担当ホストに月200万円……OLから風俗嬢になった女が駆け上がった「ホス狂い」の階段

 ホストにハマりすぎている女たち――通称“ホス狂い”。「ホストに多額のカネを貢ぐ女」というイメージだけが横行する中、外の世界からはわからない彼女たちの悲喜劇がある。「ホストにハマらなかったら、今頃家が建っていた」という、新宿・歌舞伎町では名の知れたアラサー元風俗嬢ライター・せりなが、ホス狂いの姿を活写する。

 友達を初めてのホストクラブに連れて行くときは少しだけ罪悪感のようなものがある。なんというか、万引きに友達を誘うような気分になるのだ(もちろん比喩である)。だって、使うお金が、3,000円から3カ月後には100万円になっている可能性だってあるのだから。

 先日、この連載の担当編集者の希望で、彼女をホストに連れて行った。彼女は私に「ホス狂いの連載をしましょう」といってきたわりには、ホストに行ったことがないそうだ。

 そのときも実は少し罪悪感があった。もしかしたら彼女もそのままホス狂いの階段を駆け上がってしまうかもしれない。そして、そのうちホストの話ばかりするようになり、挙げ句の果てに編集者を辞めて風俗嬢になるかもしれない(その場合、この連載は終了する)。昔、ホストになんて縁がなかった友達が半年後にはOLを辞め、1年後には毎月200万円を担当ホストへ使う「エース」になってしまったように。

 3,000円が、100万円以上の遊びになる。なんだか、覚せい剤も最初はタダでもらえるんだとか、そんな話を想起する(もちろん比喩である)。つまり何が言いたいかというと、ホストで遊ぶ金額というのは最低金額と最高金額の幅が大きいのだ。だから、「騙されて大金を貢がされる」なんてイメージを持たれても致し方ない。

 実際にホストに行ったことのない人には、何がどうなって飲み代が数十万数百万になるのか想像がつきづらいと思う。今日はこの、「お金の話」がしたい。なので、ここでホストクラブの通貨単位を一度まとめてみようと思う。

・初回500~3,000円程度
・初指名 1時間1万~2万円の席料
・指名料 2,000円程度
・飲食料(3,000~100万円以上)
・TAX(総額の40%)

 TAXとは簡単にいうと、サービス料のようなものだ。つまり1回目は高くても3,000円程度、2回目以降は最低でも2~3万円のお金がかかる。店舗によっては2回目のハードルを下げるために、初めての指名は1万円飲み放題等のステップを設けていたりする。高すぎる階段は登りづらいから。

 担当編集がこの2段目の階段に足をかけるかはわからない。初回だけしか行かない、という人が大多数だ。

 先ほど少し話に出した、1年で、月に200万円を使う「エース」へと駆け上がっていった友達・サヤカ(仮名)を例にして説明する。サヤカはどのようにして初回客から「エース」への階段を登っていったのか。彼女から聞いた話をもとに再現してみよう。

 サヤカの2段目の階段は、1万円。彼女は新宿で友達と遊んでいた。22時。終電までは少し時間があった。そのとき、少し前に初回3,000円で行ったホストクラブのホストから「たまたま」連絡があった。

 ホストへ通うつもりはなかったので、たいした会話などしていなかった。でも、そのときはお酒も入っていてなんだか気分が良かったのだ。
「私、そんなにお金持ってないよ」
「初めての指名だし、1万円で飲めるから。遊びに来なよ」

 1万円だけなら、1回くらいいいかな。誰かと話したい気分だった。サヤカはあとで振り返って、そう語っていた。

 サヤカの3段目は14万円。いや、それはもうすでに数段飛び越えて10段目だったのかもしれない。「担当」になったホストは、別に顔が好みだとか元カレに似ているだとかそういうわけではなかった。ただ、初めての指名から、仕事が終わるころになると、毎日必ず電話がかかってきた。もちろんお店に来てもらうための、いわゆる「営業」であることくらいわかっていたし、電話に出ないときもあった。そう、どうでもいいような電話だったのだ。他愛もない話。

「じゃあ、今日も仕事頑張ってくるね」
「うん、頑張ってね」

 ホストの太客の中には100万円以上を毎月使う人もいるらしい。それなのに、1万と3,000円“しか”使っていない私に毎日連絡してくれる。どうでもいい着信は、そのときにはもう「してくれる」ものになっていた。「してくれる」から、お礼をしようと思った。

 1万円を使ってから1カ月後。ちょうど、ホストクラブの何周年だとか、名目は忘れたけれどイベントがあった。他愛もない話に付き合ってくれる。そのお礼の気持ちで貯金を下ろした。

 シャンパン含めて10万円。TAX入って14万円。シャンパンコール。店中のホストが集まってくる。担当ホストと私にマイクが向けられる。テレビドラマで見たことがあるような光景だった。

「初めてのシャンパン、ありがとう。これからもっと仲良くしていこうね」
「……………」

 緊張なのか何も言えなかった。あのとき、ドラマのヒロインはなんて言ってたっけ……そこからは階段の頂上まではあっという間だった。

「風俗のお店を紹介してほしい」

 サヤカをホストクラブに連れて行ってから、半年後のことだった。

 私とサヤカは風俗の同僚になった。真面目なサヤカは毎日、それこそ朝から朝まで働いていた。これは私の偏見だが、もともと昼の仕事をしていた女の子がホストにハマると、ものすごいスピードでホス狂いへの階段を昇っていく。遅刻もしない、当日欠勤もしない。社会人として当たり前だと思うかもしれないが、風俗の世界ではそれだけでもう優等生だったりする。

 1日10万円。月に20日働いて200万円。生活費はどうしているのかというと、担当ホストと一緒に住み始めたそうだ。究極の節約術である。

 こうしてサヤカは1年で担当ホストの「エース」になった。毎月200万円。天井知らずの世界とはいえ、ホス狂いの階段の頂上付近まで登っていたように見えた。

 長々と「エース」への道のりについて説明してきたが、これはもちろんホストの世界の一例でしかない。全員が全員「エース」になるわけでもないし、風俗嬢になるわけでもない。月数万円くらいで楽しく飲み続けている人だっている。ちょっと贅沢な遊びであって、別に人生がかかっているわけではない人も多いだろう。

 私はホストやホス狂いの世界を糾弾する意図はまったくない。むしろホストが好きだからホストの話を嬉々として書いている。あくまで、ホストの世界でどうやって短期間で大金を使うかを説明したかっただけだ。それと短期間でエースにまで上り詰めた、真面目で一生懸命な一人の友達の話。見ようによっては、それは依存症であり、不幸への転落人生と思うかもしれない。

 けれど、私はそうは見たくない。だから、一貫して、彼女の1年間を「階段」の比喩でたとえてきた。そう、ホス狂いの階段は昇るものなのである。まあ、たまに頂上から飛び降りる人もいるけど。飛び降りるにしたって、高いところまで昇る必要があるのだ。下り階段かもしれないじゃないか、という指摘は受け付けない。それは自分が決めることだ。

 1段目は3,000円、2段目は1万円。3段目からはあっという間。てっぺんは雲の上、何度も言うが、天井はない。

 以上、ホス狂いが月に200万円を使うまでの簡単なあらすじである。ちなみに編集者が2段目、3段目の階段を昇ったところで私は止めるつもりはない。けれど、「若い男と話すのって楽しい!」と帰り際に叫んでいたので、やや心配ではある。

せりな
新宿・歌舞伎町の元風俗嬢ライター。『マツコが日本の風俗を紐解く』(日本テレビ系)で、 現役時代のプレイ動画を「徹底した商業主義に支配された風俗嬢」 と勝手に流されたが、 ホストに貢いでいたのであながち間違いではない。その他、デリヘル経営に携わるなど、業界では知られた存在。 現在も夜な夜な歌舞伎町の飲み屋に出没している。
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【バックナンバー】
第1回:歌舞伎町の元風俗嬢が語る、愛しき“ホス狂い”たち――「滑稽だけど大真面目」な素顔

「10戦1勝9敗」中学受験で不合格連発……「闇落ち」する親子と「立ち直る」親子の違い

“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

 今年も中学受験が終了した(2次募集などを除く)。中学受験は「1点差の勝負」と言われるほどに、僅差の戦いになっていくため「まさかの不合格」に呆然とする親子もまた多い。また受験に“絶対”はないので、当日のコンディション次第で、良くも悪くも“大どんでん返し”が起きてしまう世界である。ゆえに、波に乗れないと信じられないほど「合格切符」が遠のくケースも続出するのだ。そんな「まさかの不合格」をもらったとき、親の対応が、子どもの人生を左右することもある。今回は2人の女の子の話をつづってみたいと思う。

