なぜ娘は遠足に行けなくなったのか? 小学生ママが怒りに震える「縦割りいじめ」の実態

保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。

 小学校特有といえるルールに、“縦割り教育”がある。最近は少子化の影響で、異なる年齢の子ども同士が交流することが減っている中、異年齢の子ども同士が接する縦割り教育では、上級生が下級生の面倒をみることで成長を遂げるといったメリットがある。全ての学校で縦割り教育が適応されているわけではないが、集団登校という形で残っている地域も存在するのだ。

 登校に関しては、安全上の理由から集団登校を実施している学校も多い。しかし、学年をまたいだ集団登校は、いじめの温床にもなっているという。田中さん(仮名)は、都内の小学校で教育補助員として勤務している。

「教育補助員がこんなにも大変な仕事だとは思わなかったです。私が担当しているクラスには、授業中に立ち上がったり、じっとできない児童がいるために、その子の面倒を主にみています。保護者の中には、子どもが特別支援学級に入ると、将来的に不利になると思う親もいるらしくて、普通学級に通わせているみたいなんです。そのためなのか、クラスには先生が言ったことを理解できず、同じ動作をずっと繰り返している子がいて、私はその補助をしています」

 集団登校の際には親も先生もいないため、子ども同士のトラブルが起きがちだという。田中さんが見たケースでは、男児だけの集団登校のグループで仲間外れが起きていたそうだ。

「小6が2人、あとは小4、小3、小2が1人ずつという、5人の小規模グループだったんですが、一番下の小2男児は少し動作が遅く、言葉の発達も遅かったんです。ほかの子たちと一緒に横断歩道を渡りきることができない小2男児を、小6男児が『遅いぞ』とからかいだしたことがきっかけで、ほかのみんなもそれに続くようになってしまった。そのちょっとしたからかいは、徐々にエスカレートしていき、集団でダッシュしてその子だけ置いてきぼりにしたり、砂場の砂をランドセルに入れたりという“いじめ行為”が発覚。小6男児のママにその事実を伝えると『うちの子がそんなことするわけない』と認めないんです。仕方がないので、しばらくの間は、私が集団登校の列の最後に付き添って登校していました。小2男児のママは、その後お子さんを、通級指導が受けられる教室にも通わせるようになりましたね」

 縦割りの集団登校時のトラブルでは、物を壊されるというトラブルも後を絶たない。小2になる女児のママ・ゆかりさん(仮名)の娘は、同じマンションの子たちで集団登校をしている。トラブルが起こっても、日常的に会う機会が多い相手には、何も言えなくなってしまうと語る。

「同じマンションに住んでいる小4の男の子が少し乱暴なんです。娘が雨の日に、新しい傘を持っていたのですが、小4の男の子が『ちょっと見せて』と言って、傘を振り回しだしたそうなんです。小雨だったのですが、なかなか傘を返してもらえなかったらしく、しかもどこかにぶつけたせいで、傘の先端が少し欠けてしまった。使えないわけではないのですが、きれいだった傘が壊れたことで、帰宅後に娘は泣いていました。向こうの親は、自分の子どもを『面倒見がいい』と思っているみたいで、言い出しづらくて。学校に相談したのですが、『個人間の問題なので、直接話し合ってください』と言われました」

 集団登校から抜けるとなると、親が子どもと一緒に登校しなければならないため、共働きのゆかりさんは、「娘にはこのまま集団登校で通ってもらうしかない」と諦めている。低学年の児童をめぐるトラブルは、年齢が上がれば、ある程度は回避されるようになるため、学校側に相談しても、ケガのような大事に至らなければ、経過観察も多いという。また、子どもへのいじめが気になる保護者の場合、個人的に集団登校に付き添い、様子を見守ることでいじめを回避するケースもあるそうだが、忙しく働いているワーママには難しいだろう。

 縦割り教育の中では、遠足やドッジボールや鬼ごっこというようなレクリエーションを一緒に行うこともある。小3になる香織さん(仮名)の娘は、縦割り活動がある日は、保健室登校になっている。

「うちの学校は、高学年は1学年2クラスあるのですが、娘の学年からは1学年1クラスしかない小規模なんです。縦割り活動では、全ての班に全学年の生徒が入るのですが、娘がいる班には小3の女の子が娘1人しかいないために、ほかの学年の子から仲間外れのような状況になっています。ドッジボールなどの時は、ずっと外野にさせられたり、遠足でもほかの子たちが仲良く食べている中で、娘だけ1人で食べているようなのです」と語る。

 縦割り教育では、高学年の担任の先生が中心となることが多いため、低学年の香織さんの娘までフォローができていないという。

「もともと友達でもない他学年の子と、無理をしてまで過ごす意味がわからないです。娘はレクリエーションがあると行きたがらないため、保健室で過ごしています。集団登校や掃除は、短時間なので我慢ができるようなのですが……。レクリエーションは縦割りではなく、仲の良い友達がいる同じクラスの子とではだめなのか、担任に相談しました。うまく馴染めていないのがうちの子だけなので、保健室登園という形で、しばらく対応することになったものの、排除されたみたいで納得できないです……」

 小学校は、幼稚園や保育園とは規模が違い、教員数にも限度があるため、全ての生徒たちへのフォローが難しい。また、学年による児童の成長具合も違うために、異学年間のトラブルは、その都度、対応しなければならないだろう。上級生にとっては、班長などの役割を経験することで、責任感などに目覚めることができる縦割り教育だが、子どもたちが暴走しないためにも、周りの先生や大人の存在が必要不可欠だと言えそうだ。
(池守りぜね)

ライトオンの抱える“3つの地雷”――「ユニクロ」「しまむら」と比べ欠けているモノ

 都心に住んでいる人はあまり見かけないかもしれませんが、地方では幹線道路沿いに100坪くらいのジーンズショップがあります。2000年頃までは、戦国時代のように、地方のそれ相応の立地に地域密着型の有力ジーンズショップが割拠していたのですが、現在に至るまでに倒産・廃業が相次ぎ、徐々に全国規模の大手何社かと、中小規模の地域チェーン店のみになりました。中には、90年代のうちに、ジーンズショップからセレクトショップやSPA型ブランドに転換した会社もあります。例えば、アーバンリサーチはもともと、大阪府門真市のジーンズショップ「ジグ三信」でしたが、97年に「アーバンリサーチ」を立ち上げてから、大手セレクトショップに。またアダストリアホールディングスは、水戸市のジーンズショップ「ポイント」でしたが、92年に「ローリーズファーム」の名でセレクトショップとして展開を開始し、大手SPAブランドに転身しました。

 そんな中でジーンズショップという形態を守り続け、全国規模の大手チェーン店として集約されたのが、ライトオン、マックハウス、ジーンズメイトの3社。売上高100億円を何年も前に割り込んでしまったジーンズメイトは「全国規模」とは呼べなくなっており、実質的にはライトオンとマックハウスの2社しか残っていないといえます。特にライトオンはその中でも圧倒的な売り上げ規模を誇るトップ企業で在り続けているのですが、そんなライトオンにも苦悩せざるを得ない現状があるようです。

