「虐待かしつけか」園の指導に葛藤するママたち……一方、「声を荒げてしまう」保育士の言い分

保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。


 福岡県の認可保育所で、保育士が園児に暴言や虐待行為を繰り返したことが明らかになった。子どもを預かってもらっている保護者からすれば、許しがたい行為ではあるが、子どもが虐待の事実をうまく説明できないため、園ぐるみで隠ぺいを行うなど、なかなか表沙汰にもなりにくい面もありそうだ。また保護者の中には、保育士の行為が、「しつけ」か「虐待」かの判断がつかずに悩む人もいるという。今回は、そんな保育園や幼稚園ママの声を紹介する。

「履けないなら置いていく」靴が履けずに下駄箱に放置される園児

 認証保育園と無認可保育所に、それぞれ3歳と0歳の娘を通わせている志保さん(仮名)は、保育園によってしつけの質が違うと感じている一人だ。

「下の子が通っている園は、少人数のため、保育士さんが子どもの性格を見ながら育児しているようでした。でも上の子が通っている保育園は大型のせいか、担任以外の補助の先生がフォローに入ることが多くて、たまにヒステリックに園児を怒っている補助の保育士を見かけます」

 彼女は、「『認証』だから安心」と思っていたが、実際に子どもが通ってみないと実情はわからなかったという。

「この前は、園庭で遊んでいた2歳児クラスの子たちが、呼んでもうまく整列できなかったという理由で、保育士さんが『きちんと並びなさいよ』『並べないなら遊ばせません』と怒鳴っているのを見かけました。靴箱でうまく靴が履けない子を『置いていくよ』と言って下駄箱の前にしばらく放置していたり……。下の子が大きくなった時に、この先生が担任になると嫌なので、ほかの園を探しています」

 5歳になる男児を認可保育園に預けている美佐枝さん(仮名)は、「モンペ認定されたら、子どもに対する保育士の態度が変わるのではないかと思うと強く言えない」と語る。

 体が大きくなる5歳児は、狭い園内を走り回るだけでも、園児同士の衝突が起きてしまうなど、危険な面がある。ある時、男性保育士が、走り回る美佐枝さんの息子を担ぎ上げ、嫌がっても降ろさず「反省するまで降ろさない」と注意していたそうだ。早迎えでその状況を見かけたママから、話を聞いた美佐枝さんは、園にクレームを入れるか悩んだという。

「息子に聞いたら、『すごく怖くて泣いてしまった』って言うんです。でも迎えに行った時は、先生から何も報告されませんでしたね。『もともとは、うちの子が言うことを聞かなかったのが原因。しつけを受けただけだし、気にしすぎるのはよくない』と思う半面、『さすがにやりすぎではないか』『ほかの子と比べて、うちの子ばかりが怒られているかもしれない』とも思ってしまい……園に言うべきか悩んでいます」

 厳しすぎるしつけが表面化しづらいのは保育園より幼稚園なのかもしれない。園の教育方針に賛同して入園している手前、保護者が声を上げづらいのだ。4歳児を私立幼稚園に通わせている香奈さん(仮名)は、こう語る。

「普段は優しい先生なのですが、運動会で披露する組体操やパラバルーンの練習がうまくいかないと、『きちんとしなさい』と言って、娘の腕やお尻などを軽く叩くそうなのです。娘が言うには、パラバルーンを持ち上げ続けるのがつらく、どんどん腕が下がってしまうそうで、そうすると先生に後ろからぐいっと腕を掴まれ、上げたままの状態にされて『痛かった』と……」

 運動会や音楽発表会などの練習時、指導に熱が入ってしまい、つい手が出てしまう先生もいるようだ。

「うちの娘は、運動会の季節が近づくと『運動会の練習が嫌だ』『先生が怖い』と言って、泣くんです。ただ、あくまで行事の準備期間だけですし、親としても、運動会や発表会の成果にはいつも感動するので、先生方に『指導法をあらためてください』と言いづらいんです……。ほかの保護者も厳しい指導を我慢していますし、自分だけ園や先生にやめてくださいとは言えず。あと数年で卒園すると思うと、幼稚園の場合は我慢してしまいますね」

 一方で、保育士側は、自身の言動が子どもにとって「厳しすぎる」と感じることはないのだろうか。都内にある認可保育園で働いている晴美さん(仮名)は、スマホでの動画視聴などの影響により、子どもの言動に変化が見られるようになったと感じている。

「保育士として10年近く働いています。ここ数年は、スマホ育児の影響でYouTube動画を見る子が増えているからか、以前より、子どもたちの言葉遣いがおとなびてきているように感じます。昔から、大人のマネやテレビのマネをする子どもはいたのですが、最近、保育士が何かミスをすると、女児でも『バカじゃねえ』と言ってきたりするんです。何か説明すると『なんで? どうして?』と聞いてきて、『これはこうだからこうなります』と丁寧に伝えても、さらに『なんでそんなふうにする必要があるの?』って、しつこく聞いてきたり。何かやろうにも、5歳児くらいになると、保育士の揚げ足を取ってくるので、なかなか思うように進まず、イライラして声を荒げてしまうこともあります……」

 年配の保育士がきつく言えば、子どももおとなしくするというが、若い保育士だと、話を聞かずに、子どもたちが騒ぎ出すこともあるそうだ。その際、つい厳しい態度を取ってしまうが、一方で、叱ることへの恐怖もあるという。

「ある若い保育士が、トイレで走っていた女児の髪の毛を引っ張ったんです。するとその子が、迎えにきた親に『先生に髪を引っ張られた』と言ったため、園長が呼び出されて謝罪する事態になりました。こういうのを見ていると、うかつに叱ったりもできないんですよ。保育園の場合は、保護者とトラブルがあると、役所や第三者機関などへの無記名投書や、区からのアンケートなどに保育士の態度を記入されるので、つい手が出そうになっても我慢しています」

 家庭でも、保護者が子どもを思うばかりに、きつく叱らないケースが増えてきているのではないかと晴美さんは言う。保育士には、園生活において協調性のない子どもを注意するという仕事が増え、負担は増す一方だ。きつい言い方をしただけで、親からクレームが入るケースもあり、デリケートな対応にならざるを得ない。

 保育士の厳しい対応を、虐待行為と取るか、しつけと取るかは明確な基準がないため、判断が難しい。しかし、幼児たちはまだ状況説明がきちんとできないだけに、保護者から見て、園側の注意の仕方を「不快」に感じたら、それは問題視されるべきではないかとも思う。もちろん子どもがひどく泣いた時は、しつけの範囲を越えているだろう。保護者が何か不満を抱えたとき、すぐ園側に声をかけられるような関係性を普段からを作ることこそ、大事だと感じた。
(池守りぜね)

ZOZO「3つのしくじり」! 有名ブランドとユーザーを「ガッカリさせた理由」とは?

――ファッションライター・南充浩氏が、いま話題のファッションニュースに斬り込む!

 最近、勢いにやや陰りが出てきたと言われる、前澤友作社長率いるZOZO。今年1月末に、2019年3月期連結決算の純利益が前年比12%減の178億円になるとの見通しを発表しました。従来予想(純利益280億円)から大幅に下方修正し、07年の上場以来、初の減益決算となる見込みとなっています。また、昨年年末から、オンワード樫山、ミキハウス、4℃、ライトオン、「ノースフェイス」を展開するゴールドウインなどの有名企業がZOZOからの離脱を表明しており、メディアでは「ZOZO離れ」ではないかと言われています。これらの原因はなんだったのでしょう。さまざまな理由があるのでしょうが、今回は主なもの3つを見ていきたいと思います。

1.ゾゾスーツと組み合わせたプライベートブランド(PB)のがっかり感

 1月末の発表では、PBによる赤字は通期で125億円とのことです。また、初年度売上高目標に200億円を掲げていましたが、これを30億円に下方修正しています。要するに当初の見込みほどPBは売れなかったということです。

 PB発表時の目玉となったのは体型計測用のボディスーツ「ゾゾスーツ」で、当時、ネット上ではすさまじい盛り上がりを見せました。自分で計測することによって、正しいサイズがわかるようになり、試着できないネット通販でもサイズ選びに失敗しにくくなると話題になりました。またそのサイズデータを活用してPBをオーダーするという未来的構想に多くの人が熱狂したのです。

 しかし、当初に発表した計測用ゾゾスーツは何カ月たっても配布されないままで、唐突に計測方式を変更した新型ゾゾスーツの配布に切り替えられました。この新型ゾゾスーツの計測精度が高ければ何の問題もなかったのですが、決して高いとはいえず、採寸間違いが多発し、ユーザーのクレームがSNSを通じて拡散されました。ネットの評判の影響を受けやすいというのは、ネット通販のデメリットの一つでもあることが周知されたと言えます。