「もう、どこにも受かる気がしない!」と涙

 加奈ちゃん(仮名)も、合格切符をなかなか得られず、苦戦した受験生の一人だった。1月受験が不合格で、気落ちしたまま2月1日の安全校に臨んだが、まさかの不合格。完全に自信を失ったまま受けた翌日の本命校でも力を出し切れず撃沈。4日まで、連続して5校を受け続けたものの、一つも合格をもらうことができなかった。

 「もう、どこにも受かる気がしない!」と泣き喚く加奈ちゃんに、塾の先生はある学校を受験するように指導したという。そしてついに2月5日、8校めとなる、加奈ちゃんの母である幸美さん(仮名)いわく「聞いたこともないA学園」に合格を決めた。

 その後、幸美さんは、6日に行われるA学園よりも偏差値が高い学校の受験を強烈に推し、嫌がる加奈ちゃんを無理やり会場まで引っ張っていったという。そして、不合格。加奈ちゃんの受験は、1月校も含めると、10戦1勝9敗であった。

 加奈ちゃんは、A学園に進学したが、ある日筆者は、幸美さんからこんな相談を受けた。

「加奈が不登校になってしまいました。私のせいです……。時間を戻すのはどうすればいいですか」

 当時の幸美さんには、1勝9敗という結果も、A学園進学という事実も到底受け入れられるものではなかったそうだ。

「小学校1年生から中学受験塾に通わせていたのに、このザマか……って思ったら、もう情けなくて、悔しくて、それで、その気持ちをつい加奈にぶつけちゃったんです。『ママはアンタが恥ずかしい!』『こんなバカ学校にしか行けなかったのかって、近所のいい笑いものだわ!』って……」

 加奈ちゃんは現在、中学2年生に当たる年齢だが、A学園の入学式には出たものの、その後は家に引きこもった暮らしをしているそうで、幸美さんは加奈ちゃんの昼夜逆転生活に悩んでいるという。なぜあのとき、ひどい言葉をぶつけてしまったのか。どれだけ後悔しても、時間は戻らないのだ。

 A学園には、加奈ちゃんと同じようなパターンを辿った若葉ちゃん(仮名)という子が在籍している。現在、A学園の高校1年生である若葉ちゃんとその母・真純さん(仮名)に先日お会いしたのだが、「確かに2月の中学入試はつらかったです。“絶対確実”って言われていた学校も含めて、一つも合格が取れないので、もう、どこにも受かる気がしなかったですね……」と、本人が当時のことを振り返ってくれた。

 一体、彼女はどう立ち直ったのか。それは、塾の先生からのアドバイスと、A学園の先生からの言葉を、親子ともども「素直に聞いたこと」だったという。

「塾の先生がこう言ってくださったんです。『若葉にとっておきの学校があるぞ!』って。偏差値が本命校より15も低いんですが(笑)。でも、信頼していた先生がすっごく勧めてくださるから、『じゃあ、いいのかな?』って、単純にそう思いました」

 若葉ちゃんが、A学園の合格発表を迎えたのは、奇しくも本命校から2度目の不合格結果をもらった直後だったという。

「あの時、母も私もお葬式のような顔をしていたと思うんですが、A学園の先生が合格書類をくださる時に、本当に慈しむように、私に『ようこそ、よくいらしてくださいましたね』と言ってくれて。母が最初に泣いて、私も泣いて、ふと見たら、その先生も泣いていて(笑)、母に『私はここの学校がいい!』と言ったことを憶えています。あ、今、その先生は私の部活顧問なのですが(笑)」

 一方の真純さんは、「そうだったわね。あの時、ママが先に泣いちゃって、ごめんね(笑)」と微笑んでいたが、若葉ちゃんから「ママが『ここなら若葉を安心して任せられそう。若葉、頑張った、おめでとう!』って、顔をグチャグチャにしながら言ってくれたことが本当にうれしかった。ありがとう、ママ」と言われると、感極まってハンカチで顔を覆っていた。何年たっても、当時を思い出すと感情がこみ上げてくる……親子が全力で挑まなくてはいけないという中学受験の一面をよく表しているように思う。

「りんこさん、今は本命校に落ちたことも、神様が本当に若葉に合ったところへ導いてくれたからだと思っています。塾の先生にもA学園にも、もちろん若葉にも感謝です。自慢の娘です……」

 次期部長が内定している若葉ちゃんは今、常連である全国大会に向かって燃えている。

 今、思うような結果が出ずに気落ちされている中学受験生の母は多いことだろう。しかし、「まさかの不合格」を前にした親の心持ち次第で、未来は変わるように思う。筆者は長年の取材で「ご縁があった学校が一番良い学校」ということを確信している。なので、中学受験を終えた母は、不合格にとらわれ続けるのではなく、願うならば、今まで最高に頑張ってきたお子さんと一緒に、最後の小学校生活を楽しんでほしい。

「なぜ乱暴者扱いに?」保育園で女児の顔を叩いた3歳児のママ、その悲痛な胸中

保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。

 幼児は、言語コミュニケーションが未発達なため、幼稚園や保育園で“園児同士のトラブル”を起こしやすい。それを保育士から伝え聞いた保護者が、子を思うあまり「うちの子だけが悪いのか……」「これぐらいのことで注意されるなんて理不尽だ」という葛藤を抱えることもあるという。今回は、そんな当事者たちの声を取り上げる。

 首都圏にある認可保育園に、3歳になる男児を通わせている由樹さん(仮名)は、園側とのトラブルのため転園を視野に入れているという。

「うちの子は、言葉の発達が少し遅いため、つい手が出てしまうんです。この前、5歳の女児の顔を叩いてしまったらしくて、保育士から、『家でも手を出さないように注意してください』と言われました。もちろん、叩いてしまったことは悪いことなので、子どもに注意はしましたが、でも5歳児なら、3歳児よりも体が大きいし、避けることだってできると思うんです……。5歳児のママさんの間では、うちの子が乱暴だとウワサになっているみたいで、エントランスで会うと避けられるようになりました」

 このように、幼児同士のトラブルは、加害者側の保護者が「うちでは良い子なのに……」と、状況を理解しないケースも多いのかもしれない。由樹さんは「市が行う3歳児検診でも問題がないと診断されているのに、保育士が『息子さんには多動や衝動性があるので、一度、検査を受けるように』と言ってくるんです。息子がお友達の腕をかじったり、遊具の順番を守れずかんしゃくを起こすため、加配(発達障害、自閉症、言葉の遅れなどが認められた子3人に対して、保育園の先生を1人余分につける制度)のある園への転園をやんわりと勧められています」と納得がいかない表情を示す。

 保育士からは、「現場で働くスタッフの人員不足のため、手がかかる子どもを見る余裕がなくなっている」との声が聞かれる。そのため、保護者からのクレームを回避するためにも、集団生活を乱すような園児の行動は、その都度、保護者に注意するようになっているそうだ。都内にある認可保育園のパート職員として働いている糸井さん(仮名)は、「うちの保育園の子どもたちは、保育士の言うことをきっちり聞ける子と、何かしら発達などに問題がある子と二分化しているように思える」という。

「幼稚園と保育園と両方に勤務したことがあります。入園前に親子面接や、簡単な受け答えを行う幼稚園では、集団行動を乱すような児童はあまり見かけないのですが、“とりあえず保育園”という形で入園してきた児童が多いうちのような園では、保育士の話を聞けないで動き回る子、思い通りにならないとかんしゃくを起こし、ずっと泣いている子など、問題を抱えた子が多いように感じます」

 なかでも、親の態度が子どもに連鎖しているのが見過ごせないという。「子どもが下駄箱などで靴を履くのが遅かったり、自転車に乗る時に荷物を落としたりすると、イライラとしながら『早くしろ』『何してるんだよ』と怒鳴りつける親もいます。そういった、意味なくきつく叱る親の子は、日課活動においておもちゃの共有ができず、ほかの子の物を取り上げたり、整列の際に後ろから意味もなく押したり、乱暴なんです。やっぱり親の姿から影響を受けているということなのでしょうか。保護者に注意すると『うちは躾をきちんとしているから、子どもが言うことを聞かないわけがない』と言って、こちら側の注意を聞いてもらえないんです」と語る。