「復活」といわれたライトオンの裏事情

 ライトオンは15年度、16年度と2年連続の大幅増益により、メディアで「復活」と騒がれましたが、17年度は反対に大幅赤字に転落してしまいました。そして18年度はまた黒字に復帰。どうしてこのように、赤字と黒字を交互に繰り返すのでしょうか。実はこういった現象は、ライトオンだけではなく、多くのアパレルやSPAチェーンに周期的に起きます。これは、黒字化のために、バーゲンセールでの値引きを抑制するからです。具体的に言うと、今まで7割引きで売っていた物を5割引きで売る、すると帳簿上で、利益は2割アップとして記録されます。

 しかし、そう簡単に、売り手の思惑通りには売れません。今まで安かった物が高くなれば売れにくくなるのは当然で、多くのアパレルブランドの場合、単に値上げしただけでは売れ行きは必ず落ちます。その結果、売れ残り在庫が大幅に増加し、どこかのタイミングで、さらに値下げして売りさばくか、減損処理をして捨てるか、のどちらかしか道はなくなるのです。

 どちらの方法を取るにしても大幅な減益となり、これが、アパレルブランドが増益と減益を交互に繰り返す理由。ライトオンも、15年度・16年度はバーゲンでの値引き率を抑制し、17年度は、たまった不良在庫を大幅値下げして吐き出したのです。18年度は好転しましたが、社内の管理体制や販売施策が変わっていなければ、また来年以降に、同じような大幅減益を記録することになるでしょう。

 そんな実は綱渡り状態であるライトオンの“3つの落とし穴”について考えていきましょう。

1.人気タレントの広告起用だけで売れる時代は終わった

 ライトオンの売上高はピーク時には1000億円ありましたが、今では770億円くらいにまで減っています。とはいえ、700億円規模のブランドというとアパレル業界ではそれなりの大手。にもかかわらず、一般消費者からは「ファッション企業」としての認知度はあまり高くありません。それはやはり「昔ながらのジーンズショップ」のイメージをなかなか拭い去ることができないからでしょう。今は不調に陥っているものの、かつて多くの「しまらー」によってファッションブランドとして認知されたしまむらや、一流デザイナーとのコラボを繰り返してブランドステイタスを向上させたユニクロとは、その部分がまったく異なります。いまだに毎シーズンの広告に人気タレントを起用するという90年代の手法にとどまったままです。まったく効果がないとは言いませんが、もはやそれだけで売れるという時代ではないので、もっと抜本的なブランド作りの施策が望まれます。

2.自社ブランド「バックナンバー」の出来に問題アリ

 ライトオンは大手でありながら、「ライトオン」という業態のみでほとんどの売上高を叩き出している極端な一本足打法の企業です。これまでもいろいろと第2、第3のブランドを育てようとしてきましたが、どれも失敗。アバクロの日本版を目指した「フラッシュリポート」も廃止されましたし、トラッドファッションを提案した「ソルト&ペッパー」も立ち上げ直後に担当ディレクターが退職してしまい、鳴かず飛ばずのまま終焉を迎えました。現在、カリフォルニアスタイルに憧れる20~30歳代の男女に向けた新業態「ノーティードッグ」を立ち上げましたが、それほど業績は伸びていません。このままでは数年内に廃止されるでしょう。

 さらにライトオンの物作りにも言及すべき点があります。ジーンズショップ各社はもともと、仕入れ品での品揃えで運営してきましたが、利益を多く残すためには自社製品とのミックス型が望ましいとされています。そのため、ジーンズメイトでは「ブルースタンダード」「メイト」、ライトオンは「バックナンバー」という自社ブランドを展開しています。

 「バックナンバー」は立ち上げから10年前後経過し、ある程度の認知度は高まったと感じるのですが、良い商品と悪い商品の落差が激しく、ブランドとしての安心感に欠ける印象です。それは、品質というより「デザイン」の問題です。これは商品開発から製造までを外部に任せているため、各商品を横断する“統一感”が実現しにくいという理由によるものでしょう。例えばジーンズはすごくカッコいいのに、Tシャツはひどくモサっとしたデザイン……という感じです。またシーズンごとにも商品の出来にバラつきがあるため、今年は良かったが来年はイマイチだったなんてことも珍しくありません。これでは顧客から安定的に支持を得ることは難しいと言えます。

  ライトオンの通販サイトが先日大幅にリニューアルしました。手掛けたネット通販施策による伸長で名を上げた若き新社長が就任したので、恐らくその肝入りなのでしょう。一見したところの見た目は良くなりましたが、パソコンからもiPhoneからも、公式サイトの接続がやたらと重くて遅いことが多くあります。これでは買い物をしようと思ってもイライラしてしまい、ライトオンが出店しているZOZOTOWNや楽天、Amazonといった他社サイトに客は逃げてしまいます。  

 客からすれば同じ商品を同じ値段で買っているので不満はないでしょうが、他社サイトで買われると少なからぬ手数料が引かれますので、ライトオンはその分、利益を失っているといえます。自社サイトで売れたなら手数料が引かれることはありませんから同じ値段で売れたとしても利益率は高くなるのです。ここも改修しないことには、ライトオンはみすみす自ら利益を減額しているということになり、業績の改善はあり得ないでしょう。ネット通販で名を挙げた新社長としてはちょっとお粗末な船出だと言わねばなりません。
(南充浩)

彼女に張り倒されたヒモ男、ラーメン屋の軒先に現れる“脱糞犯”を追ってみた

 先日はマルチ商法と闇金の合体モンスターに襲われかけた、現役のヒモの私だが、とうとう彼女に張り倒された。まもなく壊れそうなラジオを歌う名曲がテレビで流れたのがきっかけだ。彼女が言った。

「もう思春期終わってるんだから、少年から大人になったら?」

 強烈な一言である。すかさず言い返してやった。

「ぼくまだ思春期きてないもん!」

 音速で張っ倒された。妥当な結果である。すっかり成人して、青ひげ生やした男が言っていいセリフじゃない。

 さて、下半身しか思春期を迎えていない私は、お下品なものを男子小学生並みに愛している(男子小学生の皆さん、ごめんなさい)。

 これは、彼女に大人になることを強いられているヒモ男が、お下品な仕事に嬉々として立ち向かう奮闘記である。

 * * *

 未だ大学生をしている悪友と飲んでいるときに、悪友が愚痴を漏らした。

「この前さ、バイト先でやばいことがあって」

 彼は個人経営のラーメン屋でアルバイトをしている。

「店に入ってきた爺さんが、『あっ』って言って、そのまま出て行ったんだよ。財布でも忘れたのかなーと思って気にしてなかったんだけど、そのあと会計済ませたお客さんが戻ってきて『店の前にう○こ落ちてる!』って」