 それでも熱心なファンはまだまだ諦めておらず、その直後に発表されたPBのオーダースーツで熱狂はピークに達したと感じられました。とはいえ、計測システムそのものが変更されていないままですから、スーツでも「大きすぎる」「小さすぎる」「丈が短すぎる」などの採寸間違いによるサイズの不具合が多発。これによって期待感は完全に沈静化してしまいました。

 1月末の発表では、その時点のPBの売上高は22億6000万円でしたから、残り期間がたったの3カ月では目標である200億円に到達しないことは火を見るより明らか。30億円への下方修正は当然の結果だったといえます。

 また、昨年12月には保温肌着「ZOZO HEAT」を発表し、年が明けてからはPBの新製品としてチノパン、スエットパーカを発表しましたが、いずれも昨年のジーンズ、Tシャツ、オーダースーツなどの熱狂には遠く及びません。ネット上を見る限り、ZOZOHEATはそれほどの話題にならず、年が明けてからのチノパン、スエットパーカは輪をかけて注目されていないようです。すでに計測データを利用してジャストサイズの服を着られるというユーザーの期待は霧散してしまっているのでしょう。

 ZOZOHEATに限っていえば、12月上旬に発表するのではタイミングとして遅すぎます。ユニクロのヒートテックに限らず、各社の保温肌着は遅くても10月頃には告知・店頭投入が完了しています。特に18年秋冬シーズンは暖冬でしたから、保温肌着というジャンルそのものが苦戦に終わりました。チノパン、スエットパーカは別段驚くほどのギミックや機能性があるわけでもなく、価格も4,900円なので、それほど安いというわけではありません。ユニクロのチノパンとパーカは2,990円なので、やはり見劣りしてしまいます。

 そもそもPBの商品群そのものにも疑問を感じさせます。ZOZO自身、主要顧客層は若い女性と発表していますが、PBの商品群は男女共通アイテムもあると言いつつ、Tシャツ、ジーンズ、ワイシャツ、スーツ、チノパン、スエットパーカと、メンズ色の強い商品ばかり。主要顧客層とのミスマッチではないでしょうか。

 今後、よほどの機能性商品や割安感のある商品を発表しないと、PBはさらに苦しい展開を強いられることになると考えられます。

 昨年末に、ZOZOは突然、「ZOZO ARIGATO」というサービスを発表しました。会員になると割引限度額上限5万円までが常時10%割引(初回30%割引)で買えるというサービスです。字面だけ見ていると、何の問題もないように思えますが、ZOZOだと全ての商品が正規価格より「10%オフ」された状態で表示されており、ブランド側からすると「ブランドイメージが損なわれる」ことにつながりかねません(なお、価格の表示方法は2月末に改訂されました)。

 これに驚いたのが各有名ブランドです。オンワード樫山が真っ先に撤退を発表し、その衝撃は業界全体を直撃しました。続いて4℃、ミキハウスが撤退してしまいます。この3社はアパレル、アクセサリー、子ども服、それぞれの分野の大手企業で、ネームバリューがあります。この3社の共通点は、

1. ZOZOと顧客層がかぶらない
2. ZOZO内での売上高がそれほど多くない
3.自社での販売が強い

の3点でした。オンワード樫山は30代半ば以降の女性、ミキハウスは高額子ども服なので主婦層・年配層が多く、若い女性が多いZOZOの客層とはあまりかぶっていませんでした。4℃の顧客には若い女性が多いものの、ZOZO内での売上高が少なく、圧倒的に自社売上高が高かったのです。

 売上高の点では、ミキハウスも同様の傾向があり、同社の木村晧一社長は、「週刊新潮」(新潮社)のインタビューで、「ZOZOでの売上高は年間1億円ほどだった」と話していました。一方、オンワード樫山はZOZO内での売上高が50億円ほどあったと伝えられていますが、EC全体の売上高に占める比率は25%ほどで、ほかのアパレルブランドに比べると、最も低い部類に属しています。

 これらとまったく異なる環境にありながら離脱を発表したのがライトオン。ある意味で、上記3社以上の衝撃がありました。ライトオンはECそのものの比率が低いのですが、その中でZOZOの売上高が大半を占めていたにもかかわらず撤退を発表したのです。ちなみにライトオンは同時期にAmazonへの出品・出店も取りやめています。

 そしてこの後に、今、売れに売れているアウトドアブランド「ノースフェイス」を擁するゴールドウインの撤退も発表。ベイクルーズも新商品は出品していません。いずれも思惑はそれぞれ違うものの、自社EC強化という方向性は同じで、撤退の口実を「ARIGATO」が与えたと見るべきでしょう。

 そもそも、ZOZOの手数料は年々上がっており、そこにも各社は不満をためていました。「手数料は売上高の34%にもなり、それなりの売上高はあるものの、利益としてはほとんど残らない。だから撤退しても実はあまり痛手ではない」と話をしていた企業もありました。その一方で、前出の木村社長は、「手数料は20%ほどで他社よりは安くしてもらっていた」とインタビューで語っており、ZOZOはネームバリューの高いミキハウスを取り込みたい目的から、同社を優遇したのではないかと推測されます。

 しかし、ミキハウスよりZOZOでの売上高が多いのに、手数料をより多く支払っている他社からすれば面白くないことは想像に難くありません。こういう不満が溜まっていたところにARIGATOサービスが、強引にメールの通知だけで開始されたことから、各社の不満が爆発してしまったと考えられます。

 しかし、逆に考えれば、自社の販売力が育ち百貨店や大手スーパーマーケットから独立するという事態はこれまでも起きたことですから、ECという分野が育てば遅かれ早かれ、同様のことが起きたとも言えます。

 筆者がネット通販を使い始めたのは2015年頃からなので、ごく最近のことです。ファッション好きだけがZOZOTOWNを利用していた当時の雰囲気はわからないものの、ファッション好きは口をそろえて、「昔はクールなサイトだった」と言います。しかし、今はどうでしょう。ARIGATOもさることながら、各ブランドが毎日のように割引クーポンを発行していますし、トップ画面に「最大〇%オフ」と表示されることも増えています。最近のZOZOTOWNしか知らない者からすれば、割引販売サイトにしか見えません。

 昔は商品の画像や露出もブランドの世界観を優先してくれたECモールであり、それに向けて担当者との打ち合わせも綿密だったと言われています。また、ZOZOの営業マンの口説き文句も「われわれは安売りしません」だったそうです。

 しかし、あるブランドのEC担当者によると、「今は、コーディネートもモデルもポージングも画一的。画像は極力メーカーが用意する風潮が強まったし、ほぼ毎日のように安売りクーポンが発行されている」とのことで、すっかり変貌してしまったといえます。

 一定水準にまで達した企業規模を、さらに拡大しようとすると、大衆の取り込みが必要ですから、その手段としては「安売り」が不可欠になります。ユニクロだって低価格品を販売したからこそ、ほとんどの人が買うようになり、国内売上高8000億円に到達したので、施策としては間違ってはいません。しかし、それは「カッコいい」とか「ファッショナブル」とかとは、かけ離れていくことを意味します。昔とはすっかりサイトのイメージが変わってしまい、そこに出店ブランドが失望しているという側面は否定できないでしょう。

 このほか、前澤友作社長が2月上旬、「いまお店で約1万円くらいで売られている洋服の原価がだいたい2000~3000円くらいだということを、皆さんはご存知ですか?」と2月上旬にツイートした(削除済み)ことも業界や消費者からの反感を買いました。このツイートに対し、実は一般ユーザーが「その売上の3割もZOZOがとっていることを知ってましたか?」とリプライしており、結果、ZOZOのイメージダウンにしかなりませんでした。また、論理的に考えても、ZOZOだって自社企画製品を販売しているわけですから、「ならZOZOの原価も提示しろよ」とブーメランを食らうことになってしまいます。「前澤社長は、アパレル企業がARIGATOサービスの値引きに無理解だということにイラ立ち、あのツイートをしたのではないか」といった論調もありますが、それだけではないでしょう。この時期は最も株価が下がっていた時期なので、それに対するイラ立ちの方が大きかったのではないかと、筆者は推測しています。

 前澤氏が所持する株数は、ストックオプションにより付与された新株予約権を除くと 112,226,600 株で、そのうちの97,408,100株が金融機関に担保として差入されています(2月12日現在)。株価が下がりすぎることは精神衛生上良くないのだと考えられます。

 これらの不安要素を抱えて、今後、ZOZOはどのような舵取りをするのでしょうか。
(南充浩)

ZOZO「3つのしくじり」! 有名ブランドとユーザーを「ガッカリさせた理由」とは?

――ファッションライター・南充浩氏が、いま話題のファッションニュースに斬り込む!