 認証型保育園の保育士である吉田さん(仮名)は、子ども同士のトラブルの背景に親の因縁があったというケースについて語ってくれた。

 彼女は日ごろから、問題行動がある子どもには、保護者に注意を促しクレームを回避するようにしていたが、中には不満を溜め込んだ保護者が、急に爆発してトラブルを起こすことがあるという。

 あらかじめ工作を行うと伝えていたにもかかわらず、A君が“汚したくない服”を着て登園。工作の時間に、B君の絵の具で服を汚されてしまい、A君ママがB君ママに“クリーニング代”を請求したというのだ。その代金が予想外の高額だったため、加害者側のB君ママが保育園に相談したことでトラブルが表ざたとなった。

「どうやら、服を汚されたと主張しているA君ママが、B君をよく思っていなかったことが原因だったようです。B君は、どちらかというとしっかりしたタイプで、なにかあるとすぐ保育士に『A君がブロックをぶつけてきた』などと報告する子でした。一方のA君は、言葉でのコミュニケーションが苦手なタイプ。A君ママはどうやら、『B君の告げ口のせいで、うちの子が保育士から注意を受け続けている』と不満を募らせ、高額のクリーニング代を請求したようでした」

 毎日を忙しく過ごすワーママにとって、保育園でのトラブルは最小限に抑えたい。なかには、「それくらいのことで……」と、注意自体を面倒くさく感じる保護者もいるようだ。保育園側は、全ての児童を平等に保育するのが人員的にも難しいという面もあるだけに、保護者側も、保育園とのコミュニケーションを円滑に行うため、子どもの受け渡し時に時間的ゆとりを持ち、積極的に保育士と話をするなど、なんらかの余裕も必要なのかもしれない。

 

ハニーズが抱える“3つの地雷”! 「ユニクロ」「GU(ジーユー)」に見劣りしてファン離れ?

 少し前まで女子中高生に人気が高かったブランド「ハニーズ」ですが、最近はその名前を聞くことがめっきり減りました。これはつまり、人気や関心が低下している可能性が極めて高いので、ブランドとしては気を付けるべき必要性があると言えます。実際のところ、ハニーズの売上高は2013年5月期の619億円をピークとして、徐々に低下し続けているのです。では、どうしてハニーズの人気が低下したのかを、今回は考えてみたいと思います。

 ハニーズは、安くて、そこそこトレンドの服が揃うという特徴があり、女子中高生から人気の高いブランドでした。例えば06年5月期の決算だと、売上高は414億円で、なんと前年比38.8%増と大幅に伸びています。その前年の05年5月期決算でも、売上高は298億円でしたが、これも前年比38.2%と大幅に伸びています。2年連続で約40%ずつも売上高を伸ばしており、驚異的な伸び率といえるでしょう。今から13~14年ほど前が、ハニーズの成長期だったということがわかります。当然ながら、女子中高生に爆発的に人気が高かったのもこの時期でした。その当時の女子中高生は今、20代半ばから30代前半になっています。

 しかし、最近はそういう評判をまったく聞かなくなり、たまに報道されても「ハニーズが中国から全店撤退」というネガティブな事実ばかり。

ハニーズはなぜ爆発的な成長を遂げたのか?

 ここで、ハニーズが驚異的に成長を遂げた05~06年頃のことを思い返してみましょう。この当時、日本は相も変わらずデフレ不況でしたが、当時、大型の低価格洋服ブランドというと、ユニクロかハニーズくらいしかありませんでした。ZARAは1998年に日本上陸していましたが、08年頃までは鳴かず飛ばずで、商品傾向も今とはずいぶんと異なり、劣化版イタリアンシンプルブランドみたいな感じだったのです(ちなみに2000年前半、心斎橋ビブレに入店していたZARAで、1000円に値下がりしたイタリアンマフィアみたいな無地カラーシャツを何枚か買ったのを覚えています)。

 H&Mもフォーエバー21も、まだ日本には本格上陸していません。ユニクロはすでに大型ブランドに成長していましたが、04年に「ユニクロ=ダサい」というイメージから脱するべく舵を切ったものの、まだファッション的には認められていませんでした。パレモやコックスなどはありましたが、その当時も今と同様に、さして話題には上らず。しまむらは、まだ「しまらーブーム」が起きる前で、田舎のおばちゃん向け低価格洋服店というイメージだったのです。またローリーズファームを擁するポイント(現社名アダストリア)も、「アースミュージック&エコロジー」を擁するクロスカンパニー(現社名ストライプインターナショナル)も、ともにまだ企業規模が小さく、今ほどの売上高はありませんでした。

 要するに「まだベーシックと認識されていたユニクロ」以外の低価格ブランド(特に、女性に向けたブランド)は少なかったということです。ハニーズに、若い女性の人気が集中したのは、そういう業界情勢があったと考えられます。

 逆に近年、ハニーズがあまり顧みられなくなったのは、低価格ファッションブランドが乱立したため、客を奪われたせいではないでしょうか。ユニクロとジーユーを擁するファーストリテイリング、アダストリア、ストライプインターナショナル、ウィゴーなどの国内勢に加えて、ZARAやH&Mなどの海外勢も存在します。低価格ファッションを買うのは、何もハニーズでなくてもよい、ということです。

 では、これらのブランド勢にハニーズが遅れをとった原因を3つ挙げてみたいと思います。

1.特徴のなさすぎ!? 平凡すぎる商品たち

 最近のハニーズの店を見た感想ですが、商品は過不足なくまとまっているものの、可もなく不可もないラインナップのため、逆に何の印象も残りません。

 具体的に言うと、機能的にもデザイン的にも、驚くような物がほとんどないのです。例えばユニクロには、保温機能性肌着のヒートテックや軽量のウルトラライトダウン、最近話題のワークマンには、透湿防水ジャケット「イージス」など、“機能的” にあっと言わせる商品があります。また最近のユニクロだと、ユニクロUなどのデザイナーズコラボ商品には、“デザイン的”にも驚くような物があるのです。しかし、ハニーズの商品は機能的にも、デザイン的にも平凡。じゃあテイストが変わっているのかといえば、テイストも極めてオーソドックスと言えるでしょう。

 また、店自体の内装や作りも、極めて平凡で特徴がないように見えます。悪い意味で「灰汁」がなさすぎるのです。例えば、ウィゴーはいかにも女子中学生向けといわんばかりのガチャガチャした店の作りと装飾が特徴的。あれが苦手だという人もいるでしょうが、苦手な人でも店や商品自体は印象に残りやすい。このように、ハニーズはあらゆる意味で平均的という印象しかなく、お客さんから選ばれにくくなっても当然だといえます。

2.商品の値段も「ジーユー」に見劣り!

 ハニーズの商品の値段は、確かに低価格ゾーンではありますが、驚くほどの安さがありません。決して高くはないですが、極めて普通の量販店価格で、ジーユーほどの安さがないのです。例えばジーンズですが、ジーユーだとほとんどの定価が1990円で、期末の値下がりで990円くらいになります。しかし、ハニーズだと定価が2980円で、値下がりしても1980円くらいでとどまります。これでは消費者にインパクトを与えることは難しいと言わねばなりません。デザインや機能、テイストだけでなく値段もそこまで安くはないとなると、熱心なファンはつきにくいでしょう。

 ハニーズからすると、頑張って広報活動をしているのかもしれませんが、ほかのブランドに比べると足りないと感じます。実はハニーズは、他社よりも優れた点がいくつかあるのですが、残念なことに世間的にはそれがあまり知られていません。それはひとえに、広報活動が足りないからではないのかと思っています。

 優れている点としては、まず、先頃ハニーズは、不振のため中国に残っていた全店(約180店)を撤退させましたが、実はユニクロよりもかなり先駆けて、06年から中国に出店しており、13年には中国全土に約600店も展開していたのです。日本のブランドで当時、そこまでの店舗数を中国で展開していたのはハニーズしかありません。しかし、アパレル業界にいる人でさえ、ジャンルが異なれば、ハニーズの大規模な中国展開を知っている人はほとんどいませんでした。一般消費者はなおさらです。