 それだけで腹を抱えて笑ってしまった。

「お爺さん、我慢できなかったのかね」

 などと、まだ犯人と決まっていないお爺さんを犯人だと決めつけ、笑い続けた。

 その日はこれで終わった。が、う○こ騒動はそれだけでは終わらなかった。後日、その友人からLINEが届いた。

「暇だよな?」

「無限に暇」

「さすが無職。この前、う○こ落とし爺さんの話したじゃん」

「花咲か爺さんみたいな言い方やめろ」

「あれからまた、う○こ落とされてるみたいで、店長が犯人探ししてるんだよ。で、見つけてとっ捕まえて警察に通報したら1万円くれるらしい」

「やる。絶対捕まえるわ」

 こうして、う○こ犯を捕まえる大作戦が始まった。作戦は簡単で、暇なやつが、店の向かい側のコンビ二付近で待機し、脱糞している人物を見かけたら捕獲するというものである。

 タバコを吹かしながら暇な悪友たちと見張り続けた。集中力はそう長く続かないもので、途中から「あの人、いかにも脱糞しそうな顔してる」「あのお姉さんが脱糞してたら熱い。いや、しろ!」などと、勝手に通行人の脱糞を想像するゲームに変わっていた。

 見張り続けていれば腹が減る。ラーメン屋に入り、のんびりと夕食を済ませたあとのことである。外に出ると、のれんの下にあったのだ。う○こが。

「やられた!」

 全員、悔しいというよりも、「マジで脱糞犯いるんだ」という事実に、笑いをこらえていた。

 面白かったが、見張り組の失態なのは間違いない。証拠隠滅して誤魔化すことになった。誰が処分するのか揉めに揉め、果てにじゃんけんで負けた私がやることになった。

 ビニール袋を重ねてひっつかみ、厳重に包んで店の裏のゴミ捨て場に投げ込んだ。指先に伝わる柔らかな感触と、捨てたときの「どちっ」という重たい音と、「かしゃっ」という軽やかなビニールの音が、今でも記憶にこびり付いている。ただ、健康そうな便であったことは報告しておこう。おそらく、世界一要らない報告だとは思うが。

 こうして、敗北を一つ刻み、我々は闘志を燃やすこととなった。見張りも、以前より隙のないシフトで組まれた。

 数日間の見張りの後、友人と私がタバコを吸いながら待機していると、友人が囁いた。

「あの爺さんだ」

 見た目はごく普通の、カーキ色のカーディガンを着た、70代くらいのご老人だ。格好はどこも変ではないが、挙動が不審である。きょろきょろと周囲の様子をうかがっているようだ。そこで、何かを察したのか、年に見合わぬ健脚で、走って逃げ出した。

 慌てて二人で追いかけたが、ヘビースモーカーのスタミナのなさが仇となり、すぐには追いつけなかった。

 そのお爺さんは、周到にも近くに自転車を用意していたらしく、ママチャリに乗ったカーキ色の背中が遠ざかっていった。

 戦いは、始まる前から結果が決まっているものなのだ。我々は、老獪な脱糞犯に、完全敗北した。

 結局、脱糞犯を捕まえることはかなわなかったが、それ以来被害はないということで、5000円頂いた。

 これは十分、働いたと言えるのではないだろうか。彼女にそう自慢をしたら、とても哀しいものを見る目をされた。そろそろ心が痛いので、少しは働いてみようと思う。

(文=窪田ショウ/第4話へつづく)

●窪田ショウ
勤労意欲は、タバコと一緒に燃やしてしまった現役のヒモ。楽をしようとすればするほど、妙に大変なことに巻き込まれるのはなぜだろう。

名門幼稚園で勃発した「劇の主役」争い――セレブママの言う「不平等」に園側の対応は?

保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。

 少子化と呼ばれて久しい現在、「子どもの数が少ない」という理由から、幼稚園や保育園での親同士の関わり合いが避けられない現状があるという。特に、少人数保育を謳っている園では、保護者参加型のイベントが多く、親同士のコミュニケーションが盛んな園に通わせていると、その人間関係がそのまま小学校まで持ち上がるという。長く付き合えるママ友ができる半面、些細なことがトラブルにも発展することもあるようだ。

 子どもが持つ力を伸ばす独自の教育法が注目を浴びている名門幼稚園に、4歳になる女児を通わせている恵子さん(仮名)は、こう語る。

「うちの園は、幼稚園だけではなく小学校、中学校、高校、大学まで併設されているエスカレーター式の学園で、その学園を卒業したママが多いんです。実は私も卒業生なのですが、その時、同級生だったママさんの間で、今トラブルが起きているんです」

 恵子さんは、同学園に中学校から通っていたそうだが、独自の教育方針を持つ歴史のある幼稚園の場合、親も卒園生のケースは多い。中には親子三代で、同じ園に通っているというママもいるという。恵子さんの中高時代の同級生であるAさんとBさんは、この幼稚園に自分たちの娘を通わせ、奇遇にも子ども同士も同じ学年となったという。

「AさんとBさんは、幼稚園から大学までずっと同じ学園なのですが、ママ友同士になった今、お互いをライバル視して、火花を散らしているんです。2人は保護者会で“私は誰よりもこの学園を知っている”という顔をして、『自分たちの時はこうだった』と言って仕切り始めたんですが、2人ともプライドがすごく高いので、いつしか対立関係になってしまいました。それから、Aさんの実家は元々資産家で、一方Bさんの家は、彼女の親がレジャー産業や飲食業で財をなしたというお金持ち。Aさんが学生時代からの人間関係を子ども世代にも引きずっていて、『Bさんの家はこの学園にふさわしくない』『あの家とうちが同じ百貨店の外商なんておかしい』と言い出したのがきっかけで、不和がエスカレートしていったんです」

 同じクラスの中で、自然とAさんグループ、Bさんグループと派閥ができてしまい、これには、園側も困惑しているという。

「うちの園は、毎年劇をするのですが、Bさんの家の子が主役をやることになり、Aさんが幼稚園側に『不平等ではないですか』と抗議しているのを見ました。このままでは、会自体がボイコットでなくなりそうだったのですが、園側は、2人が同じ役をやり、前半と後半で入れ替える措置を取ることにしたんです」

園長は、学園とつながりの深いAさんとBさんに、遠慮をしている部分があるのか、「なかなか注意しづらそう」だという。

「当時の同級生と親となってまた再会するって面倒だと思うので、娘を併設の小学校に進学させるか、別の私立を受験させるか迷っています」

噛みつきの犯人を探り、親に抗議したが……

 保育園でのトラブルといえば、園児同士の思わぬ喧嘩とそれに伴うケガだろう。言葉が未発達な0~2歳児までの間は、入浴や着替えで子どもの服を脱がした時、見えない部分などに痣や切り傷などを見つけたという保護者も多い。子どもを迎えに行った際に、保育士から1日の子どもの様子を聞かされるが、ケガをしていてもそれに触れずに受け渡されるケースもあるため、のちのちトラブルに発展するという。認証型保育所の1歳児クラスに女児を通わせている和代さん(仮名)は、4月に入園できた保育所の対応に不満が募っている。