 最近、勢いにやや陰りが出てきたと言われる、前澤友作社長率いるZOZO。今年1月末に、2019年3月期連結決算の純利益が前年比12%減の178億円になるとの見通しを発表しました。従来予想(純利益280億円)から大幅に下方修正し、07年の上場以来、初の減益決算となる見込みとなっています。また、昨年年末から、オンワード樫山、ミキハウス、4℃、ライトオン、「ノースフェイス」を展開するゴールドウインなどの有名企業がZOZOからの離脱を表明しており、メディアでは「ZOZO離れ」ではないかと言われています。これらの原因はなんだったのでしょう。さまざまな理由があるのでしょうが、今回は主なもの3つを見ていきたいと思います。

1.ゾゾスーツと組み合わせたプライベートブランド(PB)のがっかり感

 1月末の発表では、PBによる赤字は通期で125億円とのことです。また、初年度売上高目標に200億円を掲げていましたが、これを30億円に下方修正しています。要するに当初の見込みほどPBは売れなかったということです。

 PB発表時の目玉となったのは体型計測用のボディスーツ「ゾゾスーツ」で、当時、ネット上ではすさまじい盛り上がりを見せました。自分で計測することによって、正しいサイズがわかるようになり、試着できないネット通販でもサイズ選びに失敗しにくくなると話題になりました。またそのサイズデータを活用してPBをオーダーするという未来的構想に多くの人が熱狂したのです。

 しかし、当初に発表した計測用ゾゾスーツは何カ月たっても配布されないままで、唐突に計測方式を変更した新型ゾゾスーツの配布に切り替えられました。この新型ゾゾスーツの計測精度が高ければ何の問題もなかったのですが、決して高いとはいえず、採寸間違いが多発し、ユーザーのクレームがSNSを通じて拡散されました。ネットの評判の影響を受けやすいというのは、ネット通販のデメリットの一つでもあることが周知されたと言えます。

 それでも熱心なファンはまだまだ諦めておらず、その直後に発表されたPBのオーダースーツで熱狂はピークに達したと感じられました。とはいえ、計測システムそのものが変更されていないままですから、スーツでも「大きすぎる」「小さすぎる」「丈が短すぎる」などの採寸間違いによるサイズの不具合が多発。これによって期待感は完全に沈静化してしまいました。

 1月末の発表では、その時点のPBの売上高は22億6000万円でしたから、残り期間がたったの3カ月では目標である200億円に到達しないことは火を見るより明らか。30億円への下方修正は当然の結果だったといえます。

 また、昨年12月には保温肌着「ZOZO HEAT」を発表し、年が明けてからはPBの新製品としてチノパン、スエットパーカを発表しましたが、いずれも昨年のジーンズ、Tシャツ、オーダースーツなどの熱狂には遠く及びません。ネット上を見る限り、ZOZOHEATはそれほどの話題にならず、年が明けてからのチノパン、スエットパーカは輪をかけて注目されていないようです。すでに計測データを利用してジャストサイズの服を着られるというユーザーの期待は霧散してしまっているのでしょう。

 ZOZOHEATに限っていえば、12月上旬に発表するのではタイミングとして遅すぎます。ユニクロのヒートテックに限らず、各社の保温肌着は遅くても10月頃には告知・店頭投入が完了しています。特に18年秋冬シーズンは暖冬でしたから、保温肌着というジャンルそのものが苦戦に終わりました。チノパン、スエットパーカは別段驚くほどのギミックや機能性があるわけでもなく、価格も4,900円なので、それほど安いというわけではありません。ユニクロのチノパンとパーカは2,990円なので、やはり見劣りしてしまいます。

 そもそもPBの商品群そのものにも疑問を感じさせます。ZOZO自身、主要顧客層は若い女性と発表していますが、PBの商品群は男女共通アイテムもあると言いつつ、Tシャツ、ジーンズ、ワイシャツ、スーツ、チノパン、スエットパーカと、メンズ色の強い商品ばかり。主要顧客層とのミスマッチではないでしょうか。

 今後、よほどの機能性商品や割安感のある商品を発表しないと、PBはさらに苦しい展開を強いられることになると考えられます。

 昨年末に、ZOZOは突然、「ZOZO ARIGATO」というサービスを発表しました。会員になると割引限度額上限5万円までが常時10%割引(初回30%割引)で買えるというサービスです。字面だけ見ていると、何の問題もないように思えますが、ZOZOだと全ての商品が正規価格より「10%オフ」された状態で表示されており、ブランド側からすると「ブランドイメージが損なわれる」ことにつながりかねません(なお、価格の表示方法は2月末に改訂されました)。

 これに驚いたのが各有名ブランドです。オンワード樫山が真っ先に撤退を発表し、その衝撃は業界全体を直撃しました。続いて4℃、ミキハウスが撤退してしまいます。この3社はアパレル、アクセサリー、子ども服、それぞれの分野の大手企業で、ネームバリューがあります。この3社の共通点は、

1. ZOZOと顧客層がかぶらない
2. ZOZO内での売上高がそれほど多くない
3.自社での販売が強い

の3点でした。オンワード樫山は30代半ば以降の女性、ミキハウスは高額子ども服なので主婦層・年配層が多く、若い女性が多いZOZOの客層とはあまりかぶっていませんでした。4℃の顧客には若い女性が多いものの、ZOZO内での売上高が少なく、圧倒的に自社売上高が高かったのです。

 売上高の点では、ミキハウスも同様の傾向があり、同社の木村晧一社長は、「週刊新潮」(新潮社)のインタビューで、「ZOZOでの売上高は年間1億円ほどだった」と話していました。一方、オンワード樫山はZOZO内での売上高が50億円ほどあったと伝えられていますが、EC全体の売上高に占める比率は25%ほどで、ほかのアパレルブランドに比べると、最も低い部類に属しています。

 これらとまったく異なる環境にありながら離脱を発表したのがライトオン。ある意味で、上記3社以上の衝撃がありました。ライトオンはECそのものの比率が低いのですが、その中でZOZOの売上高が大半を占めていたにもかかわらず撤退を発表したのです。ちなみにライトオンは同時期にAmazonへの出品・出店も取りやめています。

 そしてこの後に、今、売れに売れているアウトドアブランド「ノースフェイス」を擁するゴールドウインの撤退も発表。ベイクルーズも新商品は出品していません。いずれも思惑はそれぞれ違うものの、自社EC強化という方向性は同じで、撤退の口実を「ARIGATO」が与えたと見るべきでしょう。

 そもそも、ZOZOの手数料は年々上がっており、そこにも各社は不満をためていました。「手数料は売上高の34%にもなり、それなりの売上高はあるものの、利益としてはほとんど残らない。だから撤退しても実はあまり痛手ではない」と話をしていた企業もありました。その一方で、前出の木村社長は、「手数料は20%ほどで他社よりは安くしてもらっていた」とインタビューで語っており、ZOZOはネームバリューの高いミキハウスを取り込みたい目的から、同社を優遇したのではないかと推測されます。

 しかし、ミキハウスよりZOZOでの売上高が多いのに、手数料をより多く支払っている他社からすれば面白くないことは想像に難くありません。こういう不満が溜まっていたところにARIGATOサービスが、強引にメールの通知だけで開始されたことから、各社の不満が爆発してしまったと考えられます。

 しかし、逆に考えれば、自社の販売力が育ち百貨店や大手スーパーマーケットから独立するという事態はこれまでも起きたことですから、ECという分野が育てば遅かれ早かれ、同様のことが起きたとも言えます。

 筆者がネット通販を使い始めたのは2015年頃からなので、ごく最近のことです。ファッション好きだけがZOZOTOWNを利用していた当時の雰囲気はわからないものの、ファッション好きは口をそろえて、「昔はクールなサイトだった」と言います。しかし、今はどうでしょう。ARIGATOもさることながら、各ブランドが毎日のように割引クーポンを発行していますし、トップ画面に「最大〇%オフ」と表示されることも増えています。最近のZOZOTOWNしか知らない者からすれば、割引販売サイトにしか見えません。

 昔は商品の画像や露出もブランドの世界観を優先してくれたECモールであり、それに向けて担当者との打ち合わせも綿密だったと言われています。また、ZOZOの営業マンの口説き文句も「われわれは安売りしません」だったそうです。

 しかし、あるブランドのEC担当者によると、「今は、コーディネートもモデルもポージングも画一的。画像は極力メーカーが用意する風潮が強まったし、ほぼ毎日のように安売りクーポンが発行されている」とのことで、すっかり変貌してしまったといえます。

 一定水準にまで達した企業規模を、さらに拡大しようとすると、大衆の取り込みが必要ですから、その手段としては「安売り」が不可欠になります。ユニクロだって低価格品を販売したからこそ、ほとんどの人が買うようになり、国内売上高8000億円に到達したので、施策としては間違ってはいません。しかし、それは「カッコいい」とか「ファッショナブル」とかとは、かけ離れていくことを意味します。昔とはすっかりサイトのイメージが変わってしまい、そこに出店ブランドが失望しているという側面は否定できないでしょう。