 次に、物作りについてですが、ハニーズは自社縫製工場を所有しています。ユニクロは品質の高さで知られていますが、実は自社縫製工場を所有していません。というか、国内の低価格ブランドはほぼ自社縫製工場を持っていないのです。その点、ハニーズは、2010年代にミャンマーに2つの自社工場を建てています。近年の直営店型アパレルが自社縫製工場を持つことが稀なのは、メリットもある一方リスクもあるから。メリットは、自社工場なので発注から納品までが自社内で完全にコントロールでき、リードタイムも短縮できる点。その一方で、工場は毎日稼働し続けますから、どんどん商品が作られるため、迅速に売りさばかないと在庫がたまるというリスクもあるのです。多くの直営店型アパレルはメリットよりもリスクを嫌って、工場を持たない傾向が強いのですが、あえてそのリスクを冒したハニーズの姿勢には感服するほかありません。しかし残念なことに、これはあまり業界内でも知られていないのが現状です。世界的に見ても、大規模低価格SPAブランドで自社工場を所有しているのは、縫製工場出身のZARAくらいしかないので、ハニーズはやりようによっては、「日本のZARA」になり得る資質があったのです。

 思い返せば、13年頃、ハニーズは自社オリジナルのカジュアルパンツ専門店「パンツワールド」を新規出店しました。どうも売れ行きはあまり良くなかったようで、早々に廃止となっています。これを当時、取材しようとハニーズの広報に申し込んだのですが、返ってきた答えは「当社の社長はあまりマスコミ対応を好みませんのでお断りします」というものでした。業界紙の中でも、知られていない弱小業界紙からの依頼だったということもあるのでしょうが、せっかくの新業態なのですから、もっと積極的にプレスするべきだったのではないかと思っています。実際に「パンツワールド」は、ほとんどメディアで紹介されないままに、いつの間にかひっそりと消えていました。

 中国全土に600店出店していたことも、ミャンマーに2つの自社縫製工場を建設したことも、もっと積極的にメディアに流すべきではないでしょうか。知られていないまま今に至っていますが、販促活動でいえば「知られていないことは存在しないのも同然」なのです。せっかく優れた点がいくつもあるのですから早く「存在する」ようになってもらいたい、そして再び多くのお客さんが来店する店になってほしいと願ってやみません。
(南充浩)

「本命校よりはるか下の偏差値なのに……」1月受験に失敗した中学受験生の母、その悪夢の先

 中学受験入試もいよいよ最後の砦である東京・神奈川の学校を残すのみとなった。逆の言い方をすれば、東京・神奈川の中学入試本番は2月1日から始まるのだ。しかし、この受験生たちの多くが“1月受験”を経ているという事実を、皆さんはご存じだろうか?

 1月受験とは、業界で言うところの「お試し受験」なのである。これは主に、東京・神奈川の受験生が、1月に実施される埼玉・千葉の入試、あるいは寮を完備している地方校が行う首都圏会場での入試を、本番前に受験することを指す(帰国生入試や千葉の専願入試では12月からスタートするものもある)。

 最近では交通機関の相互乗り入れの発達によって、東京・神奈川の受験生が、千葉・埼玉の学校に進学するケースや、逆に千葉・埼玉の受験生が東京・神奈川の学校に進学するケースも少なくはないので、一概に「お試し」とも言えなくはなってきている背景がある。しかし、やはり依然として、お試しによるメリットを享受したいと考える東京・神奈川の受験生は多いと言えるだろう。

 この「お試しによるメリット」だが、一般的には3つあると考えられている。

1:模試とはまったく違う「受験本番」の空気に触れさせ、慣れさせておく
→いわば、“本気モード”の予行演習である。

2:合格を手にすることで安心感を持たせる
→一つ合格を得ることは、2月1日以降の本命校受験への自信になる。先ほど述べたように、実際に進学する可能性もあるので、「もし本命校に落ちても、入学できる学校がある」という余裕も生まれる。

3:あえて一度、「不合格」という痛い目に遭わせ、本気に火を点ける
→これは男子に多いのだが、「本番」が何たるかをまったく意識せず、模試感覚で舐めてかかるケースがある。そこで事前に、あえて「不合格」をもらって目を覚まさせるために、お試しするというパターンもある。

 こうして受験生は1月校受験に臨むわけだが、例えば、大人気校である埼玉の栄東中学は、毎年1万人弱が受験する。こうなると、試験会場は“人の波”で、さらに本番独特の空気に満ちている。すると、雰囲気に圧倒され、想定外の不合格となってしまう子も出てくるのだ。「3」のように、もともと不合格を想定している受験生は稀で、多くの受験生は不合格にうろたえるであろう。本命校受験までの日数が少ない中、やる気に火を点けるどころか、“不合格の烙印”を背負い込み、本番前に自信を喪失してしまうからだ。1月校受験は、お試しとはいえど、実は相当、覚悟がいる受験なのである。

 今回は筆者である私が実際に体験した“悪夢”をお話ししよう。

 私の息子である、たこ太(通称)は、お試し受験で落ちたのだ。もちろん、「3」を想定した受験ではなく、「1」と「2」を兼ね合わせた受験であった。つまり、塾も「万が一にも落ちることはあり得ない!」と太鼓判を押し、本人も母である筆者も、合格を取ることが当たり前の受験だったのだ。

 しかし、結果は不合格。本命校の受験日まで2週間を切っている中での「まさかの不合格」を、うちのたこ太はお見事なまでにいただいてしまった。しかも、当時通っていた塾で、その学校を受験した多くの児童の中で、ただ一人の不合格者であった。

 想定外のことが起こると、人間、何も考えられなくなるものだが、しばらく茫然とした後、私は大泣きした。「本命校より、はるか下の偏差値校で不合格だったら、もう望みがないのでは?」と思い、絶望したからだ。しかも、この結果を学校から帰って来る息子に伝えなければならないことがつらかった。

 号泣しながらも、塾に電話をしている自分がいた。心の中は「嘘つき! 嘘つき! 絶対に大丈夫だって言うから受験させたのに!!」という思いでいっぱい。塾の先生に当たっても、どうしようもないことはわかっているのに、苛立ちやら、悲しみやらで涙が止まらなかった。

 そんな混乱状態の私に、塾の先生は「たこ太は、1点差で落ちている(注:このように点数を開示してくれる学校もある)! 1点の重みを、たこ太の骨の髄まで叩き込ませるビッグチャンス!」と言って憚らなかった。

 結局、私は帰宅して来た息子に不合格の事実を伝えられず、塾の室長と相談の上、塾に丸投げすることにした。

 たこ太を塾に送り出した後、「室長は、息子にどうやって不合格を伝えるつもりだろう……」と途方に暮れていたが、塾終了後、息子に話を聞くと、こんな意外な言葉で励ましてくれたそうだ。

「おめでとう! 良かった、良かった!」

 私は驚いて、その真意を室長に確認した。

「お母さん、僕は授業終了後にたこ太を呼び出して、『たこ太、1月校、残念な結果になったぞ』と伝えました。たこ太は、一瞬だけハッとした顔をしましたけど、僕はその瞬間、間髪入れずに言ったんです。『たこ太、オマエ、良かったな~!』って」

 不合格を祝福されるとは夢にも思っていなかったので、それが事実と知って、私はさらに驚いた。室長は続けた。

「たこ太が不合格だったのは、本番の雰囲気に呑まれただけのことです。たこ太の実力がこんなもんじゃないことは、ずっと勉強を教えてきた僕が一番よく知っていますよ。たこ太にもそのことは伝えました」

 なんでも室長は、たこ太に、「これが受験の怖さである」ということを伝えてくれたそうだ。その上で、「でも、オマエは予行演習を終わらせた。本番はもう大丈夫だ。オマエは1月校に行きたかったか? そうじゃないだろう? 行かない学校はどうでもいい。いや、むしろ落としてくれて礼を言いたいくらいだ。たこ太、これはいい練習だった。オマエはオマエの第1志望に、自分の力で行け! オマエなら必ず行ける。これは俺が保証しているんだ、わかるな?」と激励してくれたという。

 ここまで話を聞いた私は、胸が潰れそうになったが、室長はもう一押しとばかりに、「たこ太、もう一つだけ言っておく。お試しに落ちたヤツは本番に必ず受かる。俺がおめでとうって言う意味、わかるな? ラスト2週間だ。俺はオマエを信じている」と発破をかけ、最後に「必ず勝って来い!」と背中を押してくれたそうだ。

