「同じアイドルのファン」ということで、一瞬で消え去ってしまう。これこそが、アイドルファンの中にある自由なのだ。

  そしてもう一つ、二人が「今の現実をつらい」と感じている点も重要だ。アイドルとはつらい気持ちを感じた時に、すっと心に入ってくるものだ。人生がつらければつらいほど、アイドルはより輝いて見える。そんな気がする。この二人もそうなのであろう。

 美佐代は、自分は「一番になりたくてもいつも三番目の女」だと思い悩む。ヒエラルキーの底辺にいる人から見れば、三番目など羨ましくて仕方がないだろう。しかし、人の思い、欲望というものは、相対的に見てしまいがちなのだ。

 アイドルの現場というのは、そんな社会のヒエラルキーをなくしてしまう空間だ。

 もちろん、同じイベントに来た人にも、収入や家庭など差はあるだろう。しかし、好きなアイドルを思い、応援する瞬間において、それらを消し去る力があるのだ。ファンになってしまえば、誰が偉いわけでも誰がみじめなわけでもない。それが根底にあることを知ってもらいたい。おそらくは、このドラマも、その素晴らしさを伝えてくれるものとなっていくことだろう。

 第一話では少しの登場となったものの、他のキャストも見逃せない。

 まずは、女経営者、隅谷雅役の平井理央。元フジテレビアナウンサーのイメージが強いが、もともとは『おはスタ』(テレビ東京)の「おはガール」として活動するなど、アイドルファンにも人気が高かった。実際にアイドル側にいた彼女が、アイドルファンの側を演じるというのが、なんとも面白い。

 主要メンバーの中で一番の「オタク具合」を見せてくれるのではと期待されるのが、片岡真弓役の富山えり子。14年の『ごめんね青春!』(TBS系)や、16年の『重版出来!』(TBS系)など、アイドル女優が出演したドラマにも出ていたので馴染みがあるだろう。今年1月~3月に放送された、芳根京子主演の『海月姫』(フジテレビ系)で、人形オタクの女性を見事に演じていたのも記憶に新しい。ちなみに同作では、昌子役の江口のりこも、個性的な役で出演していた。この二人の掛け合いがまた見られるというのも興味深い。

 最後は、専業主婦・山田真美役の安達祐実。子役時代から積み重ねてきたキャリアでは、アイドル的な曲を出していたこともある。彼女の中で「オタク」という存在がどう消化され、演じられるのかも見ものである。

「婚外恋愛」という不思議なワードが冠されたこのドラマ。「不倫」でも「浮気」でもない愛情の形を見せてくれるのではないかと思っている。

 なお、最後になるが、回想シーンでアイドルのコスプレをした栗山千明はなかなかのサービスショットだった。「男性アイドルファン」がテーマであるだけに、メインターゲットは女性に設定されているだろうが、男性が見ても十分に楽しめる作品となっているし、今後も遊び心あふれる展開を見せてくれるのではないかと期待は高まるばかりだ。

(文=プレヤード)

■ドラマ『婚外恋愛に似たもの』
dTVにて6月22日より毎週金曜日配信