 このほか、前澤友作社長が2月上旬、「いまお店で約1万円くらいで売られている洋服の原価がだいたい2000~3000円くらいだということを、皆さんはご存知ですか?」と2月上旬にツイートした(削除済み)ことも業界や消費者からの反感を買いました。このツイートに対し、実は一般ユーザーが「その売上の3割もZOZOがとっていることを知ってましたか?」とリプライしており、結果、ZOZOのイメージダウンにしかなりませんでした。また、論理的に考えても、ZOZOだって自社企画製品を販売しているわけですから、「ならZOZOの原価も提示しろよ」とブーメランを食らうことになってしまいます。「前澤社長は、アパレル企業がARIGATOサービスの値引きに無理解だということにイラ立ち、あのツイートをしたのではないか」といった論調もありますが、それだけではないでしょう。この時期は最も株価が下がっていた時期なので、それに対するイラ立ちの方が大きかったのではないかと、筆者は推測しています。

 前澤氏が所持する株数は、ストックオプションにより付与された新株予約権を除くと 112,226,600 株で、そのうちの97,408,100株が金融機関に担保として差入されています(2月12日現在)。株価が下がりすぎることは精神衛生上良くないのだと考えられます。

 これらの不安要素を抱えて、今後、ZOZOはどのような舵取りをするのでしょうか。
(南充浩)

「中学受験はバカがやるもの」公立至上主義の夫と私立エスカレーターの妻、対立が招いた悲劇

“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。

 新入学シーズン間近であるが、早くも新学期をスタートしているのが中学受験塾である。特に新小学4年生の中には、本格的に中学受験に参戦した子も多くいるだろう。その子を持つご家庭には、これから3年間という長期戦が控えているのだが、この中学受験、「一家の団体戦」であることを忘れてはならない。

 受験をする本人はもちろん、その両親、さらにはその子の兄弟姉妹、場合によっては祖父母もそのメンバーにカウントされよう。つまり「一家一丸となって」戦うものが中学受験なのである。
しかし、この戦いの第一歩で、すでに「ボタンの掛け違い」を起こしているご家庭も散見される。すなわち、子どもの両親である夫婦の意見が対立したまま、受験に足を踏み入れる家庭があるということだ。

 夫婦の意見は、「4×4」パターンに分かれる。夫が「賛成」「まあ賛成」「やや反対」「反対」。妻が「賛成」「まあ賛成」「やや反対」「反対」。つまり組み合わせとしては16通りになる。両親が双方共に反対している中学受験はあり得ないので除くとして、「まあ賛成」「まあ反対」の場合は、熱量が高い親の意見に押し切られ、深刻な問題にはならないケースが多い。この中で問題になるのは、どちらかが「賛成」で、どちらかが「反対」の場合だ。夫と妻の間に極端な温度差がある場合、子どもは大混乱になりかねないため、スタート時点で注意が必要なのである。

 誠さん(仮名)と彩さん(仮名)夫婦の場合はこうだった。誠さんは地方出身で大学までの全てを公立教育で成長した。一方、彩さんは東京都出身で中学受験を経験し、そのまま併設の私立大学を卒業している。

 夫婦は一人息子・丈君(仮名)の教育方針に、「のびのびとたくましく」を掲げたが、中学受験で意見が対立した。誠さんは公立教育の方が「のびのびたくましく」を体現できると主張し、一方の彩さんは「それは昔の人間の思考法。今は私立中高一貫校でしか、その目的は達成できない」と反論して、硬直状態が続いていたのだ。

 しかし、丈君の小学校学区は受験熱が高い地域ということも手伝って、夫婦は膝を交えた話し合いをすることなく、なし崩し的に丈君の中学受験生活がスタートした。最初こそ成績が良かった丈君に対し、「勉強しているなんて偉いぞ、丈!」と声掛けをしていた誠さんだったらしいが、学年が上がるごとに成績が下がっていく丈君に、苛立ちを隠さなくなったそうだ。

 誠さんは、彩さんと丈君に向かってこう言ったと聞く。

「だから、中学受験なんかやったって意味はないんだよ! 小学生が土日もなく勉強するなんて、後伸びどころか、今、伸びることすらできなくなってるじゃないか!」

 中学受験は、学年が上がるに従い、周りもだんだんと必死になってくるので、思うように成績は伸びていかないものなのだ。これをどうにか堪えて受験本番につなげていき、合格をもぎ取るのかの勝負でもある。そのため、両親にはある意味、“子どものカウンセラー的要素”も必要になるのだが、誠さんは経験のなさも手伝って、彩さんいわく「息子のやる気を削ぐ天才」と化したそうだ。

 「今の日本を悪くしているのは中学受験産業」とは、誠さんの言葉だ。彩さんは筆者にこんな本音を漏らした。

「主人は『思い込んだらこう』という人で、自説を曲げません。いくら私が今の学校の現状を言っても聞く耳持たずで、最後は私を侮辱するようなことまで口にしたのです。『パパの会社で中学受験をしてエスカレーターで上がったヤツにロクなのはいない!』と。エスカレーター式学校を卒業した私を、この人は心の中でバカにしていたのかと思うと、涙が止まりませんでした……」

 結局、丈君は「中学受験はバカがやるもの」と口にする父親の方に付き、受験をやめた。そして、4月から中学生になるというが、同級生のほとんどが中学受験をしていたため、学校の中で結果的に“浮いた存在”となり、その寂しさを埋めるためなのか、ゲームとYouTubeに没頭するようになったと、彩さんは悔しそうに言う。

「教育は住んでいる地域、時代に合わせて、柔軟に変えていかないといけないと思います。今の時代、子どもであっても、のびのびと野山を駆け回ることはできません。ウチは夫婦の教育方針の食い違いで、失敗したんです。丈には『のびのび』も『学力』も付けてあげることができませんでした。とにかく中途半端に終わったことが残念でならないです」

 今後、丈君がどう成長するかは未知数だ。彩さんの後悔が晴れていくことを祈りたい。

 もう一つ、今度は逆の事例をお伝えしよう。夫が中学受験賛成派、妻が反対派のパターンである。夫である邦彦さん(仮名)は、国立大学の医学部を卒業し、とある大学病院の勤務医をしている。

 妻の光江さん(仮名)は、まだ手のかかる幼稚園児がいるために専業主婦をしている。二人の長男である裕之君(仮名)は、父である邦彦さんに押し切られる形で中学受験に挑戦することになったそうだが、この生活が嫌だと光江さんはこぼしていた。

「主人も私も中学受験の経験がなく、私はその必要性も感じないのですが、主人は裕之をどうしても○○大学出身の医者にさせたいみたいなんです。それで、医学部に強いS学園に入らせたいそうで、そのために私への指図がすごくて閉口しています」

 邦彦さんが帰宅するまでに、裕之君に問題を解かせておくこと。次週末の模試のケアレスミスを、現状の33%から20%以内に収めること。下の子(幼稚園児)は受験勉強の邪魔なので、午後7時には寝かしつけること。これらは全て光江さんの仕事だと言われたそうだ。

 そのほかにも細かい指示があるようだった。試験の出来にも、子どもの体調にも波があるので、親の思う通りには何一つとしてうまくいかないことが“暮らし”なのであるが、邦彦さんにはその加減がどうにも理解できないようなのだ。

 結果として、裕之君が6年生の初夏に、光江さんは子どもたちを連れて、実家に戻ってしまう。邦彦さんが裕之君に「ケアレスミスをした」ということで暴力を振るったことが、直接の原因になったという。

 「中学受験は害悪でしかない」と言い切る光江さんは、現在、離婚調停中。光江さんの地元は、「『中学受験』という言葉もない地方」といい、現在公立中2年の裕之君は、高校受験に向けて、塾漬けの毎日だそうだ(裕之君は医者志望。やはり親子というものは不思議なものである)。

 中学受験はあまりにも親の思いが強いと家庭の崩壊を招く “引き金”になりかねない。人生は何事もバランスが大事ということに尽きるが、もし、中学受験に踏み切ろうとしているご家庭があるのであれば、夫婦のコンセンサスの一致は不可避。

 中学受験は夫婦が同じ方向を向きながら、時には片方が鼓舞し、片方がなだめる。そんな具合に、絶妙なコンビネーションで子どもを支えなければならない“一家の一大イベント”なのだということは申し上げておきたい。
(鳥居りんこ)