「子どもが0歳の時に復職したのですが、無認可の保育所に通わせて時短勤務していました。今までずっと不承諾通知だったので、認証に空きが出て4月に入園できた時は、『やっとこれでフルタイムで働ける』って大喜びでしたね。無認可の保育所は、保育料が高くて1カ月7万円もかかり、でもその分、子どもの数が少ないので、保育士さんがよく見てくれたんですが、今の保育所は、噛みつき癖のあるがいて、うちの子はいつも噛まれてしまい、ついに園に行きたがらなくなったんです」

 最初はまだ長袖の季節だったため、帰宅後に服を脱がせるまで指や腕に噛まれた跡があることに気が付かなかったという和代さん。保育士に、どこの子から噛まれたのか確認したところ、「1歳児の時は、親と離れた寂しさから噛み癖が出る子が多いみたいで、特定できず、どの子に噛まれたのか教えてもらえなかったんです。多いときは週に3回も噛み跡がついていて、向こうの親から何も謝罪がないこの状態にモヤモヤしました」

 和代さんは、娘を噛んだ張本人を見つけるため、名前の代わりに靴箱に貼ってあるマークを指していき、直接子どもに確認したという。あるマークのところで娘がうなずいたため、犯人を発見できた。

「送迎の時間が違うため、相手の親とほとんど会う機会がなかったのですが、保護者会の時に声をかけて『うちの子が噛まれているみたいなんです』と伝えました。保育園側は、噛みつきの事実をきちんと伝えていなかったようで、向こうは“言いがかりではないか”という顔をしていました」

 この保護者の態度に怒りを感じた和代さんは、担任の保育士に「どういうことですか?」と問いただした。

「園児同士で噛みついたりするのは成長途中でよくあることと思っていたみたいで、『2歳になれば落ち着きます』と説明されたのですが、納得いきませんでした。また、うちの子がブロックを使う順番を守れず、奪い取ってしまうことがあったため、ほかの子に噛まれることもあったそうですが、そんなの保育士が見ていて防ぐべきじゃないですか。園児数が多い保育園なので、管理が行き届いていないと役所にも伝えました」

 保護者間のトラブルを防ぐため、加害者側の名前を教えないよう対応する保育園は多い。しかし、ケガをさせられた方の親は納得がいかず、園長や園を運営している親会社などにクレームを入れることもあるようだ。

 幼稚園とは違い、保育園は預かり時間が長く、年齢の違う子同士を同じ部屋で過ごさせる合同保育や、園庭での自由保育などを実施することもある。こういった状況下で、保育士は常に注意を払っているだろうが、小さなケガや、園児同士のじゃれ合いにも似た噛みつき、爪で引っかくという行為は、見過ごしてしまう場合もあるだろう。しかし、どんな小さなトラブルでも、親同士の諍いに発展する可能性はあるだけに、園側も、保護者が納得いくような説明をする、またその環境を作る必要があるのかもしれない。
(池守りぜね)

GU(ジーユー)が抱える3つの地雷! 「ガウチョパンツ100万本ヒット」以降、停滞するワケ

 数多くある低価格カジュアルブランドの中、この10年間で最も売り上げ規模を拡大したのは、ファーストリテイリングが展開するGU(以下、ジーユー)でしょう。2006年にスタートしたジーユーは、2018年8月期の売上高が2000億円を超える見通しとなっています。12年間で売上高2000億円を突破することは、すごいと言わねばなりませんが、その一方で伸び率は鈍化してきています。単独で売上高2000億円を超えている国内ブランドはユニクロ、ファッションセンターしまむらなど、数えるほどしかないので、伸び率鈍化は巨大ブランドゆえの苦しみといえるでしょう。

 今回は、そんな一躍巨大ブランドにまで成長したジーユーについて見ていこうと思います。

 ジーユーが急成長できた最大の要因は、「低価格・高トレンド」対応ブランドへの転身に成功したからです。意外に思われるかもしれませんが、06年に鳴り物入りでデビューしたものの、しばらくは鳴かず飛ばずの状態が続いていました。理由は簡単です。ジーユーは「廉価版ユニクロ」としてスタートしたから。もともと定価でも安いユニクロに、さらにその廉価版を求める人はどれほどいるでしょうか。デザインはユニクロとほぼ同じ、しかし廉価版なので製造コストが抑えられているため、素材や縫製の品質は低いのですから、売れなくても当たり前でした。また、ユニクロは期間限定値下げや売れ行き不良でどんどん値下げしますから、わざわざ出来の悪い廉価版を買う必要もなく、値下げされた時点で買えば済む話。「廉価版ユニクロ」が成長できなかったことは当然といえるでしょう。

 転機となったのは10年、ジーユーが、価格帯はそのままにトレンド対応ブランドへ変身したことです。これがヒットして、あっという間に、12年8月期には売上高500億円を突破し、13年度は837億円、14年度は1075億円と売上高を増やしました。たった2年でほぼ倍増ですから、すさまじい売れ行きだったといえます。

 さらに、ジーユーの名前が世間に鳴り響いたのは15年夏のこと。当時トレンドだった「ガウチョパンツ」を販売2カ月で100万本販売という実績を築いたのです。アパレル業界では年々大ヒット商品が出にくくなってきているので、これには大いに驚かされました。近年、生まれた大ヒット商品というのは、ヒートテックやウルトラライトダウンといった、機能性がクローズアップされた商品ばかり(しまむらの「裏地あったかパンツ」も機能性商品)だっただけに、何の機能性も持たず、トレンドだけの切り口で100万本もの大ヒットがあったのは、本当に久しぶりといえるでしょう。ガウチョパンツの大ヒットを受けて、16年8月期は売上高1,878 億円(前期比 32.7%増)、営業利益が 222 億円(同 34.8%増)と大幅増収増益となりますが、ジーユーの急成長はここを最後にストップしてしまいます。

 では快進撃を続けてきたジーユーがどうして停滞期に突入してしまったのでしょうか。ジーユーの“3つの落とし穴”を考えてみたいと思います。

1.ステイタス性は皆無……元ルイ・ヴィトンデザイナーとのコラボ商品が大量売れ残り!

 低価格トレンドという部分は評価されていますが、“ステイタス性”は今のところ皆無です。ユニクロが過去にジル・サンダーや、「UNDERCOVER(アンダーカバー)」の高橋盾など、著名デザイナーとコラボし、今また、クリストフ・ルメールやJWアンダーソン、トーマス・マイヤーなどの著名デザイナーとコラボをすることでステイタス性を確立してきたのとは対照的です。ジーユーも、今春にはルイ・ヴィトンやディオールオムのデザイナーを歴任したキム・ジョーンズと組み、コラボ商品を初めて発売しましたが、大量の売れ残り品番が390~990円というひどい投げ売り状態となっており、ステイタス性の確立的には今のところ寄与していません。この実績が示す通り、ステイタス性を確立するには今後長い時間が必要となり、そこまでジーユーは我慢し続けられるのかということになります。消費者にとって、ジーユーのアイテムを身に付ける意義が、今のところ薄いともいえるかもしれません。

2.トレンド商品主体で大ヒットアイテムが生まれにくい!