 それから、その教室の先生方全員が、たこ太に、次々と握手を求めてくれたらしい。「そうか! 落ちたか!? そりゃ良い知らせの前触れだ。最後に笑うのはお試しで落ちたヤツだからな!」と励ましてくれ、誰一人として、悲観的なことは言わなかったという。

 私は、こういった塾の先生たちの対応を「魔法」だと感じた。魔法にかけられたたこ太は、結局、2月の本番で第1志望校に合格した。

 これを読んでいる読者の中に、もしかしたら今、当時の私と同じ状況に追い込まれている人がいるかもしれない。「毅然としなければ」と思っても、うろたえてしまうのが中学受験生の親というものだ。ならば、今度は私が、そんな親御さんたちに魔法をかけたいと思う。

「お試しに落ちた子が最後に笑う!」
(鳥居りんこ)

荒れた公立小に入学させたくない! 「越境入学」をめぐる、保護者と学校それぞれの不満

保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。

 “越境入学”または“越境通学”という言葉を聞いたことがあるだろうか。学区外にある公立の学校へ入学/通学することで、かつては、家庭の事情などで転居しても、元々通学をしていた学校に通うケースなど、特殊な事例がほとんどだった。現在では、公立の小学校や中学校で越境入学を受け入れている自治体が増えているため、学校自体の教育方針や、私立中学への進学率などを考慮し、区や市を越えた越境入学/通学をしている児童も増えているという。

 アルマーニの標準服で話題となった、中央区の泰明小学校も、条件を満たせば越境入学を受けて入れている。ほかにも、パイロット校と呼ばれる革新的な教育を受けられる公立の学校では、区や市を越えた越境入学を行う児童もいるそうだ。今回は、越境入学/通学にまつわるママたちの声をレポートする。

園ママから「学区の学校は荒れている」と言われ……

 都内にある幼稚園に、5歳になる男児を通わせている真由美さん(仮名)は、来年、小学校に入学予定の息子を越境入学させようか悩んでいる。

「園バスに乗って登園するような遠くの幼稚園に通っているため、自宅近辺のママ友が少ないんです。そのため、親しいママ友は全て園で知り合ったママさんだけ。うちの幼稚園では、保育時間のほかに、英語教室や体操教室、年長になると小学校受験のためのクラスなども用意されていて、最初は、うちの息子も、『仲が良い子がいる』という理由で、受験クラスに参加させてみたんです」

 真由美さんは専業主婦のため、私立小学校に通わせられるような余裕はない。しかし、周りのママさんたちが口々に「公立の小学校は授業が成り立たず荒れている」「タトゥーが入った保護者や、役員をしたがらない保護者などがいて問題を起こすらしい」「うちの園の家庭と格差が激しい」と言っていることで、心配になったという。

「私と夫は地方出身のため、土地勘がないんです。地元出身のママたちから聞いた評判だと、息子が通う予定の小学校は担任の入れ替わりが激しいそう。うちは国立小学校だけ受験しますが、もしも落ちた場合でも、越境入学で同じ園の児童たちが入る予定の小学校へ、越境入学を検討しています」

 越境入学が受け入れられる時代になったとはいえ、受け入れ先の自治体によって条件を満たさなければ入学が認められないケースも多い。親戚や祖父母が越境したい学区に住んでいる場合は、住所を借りて形だけ移住をして、通学させるケースもあるという。

 東京北部に住居を構えている美保さん(仮名)の息子は、自営業の夫の事務所に住所を移し、その学区にある公立小学校に通学をしている。その学校は、越境入学者が多いことで知られているそうだ。

「小3になる息子は、人見知りで周りに流されやすいタイプ。地元の小学校は、運動も勉強もごく標準的なレベルで、高学年になると、一部の生徒たちが暴れたり、授業が中断されることもあると聞いていました。数年前に女性の校長先生が就任してからは、だいぶ良くなったと聞いていたものの、またいつ校長が変わるのかわからないし、小学校の6年間は人格形成にも影響するので、生活水準が高い地域にある学校へ通わせたかったんです」

 しかし、越境入学者が増えたため、受け入れ側の学校や自治体側も、条件が厳しくなってきたという。美保さんには、今4歳になる娘がいるが、再来年の入学時には、同じ小学校に通うことができない可能性が出てきた。

「息子が入学した頃は、上の子が通学をしていれば、下の子は学区外でも入学ができたんです。しかし、昨年ぐらいから、兄弟が入学しているという理由だけでは、無条件で入学できないと言われました。家族で学区内に引っ越せばよいのですが、うちは持ち家ですし、学区内はマンションが1憶円もする高級住宅地。もしも兄妹で違う小学校に分かれてしまうと、2つの小学校の役員や行事に参加しなければならないので、負担が増えてしまいそうで悩んでいます」

 越境入学というかつてない児童が増えたことで、受け入れ側にも戸惑いが多いという。関東圏にある公立小学校で教育補助員をしている高橋さん(仮名)は、「うちの小学校は、隣接した地域に小学校が3校あるため、家と学校の距離がいずれも同じという場合、保護者が役所などで相談したうえで、本来の学区とは別の学校に越境入学を認めています。ただ、幼稚園や地域のママ同士のうわさ話などで、どうしても人気のある小学校と、そうではない小学校と分かれてしまい、学校側からすると悩みのタネなんです」と語る。

 この小学校では、通学班があり、集団登校をしている。越境通学者の場合、入学した1年間は、親が一緒に通学するというルールがあるが、越境通学が多いので「ルール自体が曖昧になっている」とのこと。保護者によっては、自宅から近い通学班のところまで送り届けた後は、任せっきりにするケースもあるという。

「まだ体力がない1年生の足だと、思った以上に通学に時間がかかるんです。越境入学者を待つために、出発が遅れる通学班もあり問題になっています。帰りは、保護者が、学校か通学班と別れるところまで迎えに来るルールになっていますが、学年が上がるにつれ、親が来ないケースも増えています。中には、『自分が子どもの時はもっと遠い通学距離だった』という理由で、まったく迎えに来ない保護者もいて困っています。越境入学をさせるにしても、ルールは守ってもらわないと……」

 教育に関心の高い都心部を中心に、増え続けている越境入学。公立でも学区にかかわらず、自由に行きたい学校を選べるのは、画期的といえるが、受け入れ側の体制や、条件などが明確化されておらず、年度によって受け入れ自体がなくなる可能性など、保護者側が不安に感じる要素も多い。これからも越境入学自体のニーズが高まると予想できる中、自治体間での共通ルールなどを定め、親側も通わせたい学校を選べるようになるのが、必要と言える。
(池守りぜね)

歌舞伎町の元風俗嬢が語る、愛しき“ホス狂い”たち――「滑稽だけど大真面目」な素顔

 ホストにハマりすぎている女たち――通称“ホス狂い”。「ホストに多額のカネを貢ぐ女」というイメージだけが横行する中、外の世界からはわからない彼女たちの悲喜劇がある。「ホストにハマらなかったら、今頃家が建っていた」という、新宿・歌舞伎町では名の知れたアラサー元風俗嬢ライター・せりなが、ホス狂いの姿を活写する。

「ホス狂いに興味があるんですけど、ホス狂いって面白いですよね」

 歌舞伎町のバーで友人といつも通り、ホストがどうだ風俗客がどうだと話していたとき、隣のテーブルにいた女性から突然話しかけられた。なんて失礼な奴だ、と思った。後の担当となるサイゾーウーマン編集者である。

 女性は続けた。

「私はホストには行ったことがないけれど、ホス狂いのTwitterはよく見ています」

 もうこのパターンは絶対にろくなことにならない、この先の会話は地獄だ、と直感が囁いていた。大体、ホストクラブに行ったことがないのにホス狂いやホストのTwitterをチェックしてるってどういう動機なんだ。私は元風俗嬢だが、初対面の男性に、風俗には行かないけど風俗界隈の情報はチェックしている、とか言われたらたぶんちょっと引く。