ビリー・ポーターからBTSまで! 2019授賞式シーズン、セレブのユニーク写真

 毎年、新年とともに幕を開ける、米ショービス界のアワードシーズン。今年も、1月6日のゴールデン・グローブ賞授賞式、13日の放送映画批評家協会賞授賞式、2月10日のグラミー賞授賞式、24日のアカデミー賞授賞式など主要レースのほかにも、1月4日のアメリカン・フィルム・インスティチュート(AFI)賞授賞式、27日の全米映画俳優組合(SAG)賞授賞式、2月22日のサテライト賞授賞式など、実に数多くの賞の授賞式が開催された。

 今年は、個性的なファッションを通して自分を最大限に表現する男性セレブや、無理なダイエットや厚化粧などせず「ありのままの姿」でレッドカーペットに登場する女性セレブたちが話題に。また、インスタグラムで裏舞台を見せてくれるセレブもおり、ファンを大いに喜ばせてくれた。今回はそんな2019年のアワードシーズンを盛り上げてくれた、ユニークなセレブたちの写真をご紹介しよう。

Twitterで「担当ホストの本命彼女」を暴露!! ホス狂い界隈を絶望させた“ある女の復讐劇”

 ホストにハマりすぎている女たち――通称“ホス狂い”。「ホストに多額のカネを貢ぐ女」というイメージだけが横行する中、外の世界からはわからない彼女たちの悲喜劇がある。「ホストにハマらなかったら、今頃家が建っていた」という、新宿・歌舞伎町では名の知れたアラサー元風俗嬢ライター・せりなが、ホス狂いの姿を活写する。


 2月23日。とある女性のツイートが、ホス狂い界隈を絶望の淵へと叩き落とした。

 取り急ぎあらましを説明しよう。

 Twitterで1万人以上のフォロワーを持つ有名ホストAくんに、「キャバ嬢の本命彼女がいること」を、Aくんのお客さんの一人がTwitter上で告発したのである。

 今回は「ホストにたくさんお金を使うと、いったいどんな待遇を受けられるのか」について書く予定だったが、急遽変更することにする。テーマは、ずばり「ホス狂いの告発問題」だ。アイドルの異性関係が週刊誌で報道されるように、ホストの世界でも同様のスキャンダルが頻繁に起きる。ホス狂いの世界では、それを「暴露」と呼ぶ。

 一昔前までの暴露は、ホス狂いたちの集う掲示板や日記サイトなどのクローズドな空間で展開されていた。しかし最近は、TwitterなどSNSによって全世界に向けて発信されている。なので、ホストに行かない人でも、ホス狂いの暴走を目にしたことがあるかもしれない。

 今回は、そのメカニズムについて解説していく。そもそも、なぜ、ホス狂いたちは暴露をするのか。100の暴露があれば100の理由があることは承知の上だが、大きく分けて、暴露は2つのタイプに分類できる。

 一つは、担当ホストとの関係が破局を迎えたときの「最後の大花火」だ。これは、担当ホストに一番お金を使っていた「エース級の女たち」によって主に決行される。前回のホス狂いマッピングでいえば、階段の上段にいる女たちがそれに当たる。

 暴露内容に関してはお察しの通り、「担当にたくさんお金を使ったけど裏切られた」がほとんどだ。平たくいってしまえば、復讐である。

 冒頭のAくんのエピソードもこれに当てはまる。

 「シャンパンタワー楽しかったね」……その言葉とともに、女性は自分とAくんの写真を何枚もTwitterに投稿した。ちなみに、シャンパンタワーは最低でも1回150万円程度のお金がかかる。つまり、暴露をした女の子は、間違いなくエース級のお客さんだったということだ。そして、思い出話に続けて、女性はこう暴露した。Aくんにはキャバ嬢の彼女がいる、自分は嘘をつかれていた、と。

 Aくんが、ひと月の売り上げ1000万円クラスの有名ホストだったこともあり、私の周囲のホス狂いたちは、しばらくこの話題でもちきりだった。ホス狂いの掲示板では、3日間で3スレッドを消費し、「Aくんとキャバ嬢の部屋のインテリアが同じだ」やら「二人は同日に店を休んでいる」やら、二人の交際を裏付けようと、さまざまな臆測が飛び交った。みんな他人の人生に興味津々である。

 しかし実は、ここまでの暴露であれば、ある意味定期便みたいなものなので、大騒動にはならなかった。では、なぜ今回の暴露事件がたくさんのホス狂いたちの感情を揺さぶったのか(現に、私も揺さぶられすぎてコラムのテーマを急遽変更してしまったほどだ)。その理由は、たった一つ――暴露をした女性も、彼女とウワサされたキャバ嬢も、どちらも相当な“美人”だったのである。

 私たちの動揺を、ホストに行ったことのない人は想像しづらいかもしれない。しかしこれは、前回に書いた「お金を使えば、容姿に関係なく一番になれる」というホスト遊びの価値観を根底から覆しかねない大事件なのだ。

「こんなに可愛い子がたくさんお金を使っても裏切られるのか……」

 絶望的な話である。いや、絶望そのものだ。

 そしてこの暴露による炎上は、直接関係のないホス狂いたちにまで延焼した。すなわち、多くのホス狂いたちが、まるで自分ごとのように大ダメージを受けたのである。私ももちろん被弾した。鬱々としてくるから、この話はここらへんで切り上げよう。というか、もう筆を置きたくなってきた。なので、さっさともう一つの「暴露」を紹介して、終わりにしよう。

 二つ目の暴露とは、ホストのベッド写真や裸の写真などをいたずらに載せる「テロ」である。要するに、リベンジポルノだ。たちの悪いことに、遊び半分、愉快犯的に行われることも多い。

 なぜそんなことをするのか。推測するしかないが、「自分はお金を払わなくてもホストと寝れる」というほかのホス狂いたちへのマウンティング行為と、私は解釈している。そもそも、考えてみてほしい。そんなみだらな写真があるというのは、最初から暴露する可能性を視野に入れていることにほかならない。ホストクラブの初回を渡り歩き、店ごとのホストと寝て、その痴態を集めて暴露する猛者などもたまにいる。だから、ホストも決して油断はできない。恐ろしい話である。

 とはいえ、暴露をきっかけに名をあげるホストもいる。「暴露されてこそ一人前」なんて言われていたりするので、全てが全て悪と断罪できないのが、難しいところであり、ホストの世界の面白さでもある。

 また、特にエースによる暴露は、ホストの「一番」の席が空いたことも意味する。その場合、暴露をされたことがきっかけで、ホス狂いたちのやる気に火をつけ、かえって、売り上げが伸びることも珍しくない。

 何が言いたいのかといえば、「暴露」にもいろいろあるということだ。決して、わかりやすい悲劇やカタストロフだけではないのである。ただ、共通して言えることは、「暴露」という行為はホス狂いにとって、物語の幕引きなのだ。やや自惚れた表現をするならば、ヒロインを降りるための儀式なのである。

 だから、人によっては幸福なハッピーエンドを望むこともあるし、破滅的なバッドエンドを望むこともある。いや、幸福であるかどうかは当人しかわからないものなので、他人から見て、どれだけ悲惨な破局に見えても、本人にとってはそれが一番幸せな終わりなんてこともある。

 ということで、最後に、個人的に思い入れのある「暴露」を紹介して終わりにしたい。昨年、とあるAV女優――しかも、半年間で120本の作品に出演している超人気AV女優が、Twitterにて、担当ホストとの思い出の写真を大量にアップした。

 続けてその女優は、担当ホストへお金を使うためにAVデビューしたことや、パパ活などで1年間に3000万円以上のお金を稼いだことを明かし、そして、そのホストと破局したことを告白したのだ。

「AV女優としての私を生んでくれた人です。もう会えないけど大好きです」

 彼女はそう呟いていた。この子の選んだエンディングは、果たしてハッピーだったのだろうか、バッドだったのだろうか。いつか歌舞伎町にすれ違うことがあれば、ちょっと訊いてみたい気もする。

 余談ではあるが、私が知っている暴露経験者のホス狂いたちは、その後、歌舞伎町で姿を見ることはなかった……なんてことはなく、みんなケロリとした様子で、いまだにホストに通っている。AV女優の子にしても、いま現在も大活躍中だ。「女の恋愛は上書き保存」とはよく言ったものである。

せりな
新宿・歌舞伎町の元風俗嬢ライター。『マツコが日本の風俗を紐解く』(日本テレビ系)で、 現役時代のプレイ動画を「徹底した商業主義に支配された風俗嬢」 と勝手に流されたが、 ホストに貢いでいたのであながち間違いではない。その他、デリヘル経営に携わるなど、業界では知られた存在。 現在も夜な夜な歌舞伎町の飲み屋に出没している。
Twitter

【バックナンバー】
第1回:歌舞伎町の元風俗嬢が語る、愛しき“ホス狂い”たち――「滑稽だけど大真面目」な素顔
第2回:担当ホストに月200万円……OLから風俗嬢になった女が駆け上がった「ホス狂い」の階段
第3回:容姿や年齢より「使った金額」! ホス狂いたちが繰り広げる、担当ホストのエースをめぐる闘争