 ジーユーが支持された理由は、間違いなく10年に「トレンド対応」を強化したことです。ちょうどH&Mやフォーエバー21などが、前々年や前年に日本に上陸しており、トレンド対応ブランドに注目が集まっていました。しかし、そこを強化して、なおかつユニクロのように同一品番が大量に売れることは、ちょっとあり得ません。トレンドという嗜好に対応するわけですから、品番数が多くなり、それぞれが一定数量売れるということになります。ですからガウチョパンツが100万枚も売れたことは、かなり珍しい状況だったというわけです。

 品番数が多くなると、必ずそれぞれに売れ残りが生じますから、その分、管理が煩雑になります。ジーユーがガウチョパンツの後に大ヒット商品を生み出せないことは、しまむらが「裏地あったかパンツ」の後に大ヒット商品を生み出せないことと似ています。「ジーユーの“今”はやってるあのアイテムが欲しい!」と思えないのは、消費者には魅力減となるでしょう。

3.「ジーユーといったらコレ!」というアイテムがない

 これは2と少し関係しますが、多様な嗜好に対応するために品番数やデザイン数を増やせば増やすほど、商品は多岐にわたり、その結果、ブランドとしての「顔」「シンボル」が見えにくくなります。例えば、(実際の売れ筋とは別として)、ユニクロなら「フリース」「ウルトラライトダウン」「ヒートテック」などが、またリーバイスなら「501」というアイテムが思い浮かびますが。ジーユーでは、そういうシンボリックなアイテムがパッと思いつかず、ある意味、ブランド化しにくいとも言えます。

 ジーユーが今後、さらなるビッグブランドを目指すなら、どのようにしてシンボルを作るのかが課題になります。もちろん、それは商品でなくてもいい。ロゴでも店舗の外観でも内装でもなんでもいいのです。ジーユーといわれたときに、消費者が思い浮かべられるシンボルがないと、長く愛されるブランドにはなれないのではないでしょうか。

 ジーユーは中長期的に売上高1兆円を目標として掲げました。しかし、今の「トレンド対応」路線を取っていると、国内市場はそろそろ飽和点に達しようとしているといえ、伸び率の鈍化はそれを表していると見ています。仮にさらに伸びたとしても売上高3000億円が頂点なのではないかと個人的には感じている次第です。

 先ほども書いたように、単独で売上高2000億円を超えるブランドは日本でも数えるほどしかありません。そして売上高が大きくなればなるほど、売上高を伸ばすことは苦しくなります。メディアはよく「〇〇%増」という数字だけで好調不調を判断しますが、それが常に正しいとは限りません。例えば、極端なことをいうと、売上高1億円のブランドが20%売上高を伸ばしたとしたら2000万円伸ばしたということになります。新店を1店舗出せば2000万円くらいはすぐに売上高が上がります。

 一方、2000億円のブランドが10%、20%売上高を伸ばすことはかなり難しくなります。なぜなら10%で200億円、20%で400億円です。こんな巨額の売上高がたった1年で作れるはずもありませんし、400億円と言ったら、TOMORROWLAND(トゥモローランド)と同じくらいの売上高です。

 1兆円を達成するには海外進出が不可欠ですが、国内トレンド密着型のジーユーがどこまで海外で受け入れられるのか未知数。消費者を飽きさせないようどんな戦略を取るのか、今後も見ていきたいと思います。
(南充浩)

「本当の恋ってどんなもの?」40代の“ピュアおじさん”が、不倫女性に語った「説教」

(前回はこちら) 

どうも、紫帆です。都内の某飲み屋街で小さなバーを経営している私が、夜毎の営業中に目撃したクソ客・変な客・珍事件について、お話させていただきますね。さて、今宵のお客さまは――

正論がツラい、40代の”ピュアおじさん”

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 「わたしって恋愛体質なんです」と自己申告する女性は多いですが、実際のところ恋愛に純粋さを求めるのは、圧倒的に男性のほうが多数ではないでしょうか。

 2週間に1回ほど、ふらりと訪れてくる彼もそのうちの1人です。都内の中小企業にお勤めの40代、独身。長身ではありますが横幅もだいぶ大きく、そのためか汗っかきで、頭頂部の薄毛が立ち上る湯気のように見えます。

 店に入ってくるときはいつもキョロキョロと周囲をうかがい、やや挙動不審な様子でビールを注文。そして会話もそこそこにカラオケのリモコンとにらめっこをしたのち、満を持してマイクを握り「TSUNAMI」や「真夏の果実」などのラブソングを歌い上げます。正直、歌唱力は中の下レベルですが、歌い終わったあとに「自分はこの歌の歌詞のような恋愛をしてきたんだ」と言わんばかりに、自己流の恋愛哲学を語り始めるのです。

 「本当の恋ってどんなのだと思う? 好きな人のためならすべてを投げうってもいい……それが恋ってものでしょ?」

 「いつかは、好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたいと思うよね?」

 ――もう一度言いますが、彼は薄毛で肥満の中年男性です。いまどき小中学生でも言わないようなふんわりした恋愛トークの連続に度肝を抜かれますが、ここでひるむまいと彼の恋愛経験について聞いてみると、なんと大学時代のエピソードなどをお蔵出し(しかも、「今より40キロくらい痩せてたんだけど……」と言い訳めいた注釈付きです)。初めて付き合った彼女と夜景の見える丘の公園で愛を語らった甘い思い出を、めちゃくちゃ照れながら回想してくれます。いつしか、わたしはひそかに彼を「恋愛マスター」と呼ぶようになりました。

 ある夜、わたしの女友達が飲みに来ているところに恋愛マスターが現れました。この女友達というのが、人妻でありながら淫蕩の限りを尽くしている女性で、たびたびわたしにアバンチュールの報告をしにやって来ます。その夜も彼女はワンナイトな相手とのセックスについて話していたのですが、しばらく難しい顔で聞いていた恋愛マスターが突然、口を開きました。

 「恋愛感情がないのにセックスするのはどうかと思う」

 常、識……? 時が止まります。返答に困っている彼女を前に、さらに続ける恋愛マスター。

 「旦那さんがいるんでしょう? 女は貞操を守らなきゃ!」

 こうも経験値に差のある相手に、よくもまあ真正面から貞操を説けるものだとうっかり感心しそうになりましたが、踏んだ場数では敵わないからこそ、もっともらしい固定観念に頼らざるを得ないのかもしれません。女友達はというと、会話が通じない相手に何をどう伝えたらいいのか、という様子で苦笑いしています。その表情を「俺の説教が効いてる!」と勘違いしたのか、恋愛マスターはとっておきのドヤ顔で一言。

 「本当の恋愛を知らないなんて、みじめな人生だね(笑)」

 発言のあまりの破壊力に、ハイボールを噴き出しそうになるわたしと、笑いをこらえているのか肩が震えている女友達。満足げな彼は動揺するわたしたちなどおかまいなしに、さっさとお会計を済ませ帰ってしまいました。