「本営って言葉があるじゃないですか、それに色恋、友営、エース、ラスソン、そういうシステムが面白いって思っていて」

 女性はホスト用語にやたらと詳しかった。行ったことがないのに。

 「本営」とはホストの接客スタイルの1つで、お客と付き合って恋愛関係になることを指す。「友営」とは読んで字のごとく、友達のような接客スタイル。「エース」とはそのホストのお客の中で一番お金を使う人間のことだ。本営と兼ねる場合が多く、その場合は「本営エース」なんていう呼ばれ方をする。「色恋」とは、恋愛関係を期待させるような営業方法のことだ。

 過去を振り返りながら女性にそんな説明をしていた。気がつけばウーロンハイは3杯目に突入している。私もおしゃべりが好きなのだ。

 確かにホストの世界には仲間の中だけで使える用語が多い。それはアイドルの世界と似ている――例えば「推し」や「認知」といった独特の言葉があるように。最近はNHKでホストに貢ぐ女の特集がされたり、Twitterで人気があるホス狂いアカウントのつぶやきをまとめた本なんかも出版されたりしている。
「エースっていうのはやっぱり何百万も1カ月でお金を使うんですか? どうやってお金を作ってくるんでしょうか」

 女性はメディアに出てくるような「エース」が実在しているのかが気になっているようだった。

 私の記憶の中で印象深かった「エース」たち。実家のグランドピアノを両親がいない間に売り払って勘当されたエース。親が帰ってきた瞬間にバレた、と言っていたが当たり前である。毎日朝から朝まで歌舞伎町のデリヘルで働いて、仕事の合間にホストクラブにお金を使いに行くエース。仕事途中でお酒を飲むので、深夜からは酔った状態でお客のもとにデリバリーされていた。酔うとキス魔になる女の子だった。お客さんはむしろ喜んでいたのだろう。指名が増えたことは幸いである。キス魔の彼女は「お札を使うのは担当ホスト君にだけ」と決めていて、コンビニですら小銭だけで買い物をしていた。やむなく1000円札を使うときは、真剣に、真面目に苦悶していた。

 こんなエピソードを語り始めたらキリがない。彼女たちは皆、月に何百万円も使うエースたちで、風俗や愛人家業でお金を稼いでいた。

「やっぱりホス狂いって面白いですね。」

 知らない人から面白いと言われるのは若干複雑な気持ちではある。しかしおっしゃる通りで言葉にするとなかなかに滑稽な光景。馬鹿みたいな話である。でも、私も含め彼女たちには彼女たち――「ホス狂い」の中でのルールや論理があって、それぞれ大真面目に「ホス狂い」をやっていた。

 結果だけ見れば愚行奇行だが、その気持ちは本物である。たぶん。だからこそ、ときたま奇行に走りながら彼女たちは今日もホストクラブの戸を叩くのだ。実際のホストクラブで戸を叩いて入店のお伺いを立てていたら、それこそ奇行ではあるが。そういったことも含めて考えると、結論としてホス狂いはやっぱり「面白い」のかもしれない。

 その後、何度か女性とはバーで話す機会があり、今回執筆の機会をいただくに至った。

 ところで、いま現在、私はホストクラブで1本1000円の発泡酒を飲みながらこの原稿を書いている。ちなみに締め切りは3日前だ。つい先ほど担当編集から年始のご挨拶メールが届いた。1月10日である。ホストとホス狂いについては、書くことがいくらでもありすぎて、なかなかまとめるのが大変なのだ。

 ホストクラブは楽しい。そしてホス狂いも楽しい。20代の半分以上を歌舞伎町の家と、歌舞伎町の職場と、歌舞伎町のホストクラブのトライアングルからほぼ出ずに暮らした私が言うんだから信じてくれ。哀しいけれど面白い、そんな私の愛しいホス狂いたちの話を書いていく。お付き合いいただければ幸いである。

せりな
新宿・歌舞伎町の元風俗嬢ライター。『マツコが日本の風俗を紐解く』(日本テレビ系)で、 現役時代のプレイ動画を「徹底した商業主義に支配された風俗嬢」 と勝手に流されたが、 ホストに貢いでいたのであながち間違いではない。その他、デリヘル経営に携わるなど、業界では知られた存在。 現在も夜な夜な歌舞伎町の飲み屋に出没している。
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中学受験の本番直前、母を襲う極度の“不安”――「自分は狂ってる」と吐露した悩みとは?

“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

中学受験の本番直前、母は理性を狂わす!?  「目覚まし10個購入」「大地震起きたら」不安の種

 今年も各地で中学受験の本番がスタートした。2月1日に受験解禁になる東京・神奈川の私立中学の受験生家族は、まさに今、右往左往しているであろう。

「人事を尽くして天命を待つ」というように、「できる限りのことをしたのだから、その結果は天の意思に任せよう」と、どっしり構えていられれば最高なのだが、現実はそうはいかない。もうなすがままに身を任せるしかないとは頭では理解しているつもりでも、心配しすぎで足掻いてしまうのが親心。中学受験とはそういうものなのだ。

 この心配は「合格しなかったらどうしよう?」ということに尽きる。しかも、その心配が高じて、些細なことまでもが、さまざまな“不安”となって、母の心をかき乱すのだ。

 東日本大震災の数年後、筆者は貴也君(仮名)という男の子の母・聖子さん(仮名)から、相談を受けたことがある。貴也君は、全国でもトップレベルの偏差値をキープしたまま、受験本番週を迎えた。模試の結果によると、志望校は余裕で合格圏内、塾もお墨付きを与え、何より、受験するご本人様が“やる気満々”。死角はどこにもないと誰もが確信していたのだ。

 しかし、聖子さんだけが人知れず“不安”と戦っていた。受験本番数日前、彼女から筆者の元にメールが届いたのだが、その内容はこうだった。

「もし、受験本番の日に大地震が起こったら、息子はどうすれば良いのでしょうか?」

 「なぜそんなことを?」と思わずにはいられないが、彼女は真剣に悩んでいたのだ。参考までに記すと、筆者は「大地震があったら、入試は延期になる。受験生全員が等しい条件で受けられないのだから、心配いらない」と答えた。

 筆者はつくづく、母という生き物は、悩みがなさそうな人であっても、わざわざ自ら“悩み”を生み出してしまうものなのだなと実感したのである(結果、貴也君は、余裕で最難関校を総なめにした)。

 このように、たとえ貴也君のような“雲上人”の母であっても、親は受験直前、谷底に突き落とされたような心境になるのだ。いわんや、“一般人”の母には、不安しかないのが普通だ。

 昨年、2月1日から受験本番を迎えたものの、5日まで合格が得られなかったという樹君(仮名)の母・幸恵さん(仮名)から、ある相談が入った。いろいろと話を交わしているうちに、幸恵さんが「自分は狂っている」などと言い出した。いわく、目覚まし時計を大量に買ってしまったというのだ。

「年明けから、こんな夢ばかり見るんです。受験本番の朝に私が寝坊して、集合時間に遅刻。樹の一生を私が台無しにしてしまう夢です。もう、それからは不安で不安で、目覚まし時計を次々と購入し、今、10個かけているんですが、結局、使わないんですよね……。この1週間近く、ほとんど私は寝ていません。眠れないんです。でも、明日、最後のチャンスなのに、もし寝入ってしまって起きれなかったら。やっぱり、私が樹の一生を……」

筆者は、そんな切々たる思いを聞き、こう声をかけた。

「1週間くらい眠れなくても、人間、死なないから大丈夫! このまま起きてろ!」

 受験本番週は、子どもにとっても親にとっても、今までの人生で最も気合が入る1週間と言えるだろう。子どもが緊張のあまり「眠れない」と訴えることはむしろ普通で、それは親も同じこと。だから「寝入ってしまって寝坊」なんて事態は、そうそう起こらないものだ。睡眠不足を気にする人も多いが、横になっているだけでも体は休まるので、親子で横になり、子どもが眠ったタイミングで、母は朝まで起きていればいい。そういう母は受験本番の保護者控室で休息を取れば問題ないと、筆者は考える。

 なお、目覚まし時計を10個も部屋にセッティングするほど、うろたえていた幸恵さんをよそに、樹君は2月5日の3回目入試で、見事に第1志望校の合格を得ている。

 中学受験は、母の理性を狂わすものなのかもしれない。この時期は「インフルエンザ」「ノロウイルス」に関する不安がピークを迎える。それゆえ、母たちは防御に必死だ。

 家族全員で予防接種をするのは当然だし、ご家庭によってはこれらの感染を防ぐために1月中の小学校を自主休業するケースも珍しくない。毎年、この問題は賛否両論を巻き起こしているが、こればかりは各ご家庭が最善と思う方法を貫き通すのが一番だと思う。