「高い保育料払ってるのに」私立幼稚園のママが、土曜日の“園庭掃除ボランティア”に怒り

保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。

 最近では、保育園の場合は0歳から、幼稚園もプレと呼ばれる年少より早く入園できる制度なら2歳からと、年々、園へ通い始める年齢が低年齢化している。子どもたちにとっては、初めて家庭以外で長時間を過ごす場所となる保育園や幼稚園。それだけに親にとっては、どのような特色を持った園に入園させればよいのかは悩ましい問題である。

 早期教育に力を入れている園や、外国人教師を配属し語学に力を入れている園など、少子化に比例して、幼稚園や保育園の教育方針も多様化している。今回は、そのような特色のある幼稚園や保育園に通わせているママたちの本音を紹介する。

ママグループから孤立! ボランティア活動は絶対参加がルール

 都内にある私立幼稚園で働いている青山さん(仮名)は、特色のある幼稚園では、保護者の負担がかつてよりも増えていると語る。

「ここの地域は、幼稚園が30園近くある激戦区。うちの園では、ヴァイオリンや英会話など情操教育を行うのが人気で、いつも定員以上の申し込みがあります。そのせいか、保護者も行事などの参加に熱心な方が多いんです。有志のママによる絵本の読み聞かせや、月1回の保育参観のほか、イベントの取り決めなどを行うクラス会も盛ん。ただどれも平日に開催されるので、専業主婦じゃないと通わせるのが難しいですね」

 保護者同士で何らかのトラブルが生じた場合、子ども同士の仲が良くても、グループから仲間外れになっているママができてしまうという。

「うちの地域は、バザーや夏祭りといった地域イベントが多いため、休みの日に園以外でのお付き合いが生じます。その時に遅刻が多かったり、約束をドタキャンするなど、ルールを守れないママさんは、自然にグループから外されていきますね」

 保護者が園の行事を手伝うのは、あくまで子どもが園生活を快適に過ごすためであり、そこに強制力はないはずなのだが、参加するのが暗黙のルールとなっているそうだ。行事によっては拘束時間が長く、そのため思った以上に負担に感じるママも多い。保護者が参加しなければならない行事がどれくらいあるのか、入園前の説明会などでは聞きづらく、入園後にその大変さと気付かされるという。

 「本来なら、保護者による手伝いはボランティア活動のため、やりたい人がやるべきなのですが、うちの園の場合では、ほぼ強制となっています。ほかにも、幼稚園が任意でお願いしている寄付金などに躊躇される家庭は、ママグループから外れている印象がありますね。園に相談されても、なかなかママ同士の関係に介入できないので、心苦しいところではありますが」と、青山さんは語る。ママ友付き合いに疲れても、幼稚園は、その教育方針に同意をして入園しているのが大前提なので、転園しづらい面があり、卒園までの数年我慢してしまう保護者が大半らしい。

 都下にある私立幼稚園に4歳児になる娘を通わせている幹江さん(仮名)は、実際に入園してみて時間の制約が多いと感じている。

「幼稚園の評判をまとめたサイト内でも、子どもたち一人ひとりに寄り添う教育をしていると高評価だった園に入園させました。入園前から、未就学児向けに開催している月1回の園行事にも参加し、園長に顔を覚えてもらえるようにしていました。園長が『うちは平日の行事も多い。子どものための休みが取れないような親はうちの園には向かない』と言っていたので、覚悟はしていたのですが、ここまで多いと専業主婦の家庭以外は通わせられないと思いました」

 幹江さんは、子どもが幼稚園に通うようになったら、パートタイムで働こうと考えていたが、結局、専業主婦を続けている。

「うちの園では、保育の必要がない土曜日に、保護者による園庭掃除や、教室の大掃除があるんです。安くない保育料を払っているのに、なぜ保護者がボランティアに駆り出されるのか納得ができず、一度、家の事情で休んだのですが、先生から『どこかに出かけたのですか?』と詮索されたんです。掃除は有志による参加のはずなのに、無言のプレッシャーを感じましたね」

 さらに、入園してからの“精神的な負担”として、家庭訪問があるという。

「年に一度、担任の先生による家庭訪問があります。その時は、子ども部屋の掃除から、先生にお出しするお茶菓子の用意まで準備に追われています。昨年、初めてだったのでお茶など用意せず、あとで同じクラスのママたちに『それではだめだよ』と注意されました。先生は忙しくて、お茶などは飲んではいかないが、マナーとして用意しておくべきだというんですが……先生に確認しようにも、扱いづらい母親と思われると怖いので聞けませんね」

 このように、大事な子どもを預ける場所なので、幼稚園の言い分を全て受け入れてしまうママたちも多いという。

 最近は、多世代交流の一環として、老人ホームと保育園が同じ建物の中で運営される形態も増えてきている。老人ホームが併設された保育園に4歳になる息子を通わせている香奈さん(仮名)は、同じ建物なので、高齢者から感染症が広がるのではないか心配らしい。

「入園が決まった時は、高齢者との触れ合いによって、優しい子になれるようなメリットを期待していました。でも、老人施設の方では、インフルエンザなど感染症がはやったりすることもあり、エントランスは別とはいえ、同じ建物の中で保育されているので、感染が気になります。年中や年長になると、よくホームの方に歌を歌いに行ったり、行事を一緒に行うので、接触が多く、普通の保育園に転園も考えています」

 関東圏にある私立幼稚園に、5歳になる男児を通わせている晴美さん(仮名)も、高齢者の子どもへの接し方に疑問を感じているという。

「うちの園では、70代の男性が剣道を教えに来てくれるのですが、息子がホール内を走り回った時に、竹刀でお尻を叩かれたんです。腫れたり、赤くなったりするほどではなかったものの、園児を叩くという行為に驚いて園に抗議しました。でも、園は“体罰ではなく、あくまで指導”と受け止めているようで、取り合ってもらえませんでしたね」

 世代によって体罰の考え方は違うものにもかかわらず、多世代交流を重視する園に、保護者の方がついて行けなくなるケースもあるようだ。

 幼稚園も保育園も、子どもたちが楽しく安全に過ごせるのが一番。保護者は、園選びの際、一度「ここに入れたい!」と思うと、園のマイナスポイントが目に入りにくくなってしまうこともあるだろうが、そういうときこそ、冷静になるのが大事なのだろう。一方、園側も多少は不利益な問題も、事前に説明するべきであると言えるのかもしれない。
(池守りぜね)

ジャガー横田さんの夫も罹患!? 最難関N中合格の母が襲われた「中学受験ロス」の実態

“親子の受験”といわれる中学受験。思春期に差し掛かった子どもと親が二人三脚で挑む受験は、さまざまなすったもんだもあり、一筋縄ではいかないらしい。中学受験から見えてくる親子関係を、『偏差値30からの中学受験シリーズ』(学研)などの著書で知られ、長年中学受験を取材し続けてきた鳥居りんこ氏がつづる。


 今年度の中学受験も業界的には大過なく終了。塾や中高一貫校は早くも次年度体制に切り替わった頃であるが、一方で、この時期、悶々としている“関係者”が多いのもまた事実ということを、読者の皆さんはご存じだろうか。

 その関係者とはズバリ、この冬、中学受験入試に挑戦した子を持つ保護者である。保護者の中にはいまだ“敗戦ショック”から立ち直れず、尽きせぬ涙を抑える人もたくさんいる。熱望校から振られてしまったというショックは、それほどまでに大きいものだ。

 今シーズンの中学受験に挑戦し、話題をさらったジャガー横田さんのご子息。その父である医師・木下博勝先生は、公式ブログでこんな気持ちを吐露しておられる。

「息子の受験が終わって、何はともあれ一旦落ち着きました。僕の生活も以前の様に戻ったわけですが、いわゆる、ロス、なのでしょうか。何か、心に隙間があるような感じが続いています」

 この木下先生のお気持ちが特別なわけではなく、いわゆる「お受験ロス=燃え尽き症候群」というものに罹患してしまう保護者は本当に多いのだ。

 医師になるのが夢だというジャガーさんと木下先生のご子息は、第一希望の難関私立中には残念ながら不合格だったが、医学部のある大学付属校にめでたく合格。人によっては、木下先生にとって、この受験結果が希望通りではなかったため、お受験ロスになったと思うかもしれないが、それは違う。結果の如何にかかわらず、かかる人はかかってしまう。傍目には大成功の結果を手中にしているのに「燃え尽き症候群」とも言える状態になる人がいるのだ。

 この原因は、中学受験が、長期にわたる“親子二人三脚の旅”という側面を持つからだと言われている。たいていのご家庭では小学4年生から中学受験生活を本格的にスタートする。つまり、この3年間は全てのスケジュールが子ども優先で組まれていき、親子でそれを必死でこなしていく日々となる。