 1週間ほどして、再び恋愛マスターがご来店。前回の決め台詞による衝撃の余波がまだ残っていたわたしは「こないだはすごかったですね」と切り出しました。すると彼はまったくピンと来ていない様子。いやいや、こんなこと言ってたじゃないですか、とやりとりを再現したところ、

 「えっ……おれ、酔っ払ってそんなこと言ったんだ。デブでハゲのさえないおっさんのくせにそんなこと言うなんておれ、図々しいね……」

 と、まさかの反省。その素直さにすっかり毒気を抜かれてしまったわたしは、以前より彼に優しく接するようになったのでした。意外と自分のこと、客観視できてたんだね……。

(次回・不定期更新)

プロフィール
浮川紫帆(うきがわ・しほ)
東京都内の繁華街の一角でバーを経営する30代バツイチ女性。ママ歴は6年。好きなお酒はマカストロングのお湯割り。

(イラスト=ドルショック竹下)

「本当の恋ってどんなもの?」40代の“ピュアおじさん”が、不倫女性に語った「説教」

(前回はこちら) 

どうも、紫帆です。都内の某飲み屋街で小さなバーを経営している私が、夜毎の営業中に目撃したクソ客・変な客・珍事件について、お話させていただきますね。さて、今宵のお客さまは――

正論がツラい、40代の”ピュアおじさん”

kuso09-600

 「わたしって恋愛体質なんです」と自己申告する女性は多いですが、実際のところ恋愛に純粋さを求めるのは、圧倒的に男性のほうが多数ではないでしょうか。

 2週間に1回ほど、ふらりと訪れてくる彼もそのうちの1人です。都内の中小企業にお勤めの40代、独身。長身ではありますが横幅もだいぶ大きく、そのためか汗っかきで、頭頂部の薄毛が立ち上る湯気のように見えます。

 店に入ってくるときはいつもキョロキョロと周囲をうかがい、やや挙動不審な様子でビールを注文。そして会話もそこそこにカラオケのリモコンとにらめっこをしたのち、満を持してマイクを握り「TSUNAMI」や「真夏の果実」などのラブソングを歌い上げます。正直、歌唱力は中の下レベルですが、歌い終わったあとに「自分はこの歌の歌詞のような恋愛をしてきたんだ」と言わんばかりに、自己流の恋愛哲学を語り始めるのです。

 「本当の恋ってどんなのだと思う? 好きな人のためならすべてを投げうってもいい……それが恋ってものでしょ?」

 「いつかは、好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたいと思うよね?」

 ――もう一度言いますが、彼は薄毛で肥満の中年男性です。いまどき小中学生でも言わないようなふんわりした恋愛トークの連続に度肝を抜かれますが、ここでひるむまいと彼の恋愛経験について聞いてみると、なんと大学時代のエピソードなどをお蔵出し(しかも、「今より40キロくらい痩せてたんだけど……」と言い訳めいた注釈付きです)。初めて付き合った彼女と夜景の見える丘の公園で愛を語らった甘い思い出を、めちゃくちゃ照れながら回想してくれます。いつしか、わたしはひそかに彼を「恋愛マスター」と呼ぶようになりました。

 ある夜、わたしの女友達が飲みに来ているところに恋愛マスターが現れました。この女友達というのが、人妻でありながら淫蕩の限りを尽くしている女性で、たびたびわたしにアバンチュールの報告をしにやって来ます。その夜も彼女はワンナイトな相手とのセックスについて話していたのですが、しばらく難しい顔で聞いていた恋愛マスターが突然、口を開きました。

 「恋愛感情がないのにセックスするのはどうかと思う」

 常、識……? 時が止まります。返答に困っている彼女を前に、さらに続ける恋愛マスター。

 「旦那さんがいるんでしょう? 女は貞操を守らなきゃ!」

 こうも経験値に差のある相手に、よくもまあ真正面から貞操を説けるものだとうっかり感心しそうになりましたが、踏んだ場数では敵わないからこそ、もっともらしい固定観念に頼らざるを得ないのかもしれません。女友達はというと、会話が通じない相手に何をどう伝えたらいいのか、という様子で苦笑いしています。その表情を「俺の説教が効いてる!」と勘違いしたのか、恋愛マスターはとっておきのドヤ顔で一言。

 「本当の恋愛を知らないなんて、みじめな人生だね(笑)」

 発言のあまりの破壊力に、ハイボールを噴き出しそうになるわたしと、笑いをこらえているのか肩が震えている女友達。満足げな彼は動揺するわたしたちなどおかまいなしに、さっさとお会計を済ませ帰ってしまいました。

 1週間ほどして、再び恋愛マスターがご来店。前回の決め台詞による衝撃の余波がまだ残っていたわたしは「こないだはすごかったですね」と切り出しました。すると彼はまったくピンと来ていない様子。いやいや、こんなこと言ってたじゃないですか、とやりとりを再現したところ、

 「えっ……おれ、酔っ払ってそんなこと言ったんだ。デブでハゲのさえないおっさんのくせにそんなこと言うなんておれ、図々しいね……」

 と、まさかの反省。その素直さにすっかり毒気を抜かれてしまったわたしは、以前より彼に優しく接するようになったのでした。意外と自分のこと、客観視できてたんだね……。

(次回・不定期更新)

プロフィール
浮川紫帆(うきがわ・しほ)
東京都内の繁華街の一角でバーを経営する30代バツイチ女性。ママ歴は6年。好きなお酒はマカストロングのお湯割り。

(イラスト=ドルショック竹下)

武器はアイドルを思う心のみ! 自由をかけた親との戦い――ドラマ『婚外恋愛に似たもの』第4話

 世の中にある揉め事や悩み事の多くは、親子関係に起因していることが多い。子供を自分の分身のように考えて思う通りに育てたい親と、自我の目覚めとともにそこから離れたいと願う子。縁を切るとか疎遠になるということではなく、その問題を“きちんと整理できた時”、人は大人になるのではないかと思う。

 dTVで配信されている、栗山千明主演のドラマ『婚外恋愛に似たもの』第4話。今回は、大富豪の父との確執に苦しむ隅谷雅(平井理央)の“お家騒動”がテーマだった。

「隅谷雅はアイドルに夢中になっているショタコン」との怪文書を流した張本人が、自分の父親だと知った雅は、父に徹底抗戦を試みる。美佐代(栗山千明)の入れ知恵で、昌子(江口のりこ)と同性愛関係にあるとの文書を拡散するという作戦だ。

 当然、父からの反応はすぐにあった。

「そんなに親の望む人生が嫌か!」と怒りに震える父は、「嫌です。お父様に殺されてもかまわない」と言い切る雅に、親子の縁を切ることを告げる。雅は、人生を賭してアイドルを選んだのだ。

 もちろん、これは彼女がたまたま“ドルヲタ”という道を選び、顕在化したものであって、それが例えば芸能界への道でも、親の反対した相手との結婚でも、“親の束縛から離れ、自由になりたい”という、多くの人間に共通する思いであることは間違いない。