 筆者が苦笑したのは、昨年の受験生家庭の話だ。太郎君(仮名)は難関中学を目指していた。太郎君の父・一郎さん(仮名)も同じ中学出身なのだが、気合が入りすぎてしまったらしく、1月は仕事での激務に加え、家庭で“父塾”(父が勉強の指導をすること)を開催したそうだ。

 その妻・和子さん(仮名)が語るに、こうだった。

「やり慣れないことをいきなりやったものだから、多分、夫の方に疲労が蓄積しちゃったんですよ。父塾を開催して丁度1カ月後、つまり、よりによって受験本番1週間前にインフルエンザに罹ったんです! 太郎はただでさえ、父塾を嫌がっていたのに、無理矢理やらせて、しかも自分はインフルエンザなんて……許せませんよ! もう私は真剣に離婚を考えました。不合格だったら、絶対に離婚しようって!」

 結果、一郎さんはひとり自宅待機を命じられ、妻子は速攻で家を脱出し、受験終了まで本命校そばのホテル住まいとなったらしい。太郎君の合格で、両親の離婚は免れたのではあるが、実は、お父さんがインフルエンザ等の病原菌をうっかり家庭内に持ち込んでしまうといった類の話は、毎年よく聞く話なのだ。

 この時期、母親は子どもに「万全な健康状態で受験させたい」と強く願っているだけに、体調管理こそが、最も不安を抱いてしまうポイントになる。受験直前は、親も不安に駆られ、良かれと思って足掻きだすが、新しく何かを始めることなく、日々のスケジュールを淡々とこなすことが、実は最も重要なことなのである。

 何はともあれ、これを読んでくださっている受験生家族の皆さんが万全な状態で受験できますように。
(鳥居りんこ)

「野菜中心」「バラン禁止」幼稚園の弁当チェックに悲鳴! 園の教育方針とぶつかるママたち

保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。

 結婚・出産年齢の上昇に伴い、10年前と比べ、30代後半や40代で子どもを持つ親が増えてきた。10代後半や~20代という若年層より、社会経験が長い彼らは、ネットなどで気軽に育児情報が手に入る時代であることもあいまって、周りからの“押しつけ型”のアドバイスを嫌う傾向がみえる。また、一人っ子が増え、親がやや過保護気味になるケースもあるという。そのため、幼稚園や保育園といった幼少期の育児が園側の方針とぶつかるトラブルも、後を絶たないそうだ。

若い保育士の対応に物申すママたち

 関東にある認証保育園に、もうすぐ1歳になる娘を通わせている薫さん(仮名、30代後半)は、現場の保育士の対応について不満があるという。

「うちの子が通っている園は、保育士をある学校から一括で採用しているようで、新年度になると卒業してすぐの保育士が配属されます。こちらから見ると、まだ学生のように見える保育士に、0歳児を任せるのは不安でした。迎えの時も『離乳食は半分食べました』『排便は1回です』など、連絡帳に書いてある通りのことしか言わないんです。つかまり立ちも、いつの間にかできるようになっていたのですが、いつできるようになったのか保育士に尋ねても『ちょっとわかりません』の一言で済ませられました。ほかの園に通っているママは、『今日、初めてつかまり立ちができました』という報告をきちんとされたそうなので、楽しみにしていたのですが……。若い保育士は、何時間おきにミルクをあげて、オムツを替えて、寝かしつけてとマニュアル通りにやっているだけに思えてきて仕方ありません」

 一方、保育士側も、保護者からの要求に困り果てているようだ。大型認可保育園で、保育士歴6年目になる恵子さん(仮名)は、小柄で若々しい印象なこともあり、保護者から“頼りがいなさそう”と思われるのが悩みだという。

「うちの保育園は、数年前駅前にタワマンが建った影響からか、比較的、経済的に余裕のある年齢層高めの親を持つ子が通っています。母子同伴の保護者会で、ぐずる男児にスマホを与えていたママに、小学校高学年になる上の子を持つママが『今からスマホなんて与えていたら、小学校で勉強についていけない』『将来、課金するような子どもになったらどうするの? 』と、注意しているのを見かけました。言われている方のママの顔が困惑していたため、私の判断で『音を出さなければ、スマホを見ていて大丈夫です』と間に入ったら、『子どものいないあなたに、なにがわかるの?』と逆に注意されてしまいました」

 恵子さんは6年目ながら、保育士不足によって、重要なポジションを任される立場にいる。すると、育児経験のある年上のママから「なぜこんな経験の浅い若い子が……」という見られ方をされ、「こうした方がいい」とアドバイスされてしまうケースもあるという。保育士という仕事は、3年もたたずに辞めてしまう人も多い。恵子さんも、辞めたいと思いつつ、担当した園児たちの卒園までは見守ろうと思い、続けてきたそうだ。

「うちの園は、園児の学年が上がる時、担任もそのまま持ち上がりになるのですが、『恵子先生だと心配なので、別の先生がいい』と言ってきたママもいました。保育士は、子どもたちの性格なども把握しているので、正直、担当しているクラスが変わると、また園児の名前から保護者についてまで覚えなおさなければならないので、児童数が多い園だと負担が大きいんです」

 若い保育士が、園児同士のトラブルやケガに対応しても、結果的に「もっと上の保育士を出してほしい」「園長と話をしたい」と言う30~ 40代の保護者も多いという。しかし、子どもはベテランの保育士よりも、若い先生を好む傾向があるため、新年度に上がる時、園側が担任の配置をどうするか悩むという面もあるそうだ。

弁当の中身チェックに、毎日憂鬱な気分に……

 古くからある私立保育園や、小学校受験をする園児が多い幼稚園などでは、ベテランの先生による行きすぎた指導が、保護者間で問題となっているという。

 独自の教育方法で人気のある幼稚園に3歳になる娘を通わせている幸恵さん(仮名、40代)は、こう語る。

「この幼稚園には、外国人講師がいたり、しつけやルールに厳しいところが気に入って、娘を入れました。運動会での組体操や、1年に1回の制作発表は、ほかの幼稚園と比べるとクオリティの差は歴然。問題だったのは、昼のお弁当。食育に力を入れているため、冷食と呼ばれる冷凍食品を使うのがNGだったんです」

 入園説明会では、昼は弁当持参だが、用意できない場合は園が契約をしている業者の弁当を依頼することができるとの説明だった。しかし、入園をしてみると、業者の弁当を利用する保護者は皆無で、自宅から持ち寄った弁当を食べている園児が大半を占めていたという。

「入園したい一心で、毎日の弁当作りのことはあまり考えていなかったんです。入園したばかりの時には、ウインナーやハムというような加工食品が多いことを、ベテランの先生から遠回しに『お野菜中心にしてください』と言われました。また、子どもが弁当を振り回してご飯が寄ってしまったようで、バランを使って仕切りをしたら『全て食べられるもので、仕切ってください』と……ピック(串)までダメだそうです。そこまで弁当の中身を見られているとは思わず、卒園までの2年間が長く感じています」

 幼稚園の場合、保育園とは違い、保護者は園の方針に納得したうえで入園するものだ。そのため園側は、「保護者もうちのやり方に理解を示している」と理解しており、その上で指導を行っているのだろう。幸恵さんにとっては苦痛でも、弁当作りが生きがいというママ友がいるため、周りに弱音も吐けないという。

「園長は、保護者会などで戦争経験を語ることがあります。『食べ物の大切さ』を問うのはわかるのですが、いくら専業主婦とはいえ、弁当の中身まで毎回チェックされると、転園しようか悩んでしまいますね……」

 反対に、ベテランと呼ばれる保育士たちも、保護者との育児方針の違いに、困惑している。夫婦で認証型保育所を運営している橋本さん(仮名)は、ネットなどで見た情報を鵜呑みにして、保育にクレームをつけてくる保護者が増えたという。

「5歳児クラスの保護者から、『読み書きや整列、体操座りでじっと話を聞くなど、小学校に入る前の準備を、なぜもっと早くやってくれないのか』という申し出がありました。基本的には、『こうしなさい』と園児に押し付けるような教育はしていないので、『自発的に読み書きもできるようになってもらいたいから、個別指導は行っていない』と伝えたのですが……。それでも納得がいかなかったようで、きっぱり『うちの園は設立して30年以上たつため、特に教育方針を変えるつもりはない』と言ったら、その保護者から役所の方にクレームが入っていました」

 保育士不足が叫ばれて久しいが、若手から年配の世代まで、それぞれ育児経験の有無にかかわらず、子どもをフォローできるような余裕のある体制が整えられれば、保護者側の不安も、園側の負担も少しは解消されるだろうが……。
(池守りぜね)

レペゼン生きづらい芸人・若井おさむ、タバコを吸って大惨事……「さざ波アワード2018」

 古代ギリシャの哲学者、ディオゲネス・ラエルティオスは言った。「幸福は一つひとつのささやかなことにより実感される。それは決して小さなことではない」。だからね、一つひとつのしょーもなニュースってのも、決して小さなことではないんですよ。え? 違う? ああ、そう。じゃまずは2018年の月間MVPから!