 塾のお弁当作り、塾への送迎、プリント整理、成績表管理、弱点補強、情報収集、保護者会出席、学校訪問、塾との面談……。これらは全て保護者の役割である。さらには、子どもに勉強を教えるという役目を買って出る親御さんも多く存在している。

 このように、かつてないほど濃密に我が子と関わり、その成績に一喜一憂し、親子でこれ以上はできないというほどに頑張る毎日を過ごすわけだが、それが強制的に終了する時が来るのである。

 そうなると親の方が“迷子”になる。子どもは受験勉強から解放され“普通の小学生”の毎日を謳歌しだすというのに、親の方が何をしていいのかわからなくなるといった具合に、日常を取り戻せない。しかも、もう二度と、あれほど我が子と関わることはないのだという“事実”が重くのしかかり、呆然と立ちすくむような状態になりやすいのだ。

 美紀さん(仮名)の場合はこうだった。

 息子の大地君(仮名)は優秀な子どもで、塾に入ってから卒業するまで最上位クラスをキープし、特に何の問題もなく第一志望校であったトップ校に合格を決めた。

 傍目には順風満帆。何の文句があろう? というような受験である。しかし、美紀さんは一人息子である大地君の中学受験終了直後から浮かない顔をする日々が続いていた。「何の問題もないんです。大地は自分から受験をしたいと言い出し、自分で勝手に勉強していましたから、私がやったことと言えば、塾の送り迎えとお弁当作りくらいなものです……」

 美紀さんはそう謙遜するが、いくら優秀な子であっても小学生であることには違いはないので、受験に快適な環境を作るべく、美紀さんが大地君をサポートしてきたであろうことは想像に難くない。

「大地の成績がなまじ良かったものですから、周囲からの期待も半端なくて……。『当然、N中学に行くんでしょ?』って会う人ごとに言われてしまい、大地もその気になっていますし、これは失敗は許されないよな……って気持ちになっていました。成績的には問題ないので、もし不合格だったら、その原因は全て私のコンディション作りの失敗しかないなって考えると、すごく怖かったです」

 そして、念願かなって、大地君は無事に最難関N中学への合格を果たした。

「自分でもわかっているんです。これが『燃え尽き症候群』なんだなって……。私なりに使命を果たそうと、全力を注いだつもりだったので、ゴールに到達した途端に気持ちがフッと抜けちゃったみたいになって……。大地と主人が、それぞれの生活を満喫しているのを見ていると、次第に自分は元々、誰からも必要とされてなかったんだなと思っちゃって、心にぽっかり穴が開いたみたいになっちゃって、何もする気になれないんです」

 「失敗は許されない」という使命感を背負い続けてきた美紀さんにとって、大地君の中学受験は、心理的にギリギリの綱渡りだったのかもしれない。そして、受験終了。それまで一種の生きがいのようになっていた「大地君をサポートすること」が、合格と同時に突然必要なくなってしまったのだ。その影響で美紀さんは、“何もする気になれない”心持ちに陥ったのだろう。

 しかし、それから1年が過ぎた先月。再会した美紀さんは1年前とは打って変わって、とてもはつらつとした感じに見えた。 彼女はあることに気がついたという。

「私、あれから反省して、大地に“いつまでもしがみついていてはいけない”って思ったんです。それで、自分の道を歩もうって思って、専門学校に行き始めました。資格を取って、開業するのが夢なんです」

 大地君は優秀な生徒に囲まれて、成績的には真ん中あたりにいるらしいが、とにかく学校が楽しくて仕方ないといったところで、母の出番はまったくないそうだ。

 中学受験はある意味、最後の“親子の蜜月”である。これを通過した後は、否応なく、お互いが自立した存在になるべく徐々に距離が離れていく。親にとっては“子別れの儀式”とも言えるもので、その喪失感は通過儀礼なのだろう。きっと、一時的な「燃え尽き症候群」は「自立した親子関係」の初めの1頁なのだ。

 颯爽と歩き去った美紀さんの後ろ姿が印象的な街角であった。
(鳥居りんこ)

容姿や年齢より「使った金額」! ホス狂いたちが繰り広げる、担当ホストのエースをめぐる闘争

 ホストにハマりすぎている女たち――通称“ホス狂い”。「ホストに多額のカネを貢ぐ女」というイメージだけが横行する中、外の世界からはわからない彼女たちの悲喜劇がある。「ホストにハマらなかったら、今頃家が建っていた」という、新宿・歌舞伎町では名の知れたアラサー元風俗嬢ライター・せりなが、ホス狂いの姿を活写する。


 今日は、ホストクラブがまだ開いていないので、代わりに近所のロイヤルホストからこの原稿を書いている。

 前回、OLがホストにハマって風俗嬢になり、月に200万円を使うようになるまでの道のりについて話した。しかし、そのことについて、ひとつ補足をしておきたい。この200万円というのは、全部が全部「担当への純度100%の愛」でなしえたと断定することはできない。さまざまな要素が課金を加速させている側面がある。その一つが「女同士の戦い」だ。

 今日はこの不毛とも言える闘争について書いてみたい。

 好きなホストに会いにホストクラブへ足を運ぶのに、誰と戦うというのか。それは、「被り客」である。「ライバル」と読む。嘘だ。そのまま「かぶりきゃく」だ。

 この「被り」とは「指名がかぶっている」ことを指す。つまり、被り客とは「同じホストを指名している、ほかの女性客」のことである。もちろんこれは主観での言葉なので、被り客側から見れば、自分自身が被り客ということは忘れてはならない。全員が全員、お姫様(ホストクラブで、客は「お姫様」と呼ばれる)であり、にっくき被り客なのだ。

 ホス狂いたちは、営業時間以外にも、日夜、この被り客と場外乱闘を繰り広げている。そのフィールドは、インターネット空間かリアルの場所かは問わない。試しに、Twitterで「被り客」と検索してみてほしい。……どうだろうか。それはそれは、恐ろしい世界が広がっていただろう。

 もちろん私も例に漏れず、被り客は嫌いだった。被り客も私が嫌いだったはずだ。「殺してやる」と間接的に言われたこともある。私の知人モエ(仮名)は、一緒にホストクラブに行ったとき、被り客にグラスを投げて追い出されていた。私もついでに追い出された。

 夜職の人が集うネット掲示板「ホスラブ」には、お客さんの名前や勤務先を特定するような書き込みが投下される。まったく物騒な話である。

 ほかのお客さんなんて、気にしなければいいのに。そう思うかもしれない。私も最初はそう思っていた。なぜ被り客に敏感になるのか。なぜ、私たちは被り客を攻撃するのか。一見無益な女同士の争いを展開するのか。リアルでも、ネットでも。単なる憂さ晴らしではない。実は合理的な理由があるのだ。

 それは、担当ホストのお客の中で一番お金を使い、大事にされる「エース」を目指すならば、ほかのお客さんに勝たなければいけないからだ。つまり、ライバルがいてこそ、エースは存在できる。彼女らに勝利してこそ、初めて1番になれるのだ。それは孤独なタイムアタックではない。各者一斉スタートで1位を競うレースである。ただし、たまに圧倒的経済力をもって乱入してくる選手もいる。

 レースに勝ちたければ、現状認識が大切だ。もし、自分がエースでないとしたら、まずは己の立ち位置を確認する必要がある。自分の上には何人の被り客がいるのか。あといくら使えば「トップ=エース」をとれるのか。常にそれを脳内にマッピングしながら走るのだ。

 それを再現してみたのが、下の図だ。昔、脳内メーカーがはやったが(ちなみに私の脳内は全て“無”だった)、それと似たような試みだ。震えよ、これがホス狂いマッピングだ。

 この図は、横軸をホストへ使う金額、縦軸をホストからどれくらい大事にされるか、つまり良い待遇を受けるか、で示したホス狂いのマッピングである。縦の糸はホスト、横の糸は私(の頑張り)、と考えてもらえればわかりやすいだろうか。

 中心の金額は0ではないが、図の左側は要するに「お金を使っていない人」と認識して問題ない。お金を使っていない人の存在は一旦忘れて説明しよう。

 前回書いたホス狂いの階段、というのは、この図の中心から右上へ昇っていくことを指す。使う金額が上がるにつれ、担当ホストから大事にされるようになる。お金を使っていても、ホストへの態度が悪ければ対応も悪くなり、「痛い客」になる。そこそこの金額で、そこそこの接客を受けているお客たちは「エンジョイ勢」と呼べるだろう。この人たちが、実は一番幸せなのかもしれない。マラソンで言えば自分のペースでのんびり歩いている人たちだ。