 雅はまさに、その瞬間、本当の大人になったのである。

  ドラマでは、子供と縁を切ることになった親の心情も語られている。実際に子供を持っている昌子は言う。

「子供が幸せな結婚をして、可愛い孫を生んでくれたらって思うのは、親なら当然の願望ではないか」

 確かにその通りだ。自分の子供が幸せになり、血を受け継いだ子孫を残してくれる、それはもはや遺伝子レベルに組み込まれた願望だともいえる。

 しかし、さまざまな事情があって、親のそのような願望を叶えてあげられない人はたくさんいる。親の思いと自分の思いが違っていたら、それは自分の気持ちを優先すべきだ。ただし、そんな場合でも、親にしてもらったことを忘れてはいけない。 雅自身も、そのことには気付いている。「覚えている」という事実はそれだけで価値のあることなのだ。

 今回の一件もあって、美佐代、昌子、雅には、絆のようなものが生まれてくる。ヲタク同士というのが入り口ではあっても、それぞれの境遇を知るにつれ、協力し合う関係になったのだ。

 三人で帰る道すがら、彼女たちは、偶然、雅の推しであるスノーホワイトのチカちゃん(増子敦貴)と遭遇する。驚いて立ちすくむ雅に、チカは「いつもありがとう」と声をかける。

 彼は、雅を知っていてくれた。いわゆる「認知」である。ドルヲタの中で「認知される」というのは、特別な意味がある。一方的に応援していた相手が、自分という存在を知っていてくれたのである。

 地下アイドルなどで、接触イベント(握手会やチェキ会など)が頻繁にあれば、比較的容易に認知してもらえる。SNSでリプを送ったり、ライブで目立つ格好をしたりして、積極的に自分をアピールし、覚えてもらうのがコツだ。その努力が実り、初めてこちらから名乗らずとも名前を呼んでもらえたり、サインに名前を書いてもらえたりしたときの感激は、ひとしおである。

 スノーホワイトは、そのような接触イベントはあまりやっている様子もないので、認知を知った雅の思いは想像するにあまりある。おそらく、これによってよりチカちゃんへの憧れはますます強くなったことだろう。ここでも「自分を覚えている」というのは重要な意味を持つのだ。

 一方、美佐代は夫(袴田吉彦)から、不倫相手であるアイドル・さなが、若い頃の美佐代に似ていたと告げられる。さなの写真を見た美佐代は思う。「見事な三番目顔だ……」。

 この、「三番目」を好きになるという夫の気持ち、実はよく理解できる。私も、アイドルグループで推しになるのは、実は一番人気の子であることは少ない。そこには、ファンとしての自分の存在価値のようなものを考えてしまうからかもしれない。

 例えば、100人のファンがいるメンバーであれば、彼女にとって自分は100分の1の存在でしかない。しかし、30人のファンの中の一人であれば、その価値は3倍以上に膨らむのだ。

 他にも、あまり歌がうまくないために、周りについていこうと努力する姿や、ダンスがぎこちなく必死になっている姿などは、私のような者にとっては、実に魅力的に見えるのである。一番の子にはない魅力を、三番目、四番目の子は兼ね備えているのである。

 ドラマでは、最後に、次回以降キーとなるであろう人物、真美(安達祐実)が登場する。「目立たないにもほどがある平均的な女」、美佐代は真美をそう評した。友情で結ばれつつあるホワラー3人組に新たなメンバーの登場である。今度はどんなドルヲタっぷりが見られるのか、注目したい。

(文=プレヤード)

■ドラマ『婚外恋愛に似たもの』
dTVにて毎週金曜日配信

武器はアイドルを思う心のみ! 自由をかけた親との戦い――ドラマ『婚外恋愛に似たもの』第4話

 世の中にある揉め事や悩み事の多くは、親子関係に起因していることが多い。子供を自分の分身のように考えて思う通りに育てたい親と、自我の目覚めとともにそこから離れたいと願う子。縁を切るとか疎遠になるということではなく、その問題を“きちんと整理できた時”、人は大人になるのではないかと思う。

 dTVで配信されている、栗山千明主演のドラマ『婚外恋愛に似たもの』第4話。今回は、大富豪の父との確執に苦しむ隅谷雅(平井理央)の“お家騒動”がテーマだった。

「隅谷雅はアイドルに夢中になっているショタコン」との怪文書を流した張本人が、自分の父親だと知った雅は、父に徹底抗戦を試みる。美佐代(栗山千明)の入れ知恵で、昌子(江口のりこ)と同性愛関係にあるとの文書を拡散するという作戦だ。

 当然、父からの反応はすぐにあった。

「そんなに親の望む人生が嫌か!」と怒りに震える父は、「嫌です。お父様に殺されてもかまわない」と言い切る雅に、親子の縁を切ることを告げる。雅は、人生を賭してアイドルを選んだのだ。

 もちろん、これは彼女がたまたま“ドルヲタ”という道を選び、顕在化したものであって、それが例えば芸能界への道でも、親の反対した相手との結婚でも、“親の束縛から離れ、自由になりたい”という、多くの人間に共通する思いであることは間違いない。

 雅はまさに、その瞬間、本当の大人になったのである。

  ドラマでは、子供と縁を切ることになった親の心情も語られている。実際に子供を持っている昌子は言う。

「子供が幸せな結婚をして、可愛い孫を生んでくれたらって思うのは、親なら当然の願望ではないか」

 確かにその通りだ。自分の子供が幸せになり、血を受け継いだ子孫を残してくれる、それはもはや遺伝子レベルに組み込まれた願望だともいえる。

 しかし、さまざまな事情があって、親のそのような願望を叶えてあげられない人はたくさんいる。親の思いと自分の思いが違っていたら、それは自分の気持ちを優先すべきだ。ただし、そんな場合でも、親にしてもらったことを忘れてはいけない。 雅自身も、そのことには気付いている。「覚えている」という事実はそれだけで価値のあることなのだ。

 今回の一件もあって、美佐代、昌子、雅には、絆のようなものが生まれてくる。ヲタク同士というのが入り口ではあっても、それぞれの境遇を知るにつれ、協力し合う関係になったのだ。

 三人で帰る道すがら、彼女たちは、偶然、雅の推しであるスノーホワイトのチカちゃん(増子敦貴)と遭遇する。驚いて立ちすくむ雅に、チカは「いつもありがとう」と声をかける。

 彼は、雅を知っていてくれた。いわゆる「認知」である。ドルヲタの中で「認知される」というのは、特別な意味がある。一方的に応援していた相手が、自分という存在を知っていてくれたのである。

 地下アイドルなどで、接触イベント(握手会やチェキ会など)が頻繁にあれば、比較的容易に認知してもらえる。SNSでリプを送ったり、ライブで目立つ格好をしたりして、積極的に自分をアピールし、覚えてもらうのがコツだ。その努力が実り、初めてこちらから名乗らずとも名前を呼んでもらえたり、サインに名前を書いてもらえたりしたときの感激は、ひとしおである。

 スノーホワイトは、そのような接触イベントはあまりやっている様子もないので、認知を知った雅の思いは想像するにあまりある。おそらく、これによってよりチカちゃんへの憧れはますます強くなったことだろう。ここでも「自分を覚えている」というのは重要な意味を持つのだ。