1月 自作ラーメン作成をブログでたびたび報告してきたこだわりの男・大鶴義丹、最終的に味の決め手は味の素との結論に至る
2月 あれだけ猛獣のように元夫に蹂躙行為をはたらいてきた松居一代が、携帯ショップの待合室でライオンがほかの動物を襲うDVDが流れていたことを、「恐ろしい」「なぁ~んであれを流しているんだろう」と泣き顔の顔文字つきで嘆く
3月 布川敏和、ブルームーンを拝んで「ないものねだり」
4月 モンキッキーが、レストランで隣席の一般人から、子どもたちについて「可愛くて上品なお子さん」「全部ママ(山川恵里佳)に似たのね」と言われムッとする
5月 いしだ壱成、初夏のぬるい水で滝行に挑む
6月 藤原紀香が47歳の誕生日に「年齢なんてただの数字」と勢い込む
7月 『笑点』(日本テレビ系)で楽屋の名前が「オール阪神・巨人先生」となっていたことについて、オール巨人が「『先生』には…ちょっとビックリしました、『様』で良いのにね(笑)」と、スタッフの過剰な震え上がりに苦笑
8月 いかなる番組に出演しても「なぜ呼ばれた?」と疑問視される林家三平・国分佐智子夫妻が、『人生最高レストラン』(TBS系)に出演し、2人の好きなメニューや「『一口ちょうだい』が許せない」という三平の持論など、誰得エピソードを開陳
9月 ガンダム芸人・若井おさむが“自分探し”の一環で、四十路にて喫煙を始めるも体質に合わず番組本番中にゲ◯
10月 中野浩一の妻で面白ブロガーのNAOMIが、毎年ハロウィーンで騒ぐ外国人に対しブログでブチギレつつ「インターナショナルschoolや大使館が近くにある為毎年、家の前の道が『お祭り騒ぎ』になり」とさりげなく港区民自慢をブッ込む
11月 泰葉が3カ月前から毎日告知し「泰葉復活祭」と銘打った、いわく“爆笑トークと弾き語りの三時間”のライブを開催するも、その後ブログでライブレポートは一切なし。閑古鳥が鳴いていたのではないかと推察される
12月 「新キリスト」を自称する石原真理子、世間のクリスマス商戦を「私にあやかったパクリ」と断罪

 どうですかお客さん。18年も自信を持ってお薦めできる些末ラインナップとなっております。それではベスト3の発表!

 たまに地方局の番組や通販番組で見かける程度で、何で食い扶持を得ているのかいまひとつわからないフックン。ブログで紹介される彼の日常は、ガーデニングにいそしんだり愛犬の世話をしたりドライブをしたり……と、「バブルの残滓ってのは、たいして働かなくてもそんなに悠長に暮らしていけるのかい」と、マスコミ界のブルーカラーである当方こと泡沫ライターは悪態のひとつもつきたくなってしまうが、元嫁・つちやかおりに出て行かれてからというもの、ブログのエントリーの隅々に、五十路男の泣き笑いが滲み出ており(元来「泣き笑い顔」というのも相まって)、更新ごとの枕詞「アロハッピー(^o^)/」が虚しく響いてたまらない。

 そんなフックンが3月の末「通常の満月と比べて数倍ものパワーを放つ」といわれるブルームーンの日に、その効果を箇条書きしている。いくつか引用してみると

・恋愛や仕事が長続きするように調和する
・人間関係が崩れないように助けてくれ、末長くよい関係を保ってくれる
・交流が楽しみやすくなり、意見が異なる人とも冷静に話し合いやすくなる
・チームやパートナーで達成したい目標を願えてくれる

……と、目下フックンが何に悩んでいるかが、実にわかりやすく現れている。昨年「さざ波アワード2017」で触れた、いしだ壱成にも通じるが、「精気をなくした芸能人は月に頼りがち」という法則が立証されそうだ。

第2位 藤原紀香が誕生日に「年齢なんてただの数字」と勢い込む

 我らがノリ姐が、6月28日に御歳47を迎え、同日午前0時過ぎにブログを更新した。「あっ。何歳だ?」とタイトルされたそのエントリーでは「私ごとですが、47歳になりました」と切り出し、携帯電話のカレンダーに、間違えて「48歳!」とメモを記していたドジッ子エピソードを明かした。「なんか、もう47、48、どちらでもいいわ(笑)」「世界は数字で成り立っている、言われているけれど、年齢に関しては、ただの数字な気がする」と力強く語っており、まさに「気愛と喜愛で♪ノリノリノリカ」イズムここに極まれり! といった感がある。

 ノリ姐のSNSといえば、マンキンのビューティー自撮りでおなじみ。どの写真も補正をかけすぎて「ここは温泉場かな? 湯気でレンズ曇っちゃってるのかな?」というシュールな画調になっている。肌の質感もリカちゃん人形みたいにツルッツルで、ツーショット、とりわけ50代以降の男性と共に写っていると、一緒に補正がかかってしまった隣の人物が原型を留めておらず「誰?」となるケースも少なくない。「アンチアンチエイジング」なるワードも飛び交う昨今ですが、人間、言葉と行動の符合ってなかなか難しいものですよね。47歳、複雑なお年頃なのでしょう。2019年もますますのノリ姐節炸裂を期待しております。

 精度の高いアムロ・レイのモノマネと、ここでは詳細を省くが、壮絶な生い立ちで知られるレペゼン生きづらい芸人・若井おさむ。自宅には「犯罪は絶対に犯さない」「自殺は絶対にしない」との言葉が座右の銘として貼り紙してあったり、気づいたらキックボクシングのトレーナーになっていて「俺なにしてんねん」とふと真っ白になったり、宅配のバイト中エレベーターの中で首ヘルニアに良い首伸ばし運動をしていた姿が防犯カメラに収められ「シャ◯中のストーカー」と疑われ、警察に任意同行を求められたり、18年夏には汚し塗装を施したガンプラを相棒にタイへ旅行したりと、45歳になった今も、“永遠のアムロ・レイ”の自分探しの旅は続いているようだ。

 そんな彼が18年9月、自らが所属する「吉本プラモデル部」が配信するネット番組『模魂ちゃん!』の本番収録中にゲ◯を吐いてしまうというアクシデントが発生した。本人の談によれば「喫煙者の自殺率は少ない」との情報を目にして、四十路を過ぎてから無理にタバコを吸い始めたという。この日の収録前も、気が進まないながら共演者たちに合わせて喫煙していたとのこと。挙げ句、本番がスタートするや、みるみる顔色が土気色になり、途中までほぼ言葉すら発していない。番組中盤でいよいよ我慢できなくなり「ちょっとゲ◯吐いてきます」と中座し、戻ってきてからはスッキリして元気に収録に参加。共演者のパンクブーブー・佐藤やハイキングウォーキング・鈴木Q太郎らの爆笑を誘っていた。

 なんというか……「生きて!」と声援を送りたいね、若井さんには。複雑混迷を深める現代社会、世に生きづらい人々が増える昨今、それらの人々に寄り添い、光を与える存在となっていただきたい。

 というわけでね、こだわりのラーメンの決め手が味の素だっていいじゃない。初夏のぬるい水で滝行したっていいじゃない。この記事に登場した面々を見習って、我々も自分らしく、無理せず生きようぜ! って話です。

佃野デボラ(つくだの・でぼら)
ライター。くだらないこと、バカバカしい事象とがっぷり四つに組み、掘り下げ、雑誌やWebに執筆。生涯帰宅部。