 ホストクラブの世界は「一番お金を使っていて」、「一番大事にされている」お客が一番偉い、という価値観で成立している。たまに、エースと結婚するホストがいる。それは「一番偉いエース」のさらに先だろう。ここに到達するのは、めちゃくちゃ難しい。あるかどうかもわからない。

 コロンブスはインドだと思ってアメリカに到達したが、エースもきっと同様である。ついにゴールへ到達したと思っても、また別の大陸なだけのことがほとんどだ。とはいえ、ホストクラブの中では、お金を使えば容姿や年齢に関係なく、一番のお姫様になれる。ある意味ではわかりやすい価値観だ。そして、一番のお姫様には1人しかなれないけれど、1人だけではお姫様になれないのだ。

 余談ではあるが、店側もそういったホス狂いの心理を熟知していて、1日の営業終わり間際に、その日の売り上げナンバーワンのホストが歌を歌う「ラストソング」という制度を導入している。冷静に考えなくても謎の奇習であるが、「ラストソングを、私の横で歌ってほしい」というホス狂いたちの気持ちに火をつけ、レースを盛り上げるのだ。ちなみに、歌舞伎町のホストクラブで一番多く歌われている曲はKinKi Kidsの「愛のかたまり」だという。

 少し話がそれたが、要するにホス狂いの世界で自分がどの位置にいるかということを確認するためには、嫌いな被り客のことも注視しなければならないのだ。楽しみたくてホストに行っているのに、なんとも皮肉な話である。

「私たち、こういう関係じゃなかったら友達になれたかもね」

 これは先ほどのモエが、バーでたまたま一緒になった被り客のお姉さんに実際に言われた台詞だ。まるで戦場のような価値観である。

 まぁ、雲の上にある見えないゴールに向かって1人で走り続けるのはつらいから、ときにはライバルも必要なのかもしれない。願わくば、ゴールには担当ホストが立っていてほしいものである。

せりな
新宿・歌舞伎町の元風俗嬢ライター。『マツコが日本の風俗を紐解く』(日本テレビ系)で、 現役時代のプレイ動画を「徹底した商業主義に支配された風俗嬢」 と勝手に流されたが、 ホストに貢いでいたのであながち間違いではない。その他、デリヘル経営に携わるなど、業界では知られた存在。 現在も夜な夜な歌舞伎町の飲み屋に出没している。
Twitter

【バックナンバー】
第1回:歌舞伎町の元風俗嬢が語る、愛しき“ホス狂い”たち――「滑稽だけど大真面目」な素顔
第2回:担当ホストに月200万円……OLから風俗嬢になった女が駆け上がった「ホス狂い」の階段

 

汚れた下着、オムツの持ち帰りに激怒するママも……トイレトレーニングめぐる保育園との衝突

保育園、幼稚園、小学校、おけいこ事の教室などでは、日々子どもの保護者と施設側の間でトラブルが発生している。ほんの些細なことでも、自分のこと以上に気になってしまうのが親心というものなのか。わが子のことを思ってとクレームを入れるママもいれば、モンペと呼ばれることを恐れて我慢するママも。そんなトラブル事例とママの葛藤をつづる。

 幼児を持つ親にとって、おむつを外してトイレで用を足せるようにする“トイレトレーニング”は、育児の中でも難関の一つである。思い通りに進めることができずにイライラしてしまうのは、親共通の悩みといえるだろう。働く女性が増えた今、0歳児から子どもを保育園に預けることが珍しくない中、トイレトレーニングをめぐって、保護者と保育園の間でトラブルも発生しているという。今回は、公には語られにくい、幼児の排泄にまつわるエピソードを紹介する。

 都内にある認可保育園で働いている敦子さん(仮名)は、子どもたちのおむつが取れる時期について、昔よりも遅くなってきているように感じるそうだ。

「私が保育士として働き始めた10年以上前は、2歳児クラスに上がる前の1歳9カ月くらいでおむつが取れている子もいました。でも今の園では、トイレトレーニングを始めるのは2歳クラスに上がってからなんです。2歳とはいえ、誕生日が早い子と遅い子ではかなり成長も違うのに、保育士が少ないため個別に進めることができない状況。うちの園でのやり方は、基本的には日中はおむつで過ごしつつ、保育士の方から排泄を促して、決められた時間にトイレに連れて行っています。便座やおまるに座っておしっこの感覚をつかむのが目的なのですが、園児によっては、保育士から指示されたタイミングで排泄ができず、いつまでもおむつが外せない子もいます」

 このように、一斉で行うトイレトレーニングでは、言葉の発達が遅いために尿意を伝えられない子どもや、排泄そのものを我慢してしまう子どもが出てくるという。

「トイレトレーニングを自宅で行うのが面倒くさいといって、家ではおむつで過ごさせ、園に任せっきりの保護者も結構います。長期休暇などがあると、せっかく保育園ではパンツで過ごせたのに、家でおむつ生活を続けていたことで、また元通りというケースも多いです」

 トイレトレーニングはあくまでも育児の一環であるため、保護者が自宅で教えるべきだと考えている保育園側と、日中の大半を過ごす保育園でトイレトレーニングを行ってほしいという保護者……そんな価値観の相違がみられるという。

 認証保育園に3歳児になる娘を通わせている優紀さん(仮名)も、トイレトレーニングは保育園でやってもらいたいと考えているという。

「うちの子は、『明かりが暗いから』という理由で、家のトイレを怖がるんです。一人で便座に上がれるように踏み台も買ったのですが、脚が床に届かないので、またがって踏ん張ることができず、まだ家で排便の成功はありません。保育士さんは『成功体験を積み重ねることが自信につながる』と言うのですが、家のトイレだとどうしても失敗してしまうんです。保育園には子ども用の低い便座があり安全なので、まずは保育園で完全にできるようにしてほしいと思っています」

 有紀さんは共働きで忙しく、なかなか自宅でのトイレトレーニングに本腰を入れられないという。休日や家では娘をおむつで過ごさせている。

「休み明けの登園などは、トイレで排泄するのがうまくいかずによく失敗しているようです。保育園から、汚れたパンツや衣服の入ったビニル袋をよく渡されます。最初、ビニル袋がロッカーの上に置かれていたので、うちの子が失敗したのが周りに丸わかりでした。園に抗議を入れると、手渡しに代わりましたが、正直不満はほかにもあって……。娘がお漏らしをすると、保育士さんが軽く水洗いをしているそうなのですが、たまに匂いがあるんです。園からの帰りにスーパーに寄ったりもするので、できれば汚れ物は園で洗ってもらいたい。保育園にも伝えたのですが、『衛生上、水洗いしかできない』と断られてしまいました」

 0歳児を無認可保育園に預けている博美さん(仮名)は、「使用済みおむつを持ち帰らなければならないのが苦痛」と語る。保育園がある自治体によるが、使用済みのおむつをビニル袋などに包んで渡される園もある。その日にどのような排便をしたか確認できたり、使用枚数を把握できるメリットもあるが、大半は可燃物の日まで家で置いておかねばならず、おむつの処分に困るという。

 トイレトレーニングは、おむつだけに留まらない。男児の場合、立った状態で排尿する方法を教えなければいけないが、最近は、それを教えない保護者も少なくないといい、そのせいで、トラブルが発生するケースも。小規模保育園で働いている相川さん(仮名)は、こう語る。

「最近は、掃除が面倒という理由で、家のトイレでも座って排泄をさせるママが増えていています。うちの園には、いわゆる“立ちション用”の便器がないのですが、この前、課外活動で小学校の校庭を借りた際、その小学校のトイレには和式トイレと立ってする用の便座しかなく、座った状態でしか排泄をしたことがなかった男児が、うまくできずに泣いてしまったんです」

 立った状態での排尿をうまく伝えられないママさんの場合、小学校に入学してからトイレ問題で困るそうだ。また女児でも、家や保育園に洋式トイレしかなかったため、和式トイレを見て驚いた子もいたという。この園では、小学校入学に向けて、和式トイレや立った状態でも排泄ができるよう、保護者に指導することにしたそうだ。

「ただ、保護者の反応はいまいち。排泄に関するアドバイスをしても、『保育園で練習用の小さな立ち便器を購入してください』と言ってきたり、保育園のトイレを和式に改造できないかというママもいました。あるママから、『トイレトレーニングは、保育園で全部対応してもらえると思ってた』と言われたときは、ちょっとカチンときましたね……そういった方たちは、結局、駅や公園まで出向き、和式トイレや立ってするトイレで練習したそうですが」

 排泄はデリケートな話題なので、園側も保護者に言いづらい部分があるという相川さん。息つく暇もなく働いていている多忙なワーママたちが、トイレトレーニングを園に任せたい気持ちもわかるが、子どもが自力で排泄ができるようになるために、在宅時のトイレトレーニングのフォローは必要不可欠なのかもしれない。
(池守りぜね)