 一方、美佐代は夫(袴田吉彦)から、不倫相手であるアイドル・さなが、若い頃の美佐代に似ていたと告げられる。さなの写真を見た美佐代は思う。「見事な三番目顔だ……」。

 この、「三番目」を好きになるという夫の気持ち、実はよく理解できる。私も、アイドルグループで推しになるのは、実は一番人気の子であることは少ない。そこには、ファンとしての自分の存在価値のようなものを考えてしまうからかもしれない。

 例えば、100人のファンがいるメンバーであれば、彼女にとって自分は100分の1の存在でしかない。しかし、30人のファンの中の一人であれば、その価値は3倍以上に膨らむのだ。

 他にも、あまり歌がうまくないために、周りについていこうと努力する姿や、ダンスがぎこちなく必死になっている姿などは、私のような者にとっては、実に魅力的に見えるのである。一番の子にはない魅力を、三番目、四番目の子は兼ね備えているのである。

 ドラマでは、最後に、次回以降キーとなるであろう人物、真美(安達祐実)が登場する。「目立たないにもほどがある平均的な女」、美佐代は真美をそう評した。友情で結ばれつつあるホワラー3人組に新たなメンバーの登場である。今度はどんなドルヲタっぷりが見られるのか、注目したい。

(文=プレヤード)

■ドラマ『婚外恋愛に似たもの』
dTVにて毎週金曜日配信

「男のムダ毛」は処理するべき? 外専女子が見た「日本男子」と「欧米男子」のヘア比較

 私が「外専女子」になるはるか前、大学生の頃に付き合っていた日本人男性は濃い顔立ちのイケメンで、体毛も濃いタイプでした。

 ある夏の暑い日、短パンを履いた彼と電車に乗っていた時のこと。前に座っていた同年代の20歳くらいの女の子が、彼の脚を見て目をまん丸にして固まっていました。そう、彼はスネ毛ももれなくボーボーで、ほとんど肌が見えないくらい真っ黒い毛が生い茂っていたのです。 

前回はこちら

昔の彼の「彼のスネ毛」がトラウマに

9-1-600 「やっぱりね、やっぱりそうだよね!」

 私は以前から彼のスネ毛に対し「ちょっとモジャ過ぎるんじゃないの」と疑問を抱いており、お向かいの彼女の驚いた顔を見て心の中で同調しました。いくら濃い顔のイケメンでも、スネ毛がスーパーナチュラル(生まれたまんまの状態)だともう台無し。でも彼に「スネ毛剃ってよ」とも言えず、かといって全部剃ったとしても不自然だし、短パンを履くなとも言えず。夏の間だけのガマンだと思ってやり過ごすことに。

 スネ毛もさることながらアソコの毛も濃く長く、毛で「モノ」が隠れてしまってすごくかっこ悪いし、Hの時はジャマだし、ほんと良いことないなあと思っていました。

 その後付き合った日本人男性も皆「スーパーナチュラル」で、顔のヒゲ以外は生やしっぱなし。スネ毛も、そしてアソコの毛も伸びっぱなし、くたびれたトランクスから伸びるスネ毛ボーボーの脚を見ては、はあ、とため息……。

 そして私は「外専女子」になり、あるドイツ人男性と新宿の路上で恋に落ちるのです。

 彼は世界的な有名企業に勤務するエリートで、黒髪に美しい緑の瞳の超絶イケメン。
(※細かいなりゆきは、ぶんか社コミックス刊「イケメン外国人とベッドで異文化交流した結果。」参照)

 そんなハイスペックな彼といよいよベッドインする時がやってきて、彼がシャツを脱ぐと、そこにはソフトマッチョな胸板に、短くカットされた胸毛が……‼︎

 

ドルガバの白ブリーフ+整えられた「アソコの毛」

 次にズボンを脱いだら「ドルチェ&ガッバーナ」の白いブリーフが現れ、褐色の肌にサンサンと輝いているではないですか‼︎ その非日常的な光景に思わず放心、「これ本当に私の目の前にあるもの?」と疑問さえ感じたのでした。

 そしてブリーフの中身はというと……やはり1〜1.5センチほどに美しく整えられた毛が。

 今まで、伸びきっただらしない男性の「アソコの毛」しか見たことのなかった私にとって、彼の毛並みは神々しいまでの輝きを放ち、これ以上ないセクシーさ。常に人から見られることを意識して手入れを怠らなかったのでしょう。とにかく美意識がぶっちぎりで高い感じ。

 彼とお別れした後に出会った外国人男性もムダ毛をきちんと処理していて、私の知る限り、欧米では「ムダ毛の処理」はエチケットとして常識のようです。

 そんな男性を見ているうち、私の中で「男性の『スーパーナチュラル』はあり得ない」という認識になっていました、が……。

9-2-600
 時は過ぎ、めっきり外国人男性との出会いもなくなりつつあるここ最近、ふと、ある男性が気になりました。

 テレビ番組で知った在日アメリカ人タレント、マシュー・チョジックさん。

 ハーバード大学大学院卒で、小説を執筆されたり多方面で活躍されているとのことで、気になってインターネットでマシューさんの画像を見ていたら、シャツの胸元から胸毛がチラッ。

 「ぎゃっ! 『スーパーナチュラル』だ! イカン!」と、以前であれば思うところですが……マシューさんの胸毛に対しては、不思議とそんなことはありませんでした。

 むしろ、「全然オッケー。こっちの方が良い!」と感じたのです。

 そんな感情の変化に自分でも驚き、なぜなのかと深く考えてみると、そこには私の外専女子としての「経験」が、大きく影響しているようでした。

 私の理想の男性は、確かに「イケメンの外国人男性」。しかし、多くの経験を積んだ結果、「女性の目を意識してツルツルピカピカな男性」よりも、「毛の処理に時間をかけるんだったら、本を読んだり音楽を聴いたりして過ごす男性」の方が、魅力的に思えるようになっていたのです。

 つまり、外見を磨くよりも、内面を磨く男性――私がイメージするマシューさんは、まさにそんなタイプの方。さらに猫好きで本好きで私のツボをグイグイと押して来て、今では理想の男性第1位。

 「スーパーナチュラル」な胸毛でも、愛があればくすぐったくて気持ちの良い芝生に思える! ボーボーだろうがモジャだろうが、それがそのひとならそれで良い!
 
 ……外見だけで飛びついてツルツルの遊び人に引っかかっていたあの頃より成長した自分を、外国人男性の体毛によって知るのでした。

 毛のあるなしより、人間性です。

 

(隔週火曜日・次回は7月31日更新)


<著者プロフィール>

音咲椿(おとさき・つばき)
男性向けグラビア誌編集長を経て、ポット出版社刊「女の子×女の子のためのエロチックブック・Carmilla」にてイラスト・漫画家デビュー。
単行本「イケメン外国人たちとベッドで異文化交流した結果。」(ぶんか社刊)好評発売・配信中。テレビ出演多数。